P「夕立」 (22)


美希「ハニー!」

P「暑い! 抱きつくな!」

美希「ハニー! 今日はね、美希いーっぱいお仕事したい気分なの!」

P「……こりゃ雨が降るな」


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P「あっつー」

春香「暑いですね〜。夏! って感じですねプロデューサーさん」

P「だなー。あつー」

春香「もう、だらしないですよプロデューサーさん。もっとシャキっとしてください」

P「だってあついんだもん」

 …………。

春香「ねぇプロデューサーさん。もしよかったら、またみんなで海に行きたいなーって」

P「う〜ん」

春香「だめ、ですか?」

P「う〜ん……帰ってスケジュール調整するか」

春香「! さっすがプロデューサーさんです!」

P「こら! ひっつくな! 暑い! ……ん?」

春香「くもって、きましたね」

P「こりゃ降るな。春香、走るぞ!」

春香「は、はい!」

 …………。

P「もー! クリーニング出したばっかのスーツ!」

春香「は、早い、早いですプロデューサーさん!」

P「新調したワイシャツー!」

春香「ま、待ってくだ、きゃっ!」

P「!?」

春香「うぅ。……あれ? 痛くない」

P「大丈夫か?」

春香「プロデューサーさん……ご、ごめんなさい! ズボンぐちょぐちょ」

P「あー。もう気になんないからいいよ。怪我はなかった?」

春香「は、はい。……プロデューサーさん。私もすっごい濡れてません?」

P「濡れてる。びしょびしょ」

春香「ですよね〜。はぁ、乾くかな」

P「ってか事務所戻れないなこりゃ。家帰って着替えてくるか」

春香「プロデューサーさんの家ってこの近く何ですか?」

P「すぐそこだよ。……春香も着替えるか? あるものでよければ貸すけど」

春香「それって……え、えぇ?! い、いきます行きます! 絶対行きます!!」

P「ジャージぐらいしかないぞ?」

春香「なくてもいいです! 雨様々ですよ! 様SUMMER!!」

P「……Yシャツ、あったかな?」


伊織「ちょっとアンタ。なんで車じゃないのよ! このクソ暑い中を歩けっていうわけ!」

P「すいません」

伊織「……車2台あったわよね?」

P「律子と社長が使ってます」

伊織「……律子はいいわよ。なんで社長が乗ってるわけ!」

P「そりゃ新車だから乗り回したいんだろう」

伊織「業務に支障が出てるじゃないの! ああもう、暑いからそこのコンビニで涼むわよ!」

P「……20mごとぐらいに涼んでないか?」

伊織「溶けちゃうじゃない! アンタは私が溶けちゃってもいいってわけ?」

P「その時はほら、ちょうどペットボトル持ってるし。とけりん入れてやるって」

伊織「ほ、ほら暑さで頭がやられちゃってるから涼みましょ」

 …………。

P「お、春香のグラビア出てる。買ってこうかな」

伊織「すっごくあざとくない?」

P「かわいいからいいんだよ。それに伊織も似たようなもんだろ」

伊織「……アイスおごりなさいよアンタ」

P「はいはい。……外すごいな」

伊織「夕立、ね。ほら涼んで正解だったじゃない」

P「だな。といっても時間もあまりないから傘買って出るぞ」

伊織「……しょうがないわね。ほらさっさとレジ行きなさいよ」

P「伊織、ビニ傘もう1本」

伊織「1本でいいでしょ」

P「俺に濡れろってのか?」

伊織「ふ、2人で入ればいいじゃない! さっさと買ってくる!」

P「はいはい。仰せのままに。お嬢様」


P「……」カチカチ

雪歩「……」カキカキ

P「……涼しいな」カチカチ

雪歩「……」カキカキ

P「雪歩ー、何書いてんの?」

雪歩「……」カキカキ

P「んー。ポエム?」

雪歩「み、見ちゃダメですぅ!」

 …………。

P「雨かー。濡れるから嫌なんだよねー」

雪歩「そうなんですか?」

P「雪にまでなっちゃえばいいんだけどなー」

雪歩「雨もいいですよ?」

P「そう?」

雪歩「はい。恵みの雨ですから」

P「……恵みの雪歩」

雪歩「ふぇ?!」

P「なんでもない」


P「……うん。捕まった」

貴音「はて、捕まったとはなんのことでしょうか?」

P「渋滞。悪い」

貴音「あなた様が謝ることではありませんよ」

P「はー、なんでこんなに混んでるんだか。あ、貴音寒かったら言ってくれよ?」

貴音「ええ」

 …………。

P「雨まで降ってきやがった。まぁ車の中だからいいか」

貴音「……」

P「貴音?」

貴音「……雨とは、美しいものですね」

P「そうかぁ? 鬱陶しいだけだと思うけど」

貴音「春雨。梅雨。秋雨。雨と四季。移ろいゆく雨が四季を呼んでくる……」

P「確かに。日本は雨の多い国だし、表現も増えるか」

貴音「ええ。春はしとしとと、夏は驟雨」

P「……俺には難しいことはわからんぞ」

貴音「感じれば良いのですよ。夏は暑いのです。雨は誰が望むとも望まざるとも降るのです。自然を楽しみましょう」

P「だな」

貴音「ええ」

P「ま、貴音がいるから楽しめるんだけどな」

貴音「……この雨が何時までも続けばいいと思ってしまいますよ?」

P「……渋滞もいつまでも続けばいいな」


亜美「ねーにーちゃんにーちゃん! 暇だよ暇ー!」

P「こっちは仕事で忙しいんだ」

亜美「ひーまー! 外もでれないー!」

P「あーうるせー! ほれ、これでもやってろ!」

亜美「なーにこれ」

P「パズル」

 …………。

P「……静かになったな。そんなにはまるか? あれ」

亜美「……スースー」

P「って寝てるのか。しかも腹出して。風邪ひくぞ」


真美「ねーにーちゃんにーちゃん。暇だよ暇ー」

P「こっちは仕事で忙しいんだ」

真美「ひーまー! 外もでれないー!」

P「あーうるせー! ほれ、これでもやってろ!」

真美「なーにこれ」

P「パズル」

 …………。

真美「……」

P「ん? 寒いか?」

真美「……暇だからくっついてんの」

P「……そっか」


真「ふぅ。いい汗かきましたねプロデューサー!」

P「死ぬ! 焼け死ぬ! 水が足りない!」

真「なっさけないなー。普段の半分くらいですよまだ」

P「俺は! アイドル! じゃない!」

真「普段運動しないからですよもう」

P「……ってなんで俺もダンスレッスンしてんだ?」

真「たまにはいいじゃないですか。気持ちよかったですよね?」

P「たまに、な。毎日やってたらバックダンサーデビューだ」

真「あ、目指しちゃいます!」

P「ふざけろ! さっさと事務所に戻って着替える」

真「えー。面白そうなのに」

P「死んじゃうだろ俺が。……しかしスタジオと事務所がドアトゥドアで3分か」

真「便利ですよね!」

P「だからって着替え持ってこないのはどうかと思うぞ」

 …………。

P「っと、雨降ってるな。走るか真。……真?」

真「へへっ、プロデューサー! 天然のシャワーですよ!」

P「なにやってんだ。風邪ひくぞ」

真「ほらほら! プロデューサーも! うりゃ!」

P「おいこら! ……ったく。このやろう! これでもくらえ!」

真「あ! やったなプロデューサー! ダイレクトアターック!」

P「うぉ! 重い重い!」

真「びしょびしょならぬ美女美女ですよ!」

P「あ、急に寒気が」

真「えー!」

P「水も滴るいい真ってか」

真「急に寒気が」

P「おい」

やよい「今日もいいお天気です! せんたくものもいーっぱい干してきちゃいました!」

P「天日干しが1番だよな。じゃ、お仕事終わったし帰るか」

やよい「はい! 帰りましょう! お疲れ様でした!」

P「おいおい、送るってば。外暑いぞ」

P「冷房寒かったら言ってくれよ?」

やよい「はい。大丈夫でーす。なんかスーパーの地下1階にいる気分かも」

P「……それっていいのか? ああ、涼しいってことか」

やよい「あれ? プロデューサー。雨降ってます?」

P「ん? ほんとだ。降ってきたな。……どうしたやよい?」

やよい「せ、せんたくものがー! プロデューサー! 急いでください!」

P「後ろに座ってなさい! もう付くから」

やよい「こ、ここでいいです! ありがとうございました!」

P「……俺も行くか」

 …………。

やよい「せんたくもの取り込まないと!」

かすみ「お姉ちゃんおかえりー」
浩太郎・浩司「おかえりー」

長介「お帰り姉ちゃん。どうしたの? そんなあわてて」

やよい「おふとん! お洋服!」

かすみ「あ、せんたくもの? みんなで入れておいたよ」

やよい「え? ほんと?」

浩太郎「うん! にーちゃんすげーはりきってた!」

長介「こら! 言うなよ」
浩司「ぼくもやったー!」

やよい「かすみ、長介、浩太郎、浩司。ありがと!」

P「こんちわー」

かすみ「あ、お兄ちゃんだ」

浩太郎「にーちゃん! おれせんたくものいれたんだぜ! すげーだろ!」
浩司「すげーだろ!」

P「おお! えらいえらい」

浩太郎・浩司「へへー」

やよい「かすみも長介もえらいえらーい」

かすみ「えへへー」

長介「な、なでるなよ姉ちゃん」

P「えらいえらい」

長介「プロデューサーまで!」

P「よーし、そんなえらい子たちには兄ちゃんが飯をおごってやる!」

浩太郎「おれにくたべたい!」
浩司「ぼくもぼくも!」
長介「……俺も肉!」

P「じゃあ焼肉だ! 食べ放題だ!」

やよい「うっうー! プロデューサーとみんなでご飯です! だったら毎日雨ふってほしいかなーって!」

P「それは俺の家計簿が赤字になっちゃうから。たまになたまに」


P「くっそ! 機材大丈夫かこれ! PAさん大丈夫ですか!?」

PA「このくらいの雨へっちゃらよ!」

P「千早は大丈夫そうだけど。すこしは自重してくれよ雷さん」

 …………。

千早「ふぅ。お疲れ様でしたプロデューサー」

P「お疲れ千早。大丈夫だったか? 中止も考えたんだけど……」

千早「いえ。この程度の雨ならコンディションは崩れません。それに、私の尊敬するアーティストは雷雨の中でライブをしていました。それに近づければと」

P「誰だそりゃ」

千早「B'zです」

P「ああビーズか」

千早「ビー↑ズ↓です」

P「ビーズだろ?」

千早「ビィ↑ズ↓です!」

P「わかったわかった。ほら風邪ひくぞ」

千早「ありがとうございます」

P「水いる?」

千早「いただきます」

P「はい。……」

千早「な、なにするんですか!」

P「いや、タオルかぶってちびちび飲んでるの見ると年相応の女の子だな」

千早「……高校生を撫でる大人はいないと思いますが」

P「乾かしてるんだよ。そういうことにしとけ」


P「もう打ち合わせは律子1人でいいんじゃないか?」

律子「もー。そんなこといってホントはサボりたいだけでしょ」

P「そんなことないって。事務所が涼しいからだよ」

律子「本音が出てますよプロデューサー殿。……あ、雨」

P「やっべ。傘持ってきてねぇ」

律子「はいどうぞ。今度からは携帯してくださいね?」

P「おお。サンキュ」

律子「……1個にすればよかったかな?」

P「ん? 何か言ったか律子?」


あずさ「すいません。プロデューサーさん」

P「まったくですよ。おかげで雨のなか走り回ったじゃないですか。……ってその傘の量は何ですか?」

あずさ「えっと。雨宿りをしていたらいろんな男性の方から頂いてしまって〜。どうしましょう?」

P「……ほら、寄こしてください。こ、これでいいでしょ」

あずさ「そうですね〜」

P「迷子禁止。ですよ」


響「あっついぞー」

P「うるへーおきなわん」

響「なんだぞーそれ」

P「おきなわんならこんな暑さ屁の河童だろ」

響「こっちの暑さは沖縄とは違うんだぞ。なんかこう、重いっていうか」

P「ぬーん」

響「暑くても海に入れないし。風もほとんどないだろ」

P「そうさまー」

響「ちゅら海が恋しいぞー! 暑いぞー!」

P「ちゅらさん」

響「……プロデューサー、話聞いてた?」

P「聞いてた聞いてた。ちゅらさんがはってんまいけるなんだろ?」

響「聞いてないし!」

 …………。

響「……プロデューサーがだらけてるからこんな事になるんだぞ」

P「俺は気象を操れるのか。こりゃまたプロデューサーランクが上がったな」

響「……コンビニ見つけるたびに涼んでたから雨に捕まっちゃったんだろ!」

P「しかもこんな軒先しか雨宿りするスペースないし!」

響「そうだぞ! ……あれ?」

P「おきなわん! 出動だ!」

響「どこにさー!」

P「そりゃ地球の平和とか心の安寧とかをもたらす旅に」

響「旅に出るの?!」

 …………。

P「……沖縄もさ、こんなふうに夕立降るのか?」

響「うん。でもあっちのはもっと雨が暖かい感じ」

P「ふーん」

響「だからみんな傘もささないんだ。すぐ乾くし」

P「そりゃいいな」

響「でしょ! ……ねぇ、プロデューサー。いつか1緒に沖縄行こうね」

P「そうだな。行こうか……どうした?」

響「えへへ。ゆびきりのつもり!」

P「小指だけでいいのか? じゃ5倍返し」


小鳥「あれ? まだ誰も帰ってきてないのかな?」

小鳥「……水も滴るいいぴよちゃん更衣室に参上!」

P「うわっ!」

小鳥「きゃっ! し、失礼しました!」バタン

小鳥「……あれ?」

小鳥「普通逆じゃないですか?!」バタン

P「なんで開けるんですかぁ!」バタン


社長「む、降ってきてしまったか。いやはや打ち合わせがここまで長引くとは」

社長「……止むまで待つとするか。ん? おお黒井! お前も来ていたのか!」

黒井「ふん! 貴様の顔など見たくもない。打ち合わせはもう終わりか?」

社長「ああ。だがこの雨で、な」

黒井「だから貴様は昔から要領が悪いのだ」

社長「これは?」

黒井「私は貴様と違ってまだ打ち合わせがあるのでな。1つ貸しだ」

社長「……悪いな。恩にきるよ」

 …………。

社長「しかし暑いな。少し涼んで帰るとするか」

社長「コーヒーを1杯」

社長「ん? あれは黒井?」

社長「……スーツが濡れるだろうに。全く、キザな男だよお前は」


 熱くて力尽きたよはるるん。
はるるんと縁日に行きたい。邪魔してくれるな。

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