古畑任三郎「…学級裁判?」(85)

古畑「えー、みなさん。もし集団で密室に閉じ込められて、【誰かを殺したら外に出られる】という条件をだされたとしたらどうしますか?
あなたがもし本当に、「元の生活に戻りたい」というのであれば、殺人をしてまで外にでようとするのはオススメできません。
なぜなら、例えそうやって外に出れたとしても、「元のあなた」ではなくなってしまっているからです…。」

(古畑が高校生の時のお話で、パラレルワールドだとお考えください。)


石丸「では君も気を失い、気付いたらここにいたというわけか!?」

古畑「んふふふ…ええ、そうなんです。ということはみなさんも?」

大和田「あぁ、目が覚めたらこのザマだ。」

江ノ島「マジありえないんですけどー!」

不二咲「うぅ…ぼくたちどうなっちゃうのぉ…。」

古畑「ははぁ…なるほどそれでみなさん暗い表情をされていたんですね。」

十神「この状況で能天気でいられるのはあいつくらいのもんだろう…。」

古畑「…あいつ?」

今泉「うわー、キミたちかわいいねぇ!知ってるよ、【高校級のスイマー】の朝日奈葵さんと、【超高校級のギャンブラー】のセレスティア・ルーデンベルクさんでしょ?感激だなぁ、こんなところで会えるなんて!」

朝日奈「う…うん、よろしくね…。」

セレス「なんですのこの下等な生き物は…。人のフルネームまでしっかり覚えて…。」

古畑「……。」

今泉「あれ、きみ新しい生徒?」

古畑「古畑任三郎と申します…。キミずいぶんと騒がしいねぇー。周りが静かなぶんとってもうるさいよ。ちょっとは空気を読みなさい。」

今泉「そんなことより、ぼくは今泉慎太郎!【超高校級の幸運】で入学したんだ!」

古畑「超高校級の…幸運?」

今泉「うん、なんでも全高校生からくじ引きで選ばれたらしいんだ!ほんとツイてるよね僕って!」

古畑「へぇ、せいぜい【超高校級のデコっぱち】とかそんなんだろうと思ってたよ。」

今泉「ひどいなぁ!まだ出逢ってすぐだっていうのに!」

書き溜めてあるんでじわじわ投下していきます。
原作しらない人にも伝わるように意識したから知ってる人にはくどく感じる部分あるかも。
ごめんなさい。

霧切「……。」

古畑「んふふ、あんな男のことは放っておくとしましょう。初めまして古畑と申します。あなたは…?」

今泉「あれ、ぼくの時と言葉づかいとか態度全然違くない!?」

古畑「うるさいなまだいたのかキミは。」パチン!

今泉「いたぁ!ひどいやまったく!」

古畑「んふふ、失礼しました。」

霧切「…、霧切。霧切響子よ。」

古畑「霧切さん、んー、いいお名前です。それであなたはどういった才能でこちらに?」

霧切「……。人にものを尋ねる時は自分から応えるのがスジじゃないかしら?」

古畑「あ、これは失礼しました。実はですね、わたしこの学園に文句を言いにきたんですよ。見てくださいこの入学案内。」

霧切「超高校級の…、【意地の悪さ】?

古畑「ええ!こんな潔白な人間捕まえてこんな言い草するなんて!一言言ってやらないと気が済まないですよ。」

霧切「才能として認められるなんてよっぽどなのね…。」

今泉「ははは!」

古畑「なんでキミが笑うんだよ!」パチン!

今泉「いたぁ!」

人いないな。さっさと終わらせます。

古畑「あ…、そちらにいらっしゃるのはもしかして江ノ島循子さん!いやー、わたし大ファンなんです。あれー、あの雑誌!愛読してます。」

江ノ島「はぁ!?あんた女性誌なんて読んでんの!?キモいんですけど~。でもありがと!あたしが魅力ありすぎるのがいけないんだもんね!」

古畑「んふふふ、はい。」

古畑「(…………?)」


ピンポンパンポーン

「お前ら、入学式を始めます。至急体育館に集まってください。」

腐川「なんなのよ…今の声…。」

葉隠「とりあえず行ってみるべ。ここにいても仕方ねーしな。」

体育館

モノクマ「じゃじゃーん!ボクがここの学園長、モノクマです!おまえらにはここで一生生活してもらいます!」

山田「い…一生ですとぉぉ!」

大神「どういうことだ…。」

モノクマ「どういうこと?そのまんまの意味だよ。」

腐川「なに意味わかんないこと言ってるのよぉ…!」

モノクマ「だけど、唯一ここから出られる手段があります。それは、【人が人を殺すこと】だよ…。」

十神「…!!」

今泉「え、どういうこと?ねぇどういうこと!?」

古畑「……。」

朝日奈「だからって…みんながコロシアイなんてするわけないじゃん!」

モノクマ「うぷぷぷ…、そんなみんなのためにジャジャーン!ぼくから動機のプレゼント!」

桑田「DVD…?」

モノクマ「そういうこと。じゃあね、精々がんばって!」シュシュシュ。

葉隠「…消えたべ。」

今泉「ちょ、十神くんどこ行くの!?」

十神「視聴覚室があったはずだ。このDVDを観る。」

桑田「そうだな…、じっとしてても仕方ねぇし…。」

移動中…

舞園「今泉くん!」

今泉「ま…舞園さん!?」

舞園「覚えてます?わたし今泉くんと同じ中学だったんです。」

今泉「も…もちろん覚えてるよ!むしろ【超高校級のアイドル】の舞園さんがぼくのこと知ってくれてるなんて驚いちゃった…。」

今泉「(舞園さんかわいいなぁ…まるでお人形さんみたいだ。)」

舞園「人形じゃありませんよ、生きてますから!」

今泉「えぇ!聞こえた!?」

舞園「うふふ…エスパーですから!うそ、ただの勘です(笑) でも困りましたね、コロシアイだなんて…。」

今泉「だ…大丈夫だよ!絶対大丈夫!」

舞園「ほんとですか…?今泉くんは前向きなんですね。じゃあわたし、今泉くんの助手になっちゃいます!一緒にここから脱出しましょう!」

今泉「うん!がんばろうね!」

古畑「んふふ…、なんだかいいですねぇこういうの。」

今泉「うわぁ!古畑くん居たの!?もうびっくりしたなぁ!」

古畑「んふふ…、あ、ここが視聴覚室ですね。」ガラッ

DVD鑑賞後…

一同「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

今泉「え…、なにこれ…。どうなっちゃったの…?」

舞園「いや…うそ…。」

今泉「舞園さん…? 落ち着いて、こんなの嘘に決まってるよ!」

舞園「もういやっ!それなら出してよ!今すぐここから出してよ!」

今泉「…安心して。僕が絶対にきみをここから出す!絶対だ!」

舞園「今泉くん…。そうですね…、ありがとうございます/// すいません、取り乱してしまいました。こんなんじゃ今泉くんの助手失格ですね。」

今泉「そんなことないよ!さぁ、一緒にがんばろう!」

霧切「……。」
古畑「……。」


その後、食堂でみんなで話し合いをするも、何もまとまらないまま解散となった。
十神くんや腐川さんは単独行動を宣言するし、空気もサイアクだった…。

今泉の個室

今泉「ふぅ…、なんで個室にまで監視カメラがあるんだよ。すこし部屋を探索しとくか。引出の中には工具セット…、へぇ、女子の部屋には裁縫セットがあるのか…。」

今泉「おしっこしたくなっちゃった。ん?なんだシャワールームのドアが開かない!なにこれ!おしっこ漏れちゃうよぉ!」

モノクマ「うぷぷぷ!今のセリフ、不二咲さんあたりが言えば可愛いものを、ハゲかかった男子高校生がいうだけでこんなにも邪悪になるんだねぇ!」

今泉「も、モノクマ!いつのまに入ってきたんだよ!それに僕だって十分可愛いよ!」

モノクマ「うぷぷ…、今あまりのキモさにうっかり自ら手を下しちゃいそうになったよ…。そんなことより、この部屋「だけ」、シャワールームのドアの立てつけが悪いのです!ドアノブをひねりつつ持ち上げるようにしないと開かないのです!笑っちゃうよね、超高校級の幸運の持ち主のクセに!!」

今泉「うるさいなぁ!はやく出てけよ!」

モノクマ「はいはい…じゃあね。」シュルン!

今泉「まったくもう…。」

ピンポーン

今泉「今度はなんだ、まさかまたモノクマじゃあ…」ガチャッ

舞園「……。」

今泉「舞園さん…?」

舞園「今泉君…、助けて。誰かがわたしの部屋のドアを無理やり開けようとしてきたの…。しばらくしたらだれもいなくなったけど…わたし怖くて…。」

今泉「!! まさかモノクマの話を真に受けた人が!?」

すみません、ちょっと席外します。

舞園「今泉くん…、わたしどうすれば…。もう殺すとか殺されるとか耐えられない…。」

今泉「だ、大丈夫!言ったでしょ、僕がキミを護るって!そうだ、今夜はここに泊まりなよ!」

舞園「今泉くんと…ふたりでですか…///」

今泉「!! ご、ごめん!やましい気持ちじゃないんだ!いやだよねゴメン!」

舞園「いやではないですけど…///」

今泉「(さすがにふたり同じ部屋はまずいよね…、じゃぁ一晩部屋を交換するっていうのは…)」

舞園「そうですねそうしましょう!」

今泉「どうして心の声が!」

舞園「エスパーですから(笑)」

今泉「あはは…。(よかった、冗談を言えるくらいには元気になったんだ。)じゃあお互いの部屋のカギを交換して…、誰かきても絶対に開けちゃダメだからね!」

舞園「わかりました!それじゃあおやすみなさい!」バタン

今泉「(舞園さん…絶対僕が護って見せる…!)」


舞園「……。」

舞園「(わたしはこの業界に入って今までたくさんの人を相手にしてきました…。この人はどうすれば喜ぶのか、そんなことばかり考えて、常に誰かの顔色をうかがって…。)

舞園「(そんなわたしからすれば今泉君、あなたは……、わかりやすすぎるんです。)


翌朝


石丸「グッモーニン今泉くん!実にすがすがしい朝じゃないか!みんなで朝食会をやるからきたまえ!」

やけに元気な石丸くんに先導され、徐々に食堂に人が集まりだした。

石丸「むむ!まだ舞園くんと古畑くんがいないな!まったくけしからん!」

古畑「んん…おはようございます。すいません低血圧なもんで、んふふ…。」

石丸「まったくきみってやつは!…これであとは舞園くんだけか…。」

葉隠「なー、誰か俺の水晶玉しらねーべか?ランドリーに忘れたらなくなっちまっててよぉ…。」

今泉「(なんだろう…イヤな予感がする…)」

桑田「なー、早くメシ食っちまおうぜー! って今泉、なーに暗い顔してんだよ!」ブンッ

今泉「いたぁ!ひどいよ桑田くん!いきなりリンゴを投げてくるなんて!」

朝日奈「あははは!でもすごいね!あんなところからキレーに今泉のおでこに当てるなんて!」

今泉「そ、そんなことよりぼくちょっと舞園さんの様子を見てくるよ!」ダッ

石丸「今泉くん、その心意気や良しだぞ!」



今泉「ハァハァ…舞園さん…?部屋にカギがかかってない…。入るよ、舞園さん!」ガチャ

今泉「!! なんだよこの部屋…なんでこんなに荒れてるんだよ…。」

今泉「あとは…、シャワールームか…。(大丈夫…護るって約束したんだ…、ぼくが舞園さんを…!)」ガチャリ

今泉「!!」

今泉「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁl!!!」…バタリ



今泉「…ここは…?」

朝日奈「体育館だよ、さくらちゃんが運んでくれたんだ。モノクマがここに集まれって…。」

今泉「そうなんだ、ありがとう…。夢じゃ…ないよね。お前が!お前が殺したんだろモノクマ!」

モノクマ「うぷぷぷ…ぼくじゃないよ。お前らの誰か。ボクはちゃーんと見てたもん。」

十神「…舞園を殺したその誰かはここから出れるのか?」

モノクマ「うぷぷ…、甘いよ!あまちゃんだよ!じぇじぇ!だよ!これから一定時間後に学級裁判を行います!そこで投票して犯人(クロ)を当てられたらクロが処刑、クロ以外を投票したらクロ以外が処刑!」

江ノ島「なんだよそれ!あたしはやんないからな!」ギュム!

モノクマ「…学園長への暴力は校則違反。オシオキだね。たすけてグングニルの槍!!」

ザクザクッ

江ノ島「…なに…コレ……。」バタッ

一同「うわぁぁぁぁぁ!」

モノクマ「やっぱり見せしめは必要だったんだねぇ。死体について詳しく書かれたこのモノクマファイルをやるからさぁみんな捜査を開始しな。」シュルン!


葉隠「マジ冗談じゃねぇべ…。助けてくれぇぇぇ!」

セレス「みなさん…、モノクマファイルに興味深いことが書いてありますわ。死体の発見場所は…【今泉慎太郎の個室】となっています。」

山田「じゃ…じゃあまさか!」

腐川「いやぁぁ近づかないで!わたしまで殺す気!?」

今泉「ち…違うんだ!ぼくはただ…。」

十神「見苦しいぞ今泉…、この状況ならお前を疑うのは当然だ。それとも自分で証明してみるか?お前の無実を…。」

今泉「そ…そんな…。あ、みんなもう行くの!?待って!違うんだってばぁ…!」バタバタ…


古畑「……。」

霧切「古畑くん…、あなたは捜査に行かないの?」

古畑「霧切さん…、今女子高生の間で【手の甲にタトゥーを入れる】のが流行ってたりします…?」

霧切「…? わたしもあまり流行に詳しいほうじゃないけど…そんなのは聞いたことないわ。」

古畑「そうですか、ありがとうございます。さ、我々も捜査に行きましょう。」

今泉の部屋


大和田「今泉お前…、隠蔽工作しにきたんじゃねえだろうなあ…」

今泉「ち、違うよ!あ、古畑くん、ねぇ信じてよ、ぼくじゃないんだよ!」

古畑「……。」

今泉「ねぇ古畑くん聞いてよぼくじゃないいんだそもそもぼくはあqswdfrtghっじゅきl…」

古畑「…うるさいなぁちょっと黙ってて。」

今泉「そんな!ひどいよ話くらい聞いてよ!」

古畑「うるさい!」パチン
「短い付き合いだけどわかってるよきみが人に殺されるようなことはあっても人を殺せるような人じゃないってことは…。」

今泉「え…、どういう意味…?」

古畑「わたしがキミの無実を証明してやるって言ってんだよ。だから黙ってなさい。」

今泉「ふ…古畑くん…。」ジワァ

霧切「……!?」

古畑「…きみ昨晩は舞園さんと部屋を交換したって言ったっけ?」

今泉「そうなんだ、誰かが舞園さんの部屋を無理に開けようとしたらしくて…。」

古畑「ん~、じゃあなんでこの部屋のネームプレートが【マイゾノ】になってるの、か。」

霧切「ねぇ今泉くん、なんでこの部屋のシャワールームのドアはこんなことになってるの?」

今泉「知らないよ、犯人がやったんでしょ?」

古畑「…バカかきみは。【なんでカギのかからない男部屋のシャワールームのドアの取っ手が無理やり取られてるのか】霧切さんは尋ねてるんでしょうが。」

面白いなこれ 雰囲気出てる

今泉「あぁ、そういうこと!ドアの立てつけが悪かったんだ!だからそれを知らない犯人が無理やりこじ開けたんじゃないかな…。証拠はモノクマに聞いてよ!」

霧切「…なるほどね。致命傷となったのは胸に刺さっている包丁…、おそらく厨房にあったものね。」

古畑「あとは…床に落ちてる金箔の模擬刀…、あれぇ、鞘に傷がついてるねぇ。あとなんだろ、舞園さんの背中に書いてある血文字…。」

今泉「舞園さんが書いてくれたんだ…、最後の力を振り絞って…。なんだろう、【11037】…?」

古畑「あれぇ?(この部屋の工具セットは未開封のまま…?)」

>>33 ありがとう。裁判終了まで一気に投下する。


-食堂-

古畑「おや朝日奈さん、ご休憩中ですか?」

朝日奈「うん…、って言ってもなにもしてないんだけど。」

古畑「厨房にあった包丁のことでなにか御存じないですか…?」

朝日奈「それが…昨晩もわたしずっとさくらちゃんと食堂にいたんだけど、最初はあったはずの包丁が気付いたらなくなってたんだよね…。」

今泉「じゃあ、昨日ボクが食堂に来てないのは知ってるよね!?よかったこれで無実が証明できるぞぉ!」

古畑「…ほかにどなたか食堂にいらっしゃったんじゃないですか?例えば…【舞園さやか】さんとか…。」

朝日奈「!? なんで知ってるの!? …確かにきたよさやかちゃん…、「お水を飲みに来た」っていってたけど…さやかちゃんがきてからなんだ、包丁がなくなったの…。」

古畑「そうですか、ありがとうございました。」ニッコリ

今泉「うわぁ、このドーナツおいしいなぁ!」

-廊下-

今泉「トイレ行きたくなっちゃった…。ちょっと行ってくるから待ってて古畑くん!」

古畑「いってらっしゃい待たないけど。 …おや、十神さんじゃないですかこんにちは。」

十神「古畑か…。なにやら足掻いているようだな。貴様如きにどうにかできるとは思えんがな…。」

古畑「んふふ…、まぁわたしなりにやれることをやってみます。」

十神「そうか、俺は貴様の相手をしている暇はない。精々邪魔をしてくれるな。」スタスタ…

古畑「んー、御曹司…、十神とがみトガミ……」

十神「なんだ!気安く俺の名を呼ぶな!!」

古畑「トガ…、あ!思い出した!十神というのはその…、だいぶ特殊な世襲制度がある、と伺ったことがあるのですがあれは本当ですか?」

十神「!! 貴様…、どこでそれを!?」

古畑「ちょっと小耳に挟んだことがあるだけです。」ニッコリ

十神「…ふん、どちらにせよ貴様には関係ないことだ。俺は行くぞ。」スタスタ…

古畑「はい、お互い頑張りましょう。」ニッコリ

今泉「お待たせ―!ここちゃんとウォッシュレットついてるんだねー嬉しくなっちゃう!」

十神「(……古畑、、、食えないやつだ。)」

-トラッシュルーム-

山田「むむ!今泉慎太郎殿!さてはここで証拠品を処分しようって魂胆では!」

今泉「違うよ!山田くんこそ、ここでなにを?」

山田「昨日モノクマに掃除当番をやるように言われて見回りにきたのですぞ…、って焼却炉の火が付きっ放し!しかもなんかいろいろ散らかってる!」ガチャ、ガラガラ

古畑「この焼却炉までのシャッターは山田さんしかカギ持ってないの?」

山田「モノクマがそう言ってたからそのはずですぞ。まったく今泉慎太郎殿…いったいどんなESPを使ったのです…?」

今泉「ぼくじゃないって!!」

古畑「割れたガラス玉に…ワイシャツの袖?」


………


今泉「ねぇさっきからどうしたの?僕の部屋と舞園さんの部屋を行ったり来たりして。」

古畑「…。(あと一つ…、彼女はどうやって犯人をあの部屋に招き入れたか…。)」

今泉「はー、なんか疲れてきちゃった。ぼくの無実は証明されたし。ねぇ古畑くん、息抜きに○×でもやろうよ。ぼくの部屋からメモ帳持ってきたんだ!」

古畑「やらないよ。どこまで能天気なんだきみは。」

今泉「えー、いいじゃんやろうよ。古畑くん先攻でいいからさぁ。」

古畑「……真ん中に○。」

今泉「真ん中に○…ね。ん、このメモ帳なんだか表面がデコボコして書き辛いなぁ。」

古畑「…!! 今泉くんちょっとそのメモ帳見せて!」



古畑「………。」

古畑「……お手柄だよ今泉くん。」

今泉「え?」


古畑「えー、やはり殺人は起こってしまいました。メモ帳に関しては、こんな簡単なものを見過ごすなんて、というのはわたしがまだ高校生の時の話だから、ということでお許しください。
今回のポイントは、どうやって犯人は舞園さやかさんの部屋に入ったのか。シャワールームのドアノブは壊されていたのに、なぜ今泉くんの部屋の工具セットは未開封のままだったのか…。

古畑任三郎でした。」

キーンコーンカーンコーン
『うぷぷぷ、学級裁判を開始します。みなさんエレベーターに乗ってください。』

-----

今泉「ここが…裁判場?」

モノクマ「いかにも!って感じでしょ?さぁみんな自分の名前が書かれた席について。」


霧切「……古畑くん。」

古畑「はい?」

霧切「……お手並み拝見といくわ。」スタスタ…

古畑「……?」

学級裁判 開廷!!


石丸「みんな目を閉じるんだ、そして犯人は挙手したまえ!!」

桑田「アホか挙げるわけねーだろ!!!」

腐川「…議論なんて必要ないわ…、だってそうでしょ?今泉よ!今泉がやったに決まってるわ!」

今泉「ちちち…ちがうよ!!!ほほほ、ほんとだだだって!」


古畑「落ち着きなさい。朝日奈さん、もう一度食堂でしてくださったお話をここでしてくださいませんか?」

朝日奈「え、あぁうん。昨日の晩、私はさくらちゃんとずっと食堂にいたんだけど、今泉は一度も食堂にこなかったし、包丁も最初はちゃんとあるのを確認したんだ。」

セレス「そうですか…。それなら確かに今泉くんが包丁を手に入れることは不可能ですわね。」

霧切「それ以外にも今泉くんが犯人じゃない根拠があるわ。あの部屋のカーペットクリーナーはものすごい量が使われていて、床には髪の毛が一本も落ちていなかったの。
犯人が争った際に落ちた髪の毛を取ったのでしょうね。今泉くんが犯人だったらわざわざ自分の部屋でそんなことをしないわ。」

葉隠「そもそも今泉っちにはもともと髪の毛がないべ…。」

今泉「ちょっと!おでこ以外にはこんなにいっぱいあるでしょ!」

不二咲「…それじゃぁ包丁を持ち出したのは誰なのかなぁ…。」

古畑「舞園さやかさん…。ですね、朝日奈さん?」

十神「何だと!?どういうことだ説明しろ古畑!」

古畑「昨日の晩、食堂に舞園さんがいらしたのを朝日奈さんと大神さんが確認しているんです。
そしてその後包丁が無くなっていたことも。そうですよね?」

大神「うむ…間違いない。おそらく護身用にでもしようとしたのではないだろうか…。」

十神「そうか、それなら自分で持ち出した包丁を犯人に奪われ…、というわけか。」

不二咲「でも犯人はどうやって部屋に入ったのかなぁ?そんなにおびえてたなら絶対ドアを開けないと思うんだけど…。」

古畑「んふふ…舞園さんが【自分で招き入れた】とかだったら面白くないですか?」

腐川「な、なにが「面白くないですか?」よ!!そんなわけないじゃない!!」

古畑「んふふ…すみません失礼しました。だけどコレをみてください。彼女の部屋…、もとい今泉くんの部屋にあったメモ帳を上からなぞったらこんな文面が出てきたんです。」


『二人きりで話したいことがあります。5分後に私の部屋にきてください。
部屋を間違えないように、ちゃんとネームプレートを確認してからきてくださいね。舞園さやか』


石丸「どういうことだ…犯人を自ら招き入れただと!?」

今泉「ちょ、ちょっと待ってよ古畑くん!彼女は本当におびえてたんだ!そんなことするわけないよ!」

霧切「…彼女が怯えてたこと自体が演技だったとしたら…?」

今泉「!? そんなわけない!誰か、なんとか言ってやってよ!!」

大神「…古畑よ。貴様先ほどからいやに落ち着いているな。さてはもう犯人がわかっているのではないか…?」

葉隠「マジでか!誰なんだべ古畑っち!?」

古畑「この世に解けない謎はありません。人間が行う以上、必ず穴はあります。
…少し話題を変えましょう。みなさん、あの部屋に金箔のついた模擬刀が落ちていたのを覚えていますか?」

大和田「あぁ、あのヤケに目立つ傷が付いてたやつだろ?」

葉隠「あの模擬刀で犯人は舞園っちに襲い掛かったんだな?舞園っちの右手が折れていたのも、金箔がついていたのもそれが原因…、


模擬刀の先制攻撃だべ!!」

古畑「んー、それはどうでしょう?」

葉隠「どういうことだべ!?」

古畑「思い出してください、あの模擬刀は鞘の部分に傷が付いていたんです。模擬刀で人を襲うつもりなら普通、鞘から抜いて行うはずです。」

大和田「確かに…、そうだな。」

古畑「鞘に傷が付く理由…、包丁で襲われたところをとっさに模擬刀で防御したのだとしたら…。

つまり最初に襲いかかったのは舞園さやかさん、ということになります。」

今泉「ちょ、ちょっと待ってよそんなわけ!」

セレス「それなら部屋のネームプレートが交換されていたのも納得ですわね。すべて…今泉くんの部屋を殺害現場として利用するため…!」

十神「ハッハッハ!女は怖いな今泉!!お前は超高校級のアイドルにまんまとハメられて、それを勘違いしていい気になっていたわけだ!」

今泉「……そんな…まさか…。」


古畑「…今泉くんにはショックなお話でしょう。しかし、舞園さんはもしかしたら最後は今泉くんのことを助けようと…、そう考えながら息絶えたのかもしれません。」

今泉「…どういうこと?」

古畑「現場にあったダイイングメッセージです。これから死にゆく人間があんなものを残すのは普通、【誰かに代わりに犯人に復讐してほしい】といったところなんでしょうが…、今回の場合もしかしたら【どうやって今泉くんを助けようか】考えた末の行動だったのかもしれません。」

不二咲「ダイイングメッセージ…、あの【11037】って数字のことだよねぇ?でもなんのことだかまったくわからないよ…。」

古畑「舞園さんがあの文字を書いたと思われる体勢を思い浮かべてください。そう…、後ろ手なんです。こんな体勢で背中に文字を書いたら…、逆さまになってしまいます。」

一同「…!?」

古畑「んふふ…、お気づきですか?そう実はコレ、数字じゃないんです!
じゃあなにか…? んふふふ…、どうしたんですか顔色が悪いですよ。【桑田怜音】さん…。」

山田「LEON…。【11】は【N】だったのですな!」

桑田「なに言ってんだてめーふざけてんのか!そんなことで犯人扱いされてたまるか!!」

古畑「桑田さん…、あなた昨晩トラッシュルームに行きましたね?そしてそこで証拠品の【血のついたワイシャツ】を処分した。」

桑田「んなとこ行ってねーし!第一トラッシュルームにがカギがかかってただろ!それならそこのデブが犯人だ!」

山田「なんと!」

古畑「…焼却炉の周りに落ちていたコレ…。なんだかわかりますかみなさん?」

十神「なんだそれは?」

葉隠「まさか!それは俺の水晶玉!?絶対割れないっていうから1億もつぎこんだんだんだべ!!」

朝日奈「どうでもいいよ!!」

桑田「はっ?それを使えば焼却炉のスイッチが付けれるってか?バカ言ってんじゃねぇぞ!シャッターからスイッチは10m近く離れてるんだ!!」

古畑「おやおやおや…、あなたならできるんじゃないですか?遠く離れた今泉くんのおでこにリンゴを当てて見せた、【超高校級の野球選手】のあなたなら!?」

桑田「ふざけんじゃねぇぞ…!! 俺は犯人じゃねぇぇ!!絶対に認めないぞウンコタレ!!だいたい古畑!全部お前の推論じゃねぇか!!」

古畑「…今泉くんの部屋のシャワールームのドア、あれは明らかに工具セットによって破壊されたものです。しかし今泉くんの部屋にあった工具セットは未開封のままでした。」

桑田「アホアホアホアホアホアホーーー!!!!!!」

古畑「なぜ犯人はそのまま今泉くんの部屋の工具セットを使わなかったのか…?犯人はそこを【舞園さんの部屋】だと思っていたからです。女子の部屋に工具セットはありません。」

桑田「アホアホアホアホアホアホーーー!!!!!!」

古畑「この中で今まで工具セットを使った方はいらっしゃいますか。」

男子一同「いや…、使ってないぞ…。」

桑田「アホアホアホアホアホアホーーー!!!!!!」

古畑「モノクマさん、お手数ですが桑田さんの部屋から【彼の工具セット】を持ってきていただくことはできますか?裁判に必要なんです。」

モノクマ「まったく…、クマ使いが荒いね。でも「裁判に必要」って言われると弱いなぁ。
…って言ってももうその必要はなさそうだけどね。」

今泉「!?」バッ

桑田「アポ……?」

腐川「【超高校級の意地の悪さ】…。こういうことだったのね…。」

モノクマ「どうやら決まったみたいだね!それでは行ってみましょう投票ターイム!!」

……

モノクマ「大・正・解―――!!!舞園さやかさんをコロしたのは桑田怜音クンでしたー!!!」


大和田「てめぇなんでこんなことしやがった!!!」

桑田「…仕方ないだろ…、俺だって殺されそうになったんだ…。」

セレス「あなたはわざわざ工具セットを取りに部屋に帰った…、これは明確な【殺意】では…?」

桑田「…!!」

モノクマ「と、いうわけでオシオキを開始しまーす!!」


~千本ノック~


一同「…………。」

モノクマ「エクストリィーーーム!アドレナリンがぁー染み渡るぅー!!!」

モノクマ「いやぁ、しかし怖いねぇ。舞園さんあんなに綺麗な顔して、裏の顔は完全に狂気に満ちてたんだねぇ~!!」

今泉「うるさい…、全部おまえのせいじゃないかぁぁぁ!!!」ガッ

霧切「…やめなさい。本気で彼女の敵を討ちたいならね。」

今泉「…霧切さん。」

モノクマ「あードキドキした。でも命拾いしたなぁこのデコっぱち!!!」

今泉「クソッ…。」

モノクマ「ほらもう他のみんなは帰ってるよ?じゃぁ今回はこのへんで。みなさんおつかれさまでs」

古畑「ちょっと待ってくださいモノクマさん!ひとつ質問いいですか?」

モノクマ「なんだよなんだよ。ひとつだけだよまったくもう。」

古畑「んふふ、ありがとうございます。今まで出た死体はこれからどうなるんですか?」

モノクマ「あぁ、心配しなくていいよ。ぼくが全部責任もって綺麗にしとくから。じゃあね。」

古畑「あ!すいませんもうひとつだけ!!」

モノクマ「なんだよなんだよ!さすがに怒るよ!さっさとして!」

古畑「ありがとうございます、では最後にひとつだけ…。
えー、彼女…、【江ノ島循子さん】は今どちらに…?」

モノクマ「!! …、あぁ、彼女の死体ってこと?それならもうとっくに片付けたよ。」

古畑「…んふふ、そうですか…。ありがとうございました。失礼します。」

モノクマ「………。」シュルン!

霧切「古畑くん…ちょっといい?」

古畑「はい?」

霧切「あなた…、どうして最初から【今泉慎太郎が犯人じゃない】って思ったの?」


古畑「…エスパーですから。」

霧切「え?」

古畑「冗談です。ただの勘です。それでは。」ニッコリ



霧切「……、古畑任三郎と…、今泉慎太郎…、ね…。」

第一章『イキキル』 完


次回、【古畑、身体を鍛える】

終わりです。
もしお付き合いしてくださった方がいらっしゃったのならどうもありがとうございました。

なぜ古畑は最初から今泉が犯人でないと分かったのか、は推理してみてください。

そうです。
最初から8割、今泉の部屋をちら見して確信。といったところでしょうか。

今泉「えー、みなさん。もし集団で密室に閉じ込められて、【誰かを殺したら外に出られる】という条件をだされたとしたらどうしますか?
あなたがもし本当に、「元の生活に戻りたい」というのであれば、殺人をしてまで外にでようとするのはオススメできません。
なぜなら、そこにかわいい女の子たちがいるなら、無理して出る必要なんてないじゃないですか…。」


番外編【今泉慎太郎】


今泉「うーん…。」

葉隠「お、どうしたんだべ今泉っち!悩み事か!?仕方ねぇ、俺が特別に30万で占ってやるべ!」

今泉「そんなお金ないよ!」

葉隠「じゃあ何に悩んでるのか聞くだけ聞くべ。どうしたんだべ?」

今泉「うん…、なんか女の子たちがみんなしてぼくに冷たいんだよね。
こないだの裁判でバシっといいとこ見せたはずなんだけどなぁ…。」

葉隠「今泉っちは終始うろたえてただけじゃねぇか…。ほとんど古畑っちの独壇場だったべ。」

今泉「だめだよあんなやつ!男と接する時と女の子と接する時、まるで態度が違うんだもの!ああいうやつはね、すぐにボロが出るよ!」

葉隠「(今泉っち以外の男子には別に普通に接してる…っていうのは言わないでおくべ。)」


今泉「ねぇ葉隠くん、女の子たちにぼくの良さをわかってもらえるにはどうしたらいいんだろう?あとはきっかけだけだと思うんだよね…。」

葉隠「超高校級の前向きだべ。」

葉隠「あ、そうだ。今泉っちなんかよく購買部のガチャガチャやってんじゃねーか。
あれで出たものをプレゼントしてみたらどうだべ?贈り物は女の子を落とすうえでは鉄板だべ!」

今泉「……もうしたよ。」

葉隠「え!誰に何をあげたんだべ!?」

今泉「これ…セレスさんに…。なんかめっちゃ怒られて投げ返されちゃった…。」

葉隠「な…、なんだべコレ…?」

今泉「…動くコケシ。」

葉隠「……ドンマイだべ今泉っち。」

今泉「あ!もしかして照れてたのかなぁ、セレスさん意外と男の人からプレゼントもらうのに慣れてなかったり!」

葉隠「超高校級の前向きだべ。」


おしまい。

ありがとうございます。
赤い洗面器ネタはセレス関連で使いたいと考えていました。
セレスに山田以上に踊らされる今泉を書きたいので、いずれ続きも書くと思います。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom