苗木「結婚するなら朝日奈さんかな」霧切「!?」 (463)

舞園「な、なんでですか?」

苗木「舞園さんはアイドルだから結婚とかは不味いし、セレスさんはギャンブラーだから、いつ家庭が崩壊するか分からないじゃないか」

セレス「」

霧切「そう……でもそれなら朝日奈さん以外にも候補はいるわ。例えばわた……」

苗木「何よりも、ボクと身長が同じ朝日奈さんなら色々と気が楽だしね」

霧切「!?」

苗木「それに朝日奈さん、ボクらの中で一番裏表のない人だから、気兼ねなく話せるしね」

霧切「……」

苗木「うん、やっぱり【ボクには朝日奈さんが一番相性がいいな】早速プロポーズを……」
霧切「それは違うわ!」

苗木「えっ?」

霧切「苗木くん、あなたは身長が近いという理由で朝日奈さんを選んだようだけど、その考え方は間違いよ」

苗木「そんな……!」

霧切「よく考えてみて、苗木くん。確かにあなたと朝日奈さんの身長は同じよ」

苗木「なら、問題なんて……」

霧切「だけど、ヒールを履けばどうなるかしら?」

苗木「!?」

霧切「気付いたようね。そう、女性ならヒールを履けば身長は高くなる。つまり【彼女はあなたより身長が高くなるのよ】」
苗木「それは違うよ!」

霧切「あら、苗木くん。私の言葉に間違いなんてあったかしら?」

苗木「確かに、朝日奈さんがヒールを履けば彼女はボクよりも身長が高くなる」

苗木「だけど霧切。忘れたの? 朝日奈さんが普段履いてるのはスニーカーだよ!」

苗木「だから【彼女がボクより身長が高くなるなんてあり得ないよ!】」
舞園「それは違います!」

苗木「なっ、ま、舞園さん……?」

霧切「舞園さん、あなたは気付いたようね」

舞園「はい……」

苗木「気付いた……? ボクは何も間違ってなんか……」

舞園「確定しますが、苗木くんは、朝日奈さんと結婚したいんですよね?」

苗木「当たり前たよ!」

舞園「なら、その結婚式でも朝日奈さんはヒールを履いてると思っていますか?」

苗木「!?」

霧切「そう。いくら普段、スニーカーを履いてると言っても、結婚式は別よ」

苗木「そ、そんなの、式を和式にすれば……」

霧切「あら、なら朝日奈さんが洋式を希望したらどうするのかしら?」

苗木「くっ……!」

霧切「苗木くん、身長なんて関係ないわ」

苗木「霧切さん……」

舞園「そうですよ、大事なのはお互いの相性です!」

苗木「舞園さん……うん、そうだね。身長なんて関係ない」

霧切「なら、私と……」

苗木「うん! 改めて朝日奈さんにプロポーズしてくるよ!」

舞園「えっ?」

苗木「えっ?」

霧切「ど、どうしてそうなるのかしら?」

苗木「だって、大事なのはお互いの相性なんでしょ? なら、ボクと朝日奈さんで問題ないよ」

舞園「あ、相性がいい人なら他にもいると思いますよ!例えば、わた……」

苗木「ほら、さっきも言ったけど朝日奈さんって裏表のない性格でしょ? 【だからきっと、結婚しても良い関係を結べるよ!】」
セレス「それは違いますわ!」

苗木「……えっ?」

セレス「苗木くん、あなたは一つ勘違いをしてますわ」

苗木「か、勘違い?」

セレス「 確かにあなたの言う通り朝日奈さんは裏表のない方です」

苗木「それなら、なんで……」

セレス「しかし、裏表のないという事は、本心を剥き出しにしているという事。素晴らしい事ではありますが、同時に互いの衝突も多くなりますわ」

苗木「な、なるほど……」

セレス「本心をさらけ出す事は大切ではあります。しかし、互いに正しい距離を保つ事こそが、夫婦円満の秘訣だとわたくしは思いますわ」

苗木「うーん、そう言われると確かに……」

苗木「じゃあ、ボクが朝日奈さんとの距離を正しく取ればいいんだよね?」

セレス「は?」

苗木「えっ?」

セレス「はあ……」

苗木「えっ、ち、違ったかな?」

セレス「よろしいですか? 苗木くん、相手との正しい距離を保ち続けるのがどれだけ難しい事か理解してますか?」

苗木「そ、それは……」

セレス「しかも、結婚となると相手は生涯共にしなけばなりません。そのような相手と、本当に正しい距離をずっと保つ事ができますか?」

苗木「そ、それじゃあどうすれば……」

セレス「何、簡単な事ですわ」

苗木「……?」

セレス「苗木と、正しい距離を保てる相手と結婚すれば良いのです。つまり、わた……」
霧切「私と結婚するしかないわね、苗木くん」

セレス「チッ!」

苗木「き、霧切さん……!?」

霧切「苗木くん、よく考えてみて。私はあなたの考えを推理し、理解し導く」

霧切「そしてあなたもまた、私に対して優しく接し、手を差し伸ばしてくれる」

苗木「ぼ、ボクはそんな大したことは……」

霧切「この互いに補完しあった関係は既に夫婦と呼べないかしら?」

苗木「えっ?」

セレス「ねーよ」

舞園「寝言は寝て言って下さい」

霧切「何を驚いているの? 私たちは式こそ挙げてないものの、関係は既に夫婦として出来上がっているわ」

苗木「そ、そうなの……?」

霧切「ええ。だから後は式を挙げるだけ。なのに、いきなり朝日奈さんと結婚したいなんていいだしたから驚いたわ」

苗木「え、えっと……」

霧切「苗木くんの癖に浮気なんて生意気よ。今回は初めてだったから特別に許してあげるわ」

苗木「ご、ごめん……」

霧切「分かればいいのよ。さて、式の話だけど来月とか……」

舞園「ちょっと待って下さい!」

寝る

                 ,.:-‐‐‐‐‐‐‐‐「ニニ( /. ',          |
                  /       | |  〉   ',___    ノ
                   /        |  ', {    |    `ヽ、/
               /,        レ-ァ i  λ  \     .|
             ノ. ,' 〉^^^^i     < ',L__ヽ=i_∪'ー- 、__|
     | |     ,-/i  ,'  ) け (     ヽ。/ ̄〉     |
     | |-‐' "フ/    |  ) い (      /-‐'"´ ィ     |
   /| |  / /     |  ). さ (      / _ ./.|     .|
  /     |ブ     .|  ). つ (    / '-/  | ノノ^^^^^^^^^^i
  .|. ,' ブ  {チュ ブ  .|  ). を (  /   /    |  )     そ (
  | ,'  ッ   ヽ  チュ  |  ) : (_,-‐,..--.',     .|  )  け  .こ (
  /  ヌ   ブ `ヽ、   |  ). ッ ( /   'i  ,-‐-┴O.\  っ  の (
. /   チュ   チュ|コ||||llllliコ|  )  ( /    |/  ,:-'"´_,...,_\.   キ (
/           | /   |  ⌒^i^_|  i    ヽ、 `y´   `'i )  ミ (
---- 、_   .|/     _,,|    .|-| /´ , =-、 }  /ヽ    ノ)   ッ (
       \ |    /::/i    _| |./  トこソ } レ',-、|  / )   !! (
         \_  i:::|. ',-二二-」、i  └'‐‐J  |こソ|/‐‐'"ヽ<   」
           i`'┴'-:,_〉'´ -  \   ┌-.、⊆) ̄J.( ̄ヽ| | |ヽ/V
            i  // /∩i^i_ ',ヽ、_|≧/   .ノ_)U|_UU
             i /_/ ⊂   つ」  `>‐<´
             i   し' (/ ̄

                     , =-、
                ,'´三`::"三ミi_,,...,,             結婚なんか誰がするか・・・・!
             , ='"彡 ミ::::彡 ミ::::::::::::i

             ,'((,、シノイ{{ }} ヽ)) )ミミ::::::::ヽ、         食わしてくざんすよ・・・・・・!
            ヾ巛、ノ{{ )}( ./)} {(ヾミ、 ))))       結婚したら生涯・・・・!
             ))), =-、ヽ)/ , "⌒ii》,-、//

            ,i'"リ|{  ヽ  /    }|r i.i《(ヽ       いずれ必ず・・・・ 飽きる女を・・・・!
            ヾ《〈| ト、 o|u |o  ノ''|:ト!|ミ:(
             )リ||v゙=|  |゙="u !|ンミ:::::)         しかも年々・・・・
             ((( !ト,,_⊂、_, ⊃_,.._r ト、ミ::::(       相手の態度はでかくなるという・・・・
             ヾ))|.!rェェェェェェエi |.| ヽミ::::ヽ、     オマケつきざんす・・・! アホくさっ・・・・!

              >;;!||-― y―‐-| !|  iヘ;;;_ヽ

           ,. - ''" !!ヒェェェェェェ」.!|  /|  |   ̄``. わけのわからぬ制度ざんすよ
          /|_,,. ‐ ''"ヽ二三三二 ノ./::i  | ̄r 、`゙゙゙ あれは・・・・!
.  .,''''つ/)  /  |     /  /ヽ  ./::::::i  i ヽ ! !(,ヽ
. / ///ノ´)/  |     /  /:::::ヽ/::::::::::i / )ト .| | | | i
. 〈 Y ∠//,' )  |     /  /::::::/ヽ;:::::::::i〈 〈 .| | | |/ ./

>>65から

霧切「あら、どうしたのかしら?」

舞園「どうしたのかしら? じゃ有りません! 【勝手に話を進めないで下さい霧切さん!】」
霧切「それは違うわ、舞園さん」

舞園「はい? 何が違うんですか?」

霧切「今の私は霧切響子じゃない。既に苗木響子よ!」キリッ

苗木「えー……」

セレス「あらあら、あなたでもつまらない冗談を口にするのですね、き、り、ぎ、り、さん?」

舞園「はあ、霧切さんはどうやら既に少し錯乱してるようですね。とりあえず、一度話を戻しましょうか」

霧切「何を言っているの? 話なら既に終わっているわ。後は私たち二人で決める事よ。安心しなさい。ちゃんと式には呼んであげるわ」キリッ

セレス「苗木くん、よろしいですか? 結婚というのは互いに正しい距離を保てる相手こそが、相応しいのです」

苗木「う、うん……」

セレス「ですから、苗木くんの考えを読む事ができる超高校級のギャンブラーであるわたく……」
舞園「私ですね、苗木くん!」

セレス「この腐れ枕がアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

苗木「お、落ち着きなよ、セレスさん……」

舞園「もうっ、下品な事を言う人ですね。苗木くんは、そんな方と結婚するのは嫌ですよね?」

苗木「べ、別にセレスさんは下品じゃないと、思うよ」

セレス「なら苗木くんはわたくしと結婚して……」
舞園「まあ、それは置いておきましょう。とにかく! 苗木くんと相性がいいのはわたくです!」

セレス「チッ!!」

苗木「た、確かに舞園さんは優しい人だし、素敵だけど……流石にアイドルと結婚はできないよ」

舞園「どうしてですか?」

苗木「ど、どうしてって……アイドルが異性と一緒に居るだけでスキャンダルになるのに、結婚なんて……」

舞園「それの何処が私と結婚できない理由になるんですか?」

苗木「ま、舞園さんはトップアイドルなんだよ? そんな事をすれば……」

舞園「トップアイドルの座から転落する、ですか? それは違います!」

苗木「えっ?」

舞園「苗木くん、私を誰だと思っているのですか?」

苗木「ど、どういう意味?」

舞園「本当のトップアイドルなら、結婚なんかでその座から落ちる事なんて、有りません!」

苗木「さ、流石は超高校級のアイドル、だね……」

舞園「そうです! だから結婚しましょう苗木くん!」

苗木「でも……」

舞園「悩む必要なんて有りません!【 私と結婚できない理由はもうない筈です!】」
霧切「それは違うわ!」

苗木「き、霧切さん……」

霧切「苗木くん、言った筈よ? 浮気は許さないって」

苗木「いや、そもそもボクとキミは付き合ってすら……」

霧切「言い訳は止めなさい!」

苗木「ご、ごめん……」

舞園「錯乱してる人は黙っていて下さい!」

霧切「人の夫が誑かされてるのを見て黙ってられると思っているの?」

セレス「そもそも夫婦ですらないのに何を寝言を……」

霧切「安広さん、あなたは黙ってて」

セレス「その名前で呼ぶんじゃねーよビチクソがアアアアアアアアアアアア!!」

苗木「……」

苗木(うーん、少なくとも彼女たちと結婚は無理かなあ……)

苗木(でも、そうなるとやっぱり結婚は朝日奈さん? でもセレスさんが言った事も一理あるし……)

苗木「うーん……」

チョンチョン

苗木「んっ?」

戦刃「苗木くん、何か悩み事……?」

苗木「戦刃さん……うん、ちょっとね」

戦刃「……霧切さんたちは、なんで喧嘩してるの?」

苗木「さあ?」

戦刃「そう……」

苗木「……」

戦刃「……」

苗木(戦刃さん、相変わらず大人しい人だな……)

苗木(んっ? 待てよ……)

苗木(ずっと朝日奈さんに焦点を当ててたけど、戦刃さんでもいいんじゃないか?)

苗木(この際、身長差は諦めるけど……少し聞いてみるか)

苗木「ねえ、戦刃さん」

戦刃「なに?」

苗木「戦刃さん……うん、ちょっとね」

戦刃「……霧切さんたちは、なんで喧嘩してるの?」

苗木「さあ?」

戦刃「そう……」

苗木「……」

戦刃「……」

苗木(戦刃さん、相変わらず大人しい人だな……)

苗木(んっ? 待てよ……)

苗木(ずっと朝日奈さんに焦点を当ててたけど、戦刃さんでもいいんじゃないか?)

苗木(この際、身長差は諦めるけど……少し聞いてみるか)

苗木「ねえ、戦刃さん」

戦刃「なに?」

苗木「戦刃さんって料理とか、できる?」

戦刃「えっ?」

苗木「あっ、いや、何となく聞いてみただけだよ」

戦刃「サバイバルなら……お魚焼いたり、カエルとか、ウサギも」

苗木「そっ、そっか」

戦刃「……?」

苗木(まあ、家事ならボクがやればいいか。それに戦刃さんが側に居てくれるだけで安心だし……)

苗木「ねえ、戦刃さん。その、結婚とか興味ある?」

戦刃「!?」

戦刃「え、えっと……」

苗木「ご、ごめん、変な質問して……でも、気になるんだ」

戦刃「け、結婚って、その、お嫁さんになる事、だよね……?」

苗木「うん、そうだよ」

戦刃「私には無理、かな……」

苗木「ど、どうして……?」

戦刃「だって、私には戦う事したできないし、盾子ちゃんみたいに可愛くないし……【結婚なんてできないよ】」

苗木「それは違うよ!」

戦刃「えっ?」

苗木「戦刃が戦う事しかできないなんてないよ! それに江ノ島さんと比べても、キミも十分に可愛いじゃないか!」

戦刃「か、かわ……うぅ」

戦刃「ほ、本当に……? お、お嫁さんに、なれる、かな」

苗木「もちろんだよ!」

戦刃「はぅ……」

苗木(よし、行ける! このまま一気に畳み掛けて結婚だ!)

苗木「戦刃さん、キミが結婚できない理由なんてない! それをボクが今から証明してみせるよ!」

戦刃「な、苗木くん……」

苗木「よく聞いて、戦刃さん。ボクはキミが……」
江ノ島「あっ、いたいた! 残姉ちゃん!」

戦刃「えっ、じゅ、盾子ちゃん……!?」

江ノ島「ったく、どこほっつき歩いてるのよ、残姉ちゃんは。私様との約束を忘れてこんな所で油売ってるなんてどこまで残念なのよ」グイッ

戦刃「……」

江ノ島「あ、あれ? 残姉ちゃん……?」

戦刃「……」ガサゴソ

江ノ島「はあ、全く実の妹に向けていきなりロケットランチャーをとりだすなんて本当に残念ですね、あなたは……ちょ、お姉ちゃん!? マジで何なの!? 何でそんなおこなの?」

戦刃「盾子ちゃん……」

江ノ島「な、なに? もしかしてこの前レーション勝手に食べたのまだ怒ってるの? どこまで残ね」

戦刃「盾子ちゃん!」

江ノ島「はい」

戦刃「今の盾子ちゃん、私以上に、残念」ガチャ

江ノ島「いやアアアア!! 残姉に残念とか言われるなんて絶望的すぎいぃいいいい!!」ダッダダダダダダダ

戦刃「逃がさない……!」ダッダダダダダダダ


苗木「……行っちゃった」

苗木(よし、今の感じだと戦刃さんとはいけそうかな)

苗木「……あっ」

苗木(しまった……戦刃さんと結婚するのはいいけど、オプションで江ノ島さんがボクの義妹になるんだよなあ)

苗木(きっついなあ……)

苗木「それならいっそのこと戦刃さんと駆け落ちでも……」

霧切「誰と、駆け落ちするのかさら?」

苗木「それはもちろん、ボクの嫁最有力候補の戦刃さんに……」

霧切「へぇ……」

苗木「あっ……」

苗木「き、霧切さん……は、話し合いはもう終わったの?」

霧切「ええ、大分譲歩はしたけど」

舞園「でもこれが皆さんが一番納得のいく結果ですよね?」

セレス「そもそも、霧切さんは苗木くんと特別な関係ですらないのに譲歩なんて可笑しな話ですわ」

苗木「えっと、話か見えないんだけど……」

霧切「まあ、戦刃さんと浮気をしようと必死だった苗木くんは、どうせさっきの話を聞いてなかったからだろうし、説明してあげるわ」

苗木(そもそも浮気呼ばわりされるのがおかしいよね)

霧切「いい、苗木くん。非常に不本意なのだけど、私たちは苗木くんを分かち合う事に決めたわ」

苗木「えっ?」

舞園「つまりですね、苗木くんは月、火が霧切さんの夫、水、木がセレスさん、残りの金、土、日が私の夫になるんです」

苗木「なっ……」

セレス「お待ちなさい! 舞園さん、それはおかしいですわ!」

苗木「そうだよ、セレスさんの言うとおりだ! おかしいよ、こんな……」

セレス「日曜日は毎週交代していくと決めた筈。確かに第一週目は舞園さんが日曜日を担当しますが、その言い方では苗木くんが勘違いしますわ」

苗木「」

霧切「ごめんなさい、苗木くん。本来ならずっと私の夫になる筈だったのに……でも、彼女たちを納得させるにはこうするした方法がなかったの」

苗木「」

舞園「霧切さん、いい加減その本妻のような態度は止めてくれまえんか?」

霧切「ようなもなにも、事実よ」キリ

セレス「ふん、まあいいですわ。今だけでも本妻の気分を味わっておくといいですわ。夫婦性活が始まった時、自分だどれだけ愚かだったか身を持って知ることでしょう」

舞園「全くです」

霧切「安心して、苗木くん。この二人の毒牙からきっと守ってみせるから」

苗木(えっ、なんなの、これ……)

――――
――

苗木「はあ……なんだか、とんでもない事に巻き込まれたな」

苗木(とりあえず、あの場はなんとか逃げてきたけど、これからどうしよう……)

苗木(悪い人たちじゃないし、寧ろ友人としては好きだけど、彼女たちと結婚する気はないんだよなぁ……こんな事、聞かれたら桑田クン辺りに怒られそうだけど)

苗木(なんとかして、霧切さんたちにはボクを諦めてもらわないと……その為にはやっぱり、ボク自身が彼女たち以外の女性と先に結婚しなきゃ)

苗木「はあ……気が重いなあ。戦刃さんをとりあえず見つけないと」

朝比奈「あっ、苗木じゃん!」

苗木「朝比奈さん……」

朝比奈「どしたの? なんだか元気なさそうだけど、ドーナッツ食べる?」

苗木「あはは、気持ちだけ受け取っておくよ」

苗木「はあ……」

朝比奈「う~ん、今日の苗木はなんだか本当に元気ないね」

苗木「色々とあってさ」

朝比奈「何か悩み事?」

苗木「まあ、そんな感じかな」

朝比奈「それなら一人で悩んじゃダメだよ! あたしやさくらちゃんならにいつでも相談してよ」

苗木「あはは、ありがとう。朝比奈さん」

苗木(本当に、朝比奈さんはいい人だな……戦刃さんも見つからないし、当初の予定通り、勧めてみようかな)

苗木「じゃあさ、朝比奈さんに少し話を聞いて貰おうかな」

朝比奈「うんうん! 力になれるか分からないけど、絶対そのほうがいいよ! 話してみて」

苗木「うん。結婚に関しての事なんだけど……」

朝比奈「け、けけけけ結婚!? 苗木、あんた結婚するの!?」

苗木「お、落ち着いて、朝比奈さん」

朝比奈「う、うん、ごめん。でもいきなり結婚なんて言い出したら驚くよ」

苗木「あはは、それもそうだね。続けるよ?」

朝比奈「う、うん」

苗木「ちょっと説明しにくいんだけど、ボク近々結婚しないと大変な事になるんだ」

朝比奈「た、大変なことって?」

苗木「簡単に言うと人生の墓場に三足草鞋で突っ込むことになるんだ」

朝比奈「よ、よく分からないけど、とにかく大変なんだね」

苗木「うん……でも、結婚なんていきなりしろって言われても難しいし」

朝比奈「う~ん、確かに」

苗木「それに、【ボクみたいな人と結婚してくれる人なんていないよ】」
朝比奈「それは違うよ!」

苗木「えっ……?」

朝比奈「苗木、もっと自分に自身をもたないよダメだよ!」

苗木「朝比奈さん……」

朝比奈「それに苗木と結婚してくれる人ならいるよ!」

苗木「えっ、それって……」

朝比奈「ほら、霧切ちゃんとか舞園ちゃんとか!」

苗木「……」

苗木「あ、あはは、もう朝比奈さんったら、冗談が上手いね」

朝比奈「冗談じゃないよ! きっと霧切ちゃんも舞園ちゃんも苗木のこと嫌いじゃない筈だよ!」

苗木「嫌いどころか重過ぎるくらいの愛されてるけどさ……」ボソ

朝比奈「えっ?」

苗木「ううん、なんでもないよ。でも、やっぱりあの二人じゃボクなんかじゃ釣合わないよ」

朝比奈「もう、そんなことないって」

苗木(う~ん、このままじゃ霧切さんたちと結婚させられそうだな……どうしよう)

苗木(こうなったら強行手段だ!)

苗木「あ、あのさ、朝比奈さん」

朝比奈「なあに?」

苗木「もし、もしもだよ? 仮に、の話なんだけど……」

朝比奈「……?」

苗木「もしボクがキミに告白したら、結婚してくれる?」

朝比奈「えっ……?」

朝比奈「あ、あはは、苗木って冗談上手いね」

苗木「ねえ、答えてよ」

朝比奈「え、えっと……その」

苗木「朝比奈さん」

朝比奈「わ、わたしは……苗木なら、その……」

苗木「……」

戦刃「……」

苗木「……えっ」

朝比奈「い、い、戦刃ちゃん!? ど、どうしたの?」

戦刃「苗木くんに、用があったから……」

朝比奈「そ、そうだったんだ! あはは、なら邪魔しちゃ悪いし、あたしは行くね! じゃあね、戦刃ちゃん! 苗木!」タッタタタタタタ

苗木「あっ、ま、待ってよ! 朝比奈さ」

ガシ!

戦刃「……」

苗木「え、えっと、い、戦刃さん……?」

戦刃「苗木くん」

苗木「な、なにかな……?」

戦刃「なんで、朝比奈さんにあんな事を言ったの……?」

苗木「え、えっとどこから聞いていたのか知らないけど、あれはもしもの話だよ! あはは……」

戦刃「そう……」

苗木「えっと、そろそろ離してくれないかな? それか掴む場所を変えてよ。ボクの頭のあほ毛を掴むのは止めて……お願い」

戦刃「……」

苗木「だ、大丈夫だお、ボクは逃げないから……」

戦刃「……」ギュ

苗木「いだだっ! は、はげる! はげちゃう!」

苗木「お、お願い戦刃さん! は、離して!」

パッ

苗木「はあ、はあ……た、助かった」

戦刃「苗木くん」ムギュ

苗木「い、戦刃さん!?」

戦刃「浮気は、ダメ……」

苗木「う、うん。そうだね、浮気はいけないことだよ……」

戦刃「うん、だから、浮気しないように、こうしておくの……」ムギュ

苗木「あっ……」

苗木(い、戦刃さんのささやかな胸が当たって……)

苗木(でも、マズイな……この状態が続くとボクの苗木クンも大木クンになってしまう)

苗木「あ、あのさ、戦刃さん。そろそろ離してくれないかな? その、恥ずかしいし……」

戦刃「さっきの続き……」

苗木「えっ……?」

戦刃「苗木くんが、私に言おうとした言葉の続きを言ってくれたら、離すよ」

苗木(さっきのって……よし! 好都合だ! さっきは邪魔が入ったけどこのままプロポーズすればボクは結婚できる!!)

苗木「……うん、いいよ」

苗木「さっきみたいに江ノ島さんに邪魔されたら堪らないからさ、彼女はもういいの? 何か約束していたみたいだけど」

戦刃「うん、大丈夫。盾子ちゃんなら、ほらあそこに……」

苗木「……え?」

江ノ島「」

苗木「うわぁ……あ、あれ、生きてるの? 真っ黒こげだけど円」

戦刃「盾子ちゃん、丈夫な子だから大丈夫」

苗木「そ、そっか……」

苗木(まあ、何はともあれ、これで邪魔はなくなった。後は行動だけだ!)

苗木「じゃあ、さっきの続き、言うね」

戦刃「うんっ」

苗木「もう一度言うよ、戦刃さん。ボクはキミが好きだ!」

戦刃「……!!」

苗木「だから、ボクと……結婚してください!!」

戦刃「嬉しい……もちろんだよ、苗木くん」

苗木(やったッ!勝ったッ!婚活、完!!)

戦刃「やったよ! 霧切さん、舞園さん、セレスさん!」

苗木「えっ」

霧切「ふふ、苗木くんにしては中々悪くないプロポーズね」

舞園「すっごくドキドキしました!」

セレス「ふふ、では次は我々の番ですわね」

苗木「えっ、えッ……?」

苗木「い、一体、ナニが……」

霧切「戦刃さんが苗木くんを狙っていたのは前々から知っていたわ」

苗木「えっ……」

霧切「今までなら敵対していたでしょうけど、今は違う。私たちの目的は同じなら、彼女もまた私たちの同士よ」

苗木「ど、どういう意味?」

セレス「あら、まだわからないのですか?」

苗木「全然分からないよ! なんで!? ボクは戦刃さんと結婚したんだ! そうでしょ? 戦刃さん!?」

戦刃「うん……だからこれで、私も、霧切さんたちの仲間入り」

苗木「違う! 【ボクは霧切さんたちに告白なんて……】」
舞園「それは違うます!」

苗木「舞園、さん……?」

舞園「苗木くん、霧切さんが言った言葉を覚えていますか? 私たちは既に夫婦なんですよ」

苗木「意味が分からないよ! そんな訳、ある筈が……」

霧切『何を驚いているの? 私たちは式こそ挙げてないものの、関係は既に夫婦として出来上がっているわ』

苗木「ま、まさか……」

霧切「ふふ、思い出したかしら?」

セレス「あの言葉、あれは霧切さんだけではなく、【私たち二人にも当てはまることですわ】」
苗木「それはちが」
舞園「その言葉に賛成です!!」

苗木「くッ!」

舞園「苗木くん、よく考えてみてください。私は苗木くんの助手です。助手とはお手伝いをすこことです。つまりパートナーです。人生のパートナーは妻です。つまり私は苗木くんの妻だったんです!」

苗木「そ、そんなの! むちゃくちゃだ! 横暴だ! 通る筈がない! そんな意見!」

舞園「いいえ、全て真実です」

苗木「そ、そんな……」

セレス「苗木くん、諦めも時には重要ですわよ?」

苗木「セレスさん! そうだ!セレスさんは違う筈だ! 【ボクとキミが夫婦な訳がない!】」
セレス「それは違いますわ!」

苗木「なッ……」

セレス「よろしいですか? 苗木くん。そもそもあなたは最初にわたくしがギャンブラー故に家庭が崩壊することを危惧していましたが、それがそもそもの間違いなのです」

苗木「間違いじゃないよ! 確かにセレスさんは超高校級のギャンブラーだ。でもいくら凄くたって必ず負ける時が来る筈だよ!」

セレス「ええ、確かに。わたくしはこの才能に絶対的な自信がありますが、今後全て不敗を約束はできませんわ」

苗木「それなら……!」

セレス「そこで苗木くん。あなたの超高校級の幸運が必要となるのです」

セレス「超高校級の幸運とギャンブラー、その二つが合わされば最早、敵なし、ですわ」

苗木「それなら狛枝クンの方が……」

セレス「誰があんな変態と結婚なんてするかビチクソがぁあああああ!!」

苗木「ご、ごめん……」

セレス「ごほん……とにかく、才能的に見ればあなたとわたくしの相性はベストマッチしてますわ。もちろん、才能だけでなく、あなたがわたくしのナイトとしての素質を持っているのも大きな要因ですわ」

苗木「ええっと、そんなの過大評価だよ……」

セレス「とにかく! あなたはわたくしのナイトであり、そしてわたくしの才能を一番活かす才能を持っている。これは運命ですわ。だから苗木くん。あなたはわたくしの傍に居ることを既に生を受けた時から決まっているのです」

苗木「そんな……」

苗木(どうして、こんな事に……ボクはただ、朝日奈さんと結婚したかっただけなのに……)

霧切「ねえ、苗木くん。何がそんなに不服なの?」

苗木「えっ……?」

霧切「まだ、朝日奈さんと結婚したなんて思っているの?」

苗木「そ、それは……」

苗木(そんな事、いま言ったら殺されるに決まってるよ)

霧切「なら、彼女とも結婚すればいいじゃない」

苗木「えっ?」

苗木「な、ナニを言って……」

舞園「もともと、一週間を3人で分けていましたが、4人以上となると分けづらくなるんですよね」

セレス「それなら朝日奈さんを加えた5人で月から金までローテーションを組み、土日は全員で妻になればよろしいのですよ」

苗木「そ、そんな事、許される筈が……」

霧切「では聞くけど、誰が許してくれないのかしら?」

苗木「えっ?」

霧切「私たち三人は既に世間体なんて気にしてないわ」

セレス「まあ、霧切さんの話を受け入れた時点で世間体も何も有りませんわね」

舞園「後は苗木くんが決める事です!」

苗木「ボクは……」

戦刃「……」ギュッ

苗木「! 戦刃さん……」

戦刃「……苗木くんが決めた事なら、私は」

苗木「……」

苗木「うん、決めたよ。ボクは……」

――――
――

苗木「ふぅ、それじゃあ今日はここで泊まろうか」

戦刃「うん……ねえ、苗木くん」

苗木「どうしたの? 戦刃さん」

戦刃「今さらだけど、その、駆け落ちみたい、だね」

苗木「あはは、みたいじゃないよ。駆け落ちだよ」

戦刃「そう……」

苗木「うん……」

戦刃「苗木くんは、良かったの?」

苗木「何が?」

戦刃「……その、私で」

苗木「もちろんだよ。言ったでしょ? キミが好きだって」ギュッ

戦刃「うん……でも、霧切さんたちは……」

苗木「浮気は良くないって、戦刃さんも言ったでしょ?」

戦刃「うん……」

苗木「ならきっと、これが正しいんだよ」

戦刃「朝日奈さんは、いいの……?」

苗木「確かに、最初は結婚するなら朝日奈さんかなって思ってたけど……」

戦刃「む……」ギュッ

苗木「ちょ、ちょっと怒らないでよ、後、アホ毛掴むのは止めて!」

戦刃「ごめんなさい……」

苗木「もう、最後まで聞いてよ。最初は朝日奈さんがいいかなって思ったけど、今となっては戦刃さん以外、考えられないよ」

戦刃「苗木くん……」

苗木「でも、結局未だに式を挙げずに駆け落ち生活を続けてるのは、悪いと思ってるよ。ごめん」

戦刃「超高校級の探偵の霧切さんから逃げてるんだから、仕方ないよ」

苗木「でも、いつか必ず式は挙げる。それだけは約束するよ」

戦刃「その時は盾子ちゃんも、呼んでいい?」

苗木「もちろんだよ。もう彼女もボクの義妹だからね」

戦刃「よかった……」

苗木(霧切さんたちの追手から逃れ、結婚式を挙げるなんて、とても難しいと思う)

苗木(その上、あの江ノ島さんを式に呼ぶんだ。絶対に平穏には終わらないだろうな)

苗木(でも……)

戦刃「苗木くん」

苗木「なに、戦刃さん」

戦刃「これからもずっと一緒、だよね」

苗木「もちろんだよ」

苗木(ボクは彼女と一緒に希望の未来に進んでいくんだ、きっと大丈夫だよ)

終里

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月01日 (水) 16:38:17   ID: BMAQ_QVj

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