【咲-Saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「鯖じゃねえ!!」 (1000)


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           .: : :| │: : : : : :.| : : : : : |¬ト:八 : : : : : | イ   __|:_: |: :.∧: : : :/∨: : : : : |        : : : : :|
            |: : :| │: : : : : :.|: |: : : | |_|:│ \ : : : : : : /斗午冬ミ ハ: : :| ⌒: : : : : :│      |: : : : :|
            |: : :| │: :|: :| : :|八: : {\仏冬ミ \|\∨ 〃{ト。 : : ハ }| : :|l /: : : : : : |      |: : : : :|       ・非安価進行
            | : : :  |.: :.|: :| : :|:い\ア{ト。: : : ハヾ        __)::::ノ }  | : :|__, : :_ : : j: :|      |: : : : :|
            l : : :   : :|: :| : :|: :∧{{   ,,)::::ノ }        乂__,,ン   : : :|/ : :{ ∨: :|      |: : : : :|
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            |: : : |    |: : :| : ∨: : |: : : : :ゝ              /ト、/}丿       ∧| : : :,     | : : : : : ,     以上の点に注意してお楽しみください。
            |: : : |    |: : :| : : : /| : : : : //>   .,,_     イ  :|>'´ )____/| } : |: :,    |: : : : : : :,
            |: : : |    |: : :|: ,、.: :∨ : : : : : // /  \| ̄  _,,.. ´  イ/  |  |  厶 : | : :,     : : : : : : : :、
            |: : : |    |: : :|/ \:|: : : : : :/      __>ァ'´ _/|___,,{.   |  | /` 〉:|、 : :,    : : : : : : : \
              : : : |    |: : /     |∨: : :/ {/   イ{/ {    ̄¨二二つ/|,,/   /| :|ハ: : .      : : : : : : : \
            ; : : :|    ,: :/    |/: : :/  / ∠\リ/⌒{  ´_,,. -─一’/    /{ | :|  : : : .      : : : : : : : .\
          ,: : : :|   , :ノ    /: : : :|  ⌒【__/{  /}  ──=ミ/_/      〉 | :|  |.: : : .     \: : : : : : : .\
          . : : : :|  , 〈  {  /: : : : :|   〈      / 人_x┬……'’         /  :|  | : : : : ..      \: : : : : : : .\
        /: : : : :|  /: ∧    |: : /: :.:|    丿   レ     く\           イ  | :.  |: : : : : : .        \: : : : : : : .\
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                        メインヒロインの新子憧さん(15)


        ,..-―へ/ . : : :ヽー- 、

        彡';´.:/.: : : ; : : ヽ: : .、ヽ
         //: : i: : : : :ハハ: : ;ハ:i、 iヾ、
   ー--‐':´: : : : |: : : | |   ゙、: ! И人ト、
   \__: : : /: :ヽ!、: |!    V     ハ
       / : /: : :/   r- 、 __, -‐'   ! <3スレ目!
        !:∠:イ´   丶、 _     _,..ノ
        |ハ:(        U   ̄ ̄   /
        |;ヘー\            /
            \: ;ヽ、   r--‐'′
           r―┴┐ ├┬┐
          ノ::::::::::::::|i  ! _|O|_
          /:: ̄ ̄ ̄\「:::: ̄:::::::\

      主人公の須賀京太郎くん(15)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374246035



過去スレ

【咲-saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「笹食ってる場合じゃねえ!!」
【咲-saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「笹食ってる場合じゃねえ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369494054/)
もくじ
【プロローグ】>>1
【入学式編】>>34
【はじめてのぶかつどう編】>>303
【憧ちゃんに媚びよう!編】>>512
【部員めぐり編(穏乃)】>>607
【部員めぐり編(玄)】>>691
【部員めぐり編(宥)】>>765
【部員めぐり編(灼)】>>833

【咲-Saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「ちくわしか持ってねえ!!」
【咲-Saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「ちくわしか持ってねえ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372777238/)
もくじ
【男性恐怖症克服指令編その1】>>27
【ランチタイム編】>>362
【先生は誰だ?編】>>540
【男性恐怖症克服指令編その2】>>692


     _____           /  〃                      ヽ 、  '>、  `ヽ
     /´       ヽ        〃  ,;/                      ハ,  ',   ヘ\\  \
   /         r ─ 、 __   /:::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}::::::}:::::::::  ',:∧ \  ヽ
  Y          {   ,}(__.)o /:::::::::/,′:/::::::::::::::::/:::::::::::::://:::::::::::::::/:::|::::::::::::|:::::::: |::::::|::::::::::: :::::ハ   ∨:::∧
. |  |  そ   ゝ-イ´   /::::::::://:::::/::::::::::::::::/::::::::::::::/〃::::::::::::/:::: |::::::::::::|:::::::: |::::::|::::::::::::: ::::::: l   ∨:斗--,
. |  |  し     }'    /::::::: //:::::/::::::::::::::::/::::::::::::::/:∥:::::::::::/::: :: |:::::::::::从!: : |::::::|:::::::::::::: ::,::斗ム-''゙´  r '
. |  |  て       {    /::::::: //:::::ム:::_:::::/∥::::::: /l:::″::::::::〃::∧イ:::::::::从:|::::八::::斗--<   ,{'  ,rァ'゙´:ヘ,
. |      ェ     }   〃:::/〃:::::/:::::::::::::7>{:イ::::/ j:::l|:::::::::::/ !:/ |l !:::::::/ !:ハ::ノ <   {     l!_∠ レ,‐-,、
. |           j' /:://:/::::/l!::::::::::::/,_从::!|::〃 |::ハ:::::::::/ ,j/´.|!_!::::/,斗 ´      |     li  `\ ,,ノ:::\
. |           }/::::/:::::::: /::::〃|:::: ::::::∧≧=ヘ:::{≠,' |::::: //´   <              lト--、 人::::::::::
.  乂             ノ:/:::::::斗':′〃::|::::从::::|  ∨:::Y::リYノ<´   /             |     l!__. `フ  \::::
    ー─────/ ´ ̄   ̄ ̄` ー──+─ゝ='/     /              l     ヘ`'-〈
::´>--<´                           /     /                 乂     入、 \
´ / /´ /                      ノ     /                  \, <::ヘ  乂__.)
 /  / ,/                  -── ´                         /::::::::::::∧

http://www55.atwiki.jp/akochandaaaaaa/

wikiが出来ました
まだまだ絶賛編集中ですが、新スレに合わせてとりあえず公開
より良いwiki作りの為のアドバイス等お待ちしてます

ちなみにこのwikiのどこかにギバード桜子ちゃんが隠れているゾ!
みんなで探してみよう!

テンプレ(?)ここまで
前スレでも沢山の支援声援ありがとうございました
そして予告通り今夜の投下はナシでー


ギバ子隠れてない上右端が左端にいってるように見える

>>7
ていうか単純に右手の先っちょ途切れてた
直したので引き続きギバード桜子ちゃんを探そう!

>>10 未だに直ってないけどブラウザが悪いんかね
ついでにトップページにドでかく居るのも仕様?

>>13
AAはもう問題ない……はず
ちなみに隠れてないのは仕様だよそういうネタだよ解説させんなよ恥ずかしい

931 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2013/07/20(土) 23:21:14.39 ID:JuV3jYCzo



前スレより転載
ちょーうれしいよー

もしこのまま支援が続いたとして、最後までアコチャーが来ない未来が見えた気がした

前スレ埋まりました
今スレでもよろしくお願いします

しかし支援絵の穏乃かわいい
特に睫毛がマジかわいい

埋め乙でした
これで続かなかったらぐう畜やで

上のイラストだけど、裸ジャージの穏がもたれ掛かってきてると思うと京太郎の内心はいかに

乙。埋めネタはまだwikiに収録しないのかな。

>>41
A.「特に何も」
まだ穏乃のジャージに関しては「なんでズボン穿いてないんだろう」程度の認識です

>>42
更新したでー
ついでに前>>972のてるてるのセリフの順番をちょっといじったり

今回に限らず、wikiに載ってる文章が決定版なので、本編を読み直したいって人はwikiで読んで欲しいどす
読みにくかったり、なんか増やした方がいいコンテンツとかあったらスレで意見ください

>>43
更新乙ですー
支援絵項目作るといいんじゃないかな
絵師さんがまた描いてくれるかもしんないし

>>45
採用!

というわけで支援絵コーナー追加&本編を少し更新しました
これからも絵を描かずにはいられなくなるようなSSを書かなくては(使命感)

ところで話は変わって
阿知賀こども応援団で準決勝の時に、憧ちゃんを「憧先輩」、クロチャーを「松実先輩」って呼んでたのは綾ちゃんかな凛ちゃんかな
そろそろ本編に出てくる感じなので呼称をハッキリ把握しておきたい所存。たぶん凛ちゃんかなーとは思うけど
ていうかこの二人は中1だけど阿知賀じゃないんだろうか……

凛ちゃんで合ってるよ>クロチャーを「松実先輩」って呼んでたの

まーた雰囲気を悪くしてしまった
こういう時は投下で空気を変えたいところだけど、生憎と今日もお休みです
もしかしたら明日もお休みです
0~1時の間に現れなかったらお休みです
ご了承ください

あと>>54ありがとう

    /::::::::::::::::::::::::::ヽ

    /::::::::::::ハ::::ハ::::::::::ム
    i:: ハ 乂 レ ノ リ:::::::}        _____________
    |:。:l. ○  ○ .|l:::::i      /
    ノ::::八xx   xx ノ::::::}     <  やめるのです!ボクたち!
   /:::メ:_≧-⌒-≦_::::::::i      |
  ./:::/ヽ>=Y=<, `ヽ::l      \_____________
  .て_ソ:`i  .||.   iヽl__)l
 /:::::::メ::::::.|  ||.   |:::ゞ::::ヽ

「投下さえしなければ宥姉が剥かれるのか……」という葛藤があったけど投下しますとも(血涙)
今日から序盤の超重要エピソード?【雨宿り・前編】が始まります


憧「――で、そこでリーチする場合は何を切ればいいと思う?」

京太郎「えーっと……これか?」カチッ

\リーチ/

憧「ちょ、どうしてそうなるのよ!」

京太郎「ダメェ?」

憧「切る前に訊いて欲しいんだけど……貸して」スッ

ギチギチ...カチャカチャ...カチッ カチカチッ

憧「ほら、こっちを切った方が待ちが広くなるでしょ?」カチッ \リーチ/

京太郎「……」

憧「須賀くん?」

京太郎「お、ぉお? お、おう……おう」

憧「……分かってないなら分かってないって素直に言って」

京太郎「スミマセン」

なんでここの京太郎はちょくちょく口調が定助になるんだww


憧「まったく……もう一度巻き戻すわね」スッ

京太郎「あー、ちょい待った。それ俺がやるから」

憧「? 別にあたしがやるわよ」

京太郎「いや……大変じゃね? マジックハンドでPC操作するの」

憧「別に平気だけど」

京太郎「あ、そうですか……」

憧「ほら、少し避けて」

京太郎「はい」サッ

説得を諦めて上半身を横に倒す。

そこに出来た空間をマジックハンドがギチギチと音を立てて通過していく。

玩具の手は驚くほど精密な動きでキーボードを叩き、マウスを動かす。

テーブルから遠く離れた位置にいる新子さんは、しかし決して操作を誤らない。

片手で構えた双眼鏡でマジックハンドの手元を完全に把握しているからだ。

最後に数度クリックをして、モニタの中の雀卓は数十秒前と同じ状態に巻き戻された。


憧「じゃあまた説明するから、今度はちゃんと聞いててよね」

京太郎「へーい」

生返事をしながら居住まいを正す。

目の前には部費で購入されたノートパソコンが鎮座している。

俺が今プレイしているのは、ネット麻雀ではなくオフラインの麻雀ソフトの、更に練習モードだった。

これならCPU相手に何度でも対局を巻き戻すことが出来るので、初心者の指導にはうってつけというわけだ。

憧「だから、リーチする時はまずフリテンにならないように自分の捨て牌をよく見ること」

京太郎「ふんふむ」

メガホンにマジックハンドと双眼鏡を加えた三種の神器。

これらを装備したことにより、新子さんの俺への態度は若干ながら軟化したように思える。

しかし、物理的な距離は縮まるどころか遠ざかってしまった。

喜ぶべきか、悲しむべきか。

俺は答えを出しかねていた。


主観でのみ語るなら、現在の俺と新子さんの関係は良好だ。

出会った当初の悪印象からよくぞここまで、と言いたい。

ただ、それはこの距離を保っている場合に限られた話だ。

少しでも近付けば、また拒まれる。

それが分かってしまって、だから俺も今の立ち位置に甘んじている。

触れず、交わらず。しかし突き放さず。

この曖昧な距離感が、新子さんの打ち出した俺への態度だった。

やっぱり、喜ばしくはない、よな。

憧「――賀くん? 須賀くん!!」

京太郎「っうぇ!?」

その時、メガホンで拡大された声が俺の思考を現実に引っ張り上げた。

振り返った先には、非難がましい表情の新子さん。

憧「……ねえ。ちゃんと聴いてた?」ジトッ


京太郎「あ……悪い、考え事してた」

憧「どうせ頭使うんなら麻雀に使ってよ。覚える気がなくちゃいつまで経っても身につかないんだから」

京太郎「すまん。本当に悪かった。反省してる」

平謝りに謝りながら改めてPCにかじりつく。

今度こそ一打一打に集中して対局を進める――が、

京太郎「これは通るか……?」カチッ

\ロン/

京太郎「あ゛」

見事に振り込み最下位確定。

これで何連続だろうか。うなだれる俺。

背後で新子さんも嘆息しているようだった。

憧「少し休憩しましょうか。集中出来ないなら無理に続けても仕方ないし」

京太郎「だな……お茶淹れるわ」

立ち上がり、素早く給湯スペースに向かう。

人数分のお茶を用意しながら窓の外を見ると、今にも雨が降り出しそうな曇り空だった。


憧「ていうか玄と宥姉どうしたんだろ……」

携帯をいじりながら新子さんがぼやく。

確かに普段ならもう部室に全員集まっている時間だった。

憧「今日はしずがいないんだから、二人が来てくれないと練習出来ないのに」ハァ

また溜め息。

ちなみに穏乃は家の手伝いとやらで休みだ。

阿知賀学院麻雀部の女子部員は五名。

その内の一人が欠席となると、残り全員が揃わなくては麻雀は打てない。

俺が混ざっても勝負にならないし。

もっとも、だからこそ暇を持て余した新子さんに麻雀の指導をしてもらえていたのだが。

京太郎「ほいお茶」

憧「あ、ありがと」

新子さんの目の前に湯呑みを置いて、俺はまたPCのあるテーブルへ。

マインスイーパーなんぞ起動させながら、自分で淹れたお茶を啜った。


~♪

憧「あ、ハルエからメールだ」

京太郎「監督から?」

部室に顔も出さずにどうしたんだろう。

なんとなく黙って様子を見る。

憧「ふんふむ……。………………はあ!?」

京太郎「!?」ビクッ

カチカチと携帯を操作していた新子さんが突然大声を上げた。

危うく湯呑みを落としそうになる。

京太郎「ちょ、どうした?」

わなわなと震える新子さんに尋ねる。

すると彼女は険しい顔で、刺々しい声で、告げた。



憧「玄と宥姉、家の都合で急に帰らなくちゃいけなくなった……って」


京太郎「え、てことは部活は……?」

憧「今日はナシ。雨が降る前に帰りなさい、だって」

京太郎「えぇー……」

待ちに待ってこのオチか。

拍子抜けだ。

京太郎「ど、どうする?」

憧「どうもこうも……帰るしかないんじゃないの」

傘持ってないし、と続く。

そういえば俺も持ってない。

憧「まったくハルエったら、こういう大事な連絡はもっと早く……」ブツブツ

この場にいない者への不満を呟きながら、あっという間に帰り支度を済ませる新子さん。

俺も鞄を肩から担ぐだけで準備完了だ。

というわけで、



京太郎「それじゃあ鷺森部長、お疲れ様でした」ペコッ

憧「お先でーす」ペコリ

灼「ん」モキュモキュ



おにぎりを頬張る鷺森部長を残し、俺達は部室を後にした。

前編と銘打った上で更に区切り
大事なエピソードなので慎重に進めたいところ

>>75
なんでと訊かれれば俺の趣味と答えるしか
一番好きなのは四部だけどね

>>1
そういえばwiki見てたんだけど部員巡りの玄編で憧と京太郎のセリフがAAにガッツリ食い込んでたから直しといたほうがいいんでない?
そのままでいいならいいけど

>>122
「ふぇ゛えええ」のところ?
だったらこっちのPCからは普通に見えてるけど……はてさて

今夜もこれから書き始めますが、恐らく時間がかかりまくるんで投下されたらラッキーぐらいの気持ちで待っててください
いや忍びないんで待たないでください
ちなみにあらたそは>>94の後レジェンドが蛇の目でお迎えに来てくれました

寝て起きて書いてを繰り返した挙句1レスしか……これはもう明日の投下に回しますね
今日は空振り申し訳なし。明日は頑張ります

なけなしの書き溜め2レスを引っさげてこんばんは
さて始めよう

!?


~帰路~

見上げれば、いつ降り出してもおかしくない空模様。

厚ぼったい雨雲の下を俺達は歩いていた。

京太郎「……」テクテク

憧「……」テクテク

こうして二人きりになるのは珍しいことじゃない。

なにせ帰る方角が一緒だ。

同じ学校に通って、同じクラスで勉強して。

そして同じ部活を終えれば、必然的に下校のタイミングも一緒になる。

違うのはその日その日の会話量くらいか。

とりとめのない世間話をする日。

明日の提出物について確認する日。

部活で覚えたことをおさらいする日。

何も話さない日もある。

さて、今日は……


京太郎「あー、新子さん」

憧「なに?」

京太郎「今日もありがとな。麻雀教えてくれて」

憧「ん……別に、暇だったしいいわよ」

京太郎「暇なら暇で自分のことだって出来たろ? わざわざ時間割いてくれてサンキュー」

憧「ど、どういたしまして」プイッ

京太郎「飲み込み悪い生徒でゴメンな」

憧「……自覚があるならもっと真剣に取り組んで欲しいんだけど」ジロリ

京太郎「う゛」

憧「真面目にやってれば怒ったりしないから、部活中に関係ないこと考えるのはやめてよね」

京太郎「うっす、気をつけます……」

一概に無関係ではない、なんて言い訳の出来る空気ではなかった。


京太郎「あ、それとさ」

憧「?」

京太郎「次の指令についてなんだけど」

憧「ふきゅ」

変な声漏れた。

憧「………………ど、どうかした?」

京太郎「いや、この分だとまた土曜にあるんだなと思って。明日で一週間だろ」

憧「……そうね……」

京太郎「次はどんなことやらされるんだろうなぁ」

憧「……あの、須賀くん」

京太郎「どした?」

憧「その話は、あんまりして欲しくない、かも」

京太郎「え?」

憧「えっと、当日までは忘れていたいって言うか、心の準備は一人でしたいし……だから……」

京太郎「……あー……分かった、もうしない」

憧「うん。ごめん……」

京太郎「気にしなくていいって」

最後の言葉は、俯く新子さんに届いただろうか。


そして沈黙が訪れる。

聞こえるのは足音と、ここよりずっと遠くで響く雷の音。

いよいよ降り始めるのかもしれない。

そうなる前に家に着かなければならない。

だから、今日の会話がここで途切れても仕方ない。

今日もまた、二人の間に引かれた線を越えられなくても、仕方ない。



――本当に、仕方ないことなのか?



俺達は今、お互いにとって最も面倒の少ない距離に留まっている。

新子さんの抱える事情を思えば、やはり「仕方ない」ことだと言える。

けれど青春は短い。

同じ学校の、同じクラスの、同じ部活の仲間なのに――どうしても、そんな風に考えてしまう。

こうして足踏みし続けることは、俺にとって正しい選択なのだろうか。

今この時間は、貴重な青春を浪費しているに過ぎないのではないか。

歩み寄れば何かが変わるかもしれないのに。

しかしそれは俺の欲目に過ぎない。

相手は変化を望んでいるかもしれないし、望んでいないかもしれない。

俺も人間なら新子さんも人間だ。

生身の人間関係の難しさを痛感しながら、重い足取りで帰路を辿った。

投下の途中ですが気晴らし(?)にwikiに支援絵を追加しました
改めて>>134ありがとうマジありがとう励みになります


京太郎「――ん?」

その時、その道中で、あることに気付いた。

憧「どうかした?」

京太郎「……なんか聞こえないか?」

最初は声に。

まくし立てるような調子で、しかし呂律が回っていない。

京太郎「ほら、向こうの方に」

憧「向こう……?」

次は姿に。

曇天が作る暗がりの奥、大柄な影がひとつ、小柄な影がふたつ。

憧「け、ケンカ?」

京太郎「にしては様子が変だけど……くそ、よく見えねえな」


立ち止まり、二人して目を凝らす。

まだ夕方というにも早い時間なのに、日光の恩恵がまったく得られない。

それでも注視していると、

京太郎「あれは……」

憧「……酔っ払い?」

大柄な方の影が男であるというのが分かった。

棒立ちでなく、フラフラと揺れているのは恐らく酔っているせいだと思われる。

憧「で、もう一方が近くの中学の……って」

京太郎「新子さん?」

途切れた言葉が気になって横を見る。

新子さんが驚き半分の表情で固まっていた。

その顔に浮かぶもう半分は……困惑? あるいは――



憧「――綾! 凛!」ダッ



京太郎「!?」

知り合い――!?

いきなり走り出した新子さんから一呼吸遅れ、俺もその後を慌てて追いかけた。

うごごご牛歩。区切ります
ここ数日は睡魔っょぃ……

こんばんは
今日もどうせクソ時間がかかること必至なので、いっそ書き溜め日にしてしまおうかと思います
まあ、書き溜まるかどうかは分からないけどな……

これから何エピソードかはこういうテンポになってしまうであろうことを予めご了承くださいませませ

ランチタイム編は筆速かったから(震え声)

そういえば初代スレで「2スレ後ぐらいにはデレるのかな」とか書かれたけど、
本格的にデレるのはまだまだずっと先なんだよなぁ……

ここまで丸2ヶ月かかったから、単純計算で8ヶ月、込み込み10ヶ月もあれば完結するんじゃないかな……(遠い目)


照「……♪」サスサス

和「<○><○>」

京太郎「違うから! ケーキバイキングで店の人が泣くまで食べただけだから!!」

照「あ、蹴った……」

京太郎「蹴りませんから!!!」

オチも決まってるしてるてる日和は後1,2回ってところだろう

それはダメ(即答)
本編の楽しみを奪わない為に阿知賀以外で埋めネタやってんだから
ちゃんとデレるから待っててね、半年ぐらい待っててね

書き……溜め……?
>>156の修正から始まります
タイムリミットは4時


立ち止まり、二人して目を凝らす。

まだ夕方というにも早い時間なのに、太陽が隠れているだけでこんなにも見難いなんて。

それでも注視していると、まず大柄な方の影が男であるというのが分かった。

京太郎「あれって……」

憧「……酔っ払い?」

男は足元が覚束ない様子でフラフラと揺れていた。

呆れたことに昼間から酩酊しているようだ。

そして残る二人は、揃いの制服を着た女の子だった。

怯えたように身を縮こまらせているのが窺える。

京太郎「阿知賀……じゃないよな。どこの学校だ?」

憧「あれは近くの中学の――って、」

京太郎「新子さん?」


途切れた言葉が気になって隣を見る。

憧「なんで……」

かすかに呟く声。

驚きと戸惑いの入り交じった表情。

呆然と立つ新子さんは、しかし次の瞬間、



憧「――綾! 凛!」ダッ



三人の人影に向かって猛然と走り出していた。

京太郎「新子さん!?」

咄嗟の出来事に、何より新子さんの言動に面食らう。

彼女は誰かの名前を叫んだ。

それはつまり、

俺「知り合いかよ――!?」

ようやくおおよその状況を察した俺は、どんどん遠ざかる新子さんの背中を追った。

オレェ……

単純にボケてただけだよ……
お恥ずかしいよ……
↓に直した奴投下するよ……


途切れた言葉が気になって隣を見る。

憧「なんで……」

かすかに呟く声。

驚きと戸惑いの入り交じった表情。

呆然と立つ新子さんは、しかし次の瞬間、



憧「――綾! 凛!」ダッ



三人の人影に向かって猛然と走り出していた。

京太郎「新子さん!?」

咄嗟の出来事に、何より新子さんの言動に面食らう。

彼女は誰かの名前を叫んだ。

それはつまり、

京太郎「知り合いかよ――!?」

ようやくおおよその状況を察した俺は、どんどん遠ざかる新子さんの背中を追った。

地の文が俺俺俺だからついね……
つっても今まで打ち間違いすらなかったのにね……
ごめんねめっちゃ恥ずかしいからベラベラ言い訳させてね……


憧「何してるのアンタ達!」

凛「あ、憧先輩!?」

綾「憧ちゃん!」

「おっ? また可愛い子が増えたねぇ~」

憧「ひ……っ」

綾「が、学校から帰ってたら急にこのおじさんが話しかけてきて……」

「いやぁ、おじさん迷子になっちゃってさぁ。お嬢ちゃん達におじさんの家まで連れて行ってもらおうと思って」ヒック

凛「だから知りませんってば……!」

憧「……二人とも、あたしの後ろに来て」

綾「憧ちゃん……」

凛「でも先輩も……」

憧「大丈夫だから。ほら早く」

綾「う、うん」スッ

凛「ありがとうございますっ」スッ


憧「っ……」キッ

「ん~? なにかなお嬢ちゃん、おじさんに用事?」

憧「ぁ、の……こういうの、やめてください」

「へぇ?」

憧「こ、この子達、怖がってるから……だから、その、」

「いやだなぁ」ズイッ

憧「っ!?」

綾「ひっ」ギュッ

「おじさんは道を訊いてるだけだよ? 怖がらせるつもりなんてないんだよ? なのにそんな……悲しいなぁ、怒っちゃうなぁ」ヒクッ

凛「せ、先輩……!」ギュッ

憧「大丈夫……大丈夫だから……」

「ああもう、お嬢ちゃんでもいいから早く案内してくれないかなぁ。ねえ。ほら」ズイッ

憧「――!」

          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__ 
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
.       //  /|  ::l、   :    ー‐   \{  | /  ー‐    j/ /}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.      「ちょーっと待ったぁ!!」
     / _,/:.:..|  ::| \ !           j/        ′/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
        / :.:.:.:.:{  ::|\ハ_,          ノ            ,___/{:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.∧
.    /:.:.:.:.:.:.:.::′ ::|:.:.|\圦                       / j/l/.:.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.∧
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伸びる手を、すんでのところで遮った。

そのまま体ごと男と新子さんの間に割り込む。

憧「す、須賀くん!?」

背中には新子さんの驚きに満ちた声。視線も感じる。

「んん、今度は男かぁ……誰だいボク?」

京太郎「後ろの子達の知り合いっす。なんか揉めてたみたいだったんで」

「別に揉めちゃいないよ? ただそっちの子がちょーっと失礼なことを言うもんだからね」

京太郎「ありゃ、そうだったんですか……それは失礼しました」ペコ

あくまで愛想は良く、軽く会釈をしてから振り返る。

京太郎「今の内に走って逃げろ」ボソッ

凛「えっ?」

京太郎「俺が注意を引いておくから、ほら早く」


綾「でもそれじゃあ……」

京太郎「いーから任せとけって。怖かったろ? 転ばないように気を付けるんだぞ」

凛「……はい。綾、行こう」

綾「う、うん……あの、ありがとうございましたっ」ペコッ

ダッ!

半ば強引な説得に応じてくれた二人が踵を返し、脇目も振らず走り出す。

「あ」

と男が声を漏らす間に、小道に飛び込んで姿を消してしまった。

この分なら無事に安全な所まで行けるはずだ。

後は――

「ちょっとお、どうしてあの子達行っちゃったの?」

京太郎「いやぁどうしてでしょうね? 塾の時間かな?」

――こっちをなんとかするだけだ。


と言っても、やることはもう決めている。

「なんだよそれぇ、まだおじさんと話してる途中だったろ?」

男から視線を逸らさず、タイミングを見計らう。

憧「ねぇ、一体どうするつもりなの?」ボソッ

と、俺の思惑を知らない新子さんが声を掛けてきた。

「どうする」なんて、そんなの決まってるのに。

京太郎「逃げる」

端的に答えた。

憧「………………は?」

京太郎「俺達も逃げる。合図したら走るぞ」

憧「ちょ、なにそれ、そんなのアリ!?」

京太郎「アリも何も、あの子達を助けたらもうここにいる理由もないだろ」

憧「それはそうだけど……!」

タイムリミット過ぎてるけど大ポカやらかしちゃったし、寝ながら書き続けます


小声での口論。

それが男の怒りを誘ってくれた。

「おぉい、人の話を聞いて――」



京太郎「――いいから走れ!!」グイッ



憧「きゃ、ちょっと!?」

「っこら待て!!」

誰の制止にも耳を貸さず、新子さんの手を取って駆け出した。

憧「す、須賀くん! 手っ、手!」

京太郎「少し静かにしてろ!!」

この期に及んで言わせはしない。そんな気持ちで手に力を込めた。

ちらりと窺った表情が痛みに歪んだが、敢えて無視した。

無視して、強く握り続けた。

強く握って、ただただ走り続けた。


~アパート~

京太郎「ここまで来れば大丈夫か……」

走り続けた末に転がり込んだのは俺の部屋だった。

もし男が追ってきていても、流石に屋内までは探せないだろう。

バタン

京太郎「……はあぁ……」

閉じたドアに背中を預けてへたり込む。

疲れた。

怖かった。

心臓が痛いくらいにバクバク鳴っている。

でも、

憧「はあ……はあ……」

これから、もっと痛くなる。


憧「はあ……もぉ、きっつ……」

京太郎「新子さん」

同じように玄関に座り込む新子さんに声を掛ける。

憧「なに……?」

息を整えながら応える彼女を、俺はじっと見ていた。

ともすれば、睨むように。

憧「……な、なに?」

視線に気付いたらしい。声に警戒の色が濃くなる。

俺は――

京太郎「なんであんなことしたんだ?」

問い掛けた。

憧「あんなこと……?」

京太郎「さっきのことだよ。なんであの酔っ払いの前に飛び出したりしたんだ」

憧「あ……」


京太郎「聞かせてくれ。なんでだ?」

憧「なんで、って……そんなの、あの子達を助ける為に決まってるでしょ」

京太郎「知り合いなのか?」

憧「小学校が一緒だったの。しずも玄も、よく一緒に遊んでた」

京太郎「その子達を助ける為に飛び出したんだな」

憧「そうよ」

京太郎「男が苦手なのに、知らない大人の前に」

憧「っ……そ、そうよ」

やっぱり。

気丈に振る舞う新子さんは――何も分かっていない。

何も、何も。

だから、



京太郎「……この馬鹿野郎が」



気が付くと、吐き捨てるようにそう言っていた。


憧「ぇ……今、なんて、」

京太郎「馬鹿野郎って言ったんだ」

今度はよりハッキリと。新子さんの目を見据えて。

その目が大きく見開かれる。

動揺、していた。

京太郎「新子さん」

そんな彼女を、俺はもう一度呼んだ。

京太郎「男が嫌いなら嫌いでいい。治す気が無いなら無いでも、この際いい」

けどな、と繋ぐ。

京太郎「だったらそれ相応の行動をしろよ。男が嫌いで、力も弱い女の子に出来ることの限界を考えろよ」

新子さんにはそれが欠けていた。

正義感ばかりが先に立って、肝心な場面で自分を顧みることが出来ていない。


京太郎「無茶するなよ。相手は男で大人で、しかも酒まで飲んでたんだぞ? 常識なんて通じないんだ」

憧「でも、」

京太郎「でもじゃねえ。一歩間違えたら怪我しててもおかしくなかったんだぞ馬鹿」

憧「ッ……さっきから馬鹿馬鹿って……!」

キッと睨み返される。

けれど俺は退かない。

決して、一歩たりとも。

憧「だったらどうすれば良かったのよ!? 目の前で知り合いが困ってて、なのに知らんぷりしろっていうの!? そんなの――」



京太郎「――俺がいるだろうが!!」



叫ぶ。

ずっと感じていた、心の底にあった淀みの正体を。


憧「、え……?」

京太郎「……ッ」

ぽかんとする新子さんから顔を背けたくなって、それでも踏み止まる。

そして深呼吸をするように、ゆっくりと感情を言葉に置き換える。

京太郎「……あの時、言ってくれれば俺は先に走ったよ。言ってくれれば、もっと早く動けた」

京太郎「そりゃあ今まで散々バカなとこばっか見せてきたし、新子さんが嫌がることもしちまったけど……」

京太郎「……けど、こんな時に選択肢にすら挙がらないなんて、いくらなんでも情けねえよ」

分かってる。

これは八つ当たりだ。

新子さんと出会って一ヶ月が経とうとしていて。

なのに未だに信用を得られない自分が不甲斐なくて。

それが嫌なんだって腐る自分がいた。

京太郎「だから」

ずっと言いたかった。

ずっと言いたくなかった。

京太郎「だから……もう少しだけでいいから、俺を頼ってくれよ……」

ずっと抱えたままでは、いられなかった。


憧「あ、の……えっと……」

新子さんは明らかに困惑していた。

無理もないな。

俺は新子さんにとって取るに足らない、ただのクラスメイト。ただの部活仲間。

そんな俺が長々と喚き散らしたところで、何がどれだけ伝わるだろう。

憧「………………その、ごめんなさい……」

京太郎「いや……俺こそ悪い。急に大声出して」

だから、曖昧な謝罪の応酬。

だから、今までに体験した中で一番息苦しい沈黙。

そして、



ぽつ、という水音。



憧「あ……」

京太郎「雨か?」


ぽつ、ぽつ、屋根に雨が当たる音が立て続けに聞こえる。

とうとう降り始めたようだ。

その時、新子さんがすっと立ち上がった。

憧「あ、あたし帰る」

京太郎「え?」

憧「帰る」

京太郎「でも雨……」

憧「今ならそんなに濡れないと思うし」

京太郎「じゃあ傘貸そうか」

憧「いい。いらない。それじゃ、お邪魔しました」

取り付く島もなくドアが開かれ、すり抜けるように新子さんは外へ出てしまった。

追いかける気力もなくて、俺はそれを見ているだけしか出来なかった。

ばたんと閉まるドアの内側で、激しい後悔の念に苛まれるだけしか出来なかった。


その直後。





どかーーーん!!!

雷の落ちた音。





どざーーーーー!!!

バケツをひっくり返したような雨音。





憧「み゛ゃーーーーーーーーーーっ!!?」

新子さんの悲鳴。





ドダダダダダダダダッッッ!!!

階段を駆け上がる足音。





バタンッ!!!

俺の部屋のドアが開け放たれる音。





憧「」

濡れ鼠の新子さん。





憧「………………ゴメン、やっぱ雨宿りさせて」

京太郎「………………おう、入って、どうぞ」





【TO BE CONTINUED...】

シリアス終了のお知らせ
後編に続きます

なんとか出かける前に終わって良かった
今後は『俺「~」』なんてミス絶対にしない、絶対にだ!


キャラの一人称や別キャラの名前を台詞頭につけそうになることは時々あるから気にするな

折角のシリアスでやらかしちまったので早々にwiki更新しました
これで現行分に追いつきましたぞ

・不慣れなシリアス
・キャラの曖昧な綾ちゃん&凛ちゃん
・変なおじさん

という序盤最大の山場(作業的な意味で)を乗り越えたし、ぼちぼちぼちペースアップ出来たらいいね。今夜は寝るけどね

ちょっと確認したいんだけど、
県予選後から始まる毎週末2泊3日の遠征って金曜夕方から出発して日曜の内に帰ってくるってことでいいのかね
だとしたらとんでもねーハードスケジュール……
ていうか龍門渕と三箇牧以外どうしようか

ふんふむ、日程は問題なしか
とりあえず遠征の奇数回にはイベント用意してるけど、偶数回がなぁ
適当に宿泊先でワイワイやらせるのが無難かしら
代わりに素晴らしいアイディアを閃いたハンサムがいたら是非名乗り出てください

運転席と助手席と、後ろが多くて9少なくて7ぐらいあるんじゃないかな
京ちゃんが乗れなくて遠征やインハイについてこれないなんて風潮はないのでご安心を

ていうか遠征はともかく東京ぐらい新幹線で行けばいいのに……

ブヒィは結構もらってるんじゃないかね
レジェンドは学校関係者とか大人ウケいいっぽいし、後援会もあるし
ていうか自腹であんな立派なホテル3部屋も取ってたら太っ腹すぎるわ

ドラマCDは結構みんな聴いてんのかな
あれはいいぞー憧ちゃん可愛いぞー
マンガやアニメに比べてやや子供っぽい演技がディ・モールト可愛い

そういえばこんなのが
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs

>>360
グゥレイトと一緒にGジェネの隅っこでケバブだけ食って辛うじて生きてろ

結局俺も>>341が見れずじまいだったんだけど何だったのだろうか
とりあえず【雨宿り(後編)】始めていきまーす


_人人 人人人人人人_
> これまでのあらすじ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

部室で新子さんに麻雀を教わっていた俺



そこにレジェンドから部活中止の報せが舞い込む



帰宅中、酔っ払いに絡まれている新子さんの知り合いを発見!



ハンサムの京太郎は華麗にトラブルを回避する



我が家へランナウェイ。そこで突如キレる俺。気まずいこと山の如し



雨が降り出したので帰る新子さん



雨が降り過ぎなので戻る新子さん



濡れたブレザーを乾かそうと脱いだらシャツまで透けていたことに気付く新子さん ←NEW!!



それを目撃した俺 ←NEW!!



ビンタ ←NEW!!



痛い ←今ここ


そして現在――

憧「見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた見られた」ブツブツブツブツ

京太郎「……」カチャカチャ

新子さんは部屋の隅で膝を抱えてうずくまり、俺は粛々と飲み物の用意をしている。

ちなみに俺は頬に時期外れのもみじを貼り付けていて、

新子さんは非常手段として俺のTシャツを着ていてた。

(最初はYシャツを渡したけど、「は? Tシャツでいいでしょ(真顔)」って言われた。俺は泣いた)

傍らには濡れたブレザーとシャツが無造作に放られている。

………………いかがわしい。

京太郎「」ハッ

イカン。イカンですよ。

無心になるんだ須賀京太郎。

たとえ今この状況がどれほど魅力的なシチュエーションであろうと、変な気を起こしてはいけない。

同級生の女子が俺の部屋でびしょ濡れの制服を脱いで男物のTシャツを着ているからって、決して変な気を起こしてはいけないんだ!

………………出来るか?


京太郎「っと」

そうこうしている内にコーヒーの用意が出来た。

先日お袋から届いた補給物資の中に入っていた、ぶっちゃけお歳暮の余りである。

とは言え結構お高い代物らしく、インスタントだてらに良い香りがしてくる。

京太郎「おーい新子さーん。コーヒー入ったぞー」

憧「見られた見られたなんでなんでなんでこんな日に限って無地の可愛くないやつなんてイヤ可愛かったら見せてもいいってわけじゃないけどああもう最悪最悪最悪最悪……え、なに?」

京太郎「……いや……だから、コーヒー」

憧「あ、う、うん。ありがと」

コト、とテーブルにカップを置く。

のそのそと近寄ってそれを手に取る新子さん。

……いけませんよ新子さん。そのTシャツで四つん這いはいけませんよ。

件の「無地の可愛くないやつ」がちらりと……ゴホンゴホン。


京太郎「ていうか、コーヒー大丈夫だったか?」

憧「あ、それは平気。……けど」

京太郎「?」

憧「あの、砂糖とミルク……」

あ、そうか。

テーブルの上にはカップが二つ。それだけしかなかった。

京太郎「悪い悪い。俺が使わないから持ってくんの忘れてたわ」

憧「!?」

京太郎「新子さんはいるよな。取ってくるからちょっと待っ」

がしっ。

京太郎「え?」

なんか腕を掴まれた。

掴んだ新子さんは、何やら悔しげというか、強張った表情をしていた。


憧「い、いらない」

京太郎「へ?」

憧「あたしもいらない。須賀くんが使うんじゃないかと思って訊いただけだから」

京太郎「そ、そうか? それならいいけど……本当にいらない?」

憧「いらない(震え声)」

うーん。

まあ、無理強いするものでもないけどさぁ。

とりあえず座り直してコーヒーを一口。

京太郎「む」

美味い。

ていうか旨い。

普段コーヒーを飲みつけているわけではないけど、それでも味の違いが分かった。

気の利いたコメントこそ出来ないが、これはハッキリ良い品だと分かる。

サンキューお袋、これなら新子さんも、

憧「>Д<」

ダメっぽかった。


憧「うぅ……」ソローッ

取り繕う余裕もなく顔をしかめたまま、もう一度カップに口をつける。

憧「>Д<」

ダメっぽかった。

京太郎「……・」ズズッ

俺ももう一口。

京太郎「……うわー。なんだこれはー」

憧「えっ」

反射的にこちらを見た新子さんと目が合う。

敢えて気にする素振りは見せずに続ける。

京太郎「初めて飲んだけどこれはハズレだなー。とてもじゃないけど飲めないなー」

憧「す、須賀くん?」

京太郎「ごめんな新子さん、お客さんに出せるもんじゃなかったわー。無理して飲まなくてもいいぞー」

この喋り方、なんかワハハとか言いたくなってくるぞー。


京太郎「とは言え体が冷えたままなのは良くないよなー。代わりを用意するからちょっと待っててくれー」

憧「ちょ、待っ!」

なにか言いたげな新子さんを華麗にスルー。台所へ。

そこで新しいカップに牛乳を注ぎ、そのままレンジで温める。

適当な時間が経ったら取り出して、仕上げにはちみつを少々。

ちなみにこのはちみつもお袋からの贈り物です。

家で親父と二人じゃ使う機会がないからって送りつけてきたんだろうが、俺だって同じだっつーの。

……あったけどな使う機会。再びサンキューお袋。

戻る。

京太郎「お待たせ、ホットミルクしかなかったけどいいかな?」

憧「あ……」

京太郎「熱いから気をつけろよ」コトッ

そう言って、ほとんど量の減ってないコーヒーの隣にホットミルクを置く。

新子さんは、それをじっと見つめていた。


憧「……ねぇ、ホットミルクしかないの?」

京太郎「ないな」

憧「本当に?」

京太郎「本当に」

憧「他に何も?」

京太郎「なーんにも」

憧「水でもいいけど」

京太郎「水もねえ」

憧「水も!? それはそれでどうなの!?」

京太郎「あーもー食い下がるんじゃねえよ! 大人しく飲めばいいんだよ飲めば!!」

どうにも締まらない。

それでも一歩も退かない覚悟でプレッシャーを与え続ける。

すると、

憧「……」ズズ

やがて観念したように、ゆっくりとホットミルクを啜った。

そして、



憧「………………おいし……」ホゥ



ようやく表情を綻ばせた新子さんを見ながら、俺もすっかりぬるくなったコーヒーを口に運んだ。


憧「……さっきは」

京太郎「んぉ?」

湯気を立てるマグカップを両手で包んで弄びながら、新子さんがぽつりと漏らした。

視線はホットミルクに落とされている。

憧「さっきはびっくりした」

京太郎「あ……」

さっき。

つまり、雨が降り出す直前の出来事。

憧「元々うるさい人だとは思ってたけど、あんな風に怒鳴られるなんて思ってなかった」

京太郎「う」

憧「……お父さん以外の男の人に叱られたのなんて、はじめてだった」

京太郎「うぅう……」

胸が痛い。

罪悪感と気恥ずかしさ、二つの「やっちまった」が俺を責める。

穴があったら入りたい……


憧「須賀くん」

京太郎「は、はい」

名前を呼ばれ、どんな恨み事を吐きかけられるのかと背筋が伸びる。

しかし、



憧「ごめんね」



俺の耳に届けられたのは、至極シンプルな謝罪の言葉だった。

京太郎「……はい?」

憧「今まで考えてたけど、やっぱり須賀くんが正しかったと思う」

そう言って新子さんはホットミルクを一口飲む。

またほぅと息を吐いて、

憧「本当にあの子達を助けたいなら、まずあたしだけじゃどうにも出来ないってことを認めるべきだったんだよね」

憧「あの時のあたしには……須賀くんには頼りたくない、って気持ちがあった……んだと、思う」


憧「バカだよね、ほんと。敵と味方の区別がついてなかった」

憧「それであの子達まで危険な目に遭わせてたらって思うと、すごく怖いから」

新子さんの目が俺を見る。

そこに今までの遠慮や抵抗はない。

ただただ、素直な気持ちだけがあった。



憧「だから、ごめんね。心配かけちゃって」



そんな心からの言葉。

それに対して、俺はあくまで冷静に返す。

京太郎「……ふたつ、訂正させてくれ」

憧「訂正?」

京太郎「ああ。ひとつ、危険な目に遭って欲しくなかったのは新子さんも含めた全員だ。自分だけなら良いみたいに言うな」

憧「あ……うん、ごめん」

京太郎「そしてもうひとつ」

さっきから何度も頭を下げる新子さんに向かって、もうひとつ。



京太郎「こういう時は、ごめんじゃなくてありがとうって言うもんだぜ?」ニッ

憧「………………ふふ。じゃあ、ありがとっ」ニコ



――外から聞こえる雨の音が、まるでコンサート会場に響く拍手のように感じられた。

いい雰囲気で終わると見せかけてまだ続く。というわけで区切る
ちなみにコーヒーもホットミルクも普段飲まないので、味や飲み方の是非についてはノーコメント

昨夜気付いたけど京カプ避難所でまた京穏書いてもらっててちょーうれしいよー
何事も言ってみるもんだね
しかしこのスレでも常々アレコレ言ってるのに一向にスレ立たないな?????

まあ始めます。今夜中に終わるかな……




放課後、俺たちはまたいつものように教室で雑談をしていた。

まあ、今日は咲が図書室に行くらしかったが、その前にちょっとだけ時間をもらったわけだ。

なぜかというと…咲を部長に会わせないためだ。

正直、部長がどこに現れるかなんて全く予想がつかないが、ばったり図書室で会ってしまうかもしれない。

だからせめてどこも部活が始まるくらいまでの時間は一緒にいないとな。



ただ、今日の雑談はいつもと比べてちょっとだけ雰囲気が暗かったような気がする。



咲「…ねぇ、思ったんだけど最近、やっぱり京ちゃん何か変だよね」

京太郎「ん?」

咲「昨日も今日も、その前からも。ずっと私から離れないようにしてるし…」

京太郎「おい…それじゃ俺がお前のストーカーか何かのようにに聞こえるぞ」

咲「京ちゃん、誤魔化さないで?」

京太郎「そ、そんなことは…」

咲「………何か、あったの?」

京太郎「…………」



予想外だ。

咲が、こんなにも真剣な表情で俺に直球で聞いてくるとは。

こんなことは今まではなかったはずだ。

つまりまあ、俺が色々動いたせいで少しは運命が変わっているのかもしれないが…

あ…誤爆しました。

すいません!気にせず始めてください!

                  ___
                  \:.:.、:.ヽ,r─- 、
              ,  -‐   ̄ ̄\x:.:./
                        ヽ`iヽ、
         /                   !:.┼:.:.、
           /                } ┼:.:.\
        /    ,∠ ‐──‐- 、      |:.:.:┼ - ヽ
        {  /              \ , .:^ヽ┼┼:.:.:. l
        〉´   ____      /:.:.:.:.:.:.}- /ヽ }
        し一' : へ{: : : : :` へ 、_i:.:.:.:.ヽ〃^i:.:.:.:.:.! |

       /: : : : : :/ V{   ハ: ハ:. .;.{:.:.:.:.:.:弋ノソ:.:.:.:レ'
      / ィ  | ,,r´ヾ、 ヽ ,f´`ヾトく.:.ヽ:.:, イ ト、:.:.:.:./
         {  ,iV! ” }   \{ ” } レ'ヽ:.:._ノ |:.:\/ヽ、
       人/} `‐-' ,   `-‐´  } ,  /  !:.:.:.;ゝ、 ', 
       /   {    ,ァ─-.    i レ /i /ノ⌒   }  |
        | / i、   ,____}    U |V レ!     ,i  }
        ! ト、 | ` i 、.___    __,. -=|   |__  // ノ
        ヽ;.:.:`|   !_ノ:.:.:.:,}   h   |   |;.:. ̄:.:.//
        `ー!   |  ̄ ̄>-<  ̄ ̄}    |  ̄ ̄
     ___/l   |' ̄/ ニニヽ.─-|    ト,
 _/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|   |/!  ,ニヾ   ,!   }:.|
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   Tヾ/:. ̄:.:.:.:.:.:.:.::.//ri´}ヽ;,ノ   / レ':.:.:.:.|
  /:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.//:.:.:| } ハ\ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\


……
…………
………………

それから、30分ばかりが経っただろうか。

依然雨は降り続け、止む気配を見せない。

俺達はただなんとなく窓の外を眺めていた。

会話こそなかったが、その沈黙は不思議と心地良いものだった。

京太郎「なんか、変な感じだな」

憧「なにが?」

京太郎「こんな風に落ち着いてるのが。初めてだよな、こういうの」

憧「あー……そうね、そうかもね」

色々と騒がしい一日だが、こんな結末なら大いに意義もあったというものだろう。

憧「あたしも、どうして今まで須賀くんをあんなに目の敵にしてたのか分かんなくなっちゃった」

京太郎「………………」

それは俺がパンツを見たり追い掛け回したりパンツを見たり追い掛け回したり学校中を連れ回したり握手したり抱き留めたり匂いを嗅がれたりしたからだろう。

とは口が裂けても言わないでおこう。

ホットミルクの魔法は偉大だ。


偉大ついでに、訊きたいことを訊いてしまおうと思った。

折角の、絶好のチャンスだと思った。

ので、

京太郎「新子さん」

憧「なに?」



京太郎「新子さん達は、どうして全国を目指してるんだ?」



訊いた。

ずっと訊きたかったこと。

あの日。みんなで学食に集まった日。

穏乃の口から聞いた麻雀部の目標――『全国優勝』。

じゃあ、そんな大きな目標を立てた動機は?

それが知りたかった。


新子さんは目をぱちくりとさせ、

憧「………………言ってなかったっけ?」

と尋ね返してきた。

京太郎「ああ」

何かにつけ訊こう訊こうと思っていたが、今に至るまでタイミングを逃し続けている。

憧「あちゃー……そっか、ごめんね、別に隠してるわけじゃなかったんだけど」

京太郎「俺も怒ってるわけじゃないけどな」

憧「うん。じゃあ須賀くんには全部話さなきゃね」

更にうんうんと二度頷いて、新子さんが居住まいを正す。

俺も釣られて身構える。

憧「って……そんな改まって聞く話じゃないわよ?」

京太郎「あ、そうなん?」

憧「そうよ」

でも、と続いた。



憧「もしかしたら、ちょっと長くなる……かも」

NE☆TE☆TA
ダメだ、眠気がアレな日だ
この先が長いんで今夜は区切らせて……
せいぜい書き溜め頑張りますので

http://i.imgur.com/S7IwztE.jpg

こんなに可愛くて寒がりな宥姉をひん剥く畜生二人……ああ憧ちゃん可愛い
あれだね、この場に京ちゃんが居合わせたらと想像してしまうのは仕方ないことだね

孤独のグルメ見終わったら始めましょうか

哩「手錠!?」
一「手錠!?」

しかし>>487の宥姉には情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さそして何よりもブラが足りないと感じる下着フェチであった
宥姉のブラは大人系(≠セクシー系)だと思う。なんかレースがこう、なんかこう、そういうの
下着はキャラの性格が如実に反映される重要なファクターですよ!

そんじゃ始めます

>>495
タコスが京ちゃんに見せつけてたろ!!いい加減にしろよ!!
タコスポジのシズがこれからパンチラするかもしれないだろ!!

生理の時とか困るし 女の子は男よりもちょっとした拍子で少しだけ漏らしたりするからね
パンツは必須よ


降りしきる雨。

その音を聞きながら、新子さんは静かに語り始める。

憧「――友達がいたんだ」

憧「名前は和。原村和」

憧「うちらと同い年で、小6の時に転校してきたの」

憧「その和を、あたしとしずが麻雀教室に誘った」

京太郎「麻雀教室?」

憧「あ、そっか。それも知らないのか」

憧「えーっと……ハルエが昔インターハイに出場したってことは知ってるっけ?」

京太郎「ああ、鷺森部長と喋ってた時に」

憧「そうだったわね。で、その話には続きがあってね」

憧「初出場の阿知賀は一回戦、二回戦を順調に勝ち上がった」

憧「怒涛の快進撃だって、ニュースでも話題になってたくらい」


京太郎「へえ、凄かったんだな」

憧「うん。あたしも、しずと一緒にテレビの前で大はしゃぎだった」クスッ

憧「けど」



憧「次の準決勝で、エースのハルエが大量失点して負けちゃったの」



京太郎「え……」

憧「……あれは子供心に悲しかったなぁ。地元一丸で応援してたからね」

憧「でもやっぱり一番辛かったのはハルエで、それからしばらくは牌に触れることも出来なかったみたい」

京太郎「監督が……」

憧「その後ハルエは部を辞めて、レギュラーもほとんどが卒業。そして翌年は初戦敗退」

憧「結局、女子校時代の麻雀部は自然消滅的に廃部になっちゃったってわけ」

そんなことがあったのか。

本当に、何も知らなかったんだと実感する。

黙り込む俺を見て、新子さんは困ったように小さく笑った――ような、気がした。


憧「話を戻すわね」

京太郎「あ、おう」

憧「そんなハルエに勧められたのが、麻雀教室の先生だった」

憧「近所の子供相手に麻雀を教えるっていう……言わばリハビリみたいなものね」

憧「勧めたのはうちのお姉ちゃん。ハルエのチームメイトだったんだ」

京太郎「へえ」

監督のチームメイトって、つまりインターハイに出場した選手ってだよな。

そんな凄い人が身内にいたのか。

憧「あたしとしずと玄、それからさっき助けた子達も、その阿知賀こども麻雀クラブの仲間だったの」

京太郎「なるほど、そういう仲だったんだな」

憧「うん。いつも一緒だった」

憧「いつも一緒に遊んで、いつも一緒に麻雀を打ってた」


憧「で、そこに和が加わったの」

憧「それからはもっと楽しかったなぁ」

憧「和が前に住んでたのって東京でさ。物知りだし麻雀も強いし、あたし達の持ってないものをいっぱい持ってた」

昔を懐かしむ新子さんの表情は、とても優しかった。

友達との綺麗な思い出。

新子さんの心にはそれが詰まっているのだろう。

憧「でも」

でも、



憧「それも長くは続かなかったんだけどね」



その表情に、陰が生まれる。


京太郎「え、なんでだ? 何かあったのか?」

憧「秋口だったかな。ハルエに実業団からスカウトが来たの」

京太郎「スカウト……」

憧「そう。それ自体は喜ばしいことだから、みんなで背中を押してあげたんだ」

憧「お別れ会では玄もしずも涙目で、和なんてボロボロ泣いてたっけ。……あたしは泣いてないからね?」

京太郎「別に疑ってねーよ。ていうか、泣いてもいいだろそこは」

まあね、と返す新子さんは、笑っていたが、笑っていなかった。

すぐに下を向いてしまう。

憧「……まあ、時間の問題ではあったんだけどね」

憧「その頃にはあたしも別の中学に進学することを決めてたし、和だって中二になると同時にまた転校しちゃったし」

憧「残ったしずと玄は学年が違うし……誰も一緒にはいられなくなった」

憧「あたし達はバラバラになった」


憧「でも、仕方ないって思った」

憧「これから先、こういうことは何度もあるんだって」

憧「だから前を向こうって」

憧「そうするしかないって」

憧「思ってた」

憧「のに」



憧「あのバカは、そうじゃなかったみたい」



京太郎「あのバカ……って、」

憧「お察しの通り、高鴨穏乃よ」クス

憧「あいつがやらかしてくれたから、あたし達はまた集まることが出来た」


憧「キッカケは中三の夏休み」

憧「テレビを見てたらね、和がインターミドルの個人戦で優勝したってニュースが流れたの」

京太郎「え、優勝って……凄いことだよな?」

憧「うん。和はほんとに凄いよ」

憧「しずもそれを見てたらしくって、あたしに電話してきたんだ」

憧「なんて言ったんだっけなぁ……確か、「私もあの大会に出たい!」だったかな」

京太郎「うわぁ」

憧「まさにしず! って感じだよね。もう中三だっての」クスクス

憧「でも、言いたいことは分かっちゃったんだよね」

憧「友達が頑張ってる。頑張って、凄い結果を出した」

憧「じっとしてなんかいられない。それはあたしだって同じ気持ち」

憧「しずは、インターミドルが無理ならインターハイに出るって言った」

憧「それも阿知賀で、麻雀部のない阿知賀で全国に行くって」

京太郎「そりゃあ……凄いな。ある意味」

憧「凄いでしょ。ある意味」クスッ


憧「……本当はね、あたしは高校も阿知賀じゃなくって、違う高校に進学するつもりだったの」

憧「でも……、なんて言ったらいいかな……。……アテられちゃったのよね、しずに」

憧「しずと一緒なら、って思った」

憧「しずが一緒なら、って」

憧「だからあたしはしずの無茶に乗っかった」

憧「玄も同じで、それから宥姉と灼さんも加わって」

憧「そこにハルエも戻ってきて」

憧「またみんなが揃った。前よりも賑やかになった」

憧「後は和だけ」

憧「全国の舞台で、和の前に立つ」

憧「それがあたし達の本当の目標」

憧「またみんなではしゃいで、」

憧「そして――」


              -r‐:/..:../..:..:..:..:..:./.:..:..:..:.{..:..:..:..:、..:ヽ..:..:..:∀ニ=- 、
              /...:'⌒7..:../..:..:..:..:..:./..:..:..:..:..:|..:..:..:、:゚。..:..゚,:..:..}:゚, \:..:ヽ
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         /..:..:/  /   ! l..:..:..:'./ ! l..:..:..:..|..|v :..:..|..:..:.}..:..i/:}:..:.    ゚。:..:。
           /..:..:/   ′:..:..:|..ト-.:.、l |..l,:..:..:..:|..| ゚。,.斗-‐.|..:..|/j..:..:|     :。.:.:。
         :..:..:..′  !..:..:..:..|..|リ、.:{リ\:{ ゚。..:..:{..{/\{ }ノ|..:..|:.:..:..:.|     ∨ハ
        i..:..:.    |..!:..:..:.|..|,.イ芹℡x{ \..{リxrf芹ミト│..:|:.′ :|     |:..
        |..:..:|    リ!..:..:.l..代{:.トil刈    `  {:.トil刈 〉..:.j}:゚. ..,'.|     |:..  「――遊ぶんだ、和と」
        |..:..:|     |i.:..:.|.. 弋こ,ノ       弋こ,ノ |..:..′:.゚:.|     |:..
        |..:..:|     |i.:..:.|..|:.  :.:.:.   ,      :.:.:.   |..:。..:.。:.:l      |:..
        |..:..:|     |i.:..:.|..「}              /|..:′.:゚:.:.:l       |:.:.
        |..:..:|     |i.:..:.|..|人     ー‐'     イ:.゚./..:..:。.:.:.!     |.:..
        |..:..:|     |i.:..:ハ..゚。:.i.≧o。..    .。o≦:|:.://..:..:.:゚:.:.:.:.l      |:..
        |..:..:|     小..:.:.:.ハ.゚。!:.:.:.-r| ` ´  |=ミ:.:|://..:..:./:.:.:.:.:.l      |:..
       .:..:..:.|   / :|..:..:.:.:.∧{<=「ノ     }`iニ/イ..:..:..:___:.:.:.:.l    |:..

       .:..:..:..:|   f¨¨~}..:..:.:./ 乂二|___     ____|=/=′ :.{ニニニ>ュ.   |:..
        / :..:..:..|  ∧ .′.:.:.′ニニ=|_, -―‐- ,_|ニニj:..:..:..|/ニニニ/、  ::..
     / :..:....:..:| / ∨..:..:./二ニニニl          lニニ{..:..:..:|ニニニ// }  }:..

ご覧のSSは京憧SSです。憧穏SSではありません
高鴨さんへの想いを婉曲かつ盛大にぶちまけてらっしゃいますが、
当スレの憧ちゃんとiPS戦士新子憧は別人です

そんなわけで区切り
長話の割に中身は原作嫁の一言で済ませられるっていう
ここまで来たら明日には現行エピ終えられそうで一安心

ほななー

乙ー


そりゃあ個人戦やらその後も引っ張るためにあえて色々とずらしたんだろう・・・(レイプ目

そんなこと言ったら照(先鋒)と咲(大将)だって……
直接対決は一体何年後になるんだ……

あと亀だが>>497、あれは(パイ)パンチラだから何も間違ってはいないぞ

生えてねーよ(ガチギレ)
二次元美少女に要らないものは鼻の穴と下の毛、そして前歯

500過ぎたのでそろそろ埋めネタ準備しないとな……とか思ってる己に疑問を感じずにはいられない
前回の反省を踏まえると900越えてすぐくらいかな

八重歯はYESだよ(ニッコリ)

あの質量でブラしてないからあんな垂れ…おっと誰か来たようだ

>>540
俺が常に支えてるから問題ないよ

>>541
京ちゃんがのどっちのおもちを支えるバイトの面接受けるみたいなSSあったな

下の毛とかは無毛 薄い 普通 処理済み 処理しきれてない 密林とそれぞれ個性があったほうが嬉しい派

剥いで確かめるのがだめならお着替えシーンを盗撮すればいいんじゃないかな

ネタやでー
憧ちゃーがテンパり始めてから、おバカな京ちゃんが恋しくなる今日このごろ

http://youtu.be/eu5jc8gUXWA

あ゙ご゙ぢ゙ゃ゙ん゙だ゙ア゙ア゙ァ゙゙ァ゙ア゙~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
つかアガる度にこんな艶姿を見せつけられんの……?

さておき始めます(また誤爆されたらどうしよう)


語り終えて――

新子さんは長く深く息を吐いた。

憧「はぁぁ……あー、疲れた」

どこかおどけたように言って、僅かに残っていたホットミルクを飲み干す。

憧「ぷはっ」

そして俺を見る。

清々しいような、気恥ずかしいような表情で。

憧「本当に長くなっちゃってごめんね」

新子さんはそう言った。

それに対して俺が何かを言い返すより早く、

言い返す隙を与えないように早く、



憧「軽蔑した?」



と言った。


俺は――


























































          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
.      / / :|  ::|/ \{^ヽ 乂辷ツ八 |\| /' 乂辷ソ ノ^l/ } :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `「⌒:.
.       //  /|  ::l、   :    ー‐   \{  | /  ー‐    j/ /}/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.  
     / _,/:.:..|  ::| \ !           j/        ′/:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.
        / :.:.:.:.:{  ::|\ハ_,          ノ            ,___/{:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.∧      「――感動した!!!!!!!!!!」
.    /:.:.:.:.:.:.:.::′ ::|:.:.|\圦                       / j/l/.:.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.∧
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:.:.:.:.:.:.:.: }: : : :--:/\: . ノ:r/   / .: .:.:.:.:.|:.:.:.:\    ,/:.:.:. |:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./

と叫んだ。


憧「、は……!?」

絶句。

絶句する新子さん。

俺に馬鹿呼ばわりされた時の比ではないくらいに目を見開いている。

京太郎「新子さん!!」ガシッ

憧「ひっ!?」ビクッ

そんな新子さんの手を、握り締めた。

力強く、力強く。

憧「ちょ、手、手っ///」

京太郎「俺は感動した! 猛烈に感動したぞ!」

憧「か、感動って……、軽蔑じゃなくて?」

京太郎「軽蔑? さっきも言ってたけど、なんで軽蔑なんかするんだよ?」

憧「だって、友達と遊びたいなんて理由で全国を目指すなんて……」

京太郎「そこがいいんじゃねえか!!!」グワッ

憧「ひぃぃ……」ビクビク


京太郎「たったそれだけの為に毎日あんなに練習してるんだろ!?」

憧「そ、そうだけど」

京太郎「やっぱすげえ! 俺だったら絶対に途中で投げ出しちまうよ、断言する!!」

情けないが事実だ。

京太郎「全国に行けるかどうかも分からない。行ったって友達に会える保証なんてない」

京太郎「それでも行ける、会えるって信じて努力してる奴を、どうやって軽蔑しろって言うんだよ!!」

憧「ぅ……ぁぅ……」タジタジ

燃えていた。

滾っていた。

迸っていた。

目の前の美少女が、もはや女神のように見えていた。

彼女の為に。

みんなの為に。

何かしてあげたい、力になりたい。

無性にそう感じた。


京太郎「なあ、俺に出来ることってないか!?」

憧「は、はぁ?」

京太郎「なんでもいいから! ほら、言ってみ?」

憧「………………じゃ、手、離して」

京太郎「やだよ」

憧「なんでよぅ!?」グスッ

なんか半泣きだ。

まったく男嫌いもほどほどに――

京太郎「――そうだ!!!」クワァッ

憧「」ビクーンッ

京太郎「男嫌いを治そう! 本気で!!」

憧「ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」

新子さんは今日一番の嫌な顔をした。


憧「い、今だってやってるじゃない」

京太郎「俺が本気じゃなかったんだよ! ぶっちゃけ監督に言われるがまま、なあなあでやってた!」

京太郎「でも、もう受け身は卒業だ。これからはガンガン! 積極的に! 全力で協力させてもらう!!」

京太郎「そう! 何を隠そう――俺は特訓(をする方)の達人だぁああああああああああ!!!」ゴッッッ

憧「ッ~~~……あーもーうるさい! それと近い! さっきからなんなのよそのハイテンションは!?」

京太郎「なんなのって言われてもなぁ。俺もアテられちまったんだよ、お前らの夢に」

憧「ちょ、お前呼ばわりって……」カチン

京太郎「あ、悪い」

勢い余って失礼をば。

ちゃんと呼ばないとな――ちゃんと?

京太郎「……新子さん」

憧「な、なによ」

呼ぶ――違う。

京太郎「新子」

憧「!?」

呼ぶ――違う!

ちゃんと呼ぶなら――こうだ!!





          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
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.    /:.:.:.:.:.:.:.::′ ::|:.:.|\圦                       / j/l/.:.:′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.∧
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憧「ふきゅっ!!?」


うむ。これだ。

しっくり来た。

だが新子さん――もとい憧はそうでもないらしく、

憧「な、ななな、なん、名前、なんで、なんで……?」パクパク

京太郎「いやぁ、やっぱり呼ぶなら名前だよなと思って」

咲。穏乃。そして憧。

仲良くなった同学年の女子を苗字でさん付けとか、俺のキャラじゃなかったんだよ。

やっと喉に引っかかっていた小骨が取れた。そんな気分だ。

あるいは新しいパンツをは履いたばかりの正月元旦の朝のような。

京太郎「というわけで、改めてよろしくな、憧!」ニッ

憧「~~~~~っ!?」

声にならない悲鳴が上がった。

目をグルグルと回した憧が思い切り後ずさろうとする。

しかし手は俺がしっかりと掴んでいた。

ので、



憧「あっ」ツルッ

京太郎「おっ」グラッ



 お 待 た せ 。


憧「きゃっ!?」ドテッ

京太郎「うおっ!?」ドサッ

滑った。

転んだ。

押し倒した。

憧「ったぁ……、」ピタッ

瞑っていた目を開き、憧が現状を認識する。

畳の上に仰向けに倒れた自分。

ばさりと広がる髪。

それぞれ俺に押さえつけられている両手。

トドメは何らかの力によってめくれあがったTシャツから覗く、小さなおへそ。

京ッピー知ってるよ。こういうの、数え役満って言うこと。


しかし、

やはり今日という日は特別らしかった。

憧「あ、わ、ゎわ」

様子がおかしい。

憧「あわわあわわ、あわわあわわ」

いつもなら罵声なり鉄拳なりが飛んでくるタイミングだというのに、あわわあわわするばかりの憧。

その顔は茹で蛸のように真っ赤だ。

京太郎「――」

よくない。

これはよくない。

ここでしおらしくなられてしまっては、俺も収まりがつかない。

普段ならリセットされていたテンションが限界を突破しつつあるのを感じる。

やばい、テンパる。

憧「な、ゃ、なに、こんな、なんで、なにをっ、」アワワアワワ

京太郎「あ、あのっ、憧――」

憧「ふきゅっ!? ま、また! また憧って!」

京太郎「ちょ、落ち着け憧、頼む、マジで!」

憧「あ! あぁああ! あた、あたしっ、あたし――!」


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  ;           \乂_|  |八 rヘしi::::}     \   rヘしi::::} オ |  . .|: . i           ;   「あたし処女ですからっ!!!」
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「「…………………………………………………………………………………………あ」」


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……
…………
………………

京太郎「じゃあ、気をつけて帰るんだぞ」

憧「……ウン」

京太郎「本当に一人で平気か? 送って行こうか?」

憧「……ダイジョウブ」

京太郎「そっか。傘は学校で返してくれればいいから」

憧「……ウン。アリガトウ」

京太郎「………………本当の本当に一人で平気か?」

憧「……ロンオブモチ」

京太郎「ならいいけど……じゃ、また明日な、憧」

憧「っ!」ビクッ

だだだーっ、と。

小降りになった雨の中を憧が走って行く。

俺はその背中を眺めていた。

正確には、後ろからでもハッキリ見える、赤く染まった耳を。


                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
        ∠/       /      、 、  丶  i
        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ   「……やらかしたなぁ、お互い」

        // l i `i           _/,、/

        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |

                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
      , -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、   ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
      ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i     `    ̄    /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
    /:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:!   ヽ  /   /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ

     !:.:.:.:.ヽ:.{:.:.l:.:.:.:.:l.     i     /:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.i

※ヤってないです
てことで今日の分は終了
帰ってきた僕らの京ちゃんに、そして預言者>>551に盛大な拍手をお送りください


そこはやるとこだろおおおおおおおおおおおお京太郎おおおおおおおおおおおお

過程はともかく、付き合って「から」どうなるかは未だ悩みどころ

さて始めます
今日は短いよ(速いとは言っていない)




……
…………
………………

~憧の部屋~

ガチャッ

憧「た、ただいまー……」フラフラ

ボフン

憧「はあ……やっと帰ってこれた……」

ゴロン

憧「今日は散々だったなぁ……」

憧「須賀くんに怒られたり……」

憧「雨に降られたり……」

憧「須賀くんに、ぶ、ブラが透けてるのを見られたり……」

憧「す、須賀くんに押し倒された、り……」

憧「須賀くんに……しょ、処っ、バレ、言っ、すが、きゅっ、ふ、~~~~~っ!!」カァァァッ



憧「っあ゛ーーーーーーーーーー!/// もうマジなに言っちゃってんのよあたしはぁぁぁぁぁっ!!///」ゴロンゴロンゴロンゴロン


憧「だいたい須賀くんも須賀くんよ!」ピタッ

憧「あんなにグイグイ迫ってきたら動揺もするっての!」

憧「こっちの気持ちなんてお構いなしなんだから!」

憧「その上どれだけ突き放しても諦めないし」

憧「たまーーーーーにまともなことも言うし」

憧「もう、本当にお節介で……」

憧「……本当に、変なヤツ……」

憧「……」

憧「」ブルルッ

憧「そうだ、早くシャワー浴びなきゃ!」ガバッ

憧「濡れて生乾きの服なんて着てたら風邪ひいちゃうわ」モゾモゾ

憧「ブレザーもシャツも洗濯よね……しずじゃないけど、明日の部活はジャージで出なきゃかなー」プチプチ

憧「よ、っと」ヌギヌギ

バサッ

憧「あ」

憧「そういえばこのTシャツ、須賀くんのだっけ……」


憧「……これ、どうしよ」

憧「洗濯して返したいから着たまま帰って来ちゃったけど……」

憧「冷静に考えたら洗濯物に紛れ込ませるのって無理じゃない……?」

憧「バレるよね、絶対バレるよね」カタカタ

憧「けど洗わず返すのも女子として、いや人として流石に……」

憧「やっぱり洗濯機に放り込……んでも干す時に見つかるし……」

憧「やっぱりやっぱりそのまま返……したら匂いとか気になるし……」

憧「……」

憧「……匂い……」

憧「」キョロ

憧「」キョロキョロ

憧「……」





憧「すんすん」

憧「んー……」

憧「あたしの匂いしかしない……かな?」





憧「Σ」ハッ

憧「だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……///」ゴロンゴロンゴロンゴロンゴロンゴロンゴロンゴロン

【TO BE CONTINUED...】

なんで3レスで2時間かかるんですかね(正論)

ともあれ、これにて【雨宿り編】前後編ともにつつがなく終了しました
なのでシリアスとは当分おさらばです。やったね
ついでに明日はお休みますです。やったね

ラストの憧ちゃん、着てるTシャツを引っ張って嗅いだのか、脱いで下着姿になってから嗅いだのか、どっちが興奮するだろうね

【おまけ】なんちゃってステータス【ちょっと久々】

            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi       須賀京太郎(15)
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`         称号:童貞
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'                  憧への印象:かわいい→かわいいパンツ→かわいい→かわいい→仲良くなりたい→暴力ハンタイ!→せめて友達になりたい→手がすべすべだった(小学生並の感想)→いい匂いがした
      / ::::::|::    !;-!                           →憧ー!俺だー!特訓するぞー!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"

                -‐…‐-
            /: ∪: : : : : : : : : : :`丶、

           /.: : :/: : : :|: : : : : : \: : :ヽ-
           ,:': //: / :|:|: : : |'、: : : :\: :∨ Y\\
           i|: //: /  |:|: : : |: \: ノ :||: :|/ |: |:|\\
           i| i∧:{`ー\: : |  ̄\: ||: :| : |:.:|:|  ヽ:ヽ   新子憧(15)
         八|l: : l 〃ヽ \l 〃ヽ ヽ|: :|: :′|:|   ',: :
         |:| |l\| {{ }}     {{ }}  |: :|/: : :|:|   i: i    称号:処女
         |:| || .′ー' ///// ー'   |: :l: : : :l|   |: |
         |:| |l {   __,/⌒\ u |: :|: : :||   |: |     京太郎への印象:こわい→やばい→パンツ見られたパンツ見られたパンツ見られた→殺→仲良くなれるか不安→くたばれヘンタイ!→依然として警戒→手が大きかった(小学生並の感想)→不思議な匂い……
         |:| || 人 レ        \ |: :|: : : |: :   |: |                →見られた、知られた、叱られた
         |:| |l / : `|/        \:!: : :.|: ∧   |: |
         |:| ||'/ : |/ , <       \:ノ: : ∧ ,: :′
         |:|/{: : : :/ゝイ ∨\      \\: :∨:/
          |/: : : /  イ {,∠‘,         \',:|:|
       //: : /  {⌒YY´   人        \|:|
.     /  ′:/   /l_/Т\_i: : :\         ̄ヽ
     /    |: : |{/   \/|/|_ | : : : ∧          |
.    /   八: :|′    o    八: : : { \        |
  _/_彡   ヽ{           \: :\ |:\       /
 /       人                ̄ |: : :l>―┬
./       /  }     o         |: : :l : : :

   /`´    ヽ
    | lミ(ノノハヽ) 高鴨穏乃(15)
   ( ヽ(l|゚ ヮ゚ノl   京太郎への印象:第一声が「ゴォォォーーーーール」の人→仲良くなれそう!→また撫でて欲しいな→憧をよろしくね!→なんか落ち着く匂い
   `` (|_iホi_|)

        '-+-'
      しU

       _
    '´    ヽ
    l iイノリlヽ)  松実玄(16)
    |。(l|゚ ヮ゚ノl    京太郎への印象:第一声が「ゴォォォーーーーール」の人→仲良くしようね!→是非おもち談義を……→憧ちゃんをよろしくなのです!
    | l(|_i茆)|)
   ((、<_i_i_> )
     けiヲ

        _
     '´    ヽ
    l i liノリlヽ) 松実宥(17)
    | |(l|゚ -゚ノ|l   京太郎への印象:第一声が「ゴォォォーーーーール」の人→あったかーい?→あったか~い→憧ちゃんをあったかくしてあげてね
    '´/(|_i茆)|)`,
   Qノ/ i iヽQ

   ゙゙ '‐l::i::l‐' ゙゙

       _
      '´    ヽ
     l liノLハ)l 鷺森灼(16)
     |_(||゚ -゚ノ_|  京太郎への印象:第一声が「ゴォォォーーーーール」の人
     ⊂i↑iう

        <_i_i_>
        し'ノ

おはwiki更新
カレンダーから前後編まとめて、下のタイトルから別々に読めるようになってます
しかしカレンダー見ると21~25の空きが寂しいな……仕方ないけど

自分達外野が騒ぐのは>>1が臭いからとかいう言い訳

>>1が臭かったら自分も騒いでいいって勘違いしてるんじゃねーの?

どうどう

http://i.imgur.com/Ea53CkL.jpg

憧ちゃんはのどっちにコンプレックス抱きまくり可愛い
しかし松実姉妹といい竜怜といいトップレス芸はどうかと
どうせならてるてるとあわあわも剥k

もしかしたら今日も投下できないかもしれないということをお知らせしておきます
すまんね

          . :´ . : . : . : .`: .

        /: . : . : . : . : . : . :\
       /: . : . : . : . : . : . :ヽ: . \
      /: . : . : . : . : . : . : . :‘。: . ノ:。
     .′ : . : / : . : . : . :ト : . :‘./-‐゚。
     |__: . : . : .i: .|: . : . : .|: . : . : .| ゚,:}ヽ/:.‘。 :  ぃ
   /:.┼{ ―--..|:._|__ : //八: . : . :| 匕 }: . }: ゚: . }リ
 /: イ: .|∧ ミ . : |: .|: //フ7¬ }: . /| ィi爪㍉}:.:|:ハ /     おまたせ!

/: ./ | : |: ∧\ : |: .|厶斗=ミ /イ 丿 |:il刈  :.:l/}/ 
 :./  : ..|: . ∧ . : |: .|斤:i:i:(_,      弋''ツ  |: |: .i  ( \    -‐ 、
: /  | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈             |: |: .|   ヽ у´   ___}_
/    : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″     `  :':':':゚|: |: .|   │ r  ̄     }
    |: . 。: . : . :∧ い  ゚:':':':     -┐   }: |i:∧    |    ――‐{
    | : ..。 . : . : ∧、vハ      ゝ __ ノ  / : |i: .‘    |       ー―{
   /: . : ゚: . : . : . ∧:vハ`   ..,,      /   } |i: . :;  ′     -- ′
.  /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__     ̄{ ̄: .|   }/}: . :.。 /\    }、
  ′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{   / l: . : ∨/ / \  /:.入
 /: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \   |{x=xハ    乂: .:// / / / `¨¨´:.:}


穏乃「やっぱり伊藤さんのお尻の方が引き締まってるよ! ゼロノスとか最高じゃん!」

京太郎「いーや、俺はなんと言っても富永さんを推すね! だって俺クウガだし!」

穏乃「京太郎はクウガじゃないでしょ!?」

京太郎「シュッ」シュッ

穏乃「誤魔化されないよ!?」

玄「二人ともなんの話してるの? おもちの話だったら私も混ぜてほしいなー」トテトテ

「「違いますよ」」

玄「そっかぁ……(´・ω・`)」トボトボ

あからさまにガッカリして立ち去る玄さん。

そのまま宥さんに抱きついて慰めてもらっていた。羨ましい。

鷺森部長はボウリングの球を磨いている。

土曜の朝、部活前の平和な一時だ。

穏乃「それにしても憧のやつ遅いなー」

京太郎「そーだなー」

寝坊でもしてるんだろうか。


ガラッ

レジェンド「よーおはよー」

ありゃ、レジェンドが先に来てしまった。

灼「おハルちゃん」

なんだその挨拶。

京太郎「監督、おはようございます」

穏乃「おっはようございまーす!」

玄「おはようございます、赤土さんっ」

宥「おはようございまぁす」

レジェンド「はいおはよう。みんな揃ってる?」

穏乃「あ、実は憧がまだ……」

レジェンド「あー。憧なら今日は風邪で休みだよ」

穏乃「えっ!?」

京太郎「カゼェ!?」


玄「大丈夫なんですか?」

レジェンド「どうだろ。かなり熱が出てるんだって」

宥「それはあったか……心配ですねぇ」

ちょっと宥さん今。

いやそうじゃなくて。

憧が、風邪。

穏乃「でもなんか急だよね、昨日の昼休みまではピンピンしてたのに」

レジェンド「うーん、雨に降られでもしたんかな。早く帰れって言ったんだけど」

帰ってないんだな、それが。

とは言えないのでここは黙って様子見に徹



灼「でも須賀くんも一緒に帰ってたよね」

コポォ。


穏乃「あ、そうなんだ?」

玄「昨日は短い間にたくさん降ったよね。帰るタイミングと被っちゃった?」

京太郎「え、えーーーーーーーーーーっと……どうだったかなー、そういえばちょうど降っ」

灼「まだ降ってなかったよね。まっすぐ家に帰る余裕ぐらいあったと思」

フォカヌポゥ。

レジェンド「確かに私のメールからすぐ帰ったなら間に合うはずだね」ウム

宥「じゃあ、どうして憧ちゃんは風邪を……?」

まずい。

このままでは昨日の出来事がバレてしまうかもしれない。

俺が舵取りをしなくては。

京太郎「も、もしかしたら雨は関係ないんじゃないっすか? ほら、腹を出して寝てたとか」

穏乃「あ、それありえるかも! 意外とだらしないからなー憧って」

脈アリか!

よし、全力でこの話題に乗っかろう。


京太郎「えーマジでかー、冗談のつもりだったんだけどなー(棒)」

穏乃「寝相が悪いんだよ。子供の頃とかよく蹴っ飛ばされたっけなぁ」

京太郎「へー(棒)。まったくしょうがないなぁ憧は」

穏乃「ほんとほんと。ま、私の方がもっと寝相悪くて倍返しにしてたんだけどね!」

「「HAHAHAHAHA!」」



穏乃「……んっ?」

玄「んん?」

宥「ん……?」

灼「ん」

レジェンド「ん?」

京太郎「?」



「「「「「………………憧?」」」」」



アッ。


  ざわ...
           ざわ...
     ざわ...

穏乃「京太郎、今、名前で……?」

玄「名前で呼んだよね……」

宥「いつの間に……」

灼「抜け目な……」

どよめきが広がる。

まずい。

まずいまずいまずい。

なにがまずいって、



レジェンド「……へェ~~~~~」ニヤニヤ



趣味の悪いニヤけ面を隠そうともしないレジェンドがまずい。

色んな意味で。


レジェンド「へェ~。須賀くんへェ~」

京太郎「な、なんすか監督」

勇気を出して自分から拾いに行く。

レジェンド「なーんでもないっ☆」

イラッ☆☆☆

レジェンド「でも……うん……そっかぁ……ふんふむ……」ブツブツ

灼「ハルちゃん?」

何か唱えるように呟くレジェンド。

かと思えば、またいつもの、無駄な自信に満ちた表情に戻っていた。

そして――





                 --……--
         r―‐⌒ヾ : : : : : : : : : : : : : : : \
         |∨: : : : : \ : : : : : : : : : : : : : : : \
         |/゚:。 : : : : : : \.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : .

         /: : : \:.:.:.:. : : : :\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : 。
          //: :/ : : \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.o。:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :i: ゚
.         /イ /: :.:.:.イ:.:. ー┬---:.:.:.:__:.`:.:.o。:.:.:.:.:.|.:..。
       i{ | ′:.:.'{_|_:.:.:.:| リV:.:.:.:.:.:.:}:.>匕、: :\j--i

        || |/: :.:.:∧}リ≫┘o。v――'’xr示=ミト、:.:.\}、
        リ {: :.:.:.:.|!:‘, ィ芹≧ュ    ’|イi//| 》、:。:.:.:.ぃ、    「お見舞いに行こう!」
           |:.:.:.:.:.「`ヽ《乂_゚ツ        ゞ= '゚ :リ/リ゚。:.:.ト、i
           |:.:.:.:.小   , ,    '    , ,  : /:.:.:.∧:.} リ
           l.:.:.:.:.:| }ゝ-!            jハ:.:.:.:j/}:.|
          :。.:.:.:{ {:j:八    -==ァ     イ }/ j:ノ
            ゚:。.リ  \{≧ュ。.    ィ:jソ  ″ /
           ゞ    イニ}  ` ´  {ニヽ

              ィニ//      ゝ|ニ\_

        ┬==≦ニ/ニ7____    __,.|ニニムニニニニニlヽ
       /ニ|ニニニ/ニニニ|`-―――‐一´|ニニニムニニニニ|ニム
.      /ニニ:|ニ7ニニニニニ|          |ニニニニ}ニニニ=|ニム


とか言い放った。

って、

京太郎「お見舞いィ!?」

思わず叫ぶ。

それは何よりまずいパターンだ。

風邪で弱った憧から根掘り葉掘り聴き出されてしまう。

穏乃「いいね! 行こうお見舞い!」ムンッ

玄「うんっ、みんなで励ましてあげよう!」フンス

宥「それはあったかそう」ホッコリ

灼「マスクしてこ……」スチャッ

京太郎「あわわあわわ」

やばい、もう止められない流れっぽい。

見ればレジェンドは、計算通りと言わんばかりの笑みを浮かべている。

そして俺を挑発するような視線を投げて寄越して、



レジェンド「それじゃあ早速、みんなでお見舞いにしゅっぱーつ!」

「「「「おーっ!」」」」









ガラッ

担任「赤土先生! 探しましたよ!」

レジェンド「ひょ?」


あれ、うちの先生だ。

麻雀部の部室で顔を拝むことになるとは。

レジェンド「どうかされました?」

担任「どうもこうも、これから職員会議ですよ!」

レジェンド「ヴぇ!?」

レジェンドが豆鉄砲を食ったような顔をするレジェンド。

レジェンド「………………そうでしたっけ」

担任「やっぱり忘れてらしたんですね……さ、早く行きましょう」ガシッ

レジェンド「い、行かなきゃダメですか?」

担任「当たり前ですっ。ほら早く早く」グイグイ

レジェンド「で、でも、お見舞いが、面白イベントの予感がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」ズルズル

担任「お邪魔しましたー」

ばたむ。

閉まる扉。

残された俺達。

広がる沈黙。

京太郎「………………えーっと」

最大の不穏分子は連行されたし、



京太郎「それじゃ、お見舞い、行くぞー」オー

「「「「おー」」」」

というわけで【風邪-Kaze- 憧編 episode of side-A】、ひとまず区切りです
後半NEMUKEに負けっ放しで不甲斐ないっす

ちなみに>>632で登場した ◇ は視点変更のマークです
京ちゃん以外の誰か、または三人称視点に切り替わります
 ◆ で京ちゃん視点に戻ります。これ豆な

しからば

エンチャンターとか懐かしい
メルクーリオ(人間側)が好きだった

部員全員(顧問含む)にラッキースケベすればいいんじゃないですかね

レジェンゴは髪型以外は良い女だよ
あの変な髪形以外は

「すみません遅レジェンド」で大体なんとかなる
ではレジェンドのいない本編を再開しましょう


~校外~

テクテクテク...

穏乃「で、いつの間に京太郎は憧のこと名前で呼ぶようになったの?」

京太郎「え」ギクッ

やはり追求は免れないか。

それでも鼻の効くレジェンドがいない分マシだ。

ここは無難に華麗に店仕舞いさせてもらおう。

京太郎「き、昨日からだよ。帰り道でな」

穏乃「へー、また急だね」

京太郎「そうでもないぜ? ほら、前に部員みんなと仲良くしたいっつったろ、その一環だよ」

穏乃「あ、なるほど。それなら納得かも」

京太郎「鷺森部長以外だと一人だけ苗字で呼んでたからさ、このままじゃイカンと名前呼びに踏み切った次第であります」

穏乃「うんうん、呼び方って大事だよね! いい考えだと思うよ!」

京太郎「ハハハハハハ」

……嘘は言ってないよな?

それでも満面の笑顔の穏乃を見てると良心がチクチク痛む、小心者の俺である。


ええい、もう別の話題に移行させてしまえ。

京太郎「そう言えばさ、憧から聞いたぜ」

穏乃「何を?」

京太郎「みんなが全国を目指す理由だよ。友達と会う為なんだってな」

穏乃「えっ!?」

京太郎「えっ?」

「意外!」みたいなリアクションをされた。

何故だろう。

穏乃「………………言ってなかったっけ?」

お前もかい。

京太郎「いいけどさ、別にいいけどさ……」ドヨーン

穏乃「わーごめんごめん! すっかり話したつもりになってた!」

慌てて弁明する穏乃だが、その言い方では気休めにもならない。

俺って実は影が薄いのかとか、そんな不安を覚えてしまう。


穏乃「あ、でもね、和と遊ぶのも確かに大事な目標なんだけど」

京太郎「なんだけど?」

灼「それだけじゃないよ」

京太郎「鷺森部長?」

後ろを歩いていた鷺森部長が会話に参加してくる。

その目は静かに、しかし確かに燃えていた。

灼「少なくとも私は、ハルちゃんの為にインターハイを目指してるから」

京太郎「監督の為……?」

灼「ん」コクリ

どういうこっちゃ。俺は首を傾げる。

穏乃「えっと、赤土先生が十年前のインハイ準決勝で負けたこと……は、知ってる?」

京太郎「ああ。憧から聞いた」

同じようなやり取りを昨日もしたな。

本当に地元では有名な話なんだろう。


灼「ハルちゃんはその時、その舞台に大切なものを置いてきてしまったんだって」

灼「それを取り戻さなくちゃ前に進めないんだって、そう言った」

灼「だから私が取り戻す。もう一度ハルちゃんをインターハイに連れて行く」

灼「以上」

京太郎「………………鷺森部長がそんなに喋ってるの、はじめて見ました」

灼「ハルちゃんについてなら今から正月元旦の朝までだって語れる」

京太郎「すげぇ!?」

灼「鍛えてますから」シュッ

言うだけ言ってスッキリしたのか、いつもの無表情に戻った鷺森部長。

歩を速めて前を行く松実姉妹に合流していった。

穏乃「とまあそんなわけで、私達も赤土先生にはお世話になってるし、一緒にインハイを目指そうって約束したんだ」

京太郎「お前かなり楽したな」

穏乃「うぇひひ」

変な笑い方で誤魔化された。

京太郎「……けど、そういうのってなんかいいな」

穏乃「でしょ? 京太郎もそう思う?」

京太郎「ああ、思う」

憧も、穏乃も。

鷺森部長も。

きっと松実姉妹も。

みんながみんな大切なものの為に頑張っている。

そういうのって、なんかいい。

羨ましいと思った。


~神社~

穏乃「着いたー!」

玄「着いたねー」

穏乃と玄さんが鳥居をくぐって境内に入る。

それに宥さんと鷺森先輩が続き、最後に俺が足を踏み入れた。

が、

京太郎「あのー、ちょっといいすか」

玄「はい?」

京太郎「ここ神社ですよね」

玄「ですのだ」

京太郎「………………見舞いの前に快復祈願?」

玄「えっ」

宥「えっ」

灼「えっ」

京太郎「えっ?」



穏乃「なに言ってんの京太郎、ここが憧んちだよ?」



京太郎「えっ!!?」


灼「何その反応」

京太郎「え、いやだって、ここ、憧んち、って、えっ……アイエエエエエエ!? ジンジャ!!? ジンジャナンデ!?」

玄「す、須賀くん落ち着いて!」

京太郎「これが落ち着いていられますか!」

穏乃「ていうか京太郎、なんで今まで知らなかったの? 帰り道一緒だよね?」

京太郎「むしろ俺んちの方がもう少し先にあるよ!」

宥「じゃ、じゃあどうして……?」

京太郎「だって、いつも憧は更に先まで行ってたから……」

穏乃「それって……」

玄「もしかして……」

宥「あぅぅ……」



灼「自宅を特定されるのを避けてたんじゃ」ズバァッ



京太郎「」


俺はその場にくずおれた。

境内の砂利が足に食い込んで痛い。

でも心はもっと痛い。

ボロボロに引き裂かれたように。

粉々に砕け散ったように。

痛くて痛くて、

京太郎「泣いてしまいそうだ……」ドバァ

穏乃「わーっ!? 泣いてる、泣いてるよ京太郎!」

京太郎「は? 泣いてねーし、男の子は泣かねーし」ボロボロボロボロボロボロ

玄「ど、どう見ても泣いてるよぉ! お願いだから泣き止んで須賀くん!」

京太郎「だから泣いてませんってば……あ、誰かティッシュください。あと愛も」プルプル

宥「てぃ、ティッシュどうぞ」スッ

京太郎「ありがとうございます。じゃあ誰か愛を……」カタカタ

灼「うちのボウリング場のサービス券ならあるけど」ピラッ

京太郎「もうそれでいいよぉ!!」

俺は泣いた。


で、

俺は泣き止んだ。

たっぷり十分かかった。

玄「で、では! 改めて憧ちゃんのお見舞いに参りましょう!」

穏乃「おーっ!」

並びは神社に入った時と同じく穏乃&玄さん、宥さん&鷺森部長、そして俺の順だ。

玄「さっき望さんにメールしたら、ちょっと留守にしてるけど鍵は開いてるから入っていいって」

京太郎「ノゾミサン?」

宥「憧ちゃんのお姉ちゃんだよ」

灼「ハルちゃんの昔のチームメイト」

京太郎「あー、例の」

憧が言ってた人か。

穏乃「それじゃあ憧の部屋まで出発進行ー!」

「「「「お邪魔しまーす」」」」




~憧の部屋~

憧「はぁ……はぁ……」

憧「あ゛ー……きっつぅ……」

憧「頭がボーっとする……」

憧「けど寝過ぎて眠れないし……」

憧「今何時なんだろ……時計見るのもダルい……」

コンコン

憧「ん……?」

穏乃「憧ー! 生きてるー?」

憧「しず……?」

玄「穏乃ちゃん、そこは「起きてる?」って訊くところだよっ」

憧「玄の声もする……」


憧「もしかしてお見舞いに来てくれたのかな……」

憧「……もう、感染っても知らないんだから」フニャ

穏乃「憧ー? あーこー?」コンコンコンコン

憧「はーい……入ってー……」

ガチャ

穏乃「おお、生きてた!」ゾロゾロ

憧「死んでたらどうするのよ……」

玄「お邪魔しますっ。憧ちゃん大丈夫?」ゾロゾロ

憧「大丈夫に見える……?」

宥「わ……あったかそうなお布団」ゾロゾロ

憧「暑いくらいよ……てか熱い……」

灼「完全に病人だね」ゾロゾロ

憧「完全に病人なんですー……」





京太郎「へそ丸出しで寝て風邪をひいた子がいると聞いて」ゾロゾロ

憧「そんな子いないわよ……」





憧「ゴッホゴッホゲホッゲホゲホゴホンゴフンゴヘッガッファア!!?」

穏乃「憧ー!?」

ほい区切り
果たして900までに現行エピを終えることが出来るのか!?
いや出来るだろうけど。なるべくテキパキ進めないとな

おおう、グダグダしてたらこんな時間
始めましょうかね




初めて訪れた憧の部屋は、まさしく「女の子の部屋」のお手本のようだった。

俺が知る、時として足の踏み場もないほど本が散乱しているどこぞの誰かさんの部屋とは比べ物にならない女子力を感じる。

そんな部屋の主は今、ベッドの上で盛大にむせているところだ。

京太郎「おいおい、思ったより重症だな」

憧「ち、が……っゲホ! これは、誰、のっ、ごほ、せいだと……っ!」

玄「無理して喋っちゃダメなのです!」サスサス

本気で苦しそうなので大人しく待つ。

ごほごほと咳き込む姿が痛ましかった。

憧「ッ……、………………ん。ありがと玄、もう平気」

一分も経たない内に落ち着きを取り戻した憧が、改めて俺に視線を向ける。


憧「なんで須賀くんがここにいるのよ!?」

京太郎「なんでって、心配だから見舞いに来たんだよ」

憧「だったら事前に連絡しなさいよ! 男子が女子の家にアポなしで来る普通!?」

京太郎「わっかんねー、普通がわかんねー」

伊達に万年モテてないわけじゃない。

それに昨日はアポなしで女子が男子の家に来たし。

憧「ていうか今あたしパジャマじゃん、すっぴんじゃん!? ああもう……く、玄! ちょっと髪梳いて!」

玄「う、うんっ」ワタワタ

指名を受けた玄さんが慌てて櫛を取り出し、憧の髪に通し始める。

京太郎「どうぞお構いなくー」

憧「あたしが気にするの! いいから出てってよエッチ!」

京太郎「え、後ろ向くだけじゃダメか?」

玄「ごめんね須賀くん、すぐ終わるから」

ぬぅ、先輩に言われちゃ仕方ない。

渋々部屋の外に出ることにした。

ぐぬぬ、なんかコレジャナイ感……
相変わらず眠いし、申し訳ないけど今日は中断させてください
多分>>825-826も書き直すと思う

ていうか今スレは書き直し多過ぎるな……
次スレではなるべく減らしたいです


クロチャー可愛い

注意されたらピタッと黙るお前ら好き
今日こそ頑張ろう、朝までかかってでも終わらせるぐらいの気持ちで
>>798の続きから始まります




初めて訪れた憧の部屋は、まさしく「女の子の部屋」のお手本のようだった。

俺が知る、時として足の踏み場もないほど本が散乱しているどこぞの誰かさんの部屋とは比べ物にならない女子力を感じる。

そんな部屋の主は今、ベッドの上で盛大にむせているところだ。

京太郎「おいおい、思ってたより重症だな」

憧「ち、が……っゲホ! 誰のっ、ごほ、せいだと……っ!」

穏乃「無理して喋っちゃダメだよ憧!」サスサス

本気で苦しそうなので大人しく待つ。

背中を丸めて咳き込む姿が痛ましかった。

憧「ん……ありがとしず、もう平気」

やがて落ち着きを取り戻した憧が、改めて俺に視線を向ける。

憧「………………なんで須賀くんがここにいるのよ?」


京太郎「なんでって、そりゃ見舞いだよ」

憧「だったら事前に連絡してよ……男子が女子の部屋にアポなしで来る、普通……?」

京太郎「わっかんねー、普通がわかんねー」

伊達にモテないわけじゃない。

とは言え恐らく、この場でそういう感覚を持ち合わせているのは憧ぐらいだと思う。

松実姉妹でギリギリ、穏乃は論外。

鷺森部長は空を飛び、デビルビームは熱光線。

憧「っていうか! 今あたしパジャマじゃん、すっぴんじゃん!?」

京太郎「そりゃそうだ」

一々めかしこんで臥せる病人はいない。

ベッドに横たわる憧をじっと観察する。

いつものツーサイドアップを解いてボサボサの髪。

ほんのり紅潮した頬、しっとり汗ばんだ肌。

寝乱れた薄ピンクのパジャマが非常に眼福です、はい。


憧「ちょ、こっち見ないでよ!」

京太郎「え? 見てないよ」<○><○>

憧「いやバレバレだから!? ああもうっ……く、玄! ちょっと髪梳いて!」

玄「わわ、うんっ」

指名を受けた玄さんが慌ててバッグから櫛を取り出す。

玄「じゃあ起こすよ? 大丈夫?」

憧「これくらいなら……ん、っしょ……」ムクッ

京太郎「無理しなくていいのに。俺は気にしないぞ?」

憧「あたしが気にするの! いいから出てってよエッチ!」

京太郎「えー」

憧「出・て・け!」ギロッ

玄「ごめんね須賀くん、すぐ終わるから」

ぬぅ、先輩に言われちゃ仕方ない。

渋々部屋の外で、床とか壁とか天井とかを見て過ごすことにした。

木目の一部が女体に見えてちょっと興奮した。


五分ほど待って――

ガチャッ

玄「お待たせしました、どうぞお入りくださいっ」

とのことなので、遠慮無く再入室する。

京太郎「お邪魔しまーす」

バタン

五分ぶりに足を踏み入れた憧の部屋は、やはり女子力が充満したパワースポットだった。

ていうか女子(物理)が充満してるんだけどな。

そして部屋の主は今、布団を口元まで引き寄せて俺を恨めしげに睨んでいる。

京太郎「……なにか?」

憧「……なんでもない」プイッ

そっぽ向かれた。

わけがわからないよ。

五分前よりサラサラになった憧の後頭部は何も教えてくれない。


京太郎「まあ、割と元気そうで良かったよ」

憧「……元気じゃないわよ。起きたばっかりの時なんて熱が39度あったんだから」

京太郎「マジでか。今は?」

憧「あー、そういえばそろそろ測んなきゃ……」

京太郎「マジでか! よーし俺が体温計をパジャマの中に」

憧「しずー目隠しー」

穏乃「はいよっ!」ガバッ

京太郎「オアアアーッ! み、見えないィーッ!!」

なんてこった、穏乃に飛びつかれて視界を塞がれた!

しかも背中になんら柔らかさを感じない! ダブルショック!!

憧「あ、ちょっと下がってる」

宥「良かったねぇ憧ちゃん」ヨシヨシ

どうにか穏乃を引っぺがした時には、憧は熱を測り終えてしまっていた。

その傍にはいつの間にか宥さんが腰掛けていた。

……傍っていうか、ほとんど密着している。

憧「宥姉、暑苦しい」

宥「ふぇぇ」


灼「確かにあんまり熱くないね」ペトッ

憧「あー……名前の割に灼さんの手つめたーい……」

灼「ロボットだから、マシーンだから」

ダダッダー。

グレート鷺森部長が憧の額に手を当てて、今度は宥さんが玄さんに慰めてもらっている。

俺と穏乃は二人でじゃれてる間にベッド周辺を占領された形になる。

ので、

穏乃「家宅捜索しよう!」クワッ

暇を持て余した穏乃が遊びに走るのも必然と言えよう。

憧「ちょっ、あんたお見舞いに来たんじゃないの!?」

穏乃「そうだけど、でも憧元気そうだし」

憧「だから元気じゃないっての!」

穏乃「じゃあ尚更じっとしてなきゃダメだろー?」フフン

憧「ぐっ、ああ言えばこう言う……!」


身動きが取れない憧が何を言っても効果はなく、意気揚々と戸棚に頭を突っ込む穏乃。

……尻! 危ない、尻!!

憧「言っとくけど、下着漁ったら殴るからね……!」

穏乃「はーいはい。クローゼット開けて右から二番目、上から三番目のボックスでしょ? 分かってるって」

憧「ちょ、声に出すなー!」

京太郎「……」メモメモ

憧「そっちも黙ってメモるなぁ!!」

ジョークでんがな(ゲス顔)。

穏乃「ふんふ~ん♪」フリフリ

鼻歌交じりに尻を振り(アブナイ!)、何かを探している穏乃。

その周りには化粧品やら化粧道具やらが放り出されている。

穏乃「んんん………………あった!」

そして遂に目当ての物を見つけたらしい。

それは、

穏乃「じゃんっ! アルバム~!」


京太郎「おお」

憧「ぅげっ!」

玄「わぁー」

三者三様にリアクション。

ちなみに残りの二人は、

灼「ロボットだから、マシーンだから」ペタペタ

宥「灼ちゃんやめてぇぇぇ」ブルブル

戯れていた。

憧「なんでそんなもん引っ張り出してくるのよ……」

穏乃「いやー、憧んちのアルバムが一番綺麗にまとまってるからさ。久しぶりに見たくなっちゃって」

玄「あ、それ分かるかも。憧ちゃんマメだもんねぇ」

憧「だからって……」チラッ

視線。

どうにも俺に見られたくなさげ。

憧「ね、ねぇしず? 暇ならもっと別の――」

穏乃「ほら京太郎も見て見て!」ペラッ

京太郎「どれどれ?」

だがスルーした。

憧「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


ベッドから離れた位置に陣取ってアルバムを眺めている穏乃と玄さんに合流する。

穏乃「京太郎はいつ頃の写真が見たい?」

京太郎「そーだなー……やっぱ俺が知らない頃がいいな。小学生ぐらい?」

穏乃「おっけー! じゃあ……これ! 私の写真だよっ」

京太郎「ほほう」

覗き込む。

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                   / 二>───
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           /  .: / . :. :.:./: : :.:.′ :.′ l:.ヽ: : :ヽ: ヽ: : .
        l\.: .:.′:.:.:.l: ′|: :.:| : : |   |:__l__:.:|: : |: : : ヽ:.i
        ト、: \!    |:i .斗‐┼!: :l   jノ人|:.:.`ト、:.|. . .. ..| |
        个x: : :|: : :. イト、人_∧\!   __ |: :/|:i!:.|: : :. :.| |
.        / . ト、: \!l!: :. :.レ    ¨´         レ' レiノ:.|: : :.ハj
       /   l:.:.\:从: : : |              ___ |: : :ハ/
.      /   \ : \l\_j xzzzzz        ⌒¨^'ムイ
     /    .: :\/^Y T ^゚´      ,   、、、 l:.:.:|
.    /     .: : : : {.⌒i: :|  """            l:.:.:|
   /    .: : : :. :.:.丶 l: :|       i ¨´` T     !:.
.  //    .: : : : : :.:. __/!:.:| > .      、__ ノ   イ:.:.:/
 //   .: : : : : :./^ヽ∨iト、三>   .,,_ . <ニ.|.:./
.//     .: : : : : .:      vヘ三三三三Y三ニi}三ニレ'^ヽ
      .: : : : :/       'vヘニ>─ ┴く/ x─‐‐く |
|| i!   : : : : :′   ⌒ヽ V´ ,       Y /      v
リ |   : : : : :レ'        ∨ ({        i !     i!
l  |   : : : : :|       /   リ..... ____  iノ    _〕
l  |   : : : : :l        /   ヽr'´ ̄ ̄`YY─==ニニX′
.\ト、   : : : : |      /      ! ______.| {       | |ヽ
.    \ : :. :.:.|     ′     └─ッ マ¨:l `ー== ‐┘!(
.     \: : : 、   /        /vvヘ.::|       | }

――――――――――――――――――――――――――――

京太郎「………………これ最近の写真だろ?」

穏乃「小学生の時のだよ? 六年生」

京太郎「嘘ン」

玄「あはは……穏乃ちゃんは昔から変わらないよね。驚くのも無理ないかも」

京太郎「ええ、こりゃ驚きますよ。変わらないにも程がありますって」

穏乃「私的にはもっと背せ伸びた方が体重も乗って山でバランスが取りやすく」

京太郎「それ以上いけない」

穏乃「?」



           /´〉,、     | ̄|rヘ

     l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
憧「」   二コ ,|     r三'_」    r--、 (/   /二~|/_/∠/
     /__」           _,,,ニコ〈  〈〉 / ̄ 」    /^ヽ、 /〉
     '´               (__,,,-ー''    ~~ ̄  ャー-、フ /´く//>
                                   `ー-、__,|     ''


京太郎「ほ、他にはないのか? 玄さんの写真とか」

穏乃「玄さんの? あったと思うよ。えっとね……」ペラペラ

玄「な、なんかちょっと緊張するね。恥ずかしい写真が残ってたらどうしよー」

京太郎「ハハハ」

むしろそういうのを期待してるというのは秘密だ。

穏乃「あったー!」

京太郎「よっしゃ!」

覗き込む。

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! r‐、} '^    | | {ニ=- ∨ _ノ┴ュ'′/ }   〈_/ \

  し        ー  |ニニニ{ニ}ニニニニ} / ,ノ、     rヘ,_〉
   }       /    ニニニィ¨ト=ニニ7 {   ‘,      ̄}::.
. イ∧        /ニニニ/ マニニニ\ :,        /し':::::::.
  / ゝ     /'⌒ヽ/   マ> ´  \     /::::::::::::i::}

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京太郎「やっぱ最近の写真だろこれ!?」

穏乃「昔のだってば。私らの一コ上だから中一の時かな」

玄「わー懐かしー」

穏乃「ちなみにこの直後の写真がこっちね」

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    |/\| 二 ミ 、 ..:..:\ 八}  {   }  }  }::.:.:.:.:.:.::.::\
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     ノノ| ..:/′..:.:.:.::|   ノ'   /' }:.:.:/ノ}ノ ノ' ノ /}::. /イノ′
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.  / .:/  ,o'>{  ハ::.: !  xxx  `      ^´ xxx {::.:.:./⌒ヽ
/ . .:././:r‐{  |__ノr‐込         '      厂/  | |\
 .. .:.//r‐ミ! 廴ノ 人 \ r .   n  ,      イ::厶イ)、_.厂}:ヽ
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.:.::ノ ィ 7~入      ノ く   ./ ./|   》   /{        `{ ノ:.ト}

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京太郎「だから見覚えあるってこんな光景!!」


穏乃「えー、なんか京太郎さっきから文句ばっかり」ブーブー

京太郎「いや文句ってわけじゃ……ただちょっと二人が時間の概念から解き放たれ過ぎっつーかなんつーか」

玄「……あ! 穏乃ちゃん、だったら憧ちゃんの写真を見せてあげようよ!」

穏乃「そっか! それならきっと京太郎も!」ペラペラ

京太郎「えー? んなこと言ってまた全然変わってないっていう天丼ネタだろー?」

穏乃「ふっふっふ……甘いよ京太郎」

玄「この写真を見てもまだそんなことが……」

「「言えるかなっ!」」バサッ

京太郎「はいはい」

覗き込む。





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.  \i  \! !\代i_)/ハi!|       レiト!//リ イハ/:ト、.:.:..:  |
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          . ′┬ i〔¨>┘_/  / ノ ¨i´   │/
         /    ! j |: : : : 〔i〕¨¨!    八     !
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
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ペラッ



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 .リ |: : |: i: : ::i: :i: ::'´i`ル::ーx从-': : ::i ヾ ´ ̄っ亦:テリ}.|: :/: :| |: : : : : |

   ヽ::ハ::|: : ::|: ゝ: : :!ヾ、ゝ::ヽ \: :ヽ.    弋: ::::: :」 |:/: : :| /: : : : : ::|
   ヽ:|ヽハ: ::|ヽ::ゝ: :ヽ  =====、 ゝヽ       ̄  ´|: : :|': : : : : : : :|
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        〉、i: ::\:ヽ、  ''''  ,、  ,         ノ: : :j: : ハ: : /|:::|
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ピラッ



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.  \i  \! !\代i_)/ハi!|       レiト!//リ イハ/:ト、.:.:..:  |
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チラッ



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            |/l: : :斗劣 |八: : : ト |: : : : : | : : : : : : : [〔⌒\
           /: j/:.:j{ r'.:iト  \八│:\:|: |____彡/: : : : `:ト、 :\
.           /: :/: /リ゙ Vン     ≫劣: :/:|: | : : : /: : : : : :│ ヽ: :ヽ
           ': :/:|: V、、 ,       r' ..:j必イ|: |:ー=/: : : : : : :│   : : i  「な、なによ……?」 ※寝てます
          i: :  |: :′        乂辷ンj:|: | : / : : : : : / : |  |: : |
          |: :| |八         、、、  厶|: |∨: : : : : :/ : : |   |: : |
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ

: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /<なんで……
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


京太郎「……」プルプル

穏乃「京太郎?」

玄「須賀くん?」

京太郎「――





            _,...---、_,.、

           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi   
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`   何がどうなったああああああああああああああああああああ
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"





あああああ憧ォ!!!」ズイッッッ

憧「ひっ!?」

京太郎「お前憧だよな!? 新子憧で間違いないよな!!?」

憧「あ、当たり前でしょ!? てか近っ、近い!」ビクビク

京太郎「じゃああの写真の女の子は!?」

憧「………………あれもあたし……」

京太郎「何がどうなったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」オアアアーッ

憧「なんなのよこれぇ……」グスッ


京太郎「それはこっちのセリフだ! なにこの突然変異!?」

憧「変異って何よ!? 真っ当な成長でしょ!」

京太郎「あんなチンチクリンがこんなギャルに成長することを真っ当とは言わせねえ!!」ウガー

憧「チンチクリン言うなギャル言うな!!」ムキー

俺は吼えた。

相手が病人だということも忘れて怒鳴り合った。

そうでもしなければ、俺の心に走った衝撃は殺しきれなかった。

京太郎「……事実、なのか……憧って昔はこんなだったんだな……」シミジミ

憧「いちいち引っかかる言い方するわね……って! ちょっと須賀くん!?」

京太郎「なんだ?」

憧「なんだじゃないわよ! さっきから名前! あたしの!」

京太郎「名前がどうしたんだよ憧?」

憧「だからそれ! みんなの前で!」

京太郎「ああ、俺が憧のこと名前で呼んでる件ならみんなもう知ってるぞ」

憧「ふきゅっ!?」


京太郎「な、知ってるよな?」

穏乃「うん!」

元気よく頷く穏乃。玄さん達もそれぞれ首肯する。

憧「な、なんでそんなことに……」

京太郎「ハハハハハハハ」

それは俺が口を滑らせたからに他ならない。

が、また怒られるのも嫌なので黙っておこう。

穏乃「それにしてもよく憧も呼んでいいって認めたよね?」

憧「え」

京太郎「あ」

実は認められてない。

ただしそれがバレると、芋蔓式に昨日の真相までバレてしまう危険がある。

ので、

京太郎「――! ――!」バチッバチバチッ

打ち合わせナシのアイコンタクトによる意思の疎通を試みた。


憧「………………そうねぇー。須賀くんが土下座して泣きながら頼み込むものだから、し・か・た・な・く・ねぇぇぇぇぇ」

穏乃「へー」

クソッ、めっちゃ脚色されてる!!

けどお互い背に腹は代えられない。

「女子に泣き縋った男」という烙印を甘んじて受け入れるしか………………ない。

ぐぬぬ。

憧「……はあ、騒いでまた熱上がってきたかも」

宥「えっ、あったかい? あったかい?」ソワソワ

憧「ちょっとね」

灼「しっかり布団被って寝た方がい……」

憧「はぁい」ボフッ

ズレていた布団を手繰り寄せる憧。



その拍子に、「あるもの」が足元から覗いた。



京太郎「……ん?」

玄「あれれ~?」

俺がそれに気付いた時には、もう遅かった。

同時に気付いた玄さんが、手を伸ばしていた。

玄「憧ちゃん、布団から何かはみ出してるよ?」

憧「え? なんだろ」

「あるもの」を玄さんが掴む。引っ張る。

玄「これって……」

「あるもの」とは――





玄「……Tシャツ?」





―― 俺 の な !


憧「ふ」

憧「き」

憧「ゅ」

ああ、「ふきゅ」すらまともに言えてない。

それほど内心の動揺は計り知れないということか。

まあ、いくら内心が計り知れなくても、外面があんだけ赤くなってれば動揺しているのは誰の目にも明らかだけどな。

憧「あ、ぁ、あぁぁ、ぁあぁ///」プルプル

今にも泣き出しそうな目が俺を見ている。

そんな目で見られてもな。

助けたいのは山々だが、ここで俺がフォローを入れても変に思われるだろう。

憧の家の憧の部屋の憧のベッドから出てきたTシャツについてなんて。

ていうかなんで布団の中から出てくるんだよ(正論)。

とにかく一人で切り抜けてもらうしかない。

頑張れ、憧。


穏乃「おっきいシャツだねー」

玄「うん、男物かな? でもなんで憧ちゃんの部屋に……?」

憧「…………………………お」

お?



憧「お、お父さんのが紛れ込んでたのよ(震え声)」



う、うまい!

宥「でも、憧ちゃんのお父さんが着るにはデザインが若いような……?」

灼「まるで男子高校生の私服」ズバァッ

鷺森部長ェェ……どうする憧!?



憧「若作りに必死なのよ!(震え声)」



き、厳しい!!

だが理由として破綻まではしていない。

ゴリ押しで乗り切れるんじゃないか……?


穏乃「へー、憧のお父さんこんなの着るんだー」

灼「宮司さんって和服のイメージ強いけどね」

憧「ま、まあねー。無理があるっていつも言ってるんだけどねー」

玄「あれ? でも憧ちゃんのお父さんが着るにはサイズが大き」

憧「ドラァ!」バキィッ

玄「ぶべらっ!?」ドサッ

宥「くろちゃー!?」

ゴリ押しで乗り切れた(物理)。

憧「とにかく! このTシャツはたまたま布団に挟まってただけだから! 他になんの理由もないから! 絶対に! ぜっっったいに!!」チラッチラッ

おいこっち見んな怪しまれる。

穏乃「ふーん、そうなんだ」

灼「ま、いいけどね」チラッ

おいこっち見ないでくださいお願いします。

憧「」ハァァァァァ...

ともあれ、肺の中の空気を1cc残らず絞り出すような溜め息をつく憧だった。


……
…………
………………

訪問から一時間が経過していた。

ついでに玄さんは怪我していた。

そんな病人一人、怪我人一人の部屋。

俺と穏乃と鷺森部長は引き続きアルバムを紐解いていた。

憧はベッドで、玄さんは宥さんの膝枕で寝ている。

見舞いというか、もはや友達の家に遊びに来ただけな雰囲気だ。

♪アノブタイヲコロゲマワッテー カナデチャッテヨマイセーレナーデー

穏乃「あ、メールだ」ピッ

♪ソーダアジノーアイスキャンディー ギラギラナオヒサマノシタハンブンコー

宥「私も……」ピ、ピ

♪クレナイダアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

灼「私は電話」ピ

着信音!

まあ、今回は昨日ちゃんと書けなかった俺の不手際な部分もあるし、最悪スレ跨いででも書くから心配しなさんな
とりあえず投下が終わったら次スレも立てるし


それぞれ携帯を取り出し操作する。

と、

穏乃「え!?」

宥「わっ」

灼「ヌゥ」

三人が同時に声を上げ、また同時に俺を見た。

京太郎「……え、なに?」

穏乃「いや、うちのお母さんからの電話だったんだけど……急用が出来ちゃったから店番しに戻ってこいって言われちゃった……」

宥「わ、私も家からで……人手が足りなくて玄ちゃんと帰ってきて欲しいって……」

灼「おばあちゃんが昼はラーメン食べに行こうって」

京太郎「な、なんだってー!?」

全員同時かよ!?


京太郎「部活はどうするんだ?」

穏乃「んー……戻っても赤土先生は会議中だろうし、今日はナシかなぁ」

京太郎「なるほど。まあこの状況じゃあなぁ」ヨイショッ

穏乃「ねー」ヨイショッ

とりあえず玄先輩を抱えて部屋を出る。

俺が腕、穏乃が脚を持っている。

……俺が脚を持ちたかった!

後ろに宥さんと鷺森部長が続く。

京太郎「えっさ、ほいさ」

穏乃「えっさ、ほいさ」

玄「ぁうぁうぁうぁう」

ゆっさゆっさ、ぷるんぷるん。

テンポよく玄さんを運搬する俺達。その振動で彼女のおもちが蠱惑的な震えを見せる。

玄さんをジャイアントスイングしたら、その際に描かれる円はこの地球上で唯一の聖域になるんじゃないだろうか(?)。


そんな妄想をしている内に玄関に到着。

先に靴を履いた穏乃が玄さんを背負う。

穏乃「よいっしょお!」

京太郎「うお、すげー馬鹿力」

このミニマムな身体のどこにこんなパワーが。

穏乃「それじゃ行きましょっか宥さん!」

宥「う、うん。玄ちゃん背負ってもらってごめんね……?」

穏乃「へーきですって!」ムンッ

京太郎「ちょい待ち穏乃、俺もすぐ靴履くから」イソイソ

穏乃「え、なんで?」

京太郎「え? なんで?」

訊き返すと、穏乃はさも平然という顔で、



穏乃「京太郎は残って憧を看ててよ」



とか言う。

鷺森部長はもう帰った。


京太郎「オレェ!?」

穏乃「そりゃそうだよ、私ら帰らないといけないんだから。イヤ?」

京太郎「イヤっつーか……憧の方が嫌がるんじゃね?」

穏乃「寝てるから平気だって。家の人が帰って来るまででいいからさ!」

京太郎「えー……」

むしろ家の人に見られたらマズくね? と思うのは俺だけだろうか。

いや、思わないのが穏乃だけなんだろう。

現に宥さんも曖昧な表情をしているし。

しかし、

宥「す、須賀くん……」

京太郎「はい?」

宥「あの……め、迷惑じゃなかったら、憧ちゃんといてあげて……」

マフラーに埋めた口から、俺に宛てた言葉がもごもごと這い出てくる。

隣では穏乃も同調するように首を縦に振っていた。

こんな風に、頼まれたら。

京太郎「………………分かった、分かりました。残らせていただきますよ」

頷くしかないよなぁ、男の子だもの。


~憧の部屋~

キィ...バタン

戻って参りました。

独特の熱気が篭る空間。

カーテン越しの日光が鈍く照らす室内。

部屋の主は依然眠りについたまま――では、なかった。

憧「……すがくん……?」

もそり、と起き上がる憧。

寝起きなせいでまた髪とか服とか、うん、乱れていた。

101%親切で直してやりたいが、クロスカウンターが怖いしなぁ。

京太郎「よう、起きて大丈夫か?」

憧「ん……あいおう……」ポケー

大丈夫じゃなさげだ。

ていうか半覚醒だ。

おかげでパニくられずに済んでいるのかもしれないけど。


京太郎「あのな、穏乃と玄さんと宥さんと鷺森部長は用事があって先に帰っちまったんだ」

憧「んぅ」

京太郎「俺が残るのは不服だろうけど、家族の人が誰か帰ってくるまで我慢してくれな」

憧「ぁい」

京太郎「そうだ、喉乾いてないか? 俺が行っていいんなら水か何か取ってくるけど――」

憧「……すがくん……」

京太郎「ん、どうした?」










憧「抱いて……」










京太郎「」


ウェイ。

ウェイウェイウェイウェイノーウェイノーウェイ

ウェーイ0w0。

待て。

待とうよ。

罠だから(確信)。

いくらなんでも脈絡がなさすぎる。

出来の悪いエロゲーじゃあないんだぞ。

ここで勢い任せに軽率な行動を取ったが最後だ。

観察。

観察するんだ。

罠だから(揺るぎない確信)。

京太郎「………………」



憧「ぎゅーってしてぇ……」



あっぶねええええええええええええええええええええ!!


ほらね! やっぱりね! 早合点だったね!

ただの「抱いて(物理)」だったね!

京太郎「って(物理)でもダメじゃねえか!?」

それってつまりハグだろ!?

ベッドに腰掛けて潤んだ瞳で両腕を俺に向けて伸ばす憧を抱き締めろと!?

ダメです、死んでしまいます。

物理的に死ぬ。精神的に死ぬ。社会的に死ぬ。

どうあがいても絶望とはこのことだ。

憧「ねえ、寒いの……早くぅ……」

……………………………………………………ダメだろ!

そんな宥さんのお株を奪うような発言もダメだし、やっぱり抱き締めるなんてダメだろ!

とは言え汗が冷えて寒いというのは本当なんだろう、指先が小さく震えているのが分かる。

こんな風に弱り切った憧を見るのは初めてのことで、手を差し伸べたものかどうか、迷う。

迷う内に、俺の腕も持ち上がっていて、



憧「つかまえたー……♪」ガシッ



病人のくせに、寝ぼけてるくせに、憧はそれを見逃さなかった。


京太郎「あ、あ、憧っ!?」

憧「ぎゅー……」ギュー

京太郎「うううおおおおああああああああああああああああああああああっっっ!!?」

パジャマ+汗のしっとり柔らかな感触と正面衝突した。

なんだこれ。

こんなん事故ですよ、交通事故。

避けられない。

抗えない。

ちくしょう穏乃め、お前の方が憧より寝相が悪いっていうんなら、是非ともお前と一夜を共にしたくなっちまったじゃねーか。

さておき憧だ。

俺の胸板に、憧の胸が押し付けられている。

むにゅうう、と。むにゅう、ではない。

むにゅうう、だ。

松実姉妹と比べてしまえば鼻で笑いたくなるような貧弱さだが、単体で見れば立派に胸だ。おもちでなくとも胸は胸。

柔らかい。

いい匂いがする。

幸せだ。

このまま何もかもを投げ打って、この快楽に身を委ねてしまいた





???「じー」<○><○>





ぃ。


京太郎「」

見ていた。

いつの間にか開いていたドアの陰から。

女の人が、俺達を。

その人はどことなく憧に似ていた。

ということは、

京太郎「もしかして、憧のお姉さんの……?」

???「新子望でーす」

やっぱり。

妹の憧よりも温和な雰囲気を持つ大人の女性だ。

その望さんが部屋の中に入ってくる。

にこやかな表情でまた俺達に視線を集中させて、

望「で、熱で意識が朦朧としている私の妹と抱き合ってるキミはどちら様?」ニコッ

京太郎「も、申し遅れましたッ! 自分は須賀京太郎と言います!!」ペコペコ


望「あははっ! 知ってるよ、憧からよーく聞いてる」

京太郎「は、はあ……そうでしたか」

憧を抱き留めたままの俺を朗らかに笑い飛ばす望さん。

頭から爪先まで値踏みするように見られる。

で、

望「すっごいエッチなんだって?」ニヤッ

京太郎「風評被害です!!!」

こいつ身内に何吹き込んでやがる。

望「えー? 一目見てイメージ通りの子だと思ったんだけどなー」

京太郎「いやいやいや、こんな髪ですけどマジ紳士ですから俺!」

望「いつまで憧のこと抱っこしてるの?」

京太郎「ぐう!」

ぐうの音しか出なかった。


望「なーんてね。ウソウソ、ちゃんと事情は宥ちゃんからメールで聞いてるよ」

京太郎「へ? そ、そうなんすか……」

望「うん。憧のこと看ててくれたんでしょ? ありがとね、はい交代」ヒョイッ

京太郎「あ」

あっさり憧が望さんの腕の中に移る。

ちょっと名残惜しい。

憧「風邪ひくといっつもこうなんだよねー、この子」

京太郎「こうって……寝ぼけて抱き着くことですか?」

望「そそ。今までは家族か、玄ちゃんとか宥ちゃんにやってたんだけどね」

憧「うぅ……」

唸る憧をベッドに寝かしつけ、その前髪をサラサラとかき分ける望さん。

望「まさか男に頼るようになるとはねぇ……」

こぼした言葉は、感慨深げなものだった。


一方で俺の胸には、今更ながらある心配事の種が芽吹いていた。

京太郎「あのーお姉さん」

望「望でいいわよ?」

京太郎「あ、はい。じゃあ望さん、ひとつお尋ねしたいんですけど……」

望「なに?」

京太郎「……」

やや、間。

そして、



京太郎「………………抱き合ってたこと、憧は覚えてるんですかね」ボソッ

望「覚えてないと思うわよ?」



京太郎「では何卒ご内密にィイイイイイイイイイイ!!!」ゲザァァァッ

フローリングの床に額を擦り付ける勢いで土下座した。

ひとえに明日の我が身が大事ゆえ。

この須賀京太郎、ゲザることに躊躇なし!


望「あー、その様子だとやっぱり普段から抱き合ったりしてるわけじゃないんだ」

京太郎「滅相もございません! 妹さんとは極めて健全な友人付き合いをさせていただいております!!」フカブカァー

そりゃ抱き合えるんなら抱き合いたいけれども。

望「ふーん……憧が名前で呼ばせてる男の子だから、もしかしてと思ったんだけどねぇ」

少し残念そうな望さん。

望「ま、詳しいことはハルエに聞けばいっか」

なにそれこわい。

そういえばこの人がレジェンドの昔のチームメイトなんだよな。

望「えっと、京太郎くんだっけ?」

京太郎「押忍!」

望「今日のこと、憧に黙っててあげてもいいけど……条件があります」

京太郎「じょ、条件ですか」

望「うん。キミ、また今度うちに遊びに来なさい」

京太郎「へ?」


望「だから、日を改めてうちにおいで。なんならご飯ごちそうしたげる」

京太郎「そ、それが条件……?」

望「うん。どう? 守れる?」

京太郎「はあ……まあ、そんなことでよければ」

一体どんな厳しい要求をされるのかと構えていたから、とんだ拍子抜けだ。

望「よし、決まりね♪ じゃメアド交換しよっか」スチャ

京太郎「あ、はい」スチャ

携帯を突き合わせて赤外線通信。

受信、そして受信。……え?

京太郎「あのー、こっちの番号とアドレスは?」

望「憧のよ。どうせ交換してないんでしょ?」

京太郎「お見通しっすか……」

思わず苦笑する。

穏乃達とは交換したんだけど、憧だけまだだったんだよなぁ。


望「よしっ。都合がついたらこっちから連絡するから、楽しみに待っててね♪」

京太郎「分かりました。それじゃ俺はそろそろ失礼します」

もうお役御免だろう。

今日は部活も潰れたし、家でゆっくり休みたい気分だ。

望「あ、ちょっと待って」

京太郎「はい?」

俺を呼び止めた望さんが、床に落ちていた「あるもの」を拾い上げる。

言うまでもなく俺のTシャツだった。

それを俺に差し出す。

望「これキミのでしょ? 返しとくね」

京太郎「あ、はい。……はい!?」

何故バレたし。

意外そうな俺の顔を見て、また望さんが笑う。

望「憧もキミも、まさかバレないと思ってた? 普通に考えたら分かっちゃうでしょ」クスクス

京太郎「わっかんねー……普通がわかんねー……」


望「ま、どうしてTシャツを貸し借りするようなことになったのかまでは知らないし、追及するつもりもないから安心して」

京太郎「本気で安心しました」

Tシャツを受け取る。

こうして手に取るとシワが目立つな。

望「あーそれね、多分洗濯してないから。悪いけどキミの家でお願い出来る?」

京太郎「構いませんよ」

~玄関~

本当に帰る運びとなり、望さんも見送りに来てくれた。

京太郎「じゃあ、どうもお邪魔しました」ペッコリン

望「いえいえ、こちらこそ妹がお世話になっちゃって」ペッコリン

お辞儀し合う。

顔を上げると、大人びた、でもどこか幼さを感じる望さんの笑顔があった。

なんだろう、ちょっとレジェンドに似てる。

望「あの子のこと、これからも色々よろしくね」

京太郎「こちらこそ。憧には色々お世話になってますんで」

望「そっか」ニコッ

そして何度目かの挨拶を交わし、今度こそ俺は新子家を後にした。


~帰路~

京太郎「はあ……」

疲れた。

なんとなく身体も重い。

今日は昨日に負けず劣らず色んなことがあったな。

そして、憧のことを色々と知れた。

家が神社とか。

子供時代はまるで別人のようだったとか。

寝惚けたら始末に負えないとか。

お姉さんのこととか。

ていうか、これまでどんだけ知らなかったんだっての。

我ながら情けなくなる。

だけど、こうして知れたなら結果オーライだ。

大切なのは、知ったこれから何をするか。

それを忘れずにいよう。


京太郎「そういえば……」

手に持ったTシャツを見る。

望さんが丁寧に畳んでくれたそれを、歩きながら広げる。

京太郎「これ、もしかして俺もう着れないんじゃね?」

このTシャツを着ているところを穏乃達に見つかったら、流石に言い訳出来ない。

京太郎「結構気に入ってたんだけど、お蔵入りかな……」

惜しい気もするが仕方ない。

これ以上憧に迷惑は掛けられないからな。

京太郎「ん?」

その時、ふわりと風が吹いて。

Tシャツから甘い香りが漂った。

京太郎「……憧の部屋の匂いかな?」スンスン

お香とか焚いてたっけ。

正体不明の、しかし芳しい桃のような香りを楽しみながら、神社から程近い我が家を目指す俺だった。










京太郎「けほっ」

【TO BE CONTINUED...】

勝ったッ! 【風邪-Kaze- 憧編 episode of side-A】完!
朝までかかってでも終わらせるぐらいの気持ち(達成)
しかしここまで長くなるとは思ってなかった。時間も、文章量も

出掛ける五時半までには新スレ立てときます
京照は今夜は厳しいと思うんで、また明日の夜にでもそちらで
もっと上手くスレを回さないといかんね、お疲れ様でした

長時間に亘る投下は別に褒められたことではないんだよなぁ……
速さこそが文化の基本法則だよ兄貴

【咲-Saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「ここで満足するしかねえ!!」
【咲-Saki-】憧「阿知賀が共学化!?」京太郎「ここで満足するしかねえ!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376035968/)

というわけで新スレ立てました
次スレでもどうぞよろしくお願いします

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