橘ありす「四葉村殺人事件」 (49) 【現行スレ】
注意
・このSSは台本形式のデレマスの2次創作ミステリーです。モバP、姫川友紀、橘ありす、藤居朋、大槻唯、乙倉悠貴、藤原肇が出ます。
・平然と人が死にます。
・見切り発車で投稿するので途中で矛盾が出るかもしれません。
・文章が下手です。
・実在のあらゆるものとは無関係です。
・投稿頻度はナメクジ並です。
それでもいいよという方がいらっしゃったら、生暖かい目で見守っていただけたると幸いです。
それでは始まります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1737557716
橘ありす「……この道ですね」
P「地図上はそうなんかぁ……ただこれは予想以上やぞ」
姫川友紀「んー、ネットも繋がんないなぁ」
P「この年になってありすに地図見てもらいながら行くとは思わんかったわ。悪いな、ナビしてもらって」
ありす「当然です。私は大人なので」フンス
Pユッキ(かわいい)
ありす(ー突然ですが、私たちは今岡山県の北のとある温泉に来ています。とんでもない山奥です。あと寒いです)
ありす(私たちがこんなところに行くきっかけは、Pさんの一言でした……)
P「なーありす」
ありす「何ですか、猫耳ツンデレ関西弁メイド喫茶の一日店長なら二度とやりませんよ」
P「一度もやったこと無いやん」
P「いや、最近仕事詰まってたやろ?やから今度の四連休に三泊四日ぐらいで温泉行かへんかって思ってな」
ありす「友紀さんとでも行ったらいいじゃないですか」
P「福引で当たったチケットが三人分あんねん。やから一番仕事詰まってたありすと、二番目に多かったユッキに渡そうかなって。部屋はみんなで一部屋やが」
ありす「はぁ……」
P「ちなみにユッキは『え、いいの?行く行くー!ありすちゃんも誘ってね!』とのことや」
ありす「その友紀さんそっくりの声どこから出してるんですか?まぁ友紀さんが一緒に行きたいって言うなら、私もやぶさかではありません」テレテレ
ありす(そんなわけで、今私たちは岡山と鳥取の県境近くにある四葉温泉に来ています。……道が合っていれば)
ありす(四葉温泉のある四葉村は、昔は鉱山で栄えた村だったそうです。ですが鉱物が出なくなって寂れてしまい、今では温泉と陶芸をほそぼそと続けているとネットに書いてありました)
ユッキ「あ、看板!『四葉村まで1キロ、この先車通れません』だって」
P「げ」
ありす「車も通れないなんて……」
P「まぁこんだけ積もってて運転すんのも怖いししゃーないか。荷物は持てる分は俺が持つから気を付けて歩きや」
30分後
P「お、ここかな?」
ありす「『天然温泉 月見荘』……なんというか、古めかしい重厚な旅館ですね」
ユッキ「言葉を選んだねぇ」
P「まぁ寂れた温泉って言うてたしなぁ」
ドアガラガラ ゴメンクダサーイ、ヨヤクシテイタ…
ユッキ「それにしても、プロデューサーあたしの苗字で取ってるんだね」
ありす「私はプロデューサーさんの従姉妹って設定だからまだいいですけど……プロデューサーさんと友紀さん、いや、お姉ちゃんの苗字が同じになってるのって違和感がありませんか?」
ユッキ「んー、意外と無いかなぁ。だっていずれ同じになるんだし!」テレテレ
ありす(ダメだこのお姉ちゃん)
P「おーい友紀とありすちゃん、入るぞー」
ありゆき「はーい!」
今夜はとりあえずここまでです。かなりの長丁場になりそうですが最後まで付き合っていただけると嬉しいです。
「ー以上です。お食事は7時ごろにお持ちします」
P「分かりました、それでお願いします」
「はい、それでは」
ドアパタン
標準語で友紀の兄設定になったP「……何かそっけないな」
友紀「あたしたちにはそうでも無さそうだけどなぁ」
P「やっぱ顔かね」
ありす「間違いなくそうですね」クスッ
P「ありすちゃん?」
友紀「それはさておきプロデュ……お兄ちゃん、この辺散歩しない?雪も止んだしさ!」
P「いいね、昔ながらの雪の街を歩いてみるか」
ありす「わっ、屋根にこんなに積もってます!」トコトコ
P「おーいありすちゃん、先に行き過ぎるなよー」
ありす「お兄さんもお姉ちゃんも早く早く!雪合戦したくないんですか?」
P「寒いからキツイんだけど……」
友紀「あたしはやるよ!ありすちゃん、かかってこい!」
P「キミら元気だねぇ……俺はコーヒーでも買ってくるか」
5分後
P「いい豆使ってそうだなこれ、山中でこんな美味いのが飲めるとは……ってあれ?」
友紀「あ、お兄ちゃん!」ウデブンブン
「えっ、お兄さんいたんですかっ?」
P「いつの間にか地元の子と遊んでる……」
P(ちゅーかあの子も大変やな、高校生やのに12歳児と20歳児に巻き込まれとる)トコトコ
P「いやーごめんねぇ、うちの妹たちがご迷惑をおかけしてないといいんだけど」
「いえっ、私も楽しかったのでっ!」
友紀「この子すごいよ、中学生なのにすっごい豪速球投げてくるんだ!もしかして野球とかやってる?」
P「!?」←161センチ
「陸上はちょっとだけやってますっ!」←164センチ
ありす「お兄さん、何ダメージ受けてるんですか?」ヒソヒソ
P「ありすちゃん、コーヒーや紅茶飲むならノンカフェインのにしろよ……」ズーーン
ありす「あぁ……あの子お兄さんより大きいですもんね」
P「」チーン
「えっと……その……ごめんなさい……」シュン
P「気にしないでくれると助かる……ところで君、このあたりで観光名所って言えばどこか知らない?鉱山跡とかの観光地じゃなくて、マイナーなところだと嬉しいんだけど」
「マイナーなところですかっ……あ、藤原雑貨店なんてどうでしょう!」
ありゆき「藤原雑貨店?」
「有名な職人さんがやってる陶器のお店なんです。私の名前を出したら多分、作ってる所も見せてくれると思いますよっ!」
P「オトクラさんねぇ、変わった苗字だな」
ありす「岡山市のあたりの名字だそうですね。引っ越してきたんでしょうか」
P「ちょっと垢抜けた感じだったしな……で、友紀よ」
友紀「……なに」
P「もしかしてキャッチボール出来なかったからすねてる?」
友紀「……すねてないし」プクー
ありす「綺麗に拗ねてますね」
P「後で地酒買ってやるから」
友紀「おつまみも!」
P「仕方ないなぁ」ナデナデ
ありす(Pさん相変わらずみんなにダダ甘ですね)
橘さんと肇ちゃんの出るミステリっていうと某動画が脳裏をかすめ……
台本でミステリって難しそうだけど期待しとる
>>12
ぽんこつなありす探偵ェ……
続きです。
P「ごめんくださーい」ドアガチャ
「おい、今日は……見ない顔だな」
P「おや、定休日でしたか。オトクラさんは開いてると仰っていましたが」
「……観光客がなぜ乙倉を知っている」
P「先ほど妹たちと遊んでいたものですから。乙倉さんとはこの辺りの名家なのですか?」
「よそ者と俺たちを一緒にするな!」ダンッ!
P「……それは失礼」
「とにかく、店の方は臨時休業だ。だが俺の親父と娘が向こうの窯で焼いてるからそれを見に行くといい。話は通しておく」
ありす「何かあったんですか?」
「お嬢ちゃんたちには関係のないことだよ。さ、行った行った」
ありす「……怪しいですね」
P「ムラの閉鎖的な環境のせいだろうな。人の気はあったし多分村内会議でもしてるんだろ」
友紀「いきなり杉下警部のモノマネ始めたときはびっくりしたよー!」
P「何となくやってみたけど意外とイケるもんやな」
ありす「今一番怪しいのはPさんですよ」
P「否定はしない……っと失礼、ここが工房でしょうか」
「あ、父が言っていた……」
P「ええ、おそらく。休業中に来てしまって申し訳ありません」
「いえ、せっかく来ていただきましたから。藤原肇と言います」
ありす「藤原さん、よろしくお願いします」
友紀「よろしくお願いします!」
肇「肇でいいですよ。おじいちゃんから貰った、大切な名前ですから」
※陶器作り体験中
肇祖父「そこのちっちゃい方の……ありすちゃんだったか?なかなか筋がいいのぉ」
ありす「本当ですかっ!」パァァ
P「素人目にも綺麗な形になってるもんなぁ」←微妙に歪んでいる
友紀「ありすちゃん意外と芸術家肌だよね」←どんどん歪になっている
肇「お二人も初めてでここまで回せているのはすごいですよ?」
P「それは良かった……っと、こんなもので。次は釉薬をかけるんでしたか」
肇「備前焼は釉薬を使いませんよ。代わりに高温で焼き上げることで頑丈になるんです」
友紀「やーい、お兄ちゃん恥かいてやんのー!」
ありす「しっかりして下さいよ、お兄さん」
P「ここぞとばかりにいじってきやがって」
P「ありがとうございました」ドアガチャ
ドアバタン
肇祖父「肇。うまく教えられていたのぅ」
肇「はい、皆さんいい人でしたから」
肇祖父「協力、してくれるといいんじゃが」
肇「きっとしてくれますよ。この村はとてもいいところですし、あの2人と年の近い人もいますから」
肇祖父「また乙倉に借りを作るのは気に入らんが……やむを得ん。全ては村のため、だ」
ナメクジ並にゆっくりですが続きです
午後七時頃・月見荘
P「はー……生き返る……」カポーン
P(しっかしこの村は何かがおかしいんよな。まず男が多すぎる。いくら村に元々鉱山があって男手が多かったとしても多すぎひんか?)
P(それに住人から何度も「住まないか」と言われた……過疎化してるんやろうけど、その割には新しい空き家も何軒かあるんよな。つまり住人が脱出してるということやろ。何か妙な因習でもあるんかね)
P(……とりあえず、付かず離れずで4日間を乗り切るしかないな。ありすはええがユッキは突飛な行動取ることが多いし特に気をつけんと)
ユキサンマタオッキクナッテマセン? アリスチャンモソダッテルヨー! ホ、ホントデスカッ!
P(……にしてもここ壁薄いなぁ)
ア、ドアダ サワッチャダメデスヨ エーイイジャン!
P(ん?)
ステーン ガチャ
友紀「あ」
ありす「あ」
P「……え」
キャアアアアアアアアア!
※風呂上がり
P「ドア触るなって言われたでしょ!」ガミガミ
友紀「ごめんなさい……」
ありす「私の監督が甘かったです……」
友紀「ありすちゃん?」
P「こら友紀」コツン
友紀「ごめんなさい」
P「はぁ……次はするなよ」
友紀「はーい」
ありす(ダダ甘)
ザワザワ ガヤガヤ
P「……何か外が騒がしいな」
ありす「見てきましょうか?」
P「ダメ、下手に離れて動かない。万一事故に巻き込まれたらどうする」
ありす「……はーい」プクー
「ーあ、姫川様ちょうどいい所に。少し話があります」
P「話ですか?……ちょっと行ってくる、部屋で待ってて」
ありゆき「はーい!」
P「……つまり、この村から出られないと?」
「そうなりますね。豪雪で道が塞がれてしまったようで……申し訳ありません」
P「復旧はいつぐらいになるのでしょうか」
「全てが上手くいって、5日後あたりかと。予定超過分の宿泊代はいただきませんので……」
P「そうですか……分かりました」
P(朋たちに連絡入れんとな……携帯つながるとええんやけど)
P「ありす、友紀、……あれ?」
モヌケノカラ
P(……靴はある。荷物も残ったまま。特に誰ともすれ違わなかった。そして鍵の開いた窓に、外の雪に刻まれた2人にしては大きすぎる足跡。誘拐や)
P「……クソっ、何が目的だ?」
P(取るものもとりあえず、俺は雪の中に飛び出した。その先に待っている悪夢も、理不尽な出来事の存在も知らずに……)
「……奴は罠にかかったか」
「よし、次の段階に移るぞ。生娘二人はちゃんと隠しておけよ」
「全ては村のため」
「全ては村のため」
P(身代金?多分ない。いくらうちらが旅行客とは言えそんなに金を持ってるようには見えんはずやし、もっと違う所から誘拐を企むはず)トコトコ
P(だとすると……身体か?この村はやたら男が多くて女が足りてないのは見て取れた。つまり、あまりやりたくない想像やが身体を使って強制出来ちゃった婚させることで村の男の結婚相手にしようとでもしてる可能性は考えられる。妄想に近い最悪の想像やが)テクテク
P(そうでなくてもこんな雪の中や、急いだ方がいいが……これソリか何かに乗せかえてるな、雪についた跡が幅広で小さい。見つけにくいし夜やし底冷えするしでろくなことあらへん)スタスタ
P「……ん?ソリの跡から別の足跡が別れてるな」
P(山の下に向かって足跡が1人分。足跡は……そない深くないな。つまりこれは無視してええ。先を急ぐ)
30分後
P「はぁ、はぁ……流石に体力がキツくなってきた……大阪府民が雪山を歩くもんちゃうな」
P(ソリの痕跡もかなり薄くなってきた。道も細いし帰れるか不安や……雪が止んでるのだけありがたいが)
ピカッ
「誰かいるんですか!」
P「っ!?誰だ!」
悠貴「私ですっ、乙倉です!」
P「乙倉さんか……こんな時間に何をしているの?」
悠貴「それはこっちのセリフですっ、この人殺し!」
P「人殺し?」
悠貴「しらを切っても無駄ですよ、あなたが田治見のお兄さんを殺したのは分かってるんですからっ!」
P「……誰それ?」
カクカクシカジカオトクラユウキ
P「つまり、さっき山の下でナイフの刺さった変死体があったと」
悠貴「そうですっ。あなたが殺ったんですよね?」
P「その周辺に足跡は何人あった?」
悠貴「それが……」
P「今は雪が止んでるから僕が刺して戻ったとすれば登る足跡が残るはずだよね」
悠貴「……無かったんです」
P「だから僕は犯人じゃない……って、今なんて?」
悠貴「その……足跡が無かったんですっ!」
P「……勘弁してよ」
P「とりあえずその辺は後にして、1回戻ったら?親御さんも心配されてるだろうし」
悠貴「うぅ……で、でもっ!じゃあお兄さんは何でこんな時間に1人で歩いてるんですかっ?ここは村の人でもそんなに歩かないような所ですよ?」
P「ちょっと話せば長くなるんだけど……」
カクカクシカジカユッキトアリス
悠貴「誘拐されちゃったんですかっ!?」
P「その可能性が限りなく高いんだ。そして犯人は多分、この村にいる」
悠貴「空き家だけはたくさんありますもんねっ」
P「やっぱ空き家多いかぁ……何か知ってたりしない?」
悠貴「むむ……ごめんなさいっ」
P「そこは仕方ないか。とりあえず先を急ぐから乙倉さんも気を付けて帰るんだよ」
悠貴「……いやです」
P「!?」
悠貴「アイドルのお姉さんたちが誘拐されちゃったのに何もしないなんていやですっ!」
P「!?!?」
P「……何でアイドルって言った?」
悠貴「えっ、友紀さんがアイドルなんだーって」
P「あんにゃろ……そら金持ってるって思われるわ」
悠貴「?」
P「……それ誰にも言ってない?」
悠貴「……お父さんに」
P「それだ!」
10分後
P「こっちで合ってるんだよね?」
悠貴「はいっ、この辺りの空き家の一つを物置に使っていいって言われてて……」
P「物置?」
悠貴「うちは農家なんですっ」
P「なるほどねぇ……お、あれかな?」
悠貴「あれですっ!電気もついてますね……」
P「ここにいてくれるといいんだけど……」
ガヤガヤ
悠貴「……開けますよ」
P「……開けよう」
ガチャ
P「友紀!ありす!」
シーン
P「……乙倉さんは二階を。一階はこっちで探す!」
悠貴「はいっ!」
5分後
P「くそっ、テレビがついてただけかよ!」
悠貴「二階にもいませんね……ごめんなさいっ」
P「いいよ、一度交代して一階も見てくれないかな」
悠貴「分かりま……あっ!」
P「え、見つかった?」
悠貴「いや、村の方が……」
P(駆け上がって窓の外に目を向ける。またも降り始めた雪の中、黒煙が昇っているのが見えた。燃える音と助けを求める人のハーモニー、あと肉が焼けるような臭いのおまけつきだ)
悠貴「……戻りましょう。多分この位置なら、月見荘のあたりです」
P「……そうするしか無さそうだね」
月見荘跡
P「……手遅れだな」
悠貴「でもっ!旅館の人たちを助けないと!」
P「今入ったら僕たちまで死ぬことになる。君の家族も悲しむだろ」
悠貴「それは……」
P「とりあえず放水の手伝いしようか。延焼することぐらいは防げるはずだよ」
「いや、それには及ばんな」ポン
P「……どなたです?」
村長「この村の村長だ。お前には月見荘への放火の疑いがかかっている。よって、しばらく大人しくしていてもらおう」ドスッ
P「」
悠貴「お兄さんっ!?」
村長「悠貴ちゃん、そいつは犯罪者だ。情けをかける必要はない」
悠貴「で、でもっ!」
村長「……それともまた畑が猪に荒らされてもいいのかい」
悠貴「……」
村長「君も大人しくしておくことだ。家から出ようだなんて思わんようにな」
【同じ頃・大阪の事務所】
藤居朋「……暇」
大槻唯「ねーねー朋ちゃん、Pちゃんに電話繋がったー?」
朋「全然。ムカつくから緊急連絡先の方にもかけてみたけどそっちも繋がんないのよね……」
唯「え、ヤバくない?」
朋「……一応占ってみようかしら」
5分後
朋「まずいわねこれ……ねぇ唯ちゃん、今日から暇?」
唯「うん!でもどしたの?」
朋「タロット引いたら戦車と力と逆位置の運命の輪が出たの」
唯「?」
朋「今行動しないとヤバいってこと!あたし運転するからお泊り系のグッズとかあったら貸して!」
唯「まっかせといて!ちょーかわいいパジャマとか準備したげるから!」
朋「完全に旅行気分」
悠貴「私、ダメだなぁ……」シュン
悠貴(私はお兄さんが放火できないのを分かってる。分かってるけど、私が言っても信じてもらえないよね……)
悠貴(もしお兄さんを助けられても、ありすちゃんと友紀ちゃんが取り残されちゃってる……二人とも、無事に生きてるのかな……)
悠貴(今の私、何か出来ることはないかな?例えばもし二人が生きていることを確かめて、それを伝えられたら……?)
悠貴(でも私はお兄さんがどこにいるかも知りません……まずは探すところから始めないとっ)
悠貴「むむ……」
肇「あれ、悠貴ちゃん?」
悠貴「ひゃわっ!?……肇さんですか、びっくりしましたっ」
肇「何か悩んでいるようでしたから……話してみたら楽になるかもしれませんよ?」
悠貴「でも……」
肇「大丈夫、私口は堅いんです」ニコッ
カクカクシカジカオトクラユウキ
肇「なるほど……あの三人が全員行方不明ですか」
悠貴「私のせいでこうなっちゃったんですっ……私がアイドルだって言わなければ」
肇「……だとすると変ですね」
悠貴「変?」
肇「あのお二人はアイドルなんですよ?いくらオフとは言え、保護者が頼りにならなさそうな親戚一人だけというのは少し不安です」
悠貴「でも友紀さんは大人のお姉さんですよっ?保護者はいらないんじゃ……」
肇「だからこそです。友紀さんはお酒好きですがお酒に弱いアイドルとして有名です。だからありすさんを見守る大人としては考えにくいのではないでしょうか」
悠貴「じゃあ、あのお兄さんは……?」
肇「……それは分かりません。ですが、お兄さんのことも少し怪しんだ方がいいかもしれませんね」
肇(まぁ私のーいや、私たちの目的に直接の関係はないので、正直なところそれほど気にしなくていいのですが)
肇「話を戻しましょう。まず、なぜ友紀さんとありすさんは誘拐されたのか」
悠貴「それは、身代金を取るためでっ……」
肇「本当に?」
悠貴「えっ」
肇「よく考えて下さい。お兄さんの話を信じるのなら、お兄さんが目を離したほんの少しの時間ー長くても五分の間に二人は連れ去られているんです。相当準備していないと難しくないですか?」
悠貴「……確かに」
肇「つまり、身代金は理由にはなり得ません。他の理由があるはずです……例えば、この村の伝説とか」
悠貴「そんなっ、あの伝説を信じてる人なんて……」
肇「……いたとしたら?おそらくやることをやっていないであろう二人を誘拐した説明はつきます」
悠貴「でも……」
肇「……とは言ってみましたが、まず無いでしょうね。この可能性を完全に無くすために、一度この仮説に従って動いてみましょう」
P「……」パチ
P(縄の縛りが下手やし建物もガタついてる。あっさり脱出できるわこんなん)
P(……しかしこっからどうするよ?ユッキとありすの位置もそうやがそもそも今どこにいるかすら分からんねんぞ)
P(光が射し込んでるから昼なのは確定。ただ問題は脱出した後……)
P(……待てよ、ここ人気全然無いやんけ。この村、地形のせいで人口密度はそんな低いわけでもないけどそれにしては静かすぎる。ってことはどこかに集まってるんか?)
P(何にせよ今はチャンスかも知れん。見張り数人ぐらいならしばけるぐらいの力はあるしな)
P(さて、脱出完了して見張り倒してそいつから服奪って着替えも済ませたけど)
P(……とりあえず、俺が犯人やとしたらどこに監禁する?目立たないところか?)
P(……いや、目立たない所に隠す意味はない。そもそも村全体が敵と見ていいような状況で、わざわざそんな所に隠さんでもええはずや。最初に考えてた体目的やとしたら尚更)
P(ここで人が集まりやすい所……つまり……)
肇祖父「肇、何をしている」
肇「……」
悠貴「」ガタガタブルブル
肇祖父「お前たちには行ってもらいたい所があるんだが」
肇(これ怒ってませんね)ヒソヒソ
悠貴(さすが肇さん、おじいさんのことなら何でもわかるんですねっ)ヒソヒソ
肇祖父「公民館に若い衆が集まっておる。そこに差し入れを持っていってやれ」
悠貴「差し入れですかっ?」
肇祖父「公民館で宴会をしとるそうでな。公民館の酒だけじゃ足りんじゃろ」
肇(この分だとどうやら居場所はつかめたみたいですね……裏口から入ってみましょう。あとはお兄さんの方をどうするか、です)
悠貴「……肇さんっ?」
肇(普通に考えればお兄さんよりも友紀さんたちを優先する所ですが……お兄さんは囮に使えるかもしれません。その場合生きて帰ってくることは無いと思いますが。お世辞にも戦闘力は高くなさそうでしたし)
悠貴「はーじーめーさーんっ」ツンツン
肇「ひゃっ!?」
悠貴「何回か声かけましたよっ?」
肇「ごめんなさい悠貴ちゃん、考え事してました」
悠貴「むぅ……とにかく、このお酒届けないとっ」
肇「そうですね……持ちにくいし、裏から入れちゃいましょう。その方が早く終わります」
悠貴「はいっ」
P(……公民館。祭りか何かをやってるのか人が多くて隠しやすく、騒ぎの声で悲鳴も聞こえにくい。条件としてはここが一番いいんやないかな)
P(今の格好なら正面から入ってもいけるやろけど……いや、ここは敢えて騒がしくする。もしいるとするなら、俺が生きて助けに来てることが何より元気づけるはずや。もちろんパニクった監視役が錯乱して[ピーーー]可能性もあるやろけど)
「おい、お前……」
P「何やワレ!ワイの休みにずいぶんな邪魔してくれよったのぉ!」ドスッ
「まずい、閉じ込めた奴だ!」
ワーワー
肇「……あれ、みんな向こうの方に行ってますね」
悠貴「何かあったんでしょうかっ……とにかく入っちゃいましょう!」
ガチャ ガラガラ
友紀「……へ?」
ありす「あっ、肇さん……」
肇「はい、1日ぶりですね」ニコッ
悠貴「とりあえず縄ほどきますねっ」チャキン
ありす「ハサミ大きすぎませんか」
友紀「あたしたち……助かったのかな」
肇「はい、とりあえず私の家で休んでもらいますがもう大丈夫ですよ」
ありす「あ、あのっ!プロ……お兄さんは!?」
ドアガラガラ
P「友紀!ありす!」
友紀「……プロデューサーっ!」ダキツキッ
ありす「……」ダキツキッ
肇「……なるほど、プロデューサーさんだったんですね」
悠貴「それなら一緒にいるのも納得できますねっ」
P「あ」
P「……とまぁそういう訳で、俺はこの二人とかのプロデュースをしてるってことや。嘘をついて申し訳ない」
肇「親戚ならオフに一緒にいても怪しくないですもんね」
悠貴「でもお兄さんの演技は本物だったって思いますよっ」
P「そりゃ良かった……ところでどこで怪しんだん?」
肇「悠貴ちゃんが、友紀さんが自分のことをアイドルだって言ってたって言ったところでしょうか」
P「こらユッキ」
ユッキ「……ごめんなさい」シュン
ありす「うちのダメ従姉がご迷惑をおかけしました」ペコリ
ユッキ「えっ、ありすちゃんあたしの妹になってくれるの!?やったやったプロデューサーっ、ついにありすちゃんがデレたよ!」
ありす「デレてません!」カァァァ
P「これがうちのいつもの光景やね」
肇「ありすちゃんかわいいですね」
P「せやろ」
悠貴「何だか暑くないですかっ?」
P「言われてみればちょっと暑いな……日出てきたからか?」
肇「いや……何かが焼ける匂いが……」
ありす「……火事かも」
ユッキ「とりあえず1回出て肇ちゃんの家にお邪魔して……」
ボウッ
悠貴「きゃっ」
P「逃げろっ!」
5分後
ユッキ「何とか逃げてきたけど……」
P「……こらまたひでぇことに」
ありすonユッキの背中「完全に焼け落ちてますね……」
悠貴「……うっ」
肇「人の焼ける匂い……ですね」
P「ここ数日で人死にすぎやろ……」
「祟りじゃ……祟りじゃよ」
ユッキ「貴方は……」
P「肇さんのお祖父様、ですよね」
肇祖父「あぁ。この村はの……」
ありす(肇さんのお家で聴いたそれはありふれた、それでいて憂鬱な物語でした)
ありす(元々藤原さんのご先祖様はこの村の方ではなく、源平合戦に巻き込まれて逃げ込んできた武家だったそうです。しかしその財宝に目がくらんだ村の人々に、当主が殺害されてしまいました)
ありす(彼は小倉という従者を連れていたそうで、その彼によって復讐は果たされます。しかし彼は息絶える前に呪をかけました。……非科学的な話ですが)
ありす(その呪を抑えるために年に一度、この村では儀式をしていたようです。ところがその儀式をしていた小倉家が途絶えてしまい、去年は儀式が出来なかったため呪われてしまった、とおじいさんは考えているようでした)
ありす「……その呪いが、今出てるってことですか」
肇祖父「あぁ。倅の代までは村に降りることも許されんかったぐらい藤原家は嫌われておったからの、ご先祖様の恨みも深いじゃろうて」
ユッキ「でもその……儀式?をやる人はもういないんですよね?じゃあもうどうしようもないんじゃないですか?」
P(ユッキが敬語使っとる)
ありす(明日は20度ぐらいにはなりそうですね)
肇祖父「そのために乙倉家が呼ばれたんじゃ。小倉家の分家のな」
P「あ、やから『よそ者』やったんやね」
悠貴「はい……私も溶け込もうとしたんですけど、なかなか難しくてっ」シュン
ユッキ「それでも優しくしてくれたのが肇ちゃんだったの?」
肇「ええ、この村に年の近い妹みたいな子が来てくれたのが嬉しかったのもありますが」
悠貴「いい妹だなんてそんなっ」カァァァ
ありゆきP(かわいい)
肇「ううん、悠貴ちゃんは私の大事な妹ですよ」ニコッ
悠貴「~~~っ!///」ボンッ
悠貴「は、走ってきますっ!」ピューン
P「それで俺はみくに言ってもうたんですよ、『お前それは俺の渡したハリセンより大事なんか?』って」
ありす「強度も大事なポイントですね」
ユッキ「しなりと両立してないハリセンも嫌だもんねぇ」
ダダダダ
悠貴「肇さんっ!!」
肇「ゆ、悠貴ちゃん!?」
悠貴「あ、あのっ、お、お父さんがっ……!」アワアワ
P「深呼吸して、1回落ち着いて!」
悠貴「すー……はー……」
P「落ち着いた?」
悠貴「はいっ……あのっ、私のお父さんが……」
肇「お父さんが?」
悠貴「……殺されてます」
乙倉家
P「これは……」
ユッキ「うぇ、血がこんなに飛び散ってる」
ありす「内臓も見えてますね……っぷ」
悠貴「……何で、何でパパがこんな目に……」
肇「悠貴ちゃん、家の鍵はかかってた?」
P「この状況で聞くか普通?」
悠貴「はい……かかってました……」
肇「となると、密室だったということになりますね……それと凶器の短刀なんてどこにあったんでしょうか」
P「密室やったんやからとりあえず家に出入りした人の方を探すほうが先ちゃうか」
ありす「……いや、これ見覚えがあります」
ユッキ「ありすちゃん?」
ありす「凶器の短刀は柄が大きく、刃も短かった。そのせいでかなり太っているお父さんを突き刺しても貫通せず、むしろ短刀が止血の役割を果たしたんです。つまり……」
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