【日常】なの「はかせ~、ご飯ですよ~」 (22)

多少の鬱展開を含みます
苦手な方は避けてください

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はかせ「うん...」

なの「今日の晩ご飯は、はかせの好きな山菜と、三本向こうの道に生えてるキノコと、なんと猪肉です!」

はかせ「豪華...だね」

なの「はい! 頑張ったんですよ~。猪、すごい逃げるから、途中で小指飛んでいっちゃって...」

はかせ「あれ、取れないようにしなかったっけ...?」

なの「うーん、たぶん仕掛けのところが錆びちゃったんじゃないですかねえ」

はかせ「...はかせ、腕落ちちゃったかも」

なの「誰にでもミスはありますよ。私なんて、はかせには到底及びません」

はかせ「ご馳走...」

なの「ご馳走様でした。もうお腹いっぱいです~」

はかせ「...」

なの「そういえば、はかせ、昔はご飯の前にお菓子食べちゃって、完食できないことが結構ありましたよね」

はかせ「...あの頃はごめんね。せっかくなのが作ってくれてたのに」

なの「いいんですよ。今はこうして全部食べてくれることが何よりの幸せです」

はかせ「...ねえ、なの」

なの「何ですか?」

はかせ「...実は、今日なんだ」

なの「...え?」

はかせ「これが最後の晩餐、って言うのかも...」

なの「...もう、何言ってるんですか!? からかわないでください!」

はかせ「からかってないよ?」

なの「嘘です!」

はかせ「嘘じゃないよ?」

なの「だって、だって...うぅ...」グスッ

はかせ「なの...」ナデナデ

なの「まだですよ...だって、だって...私、一人になっちゃう...」

はかせ「...ごめんね」

なの「本当に...今日なんですか?」

はかせ「うん...あと一時間もないかも」

なの「そんな...なんで、もっと早く言ってくれなかったんですか? こんな料理じゃ...」

はかせ「ううん。凄く美味しかった。絶品だったかも」

なの「でも、でも...」

はかせ「それにね...なのには、できるだけいつもどおりでいて欲しかったの」

なの「そんなの...無理ですよぉ」グスッ

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今から千年と数百年前、人類は滅亡してしまった
気候変動により、徐々に人類が対応できない環境になってしまったからだ
でも、私は...私達は違った
ロボットだからだ
はかせも自身ロボットだということは、人類が絶滅するちょっと前に聞いた
そして、私が作られた目的もその時聞いた
大昔、人類は滅亡した
それを補おうと、はかせは忠実に『人』を大量に作った
でも、いずれ来る人類滅亡の時に、一人で残されるのが怖い
...その時のために、『人』ではない私は作られた


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はかせ「なの...」

なの「...はい」

はかせ「怒ってる?」

なの「グスッ...何にですか?」

はかせ「はかせが...なのを作ったこと」

なの「いいえ...むしろ感謝してます」

はかせ「へ...?」

なの「おかげで、学校のみんなと出会うことができました。坂本さんと出会うことができました」

なの「出会いは、私の心を豊かにしてくれました」

なの「その分、別れも辛かったですけど...それでも、それが無ければ良かったなんて思ったことはありません」

なの「それに...はかせがいましたから」

はかせ「はかせ...?」

なの「はい。はかせは、私にいろいろ教えてくれました。物の名前や技術、それに...心です」

はかせ「えへへ、褒められちゃった...」

なの「...はかせ」

はかせ「なに...?」

なの「一人に、しないでください...ううぅぅ」

はかせ「...ごめんね、なの」

なの「...私は、どうすればいいんでしょう?」

はかせ「え...?」

なの「私も、ロボットを作ればいいのかもしれません。でも、私はまだまだ技術が足りないから、私よりも早く停止してしまいます」

なの「結局...最後は一人です」

はかせ「大丈夫。何回も作れば、なのも上手になるよ」

なの「でも...」

はかせ「なの、料理上手だったもん」

なの「...」

はかせ「...なの?」

なの「もっと...もっと良い料理を作ればよかった...」

なの「もっとはかせと遊んどけばよかった...」

なの「もっと色々教えてもらえばよかった...」

なの「もっと、もっと...はかせ...」

はかせ「...ねえ、なの。お願いがあるの」

なの「うぅ...何ですか?」

はかせ「いつもみたいに、一緒にお昼寝して欲しいかも...」

なの「でも...いえ、分かりました」

はかせ「えへへ、やっぱり、なのと寝るの好きかも」

なの「私もですよ。でも、このネジがあるせいで、ずっと寝づらいです」

はかせ「でも、それが可愛いんだもん...」

なの「ふふ、はいはい」

はかせ「...ねえ、なの」

なの「何ですか?」

はかせ「生まれてくれて、ありがとう...」

なの「はかせ...」

はかせ「おやすみ...」

なの「...おやすみなさい、はかせ。大好きです」

なの「...んん、あ、もう朝だ。ご飯作らないと」

なの「はかせ、起きてください。はかせ~」

なの「...はかせ、起きてくださいよ」

なの「お寝坊は...ううっ、ゆる...許しませんから...ひっく」

なの「はかせ...」

なの「...はかせ、私、どうすればいいんでしょう?」

なの「分からないけど...でも、何かしないと、私が昨日停止した時に、天国ではかせに怒られちゃう」

なの「まずは...はかせのお墓作りかな」

なの「...ふう、できた。はかせの...新しいおうちですよ」

なの「毎日会いに来ます」

なの「毎日おしゃべりしましょう」

なの「私...はかせのこと、忘れません。忘れられません」

なの「いただきます」

なの「...」モグモグ

なの(やっぱり、一人で食べるご飯は寂しいな...)

なの「お友達...欲しいな」ボソッ

なの「...できた!」

1号「コンニチハ。ワタシハ、ロボットイチゴウ!」

なの「こんにちは! うふふ、これから色んなこと教えてあげるね!」

なの「そうだ、はかせに紹介しよう」

なの「はかせ。私の新しい友達、ロボット1号です。これからはイチローと呼びたいと思います」

なの(あ、でも、昔のすごいスポーツ選手でイチローさんっていたような...まあいいか)

1号「ナノサン」

なの「うん、何?」

1号「コレハナンデスカ?」

なの「えっとね、それは---」

なの「...また壊れちゃった」

なの「九十九くん、今までで一番長く行きててくれたな...」

なの「イチローなんて、一週間くらいで死んじゃって...」

なの「うう...もうやだよ」

なの「これじゃ、私が殺してるみたいだよ...」

なの「結局...ずっと、一人ぼっち」

なの「...できた。起きて、ひゃっくん」

100号「んん~...あれ、ここはどこ?」

なの「!」

なの(凄い...初めて滑らかに喋る子ができた)

なの「ここはね、東雲家だよ」

100号「東雲家...」

なの「そうだよ」

100号「僕は?...僕は誰?」

なの「君はね、ひゃっくん。ロボット100号だから、ひゃっくん」

100号「ひゃっくん...そうだ! 君の名前は?」

なの「私はね...」

?(...あれ?)

100号「? どうしたの?」

?「え、あの、あれ?」

なの(...私は誰? 名前すらも分からない。今までで、私に興味を持ってくれるような子を作れなかったから...自分の事なんてどうでも良くて...)

100号「?」

?「私は...」

はかせ2「...私はね、はかせ」

100「はかせ?」

はかせ2「そうだよ。私があなたを作ったの」

100「そうなの!? ありがとう、はかせ!」

はかせ2「こちらこそ、生まれてくれて、ありがとう!」

はかせ2「...ねえ、りと」

りと「何ですか? はかせ」

はかせ2「...今日が、あの日なんだ」

以上です

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