とある科学の武装錬金 (36)
とある魔術の禁書目録・とある科学の超電磁砲と武装錬金にクロスオーバー作品です。
二つの物語の世界観を融合し禁書を中心に再構成していきます。
途中から武装錬金のキャラクターも出てきますが、しばらくは登場しません。
時系列は滅茶苦茶になります。
またカップリング要素として上条×美琴(上琴)とカズキ×斗貴子が出てきます。
また一部のキャラクターの設定を大きく変更しています。
その点にも注意してください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372412484
東京西部に位置し神奈川・埼玉・山梨に面する完全独立教育研究機関……学園都市。
黎明の夜明け前に一人の少年が携帯電話を片手に路地裏に佇んでいた。
少年の前には無機物な残骸が転がっている。
「戦士長、三体目の討伐に成功しました」
「いつも俺のことはキャプテンブラボーと呼べと言っているだろ? 何故ならその方がカッコイイから!!」
「……すみません、今回も敵のアジトは掴めませんでした」
「そうか。 しかし錬金戦団と学園都市の関係上、君以外の戦士を送り込むことはできない。 すまないな、君一人に大掛かりな任務を任せてしまって」
「正直なところ、学園都市は治安が悪くてスキルアウトの人間がどれだけ犠牲になっているか分かりません」
学園都市の大きな特徴の一つとして、ここでは脳開発や薬品を使って超能力の開発が行われている。
そして学園都市に住まう学生達は皆例外なく超能力の開発を受けており、その能力の強弱によってレベル0〜5の六段階にカテゴリーされる。
スキルアウトとはそのレベル0に位置する人間の中でも、いわゆる不良と呼ばれる類の人間の集まりだ。
一括りにスキルアウトと言っても、チンピラのような人間から本格的に武装した人間まで多岐に渡るのだが……。
とにかくこの学園都市には一万人のスキルアウトが潜在的に存在すると言われているが、彼らの素行は夜中に徘徊するなど決していいものとは言えない。
そして夜中に人目の付かない場所で彼らは確実に奴らの餌食になっていた。
「学園都市でも夜中の外出の禁止など、戒厳令のようなものを敷いてくれるとありがたいんだがな」
「まあ理由を公にできない以上、それも難しいんじゃないですか?」
「……そうだな」
「とにかくまた何か動きがあったら連絡します」
「くれぐれも無茶はするなよ」
「はい」
少年は携帯の通話を切ると、目の前の残骸に目をやる。
すると学園都市全体に配備されている自動の清掃ロボが残骸を吸い込んでいった。
残骸がキレイになくなったのを確認すると、少年は自らが住まう寮へと足を向ける。
今夜も徹夜をしてしまったため、恐らく今日の授業も爆睡することになるだろう。
涙目になる見た目幼女の担任を思い浮かべて、少年は少し罪悪感に苛まされるのだった。
少女は路地裏を必死に走っていた。
今の時間帯は夜明け前……少なくても中学生である彼女が出歩くような時間ではないが、寮の門限を破ることなど彼女にとって日常茶飯事なのでそれは特に問題ない。
問題は後ろから追いかけてくる化け物だ。
どこか無機物を思わせる構造をした虎のような化け物が少女の後を追いかけてくる。
少女は自らの持つ最大の力の電撃を化け物にぶつけた。
しかし化け物は多少怯むものの、すぐに少女の後を追いかけてくる。
このような化け物……ましてや学園都市に七人しかいないレベル5の自分の力が通じないような規格外の化け物を他の人間に任せる訳にはいかない。
何とかして自分の力で仕留めなければならなかった。
(それにしてもこんな化け物まで作ってるなんて、学園都市も大概よね)
少女はそんなことをことを思いながら電磁力で集めて作った砂鉄の剣を化け物に振るう。
振動した砂鉄によりチェーンソーのような切れ味を持つ剣なら流石に化け物に通用する筈だと少女は思ったが、化け物の表皮に傷一つ付けること敵わない。
少女は舌打ちをしながら、再び化け物から距離を取るべく全速力で駆け出した。
既に長い時間走り回っており、体力も限界に近かった。
(……出し惜しみはしてられないか)
少女は化け物との距離が十分に開いたことを確認すると、化け物に向かって対峙する。
化け物も今まで逃げ回っていた少女がいきなり足を止めたことに驚いたのか、少し警戒した様子で少女の出方を窺っていた。
少女は化け物が二の足を踏んでいることを好都合と、ポケットから一枚のゲームセンターのコインを取り出すと親指で宙に向かって弾く。
そして宙に舞ったコインを今度は前方……化け物に向かって弾き飛ばした。
するとオレンジ色の閃光が化け物に向かって凄まじいスピードで向かっていく。
超電磁砲《レールガン》、少女の二つ名の由来にもなっている必殺技だ。
ローレンツ力を利用し音速の三倍でコインを撃ち出す。
途中で空気摩擦によってコインが溶けてしまうため射程は五十m程度と短いが、それでも少女の宿敵ともいえる少年を除けば確実に相手を仕留められる筈だ。
レールガンによる風圧で路地裏にあった木材などは瓦解し、化け物にレールガンが当たった瞬間凄まじい爆発が巻き起こる。
(流石にこれなら!!)
砂埃が舞った路地裏で少女は化け物を仕留めたかどうか確認する。
しかし電撃使いである少女が無意識の内に放ってしまう電磁波を利用したレーダーに反応があった。
「くっ!?」
少女がその場から後ろに向かって大きく飛び退くと、少女が今まさにいた場所に鋭い爪が振り下ろされる。
コンクリートの地面が爪痕のように大きく削られていた。
自らの必殺技であるレールガンが効かなかったことに戸惑いを隠せないながらも、少女は再び化け物から距離を取るべく走り始める。
しかし今回は距離を取ることも叶わなかった。
化け物は今までとは比べ物にならないほどのスピードで少女に詰め寄って来る。
(まさか今までは本気じゃなかったの!?)
そう思った時には既に遅く、化け物の大きな前足によって少女は地面に叩き伏せられていた。
「がっ!?」
大きく口を開いた化け物が涎を垂らしながら少女のことを見下ろしていた。
「嘘、電池切れ!?」
少女は既に体力的にも能力の使用も限界に達しており、電撃を放つことができなくなっていた。
化け物は少女が電撃を放てないことを悟ったのか、大きく開いた口を歪ませた。
それはまるで少女を蔑み笑っているようだった。
そしてその大きな口は少女に向かって徐々に近づいてくる。
(こんなところで死んじゃうの!? まだアイツにだって勝ってないのに!?)
何故か少女の脳裏に浮かんだのは大好きな両親でもなく、親友でパートナーの後輩でもなかった。
自分をレベル5でありながら特別扱いせず、自分の能力を悉く打ち消してしまう正体不明の能力を持った少年。
子供扱いされることに苛立ちを覚えながらも、いつしか少年と追いかけっこをする時間が心地よいものになっていた。
(こんなことなら、一回だけでもアイツに最初に会った時に助けてもらったお礼を言っておくんだったな)
そして化け物の鋭い牙が少女の首筋に差し掛かったその時……。
「ビリビリを放しやがれ!!」
今ではしっかりと脳裏に焼き付いている少年の声と共に、化け物が大きく吹き飛ばされた。
美琴が寝そべったまま上を見上げると、そこには先ほどまで思い浮かべていた少年が荒い息を吐きながら佇んでいた。
その姿はまるでヒーローそのものだった。
「もう大丈夫だ」
少年はそう言って少女に向かって微笑みかける。
少女は少年の笑顔に気が緩んだのか、今になって恐怖が込み上げてきた。
精神的疲労もピークに達しており、少年が来たことにより安心したのか少女はそのまま意識を手放す。
そして意識が完全に途切れる前に少女の耳に入ってきたのは『武装錬金』という咆哮だった。
「……またあの時の夢か」
少女は目を覚ますと汗ばんだ体をサッパリさせるために寮の部屋に備えられたシャワールームへと向かう。
少女の名前は御坂美琴、学園都市の発電能力者の頂点に君臨しレベル5の第三位に位置する超能力者だ。
美琴は学園都市の能力開発において五本の指に入ると言われる常盤台中学に通い、常盤台のエースとまで呼ばれている。
美琴はシャワーで体を軽く流すとそのまま制服へと着替えた。
夢の内容はまるで作り話のようなものだったが、それは紛れもなく現実に起こったことだと美琴は確信している。
一週間前、美琴は目を覚ますと寮の部屋のベッドで横になっていた。
インターホンが鳴り寮監が外に出ると、寮の玄関口で倒れていたらしい。
寮監からの手痛いお仕置きと後輩の白井黒子からの過度なスキンシップに辟易をしながらも、美琴は何よりも自分を救ってくれた少年の安否が気掛かりだった。
自分が無事だということはあの少年も無事な筈だが……。
いつもの美琴ならすぐに寮を飛び出していくところだが、門限を過ぎた外出と何らかの事件に巻き込まれた可能性から一週間の停学を食らって寮に軟禁された状態になってしまっていた。
これほど一週間が長く感じたことはなく、美琴の不安は日に日に募るばかりだった。
そしてようやく今日になって停学が解け、外に出れるようになったのである。
放課後になりいつものように少年の姿を求めて美琴は街に繰り出そうとするが、それを呼び止める者がいた。
「お姉様、お待ちください!!」
美琴が振り返るとルームメイトである白井だった。
少し距離があったが、白井は自身の能力である空間移動を使い一瞬にして美琴の前に現れる。
白井はどこか怪訝な様子で美琴の顔を覗き込んでいた。
「お姉様、今日のこれからのご予定は?」
「えっと……」
美琴のことを異常なほど慕う白井のことだ。
素直に少年を探しに行くと言ったら、どうなるかは目に見えている。
美琴は少し考え込むと、取り繕うように言った。
「きょ、今日は少し一人で買い物がしたくて」
「嘘を仰らないでください。 お姉様が寮の前で倒れていた時以来、ずっと何か考え込んで上の空だったことは分かっています。 そんなに黒子のことを信用してくださいませんの?」
確かに白井に心配を掛けたことは事実だ。
一週間前に何があったかは話せないが、素直に話せば分かってくれるかもしれない。
「あの時、私を助けてくれた人がいたの。 でも私は気を失っちゃって、その人の安否が分かってないのよね。 だからその人がどうなったか確かめたくて」
「そういうことなら素直に言ってくださればよかったのに。 風紀委員の権限を使って書庫でその方の所在地を調べてみせますの」
書庫とは学園都市のデータベースで、特に学生についてのデータは網羅されている。
それを使えば少年の能力や住所までも把握できるはずだ。
「でもいくら風紀委員でも、個人的な理由で書庫にアクセスすることはできないんじゃない?」
「それは初春にハッキングさせますの」
「……ごめんなさい、初春さん」
白井の同僚で友人でもある後輩に心の中で頭を下げながら、美琴は勇み足で歩き始めた白井の後に続く。
すると白井は何か思い浮かんだのか、美琴に向かって振り返って言った。
「ところで、お姉様。 まさかその恩人とは殿方じゃありませんよね?」
「……」
白井の言葉に美琴は頬を染めて俯いてしまう。
いつも覇気がない顔で不幸だと呟いているものの、駆け付けてくれた時の少年は少しはカッコよかったと思う。
「何ですの、その乙女な反応は!? これは何としてもその殿方の所に行くしかありませんの!!」
そして色々と誤解をし大声で喚く白井を宥めながら、美琴は第七学区にある風紀委員の第一七七支部へと向かうのだった。
「あっ、白井さんに御坂さんも!!」
第七学区にあるビルの第一七七支部に入ると初春が二人を出迎えてくれた。
他の風紀委員は出払っているらしく、初春はパソコンの前で書類整理を行っている。
「御坂さんが風紀委員の支部に顔を出すなんて珍しいですね?」
「確かにいつもは何かあっても現場で会うことが殆どだからね」
「今日は初春に一つお願いがあって来ましたの」
「他ならぬ御坂さんと白井さんの頼みです。 私にできることなら何でも言ってください」
そして美琴は初春に事情を説明した。
すると初春はどこか興味深そうに、美琴の顔を見つめて意地の悪い笑みを浮かべた。
「もしかして、御坂さんってその人のことが好きなんですか?」
「なっ!? だ、誰があんな奴!!」
「その言葉が本当であることを願いますの」
白井はガックリと肩を落として恨めし気に呟く。
そして初春は美琴から聞いた少年の通う学校のデータベースから特徴に合った人物を探し出す。
「えっと、この人ですか?」
「そう、コイツよコイツ!!」
「えっと、名前は上条当麻。 とある高校一年七組に在籍する一五歳ですね」
「……上条当麻っていうんだ」
「あら、名前も存じてませんでしたの?」
「……まあね」
良く考えれば美琴は少年に対して最初を除けば一方的に因縁を付けていただけだ。
相手のことを知ろうともせず、一方的に暴力を振るうだけ……。
これでは子供扱いどころか、傷害事件の犯人扱いされてもおかしくない。
「第七学区にある学校の学生寮に住んでるみたいですね」
「どうしますの、お姉様?」
「アイツが無事かどうか分からないと目覚めも悪いし、行くだけ行ってみるわ」
「だったら私もご一緒しますの」
本当は一人で行きたいところだったが、もしかすると一人で少年と会ったらいつものように難癖を付けてしまうかもしれない。
美琴は白井の言葉に頷くと二人で第一七七支部を後にするのだった。
初春から聞いた住所に向かうとそこはオンボロとまではいかないが少し古ぼけた集合住宅のような建物だった。
備えられたやはり振るいエレベーターに乗り、七階へと向かう。
そして廊下を少し歩くと、上条当麻と表札が掛けられた部屋の前に立った。
「インターホンを鳴らしませんの?」
ドアの前で固まっている美琴に対して白井は訝しげに尋ねる。
何故か美琴は今になって少年に会うのに気恥ずかしさを覚えていた。
今までは勝負という口実で少年に向かっていたが、今日は少なくても少年の安否の確認、そして上手くいけば今までのお詫びと助けてもらった礼を言うつもりだった。
「……うん、大丈夫」
白井の言葉に後押しされ、美琴は恐る恐るインターホンを押す。
少し古ぼけた金属音が鳴ると、部屋の中から玄関に向かってくる足音が聞こえてきた。
そして玄関のドアが開くとそこに立っていたのは……。
「ビリビリ!?」
「私の名前は御坂美琴って言ってるでしょうが!!」
思わず条件反射のように美琴は少年に向かって電撃を放ってしまった。
「ちょっ!? お姉様、何をやってますの!?」
白井は慌てふためいた様子で美琴を問いただす。
しかしそれ以上に、白井には驚くべきことがあった。
「何しやがるんだ!!」
「えっ、お姉様の電撃を食らって無傷!?」
美琴の電撃を食らったにも拘らず、少年は特に外傷もなく佇んでいた。
もっともその顔は恐怖に歪んでいたが……。
「あっ……」
美琴は今になって激しい自責の念に駆られた。
お礼を言うどころか、いつものように電撃を放ってしまった。
あまりの自分の短絡さに美琴は思わず涙ぐんでいた。
「この類人猿!! 何、お姉様を泣かせてますの!?」
「えっ、俺が悪いの!?」
少年は理解ができないといった様子だったが、自分の部屋の玄関の前で中学生の女の子を泣かしていたらご近所でどんな噂が立つか分かったものではない。
「お、怒ってないから泣きやんでくれよ」
「本当?」
「あ、ああ。 何か話があって来たんだろ? 取り敢えず部屋に上がってくれ」
美琴が襲撃しに来たという考えも頭によぎったが、美琴の態度を見るにその線は薄そうである。
とにかく周りからあらぬ疑いを持たれないためにも、少年は二人の少女を部屋へと招くのだった。
とりあえず今はここまでです。
書き溜めたらまた投下したいと思います
すみません。
他のスレにおいて他の方を不快にさせてしまうような発言をしてしまい、
自分には書き手としての自覚がないことを悟りました。
大変身勝手で申し訳ないですが、ここでこの作品を打ち切りたいと思います。
期待してくださっていた方には大変申し訳ありません。
>>1です
ご迷惑を掛けてすみません。
自分の不用意な発言のせいで色々な方に不快な思いをさせてしまいました。
ただ自分はあちらで発言した通り、原作に沿ったssなら電磁通行はありえないと思っています。
しかしそれはあちらで口にするべきではありませんでした。
このスレは既にHTML化の申請をしてしまいましたが、少し落ち着いたら再び同じ中身でスレ立てしたいと思います。
タイトルは変わると思いますが、見かけたら読んでいただけると幸いです。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません