杉下右京「ひぐらしのなく頃に」 (192)
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杉下右京「ひぐらしのなく頃に」
杉下右京「ひぐらしのなく頃に」 - SSまとめ速報
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鷹野「どういうことよ……一体、どこからがあなたの仕組んだことなの!?」
富竹「…………」
右京「鷹野さん……あなたは、富竹さんが自らの行動を調査していることに気が付きました」
右京「ただし、それほど動揺はしなかった……どういう形であれ、富竹さんはいずれ真実を知ることになる」
右京「それが早くなるか遅くなるかの違いだけ……あなたはあえて、富竹さんを泳がせて自らを調べさせた」
右京「富竹さんは非常に優秀な方です、全ての事実を知るまでにそう時間は掛からない……」
右京「そして、タイミングを見計らい……あなたはこう持ちかける」
鷹野『ジロウさん、あなたには私と一緒に生きてほしいの』
右京「有能かつ地位もある富竹さんを自分の側へと引き込めれば、あなたにとっては非常に都合がいい」
右京「富竹さんは少なからずの好意をあなたに対して持っており、尚かつあなたを信頼していましたからねぇ」
右京「場合によっては、上手く仲間に引き込めるのでは……そう考えたのでしょう」
鷹野「…………」
右京「しかし、富竹さんはあなたの側には付かなかった……当然、そうなるパターンもあなたは想定していたはずです」
右京「全ての真実を知り、尚かつ自らの味方にならないのであれば、富竹さんを生かしておくわけにはいきません」
右京「そこであなたは……H-173と言いましたか、雛見沢症候群の末期症状を引き起こす薬物を用いた殺害の準備を前もって行っていた」
鷹野「…………」
右京「しかし、一つだけ問題がありました……H-173は、既に存在しているはずのない薬物であったことです」
右京「処分されている薬物を所持していることが富竹さんに知られれば、予定より遥かに早い段階で自分に疑いの目を向けられてしまう」
右京「そのような薬物を自ら隠し持っているのは危険です……いつ、富竹さんの目に入るか分かりませんからねぇ」
右京「そこで、あなたは思い付いた……自分だけしか手を振れず、富竹さんは見向きもしないであろう、絶好の隠し場所を」
右京「それが……入江診療所の薬品棚です」
亀山「入江先生が言ってたんだよ、入江診療所にある全ての薬品を管理しているのはアンタだって!」
鷹野「…………!」
右京「忍の心得の一つには木陰の大事、すなわち『木を隠すのならば森の中』……というものがあるそうです」
右京「あなたは、それと同じことをしようと考えた……」
亀山「数え切れないくらいに並んでる薬品の中だったら、その薬物を紛れ込ませても目立つことはない!」
亀山「しかも薬品を管理しているのはアンタだ! 入江先生が全ての薬品をチェックするなんてことも有り得ない!」
亀山「アンタはそう考えたんだ!」
鷹野「…………!」
右京「しかし……あなたのその『準備行為』が、僕たちの付け入る隙にもなりました」
鷹野「何ですって……?」
右京「以前、僕は富竹さんと入江医師に自らが刑事であることを明かして会ったとき……二人に、ある頼み事をしました」
鷹野「…………」
右京「入江医師には……『入江機関にある全ての薬品を、もう一度調べてもらえないか』と」
鷹野「!」
右京「その結果……この世には既に存在しないはずの、あなたが隠し持っていたH-173が薬品棚から発見されました」
右京「その瞬間、あなたが薬物で何者かを殺害しようとしていると……我々は確信を得られたのですよ」
鷹野「……それで、ジロウさんには何を?」
右京「…………」
右京「『鷹野三四に薬物を注射された場合……効き目があったふりをしていただきたい』と」
鷹野「まさか……!」
右京「お察しの通り……入江医師は単にH-173を発見しただけではなく、中身の入れ替えも行っていたのですよ」
鷹野「じゃあ……私がジロウさんに投与したのは……!」
右京「H-173などではありません……ただの栄養剤です」
鷹野「…………!」
右京「富竹さんには、あなた方に『殺害に成功した』と思わせるためにしばらくは行動を控えてもらいました」
富竹「表立った活動をしなかった間に、僕は『番犬』部隊を呼んだ……あとは『番犬』が到着するまでの間、時間稼ぎをしてもらう……」
鷹野「…………」
鷹野「……園崎家に逃げ込んだのも、三手に分かれて逃走したのも、山で罠を使いながら山狗と戦闘したのも」
鷹野「全て……時間を稼ぐためだった……!」
右京「ええ……その通りです」
富竹「……もう君の負けだ、鷹野さん」
鷹野「…………」
鷹野「……認められるわけないでしょう、そんなの」
富竹「鷹野さん……!」
鷹野「私は雛見沢症候群の研究に人生のすべてを注いだ……理不尽な思いもたくさんした……」
鷹野「それでも私は耐えた……耐えて見せた……おじいちゃんとの研究が、いつか必ず評価されると信じて」
右京「…………」
鷹野「なのに現実は……雛見沢症候群の研究を三年後に打ち切る……『東京』の派閥争いなんてくだらない理由で!」
鷹野「ここまでやって来て、認められるわけがない……おじいちゃんとの研究を再評価させる……!」
鷹野「おじいちゃんと私の名前を歴史に残して……そして私たちが神になる……!」
鷹野「そのためは……古手梨花の命を奪って! 雛見沢村そのものを消し去ることがどうしても必要だったのに!」
右京「…………」
右京「神になる……人間ならば、誰もが一度は考えることでしょう」
右京「全人類から敬愛の眼差しを向けられ、自らの意思一つで人々に幸福をもたらす……歴史に名を残すような、そんな神に」
鷹野「そう……だから、私は雛見沢を浄化して……この地の神のオヤシロ様として……!」
右京「いい加減に目を覚ましなさいっ!!」
鷹野「っ!」
右京「あなたの言う歴史に名を残す神がいるように……この世には、まったく別の神も存在しています……!」
右京「人々の命を容赦なく奪い取り、畏怖の対象となっている……『死神』という名の神が……!」
右京「あなたは自分の敬愛するお祖父さんをっ! 『死神』にするところだったのですよっ!!」
梨花「…………」
梨花は目の前にいる鷹野が、とても『小さく』見えた。
身体は大きく成長している鷹野ではあったが……根底の部分では自分と全く変わらない……
ただ一つの願いを成し遂げようと、強く思い続けていただけなのだ。
鷹野は既に大人だった、それゆえに願いを成し遂げるためには美しい方法ばかりでは不可能だと理解していた。
曲げられた方法を重ねていくうちに……きっと、取り返しがつかなくなってしまったのだろう。
梨花『こんなのってないわね……羽入』
羽入『…………』
梨花『あれだけ恐ろしいと思った鷹野は、私とほとんど違わない……唯一違うのは』
梨花『私には、頼れる仲間がいた……ただ、それだけ』
羽入『梨花……』
その時、山道を登ってきた二つの影が
魅音「梨花ちゃん! 圭ちゃん! みんな無事!?」
梨花「魅ぃ! それに詩ぃも!」
詩音「あらら……何だか、もう全部終わっちゃったみたいですよ?」
そして、その反対からは
沙都子「梨花! ご無事でしたか!」
梨花「沙都子!」
梨花に抱きつく沙都子の後ろから
伊丹「なーにが『ご無事でしたか』だ……俺らはご無事じゃないんですがねえ、お嬢さん!」
疲労困憊した三人が息を切らしながら現れた。
沙都子「あれだけ気を付けろと注意をしていましたのに、皆さんが悉く私の罠に引っかかるからですわ」
伊丹「っ……これだから子供は嫌いなんだ!」
赤坂「……一足遅かったようですが、どうやら全員無事だったようですね」
梨花「赤坂!」
レナ「あはは……何か、みんな揃っちゃったね?」
圭一「そういや、大石さんはどうしてるんだろうな……」
魅音「さあ……何か裏で色々と動いてくれたみたいだけどね、県警本部の人とやり合ったり」
鷹野「…………」
鷹野「……何だ、そういうことね」
今、分かった……古手の巫女、生まれながらにして神の力を授かった彼女と自分の違いを。
彼女の周りには、あんなにたくさんの人がいる、笑顔の人がたくさんいるのに
自分は……一人きりだ。
その時だった
大石「だから待ってって言ってるでしょうがっ! 被疑者は確保したも同然の……」
大高「県警本部の捜査指揮に口出しをする権利は君にはない!」
大石「だからってね! 一人の被疑者を捕まえるためにこんな武装してる戦力を引っ張ってくるなんておかしいでしょ!」
見れば、登頂への道を大石と……見慣れない警官、加えて十人ほどの機動隊のような集団が歩いてくる。
亀山「な、何だってんですかあれ……」
右京「…………」
鷹野「…………」
唯一、鷹野は理解していた。
『東京』の息のかかった県警本部の刑事、それが指揮する機動隊……
大高「全員、退避せよ! 鷹野三四は武装した凶悪犯であり、いつ我々を強襲するか分からない!」
亀山「はっ!? 待ってくれよ! 鷹野三四はもう武装解除してる! 今は……」
鷹野「…………」
役に立たなくなった私を、飛べなくなった雛を、始末するつもりなのだと。
鷹野「フ……フフ……私にはお似合いの最期ね……」
右京「鷹野さん!」
鷹野「さあ、私はここよ! 雛見沢を壊滅させようとした鷹野三四は、ここにいるぞ!」
そう言いながら両手を広げ、全身を投げ出すような格好をする鷹野へ
大高「全員、構えっ!!」
伊丹「オイ! ちょっと待っ……!」
大高「撃てっ!」
県警刑事は、容赦なく発砲命令を下した。
それは一瞬だった
右京が鷹野三四へ飛び込み、飛んでくる弾を避けさせ
圭一たちが咄嗟に銃の斜線上から移動し
亀山と赤坂が発砲部隊に突っ込み、鷹野への照準をずらした。
その一瞬の間だけ
まるで、『時が止まっている』かのように感じられた。
伊丹は大高に掴みかかり
伊丹「てめぇこの野郎! 被疑者は非武装だぞ! なんで発砲命令を出しやがった!!」
大高「や、奴は凶悪犯だ! 万が一の危険を排除すべく、こちらから発砲命令を出せとの指示が上から……!」
亀山「上からの指示ぃ!? ふざけるな! 今の発砲命令で、何人の死人が出るところだと思ってんだ!」
赤坂「そして上とは……どうせ、あなたが裏で繋がっているきな臭い連中でしょう」
大高「っ」
伊丹「いいかよく聞け! お前なんざ刑事でもなんでもねぇ!」
亀山「ああ、テメェみたいなのがいるから警察組織が腐ってくんだよ!!」
激昂して大高に殴りかかろうとする二人を
芹沢「ちょっとちょっと! 二人とも、殴るのはダメですって!」
三浦「抑えろ!」
右京は、自ら撃たれにいくような仕草をした鷹野に対して
鷹野「…………」
右京「鷹野さん! 今、あなたは何をしようとしたのですかっ!」
鷹野「…………」
鷹野「……どうせ、私の夢はもう終わり……だったら、私にこの世で生きる価値なんかない……!」
鷹野「犯罪者になって生き長らえるくらいなら……いっそ、死んだほうが……」
右京「生きなさいっ!! どんなに辛かろうと罪を償いっ! 亡くなったあなたのお祖父さんの分まで!!」
右京「精一杯、生きなさいっ!!」
富竹「……君は一人じゃない、鷹野さん」
鷹野「!」
富竹「杉下さん……彼女をこんな道へ進ませてしまったのは、周りの環境のせいもあります」
富竹「僕が彼女の抱えているものに気付けていれば……僕が彼女の力にもっとなれていれば……!」
富竹「……鷹野さん、何も出来なかった僕のことを許してほしい」
鷹野「ジ……ジロウさん……!」
富竹「そして……願わくば、これからも君の側で……!」
鷹野「…………っ」
富竹の腕にすがって、鷹野は大声をあげて泣いた。泣き続けた。
今まで現れることのなかった、鷹野自身ですら求めようとしなかった理解者が
今は、すぐ側にいるのだから。
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赤坂「大高はやはり、『東京』から指示を受けていたようです……まあ、本人に『東京』という組織の自覚はありませんでしたが」
赤坂「山狗も番犬が抑えました……全て、片が付いたと言っていいでしょう」
右京「ご苦労さまです、あなたには大変お世話になりました」
赤坂「こちらこそ……杉下警部」
右京「何でしょう」
赤坂「いえ……機会があったら、また……いずれ」
右京「ええ、いずれ……また」
鷹野「…………」
鷹野は連行される直前
鷹野「ねえ……名前を聞かせてもらえないかしら?」
右京「名前、ですか?」
鷹野「考えてみれば……私、あなたから一度も自己紹介をされていないのよ? 最後くらいは、ね?」
右京「…………」
右京は胸元から警察手帳を取り出し
右京「警視庁特命係、杉下右京です」
亀山「同じく、亀山薫です」
鷹野「杉下右京……亀山薫……いい名前ね」
鷹野「杉下右京さん……一つだけ、あなたの推理に間違っているところがあったわね」
右京「おや……それは、どこでしょう?」
鷹野「あなた……」
右京『有能かつ地位もある富竹さんを自分の側へと引き込めれば、あなたにとっては非常に都合がいい』
右京『場合によっては、上手く仲間に引き込めるのでは……そう考えたのでしょう』
鷹野「そう言ったわね?」
右京「ええ、間違いなくそのように」
鷹野「……私がジロウさんを仲間に引き入れたかったのは、彼が優秀だとか監視員だとか、そんな打算的な目的じゃなかったのよ?」
右京「…………?」
鷹野「ただ、『彼には、私の側にいてほしかった』……それだけの簡単な理由よ……」
右京「…………」
亀山「……最後に、やられちゃいましたね?」
右京「…………」
右京「亀山くん」
亀山「何ですか?」
右京「…………」
右京「……女性の恋心とは、実に読めないものですねぇ」
亀山「……否定はしないっすよ」
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魅音「えっ!? 右京さんたち、もう帰っちゃうの!?」
右京「元々、『綿流しの警備』が僕たちの仕事でした」
亀山「『綿流し』の後もこの村にいたからな、さすがに戻らないと……ねぇ、右京さん?」
右京「そうですねぇ……つまりは、そういうことです」
圭一「そっか……そうだよな……けど、また会えるよな!」
右京「ええ……いつか、必ず」
沙都子「あの……右京さん、亀山さん……私、その、まだちゃんとしたお礼を言えて……」
亀山「なーに言ってんだよ、馬鹿なことで悩むなっての」
よし、『東京』潰しにいこう
レナ「レナも……お父さんのこと……本当に……!」
右京「僕たちは、何か特別なことをしたわけではありません……単なるお節介に過ぎませんよ」
詩音「私も……悟史くんのことばかり考えちゃって暴走した時、二人のおかげで……!」
亀山「あれは俺たちより、圭一たちに感謝しろって言っただろうよ?」
詩音「それでも……本当に、ありがとうございました」
梨花「…………」
右京「…………」
右京「……長い、数日間が終わりましたね?」
梨花「……二人のおかげなのです、僕だけの力ではとても……」
右京「おやおや……これはまた、ずいぶんと不思議なことを言いますねぇ」
梨花「…………?」
亀山「自分で言ってただろ、『助け合えるのが仲間、友達』だって」
右京「ならば、助けるのは当たり前のことじゃありませんか……僕たちは、『友達』なのですから」
イタミンも友達
亀山「なっ、お前もそう思うだろ! 沙都子!」
沙都子「ええ、友達は本当に良いものですわ……それをきっかけに、過去に自分のしてしまった罪も見つめ直すことも……」
沙都子「…………!」
詩音「沙都子……!」
右京「…………」
右京「……一つだけ」
沙都子「?」
右京「沙都子さんにとっては辛い記憶でしょうが……二年目の鬼隠しとされる、あなたのご両親が被害者となった事件」
右京「それについて、沙都子さんは」
沙都子『両親の手が私の肩や腹部に触れて……恐ろしい笑みを浮かべながら……私も谷底へ引き込もうとして……』
右京「そう言っていました……」
梨花「それが……どうかしたのですか?」
右京「これは何の根拠もない、僕の個人的な推察なのですが……」
右京「沙都子さんの両親は、沙都子さんを道連れにしようとしたのではなく……」
右京「彼女を……助けようとしたのではありませんか?」
沙都子「私を……助けようと……?」
右京「ずっと気になっていました……何故、谷底へ落下する直前の人間が笑みを浮かべるのだろうと」
右京「また……肩や腰という体の根幹部分には手を触れているのです、引っ張る気になれば服だろうとなんだろうと掴むことは出来ます」
亀山「けど、沙都子は谷底へ落ちてないって事は……引っ張る意思がなかった?」
右京「我が子の体に触れ、笑みを浮かべ、それでいて道連れにしようとしたわけではない……これらを結び付けるには」
右京「自分たちと共に沙都子さんが谷底へ落下しないよう突き飛ばし……あなたの安全を確信した安堵感から、笑顔になった……」
右京「このように考えるのが、最も合理的だと僕には思えるのですがねぇ」
沙都子「……っ!」
右京「あなたのご両親は、谷へ落ちる最後の瞬間まで子供のことを考え続けた……本当に、素晴らしい方々だったのだと思いますよ?」
亀山「過去を見つめるのもいいけど、右京さんが言ったことも忘れないようにな」
沙都子「…………」
沙都子「……お二人には、もう何も言えませんわね」
梨花「そうなのです……感謝という言葉だけでは、この気持ちを表すことは出来ないのですよ」
右京「…………」
梨花「……さよならは言わないわ、また……必ず会えるって信じてるから」
右京「では、僕たちもそのように……『また、会いましょう』」
亀山「『またな!』」
そう言って背中を向ける二人に、梨花は最後の……
どうしても聞きたかった問いを投げ掛ける。
梨花「待って! どうしてあなたたちは……最後まで諦めずに戦い抜けたの……?」
右京「…………」
亀山「…………」
二人は
私の問いかけに小さく笑いながら
右京「僕はただ、真実が知りたかっただけです」
亀山「俺は、この人の相棒だからな」
そう言って……彼らは、雛見沢から去っていった。
梨花「……ありがとう」
梨花「右京はなんで離婚したの?」
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警視庁、特命係
亀山「いや、なんていうか……濃い数日間でしたねー」
右京「ええ、僕も珍しく君と同感です」
亀山「何かこう、色々と不思議な体験もしましたよ! 頭の中に声が聞こえたり……なんて気のせいっすけどね!」
右京「君の神のお告げはともかく……不思議なことは、実際に起こり得るものなのですねぇ」
亀山「えっ、何か右京さんにもあったんですか? あの村で」
右京「時間跳躍です」
亀山「……はい?」
亀山「時間跳躍って……な、何ですかそれ!?」
右京「君は少しも疑問に思いませんでしたか? あの村の様子を見て」
亀山「えっ?」
右京「僕たち以外、誰も携帯電話を持っていなかったじゃありませんか」
亀山「いや……田舎なんですから、携帯持ってないくらいで、なーにを言ってるんですか!」
右京「決定的なのは、鬼隠しがあった事件の日付です……君も資料は見たはずですよ?」
亀山「鬼隠しがあった日付……確か……」
『昭和54年6月24日……ダム工事現場の……』
亀山「えっ……えっ!?」
右京「君は、とっくに気が付いているものだとばかり思っていたのですが……」
亀山「じゃ、じゃあなんですか? あの村は過去の村で……俺たちはタイムスリップでもしてたってことですか?」
右京「可能性は、十分に考えられると思いますよ?」
亀山「ははっ、まっさかそんなことあるわけないじゃないですかー! 資料の間違いとか、そんなんですって!」
亀山「第一、それが本当なら俺たちへ来た『綿流しの警備』って依頼は誰から来たって言うんです?」
亀山「何にしても! タイムスリップなんて有り得ないですって、このご時世!」
右京「君、夢がありませんねぇ……不思議なことの一つや二つ、あってもいいじゃありませんか」
亀山「……なんか右京さん、こういう話、好きですよね?」
角田「よっ、お二人さん! 暇か?」
亀山「お久しぶりです、角田課長!」
角田「もうねーお前らがいないと仕事に身が入らねえんだよな、何でか知らないけど」
角田「って、そうじゃなかったな……あれだ、二人にお客さんだ」
亀山「客? 俺たちにですか?」
角田「そうそう、なんでも『大恩ある特命係の杉下さんと亀山さんにお礼が言いたい』って」
亀山「へー、どんな人ですか?」
角田「男が一人で他は女だったな。いやー女は綺麗な人ばっかりでさ、中には双子もいたんだよ」
亀山「……男一人で、あと女の子で、双子がいた? もしかして……6人組だったり、しないっすよね?」
角田「そうそう6人組! 二十代から三十代ってところかねぇ?」
亀山「…………」
亀山「……右京さん」
右京「行きましょう」
右京と亀山が待合室へ向かう、そこには見覚えのある六人がいた。
雰囲気こそ僅かに変わってはいたが、二人は確信できた。
彼らは間違いなく、自分たちの『友達』であると。
共に戦い抜いた、『仲間』であると。
二人は部屋に入り、そして彼らと顔を合わせる。
そして、右京は笑顔で語りかけた……
右京「『また、お会いしましたね』……以前と同じ、この時期に……そう」
右京「--ひぐらしのなく頃に」
fin
お疲れ様でした、細かいミスとか設定変更とかはあるけど勘弁してください
フレッシュポカリとか言われた時は本当に焦った、エスパーかと思った
乙
前に何か書いたのがあれば是非教えて
>>139
銀魂クロスだのをわちゃわちゃと
また機会があったらよろしくお願いします
次は
コナン「うみねこのなく頃に」
が見てみたい(提案)
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