玄「決勝戦前夜」 (67)

【ホテル】

晴絵「よし!今日はここまで!玄のドラ復活も果たしたし、白糸台、清澄、臨海の映像チェックもした!あとはぐっすり寝て、明日の本番を迎えるだけだ!」

穏乃・憧・灼・玄・宥「」コクリ

晴絵「それじゃ、解散!」

玄「ふぅ~」

宥「玄ちゃん……辛そうだけど大丈夫?」

玄「うん、大丈夫。試合が終わったあと、ずっと打ち続けてたからちょっと疲れてるけど、お風呂入ってすぐ寝れば明日には元気になるから」

宥「そっか……じゃあお風呂は玄ちゃんが先に入って。明日の用意とかは私が玄ちゃんの分までやっておくよ」ニコリ

玄「おねーちゃん……ありがとう!」

玄(おねーちゃんの優しさは、大都会東京に来ても変わらないよぉ~!)

【玄・宥ルーム】

玄「あー、気持ちよかった。おねーちゃん、お風呂空いたよ~」

宥「うん、今から入るね」

玄「わ、もう準備が終わってる。ありがとう、おねーちゃん!」

宥「ふふっ、どういたしまして」ニコリ

玄(おねーちゃー!)

宥「じゃあ私、お風呂入るね」テクテク..ガチャ バタン

玄「…………さて」

玄(まだ寝るには早い時間だけど、もう寝ちゃおう)ボフッ..

玄(………………)

玄(……明日こそは、この前よりも点を稼いでおねーちゃんに繋ぐぞー)

玄(宮永さんはとっても強いけど、決勝では……)ウツラ ウツラ

玄(ぜったいに…………勝……)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「…………あれっ?ここは……対局室?」

玄(どうして対局室に……)キョロキョロ..

照A「…………」

照B「…………」

照C「…………」

玄「わああ!!」ビクーーン!

玄「み、宮永さんが3人!?」

玄(なにこれ!?…………あ、そうか!これは夢だ!)

玄「なぁんだ……そうだよね、こんなこと普通ありえ…」

照A「ロン 10200!」

玄「え」ドキッ!

照B「ロン 10200!」

玄「ひぃ!」ブルブル..

照C「ロン 10200!」

玄「わぁあ!!」ガタガタ..

玄(夢だとわかってても……宮永さんに睨まれながらロンされると怖くて震えちゃうよぉ~!こ、こうなったら…)

玄「っ!」ダダダッ!

玄(逃げる!本当の対局なら逃げられないけど、これは夢なんだから逃げるが勝ち!)ダダダッ!

【繁華街 回転寿司屋 店内】

玄「ふぅ~……助かった…………あれ?」

玄(無心で逃げてたらいつのまにかお寿司屋さんに来てた……でも逃げられたからいいか)ホッ

玄「よぉし、どうせ夢だもん。贅沢に食べちゃおう!」

玄「う~~~ん………食べたいのが流れてない……直接頼もう。すいません、タコください」ハーイ

照「へい、少々お待ちを」

玄「えっ」

照「…………」ニギニギ..

玄「あ……あ……」

照「…………ツモ 6200オール!」

玄「ひぃいっ!!」ガタッ!

玄(逃げろー!!)タタタタッ!

玄「…………ふぅ、なんとか逃げられた」テクテク

玄(でも走り回ったせいで汗かいちゃったよ……何か拭くもの……)

?「ティッシュどうぞー」

玄(……この展開は……まさか)チラ

ティッシュ配り「?」

玄「あ……すいません、ありがとうございます」

玄(宮永さんかと思ったけど、違ってよかった………っと、ティッシュで汗を拭こう)チラ

照「ロン 10200!」←ティッシュのパッケージ

玄「ぎゃあああああ!!」バターン!

ザワザワ..

玄「うぅ……」

?「大丈夫ですか?」

玄「え?あ、はい……なんとか…」

通行照A「では……ロン 10200!」

玄「!!?」ビクッ!

通行照B「私も……ロン 10200!」

犬照「ワンワン!ロン 10200!」

玄(宮永さんがいっぱい!!怖いよぉおおお!!!)

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「はっ!!」ガバッ!

玄「……………………」

玄「あれ?ここは……ホテル……」

玄(そっか………夢だったんだ……怖すぎてすっかり忘れてた)ホッ

玄「…………」

玄(それにしても……こんな夢を見るなんて……宮永さんのことがトラウマになりかけてるのかな?)

玄(…………ううん、そんなことないよね。明日は勝とうって思ってるし!ただ寝る前に宮永さんのことを考えてたせいだよ)

玄「よぉし」ゴロン

玄(今度こそ何も考えないで寝よう。宮永さんのことを考えたら、連続和了とか連荘された記憶が蘇って怖くなっちゃうもん)

玄(…………)グゥー..

玄(あ……お腹空いてきた……けど、寝ちゃえば平気。明日の朝、いっぱい食べればいいよね……)ウツラ..

玄(ホテルでバイキングとか……あったっけ…………そうだ。夢の中で食べられ……なかった…………タコ……を…………)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「……ん」

玄「…………ここは……また対局室!?ということは……」

玄(また宮永さんが……?)ハワワ..

優希A「タコスうまーっ!」

優希B「ほんとほんと!」

優希C「その通りだじぇ!」

玄「あ、片岡さん……」

玄(宮永さんじゃなくてよかった……)ホッ

優希A「っと、タコスを食べ終わったところで……」

玄「?」

優希A「……ここからは私の連荘で終わらせる」

玄「へ?」

優希A「この試合に東二局は来ない!」

玄「えええっ!?」

優希B「もし東二局が来たとしたも、私の連荘で終わらせるから東三局は来ない!!」

玄「やだよぉ!」

優希C「もし東三局が来たとしても、私の連荘で終わらせるから東四局は来ない!!」

玄「ひぃいぃ~!!!」

優希ABC「お前の親は一生来ない!!」

玄「うわぁあぁぁあ!!!!!助けておねーちゃぁあああああん!!!!!!」

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「はわぁっ!!」ガバッ!

玄「はぁ……はぁ……はぁ………」

宥「く、玄ちゃん大丈夫?」

玄「おねーちゃん……起こしちゃった?」

宥「ううん……玄ちゃんが辛そうにしてるのに寝てられないよ」

玄「お、おねーちゃん……」ジーン..

玄(おねーちゃんの優しさは、眠らない街・東京の深夜を回っても変わらないよぉ~!)

宥「うなされてたけど、嫌な夢でも見た?」

玄「うん……片岡さんが親を譲ってくれない夢を見たよ」

宥「そうなんだ……明日は決勝戦だもんね。プレッシャーを感じるのも無理ないよ……」

玄「……でも、もう遅いし……そろそろ寝ないと明日が大変だよね」

宥「そうだね」

玄「うぅ……なんかまた嫌な夢を見そうで怖いな……」

宥「うーん……そうだ。寝る前に、楽しいことを考えた方がいいかもしれないよ?」

玄「楽しいこと……」

玄(そうか。さっき宮永さんの夢を見たのは、宮永さんは強いとか考えてたせいかもしれないし!)

玄「いい方法かもしれない!ありがとうおねーちゃん!」

宥「えへへ……玄ちゃんの役に立ててよかった」ニッコリ

玄「ふぁああ……///」

玄(おねーちゃんの笑顔は、大都会東京の灰色の空を明るく照らすよぉ~!)

宥「さて、それじゃあ私寝るね」

玄「あ、うん。おやすみなさい」

宥「おやすみなさい」

玄「…………」

玄(よおし、宮永さんと片岡さんのことは考えずに、楽しいことを考えよう。)

玄(あ、そういえばこの前……テレビでマジックショー特番やってたっけ。あれ楽しかったなぁ……)

玄(一体……どうやって…………あん……なに凄い……こと………………)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「……はっ!ここは……」

玄(阿知賀の体育館?目の前に舞台があって……私はパイプ椅子に座ってる)キョロキョロ

宥「」ニコニコ

穏乃「」ニコニコ

玄「!」

玄(両隣におねーちゃんと穏乃ちゃんがいる……これは一体…………というか、薄暗いなぁ……)

カッ!

玄「うっ!」

玄(舞台に照明が当たった!)

智葉「…………」

玄「あれは…………臨海女子の辻垣内さん!?」

玄(真っ黒のマントにシルクハットをかぶって……この格好はまさか……)

智葉「…………マジックガールこと、MGサトハの……ドキドキ!先鋒マジックショー!」

玄「やっぱりっ!?」

宥「わぁー!」パチパチパチ

穏乃「待ってました!」パチパチパチ

玄(なんで辻垣内さんが…………部屋に戻る直前までDVDで研究してたから頭の中に残ってたのかな……)

玄(……でもいいか。麻雀の夢なら怖いけど、マジックなら楽しいし。むしろ辻垣内さんと対戦する時にリラックスできるかも!)フフフ

智葉「ファーストマジックは…………スプーン曲げ!」

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄「わ、すごい」パチパチ

智葉「こちらにあるスプーンを曲げます」チャリ

穏乃「おお……楽しみだ」

智葉「こうして……擦る……擦る……擦る……」スリスリスリ..

智葉「………………」スリスリスリ..

玄・宥・穏乃「…………」

玄(全然曲がる気配がないよ……)

智葉「…………」スリスリスリ..

穏乃「曲がらないじゃん」ボソッ

智葉「!」

宥「で、でも……スプーンを曲げるのって大変そうだよ?」

穏乃「わかりますけど……マジックガールならそれぐらいは……」

智葉「……高鴨さん、舞台へどうぞ」

穏乃「え?」

智葉「こちらにお越しください。私の目の前まで」

穏乃「?わかりました」テクテク..

智葉「…………」

穏乃「??」

智葉「っ」スッ

玄「えっ」

玄(日本刀を取り出して……刀を抜いた……?)

智葉「滅!」ヒュッ!

穏乃「ぎゃあああ!!」ズバババーッ!

玄「わぁああああ!!!」

宥「きゃああ!!」

玄(穏乃ちゃんを斬った!?わああ!穏乃ちゃんから血が……)クラクラ..

穏乃「ぅう…………」バターン!

智葉「…………」

玄「…………」ゴクリ..

宥「はわわ……」ガタガタガタ..

智葉「…………はいっ!!」ポーズ!

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄(はいっ!じゃないよぉ!)

智葉「」ギロリ

玄「ひっ」

智葉「…………はいっ!!」ポーズ!

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄「うぅ……」

玄(拍手しなきゃ、私も……?)

玄「っ」パチパチパチ..

宥「うぅ……」パチパチパチ..

智葉「ん」スッ..(手を挙げる)

ダヴァン「…………」テクテク

玄(あっ……外人さんが舞台袖から出てきた……)

ダヴァン「…………」ズルズルズル..
穏乃「…………」

玄(穏乃ちゃんを……連れてっちゃった……)コワイ..

智葉「……セカンドマジック!カード予言!」

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄(うぅ……もう帰りたい……でも途中で帰ろうとしたら斬られるかも……怖いよぉ……おねーちゃん……)チラ

宥「が、頑張ろ?玄ちゃん?」

玄「……うん」

智葉「松実宥さん」

宥「ふゃ、はい!」ビクッ

智葉「舞台上へ。カードを選んでもらいます」

宥「わ、わかりました……」テクテク

智葉「まず、このトランプを私が切ります」シャッシャッ.....

宥「斬る!?」ビクン!

智葉「…………」

宥「わ!な、なんでもありません!説明をお願いします!」

玄(おねーちゃんが脅えるのも無理ないよぉ……穏乃ちゃんを斬った刀を持ちながら説明するんだもん……)

智葉「……切ったカードを伏せます。では、この中から1枚選んでください」

宥「は、はい……選びました」

智葉「私は後ろを向きますので、なんのカードかを確認し、松実玄さんに見せてください」クルッ

宥「はい…………玄ちゃん」スッ

玄(スペードの5……)コクリ

宥「見せました」

智葉「それでは、そのカードをテーブルの上に裏返しで置いてください」

宥「…………終わりました」

智葉「はい、それでは前を向きます」

玄・宥「…………」

智葉「私は、あなたの選んだカードを知りません。ですが……実はこちらにある封筒の中に、すでに答えのカードを忍ばせておきました。これがカード予言です」

玄「えっ!?」

宥「す、すごい……」

智葉「…………」ポーズ!

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄・宥「…………」パチ..パチ..

智葉「………では、この封筒を開けてください」

宥「はい……」ガサガサ

智葉「開けたら、封筒の中に入っているカードのマークとナンバーを発表してください」

宥「……………く、クローバーの10です」

玄「っ……」ビクッ

智葉「そう!私が予言したのは、クローバーの10!松実宥さん、あなたが選んだカードは、クローバーの10ですね!!」ビシッ!

宥「……………………はい」

玄(おねーちゃん!ナイス判断だよぉ!ここで違いますなんて言ったら斬られちゃうもん)フゥ

智葉「………はいっ!」ポーズ

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄・宥「…………」パチパチパチ

玄(なんとか切り抜けた……)ホッ

智葉「あ……このテーブルに伏せたカードと同時に見せた方がよかったか」ヒョイ..ペラッ

宥「!!」

玄(あっ!おねーちゃんが選んだカードを見られた!本当は間違ってたことがバレちゃうよ!)ヒィ..

智葉「………………」

宥「あ、あの……その……」

智葉「滅!」シュッ!

宥「きゃああ!」ズババッ..バターン!

玄「おねーちゃー!!!!」

智葉「……………」

玄(おねーちゃんも斬られちゃった…………)ガタガタガタ..

智葉「…………はいっ!」

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄(ごめんねおねーちゃん……でも拍手しないと私も……)パチパチ..

智葉「…………」スッ

ダヴァン「…………」テクテク

玄(また外人さん…………ああっ!?)

ダヴァン「…………」ズルズル....
宥「…………」

玄(外人さんの口元に、なるとがついてた…………血まみれの穏乃ちゃんを運んだあと、ラーメン食べたんだ!怖い外人さんの見本みたいな人だよぉ!!)ビクビク

智葉「………………ファイナルマジック!!」

玄「ひぃ……」

智葉「私の格好をご覧ください。いつもの……何も着飾っていない状態です」

玄(絶対嘘だよぉ……マントにシルクハットの女子高生は存在しないもん)

智葉「そんな私が、今から動物を出します!まず、このステッキを……」ツルッ..カラーン

玄(あ……ステッキ落としちゃった)

智葉「ちっ、この……」

玄(わ、その体勢でステッキをとりに行ったら、シルクハットが落っこち…)

ポトッ..バサバサバサ!!(シルクハットが落ち、中からハトが飛んでいく)

智葉「…………」

玄「……………」

智葉「…………」

玄「え、ええと……」

玄(私は一体どうすれば……)

智葉「っ!」ダダッ!

玄「ひいい!?こっち来た!!」

智葉「滅!!」ビュッ!

玄「ぎゃああああ!!」ズバーッ..

♪~(Mr.マリックのテーマ)

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「助けてぇっ!!」ガバッ!!

宥「玄ちゃん!?」

玄「はあっ、はあっ、はあっ…………夢…………か」

宥「大丈夫?」

玄「あ、おねーちゃん……」ジワッ..

宥「?」

玄「うわぁあああん!!おねーちゃん!無事でよかったよぉおお!!」ダキッ

宥「わわ……玄ちゃん、苦しいよぉ」

玄「おねーちゃーん!!おねーちゃああん!!」ギュ--...

宥「…………なるほど、今度は辻垣内さんの夢を見ちゃったんだ」

玄「……うん。楽しかったマジックショーと、辻垣内さんの怖いイメージが重なってMGサトハが誕生した……」

宥「そっか」

玄「…………どうしよう。もうこんな時間………明日…ううん、今日は決勝なのに」シュン

宥「……確かに眠らないと大変。だけど玄ちゃんの場合は眠れないんじゃなくて、すぐに寝るけど悪い夢を見て起きちゃう…」

玄「うん」

宥「それなら、いい夢を見れるようにすれば解決だよね?」

玄「そうだけど……難しい……」ハァ

宥「ちょっと待って………」ガサゴソ..

玄「?」

宥「あった……この雑誌を枕の下に入れてから寝てみて?」

玄「え……あっ!」

玄(なんか聞いたことある……見たい夢がある時は、その内容に関係ある写真とか本を枕の下に入れておくと、希望通りの夢が見られるって!)

宥「迷信かもしれないけど、やらないよりはいいと思って」

玄「ありがとう!やってみるよ!」

玄(旅行雑誌……うん、いいかも!楽しい夢が見れそう!)パサッ..

玄「よいしょ…………おやすみなさい」

宥「うん、おやすみなさい」

玄(いい夢が見れますように……)

玄(………………)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「……?ここは……」

玄(周りに木がたくさん…………森の中かなぁ?)

?「よぉし、行くよぉ!」

玄(ん?声が聞こえる……行ってみよう)テクテク

豊音「それーっ!」

塞「えいっ!」

エイスリン「ワオ!」

胡桃「上手い!」

白望「ダルい……」

玄(わ!楽しそうにバドミントンしてるあの人たちは…………清澄と当たった…………えーと…………そう!宮守女子の人たちだ)

玄(ということは……ここは岩手なのかな)フーム

豊音「なんのっ!」パシッ

塞「甘いっ」パシッ

エイスリン「オーエス!オーエス!」キャッキャッ

玄(……みんな楽しそうだなぁ。自然に囲まれた中で仲間と一緒に遊ぶ……最高だよ)ウフフ..

豊音「わぁ、しまった!」

玄「?」

塞「あちゃー……木に引っ掛かっちゃったか」

エイスリン「ザンネン……」

胡桃「あれは捕れない」

白望「そうだね……」

玄(あー、結構高い位置に羽が引っかかったみたい。せっかくみんなで楽しんでたのに可哀想…)

豊音「…………だ、大丈夫!捕れるよっ!」

胡桃「無理!」

塞「いや、方法はあるわ。いい?まずはシロが……」

玄(ん?作戦会議かな?でも、さすがにあの高さは無理だと思うけど……)

豊音「すごいよ!やろうやろう!」

塞「よし、じゃあシロ。ここね」

白望「はいはい……」

玄(?小瀬川さんが座って、体を丸めた?)

豊音「よいしょ」

玄(その小瀬川さんの上に仰向けで姉帯さんが乗った。小瀬川さんの背中と姉帯さんの腰が重なる形……)

胡桃「ちゃんと掴んでてね!」

豊音「うん!」ガシッ

玄(その姉帯さんが両手で鹿倉さんの腰を掴んで持ち上げる…)

塞「じゃあトヨネ。力を入れて!」

豊音「うん…………ふっ!」

玄(!!姉帯さんの体がピーンと伸びた!!すごい腹筋!)

エイスリン「サエ!ゴー!」

塞「オーケー…………っ!」ダダダッ!

玄(臼沢さんがダッシュして姉帯さんの足へ……まさか!)

塞「っ!」ビョン!

玄(姉帯さんが伸ばした足の先に飛びついて……全体重をかけて下ろす!!)

豊音「っ!」クンッ!

玄(その力が、小瀬川さんを支点にした姉帯さんに……そうか!てこの原理で……)

胡桃「はっ!」ビューン!

玄(鹿倉さんを高く飛ばすことに成功!)

胡桃「よぉしっ!!羽、ゲット!!」バサバサッ!

玄「や、やったぁああああああ!!!!」

エイスリン「congratulation!!」

玄「わぁ!本場の祝福英語が出た!すごいっ!!」

玄(あんな高いところにあった羽を捕っちゃうなんて……すごすぎるよ……)ワクワク..

玄(仲間で力を合わせれば、できないことなんてないんだ……)オォ..

玄(そう、私たち阿知賀もそうだったもん!)

胡桃「おわわ……」ヒュー..

白望「よっと」ガシッ!

玄(小瀬川さんが鹿倉さんをキャッチした……これで完璧!)

胡桃「ありがと!」

白望「ん」

豊音「よぉーし、続きやろー!」

塞「今度はシロもやりなよ?」クスッ

エイスリン「ワタシモヤル!」

玄「ふふっ………みんな楽しそう」

玄「むむむ~……見てるだけで気合入ってきたよー!」

玄「…………よぉおし!私も…」

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「頑張るよーーーっ!!!!」ガバッ!

宥「ひゃあああ!!」ドシーン!

玄「…………え?あれ?」

宥「いたたた……」

玄「おねーちゃん?どうして床に……」

宥「く、玄ちゃんが急に大声出すからビックリして起きちゃって……そのままベッドから落ちちゃったの……」

玄「あ……ごめんね」

玄(…………いつの間に夢から覚めたんだろう……)??

宥「最初は玄ちゃんの様子を見てたんだけど、うなされてないみたいだから私も寝ようと思って……どうだった?」

玄「怖い夢じゃなかったよ。それどころかすごく楽しくて……でも、興奮しすぎて起きちゃったみたい」

宥「そ、そうなんだ……じゃあ本を枕の下に入れる作戦は失敗かな……?」

玄「あ、ううん!それは成功だよ!実際、この雑誌に載ってる岩手の夢見れたし!」

宥「本当?よかった」ホッ

玄「旅行雑誌はすごく良かった。最初はリラックスできたし!目が覚めちゃった理由は夢の後半部分にあるの…」

宥「後半部分?」

玄「ちょっと前に見たマジックショー特番の中でやってたサーカス団と、岩手の風景と宮守の選手たちが混ざっちゃって……私がエンターテインメント性の強い特番を見てなければ成功してたよ……」ズーン

宥「く、玄ちゃん落ち込まないで!玄ちゃんがエンターテインメント性の強い番組が好きなの、私はいいと思うから!」

玄「本当?」

宥「もちろん。だからこれからも、エンターテインメント性の強い番組を見ようね」

玄「っ……ありがとう!」

宥「うん。それで話を戻すと……枕の下に本を入れるのは有効ってことでいいんだよね?」

玄「大有効!おねーちゃん、他に雑誌とか持ってない?」

宥「えと……あ、これはどうかな?マッサージの本」

玄「マッサージ!?わぁ、良さそう!」

宥「うふふ……玄ちゃんが疲れちゃった時にマッサージしてあげようと思って持ってきたんだけど……違う形で役に立ったね」ニコリ

玄「お、おねーちゃーーーん!!」

玄(おねーちゃんの優しさ回路は、大都会東京と違って渋滞しないよぉお!!)

宥「あ、でもこの本をくれたのは桜子ちゃんなんだ~♪」

玄「えっ?桜子ちゃんが?」

宥「うん。体があったまるツボが載ってた、って」

玄「優しい……」ホゥ

宥「うん……プレゼントしてもらった瞬間に、心がすごぉくあったかくなったもん」ニッコリ

玄(桜子ちゃんも渋滞しないよぉぉ……)ウルウル

宥「っと、早く寝ないと。はい」

玄「ありがとう…………よいしょっと…………おやすみなさい」

宥「おやすみなさい」

玄(これで……マッサージされてリラックスする夢を見て……ぐっすり寝て…………起きたら…………元気に……)

玄(………………)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「む……ここは……?」

ワイワイガヤガヤ

玄(……人通りが多いなぁ。リラックスどころじゃないよぉ)

玄(どうしてこんな…………ん?なんだろうこのお店……)

『のどや さくら』

玄「のどや……さくら?」

玄(よくわからない……あ!看板にはマッサージって書いてある)

玄(やった。早速入ろう!)

【のどや さくら】

玄「こんにちはー……」

桜子「い゛ら゛っ゛し゛ゃーい゛!!」

玄「あ、桜子ちゃん!桜子ちゃんが店員さんなの!?」

桜子「そ゛う゛」

玄(桜子ちゃんからのプレゼントだって聞いたからかな)

玄「あの……マッサージをお願いしたいんだけど……」

桜子「オ゛ッ゛ケ゛ー゛!座゛っ゛て゛」

玄「あ、うん」

桜子「3゛0゛分゛コ゛ー゛ス゛、゛始゛め゛ま゛す゛」

玄「お願いします」

桜子「」スッ

玄(あれ?桜子ちゃんが私の後ろに……?肩に当たってるのは、桜子ちゃんの……のど?)

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄「!?」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄(これは……肩に密着させたのどを振動させて肩こりをほぐそうとしてる!?なるほど、のどでマッサージだから『のどや』なんだね)

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄(結構震えてて気持ちいい……でもそれ以上に、耳元で叫ばれるせいで頭がおかしくなってきた……)

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄(もし本格的にこのお店を出すなら、耳栓を配らないとダメだね)

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄「…………」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

玄(これを30分かぁ……ちょっとした地獄だよ……)ハァ

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ヴヴヴヴ..

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛……!?」

玄「ん?」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛……ア゛コ゛チ゛ャ゛………」ガタガタガタ..

玄「えっ?えっ?桜子ちゃんどうしたの……?体中が震えて……」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛………ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛コ゛チ゛ャ゛」ガタタタタタ!

玄「桜子ちゃ…」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ゴゴゴゴゴ...

玄「!!?」

玄(桜子ちゃんの足から……火が出てきた!?わああ!桜子ちゃんが浮いて……っ!)

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」バリバリィッ!

玄「て、天井を突き破った!!?」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛………」ビューー...ーン..

玄「…………と、飛んでっちゃった……」

ヒューーーー......

玄「ど、どうし…」

ゴスッ!!

玄「ぎゃあっ!!」バターン..

玄(うぅ…………痛い……なにかが頭に落ちてきて…………あ……桜子ちゃんの靴……)

玄(上空で脱げた靴が……重力で加速したんだね…………こんなに……痛い)

玄(………………ダメ…………もう…………意識が…………)

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「…………はっ!!」ガバッ!

宥「ん……玄ちゃん?」

玄「おねーちゃん……」

宥「ダメだった?」

玄「うん……最初から変だったけど、後半がまたわけわかんなくて……マッサージなのに空飛んだり……」

宥「そうなの?不思議……私、この本全部読んだけど空飛ぶような内容は全然…………あ」パラパラ

玄「どうしたの?」

宥「…………ご、ごめんね玄ちゃん。本の後ろの方に、宇宙船の絵のしおりが挟まってた……」

玄「…………」

宥「…………」

玄(おねーちゃんのうっかりさん度合は、大都会東京に染まりかけてるよぉ)

宥「ごめんね……」

玄「あ!ううん……私こそごめんね?おねーちゃんには悪気はなかった。ただ宇宙船が好きなだけなのに……」

宥「ええと……宇宙船は別に好きじゃないよ?たまたまこのしおりしかなくて……」

玄「………………大都会……」

宥「そ、そうだ!いっそのことファンタジーというか、現実離れした夢を見ればいいかもしれない」

玄「?」

宥「これ!街中で配ってたの。戦隊ヒーローの映画のチラシ。これなら大丈夫かも」

玄「……いいかもしれない。試してみるね!ありがとうおねーちゃん!」

宥「うん」

玄「……セットして……っと。おやすみなさーい」

宥「おやすみなさい」

玄(………戦隊ヒーロー……こういう作り物は現実とは違う世界観だし、ありえない存在とか謎の生き物なんかも出てくる話……深く考えずに楽しめるかもしれない……)

玄(よぉし………今度こそ……………ゆっくり……)

玄(………………)

――

――――

――――――――

――――――――――――

玄「…………ここは…………廃工場?」

玄(わ!私の格好、ヒーローだよ!しかも赤!!赤ってことは……リーダー!?)

?「はーっはっはっは!!」

玄「っ!?この声は!」クルッ!

晴絵「よく来たな!クロチャンジャー!」

玄「赤土先生……あなたが敵ですか!」

晴絵「その通りだ!私の名はハルエリオン!世界征服を成し遂げ、学生と教師の交際を認めさせる!!」

玄「ぐぬぅ……別に構わないことを!」

ハルエリオン「くくく……まずは貴様を片付けてやる!」

玄「……そっちがその気なら……こっちだって!」

玄「私の名は……」シュババッ!

玄「おまかせあれっ!!玄ちゃんドラゴン!」ポーズ!

ハルエリオン「…………」

玄「昔……阿知賀こども麻雀クラブで頭を『ごちんっ』とされた恨み、晴らしてやる!」

ハルエリオン「いい啖呵だが……純粋なケンカなら、ネクタイで首絞めたりしてきた私には勝てないぞ?」

玄「ぐっ……」

玄(……確かに……私はあんまりケンカしたことないし、赤土先生の大人気なさが夢に反映されてたら勝てない……)

玄(できれば仲間がほしい……というか、戦隊ヒーローなら仲間がいるはず!その仲間と力を合わせて赤土先生を……)

?「…………」ザッ!

ハルエリオン「むっ!貴様らは!!」

玄(やった!仲間が来たんだ!)クルッ!

照「ロン 10200!!インハイチャンプ!」ポーズ!

玄「ひぃ!?」

優希「東二局は来ない!!タコスマスタード!」ポーズ!

玄「ひゃあ!?」

智葉「…………はいっ!」ポーズ!

♪~(Mr.マリックのテーマ)

玄「ぎゃああ!!」

桜子「ア゛コ゛チ゛ャ゛ン゛ダ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛」ポーズ!

玄「いやぁああああああああ!!!」

玄(なんで!?なんでこんなありえない組み合わせなの!?味方が……敵ばっかりだよぉおぉお!!!!)

――――――――――――

――――――――

――――

――

玄「ああああああああああ!!!!」ガバッ!

宥「っ!?ぷぎゅっ!?!?」ビターン!

玄「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

宥「うぅ……痛い……」

玄「……また目が覚めちゃった」ハァァ..

宥「うん……私も……」

玄「……次はどうしよう……おねーちゃん、他に本ある?」

宥「あるけど……もう無理だよ」

玄「そ、そんな……どうして……?」

玄(おねーちゃんの優しさが、大都会東京に呑まれちゃった!?)

宥「だって……もう朝ご飯の時間だから集まらないと」

玄「え……朝ご飯……?」

宥「…………」

玄「で、でも……すっごく眠いし、疲れが全然とれてない……というか、寝る前より疲れてるんだけど……」

宥「私もだよ…………何度も起こされちゃったし……」ボソ..

玄「うぐ!」

玄(おねーちゃんが聞き取れる小声で……私に牙を剥いてるよぉ……大都会東京……)

宥「とにかく、行こう?」フラー..

玄「う、うん……」

玄(こんな状態で麻雀なんかできるのかな……――――)フラフラー..

【対局室】

恒子『先鋒戦、まもなく始まります!』

玄(うぅ……お腹が膨れたからか、すごく眠い……目はシパシパするし……頭がボーっとする)フラー..

玄「はぁ………ん?」

照「…………」

玄「っ!ひぃいぃい!!ロン10200お化け!!」

照「?」

玄「あわわわ……」ガタガタ

優希「どうしたじょ?」

玄「わああ!!東一局幼女!!」ブルッ..

優希「じょ?」

玄「はぁ……はぁ……怖い……」チラ

智葉「…………」

玄「ぎゃああああ!!!!人斬り女子高生!!!」

智葉「……何を言ってるんだ?」

【阿知賀 控室】

憧「……なんか玄が錯乱してるんだけど……」

穏乃「宮永さんに苦手意識があるのかな?」

灼「他の2人に対しても脅えてる……」

晴絵「うーん……宥、何か知らない?」

宥「……知ってますけど……どう説明したらいいか……」ウツラウツラ..

憧・灼・穏乃・晴絵「???」





恒子『阿知賀女子学院の松実玄、トビです!優勝は白糸台高校!!!』


終わり

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