咏(むしゃくしゃする……)
咏(最近何もかも上手くいかない……)
咏(戦績も落ちて来てるし……)
咏(この前なんて、藤田プロに5万点差をひっくりかえされた……)
咏(あげくの果てに、えりちゃんにもふられちゃうし……)
咏(……)
咏(はあ……私、どうしたらいいんだろー)
咏(わかんねー、全てがわかんねー)
……
…
咏「特番?」
咏(まあすることもないし出演してもいっか、知らんけど)
…
……
恒子「緊急特番『インターハイを振り返る!』」
恒子「司会進行は私福与恒子と」
咏「三尋木咏……」
恒子「でお送りします」
恒子「しっかし三尋木プロ、今日はテンション低いですね?」
咏「そっかなー、私いつもこんなだよ、知らんけど」
咏(今日の仕事はこーこちゃんとかあ……えりちゃんとが良かったなあ……)
咏(いや、フラレたばっかで顔合わせ辛いから逆によかったかも)
咏(あーでもこーこちゃん見てるとなんかムラム……じゃなくてムカムカしてきた)
咏(テレビで見る分にはカワイイけど、実際に面と向かってあんな態度とられると、イラッときちゃうね)
咏(特に今日は虫の居所が悪いし)
恒子「ではまず第一回戦のVTRをどうぞ」
咏(カメラに写ってない今なら)
咏「全てがわかんねー」さわさわ
ぱしっ
恒子「最初から命がけの戦いだああああ」
咏「いや、さすがに命はかけてないと思うよ、知らんけど」
咏(顔色一つ変えず、笑顔で手を払われた)
咏(へえー、こういうことへの対処には慣れてるってわけかー)
咏(なんか気に入らないなあ、知らんけど)
咏(えりちゃんみたいに困った顔したり、反応してくれないと面白くないんだよねー)
咏(この能天気な笑顔を歪ませるには、どうすりゃいいかなー)
咏(わかんねー)
咏「あー、わっかんねー」もみもみ
ぱしっ
恒子「……」にこにこ
咏「なあ、いいじゃんお触りくらい」
咏「どうせ、小鍛治プロとやってんでしょ?」
咏「あ、それとも瑞原プロあたりに枕やってたりするのかな? あはは」
咏「あの人TV関係者に顔が効くからね、知らんけど」
恒子「いつもこんなことやってるんですか?」にこにこ
咏(露骨な嫌がらせ発言も笑顔で流された……つまんねー)
咏「いやー、いつもってわけじゃないよ、多分」
恒子「三尋木プロってこんな人だったんですね、なんかすこし意外ですー」にこにこ
咏「でしょー、あはは」ぱたぱた
咏(もうちょっと思いっきり触ってやれ)
咏「あはは、わかんねー」おしりもみもみ
ぱしっ
恒子「次は第二回戦の映像を」
咏(あれ? もしかして今のカメラに写ってた?)
咏(それって地味にやばくね? 知らんけど)
……
…
…
咏(やっべーわかんねー)
咏(どうすんの、これ)
咏(もうネットでは叩かれまくってるし……)
咏(『【速報】三尋木プロがこーこちゃんにセクハラ』とか……)
咏(こいつら、好き勝手言いよって……軽いスキンシップでしょ)
咏(こーこちゃんもあんまり嫌がってなかったし……藤田プロなんてもっとエグイこといっぱいしてるからね、知らんけど)
咏(それに人間、誰だって機嫌が悪い時だってあるじゃん)
咏(誰だって間違えたり、失敗したりする)
咏(そういう人の揚げ足をとって何が楽しいの?)
咏(わっかんねー)
…
……
西田「あ、三尋木プロ! 少しお話を!」
西田「セクハラ騒動について何か一言」
咏「いやー、わかんねー」
咏「セクハラとかじゃないしねー、あれ」
咏「こーこちゃんをからかって、軽くおしりをつっついただけだよ」
咏「スキンシップってやつ? 知らんけど」
咏「本人も逆に戸惑ってんじゃないかな、セクハラなんて言われて」
咏「知らんけど」
……
…
咏(マスコミ連中うぜー)
咏(なんで私だけ……叩くなら藤田プロも叩けよー)
咏(ほんとマスコミとネットの連中は……)
咏(私が何か悪いことしたのかよ……私に恨みでもあんの?)
咏(面白半分で叩きやがって……)
ぷるるる
咏(あ、電話だ……メンドクセー)
咏(……)ぴっ
咏「はいはいもしもしー」
小鍛治「もしもし咏ちゃん、久しぶり」
咏「こ、小鍛治プロっ!?」
咏(え? え? なんで小鍛治プロから電話!??)
咏(わ、わかんねー……)
咏「いやー、おひさっす」
小鍛治「ねえ、咏ちゃん今夜暇?」
咏「えっと、特に予定はないっすけど」
小鍛治「じゃあ久々に飲みに行かない?」
咏「あ、い、いいっすねそれっ」
小鍛治「じゃあ10時に――――」
……
…
咏(あれ、もしかして私、殺されちゃう?)
咏(どうすればいいどうすればいいどうすればいい?)
咏(どうするべきどうするべきどうするべき?)
咏(全てがわかんねー)
…
飲み屋
小鍛治「咏ちゃんと一緒に飲むの、随分久しぶりだねー」
咏「ご、ご無沙汰してます」
咏(そんなの、私が新人の時以来じゃね? 覚えてないけど)
小鍛治「ごめんね、急に呼び出したりしちゃって」
小鍛治「なんか突然誰かと飲みたくなって」
咏「アハハ、私で良かったらいつでも付き合いますよ……」
小鍛治「ほんと? 咏ちゃんありがと」
咏「どうも……」
……
…
小鍛治「咏ちゃん最近あまり調子良くないみたいね」
咏「そうっすねー」
咏「この前、凄い点差を、藤田プロに逆転されちゃいましたよ、あはは」
小鍛治「あー、あれねー」
小鍛治「でもあれは靖子ちゃんが凄かったよ」
――――
小鍛治「じゃあそろそろお開きにしようか」
咏「は、はい」
小鍛治「じゃあ、機会があったらまた誘うね」
小鍛治「今日は久しぶりに咏ちゃんと飲めて楽しかったよ」
小鍛治「じゃーね」
…
……
咏(助かった……?)
咏(…………)
咏(結局なんだったの、あれ……)ガクガクガクガクガクガク
咏(なんで、何も言って来ないの?)
咏(わかんねー、全てがわかんねー)
咏(こわいよ、こわすぎる……)ガクガクガクガクガクガク
咏(態度も表情も普段と全く変わりなかったけど)ガクガクガクガクガクガク
咏(あえてあのことだけには触れないってのが答えだよね? 知らんけど)ガクガクガクガクガクガク
咏(無言の圧力半端ねー……)ガクガクガクガクガクガク
咏(それとも天然さんで、ホントに気にしてない? いやいや、逆に性格がネジ曲がってるのかも)ガクガクガクガク
咏(ホントにあの人の考えてることがわっかんねー)ガクガクガクガク
咏(どうでもいいけど、震え止まらない)ガクガク
……
…
…
咏(ん? なんかお手紙来てる)
咏(なんだろこれ……?)
咏(え……?)
咏(解雇通知……)
咏(あははは……私、プロくびになっちゃった……)
咏(…………)
咏(あはは、ぷーだよぷー)
咏(…………)
咏(なんかもう、何も考えたくない)
咏(寝よう……)
……
…
ピンポーン
咏(ん? 誰か来た)
咏(マスコミ関係者かもしれないし、応対するの面倒くさい)
ピンポーン
咏(…………)
……
…
ピンポーン
咏(ああ、もう! ウゼー)
咏「はーい」
がちゃっ
えり「やっぱり居留守でしたか」
咏「あ、え、えりちゃん?!」
咏「なんで……?」
えり「はあ……」
えり「あなたのことが心配だからに決まってるじゃないですか?」
咏「え……?」
えり「というか、なんかやつれてません?」
えり「ちゃんとご飯食べてるんですか?」
咏「あー、なんかここ三日なにか食べた記憶ないなー、知らんけど」
えり「はいぃ?」
えり「もう! なにやってるんですか!」
えり「はあ……しかたないですね。私がなにか作りますので、ちゃんと食べてくださいよ!」
咏「あ、うん……ありがと」
えり「また部屋も散らかして……」
えり「全くもう……」
咏「なーんか、えりちゃんって悪い女にひっかかりそうなタイプだよね」
咏「将来が心配だよ」
えり「それをあなたが言いますか」
咏「あはは、そーだね」
えり「それに私はもう、ひっかかっているのかもしれませんね」
咏「え、それってどういう……?」
えり「私はあなたのことが――――」
――――――
咏「……」パチッ
咏「なんだ……夢だったか……」
咏(まあ途中から薄々気付いてたんだけどね)
咏(だってこんな私を、えりちゃんが好きになってくれるはずないし……展開が都合よすぎるし……)
咏(あはは、なんか涙でてきた……)
咏(でも、すごくいい夢だったなあ……)
はやり「咏ちゃんの事なんてはやりが忘れさせてあげるよ☆」パンパン
えり「あ//も、もう三尋木…プロなんて///」
みたいな展開マダー
咏(夢の中でもえりちゃんはすごく可愛かった……)
咏(会いたいなあ……)
咏(今眠ったら夢の続きを、みれるかな)
咏(どうせすることもないし、また寝よう)
咏(せめて夢の中くらいではえりちゃ――)
ピンポーン
咏「!」
咏(私今起きてるよね?)グニー
咏(ほっぺたつねって痛い、これは現実)グニグニ
咏(ど、どうせなんかの勧誘だろうけど、勧誘の人だって一所懸命に仕事してるわけだから、居留守使っちゃ可哀想)
咏(ここは丁重に断って帰してあげよう)
咏(あー、メンドクサイメンドクサイ)
ガチャッ
小鍛治「こんばんわ」
咏「え?」
咏「あ、こっ、こんばんわ」
咏「どうしたんですか小鍛治プロ?」
小鍛治「ちょっと咏ちゃんが心配になって」
小鍛治「でも思ったより元気そうで安心したよ」
咏「それはわざわざどうも……」
小鍛治「うん、良かった」
小鍛治「じゃあ私帰るねー」
咏「え?」
小鍛治「ほんとにすこし様子見に来ただけだから」
咏「はあ……」
小鍛治「ばいばいー」
咏「……」グニー
咏「やっぱり夢じゃない……」
咏「なにしに来たの、あの人……」
咏「ちょっと本気でわかんね……」
…
街
咏「……」フラフラー
咏「……」フラフラー
咏(はあ……なにやってんだろ、私)
咏「……」
咏(自分が、わかんね)
咏(人生が、わかんね)
咏(未来が、わかんね)
咏(幸せって、わかんね)
憧「あ、そこのおねーさん」
咏「ん、私?」
憧「そうそう」
憧「ねえ、一晩これでどう?」ユビサンボン
咏「あ、うん」
憧「マジで! やりぃー」
憧(あれ? でもこの人どっかで……)
……
…
ホテル
咏「……」ボッー
憧「……」
咏「……」ボッー
憧「……あの?」
咏「……うん?」
憧「何もしないの?」
咏「あー……」
咏(何も考えてなかった)
憧「なにかして欲しいこととかあったら、出来る限り、サービスするよ」
咏「うーん」
咏(そういえば、千里山女子の子たちが面白いことやってたねえ……)
咏「じゃあ膝枕して」
憧「膝枕? まあ、別にいいけど」
憧「ほら」ポンポン
咏「ふー」ポフッ
憧「……」
咏(これはなかなか、いいかも)
……
…
…
咏「……ん?」
咏(あれ……ここは……)
憧「あ、起きた」ナデナデ
咏(あそっか、思い出した)
咏「もしかして私、寝てた?」
憧「もしかしなくても、寝てたわよ」
憧「そりゃあもうぐっすりと」
憧「大分疲れがたまってるんじゃない?」
咏「あー、なんかそりゃすまんねえ」
憧「別にいいわよ、可愛い寝顔を堪能させてもらったし」
咏「おー、おねーさんに向かって言うねーこの」コチョコチョ
憧「あはは」
前も咏ちゃん相手に円光してた気がする。同じ作者だろうか
…
咏「膝枕、なかなかよかったよ」
咏「えっと三万だっけ?」
憧「やっぱお金はいらない……」
咏「え?」
憧「でもその代わり、また会えない?」
咏「うん?」
咏「まあ別に構わないけど」
憧「よしっ、じゃあアドレス交換しよう」
咏「ほいほいー」
咏(あれ、ていうかこの子よく見たら……)
……
…
憧「じゃあ、暇な時連絡するから、そっちも気軽に連絡してねー」
咏「おっけー」
咏(やっぱり、阿知賀の一年生だよねえ)
咏(なんでこんなことやってんだろ……悪い子じゃなさそうなのに……)
咏(わっかんねー、全てがわかんねー)
……
…
咏(最近、寝ることが楽しくてしょうがない)
咏(というより、それ以外にやることがない……)
ドンドン
アナ一人のケツ触っただけで落ちぶれ過ぎだろ
伸助とかもっとヤバいだろ
>>86
残念ながら違うっす
まあ普段は変なコテつけて咲SS書いてたりするけど……
ドンドン
咏(ん? ガラスが揺れて……)
小鍛治「」ベタァ
咏「ひっ!!?」ビクッ
咏(なにこれなにこれなにこれンナンダコレ!?)
咏(小鍛治プロがベランダの窓ガラスに張り付いてる……?)
咏(しかもなんかすごいこっち見てる……)ガクガク
小鍛治「」ジー
咏(え? これ悪夢?)ガクガク
咏(ここ四階なんだけど……)ガクガク
小鍛治「入れてよー」ドンドン
咏「あああ……」ガクガク
小鍛治「」ウヒヒヒ
咏「あっ」
咏(よく見たら、窓のカギ、閉まってない……)
小鍛治「咏ちゃん、入れてったら、ん?」ドンドン
小鍛治「あ、開いてる」ガラガラ
咏「あああああ……」ガクガク
小鍛治「うん? どうしたの咏ちゃん、そんなに震えて?」
小鍛治「あ、ごめんなさい、窓開けたら寒いよね! すぐ閉めるね!」
咏「ああああ、あの……」
咏「な、な、なんでここに?」ガクガク
小鍛治「あー、それが実は私もよく覚えてないの」
小鍛治「飲み会に行ったとこまでは覚えてるんだけど、そこからの記憶がなくて、気付いたら、ここにいたんだ」
咏「あ、そうなんですか……」ガクガク
小鍛治「それじゃあ私帰るね」
咏「は、はい!」
小鍛治「ばいばいー」
咏「……」
咏「あっ……」ジョボボボ
咏「……」
咏(うう……おしっこ漏らしちゃった……)
咏「…………」ぐすっ
咏「もう、本気でなんなのあの人……」
咏「わかんねー……」
…
咏「…………」
咏(さっきの衝撃が強過ぎて、眠れねー)
咏(窓に張り付いた小鍛治プロの映像が、網膜に焼き付いてはなれない……)
咏(…………)
咏(こりゃあ、一人でいたくない夜ってやつだぜ……)
咏(そうだ! あの子に連絡しよう)
咏(嘘の連絡先だったらさすがにへこむなー……)
ぷるるる
咏(おっ、ちゃんと繋がった)
……
…
ホテル
憧「まさかこんなに早く連絡してくれるとは思わなかった」
咏「あっははー、迷惑だった?」
憧「べ、別にそんなことはないけど」
憧「ていうか、やっぱりあなた三尋木プロだよね」
憧「あの時は、気付かなかったけど」
咏「あはは、三尋木元プロだけどね」ぱたぱた
憧「っ!?」
憧「ってことは噂はホントだったんだ」
咏「ああ、まだ公式発表はされてないんだ? 最近テレビ見てないからわかんねー」
咏「でも近いうち発表されると思うよ、知らんけど」
咏「てかそっちは阿知賀の子だよね」
憧「なんでそれを……」
咏「確か、新子憧」
憧「名前まで覚えてるんだ!?」
咏「へっへー、これでも解説やってたからねー」ふりふり
咏「鳴きが上手くて、筋が良かったから印象に残ってるよ」
憧「なんか、そう言われると嬉しいわね」
咏「で、なんでそんな子がこんなことやってるわけ?」
憧「なに、説教するつもり? そういうのウザ」
咏「いいからいいから、おねーさんに話してみ?」ひょいひょい
咏「ほれ? ほれ?」
憧「……」
憧「……はあ」
憧「なんか毒気を抜かれちゃった」
憧「まあ、正直、どこにでもある話」
憧「あたしには好きな子がいたの……」
憧「最初は友達としか思ってなかったけど、いつの間にかその子の姿をずっと目で追ってた」
憧「それで自分の気持ちに気付いた時には、ありえないくらい、その子が好きになってた」
憧「気持ちが溢れそうで、抑えるのが、大変なほど……」
憧「…………」
憧「あたし本当に、本当にシズのこと、大好きだったんだ……」
憧「ぅぅ……」ぐす
咏「よしよし」なでなで
憧「それなのに……」
憧「コンビニのアイスケースに入っただけでツ○ッター炎上、高校退学とかありえない!」
咏「え?」
憧「それでなんかもう、あらゆることが、どうでもよくなっちゃって……」
憧「ていうかシズもシズよ!」
憧「裸ジャージで山に登ったりする、ぶっとんだところあるのに、なんでマナーとかモラルとかは意外とちゃっかりしてんの!」
憧「退学より、『憧、さすがにそれは私もどん引きだよ』とか言われたことのほうが正直傷ついたから!」
咏「そりゃあ……災難だったねえ、あはは」
憧「でしょ? でしょでしょ?」
咏「んー、よく考えたら私も、女子アナとスキンシップとっただけで、クビとかおかしいよねえ」
憧「うんうん!」
憧「あたしらじゃなく、世界が、間違っていたんだ!」
咏「そうだそうだ」
憧「いつから……いつから世界は狂っていた?」
咏「ずっと前から、私らが生まれるずっと前から、世界は狂っていたんだよ」
憧「そうだ、あたしらは、この狂った世界で、これからも生きていかないといけない」
咏「生きるってのは茨の道を突き進むということ」
憧「前に進めば進むほど、棘が刺さって、傷だらけになる」
咏「傷の数だけ強くなって、傷の数だけ弱くなる」
憧「でも誰かと一緒なら、きっと――」
……
…
憧「うーわー、なんか変なテンションになって、変なこと口走っちゃった気がする」
咏「そだねー」
憧「なんであんたは平気そうなの?! そっちも結構恥ずかしいこと、のたまってたよね!?」
咏「これが大人の余裕ってやつ? 知らんけど」
憧「うー、恥ずかしずー」ばたばた
咏(おおー、まさかリアル枕に顔を埋めて足をバタバタが見れる日が来るとは)
憧「ねえ、あたしらって似た者同士だと思わない?」
咏「無実の罪で罰せられたところとか?」
憧「そうそう」
憧「あたし、初めての客があんたで良かった」
咏「やっぱり初めてだったんだねー」ぱたぱた
憧「気付いてたの?!」
咏「まーね」
憧「あたしって器用だから、完璧に立ち回れてたと思ったのに……」
咏(まあ気付いてたってのは嘘なんだけど)
憧「これからもあたしら、時々会わない?」
咏「んー、いいよー」
憧「なんかあんたといるとほっとするっていうか、落ち着くんだよね」
咏「あー、それは私もあるかも、知らんけど」
憧「それはそれで嬉しいかな、なんて」
憧「じゃあよろしくね、咏」
咏「おいおい、呼び捨てかー、高校生?」
憧「や、あたしもう高校生じゃないし」
憧「それに女子アナにセクハラしてクビなっちゃうような大人には敬語使いたくないし」
咏「ほうー、言うねえ」
咏「さすがの私もアイスケースに入るお馬鹿さんには負けるけど」
憧「むー」
咏「あはは」
咏「まあ、テキトーによろしく、憧」
憧「うん」
…
……
咏(あれから、憧とは何度か会って、一緒にぼーっとしたり、適当に遊んだりしている)
咏(この年になってあんな友達ができるなんてねえ……私もまだまだ若いってことかな、知らんけど)
咏(えりちゃんとも、なんとか仲直りを果たした)
咏(プロ雀士はクビになってしまったけど、まだ貯金が残っているし、これから賭け麻雀で生計を立てるつもり)
咏(あと、ベランダの窓を見ると、時々小鍛治プロが張り付いていることがある)
咏(失ったものは多いけど、私はなんとかやれている)
咏「いやー、人生ってわかんねー」
ぴろりん
咏「あ、えりちゃんからラブメールだ」
『ロリコンしね』
咏「……」
咏「どゆことー?」
咏「暇だし、久々にネットでもしよう」
咏「ん?」
2ち○んねる『【速報】三尋木元プロ、今度は未成年と淫行!』
咏「だめだこりゃ」
カン!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません