男「なぁ、『人生交換』しないか?」俺「…わかった」(73)

初かきです

良かったら見てください

俺「…」

女1「ねぇ、みてあれ」コソコソ
女2「なぁにあのボロボロの服、超ダメージファッション?」クスクス
俺「……」ジロッ
女1「(うわっ、気づかれた)」シランプリ
女2「(顔もボロボロね)」シランカオ

俺「……ハァ」

…ポツポツ……ポツポツポツポツ

女1「わっ、降ってきた!女2傘ない?」
女2「家になら3本くらい」
女1「そんなこと聞いとらんワイ」
女2「よし、ダッシュ」ダッ
女1「あっ、ちょっ、どこに~!」タタ
俺「(雨か…まぁ関係ねぇな)」

ザーーーーーーーー

俺「……」
俺「(家がないって、こんな気分なんだな)」
俺「(とりあえず、あの場所へ行こう)」


コテハン?

家がない。もちろん金だって、服といえるのはこれだけ

俺「オンボロアパートのクソヤロー」

使えるものは全部とられ追い出されるとは

俺「うわっ、なんか汚いってレベルじゃないっしょ、これは」

ホームレス広場、通称『レス広』地元でそう呼ばれていてとても近づくような場所ではないが
俺の行き先はどうやら『そこ』しかない

~レス広~

大男「よう兄ちゃん」

俺「はい?」

大男「そのなりだとホームレス狩りじゃあねぇな」

俺「えっ…と…はい」

大男「オレはー、そうだな…大男だ。大男って呼んでくれ」

俺「あ…はい」

大男「そんなガチガチになんなって、敬語もやめやめ。」
大男「とりあえず皆いると思うから挨拶してこいよ。あと四人くらいいるからよ」

俺「はい…って、えっ?…くらいって」

大男「あぁ、死んでるかもしんねぇかんな。ハハッ」ケラケラ

俺「あはは…は…」

なんだそりゃ、冗談じゃねぇ

俺「し、失礼します」パサッ


ガリ男「あーい、あれ?誰?」

俺「あ、あの今日来ました、俺といいまsガリ「あーわかった。バイバイ」



なんだそりゃ冗談じゃねぇ


俺「(何だよ、アイツ)」

わりと広いこの場所にテント(と思われるもの)がいくつかある。
このあと二人尋ねたが、ボサ男、フケ男、どちらもガリ男のようなあしらいをうけた。

俺「(何だよここの奴ら、こんなんしかいねーのか?)」


あと一軒だ。今んとこまともなのは最初の大男さんだけか


俺「お、お邪魔しまーす」パサッ





俺「ってあれ?(誰もいな)」グニ


俺「!!!!!!」

声がでない。脚は小枝みたいに今にも折れそうだ


俺「死……体っ……ウップ」グプ



うつ伏せのままだ。知識がないからわからないけど、死んでから間もない事だけは、わかる。


俺「はぁ…はぁ……スー…ふぅぅ」

冷静に。冷静に。

バサッッ!

俺「うぁあああ!!」



大男「なっ何だよオレだよオレ。…あら死んでんの?」



俺「そ、そうみたい…です」


大男「んじゃあ、近くの川に捨ててくっから、ちょっと待っててな」



俺「…はい…」


そうか。そういう感じね。オッケーオッケー

大男「おい」

俺「はい!?」

大男「どうせならヒデ男、こいつの部屋使えよ。」


俺「うえっ!?で…でも、」

こんな異臭やら違和感やらの部屋で生涯を終えるのはごめんだ


大男「じきに、」


俺「えっ?」

大男「じきに慣れるさ。」

大男「『ここ』での生活はな。」


俺「…」


そんな気がしてきた
けど
なんかこう、苦しくなった

俺「(結局よく眠れんかった)」

外は少しくもっているが、でも昨日よりはだいぶ、いい

ガリ「オス」

俺「あっ、おはようございmガリ「食いもんとりいくから、準備。」

俺「…はい」

そうか食わなきゃ、食わなきゃ生きていけないもんな


大男「おーい、速くー!」

俺フケボサガリ「はーーい」


結構、腹へった

ボサ「なぁ、ヒデ死んだのか?」

俺「…はい」

ガリフケ「マジか」

大男「たーいぶやつれてたしなぁ、しゃーないわな」

俺「そういえば大男さん、なんでそんな体格いいんですか?…あんまり飯は…」

大男「俺はレス広入って一ヶ月だ。まだまだ痩せんわ」

ガリ「じきに」

ボサ「確実に」

フケ「こうなる」


俺「…」

一ヶ月で先輩にタメ口かい大男さん

大男「おっ、あったあった」

俺「ここは…(定食屋…の裏口)」

大男「おし!んじゃあオメーやれっ」

俺「…はい?」

大男「中に優しいおばちゃんがいるからよ、残飯下さいっつって」

大男「あの優しさならくれるはずだ!」

フケ「んじゃあオレトイレいってくる」

ボサ「オレもー」

ガリ「んじゃオレもー」

大男「オレはそこで見張ってっからよ!」


俺「…はい」

俺「ハァ…」コンコン

俺「あの~、すみませーん」

ガチャ

おばちゃん「はいはい、ん?あなただぁれ?」

俺「あっ、えっ…とその、余った食べ物なんか…くれたりしませんか?」

おばちゃん「……」

俺「(うぉぉぉいぃぃぃ)」








おばちゃん「おーやすい御用!ちょっと待ってな」

俺大男「(いぇす!!)」

俺「(胃が裂けるかと思った)」

大男「(GJだ、よくやった)」

おばちゃん「はーい、袋いれといたかんね。頑張りな」

俺「あっ、ありがとうございます!」ペコ


大男「よーしよくやった。帰ろう」

俺「ちょっ、感謝のこt大男「おお、そうだった三人を公園まで迎えにいかんと」

俺「…はい」


あの三人ホントにトイレに行ってたのか

俺「もう暗くなりましたね」

大男「おお、しかしだいぶくれたなぁ…」

俺「本当、いい人でしたね」

人の作った飯なんて久々に食べるな、楽しみだ


大男「ん?…おいあれ!倒れてんの!三人じゃねぇか!?」

俺「えっ…あ!!」

大男「急ぐぞ!」

大男「おい!どうしたんだ!」

ボサフケ「」

ガリ「…大…男か?」

大男「誰だ!?誰がこんなことを!」

ガリ「6、7人の…チンピラどもがっ…」

大男「どこに行った!?」

ガリ「ダメだ!…ぐっ…奴ら…武器を!」

ガリ「もう、無理だ」

大男「くっそ…」

ガリ「らしくねぇな…大男…いっ!いつも通り……川に捨てろ…よ」

ガリ「俺も…ダメだ…」

ガリ「なーんも苦しく…な……」カク

大男「……うっ……」

俺「大男さん……」

大男「行こう…帰ろう…」

俺「三人は…」

大男「運んだら目につく、ダメだ」

俺「わかり…ました」

なんでいきなりこんな…最悪だ


俺「犯人…捕まりますかね?」

大男「明日のニュースにでて、2週間ぐらいたてば捕まるだろうな…」

大男「そしてあっという間に、忘れられる」

俺「……」

大男「やっぱ…慣れねぇわ…」

チンピラ2「…おい、あいつらも…」コソ

チンピラ1「クク…やっちまおうぜ」

チンピラ34567「よっしゃ~!!」

大男「ん?…!!やべぇ逃げろ!」ドン

俺「えっ?うわっ!!」ダッ


視界にチンピラたちが入ったぐらいにはもう、走り出していた
ただひたすらに、無我夢中に

俺「はぁっはぁはぁはぁっ」ダッダッ

追いかけてくるかもしれないーー


俺「はぁ!っはぁはぁっっはぁはぁ」ダッダッダッ


殺される。殴り蹴り刺しふみつぶされるーー

運動不足の俺を走らせるのには十分すぎる起爆剤だった

俺「っはぁはぁはぁ」ゼェーゼェー

レス広に、着いた

広場には俺一人、大男は

俺「はぁはぁ…」キョロキョロ

いない


俺「(オレ…逃げたのか?…一人で?)」

俺「……………」

俺「(腹…減ったな)」

握りしめていたビニール袋のなか、ぐちゃぐちゃになった残飯を、オレは食った

俺「…不味い…うっ…妙に……しょっぱいな」モグモグ

雨が降ってきた。テントの中で横になるとあっという間に眠りについた
ーーーーーー

ーーー朝ーーー

男1「おいみろ、あのボロボロの格好」コソコソ

男2「うぉっ、マジだ。てかここで電化製品買うよりよりさきに服買え服!」

男1「なんかオカン神経だなお前」

俺「(……)」

テレビ「今日午前8時頃、ホームレスと思われる男性『四人』が○○市△△町の××公園近くで遺体で発見されました」

テレビ「死因は鈍器で殴られるなどしたことによる外傷性ショック死と見られ、警察では犯人の行方及び被害者の身元の確認を急いでいます」

俺「(四人…大男さん…)」グッ

男2「おーおーすごいなあのズボンは穴が13個もあるぜ」

男1「そんなに気になるならお前が買ってやれよ」

男2「そうすっかn男1「あーわかった、バイバイ」スタスタ

男2「ちょっ、嘘だって」タッタッ

俺「(ガリさん……)」



俺「…」

俺「(ほんっと最悪な人生だ)」

俺「(親が離婚して金がなくて、しばらくしたら親父が死んで)」

俺「(なんとか学校行ったけど、人間関係も勉強もボロボロ)」

俺「(ようやく見つけたと思った居場所も…1日もしないで消えた)」

俺「(生きる意味が…ない)」

俺「何一つとして…ない」

俺はなんとなくふらふらっと、古い建物の屋上に登った

ザァーーーーーーー

すごい雨だ。滝みたいだ、でもまぁ

俺「関係…ねぇな」

俺「それにしても高い建物だ」

俺「落っこちたら…ただじゃ……」

俺「……ハァァ……」



昔の思いが、通り過ぎていく

さぁて、んじゃぼちぼちーー

??「おーい」

俺「……ん?ってうぉ!?」

俺「(なんだこいつ、格好はともかく…顔が…俺にそっくりだ)」

??「あんた、誰?」

俺「お、オレは俺だ」

俺「そっちは?」

??「オレか?」

オレはーーーーーー







男「男…男だ」

男「で、なんでここに来たの?」

わかってるくせに、コノヤロウは

俺「………」ハア

男「オレは…」

俺「ん?」

男「オレは…死ににきたんだ、ここに」

俺「……そっか……」

男「驚かないのか?」

俺「…んまぁ…ね」

まったく、似たような顔して

俺「…一緒だから」

目的まで、一緒とは

ザーーーーーー

男「………」

俺「………」

男「なぁ…」

俺「…ん」

男「なんだ…えーっと…入れ替わらないか、お互いに」

俺「どういう意味?」

男「あの、俺らさ…結構…見た目?雰囲気?みたいなものがさ…にてると思うんだ」

俺「ん、まぁまぁ」

確かに

男「だからまぁ…言っちゃうとだな?」







男「オレと『人生交換』しないか?」

見てるかた、います?

俺「……」ハア

男「ダメか?」

言いたいことは、わかる
しかし

俺「名前は?どうすんだよ?」

それに何の意味がある?

男「…こうしてここにいる時点で、名前なんて意味ねぇだろ」

俺「……フフッ」


確かに

俺「親族は?」

男「ナッシング」

俺「知り合いや友人は?」

俺「その他戸籍などで問題は?」
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

俺「…そうか…」

男「おし!」

それにしても似た者同士だ
まぁここに来るってことは、『そういうこと』なのかもな

俺「はぁ~あ、わかった。」

俺「今からおれは」

俺「あんたの人生だ」

見てるかた、あざますm(__)m

とりあえず今日はここまでです

では、投下開始

男「あ、そうだあと…」

俺「ん?」

男「週に、ん~…一回でいいや」

男「ここでまた集まろう」

俺「…了解」


俺男「じゃあ、また」

オレはそこを後にした
雨上がり、道路の水溜まりをまたぎながら、歩いた

俺「(とはいえ)」

俺「(実際今と大して変わりはないか?)」

いや、違う…なんか、違う

『他人である』これだけで奇妙な自信が湧いてくる

俺「(失敗しようが成功しようがオレのせいじゃない…から?)」

いや、違う
よくわからない

とりあえず今、頭にあるのは

俺「(そうだ、金)」

俺「(金がないと、生きれない)」

そうして、
いつの間にか、テントの前まで歩いていた

横になってボヤーっと立てた計画

俺「(とりあえずは、日払いのバイトだ)」

俺「(身なりを整えねば…)」

俺「(風呂は……川しかないか)」

春とはいえ、水はまだ冷たいだろう
しかし、これはアカン

俺「(……)」

チンピラたちも、しばらくしたら捕まるだろう

そう、信じたい

俺「(バイト探しか…あそこ…いってみっか)」

俺「(考えること、だらけだ)」


俺「(他人として生きる…か)」

不思議な感覚に、再び襲われる

俺「(…あっ!あれか、仮面かぶったら何でもできちゃうやつ…)」ハッ

ちょっと、納得

俺「(ふぅ…)」

俺「(まぁオレは、明日から『男』として)」



俺「(生きてみよう)」

ーーー朝ーーー

俺「…ん…」パチ

俺「んっ……くわぁ~あァ~…」

俺「………」

誰かの朝
まだ少し、ドキドキする

俺「(いーい天気だ、久々じゃねぇか?)」

俺「(……便所いって…水飲んで、)」

俺「(しばらくしたら…行くか)」

自分の服に、目を通してみる

俺「(この格好か…)」ボロボロ

でも、このみすぼらしい格好の人間は

俺「(オレじゃ…ない)」


俺「(男だ)」

学生時代、金がなくちょっとした調べものもまともにできなかった

図書館で探すのはとてもじゃないが、きつい

そこで考えた

俺「(……この近くのはず…)」キョロキョロ

足早に『某携帯ショップ』へ向かう

『ここ』の便利さに気づいたのは…確かまだ親父がいた頃だ

俺「(…あった)」

俺「(ここだ)」スタスタ

ウィ……イィ…ーン……ゴン

ためらいもなく、入店
久々だ

すいません

眠くてもう…寝ます…

明日挽回します!必ず


店員「………」チラ

デブ男「…ウホン」チラ

俺「(日…払い、バイトっと)」スッスッ

俺「(あったあった、これこれ)」スー

最新の機能をお試し可能
俺の雑学の実に9割が、ここからのものだ

俺「(んっ)」ピタッ

俺「(3ヶ月で…60万はいくか?)」

俺「(営業所まで、レス広から歩いて5分…いや8分…まあ近い)」

俺「(『看板の設置』か…これくらいだったら)」

申し込みまではさすがに無理だろう
歩いていくしかなさそうだ

俺「(あの道を……曲がって…でたら右手に…)」フムフム



女「……」ジー

女「ねぇ…」ボソ

メガネ男「わかってますよ…(チラ)あんま見てたら気づいちゃいますよ」コソコソ

女「……あの男、いい」ジー

メガネ男「だからわかってま…えっ…はっ…?」

女「ボロボロなのはわかってる」

女「でも、あの服…普通に着たらとてもじゃないけど、布切れみたいなものよ」

女「それを……限界まであの服の『ソレ』を引き出して、」

女「ちょっとしたファッションに見えるまでに、整えてる」ジー

メガネ男「えーーっ!女さん、いくら女さんでも…さすがにアレは…」


俺「(途中に…ある有名な服屋、『D &S 』…アレが目印だ)」

よし、思い立ったがなんとやらだ
早速出発だ

女「あんたはこういう、何て言うの…そう!斬新さがたりないのよ!」

メガネ男「斬新どころじゃないっすよ…残忍ですよ、あれは」

女「わかってないわ~…あんたは」ハー

メガネ男「…わかってますよっ」

メガネ男「あなたのその『斬新』とやらで、服を超大幅値下げ」

メガネ男「おかげさまで大赤字になった何てこともね!」フン

女「るっさいわね~…あっ出てきた!」コソッ

メガネ男「はぁ~…じゃあさきにもどってますよ~?」

女「帰ぇれ帰ぇれ…あたしはスカウトしてくっからよ」




俺「あの~…」

女「ふぇぁい!」クルン

俺「(ぶっ!)……あの…『D&S』ってどっちにあるかわかります?」

女「でぃ、D&Sですか?(って行き先もろ一緒おぉぉ!!)」

俺「はぁ、まあちょっとそこの近くn女「うぉオッケー!まっかしといて!!」

女「あたしが連れてってやるから、付いてきてな!」グイ

俺「うぉ、待って行く、行きますからっ」トットットッ

女「(インや~ついてんな~!今日は!)ほれ!はようはよう!」タッタッ


俺「(なんでこんなアゲアゲなんだこの女…)待って下さいって…」タッタッ

まぁ連れてってもらえるならありがたいし、付いてくか

ーー街中ーー


女「そうだ、名前」テクテク

女「名前何て言うんだ?」テクテク

そういやさっきから何でこいつタメ口なんだ、しかもどこか偉そうに

俺「あ、おr…」テクテ

女「お?何?ゴメンもっかいおねがい」ピタ

俺「男…です」

焦ってると、無意識に言ってしまいそうだ
気を付けないと

女「オッケオッケ、男さんねー」フンフン

大雑把そうな奴で助かった

俺「(…おっ、あれか?)」

平凡な白塗りのビルに挟まれて1つ
一際異色を放つ模様のかべ

そして中央下辺りに、デカでかと文字三つ

俺「(『D&S』…これだ)」

調べたところこのへんに、営業所があるらしいが

俺「ありがとうございました、えっ…と…」

女「あたし?あたしは女よ、あれ、知らない?」

知るわけあるか、んなもん

俺「すみません、ホントに助かりました」

俺「んじゃ、急いでいますんで」スタ

女「えっ…ちょっちょ、ちょっ」

女「あんたここに用があるんじゃないの?」

俺「えっ…」

俺「オレ、だって言いましたよ、さっき」

俺「近くの営業所に急いで行きたいって」スタ

女「ちょっと、待って」ガシ

女「聞いてないわよ!そんなこと!」

ああ、確かに聴いてなかった

俺「ゴメンなさい、それじゃ」ダッ

女「えっ…そんな…」


メガネ男「…何です?恋愛ドラマかなんかの撮影ですか?」

女「ちょっ、居たなら止めんの手伝いなさいよ!」

メガネ男「はいはい、男性を捕まえるのは仕事を終わらしてからにしてくださいね~」

女「い~や~よ、アイツを追う」

メガネ男「…お弁当、あげませn女「ほらっ、はやく仕事場に戻るわよ!」

メガネ男「……ふぅ~…」

ーー再び街中ーー

俺「(で…右手にコンビニがあって、)」

俺「あっ…た、ここだ」ボソ

俺「(センヨウ営業所、間違いない)」

なんとか着いたみたいだ
自動ドアの向こうを覗いたが、受付らしきところに人がいない

俺「(随分小さなビルだな…)」

オレの想像が輝きすぎたせいかやたらと、痩せほそって見える

俺「(まぁ、入りやすいからいいか)」スタスタ

ドアの前に立つと、2秒後ぐらいにようやく開いた

俺「(ヤベッ、緊張してきた…男…男……)」フーッ

俺「すいませ~ん!どなたかいらっしゃいませんか~!?」

……………

俺「あの~!!どなt爺「はいはい、どなたでごさいますか~?」

耳遠いなじいちゃん

俺「あっ、こんちわ」

俺「自分は男と言います、ここで日払いの…アルバイターを募集してるときいて来たんですけど、」

爺「あ~ぁ、やってるよ…君、どうしたのその服…」

俺「あ~いや、色々ありまして」アハハ

爺「ふーん…まぁいいや、ひ~とが集まんなくて困ってたから、た~すかった」ハッハッ

爺「ちょーっと待ってな、今作業着持ってくっから」ガチャッ

俺「わかりました」

舌の回りが随分と良くなったきがする

爺「ほーれ、これだ」ポイ

俺「っと」バサ

爺「金の方は仕事終わりにこっちによってもらって、直接渡す」

爺「男くんだっけか?…よろしくね?」

俺「はい!」

よし、よし…いける
だいぶいい感じだ、『男』だけでこれほど事がうまくいくとは

爺「仕事は明日からだかんね!っとそうだ、現場までどうやっていくんさ?」

俺「その事なんですが…」

オレには『足』といったら、この2本しかない

俺「あの…地図とかないですか?現場までの、」

爺「ん~?、今の若もんは携帯の『なび』とやらでんなもん、スイスイーっとわかるもんじゃないのか?」

俺「あっはは、この『なり』でさすがに携帯まで手が届きませんよ」

使い方はわかるが

爺「ん~そうか、地図ねぇ…」

爺「地~図はどっかにあったわな~ぁ…」ガサゴソ

爺「ん?…これだ!」パンパン

だいぶ古ぼけた本が姿を現した

俺「仕事場はどこです?」

爺「明日と、明後日は~ここだ、このトオスギ市を通ってる、高速んとこだ」

俺「(おうふ…これは…)」

十キロは軽くこえてる
歩いていく馬鹿はいるはずもない

爺「…おまいさん、車はともかく自転車くらいはさぁすがにあるよなぁ?」

俺「………」

爺「…………………」



俺「…ないっす」ポリポリ

爺「(おうふ…)」ガク

爺「んーなら、朝こっからでる車に乗ってけや」

俺「マジっすか!?」ガタン

爺「だーいじょぶなはず…それじゃ家はこっからどんくらいだ?」

俺「歩きでなら十分かかるかな~くらいです」

爺「おっ、じゃあ丁度いいや、朝の7時くらいに来てくれりゃ~ここで拾ってくわ」

俺「そっか…時間…」

普段、時間と縁がない生活
おまけに目覚まし時計じゃなきゃどうあがいても、ムリだ

俺「あの~、ひっ常に恐縮なんですが…」

爺「ん~、なんだ」

俺「目覚まし時計なるものを、む、無償で頂けないでしょうか…」ペコッ

爺「…まさか、時計自体ないなんてこたぁ…さぁすがに」

俺「……………」

爺「………………………………」


爺「おうふ…」

また明日

爺「…しゃ~ねぇなぁ、事務所にソレっぽいやつあるから、かしてやるよ」

俺「!! あっ、ありがとうございます!」

爺「金入ったら、ちゃんと返せよ」

俺「も、もちろんです」


助けてもらってばっかりだな、オレ

俺「失礼します!…」ペコ

ーーーーーー
ーーーー
ーーー

ーーー帰り道ーーー

俺「(いやはや)」ガサ

俺「(使い方も案外簡単だったし)」ポチポチ

俺「…」


そういえば男の方は、うまくいってるのだろうか…

俺「…ん、なんだこりゃ」ヒョイ

俺「(…! こりゃあ…)」プラーン

腕時計じゃねぇか、しかも結構オレ好みの

俺「(…)」キョロキョロ

俺「(よし、)」ガサ


目覚まし時計の袋の中に迷いなく突っ込む

俺「(残念だが、誰かさん)」

俺「(今のオレには『交番』の『こ』の字も浮かばない)」

俺「……よし、帰宅帰宅」スタスタ


今日は豊作だ
後でこいつの機能も調べておこう





??「………これでよし…と」

??「後は…適当にやらそう」

ーーレス広ーー

俺「………」グーゥ

俺「……………」

俺「(そういや朝から水しか飲んでないな…)」

俺「…行くか……おばちゃんとこ」


第一候補は、ここしか浮かばない

俺「(暗くなる前には行かないと…)」

再びレス広をあとにした

ーーーーーー

俺「(定食屋…定食屋…)」キョロキョロ

俺「あれ…かな?」


横の細い道を抜け、裏口へ


俺「懐かしいな…」

俺「…あいつらさえ…」

あいつらさえ、いなければーー

俺「………」フウ



??「……」

コンコン

俺「あの~、すいませ~ん」

俺「………」

俺「(人の声は聞こえるんだけどな…)」

俺「(…忙しいのかな)」


しょうがない、他をーー

ガチャッ


おばちゃん「…あんた…」

俺「…あっ、こんちにわ…」

おばちゃん「よかったっ…生きてたんだね…」

俺「えっ…」

おばちゃん「ニュースで見たとき…あんたのことかと思ってて…もうホントによかった…」グス

俺「…さいですか」


おばちゃん、そりゃ~ひで~わ

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