雪ノ下「の中学時代のあだ名を知ってるの?」
由比ヶ浜「えっ?ただ腋の下が蒸れてびちょびちょって話をしてただけだけど・・・」
八幡「・・・腋ノ下腋乃か」
雪ノ下「・・・えぇ」
八幡「ヒキガエルよりも悲惨だな」
由比ヶ浜「・・・なんでそんな名前に」
雪ノ下「ワキガ・・・酷かったの・・・」
八幡「・・・」
八幡「なるほど・・・子供は残酷だな」
由比ヶ浜「腋臭いから虐めるとか酷い!」
雪ノ下「今思うと反論できないの。実際臭かったから」
八幡「いや、でも8×4とかあるだろ」
雪ノ下「私が8×4と出会ったのは高校一年生よ」
八幡「つい最近まで臭かったのかよ・・・最悪だな」
由比ヶ浜「ヒッキー、ちょっと言い方を・・・」
八幡「腋の臭いとか身だしなみっていうかマナーだぞ」
雪ノ下「だから知らなかったって言ってるでしょ?しつこいわね」
八幡「どれだけ臭いに無関心なんだよ」
由比ヶ浜「もっとオブラートに包んで言ってあげようよおおおおお」
八幡「まあ今はちゃんとワキガ対策してるならいいんだけどな」
由比ヶ浜「まぁ・・・あの臭いは不快に感じる人も多いだろうしね」
雪ノ下「最近は平日は毎日スプレーしてるわ。朝に余裕があるときはね」
八幡「おい待て。余裕ないときはしないのかよ」
雪ノ下「比企谷君。あなたは学校とワキガどっちが大切なの?」
八幡「うっわぁ・・・信じらんねぇ・・・」
由比ヶ浜「急いでると言えば今日ゆきのん学校来るの遅かったよね」
雪ノ下「ええ。少し寝坊してしまったから」
八幡「・・・おい。まさか今日スプレーは」
雪ノ下「する時間無かったわ」
八幡「いやいや、車通学だろ!?車でする時間あるだろ!?」
雪ノ下「車の中は食事と着替えして髪治してたの。布団出てすぐ車よ」
由比ヶ浜「すごいなぁ。車の中で朝の準備できるんだぁ」
八幡「そこまでするならスプレー一本くらい置いておけよっ」
八幡「さっきからどおりで腋臭いと思ったよ!」
由比ヶ浜「ヒ、ヒッキー!?」
八幡「ずっと黙ってたけどな、お前のワキガ。外人並みヤバいぞ!?」
雪ノ下「フン」ファサァ
八幡「そうやって髪なびくたびに臭うの!わかる!頼むからスプレーしろ!」
由比ヶ浜「ヒッキー、少しは言い方を・・・」
雪ノ下「いいのよ由比ヶ浜さん。まったく気にしてないから」
由比ヶ浜「いや、少しは気にしてほしかったり・・・」
雪ノ下「例えワキガが酷かろうとそれが私なの」
雪ノ下「それを偽るなんて御免よ」
八幡「俺もワキガ対策しない奴といるのは御免だ」
由比ヶ浜「ヒッキー!」
八幡「帰らせてもらうわ。この部屋くせえし」
ガララ
雪ノ下「勝手にすればいいのよ」
由比ヶ浜「ヒッキー・・・」
雪ノ下「・・・そんなに臭い?」
由比ヶ浜「えっ」
雪ノ下「私のワキガ。臭い?」
由比ヶ浜「う、う~ん・・・どうだろ。あははのは・・・」
雪ノ下「私のこと・・・友達だと思うなら真面目に答えて・・・」
由比ヶ浜「えっと・・・その・・・」
由比ヶ浜「・・・少し、臭いかな?」
由比ヶ浜「なんちゃって・・・あはは・・・」
雪ノ下「・・・」
由比ヶ浜「ほんのちょっとだよ?ほんのちょっと臭うかな~ってくらい!」
雪ノ下「でも実のところ・・・?」
由比ヶ浜「・・・」
由比ヶ浜「・・・めちゃくちゃ臭い、かな」
由比ヶ浜「なんちゃって・・・はは・・・」
雪ノ下「・・・」
由比ヶ浜「・・・なんかごめん」
雪ノ下「・・・どれくらい臭いの?」
由比ヶ浜「・・・」
雪ノ下「・・・例えるならどんな感じ?」
由比ヶ浜「腋ノ下腋乃って感じ」
雪ノ下「死んで」
由比ヶ浜「え?」
雪ノ下「あなた・・・信じられないわ」
由比ヶ浜「はぁぁ!?ゆきのんが友達なら本当のこと言ってって言ったんじゃん!!」
雪ノ下「超えちゃいけないライン考えなさいよ」
由比ヶ浜「ゆきのんの超えちゃいけないライン難しすぎっ!どこまでかわかんないよ!!」
雪ノ下「それをくみ取るのが友達だと思うの」
由比ヶ浜「もう知らないっ!ゆきのんの馬鹿!死ねっ!」
ガララッ
雪ノ下「・・・」
雪ノ下「ふん。死ねって言った方が死ぬんだから」ツン
雪ノ下「あ、今のツンはツンツンしてるのツンだから」
雪ノ下「・・・って私なに独り言を」
雪ノ下「・・・」
雪ノ下「・・・クンクン」
雪ノ下「おえっ!」
雪ノ下「エホッ!ケェーッ!ケェーッ!」
雪ノ下「ケエッエッエッ・・・」
雪ノ下「はぁーはぁー・・・」
雪ノ下「なにこれ・・・冗談じゃないわ・・・はぁーはぁー」
雪ノ下「これは夢。きっと夢よ」クンクン
雪ノ下「あれ?今度は臭わのうぇっ!ケェーッケェーッ・・・」
次の日
由比ヶ浜「あ、ヒッキーおはよー」
八幡「おっす。はぁ・・・昨日はカァっとなってすこし言い過ぎちまったかな・・・」
由比ヶ浜「私も・・・昨日は家に帰って自己嫌悪・・・」
八幡「雪ノ下が学校に来たら謝るか」
由比ヶ浜「私もそう思ってるんだけど・・・なかなか学校来ないんだよね」
八幡「まだ来ないって・・・もうすぐ始業のチャイム鳴るぞ」
キーンコーン
由比ヶ浜「あ、鳴っちゃった・・・」
八幡「おいおい。珍しいな。雪ノ下が遅刻か?」
ダダダダダダ
ガララ
雪ノ下「はぁっ、はぁっ、はぁっ、・・・ギリギリセーフッ」
由比ヶ浜「アウトだよ」
雪ノ下「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・熱っ・・・」
由比ヶ浜「ゆきのーん。下敷きうちわだよー」パタパタ
雪ノ下「ありがとう・・・はぁっ・・・生き返るわ」
八幡「雪ノ下、昨日はワキガワキガ言って悪かった」
由比ヶ浜「私も・・・腋の下腋乃って言ってごめん」
雪ノ下「私こそ・・・死んでって言ってごめんなさい」
八幡「そういやなんで今日は遅刻したんだ?珍しい」
雪ノ下「これよ」スッ
八幡「これは・・・」
由比ヶ浜「制汗スプレー・・・!?」
雪ノ下「スプレーするの忘れて家に戻って持ってきたの」
由比ヶ浜「ゆきのん・・・」
八幡「おい。まさか持ってきただけでまだしてないってオチじゃないだろうな・・・?」
雪ノ下「そんなわけないわ。しっかりしてるわ。ほら」スッ
由比ヶ浜「どれどれ・・・」クンクン
由比ヶ浜「おえっ」
八幡「雪ノ下!どういうことだよ!」
雪ノ下「私の推測だけれでも、ここまで走ってきたせいで汗が出てスプレーが流れ落ちたようね」
由比ヶ浜「ゆきのんっ・・・ひどいよっ・・・!」
雪ノ下「流石の私もこれには苦笑いね」ハハハ
由比ヶ浜「全然笑えないよっ・・・おえっ」
雪ノ下「全て汗が悪いの」
八幡「よりにもよってクラス合同の移動教室の授業だったからな」
雪ノ下「自分の教室ならきっと間に合ったわ」
由比ヶ浜「そもそも早起きしようよ~」
キーンコーンカーンコーン
八幡「お、終わったか」
雪ノ下「今日も喋ってる間に授業が終わったわね」
由比ヶ浜「全然ノート取ってないや」
雪ノ下「大丈夫。私も取ってないわ」
由比ヶ浜「そっか!ゆきのんも取ってないのなら大丈夫だねっ!」グッ
雪ノ下「ふふ。ところで腋の話なんだけど・・・」
由比ヶ浜「うんうんー!」
八幡「・・・」
5年後
八幡(22)「・・・」
八幡(あれから5年。卒業後あいつらとはまったく連絡を取っていない)
八幡(卒業してもまた遊ぼうとか言いながら自然に連絡しなくなった)
八幡(毎日毎日、奉仕部メンバーと話すことと言えば腋の話ばかりだった)
八幡(決まって話題は臭いや制汗スプレーの話)
八幡(授業中も部活動中も腋、腋、腋)
八幡(そんな感じで俺たちの青春は終わっていったのである)
やはり俺の青春ラブコメはわきがっている。
-完-
腋ネタだけでこれ以上ひっぱるのは難しいのでこれで終わります
続けてもよかったですけど同じようなネタの繰り返しになるだけかなと
皆さん、支援ありがとうございました
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