にこ「朝起きたら知らない部屋にいた」 (45)

にこ「……どこよここー」キョロキョロ

穂乃果「ふわぁ~、にこちゃんおはよう」

にこ「穂乃果ちゃん……のお姉さん?」キョトン

穂乃果「何言ってるのにこちゃん、私は穂乃果だよ」

穂乃果「にこちゃん寝ぼけてるの?」アハハ

にこ「で、でも私の知ってる穂乃果ちゃんは……うっ」ズキッ

穂乃果「どうしたの? 大丈夫?」

にこ「穂乃果ちゃん、変なこと聞くけど今にこって何歳だっけー?」

穂乃果「んーと、穂乃果より1つ年上だからー」ユビオリ

穂乃果「27歳だよ」

――――
―――


穂乃果「ごめんねー昨日は急に泊めて、なんて言って」エヘヘ

にこ「いいよー、μ'sの仲間なんだし」

にこ「にここれから仕事だからもう出るけど鍵は閉めた後ポストに入れておいてね」

穂乃果「あ、穂乃果ももうおいとまするね!」

穂乃果「穂むらを雪穂に任せっきりにするのも悪いし」

にこ「そっか、じゃあ途中まで一緒に行こっか」

にこ(それにしてもひどい記憶の混乱だ)

にこ(高校を卒業した私は家計の都合で大学には行けずにOLになって1人暮らししている)

にこ(なのに朝起きた時、にこは確かに自分を高校生だと思い込んでた)

にこ(それに自分の部屋を知らない部屋だなんて……)

にこ「自分を高校生だと思い込むなんて、にこ疲れてるのかなー……」カチャリ

穂乃果「穂乃果も結構あるよ、μ'sとして活動してた時のことを思い出すこと」

穂乃果「寝ぼけて『あぁ、遅刻遅刻!』なんて音ノ木の制服着ようとしちゃうこともあるもん」エヘヘ

にこ「それは穂乃果ちゃんだからでしょー? にこも社会人になってしっかりしてきたと思ってたんだけどなー……」ハァ

穂乃果「にこちゃん今さりげなーく穂乃果のこと馬鹿にしたでしょ?」プンプン

にこ「穂乃果ちゃんは変わらないねー。なんだか穂乃果ちゃんと話してると安心するなー」

穂乃果「にこちゃんこそ。体型もあんまり変わってないし」アハハ

にこ「あー! それ気にしてるんだから言わないでよー!」

穂乃果「えへへ、ごめんなさーい」ダッ

にこ「待てー、穂乃果ちゃーん!」ダッ

――――
―――


上司A「矢澤くん、これ頼むよ」ドサッ

にこ「はい」カタカタ

上司B「矢澤くん、これも」ドサッ

にこ「はい」カタカタ

にこ(目が疲れてきた……。そりゃずっとパソコンとにらめっこしてたら疲れるけど……)

にこ(μ'sとして活動してた時は良かったなぁ……。みんなで馬鹿やって、でもみんな真剣で、輝いてて……)

にこ(まるで昨日の事みたいに思い出せる、記憶の混乱のせい……?)

にこ(なんだか昨日まで高校生をやってて今日急に27歳になったみたいな感じ……。高校卒業から今日までの記憶が現実味を帯びない)

――――
―――


にこ(今日もサービス残業で帰るのは定時から大幅に遅れた時間)

にこ(昨日はここでぐでんぐでんに酔った穂乃果ちゃんを拾ったんだよねー)

花陽「あれ? にこちゃん、だよね……?」

にこ「?」クルッ

にこ「……かよちん?」

花陽「やっぱりにこちゃんだ! 久しぶり!」パアアアアアア

にこ(そこにいたのはやっぱりにこが知ってるかよちんより大人なかよちん)

にこ(大人にはなってるけどにこが大好きなぷにぷになほっぺたは健在みたいで少しだけ安心する)

にこ「……かよちん、ちょっといい? 話がしたいの」

花陽「うん、そこのファミレスでも入ろうか」

花陽「……つまり、にこちゃんは今の自分が本当の自分じゃない気がするんだね」

にこ「うん、まるで昨日まで高校生でμ'sとして活動してたみたいな感じで……」

花陽「そういえばこの前凛ちゃんに会ったけどにこちゃんが大分やつれてるって言ってたかも」

花陽「仕事がつらくて脳が現実逃避してるのかな……?」

にこ「あの頃が1番輝いてた時期だしありえると言えばありえるんだよねー」

花陽「じゃあとりあえずμ'sのみんなの状況を整理してみよう。そうすれば何か分かるかも」

にこ「うん……」

花陽「まずは穂乃果ちゃん。穂乃果ちゃんは妹の雪穂ちゃんと一緒に両親の跡を継いで穂むらを経営してるんだよね」

にこ「へぇ、まぁ穂乃果ちゃんは朝会ったし大体予想は出来てたけど」

花陽「へぇ、ってまるで本当に初耳みたいな言い方だね」

にこ「今までの記憶は確かにあるんだけど現実味が全然なくてそういう話を聞くと驚くんだよねー」

花陽「うーん、記憶はあるってことはやっぱり現実逃避なのかなぁ……」ウーン

花陽「まぁ、続けようか、結論はそれからでいいよね?」

にこ「お願いするにこ」

花陽「海未ちゃんも両親の跡を継いで園田道場を切り盛りしてる」

にこ「うん」

花陽「ことりちゃんは高校卒業後海外に留学、今では超人気ブランド『スモールバード』の経営者」

にこ「えっ!? ことりちゃんすごーい」ビックリ

花陽「凛ちゃんは有名なラーメン評論家でテレビにもよく出てるし……」

にこ「凛ちゃんが!? まぁラーメン大好きだもんねー」ウンウン

花陽「なんだか本当に心が高校生に戻っちゃったみたいだね……」

にこ「でも、今の話を聞いてて思ったんだけど、なんとなく現実逃避とはまた違った感じがするんだよねー……」ウーン

花陽「じゃあにこちゃんはこれを見てどう思う?」

にこ「ん? 写真?」

花陽「そう、μ'sのみんなだけでやった結婚式」

にこ「結婚式って誰の……ってかよちんと、真姫ちゃん……?」

花陽「にこちゃんが高校を卒業した後ににこちゃんと真姫ちゃんが大げんかして別れて、その後私と結婚した」

花陽「真姫ちゃんは両親の跡を継いでお医者さんであり、私のお嫁さん」

花陽「にこちゃんが高校生の、真姫ちゃんを大好きだった頃のにこちゃんなら、このことをどう受け止める?」

にこ「にこと、真姫ちゃんが大げんか……?」

こんなんキャラ変えただけじゃん
完全なるパクりじゃん

にこ「そ、そんなことあるわけないでしょ!」バン

にこ「でたらめ言わないでよ! 真姫ちゃんは私と結婚するって言ったもん!」

にこ「医者になって、にこを幸せにするって! なのに、なのに……!」ポロポロ

花陽「……そっか、分かった」

花陽「にこちゃんは、希ちゃんのところにいくべきだよ」

にこ「希ちゃんの……?」

花陽「希ちゃんならきっとにこちゃんの助けになってくれるはずだよ……」

――――
―――


翌日 西木野病院前

にこ「かよちんはここに希ちゃんがいるって言ってたけど……ここって真姫ちゃんの病院だよね……?」

真姫「……にこちゃん?」

にこ「っ!」

真姫「何してるの? こんなところで。希のお見舞い?」

にこ「ま、まま、真姫ちゃん、久しぶりねー」タラタラ

真姫「久しぶりでもないじゃない。にこちゃん結構な頻度で希のお見舞いに来てるでしょ?」

にこ(なんで大げんかしたっていうのに真姫ちゃんはこんなに普通に話せるの……?)

真姫「にこちゃん、今日花陽は凛と飲んでくるみたいなの。ね、今晩どう?」コソコソ

にこ「こ、ここ、今晩って……」

真姫「何? 今更罪悪感? こっちの方が燃えるからかよちんと結婚しろって言ったのにこちゃんでしょ?」

真姫「表向きではかよちんと結婚。でも本当はにこちゃんと、って」

にこ「それって浮気って事?」

真姫「浮気って言うかそもそも私はにこちゃんが好きなのよ。まぁ、花陽もにこちゃんほどではないけど好きだけどね」フフ

にこ「にこがそう言ったの?」

真姫「自分が言ったことも覚えてないの? 全くにこちゃんは……」

真姫「そういうところも好きだけど」フフ

にこ「の、希ちゃんのお見舞い行ってくる……」フラフラ

真姫「夜、にこちゃんの家に行くから待っててね」フリフリ

にこ「そんな、にこがそんなこと言うわけ……」ブツブツ

にこ「これは夢、絶対夢……。中々覚めない悪夢……。きっと希ちゃんの所に行けば覚める夢……」ブツブツ

にこ(かよちんの話によると希ちゃんはここにいるはず)ガチャッ

絵里「あら、にこ。また来てくれたの? ありがとう」

希「……」

にこ「……は?」

絵里「ほら、希。にこがお見舞いに来てくれたわよ」ポンポン

希「……」

にこ(そこにいたのは確かに希ちゃん。だけれど虚ろな目でベッドに横になっている希ちゃんだった)

にこ「ど、どど、どうしてこんなことになってるのよ!」

絵里「どうして、って……。希が横断歩道を渡っているところを居眠り運転をしてたトラックにはねられて全身がほとんどマヒ状態になったんじゃない」

絵里「それで、治る見込みは全くなくて、私が面倒見てるんじゃない」

絵里「ラッキーガールだ、なんて言っておいて全然ラッキーじゃないじゃないの……」

にこ「……う」

絵里「ん? 何か言った?」

にこ「こんなの違う! 夢なの! これは現実じゃないの!」ポロポロ

絵里「…………」

絵里「にこが認めたくないって気持ちも分かるわ。私も認めたくないもの」

絵里「あんなに元気だった希がこんな風になっちゃうなんて……」

絵里「でも、これが現実。つらいけど、これが現実なの」

にこ「違う! ここはにこの世界じゃない! にこは高校3年生で、みんなとμ'sとして活動してて……!」

絵里「にこ……」ホロリ

希「……にこっち」

絵里「希!?」

にこ「希ちゃん……?」

希「にこっち……妖気を、感じる……悪い妖怪が……」

にこ「妖怪……?」

希「まくらがえし……やね……こいつにまくらを返されると、今のにこっちみたいに魂が違う世界に飛ばされる……」グイッ

希「それで困ってるのを見て……楽しむんや……こいつはにこっちの背中で、にこっちの様子を見てた……」

にこ(希ちゃんはにこの後ろの『何か』を掴んでいるようだった)

にこ(にこが見ても見えない『それ』は絵里ちゃんにも見えないらしく絵里ちゃんは希ちゃんの様子をオロオロと見ている)

希「ここは……このにこっちの世界やない……これからにこっちは沢山の選択を迫られて……その度に未来は変わる……」

希「この世界はその数ある未来のひとつや……だからにこっち帰って、幸せな未来を築き……」

希「……まくらがえし、にこっちを元の世界に戻し……さもないとわしわしするで……」

にこ(希ちゃんがそう言った瞬間辺りは光に包まれて、にこの目の前も真っ白になる)


―――
――――

にこ「……っ!」ガバッ

にこ(見慣れた天井に、見慣れた部屋)

にこ「夢、だったの? それとも本当に妖怪の……?」

にこ「今日は、えっと……。あぁっ! 夏休み最後にライブやろうって穂乃果ちゃんが言い出して、その振り付けの確認の日!」

にこ「急がなきゃまずいにこー!」アセアセ

――――
―――


凛「あ、にこちゃん来たにゃー!」フリフリ

海未「もう! にこ、遅いですよ!」ピリピリ

希「にこっち、寝坊でもしたん?」

穂乃果「分かった! ご飯がおいしくておかわりしてたら遅れたんでしょ?」

絵里「穂乃果じゃあるまいしそんなことないわよ」アキレ

花陽「花陽、おかわりしたくなる気持ちも分かります!」グイッ

ことり「まぁ、でもそんなに大幅に遅れたわけでもないし大目に見てあげよ、ね?」

真姫「ことりは甘いのよ、こういうときはガツンと言ってあげないとにこちゃんのためにならないわ」

にこ「……みんな」ウルッ

真姫「ど、どうしたのよ? いきなり泣き始めて……」タジタジ

にこ「真姫ちゃん! 真姫ちゃんはにこと結婚するにこ!」ダキッ

真姫「け、けけ、結婚!? 何言ってるのよにこちゃんは!」カアアアアアアア

にこ「絶対幸せにするから! にこも真姫ちゃんのこと幸せにするから!」ギュッ

真姫「い、いきなりなんなのよもう!」

絵里「朝からお熱いわね」ヤレヤレ

希「まぁ仲良きことは美しきかな、やん」アハハ

凛「凛もかよちんを幸せにするにゃ!」

花陽「り、凛ちゃん!?」カアアアアアア

穂乃果「穂乃果も! ことりちゃんと海未ちゃんを幸せにするね!」ヨシッ

海未「堂々と2股宣言ですか?」ハァ

ことり「でもことり、穂乃果ちゃんも海未ちゃんも大好きだからやっぱり3人一緒が良いな」

にこ(あれが夢だったのか、本当にあったことなのかは分からない)

にこ(けどはっきりしてることは1つだけある)

にこ「真姫ちゃんも、みんなも大好きにこ!」

おわり

元ネタはぬ~べ~の次元妖怪・まくらがえし
元にしたっていうか>>16の言う通り丸パクリだけどぬ~べ~みたいな不気味さは出せなかった
不快にさせちゃった方、申し訳ありません

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