白菊ほたる「幸せの訪れ」 (21)

モバマスSSです。
短め。

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ほたる(この間もってきたスズランは元気に咲いています)

ほたる(渋谷さんや相葉さんにお世話の仕方を教わって、何とか頑張っています)

ほたる(花言葉は『幸せの訪れ』。私には似合わないかもしれませんが……)

幸子「フフーン、カワイイボクの登場ですよ!さあ皆さん跪いて……ってあれ、今日は白菊さんだけですか」

ほたる「あ、あの……すみません」

幸子「ああ、ボクの余りのカワイさに白菊さんを申し訳ない気持ちにしてしまった!大丈夫です、白菊さんも十二分にカワイイですよ!」(ドヤァ

ほたる「え……いや、その」

幸子「それはそうと、プロデューサーさん何処に行ったんです?呼ばれたから来たのに」

ほたる「え、はい、お茶菓子が切れたので買い出しに行くと……」

幸子「なるほど、それでお留守番ですか。全く気の利かないプロデューサーさんですね」(ガサゴソ

ほたる「いえ、別にプロデューサーさんが悪いわけでは……私が昨日出してしまったのが悪いんです」

幸子「不慮の事態にも備えをしておくのがプロデューサーさんの仕事なんですよ。ほら、これ食べますか?」

ほたる「あの……これは」

幸子「少々作り過ぎてしまったので持ってきたんですよ。紅茶のクッキーは好きではありませんでしたか?」

ほたる「いえ、私なんかがもらっていいのかと思って……」

幸子「まあこのボクが腕によりをかけて作ったものですから恐れ多いのは解ります」

ほたる「え、あ、あの……」

幸子「ああ、クッキー一つでまた申し訳ない気持ちにさせてしまった!ボクって罪な女ですね!」(ドヤァ

ほたる「えっと、有難くいただきます」

幸子「最初からそれでいいんですよそれで、今お茶を淹れてきますね」

ほたる「え、いや……あの、ごめんなさい」

幸子「ボクが聞きたいのはごめんなさいじゃなくてホットかアイスかですよ?」

ほたる「あ、えっと……冷たい方でお願いします」

幸子「はい、どうぞ」(コトッ

ほたる「えっと、気を遣わせてしまってすみません……」

幸子「ああ、紅茶一つ入れるだけでも光り輝くボクがまた白菊さんを申し訳ない気持ちにさせてしまった!」(ドヤァ

ほたる「え、いや……あの……」

幸子「いいえ、白菊さんは派手な方ではないので太陽のようなボクに目が眩んでしまうのは仕方ありません!」(ドヤドヤァ

ほたる「え、えっと……」

幸子「ああ、あまねく人類を照らすボク!何てカワイイんでしょう!」(ドヤドヤドヤァ

ほたる「あ、あのー」

幸子「そんな訳だからクッキー御一つどうぞ、今日のは結構良くできたと思うんです」

ほたる「あ、はい。いただきます」

幸子「かな子さんに作り方を教わったんですよ。まだ彼女には遠く及びませんが味はそれなりですよ」

ほたる(あ、おいしい)(サクサク

幸子「ところで、今日は白菊さんは何で事務所にいるんです?今日はお仕事のはずでは」

ほたる「え、えっと……何かトラブルがあったみたいで来週に延期に……」

幸子「成程、白菊さんは幸運ですね!」

ほたる「え……?」

幸子「だってこのボクの作ったクッキーを事務所で一番に食べたのですよ、これを幸せと言わずに何を幸せと言うのでしょう?」

ほたる「あ、えっと……その考えはありませんでした」

幸子「……意外に酷いこと言いますねあなた」(ガクッ

ほたる「え、いやあの……そんなつもりでは」

幸子「まあいいです、許しましょう。それで時間を持て余していたと」

ほたる「ええ、いやまあ」

幸子「それなら良かった、プロデューサーさんが帰ってくるまでの話し相手が出来ました」

ほたる「え、いや……私でよければ」

幸子「何言ってるんですか、今この事務所にはボクと白菊さんしかいません」

ほたる「は、はい」

幸子「白菊さんはお茶を飲みながら壁とかデスクに向かって話しかけるのが幸せだと思いますか?」

ほたる「い、いえ……」

幸子「そうです、まあボクに声をかけてもらえる物質は幸せかもしれませんが」

ほたる「それは……どうでしょうか?」

幸子「もしかして、それわざとですか?」(ガクーン

ほたる「え、いや!そういう意味じゃ無くて私には壁とかの気持ちが解らないって、すみません!」

幸子「いや、解ってるからいいんですけれどね。つまりはボクも人間の話し相手が欲しいんですよ」

ほたる「ええ、はい」

幸子「それで白菊さんもカワイイボクの声を聴けて幸せになると、ギブアンドテイクというやつですよ」

ほたる「……はい?」

幸子「まあ、そんな訳ですからボクの下僕が帰ってくるまで二人でお茶会をしましょう」

ほたる「下僕……ですか?」

幸子「そこ、つっこまなくてもいいとこです」

ほたる「あっ、すみません」

幸子「クッキーどうぞ、まだたくさんありますから」

ほたる「あ、いただきます」

幸子「……」

ほたる「……」(サクサク

幸子(それにしても、小動物みたいな食べ方するなあ……)

ほたる「……」(サクサク

幸子(ボクも真似してみたらちょっとカワイイかなあ……)

ほたる「……あ、あの」

幸子「ん、なんですか?」

ほたる「そんなに見られてると恥ずかしいんですけど……」

幸子「いや、ボクの新たなる可能性について考えていただけなので気にしないでください」

ほたる「可能性……ですか」

幸子「ボクは純粋ですから、あらゆる可能性を常に内包し続ける存在なんです」

ほたる「……可能性の獣ですか?」

幸子「……それは少し違う気がしますよ?」

ほたる「この間荒木さんに教えて頂いたのですが……」

幸子「まあ、ボクもそちらの方は余り知らないので……ところで聞きたいことがあったんですけど」

ほたる「はい、なんでしょうか」

幸子「あそこに置いてあるスズラン、白菊さんのものだそうですね?」

ほたる「え、はい、すみません。邪魔だったら今すぐにどかします」

幸子「そんな事一言も言ってないじゃないですか、花言葉知ってます?」

ほたる「えっと、私は『幸せの訪れ』だって聞いたんですけど……」

幸子「……なるほど、そっちで来ましたかあ」

ほたる「……?」

幸子「スズランには『純粋』っていう花言葉もあるんですよ、ボクにピッタリじゃないですか」

ほたる「あ、ええ」

幸子「まあ、ボクと言う幸せを代表するような存在に会えたのだからほたるさんにピッタリでもありますね!」(ドヤァ

ほたる「……そうだといいのですけれども」

幸子「……もう突っ込みませんよそれ」

ほたる「あ、いや幸子さんが不幸だとかそういう意味ではなくて……」

幸子「いいじゃないですか、スズラン。ほたるさんに良く似合っていますよ」

ほたる「……そうですか?」

幸子(……自覚してないのも罪なものですね)

幸子(……まあ、だからこそスズランはほたるさんの花なのでしょうけれども)

幸子「そのスズラン、どうしたんです?」

ほたる「え、いやその……」

幸子「どこかで買ったんですか?元気でよろしいと思うんですけれど」

ほたる「えっと、ファンの人から届いたみたいなんです、私宛で」

幸子「……へえ」

ほたる「何でも幸運の木だからって言って……ファンの方まで気を使ってくれているのでしょうか」

幸子「自分の好きな人に花を贈るのはよくあることでしょう」

ほたる「……へ?」

幸子(あ、この人ものすごく鈍感だ)

ほたる「いや!別にその好きとは!えっと……名前もついてませんでしたし」

幸子「いいんですよそれで、誰かに解ってもらえればいいんですから」

幸子(白菊さんがその花にピッタリってことがですけどね)

幸子(しかし、こういう事を考えつく人はボクの知る限り一人しかいないんですけどあってるでしょうかねえ……)

ほたる「えっと、あの、帰ります!お邪魔しました!」ダダッガチャバタン

幸子「あ、行っちゃった。その上一雨降ってきそうな天気ですねえ、何事もなければいいんですが」

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

幸子(……やっぱり)

ガチャ

モバP「おー幸子、すまんタオル取ってくれ」

幸子「帰ってきて早々人使いが荒いですね……って白菊さん何してるんですか」

ほたる「……ふぇ」

モバP「いや、外で濡れてるのを拾った」

幸子「……ああ」

幸子「とにかく、今タオル持ってきますからそこから動かないでくださいね」

モバP「おー、すまんな」

ほたる「私の、私のせいです……」(グスッ

幸子「元から雲行きも怪しかったし白菊さんが天気を操れるわけでもないでしょう、ほらタオルですよ」

モバP「ありがとうな幸子、ほらほたるも先にシャワー浴びてこい」

幸子「プロデューサーさんそれ一歩間違えばセクハラですよ」

モバP「俺は一向に構わん」(フンス

幸子「白菊さんが構わないんですよ、ほら行きましょ」

ほたる「……すみません」

幸子「着替えは……ボクのじゃ無理そうですね、プロデューサーさん何かあります?」

モバP「おう、不測の事態の着替えは一着づつ置いてあるからそれを使えばいいさ」

ほたる「あの……すみません何から何まで」

モバP「気にすることないんだよ、まあシャワー浴びといで」

ほたる「すみません、ではお先に」(ガチャ

幸子「はい、プロデューサーさんの着替えはこっちと、バスタオルどうぞ」

モバP「おうすまんな、最近こんな雨が多くて参るよな本当に」

幸子「いきなり土砂降りですもんねえ……まあそれより聞きたいことがあるんですけど」

モバP「お、なんだ」

幸子「あのスズラン、白菊さんに送ったのプロデューサーさんですよね?」

モバP「……どうしてそう思った?」

幸子「ファンが普通鉢植えのスズランを送ってきます?」

モバP「……確かに」

幸子「後は、花言葉でしょうかね。気障ったらしいプロデューサーさんにピッタリですよ」

モバP「いやあ、照れるな」

幸子「何でファンからなんて嘘吐いたんです?」

モバP「嘘じゃないさ、俺はほたるのファン第一号みたいなもんだぞ、何せプロデューサーだし」

モバP「あとは、買ったはいいものの少し恥ずかしくなった」

幸子「ダメじゃないですか……ちなみに白菊さん全く疑ってませんでしたよ」

モバP「純粋なんだよあの子は、何でも疑う幸子と違って」

幸子「一言余分なのはどうやったら治ります?」

モバP「あいたた、足を踏むな足を。悪かったって」

幸子「反省すればいいんですよ」

モバP「それでも幸子、ほたるにピッタリだと思うだろ?スズラン」

幸子「まあ、そうですね」

モバP「ほらきた」

幸子「今度はボクに贈る花でも考えるといいですよ、それで用事って何なんですか?」

モバP「ああ、次のライブの資料が出来たんでそれを渡そうと思ってたんだ。ちょっと待ってくれ」

ガチャ

ほたる「あの、出ました……」

モバP「おお、じゃあ次は俺が」

幸子「くれぐれも変態的行動は慎んでくださいね」

モバP「何言ってるんだ、俺ほどの紳士もそうそう居ないだろ、それじゃあ覗くなよ?」

幸子「誰が覗きますか、とっととシャワー浴びてきなさい」(ゲシッ

モバP「あふん」

幸子「……正直気持ち悪いです」

モバP「ごめん、俺もそう思った。じゃあ入ってくるわ」(ガチャ

ほたる「……」

幸子「……どうしたんです?」

ほたる「輿水さんは誰とも仲良くできていいなあって……」

ほたる「私、今日みたいに皆不幸にしちゃうから……」

幸子「何言ってるんですか、今日は二人も幸せにしたじゃないですか」

ほたる「……?」

幸子「ボクの話し相手になってくれましたし、プロデューサーさんの留守番もしていたし」

ほたる「でもそのせいで雨が……」

幸子「ボクに拭いてもらえたんだから幸せでしょう、いいんですよそんなことは」

ほたる「……はい」

幸子(ボクからしたら白菊さんは羨ましい位なんだけどなあ……)ガサゴソ

ほたる「……?」

幸子(自分が幸せなことに気が付いてないのも不幸なもんですね、全く)ガタッ

ほたる「……あの?」

幸子「何ぼさっとしてるんですか、覗きに行きますよ?」

ほたる「……へ?」

幸子「もしくは濡れたプロデューサーさんのYシャツを拝借するのでもいいですが……」

ほたる「え、ちょっと!」

ガチャ

幸子「フフーン、カワイイボクが背中を流しに来ましたよ!」

モバP「ちょっと!お前幸子何やって……なんか目が怖いんだけどお!」

幸子「女たらしのプロデューサーさんにちょっと制裁が必要かと思いまして」

ほたる「あ、あの……」

モバP「何それ!軽石!?痛い!痛いから全力はやめて!」

ザリッ

アアアアア!イマナンカヘンナオトシタッテ!

キニシタラマケデスヨ

ほたる(……今日のプロダクションも平和……なのかなあ?)

おしまい

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白菊ほたる(13)

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輿水幸子(14)

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