伊織「もうあんたなんて大嫌いよ!」 (34)
伊織「痛っ!もぅ真、またぶつかったじゃない!」
真「なにをー!今のは伊織の立ち位置が悪かったんだろ!」
伊織「なに言ってるのよ!そのテディベアが大きいから当たるのよ!なんでそんなもの選んできたの!」
真「ボクの大切なぬいぐるみと言えばテディベアに決まってるだろ!」
伊織「そんなの知らないわよ!」
P「まぁまぁ落着け二人とも。今度のライブは全員でやるんだぞ、そんないがみ合ってどうする」
P「このライブは二人がクロスするところが大事な見せ場なんだぞ。もっと息を合わせて移動してくれ」
伊織「息を合わせようにも、この熊のぬいぐるみが邪魔なのよ!そもそもぬいぐるみを持ちながらライブっておかしいじゃない!」
春香「まぁまぁ落ち着いて伊織。熊のぬいぐるみだってかわいいじゃない」
伊織「春香は黙ってて!あとそのぬいぐるみかわいくないのよ!」
のワの「」
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春香「かわいいじゃないこのぬいぐるみ!ファンの人が作ってくれたんだよこれ!侮辱は許さないよ!」
伊織「まったく似てないわよそれ!...いや、誤魔化すときの春香に似てるかも...」
春香「ちょ、ちょっとそれどういう意味!?春香さんは誤魔化すときこんな顔してませんよ!」
伊織「してるわよ!あと、いま自分でそのぬいぐるみのこと侮辱してなかった!?」
のワの;「は、春香さんはそんなことしてませんよ!」
雪歩「春香ちゃんが喧嘩してどうするの...二人とも落ち着いて
春香・伊織「「雪歩は黙ってて!」」
雪歩「ううっひどいよぉ...」
P「雪歩の言うとおりだ。落着け二人とも」
春香「プロデューサーさん...」
雪歩「な、なによ...なんか文句あるわけ?」
雪歩(私のときと態度が違うよぅ...)
P「春香がイライラしてもしょうがないし、今はライブ優先だろう。三か月後にはライブだ。まだ他にもやることはいっぱいあるんだ。こんなところで喧嘩してる暇はないだろう?あと春香、そのぬいぐるみはやめとけ」
春香「えっ」
伊織「まぁ、そうよね。あんたの言うとおりだわ...じゃあ真、もう一回さっきのところやるわよ。ヘマしないでよね」
真「ふん、そっちこそ」
小鳥「なんであの二人はすぐ喧嘩するんでしょうねぇ...」
P「仲が悪いというわけではないんですが、相性が悪いんでしょうかね...」
貴音「仲が良いほど喧嘩するものですよ、あなた様」
P「貴音...」
貴音「あの二人は素直になれないだけです。いまはそっと見守ってあげましょう」
P「そうだな、貴音の言うとおりだ」
小鳥「さすが大人ね貴音ちゃん。年下なのに言葉の重みが全然違うわ...いえ、わたくしピッチピチの十代ですし?お肌ツルツルですし?」
P「無理しないで事務所に帰って仕事してください」
すみません
雪歩「な、なによ...なんか文句あるわけ?」
↓
伊織「な、なによ...なんか文句あるわけ?」
です。申し訳ない...
―――――――――――――――7
P「はいそこでクロス!」
真「はいっ!」
伊織「んっ!」
真「あっ」スポーン
ゴスッ
伊織「......」
雪歩(ま、真ちゃんのテディベアが伊織ちゃんの頭に...!)
小鳥「クリーンヒットだぜ...!」
P(まだこいついたのかよ...)
真「あぁっと...い、伊織?ごめん手がすべって...」
伊織「...まだぶつかっただけなら許せるわ。でもあんたねぇ、これ...」
伊織「なんでこのテディベアこんなに重いのよ!おかしいじゃない!」
真「あっごめん、仕込んでるの外し忘れてた」
伊織「仕込んでるってあんた、はぁ!?意味わからない!なんでぬいぐるみに仕込んでるのよ!」
真「そっちのほうが色々と便利で...」
伊織「便利ってなによ!そもそもこんな可愛くもの持ってくるんじゃないわよ!」ポイッ
ドスン!
春香(ドスンって音した!)
小鳥「重りを外したか...ついに奴の本気が見られるぞ」
P「うるせぇ鳥」
真「ああー!ボクのぬいぐるみが!...もう許さないぞ伊織!」
伊織「なんでよ!あんたが悪いじゃない!」
真「だからって投げることはないだろ!それに可愛くないってどういうことだよ!」
伊織「真実を言ったまでよ!あと投げるのに一苦労したんだけどあれ!」
真「なにをー!だったら伊織のそのうさぎのぬいぐるみなんて春香のぬいぐるみと同レベルだよ!」
春香「えっ」
伊織「はぁ!?もういいわ、あんたが許さないなら私だって許さないわよ!」
伊織「もうあんたなんて大嫌いよ!」
カッ!
真「な、なんだ?眩し...」
伊織「なんか、目の前がぐにゃぐにゃして...」
ドサッ
――――――――――――――
伊織「ん...ここは...?」
伊織「事務所のソファ...?なんか体中が痛いわね...」
伊織「なんでもいいわ。早くレッスンに戻らなきゃ...私がいないと駄目なんだから...」サワッ
伊織「...あれっ?」サワサワッ
伊織「髪が短くなって...そんな!」
伊織「鏡はどこ!?この伊織ちゃんのキュートな髪が誰かに切られるわけが...」バッ
伊織「...え?この顔、私じゃない...これ...」
伊織「私の顔が、真になってる!!?」
伊織「顔だけじゃない...身体全身真に...どうなってるの...」
P「真の体と入れ替わったんだよ」
伊織「プロデューサー!これどういうことなの!説明して!」
P「俺だって突然すぎてよく分からないよ。急に部屋が光って、眩しくて目を閉じてたんだ。目を開けたら二人とも倒れてたんだ」
伊織「なにそれ...、二人ともってことは真も?」
P「ああ、そうだ。ついてきてくれ伊織。真と三人で話があるんだ。真はすでに呼んである」
伊織「う、うん...」
―――――――――――――
P「待たせたな真。じゃあ話を始めようか」
伊織(私の隣に私がいる...入れ替わったなんて信じたくないけど、信じるしかないようね)
真「......」
P「レッスン中になぜか分からないが、突然二人の体が入れ替わってしまった。このままでは仕事は難しいだろうし、三ヶ月後のライブにも影響が出てしまう」
P「原因はなんなのか、なにか心当たりはないか?」
伊織「あるわけないじゃない。なにがあったら体が入れ替わるのよ」
真「ボクにもありませんよ...」
伊織「案外真が投げたテディベアが原因じゃない?頭にぶつかった衝撃でーとか」
真「ッ、伊織おまえっ」
P「やめろ二人とも。伊織も煽るな」
伊織「......」
P「この状態が続くかもしれないから、明日のオフにしてもらうようなんとか交渉するよ」
伊織「ちょ、ちょっと待って!私は大丈夫よ!仕事だってできるわ!」
P「いま入れ替わった状態で、急に明日の仕事に対応するのは難しいだろう。そんな状態で無理はさせたくない」
伊織「......難しくなんかないわよ」ボソッ
P「親御さんには説明して...も無駄か。こんなこと信じるわけもないしな...」
P「すまないが今日は伊織は真の家に、真は伊織の家に帰ってくれ」
―――――――――――――
伊織「―――とかなんとか言っちゃって、無理なんかさせたくないなんて言ってたくせに、いきなり無理させちゃってるじゃない」
真「ははっそうだね...」
伊織「...少なくともあんたのせいじゃないわよ」
真「えっ?」
伊織「入れ替わったのはあんたのせいじゃないって言ってるの。なにか他に原因があるはずよ。それを探すの。早く見つけないとみんなにもっと迷惑がかかるわ」
真「伊織...」
伊織「なによ」
真「伊織って変に優しいとこあるよね」
伊織「変にってなによ!それに優しくしてなんかいないわ、当然のことを言ってるだけよ。少し重いテディベアが当たっただけで体が入れ替わるなんて、ありえなさすぎるもの」
真「なんだろう、伊織に優しくされたら少しドキッてしたよ」
伊織「それはあんたの体の見た目が男前すぎるからよ...」
真「...ねぇ、伊織。伊織はもう怒ってないの?」
伊織「レッスンのときのこと?私はいちいち根に持つタイプじゃないわ。もう水に流したわよ」
真「ごめんね、伊織。ボクが悪かったのに」
伊織「もう別にいいわよ。 ここでお別れね。あとは頑張りなさい」
真「伊織も、ね」
伊織「ここが真の家...?思った以上に小さいわね」
伊織(疑われないようにしないと...まぁこの伊織ちゃんの演技力にかかれば、普段の真以上に真になれるけど!)
伊織「ただいまー」
真一「おう、おかえり真」
伊織(これが真の父親ね...)
伊織「ただいま、お父様」
真一「ん?お父様?」
伊織(しまった!ついいつもの呼び方が出ちゃったわ!)
真一「真...おまえ...」
伊織(ばれた?いやそんなはずはないわ!こんなことでばれるなんてありえないもの!)
真一「『お父様』だなんて、いつからそんな女々しくなったんだ!?」
伊織「...え?」
真一「そんな少女マンガのお金持ちな女主人公みたいな言い方して!なにが『お父様☆』だ!久々に父さんが鍛えなおしてやる!庭に出なさい!」
伊織「そ、そんなー!」
伊織(今日は色々あったからあまり動きたくなかったのにー!)
真一(いまのはレコーダーに録っておきたかったなぁ)
真(伊織大丈夫かなぁ...お父さんになんかされてなければいいけど)
真「それより広すぎるぞこの家...こまったときはこのしんどうって人を呼べばいいって言ってたけど...」
真「まず伊織の部屋にいこう...今日は疲れた」
真(いつも以上に疲れてる気がする...伊織の体だからかな)
真「でも部屋がどこか分からないんだよなぁ...手当り次第当たるのも大変だし」
真「しんどうって人に案内してもらお」ポパピプペ
新堂「呼びましたか、お嬢様」
真「うわぁっ!びっくりした! えっと、コホン、ただいま、しんどう!」
新堂「?おかえりなさいませ、お嬢様」
真「いきなり悪いんだけどぉ、私の部屋まで連れてってくれないかしら?」クネクネ
新堂「よろしいですが...ご自分の部屋の場所くらいすでにお分かりのはずですが」
真「ほ、ほらあれよ!荷物重いし、なんだか疲れて度忘れしちゃったの。だからお願いできるかしら?」
新堂「......」
真(あ、あれ?もしかして疑われてる?)
新堂「...分かりました、お嬢様。私めが案内させていただきます」
真「え、ええ」
真(よかった、ばれてないみたいだ)
新堂「こちらです。どうぞ」ガチャ
真「ありがと、助かったわ」
新堂「またなにかあったらお呼びください」
真「じゃあ紅茶を一杯もらえるかしら?」
新堂「紅茶、ですか...わかりました。すぐお持ちします」バタン
真「...ふぅ、なんとか凌いだぞ。部屋までこれれば後は大丈夫だろう」
真「それよりなんで体が入れ替わったのか...原因を探さないと」
真「......」
真「......あぁもう、分からないよ!思い当たる節なんてないし、どうしたらいいんだよ!」
真「もう今日は寝よう、そうしよう」
ガチャ
新堂「お嬢様、飲み物をお持ちしました」
真「ありがと、しんどー」
新堂「...お嬢様、本当にお疲れなのですね。いつものオレンジジュースを飲まないなんて」
真「!?え、ええそうよ。今日は凄く疲れちゃったの。だからもう寝るわ」
新堂「お嬢様、なにかあったらこの新堂になんなりとお申し付けください。私はいつでもお嬢様の味方ですので。それではおやすみなさいませ、お嬢様」バタン
真「え、ええ。おやすみなさい、しんどー」
真(うわぁやっちゃった!お嬢様っぽい飲み物頼んどけばいいって思ってたけど、今思えば伊織の好物はオレンジジュースじゃないか!)
真(ばれてないから良かったけど...次からはオレンジジュースを頼もう)
真「...それにしても、いい執事さんがいるなぁ伊織。羨ましいなぁ...」
真「こんな暮らししてみたいなぁ...。そしていつかは白馬の王子様と...えへへ」
真一「ん、もうこんな時間か。今日はここまでだ。明日も仕事だろう。早く寝なさい」
伊織「はい、お父さん...おやすみなさい...」
ガチャ バタン
伊織「...はーっ!ありえないわ、あのお父さん!女の子になんてことするのよ!」
伊織「真がなんであんなにタフなのか、身をもって知ったわ...」
伊織「それにしても以外と普通ね...もっと気持ち悪いくらい乙女チックな部屋かと思ってたけど」
伊織「...枕元にあるテディベアにもなにか仕込んであるんじゃないでしょうね」
伊織「まぁ寝る前にやることやっちゃわないとね」
伊織「真の部屋の、た・ん・さ・く♪」
伊織「明日はオフだし、じっくりやらせてもらうわよ♪二ヒヒ♪...って、なによこんな時間に...メール?」
――――――――――――――
伊織「―――で、どういうこと、これは」
P「いやぁ、どういうことと言われましても...」
伊織「なんで仕事があるのよ!オフにするって言ってたじゃない!」
P「仕事は極限にまでなくしたんだが、やっぱり無理なものもあってだな...それに昨日大丈夫だって伊織言ってたじゃないか」
伊織「確かにそう言ったけど...もぅ、おかげで楽しいことができなかったじゃない」
真「楽しいこと?伊織なにそれ?」
伊織「あんたには関係ないわよ」
小鳥(傍から見てると面白いわね、これ)ピヨ
ガチャ
亜美「呼ばれて飛び出て」
真美「ジャジャジャジャ→ン!」
伊織「呼んでないわよ」
亜美「えっどうしたのまこちん...新しいキャラ作り?」
伊織「キャラ作りってなによ、キャラ作りって!あんたらも昨日いたんだから知ってるでしょ」
亜美「おっと、そんなことがあったねぃ」
真美「すっかり忘れていたYO」
伊織「あんたたちねぇ...」
P「伊織、今日お前は亜美と真美と一緒に仕事だ」
伊織「ええっこの二人と?」
真美「もしかして嫌なの、いおりーん?悲しくて真美、泣きそうだよー」
伊織「いやじゃないけど...」
亜美「わーい!さすが我らがいおりんだねー!」
真美「かわいいのう、かわいいのう!」
伊織「ちょっと、やめなさいよ!抱きつかないでっ!」
P「そうだぞ亜美、真美。それにいま伊織は真と入れ替わっているんだ。伊織のことは今日一日真と呼びなさい」
真美「わかってるよ兄ちゃん!」
亜美「よろしくいお...まこりん!」
真美「亜美ー、まこりんじゃなくて、まこちんだよ→」
伊織「不安だわ...」
真「あのー、ボクの仕事はなんですか?」
P「ああ、真は雪歩と貴音と一緒にグラビア撮影だ。律子がついてってくれるはずだ」
律子「そうよ伊織。はやくきなさい、二人とも待ってるんだから」
真「い、いおり?ボクが?」
P「真、いまのお前は伊織なんだぞ」
真「あぁ、そうでした!すいません、今行きます!」
律子「伊織はそんなんじゃないわよ、もっと伊織らしくしなさい!」
真「分かりました! はーい!水瀬伊織、いまいきまーす♪」
律子「そうそうその調子よ」
伊織「ちょっと律子、その調子ってどういうことよ!」
亜美「まこちんはモノマネの天才だね...いや、いまはいおちんかな?」
伊織「似てないわよ!」
P「あっちは真が心配だ...」
今夜はこれで終わりです。今日の夜続きを投下しようと思います。
あと豹変雪歩は忘れてください
―――――――――――――
現場監督「OKでーす、三人ともお疲れ様でしたー」
真「はーい、お疲れ様でーす!次回もまたよろしくお願いしまーす♪」
貴音「真は伊織の物真似が真に上手なのですね」
真「ボク的にはもっときゃぴきゃぴしてるほうが伊織っぽいと思うけどね!」
雪歩「それくらいがちょうどいいんじゃないかな...?」
貴音「ところで真、入れ替わりの原因はなにか分かりましたか?」
真「それがまだわからないんだ...大丈夫!ライブまでには間に合わせるよ!」
雪歩「ねぇ真ちゃん。 私たち、原因がなんだか分かった気がするの」
真「それ本当なの、雪歩!」
貴音「はい。原因が分かったとは言っても、不確かなものですが」
真「うん、それでもいいよ。教えてくれないかな?」
貴音「分かりました。......真と伊織の体が入れ替わった理由それは...」
真「それは...?」
貴音「...二人は喧嘩が多いからだと思います」
真「...うぇ? 冗談はよしてよ貴音」
貴音「いえ、本気です。まじです」
真「もし原因がそうだとしたら、なんで体が入れ替わったんだい?神様の罰とか?」
貴音「鋭いですね、真。その通りです」
真「うぇぇ? 神様がやったってそんな...非現実的だよ」
貴音「しかし入れ替わりなどと非現実的なことが起きているのですから、神様がいて、罰を与えたとしてもおかしくはないかと」
真「うーん、微妙だなぁ...そうだとしてもどうすれば元に戻れるのさ」
貴音「自分の犯した罪を贖罪すればいいのです」
真「贖罪って...伊織と喧嘩しないでもっと仲良くしろってこと?」
貴音「いえ、わたくしはもっと素直になればいいと思います。真と伊織は素直になれないから、普段から小さなことでいがみ合いをするのです」
真「素直になるって言われても...伊織はボクのこと、嫌いだと思うけどな」
貴音「そんなことはありません。伊織は真のことが大好きですよ」
真「大好きだなんてなんか照れるなー...」テレテレ
真「でも素直になれとは言っても、伊織はそんな素直な子じゃないからなぁ...そんなとこもかわいいんだけどね」
貴音「なので一つ、方法があります」
真「方法?なにかあるの貴音?」
貴音「はい。それでは雪歩殿、お願いします」
雪歩「わかりました、四条さん。 えっとね、真ちゃん。その方法はね、二人で『浪漫ある旅』をすることだよ!」
真「...旅、なの?雪歩」
雪歩「うん!旅とは冒険の連続。お互い助け合って共同生活してるうちに、おのずと心が開いて素直に話せるようになれるでしょう。ってさっき四条さんが言ってたよ!」
真「確かに仲良くなるきっかけにはなるとはおもうけど、仕事があるし時間がないと思うけど...」
貴音「この状況を打開するために、とあなた様も理解してくれると思います」
真「うーん...」
―――――――――――――
真「―――って貴音に言われたんだけどさ、伊織はどう思う?」
伊織「どう思うって言われても...」
真「ボクも最初はありえないと思ったけど、貴音の言うとおりなのかなって思うようになったんだ」
真「貴音は素直になれないだけって言ってくれたけど、ボクたち仲が悪いからね...」
伊織「...それ、本気で言ってるの?」
真「うん。じゃないとこんなことになるわけないさ」
伊織「...そう。分かったわ」
真「え?」
伊織「貴音は的外れなことを言うときもあるけど、案外当たってるときもあるしね。信じてみようじゃない」
真「伊織も信じるならボクも信じるよ。明日プロデューサーに話そう」
伊織「ううん、今から話すわ。早く伝えたほうがいいでしょ」
真「うん、わかった」
―――――――――――――
伊織「―――ということなんだけど」
P「それを信じろというのか...」
真「お願いしますプロデューサー!ボクたちを信じてください!」
P「とは言ってもな...伊織は本当はどう思うんだ?意味のないことだと思ってたりしないか?」
伊織「他に手がかりもないし、やれることはやっとくべきだと思うわ」
P「確かにそうだな...。...分かった。二人を信じよう」
真「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」
P「ああ。 それで、期間はどうする?三ヶ月後のライブのことも考えると一ヶ月あたりか」
伊織「一ヶ月半よ。丁度真の誕生日前日までね。明日からもう旅に出るわ」
真「あした!?」
P「一ヶ月半?ライブまでの期限の半分も使ってしまうけどいいのか?」
伊織「他に方法も思いつかないからこれに賭けることにしたの。無理だったらこのままライブに出るつもりでいるわ」
P「失敗した場合の覚悟はできているか?」
伊織「ええ」
P「真もか?」
真「...はい。急に言われて焦っちゃったけど、ボクも大丈夫です」
P「ならいいんだ。じゃあ明日から長期休暇をとれるように交渉してくるよ」
伊織「今度は失敗しないように気をつけなさいよね」
P「ああ、任せとけ。 なんだか伊織が格好良くみえるんだが、真の見た目のせいか?」
真「待ってください!それじゃあまるでボクの見た目が男みたいじゃないですか!」
伊織「まぁそれもあるわね」
真「伊織ものらないでよ!」
―――――――――――――
伊織「じゃあ、あとは頼むわね」
真「お先に失礼します、プロデューサー」
P「二人ともお疲れ様。明日は俺が港まで送っていくよ。家に帰ってゆっくり休んでくれ」
ガチャ バタン
真「ねぇ、伊織」
伊織「なに真」
真「もし一生体がこのままになったら、伊織はどうする?」
伊織「どうするもこうするも、このまま生きる以外ないじゃない」
真「ボク、怖いんだ。このままずっと伊織の体でいたら、いつか本当の自分の体のことを忘れちゃうんじゃないかって」
伊織「自分のもとの体まで忘れるってことは真自身が水瀬伊織そのものになるってことよ?それは自分は菊地真っていう意識まで変わってしまうってこと。そんなことありえると思う?」
真「でもずっと水瀬伊織として生活をしてたら、いつの間にかそうなるかもしれないよ。伊織も自分は菊地真と思うようになるかもしれない」
伊織「私がこの世界で一番カワイイ体を忘れるわけがないじゃない」
真「はは...さすが伊織だね...」
伊織「それにもし真が自分を忘れかけても、私が毎日会いにいくから忘れることは絶対ないわ。安心しなさい」
真「伊織...へへっ、伊織ってたまには良いこと言うよね」
伊織「なによたまにはって。いまの私なら世界中の女の子を虜にする自信があるわ」
真「...ねぇ、伊織」
伊織「今度はなに?」
真「なんだか足が疲れちゃったからおぶってくれないかな?」
伊織「はぁ?なんで私があんたをおぶらなきゃいけないわけ?」
真「いいじゃん、伊織だっていつもこんな感じだよ」
伊織「こんなに図々しくないわよ!......ないわよね」
真「ほら、早くぅ」
伊織「しょうがないわねっと」
真「ありがと伊織!」
伊織「感謝しなさいよ! それにしてもやっぱり私って軽いわね。真の体だから軽く感じるってのもあると思うけど」
真「伊織は前より重くなったとは思うけどそれでも軽いと思うよ」
伊織「前より重くなったって、あんたまさか!」
真「もちろん乗ったよ」ニコッ
伊織「ありえないわ...プライバシーくらい守りなさいよ」
真「でも伊織もボクの部屋漁ろうとしたでしょ」
伊織「なんのことかしら」
真「その反応は図星だね」
伊織「うるさいわね!降ろすわよ」
真「待って!もう少しだけ!」
―――――――――――――
P「二人とも準備はいいか?それじゃあ出発するぞ」
真「よろしくお願いします!」
伊織「あんたちゃんと休みは取れたんでしょうね」
P「今度こそバッチリ取れたぞ。今日から二人は一ヶ月半の長期休暇だ」
伊織「あんたもやればできるじゃない。褒めてあげるわ」
P「はは... 真の体で言われるとなんか違和感があるな...」
―――――――――――――
P「ここまででいいか?」
伊織「ええ。あとは新堂が船の前にいるはずだから」
P「しかし外国まで旅に出るとは流石だな... それじゃあ俺は仕事に戻るから、後は任せたぞ。なにかあったらすぐ連絡してくれ」
真「色々迷惑かけてすみませんプロデューサー...」
P「いいんだ。俺はお前たちのプロデューサーなんだからさ。なんでも言ってくれ」
真「プロデューサー...ありがとうございます!それじゃあ、いってきます!」
伊織「期待して待ってなさい。元のかわいい伊織ちゃんで帰ってくるんだから、それ相応のものは用意して出迎えなさいよ」
P「分かったよ。いってらっしゃい二人とも」
―――――――――――――
伊織「いたわ、新堂はあそこよ」
真「声かけないの?」
伊織「バッカね。今はあんたが伊織でしょう」
真「そうだった、つい忘れてたよ。おーい、しんどー!」
伊織「こんなこと言ってる間は自分を忘れることなんてないわよ...」
新堂「お待ちしておりました、お嬢様」
真「それじゃあよろしく頼むわね、しんどー」
新堂「わかりました。 その前に一つよろしいですかな?」
真「な、なに?」
新堂「不快ならすぐ下がりますので。 お嬢様は伊織お嬢様ではありませんね?」
真「!?」
新堂「しかし確かに伊織お嬢様だ。おそらくなにかあったのでしょう。なにがあったのか、私めに話すことはできませんか?」
伊織(どうするの、真...)
真「...ごめん、しんどー。いまは話せない。でも、いつか必ず話すわ。約束する。だから私を信じてくれないかしら」
新堂「お嬢様... 分かりました。私はいつでもお嬢様の味方になると誓った身です。だからお嬢様を信じて待つことにします」
真「うん。いってくるねしんどー」
新堂「いってらっしゃいませお嬢様。 お嬢様のことを頼みます、菊地殿」
伊織「わかりました。任せてください」
伊織「これでしばらくは日本とお別れになるわね」
真「事務所がみんな心配だね」
伊織「プロデューサーの馬鹿がいるから大丈夫でしょ」
真「伊織って普段そっけなけどなにかとプロデューサーのこと信頼してるよね」
伊織「そ、そんなことないわよ!ただそれくらいできないと駄目駄目って言いたいの!」
真「照れなくていいのにー 帰ってくるときには元に戻ってたらいいね...」
伊織「戻ってたらいいのに、じゃないわよ。戻るの。そのために頑張って生き残るわよ!」
真「サバイバルでもするの!?」
――――――――――――――――――――
―――――――――――――
―――――――――
真「ここの海、綺麗だね。伊織」
伊織「そうね。中々いいところね。......結局、元に戻ることはできなかったわね」
真「駄目だったね...やっぱりボクたちが仲良くなることなんてできないのかな」
真「一緒に生活してて、思ったんだ。ボクたちの仲はここまでで、これ以上発展することはないんじゃないかなって」
真「ほぼ毎日喧嘩してたしね。 ...ボクたちって相性悪いのかな」
伊織「...ずーっと思ってたけど、あんたなんだか気弱になってない?らしくないわよ」
真「そりゃあこんなことが起きれば気弱にもなるよ...ボク達ずっとこのままなのかなぁ。神様の罰って、以外と厳しいんだね」
伊織「...あんた、なんか勘違いしてるようだから言わせてもらうけど、私は別に真のこと嫌いじゃないわよ」
真「え...?」
伊織「普段から頑張ってるし、結果も出してるの知ってるもの。みんなに優しくできるし、気遣いもできる。別段嫌う理由がないわ」
伊織「それに家で真のお父さんに会ったけど、急に怒ってしごかれたわ...。あんな特訓を毎日されるなんて私には耐えきれないわよ」
伊織「だからこれは神様が罰を与えたんじゃないわ。だって私、真のこと好きだもの。神様はただ私たちにいたずらしただけ」
真「伊織...じゃあ、なんで毎日あんなにつっかかってくるのさ」
伊織「それは、なんというか...性格というか、なんか気になるのよ!それにあんただって私につっかかってくるじゃない!」
真「うっ、それはそうだけど... なんだ、いつもボクに当たりが強いから、嫌われてるのかと思ってたよ」
伊織「なに、あんた?もしかして優しくされたいわけ?」
真「そ、そんなことは...」
伊織「素直になりなさいよ、私だって素直に話したんだから。...真にもかわいいところあるのね。ニヒヒ♪」
真「」///
伊織「真」ギュッ
真「い、いおり?」
伊織「あんたが私に優しくされたいなら、いつでも優しくしてあげる。厳しく言われたいならもっと厳しくしてやるわ。真がそう望むならそうしてあげる」
真「伊織...」
伊織「だって私は真のことが...」
伊織「す、すすすすっす...」///
真「...伊織って、大切なとこで駄目だよね」
伊織「ううっ...」
真「...伊織、好きだよ」ギュッ
伊織「なっ!?」///
真「ボクも伊織のこと嫌いじゃないよ。好きだ。大好きだ」
伊織「ちょ、ちょっとあんた、顔がちかっ...」
真「だから、伊織も素直に...ね?」
伊織「真...」
真「伊織...」
カッ!
伊織「ん...今度はなに... ってあれ?私、もとに戻った...?」
伊織「やった...やった!やったわ、真!私たちもとに戻れたわ!」
真「うん...そうだね!やったよ!これで事務所のみんなに堂々と会えるね!」
伊織「待ってなさいよ、プロデューサー。なんも用意してなかったら承知しないんだから!ニヒヒ♪ ......ところで、真?」
真「なんだい伊織?」
伊織「さっきの好きっていうのは、その...」
真「分かってるよ。友達として、でしょ?」
伊織「あっ...ええ、そうよ。分かってるならいいの。本気にされたら困るし」
真「伊織はプロデューサーのことが好きだもんね?」
伊織「な、ち違うわよ!あんな役に立たない木偶の坊なんて好きになるわけないじゃないっ!」
真「そうかな~。伊織の罵倒は愛情の裏返しだからな~」
伊織「そんなことないわよ!」
真「あははっ それじゃあ事務所に帰ろうか。 でもどうやって帰るの?」
伊織「新堂に連絡すれば一発よ。もう連絡入れたから待ち合わせ場所に行きましょう」
真「伊織のおうちってやっぱすごいね... さっきボクの姿の伊織に抱きしめられたとき、すっごいドキドキしたんだけど」
伊織「自分の魅力がどんだけすごいか、身を以て知ったでしょ。いい経験したわね」
真「それもそうだけど、伊織が言ったことがなんだか嬉しくてさ。なんだっけ、『あんたが私に優しくされたいなら、いつでも優しくしてあげる。厳しく言われたいなら...
伊織「やめて!思い出さないで!恥ずかしいじゃないこの変態!」
次の日―――――――
カン...
カン...
カン...
P「きたぞ。たぶん伊織と真だ。みんな準備はいいか?」
P「ドアを開けたら一斉にあけるんだ。...きたぞ!」
ガチャ
全員「おかえり二人とも!!ハッピーバースディ、まことー!!」パン!パァン!!
小鳥「えっ、なに?私??」
真美「なんだピヨちゃんか~」
美希「クラッカーが無駄になっちゃったの」
小鳥「えっなにこの空気。私が悪いの?」
P「これはひどいぞ小鳥さん...」
小鳥「プロデューサーさんまでひどい!せっかく二人を連れてきたのに!」
P「二人ってもしかして!」
小鳥「まぁ帰り道にばったり会っただけなんですけど痛い押しのけないで」
真「ただいま、みんな」
伊織「迷惑かけたわね」
P「おかえり、二人とも!怪我はないか?」
真「大丈夫です、プロデューサー。体調もバッチシですよ!」
P「そうか、良かった...今日は真の誕生日だから、みんなオフにさせたんだ。無事もとに戻っててよかったよ。みんな待ってるから行ってあげなさい」
真「はいっ!ありがとうございます、プロデューサー!」
P「よかった...元気になったんだな真...」
伊織「コホン、プロデューサー?」
P「ああ、伊織おかえり。怪我や体調は悪くないか?」
伊織「問題ないわ。 ところで、なにか私にないの?」
P「なにかって...あぁ、すまない伊織。今日は真の誕生日だったからなんも用意してないんだ」
伊織「帰ってきたとき用意しておきなさいって言っといたじゃない、この馬鹿!」
P「そうだな、すまない。だから今度二人で買い物にでも行かないか?そっちのほうが伊織の欲しいものが分かるし、なんでも奢ってやるぞ」
伊織「はぁ!?あんたと二人で買い物なんてありえないわよこの変態!」
P「そうだよな...今度なにか伊織が喜びそうなもの買ってくるよ」
伊織「そうしなさい! ...まぁ、もしヒマができたら、一緒に買い物に行ってあげなくもないわよ」
P「伊織...」
伊織「ただし下僕としてよ?勘違いしないでよね!」
P「...素直になれよ。デート、嬉しいんだろ?」
伊織「はぁぁ!?何言ってんのよこのド変態プロデューサー!」
真「みんなありがとう!今日は最高の一日だよ!」
春香「うん!真が喜んでくれてうれしいよ!」
美希「春香のプレゼントはないって思うな」
律子「あの 人形他にもあったのね...」
春香「な、何を言うんですか!これは今度のライブで使うぬいぐるみに是非どうぞと思って渡したんですよ!」
真「あはは...気持ちだけ受け取っておくよ」
美希「駄目だったの」
のワの「」
伊織「ちょっといい、真?」
真「なんだい伊織」
伊織「これ、プレゼント」
真「ありがとう、伊織!中身はなにかな......あれ、これって伊織のうさぎの人形...?」
伊織「それと似てるけど、違うやつよ。またテディベアが当たったりしたら嫌だからそれ使いなさい」
真「伊織...わかった。今度のライブはこれを使うよ。ありがとう伊織」
伊織「ふ、ふん。大切にしなさいよね」///
美希「完全にフラれたの」
のワの「」
亜美「ところでまこちんといおりんは旅してた間、なにか面白いことあった?」
真美「禁断の恋。とか?」
伊織「特になにもないわよ。テキトーにそこいらの国をまわって帰ってきただけよ」
亜美「えーなにそれ、つまんなーい」
真「なにを言うんだ伊織。ボクたちはあんなことやこんなことをした仲じゃないか!」
伊織「えぇ!?」
真美「こ、これはまさか禁断の恋...!?うあうあー、まこちんといおりんの間で発生するなんて思ってもなかったよ→!」
伊織「ち、違うわよ、これは真がふざけただけよ!変なこと言うのやめなさいよ真!」
真「伊織は素直じゃないなぁ。じゃあボクが素直にしてあげるよ」スッ
伊織「それどういういm
チュッ
真「これはプレゼントのお礼と、この前の続きね!」
伊織「」
雪歩「」
美希「お口とお口がくっついたの...」///
真美「中学生の真美には刺激が強すぎるYO...」///
伊織「ち、ちょっと、あんた、みんなの前でなにををを」///
真「なに?もっとしたいの?」
伊織「や、やめなさいよ!せめてみんなの前でやるのはやめて!」
雪歩「それより続きってどういうこと...?何があったんですかぁ!?」
亜美「わーっ!ゆきぴょんがスコップを取り出したー!」
春香「ダメだよ雪歩!掘るのはいいけど埋めるのはダメ!代わりにこの春香さん人形を埋めて!」
美希「捨てればいいって思うな」
貴音「ふふっ...仲睦まじきことは良きかな、ですね」
小鳥「ふつくしい愛ピヨ」●REC
P「鳥、ちょっとこっちこい」
真「伊織...ホントにまたしてあげよっか?」
伊織「ふんっ...また今度、ね」
おわり
終わりです
これ含めて三作くらい書いたけど、自分の方向性が分かった気がしました
ありがとうございました
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