モバP「人の目」 (59)

早苗「あはは! P君飲んでるのー? あれ、飲んでないじゃーん、ほらほら飲んだ!」

P「あなた達を介抱しないといけないんだから、そんなに飲めないんだよ俺は……やめろ注ごうとするな」

早苗「そんな事言ってー、つれないぞーP君! ほらジョッキ空いてるじゃん頼んで頼んで!」

志乃「大丈夫、酔ったら私が介抱してあげるから」

P「明らかに常人以上に飲んでる人に言われるのは不安なんですが……」

楓「ふふっ……空いてる相手に合いの手入れる……」

早苗「あっ、上手い! 楓ちゃん上手いよ! P君座布団あげて!」バンバン

P「いい大人が机をバンバン叩かないで下さいよ……」

早苗「悪い大人だから良いのよ!」

P「元婦警がそれ言っちゃダメだろ……」


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あい「……よくそれだけ飲んで、そんな風にすぐ洒落が出るものだね……」

楓「ふふっ、ありがとうございます。あ、あいさんも空いてますね。もう一杯だけ、いかがですか?」

あい「いや。私はこれ以上飲むと自力で帰れなくなってしまうかもしれないから、この辺で」

楓「そうですか。無理はしないのが一番ですものね」トクトク

P「そう言いながら僕の空いたコップにお酒入れるのはやめてくれませんかねぇ」

楓「あ、すいません。つい自分の物かと」

P「あはは、面白いねぇ楓さんは。やめろおいもう溢れてるだろ」

楓「プロデューサー、飲んでも酔わないんですから。もっと飲みましょうよ」

P「セーブしてるから酔わないんであって、適量以上飲めば酔うんだよ俺は……」

早苗「お? 私の酒は飲めないのに、楓ちゃんのお酒は飲むのかー……お?」

P「よっかかんな……うわ酒くせえ……飲まないよどっちのも……」


あい「ふっ……両手に花だなPくん。羨ましいよ」

P「(コイツ……)あ、ほらあっちにカッコイイ人がいますよ。あっちに行きなさいよほら」

あい「待ちたまえPくん、今の発言は謝るから……」

早苗「んー? あっ、本当だ。ねぇコッチ来なよーイケメンさーん!」グイグイ

あい「あぁ……わ、わかったから引っ張らないでくれ……」

P「あい君楽しんでってねー……はぁ……賑やかし、かな……」

留美「……Pさん、おつまみもう無いけど何かまだ頼む?」

P「枝豆か冷奴を追加して下さい……全く、この人達と一緒に飲んだら肝臓が持ちませんよ……」

留美「……あれで私より体重が軽いのだから、不思議よね」

P「楓さんと志乃さんは、ねぇ……ザルだから」

楓「ザルが飲まざるにいられますか?」

志乃「呼んだかしら」

P「うわ来た。あんた達はもう黙って飲んでなさいよ……あっ、もう空けたのか早ぇ」


志乃「あ、留美ちゃん。ワインのメニュー見せて貰えるかしら」

留美「え、えぇ……どうぞ」

P「え、まだ飲むのかよ……」

楓「え、もう飲まないんですか?」

P「君みたいに肝臓がバカになってないからね。俺はこの辺でお酒はやめておくよ」

楓「むぅー……プロデューサーが冷たいです……」

P「ほら、店員さん呼ぶから君も何頼むかメニュー見て考えなさいよ」

楓「じゃあ、私はこの豪快を常温で」

P「もう三合飲んだろ? もっと弱いのにするかつまみだけにしなさいよ君は」

楓「いいじゃないですかー……それに、酔ってもプロデューサーが送り届けてくれますから」

P「タクシー代だって馬鹿にならないんだぞアンタ。俺の自費であなた達送り届けてんだぞ?」

留美「え、自費だったの?」

P「そうですよ……ちひろさんに申請したんですけど、そりゃ自己責任ですって言われて……。
  全く、俺の方が薄給だっていうのに……」


楓「ふふっ……」

P「ふふっ、じゃないんだよ。もうアンタの中身は俺には割れてんだ、雰囲気と勢いで押し切られんぞ」

楓「そんな事言わずに、プロデューサーも飲みましょうよ……ね?」ズイッ

P「か、顔を近づけるな」

楓「あ、プロデューサー照れてます」クスクス

P「て、照れてないやい」

志乃「うふふ、じゃあ私も……」ピトッ

P「あ、貴女はアカン……う、腕に抱きつくんじゃあないっ……」

留美(……店員さん、呼んでおきましょうか)ポチッ

志乃「顔、赤くなってるわよ……ねぇ、もっと飲んで楽しみましょう……」

P「み、耳元で囁くんじゃあない! そっちもそんなな目で見るな! ぐっ、柔らか……」

楓「ふふっ、飲むって言うまでやめてあげません」


P「ったく……おらっ、どきなさい二人共」ググッ

楓「きゃっ……」

志乃「あら……嫌われちゃったみたいね」

楓「Pさん、私の事嫌いだったんですね……」

P「……もうそういう事で良いよ(危なかった……あのままだったらビバーグ立ってたわ。酒飲んでるのに良い匂いだったな)」

留美(……Pさん、鼻の下伸びてるけれど)

楓「つれないですねぇ本当に……」

P「だって酔っ払いの相手程面倒な事ないんだもの。ほらあれ見なよ」

早苗「おっ? わたしがーついだー酒が、飲めねぇっての?」

あい「い、いや……そうじゃないんだ。ただ、もう少し良識ある大人として……私より年上なのだから自制を……」

早苗「無礼講無礼講! さぁ、飲みなさい飲みなさい!」

あい「もう言ってる事が無茶苦茶だ……あぁ注がないでくれ……」

P「あれだぞだって。もうヤンキーだもん」


留美「Pさん。店員さん来たわよ」

P「あ、どうも……ほら、貴女達ももうちょっとしゃんとして……店員さんに頼んで下さいよなんか酒以外で」

楓「お酒ひやで。二合でお願いします」

志乃「私はグラスの赤で」

P「人の話聞いてねぇだろあんたら……に、二合!? 二合って言ったか楓君!」

留美(大変ね……)

楓「はい、それで。はい、お願いします」

P「本当に頼みやがった……はぁ……唯一の幸運は、ここに姫川がいないって事と酔わないでいてくれる人が二人いるって事くらいか……。
  ん、二つか。まぁいいや」

留美「Pさんも、ちょっとお酒が回ってるんじゃない?」

P「はぁ、みたいですね……ペースつられちゃいますよ、この人達と一緒だと……」

留美「あまり、無理はしないようにね」

P「えぇ……しっかし、未だに慣れないもんだなぁ……」

留美「お酒?」

P「いえ……楓さんと志乃さんの目ですよ」


楓「呼びました?」

P「呼んだけど呼んでないよ。ほら、もうお酒来たからあっちで飲んでなさい。良い子だから」

楓「はーい」

P「はぁ……まぁ、あんな感じですけど、あの人達に見つめられると……ね?」

留美「……ドキッとするって事?」

P「えぇ……楓さんの目は何か吸い込まれそうな綺麗な目をしてますし、志乃さんは男性を溶かすような、視線を持ってますでしょ?」

留美「……えぇ。そうね」

P「目は、やっぱり人の印象を強く決めるような……力を持ってますからね。
  あの人達、いや、うちの事務所にいるような人のは特にそうだ」

留美「……Pさんは、目が好きなの?」

P「え? えぇ、まぁ……ありていに言えば」

留美「……そう」


早苗「ねぇねぇP君! 私の目は!」

P「うわ聞いてたのかよ」

早苗「聞いてるよーそりゃー。で、どうなの?」

P「なにがぁ?」

早苗「わーたーしーのー目! 楓ちゃん達みたいに褒めてよー」

P「あんたはドングリだろ」

早苗「えー何ソレ。どういう意味ー」

P「ドングリみたいにくりくりしてる目って事でしょうが。良いんじゃないの?
  おっきくて可愛いし、若く見えるし、純粋そうに見えるよ。目だけはね」

早苗「あはは、もー素直に褒めれば良いのに。ひねくれてるなぁ、このこの」グググッ

P「ぐおっ……やめろ絞めんなっ……」

早苗「ほーらお姉さんに抱きしめられて嬉しいでしょうが、このっこのっ」

P「ガ、ガチで、絞めるな……あい君、タッチ、タッチ……」

あい「あぁ、ほら……Pくんも苦しがってるようだから」

早苗「P君がちゃんと褒めてくれるまでやめてあげなーい」


P「あぁわかったわかった。可愛い目だよ、掛け値無しに」

早苗「……何かお姉さん的には釈然としないけど、まぁ良いか。はい終了」

P「つっ、ゴホッ……この酔っ払い……」

留美「大丈夫?」

P「えぇ、まぁ……何とか。気道きっちり極めやがって……」

早苗「……ねぇP君」

P「何だこのジュリアナ」

早苗「本当に、そう思ってるの?」

P「あぁ、あんな服着てくるのがジュリアナ以外に……」

早苗「違うわよ! め、目の事よ……」

P「え? そりゃそうだよ。人褒める時に嘘言ってどうするんだ……」

早苗「……そっか……なら、いいや」

P「何生娘みたいな反応してんだ……あぁ腕はやめてお仕事できなくなっちゃうぅうう!」ギリギリ


あい「フッ、楽しそうじゃないかPくん。ふん、そうだな……私の目はどうだい」

P「イテェ……え、何急に」

あい「別に急じゃないだろう。君が出した話題だ。それで、私の目は君のお眼鏡にはどう映ってるのかな?」

P「えぇ? うーん……怒らないか?」

あい「怒る? そんなに印象が悪いかい」

P「いやぁ、そうじゃないんだが……まぁ、俺は……優しい目だと、思うよ」

あい「優しい、か……」

P「あぁ……漠然とした意見になっちゃうけどな。普段は、人の奥を見抜くような光があるけどさ。
  ちょっと気が抜けた時は、そんな目、してるよ」

あい「ん……私が気を抜いた時があったか?」

P「桜祭りの時とか、そうだろ。酒にやられたのかは知らないけど。
  とっても柔らかい視線で、女性ぽかったというか……いや、悪い意味じゃないぞ。ただ、そう感じたから」

あい「……そうか」


P「色んな意味で、まぁ人を包むような目って言った方が良いかな? まぁ、そんな印象なんだが……。
  あぁ、やっぱり怒った?」

あい「……いや。中々、参考になったよ」

P「そうか。なら、良かったよ」

あい「……しかし、その様子だと他のアイドルの事も色々観察してるんじゃないか?
   とても仔細に見てるようだから」

P「えぇ? あぁ、まぁな。そういう所見てれば、セールスポイント掴み易いし……」

あい「例えば?」

P「例えば……うーん、まぁわかりやすい所なら奏か?」

あい「奏君か」

P「奏は、凄い目力ありますからね。でも、そうやって人を吸い寄せるような目をしてる癖に、
  柔和な眉のせいで妖艶でもある……不思議な目をしてますよ」

あい「ふん、成程……」


P「まぁ、俺の主観だけどね。しかし、この前はヤバかったな……」

あい「何かあったのかい?」

P「あっヤベ……いや、まぁ何かと言っても……いつものように、ね?」

あい「あぁ……」

楓「何かあったんですか?」ズイッ

P「うわっ、飲んでたんじゃないのか」

志乃「面白そうな話が聞こえてきたから、ね」

楓「それで、何があったんですか?」

P「この野次馬が……何も無いよ。無いから飲んでなさいよアッチで。この話はヤメ! ハイ、ヤメ!」

留美「あら、良いじゃない。何があったのか、私も気になるわ」

P「えっ」

早苗「私も!」

P「アンタはもう帰って寝ろよ……ひぃん足はやめてぇええ!」ギリギリ


あい「(本当に元気だな……)さて、皆の興味はもう一つになったようだし、観念して喋ったらどうだい?」

早苗「そうだそうだー! このままゲロっちゃいなさい!」ギリギリ

P「痛みでゲロ吐いちゃうぅううう!」バンバン

あい「……その辺で、勘弁してやってくれないか」

早苗「はーい……」

P「イッテェ……労災出るかな……」

あい「さて、話の続きをしようじゃないか」

P「えぇ、どうしてもするの……恥ずかしいんだけど……」

あい「男は恥をかいてこそさ。さぁ、言いたまえ」

P「うーん……まぁ、ホワイトデーの事なんだが……」



――



ガチャッ


P「ふぅただいまですよっと……あれ、ちひろさんいない。あ、奏いる」

奏「お帰りなさい。なんだか、その言い方だといて欲しくないみたいな言い方じゃない」

P「今が何時なのかわかってなかったらな。もう10時過ぎてるんだぞ?」

奏「良いじゃない、それくらい。今時の高校生なんて、普通にそのくらいの時間に外出てるわよ」

P「まぁ、そうなんだろうけどな。なんとなく、残ってる理由がわかってるっていうのもあるが」

奏「ふふっ、話が早くて助かるわ」

P「えぇと……皆にお返ししてるからなぁ、どこやったか……」ガサゴソ

奏「もてる男は、ツライみたいね」

P「そんなんじゃないやい……ったく、今日のイベントのせいで結構金が飛んだよ……」

奏「そんな高価な物買ってるの?」

P「ん? いや、俺が持ってる人って、たいてい大人だろ? だったら、ある程度お返しにもお金掛けないと。
  良い物送りたいだろ、ちゃんとさ」

奏「ふぅん……私にも、同じ事してくれるの?」

P「一応、差はつけてないつもりだけどな……まぁ、その人に合うのを選んでるけど」


奏「……お金だけじゃ、無いと思うけどね」グイッ

P「ん、か、奏君? ネクタイを掴むもんじゃないよ……」

奏「ふふっ……何を、どぎまぎしてるの?」

P「い、いやね。顔が近いというか……このままだと、あれじゃない? ねぇ?」

P(な、何だおい……目が、近いだろ……奏の目を、近くで見たら……。
  す、吸い込まれそうな目してるな相変わらず……)

奏「目、合わせてくれないの?」

P「いや、何と言うか、憚られるというか……ちょ、ちょっと強引じゃないかなぁ奏君。おしとやかにいこうよ、ね?」

奏「たまには、こういう強引なのも……良いんじゃない? 私へのお返しはもっと、甘いのでも……良いのよ?」

P(そういう囁き声を出すんじゃあない! ほ、本当に奏、高校生か?)

奏「私のプレゼント……ちゃんと、意味を考えながら食べてくれた? 甘いだけじゃ、無いって」

P「か、考えたよ? ただ、ね? ちょっとこの状況はマズイよ」

奏「ふふっ、どんなお返しか……私も、あの時のPさんみたいに期待してたんだけどな……」

P「……ちょっと待とう奏君。あんまり近寄るとおじさん心臓バクバクで脳卒中になっちゃうよ。
  ちゃ、ちゃんと君のも厳選してあるかさ」

奏「……」

P「……」


奏「……そう。じゃあ、先にそっちを見てあげる」パッ

P「うおっ、と……ふぇえ最近の高校生は凄いな……おじさんついてけないよ……」

奏「……あんまり自分の事おじさんって言わない方が良いよ。Pさんより年上の人いるんだから」

P「え? お、おうそうだな……えっと、あったこれだ。はい」

奏「あら、かわいい包みね。なんだかPさんに似合ってない」クスクス

P「ほっとけ……まぁ包んで貰う時、色々恥ずかしかったけどさ……開けてみろよ。生モノだから、早めにな」

奏「うん……もしかして、チョコレート?」ガサガサ

P「当てるなよ……折角気の利いたセリフ考えてたのに……」

奏「ふふっ、わかりやすいからねPさんは……味も、ビターでしょ」

P「……」

奏「ほら、当たった……あれ、中の包みが切られてる」

P「さぁな……まぁ、開けてみなよ」


奏「ん……あ、これ……」

P「誕生石だったか? まぁあんまり高いものじゃないけど、包みの中に、チョコと一緒にルビーのアクセをオマケで付けたんだが……」

奏「こっちが、オマケなの?」

P「そうだ。奏の白い綺麗な肌に似合うと思ってな。えっと、意味は純愛とか情熱とかだったかな?」

奏「……それって」

P「……さぁなぁ。まぁ、そっちは付録だ」

奏「付録?」

P「そう。俺のお返しは、その苦いチョコだよ」

奏「ふーん……ちゃんと、考えたんだ」

P「知恵熱が出るかと思ったよ。おかげで夜も七時間しか寝れない」

奏「普通じゃない」クスクス

P「まぁ、その二つの贈り物の意味でも考えて、せいぜい寝不足にでもなると良いさ。
  女が嘘つきなら、男は哲学者だから」

奏「ふふっ、何それ……もしかして仕返しのつもり?」

P「どうだか、ね。ま、昔の偉い人の言葉借りただけだし」


奏「……でも、嬉しいな。こういう心の籠った贈り物は……どういう、意味であっても、ね」

P「……そうかい。喜んで貰えて何よりだよ。商業主義バンザイ、ってな。
  じゃあ、もう遅いし帰ろうか。俺が送って行くよ。って言っても、俺も今日電車だから途中までだけどな」

奏「……うん。じゃあ、手」

P「ん?」

奏「手。握って帰りましょう。まだ寒いし、人肌を感じながら帰るっていうのも……良いんじゃない?」

P「あぁ……いや、まずいだろ。記者さんにスッパ抜かれたら大変よそれ」

奏「もう、つれないわねぇ……じゃあ、事務所ビルを抜けるまで、ね」

P「……それもどうかと思うけどな。まぁ、これもお返しの一つとしておきますか」

奏「ふふっ、ちゃんと……握ってね。ぎゅっ、て」

P「謹んで、させて頂きますよ……」ギュッ

奏「……」



グイッ


P「うおっ……」


チュッ


奏「今日は……これで勘弁してあげる。じゃあ、行きましょうか」

P「え、み、耳? というか、今お前……」

奏「あら? もしかして、もっと他の所期待してたの?」

P「いえ滅相も無い。というか、不意打ちやめろ。いや不意打ち以前にキスはやめろ」

奏「どうして?」

P「いや……そりゃお前……」


奏「ふふっ……Pさんが望むなら、もう少し踏み込んであげても良いんだけどなぁ……」

P(ぐっ……唇に指当てながら、そんな目で見つめるんじゃないっ……)

P「……やめよう。ほら、行くぞ。早くお前を帰らせないと、お宅の親御さんから文句言われちまうよ」

奏「ふふっ、意気地無し……私は、ちゃんとそういう意思表示だってしてあげたのに」

P「どういう意味だ」

奏「さぁね。Pさんも、私と一緒に寝不足になっちゃえばいいのよ。ふふっ!」

P「……はいはい。どうせ俺は奏にはかないませんよーだ……ほら、行こう。早く行かないと、もっと寒くなるから」ギュッ

奏「……うん」


――



P「なーんてな事がね? あった訳ですよ……」

あい「……」

留美「……」

楓「……」

志乃「……」

早苗「うーん?」

P「あ? 何ですかこの釈然としない空気は」

早苗「うーん……今の話ってさ」

P「はい」

早苗「目関係あった?」

P「え? いやあったでしょう」

早苗「ただイチャついてただけじゃないの?」

P「イチャつい……あのね。人が恥を忍んで話してるんだよ? 歳がランドセル一個分以上も離れた高校生相手に、
  良いようにされてしまったのは彼女の魔性の目のせいだって、話だよ」

早苗「……あぁ、そう」

P「何だ、そのかわいそうな人を見る目は」


あい「あぁ、Pくん? つかぬ事を聞くが……」

P「何です?」

あい「耳に、キスされたのかい?」

P「えぇ、そうですね。あ、大丈夫ですよ、ちゃんとこれでも毎日耳掃除はしてますから」

あい「……君は、変な所で鈍いね……」

P「あ?」

あい「……耳へのキスはね、誘惑って意味だよ。その後の彼女のセリフと、比較してごらん」

P「……」

あい「……どうだい」

P「……背筋にゾクッと来ました」

あい「うん……まぁ、今度からは気をつける事だ。彼女は、君の言った通り魔性だ。もう少し、気をつけた方が良い」

P「はいぃ……」

志乃「うふふ……私も、同じ場所にキスしてあげましょうか?」

楓「私も……しちゃいましょうか?」

P「むーりぃー……」


早苗「……それで、他には?」

P「あ?」

早苗「いやぁ、タラシのP君ならもっとあるでしょ。もっと面白い話、無いの?
   目に関係しててもしなくてもいいから」

P「タラシだぁ? この正当派三枚目の僕に向かってそれは無いだろ」

あい「あんなキザったらしい事をするんだ、二枚目半と言った所じゃないのかな」

P「何だそれ。まぁいいや……でも、他かぁ……うーんそうだなぁ比奈君とかかな?」

あい「比奈君か。また予想外の所から持って来たな」

P「そうですか? あぁ……あまり眼鏡を外した所を見た事無いなら、そう思っちゃうんですかね」

留美「Pさんの印象はどうなの?」

P「俺ですか? うーん……あい君とまた評価被ってるって言われるかもしれないけど、優しい目してるじゃないですか、比奈って。
  ただ……比奈は、そうだな……母性もあるって言うのかな……」

留美「母性?」

P「うーん……何だろうなぁ……あ、この前のクリスマスの事なんですけどね……」



――



ガチャッ


比奈「うぅ、ちょっと飲み過ぎたッス……仮眠室で休憩……」

P「……」グーグー

比奈「あれ、先客が……」

P「……んー? お、サンタか?」

比奈「違うッスよ……私ッスよ」

P「なぁんだ比奈チャンマンか。まぁいいや、そこに俺の靴下あるからプレゼント入れてけ」

比奈「うわデカイ……というか、サンタさんは寝てる良い子の所にしか来ないッスよ」

P「だから寝てんだろ」

比奈「えぇー……大人じゃないッスか。皆でパーティやってるんでスから、プロデューサーも混ざりましょうよ。楽しいッスよ」

P「前日徹夜だったのあたし。だから、このまま寝かせて……」

比奈「オネェ口調で言われても反応に困るだけッスよ……」


P「吐き気するまで粘ってたからね……クリスマスライブ成功に終わったんだから、ちょっとだけ寝かせて……」

比奈「……まぁ……良いでスけど……」

P「うん、ゴメンな……参加したいけど、今何か腹に入れたら戻しそうだからさ。
  はしゃげないし、迷惑かけるだけだし、俺はここで寝てるよ」

比奈「そんなヤバいんでスか?」

P「腹に何か入れなきゃ大丈夫だよ。ただ、このまま休ませてくれればすぐ楽になると思うからさ」

比奈「……そッスか」

P「俺抜きで、楽しんで来なさい。まぁ、俺も雰囲気だけは味わってるし、気にする事は無いから」

比奈「……わかったッス」

P「ふぅ……あ、そうだ」

比奈「どうしたッスか? 何か欲しい物でも?」

P「いや、比奈に膝枕でもして貰おっかなーと」

比奈「……はい?」

P「いや、ライブの時に良い子にしてたら比奈サンタから何か貰えるって聞いたからさ。
  今言ったのをプレゼントって事でお願いしますよ」

比奈「え、えぇ? あれ聞こえてたんでスか?」

P「モチのロンです」

比奈「それ古いッス……そ、そんな事言われても、こ、困るッスよ……」


P「舞台袖にいたら聞こえちゃったんだもーん。おねがーい。
  俺良い子にしてたからさ。ビールも一日四本に留めてたし、煙草も元々吸って無いし。な?」

比奈「ちなみにビールは何を四本飲んでたッスか?」

P「500」

比奈「それじゃちょっと……」

P「ぐあいわるいなー。比奈が膝枕してくれたら、楽になりそうだなー」

比奈「前半凄い棒読みッスけど……」

P「そういうクリスマスプレゼントも、あって良いと思うんだけどなぁ……」

比奈「プ、プロデューサーにはちゃんと他に用意……い、いや何でも無いッス」

P「うん? 用意してくれてるの?」

比奈「あ、いや……まぁ、そうでスけど……」

P「あはは。そうか……嬉しいな」

比奈「あ、後で、あげますから……日頃のお礼も籠めて、プレゼントするッス……」

P「そっか。じゃあ、楽しみにしておくよ。ふぅ……ま、そういう事なら良いか……。
  絡んで悪かったね。パーティに戻りなさい。皆待ってるだろ?」

比奈「い、いや……ちょっと飲み過ぎて、休憩しに仮眠室に来たんスけど……」

P「あぁ……そうだったか……」

比奈「ちょっと、楽しくてはしゃいじゃったッス……」


P「まぁ、良い事だよ。楽しい事は。そうか、それじゃあうーん……やっぱり、膝枕お願いしようかな」

比奈「え、えぇ?」

P「あぁ、そっか。気分悪いんだったか……じゃあ、やっぱりいいや」

比奈「……」

P「……俺がいてゆっくり出来ないなら出て行くが……」

比奈「い、いや、大丈夫ッスよ」

P「あぁ、そう? じゃあこのまま寝かせて貰うよ……あ、パーティ終わったら言って。
  片付けくらいは参加するから」

比奈「……」

P「んじゃおやすみー……」

比奈「え、えっと……プロデューサー?」

P「ん、何?」

比奈「ひ、膝枕……」

P「……お?」

比奈「膝枕……しても、良い、ッスよ?」


P「あはは。そこは小首を傾げちゃダメだろ」

比奈「い、いや……恥かしげもなくこういう事が言えるプロデューサーがおかしいんでスよ……」

P「言いたい事はハッキリ言う。即決即納即効即急即時即座即答! ってな」

比奈「そ、そのセリフは……というかよく噛まずに言えるッスね……」

P「練習したのよ。うふふ」

比奈「時折オネェにならないでほしいッス……」

P「ははは。じゃあ……お願いしようかな」

比奈「わ、わかったッス……」

P「よっと……比奈は、そこで正座してくれれば良いから……」

比奈「が、頑張るッス……」

P「そんなに緊張しなくても。おっさんの頭乗っけるだけなんだから……いや、それなら逆に緊張するか。
  ……じゃあまぁ、行きますよ」

比奈「……」ゴクッ



ポフッ


比奈「わっ……」

P「うーん……いいなこれ。自前の枕より良いわ」

比奈「そ、そッスか?」

P「うん。あったかいし、比奈の顔見れるし、最高じゃないッスかね」

比奈「そ、そんな事言われると……恥ずかしいッス……」

P「あはは……うーん、そうだな……」

比奈「な、何スか? まだ何か?」

P「眼鏡を取ってって言うのは……イカンのか?」

比奈「?」

P「(この用語は姫川にしかやはり通じないか……)えっと、眼鏡を外して貰っても、良いかな?」

比奈「えぇっ? べ、別に良いッスけど……ど、どうしてもッスか?」

P「今は、そっちの方が良いかな。かけてる時も良いけど、今は、ね」

比奈「そ、そうでスか……じゃあ、取ります……」スチャッ

P「……」


比奈「こ、これで良いッスか?」

P「……うん。比奈の目が良く見えるよ」

比奈「……あぁ、何か……これ今凄い状況なんじゃ無いッスかね?
   ちょっと、リア充のするような事して無いッスかね?」

P「してんじゃない?」

比奈「ぐっ……本当にハッキリ物言いまスね……」

P「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ってな」

比奈「それ用法違うッスよ」

P「あながち間違ってないだろ。うーん……予想通り落ちつくな……」

比奈「……え、えっと……」

P「何だ?」

比奈「いや……こういう事頼むなら、美優さんの方が良いんじゃないッスかね……。
   扉一枚の向こうにいるんでスけど……」

P「えぇ? どうしてさ」

比奈「いや、だって……美優さんの方が、そういう大人の落ちつきとか、色気とかがあるじゃないッスか。
   それに、プロデューサーの頼みだったら、断らないと思いまスし……」

P「……何かそれじゃ俺が悪い事してるみたいじゃないか?」

比奈「いや、事実を言ったまでッスけど……」


P「うーん、そうかなぁ……比奈だって別にそういうのなら負けてないだろ?」

比奈「えぇ?」

P「自分じゃ気付いて無いのかもしれないけど……比奈だってかなり優しい顔してるんだぞ?
  特に目がさ。母性って言うの? そういうの、あるって」

比奈「私が……ッスか?」

P「あぁ。え、皆に言われない? 眼鏡外した写真も撮ったろ?」

比奈「いや……印象違うっていうのは……でも、それぐらいッスよ」

P「ふぅん……そっか。案外皆見てないんだな」

比奈「……え、えっと……」

P「ん?」

比奈「本当に、プロデューサーはそう思ってるんでスか?」

P「嘘言ってどうするんだよ」

比奈「いや……でも……」

P「嘘じゃないよ。ホメルトキ、プロデューサートインディアンウソツカナイ」

比奈「それ今言うと色々どやされるッスよ……」

P「あ、そうなの? じゃあやめるわ」


比奈「でも……そッスか……えへ」

P「ん、そうそう。そういうふうに微笑んでる時なんか、凄い良いと思うよ」

比奈「べ、ベタ褒めしてもプレゼントは増えないッスよ」

P「そんなつもりは無いって……まぁ、比奈もあと五年もすれば、美優さんに負けないくらいになるよ本当に」

比奈「ほ、本当ッスか?」

P「モチロン。うーん……髪伸ばして、そういう路線で行くのいいかな……どう思うよ」

比奈「い、いや……今は、このままで……」

P「そうか……まぁ、それはおいおいって感じだな」

比奈「……そッスね」

P「……はぁ……良いなこれ。このまま、本当に寝ようかな……」

比奈「別に、良いでスよ。もう、私もだいぶ落ちついたんで……」

P「お、良いのかい? じゃあお言葉に甘えて……うつ伏せになっちゃおうかなぁ、ぐふふ」

比奈「秘奥義の逆膝枕をお見舞いするッスよ?」

P「すいません」


比奈「まったく……調子が良いッスねぇ……本当に気分悪いんでスか?」

P「これでもいつものキレの八割も出てないよ」

比奈「……どういう尺度なのかわからないッスけど……」

P「あはは。まぁ、おじさんの冗談は話半分に聞いておきなさいって」

比奈「え、今までの全部冗談だったッスか?」

P「え? いや、お前の印象の部分は冗談じゃないぞ」

比奈「そ、そうでスか」

P「あぁ。人を褒める時は、忌憚しないって……えっと、つまり、遠慮しないで本当の事言うって事な」

比奈「……なら、良いッス」

P「……そっか」

比奈「……」

P「はぁ……ホント良いなぁこれ。凄い落ちつくよ」

比奈「プロデューサー、なんか瞼が下がってきてるッスよ」

P「うん……心地よくてさ……」

比奈「ほ、本当でスか?」

P「うん……」

比奈「なら、良かったッス……」

P「……」

比奈「……えへ」


P「うーん……もっと甘えちゃおうかな? 頭も撫でて下さいよ比奈さん」

比奈「えぇ? な、何スかそれ」

P「良いだろー。きっと凄い落ちつくから。頼むよ」

比奈「……ま、まぁ……そういうのなら、やりまスけど……」

P「よしじゃあ決まりだ。お願いします」

比奈「うっ……じゃあ、やるッスよ……」

P「ういうい」

比奈「……」ナデナデ

P「あぁいいなこれ……」

比奈「い、痛くないッスか?」

P「全然。比奈の手、柔らかいな……童心に戻った気分だ」

比奈「プロデューサーも、案外甘えんぼなんでスねぇ」ナデナデ

P「さぁなぁ……」

比奈「へへ……リア充はこういう事ばっかりやってるんスねぇ……確かに、良いでスね……」

P「……さぁ、なぁ……」

P(やっぱり、笑ったら凄い女の子っぽいよなぁ……うん、優しくて、良い匂いもするし……)

比奈「……良い子には、こういうプレゼントも、ありなのかも知れないッスねぇ……」


P「……」

比奈「……あれ、プロデューサー?」

P「……」スースー

比奈「あれ、寝ちゃってる……」

P「リキッドォ……」

比奈「!」

P「うんにょ……」スースー

比奈「……」

比奈「相変わらず、変な人ッスねぇ……」

比奈「……母性、ッスか……」

比奈「……えへへ」


――



P「最後の方は何か意識混濁してたんで、曖昧ッスけどね。まぁ、こういう事があったんですよ。
  どうです? 異論無いでしょう?」

早苗「異論は無いけど文句はあるよ」

P「なんスか?」

早苗「いつまで口調真似してんの! いや……別に、その……つ、付き合ってるとかいう訳でも無いのにさ。
   そ、そういう事するのって……お姉さんいけない事だと、思うなぁ?」

P「あ?」

あい「付き合ってる男女でも無いのに膝枕と呼ばれる行為をするのはダメなんじゃないかと言いたいそうだ」

留美「えぇ……私も、そう思うわ」

P「えぇ、別にいいじゃない。あい君だって花見の時して貰ってたじゃん」

あい「私は違うだろ」

P「えーずるい」

あい「……話を戻そう。まぁ君のあけすけな行動は今に始まった訳ではないが……。
   それ以前に、そういう事をして貰って喜んでる君はどうなんだ?」

P「え、ええやん。俺だって人間なんだから誰かに優しくして貰いたい時もあるよ」


楓「私達、いつも優しいですよ?」

P「財布に優しくないんだよ君は」

留美「……私じゃ、まだダメかしら?」

P「いや、別にそういう訳じゃ……」

志乃「甘えたいなら、私でも良いのに……」

P「いや……貴女はその……シャレで済みそうにないから……」

あい「その反応は何だいPくん」

早苗「そうよ。親しいお姉さんがここにもいるのに」

P「うるせぇな今度の仕事でランドセル背負わせるぞ……がぁああああ! それ以上いけない!」ギリギリ

志乃「あらあら……」

P「イテェイテェ……あぁ、もうこんな時間か。さぁ、お開きにしますよ。明日も仕事あるんですから」

早苗「えー」

P「えーじゃないよ。ほら帰るぞ酔っ払い。代金は飲む前集めたので良いだろ」


あい「大丈夫か? 予想より色々頼んでいると思うが……」

P「大丈夫だろ。足りなかったら俺が払えば良いんだし。ほら、あい君は酔っ払いの肩担いで先出てくれ」

あい「まだ自力で歩けるだろう……」

志乃「あら、楓ちゃん大丈夫?」

楓「うーん……飲み過ぎました……」

あい「……そうでもない、か」

留美「……私も、手伝うわ」

あい「……どうも」



カランカランッ


P「ふぅ……食った食った飲んだ飲んだと……さっきタクシー呼んだから、もう来ると思うけれど……」


ブローン


P「お、来た。ほら、楓さん放りこんで送って下さいよ」

楓「うー……プロデューサー、だっこ……」

P「何言ってんだアンタ……ほら、乗ってくれよ早く」

留美「大丈夫かしら……」

あい「まぁ……途中まで方向が同じだし、私も一緒に乗るよ」

志乃「私も、そうするわ」

早苗「私はP君と一緒に帰るー!」

P「うるせぇばあああか。アンタも三人と方向一緒だろうが、終電逃すぞ早く乗って駅いかねぇと」


早苗「えー、そしたら留美ちゃんと二人きりにしちゃうじゃーん」

P「ちっ、酔いがさめたかと思ったら全然違うじゃねぇか……ほら放しなさい。お姉さんはワガママ言わない」

早苗「んー……しょうがないなぁ……よーし、楓ちゃん! 志乃さん! 今日は私の家で夜通し飲むぞー!」

楓「いえーい」パチパチ

志乃「あら、ワインもちゃんとあるのかしら」

P「……あい君、絶対に、飲み会させるんじゃないぞ。いいな、これは業務委託だ」

あい「あ、私任せか?」

P「幸運を祈る東郷分隊長。運転手さん、出して下さい」

あい「お、おい。さすがにこの人数は……」


バタンッ
ブロローン


P「……さらばあい君、君の雄姿は……家帰って仕事片付けるまでは忘れない」

留美「……本当に、大丈夫かしら」

P「大丈夫でしょう、さすがに。あれで本当に飲み会してたら禁酒令出しますからね。
  事務所のワインセラーも彼女らが見てる目の前で、私自ら撤去してやりますから」

留美「……そう」

P「……ふぅ……あの人達といると楽しいけど、さすがに疲れるな……あ、あの飲んだくれ三人ですよ?」

留美「そうね……私は、お酒を飲んでもあそこまではしゃげないから、羨ましいわ」

P「あい君と留美さんみたいに、静かに飲める人と言ったらあと木場さんと美優さんくらいですから……。
  そういう、最後の良心みたいな人が飲み会に一人二人いてくれた方が、助かりますよ」

留美「そう言ってくれるなら、良いけれど」

P「まぁ、肩肘張らずにあの人達と馬鹿騒ぎするのが、癖になってきてますけどね。
  ……さて、帰りますか。相変わらず途中までしかお送りできませんけど、ご一緒させて頂けますか?」

留美「……えぇ、お願いするわ」

P「しかし、本当にいつもすみませんね。巻き込むように誘っちゃって」

留美「良いのよ。私も、Pさん達がはしゃいでるのを見るの、それなりに気に入ってるから」

P「そうですか。そう言って貰えると救われますよ」


留美「……ねぇPさん」

P「何です?」

留美「目の話、してたわよね」

P「え? えぇ、まぁ」

留美「……私だけ、印象を聞いてないわ」

P「ん……そう、でしたっけ?」

留美「えぇ」

P「うーん……また今度にしましょう。今言うと、確実に気まずくなりますよ?」

留美「あら、そんなに良くないかしら……確かに、目つきは悪いけれど……」

P「いや、そういう意味じゃ……無いんですけどね」

留美「じゃあ、言って。私だけ聞いてないっていうのは、少しさびしいわ」

P「……あぁ、じゃあまぁ……言いますよ?」

留美「えぇ」


P「……最近は、留美さんも目が色っぽくなりましたよ。良い女性なんだなぁって思えるような……。
  安心感がある、というか……仕事の事だけじゃなく、色々任せられるような……。
  言葉にすると難しいですけど、留美さんの目も好きですよ僕は」

留美「そ、そう……」

P「……ほら、ちょっと気まずくなった」

留美「な、なんだか恥ずかしいわね……そう、褒められると……」

P「まぁ、小僧の平易な意見です。それで喜んで貰えるなら、いくらでも」

留美「……Pさんは、小僧じゃないわ。立派な、大人よ」

P「俺の方が一つ下ですけどね。留美さんみたいには、まだ……まぁ、そう言って頂けるなら、俺も嬉しいです」

留美「……そう」

P「えぇ」

留美「……あまり、期待させるような事、言っちゃダメよ」

P「一体、何の事で?」


留美「……本当に、無自覚のつもり?」

P「……いえ」

留美「……中々、女性の敵かもね。P君は」

P「……そうですかね」

留美「まぁ、それでも……」

P「?」

留美「私は、ずっとP君の味方になって……ちゃんと、横にいる。
   他の皆のように、母性とかは、無いかも知れないけれど」

P「……留美さん」

留美「……ただ、あんまりこういう飲み会ばかりしてると、愛想をつかしちゃうかも知れないけれど」

P「えぇ?」

留美「ふふっ、冗談よ。マジメな話して、疲れちゃったかしら」

P「いえ、そんな事は」


留美「……ねぇ」

P「はい?」

留美「これからは……名前だけで呼んだら、ダメかしら」

P「え、どうしてです?」

留美「……やっぱり変かしら」

P「いや、別にそうじゃないですけど。俺の方が年下ですからね」

留美「でも早苗さんには、タメ口を聞いてるじゃない」

P「あぁ、まぁ……それはなんというか……」

留美「だから、私ももう少しだけ、距離を縮めても良いかと思って……」

P「……それなら、別に構いませんけど」

留美「……そう」


P「……まぁ、お好きなように呼びやがって下さい」

留美「じゃあ……P、行きましょうか」

P「……そうですね。えっと……俺も同じようにした方が良いんですか?」

留美「……ふふっ、お好きなように、呼んでみたら?」

P「……こいつは、敵わないか」

留美「ふふっ、じゃあ……行きましょうか」

P「……えぇ」


……


キョウハ、コノママPクンノイエニイコウカシラ
エェ? ソレハアカンデショ
フフッ、ジョウダンヨ
ソモソモオレノイエトオイデスヨ
ドコニアルノ?
ウサミンセイノチカクデス。デンシャデイチジカンチョイ
……エ?
エ?

50スレで終わって万々歳

飲み会のどんちゃんと荒木先生と速水君のSSどれか書きたいなぁと思ったから、混ぜたよ
口調とか変だったらスマン

ぐう畜
50レスです。もう3スレ超えるのは嫌です

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