なの「はかせがクッパにさらわれた」 (107)

東雲研究所

なの「ただいま~」

なの「はかせ~、今日は相生さんが……?」


しーん

なの「……はかせ?」

なの「はかせ~?阪本さ~ん?」

ドタドタ

キョロキョロ


しーん

なの「あれ、いないのかな?散歩にもで行ったのかな……」


ビスケット「あ、なのさん」

なの「ビスケット君、はかせどこに行ったか知りませんか?」

ビスケット「僕にも良くわかりません、僕が買い物から帰ってきたらもういなくなっていました……」

なの「そうですか……どこに行ったんだろう?」


コンコン

ゆっこ「ごめんくださ~い」

なの「あ、相生さん」

ゆっこ「おじゃましま~す」

なの「相生さん、早かったですね」

ゆっこ「学校からそのまま来ちゃった。

あれ、はかせは?」

なの「それが、はかせも阪本さんも何処かに行っちゃったみたいなんです」

ゆっこ「え、そうなの?」

なの「はい、前々から今日は相生さんがあそびに来るって伝えてあったので、はかせも楽しみにしてたんですけど……」

ゆっこ「そうなんだ…ビスケット君も知らないの?」

ビスケット「恥ずかしながら」

ゆっこ「うーん、どこ行ったんだろ。ちょっとその辺探してこようか?」

なの「あ、でもむやみに探しに行くより、うちで待ってた方が確実だとは思うんですけど……」

ゆっこ「それもそっか。じゃあ、ちょっとあがっていい?」

なの「どうぞどうぞ」

ゆっこ「おじゃましま~す」

ゆっこ「やっぱりなのちゃん家っていい匂いするね、何というか落ち着くよ」

なの「そうですか?それは良かったです。

あ、ちょっとお茶いれてきますね」ガタッ

ゆっこ「ありがとー」


キョロキョロ

ゆっこ「……はかせ何処かに隠れてたりしないのかな?

ちょっと探してみよう」

ゆっこ「タンスの中には~?

……いないや」

ゆっこ「こっちの机の下には?

……ここにもいない」

ゆっこ「まさかの湯船の中とか?

……まあそんなわけないよね」


ゆっこ「うーん、これだけ探していないとなると、やっぱり家の外に遊びに行っちゃったのかな……


ん?」

ゆっこ「な、何だこれ……」


なの「相生さん?」ヒョコ

ゆっこ「なのちゃん……」

なの「いつの間にかいなくなってたからびっくりしましたよ。

……どうかしたんですか?」


ゆっこ「なのちゃん、あれ何?」

なの「え?あれって……


うわぁ!何だこれ!?」

ゆっこ「何この緑色の……土管?

なのちゃん家の庭ってこんなの刺さってたっけ?」

なの「いえ、私も初めて見ました。朝はこんなの無かったんですけど……」

ゆっこ「ふーん……

あ、もしかして!」

なの「?」

ゆっこ「はかせも阪本も、この中に落ちちゃって出られないのかも!」

なの「えぇ!?そ、そんなの大変じゃないですか!」

ゆっこ「いや、まだそうと決まったわけじゃないよ!でも、もしかしたらそうかもなーって思って……」

なの「で、でも、戻ってこれないほど深いんでしょうか……?」

ゆっこ「どうだろ……ちょっと呼んでみるね。


おーい、はかせー!!」


ハカセーハカセーハカ……


2人(めちゃくちゃ深い……!)

ゆっこ「……ちょっと石を入れてみよう」

なの「はい」

ゆっこ「はかせ、当たったらごめんね!えいっ!」

ヒュー………


ヒュー……………


2人(とんでもなく深い……!)


ゆっこ「……なのちゃ」

なの「はかせえええええ!!!」

ゆっこ「!?」

なの「はかせえええ!!大丈夫ですかああああ!!?」

ゆっこ「ちょ、なのちゃん落ち着いて!」

なの「はかせ、はかせが……」

ゆっこ「ちょっと落ち着いてってば!まだこの中に落ちたって決まったわけじゃ……」

なの「…そ、そうですね……」

ゆっこ「でも、本当にどこに行っちゃったんだろう……」


ビスケット「お2人とも、少しいいですか?」

ビスケット「今はかせと阪本さんの残留思念を少し探っていたのですが……」

ゆっこ(残留…何?)

ビスケット「どうやらお2人は、その土管の中に落ちたようです」

ゆっこ(あ、スルーですか)

なの「そ、そんな……」

ビスケット「でも、少し不思議なことがあるんです」

なの「不思議なこと?」

ゆっこ(何だかよくわからないけどビスケット君て意外と高性能なんだなぁ)

ビスケット「まず、はかせと阪本さんは同時に落ちたわけではないようです。

まずはかせがその中に落ちて、それを追いかけるように阪本さんも飛び込んで行ったようです」

なの「はあ」

ビスケット「それからもう一つ。


土管の中を落ちていった2人の残留思念が、途中で途切れているんです」

なの「え?」

ビスケット「土管の底にぶつかる前に、まるでこの世界から消えてしまったかのように」

ゆっこ「と、いうことは……?」

なの「はかせはこの土管の底にはいないんですか?」

ビスケット「そういうことになりますね。

もっと言えば、この世界からもいなくなってしまいました」

なの「そ、それで、はかせ達はどこに行っちゃったんですか!?」

ビスケット「残念ながら、僕にもそこまでは分かりません……ただ、どこかで生きてはいるはずです」

なの「……………」

ゆっこ「……なのちゃん」

なの「……行きましょう」

ゆっこ「え?」

なの「こうしてはいられません!私ははかせを探しに行きます!」

ビスケット「ということは、その土管に入るんですか!?」

なの「もちろんです!」

ビスケット「ちょ、ちょっと待ってください!帰る方法もわからないのに無謀ですよ!」

なの「でも……それでも、はかせが待っているんです!こんなとこで指をくわえて待ってなんかられません!それじゃ!」


ゆっこ「ちょっと待った!」

2人「?」

なの「ど、どうしたんですか?」


ゆっこ「なのちゃん、置いてけぼりなんて連れないなあ。

私も一緒に行くよ!はかせを探しに!」

なの「相生さん!」


ビスケット「……わかりました。そこまで言うのなら……

でもくれぐれも気をつけてくださいね。留守番は僕がしておきます」

なの「ありがとうございます!

それじゃあ相生さん!」

ゆっこ「いいよ、準備オッケー!」


2人「せーのっ!!」

???


「あー、やっと終わったよー。遠出で訓練ってのも辛いもんだな」

「ま、明日はOFFだし、ゆっくり休むとしようぜ」

「意義なーし……ん?」

「どうした?」

「……あれ、木の根本見てみろ」

「ん?……あ、誰か倒れてるぞ」

「ちょっと行ってみよう」

「……………」


「子ども……だよな?」

「ああ、人間の子どもだ」

「何でこんなとこに人間の子どもなんか……」

「おーい、こんなとこで寝てたら風邪ひくぞー……」ユサユサ


「……………」

「……起きねーや」

「というか気絶してるんじゃないか?ほら、ここケガしてるし」

「あ、ホントだ。


………どうする?」

「どうするったって……ここまで関わった以上、放って帰るのも気が引けるよ」

「……とりあえず、城に運ぶぞ」

「ああ」

クッパ城


「おうお帰り……何だそいつ?」

「何か道端で倒れてたから、つい」

「そうか。
お前ら、今日はクッパ様がいらっしゃるから、帰ってきたんなら挨拶しに行けよ」

「了解」


「こいつどうする?」

「とりあえずクッパ様んとこ連れてけ、それからどうすればいいか聞くといい」

「はいよ」

コンコン

クッパ「いいぞ、入れ」

兵士1「失礼しまーす」

ギイィ……


兵士1「クッパ様、ただいま帰りました」

クッパ「お前達か、訓練ご苦労。

……何だその子供は?」

兵士2「あ、先ほど道に倒れていて、放っておくのも忍びなく思い……」

クッパ「それで連れて帰ってきたというのか?」

兵士2「な、何か問題が?」

クッパ「ワガハイは泣く子も黙るクッパ様だぞ!そのワガハイがかわいそうな子供を拾って看病してやったなどという噂でも流れてみろ!

特にマリオの奴にでも知られた日には……あああ、考えるだけで鳥肌が立つ!」

兵士1(そ、そんな理由で!?)

兵士2「ももも申し訳ありませんでした!すぐに元に戻して……」


クッパ「……しかしまあ、連れて帰ってきてしまったのなら仕方が無い。医務室で治療をしてやれ」

兵士1「え、いいんですか?」

クッパ「いいと言っとるのだ!早く行け!」

兵士達「は、はいただいまー!!」

バタバタ

バタン


クッパ「まったく、そんなに優しく鍛えた覚えはないぞ。

しかし子供か……しかも人間の……

動き回られるとすこし厄介だな……


……そうだ!誰か、誰かいるか!?」

兵士「お呼びでしょうかクッパ様?」


クッパ「カメックババを連れて来い」

兵士「はっ!

しかしババ様は今ピクニックの準備を……」

クッパ「アホか!今すぐに連れてくるのだ!」

兵士「か、かしこまりましたー!!」ピュー



クッパ「人間の世話は人間がみればいいのだ!ガッハッハ……」

山奥の家

プルルルル

モシモーシ


「はいはいただいまー!

はあ、忙しすぎて目が回るよ!どうしてワープ土管が一斉に壊れたりしたんだ!?」

ハヤクデロー

キコエネーノカー


「うるさいなあもう!兄さんは遠くの国に出張修理に出てるし、今この国には僕しかいないっていうのに……」


ドタバタドタバタ

ガチャ


ルイージ「はいこちら配管工マリオブラザーズです!」

ルイージ「はあ、やっとひと段落だ。

それにしても、おかしなこともあるもんだなあ。国中のワープ土管が一斉に調子悪くなっちゃうなんて。

まあ終わったことだしいいか。さーて、ちょっとお茶でも飲もうかな……」


ガタガタ

ルイージ「ひっ!?

な、何だ!?」

ガタガタ
ガタガタ


ルイージ「家の横のワープ土管が……まさか、また壊れたの!?」


ブルルルルル

ポーン


ゆっこ「うわぁ!」
なの「きゃあ!」

ルイージ「!?」

ゆっこ「いたたた、まさか落ちてたのに放り出されるとは……」

なの「相生さん、大丈夫ですか?」

ゆっこ「うん、なんとか」

ルイージ(だ、誰だ?明らかにキノピオ族じゃないし……)


ゆっこ「それにしてもここどこだろう?何か山の中みたいだけど」

なの「ここにはかせはいるんでしょうか?」


ルイージ「あ、あのー……」

2人「?」

ルイージ「どちら様で?」

なの「え、えっと……」

ゆっこ「あの、私たち、土管に入ったらここに放り出されちゃって……」

ルイージ「あー、ごめんね。今ちょっとワープ土管の調子が悪かったんだ。けどもう修理は終わったから大丈夫だよ。どこから来たのかな?」

ゆっこ「時定ってところです」

ルイージ「えーと、トキサダメ……?

聞いたことないなあ、そっちのネジの子もおんなじ?」

なの「あ、はい」

ルイージ「トキサダメトキサダメ……

あれ?おかしいなあ、そんな地名はないよ」

ゆっこ「え?そんなはずは……」

なの(相生さん、相生さん!)

ゆっこ「?」

なの(もしかするとここは、ビスケット君が言ってたような別世界なのかもしれません)

ゆっこ「えぇーっ!?別世界!?」

ルイージ「ど、どうかした?」

ゆっこ「あ、すいません」

なの「あの、ここってどこなんですか?」

ルイージ「ここかい?ここはキノコ王国だよ」

ゆっこ「キノコ王国?聞いたことあるようなないような……」

なの「でも、明らかに私達の世界には存在しない国ですよ」

ルイージ「あのー……」

2人「?」

ルイージ「ちょっと話を聞かせてくれないかな。何か事情があるようだし」

なの「あ、はい。実は……」

ルイージ「……なるほど。つまり2人は、その博士って子を探して土管に入ったらここに来たということか」

なの「そうなんです。すいません、はかせを見てませんか?」

ルイージ「そういう子は見てないなあ」

なの「そうですか……」


ルイージ「多分だけど、僕達の住んでるキノコ王国と、君達の住んでるトキサダメは、君達の言うとおり別の世界なんだ。

ワープ土管の不調のせいで、本来なら何の関係もない二つの世界が繋がってしまったみたいだね」

ゆっこ「なるほど……」

ルイージ「まあ、それはこっちの不備だし、帰る手段は何とかするよ。

それより君たちは、その博士って子を探してるんだよね」

ゆっこ「はい。土管に落ちたってことはわかってるんですけど……」

ルイージ「うーん……もしかしたら博士は、ここじゃない別の土管に行っちゃったのかもしれないなあ。少なくともここにはいないよ」

なの「そうですか……」

ゆっこ「となると、探すのは大変そうだなあ……」

ルイージ「とりあえず街に行ってみようか。何かわかるかもしれない」


コンコン

ルイージ「ん?」

パレッタ「郵便でーす」

ルイージ「やあパレッタ、いつもご苦労様」

パレッタ「ルイージさん、その手紙なんですけど……」

ルイージ「え?

……ああ、いつものアレか」

パレッタ「毎度毎度ご苦労様です」


ゆっこ「いつものあれって?」

ルイージ「キノコ王国にはお姫様がいるんだけどね、そのお姫様がしょっちゅうクッパって悪者にさらわれるんだ。で、その度にお城から僕達に手紙がくるんだ」

なの「さ、さらわれるって、大変じゃないですか!」

ルイージ「大丈夫大丈夫、いつものことだから」

パレッタ「あ、あと一つ」

ルイージ「どうしたんだい?」

パレッタ「さっき郵便でクッパの城に行ってきたんですけど、ある部屋から何か小さな女の子の声が聞こえたんですよ」

ルイージ「女の子?ピーチ姫じゃないの?」

パレッタ「もっと小さい、子供みたいな声でした。
それでその部屋を覗いてみたら、オレンジ色の髪の小さな女の子がベッドで寝てたんですよ」

ルイージ「オレンジ髪の女の子か……誰だろう」



なの「はかせです!!!」

ルイージ「え?」

なの「その子がはかせです!間違いありません!」

ルイージ「そ、そうなのかい?」

なの「はい!」

ゆっこ「まさか悪者にさらわれてるなんて……」

なの「こうしてはいられません!早く行きましょう!」

ゆっこ「行くよなのちゃん!」

なの「はい!」


ルイージ「ちょっと待った!」

2人「?」

ルイージ「助けに行くのはいいけど、クッパの城の場所わからないでしょ……」

2人「あ」

ルイージ「うーんそうだなぁ……兄さんはいないけど、まあいいか。

よし、僕もクッパ城に行くよ。姫も助けに行かないとだしね」

なの「ホントですか!」

ルイージ「ああ。善は急げだ、早速出発しよう!」

2人「おー!」

クッパ城医務室


はかせ「……む~……

……あれ?ここどこ?」


ノコ医者「目を覚ましたか」

はかせ「うわ、カメがしゃべってる!」

ノコ医者「亀で悪かったな。どうだ、どこか痛いところはないか?」

はかせ「だいじょーぶ、はかせは元気いっぱいです!」

ノコ医者「そうか。まあもう少し安静にしとけ。くれぐれも城の中を歩き回ったりするんじゃないぞ」

はかせ「おしろ?

あ、行っちゃった……

……よっと」ピョイ


はかせ「ここどこだろう?」

コンコン

はかせ「ごめんくださ~い」


しーん

はかせ「……誰もいないんだけど」


コンコン

はかせ「もしも~し」


しーん

はかせ「………おもしろくない」


兵士「誰だ!そこで何してる!」

はかせ「!?」

兵士「何だ、さっきの子供か。医務室にいろと言われなかったのか?」

はかせ「そんなこと言われてないんだけど」

兵士「ったくノコ医者め、面倒増やしやがって……

おっ、そうだ。

おいガキ、ちょっとこっちに来い」

はかせ「はーい」


兵士「この部屋に入ってろ」


ドン!

はかせ「うわっ!」


ガチャ

はかせ「もー、何するの!びっくりしたんだけど!」


???「誰かしら?」

はかせ「?」

はかせ「こんにちははかせです」

???「博士……ずいぶんと可愛らしい博士もいるものなのね」

はかせ「おねーさんは?」

ピーチ「私はピーチ。一応キノコ王国のお姫様なんだけど……」

はかせ「おひめさまなの!?すごーいかっこいー!」

ピーチ「かっこいい…かしら?」

ピーチ(この子がクッパが言ってた女の子なのかしら……確かに、何だか私たちと雰囲気が違うわね)

はかせ「ねーねー、お話しよー!」

ピーチ「いいわよ。じゃあ何のお話をしましょうか……」

ピーチ(まあ、あまり深く考えなくてもいいわよね)

草原の国


ルイージ「そういえば、君達は土管に入ってこの世界に来たんだよね?」

ゆっこ「はい、そうですよ」

ルイージ「その土管って、元々あった?それとも突然生えてきた?」

なの「その瞬間は見てませんが、多分生えてきたんだと思います」

ルイージ「ということはもしかして……」

2人「?」

ルイージ「もしかすると、君達が通って来た土管の他に、別の土管が君達の世界に生えたかもしれない。それに、君達以外の誰かも僕達の世界に来ているかもしれないね」

ゆっこ「そういうことか……」



「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

3人「!?」

ルイージ「な、何今の声?」

ゆっこ「なんか聞いたことある声だったような……」

なの「はい、私もそう思いました」

ルイージ「え?」


「やめろおおこっちに来るなあああ!!」
「悪かったって!勝手に見て悪かったって!」
「助けてくれええええ!!」

「ぬおおおおおおおおおおお!!!!」


ルイージ「な、何が起こってるんだ!?」

ゆっこ(この声絶対……)


ルイージ「と、とりあえず行ってみよう!」

ルイージ「あ、あそこだ!」

「ひいいいいいい!!」
「鬼!悪魔!やめてええ!!」
「うわああああああ!!」

ルイージ「な、何だあれは!?クッパ軍団が次々に吹っ飛ばされていってる!?」

ドカン
ドゴン
ズドドドド

ルイージ「誰だ!誰がいるんだ!」



みお「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


ゆっこ(あーやっぱり)
なの(長野原さんでした)


ゆっこ「みおちゃん!!」

みお「うおおおおおお……お?」

「い、今だ!逃げるぞ!」
「ひいいいお助けええええ!」


みお「なんか今ゆっこの声が聞こえたような……」


ゆっこ「みおちゃん!こっちだよ!」

みお「えっ?…

…あっ!ゆっこ!」


ルイージ「し、知り合いなのかい?」

なの「はい、友だちなんです」

ルイージ「そ、そうかそりゃよかった」


ゆっこ「みおちゃん、何であんなとこで暴れてたの?」

みお「こっちが聞きたいよ、漫画の原稿出しに行こうと思ったら何か穴に落ちて、気がついたらここにいたんだよ。

しかもさっきの奴らに原稿見られちゃうしさ……」

ルイージ「なるほど、君も土管に落ちてしまったようだね」

みお「あれ、あなたは?」

ゆっこ「この人は……そういえば名前聞いてなかった」

ルイージ「僕の名前はルイージ。そういう僕も君達の名前を聞いてなかったね」

ゆっこ「相生祐子です、ゆっこって呼んで下さい」

なの「私は東雲なのっていいます」

みお「私は長野原みおです。

ところで、さっきの土管云々っていうのは?」

ルイージ「まあ簡単に説明すると……」

ルイージ「……といったところさ」

みお「ふーん……」

ゆっこ「案外リアクション薄いねみおちゃん」

みお「何か現実味がなさ過ぎるというか」

なの「それで私達ははかせを追ってきたんです」

みお「そういうことだったのか……

あ、私もついていっていい?ここにいたってどうしようもないし」

ゆっこ「いいよー。ですよね、ルイージさん?」

ルイージ「ああ、構わないよ」


なの「こんなところで会えるなんて、何だかすごい偶然ですね」

みお「そうだねー」

クッパ城


ピーチ「……というわけ。めでたしめでたし」

はかせ「おもしろかった!こんどははかせがおはなしするね!」

ピーチ「あら、それは楽しみね。どんなお話なのかしら?」



クッパ「うむうむ、作戦成功なのだ」

ババ「ガキンチョの相手をピーチ姫にさせるとは、さすがはクッパ様。ナイスアイデアですぢゃ。

しかし、このままではマリオが助けに来るのでは?」

クッパ「ガハハハ、心配するな!昨日国中のワープ土管に細工をしてやった!今頃マリオは仕事に追われて、ピーチちゃんどころではないはずだ!」

ババ「そこまでお考えになっておられるとは、さすがはクッパ様ですぢゃ!」

クッパ「フン、当然だ!

気分も晴れた、ワガハイは少し散歩をしてくるぞ」

ババ「かしこまりましたですぢゃ」


ピーチ(…………)

砂漠の国

ゆっこ「何この太陽!追いかけてくるよ!?」

ルイージ「早くこっちに!その太陽はなかなか倒せない厄介な相手なんだ!」

なの「長野原さーん!」

みお「ちょ、ちょっと待って!原稿が!」


ボッ

ゆっこ「あっ」

みお「ノオオオオオオオ!!!」ドドド

ルイージ「あっ、近づいちゃ……」


みお「フン!」

ドグッ


ルイージ「」

海の国


みお「わー、綺麗な海!」

なの「ホントですね!」

ゆっこ「こんなことなら水着持ってくればよかったなー」

ルイージ「いや、この海では泳がない方がいいよ」

ゆっこ「え、何でですか?」


ザバッ


バクバク「」


ゆっこ「………」

ルイージ「こいつがいるから」

ゆっこ「わ、わかりました……」



なの(あれ?そういえば阪本さんは?)

巨大の国


ゆっこ「うわーでっかい!全部でっかい!」

ルイージ「大きくなっただけで、本質的にはあんまり変わってないんだけどね」

なの「そうはいっても……」

みお「ちょっと怖いかも……」


スー……


4人「?」

ゆっこ「何、この音?」


ズズズズズ

みお「な、何か地響きが!?」

ルイージ「一体何が……!?


みんな逃げて!カメのこうらがこっちに突進して来てるよ!」

3人「えぇーっ!?」

ゆっこ「何でなんで!?誰が飛ばして来たのおお!!」ドドド

みお「知るわけないでしょそんなことおおお!!」ドドド

なの「ひいいい潰されるううう!!」ドドド

ルイージ「ここは僕が何とか……?」


ヒュッ

バキャッ


4人「」


みお「大きなこうらが真っ二つ」

ルイージ(あの大きなこうらを一瞬で真っ二つに……誰がこんなことを……)

ゆっこ「こわかったあー……」

なの「でも、何とか助かりましたね」

ルイージ「みんなが無事でよかったよ」

みお「でも誰だろうね、壊したの」

麻衣「私」


4人「……え?

ええーっ!?」


みお「ま、麻衣ちゃんいつの間に?」

麻衣「たった今」

ゆっこ「ま、麻衣ちゃんがこのこうら壊したの?」

麻衣「初めて」

なの「す、すごいです水上さん!」

麻衣「気づいた」


ルイージ(何なんだ……何なんだこの子達の友達は……!!)

ルイージ「……と、というわけで、僕達はいまここにいる…んだ…け……ど……」

麻衣「」Zzz

ルイージ「聞いてない……」

ゆっこ「麻衣ちゃんはとっても麻衣ペースですから」

みお「はいもうホント」

ルイージ「……まあいいか。それじゃあ出発しようか」

ゆっこ「よーし出発!」

みお「あ、ちょっと待ってよ!」

麻衣「」Yyy

なの「さて、と」


ルイージ(すごい女の子もいたもんだなぁ)

クッパ城


ピーチ「ねえはかせ」

はかせ「んー?なーにー?」

ピーチ「ちょっと、このお城の中を探検して見ない?」

はかせ「たんけん?いいよー、やりたい!」

ピーチ「じゃあちょっと待ってて、確かこの辺りに……あ、あった!」

ポチッ


はかせ「何おしたの?」

ピーチ「このスイッチを押すと……」


ゴゴゴゴゴ

はかせ「わー、かべが動いてる!」

ピーチ「これで部屋の外に出れるわ。

さあ、行きましょ!」

コソコソ

ピーチ(音を立てないようにね)

はかせ(はーい)


ギィー

バタン


ピーチ「とりあえず適当な部屋に入ったけど……」

はかせ「この部屋なに?」

ピーチ「ここは確か……」



ガチャ

ピーチ「あ」

クッパ「ム?」

はかせ「うわ、でっかい!」

ピーチ(ああ、何てタイミングが悪いのかしら!)

クッパ「ピーチちゃん、それにガキンチョ!ワガハイの部屋で何をしとるんだ!」

ピーチ「ちょ、ちょっとお散歩……みたいな?」

クッパ「何だ散歩か。それなら構わん」

ピーチ「あ、そうかしら?それじゃあ私達はこの辺で……」

クッパ「ああ、気をつけて……



なんて言うとでも思ったら大間違いなのだ!!」グワァ

ピーチ「いやあああやっぱりいい!!」

クッパ「ガキンチョ、キサマもだ!さっさと部屋から……」


はかせ「………か」

クッパ「ん?」


はかせ「かっこいー!!」

ピーチ「え?」

クッパ「な、何?」

はかせ「ツノかっこいー!キバもかっこいー!!」

クッパ「そ、そうか!ガキンチョ、お前はなかなか見る目がありそうだな!」

はかせ「ねー他にない?ねーねー!」

クッパ「むむ、そうだな、ならばこれはどうだ?」クルッ

はかせ「わー!せなかのトゲかっこいー!!」

クッパ「そうかそうか!ならばこいつはどうだ!」

ゴオオオオ

はかせ「うわああー!!炎はいたー!!ちょーかっこいー!!」

クッパ「ガハハハハ!ガキンチョ、お前を特別にクッパ軍団に入れてやってもいいぞ!」

ピーチ「何だか意気投合しちゃったわね。

ま、それはそれでOKなんだけどね」

空の国


みお「た、高っ……」

ルイージ「脅すわけじゃないけど、落ちたら助からないからね」

なの「な、なんでそんなこと言うんですか……ますます怖く……」


ゆっこ「2人ともー、大丈夫ー?」ピョンピョン

麻衣「………」ピョーンピョーン


みお「何であの2人は普通に進んでるのよ……」

なの「足を動かすだけで怖いです……」


ルイージ「大丈夫大丈夫、落ちなければ平気だからね」

氷の国


ゆっこ「寒っ!!」

なの「わわっ、あ、足元も滑ります!」ツルツル

麻衣「………」スィー

ルイージ「(……あの眼鏡の子、本当に何者なんだろう)

……ん?」


……ぉぉぉぉ

ゆっこ「待って!何か聞こえるよ!」

みお「ホントだ」


………おおおおおお

なの(あれ?この声……)


「おおおおおおおおおおお!!!」

ドンガラガッシャーン!!

ルイージ「何かすごい勢いで飛んで来たよ!?」

みお「何!?隕石!?」

麻衣「?」



阪本「……いててて、あのゴリラめ無茶しやがって……」

なの「阪本さん!無事だったんですね!」

阪本「ん?ああ娘か。お前も土管に入ったんだな」

なの「はい、でも阪本さん、いままでどこにいたんですか?」

阪本「俺は土管から出たら何かゴリラだらけの島にいた」

ルイージ(ああ、ドンキー達の島か)

阪本「んで、大砲でここまでとばされた」

なの「だ、大丈夫だったんですか?」

阪本「ああ、なんとかな」

ゆっこ「よかったねなのちゃん、阪本見つかって!」

なの「はい!あとははかせだけです!」

みお「じゃあ早いとこ行っちゃおうよ」


ルイージ「あ、ちょっと待って」ピポパ

ルイージ「……あ、もしもし兄さん?そっちはどう?

あ、もうすぐ終わりそうなんだ!そりゃよかった。

実は今氷の国まで来てるんだ。え?うん、うん、そ、いつものアレ。

というわけで、今からそっちに行くから、そこで合流しようよ!

うんわかった、またねー」


ゆっこ「どちらに?」

ルイージ「僕の兄さんのところさ。ちょうど次の国で働いてるんだ」

土管の国


ゆっこ「うわー、土管だらけ」

みお「お兄さんこんなところで働いてるんですか?」

ルイージ「うん、ここの土管が軒並みダメになったから、修理してるんだ」


にゅにゅー

パックン「」ガブガブ

なの「ひい!」

ルイージ「土管からパックンフラワーが出ることがあるから気をつけてね」

なの「わ、わかりました……」

ルイージ(しかしいやにパックンフラワーが多いな、何かあったんだろうか……)


ゆっこ「ちょ、ちょっとルイージさん、周り見て下さい!」

ルイージ「ん?……ゲッ!」

ルイージ「か、囲まれた!いつの間にこんなにパックンが……」

みお「ど、どうしよう……」

ゆっこ「だ、段々近づいてきてますよ!」

なの「こ、こっちにこないでください!」

麻衣「」Zzz

ルイージ「くそっ、どうすれば……」


「そこまでだぁ!!!」

5人「!?」


「うりゃああああ!!」

ボボボボボ

ゆっこ「す、すごい!あっという間に燃えていく!」

ルイージ「あ、あれは!」


「待たせたなルイージ!」

ルイージ「兄さん!」

マリオ「やっと仕事終わったよー!今回は骨が折れたぜ」

ルイージ「お疲れ様」

マリオ「ハッハッ……ん?この子らは?」

ルイージ「ああ、じつはかくかくしかじか……」



マリオ「へー、それでこんなところまでついてきたのか。すごい根性だな~」

なの「早くはかせを助けたいので!」

マリオ「そのはかせって子も幸せだなぁ。
しかしクッパ、何でピーチ姫はともかくそんな小さな子供までさらったんだ?」

麻衣「ロリコン」


5人「……えっ」

クッパ城


クッパ「ガハハハハ!ワガハイの魅力を存分に味わったようだな!」

はかせ「クッパー!もっかい炎はいてー!」

クッパ「いいだろう、そらっ!」

ゴオオオオ

はかせ「かっこいいー!!」

クッパ「ガハハハハ!!」


ピーチ「すっかり懐いちゃったようね。けど、私は今回何の為にさらわれたのかしら?
……まあ考えても仕方ないわね」


クッパ「そーら、高い高ーい!」

はかせ「もっとやってもっとやってー!」



ガチャ


クッパ「!?」

マリオ「クッパ!ピーチ姫とはかせを……」

ピーチ「あっ」


クッパ「…………」



全員「……………」


ゆっこ「……な、何かお取り込み中の様ですね」

みお「そ、そうだね、邪魔しちゃ悪いよね」

クッパ「ま、待て貴様ら!誤解だ!誤解なんだ!」


マリオ「へぇー、クッパさんあんたそんな趣味があったんですねぇ~」

クッパ「違うと言っとろうが!やめろ!そんな目で見るな!」

なの「はかせ!!はかせぇ~!!!」

はかせ「あっ、なの!」ガシッ

なの「もう、どれだけ心配したと思ってるんですかぁ~!!!」ウルウル

はかせ「ごめんなさ~い」


ルイージ「つまり、はかせちゃんはさらったわけじゃないと」

クッパ「当たり前だ!ワガハイはあんなガキンチョには興味はないぞ!」

マリオ「ふーん。ま、そういうことにしといてやるよ。

た・だ・し」

クッパ「!?」

マリオ「ピーチ姫をさらったことはまた別の話!成敗してくれる!」

ルイージ「僕も手伝うよ兄さん、全く人騒がせな話だね」

クッパ「ちょ、ちょっと待て!これにはわけが」

マリオ「問答無用じゃああああ!!」


ギャアアアアア

クッパ「」チーン


なの「はかせ、もうどこにも行かないでくださいね」

はかせ「はーい」

ゆっこ「よかったねなのちゃん!」

ピーチ「マリオ、ありがとう!」

マリオ「いえいえ、当然のことをしたまでです」


ルイージ「はぁ、これで万事解決……

じゃない!」

全員「?」


ルイージ「何とかして、この子達が元の世界に帰る方法を探さないと!」

ゆっこ「あっ、すっかり忘れてた!」

みお「そうだよ、どうやって帰ろう?」

マリオ「よくわかんねーけど、そういうのはオヤ・マーの爺さんあたりに聞けばいいんじゃねーの?」

ルイージ「そうだね、ちょっと聞いてみるよ」

オヤ・マー「方法はあるにはあるが、少し時間はかかるぞい」

ルイージ「どれくらいかかりますか?」

オヤ・マー「まあ、長く見積もって3.4日ぐらいかのう。それまでそのお嬢さんたちにはこの世界で遊んでおいてもらえ」

ルイージ「わかりました、ありがとう博士!」



ルイージ「というわけで、何日かこの世界にいてもらうことになっちゃうけど……」

ゆっこ「私は別にいいですよー、この世界結構楽しいですし」

みお「私も、今回の原稿はあきらめたし」

麻衣「イナフ」


はかせ「ねーねーなのー!」

なの「はーい?」

はかせ「はかせクッパに会いに行きたいんだけど!」

なの「え?」

はかせ「いってきまーす!」

なの「あぁ、ちょっと待ってくださいぃー!!」

なの(こうして私達は、マリオさん達の世界での数日間を、とても楽しんで過ごしました。

短い時間でしたが、それは本当に濃く、楽しく、素敵な数日間でした。

お別れの時、最後まではかせは『クッパに会いたい』とぐずっていましたが、みんなで何とか説得して、ようやく折れてくれました。

元の世界に戻ってきた私たちですが、あの人たちに会いたいと、不意に思うことがあります。

しかし、本来は別々の世界の住人である私達には、それは叶わぬ願いなのかもしれません。

だから私達は、せめてこの数日間の思い出を、大切にとっておきたいと思います。


そういえば、最近はかせが私に、新しい機能として、収納可能な角と、喉の奥の火炎放射器を追加しました。何に影響されたのでしょうか?)


END

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お粗末様でした

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