喪黒「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん」
喪黒「ただのセールスマンじゃございません」
喪黒「私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます・・・」
喪黒「この世は老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり」
喪黒「そんな皆さんのココロのスキマをお埋め致します」
喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が『満足』されたらそれが何よりの報酬でございます」
喪黒「さて、今日のお客様は・・・」
カーン!
ジャック・アトラス(19) 決闘者
『コーヒー中毒』
ホーッホッホッホッホ・・・
ジャック「うーむ、この至上の香り、気高き風味、まさに俺のためにあるようなコーヒーだな」
彼が飲んでいるのは1杯3000円の超高級コーヒー、「ブルーアイズマウンテン」である。
遊星「ジャック!ここにいたか!」
ジャック「遊星お前も飲むがいい、このキングがじきじきに貴様らに振る舞・・・」
クロウ「いい加減こんなクソたけぇコーヒー飲むのやめろよ!!」
ジャック「何だと!?」
クロウ「全くお前は働きもしねぇで毎日毎日そんな無駄に高いコーヒーばかり!」
遊星「頼むから少し控えてくれないか・・・WRGPも迫っているころだし・・・」
ジャック「貴様!この俺からこの気高きブルーアイズマウンテンを取り上げるというのか!?」
クロウ「帰るぞジャック!」
ジャック「待って!」
~ガレージ~
ブルーノ「お疲れ様」
遊星「ああ・・・全く一苦労だ」
ブルーノ「ジャックは?」
クロウ「部屋に籠っちまったよ、ったく・・・」
遊星「ジャックだって辛いのはわかってるんだ・・・でも・・・」
遊星「このWRGPは、そう簡単に勝てるような大会じゃない」
クロウ「何てったって世界中の腕利き決闘者たちが集うんだからな・・・」
ブルーノ「当然、Dホイールの整備に足がでる」
遊星「俺たちは必死にバイトして、その費用を稼いでいるが・・・」
クロウ「ジャックのヤツ、働きもしねぇであんなモン・・・」
ジャック「全く・・・どいつもこいつも、キングの心を分からぬ連中ばかりだ」
ジャック「『エンジャクいずくんぞ鴻鵠の志を知らんや』・・・よく言ったものだ」
くっ!
ジャック「俺だって・・・遊星たちの苦労は痛いほどわかっている!!!」
ジャック「だから・・・あいつらも俺のことを・・・少しは・・・!なのに・・・!」
ジャック「全く腹の虫(昆虫族、☆3、闇、ATK300、DEF0)が収まらなん・・・」
ジャック「サ店にでも行くか・・・」
ブルーノ「で、ここのチューンナップは・・・」
遊星「ああ・・・」
クロウ「ジャックどこ行くんだ?!」
ジャック「散歩だ」
クロウ「何ちゃらマウンテンは飲むんじゃねーぞ!」
~サ店~
店員「ご注文は何に致しますか?」
ジャック「ブル・・・いや、コーヒーをくれ」
店員「かしこまりました」
ジャック「ハァ・・・こんなの、飲む気も無いが・・・」
店員「コーヒーお持ち致しました」
ジャック「ああ」
店員が去って行き、ジャックはコーヒーに口を付ける。
ジャック「はぁ・・・こんなものを飲んだところで、満足できぬ・・・」
ジャック「ブルーアイズマウンテンへの思いは募るばかり・・・か」
店員「お会計300円になりまーす」
ジャック「・・・!?」
しまった。つい衝動的に飛び出してしまったばかりに、持ち合わせがない・・・
店員「お客様・・・?」
ジャック「あばばばばばばばばばば」
??「私が払います、連れの者なので・・・」
店員「ありがとーございまーす」
ジャック「?」
~店外~
ジャック「さっきは済まなかったな、も・・・も・・・・?」
喪黒「もぐろふくぞう、と読みます」
ジャック「礼を言うぞ、喪黒」
喪黒「いえいえ礼には及びません、私はただ人助けがしたいだけなので・・・」
ジャック「人助けだと?」
喪黒「申し遅れました、私セールスマンです」
ジャック「セールスマン!?その手には乗らんぞどうせWRGPにかこつけてくだらぬインチキ物を・・・」
喪黒「それは心外なw」
喪黒「ところで貴方・・・最近お友達とうまく行ってないんじゃないんですか・・・?」
ジャック「?!」
喪黒「自分のプライドが高いせいで皆に迷惑をかけてしまう・・・」
喪黒「でも自分も皆を分かっているのだから自分のことも少しは許容してほしい・・・そんな所じゃあないんですか?」
ジャック「何故・・・・それが!?」
喪黒「お顔を見ればわかりますよ、どうです、少し私の行きつけの店でお話ししませんか?」
~魔の巣~
マスター「・・・」キュッキュ
喪黒「マスターこちらのお方にミルクを、私のおごりで」
ジャック「済まないな・・・」
喪黒「いえいえいいって事ですよ」
喪黒「さて・・・アナタの心のスキマは相当なものですねぇ・・・」
バン!
ジャック「さっきから一体何なんだ!?訳の分からんことばかりほざきおって・・・」
喪黒「ズバリ貴方のそのイライラは『ブルーアイズマウンテン』のせいでしょう?」
ジャック(コイツ・・・何で俺のことを何でも知っているんだ・・・?)
喪黒「それが飲めればさぞかし満足でしょう・・・でも皆のお金を使ってしまうから気がひける・・・それでまたイライラする・・・でしょう?」
ジャック「ああ・・・全くその通りだ」
喪黒「そこでアナタにある選択肢は2つです」
ジャック「何だ?」
喪黒「働きなさい・・・」
ジャック「な・・・!?」
喪黒「お金を稼いでそれで飲む・・・それなら気も引けないでしょう?」
喪黒「私がいくつか働き口を紹介してあげましょう・・・」
ジャック「ああ・・・分かった」
ジャック「帰ったぞ」
ブルーノ「お帰り!」
遊星「遅いぞジャック」
クロウ「どこで何やってたんだ!?」
ジャック「お前たち!俺は明日から働く!!!!」
遊星「ジャックが・・・」
クロウ「働く・・・?」
ブルーノ「すごいじゃないか!」
ジャック「明日に備えて俺は寝るぞ!」
遊星「ああ・・・」
ブルーノ「お休み、ジャック!」
クロウ「こりゃ明日は雨だなw」
遊星「そういうな・・・ジャックもようやく本気になったんだ」
ブルーノ「さぁて!僕たちもガンバらなくちゃ!遊星、そこのスパナとって!」
遊星「ああ!」
~翌日~
ジャック「まずは・・・ここだな、弁当屋か」
ジャック「俺が今日からここで働く、ジャック・アトラスだ!」
店長「よろしくね、ジャック君」
ジャック「ああ!俺に全て任せておけ!」
前に見たことあるのは気のせいか?
店長「な・・・・」
ジャック「見よ!これがジャック・アトラス特性、シンクロ弁当だ!!!」
それはどう好意的に見ても、残り物の寄せ集めにしか見えなかった・・・。
ジャック「さまざまな食材を一度に味わえる、唯一無二の最上級弁当族モンスターにして・・・」
店長「クビだ~~~~!!!」
ジャック「何だと!?貴様この俺の・・・」
店長「いいから出てけーーー!!!」
ジャック「ああいいだろう!こんな店、こちらから願い下げだ!!!」
>>28
俺も書いたことないけど・・・ネタ被りだったらスマソ
ジャック「次は・・・書店か、いいだろう」
店長「君が、ジャック・アトラスだな?」
ジャック「そうだ、この俺が来たからには、大船に乗った気であれ!」
店長「ブックス!」
店長「じゃあ、もうすぐで本を入荷する業者が来るから、応対してくれブックス!」
ジャック「いいだろう」
業者「こんちゃーす」
ジャック「ほう・・・これが入荷する本か・・・?!」
ジャック「こんな本などいらぬ!ジャック・アトラスの特集を組んだ本を持ってこい!!!」
業者「は?」
店長「コラーーーーーー!クビだブックス!」
ジャック「貴様もか~!?ああ分かった出て行ってやるわ!」
店長「どうもすいまブックス・・・」
業者「はぁ・・・」
クリーニング店
客「な、何だこのシャツは~~~~!?」
シャツには、アイロンであけた異様な穴が袖にあけてあった。
ジャック「これでお前も俺と同じ・・・絆で結ばれた仲間だ!」
客「」
店長「コラ~!何てことを~!」
ジャック「あ゛あああああああああああああああああああああああああ!!!」
~魔の巣~
マスター「・・・」キュッキュ
バタァン!
ジャック「やはりそこにいたか!?喪黒福造!!!」
喪黒「どうされたんです?」
ジャック「どうもこうもない!どいつもこいつも、分からず屋ばかりだ!!!この俺を・・・」
喪黒「まぁまぁ・・・それはあい申し訳ございませんでした・・・」
喪黒「となると・・・残る選択肢はあと1つしかありませんねぇ・・・」
ジャック「何だ!?」
喪黒「タダでブルーアイズマウンテンを飲ませて差し上げましょう」
ジャック「何故それを最初から出さなかったんだ?!」
喪黒「まぁまぁ落ち着いてくださいな・・・」
ジャック「ここだな?」
喪黒「ええ」
そこはコーヒーショップのような面構えの店だが、どこか異様な雰囲気の店だ。
ジャック(本当に・・・タダでブルーアイズマウンテンが・・・)
店員「いらっしゃいませ、ブルーアイズマウンテンですね?」
ジャック「(本当なのか?!)ああ、1杯くれ」
店員「1杯とはいわずに何杯もどうぞ、当店は飲み放題でございます」
ジャック「何・・・だと!?10杯!10杯くれ!」
店員「かしこまりました」
喪黒「良かったですねぇ」
ジャック「ああ!」
ジャック「あ~!美味い!こんなに気持ちが満たされたのは久方ぶりだ!」
喪黒「それは良かったですね・・・」
ジャック「本当にタダなのだな?」
喪黒「もちろんお金は1銭もいただきません、貴方様の笑顔が何よりの報酬ですよ」
ジャック「ふむ・・・」
喪黒「たぁだぁし・・・1つだけ守ってもらいたいことがございます」
ジャック「何だ?」
喪黒「ここに通うのはせいぜい1日1回にしてくださいね・・・?」
ジャック「ほぅ」
喪黒「もし破ったら・・・・?」
ジャック「・・・・?!」
喪黒「破らなければいい事です」
~数日後~
ブロロロロロ・・・・
ジャック「レッド・デーモンズ!ダイレクトアタック!灼熱のクリムゾン・ヘル・フレアァァァァ!!」
遊星「ぐっ・・・!」ピロロロロロ・・・ティリン!
クロウ「最近すげえなジャック!」
ブルーノ「見違えるみたいだよ!」
ジャック「まぁ、キングだからな」
遊星「すごいじゃないか!最近はブルーアイズマウンテンも我慢しているし!」
ジャック「キングだからだ!」
ジャック「行ってくるぞ遊星」
クロウ「またどっか行くのか?」
ブルーノ「一体どこへ行くんだい?毎日のように」
ジャック「どこでもいいだろう!」
クロウ「何だよ・・・」
遊星「まぁいいじゃないか、息抜きも必要だ」
ジャック「フン!」
ジャック「今日は20杯・・・いや50杯くれ!」
店員「かしこまりました」
ジャック「最近はこれくらい飲まなければ落ち着かない・・・」
ジャック「この味・・・香り・・・風味・・・バランス・・・まるで夢の様だ・・・」
ジャック「決して覚めぬ夢・・・」
ジャックはその甘美さに、ただただ酔いしれていた。
~またまた数日後~
ジャック「今日も行ってしまった・・・しかし最高の気分だ」
ブルーノ「ねぇジャック、そろそろ教えてくれないかな?」
ジャック「何をだ?」
クロウ「いっつもどこ行ってるかだよ!」
ジャック「それは駄目だ!!」
クロウ「いいじゃねえかよ!仲間に秘密なんて、水くせぇぞ!」
遊星「クロウ・・・」
クロウ「遊星だって、気になるだろ?」
遊星「まぁな・・・いつもどこで何をしているか、少し心配でもあるな」
ブルーノ「いいじゃないかジャック、遊星だって気にしているんだし」
ジャック「ぐぐぐ・・・」
ジャック「いいだろう!!!!!連れて行ってやる!!!!来い!!!!!!」
ジャック「・・・!?」
道中、ジャックは1度だけ、何やらうすら寒いような、異様な怖さを感じ取った・・・。
遊星「どうしたジャック?」
ジャック「何でもない!」
彼はほとんど、やけに近かった。
店員「いらっしゃいませ、おや、今日はお仲間もですか?」
ジャック「ああ・・・皆にブルーアイズマウンテンを1杯ずつ頼む」
クロウ「ジャック!てめぇ飲んでやがったな!?」
ジャック「これは全てタダだ!!!!」
遊星「タダ・・・?」
ジャック「ああ」
ブルーノ「・・・」
遊星「これが・・・ブルーアイズマウンテン・・・(違いが判らない・・・)」
クロウ(普通のコーヒーと何が違うんだ?)
ブルーノ「・・・。(普通のコーヒーみたいだ・・・)」
ジャック「どうした?浮かない顔して?」
遊星「正直・・・普通のインスタントコーヒーにしか思えない」
クロウ「俺もだ」
ブルーノ「僕も・・・」
ジャック「ええい!違いの分からぬ奴らめ!もういい!帰れ!」
遊星「・・・」
クロウ「はぁ・・・ったく・・・」
ブルーノ「・・・」
ジャック「こうなったらヤケ飲みだ!100杯持ってこい!」
店員「かしこまりました」
ジャック「ふぅ・・・飲んだ飲んだ・・・」
喪黒「ジ ャ ッ ク さ ぁ ん ?」
ジャック「!?き、貴様は・・・!?」
喪黒「貴方あれほど私が申し上げたのに約束を破りましたね・・・」
ジャック「違う!あれはあいつらがいけないんだ!俺は悪くない!」
喪黒「反省の気なし、ですか・・・」
喪黒「貴方にはブルーアイズマウンテンよりも、仲間の大切さを教えたほうがいいみたいですね・・・」
ジャック「な・・・何だ!人を指指しおって!?」
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ジャック「はっ!?・・・夢か・・・全く・・・・」
クロウ「今日も朝から行くのか?」
ジャック「ああ」
ブルーノ「晩ご飯までには帰ってくるんだよ~」
ジャック「馬鹿!俺は子供ではないのだぞ!!」
遊星「ジャックの奴・・・一体どこで何をしているんだ・・・?」
ブルーノ「もう3日も帰ってないよね・・・」
クロウ「全く心配ばっかりかけやがって・・・」
遊星「念のため、あいつの服にGPSを付けたおいたが・・・」
クロウ「ならとっとと連れ帰ろうぜ!」
遊星「ああ・・だが・・・場所は・・・」
ブルーノ「場所なんか関係ないよ!どこであろうとも行かなくちゃ!」
クロウ「それが仲間だからな!」
遊星「ああ!行こう!」
Dホイールを走らせて数時間後、そこは・・・
クロウ「何だここ?」
ブルーノ「全くの廃墟じゃないか・・・」
遊星「でも・・・ここにジャックが・・・」
ジャック「・・・だ・・・!・・・・、・・・・・だぁ・・・」
遊星「ジャックの声だ!行くぞ皆!」
クロウ「ここだな?」
ブルーノ「この扉の向こうに、ジャックが・・・」
遊星「ジャック、入るぞ?」
クロウ「うっ・・・・!?何だ・・・」
ブルーノ「何てこった・・・」
ジャック「美味い・・・ブルーアイズマウンテン・・・俺のだ・・・」
遊星「ジャック!何やってるんだ!?」
ジャック「ゆう・・・せい・・・お前ものめ・・・へへへへ・・・」
クロウ「ジャック・・・お前・・・!」
ブルーノ「そんな・・・」
ジャックは廃墟の中で汚れにまみれながら、溝の泥水を手ですくっては口に運んでいた。
ジャック「えへへ・・・うまい・・・これが・・・キングの・・あじだ・・・」
へへへ・・・
喪黒「やれやれ・・・嗜好品は本来必要ないのに、何であるんでしょうねぇ」
喪黒「アルコールしかり、タバコしかり・・・必死になって不要な物を追い求めるのが、人間のサガなのでしょうか」
喪黒「それにしても、こうやってどんなに遅くなっても迎えにきてくれる愛情、これこそが人間に一番必要なのかもしれませんねぇ」
ホーッホッホッホ・・・
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_,-=ニニニ=゙、_
(フ\,、/ リ
_,-''" ̄ ̄ ̄ー、
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