日向「罪木くずし?」 (427)

西園寺「そう、日向おにぃもやる?おもしろいよー」

西園寺「つみきって言っても、ガキ向けのおもちゃのことじゃないよー。まあおもちゃみたいなもんだけど」ウププ

西園寺「ま、童貞のおにぃにはちょっと思いつかないかもしれないけどー」

日向「それは違うぞ!」BREAK!

日向「確かに俺は童貞だが、西園寺がなにを言いたいのかはわかる。つみきって罪木のやつのことだろう?」

日向「あいつをイジメたり、逆に喜ばせたり……そうやってイタズラを仕掛けて、あいつがあたふたするのを愛でる……それが罪木くずしの正体だ!」パリーン

西園寺「よ、よくわかってんじゃん」ドンビキ


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日向「よし、じゃあさっそくやってみるか!」

西園寺「うわっ……さっそくとか、どんだけ飢えてるんだよーって感じー」

日向(しかし、西園寺の言うとおり俺は童貞だ。俺の思いつくようなイタズラでは、罪木のやつを幸せ困った状態にすることは出来ないかもしれない……)

???(しかたない、手を貸しましょう……)

日向(!? 何だお前!?)

???(私の名前はカムクライズル。あなたの半身)

日向(俺の……?)

カムクラ(今はそれはいいでしょう。それより、罪木蜜柑を幸せにしたいのでしょう? 幾つもの才能を持つ私にとってはたやすいことです。イタズラなんてツマラナイですが、協力してあげましょう)

カムクラ(まずは>>5をするのです)

セックス

カムクラ(まずはセックスをするのです)

日向(まずは!? セックスって相当ハードル高くないか!?)

カムクラ(童貞のあなたにはわからないかもしれませんが、セックスから始まる恋愛もあるのです)

カムクラ(それに、初めにセックスできるくらいの信頼がないと、その後の困らせるイタズラも効果が薄いでしょう)

日向(なるほど……一理あるな)

西園寺「日向おにぃ、何一人でブツブツ言ってるの? キモッ!」

日向(しかし、セックスをするって言っても……罪木自身はオッケーかもしれないが、いきなり襲い掛かったら周りのやつに止められるだろう?)

カムクラ(それについても私に計算があります。>>10すればいいのです)

野外プレイ

カムクラ(野外プレイすればいいのです)

カムクラ(たしかにコテージなどで事に及べば人目につくでしょうが……幸いにしてこのジャバウォック島は広い。採集場所どうしの距離はかなり離れています)

カムクラ(あなたは信頼されていて、採集場所を割り振る役目を任されている……これを利用しない手はないでしょう)

日向(でも、いいのか? そんな、信頼してくれている仲間を裏切るようなことをして)

カムクラ(もちろん、これがレイプであったら問題でしょうが……これは単なるイタズラ、気にすることはありません)

SS投下の時はsage外したほうがいいんじゃね?

>>12 サンクス


日向(それにしたって、セックスって……)

カムクラ(……私の予測によれば、彼女のほうも)

日向(え?)

カムクラ(いえ、なんでもありません。いいから明日、彼女と二人で採集にいけるよう、手配してください)

日向「はあ……わかったよ」

西園寺「なにがわかったのー?」

日向「えっ」

西園寺「さっきから日向おにぃ、一人でブツブツ言って……完全に危ない人だったよー?」

西園寺「あのゲロ豚にエッチなイタズラするところ妄想して、アッチの世界にいっちゃってたんでしょー?」

日向「いや、それは違う……と思うぞ」

日向「あ、ほら西園寺! ちょうちょが飛んでるぞ!」

西園寺「ほんとだー!! 羽もいであそぼー!」


結局その日は西園寺と遊んで過ごした。

日向(はあ……なんだかドキドキして眠れなかったぞ。イタズラするほうが緊張してどうするんだ)

花村「あれ。日向くん、あんまり食が進んでないね? もしかして体調悪い? 今日は日向くんの好きなジャバ鍋のお雑炊なんだけど……」

左右田「体調悪いなら無理しないほうがいいぜ?」

日向「左右田……悪いな。じゃあ今日は比較的楽なビーチに行ってもいいか?」

左右田「大丈夫か? 休んどいたほうがいいんじゃねえか?」

日向「大丈夫だよ。……でも、もしものことがないように……」

日向(うわ、なんだこれ。心臓が、痛い。おでかけチケットの比じゃないぞ!?)

日向「罪木……一緒にきてくれるか?」

罪木「は、はいぃぃ! 私なんかでよければ、ぜひ行かせてくださいぃぃぃぃ! もし日向さんが倒れたら、私がコテージまで運びますぅぅぅ!」

罪木「日向さんはおっきいですけど、その、死んでも引きずったりしません! むしろ私が這ってでも、日向さんを地面につけないよう……」

日向「いいって、そんなの。それより罪木の”超高校級の保健委員”としての能力を信頼してるからさ」

罪木「はぅぅぅ! 日向さんが、私なんかの力を当てにして、頼って……一緒に行こうって……」ナミダメ

日向(……うう。なんかめちゃくちゃ罪悪感あるんだが)

七海「……ごちそうさま」

左右田「あー、じゃあ日向のことは罪木にまかせるとして。俺らは電気屋と軍事施設に行ってくるわ。電子部品が全然足りてね―し」

日向「悪いな。じゃあ、お願いする」

左右田「んじゃ、食べ終わったやつから出発するとして……日向、オメーちょっとこっちこいよ」コソコソ

日向「なんだ?」

左右田「ほら、コレ、第二の島のドラッグストアで見つけたんだ」

日向「これっ……って」

日向(コンドームじゃねえか!)

日向「え、なんで、その、俺そんなに」

日向(レイプしそうな顔してましたか!?)

左右田「青い顔しやがって……そんな顔してたら一発でわかるっての」

左右田「オメー、今日」

日向(あわわ)

左右田「告白する気なんだろ?」

向(……え?)

左右田「朝から挙動不審だし、ちらちら罪木の方ばっか見てっし」

左右田「んで、体調不良にかこつけて罪木と二人っきりになろうとして。流石に俺でもわかるっての!」

左右田「ま、こいつは気が早えーかもしんねーが、念のためってやつだ。持ってて損するものじゃねえしな」

左右田「感謝しろよ? あとで男子会でたっぷり話聞かせてもらうからな!」


そう言って左右田は走り去っていった。……俺の手に1枚のゴムだけを残して。


日向(さて、そうして罪木と二人でビーチに来たわけだが)

罪木「あ、日向さぁーん、見てください!おっきなカニさんですよぉ?」

罪木「かわいいですねえ……あ、でもこんなおっきなカニさんを取り逃したって言ったら、花村さんに怒られちゃうかもしれません!」

罪木「かわいそうですけど、捕まえたほうがいいんでしょうか……」ムー

日向(こんなほのぼのした空気からどうセックスに持ち込めっちゅうねん!)

カムクラ(いいからさっさと押し倒してしまいなさい。私の予測ではそれで問題ないはずです)

日向(いや、そうだとしても! 仮に100%大丈夫って保証があっても、童貞にはそんなこと出来ないから!)

カムクラ(しょうがないですね……童貞のあなたのために、スムーズにセックスに持ち込むための策を授けましょう)

カムクラ(>>23と言うのです)


俺の子供を産んでくれ



カムクラ(俺の子供を産んでくれ、と)

日向(!? 無理無理! 普通に告白するよりよっぽど難易度たけーよ!)

カムクラ(ゴチャゴチャとうるさいですね。流石の私もあなたのヘタレっぷりは予想外でイライラしてきました)

カムクラ(まあ予想通りに行ったらそれはそれでツマラナイのですが……しかし初めの安価すら未だ達成できていないというのは如何なものでしょう)

カムクラ「というわけで、実力行使させてもらいますよ」

罪木「え?」

カムクラ「罪木……俺の子供を産んでくれ」


日向(!!??)

カムクラ(どうしました? もう体はあなたに返しましたから、早く罪木さんに襲いかかってください)

日向(ムリムリムリムリ! っていうかお前、何言っちゃってんの!?)

カムクラ(お前、といっても口にしたのは日向くんの体です。自分の言葉には責任を持ってください)

日向(ふざけるなって!)

日向「あー、罪木、今のはだな……」

罪木「……ごめんなさい、日向さん」

日向「!!?」

日向(おい、お前絶対大丈夫みたいなこと言ってたじゃねえか!)

カムクラ(ふむ……私の予想を超えるとは、オモシロイですね)

日向(面白がってんじゃねーよ! どうするんだよコレ!)

 
――とはいえ。カムクラ(と名乗る頭の中の声)のせいにしたところで、実際のところ、俺は大丈夫だろうと考えていたのだ。

 罪木は――若干見境がないとはいえ――間違いなく、俺にも好意を向けてくれているだろうと思っていた。

 セックスというのは行き過ぎにしても、キス程度だったら拒否されることもないだろうと。ましてや告白など。例え本当は苦手な人からのものだろうと、罪木はOKするだろうとさえ思っていた。

日向(だからこのイタズラをしようと思ったんだけどな……人に興味を持たれないことを何より嫌がる罪木なら、多少やりすぎでも喜んでくれるだろうと思って)

日向(でもそれは、罪木のことを甘く考えすぎだったか……)

日向(あまつさえ、好かれてるだなんて自惚れて……セックスまでしようだなんて。自分の才能もわからない俺が、思いあがりも甚だしい)

日向「はぁ……」

罪木「」ビクッ

罪木「あ、あ、あの! 日向さん、怒ってますか? やっぱり怒ってますよね?」

罪木「私みたいなゲロ豚が、日向さんからのお誘いを断るなんて、身の程知らずのことをしてすみませぇぇん!」

罪木「……でも、ですね」




罪木「やっぱり、子供を作るわけにはいけません……」



罪木「私のことはいいんですよ!? 一人でも、日向さんが愛してくれた思い出があれば、生きていけますぅ!」

罪木「でも、でも、ですね。やっぱり、子供には親の愛情が必要だと思うんです。それは、親に愛してもらえなかった私が、一番良く知ってます」

罪木「だから……日向さんの子は、日向さんが愛せる女性との間に設けるべきだと思うんです」

罪木「この島でいくら日向さんが私と一緒に居てくれたとしても、修学旅行が終われば日向さんは行ってしまうでしょうし……」

罪木「だから! 子供だけは作れませぇん! 他の事だったら何をしてもいいですよ! 奉仕しろっていうならしますし、もちろんセックスだって……」

日向「…………」

罪木「あ! 間違えました! 私がしたいんです! 日向さんとセックスしたいんです!」

罪木「えっと、これは、そのいつもみたいに許してもらうためじゃなくって、ほんとに」

罪木「一度だけでいいから、日向さんみたいな素敵な人に愛してもらえたらな、って思ってたんです」

罪木「だから、さっきのがその、セックスしようって意味だったら」

日向「……もう、いい」

罪木「す、すみませぇぇん! 許してください! 私みたいなゲロ豚が調子に乗ってしまって……そうですよね? 日向さんは自分の子孫を残すのにちょうどいいから私を選んだだけで、私の身体に興味があるとか、そんなことあるわけないですよね」

日向「もう……いいんだ」

 気がつくと俺は罪木の身体を強く抱きしめていた。頭の中でカムクラの声がする。>>40と言え、と言っている。

お前が本当に罪木に抱いている気持ち



 けれど俺はその言葉を無視した。あんな野郎、信用なるものか。罪木にこんな哀しそうな表情をさせやがって。

 俺は自分で選んだ言葉を、ゆっくりと紡いでいった。

日向「今日はさ、俺、罪木とセックスするつもりでここに来たんだ」

 それを聞くと罪木が、嬉しそうに微笑んだ。――だけど俺は、その目尻から涙が一粒溢れるのを見逃さなかった。

日向「俺は罪木のことが好きだし、罪木もそれで喜んでくれるって思ってた。ふざけ半分に、でも誰も悲しまないならそれでいいだろうって」

日向「いいわけないよな。罪木は、こんなに真剣に考えてくれてるのに。本気で向き合わなかったら、今まで罪木を泣かせてきたやつらと変わらないよな」

日向「だから今日、罪木とセックスは出来ない。ごめんな」

 そういうと、罪木が泣きそうな表情になる。ほらみろ、とカムクラの声がする。黙ってろ、と頭の中で怒鳴り返した。



日向「だからさ、また今度、誘ってもいいかな」

日向「俺が、ちゃんと罪木との未来を思い描けるようになったら。それこそ子供のこととか含めてさ」

日向「俺が、本気で罪木とセックスをしたくなったら。その結果も含めて、ちゃんと考えられるようになったら」

日向「そうしたら、胸を張って罪木を愛してるって言うから」

日向「だから、それまで待っててくれないか?」

 そう言うと、俺の胸の中で罪木は。

罪木「待ってますぅ! ずっと、日向さんを待ってますぅ!」

 初めて声を挙げて泣いた。




日向「……もう夕暮れか」

 あの後、俺達はそのまま抱き合って過ごしていた。結局ほとんど採集は出来ていないが、こればかりはどうしようもない。

日向「そろそろ帰らないと皆が心配するな」

 そう言って俺は罪木の両肩を掴んで、ゆっくりと身体を離した。罪木の両目は赤くなり、見れば泣いたあととすぐにわかってしまうだろう。けれどこれもどうしようもないことだ。

罪木「…………」

 俺は立ち上がり、服についた砂を払う。口に手を当てて呆然と突っ立っている罪木のもだ。それが終わり、歩き出そうとしたとき。

罪木「あっ! す、すみませぇぇん!」

 引っ張られるような感覚に振り返ると、罪木が俺の袖を掴んでいた。瞬間、罪木がその手を放す。

 俺は、その手を掴むと――罪木の手を握ったまま、歩き出した。

 横に目をやると、罪木は顔を真赤にしてあうあう、となにかわけのわからないことを言っている。

 俺はその横顔を見ながら――コテージで待っているだろう左右田たちの質問攻めに、どうやって答えてやればいいかを考えていた。


 Result ミッション1 課題:セックス

     結果 不可




 出した時点で>>40の安価は無視する予定だった。すまんな

日向「罪木を動揺させて遊ぶつもりが罪木に動揺させられっぱなしになってしまった……」

西園寺「つみき崩しというよりつみき崩されだねーさすが童貞」


ミッション2


カムクラ(……あれから、創と罪木さんとは、プラトニックな関係を続けているようです)

カムクラ(それ自体はいいことなのでしょうが……ボクとしては非常にツマラナイ)

カムクラ(そもそも、最初の安価である>>5が、散々引っ張った挙句達成できていないというのはどういうことでしょう)

カムクラ(そもそも、私の言うとおり単に罪木蜜柑をセックスをしていれば彼女が涙することもなかっただろうに……恋愛というのはよくわかりません)

カムクラ(しかし、それはいいでしょう。問題はこれからです)

カムクラ(私は創のように甘くはありません。安価は絶対です。どんなに鬼畜であろうとも。どんなに甘々であろうとも)

カムクラ(さて、つぎのイタズラを開始しましょう)

カムクラ(手始めに>>55です)

骨折する


カムクラ(ふむ……ここは一つ、わざと怪我をしてみる、というのもオモシロイかもしれません)

カムクラ(罪木蜜柑の特性といえば、やはり”超高校級の保健委員”)

カムクラ(彼女はその能力を、『自分より弱いものを支配したい』という気持ちから開花させたようです)

カムクラ(そんな彼女が怪我をして弱った創を前にしたとき、どうなるのか……興味があります)

カムクラ(さて、創には悪いですが……手っ取り早く、右手中手骨でも骨折してしまいましょうか)カベドン

カムクラ(……隣はたしか十神くんでしたか。一般には女性といつも一緒にいる人物……このメンバーで言えば田中眼蛇夢か九頭龍冬彦の部屋に向けてするものらしいですが)

カムクラ(ああ、いい感じに折れてますね。完治まで二週間といったところでしょうか)

カムクラ(その間、創は自分で食事もできないわけですね。排泄程度は一人でなんとかなるでしょうが)

カムクラ(……あまり深く考えず、あとは創に任せましょう。おやすみなさい、創)


 その日はいつも通りの朝だった。食事の前に軽くジョギングでもしようかと、ジャージのまま外へ出る。そこで、同じくジョギングへ行くソニアと鉢合わせた。俺は、ソニアに挨拶しようと右手を挙げ……

日向「って」

日向「なんじゃこりゃあああああああ!」

ソニア「どうしたのですか、日向さん! 突然自分の手についた血を見る刑事さんのような声を出して!」

日向「俺の手……骨が」

日向「骨が突き出てる!」


――――


罪木「中手骨頸部骨折、通称ボクサー骨折とも言われる症状です……日向さん、なにか固いものを殴った覚えは?」

日向「いや、ぜんぜんない……っていうか昨日も手をつないでお前をコテージに送ってって、そのあとすぐ寝たから……」

罪木「はぅぅ、そうでした」

左右田「おーおー、お熱いこってすなあ!」

小泉「ちょっと、左右田ちゃかさないの! 男子として当然でしょ! 罪木ちゃん、ちょっと抜けてるとこあるし……」

十神「いや、まて。確かに昨日の深夜、日向の部屋の方から何かを殴ったような音が聞こえてきたぞ。一時半ごろだったかな」

日向「一時半だったら俺はとっくに寝てたって!」

左右田「ベッドから落ちて、その拍子に折れたんじゃねーの?」

日向「いや、起きたときはちゃんとベッドに寝てたぞ」

狛枝「うーん、日向くんが骨折した原因をあれこれ言ってもしょうがないんじゃないかな?」

九頭竜「オメーは黙ってろ! まさかお前が日向の部屋に忍び込んでやらかしたんじゃねーだろうな?」

狛枝「僕が? なんでそんなことするのさ! もし日向くんが忘れている才能が繊細な手の動きを必要とするものだったら……この世から希望が一つ失われてしまう! そんな恐ろしいこと、僕にはとてもできないよ」

左右田「テメエだったら『でも、そんな絶望を乗り越えてこそ希望は輝くんだ!』とか言ってやらかしそうじゃねえか!」

七海「うーん、でも今日向くんの骨折の原因を探ることに意味が無いっていうのは……私もそうだと思うよ?」

七海「今話あわなきゃいけないのは、手が使えない日向くんがこれからどうするか……じゃないかな?」




九頭竜「……確かにな」

十神「フン。そんなものは決まっている。おい、罪木。」

 声を掛けられた罪木が、ビクリと肩を震わせた。おや、と思う。この流れで罪木に声がかかるのはいくら彼女でも予想できただろうに。

十神「お前が日向に好意を抱いているのはここにいる皆が知っている。それに能力的に言っても”超高校級の保健委員”であるお前が一番ふさわしいだろう」

小泉「ちょっと! あんたには乙女ゴコロってもんを大事にする気はないわけ!?」

十神「今言ったように、ここにいる全員が知っているんだ。いまさらオブラートに包んでもどうしようもあるまい。それより、採集のことだが……」

十神「お前ら二人はしばらく休んでいい。作業の振り分けも俺がやろう。なあに、人の上に立つために生まれたこの俺の力を持ってすれば、造作も無いことだ」

 だから心配せずゆっくり休め、と彼は優しい表情で言った。

十神「まあ、だからといってあまり爛れた生活を送るのも感心せんがな」

 ちょっと、と食ってかかる小泉を尻目に、十神はレストランの全員に向かって声を張り上げた。

十神「というわけだ! 人数が減った分、貴様らにはキビキビと働いてもらわねばならん! とりあえず今日は全員で山へ行くぞ! 金属類が全然足りないからな!」



 みんなは、えーだとかやってらんねーだとか、口々にぶーたれながらも十神の後をついてレストランを出て行った。そして、俺と罪木だけが残された。

罪木「…………」

日向「えっと……」

 そして、何故か気まずい沈黙。

日向(でも、本当になんでだ? いつもの罪木だったら『日向さんのお世話を出来るなんて光栄です~』くらい言いそうなもんなのに)

罪木「……あ、日向さん、全然減ってませんよぉ? ダメですよ、食べなきゃ治るものも治りません!」

 そう言ってプリプリと怒る彼女は、いつもの(といってもドジで引っ込み思案な方ではない)”超高校級の保健委員”である罪木蜜柑だった。

日向(俺の考えすぎかな?)




日向「いや、俺、利き手を骨折してるし、上手く食べられないんだよな……だからその、よかったら罪木が食べさせてくれないか?」

罪木「えっ! あの、それってもしかして……」

日向「うん、『あーん』ってやつになると思うんだけど」

罪木「わ、わかりました! 私が責任をもって日向さんに食べさせます!」

 そう言って顔を真赤にしてスプーンを差し出す罪木。

日向(左手を使って食べられなくもない、っていうのはどのタイミングでいうべきかなあ……今は罪木も嬉しそうだけど、二週間毎食ってわけにもいかないし)


 食事を終えて、部屋に戻って休むことにする。ふと、そこで俺は自分がジャージのままなことに気がついた。骨折のショックですっかり忘れていた。

日向「あー、これから俺、部屋に戻ろうと思うんだけど。着替えとか、手伝ってくれないか?」

 自分でも甘えたことを言っているのはわかっていた。右手が骨折しているとはいえ、こんなの左手一本で着替えられないこともない。

日向(でも、着替え終わったらギプスとか巻いてもらわないといけないしな……どうせなら一緒に来てもらった方がいいだろう)
 
 それに、罪木はきっと嫌がらないだろう。喜んで自分の世話を焼こうとするはずだ。他人に対して奉仕している間は、無視されない。それが彼女の安心なのだから。精一杯彼女の行いに感謝すること、それが彼女の喜びにつながる。そう思っていた。

罪木「えっと……でも」

 しかし、彼女の返事は煮え切らない。不審に思っていると、不意に自分の口から自分の意志でない言葉が飛び出した。

カムクラ「>>70

少しでもお前と一緒に居たいんだ

カムクラ「少しでもお前といたいんだ」

 俺は自分の口から飛び出した自分のものでない言葉に驚き、思わず手で口を抑えた。その様子を罪木は不思議そうな様子で見ている。

 しかし、言葉の内容そのものはそれほど悪くない。むしろこの状況ではベストと言えるだろう。俺は内心カムクラを見なおしていた。

日向(コイツ、たまにはいいこと――)

 しかし、目の前の彼女は。

罪木「ふにゅぅぅぅぅ……日向さんがそういうなら」

 なぜか、哀しそうな顔のままだった。


日向(おかしい。今日の罪木はやっぱりどこかおかしいぞ)

 夕食の席で、俺は考えていた。ちなみにメニューは花村が気を利かせてカレーにしてくれたので、なんとか左手でスプーンを持って自力で食べている。だから離れた席に座った彼女を見つめることが出来たのだが――その様子は全くといっていいほどいつもどおりだった。

日向(いや、むしろなんだかほっとしているような)

 部屋で着替えさせてもらっているときもそうだった。いつもの彼女ならば喜んで世話を焼きそうなものだった。勢い余って母性的に甘やかしさえすると思ったのだが。


罪木【日向さん……ほら、ここにもヨゴレが溜まってますよぉ……ほら、こーんなに……】


 みたいなことさえ、少し期待していたのに。そのようなことはなく、あくまで事務的に俺を着替えさせ、身体を拭き、ギブスをつけただけだった。

日向(いや、まあ本物の看護師じゃなくてあくまで保健委員なんだから当たり前だけど)

 その手際も、高校生とは思えないほど熟達したものだったが。

日向(それにしたって、少しそっけないような。もしかして、俺に甘えられるのを嫌がってる?)

 ちなみにそのあと彼女の様子は普段通りだった。採集がなくて暇を持て余していたので、二人でコテージのプールに行って、足先だけ水に濡らしたり、パラソルの下で昼寝をしてみたり。二人っきりで出かけることもあるが、チケットを使うときはいつも他の島へ出かけていたので。こうして二人、コテージでのんびりした時間を過ごすというのは、なかなかないことだった。

日向(デートみたいな雰囲気になってからは、いつもどおりだったんだよなあ。でも、俺が怪我したからって厭わしくおもうような子じゃないよな)

 だからこその”超高校級の保健委員”のはずだ。

日向(いや、でも恋人に求めるものは別だとか? 一緒にいる時くらい自分の仕事を忘れたい、とかってことだろうか)

日向(あーもう。考えてもわかんねえ)

 とりあえず、今夜は彼女に頼るのはやめよう。そう考えて、食べ終えた食器をかたしてレストランをあとにする。

日向(あー。星がキレイだ。ジャバウォック島って南半球にあるんだなー。オリオン座が普段と逆さに見えら)

 そんなことを考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。

罪木「あのぅ……日向さん」


罪木「今夜、よければ日向さんのコテージにお邪魔して、その、夜のお世話をしようと思うんですけど」

日向(よ、夜のお世話って……)

 もちろん、罪木がそういった意味で言っていないということはわかる。着替えやらその他のことだろう。

日向「いや、でもいいのか? 迷惑じゃないか?」

 邪なことを考えていたのを悟られたくなくて、話を逸らす。

罪木「そんな、迷惑だなんて……私、日向さんのお傍に居られて、本当に幸せなんですぅ……」

 そのあと、罪木は俺のコテージでなんだかんだと世話を焼いてくれた。さっきの疑念がなんだったんだと思うほど献身的なその姿に俺は改めて惚れなおした。


――

罪木「それじゃあ、日向さん……そろそろ私、自分のコテージに戻りますねぇ……」

 そう言って罪木は俺のコテージから出ようとする。その背中に向けて、また俺の口から勝手に言葉が飛び出した。

カムクラ(>>77

今夜は一緒にいてくれないか?


カムクラ「今夜は一緒にいてくれないか?」

 また口から勝手に言葉が飛び出る。いい加減この現象にも慣れてきた。余計なことを言われるのであれば厄介だが、こうして自分では言いづらかったことを言ってくれるのであればむしろありがたい。

日向(あんがい役に立つじゃないか、こいつ)

罪木「……わかりました。いいんですね、日向さん?」

 なぜだか念を押すように聞いてくる罪木。どうした、という言葉は口に出来ずに宙に溶けた。

 なぜなら。

日向(なんて目をしてるんだ……罪木)

 彼女が、とても昏い目で俺を見ていたから。闇が何重にも塗り重なって、濡れたように光って見える。そんな目で彼女は俺を見ていた。

日向「あ、ああ……」

 その目の迫力に気圧されて、俺はそう答えることしか出来なかった。



――夜中、ふと目が覚めた。思いつめたような表情に反して、彼女はなにもしてこなかった。一晩を同じ部屋で過ごすということから、なにがしかの想像をしていて、それであんな顔をしていたのではないか。そう思って、こちらからも手出しはしなかった。ただ、恋人らしく手を握ったまま眠った。もちろん、怪我をしていないほうの左手でだ。
 
 けれど、目を覚ませた時、彼女は俺の右手を握っていた。それも両手で。ベッドの上に座って、何かに祈るかのように、懺悔するかのように、俺の手を握っていた。とはいえ、傷つける気もないのだろう。その手に込められた力は優しかった。どうやら俺が目を覚ませた原因はこれらしい。

罪木「……日向さん。日向さぁん。日向さん日向さん日向さん日向さん」

 何度も俺の名前を呟く彼女の目には涙が光っていた。

日向「……罪木。どうした?」

 それをなんとかしたくて、思わず彼女の名前を呼ぶ。俺が起きていたことには気づいていたのか、彼女はさして驚かず、話し始めた。


罪木「日向さん。私はもうダメかもしれません」

日向「どうして。なんかあったのか?」

 彼女の言う言葉の意味がよくわからず、問い返す。その言葉の内容に思わず笑いそうになったが、彼女の真剣な瞳がそれを止めた。彼女の瞳は真剣だった。あの昏い瞳じゃない、いつもの、真っ直ぐな瞳だった。

罪木「こうしているのがたまらなく……たまらなく幸せなんです」

日向「幸せだったらいいじゃないか」

罪木「ダメ……ダメなんです。いつまでもこうならいい、なんて考えてしまう。日向さんがずっと」

罪木「怪我をしていたら……なんて考えてしまうんです」

罪木「もちろん、本気じゃありません。単なる『発作』です。電車を待っている時に、『ここから飛び降りたらどうなるか』とか考えたり、赤ちゃんを抱っこしてる時に『落としたらどうなってしまうんだろう』なんて考えるときと同じです」

罪木「むしろ、そうなったら嫌だっていう恐怖なんです。でも、考えてしまうんです」



罪木「だって、こうしている間は日向さんが私を必要としてくれる。一緒に居たいって言ってくれる。私の唯一の存在価値である”超高校級の保健委員”としての才能も、大好きな人の為に使える」

罪木「だから、ダメなんです。考えれば考える程、今の状態がベストに思えてくる」

罪木「それを確認したくなくて、敢えて日向さんを遠ざけようとしたけど、ダメでした。だって、それが私が求めていたものなんですから。私の幸せなんですから」

罪木「あれ? なに言ってるんでしょう、私。支離滅裂ですね。怖いって言ったり、幸せっていったり」

罪木「あ、違うんですよ? 前にお話したこととは別なんです。私は日向さんを下に見たり、支配したりしたいわけじゃありません」

罪木「これって、もっと真っ当な在り方だと思うんです。私のあるべき人生のかたちなんですよ」

罪木「でも、それには」

罪木「日向さんが怪我をしてないとダメなんです」

罪木「でも、だから、でも……」




……罪木は、そのまま「でも」と「だから」を繰り返している。

 どうすれば彼女を救うことが出来るんだろうか? 俺は彼女になんと言ってあげるべきなんだろう。

 きっと、どちらを選んでも彼女は苦しむんだろう。きっと俺の元気な姿を見ていると、さっき言っていた「発作」に苦しめられるんだろう。だからといって彼女のために看護され続ける生活を選んだとしても――俺が自分の意志で選んだとしても、きっと彼女は負い目に感じてしまうだろう。

 だけど、1つだけはっきりしていることがある。俺の方には、彼女から離れる気はないってことだ。

 きっと、彼女は俺と一緒にいることで沢山苦しむだろう。だから、これは彼女のためなんかじゃない。俺のエゴだ。

 さあ、泣いている彼女の肩を抱いて、優しく声をかけてやろう。いいんだよ、って言ってやろう。

 でも、どちらにするか、一応は選ばなくちゃいけないな。彼女の傍に居続けるために。

日向「俺は――>>86

お前のために今から轢かれてくる


日向「俺は――お前のために今から轢かれてくるよ」

 まあ、ジャバウォック島に車なんて走ってないけどな。そう言って笑うと、彼女はぽかんとした顔で俺を見つめた。

日向「難しく考え過ぎなんだよ、罪木は。スポーツ選手の奥さんが練習に付き合ったり、コックの恋人が頑張って量食ったり。そんなの、別にふつうのコトだろう?」

日向「お前の場合は、それが医療関係ってだけだ。……そりゃ、しょっちゅうっていうのは困るけど。たまにだったら、付き合うよ、俺は」

日向「もちろん……そこまで付き合うのは、誰にでもってわけにはいかないけど」

 俺がそう言うと、罪木がえ、と小さく口を開く。

日向「そりゃそうだろ。この島にいる全員の”超高校級”に付き合ってたら、俺の身体が持たないからな」

日向「だけど……その、将来の奥さんの才能を育てるためっていうなら……手伝わないこともない、かな」





Result ミッション2 課題:骨折

     結果 良


>>77はこうなるかなー、もしこうなったら絶望endにしよーって思ったとおりのことを書いてくれました。やっぱカムクラのアドバイスって糞だわ。
読み返してみたら後半から地の文多すぎでした。
とりあえず今日は寝ます。また罪木ちゃんSSスレ立てるかもしれませんし、このスレが残ってたら再利用するかもしれません。おやすみ。

一ヶ月くらいスレが持つらしいので気長に1000までやってみようと思います。もうちょい地の文を減らしてどんどん安価を処理できるようになりたい。


狛枝「日向くんの骨折騒動から一週間が過ぎた」

狛枝「二人の間になにがあったのかはわからないけれど、あれから二人はベッタリで、いつも一緒にいる。保健委員と患者、という関係を優に越えてだ」

狛枝「学生同士の共同生活という状況から、どうしてもそれに嫌悪感を感じる人もいるみたいだけど」

狛枝「ウサミの『日向クンと罪木サンはらーぶ、らーぶなんでちゅねー』という言葉で、なあなあになってしまった。どうやらあの”先生”によると、生徒同士が特別に親密な関係になることはこの修学旅行の目的から外れてはいないらしいね」

狛枝「まあ、僕としては二人の関係が共依存であろうとどうでもいい。ただ、それが二人の”希望”を壊してしまわないことを願うのみだ」

狛枝「でも、二人の愛という希望がもっと輝くために、僕みたいなクズにもささやかな助力が出来るとしたらこんなに嬉しいことはないよ!」

狛枝「愛は困難を乗り越えることで大きくなるっていうしね。だから、罪木さんにちょっかいをだしてみようかな?」

狛枝「というわけで、まずは>>103だ」

狛枝「セックスとか暴力とか、過激なイタズラは日向くんに邪魔されちゃうかもしれないね。それもまた新しい希望かもしれないけど」

マリオカートで絶望に叩き落として泣かす

狛枝「よし、ゲームで叩きのめして泣かせてみよう」

狛枝「ゲームと言えばやっぱりあの人かな」

狛枝「おーい、七海さん。今から罪木さんとゲームしようと思うんだけど、なんか貸してくれない?」

七海「狛枝くん。罪木さんならさっき日向くんのコテージに入っていく所をみたよ?」

狛枝「へえー。あの二人またいちゃいちゃしてるんだ。まあいいやそれでも。押しかけるから」

七海「日向くんのコテージに押しかけていって、罪木さんとゲームするの? 狛枝くん……それはちょっと」


七海「ずるいよ! ゲームするなら私も混ぜてほしいな」

狛枝「うーん……当初の目的からすればちょっとズレるけど……もちろんかまわないよ! 超高校級のゲーマーの才能が輝く所を間近で見られるなんて……なんて僕は幸運なんだ!」

狛枝「それに、実際僕もゲームが上手いほうじゃないし……罪木さんを叩きのめすなら彼女以上の適役はいないよね」

狛枝「それで、七海さん。ソフトはどうするの?」

七海「うーん。四人で対戦出来るものっていったら、やっぱりこれかな。マリオカ~ト~」テテテテッテレ-

狛枝「うーん……僕としては桃鉄みたいに運で勝敗が決まるゲームのほうが得意なんだけど……まあいっか!」

狛枝「というわけで日向くん……」

狛枝・七海『……来ちゃった。』

日向「来ちゃったじゃねえ! お前ら、俺のコテージになんの用なんだ!」

七海「むー。狛枝くんはともかく、私は遊びに来ただけなのに、その態度は酷い……と思うよ?」

狛枝「七海さん……狛枝くんはともかくって……。僕も彼女と同じだよ。最近、日向くんと罪木さん、二人だけで過ごしてばっかりでしょ?」

狛枝「日向くんはともかく、罪木さんの希望のかけらは僕も七海さんも持ってないし……それに、せっかくこうして一緒に修学旅行に来たんだから、もっと仲良くなれないかなって思っただけなんだ」


日向「……そういうことなら。悪いな、怒鳴ったりして」

日向「『……来ちゃった』の時の満面の笑みが、なんか企んでるような気がして、つい」

狛枝(まあ企んではいるんだけどね)

七海「というわけで二人ともーゲームやろーゲーム」

罪木「ふええ……いいんですかぁ? 私なんかが見てても……」

罪木「私、昔一度だけお友達の家で皆がゲームやってるのを見させてもらったことがあるんですよぉ! あれは私の人生でも一番楽しかったことの一つです!」

七海「うーん……見てるのもいいけど、やっぱりゲームは自分でやってこそ……だと思うよ?」

七海「だから罪木さんも一緒にやらない?」

罪木「えっ……で、でも……」

日向「お、64とマリオカートじゃないか。それをやるのか?」

七海「うん。これは四人まで対戦できるから……ちょうどここには四人いるしね」

日向「悪いけど俺はパスだ。まだ右手が治りきってないからな」

日向「二人だけじゃつまらないだろうし……罪木も参加してやったらどうだ? わからないことがあったら教えてやるからさ」

七海「超高校級のゲーマーとしては……新規層を開拓できるチャンスは逃したくないですな……」フンス

罪木「え、えっと……じゃあ」

罪木「ふ、ふつつかものですけど……よろしくお願いしまぁす! 初めてなので、痛くしないでくださいね……?」

日向「なんか……それは違うぞ」

その後、操作方法を二人が教えたり、二、三回練習コースを走ってみたりして……ようやく、僕と罪木さんが勝負するときがやってきた。

七海「とりあえず、ステージはマリオサーキットで……」

罪木「は、はい! よくわからないけど、がんばりますぅ!」

狛枝(さあ、ようやくこの時がやってきたぞ……)

狛枝(当初の目的は、ここで罪木さんをコテンパンにして泣かせることだ。だから、悪いけど手加減はしないよ)

狛枝(問題は、七海さんだけど……やっぱり手を抜いてあげるのかな? それとも超高校級のゲーマーとしては、ゲームで手を抜いたりは出来ないのかな?)

結果はどうなった?>>111

罪木の前を行ってた七海がゴール前バナナで滑って罪木勝ち


狛枝(……どうやら七海さんは、初心者を導くことこそが”超高校級のゲーマー”としての自分の役割だと考えているらしいね)

狛枝(罪木さんの前にピッタリくっついて走って……スリップストリームでひっぱってあげている。せっかく僕が仕掛けたバナナやニセアイテムも、甲羅で次々と処理してしまって……)

狛枝(気がつけば周回遅れ……僕はまだ二周目だっていうのに、二人はもうゴールしようとしている。このままじゃ二人のワンツーフィニッシュだ)

狛枝(せめて一矢報いないと……罪木さんに一度でもバナナで滑ってもらって、人の悪意ってものを味わってもらわないとね……)

狛枝(よし……ここだっ!)

七海「なんの!……あっ!」


罪木「えっ……あっ、日向さぁん! やりました! 私、ゴールです! それも一番!」

狛枝(なんということだ……ゴール直前で罪木さん目掛けて放ったバナナの処理をミスって七海さんがスリップ。そのスキに罪木さんが一着でゴール……)

狛枝(正直、七海さんのミスが本気か故意かはわからないけど……罪木さんを泣かせるという当初の目的は大失敗だ)

狛枝(でも、そんなのは関係ないよね! なんせ僕は”超高校級の幸運”なんだから! この結末もきっとなにかの幸運に繋がってるんだよ!)


 罪木くずし  ミッション3 中断

 課題①:マリカー  結果 不可


 罪木さんは、やったやったと日向君に抱きついて喜んでいる。彼はというと、顔を真赤にしてこちらをちらちらと見ながらも、しかしまんざらでもないといった表情だ。

狛枝(おや?)

 そこで僕は、傍らの七海さんが少し不機嫌そうに頬を膨らませているのに気がついた。それは単にゲームで負けたことを悔しがっているのか、それとも……

狛枝(どうやら、”罪木さんを涙目にさせるイタズラ”という意味では、この失敗が次に繋がるみたいだね……さて、また別のイタズラを考えてみようか)

次のイタズラ>>118
この場で実行するか、日を改めるかどうかも

なんとかしてバナナの皮で転ばせる

――また別の日

狛枝「ま、七海さんの希望が罪木さんとぶつかって輝く所を見たくはあるけど」

狛枝「だからといって僕にはどうすることもできないよね。二人が日向くんを巡ってコロシアイを始めたりしたら面白いんだけど、そんなことあるはずないしなあ」

狛枝「でも、罪木さんにゲームでしてやられたのはやっぱり少し悔しいから、少し仕返しさせてもらおうかな」バナナモグモグ

狛枝「現実で罪木さんをバナナの皮で転ばせようと思ったら、わざわざあんな面倒なことをしなくてもいいんだよ。僕の”超高校級の幸運”と彼女の”超高校級のドジっ子”の才能さえあれば」

狛枝「そんなこといってたら、ちょうど来たね、罪木さんが」皮ポイッ

ウサミ「ダメでちゅ! 狛枝くん! ゴミのポイ捨ては修学旅行のルールで禁止されてまちゅ!」

狛枝「うわ! ウサミ!? いったいどこから来たの?」

ウサミ「そんなことはどうでもいいでちゅ! このままだとオシオキでちゅよ!」

狛枝「へえ。オシオキってどんなの? 両手両足を縛って全身を切り刻んだ上、腹に槍をつきさしておまけに毒ガスを浴びせて火をつけるとか?」

ウサミ「ヒッ! なんて残酷なことをいうんでちゅか! オシオキって言っても、殺したりなんてするわけないでちゅ!」

狛枝「へえ……じゃあ、どういうオシオキなのかな……? 教えてよ、先生……」ネットリ

ウサミ「な、なんでちゅか? だ、だめでちゅよ、そんなっ……あちしは先生なんでちゅから」



狛枝「あ、ほら。そんなこと言ってる間に、罪木さんが」

罪木「ひぇぇぇぇ! 転んでしまいましたぁぁ!」パカー

ウサミ「罪木しゃん! そんな、嫁入り前の女の子がそんなかっこしたらだめでちゅー!」


狛枝「あー面白かった。ウサミをからかったら、ひと通り気は済んだかな」

狛枝「さて、どうしようか。もう少し罪木さんにちょっかいを出してみようかな……?」

>>125 イタズラを続ける?その場合は内容も



みかんの汁を目にぶち込む



狛枝「よし、もう少し単発のイタズラを続けてみようか!」

狛枝「そういえば、前に西園寺さんが罪木さんを罵るときに、『蜜柑の汁が目に入って死ね!』って言ってたなあ」

狛枝「そのあと、ボソっと日向くんが『……蜜柑だけにか?』って言ったら、みんな大笑いしてたっけ」

狛枝「西園寺さんは恥ずかしそうに顔を真赤にしてたけど……でも超高校級の舞踏家である彼女がくだらないおやじギャグなんて言うはずがない! きっとあの言葉にはなにか意味があったんだ!」

狛枝「そうと決まれば、昼食の時がチャンスだね……さっそく試してみよう!」


――昼食

狛枝「ねえ、罪木さん。隣いいかな?」

罪木「ひぇぇぇぇ! も、もちろんですぅぅ!」

狛枝「ははは、そんなに怯えないでよ。ただでさえ超高校級の保健委員である君の隣に座るっていう光栄に緊張してるのにさ……」

罪木「いえ! 狛枝さんが私みたいなゲロ豚の隣に座ってくださるなんて……」

日向「ストップ。お前らいいかげんにしとけ」

狛枝「日向くん! 今日も罪木さんのとなり? 二人が愛という名の希望を育むのは悪いことじゃないけど、僕はもっと広い世界を見るのもいいと思うよ?」

日向「俺が目を離すと花村のやつがセクハラしようとしてきたり、西園寺がイジメたり大変なんだよ……お前もよけいなちょっかいだすなよ?」

狛枝「あはは。よけいなちょっかいって、例えばこういう?」


 そういうと僕は、食器からカットしたオレンジをつかんで、罪木さんの目に向けて汁を飛ばした。

罪木「ひええええ! 顔にお汁がかかっちゃいましたぁ!」

 罪木さんはそう言って椅子から転げ落ちてしまった。どうしてだか、足を大きく開いてしまい、純白の下着が白日のもとに晒される。男性陣のおおっ、という嘆息が流れた。

 立ち上がった日向くんが僕の胸ぐらをつかむ。彼を刺激しないよう、精一杯の愛想笑いを浮かべた。

日向「お前! どういうつもりだ!」

狛枝「嫌だなあ、日向くん。僕もこんなことしたくなかったんだよ」

狛枝「でも、いくら考えても答えが出なくてね……」

日向「一体なんの話だ……?」


狛枝「もちろん、先日の西園寺さんの発言だよ!」

狛枝「『蜜柑の汁が目に入って死ね』……これにはどういう意味が隠されているのか、いくら考えてもわからなかったんだ」

狛枝「超高校級の舞踏家である彼女が、くだらないおやじギャグなんて言うはずがない……この言葉にはきっと隠された意味があるんだ。だけどそれがどうしてもわからなくてね」

狛枝「それで、少しでもヒントになればと実際にやってみたんだ! 超高校級の保健委員である彼女にこんなことをするのは胸が痛んだけど、でも」

狛枝「彼女なら、この程度の絶望は簡単に乗り越えて、もっと輝く希望を見せてくれるはずだよ」

日向「お前なあ……」

 日向くんが呆れた表情で手を離したそのとき。


西園寺「――死ねッ」

 西園寺さんのミサイルキックが飛んできた。

西園寺「死ね、死ね、しんじゃえええええ」

小泉「ちょ、日寄子ちゃん落ち着いて!?」

 そのままマウントポジションで顔面を殴ってくる。グーで。

 いくら小柄な女の子とはいえ、こう何度も殴られると……

狛枝「ちょ、西園寺さん、やめっ……」

 ――そうして、ぼくは意識を手放した。


 罪木くずし  ミッション3 

 課題①:マリカー     結果 不可

 課題②:バナナトラップ  結果 良

 課題③:蜜柑の汁攻撃   結果 可

 総合成績         可

とりあえず狛枝はここまで。ちょっと休憩します。

あと、安価じゃあんまりちゃんとしたお話は書けないので、こういう話が読みたいってリクエストがあればどうぞ。時間があるときに完成させて投下します。もちろん罪木ちゃん限定ですが。

もう、いっそのこと1さんが書きたいように罪木を可愛く書くのなんかはどうでしょうか?

安価でもいいですけど
やっぱり安定したのも見てみたいです

最後の西園寺が良かった。

>>135見てくれる人がいるなら書いてみたいです

>>136ありがとうございます。でも西園寺は罪木ちゃんイジメるから嫌いです。学園時代はなんだかんだ仲良かったんだろうか……

再開します

――また別の日 

小泉「あーあ。なんか退屈だなー」

西園寺「あ、真昼おねえ、暇なら一緒にあそぼー!」

小泉「うん、いいよ。じゃあなにする?」

西園寺「えーっとねー、罪木くずしなんてどうー?」

小泉「えっと……罪木ちゃんにイタズラするってこと? ダメだよそんなの!」

西園寺「うわーん! 小泉おねえが怒ったー」グスン

終里「ん、別にいいんじゃねえか?小泉がちょっかいかけるのって結局罪木が好きだからだろ? 俺も経験あるけど散々スカート捲ったりおっぱいもんだりした男子に限って後で『好きだ』とか言ってくるんだよ」

小泉「えっと……なんか聞き捨てならない話が聞こえた気がするけど……それはおいといて」

小泉「……そうなの? 日寄子ちゃん」

西園寺「……フン。私があんなゲロ豚のこと、好きなわけ無いじゃん」プイッ

小泉(うーん……これは照れ隠しなのかな?)

小泉(まあ、日寄子ちゃんなりに罪木ちゃんと仲良くなろうとしてるのかもしれないし……あんまり過激なイタズラだったら私が止めればいいよね)

小泉「じゃあ、その罪木くずしっていうの? ちょっとやってみようかな」

西園寺「おねえ、ホント? わーい! やったやったー!」

西園寺「じゃあねー、まずは>>142で!」

フォトショで日向と七海のイチャイチャ写真作成


西園寺「フォトショで日向と七海のイチャイチャ写真を作成してーあいつにプレゼントしよー」

小泉(思ってたのと違って直接暴力とかを加える系じゃなかったけど……なんていうか、エグい!)

西園寺「おねえ、いつも写真とってるしー、写真編集用のソフトだって持ってるでしょ?ねーねー手伝ってよー」

小泉「……ごめんね? 日寄子ちゃん。私、あんまり自分の写真をそういうことに使いたくないっていうか……」

西園寺「えー。そうなの……?」

>>146 1 それでもやりたい
     2 それなら○○(内容も)

1


西園寺「そんなのやーだー! やりたいやりたいやりたい!」ビエ‐

小泉「ああ! 泣かないで日寄子ちゃん!」

小泉「……しょうがないなあ。ただし! ちゃんと最後には種明かしすること!」

小泉「私の写真を使うんだもん。笑顔で終われるイタズラにしてよね!」

西園寺「わーい! おねえ大好きー」ペカー

小泉(まあ、いっか……ただのイタズラだもん。七海ちゃんも罪木ちゃんも、謝れば許してくれるよね……?)


小泉「……というわけで。出来たわよ!」

西園寺「えー。遊園地で二人で肩を抱き合ってる写真? これってみんなで行った時のから周りの人を消しただけじゃん!」

小泉「しょうがないでしょ? 私だって撮るのばっかりで、そんなに編集なんてやったことないし……」

西園寺「うーん、そうじゃなくてさー。もっと過激な、二人でベッドに入ってる写真とか」

小泉「ベ、べ、べ、ベッドって! そんなの、編集するための素材が撮れないわよ!」カー

西園寺「ま、いっか! ありがと、おねえ」

西園寺「それじゃあさっそく、ゲロ豚のコテージにしゅっぱーつ!」

――罪木のコテージ


西園寺「ちょっとー、ゲロ豚、いるんでしょー」コンコン

罪木「はいぃ……どなたでしょうか?」

西園寺「声でわからないの!? わたしだよ、わ・た・し」

罪木「す、すみませぇぇん! 西園寺さんですね?」

小泉「あ、アタシもいるよ」

罪木「……小泉さんもいっしょなんですねぇ。よかった……」

西園寺「ちょっと! なにホッとしてんのよ! っていうか早く開けなよ!」

罪木「あ、はい!」




罪木「ええっと……それで、なんの御用でしょうか」

西園寺「なによ! 用がなかったら来てほしくないっていうわけ!?」

罪木「そ、そういうわけじゃありません! 遊びに来てくれて嬉しいですぅ!」

西園寺「わたしがあんたなんかと遊ぶわけ無いでしょ!? 調子に乗るな!」

罪木「ひぇぇぇぇ! 調子に乗ってすみませぇぇん!」

小泉「ちょっと、日寄子ちゃん」

西園寺「……フン。今日はね、あんたにいいものを持ってきてあげたのよ」

罪木「…………いいもの、ですかぁ?」


西園寺「これよ、この写真よ」

 そう言って日寄子ちゃんは、先ほどの写真を手渡した。

罪木「これっ……って……」

西園寺「あんたが散々縋ってる日向おにぃは、本当は七海おねぇと付き合ってるってわけ」

罪木「……………………」

西園寺「コレに懲りたら、ちょっとは身の程を知ったら? あんたみたいなゲロ豚が好かれるわけないじゃん」

罪木「……………………」

西園寺「日向おにぃ、いい笑顔してるでしょ? 流石真昼おねぇの写真だよねー。あんたの前でもこんな顔してる?」

罪木「……………………」


小泉「ちょっと、日寄子ちゃん、流石に……」

 と言いかけたところで、アタシは思わず口を噤んだ。

罪木「……………………」

 震える手で写真を握りしめる、罪木ちゃんの目を見てしまったから。

罪木「……………………」

 その目は。何千何百という人の写真を撮ってきた”超高校級の写真家”であるアタシにとっても、初めて見るものだった。

 それは、人の目というより……鉛筆で、同じところをグルグルと塗りつぶした時生まれる光沢のような。それを、何重にも重ねて、黒が逆に光って見える。そんな色をしていた。

ごめん、シリアス展開そのものは好きなんだけどどうしても地の文が多くなって時間がかかります。気長に見てくれたら嬉しい。


西園寺「まあ、わたしも本当はこんなこといいたくないんだけど? 最近のあんたの調子に乗りっぷりがみてられなかったからさー」

 日寄子ちゃんはそんな罪木ちゃんの様子に気づいていないのか、辛辣な言葉を投げつけ続けている。

小泉「あのっ……罪木ちゃん」

 思わず、種明かしをしようと声をかけるも。それはその相手本人によって遮られてしまった。

罪木「…………あれあれあれ?」



罪木「すみません、西園寺さんに小泉さん、せっかく遊びに来てくださったのに、私体調が悪くなっちゃったみたいですぅ」

罪木「今すぐベッドに横になりたいので、悪いんですけどもう帰ってもらえますかぁ?」

西園寺「ちょっとあんた! なに言って……んのよ……」

 日寄子ちゃんもようやく相手の様子に気がついたのか、言葉の途中で詰まってしまう。

罪木「あ、この写真はお返ししますねぇ」

小泉「違うの、罪木ちゃん! これは、ちょっとしたイタズラっていうか……」

罪木「ああ、わかってます小泉さん。イタズラですよね、イタズラ。わかってます。全部、わかってますから」

小泉「違うの! そうじゃなくて……」

罪木「あの、申し訳ないんですけどぉ。本当に体調が悪いので、早く帰ってもらえますか? 私の保健委員としての勘が言ってるんです。これは、早く治療しないとまずいって」

 そう言って彼女は、普段からは想像も出来ないような力で私たち二人をコテージの外に追い出してしまった。

 
 その後。私たち二人は、しばらく罪木ちゃんのコテージの前で佇んでいた。手には、1枚の写真。ほんのイタズラのつもりだった、日向と七海ちゃんの偽のツーショット写真。

西園寺「おねぇ……どうしよう」

 日寄子ちゃんが震えた声で言った。流石の彼女も、先ほどの罪木ちゃんの豹変には同様を隠せないらしい。

西園寺「あのゲロ豚が……わたしをむりやり追い出して……あんな目をしてて……」

西園寺「もし、本当になにか……取り返しのつかないことしちゃったら……」

 そう言って涙ぐむ日寄子ちゃん。

小泉(やっぱり……日寄子ちゃんはホントは罪木ちゃんのことが好きなんだね)

 コミュニケーションの取り方がヘタなだけで。とはいえ、それがこんなこんな事態を引き起こしてしまったのだから、当然それは変えなければならないけれど。

小泉(それより先に……今はこの事態をなんとかしないとね)

>>180 どうする?

モノクマ登場だよ!


モノクマ「オマエラ! お困りのようですな」

 そのとき、突然。本当に突然。目の前に、白と黒のツートンカラーのクマのぬいぐるみが現れた。

小泉「なに、アンタ!? 一体どこから現れたの!?」

モノクマ「どこって、そりゃこのお腹についてるポケットからですがな。まるで自分を飲み込んだウロボロスの蛇が吐き出したみたいに……」

小泉「……あんた、ウサミの仲間?」

モノクマ「失礼な! あんなバッタモンといっしょにするとは。ボクはモノクマ! 常にオンリーワンの存在ですがな」

モノクマ「まあ、ボクの正体はとりあえずおいといて」

モノクマ「お嬢さんがた、友達を絶望から助けたいんでしょう?40秒で支度してボクについてきてよ」

 そう言ってモノクマは、先に歩き出した。

>>185  ついていく?

いかないで日向にすぐ相談


小泉「……行くよ! 日寄子ちゃん!」

 そう言ってアタシは彼女の手を掴んで駆け出した。もちろん行き先はモノクマの後――ではなく。

小泉「日向のヤツに相談しなくっちゃ!」

 西園寺「う、うん!」

 残念ながら、アタシたちは罪木ちゃんのことを何も知らない。それに今罪木ちゃんに本当のことを説明しても、信じてはもらえないだろう。ここは悔しいけど、アイツの力を借りるしかない。――アタシも、罪木ちゃんの友達のつもりだったんだけどなあ。

 怪しげなクマのぬいぐるみをその場に置き去りにして、アタシたちは日向のコテージに向かう。だから、そのとき。

モノクマ「あーあー。無視とは。最近の子は冷たいなあ」

モノクマ「だったら……こっちの子のおウチにおじゃましちゃおうかな!」

 そいつが、罪木ちゃんのコテージに入る姿を見ることが出来なかった。


小泉「ねえ! 日向! いないの!? 罪木ちゃんが大変なの!」

 何度もコテージの扉を叩くも、返事はない。どうやら本当に、日向はここにはいないらしい。

小泉(まったく……こんな時にどこに行ってるのよ、アイツは)

 思わず自分のくだらないイタズラがこんな事態を招いたことを忘れて、悪態をついてしまう。

 小泉(今日は採集もお休みだし……一体どこを探したらいいの!?)

>>194 どこへ向かう?

>>198 そこに居たのは誰?






旧館

七海と狛枝


 とりあえず、近場から順々に探していこう。これだけ大声で騒いだのだから、だれか他の人のコテージにいるということもないだろう。そう思ったアタシは、ホテルの旧館へと足を向けた。

 そこにいたのは、探し人ではなかった。

小泉「七海ちゃん! それに狛枝! 日向のヤツ見なかった?」

狛枝「小泉さん! どうしたの、そんなに慌てて。僕たちはずっとここで一緒に居たけど、日向くんは見なかったよ?」

七海「…………一緒にいたっていっても、採集計画を考えていただけ……と思うよ?」

小泉「そっか! じゃあいい!……」

 といいかけて私は、七海ちゃんがこの件に関わりがあることに気づく。考えたくはないけど、さっきの罪木ちゃんの様子からすると七海ちゃんに危害を加えることも……ないとは言えない。
 もちろん、考え過ぎかもしれないし、勝手に写真を使って巻き込んだとは、正直言いづらい。それに、ここで説明している時間も惜しいけど……

 どうする?

>>201(とりあえず1と2、どちらかだけ)

 1説明する

 2他の場所を探しに行く


小泉(って、自分の体面を気にしてる場合じゃないよね!)

 私は、二人に事情を説明した。二人とも茶化したりすることなく真剣に聞いてくれた。そして、日向探しに協力してくれることになった。



――同時刻、罪木のコテージ

モノクマ「やあ! 蜜柑ちゃん!」

罪木「ふにゅう! 誰ですかあ!?」

 自分のコテージに突然現れた闖入者に、彼女は驚きの声を挙げた。まあ、当然の反応といえるだろう。白と黒のツートンカラーのクマのぬいぐるみなんて、悪い冗談でしかない。

 ――かつて、あなたを唯一愛してあげた人間よ、とはここでは言わないでおいた。だって、その方が絶望的だもんね!

モノクマ「ボクはモノクマ! またの名をザ・ジャッジ!」

モノクマ「ほら、ボクって見ての通り、シャイア・ラブーフみたいなベビーフェイスとアンソニー・ホプキンスみたいなヒールの半々でしょう? これは君の中の天使と悪魔を象徴してるわけ!」

モノクマ「大好きな人に裏切られて辛いんでしょ? どうしていいかわからないんでしょ? その判断を、少しでも助けてあげようと思ってさ」

モノクマ「ズバリ、言わせてもらうよ。この件で悪いのは、>>205です!」

つみき

ちょっと疲れた……モノクマ登場となると単なる罪木ちゃんとの日常ってわけにはいかないよね……
着地点考えながらやるので、さらに投下ペース落ちます。今夜中にはミッション4は終わらせたい


モノクマ「この件で悪いのは……つまりクロは、罪木蜜柑、あなたです!」

 彼女は、ヒッと小さく声を挙げて肩を震わせた。その顔色は白を通り越して蒼く見える。

モノクマ「君は思ったよね? どうして自分ばっかりがこんな目に合うんだと。どうして誰も彼も自分を攻め立てるのかと。この世界はどうして自分に優しくしてくれないんだと」

モノクマ「わかる、わかるよ。その考え。ボクにはよーくわかる」

モノクマ「でもね、そんなの。」

モノクマ「甘いよ! 大甘だよ! 甘すぎて笑っちゃうね、大爆笑カレーだよ!」

モノクマ「いいかい、今回のことだけじゃない。この世の全てのことは、自分に責任があるんだよ! 特に、人間関係っていうのはね」

モノクマ「『”どうして”自分は好いてもらえないんだろう』『”どうして”自分は仲間はずれにされるんだろう』って考えるでしょう? その”どうして”が理由なのさ!」

モノクマ「人は理由なく人を嫌ったりしない。理由なく仲間はずれになんかしない」

モノクマ「誰にでも愛される人と誰からも嫌われる人は、決して同じ人間じゃない。だから、そこにある差が理由なのさ」


モノクマ「でもね、ボクは」

モノクマ「”だから”キミのことが好きだな」

モノクマ「『誰からも嫌われる』からキミのことが好きだよ」

モノクマ「キミは今のままで変わらなくていいんだよ。世界の代わりにボクが愛してあげるからさ!」

まさかのえのじゅん√クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !?


――同時刻、旧館

小泉(早く、日向のやつを見つけなくっちゃ!)

>>220 向かう場所

>>225 そこにいる人物

七海のコテージ

田中


七海「そういえば、今日は日向くんと私のコテージの前で待ち合わせしてたから、もしかしたらもういるかもしれない……と思うよ?」

小泉「それホント!? 早く行ってみましょう!」

 そう言って、アタシと七海ちゃん、それから日寄子ちゃんは駆け出した。狛枝は、「ボクにもちょっと心当たりがあるから」と言って一人でどこかへ行ってしまった。

西園寺「居た!」

 七海ちゃんのコテージに行くと、確かに男の子が一人、立っていた。しかしそれは……

田中「フッ! どうしたのだ、愚民どもよ! どれほど急いだとしても、時の流れはかわらんというのに!」

小泉「田中! あんた、日向見なかった?」

田中「>>238」(田中語に変換されます)

>>234
お前ちょっと誰かに安価つけてみて


田中「フッ……貴様、我に向けて0と1の矢を放つが良い!」

小泉「ちょっと、ふざけないでよ!こっちは真剣なの!」

田中(フッ……奴の中で、特異点との接続が遠ざかったようだな)


★★★★→★★★

もう一度

>>250

>>1が上手い

安価なら
やつなら罪木のところにむかった



田中「奴なら、先ほどまで深き闇の森で一緒だった。前世の因縁ある白き天使の元に向かうと言っていたが……」

小泉「罪木ちゃんのところへ行ったってこと? もう! ホントに緊急事態なんだから! 普通に喋ってよ!」

田中「う、うむ。どうやら、まだ来ていないようだな。何やら、左右田にジャバダイヤを加工できる道具がないか聞いていたが……」

 雷の力宿りし場所に向かったのかもしれんな、と田中は最後にはいつもの調子に戻って言った。

七海「……それって、電気街ってこと?」

 そう言った時、後ろから声を掛けられた。




狛枝「……来ちゃった。」




日向「・・・来ちゃった」


小泉「狛枝! あんたどこ行ってたの?」

狛枝「どこって、日向くんを探してきたんだよ。ほら。」

 そう言って彼が指差した先には、確かに。日向の姿があった。

小泉「じゃあ、あんたの心当たりって……」

狛枝「いや、まあ心当たりなんて嘘なんだけどね」

小泉「じゃあ、一体どうやって日向を……」

 見つけたの、と続けようとすると、彼にしては珍しく。ちょっと不機嫌に話を遮った。

狛枝「酷いなあ、小泉さん。確かに大したことのない才能かもしれないけど、僕だって一応”超高校級の幸運”なんだよ?」

狛枝「適当にぶらついてたら見つけられるかなーって。まあこの幸運の代わりにどんな不幸が僕に降りかかるかわからないけど」

 でも希望を二つも守れるとしたら、僕の身なんてどうでもいいよね。と彼は言った。



 なにか言い返してやりたかったけど、まずは。日向に説明しなければならない。

 案の定、彼はどうして自分がここに連れて来られたのかわからず、目を白黒させていた。

日向「おい、どうしたんだよ。罪木のやつが大変だって言われて来たけど、なにがあったんだ?」

 アタシは、かいつまんで事情を説明する。ほんのイタズラのつもりだったが、罪木ちゃんに思った以上に影響を与えてしまったこと。日寄子ちゃんは、とうとう泣き出してしまった。「ごめんなさい、ごめんなさい」としゃくりあげている。

 日向は、その頭にポンと手を置いて。

日向「謝るのは俺にじゃないだろう?」

 と言った。


日向「まあ、事情はだいたいわかった。とりあえず、俺と七海が付き合ってるって誤解を解けばいいんだな?」

日向「お前ら、七海にも謝らないとな。俺なんかと付き合ってると誤解されたら、七海だって迷惑だろう?」

 そう言われると彼女は、なにか言いたそうな顔をした。けれども。

七海「……今は緊急事態だもんね。でも、私も諦めたわけじゃない……と思うよ」

 と、自分だけに聞こえるように呟いただけだった。



 私たちは、罪木ちゃんのコテージの前までやってきた。何故か、田中まで一緒についてきてしまっている。

日向「それにしても、お前ら大げさだなあ。こんなに集まって。罪木がちょっとやきもち焼いてるってだけだろう?」

 けれども、アタシは見逃さなかった。そう言う彼の手が小さく震えているのを。きっと、彼は誰よりもアタシたちが見た『アレ』を……彼女の狂気のことを知っているのだろう。

 だから、誰よりも今の状況の深刻さを理解して……それでも心配をかけないようにと笑ってみせたのだ。


日向「……変だな。中から話し声が聞こえるぞ?」

小泉「あ! そういえば」

 アタシは、ここを離れるときに現れた、モノクマと名乗る奇妙なぬいぐるみについて説明した。

日向「それじゃあ、中で話してるのはそのモノクマってことか?」

小泉「たぶんそうだと思う。アタシ達があの場から離れた後、罪木ちゃんのコテージに入り込んだんじゃないかな」

日向「……まあ、なんにせよ、入ってみればわかることだ」

 そう言って日向は、コテージのドアに手をかけた。

 鍵は、かかっていなかった。

1です。トリつけました。

ちょっと聞きたいんですが、淡々と話進めたほうがいいでしょうか。それともロンパっぽい安価遊び取り入れてもいいですか?

安価遊び取り入れてほしい

 せっかくなのでやってみます

――少し前

 私は、目の前に立つ奇妙なクマさん……モノクマさんの話に圧倒され、聞き入っていました。

 彼(?)は、私の欲しいものがなんなのか、全部わかっているかのようにそれを与えてくれました。

 私が世界から愛されない理由。それでも私を愛してくれる、たった一人のひと。
 
 この人が、私の救いなのでしょうか。この人に付いて行けば、全部、全部。悲しいことはなくなるのでしょうか。

罪木(……それでも)

 それでも、なにかが違う、と胸の中で声がします。私を愛してくれた、もう一人のひと。

罪木(私は――日向さんを)


モノクマ「それはちがうよ」


反論ショーダウン!>>236,246,263,273

合計4レスを耐え抜け!





モノクマ「そもそもさあ、その日向くんに君は【裏切られた】わけでしょ?」

モノクマ「もちろん、それは日向くんのせいじゃない。【裏切られたキミの方に責任があるんだ】」

モノクマ「でも、【そんな欠点も含めてボクはキミを愛してあげる】」

モノクマ「キミが【一番欲しかったモノ】を、ボクはあげられるんだ」

>>292

ウィークポイントを選んで攻撃しろ!コトダマはちゃんと反論になっていれば>>1が会話にしてくれるぞ!

なんだ安価でモノクマの言葉を決めるんじゃないのか・・・
個人的にはそっちのほうが嬉しかったな
安価↓

【一番欲しかったモノ】に日向さん

【一番欲しかったモノ】

罪木「それは違います」BREAK!


罪木「私が欲しかったのは、どこの誰とも知らない人の愛じゃありません」

罪木「確かに、誰でもいいから愛してほしいと思ったこともあります……でも」

罪木「今の私が愛して欲しいのは、日向さんに、です」

さっきから>>1が酉付けてないな


モノクマ「でもさ、その日向くんがキミを【愛してない】わけでしょ?だから裏切ったんでしょ?」

モノクマ「それとも、キミが欲しい愛ってそういうこと?辛いことが多すぎて【裏切りこそが愛】だと思うようになったとか?」

モノクマ「そんな気持ちワルイ人のことを愛してくれる人が、【ボク以外にいるわけない】よね」

モノクマ「まあ、【一生誰にも愛されない】でいいなら、それでもいいけどね」

安価出し忘れた。>>302

>>295 ID変わった時だけでいいかと思って……

もう1の好きな話でいいんじゃね?

無理なら安価は300で

なんか正直後半だれてきてたし飽きたんじゃね
前半は結構面白かったのに・・・

投下再開します

寝たのは流石に許してくれ。俺に朝の11時までこのスレに張り付けというのか。





【愛してない】

罪木「それは違います」BREAK!

罪木「日向さんは、私のためなら、自分の身体を犠牲にしてもいい、とまで言ってくだ

さいました……」

罪木「私も、経験があるからわかります……例え愛してもらうためだとしても、やっぱ

り、痛いのや辛いのはいやです」

罪木「でも、本当に欲しいもののためなら、我慢できる。それだけなんです」

罪木「日向さんは、それくらい、私のことを必要としてくれているんです!」



モノクマ「で、でもでも! 日向くんがキミを【裏切ったのは事実】だよね!」

モノクマ「そもそもキミは日向くんのことを【何も知らない】じゃないか!」

モノクマ「それにね、実を言うとこの島から出ると【日向くんは消えてしまう】んだ」

モノクマ「これは嘘じゃないよ、本当のことだ」

モノクマ「どうせ消えてしまう人を愛しても【何の意味もない】じゃないか」

モノクマ「だけど、ボクは違う! モノクマは永遠に不滅なのだ!」




罪木(焦ってるんでしょうか……モノクマさん、支離滅裂な言動が増えてきました)

罪木(でも、だからこそ迂闊なことを言うと手痛い反撃に合いそうです……ここは>>315を)

【何も知らない】にこれまでの日向とのコミュニケーション


モノクマ「は? なに? それがどうしたの?」

モノクマ「それでも、キミが知らないことがあるっていう証拠がこの写真じゃないか!」

モノクマ「それに、この島を出ると消えてしまうという……日向くんの秘密も知らなかったよね?」


罪木(ダメです! 日向さんが消えてしまうなんて、そんな……信じたくないのに)

罪木(モノクマさんが嘘を言っているようには見えません……もしかしたら……本当なんでしょうか)


★★→★

罪木「もう一度です!>>319

何の意味もないに今までの日向との思い出


モノクマ「うんうん、思い出っていいものだよね。確かにそれがあれば人間は生きていけるかもね」

モノクマ「例えそれが最後に裏切られてズタボロにされた思い出でもなァ! ヒャッハア、絶望的ィー!」

罪木(ダメです……そんな……日向さんを恨むなんて……)

罪木(でも……私……)



モノクマ「そうだよ。ダメだよ、日向くんを恨んじゃ」

モノクマ「さっき言ったじゃないか! 悪いのはキミ自身だって! きっと日向くんだって世界中の人全てを裏切るわけじゃない。なんで自分が裏切られたか、よーく考えなおしてごらん?」

罪木「そんなの……わかりません……」

モノクマ「うーん。じゃあ逆に考えてみよっか。キミは自分が裏切られることばっかり考えてるけど、キミだって誰かを恨んでもいいんだよ?」

モノクマ「どうして世界中に嫌われるかわかんなくても、キミが世界中を嫌っちゃえばいいんだよ!」

モノクマ「ほら、言ってごらん! 今キミが一番嫌いな人は誰かな?」

モノクマ「心配しなくていいよ。キミはただ指差すだけでいい。あとはボクがこの、プリティーなお爪でやってあげるからさ」

罪木「私は……私は……」

 その瞬間、コテージのドアが開いて。入ってきたのは彼だけではなくて。思わず私は。


『ナナミさんが クロにしめいされました オシオキをかいしします』



モノクマ「うーん、しょうがないなあ、の○太くんたちは」

モノクマ「オマエラがあんまりダメダメすぎるから、ヒントをあげるよ」

モノクマ「あのね、さっきから裏切り裏切りって言ってるけど、それってホントなのかな?」

モノクマ「だって根拠は写真1枚でしょ?」

モノクマ「正直このウィークポイントは真っ先に狙われると思ってたから……まさか三回目のトークまで残ると思ってなかったよ!」

モノクマ「あ、まだ救いがあると思ってる人がいるの? そんな人にはこれをあげるよ」つL

モノクマ「なにかって?……テトリスの棒に決まってるじゃない!」



罪木「それでも……私は!>>333

ミス。

罪木「それでも……私は!>>340

>>337名案
安価なら>>337


【裏切ったのは事実】

罪木「それは違います!」BREAK!

罪木「私は、こんな写真信じませぇん! 日向さんが私を裏切るはずないですぅ!」

モノクマ「は? 合成だっていうの? 誰が何のために作ったのさ?」

罪木「ううぅ……でも、日向さんが骨折してからは私、いつも一緒にいました! こっそりデートに行ってる時間なんて、ありませぇん!」

罪木「あ、そういえば……みんなで遊園地に行ったことがありました! この写真は、そのときの集合写真に重なります!」




モノクマ「あー、もう! これだけは言いたくなかったけどね!」

モノクマ「キミたちは【超高校級の絶望】と呼ばれる世紀の大犯罪者たちなの!」

モノクマ「それを更生するために、こうして【仮想世界の島】で生活させて」

モノクマ「それを現実世界の肉体に上書きしようとしているの!」

モノクマ「だけど、日向くんはそれだけじゃない!【脳手術】を受けている!だから【

上書きできない】の!」

モノクマ「それに、キミたちみたいな大犯罪者に【愛される資格】なんてないんだ!」

モノクマ「キミたちを待っているのは【希望の未来じゃない】!【絶望だけ】だ!」


罪木(ふええっ!? モノクマさんが言っていること、私には全然わかりません!)

罪木(だけど、1つだけ……たった1つだけわかっていることがあります。それは……>>357

>>355行ってみる?


【愛される資格】

罪木「それは違います!」BREAK!

罪木「もし、仮に日向さんが犯罪者でも。手術を受けて変わってしまっても。どんなことがあっても」

罪木「私は日向さんを愛し続けます!」

罪木「日向さんが教えてくれた愛は、そういうものでした」

罪木「だから私は……きっと、日向さんも私のことを愛してくれるって信じたいです。いいえ、信じます!」


モノクマ「……へえ。言うようになったじゃん。誰にも愛されず、誰も愛せず、ただニコニコ愛想笑いして、そして影で泣いてたあの蜜柑が」

 モノクマさんの話し方が突然変わりました。言葉の内容こそ酷かったけれど、どうしてだか私は彼(?)が私と同い年くらいの女の子なのかな? と思いました。

モノクマ「……じゃあ、決めちゃいなよ。you言っちゃいなよ。結局のところ――」

モノクマ「日向創って、アンタの一体なんなのさ?」

罪木(これが最後のコトダマです!)

罪木「>>370

希望


モノクマ「てめえはウチの姉ちゃんかあああ!? ホント残念なやつだなあ!」

モノクマ「告白するときに『希望』って……なんだそりゃあああああ!」

罪木「えっ……告白って……」

モノクマ「こっちにも考えがあるんだよ! 特別にもう一回チャンスやるからもっとうれしはずかしな言葉で頼むぜオイ!」

罪木「>>385

じゃあ>>369でお願いします


――俺達が部屋に入った瞬間。それはまさに終わろうとしていた。

 立ち上がり、顔を真赤にして声をあげている罪木と、それに相対する奇妙なクマのぬ

いぐるみ。おそらく、これがモノクマとやらだろう。

 あの罪木がこれだけ感情を顕にしている。怒りに震えている。それだけで、俺にはわ

かった。

日向(コイツは――罪木の敵だ)

 そう判断し、飛びかかろうとした。しかし、その前に罪木が。



罪木「日向さんは……私の事を本当の意味で愛してくれている、私の最愛の人ですぅ!!」

 そう叫ぶと、あたかもその言葉が巨大な弾丸であったかのように。モノクマは貫かれ

、押しつぶされ。そうして消えてしまった。

モノクマ(あーあ。バカップルのくだらないイザコザに巻き込まれて……消えちゃうなんて……なんて……絶望的……)


日向「罪木! 大丈夫か!」

罪木「あ……日向、さん……」

 声をかけると、ようやくこちらに気づいたかのように、罪木がゆっくりとこちらを向

いた。

 そして。

罪木「あっ……やだ、さっきの、聞いて……」

 その綺麗に輝く瞳から、大粒の涙をぽろぽろと零した。

罪木「あ、その、違うんです、日向さん」

日向「違う? 何が違うんだ?」

罪木「私ごときが、その、日向さんを愛してるだなんて、おこがましいこと言って、ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい許してください」

 そう言って泣く罪木の瞳は、小泉たちが言っていたような、狂気に包まれたものじゃ

ない。いつもの罪木の、いつもの泣き顔だった。



日向(って、いつもの泣き顔ってのもまずいよな。俺、罪木を泣かせてばっかりじゃな

いか)

 最近は、特にそうだ。それが始まったのは――罪木にイタズラを仕掛けて。そして、

罪木への恋心を自覚したあの日から。

日向(好きだって気づいてから、泣かせてばっかりだとか――ガキか、俺は)

 もう、彼女を泣かせたくないと思った。確かに、泣いている彼女も綺麗だけど。泣い

ている彼女を見て好きになったのだけれど。それでも、笑っていて欲しいと思った。

 だから、俺は。

日向「>>400

なんか改行がさっきから変ですね。すみません

「ごめんなさい、おこがましい事言って」に対しての台詞だよな?
「それは違うぞ」


日向「それは違うぞ」

 罪木は、え、という表情で俺の顔を見つめる。

日向「罪木が俺を愛してないなんて、そんなことあるわけない。……俺が罪木を愛してるのとおんなじで、な」

 そう言うと、彼女は顔をあげて、そしてやっと、笑った。

 それはいつ以来だっただろう? もしかしたら初めて見るかもしれない、罪木の晴れやかな笑顔だった。一点の曇りもない笑顔だった。

 ああ、俺はこの笑顔が見たくて――



 ミッション4 日向と七海のイチャイチャ写真捏造

 Result 可 


総合成績   good end


 日寄子ちゃんがあんまり酷いのでフォロー&エピローグ

 あのあと、西園寺はちゃんと罪木に謝ったらしい。「ゲロ豚」なんて呼び方もせず、きちんとした態度で。

 ……まあ、そのあとは結局ゲロ豚呼びに戻ってるみたいだが。でも罪木もなんだかんだで笑ってるみたいだ。
 
 七海との写真も、きちんと説明して合成だってわかってもらえた。ひたすら平謝りする俺に、七海はなにも言わなかったが。でもふくれっ面は相変わらずだったので困ってしまった。……そもそも、俺は悪くないと思うんだが。

 これまで、俺、カムクラ、狛枝、西園寺と小泉と、たくさんの奴らが罪木のやつにイタズラを仕掛けた。どうやら、罪木にはそうさせたくなる”なにか”があるらしい。

 いじめっ子の理屈かな、とも思うけれど。でも俺達は、もう二度と間違わない。罪木を笑顔にするためだけに、こうして今日もちょっかいを出す。



 それに、罪木は実のところ――俺達の誰よりも強い。あのモノクマというのは、ウサミによれば”この世界に紛れ込んだ本当に危険な異物”らしい。よく意味はわからないが。

 そんなものに罪木は、一人で立ち向かい――そして勝利を収めたのだ。あの日から罪木は、考えこむことが多くなった。気がつくと俺の顔をじっと見て、なにか思い悩んでいるようだった。

 もしなにかあるなら話してくれないか、というと彼女は笑って、大丈夫だという。そして、それより抱きしめてくれないかと。俺を全身で感じたいからと言ってくれる。俺はそんな彼女にふとイタズラ心を起こして、罪木の鼻に不意打ちでキスをする。
 けれども彼女は笑って――熱いキスで仕返しをしてきた。
  

 どうやらこのつみきをくずすことは、俺には出来ないみたいだ。


          THE END


乙ありがとうございます。
1000まで行ってみたかったけど、とりあえず罪木くずしはおしまいです。後日またスレ立てて安価じゃない罪木ちゃんSS書きたい。

SS書いたの初めてでわからないんだが、html化依頼というのをするべきなんだろうか……

思ってたより早く終わったから別のダンロンスレ立ててみた

日向「いんらん☆アイランド?」【R-18】

日向「いんらん☆アイランド?」【R-18】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377694633/)

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