席替えは時として、突然に新たな道を作る。 (98)
やはり俺の青春ラブコメは間違っている/俺ガイル のSSです。
今回で4作目でメインは川崎沙希です。
微妙な出来になった3作目のリベンジができるように頑張ります。
よろしくお願いします。
1作目 豪雨のせいで雪ノ下と二晩共にした。
豪雨のせいで雪ノ下と二晩共にした。 - SSまとめ速報
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2作目 由比ヶ浜と観覧車に閉じ込められた。
由比ヶ浜と観覧車に閉じ込められた。 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376225220/)
もよろしくお願いします。
3作目 俺の彼女とクラスメイトが修羅場すぎる。
俺の彼女とクラスメイトが修羅場すぎる。 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376323379/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376739765
席替え。それは新たなトラウマが生まれるイベントの一つだ。
なんであいつら本人の前とか関係なしにあいつの隣とか最悪、もう嫌だ。とか言うんだよ。
あと泣くな。お前がなくせいで俺が悪いみたいになるんだよ。俺は何もしてないのに。
俺の存在が悪いみたいになるだろうが。俺は悪くない。
もういじめの領域だろ。てか何で担任何も言わないんだよ。
恨むなら理想の席を引けなかった自分のくじ運を恨め。悪いのはお前だ。
まあしかし、席替えでそんな悲劇が起こりやすいのは中学まで。
もしくは中学生気分が抜けない高校一年生までだろう。ソースは俺。
高校は義務教育じゃない。だから停学が簡単に発動する。
もし、席替えが原因でトラブルがありいじめが認められれば簡単に停学になる。
だから、いじめはわかりにくく、陰湿になるのだ。
まあ、存在が認められてない俺はいじめられることもない。無条件で省かれてはいるが。
当然、総武高校でも席替えはある。
今日は俺の在籍する2年F組でも席替えが行われる。
唐突に始まったせいで保健室に逃げるタイミングを逃してしまった。
席なんてどこでも良いから余ったとこで良いんだが・・・。
はっ、でも戸塚の隣とか後ろとかだったら・・・!
戸塚戸塚戸塚戸塚・・・俺の近く俺の近く・・・。
席替えのやり方はくじだ。先頭がじゃんけんで勝ったので廊下側からくじを引いていく。
俺は一番廊下側の席なのでくじを引くのが早かった。
くじを引き、黒板に名前を書く。
俺の席は・・・一番窓側で一番前。
俺のくじ運悪すぎるだろ。なんであんなに余ってるのにこれ引くんだよ。
くそ、時間巻き戻してえ。時間返し!天時星・時間返し!やられる前にやり返す!
諦めて自分の席に戻る。
ああ、この席結構好きだったんだけどな・・・。目立たなくて・・・。
しかし、もう俺にできることは戸塚が俺の近くに来ることを祈るだけだ。
戸塚戸塚戸塚戸塚戸塚・・・。
そう祈っていると戸塚がくじを引く順番だった。
戸塚が名前を書く。その場所は・・・。
廊下側一番後ろ。
おい、なにやってんだよ!なんでよりによって真逆なんだよ!
一番遠いところじゃないか!次の席替えいつだろう・・・。
席替えが終わるまで、俺は拗ねていた。
「じゃあ、席替え終わります。みんな移動してください!」
HR委員長がそう声をかけるとみんな立ち上がり移動し始めた。
俺が新しい席に着く。隣にやってきたのは・・・
「あんたが隣か・・・」
川崎沙希だった。
「なんだよ、文句あるか。」
「いや、それなりに話せるやつで助かったよ。」
川崎からは耳を疑うような言葉が返ってきた。
俺が・・・隣で・・・助かった?
そんなこと生まれて初めて言われたぞ。
俺が隣で死んだとか言い出すやつはいたけど。
「そ、そうか・・・」
あっぶね、そんなこと初めて言われたからちょっと好きになりかけたぞ。
しかし、川崎が隣になって助かったのは俺もだった。
隣同士でペア組んでやれとかいうタイプの授業でも隣が川崎のおかげで普通に過ごすことができた。
いつもなら最初に睨まれて何もできないまま終わるからな。本当に助かった。
これで授業で怒られることもない。
そして席替えで隣になってからというもの、休み時間や予備校でも川崎と話す機会が多くなった。
学校では戸塚がたまにやってくるが予備校は知り合いが川崎しかいないので川崎と一緒にいることがほとんどになった。
席替えから数週間が経ったある日の昼休み、今日も購買でパン買って食おう。
そう思って席を立った時だった。
「ちょっと。」
隣の川崎から呼び止められた。
「ん?なんだ。俺は今から購買にパン買いに行くんだが・・・。パシリならお断りだぞ。」
「違う。そうじゃない。その・・・これ。」
川崎は俺の机に弁当らしきものを置いた。
「つ、作りすぎたから、あんたにもやるよ。その・・・いつもパンばっかり食べてるみたいだし・・・え、栄養のバランスもだな・・・その・・・。」
これが噂に言う女子の手作り弁当ってやつですか?感極まって俺泣きそうだよ。
でも何で俺の食生活知ってるんだ。昼休みなんて俺教室にあんまりいないぞ。
「その・・・毒とか入ってないよな・・・」
こんなに優しくされたことないからつい聞いてしまう。
だって女子の手作り弁当って悪意でもあるんじゃないかと思ってしまう。
「バカじゃないの・・・。入ってるわけないだろ。私のやつと同じものなんだ。」
「す、すまん。弁当とか貰ったことないからつい・・・。そ、そうだよな・・・。なんつーか・・・ありがとな・・・。」
何だかすごい恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、私行くから・・・。」
去っていく川崎を背に俺は何かを言わなければならない。そう思った。
短い時間、ほんの何秒かしかない中、出てきた言葉がこれだった。
「サンキュー!愛してるぜ川崎!」
「なっ、あんたまたそうやって・・・!」
顔を真っ赤にした川崎は教室を飛び出していった。
いつもより周りがザワザワしているように感じたが、俺も昼飯を食べるのに教室を出た。
その頃、教室の隅では・・・
「ヒッキーが・・・愛してるって・・・愛・・・してるって・・・ヒッキーが・・・」
由比ヶ浜はフリーズしていた。
「ヒキタニくんとサキサキかー。男同士じゃないけどこれはこれでおもしろそうな組み合わせ・・・後で話聞きに行かないと・・・。」
海老名さんは興味津々だった。
昼休み。俺は奉仕部の部室に来ていた。
いつもの場所で食べようかと思ったが今日は風が強く、弁当だと食べるのが難しいと判断したからだ。
そして俺の定位置に座った時、教室のドアが開いた。
「あら、比企谷君。こんにちは。」
来たのは雪ノ下だった。
「うす。お前も来たのか。」
「私は大抵ここで食べているのよ・・・。あなたがいる方が珍しいのよ。」
「そ、そうか・・・。」
校内での雪ノ下雪乃の生態を一つ知った気分だった。
そういや部活以外の雪ノ下ってほとんど知らない気がする。
「比企谷君は、どうしてここにいるのかしら。」
「いや、今日風強いし、弁当だし。教室はうるさいからここに。」
「そう。教室がうるさいのが嫌なのは私と同じなのね。比企谷君と同じというのは非常に不本意だけれども。そういえば、普段は外で食べているの?」
「一言多いぞ。普段はほとんど誰も来ない昼飯に最適な場所があってな。あと基本パンかおにぎりだし外でも食べやすいんだよ。雨の日とか今日みたいに風の強い日じゃなきゃそこで食べてるな。」
「その言い方から察するに、今日は珍しくお弁当なのね。小町さんが作ってくれたのかしら。」
「いや、川崎が作ってくれたんだよ。」
「えっ?」
一瞬雪ノ下が固まった。
「ど、どうした雪ノ下。」
「川崎って・・・あの川崎さんかしら。」
「ああ、俺と同じクラスで夜にバイトしてた川崎だ。」
「な、なぜ川崎さんがヒモガヤ君にお弁当を作ってきたのかしら・・・。」
「おい、誰がヒモだ。勝手に名前変えるな。俺は専業主夫志望なだけでヒモ志望じゃない。」
「そ、そんなことはどうでも良いわ。なぜ川崎さんがあなたに・・・。」
「作りすぎたんだと。で、いつも俺パンばっかりじゃ栄養がどったらって。」
「そ、そう・・・。」
「川崎さんは普段の比企谷君を知っているのね・・・。」
「え、なんか言った?」
雪ノ下は返事の後に何か言っていたようだがまったく聞き取れなかった。
独り言だろうか。まあぼっちは独り言が多くなるからしょうがないか。
「失礼しまーーーす!!!!!!!」
ノックの後、勢いよく誰かが入ってきた。
「ヒキタニ君、話聞かせてもらおうか。」
海老名さんが現れた。
「あ、何をだよ。」
話ってなんだろうか。俺には全く身に覚えがない。
「決まってるじゃない!さっきの愛してるぜ!川崎!についてだよ!クラス内であんな大声で愛してるだなんて言うなんてどういうことなのかなー?」
ああ、俺そんなこと言ってたんだ。何か焦ってたから全然覚えてなかった。
「で、サキサキは言われた瞬間、またそうやってって言ってたけどつまり前にも言ったことがあるってことだよねー?」
「あ、あの・・・えっと・・・。」
思い出される文化祭の記憶。
俺はあの時も川崎に同じセリフを言った。
「比企谷君。」
「はいっ!」
雪ノ下が鋭い口調で俺の名前を呼んだのでつい良い返事をしてしまった。
「正直に話しなさい。」
「ほらー、雪ノ下さんもこう言ってることだしー・・・。」
二人に詰め寄られる。
「あー、もうわかった!わかったから!今から言うことは全部本当のことだからな!良いな!」
「ええ。わかったわ。」
「うんうん。」
「最初に川崎にその・・・あ、愛してるって言ったのは・・・文化祭の時だ。」
「文化祭?あなた仕事もしないで川崎さんといったい何をしていたのかしら。」
「落ち着け雪ノ下。良いから俺の話を聞け。その時俺は相模を探していてな。その時に相模にたどり着く一番の手がかりをくれたのが川崎だったんだ。それで・・・その時・・・。」
「サンキュー!愛してるぜ川崎!世界中の誰よりも!そう言って二人は・・・いやあ、ヘタレ受けのヒキタニ君がそんな風に言うなんて・・・。」
「おい、勝手に付け加えるな。世界中の誰よりもなんて言ってねえぞ。」
「それで、比企谷君は川崎さんのことをどう思ってるの?本当に・・・その愛してるのかしら・・・。」
雪ノ下が急にモジモジしはじめた。
「この反応?雪ノ下さんもしかしてヒキタニ君のこと・・・これはおもしろいなぁ・・・。」
海老名さんが何やらブツブツ言っている。しかし聞き取れるボリュームじゃなかった。
「いや、特に何も。良いやつだなってくらいにしか。」
「そ、そう・・・。愛しているわけではないのね・・・。」
「あれ、雪ノ下さんは何でホッとしてるのかなー?」
海老名さんがすかさず雪ノ下に突っ込む。俺は見てなかったから知らないけど。
「な、なぜ私が安堵する必要があるのかしら。私には比企谷君のことなど関係ないし、比企谷君がその、誰を愛そうとも私は」
「はいストップ。」
雪ノ下がベラベラしゃべりだしたが海老名さんが止めた。
「つまりー、ヒキタニ君とサキサキは別に付き合ってるとかそういうわけじゃないってことで良いのかな?」
海老名さんは俺の方を見てそう問いかけた。
「ああ、そういうことでいい。」
「じゃあ今後に期待ってことで。じゃあ、私は退散するよ。じゃーねー!」
そう言って海老名さんは去っていった。いや、期待されても困るんだけど。
「嵐が去ったみたいだったな・・・。」
「なら後は静けさだけね。」
雪ノ下がそう言った通り、俺たちはその後、特にしゃべることはなかった。
俺が弁当を食ってる時何かチラチラ見ていた気がしたがスルーしておいた。
弁当を食い終わると昼休みの終わる時間がギリギリだったので俺と雪ノ下は教室に戻った。
しかし・・・雪ノ下と一緒に歩くと視線が痛い・・・。
それにしても川崎の作る弁当はなかなか美味しかった。量が少ないというのが唯一気になった点ではあるが。
教室に戻ると川崎は既に席に座っていた。
「川崎・・・その・・・弁当美味かった。ありがとな。弁当箱は洗って返すから。」
「いや、洗わなくて良い。」
「え、いや。でも悪いし。」
「良いから!」
そう言って川崎は俺から弁当箱を奪った。
「わ、わりい・・・。」
「つ、作りすぎたら・・・また持ってくるから・・・。」
「あ、ならもう少し量を増やしてくれ。」
次もあるなら言っておこう。貰う側なのに図々しいかもしれないが6限で腹減って死にそうになるよりマシだ。
弁当もらっておいて自分でパンとか買うのは何か嫌だし。
「え、足りなかったの?」
「ああ。育ち盛りの男子の弁当はもう少し量があっても良い。それに美味かったからな。たくさん食える。」
「わ、わかった・・・。なら明日からはもう少し量を増やすよ。」
「ああ、よろしく頼む。」
翌日、川崎が持ってきた弁当は昨日の1.5倍ほどの量だった。
そして川崎は学校のある月曜~金曜の5日間のうち3日か4日は俺に弁当を持ってくるようになっていた。
作りすぎたら持ってくるんじゃないのかよ。どれだけ作りすぎてるんだよ。なんてことは言えなかった。
弁当のない日は川崎も購買で何か買っていたところを見ると弁当を持ってくる日は確実に俺の分がある。
弁当もらってばっかりで何か悪いから金払おうかと思ったら見事に却下された。
そして俺は川崎が弁当をくれる日は奉仕部の部室で雪ノ下と昼食を摂っていた。
君の仕事(ss)が早すぎるせいで
俺の仕事(マジ)の遅さが目立つ
このSSまとめへのコメント
で?ここで終わり?!