白望「塞....」塞「まー、楽勝って事で!」【咲SS】 (89)


勝手な書き加え設定等あります
青春物です、苦手な方は回れ右!

ゆるーく更新して行きますのでご理解下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377772647


今から一年程前の事だっただろうか..。
棚の奥にひっそりと置かれている卒業アルバムを手に取って思い返す。

熊倉先生の転任..
豊音の転入..
エイスリンとの出会い..
麻雀部団体戦でインターハイにも出たっけ

どれもこれも眩しい程に輝く思い出の光。
私は一枚一枚アルバムのページを捲る。

インターハイの後に起きた様々な出来事や思い出を頭に浮かべながら..。

一年前・八月下旬

白望「...ダルい」

胡桃「そこ!ちゃんと勉強する!」

塞「インハイ終わってすぐに受験勉強って....学生も辛いなぁ」

胡桃「勉強が学生の本業でしょ!」

豊音「うー...これ、ちょー難しいよー....」

エイスリン「イロハニホヘトチリニュ...ノゥ...ヌゥ!!!」

塞「エイちゃんは日本語の勉強?」

エイスリン「ニホンゴ!ムズカシイ!」

胡桃「エイちゃんも豊音も偉い!それに引き換えシロ...」

白望「牌より重い物は持てないなぁ..」

胡桃「シャーペンと重さはどっこいどっこいだよ!」

豊音「私は牌の方が重い気がするよー」

胡桃「実際はどうなのかとか死ぬ程興味無いから勉強する!」

塞「胡桃は大変だね..」

エイスリン「コブン...ニガテ」ムーン

塞「古文なら教えるよ」サッ

豊音「うー...何これ日本語じゃないよー..」

胡桃「豊音は本当数学出来ないよねー、ほら見せてみなさい!」サッ

白望「......」

白望(......皆良くやるなぁ)

白望(..こんなの覚えても絶対今後使わないし....ダルい)

白望(無駄な努力で時間を無駄にしたくないしなぁ..)

胡桃「こら!シロもノート開く!」

白望「あー...その前に飲み物買って来る」

塞「じゃあお茶!」

豊音「私は冷たいココア!」

エイスリン「ワタシモオトモスル!」バッ

胡桃「あー...もうっ!」

胡桃「私はミルクティーだよ!」

白望「うん、行こうエイスリン」

エイスリン「イッテクル!」ガラッ

白望「....」フラフラ

エイスリン「シロ!シンロキメタ?」タタッ

白望「......」チラッ

白望「んー...私は大学に行ける学力も内申も無いから」

白望「多分就職....」

エイスリン「シロ、オシゴト!?」

白望「...驚き過ぎ」

白望「あれ、お茶売り切れか..」

エイスリン「ドコデ、ハタラク?」

白望「それは検討中....」カチャ

白望(塞は適当で良いか..)ピッ

エイスリン「ンンー..」

エイスリン「シロ!ガンバル!」

白望「ありがと...」

白望「戻ろっか..」

エイスリン「ウン!」スタタッ

麻雀部部室

エイスリン「タダイマー!」ガラッ

白望「途中ダルくて寝る所だった」

胡桃「学校の廊下で寝るのはシロ位だよね」

豊音「前見た時は廊下で殺人事件が起きたかと思ったよー」

白望「昔の話を掘り返されるのはなぁ..」

白望「ほら、胡桃はミルクティーで豊音はココアだよね」

白望「塞はお茶が無かったからコーンポタージュにしたよ」

塞「ありがと..お金は返すからね」

塞「......」

塞「...なんでコーンポタージュ?」

エイスリン「ジカンサツッコミ!」

豊音「出しちゃうかー、ついにそれをー」

塞「豊音、それ私の台詞だから!」ガタッ

塞「お茶と頼んでコーンポタージュ買って来るなんて思わないでしょ!?」

白望「冒険してみた」

塞「冒険し過ぎだよッ!」

胡桃「って言うか良く売ってたね、まだ8月だよ?」

豊音「運命のコーンポタージュだよー」

塞「まったく....って冷たいじゃん!」

白望「夏だから..」

塞「夏なら何でも冷たい方が美味しいって馬鹿の発想でしょ!」

エイスリン「シロ、バカ?」キョトン

胡桃「いらない気遣いだね」

豊音「悪意しかないよー」

白望「美味しいから..飲んでみて」

塞「えー....」

白望「......」ジー

塞「.....仕方ないなぁ」ハァ

塞「......」ゴクッ

白望「...どう?」

塞「....んー」

塞「思ってた程不味く無いけど美味しくも無かったね」


白望「.........」

豊音「ネタとしても終わってたよー」

胡桃「これは酷い茶番」

白望「塞にリアクションを期待したのが間違いだった..」

エイスリン「サエ、ゲンキダス」ポン

塞「えぇ!!私が悪いの!?」

トシ「豊音居るかい?」ガチャ

胡桃「あ、先生」

豊音「いるよー」

トシ「ちょっと良いかい?」

豊音「うん..ちょっと行って来るよー」ガチャ

白望「.......」

塞「いってらー」フリフリ

胡桃「何だろうね?」

エイスリン「スウガク、ホシュウ?」

塞「あ、それは有り得るなー」

白望(数学の補修は先週だったけどなぁ..)

胡桃「さ、私達も勉強するよ!」

エイスリン「ガンバル!」ムフー

白望「ふぁいとー..」

胡桃「シロもだよ!」ガタッ

塞「コーンポタージュ捨てて良い?」

胡桃「駄目!飲みなさい!」

塞「はい、分かってました..」ゴクッ

放課後

塞「んー...夏休みなのに結局学校で一日過ごしたね」

胡桃「とても良い事だよ!」

エイスリン「サエ、オシエルノジョウズ!」

塞「エイちゃんの飲み込みが早かったんだよ」ニコッ

胡桃「シロは結局寝てたけどね」

白望「明日から頑張る」

塞「それ、昨日も言ってたよ」

胡桃「明日からは勉強する!」

白望「....ダルい」グデー

エイスリン「トヨネ....オソイネ」

塞「あー..結局帰って来なかったもんね」

胡桃「帰りに職員室行こっか」

胡桃「シロは豊音の荷物を持つ!」

白望「...ダルいなぁ」ヨイショ

エイスリン「レツゴー!」バッ

塞「はいはい、鍵閉めるから出た出た」

胡桃「忘れ物無い?」

白望「無問題」フラフラ


職員室

胡桃「失礼します!」ガラッ

トシ「ん..アンタ達かい」

塞「はい、豊音が帰って来ないんで様子を見に...」

トシ「....そうかい」

胡桃「......?」

エイスリン「トヨネドコ?」

トシ「......」

トシ「...先に帰ったよ」

塞「あ、そうですか..」

胡桃「何か急用ですか?」ハテ

トシ「.......」

トシ「まぁ...そんな所だねぇ」

白望「.....?」

塞「そうですか...では失礼します」

胡桃「失礼しました!」


ガラガラ

トシ「.......」

帰り道

白望「先生..少し様子おかしくなかった?」

塞「うん..確かに」

胡桃「荷物を置いて帰るなんて有り得ないよね!」

エイスリン「....デンワ!」

塞「おっ、エイちゃんナイスアイディア!」

エイスリン「..フフッ」ドヤァ

胡桃「んー...」prrrrr

胡桃「繋がらない..」

エイスリン「オォウ...」ガクーン

塞「一瞬の栄光だったね..」

白望「....急用ってなんだろう」

胡桃「家庭の事情?」ハテ

塞「豊音の家って此処からどれ位かかるっけ?」

胡桃「片道一時間半」

白望「電車で...」

塞「遠過ぎィ!」

エイスリン「ニモツドウスル?」

白望「んー..明日皆で豊音の家に行けば良いと思う」

胡桃「ナイスアイディアその2だね」

塞「シロの前向き精神とか珍しいね」

エイスリン「トヨネ!トモダチダカラ!」

白望「.....」

白望「エイスリンの言う通り」ハッ

塞「数秒の沈黙は何?」

胡桃「ボーッとしてて話聞いてなかったんじゃない?」

白望「.....え?」

胡桃「ほら」

塞「全く...」ヤレヤレ


この時、私はいつもの様に考えを放棄してただ惚けて居た訳では無かった。


不安


その感情が私の中を渦巻いて居たのだ。
何か大切な者を失うのでは無いかと....。


書き貯め此処までなのでまた明日か深夜に投下します!

翌朝・某駅

胡桃「シロ遅いよ!」

白望「....眠い」フラフラ

白望(結局昨日は寝付けなかった...)

胡桃「シャキッとする!」パシッ

白望「いてて..」

エイスリン「キップ、カッタ!」ヒョコ

塞「それじゃあ出発って事で!」

エイスリン「オー!」

胡桃「ほら置いてくよー」タタッ

白望「ダルいなぁ...」スタスタ

車内

塞「うーん山だ..」

胡桃「山だね!」

エイスリン「ヤマスキ!」

白望「豊音の家って街から少し離れた所だよね..」

胡桃「うん!村からあんまり離れた場所では暮らせないんだって」

エイスリン「トヨネ...カワイソウ」

塞「豊音が村出身って事は分かってた事だけど..」

塞「その村がどんな場所かは全然知らないよね、私達」

胡桃「......」

胡桃「うん...そうだった」

エイスリン「.....」ショボン

白望「.......」ハァ

白望「私達が行けば良いんじゃない...?」

塞「え?」

白望「夏休みなんだし...豊音に連れて行って貰えば良いじゃん」

エイスリン「.....!」パァ

胡桃「.....うん、良い提案!」

塞「よーし..豊音の村に旅行だ旅行だーっ!」ビシッ

白望「そのテンションはダルいけど..」

塞「えぇっ!?」

胡桃「うるさい!そこ!」

塞「えええっ!?」

エイスリン「サエ、オモシロイ!」

塞「エイちゃんまで...」ガクッ

白望「......」

白望(皆、心の何処かで不安に思ってるんだよなぁ..)

白望(塞も、胡桃も、エイスリンも...)

白望(特に塞とエイスリンは人一倍仲間思いだから....)

塞「もーっ...手のひら返しは無しだからね!」

胡桃「初めからうるさかったよ!」

エイスリン「フフッ」クスクス

白望(私がしっかりしないとなぁ..)

胡桃「全く..他のお客さんに迷惑でしょ!」プンスカ

塞「いやいやいや、私も騒いでたけど同じ位胡桃も騒いでたからね!?」

白望「二人共..ダルいからやめて」

塞「.....はいごめんなさい」シュン

胡桃「大人気なかったよ..」

塞「大人とは程遠いけどね..」

胡桃「うるさい!そこ!」

ギャーギャー

白望(はぁ...ダル)

??「あのー..少し静かにして貰えませんか?」

白望「すみません...ほら二人共謝って」

胡桃「ごめんなさい」シュン

塞「本当すみませんでした....って」

塞「チャンピオン!?」ビクッ

照「....岩手代表」

咲「どうしたのお姉ちゃん?」

咲「あっ!」

塞「清澄の大将まで...」

照「咲...知り合い?」

咲「う..うん!」

咲「インターハイ二回戦で戦ったんだー」

咲「あれ...姉帯さんは居ないんですか?」

エイスリン「コレカラアイニイク!」

咲「そうなんですか...仲が良いんですねっ」ニコッ

白望「貴方達も二人で何してるの?」

照「......」

照「咲は私の妹だから..姉妹旅行中」

白望「....えっ」

塞・胡桃「えぇぇーーッ!?」ガタッ

エイスリン「...?」キョトン

塞「し...姉妹だったの!?」

胡桃「確かに麻雀の強さでは違和感無いけど...」ミクラベ

照「......」

咲「......?」キョトン

胡桃「似てないよ!」バン!

照「顔は似てないかもね」ゴソゴソ

エイスリン「ソレナニ?」

照「お菓子だけど..食べる?」

エイスリン「ウン!」パァ

塞「よく見れば髪型が似てるよね」

胡桃「髪型で姉妹性なんて感じないから!」

白望「普通はね..」

咲「ふふっ..」テレッ

エイスリン「オイシイ!」サクサク

照「これは私のオススメ」サクサク

塞「あっちではお菓子談議始まってるし...」

胡桃「チャンピオンって意外にフレンドリーなんだね..」

咲「少し口下手なだけで...本当はお姉ちゃん優しいんです」ニコッ

塞「......ふふ」ニコッ

胡桃「そう見たいだね」ジー

照「今度とっておきのお菓子を....何?」クルッ

胡桃「いえいえー」

塞「なんでもないでーす」クスクス

照「........」ムゥ

エイスリン「テル!オカシノハナシスル!」ムフー

照「あ!そうだね、それでこの店の..」

塞「また話し始まったよ」

胡桃「エイちゃんも楽しそうで良い事だよ!」

白望「宮永さん....って二人共か」

白望「咲って呼んで良いかな?私はシロで良いから」

咲「あ、分かりました...シロさんですね?」テレッ

塞「私は塞で良いよ」

胡桃「私の事は胡桃さんで!」

白望「大きく出たなぁ..」

塞「身体は小さいのに..」

胡桃「うるさい!そこ!」ビシッ

咲「ふふっ...宮守の皆さん面白いです」クスクス

咲「よろしくお願いします」ペコッ

胡桃・塞「こちらこそ..」ペコッ

白望「話戻すけど...なんで岩手?」

咲「あの..それは姉妹旅行で...」オロオロ

胡桃「それは理解してます!」

咲「ひぅ..」シュン

塞「ほら...私達が言いたいのはもっと他に良い場所とかあるじゃない?」

塞「沖縄とか京都とかさ」

胡桃「此処何も無いよ?コンビニも24時間営業してない所とかあるからね!」ムフー

塞「いや、それ汚点だから自慢出来る事じゃないって」

咲「ふふっ..」クスクス

咲「理由は...そうですね、夏だから涼しい所に行こうと言う話になったんです」

塞「ん...昨日同じ様な事を聞いた気が」

白望「気のせい...」

塞「んー...そうかなぁ...」

胡桃「そこ!話逸らさない!」ビシッ

咲「理由はそれだけですね」

白望「凄いフットワークの軽さだね..」

咲「へへ.....」テレッ

咲「..でも本当は何処でも良かったんです」

塞「え?」

咲「私、インターハイが終わるまで...」

咲「小さい頃からお姉ちゃんと喧嘩してて...」

咲「別々の家で住んでたんです」

白望「あー....確かに」

塞「チャンピオンが東京、咲ちゃんが長野の代表だったもんね」

咲「はい、それで麻雀を通して仲直りしようって思って...」

咲「一生懸命頑張ってたら...仲直りする事が出来ました」

咲「色々ありましたけど」ニコッ

塞「へぇ....目標を叶えたんだね」

咲「はいっ..!!」

胡桃「随分省いてたね、説明!」

塞「いーの、二人の話なんだから私達が詮索しなくても!」

白望「気になる...」

塞「シロまでっ!」

咲「えへへ..」テレッ

照「その事についてはまたの機会に話す」

照「今は旅行を楽しみたいから」

塞「だよね、本当なら案内してあげたいんだけど..」

エイスリン「トヨネマッテル!」

照「気持ちだけで嬉しい」

塞「分からない事があったら連絡してよ、連絡先渡しとくからさ」

照「ありがとう」スッ

胡桃「チャンピオンの連絡先を自然に手に入れた...だと!」

照「照で良いよ」

エイスリン「テル!」ポリポリ

照「どうしたの?」

エイスリン「オイシイ!」パリパリ

照「良かった..」ニコッ

塞(笑った?!)

胡桃(笑ってる!?凄い良い笑顔!)

咲「あっ...お姉ちゃん、次この駅で降りるんじゃないかな」スタタッ

照「うん、分かった」スッ

エイスリン「オワカレ?」ジワッ

照「いや、また会おうと思う」

エイスリン「ホント!?」パァ

塞「こっちにはいつまで居るの?」

照「確か...」ゴソゴソ

照「一週間位かな」

塞「それじゃあ都合の合う日にでも案内するよ」

照「ありがと、連絡する」

咲「お姉ちゃーーん?」

照「呼んでるから行くね」

エイスリン「テル、マタネ!」

照「うん、またね皆」フリフリ

塞「行ってしまった..」

胡桃「嵐の様だったね..」

エイスリン「テル、イイコ!」

胡桃「表現が軽い..!」

塞「良い子ではあると思うよ」

白望「ほら、私達も次だから...」

塞「ちゃんとお菓子の袋は片付けないと駄目だよ?」

エイスリン「ハーイ!」サッサッ

某アパート


塞「此処が豊音の家かぁ..」

胡桃「一人暮らしだからね!」

エイスリン「オミヤゲモッテキタ!」スッ

白望「....煮豆?」

エイスリン「トッテモオイシイ!」

塞「エイちゃん渋いね..」

胡桃「私には日本通の外人さんってイメージが浮かんだよ」

白望「....ダルいから早く入ろう」

塞「そーだね、豊音居るー?」ピンポーン

胡桃「......」

白望「......」

エイスリン「........」

塞「豊音...?」

胡桃「電話してみる!」prrrrrr

胡桃「......」

胡桃「繋がらない..」

エイスリン「トヨネ、オデカケ?」

白望「...塞」

塞「んー?」

白望「トシ先生に電話してみてくれないかな..」

塞「....分かったよ」prrrrr

塞「......」

トシ『もしもし、塞かい?』

塞「あ、はい!朝早くからすみません..」

トシ『もう11時だよ?』

塞「あ...そうでしたっ」ヘヘッ

トシ『それで、何の様だい?」

塞「.....豊音の事なんですが」

トシ『..........』

塞「先生....?」

胡桃「.......」

エイスリン「.......」

白望「.......」


長い静寂が身体の中で渦巻いて居る不安を駆り立てる。

そして、知る事になる。

不安が現実になった時の....


トシ『豊音は村に帰ったよ..』


喪失感を。


投下終了続きは夜にでも!

三日後・部室

胡桃「.......」

エイスリン「.......」

白望「........」

塞「....連絡来ないね」


私達は豊音の居ない生活を送っていた。
何か賑やかさに欠ける毎日。
この三日間、心から充実出来たと思えた日は一度も無かった。

それ程までに...
私達と豊音は強く結び付いて居たのだ。

塞「先生が言うには村の事情らしいんだけど..」

エイスリン「...サミシイ」

胡桃「連絡の一本も無いなんて...」

塞「.....」

胡桃「......」

エイスリン「......」

白望「........」ガタッ

塞「シロ..何処行くの?」

白望「...お小水に」

塞「あー...」

胡桃「....帰りにミルクティーお願い!」

エイスリン「..ウー」グデッ

白望「はいはい」ガチャ

塞「........」

三階廊下

本当にダルかった。
思考する事を放棄したい程に。

気が付けば私は職員室の扉を強く開けていた。

バァンッ!

職員「!?」

教頭「!?」

トシ「!?」

白望「.....」

白望「.....熊倉先生、話良いですか」

教頭「な、なんだ今の入室は!!失礼だろ!」

白望「急用です」

教員「小瀬川..お前教頭先生に向かってその態度は何だァ!!」バンッ

白望「.....」

教員「聞こえてるのか?小瀬川ァ!」グイッ

白望「.....」

教員「このッ..」

トシ「私に用かい?」

教員「..熊倉先生」

トシ「私から言っておくから離してやってくれないかい?」

教員「....はい」スッ

白望「.....すみませんでした」

教員「...ふん」

トシ「此処じゃ話にくいね...部屋を移ろうか」

白望「はい....」

空き教室


トシ「此処なら誰も来ない筈さ」

白望「......」

トシ「急用ってのは..豊音の事だろう?」

白望「.....」ピクッ

トシ「....あの子は帰って来ないよ」

トシ「それが村の決まりだからね」

白望「.....決まり?」

トシ「あぁ、そうさ..豊音の村は余所者との交流を嫌う完全に孤立した村でねぇ」

トシ「村の娘は村で子を孕み村を繁栄させ、村の男は農作業やらの力仕事で村を活性化させる」

トシ「それを伝統としている村さ」

トシ「あの子を連れ出す事だって相当苦労したよ、諦めそうになる程ね」

白望「......」

トシ「豊音は帰って来ないよ...それは私が一番良く知っている事さ」

白望「......だからって」

トシ「諦めな、それが大人ってもんだ」

白望「諦められないッ!」ドンッ

トシ「......」

白望「豊音は...良い子なんだ」

白望「私達には必要な子なんだよ..」

白望「豊音は誰よりも感情豊かな子だった....その豊音が連絡を一切寄越さないんだ...」

トシ「.....」

白望「突然の帰郷なんて寂しいに決まってる...それなのに別れの挨拶も言葉も残さずに...っ」ギリッ

トシ「アンタは分かってるだろう?..」

白望「......っ」

トシ「豊音がアンタ達を巻き込みたくないと思ってる事位」

白望「分かってる...」

トシ「それならあの子の心意気を買うのが友達ってヤツなんじゃないのかい?」

白望「....それは違うッ!」バンッ

トシ「.......」

白望「....友達なんだ..」

白望「......」

白望「.....巻き込まれてもなんとも思わない」

トシ「......」

白望「それがどんなに危険な事でも...私は豊音を一人ぼっちにしたくない!」バンッ


トシ「...アンタはガキだよ」

白望「...っ」

トシ「自分がしたい事をして、我慢する事を知らないガキと同じさ」

トシ「豊音はね最後まで笑ってたいよ」

トシ「私にもアンタ達にも..そしてこの場所にも涙でサヨナラはしたくないと言ってねぇ」

トシ「その気持ちがどれだけ上等かアンタには分かるのかい?」

白望「あぁ...分かる」

トシ「嘘だね、分かったフリをしてるだけさ」

白望「諦めるのは簡単だし、サヨナラも簡単だ...」

トシ「...アンタッ」ガシッ

白望「...何?」

トシ「簡単なんて...言うんじゃないよッ」パシンッ

白望「.....っ」

白望「......」

白望「それでも私は諦めない..誰かが泣いてて我慢してる上で...友達ごっこなんて出来ない」

トシ「.....」

白望「豊音が勝手に私達から離れて行くなら、私は離れられない様に手を掴んでいたい..」

白望「私はダルがりで生活破綻者で学力もない...ちょっと麻雀が出来るだけの落ちこぼれ...」

白望「それでも...」

白望「友達にだけは...胸を張って生きていたいんだ.....」

白望「友達を...一人にはしたくない」

トシ「.......」

トシ「ふん..勝手にしな」バッ

トシ「だけど私は豊音に頼まれたんだ、アンタ達を巻き込まないで欲しいってね」

トシ「だから協力はしない」

白望「.....」

トシ「......部室はしっかり片付けてから帰るんだよ」ガラッ

ピシャッ

白望「......」ポケー

白望「.....」

白望「何やってんだろ...」

空教室前廊下

トシ「アンタ達....」

塞「あ....」

胡桃「バレた...」

エイスリン「センセイ...」グスッ

エイスリン「シロォ...」グスッ

トシ「聞いてたのかい?」

塞「聞いてたと言うか聞こえて来たと言うか...」

胡桃「シロが遅いから様子を見に来ただけだよ!」

トシ「....そうかい」スタスタ

塞「先生!」

塞「先生!」

トシ「...なんだい?」

塞「...私、今回はシロの味方します」

胡桃「ちょ..塞」

塞「私も、豊音を一人には出来ません、あの子の事を良く知るからこそ.....一人にはしたくないんです」

トシ「.....」

胡桃「はぁ....」

胡桃「先生、この子達は私がしっかり面倒を見ておくから安心して!」

エイスリン「ハイ!」カキカキ

バッ

塞「....私達の絵?」

胡桃「皆居るね...豊音も」

エイスリン「ミンナ、イッショ!」

トシ「.....」

トシ「....勝手にしな」スタスタ

塞「ありがとうございます!」ペコッ

空き教室


塞「シロー生きてる?」ガラッ

白望「塞....胡桃とエイスリンも..」

白望「なんで..こんな所に居るの」

胡桃「それはコッチの台詞ね!」

エイスリン「シロ、ヒトリジャナイ!」

白望「.....聞いてた?」

塞「うん、キャラじゃなかったよ」

白望「ダルい...」

胡桃「今更キャラ修正しない!」

エイスリン「シロ!ワタシタチモイク!」

白望「....やめといた方が」塞「シロ!」

白望「.....はい」

塞「シロは友達を一人にしたくないって言った、私達も同じ気持ちだよ」

塞「だから私達もシロを一人にしない」

塞「分かったら部室戻るよ!」グイッ

白望「.......」

白望「.......とう」ボソッ

塞「え?」

白望「なんでもない..」

胡桃「.....」クスクス

エイスリン「トヨネ、タスケル!」ガラッ

部室


塞「それにしても..豊音の村って何処あるんだろ....」

白望「....先生は教えてくれないと思う」

胡桃「いきなり行き詰まったね!」

エイスリン「ンー..」

塞「虱潰しに行くしかないかな..」

胡桃「岩手の中に村なんて何百とありそうだよね」

白望「それしか方法がないならそれで良いと思う..」

エイスリン「イマカライク?」

塞「んー..今日はもう遅いから明日の朝に駅で待ち合わせって事で」

胡桃「ラジャー」

白望「....うん」

エイスリン「ジュンビシナキャ!」

塞「そうだね...今日は取り敢えず帰ろっか」

胡桃「帰る前に掃除する!」

白望「...ダルい」グデッ

胡桃「どんな時でも生活習慣を乱したら駄目だよ!」

塞「本当...どんな時でもだね」ハァ

エイスリン「ハヤクソウジスル!」

胡桃「エイちゃんは素直でよろしい!」

塞「ほら..胡桃がうるさいから掃除しよ」

白望「....ダルいなぁ」フキフキ

胡桃「シロ!終わったら充電させてね!」サッサッ

白望「なんでそうなる....ん?」ガサッ

塞「どうしたのシロ?」

白望「机の隙間に何か挟まってた...」ガサガサ

白望「紙...かな?」ペラッ

塞「どれどれ...」

胡桃「そこサボらない!」ビシッ

白望「.....これ」ピラッ

塞「地図だね...豊音の村への」

胡桃「えぇ!?何このタイミング!?」

エイスリン「クルミ!オテガラ!」

塞「確かに、胡桃が掃除なんて言い出さなかったら見つからなかったよー」

胡桃「ふっ..ふふ!」

胡桃「当たり前じゃない!善行を積めば道は開くんだよ!」

白望「......」

塞「いやー良かった...」

塞「....シロ?」

白望「....いや」


トシ『......部室はしっかり片付けてから帰るんだよ』


白望「そっか...」

塞「一人で納得!?」

白望「なんでもないから..」

塞「うー..釈然としない」

エイスリン「ハヤクジュンビ!」

胡桃「お菓子は300円までだからね!」


職員室

トシ「はぁ..豊音には謝らないといけないね」

教員「熊倉先生、お茶淹れましょうか?」

トシ「あぁ、頼もうかねぇ」

教員「すぐ淹れますんで」

トシ「ありがとね....」


>>39で誤字ありました

トシ「最後まで豊音は笑ってたいよ」×

トシ「最後まで豊音は笑っていたよ」○

今後は気を付けます!
すみませんでした!


書き貯め此処まで!
また深夜か朝に投下します

翌朝・某駅

塞「あれ、シロ早いね」

白望「また胡桃に怒られるから..」

塞「おっ..気にする様になったんだね?」

白望「怒られるの..ダルい」

塞「シロらしいね」クスクス

白望「......」

白望「....塞」

塞「豊音、絶対に連れ戻そう」

白望「.....」

塞「...何か言ってよ」

白望「私の台詞..」

塞「えぇっ..そこかい..」

白望「......」

白望「連れ戻すよ...絶対」

塞「...ふふっ」

胡桃「塞早いねー...ってシロ!?」

エイスリン「シロスゴイ!」

白望「胡桃遅い...」

胡桃「ぐぬぬっ...!!」

塞「ほら、切符買って早く行こうよ」

エイスリン「ジカン、ドレクライ?」

白望「あー..私も気になる」

塞「....電車で一時間、バスで二時間から歩いて一時間」

白望「......」

エイスリン「ワォ!」

胡桃「遠過ぎィ!」

塞「お弁当は皆の分も作って来たからゆっくり行こうよ」

白望「それもそう...」

エイスリン「リョコウミタイ!」

胡桃「豊音が帰って来たら本当の旅行しよっか!」

塞「いいねぇ、咲ちゃん達も誘おうよ」

白望「照に会ったら豊音喜びそうだなぁ...」

エイスリン「テル、アイタイ!」

胡桃「ふふっ..それじゃあ出発しよう!」

エイスリン「オー!」グッ

電車内

塞「いやー...本当ね、こうなるんじゃないかとは思ってはいたよ」

白望「私も薄々....」

照「......?」

咲「お久しぶりです」

胡桃「偶然にも程があるよ!」バン

エイスリン「テル!」パァッ

照「あ..この間話してたお菓子があるんだけど..」ガサゴソ

エイスリン「タベル!」

照「...そう」ニコッ

塞「エイちゃんが凄い懐いてる..」

胡桃「私には餌を与えたら付きまとう様になった猫に見える..!」

白望「....ダルい」

咲「ふふっ..」ニコッ

咲「今日も姉帯さんをお迎えに行くんですか?」

胡桃「あー...その」

塞「そうだよ、今から迎えに行くの」

咲「相変わらず羨ましいです」

白望「.....」チラッ

塞「ふふっ..」ニコッ

白望「照と咲は帰り?」

咲「いえ、今日は少し遠出をしようと思ってるんです」

塞「へぇ...迷子にならない様に気を付けてね?」

咲「えへへ..それは自信無いかもです」

照「大丈夫..私に任せて」

咲「昨日迷ったでしょ?」

照「....あれは偶然、天和を和了るくらいの確率」

塞「咲はともかく、照も方向音痴なんだ?」

照「それは違う」

塞「隠さなくても良いよ」ニヤニヤ

照「むぅ....」

咲「あっ..あの!」

咲「皆さんは姉帯さんを迎えに行った後、何処か遊びに行くんですか?」

白望「.....」

咲「....?」

白望「遊びに行く訳ではないかなぁ...」

咲「それならお勉強..?」

塞「んー...」

照「......」

エイスリン「トヨネ、ムカエニイク!」

塞「エイちゃん...」

咲「...何かあったんですか?」ハテ

胡桃「何でもないよ!心配しなくて大丈夫!」

塞「胡桃の言う通りだよ、心配してくれてありがとね?」

咲「そうですか....」

咲「立ち入った事を聞いてしまいました..ごめんなさい」ペコッ

白望「気にしなくて良いよ...」

照「.....私達の話、聞く?」

胡桃「唐突だね!」

塞「この前の..姉妹喧嘩の話ですか?」

照「うん..」

白望「良いの?」

照「構わない」

エイスリン「ワクワクスル!」スワリッ

塞「それじゃあお言葉に甘えて..」

照「.....」チラッ

咲「うん...」

咲「喧嘩の理由は...忘れてしまった事でした」

白望「忘れる..?」

咲「はい、私とお姉ちゃんが小さい頃に...仲の良かった友達が一人居たんです」

咲「麻雀が強いと言うより...活発な子でした」

照「よく川で泳いでた」

塞「川は気持ち良いよねぇ」

咲「ふふっ..」ニコッ

咲「その子はある日、足に怪我してしまったんです」

咲「川で溺れる私を...助けようとして」

胡桃「......」

咲「私もその子も一命は取り留めました、でも....」

咲「その子の足の怪我は酷く...もう歩けないだろうと」

咲「そう診断されたんです」

塞「.....それは」

咲「それからその子は遠くに引っ越しました、療養に適した環境に移る為です」

咲「私は小さいながらに後悔しました」

咲「私が川に入らなければ、私がもっと注意していれば...」

咲「強い罪悪感に苦しみました...」

咲「掛け替えの無い友達の自由を奪い、友情に亀裂を入れてしまった」

咲「そんな罪悪感が私の許容量を超えた時...」

咲「全部...忘れてしまったんです」

照「......」

咲「私は辛い思い出を忘れる事で身を守りました」

咲「お姉ちゃんには卑怯者と呼ばれ口を聞いてくれなくなって..」

照「...でも卑怯者は私だった」

塞「照....」

照「私は、咲の苦しみを知っていた」

照「でも何も言えなかった..伝えられなかった」

照「自己嫌悪が募ってそれは憎悪に変わる...」

照「咲が悪い、咲が原因だ...」

照「でも私は逃げていただけ」

照「弱い自分を認めたくなくて..」

照「嫌な思い出が染み込んだ故郷から逃げて」

照「咲から逃げて」

白望「.......」

咲「でも私は...思い出せたんです」

咲「小さい頃の記憶..それは辛い事が沢山あって思い出したくない思い出だったんです..」

咲「それでも..麻雀が私の思い出を少しずつ教えてくれたんです」

咲「お年玉を取られるだけだった小さい頃の麻雀...」

塞「照そんな事してたの?」

照「いや...お母さんが」

胡桃「ふーーん?」

照「ごめんなさい」

咲「ふふっ..」ニコッ

咲「でもお姉ちゃんと打てた麻雀は楽しかった...その楽しかった麻雀を..」

咲「私は思い出せたんです」

塞「つまり..麻雀を通して昔の記憶を取り戻したと...」

咲「そういう事ですね」

照「咲はインターハイが終わった後に私の所に来て...頭を下げた」

塞「.....」

照「私は不甲斐ないの一心だった」

照「妹に謝らせて、辛い思いをさせて、逃げ出した私を追い掛けて来てくれた...」

塞「それで仲直りしたんだ..」

エイスリン「カンドウッ..」グスッ

白望「.....」

照「それから仲直りとお互いの罪滅ぼしを兼ねて、旅行に来た」

胡桃「岩手を選んで下さりありがとうございます!」ヘコォ

白望「でも..なんでそんな話を私達に?」

照「.....」

照「貴方達には聞かせておきたかった」

塞「....?」

照「お互いが諦めない限り、人間関係の糸は切れない事を」

咲「えへへ..」

照「私は咲にそれを教えて貰ったから...」

白望「ありがとう...」

塞「うん...やる気出て来た」

胡桃「確かに...!」

エイスリン「サキ、テル...アリガト!」ペコッ

照「力になれたのなら嬉しい」

咲「私も嬉しいですっ」ニコッ

照「それじゃあ..私達は此処で降りるから」スッ

咲「皆さんも...頑張って下さいね」

白望「ありがと..」

塞「事態が落ち着いたら連絡するよ、お土産話も持ってくから」

照「楽しみにしてる」

エイスリン「テル、サキ、マタネ」グスッ

胡桃「次は豊音も呼ぶからね!」

咲「楽しみにしてますっ」ニコッ

照「咲、扉閉まっちゃうよ」

咲「あわわ、お姉ちゃん待ってよー」ステテッ

白望「.....」

塞「なんか...元気付けられちゃったね」

胡桃「良い姉妹だね..私も咲ちゃんみたいな妹が欲しかったなー」

白望「胡桃が欲しいのは照みたいな姉でしょ」

胡桃「私がお姉ちゃんってそんなに違和感あるかな!」

塞「違和感しか仕事してないよね..」

胡桃「うるさいそこ!」

エイスリン「ミンナゲンキ」ニコッ

白望「うん...」

白望(一つ借りかなぁ..)


投下遅れましたすみません!
書き溜めが尽きたので
また夜に投下始めます!

某山道

塞「そろそろお昼にしよっか」

胡桃「もうくたくたーッ」グデッ

白望「まさか山道とは..」

エイスリン「ハイキング!」

塞「エイちゃんのポジティブ思考には助けられっぱなしだよね..」サッ

エイスリン「オベント、オイシソウ!」

胡桃「うーん...塞は家庭的だよねぇ..」

塞「んー..そうかなぁ」エヘヘ

白望「是非私を養って欲しい..」

胡桃「なっ...!!」バッ

塞「...」

塞「シロは楽したいだけでしょー、私はお断りだよ」

白望「それは残念だなぁ...」

胡桃「シロ充電..!!」

白望「はいはい...」グデッ

エイスリン「ワォ!タコサン!」パァ

塞「コレはウィンナーに切り込みを入れて..」

エイスリン「ウン!ウン!」メモメモ

白望「....」ヒョイ パクッ

胡桃「そこ!いただきますしてから!」ビシッ

白望「おにゃふぁふぇっへは..」モグモグ

塞「全く.....はい、いただきます」

エイスリン「イタダキマース!」

胡桃「いただきます!」

白望「....気になってたんだけど」モグモグ

塞「んー?」モグモグ

白望「....後どれ位で村に着くの?」

塞「うーん...あと30分位かな」

胡桃「結構歩いたもんね」

エイスリン「ヤマ、キレイ!」

白望「帰りが心配だなぁ...」モグモグ

塞「まぁ、なんとかなるでしょ」

胡桃「11時までには家に帰れる様にします!」

エイスリン「ガンバル!」モグモグ

エイスリン「オベント、オイシイ!」

塞「ありがとっ」ニコッ

胡桃「食べ終わったらまた歩きかー..」

塞「もうひと頑張りだからっ!」

白望「...塞、お茶ある?」

塞「あるよー」ヒョイ

胡桃「塞はイマイチ決まらないね!」

塞「うるさいよ!」

村・周辺

塞「見えて来たー..!!」

白望「山に囲まれてるね..」

胡桃「んー..前時代にタイムスリップしたみたい」

エイスリン「ニッポン!スキ!」

塞「確かに日本って感じだよね..」

胡桃「あ、人が居るよ?」アソコッ

白望「.....」

白望「豊音の事聞いてみる..」

塞「シロ..大丈夫なの?」

白望「平気...」スタスタ

白望「あの...すみません」

村人「.......ん?」クルッ

村人「.....」

村人「此処は他所モンの来る場所じゃないぞ...」

白望「あの..豊音を探しに来ただけなんです...」

村人「豊音...?あぁ、疎外のか」

白望「疎外?」

村人「あぁ、この村の異端だよ...アンタ等もこの村にとっては異端だけどな」

白望「...それはどういう」

村人「この村に余所者は入れられないのさ、とっとと帰れ」

白望「.....失礼しました」

塞「シロ、どうだった?」タタッ

白望「あまり友好的ではなかったなぁ..」

胡桃「失礼しちゃうね!」プンスコ

白望「それに...豊音の事を疎外って」

塞「疎外?背向じゃなくて?」

白望「うん...私の聞き間違いかもしれないけど....」

胡桃「...雲行きが怪しくなって来たね」

エイスリン「トヨネ...ダイジョウブ?」

白望「...とにかく豊音を探してみよう」

塞「そうだね...広い村じゃないし」

白望「村の人にはなるべく見つからない様にね...」

胡桃「ラジャー!」

エイスリン「ガンバル!」ムフー

白望「私は家の中を探してみるから、三人は村の外を探して...」

塞「......」

塞「私も家の中を探すよ」スッ

白望「塞...」

塞「家の中を探す方が危険だもんね、自分だけ危険な仕事をしようなんて許せないかな?」

白望「......」

塞「......」

白望「...分かったよ」

塞「胡桃はエイちゃん、よろしくね!」

胡桃「...任せといて!」

胡桃「ほら、エイちゃん行くよ!」スタスタ

エイスリン「クルミ、ガンバロ!」スタスタ

白望「.....」

塞「さてと、何処の家から回ろうか..」

白望「取り敢えずは近い家からで...」

白望「人が居そうなら後回し..」

塞「オッケー...じゃあ私達も行こうか」

白望「うん....」スタスタ

村・中心部

胡桃「んー..畑ばっかだね!」

エイスリン「ヒト、イナイ」キョロキョロ

胡桃「確かに人は少ないみたいだけど....」

巨大石「....」

胡桃「これ..なんだろ」

エイスリン「イシ?」

胡桃「祀られてるみたいだけど...エイちゃん、触ったら駄目だよ?」

エイスリン「ワカッタ」コクン

胡桃「....何か色々ありそうだね、この村」

エイスリン「....?」

胡桃「取り敢えず戻ろっか..この先はまた山道だし」

エイスリン「ウン!」

村人「.....」スタスタ

胡桃「エイちゃん..隠れてっ..」

エイスリン「リョーカイ...」コソコソ

村人「....」キョロキョロ

村人「村長...この村に余所者が..」クルッ

村長「ふむ......」

村長「その余所者は豊音の同級生と?」

村人「はい...年頃も同じ様に見えましたし」

村長「ふむ......」

村長「.......」

村長「その者達を捕らえろ」

村長「一人も逃がすな...捕らえたらワシの所に連れて来るのじゃ」

村人「分かりました..!!」

胡桃「....」ヒヤアセ

胡桃「....まずいねコレ」コソコソ

エイスリン「ハヤクシラセナキャ..!!」コソコソ

胡桃「うん...急ごう」コソコソ

村人B「.....」


今日は此処までです。
続きは明日の朝から昼の間に投下します

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