シン「俺は春香のプロデューサーだ」 (64)
機動戦士ガンダムSEED DESTINY と アイドルマスターのクロスSSです。
注意事項
・初SSです。キャラ崩壊・設定おかしい等、何かありましたら、容赦なく言ってください。
・地の文があったりなかったり。読みにくかったらすみません。
・ガンダムSSなのかアイマスSSか分からないけど、新シャアでやらなくて良いんだよね……?
無知ですみません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374243939
春香「ねぇ、千早ちゃん」
千早「……どうかした? 春香」
春香「……戦争、もう終わったんだよね」
千早「ええ、そうね。わたし達にも、たくさん仕事、入る様になるわね」
春香「……千早ちゃんは、そうだろうね」
千早「春香?」
春香「……でもさ、わたし……アイドル、続けられないよ」
千早「……そう、なのね。春香」
わたしの手の中にあるのは【デスティニープラン】における、その遺伝子情報配列による分析結果だ。
わたし、天海春香に適正がある物は——保母さんだった。
春香「う、嬉しいなぁ! わたし、子供とか大好きだし! ね、千早ちゃん!」
千早「あの、春香。デスティニープランは、あくまで目安なのよ? だから、あんまり気にしないで——」
春香「い、嫌だなぁ、千早ちゃん! だって、皆デスティニープランで適正通りになったら、不満なんて出ないじゃない! ほら、私もアイドル止めて、保母さん目指せば!」
千早「春香!」
春香「……今さ、ニュースでやってるよね。デスティニープランに反抗する勢力と、ザフトとの戦い」
千早「……ええ」
春香「……反抗勢力、勝っちゃわないかなぁ、って……そう、思っちゃうんだ……! わたし、嫌な子だ……!」
千早「そんな事ない! 春香は、春香は!」
春香「千早ちゃんは良いじゃない! 歌手として、アイドルとしての適性が認められてるから! 第二のラクス・クラインって……! そう、適性が出てるからそんな事……そんなことが……!!」
千早「春香……」
春香「……ごめんね、千早ちゃん。わたし、ちょっと外、出てるね」
千早「……ええ」
事務所のドアを開け、外に出る春香。その姿を見据える、千早。
事務所のテレビ局が、今速報を伝えた。
——ギルバート・デュランダル議長は、メサイアの崩壊に巻き込まれ、死亡が確認された。
真「……またダメだったね、オーディション」
雪歩「うぅ。ごめんね、春香ちゃん、真ちゃん……私が、男の人が苦手なばっかりに……」
真「仕方ないよ雪歩。審査員が男の人だったんじゃ」
——オンナハー、テンカノマワリモノー
春香「——あ、竜宮小町」
真「あ、ホントだ。大画面液晶に映してもらえるようになったんだ……あの三人」
雪歩「凄いねぇ……」
——次のニュースです。
春香「ねぇ真。この後の予定って、何があったっけ?」
——プラント最高評議会議長に着任した、ラクス・クライン議長の声明により、
ザフト軍事費用の一部削減が決定づけられました。
真「何にもない。ずーっと空白。律子は竜宮小町で手いっぱいだから、ボク達に仕事は回ってこないし」
——それによりブルーコスモス一派による過激テロが増加するのではないか、
という懸念に対し『現在対応中』との見解を示しました。
雪歩「……このまま、誰にも知られないまま、アイドルやめちゃうのかな、私達」
——なお、ギルバート・デュランダル元議長の提案されたデスティニープランの再検討については明言されておらず、
専門家は『クライン議長の政治は非常に不明瞭で危険である』との見方を強め、批判している模様です。
春香「……結局、デスティニープランが正しかったのかな」
765プロ
春雪真『お疲れ様です〜』
小鳥「あ、三人ともお帰りなさい。どうだった?」
春香「……ダメでした」
小鳥「あらあら。あんまり気を落さないでね——あ、そろそろテレビ、つけないとね」
真「何かあるんですか?」
小鳥「竜宮小町の三人が、生放送インタビューを受けるのよ。今度映画の主題歌を歌う事になったからね」
雪歩「七彩ボタン、でしたよね」
春香「……いいなぁ、三人とも」
真「ボク達も、すぐに追いつこうよ!」
小鳥「ふふっ、そうね。それが良いわ」
ピンポーン
小鳥「? お客さん? はーいっ、どちらさまでしょうか〜?」ガチャ
??「あの、765プロの事務所って、ここで大丈夫、ですよね」
小鳥「はい、こちらが765プロです。失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますか?」
??「あ、俺……いえ、私、今日からこちらで働く事になった……」
シン「シン・アスカって言います。高木社長っていらっしゃいますか?」
高木「よく来たね! 我が765プロは、君を歓迎するよ!」
小鳥「もう! 新しいプロデューサーさんが来るなら前もって言っておいてくださいよ社長!」
高木「はは、すまないね。何せ急に決めた事だから。今、事務所にはあの三人だけかね?」
小鳥「ええ、春香ちゃんと真ちゃんと、雪歩ちゃんの三人です。これから美希ちゃんと千早ちゃんも来ますが」
高木「さて、シン君。分かっていると思うが、私は社長の高木順二郎だ。何か困ったことがあれば、何でも相談してくれたまえ」
シン「はい」
小鳥「あ、わたしは事務員をしてる、音無小鳥と言います。社長と同じく、何かあれば何でも相談に乗りますよ」
小鳥「あ、ちなみに。私の事は『小鳥さん』でも『小鳥ちゃん』でも『小鳥お姉さん』でも、何でも大丈夫ですよ」
シン「ありがとうございます、音無さん」
小鳥「あ……音無さん、ですか」
小鳥(でもチャンスぴよ。こんなイケメンが入社してくるなんて……音無小鳥2X歳、このチャンスを逃すでないぞ!)
小鳥「ふふ、ふふふふっ」
高木「音無君はトリップしてしまったか……まあ構わないだろう。
事務所のソファで雑談をしている三人は、ウチのアイドルだ。自己紹介してきたまえ」
シン「はい、わかりました」
シン「——という事で、今日から皆のプロデューサーになった、シン・アスカだ。よろしく頼む」
真「新しいプロデューサー……かなり若そうに見えますけど、幾つなんですか?」
シン「ああ、17歳だ。皆と同い年くらいじゃないか?
……というか、あの子何であんな離れてるんだ? 五メートル位離れてるじゃんか」
真「ああ……雪歩! ちゃんと挨拶しなきゃダメだよ!」
雪歩「あ、その……萩原雪歩、です……その……」
シン「ああ、君が。社長から聞いてるよ。男が苦手なんだってな」
雪歩「はい……」
シン「ま、同年代の男で慣れていくしかねぇよな。敬語とか要らないから、よろしくな、雪歩」
雪歩「よ、よろしくお願いします、頑張りますぅ!」
真「ボクは菊地真! 何か敬語で話すの野暮ったいし、シンでいいかな?」
シン「いいぞ。俺も敬語苦手だし、気にせずにしてくれ」
真「ほら春香——春香?」
春香「あ、うん。天海春香です。よろしくね、シン君」
シン「よろしく春香」
シン(……なぁ真。もらった資料だと、春香って元気いっぱいな明るい女の子ってあったんだけど)
真(いつもはそうなんだけど……ここ最近ずっとこうで……)
シン(ふーん……)
シン「とりあえず今からのスケジュールは?」
真「あそこのホワイトボードに」
シン「……ほぼ真っ白じゃないか。あ、でも結構仕事入ってるのが三人位いるな」
小鳥「竜宮小町の三人ですね。今テレビに出てますよ」
テレビ『では、今大人気! 竜宮小町の三人です! 今回は映画の主題歌を歌われた、と言う事ですが』
伊織『はぁい♪ 竜宮小町の新曲【七彩ボタン】って言います!』
亜美『かなり良い曲に仕上がってるよ→』
あずさ『若い二人に触れて、私も若返った気がしますねぇ〜』
シン「水瀬伊織、双海亜美、三浦あずさの三人ユニットだよな。確かに最近良くテレビに出るようになったし」
真「三人のプロデュースしてる律子も、そっちに手いっぱいで……ボク達の方にはオーディションの斡旋が精々だよ」
雪歩「それも、あんまり効果が無くて……」
シン「ふーん、となるとまずはレッスンを優先的にやってくしかないな……トレーナーさんとかは?」
春香「それが……前の戦争の影響で、安くひいきして貰ってたトレーナーさんが地球へ……」
シン「マジか……じゃあ今はもしかして」
真「独学。資金不足でね」
シン「念の為考慮しておいて良かった……」
雪歩「?」
シン「レッスンの方は俺が何とかする。これから誰か来る予定は?」
春香「えっと……千早ちゃんがこれから」
シン「千早……えっと、如月千早か」
ガチャ
千早「おはようございます」
真「あ、噂をすれば。おはよう千早!」
千早「おはよう真、萩原さん……春香」
雪歩「おはよう」
春香「……うん、おはよう」
千早「……えっと、彼方は?」
シン「俺は新しく、皆のプロデュースを担当する事になった、シン・アスカだ。よろしくな」
千早「新しいプロデューサー……そうでしたか。初めまして、如月千早です」
シン「敬語とか要らないから、まあ仲良くやってこう。後は……」
千早「さっきコンビニで美希を見かけたので、そろそろ来るかと」
美希「おはようなのー☆」
真「美希、おはよ!」
雪歩「おはよう、お茶飲む?」
美希「おはようなの真くん、雪歩! お茶はさっき綾鷹買ったから大丈夫なの!」
美希「千早さんに春香もおはよう!」
千早「おはよう」
春香「おはよう美希」
美希「えっと……お兄さん、誰?」
シン「ああ、俺は君の新しいプロデューサーだ。これからよろしくな」
美希「ふーん、よろしくなの! 美希は、星井美紀なの!」
真「今日来るメンバーは、これで全員かな」
シン「そうか、なら今日はレッスンにするから、準備出来たらスタジオ行こうか」
全員『はい(なの)!!』
真「ねえ皆、シンの第一印象ってどんな感じ?」
千早「そうね……かなり若いんじゃないかしら。年齢は聞いた?」
雪歩「17歳だって……一応千早ちゃんよりは年上だけど」
千早「それでも一つしか違わないのね……プラントでは15歳から成人だし、珍しくはないけど」
美希「結構カッコイイって思うな〜。寝癖そのままなのはちょっとだけマイナスポイントだけど」
真「ボクの見立てだと、結構鍛えてるよ! 細そうに見えて、必要な所にはキチンとした筋肉が出来てる!」
千早「何にせよ、仕事が出来るなら問題は無いわ。——私は、歌が歌えれば、それで」
春香「……そうだね」
真「ねぇ春香……最近変じゃない? 何かあったの?」
春香「う、ううん! 何にもないよ!?」
真「……なら、良いんだけどさ。これからレッスンなんだし、そんな調子じゃ怪我しちゃうよ」
春香「だ、大丈夫だよ! 心配性だなぁ真は!」
美希「その通りだって思うなぁ。美希もノンビリさんだけど、全然なんともないし、アハ☆」
千早「……行きましょうか」
春香「……うん」
シン「お、来たか。場所ありがとうございます、音無さん」
小鳥「レッスンスタジオはそこの三階にありますから。これがスタジオの鍵です」
シン「はい、じゃあ中型エレカ一台借りますね」
小鳥「ええ。初レッスン、頑張ってくださいね♪」
真「へぇ〜。シンって、大型まで運転出来るんだ」
シン「つっても、珍しくないだろ? 最近はオート化も進んで、運転自体は珍しくないし」
千早「あ、そこの角を左です」
シン「ん。それより美希、今流れてるのがお前らの曲か?」
美希「うん、GO MY WAY!なの」
シン「明るくて可愛い曲じゃないか。
俺社長から渡されたディスクの中、THE IDOL M@STER しか入ってなかったからさ」
雪歩「メンバーはそれぞれ、一曲ずつCDを出してるんです」
シン「春香、お前の曲ってディスクの中入ってるか?」
春香「へ!? う、うん。多分三曲後の奴……」
シン「美希、一番とサビだけでも聞かせてくれ」
美希「はいなの!」
——乙女よ、大使を抱け!!
——夢見て、素敵になれ!
——乙女よ、大志を抱け!!
——恋して、綺麗になれ!
——立ち上がれ、女諸君!!
シン「元気でいい曲だな。女の子を鼓舞する感じで」
真「ボクもこの曲大好きなんだよね! 歌詞が凄い可愛くてさぁ!!」
春香「あはは、ありがと……」
千早「あ、シン。あそこのビル。駐車スペースは——」
シン「ん、じゃあ先降りてくれ。さっき連絡しといたけど、トレーナー迎えに行ってくる」
雪歩「トレーナーさん……?」
真「シン、トレーナーさんの知り合いが居るの?」
シン「正確には歌手だ。——多分、見たら腰抜かすぞ」
全員『?』
ラクス「ラクス・クラインです。皆さん、本日は頑張りましょうね」
ガタタッ!!
シン「……ほら、ほぼ全員が腰抜かした」
春香「ラ、ラクス・クライン、議長……?」
真「ほ、本物!? この前の戦争で出た、偽物さんとかじゃなくて!?」
千早「な、何で、こんな所に……!?」
雪歩「び、ビックリして、あ、足がガクガクしてますぅ……!」
美希「あふ。あ、テレビでよく見る人なの!」
シン「今、偽物説が出たが……このラクス・クラインは本物だ」
ラクス「皆さん、私の事は気軽に、ラクスとお呼びくださいね♪」
シン「いや、ラクスさん。それ無理あるから」
美希「ラクス、綺麗で優しいの〜☆」
シン「無理じゃなかったな……」
真「し、シンッ! これは一体どういう事さ!?」
シン「どうもこうもない。ただボイスレッスンがあるし、ラクスが居たら百人力だろ?」
雪歩「そ、そうだけど……でもぉ……うぅ……」
千早「あ、あの! わたし、ラクスさんの歌声が大好きで……!」
ラクス「あらあらぁ、私も千早さんの曲聞きましたわ〜。青い鳥、凄く綺麗な歌声でしたわ」
千早「あ、ありがとうございますっ! 是非、ラクスさんにご教授を!」
春香「……」
シン「……春香? やっぱビックリしてるか?」
春香「え、う……うん。ちょっと……それより」
春香「シンくんって、何者なの?」
シン「……ま、しがない新米プロデューサーだよ。さ、それよりレッスンするぞ! 皆着替えて来い!!」
ラクス「千早さん、そこの音程が半音ズレてますわ」
千早「え……あー、あー♪」
ラクス「はい、大丈夫ですわ」
美希「あーあーあーあーあー」
ラクス「美希さんは、もう少しお腹から声を出す練習ですわねぇ。
息を五十秒程かけてゆっくりと吸いこんでから、
今度は先ほどと同じ時間をかけてゆっくりと吐きだしてくださいな」
美希「はいなの〜。す〜」
ラクス「雪歩さんは千早さんと同じく、音程調整の練習ですわ。
筋自体は良いですから、後は練習さえこなせば、歌唱力は自信をお持ちになって」
雪歩「は、はいですぅ!」
ラクス「春香さんは——」
春香「は、はい!」
ラクス「まだまだ拙い所はあれど、綺麗な声が出てますわ。——でも、少しだけ」
春香「はい」
ラクス「何か、思い悩む事でもあるのでしょうか? 貴女の歌声は——酷く、物悲しい感じがいたします」
春香「え、えっと——」
ラクス「もしよろしければ、お話になって頂けませんか? 悩みと言うのは、他人に話すだけでも、楽になるものですよ」
春香「な、何でもないですよ〜! 最近、体重が2kg増えちゃっただけです!!」
ラクス「……そう、ですか。分かりましたわ」
シン「よし、次は体動かすか。ラクスさん、参加してくか?」
ラクス「はい♪ 最近は事務仕事ばかりで、体が鈍っていましたの」
シン「そりゃ最高評議会議長じゃな……よし、ダンスレッスンに移るぞ!」
真「ダンスレッスンは、誰が監督するの?」
シン「仕方ないから当分は俺がやるよ。多少、体の動かし方は学んで来たから」
真「って言っても、シンも独学なんでしょ? あんまり参考にならないんじゃ——」
シン「んじゃ、試しに踊ってやるよ。千早、この曲流してくれ」
千早「はい。——あれ、これは」
春香「ジュピターの曲だね」
デデン、デデン!!
シン「——嘘の言葉が溢れ」
シン「——嘘の時を刻む!!」
シン「——街は歪んだラビリンスっ」
シン「——君を見失う……『Alice』」
真「(ぽけー)」
雪歩「(ぽけー)」
美希「か、カッコイイの!!」
千早「動きに無駄がなかった……シン、もしかしてダンスの経験が?」
シン「ないよ。言ってなかったか? 俺コーディネイターなんだよ。だから体を動かす事自体は得意なんだ」
真「そ、そんなレベルじゃないよ! だって、この曲のダンスってかなり難しいはずだよ!?」
シン「正直俺もここまでしか出来ないんだ。サビの部分とか、難し過ぎてちょっと期間内の練習じゃ物に出来なかったし」
シン「でも、ダンス経験がない俺でも、数日の練習でここまで出来るんだ。
日頃からレッスンしてるお前らなら、もっと完璧にできるはずだ。
それまで、俺が指導をする。形になってくれば、後は自主練で何とかなるだろ」
真「……でも実力見せるんだったら、ボク達の曲踊れば良かったんじゃないの?」
シン「言うなよ……俺が女の子みたいに踊ってたら気持ち悪いだろ……」
真「いやそうだけど——じゃあシン! ボク達通しで踊ってみるからさ、アドバイス頂戴!!」
シン「ああ、じゃあ楽曲は——」
シン「……はい、お疲れ! 皆良く頑張ったな!」
真「凄い……凄い充実したダンスレッスンだったよシン! ボク感動しちゃった!」
雪歩「も、もう駄目ぇ……」
美希「あふ……美希、疲れちゃったのぉ……」
春香「はぁ……はぁ……」
千早「さすが……コーディネイターね。真と同等に踊れる逸材が、普通にプロデューサーやっているのだから」
ラクス「はぁ、はぁ……少し、違いますわ……はぁ」
ラクス「私を見てわかる様に、例えコーディネイターでも、その遺伝子操作により調整された体力や体は、
普通のナチュラルと同じく努力しなければ鍛えられないものです」
ラクス「シンはだからこそ、その身体能力を引き出す努力をしたのです。
その努力が報われ安いのが、コーディネイターの利点と言えますわね」
春香「……でも、ナチュラルには、報われない子が多すぎます」
ラクス「ええ、そうですわね……だから人は妬み、苦しむのです」
ラクス「ですが、千早さんの歌、真さんのダンス、そして美希さんのビジュアルを見てわかる様に、
本当の天才は時にコーディネイトされた者すら超越します」
ラクス「多くのナチュラルはそれを卑下にするでしょうが、私はそうは思いません」
ラクス「それは私の父、シーゲル・クラインも同じ想いでした」
千早「コーディネイターとナチュラルの交配によって、コーディネイターが自然へと回帰する方法を提言された方……ですね」
ラクス「ええ。ですがそれは簡単ではありません。私がいくら歌おうが、いくら平和を叫ぼうが、人々はやはり、欲望を持ってしまいます。
——春香さんの言った様に、ナチュラルには、報われない方が大勢いらっしゃいますから」
シン「——まるで、コーディネイターだけが正しいみたいな言い草だな、ラクスさん」
ラクス「シン。いいえ、そのようなつもりで言ったのでは……」
シン「……分かってるよ。意地悪く言って悪い。それより今日は帰るぞ。
ナチュラルとコーディネイター遺伝子総論ははまた今度、今度はテレビの前で話すんだな。——脚本に塗れた、な」
ラクス「……意地悪ですわね」
シン「……俺はまだ、アンタを許してないからな」
ラクス「ふふ、ですが今日は、頼っていただけましたね」
シン「利用できるもんは利用するさ。——迎え、来てるぜ」
ガチャ
キラ「ラクス、お疲れ様」
ラクス「あらキラ。迎えに来て下さったのですか? ありがとうございます」
キラ「シンも、ラクスの気分転換に付き合ってくれて、ありがとう」
シン「別に。こっちも必要があったからやっただけです。——さっさと連れ帰ってください」
キラ「うん。じゃあ、失礼するね」
シン「……? どうした皆。俺の事ジッと見て」
美希「怪しいの……怪しい匂いがぷんぷんするのー!」
真「最高評議会議長に向けて『まだアンタを許していない』発言!
それに加えて利用する発言! これは、相当近しい人じゃないと出来ないはず!」
美希「美希の推理によると、シンはラクスの恋人なの! そうに違いないの!!」
雪歩「さ、最高評議会議長の恋人……!? で、でも婚姻統制があるから、あり得なくは——」
シン「落ち着けお前ら!!」
シン「良いか!? ラクスの恋人は、さっき迎えに来た白服の男だ!
俺はラクスに特別な感情は抱いてないし、許さないって発言は、完全に過去の事だ」
真「でも、まだ許してないんでしょ?」
シン「……まあ、な。そう簡単な問題じゃないからな」
美希「むー、そこまで言われちゃ気になるの!」
シン「……仕方ねぇな。車の中で説明してやるから、ちょっと待ってろ。車取ってくる」
シン「——まず俺は、元ザフト軍人だ。先の大戦じゃあ、開戦前にあったユニウスセブン落下事件の時から戦ってた」
千早「シンが、軍人……?」
シン「元だよ。今はこうしてプロデューサーやってるしな」
春香「じゃ、じゃあ……ラクスさんとは……」
シン「ラクスが、元々デスティニープラン反抗勢力のトップだったってのは、知ってるだろ?」
真「うん。だからこそ、世論は酷いよね。乗っ取りだとか何とか」
シン「実際、俺はそうだと思ってる。俺は前議長のデュランダル議長直属の部下だった時もあるし、正直良い目では見れてない」
雪歩「と、言う事は……」
シン「敵だったんだよ。しかも俺は、ラクス・クラインを守護する二人のパイロットと、モビルスーツでタイマンも張った」
シン「結果は負けた。デスティニープラン防衛の要だった俺と、同僚が負けて……
デュランダル議長はメサイアごと亡くなって、外堀を埋めたラクス・クラインが、その議長の座に収まったんだ」
シン「俺はデスティニープランが正しい物だと思ってた。それで戦争が無くなるもんだと思ってた……
だから、戦争をなくすために戦った。——けど負けて、アイツらの元に下る事になった」
シン「それが許せなくて——俺は、ザフトを去って、こうしてプロデューサーとして働く事になったんだ」
シン「街中歩いてたら、いきなり社長に『ティンと来た!』とか言われてな」
春香「……じゃあシンくんは、デスティープラン賛成派なんだね」
シン「……それで、戦争が無くなるんならな」
真「軍人だから、当たり前かもしれないけど、やっぱり戦争を嫌うんだね」
シン「当たり前だろ!」
雪歩「ひっ」
シン「戦争の無い世界以上に幸せな世界なんて、ある筈がない!! だから俺は……!」
千早「シン、落ち着いて。萩原さんが怖がってるわ」
シン「あ……ごめん、雪歩」
雪歩「う、ううん……へ、平気、じゃないけど、大丈夫」
美希「んー。美希ね、難しい事は分かんないけど……デスティニープランって、自分のサイノーを理解して、
そのサイノーにあったお仕事しましょう、って奴でしょ?」
美希「美希、それは何か違うって思うなー」
美希「確かに頑張るのとか、一生懸命とか、美希にはよくわかんないけど」
美希「自分がやりたいって思った事を目指して頑張るのが悪いことだと思えないの」
真「そ、そうだよ! だからラクスさんも戦ったんでしょ!?」
シン「……ああ、皆ナチュラルだから、その言葉に説得力がある」
シン「ラクス達も、普通にそれを供述して、話し合いで解決しようとしていたなら……俺だってここまで悩まなかったさ」
シン「でもアイツらは! 戦場をかき乱して、わけわかんない事だけやって! 最後の最後、漁夫の利で全てを奪った!」
シン「そんな奴らの何を信じろっていうんだ!? 俺は! ——俺は」
シン「……俺も、もう何が正しいのか、分からなかったんだ。
デスティニープランで、未来を殺して……それでいいのかって、散々言われたよ」
シン「でもさ、もしそれで本当に戦争が無くなったら……?
それで、人が傷つかなくなれば、それでいいじゃないか……俺はずっと、そう思って……戦って……」
春香「……わたしも、シン君と同じ考え、かな」
千早「春香……」
春香「だ、だって! 皆傷つくのいやでしょ!? 誰だって、人が死んじゃったり、傷ついたり……
そんな世の中、嫌に決まってるよ……」
春香「でも、だからって、頑張ってる人を見限って良い理由にはならない……分かってる……分かってるけど……」
シン「……まあ、どうせデスティニープランは、もう二度と実現されない。
ラクス・クラインが、データを削除している最中らしいから」
真「えぇ!? でも、テレビではまだ議論をしているって……」
シン「先に先手を打ったんだよ。こうすれば、世論がどう傾いても対応出来る。その為に今四方に動きまわってるんだ」
シン「それより……春香、ありがとうな」
春香「え?」
シン「嬉しかったよ。一緒だって言ってくれて。春香って、まだ若いのに、そんだけ良く考えられて、偉いじゃないか」
春香「も……もう! 同い年のくせに、大人ぶらないの!!」
シン「はは、違いない」
シン「よし、ちょっと暗くなっちまったが、俺はもう軍人じゃないんだ!
明日からバンバン仕事持ってきてやるから、覚悟しとけお前ら!」
全員『はい(なの)!』
春香「じゃあシンくん。お先に失礼しま〜す」
千早「お先に失礼します」
シン「ああ、ゆっくり休めよ。明日は朝イチでミーティングだからな」
真「あ、雪歩。これからご飯食べに行こうよ!」
雪歩「うん。あ、この間新しい焼き肉屋さんがね——」
小鳥「ふふ、どうやら皆と打ち解けたようですね、シンくん」
シン「はい。——あ、音無さん。この書類なんですけど……」
小鳥「ああ、そこは……律子さんが居ないと」
シン「律子……律子さんって、竜宮小町の」
律子「お疲れ様です〜」
小鳥「あ、噂をすれば、ですよ」
伊織「ふー、今日はインタビューに簡易ライブ、それに取材もあって困ったものね」
亜美「いや→でもいおりんってば中々楽しそうでしたぜ〜?」
あずさ「うふふ、伊織ちゃんてば、はしゃぎ過ぎちゃって律子さんに怒られてたものね」
伊織「ち、違うわよ! あれはその……そう言う演出よ! 全世界のロリコン変態大人に、私の可愛らしい無邪気な所を見せてあげただけなんだから——って、あら? 誰かしら、あの男?」
律子「ん——あ、もしかして新しいプロデューサーですか?」
シン「あ、ハイ! 俺、新しく765プロで働く事になった、シン・アスカです。よろしくお願いします、律子先輩!」
律子「はい、よろしくお願いします。——若そうに見えますけど、幾つなんですか?」
シン「17です」
律子「じゅ、17!? 私の2つ下じゃないですか!」
シン「ええ、だから律子さんも、俺には敬語無しで構わないですよ」
律子「うー、何か変な感じ……裏方の人で年下って初めてかも……」
律子「わ、分かったわ! だからシンくん、彼方も私に敬語はいらない。その代わりに、律子『さん』とさん付けだけは、忘れないようにして! 美希の手前もあるしね!」
シン「わかり——あ、いや。分かった。律子さん」
律子「はい、宜しい。じゃあ皆、挨拶しなさい!」
伊織「なーんかパッとしない奴が新しく入ったものねぇ」
シン「パッとしないって……言ってくれるじゃねえか……」
伊織「まぁ良いわ。私は、スーパーアイドル水瀬伊織ちゃんよ!」
亜美「双海亜美だよ→! たぶん兄ちゃんの担当になる双海真美とは双子で、妹なのだ→!」
あずさ「三浦あずさよー。ふふ、年下の可愛い男の子が、まさかプロデューサーなんて。人生わからないものねぇ」
シン「このメンバーが……」
律子「ええ、竜宮小町。さすがに知ってるわよね」
シン「ああ。SMOKY THRILL、好きだぜ」
亜美「おやおや〜? 兄ちゃんは小悪魔系が好きとな?」
シン「何でそうなるんだよ……」
あずさ「ウチの小悪魔系と言えば、亜美真美ちゃん位かしら〜?」
亜美「いやいや〜、はるるんも負けず劣らずですぜ、あずさお姉ちゃん」
シン「あ、それより律子さん。この書類なんだけど……」
律子「ああ、私がやりますから。他の予算分配、手伝ってくれる?」
シン「やり方を教えてくれれば」
律子「小鳥さんと一緒に教えるわ。——いやこれで、毎日徹夜コースから解放されるわぁ」
小鳥「ぴよ……社長は手伝ってくれないし……」
シン「そう言えば今日真と美希が『社長って社長室の置き物だよね』って言ってたな」
小鳥「あながち間違ってはいないですね」
律子「小鳥さんまで——ってあ、また経費で飲んでる。やっぱ置き物だわ」
真美「りっちゃーんッ! 亜美達帰るよ→?」
律子「あ、うん! 駅まであずささんをお願いね!」
伊織「分かってるわよ。亜美、あずさ。新堂が下まで来てるから、駅までは送るわ」
あずさ「ありがとう伊織ちゃん。じゃあ、お疲れさまでした〜」
全員『お疲れ様〜』
シン「……さて、と。じゃあ事務はこれで終わりか? 案外簡単だったな」
律子「話には聞いてたけど、ホントにコーディネイターなのね。あそこまで早いタイピング初めて見たわ」
シン「コレくらいやらないと、実戦中にOS書き換えられないからな」
小鳥「ぴよ?」
シン「なんでもないです。それより、ウチの取引先に関してなんだけど」
律子「ああ、明日から営業だものね。はい、これウチをヒイキしてもらってる企業一覧。今度は私と二人で、その企業を増やしていく事も業務の内よ」
シン「ああ、ありがとう。さっそく明日から営業かけてみるよ」
律子「ええ、期待してるわよ」
シン「と言っても、俺もまだまだひよっこだからな。指導よろしく頼むぜ? 先輩」
律子「ふふ、お任せあれ」
まだキラやアスランとかなら年齢的にも働いても大丈夫だろうがシンは働いてつかプロデューサーとか若すぎて無理じゃね?
確か16歳だよな?さすがにプロデューサーになるには若すぎるような…
せめて18歳くらいにならなきゃ
>>32 最初はキラがプロデューサーやるSS考えてたんだけど、挫折してこっちに。シンの方が好きだし。
プラントでは15歳から成人扱いだから、一応出来るんじゃね? と考えた。SEEDの世界観重視なんだけどどうなんだろうね!
シン「さて……事務所はもう誰もいないし、戸締りも確認した……帰るか」
??「……はて、見慣れないお方がいらっしゃいますね……事務所に、いか様でありましょう?」
シン「え——」
貴音「申し遅れました。私、こちらの765プロにてあいどるをしております、四条貴音と申します」
シン「あ、君が! 俺は、君の新しいプロデューサーになる、シンだ。よろしく」
貴音「なんと。新しいぷろでゅーさー殿でいらっしゃいましたか……それは御無礼をいたしました」
シン「それより、もう結構夜遅いけど、事務所に用か? もう戸締りしちまったんだけど」
貴音「ええ、その……『けーたい』なるものを忘れてしまいまして」
シン「ああ……それはマズいな。今開けるよ」ガチャッ
貴音「……ありました。御手間をかけてしまい、申し訳ありません」
シン「いや、アイドルの連絡手段をちゃんと確保するのも仕事のうちだ。
——それより、もうかなり時間経つけど、電車とか大丈夫か?」
貴音「ええ、近くですので。本日はこれよりらぁめん屋に寄って行こうかとも思っていた所です」
シン「あー……確かに腹減ったな。俺も一緒にいいか?」
貴音「ええ。では私のお薦めをご紹介いたします」
シン「う、うめーっ! 何だこのラーメン! プラントにこんな美味いラーメン屋あるなんて初めて知った!」
貴音「ふふ、そうでしょう。ここのお店は、私が発見したのです」
シン「これは良いな……今度から暇を見つけてくる事にしよう」
貴音「ぷろでゅーさー殿、その時は私もご一緒させて頂いても宜しいでしょうか?」
シン「ああ、全然大丈夫だ。って、それより、貴音って確か18だったよな?」
貴音「ええ。ぷろでゅーさー殿はいささか若く見えますが」
シン「17だよ。悪い、今までタメ口聞いてたけど……大丈夫だったか?」
貴音「ふふっ、気にしておりませんよ」
シン「サンキュ。あ、もしよかったら貴音も俺の事、敬語使わなくて大丈夫だぞ。名前も、シンって気軽に呼んでくれ」
貴音「そうですか……? ならば、シン。こう呼ばせて頂きます」
シン「ああ。これからよろしくな、貴音」
貴音「宜しかったのですか? 支払いを受け持って頂く事になってしまい……」
シン「まあ、あれから三杯も食べるとは思わなかったけど、これから貴音はトップアイドルになっていくんだ。
コレくらい安いもんさ」
シン(……軍に居た時の給料が、使われずにたんまりとあるしな)
貴音「シン……ありがとうございます」
シン「それより、明日から頑張ろうな。皆まとめてトップアイドルにしてやるから、覚悟しとけよ」
貴音「はい。——シン、一つ宜しいでしょうか」
シン「うん、どうした?」
貴音「先ほどけーたいに連絡が入ったのですが——
ラクス・クライン嬢をれっすんとれーなーにしたというのは、真なのでしょうか?」
シン「ああ、そうだな。有力なトレーナーが思いつかなかったし、知り合いだから頼んだんだ」
貴音「そう、ですか。いえ、気になっただけなのです」
シン「そっか。じゃあ、夜も遅いから近くまで送っていくぞ」
貴音「いえ。ここから私の家までは、それ程距離はありません。こちらで大丈夫です」
シン「そうか……? なら、気をつけてな」
貴音「はい。——彼方に、これから祝福があらん事を」
シン「? 何か言ったか?」
貴音「いいえ。では、失礼します」
翌日
春香「おはようございます〜」
シン「お、春香。おはよう。今日も頑張ろうな」
春香「あ、おはようシンくん!」
シン「そんな元気な春香に朗報だ。さっき、テレビ局に数合わせで呼ばれたんだ」
春香「数合わせ……?」
シン「ああ、歌番組の収録だ。ホントは先々週から伊織がソロで呼ばれてたんだが、
先週の番組に前倒しになって、今週枠に空きが出来てな」
シン「せっかくだから、竜宮以外の子を765プロの方から送ってほしいって、連絡が今朝あったんだ」
シン「で、その役目を春香と千早に任せようと思ってる」
春香「えぇ!? そ、そんな大仕事、わたしで大丈夫なの!?」
シン「ああ。昨日のレッスンを見てた感じ、一番完成度が高いのは、お前と千早の『shiny smile』だったからな」
シン「とはいえ、さすがに枠はほんの少ししか貰えなかったし、視聴者にはそれほど見て貰えないとは思う。
けど、テレビ局に顔を覚えて貰うには、丁度良い機会だと——」
春香「や、やります! やらせてください!」
シン「おし、その意気だ。ナチュラルでも、その実力があるんだって所、見せてやれ!」
春香「は、はい!」
千早「おはようございます」
春香「あ、千早ちゃん! おはよう、実は——」
シン(——実は、今回の件は美希に任せようという案もあった)
シン(律子さんは千早単体で向かわせる気だったみたいだが、今回出演する歌番組は、軽いトークもある番組だ)
シン(千早単体で向かわせるには酷だし、となると限られてくるのは、コミュニケーション能力の高いメンバーだ)
シン(俺はそこで、美希を一人で向かわせるか、春香と千早の二人で行かせるか。この二択で悩んだが……)
シン(春香にとって、今回のテレビ出演はいい刺激になる。
もし、春香が未だにデスティニープランで悩んでいるんだとしたら、
その悩みを払しょくできる、いいきっかけになるんじゃないか、と踏んだのだ)
シン「——というわけだ。千早も春香も急な話で悪いな。これから、テレビ局に出向いてリハを行う」
はるちは『はいっ!』
シン「じゃあ車出すから、二人とも準備しといてくれ」
テレビ局
AD「はい、じゃあ765さんのリハ入ります!
その後、坂本真綾さんの番になりますんで、真綾さんは準備お願いします〜!」
真綾「は〜い!」
シン「じゃあ春香、千早。マイクテスト、演出プラン、可能な限りリハ中に見直しとけよ」
はるちは『はい!』
シン「よし、行って来い!」
真綾「……ずいぶんと、お若いプロデューサーですこと」
シン「え、ええ。先日から765プロで——ってお前、なんでここふご、ふごごっ!!」
真綾「はいはい、シン。大声出さないで。私は今は、坂本真綾だから。間違えないでね」
シン「いや、お前ルナだろ!? 何だよ坂本真綾って! ちったぁ外見考えろよ!! メチャクチャ白人顔じゃねぇか!」
ルナ「もー! 良いじゃない芸名なんだから!! それより、大きな声出さないでよ!」
シン「あ……悪い。でも、何でお前こんな所で……? 確かまだ軍は辞めて無かったはずだろ?」
ルナ「——特別任務。ちょっとした情報掴んでね」
シン「情報?」
ルナ「デスティニープラン肯定派のテロリストグループ。アンタなら知ってるでしょ?」
シン「……ああ、聞いた事はある」
ルナ「【遺伝子の夜明け】っていう、何だかわけわかんないテログループ組織がね。
このテレビ局と繋がりがあるって情報を掴んだの」
ルナ「で、その極秘調査と、万が一の時の為に動ける人員として、私が潜入調査してるってわけ」
シン「お前が……? 白兵戦の成績、俺より悪かったお前が……?」
ルナ「わ、悪かったわね! これでもザフトは人員不足なのよ!
あたかもラクス様が仕組んだかのように、経費削減されちゃったし」
シン「? ちょ、ちょっと待て。ラクスがザフトの経費削減したんじゃないのか?」
ルナ「逆よ。ラクス様は元々、ザフト軍事費用を増額しようとしてたの。適度な軍事力は、防衛力に直結するってね」
ルナ「でも、それを良しとしない連中が居て、そいつらを静かにさせるために、一部削減させざるを得なかった。
その辺は、ラクス様の手腕の無さが原因だけど……やりきれないわ」
ルナ「だからよ。私みたいなエリートが、こんな現場まで出向く事になったのは。
人事異動、人員削減のせいで人手不足なの」
シン「……」
ルナ「ちなみに、削減を申し出たのは、元デュランダル派よ」
シン「……それって、もしかして……」
ルナ「ええ。アスランもキラさんも、同じ事考えてるわ。
元デュランダル派閥が、デスティニープラン肯定派に協力をしている可能性があるの。
今回の調査はそれも兼ねてるわ」
シン「……色々と厄介だな。わかった、俺も警戒を——」
ルナ「アンタはもう、ザフトじゃない。
あんまり気にし過ぎず、アイドルの様子を見てあげなさい。プロデューサーなんでしょ?」
シン「……悪いな、ルナ。何か困った事あったら、すぐに言ってくれ」
ルナ「そうならない事を祈るわ」
シン「……それよりさ、坂本真綾って何だよ」
ルナ「知らないわよ……バルドフェルド隊長が勝手に命名してくれたのよ。——次、私のリハだから」
シン「ああ。——お、電話だ」
シン「すいません、通話室って——」
AD「あー、通話室は別棟にしかないんで、ここからだと外出て貰った方が早いですね。裏口、近くにありますから」
シン「すみません——知らない番号だな」
ガチャッ
シン「はい、もしもし」
ラクス『良かった。間に合いましたね』
シン「ラクス、さん? 一体どうして——」
ラクス『テレビ局から、出ていただけましたか?』
シン「そりゃ局内は通話禁止だし——何の用だ?」
ラクス『ルナマリアさんからお聞きになっていると思いますが、
そちらの局では【遺伝子の夜明け】なる組織が関わっています』
シン「ああ、それは聞いたけど——」
ラクス『問題が発生しました。既に——あの番組は、乗っ取られています』
シン「え——」
その時。シンの目の前に、一台の護送車が急停止した。
その護送車には至る所に、砂時計のマークがプリントされている。ザフトの護送車だ。
護送車の後部座席から、一人の男性が顔を出した。——キラ・ヤマトだ。
キラ「シン! 乗って!」
シン「な、何だよ、いきなり!」
キラ「訳は走りながら話す! ——どうせ、もう中には入れない!」
シン「え——」
慌ててテレビ局の裏口、そのドアノブを引いても、開かない。テレビ局の入り口と言う入り口には、既にシャッターが閉められていた。
キラ「もう少しで占拠が広まる、この区域の避難が始まるよ!」
種作品はASTRAYを含めて好きなんだがシンがプロデューサーって無理があるな
だって良くも悪くもガキっぽいつか怒りに身を任せるキャラだしそれをレイがうまく抑えてたからよかったが抑えるキャラがいないと暴走一直線な問題児だし
だからかませ犬なんだよ
シンはこんなキャラじゃないっしょ→
例えば叢雲劾のようなキャラならクールにプロデューサー業務こなしアイドル達から慕われるとかならわかる
もしくはロウ・ギュールのように皆とあっという間仲良くなりながらも自分の信念は曲げず何事にも真っ直ぐでプロデューサー業務をやるようならわかるんだ
でもシンだと絶対に何かしら問題を何度も起こしてナムコプロに迷惑をかけると思う
ザフトはデュランダル議長がシンは自分にとって最高の駒で使えるから暴走しても目を瞑るだけだったし
それにコーディネーターだからって何でもできるわけじゃないのに「俺はコーディネーターだから何でも可能だぜ」的な感じがおかしい
>>43 まあ正直その意見はあると思った。今回は大目に見てほしいな。
あとは、アニメ版だけの準拠じゃなくて、漫画版やゲームなども考慮して考えてあるから、俺の中でのシンとは少し考えが違うかも。
AD「はい、では本番三分前です!」
真綾「あなた達が、765プロの子?」
春香「え、あ、はい! わたし765プロの、天海春香です!」
千早「如月千早です。坂本真綾さん、ですよね?」
真綾「ええ、今日はよろしくね。——それより、シンはどんな感じ?」
千早「シンを、ご存じなのですか?」
真綾「ちょっと前職でね」
春香「え、と言う事は坂本さんもザフト軍に——」
真綾「……シンの奴、ばらしてたのね……そうよ。その時同じチームに居たし、気になっちゃってね」
春香「シンくんは、凄く真面目に頑張ってます!」
千早「そうね……入って二日目なのに、私たちにいきなり、こんな大きな仕事を持ってきてくれるなんて、思っても……」
キャアーッ!!
真綾「!」
春香「い、今の悲鳴、何……?」
千早「あの、ADさん——」
AD「全員その場を動くな!」
先ほどまで、リハーサルの指示を出していたADが、どこからか銃を持ち出して、それを周りにチラつかせた。
他にも、カメラマンや照明など、様々な人員が同じ銃を構えながら、他のアイドル、スタッフを脅していた。
真綾「っ、しまった……!」
AD「この番組は、俺達【遺伝子の夜明け】が占拠した!」
同時刻 ザフト護送車内
テレビ『こちら、プラントテレビ局前の映像です。
ごらんください、既にテロリストグループによる占拠が始まっております!』
テレビ『近隣住民の避難は完了しておりますが、このまま占拠が長引けば被害の増加が見込まれます』
テレビ『ザフト軍部隊による迎撃は、まだ時間がかかるとしておりますが——』
シン「……説明してもらおうか」
キラ「つまり、今回君の働いてる765プロに入った仕事は、前々からボク達が仕組んだ計画だったんだ」
キラ「765プロは、プラントの中では珍しく、ナチュラルの女の子達をプロデュースするプロダクションだ」
キラ「遺伝子の夜明けは、何らかのアクションをする場合、ナチュラルを引き合いに出すことが考えられた」
キラ「デスティニープランに賛同するのは、多くがナチュラルだからね。
765アイドルを使って呼びかければ、ナチュラルは彼女たちの——いや、奴らの言葉に、耳を傾けるかもしれない。
そこを利用できると踏んだ奴らが、尻尾を出すと考えた」
キラ「だから、遺伝子の夜明けと繋がりが深いこのテレビ局の番組に、彼女たちを送り込むように仕組んだ」
シン「——じゃあ何だよ、つまり春香達は囮って事か!?」
シン「関係の無い女の子を危険にさらして! それがお前たちの正義かよ!
お前たちが、戦場を滅茶苦茶にしてまで掴んだ、本当の平和なのかよ!?」
キラ「落ち着いて、シン! もちろん、そうなる前に取り押さえるつもりだった。
でも、例の予算削減、人員削減に加えて、連中の動きが早すぎたんだ」
キラ「ボクやアスラン、それに加えてイザークやディアッカも、本当はすぐにでも駆けつけたいけど——」
モニターに移された光景。テレビ局周辺には、ザクウォーリアの一個中隊が、完全武装をした状態で配置されている。
シン「ウィザードこそ装備してないが、ザクウォーリアか……横流し品、だよな?」
キラ「うん。デュランダル派の動きがあまりに早すぎた。
データが消される事を知って、完全消去される前に、デスティニープランのデータを得るつもりみたいだ。
——武力と、それに伴う人々への恐怖で、デスティニープランを賛同させやすくすることも考慮した上で」
シン「なら、こんな所で油売ってないで、さっさと出撃しろよ!
アンタらならザクウォーリアの一個中隊なんて簡単に蹴散らせるだろ!」
キラ「……それが、ね」
シン「まさか、予算削減のせいで、MSの配備まで、間に合ってないとか言わないよな?」
キラ「……その通りなんだよ。
ストライクフリーダム、インフィニットジャスティスほか、
ボク達の隊長機は全部が全部、月にある月面基地工廠で査察に出されてるんだ」
キラ「もちろん空きの機体はあるけど——ザクウォーリア、グフイグナイデットがせいぜいだ」
キラ「それに加えて、今人質を取られている状況が非常にマズイ。正規軍が出て、ヘタに刺激を与えたくない」
キラ「——そこで、シン。君に頼みがあるんだ」
テロリスト「軟弱な【クライン】の後継者、ラクス・クラインの言葉に、プラントは、いや世界は! 変わってしまった!」
テロリスト「何度繰り返すのだ!? ヤキンデューエでの戦い、そしてロゴス! 全て人間の欲が生み出した争いだ!」
テロリスト「デュランダル前議長は、だからこそ! 人々にデスティニープランを提唱したのだ!」
テロリスト「平和な明日を、人々の欲で破壊する事は許されない! だがそれを、クライン共は踏みにじったのだ!」
真綾「何が、平和な明日よ! 大体デスティニープランは任意よ! 人々に押し付けるものではないわ!」
テロリスト「黙れ! 貴様はコーディネイターだからこそ、そんなことが言えるのだ!」
テロリスト「みろ、彼女たちを!」
春香「っ!」
千早「春香、大丈夫……大丈夫よ」
テロリスト「彼女たちはナチュラルでも、こうして頑張っている!
それは才能があるからではないか!?
才能に後押しされ、こうしてアイドルとして人々に笑顔を与えようとしているのだ!」
テロリスト「デスティニープランは、そうした少女達を後押しする為の物だ!
そうして人が才能にあった自分の道を歩む事で、人々の不安を、欲を! 取り除こうとしたのではないか!」
テロリスト「君! 君はどう思う!? デスティニープランを!
テレビの前に居る、クラインの犬どもに! 君の気持ちを叫んでやるんだ!」
千早「春香に触らないで!」
テロリスト「うるさい! 立て!」
春香「っ、わ……わたし……わたしは……!」
千早「春香!」
春香「……テロリストさん」
春香「同じ、考えです。
デスティニープランで……人々が平和になるのなら……わたし、それでいいって、思ってました」
テロリスト「そうだろう! どうだ見ろ世界よ! これがアイドルの——」
春香「でも!」
テロリスト「!?」
春香「わたし、デスティニープランで……保母さん適性が高いって出たんです。
アイドルの適正なんて、アの字も出てなくて……」
春香「アイドルとして頑張ろうって思ってた時だったから、凄くがっかりしました……」
春香「でも、それで平和になるのならって! ……それで良いんだって……」
春香「でも……でも」
春香「でも私——アイドル、続けたいよ……」
春香「皆と一緒に、歌って、踊って……」
春香「それで、頑張ったねって……やったねって……笑い合いたいよ」
春香「小さい頃からの夢……諦めたく、ないよ……」
テロリスト「こ、この……!」
真綾「もう止めなさい! あなた達の負けよ! 彼女たちは、自分の意思で未来を選んだの!
他人の言葉を、思想を借りてバカやってる、アンタ達とは違うわ!」
テロリスト「そ、そんなわけあるか! こうなったら——」
——瞬間、テレビ局に爆風が襲いかかる。
揺れるスタジオ、動き出す機材。
カメラ近くに居座っていたテロリストたちが数人、
カメラに押し倒されて負傷する光景が、春香や千早の目の前で起こった。
春香「きゃ……っ」
千早「春香!」
春香も転びそうになるが、それを千早が受け止め、二人は慌てず、その場で身を低くした。
テロリスト「な、何事だ!?」
テロリスト2「そ、外で、モビルスーツが暴れ回ってる!」
テロリスト「何、ザフト軍か!?」
テロリスト2「違う!
前大戦で撃墜されたはずの——デスティニーが暴れ回ってるんだ!!」
ヴォワチュール・リュミエール、正常機動。マニピュレート制御完了。ハイパーデュートリオンエンジン、良好。
シン・アスカは、パイロットスーツも身にまとう事なく、スーツ姿のまま、操縦桿を強く握りしめた。
シン「春香……よく言ったな」
シン「待ってろ。今助けに行く」
シン「シン・アスカ! デスティニー、行きます!!」
プラント、ザフト軍工廠には、前大戦で廃棄されたMSが多く眠っていた。デスティニーもその一つだ。
クライン派は、秘密裏にそのデスティニーの修復をしていた。
正規軍としてではなく——シンに、時としてその力を、正しく扱ってもらうために。
シンは、久しぶりに乗り込んだデスティニーに、どこか高揚感を覚えていた。
デスティニープランを肯定し、それを守るために乗り込んでいたこの機体で——
デスティニープランを破壊しようとしているのは、どこか矛盾しているように思えなくもない。
だが、それでも——!
戦場にたどり着いたデスティニーは、その背部に背負われた二つ折りの刃【アロンダイト】を引き抜き、
一機のザク・ウォーリアを切り裂いた。
それと同時に加速したデスティニーは、上空で滞空しながら、国際救難チャンネルに通信を設定する。
これで、スタジオにも声が届くはずだ。
シン「春香、千早! そこで待ってろ!」
シン「俺がすぐに——片づける!」
春香「今の声って——」
千早「え、ええ。シンの声だわ」
テロリスト「何!? 今シンと言ったか!? 今奴は何をしているんだ!? 言え!!」
千早「う、ウチのプロダクションで、プロデューサーをしているわ」
テロリスト「シン・アスカ……! デスティニープランを何より望んだ奴が……裏切り者め!」
春香「あの、シンくんって……」
真綾「……シンは、かつてデスティニープラン防衛の要である最新鋭機、
ZGMF-X42S【デスティニー】のパイロットだった」
真綾「アイツは、誰よりも戦争をなくすため、戦っていた。
心を壊して、想いを殺して……それでも、平和のために」
テロリスト「なのに何故だ! お前はなぜ、デスティニープランを否定する!」
シン『否定なんかしねぇよ! お前らの言うとおり、クライン派なんてクソ食らえだ!』
シン『俺だって悩んださ! 戦争の無い世界以上に幸せな世界なんて、ある筈がないって!』
シン『その為に、捨てなきゃならない未来もあるんだって、そう決めて、戦い続けた!』
シン『でも——俺は!』
シン『今の俺は765プロのアイドル——天海春香のプロデューサーだ!
俺は、皆の想いを——皆の未来を! この手で切り開く!
それが俺の仕事だっ!!
だから、春香が守りたいと思ってる、今を守る!!』
春香「シン、くん……」
シン『その為にお前たちは邪魔なんだ! そこをどけ!』
シン『お前たちが正しいって言うんなら——俺に勝って見せろ!!』
掌に搭載された、パルマフィオキーナで、ザクの頭部を握りつぶすと同時に、背部のビーム砲を放つ。
全てのザクの掃討を終わらせると、デスティニーは、ズシンと地表に着地した。
テロリスト2「ざ、ザクウォーリア一個中隊が、三分も持たずに全滅、だと……!?」
真綾「そう言う事。——動かないで」
真綾——いや、ルナマリアが、潜めていたザフト制式拳銃を、テロリストの一人に突きつけ、そう脅す。
テロリスト「うっ!」
ルナ「私は、ザフト軍特務隊フェイス所属、ルナマリア・ホークよ。武器を捨てて、投降しなさい」
千早「さ、坂本さんが……」
春香「ザフト軍、特務隊……!? 辞めたんじゃなかったんですか!?」
ルナ「ごめんね? 坂本真綾の歌は、また今度って事で♪」
テレビ局の観客に、スタッフに紛れた、ザフト軍人——
イザーク・ジュールやディアッカ・エルスマンが、そこで動きだす。
ルナマリアのように隙をついて、テロリストたちと一人ひとり捕えていき、
ついにはテロリスト達を投降させる事に成功した。
その後、ザフト軍——いや、ラクス・クラインの動きは速かった。
まず【遺伝子の夜明け】主要メンバーの尋問、それによる支援グループの割り出し。
元デュランダル派閥議員による援助記録が続々と発見され、
面白い具合に汚職がわき出てくる光景を、シンは失笑する事しかできなかった。
結局元デュランダル派閥の議員たちは、ラクスを失脚させ、その後釜を狙っていただけに過ぎない。
——デュランダル議長がかつて求めた、デスティニープランなど、誰も求めていなかったのだ。
だからこそ、シンはあの時自分が下した意思が間違っていないと感じ、失笑の後は安堵の息をついた。
キラ「でもシン、あれはやり過ぎだよ」
キラが苦笑しながら、シンがデスティニーで大暴れした映像を、眺めていた。
——彼が国際救難チャンネルで叫んだ音声も合わせて。
それはあの時テログループの案件を生放送で伝えていた、違うテレビ局のニュース映像だった。
緊急特番のニュースの為、当然生放送だ。
キラ「これ、全国放送されてて、さすがにもう消すことが出来ない。
バルドフェルドさんとアスランが慌てて、後付け設定考えたんだよ」
シン「う、うるさいな……あの時は、皆の安全が最優先だったから……」
キラ「の割には、ノリノリで叫んでたね」
シンの事は、全世界に伝わった。
元ザフト軍エースが、ナチュラルアイドルをプロデュース!? アイドルの危機を救った運命の騎士!!
そう言う一面記事が、今全世界で話題を呼んでいる。
反面、クライン派の糾弾は凄い。
かつての最新鋭機を、今やザフトを離れている一人の民間人に触れさせたのだ。
もちろんこれで救われた命がある。既に民間人であるシンを、処罰する事など出来ない。
民事裁判にかける事も、ラクス達としては避けたい。
その為、デスティニーは廃棄された後、ジャンク屋連合の手によって再び蘇り、それを一般人であるシンが、
個人所有のモビルスーツとして使用している、という言い訳が急遽用意された。
これにより、シンが行った行為は「自身と仲間を守るため、仕方なしに戦闘に及んだ」というシナリオになった。
シン「……てことは、デスティニーは」
キラ「うん。名実共に君の物だよ。
もちろん、実際はボク達ザフトが所有・保管する事になるけど、必要になったら言って。
すぐに動かせるように、いつでも準備しておくよ」
シン「呆れた……つまり、デスティニーをいつでも使えるようにしとくから、いざって時は手伝えよって事だろ?」
キラ「あはは……その場合はキチンと謝礼も払うし、普段から765プロへ仕事は斡旋させて貰うよ」
キラ「……もちろん、ボク達の事を許さなくていい。
ボク達が、君の大切な人を、家族を、仲間を……奪った事には変わりない」
キラ「でも君の——今の765プロの子たちを守りたいって気持ちは確かな物だろう?
だから、ボク達に協力するのは、765プロの皆に危険が及ぶ時だけで構わない」
シン「……それなら良いけど。——じゃ、そろそろ帰るよ。先日は世話になったし、この喫茶店代位は払っとくよ」
キラ「……シン」
シン「何だよ」
キラ「——良かった。幸せそうだね」
シン「……過去を捨てて、今を捨てて、未来をも捨てて……今でもそれで良いかも、って思う時はある」
シン「でも——未来があって、良いとも思える。だからこそ、幸せではあるんだろうな」
シン「っと、じゃあ、そう言う事で」
シンはお代を払った後に喫茶店を出て、目の前にあるビルの階段を駆けた。
シン「ただいま帰りましたー」
春香「あ、お帰りシンくん! これからグラビアの仕事だよ!」
シン「ああ、そうだな」
あれから、765プロに入る仕事は多くなった。
とはいっても、一番の人気は彼女たちを守ったナイト——シン・アスカにあるのだが、
シンはそれすら利用し、彼女たちのプロデュースに励んだのだ。
シン「じゃあ、行こうか。春香」
春香「うんっ!」
春香「これからもよろしくね、シンプロデューサー♪」
シンは、これからも765プロで、今を駆けていく。
アイドルたちと共に——新たなる未来を。
その先の未来で、12人の女の子達全員が、トップアイドルになっている事を、彼はまだ知らない。
FIN
完結です。思ったより短かったか。それとも1レス辺りの文章量多すぎたか。
>>43さん、ご指摘ありがとう。次から参考にさせて貰います。
一応今、続きとして美希・やよい・響のSSが完成してるけど、需要なさそうかな。
個人的に、次からはデスティニーの登場が減るから
必然的にシンPっていうよりただのコズミック・イラのPって感じがするけど。
もし一人でも好きだと言ってくれる人がいるなら続き出したいです。よろしく。
眠いので、起きたらHTML依頼出してきます。
あ、あと参考にした作品をば。
アニメ 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
小説版 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
ボンボン版 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
ガンダムA版 機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE
スーパーロボット大戦Z
スーパーロボット大戦L
小説版 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY
アニメ アイドルマスター
アイドルマスター2
ボンボン漫画版面白いから皆見てね!
このSSまとめへのコメント
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