【安価コンマ】オリウマ娘と共に (476) 【現行スレ】

日本ウマ娘トレーニングセンター学園――通称トレセン学園。

トゥインクル・シリーズでのデビューを目指すウマ娘たちが集う、全寮制の学園。その輝かしい門を、また一人のウマ娘が――。



【貴方】はトレセン学園の新人トレーナーです。

トレーナーとしてウマ娘と向き合い、担当ウマ娘を活躍させてあげましょう。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1709398953

今月最初の模擬レース、まだ担当を持たないウマ娘たちがターフのトレーニングコースに集まっている。それを【貴方】は観客席から眺めます。

……【貴方】はまだペーペーの新米。名だたる名家のウマ娘や、この時点で才能を認められているウマ娘なんてベテラントレーナーが担当をすることでしょう。

しかし、それでも。

【貴方】自身が担当したい、そう思える走りを見せるウマ娘を見つけるために。【貴方】は模擬レースを観戦します。



今から担当ウマ娘を安価コンマで作成します。

バ場適正:コンマ直下
1〜5 芝
6〜9 ダート
0 両方

こんな時間なので自分で

バ場適正:芝GダートA



距離適性:コンマ直下
12短距離
34マイル
56中距離
78 短距離マイル
90 マイル中距離

コンマ

距離適性:スプリンター

ウマ娘のG1だとJBCスプリントが目標になったり、頑張ればマイルも行けるかもしれません。



脚質適正:コンマ直下
1〜25逃げ
26〜50先行
51〜75差し
76〜00追込み

コンマ

バ場適正:芝GダートA
距離適性:スプリンター
脚質適正:逃げ



【貴方】は芝の模擬レースを数回見た後、ダートのレースを見に行くことにした。

……丁度今からダートでの何回目かの模擬レースが始まるタイミング。ゲートが開き、各ウマ娘が走りはじめ……。

そのウマ娘は:コンマ直下
1〜3 堂々の一着だった
4〜7 ギリギリ掲示板入らないくらい
8〜0 ドベ

コンマ

結果:掲示板ならず



では、そんなウマ娘の名前や性格を決めます。

名前、性格、口調や見た目や趣味、レースにかける思いとか夢。採用できそうでしたら採用します。

一度寝ます。おやすみなさい。

そのウマ娘は――:安価下1〜4

名前
アズマカケルホシ
見た目
肩にかかるくらいの赤髪で前髪ぱっつん。正面の広範囲が白(特大流星の表現)赤い瞳。健康的な小麦色の肌で身長は高めだが胸尻は小さめ
口調
ハキハキしっかり話せる。語尾に「!」付きがち。付かないときは意に添わなかったり不調だったりわかりやすい
性格
真っ直ぐで純真。逆境も自分一人で立ち向かえる娘。というか今までそうするしかなかった
趣味
食べられる野草探し

没落したお家の再興

こんにちは
まだ募集しているので上げさせてもらいます

すみません、ウマ娘4人募集のつもりでしたがあの安価の取り方だと>>11-14になってしまいますね。

あと一人募集しています。18時になったら締め切らせてもらいます。

「……っ」

レースが終わる。見事1着でゴールしたウマ娘の元に、何人かのトレーナーが集まっている。確かに、見事の差し足であった。

……しかし、【貴方】の目線は別のウマ娘の方を向いていた。ゲートが開いた瞬間、我先にと先頭に躍り出た銀髪のウマ娘。

最初こそ好スタートだったものの、ずるずると落ちていき、他のウマ娘に抜かされて行きそのまま6着。その逃げウマの彼女は、ゆっくりと人混みから逃げるようにコースを離れて行ってしまった。

「もしかしてあのウマ娘のことが気になるんですか?」

声を掛けられる。とても丁寧な物腰の先輩トレーナーだった。彼は少し困ったような顔をしながら【貴方】に言う。

「あの子は……なんて言うんですかね。少し性格に難ありと言いますか」

……性格に難あり?

【貴方】はその先輩トレーナーに礼を言って。コースを離れ、彼女を追った。

彼女はすぐに見つかった。トレーニングコースを抜けてすぐの切り株の近く。彼女はそこに何か用があるのかもしれない。

『ちょっといいかな?』

「っ誰!?」

声を掛けると勢いよく、彼女は振り返った。驚かせてしまったかもしれない、そう思い頭を下げる。

『ご、ごめん。そんなに驚かせるつもりじゃ……』

「…………」

……何も言われない。数分の静寂。それを打ち破る様に――笑い声が聞こえてきた。

「ぷっ……ぷはははは!」

「大の大人が頭下げて、なっさけなーい! わざわざアタシに謝りに来たのー?」

――――とても馬鹿にされてしまった。思わず、目をギョッとしてしまう。

「えー、お兄さん。もしかしてトレーナー? ぷふっ……もしかしてさっきのレース見て、わざわざアタシに声掛けに来たの? 6着のアタシに? 間違えてるんじゃなーい?」

ニヤニヤと笑いながら、【貴方】の事を見てくる彼女。いわゆるメスガキ、というのだろうか。

台詞:安価下2

1 キミを、スカウトしたい。
2 ……その口調はどうなんだ。
3 自由安価

……その、馬鹿にしたような口調はどうなんだい』

【貴方】は目の前にいる銀髪のウマ娘に対して言う。大人に対して、いえ誰に対しても、そのような小馬鹿にしたような口調はあまり好まれないはずだ。

「えー? お兄さんもしかして怒ってるー? やーんこわーい! ぷっ、ふふふ……」

『……』

……成程、性格に難ありとはこういうことか。もしかしたら、このような感じで他のトレーナーにも話していたのかもしれない。

しかし、何故わざわざこんな嫌われるような……もしかしたら、これから自分のトレーナーになるかもしれない相手に対して。

『キミは』

「ん?」

【貴方】は言う。

『……何故、走るんだい』

「何その質問? アタシが何で走るか……うーんそうだなぁ」

――知らなーい! アタシは、アタシが走りたいから走るの! それだけじゃ、悪い?

あははは! そう笑って、彼女は行ってしまった。引き留めようと思ったが、もう追いつけなさそうな距離にまで行ってしまった。

小さな身体からは想像もつかない、トップスピード。青みがかった銀髪が、まるで銀色の炎のように靡く。

……明日も模擬レースはある。もしかしたら、明日また行けば会えるかもしれない。

次の日、また模擬レースを見に行く。

「あ、ストーカーのお兄さんじゃん。何々、今日も私に謝りに来たの?」

また笑われてしまった。どうやら別に昨日のことを反省をしているわけではないみたいだ。

『キミの走りを見に来たんだ』

「……ぷっ、なにそれ。ほんと見る目ないねお兄さん、アタシなんかよりもっとすごい子いるのにわざわざ?」

「早く担当見つけないと、お兄さんみたいなよわよわトレーナーは職無しになっちゃうよ?」

よわよわトレーナーと来たもんか。確かに【貴方】は新米ではあるが……。

『そんなに、自分を卑下しないでくれ』

『キミの走りは――』

「お、おーっと! じゃ、じゃあアタシ走ってくるから! バイバーイお兄さーん!」

……行ってしまった。

模擬レース結果は:コンマ直下
1 一着!
2〜9 前とあまり変わらず
0 ドベ

――逃げる逃げる逃げる。ダートを踏みしめて、土埃を撒き散らし。逃げる逃げる逃げる。

後ろから他のウマ娘が追う。しかし間に合わない、届かない……!

『――』

そして、彼女は一着でゴールした。が、しかし……。

「はぁ、はぁ……! はぁ、はぁ。はぁ……うっ……くぁ」

息も絶え絶え、今にも倒れ込みそうなくらいフラフラだった。まさに、全身全霊の走り。

『っ!』

急いで彼女の元に駆け付けて、倒れそうな彼女を抱える。

「はっ、はぁ……? おにー、さん。なに、そんな必死な顔して……馬鹿みたい」

『いいから、ほら。歩ける?』

「…………」

――保健室に向かおう。

彼女の脚を冷やす。そして簡単な手当て。新米ではあるが、簡単な処置くらいは出来る。

「ねえお兄さん。そんな、担当トレーナーでもないのに。なんでこんなことするの?」

担当トレーナーでなくてもこれくらいはするだろう。と、手当てをしながら言う。

「もしかして、アタシの脚に興味があるのー? やーん、セクハラじゃんお兄さん。変態、スケベー」

ポカポカと足で蹴られる。別に痛くもない、じゃれつくような蹴りだった。

「…………ほら、もう良いってば。あのレースは、ちょっと無理しちゃっただけだから。そんな、良いって」

「お兄さん聞いてるー? 私の脚に興味津々で聞こえてないかなー? もしもーし! 他のトレーナーさんに言いふらしちゃおうかなー!」

台詞:安価下2
1 ……そうだ、君(の脚)に興味津々だ
2 なんで、あんな走りを?
3 自由安価

『そうだ』

「へっ?」

『自分はキミに……興味津々だ』

あの脚に、あの速さに。あの走る姿に……自分は魅了されたんだ。

【貴方】は、はっきりと彼女の目を見て言った。

『だから、前みたいにあんな……自分を卑下しないでほしい』

メスガキウマ娘ちゃん:コンマ直下
1〜2 あばばばばばばばば(チョロ)
3〜8 ……ふーん、やっぱ見る目ないね。お兄さん。
9〜0 …………どうせ、また貴方も

「……ふーん、やっぱ見る目ないね。お兄さん」

彼女は、笑わなかった。

「今回はたまたま、たまたまだよ。マグレで一着取れただけ」

『マグレだとしても』

『自分は、キミのあの走りに……惚れたんだ。だから……』

【貴方】は昨日彼女追ったのだ。その走りをもっと永く見たいから、追ったんだ。

「…………」

「……じゃあ良いよ。お兄さん」

彼女は……笑った。

「アタシのトレーナーなってよ、お兄さんまだいないんでしょ?担当」

「アタシはアタシの為に走るから。お兄さんは勝手に気持ちよくなっててよ」

ぷぷぷ、とニヤニヤ笑いながら……【貴方】にそう言った。

『分かった』

「……は?」

『キミのトレーナーになって、あの走りの……手伝いをさせてくれ』

「…………キモ。ほんと、意味わかんない」

「シルヴァーパピヨン」

それが彼女の名前だ。そういえば、今の今まで彼女の名を訊いていなかった。

パピヨン「……宜しくね、変態でキモくて脚フェチのお兄さん」

『……だから昨日も言ったが、そう言った言葉遣いは』

パピヨン「えー?アタシちょっと分かんないかもー?」

――――こうして、ダートを駆ける気性難?ウマ娘。シルヴァーパピヨンとの担当契約が結ばれた。

人を煽るような口調をした彼女だが、どこか危なっかしい雰囲気が隠せない。まだまだ心を開いてもらっているとは限らないが……ゆっくりとお互いを知って行こう。

そして、いつの日かG1も――。

パピヨン「……どうせ、お兄さんも。すぐ……」

名前:シルヴァーパピヨン
バ場適正:芝GダートA
距離適性:スプリンター
脚質適正:逃げ

一人称:アタシ

性格:ワガママ自分大好きの気性難(期待されて応えられず落胆させるのはもう耐えられないから最初から好かれないようにするため)
口調:メスガキ
見た目:青みがかっている銀髪フォーテールで低身長巨乳
趣味:尻尾手入れ(するのもされるのも)
レースにかける思い:今はない、走りたいから走ってるだけ



それでは、今回はこれで。おやすみなさい。

ありがとうございます。がんばります。



パピヨン「何この部屋。なんか小っちゃいし、面白くなーい」

次の日。トレーナールームに案内して早々、パピヨンは文句を言いながら流れるように備え付けの小さな冷蔵庫に向かった。

パピヨン「えー!? 水とかお茶しかないの!? お兄さん普通もっとバリエーション増やしておいてよ! ニンジンジュースとか、炭酸とか!」

『分かったよ……』

ぶーぶー文句を言われてしまった。まさかいきなり冷蔵庫を開けられるとは思わなかったが、まあ……慣れるだろう。

……今回トレーナールームに案内したのは、今後のトレーニング方法や出走レースの確認などの話し合いの為だ。あとは諸々の書類の確認などもあるが……。

パピヨン「でー? お兄さんこんなちんけな場所で、アタシに何するつもりー? やーん、もしかして……そういうつもり?」

『先ほど話しただろう。トレーニングや今後の話を……』

パピヨン「あ、それって建前だと思ってたー? ぷふふ――んもー、冗談! 冗談だってー!」

彼女は備え付けの小さなソファに当然のように座り、「ほらほら早く喋ってー?」と急かし始める。

『まず聞いておきたい、パピヨン。キミには……夢はあるかい?』

パピヨン「この話前もしなかったっけ? 別に? 特に夢とか、走りたいレースがあるー。とかそういうのはないかなー」

アタシは走れればいいの! そして、勝てたら嬉しいな! と、明るく言ってのけた。

……では、考える。彼女の走りを考えると、ダートの、それも短距離が一番の戦場になるだろう。しかし――スタミナを鍛えれば、マイル距離も行けるかもしれないが……。

(……あの時のレース)

走り終わった後、フラフラになって倒れそうになっていたあのレース。もしかしたら適正的に厳しいかもしれない――。

さて、今後どうなるか分からないが――。


今後のレースは:安価下2
1 ダートの短距離を兎に角狙って行こう
2 マイルも考えよう。

『……スタミナをつけてマイルも狙って行こう』

彼女のあの速さは魅力的て短距離でこそ輝くだろう――しかし、レースが終わった後のあの消耗は見過ごせない。

スタミナをつけ無事にレースを走り終える、そしてマイル距離のレースも走ることが出来れば。

『きっと色んなレースに出て、沢山走ることが出来る』

パピヨン「えー? でも体力づくりとかやだなーアタシ。あれでしょ? タイヤ引いたりとか、夏の砂浜を朝から晩まで走ったりとか」

あながち間違えてはいないので、【貴方】はこくりと頷く。露骨に嫌な顔をするパピヨン。

『体力があれば途中で落ちることも無くなる、それに……勝ちたいんだろう?走るからには』

パピヨン「それは……まぁ、そうだけど? はー……ん、まあ。イヤになったら止めるからそれで宜しくねお兄さん!」

……担当ウマ娘のやる気を維持するのもトレーナーの役目だ。頑張ろう。

パピヨン「……さーて!お兄さんの隠し物とかないかなー!見つけたら写真撮ってウマッターに上げちゃお!」

……話すことはもう終わったが、なんだかパピヨンが危ないことをしそうだ。特に何か隠しているわけではないが、流石に止めて欲しい。

折角だ、彼女を止めるためにも何か話をしよう。まだ出会って一週間も経っていない。お互いの事を知るために、なにか……。

何か話してみよう:安価下1〜2
1 学業の話
2 仲のいいウマ娘の話
3 自由安価

『……その、勉強は大丈夫なのか』

パピヨン「……え。お兄さんどうしたの。いきなり親戚のおじさんみたいなこと言って』

『お、おじさん……』

すん、と真顔で言われた。

……少し悲しい気持ちになった。

パピヨン「ぷぷ、お兄さん傷ついてる〜。おもしろ〜い!」

パピヨンちゃん、頭:コンマ直下
コンマが01に近いほどバカ、00に近いほど天才じゃ……

そう言えばこの子の学年って:安価直下
1 中1
2 中2
3 中3
4 高1
5 高2
6 高3

パピヨン「ま、でーもー……お兄さんが不安がるようなおバカさんじゃないよ?アタシ」

追試?とか赤点とかは心配いらないから、安心してねー。と、手をひらひら振りながら言う。

……まあそういうのなら心配は要らないだろう。彼女を信じよう。



ご飯食べます。離席。

中1で胸でかいのは、ダスカとか見るとまああるか……って感じです。

次ウマ娘との関係安価あります。

『……トレセンに仲のいい子は』

パピヨン「あのさー!お兄さんなんかほんっ……とーに!おじさんっぽい!」

コミュニケーション下手糞すぎ!コミュ障!話題よわよわ!

『い、いや。その……キミは、少し喋り方が特徴的だから』

【貴方】は必死に言うが、パピヨンは呆れたようにジトーっとした目で見つめてくる。

……中学一年生に、こういわれるのか。自分は。

パピヨン「ま、お兄さんそういうの苦手そうだもんねー。女性経験無しでしょ?絶対そうでしょ!ぷぷぷ!」

『…………』


パピヨンと仲がよさそうな、関係ありそうなウマ娘:安価下1〜4まで。

現在公式から登場しているウマ娘から、何か関りのありそうな子を募集。パピヨンとの関係とかも書いてくれると嬉しいです。

上手く書けなそうな場合ちょっと採用できない場合もあります。

また、同室はオリウマにする予定なので無しでお願いします。

シリウスシンボリ

パピヨンの天敵


こんなかんじ?

>>51
そんな感じで大丈夫です。
このレスは抜かしてお願いします。

>>51,52,54,55
安価ありがとうございます。

寝ます。お疲れさまでした。

【貴方】トレーナーはもう少し、年相応のお兄さんにする予定だったんですけど、なんかおっさんって感じになっちゃいました。

パピヨン「例えばスカーレットとかー?入学前から仲良かったけど、まさか同じクラスになれるなんてって思っちゃったし……あ。アタシがなかよし〜のウマ娘ちゃんのことね?」

『ああ、名前は聞いたことがある』

スカーレット……ダイワスカーレット。芝の模擬レースで堂々の一着を取り、話題沸騰中の彼女。

確かウオッカという子も一緒に話題に上がっていたな、確か同室でライバル……だとか?

パピヨン「…………うわ、なんかお兄さんからアタシお友達の名前出てくるのなんかキモ。ストーカーみたい」

『キミなぁ……』

流石に言い過ぎだ、と叱ろうとするが。「やぁんごめんなさ〜い」と、謝られてしまった。

パピヨン「あーとーはー……あ、じゃあ。アタシの――」

「す、すみません。ここがシルヴァーパピヨンさんの、トレーナールームで――」

ガチャリ、と扉が開きそこにいたのは――とても小柄なウマ娘だった。

パピヨン「あ、フラワーじゃーん! やっほー、どしたのこんなところまで来て」

フラワー「パピヨンちゃん、さっき先生が呼んでたよ?なんか、提出物が……みたいな?」

パピヨン「げ。あのせんせー後で提出するって言ったのに……アタシにはアタシのペースがあるのに――あ、この子ニシノフラワーね。アタシの幼馴染」

フラワー「あっ!は、初めましてパピヨンちゃんのトレーナーさん!ニシノフラワーって言います!」

ぺこりと頭を下げてとても丁寧なあいさつをする彼女に釣られて、こちらも丁寧に頭を下げて自己紹介をする。

パピヨン「フラワーはねー、アタシより年下なのにすっごいんだよー?なんてったって飛び級!飛び級だよ飛び級!凄いでしょ!」

フラワー「そ、そんな凄くないって。恥ずかしいよ……」

顔を赤くしながらわちゃわちゃとパピヨンの口を塞ごうとする、ニシノフラワー……飛び級なんて制度があったのかと思ってしまうが。確かに、そういうオーラのようなものを感じないことも……ない。

……それにしても幼馴染。先ほどのダイワスカーレットの話と言い、パピヨンは結構仲が良い子が多いのかもしれない。

【貴方】はそれに胸をなでおろす。良かった、クラスで孤立する担当ウマ娘は居なかったんだ……と。

パピヨン「……あ、絶対今変なこと考えてる。ほら、早く行こフラワー!じゃーねーお兄さん!冷蔵庫補充しておいてよ〜?」

フラワー「し、失礼しました!パピヨンちゃんのトレーナーさん!」

……浸っていたら行ってしまった。まあ、今日は軽い打ち合わせだけで、明日からトレーニングだから良いのだが……。

『……取り合えずスーパーに行くか』

ワガママな担当のお願いを無視したら、なんだか嫌なことが起きる気がする。

フラワー「ね、ねえパピヨンちゃん」

パピヨン「どしたのフラワー?」

フラワー「その……あのトレーナーさんとは、大丈夫そう?」

パピヨン「……んー、まだ分かんないかも!アタシのお眼鏡に叶わなかったら、こっちからお兄さんをポイしちゃう、かも!」

フラワー「……きっと、大丈夫だよ。だって、パピヨンちゃんを選んでくれたトレーナーさんだよ?」

パピヨン「えー?そうかなぁ……」

パピヨンの同室は――:安価下3

1 アズマカケルホシ
2 デザートファントム
3 グリーンシルフィー

3

オリウマ娘設定作って待ってたら以前の選択式だったでござる

>>64
すみません、配慮に欠けていました。事前に以前募集した子から選択すると言っておくべきでした。



パピヨン「あ、シルフィーもう帰ってきてたんだ。おつかれ〜」

シルフィー「は、はい……おかえりなさいパピヨンさん……」

提出物を適当に提出して寮の部屋に戻ると、もうアタシの同室グリーンシルフィーが戻っていた。

アタシと同い年で、ちょーっと声が小っちゃい良い子ちゃん。ほんと、優等生って感じー。

パピヨン「あー!もう宿題してるの!?ねーねー、なんか今日配られた宿題、学力調査みたいな感じだったしちょっと……写させて!」

シルフィー「へっ!? だ、だめ、ダメですよぉ……! じ、自分の力でやらないと……!」

パピヨン「そんな硬いこと言わないでよ〜。アタシとシルフィーの仲じゃーん……あ、うそ、うそうそうそ!ごめんごめん、冗談! 冗談だから!」

シルフィー「……! !!」

な、泣かせちゃうのは違うもんね。うん。まあこれくらいやれば……嫌ってくれるよね。

シルフィー「……わ、分かんない所は……一緒に考えましょう。そうしたら、大丈夫……ですから」

パピヨン「うん?」

シルフィー「……?」

…………一緒に宿題することになった! なんで!

パピヨン「――やぁあああああああ!!!」

――ダートコースを一気に駆ける。この瞬発力は確かに彼女の武器で、これを鍛えればきっとメイクデビュー、いや重賞レースでも通用するだろうことが分かった……が。

パピヨン「ぁああああぁあ……」

へろへろへろ……と、勢いが落ちてゴールを通過する前に殆どその勢いはなくなってしまった。

――短距離であれば持つかもしれないが、ダートの短距離レースは少ない。基本的にはマイルや中距離が主で、短距離だけに絞るとなるとあまりレースには出られないかもしれない。

だからこそ、マイルでも走れるよう体力を付ける必要がある。【貴方】は改めて再認識する。

『お疲れ、少し休憩しよう』

パピヨン「ふぇ〜……お兄さん!疲れた!走るのは楽しいけど、疲れた!」

【貴方】の手からドリンクを奪い取り、飲み始める。確かにパピヨンの走りを確認するために数回走らせたが、まさかもう飽きが来たか……。

『キミの走りが見たいんだ。キミをよく知らないと、どんなトレーニングが良いかとか、アドバイスが出来ないだろう?』

パピヨン「アタシは兎に角走れればいいの!アドバイスとか別にいーらーなーいー!この加虐趣味!」

『……』

……まだ【貴方】は新米トレーナーだ。こういった場合どうすればいいのか、教本の内容を思い出してみる……やる気を引き出すために……。

しかし、中々彼女の気分を引き出すのは難しそうだ。ならば……。


【貴方】は……:安価直下
1 ……プールに行こうか(スタミナトレーニング)
2 併走トレーニングでもしてみようか(他キャラと絡み)
3 ……今日頑張ってトレーニングしてくれたらなんでもするよ(?)

パピヨン「や〜ん。いきなり水着に着替えてこいなんて……お兄さん、変態すぎ〜」

屋内プール。そこには数人のウマ娘とそのトレーナーがおり、トレーニングを始めていた。

プールトレーニングはスタミナ付けるのにうってつけだ、走るトレーニングに飽きたなら、こちらでやる気を出して欲しかったが……。

パピヨン「お兄さんの視線が、アタシの体をジーっと見つめてる〜!変態お兄さーん!ぷ、ぷくくっ!」

『……ほら、早くプール入って』

パピヨン「あー、照れてる!お兄さんかっわい〜!はいはーい、頑張りまーす」

泳げるの?:コンマ直下
1〜4 泳げるよ
5〜7 ビート版ヨシ!
8〜0 ばぼ!ぶくくくく!ぶぼば!

寝ます。おやすみなさい、ありがとうございました。

泳げました。中々やりますね。

どっかでステゴの血は入ってそうですよね。シルヴァーって聞くとシルヴァーソニックでオルフェ産駒ですし。

基本スペック高め中一スプリンターメスガキ。



パピヨン「ぷは〜……ひー、あー……きゅうけ〜」

25メートル時点でバタフライを止め、ぷかぷかと浮いて休み始めたパピヨン。

……もし泳げなかったらどうしようか、そんな考えすら吹き飛ぶ見事なバタフライだったが……如何せんすぐにバテてしまった。

『ほら、止まらない止まらない。まだ始まったばかりだぞ』

パピヨン「え〜? お兄さんひっどーい! そんなにアタシが泳ぐ姿が見たいの? ワガママー」

ワガママはどちらだ、と声に出しそうになるのをグッとこらえる。ぶーぶーと文句を言うパピヨンをどうにかこうにかおだてて、泳いでもらう。

『よっ!流石!』

『パピヨンの泳ぐ姿が眩しい!』

『ウマ娘のマーメイド!』

パピヨン「…………っ」

『……待て、待て。なんで黙ってプールから上がって……パピヨン!?』

……何も言わずに逃げようとしたパピヨンを連れ戻し、なんとかプールトレーニングを完了した。

芝を走り、走り。プールで泳ぎ、泳ぎ、たまにサボられ――なんとかシルヴァーパピヨンとのトレーニングは上手くいっていた。

――これならきっとメイクデビューでも活躍するだろう、が……。

パピヨン「お兄さーん!ちょっとー!ジュースきれてるんだけどー!ちゃんと補充しておいてよー!」

メイクデビュー、短距離を走らせるかマイルを走らせるか。確実に勝つのなら短距離だろうが、今後の事を考えるとマイル距離でデビューし、改めて今後の事を考えるのも手かもしれない。

パピヨン「ねー!お菓子ないのお菓子!アタシポッキー食べたいんだけど!トッポー!」

……しかし結局はパピヨンが走ってくれるかどうか。彼女が嫌がればまた考え直さなければならないが――。

パピヨン「おーにーいーさーんー!」

『……聞いてるよ。あとでスーパーに寄るよ』

パピヨン「んもー、アタシが言う前にちゃんと補充しておいてよね!プリンとかも買ってきてねー?」

……案外こういうところは中学生らしい。普段の言動も……まあ、それらしいと言えばそれらしいなと、【貴方】はなんとなく頷いてしまう。

さて、ではメイクデビュー。シルヴァーパピヨンは……。


メイクデビュー――:安価直下
1 ダート1200m
2 ダート1600m
3 ……いや、彼女に決めてもらおう。

『なあ、パピヨン』

パピヨン「んー?」

『キミは、最初のデビュー戦……短距離とマイルどちらを走りたい?』

【貴方】自身が決めるより、彼女に決めてもらったほうがきっと良いだろう……そう考えた【貴方】は、パピヨンに問いかける。

パピヨン「えー?アタシとしてはどっちでも良いんだけど。どっちでも走れるんでしょ?」

『気分で良い、なんとなく短く走りたいとか。ちょっと長い距離走りたいとか、それくらい気軽で』

パピヨン「ぷぷ、気分で良いの〜?お兄さん、もしかして考えるの放棄してぜーんぶアタシに丸投げ〜?」

『キミの気分が大切なんだよ、キミが走りたいレースを走らせてあげたいんだ自分は』

パピヨン「…………なにそれ」

……なんだか、引かれてしまった。

距離は:コンマ直下
1〜5 ……短距離
6〜0 じゃ、マイル

パピヨン「……短距離」

ほんの少しの沈黙の後、彼女はそう呟いた。

短距離か、確かに最初は自分の得意な距離で走りたいか。【貴方】はすぐに納得して頷く。

『分かった、じゃあメイクデビューは短距離で走ろう』

パピヨン「……当然でしょお兄さん!アタシ、確かに沢山走りたいけど、デビューから躓いて未勝利戦をうろちょろなんて趣味じゃないから!」

アタシの走りで〜……お兄さんをビビらせちゃうから。と、自慢げに笑う。

パピヨン「あ、じゃあアタシそろそろ部屋戻るから!今日はお疲れ〜、ちゃんとジュースとお菓子用意しといてよね!」

『ああ、また明日。お疲れパピヨン』

パピヨン「…………」

短距離、アタシが今自信を持って走れる距離。一番強く走れる距離。

確かに勝ちたいからこの距離を選んだ――その理由は勿論ある、けど……。

パピヨン「……ぅー」

――嫌われたくない。あんなに気を付けたはずなのに、嫌われたくないと一瞬でも思っちゃった。

メイクデビューでもし勝てなかったら……期待を裏切っちゃう。

パピヨン「…………走ろ」

アタシは、夜のダートコースへと向かった。

トレーニングやパピヨンとの関係も進み、次のレースも決まったので少し自由安価入ります。

初めてなので、こういうイベントが見たい。というのをレスしていただければそれを採用して書きます。【貴方】とパピヨン以外でも、以前募集したパピヨンと関係のありそうなウマだったり、グリーンシルフィーの登場もありです。

見たいイベント:自由安価下3まで。



寝ます。お疲れさまでした。

夜のダートコースでナカヤマフェスタとばったり
らしくないとからかわれつつ走りを見てもらうことに

おつ
そういえばシルフィーちゃんは適正と距離はどうなります?



ナカヤマ「――おいおい、なんだからしくねぇことしてんじゃねぇか」

パピヨン「はぁ、はぁ……あ、ナカヤマ先輩」

夜のダートコース、走り込みをしているとナカヤマ先輩に声を掛けられる。

……ナヤカマフェスタ先輩。入学したばかりの時に、ちょっと喋ることがあってからなんだか気に入られて、今の今までちょくちょく喋っている。

結構素行不良だけど、ヤンキーとかそういうのとはちょっと違う感じの……ぷぷ、お兄さんだったらあんまりかかわるなとか言うかな?

ナカヤマ「なあパピヨン?お前そんな真面目に練習とかする奴だったか?」

パピヨン「……別に〜? アタシだってメイクデビュー前にはちょっとくらい練習するする〜」

ほら、もしデビューに失敗しちゃったらどうしよ〜?みたいな。この前先輩が言ってたスリル?心のヒリつき?

ナカヤマ「……ククッ、随分と可愛らしい一面もあるじゃねぇか」

パピヨン「むっ……」

ああもううるさいなぁ!と、ちょっと怒る。しかし先輩には全く効いていない。逆に笑われる。

パピヨン「もー!何なの先輩!アタシ、珍しく真面目なんですけど!」

ナカヤマ「キャンキャン吠えるなよ――後輩。じゃ、小さな心臓がバクバクのお前の走りで、一つ賭けでもさせてもらうか」

パピヨン「……賭け?え、やだ。アタシ今お金ないんだけど」

ナカヤマ「賭けるのはお前の脚。私が提示するタイムで3ハロン走れるかどうか……もしお前が走れたら、明日メシでも奢ってやる」

パピヨン「ほんと!?やったぁごちそうさまでーす!」

ナカヤマ「そしてもし走れなかったら……当然、お前が私に奢るんだぞ?」

「はいはい分かってる分かってる!明日何食べようかな〜……」と、後輩の話は聞こえていない様子に、ナカヤマは呆れたように笑う。そして――。

パピヨン「はぁああああ!?今のなし!ノーカンノーカン!もっかいもっかい!」

ナカヤマ「ハハハ!そんな走りじゃ一か八かもありえないか!いいか、まずお前の走りは――」

――そしてもう一度、ダートを走る。

『あれ』

パピヨン「おはよ〜お兄さーん……あれれ、何か探してるの?」

『補充したばかりのニンジンジュースが何故かもう無くなって……すまん!買いに行ったはずなんだが……』

空のペットボトルすらないから、そのまま盗られたか……?【貴方】の呟きに、パピヨンの視線がそーっと斜め上に。

パピヨン「あ〜……も、もードジだなお兄さん!い、いーよいーよ!ニンジンジュースは!」

『いや、けど……』

パピヨン「じゃ、じゃあ今度一緒にスーパーに買いに行こ!アタシ、そういう気分かもー?」

『……???』

明らかに普段の様子と違うパピヨンに首をかしげる【貴方】。もしかして、なにか悪いことでもしたんじゃないか――。

……そこまで考えて、【貴方】はパピヨンを信じよう。と思った。そんなことはしないはずだと。

パピヨン「あ、あはは〜……はは」

>>84
決めてなかったので決めます。

グリーンシルフィーの適性は……:安価直下
1 ダート!
2 芝!
3 両方走れる変態!

芝を走る子です。距離は……:安価直下

1 短距離
2 マイル
3 中距離
4 長距離

中距離が主戦場なだけでマイルや長距離も走れるかもしれません。

ダート走れる子だったらライバル路線もありでしたが、別にパピヨンと同期のダートウマを募集してもいいかもしれませんね。

では、グリーンシルフィーのトレーナーさんの話を。

グリーンシルフィーのトレーナーは:安価直下
1 もう契約してます
2 まだいません

パピヨン「あー、ねーねーシルフィー。シルフィーってもうトレーナー居るんだっけ」

トレーニングを終えて暇だったので、机に向かって何か作業をしているシルフィーに訊いてみる。

なんだっけ、結構色々小説とか絵本とか作ってるんだっけ?見たことないけど。

シルフィー「ふぇっ!?は、はい……この間、トレーナーさんが契約してくれて……」

パピヨン「おー!じゃあそろそろデビューして走るんだ?」

シルフィー「ど、どうでしょう……?まだデビューの予定は決まっていないので、パピヨンさんと同じ時期に走る……というのは、ないかもしれません……けど」

あー、しっかり準備してから走るタイプねー。シルフィーって。

パピヨン「ふーん……あ、じゃあ。トレーナーさんどんな人なの? アタシのトレーナー……?は、ちょっとアレだけど」

ちょっと変態で、キモいお兄さん。そういうと、シルフィーは目をギョッとさせて。

シルフィー「だ、ダメですよぉ……!そ、そんな風にトレーナーさんを言ったら……!」

パピヨン「ぷくく!だって本当のことだし〜?んで、シルフィーのは〜?」

シルフィー「え、ええっとぉ……」


シルフィーのトレーナーさんは:安価下1〜2

性別や簡単な性格とか。ちゃんと登場するかは分かんないです。

シルフィー「すっごい、真面目な人……です。スーツと眼鏡が凄い似合ってていて、なんだか
……大人の女性、って感じで」

パピヨン「えー、なんだかかたっくるしそ〜。大丈夫?息苦しくない?」

シルフィー「そ、そんなことないですよ!と、トレーナーさんが、私を選んでくれたから……その想いに、答えたいんです……!」

……それに、ちょっと憧れてるん、です。私も、あんな風に大人の女性に……みたいな。

パピヨン「…………へ〜。シルフィーって、そういうとこあるんだ」

シルフィー「えっ……えっ?」

やっぱ、綺麗なお姉さんとか仕事が出来る人とか見ると憧れるもんなんだ〜。アタシ、よく分かんないけど。

パピヨン「あ〜でも、そういう人に限ってオフの時すっごいだらしないとか、よくあるよね」

シルフィー「……そ、そうですか?」

パピヨン「そうだって!ほら、仕事はバリバリの人が、私室は汚部屋みたいなの!ドラマとかでよくあるじゃん!」

シルフィー「う、うーん。そうなんですかね……でも。そういうのって、結構創作だけだったり……しませんか?」

パピヨン「あーでもアタシのも、ちょっとリアルだらしなさそ〜。料理とか絶対できないでしょ」

シルフィー「あ!私のトレーナーさんは、料理できるって言っていました……!」

……消灯時間が来るまで、シルフィーとトレーナーさんの話で盛り上がった!

うーん、やっぱお兄さんはトレーナーの中でもだめだめな部類かなぁ。キモさはダントツかもだけど。

一旦ご飯食べます。離席。

オフの日のシルフィートレーナーががっつりシルフィーにお世話されちゃうのが見たいです。

定番だけど良いですよね

パピヨン「……んー?」

コースに人だかりが出来ている。なんだなんだと歩きながら見てみると……。

ルドルフ「――!」

パピヨン「あー、ルドルフ会長さんか」

シンボリルドルフ会長。このトレセン学園の生徒会長さんで、無敗の三冠馬とかいう凄い人。

そりゃそんな人がトレーニングしてたら人だかりもできるよね。

……にしても、あんな色んな人に期待されても、全然気にせずトレーニング。それが当然みたいな、期待されて当たり前みたいな……凄いなぁ。

パピヨン「アタシには真似できな――きゃっ!」

「……アンタ、周りをよく見て歩きな。そんなに皇帝サマが好きなら止まって見学しな」

思わずぶつかりそうになったのを、身体を大きくひねって避ける。

――あれ、もしかしてこの人。ナカヤマ先輩の……。

パピヨン「……シリウスシンボリ、先輩」

シリウス「へぇ?私のことを知っているか。勉強熱心な子犬だ……どうした、そんな目をして」

パピヨン「あ、アタシは子犬じゃなくてパピヨン!シルヴァーパピヨン!貴女の同室のナカヤマ先輩と仲良くさせて貰ってます!」

シリウス「……ナカヤマと?ふん、アイツと仲良くとは、なかなかどうして吠えるじゃねぇか。なぁ、子犬」

シルヴァーパピヨン、パピー。随分と子犬にお似合いの名前じゃねぇか。と、目の前のシリウス先輩に、笑われる。

……なんだか無性にムカつく!

パピヨン「はぁ〜?アタシ、そんな子犬とか言われたくないんですけど?先輩だからって、ちょっと勝手にあだ名付けないでくれます?」

シリウス「……ははっ、そんな覚えた眼でそう睨むなよ子犬」

……瞬間、アタシの顎を手で杭っと持ち上げられて――こ、これ。顎クイ……!?

パピヨン「……っ!」

シリウス「さっきみたいに吠えてみろよ、私に対して震えながらキャンキャンな」

パピヨン「うが〜! 止め……て! アンタ嫌い! なんかゾワゾワする!」

――そう吐き捨てて逃げる。なんだかあの人、雰囲気というか、喋り方が……キモい!

シリウス「……ふっ。面白いなあいつ、後でナカヤマに訊いてみるか」

――――メイクデビュー当日。中山レース場、空は青く晴れ、快晴。

【貴方】は今、初の担当ウマ娘、シルヴァーパピヨンのメイクデビューを迎えていた。

担当ウマが緊張しているかもしれない、ならばそれを解消してあげるのがトレーナーとしての役目だ――。

パピヨン「すご!ねーお兄さん!ここお菓子置いてる!食べよ!」

『……』

……別に緊張はしていなさそうだった。

『なあ、パピヨン。キミ……緊張はしていないみたいだな』

パピヨン「ん?別に緊張とかしてないけど〜?もーしかしてー……お兄さん、緊張してるの!?」

うわ、マジ〜?大人なのに、中学生よりガチガチとかなっさけな〜!ぷぷぷ〜!

……ここぞとばかりに煽られる。しかし、これでめげるなら彼女のトレーナーはやっていけない。

『……もう一度確認しておこう。中山ダート1200mの出走人数は10人、作戦は――』

パピヨン「あー大丈夫大丈夫!作戦はアタシが走りたいように走る!それで一番最初にゴールを通る、それで良いでしょ?」

ま、お兄さんはプルプル震えながらアタシの走りを見ててよ?と、にやりと笑い。パドックに向かおうとする……。

【貴方】は、引き留める。

パピヨン「え〜、何々?アタシもう行くんだけど――」


『――頑張れ。パピヨンは、パピヨンの走りを見せてくればいい』

キミの圧倒的な逃げを、期待しているよ。と、【貴方】は、言った。

パピヨン「…………!」

……一瞬の、沈黙。パピヨンは困った表情をして。

パピヨン「……お兄さん、ちょっと恥ずかしいよ〜?ぷぷ」

そして、駆け足で行ってしまった……

メイクデビュー!結果は:コンマ直下
1 圧倒的勝利!!!
2〜8 勝利!
9 あちゃ〜
0 おおっと

勝った!

それじゃあ、今日はこれで寝ます。お疲れさまでした。


そしていきなりですが、パピヨンと同期のダートキャラ募集します。前回のキャラ募集と同じように送ってくれると嬉しいです。

同期ダートウマ:安価下1〜3

よろしくお願いします。

パピヨン「――!」

ゲートインが完了し、各ウマ娘一斉にスタートし最初にハナに立ったのは3番シルヴァーパピヨン。

1バ身、2バ身と差を広げ戦闘を進む彼女の後に続くように、他のウマ娘が各々のペースで走り始める。

パピヨン「あ、は――」

思わず、笑みが零れる。最近は泳いだりするばかりで、あまり走れていなかった分。その走りはとても、気持ちのいいものだった。

全身に風を受け、風を切る音をその耳で感じる。そして目の前には誰も居ない――パピヨンは小さな頃から走ることが大好きなウマ娘だった。

楽しい、楽しい。走りたいから、走る。走ることが楽しいから、走る。彼女はただそれだけだった。

――コーナーを曲がり最終直線。6番と8番のウマ娘が、パピヨンに迫る。

パピヨン「――もっとっ!」

が、しかし。飽きても飽きてもやらされたプールトレーニングのおかげか、彼女にはまだスタミナがあった。

迫るが、縮まらない。差が一向に縮まらないまま、先頭のパピヨンはどんどん前へと走り――!

ワァアアア……!観客席から、歓声が上がる。【貴方】の担当ウマ娘、シルヴァーパピヨンは見事メイクデビューを華々しく勝利を飾った。

『パピヨン……!』

思わず手を力強く握りしめる。そうか、パピヨンはやったんだ……!

パピヨン「……勝った。勝った、勝った……!」

ゴールを通過した彼女は、その勝利を噛み締めていた――噛み締めている、はずだった。

『パピヨン……?』

しかし、なんだろう。なんだか猛烈に嫌な予感がする。彼女はそうだ、ワガママで、初めて会った時初対面でも【貴方】を馬鹿にした――。

パピヨン「は〜〜〜? ちょっと、なに喜んでんの?」

――歓声が、止まった。

パピヨン「アタシが勝つなんて当然でしょ!アタシはもー、すっ……ごい強いんだから!こんなデビュー戦何かで騒がないで!」

『お、おい。パピヨ――』

パピヨン「ぷぷ、ぷははは!こんな当然の勝利に、きゃーきゃー喜んじゃってぇ……バカみたーい!見てるだけの人ってなーんにも分かんないんだ!」

――――今にも倒れそうだ。ああ、終わった……血の気が、サーっと引いていく。

彼女を迎えに地下バ道に行くと、その彼女は何もなかったように笑い手をひらひらと振ってきた。

パピヨン「あ、お兄さーん。どうだった、アタシの走りー?」

『き、キミなぁ……』

……観客に向かってあんな発言。観客に対しても、他の出走ウマ娘に対しても失礼だ。そんなことは当然で【貴方】は、それを叱ろうとするが。当の本人は全く聞く耳を持たなかった。

パピヨン「あ、もしかして怒ってる?だって本当のことでしょ?お兄さんももっともーっとアタシを凄いレースで走らせたいんだから、こんなところで負けてられないよー?」

『だからと言って、あんな台詞は――』

パピヨン「……問題、ないでしょ?」

『……!』

時々、思う。もしかして……彼女のこの言動には、何か意味があるんじゃないかと。ただ煽るだけじゃない、ただ意味もなく嫌われるような言動をしているわけではないのだと。

ほんの少し、パピヨンのトレーナーをしていて、【貴方】は、そう思った。

「――すみません、シルヴァーパピヨンさんよろしいでしょうか!」

パピヨン「……んー?」

記者「先ほどのレースお見事でした!あ、わたくしこういうもので……」

手渡された名刺を見ると、ウマ娘レース雑誌の記者だった。有名でもなければ無名でもない、そこそこの雑誌――デビューを見事勝利した、パピヨンに取材をしたいのだろう。

記者「では単刀直入に聞かせてください!次のレース予定は!レース後に、あんな啖呵を切った、彼女の次のレースは――全日本ジュニアでしょうか!」

『……すみませんが取材の方は』

パピヨン「えー?良いじゃん良いじゃん、アタシを取材だなんてよっぽど見る眼があると思うな、この記者さん」

記者「はは、そりゃ当然ですよ!あんな見事な逃げ、あのヒール振り!取材せねばなりませんよ!」

ぐっ!と拳を握り締める記者。なんだなんだこの二人……。しかし、まあ、そうだ。

――全日本ジュニア優駿。川崎のレース場で行われるデビューしたばかりのウマ娘だけが出ることのできる、マイルのダートG1。

確かに出走して一着を取ることが出来れば、パピヨンの人気は格段に上がるだろうが……しかし距離が問題だ。

マイル1600mをパピヨンは耐えられるのか……?プールトレーニングは行っているが、それでも……。

(……)



次のレースは:安価直下
1 ええ、挑戦します。全日本ジュニア優駿。
2 いえ、今のところは他のダートレースを目標にしています。
3 ……大事な話ですので、パピヨンと話し合い決めていく予定です。

遅い時間なので寝ます、お疲れさまでした。安価は下でお願いします。

レースは基本ゲーム準拠です。実際にあるレース名とかはあまり詳しく知らないので、何かあったら教えてくれると嬉しいです。

海外のダートレースとかはパピヨンが行けそうなら行きたい気持ちです、ドバイとかね。

『……ええ、挑戦します。全日本ジュニア優駿』

パピヨンは言った。アタシは走れればいい、走りたいから走ってるだけ――ならば、ここで彼女が一着を取り、マイルでも走れることを証明できれば。彼女はより沢山のレースで走ることが出来るだろう。

記者「そ、それはつまり!全日本ジュニアにおいてもパピヨンさんの見事な逃げを決めると!?」

『え、いや。確かにパピヨンは逃げウマですが――』

記者「これは新しいダート新星ですね!お時間ありがとうございました!この後のウイニングライブも楽しみにしています!それでは!』

そして記者は行ってしまった……変なことは言わず追い返したほうが良かったかもしれない。が、しかし良い機会であるのは確かだ。

【貴方】は、チラリと横に立っているパピヨンを見る。

パピヨン「……や〜ん。お兄さんがアタシのことちらちら見てる〜、キモ〜い!」

『その、すまない。自分一人で決めてしまって』

パピヨン「あ、全日本ジュニア?別に気にしてないけど?アタシはただ走るだけだし、お兄さんは走れっていうなら、アタシ走るよ?」

G1でもマイルでも〜……アタシは変わらず走るだけ。知ってるでしょお兄さんなら?と、プププと笑いながら言う。

『……そうか。じゃあ行こうパピヨン、全日本ジュニア優駿でキミの走りを見せつけよう』

パピヨン「は〜い。ま、アタシなら全員ぶっちぎって超逃げ勝ちなの確定だよね〜」

――こうして、【貴方】とシルヴァーパピヨンは初のG1、初のマイル距離に挑戦することになった。

これがどのような結果になるかは、誰にも分からない――。

ダスカ「すみませーん、シルヴァーパピヨンさんの控室で間違いないでしょうか……あ、パピヨン」

控室に戻り少し休憩していると、コンコンと丁寧なノック。どうぞ、と声を掛けるとそのウマ娘が入って来た。

フラワー「パピヨンちゃんメイクデビューお疲れさま!とても良いレースだったよ!」

ダスカ「でもレース後のあの発言!ああいうのは控えなさいって、前に何度も……!」

パピヨン「だって本当のことじゃーん。アタシ、別に間違ったこと言ってないし〜?」

『フラワーと……ダイワスカーレット?』

ダスカ「あ、ご存じだったんですね。アタシ、ダイワスカーレットって言います。パピヨンのトレーナーさん」

パピヨンの同期であり芝レースで話題になっているダイワスカーレット。確かパピヨンと仲良くしてもらっているらしいが……。

『初めまして、スカーレット』

パピヨン「てか、あれ。スカーレットとフラワーって仲良かったっけ?」

フラワー「丁度控室に行く途中でスカーレットさんに会ってね、お互いパピヨンちゃんに用があったから……」

ダスカ「そうよ、パピヨンのデビューを応援しに来たんだから!」

パピヨン「へ〜?二人とも優しいじゃーん。ありがと〜!」

ダスカ「でも、怪我なく終わって良かった……あとはウイニングライブだけね!」

『……ウイニングライブ』

ウイニングライブ。パピヨンは一着だったから当然センターで歌い踊るのだが……。

『パピヨン。キミ……ダンス練習は』

パピヨン「ん〜、授業でちょっとやったくらい?」

フラワー「パ、パピヨンちゃん大丈夫なの?ちゃんと踊れる?」

パピヨン「大丈夫大丈夫!アタシの事を応援してくれるファンの皆さんに、感謝の気持ち伝えちゃお〜!ぷふふ!」

……すこぶる心配だ。レースの事ばかりで、全くダンス練習は出来ていなかった……授業で練習したとは言うが、観客の前で無事踊れるか……。


ウイニングライブは……:コンマ直下
1 完璧!
2〜9 可もなく不可もなく
0 あちゃ〜

パピヨン「――♪」

取り合えずミスなどをすることはなく、パピヨンはウイニングライブを終えた。しかし、なんだかどこか危なっかしい。

隣で踊るウマ娘にぶつかりそうになった場面など、見ていてハラハラしてしまう。

……しかし、その歌声や踊りのキレなどはだいぶ完成されていた。

(……他の子と一緒に踊らせてみたりするのも必要かもしれない)

パピヨンはあまり周りを考えない、だから周囲を見渡す協調性が培われれば……。

『まあ、それを今考えるべきではないか』

センターで歌って踊る担当ウマ娘を見る。

パピヨン「――――♪」

……あんなことを言ったばかりだとは思えないほどの、笑顔だった。

自分も頑張らなければ。【貴方】は、そのライブを聞き、再確認した。

『……』

メイクデビューの次の日。【貴方】は、トレーナールームでメイクデビューの録画を見ていた。

パピヨン「あれ〜、お兄さん。そんなビデオなんか見ちゃってどしたの?もしかして〜……タイプな子でもいた?」

『ああ、パピヨン。実はな……』

パピヨンと同期のダートウマ娘の情報を集めるべく、色々なレースを見ていたのだが……その中でも今話題の子のメイクデビューを見ていた。

ライム「やぁああああああああ――!」

――ステラライム。パピヨンの一週間前にデビューしたばかりのダートウマ娘。この子も、きっとパピヨンと同じ全日本ジュニア優駿に出場するだろう。

そしてその走りは……。

ステラライムの脚質は:安価直下
1 逃げ
2 先行
3 差し
4 追込み

前から3番目辺りに付き、最後の直線で一気に抜き差す。お手本のような先行差し……ステラライムの地力がハッキリと分かるメイクデビューであった。

ライム「――やりました、やりましたよトレーナーさん!トレーナーさーん!」

パピヨン「ぷぷ、元気な子だね〜」

『まだ分からないが、きっとこのステラライムが全日本ジュニアでは有力バとなるだろうな』

それに、きっとこの子はマイラー……スプリンター気質のパピヨンと彼女ではそもそものスタミナ勝負で負けて刺されてしまうかもしれない。

パピヨン「……ふーん。じゃ、アタシはこの子に追いつかれないように沢山スタミナ付けて、逃げ切れば良いわけ?」

『まあ、そういう訳なんだが』

スタミナ、それにパワーもスピードも何もかもがまだパピヨンには足りないかもしれない。だが……それをどうにかして送り出すのがトレーナーだ。

『頑張ろうパピヨン、自分がキミを勝たせるよ、そのためのトレーニングも――』

パピヨン「うわ、なんかキモ。勝たせるよ……だって〜!ぷぷぷ!カッコいいこと言ったつもりだ〜!」

……頑張ろう。パピヨンは勝てないウマじゃないはずだ。

『さて、ではトレーニングを始めよう』

プールは勿論ジムでの筋力トレーニング、それに他ウマ娘との併走……やれることは沢山ある。

『それに、彼女のやる気維持もしなくては』

昨日安売りしていた為大量に購入したジュースやお菓子をトレーニングルームに置いておくことも忘れない。それ以外にも、何か彼女のためにやって上げれることがあるかもしれない……。

『……ただ年頃の女の子の好きな物やことって知らないな』

まあ、やれるだけやろう。さて、トレーニング内容をもう一度考え直してみよう……。

見たいイベント:自由安価下3まで。



前のように、イベントを書いてください。

パピヨン視点でも、【貴方】視点でも。

ダスカ「パピヨンの好み……ですか?」

パピヨンの好きなものを探るべく、【貴方】はクラスメイトであるダイワスカーレットに話を聞くことにした。

彼女ならきっと色々と教えてくれるだろう。

『本人に直接聞くことも考えたんだけどね、ちょっと……』

――え〜!アタシの好きなものが知りたいのお兄さ〜ん!年下の女の子のそういうの知りたいって、なんか必死!ぷぷぷ!

……こんな感じの事を言われるだろうと思い、なんだかめんどくさくなりそうだったので止めたのだった。

ダスカ「あはは……まあ、アタシもパピヨンの事は色々知ってるつもりですけど、好きなものと言われると……」

『好きな食べ物とか、趣味とかでも構わないんだが……』

ダスカ「そうですねぇ」


パピヨンの好きな物とか趣味とか:安価直下
1 尻尾の手入れとか好きですよ
2 ……お兄さんをからかうことって
3 自由安価

ダスカ「そういえばパピヨンって尻尾の手入れが好きなんですよ」

『尻尾の手入れ?』

ダスカ「あの子がする尻尾の手入れ、凄い丁寧で気持ちが良いって評判なんです」

ウマ娘にとって尻尾とは感情表現などにも使われることがある大事な部位だ。専門のシャンプーやトリートメント、櫛など沢山の種類があり、匂いなども気を付けないと気分が悪くなったりすることもある……らしい。

尻尾は生えていない為よく分からないが。パピヨンにそんな趣味があったなんて……知らなかった。

ダスカ「沢山オイルとかシャンプーを持っているんですよ。そのウマ娘にあったものを探して、職人みたいに櫛を使って」

『なるほど……』

ダスカ「あ、あと。するのも好きだけどされるのも好きだって」

『!』

されるのも好き。もしかしたら、自分が上手に尻尾の手入れをしてあげれたら、パピヨンのやる気に繋がるかもしれない!

『スカーレットありがとう!今度またお礼をするよ!』

ダスカ「へっ?あ、は、はい……ま、待ってください?もしかして尻尾の手入れを――ト、トレーナーさん?!」

取り合えず、急いで本屋によって……あと尻尾のオイルとシャンプートリートメント……。

パピヨン「あー、疲れた〜……お兄さんジュース!」

『はいはい』

トレーナールームのソファに倒れたパピヨンの手に、冷えたニンジンジュース入りのコップを手渡す。勿論ストローを差して。

パピヨン「ん、よろしい」

ちゅーちゅー飲み始めるパピヨン。そして【貴方】その話を始める。

『……実は今日はキミにしてあげたいことがあるんだ』

パピヨン「……え、なになに〜?もしかしてエッチなこと?きゃ〜!お兄さんにセクハラされちゃう〜!」

スマホを見ながら、いつものように笑うパピヨン。その態度はいつも通りなので【貴方】は気にせず続ける。

『嫌なら言ってほしい。今からキミの尻尾を手入れさせてほしいんだ』

パピヨン「へー、尻尾の手入れ?良いじゃん良いじゃん、アタシ実はちょーっとそっちにはこだわりが――――」

彼女の言葉が、止まった。手に持っていたスマホが、ぽとりと体に落ちる。

【貴方】を見つめ固まってしまったパピヨン。

パピヨン「…………は?」

『だから、尻尾の手入れをさせて欲しいんだ。不快だったら言ってくれ』

【貴方】トレーナーの尻尾手入れ:コンマ直下
01に近いほど下手糞、00に近いほど上手



ご飯の為離席。

尻尾手入れ、滅茶苦茶親しい仲じゃないとさせてくれたりしないと思います。異性なら特に。

と、いう訳でパピヨンの尻尾の手入れの許可を貰った。

パピヨン「…………」

本屋で買った「誰にでも分かるウマ娘の尻尾手入れ!」の内容を思い出しながら。道具の準備をする。

『それじゃ、尻尾に触るからな』

パピヨン「変な風に触ったら怒るから……んっ」

尻尾に少し触れた瞬間、彼女の口から小さな吐息。思わず手を止めてしまう。

『だ、大丈夫か!?や、止めるか!?』

パピヨン「ちょ、ちょっとびっくりしただけだって……ほら、お兄さんか言ったんだから手を止めないでよ」

……そう言われて、もう一度手入れを続ける。尻尾を持ち上げ、手に持った専用の櫛を尻尾に入れる。

毛並みに沿ってすーっ、すーっと櫛を動かして……。

パピヨン「……お兄さん下手糞。触り方もそうだけど、櫛の入れ方も動かし方も最悪」

『え、あ、ごめん……』

……流石、職人と言われるような彼女に対して付け焼き刃の知識を付けただけの自分では、この時点でもう駄目らしい。

なんだか、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。

パピヨン「はぁ……ほら、櫛の入れ方はそんな真っすぐじゃなくて、ちょっと斜めに入れて」

『……あ、ああ』

パピヨン「そうそう。それで優しく撫でるみたいに、尻尾の先に向かって三回くらい」

彼女の言われたとおりに櫛を動かす、確かにさっき自分でやった時よりも尻尾が綺麗になった……気がする。

パピヨン「この櫛入れもシャンプーとリンスをしてからの方が良いんだけど、ここじゃね〜。ほら、次はオイルを用意して、因みに匂いは?」

『……柑橘系の匂いの奴を買ったよ』

パピヨン「柑橘系……なんでそれを買ったのか、アタシ知りたいな〜」

『……キミにはこの匂いが合うと思ったからだよ、もしかして苦手な匂いだったか?』

パピヨン「…………いや、別に〜?じゃ、それを手にしっかり馴染ませて、尻尾全体に塗り込んで」

『ああ』

毛の裏表全体に均等にオイルを塗り広げると、段々尻尾全体に光沢が帯びてきた。

パピヨン「そうそう、そんな感じ……ん〜……あ〜……」

……尻尾が小さくフリフリ揺れている。

『……これで終わりか?』

パピヨン「えっ?……あー、そう。オイルも塗ったし終わり終わり。お兄さんお疲れさま〜」

『その、なんだ。キミの言うとおりにしてしまったけど……どうだった?」

パピヨン「へたっぴ!お兄さん何もかも不器用すぎ!ん〜……まあアタシの言うとおりにして20点くらい?」

尻尾を大きく振ってみて、点数を付ける。そんなに低いのか……と、なんだか悲しい気持ちになる。そもそも、彼女の言うとおりにやってこれなのだから、本当はもっと低いのだろう。

パピヨン「……だから、今度はもっと練習してきてね。またテストするから、お兄さん?」

『え』

パピヨン「じゃ、お疲れさま〜!また明日〜」

……行ってしまった。

パピヨン「……〜♪」

シルトレ「本日はありがとうございます、まさか一緒にトレーニングをして貰えるとは」

『ああいえ、こちらこそ。色々と勉強させてもらいます……グリーンシルフィーのトレーナーさん」

今日は坂路ダッシュのトレーニングをする予定だったが、グリーンシルフィーのトレーニングと被ってしまったため、一緒にトレーニングをすることになった。

パピヨン「やぁあああああ!!!」

シルフィー「…………っ!」

……普段は飽きっぽいパピヨンだが、同室のシルフィーがいるおかげかいつもより長くトレーニングを続けられている。これは良い傾向だ。

シルトレ「……シルヴァーパピヨン、良い鍛え方をしていますね。販路をもう複数回往復していますが、スプリンターだというのに、まだ走れている」

『……スタミナには少し気を付けているんです』

グリーンシルフィーのトレーナーさん今まで何人もの重賞勝利ウマ娘を輩出したベテラントレーナーだ。そんな方からそう言われると、なんだか少し気恥ずかしい。

シルトレ「スタミナは大事です、体力は全ての基本となりますし何より怪我の防止になりますから」

『……レース中に体力が無くなったことで、意図しない走りをした結果衝突や転倒。色々ありますよ』

シルトレ「はい。確かにスピードなども大事ですがまず体力、次に体力だと私は思っています」

……模擬レースでのパピヨンの走りを思い出す。確かに一着でゴールした後、倒れそうになっていた。あれは事故に繋がる。

『……実は今パピヨンのスタミナを底上げしたいと考えていまして、プールトレーニングを多くしているんですが、他に何かいいトレーニングはないですかね』

シルトレ「……ああ、そういう。そうですね、スプリンターの彼女のスタミナを引き上げるとするなら、まず――」

パピヨン「あー!お兄さん坂路飽きた!お菓子!」

シルフィー「パ、パピヨンさん……!」

……ああ、もう駄目だったみたいだ。

パピヨン「あ、この人がシルフィーのトレーナーさん?ふーん、確かに出来る女って感じ?」

シルトレ「ありがとうございます、パピヨンさん」

シルフィー「あ、その、トレーナーさん……」

シルトレ「……ふふ、そんな心配そうな顔をしなくても良いわよシルフィー。少し休憩しましょう?」

シルフィー「!は、はい」

『パピヨン、キミなぁ……』

パピヨン「ん?どうかしたお兄さん?それとジュースは?」

……溜息を吐いて、【貴方】お菓子とジュースを手渡す。少しだけだぞ、と念押しするがあまり聞こえていなさそうだ。

『……担当ウマ娘のトレーニングへの集中力を維持するためには、何をすればいいんですかね』

シルトレ「あぁ、そうですね……やはりご褒美だったり、同じトレーニングを集中させなかったりやり方はありますが。確かに、彼女は少々大変そうですね」

パピヨン「あれ、もしかしてアタシの話してる?やっぱアタシっていつも話題になっちゃう〜」

――折角だ、色々話しを訊いてみよう。ベテラントレーナーの知恵を借りよう。


何か訊いてみよう:安価下2
1 トレーニング後のケアは何を?
2 ご褒美というのは?
3 ……グリーンシルフィーのレース
4 自由安価

今日はこれで終わります、ありがとうございました。

安価はこれで採用します。下2は来ないですね時間も遅いので。


トレーナーに尻尾手入れ許すってそういうコトですね、ええこれは

>>150
このメスガキウマ娘もしかしてチョロい?

やっていきます。



『ところで、何ですけど』

グリーンシルフィーの今後のレースは……と、訊ねると。シルトレさんは眉間に皴を寄せて、こちらを見る。

シルトレ「……何かそれを聞いて、そちらの陣営に何かメリットが?」

『あ、いえ。そういうつもりじゃ……すみません、少し気になってしまっただけで』

パピヨン「あー、お兄さんデリカシーないこと聞いたんだ!新米トレーナーだからって、良くないんだ〜」

シルトレ「……そんな落ち込まないで下さい。まあ、まだこちらはメイクデビューもまだですから……少しくらいなら


デビューは秋ごろを予定していて、そこからはシルフィーの夢の為にレースを走って行きたいと考えています。

『夢、ですか』

シルフィー「は、はい。その、夢というか、約束なんですけど……」


――シルフィーの夢:安価直下
グリーンシルフィーの適性距離は中距離で芝です。
1 ……G1勝利
2 3冠……
3 トリプルティアラ……
4 自由安価

シルフィー「トリプルティアラが……夢、なんです。親友との約束で……」

パピヨン「あ、前に話してた夢ってトリプルティアラなんだ」

シルフィー「……うん。親友と一緒に、テレビで見たレースが秋華賞だったんです。そして、その勝ったウマ娘さんが……」

凄い、綺麗だったんです。その勝ち方も、走る姿も。全部……輝いて見えたんです。

パピヨン「……ふーん」

シルトレ「私は彼女のこの夢を聴いて、取らせてあげたいと思ったんです。トリプルティアラ――それに、この子にはそのポテンシャルがある」

勿論、それを引き出すのが我々トレーナー何ですが、と。眼鏡をクイっと動かし、堂々と言った。

……ウマ娘のポテンシャルを引き出すのがトレーナー。その言葉に【貴方】は頷いた。

パピヨン「ま、アタシはそういう夢とかないけど〜……お兄さんは、アタシを沢山走らせてくれるよね?」

『それは、勿論だよ』

キミの走りに惚れたから、自分は担当トレーナーになったのだから……。

『ほら、そろそろ坂路に戻ろう』

パピヨン「うげ〜……あー、シルフィー行こー」

シルフィー「あ、え、はい!それじゃあ、失礼します!」

――こうして、暗くなるまで坂路トレーニングは続けられた。

夢、約束、使命……そういう物はないかもしれないが、【貴方】はパピヨンが望むとおりに走らせてあげよう。そう思った。

先輩トレ「よう、トレーニングやってるな」

『あ、先輩。お疲れさまです』

パピヨンのトレーニングを見ている途中、トレセン学園に来たばかりの時にお世話になった先輩トレーナーから声を掛けられた。

先輩トレ「……成程あの走ってるウマ娘がシルヴァーパピヨン。メイクデビューで凄い事を言った……」

『うぐっ』

……パピヨンのあのメイクデビューはトレーナー間でも少し話題になっていることを【貴方】は把握していた。

あのような態度はいかがなものか、とか。トレーナーの指導はどうなっているんだ、とか。それにネット上でも物議を醸していたり……。

なんだか、胃が痛くなってきた。

『……ですが、パピヨンの走りは本物です。確かにパピヨンは……問題のある子ですけど、その走りを見たら、皆が認めますよ』

先輩トレ「確かに、あの瞬発力には目を見張るものがあるがなぁ……」

『あとはそれをどれだけ持続させて、最後まで走らせてあげるか。そうすればきっとパピヨンは……G1も取れます』

先輩トレ「随分とまあ、気に入ってるんだな」

パピヨン「――ねー!お兄さん!飲み物!」

遠くから、パピヨンの声が聞こえる。この声色はだいぶ疲れてイライラしているようだな……。

『パピヨンお疲れさま、ほら』

パピヨン「ん!」

こういう時はジュースではなくスポーツドリンクを渡す、そして一緒に汗を拭くためのタオルも。

パピヨン「もう暫くこのトレーニングやりたくない!明日は別のにして!」

『ああ、分かっているよ。メニューは複数用意してるから、後で部屋で確認しよう』

パピヨン「当然でしょ!あーもー、お兄さんデザート用意しといてよ!」

そう言い残して、パピヨンは起こりながらコースに戻っていった。

先輩トレ「……大変だな、なんか。デザートとか用意してるか?」

『ああはい、最近ハチミー……?とかとコラボしたプリンがあるらしくて、それとコンビニで最近発売されたエクレアを』

先輩トレ「…………取り合えず担当ウマ娘との仲は悪くなさそうで安心したよ」

なんだか、ワガママお嬢様と執事って感じだな。と呆れたように言われてしまった。

……そうだろうか?【貴方】は首を傾げた。

――シルヴァーパピヨン宣言!全日本ジュニア優駿でも逃げ切りか!

(……バッチリ書かれてるな)

あのメイクデビューであった記者の記事だろう、あの時の会話を元にだいぶこちらがヒールのように書かれている。

『シルヴァーパピヨンとその担当トレーナーはG1でも華麗な逃げ切りを決めると記者に対して宣言し、当日のメイクデビューでは勝利後、己の強さをアピールするように観客を煽り……』

……ネット上でも、この記事は話題になっているようだ。まあ、メイクデビューで勝ったばかりの子がこんなことを言ったらなぁ……。

パピヨン「あー、お兄さんもしかしてそれ……アタシの記事?」

『あ、こら!』

後ろから読んでいた雑誌を取られてしまう。しまった、彼女にこういうのはあまり見せたくなかったが……仕方ない。

パピヨン「ふーん……ま、ウマッターでもちょくちょくアタシの名前見るし、こういうのも書かれるよね〜。てか、これあの時の記者さんのでしょ」

……あ、写真写りちょっと悪い!もっと可愛く撮って欲しいんだけどな〜、と。パピヨンはあまり内容については気にしていなかった。

『……大丈夫か?』

パピヨン「は、なにが?デビューを上手く飾ったウマ娘が、ちょっと調子に乗ってる〜って思われてるだけでしょ?」

勝てるわけがない、逃げ切れない、期待されていない――パピヨンはなぜか、嬉しそうに言った。

パピヨン「ま、だから別にアタシは気にせず走るだけだよ〜お兄さん」

『……そうか。キミが気にしていないならそれでいいが……少し間違えてる』

パピヨン「?」

『自分は、キミが勝つことも、逃げ切ることも信じているし、期待もしている……だから、頑張ろう』

【貴方】はパピヨンの手を握り、言った。ジーっと彼女の瞳を見つめると、パピヨンの方から視線をずらされてしまった。

パピヨン「…………っ!バカみたい。じゃ、アタシプール行ってきまーす」

『……ああ、少ししたら自分も行くから先に準備していてくれ』

戦いは冬――まだやれることはある。頑張ろう……と、心の中で誓った。

イベント:安価直下
1 ステラライム「私と併走トレーニングしてくれませんか!」
2 パピヨン「ねーお兄さん、ちょっと休日暇?」

ライム「――失礼します!こちらシルヴァーパピヨンさんのトレーナールームで合っているでしょうか!」

『うわぁあ』

コンコン、というノックが聞こえていたものの、想像以上に大きな声であいさつが飛んできて情けない声が出てしまった。

『……ステラライム?』

ライム「はい!ステラライムと申します!よろしくお願いします!」

とても礼儀正しく、はきはきとした喋り方のウマ娘。ステラライム……おそらく全日本ジュニア優駿にも出走するだろう、パピヨンのライバルとなるかもしれないウマ娘。

そんな彼女が、いったいどうして……。

ライム「あの、もし宜しければ本日シルヴァーパピヨンさんと併走トレーニングをお願いしたいのですが!どうでしょうか!」

……成程、そういうことか。確かに、同じダートウマ同士、こういう機会はパピヨンにとって貴重だ。

それに、もしかしたら色々と情報収集が出来るかもしれない……!

ステラライムのトレーナーさんは:安価下1~2

性別や簡単な性格などをお願いします。また、設定は全て採用出来るわけではないのでご了承ください。シルトレさんにあった幼馴染設定みたいな。

ライトレ「――いやぁ、今回は併走トレーニングありがとうございます!こちらもシルヴァーパピヨンさん陣営とは一度お話をしてみたかったんです」

『いえいえ、こちらこそありがとうございます。今回は色々と勉強させてもらいます』

ライトレ「はは、いえいえこちらこそ色々と……」

パピヨン「うわ〜、なんかペコペコしてる〜!なんだか情けな〜!写真撮っておこ!」

ライム「パピヨンさん、勝手に写真を撮ってはいけませんよ!ちゃんと許可を取らないと」

パピヨン「え〜?別に良くない?ライムって真面目〜」

……なんだか、真面目なコンビだ。こちらとは正反対……とまではいわないが。だいぶ違った雰囲気の二人だった。

ライム「――では、パピヨンさん!そろそろ始めましょう、同世代のダートを走る方と併走するのは初めてなので、少し楽しみなんです!」

パピヨン「え、もう?アタシ、もうちょっとしてから〜……」

『ほら、待たせてないで早く行ってきな。貴重な機会』

パピヨン「お兄さんひっどーい!何その言い方!はいはい、分かりましたー!やればいいんでしょやればー!」

……よし、今日はちゃんとコースに向かったな。パピヨンが素直に行ったのを見て、【貴方】は思わず微笑んでしまう。

ライトレ「……笑う要素ありましたか?」

『え?』

パピヨン「――っ!」

ステラ「やぁあああ!!!」

併走しながら走っている形ではあるが。パピヨンが逃げ、それ追うステラライム……そう見えてしまう。

抜かそうとする方と、抜かれまいとする方。お互いがお互いをかき立てている……が。

パピヨン「……はぁ、はっ……!くっ、このっ……ぉ」

……すぐにパピヨンの勢いが落ち、ずるずると下がってしまう。

ステラ「あ、パピヨンさん!」

それを見たステラライムが心配するように駆け寄る……まだまだスタミナには余裕がある感じで、本番のマイル1600mは十分走り切れるだろう。

ライトレ「……シルヴァーパピヨンさんは、本来スプリンターですよね。なのに全日本ジュニアに挑むというのは……何か理由が?」

『……最初に決めたのは自分でしたが、パピヨン自身が走りたいと言ったので』

ライトレ「なるほど、確かに担当ウマ娘の意思や夢というのは大事ですね……しかし、それを叶えるために無理をさせて怪我をさせてしまう可能性がある。というのは、良くないと思います」

『怪我には最大限の注意をしています、トレーニング後のストレッチやアイシングは欠かせませんし、スタミナを鍛えるために――』

ライトレ「……成程ね」

……ああ、この視線。分かってしまう、自分が無理やりパピヨンをマイルで走らせようとしているとしている、そう思っている視線だ。

『……エゴに見えますか?』

ライトレ「私自身としては、ウマ娘本人が走りたいからといって無理はさせたくない。彼女には彼女の進むべき道があると思うのですよ」

……マイルでは走らず、短距離だけを目指し走るシルヴァーパピヨンの姿。その意見はごもっともだと【貴方】は思う。当然だと【貴方】は思う。

自分が言ったマイルも走ろうという言葉で、無理やり走らせているのかもしれない。けど……。

『パピヨンがどういう風に走るのか、走りたいのか……それを見つけてあげるのも、自分の仕事だと思うんです』

夢なんてない、走りたいから走る彼女が、気持ちよく走れる道を見つけたいと【貴方】は言った。

ライトレ「……では、こうしませんか?簡単な模擬レースをしましょう」

――ダート1600m左回り、全日本ジュニアと同じ条件でステラライムさんと模擬レースをして……もし走り切れなければ。

ライトレ「もう一度考え直してほしい、シルヴァーパピヨンさんが走る姿は、少し痛々しいんです。走り終わると今にも倒れてしまいそうな、彼女の走りは」

『……』

模擬レース……:安価直下
1 受ける
2 受けない
3 パピヨンの意思を訊きたい



ご飯食べるため離席。再開できなさそうだったらまた連絡します。

パピヨン「走る!」

『即答だな、キミは』

ステラライムとの模擬レースを走るかどうか、本人に聞きに行ったが……即答であった。しかし、【貴方】は当然かと思った。

――走るか、走らないか。この二択があるなら……彼女は走る。

パピヨン「アタシがマイル距離を走れるかどうか不安なんでしょあのトレーナーは?ま、そういうのアタシどうでもいいけど、なんかムカつくし〜?」

『ムカつくって……』

パピヨン「だってそうでしょ〜?しっかり走って、しっかり勝ってくるよ、お兄さん?」

『……分かった、なら作戦なんだが――』

パピヨン「あーあー作戦とか知らない!お兄さん、そんなトレーナーみたいなことしないでよ。頭の中に作戦とかあったら、アタシ楽しく走れないから」

『トレーナー何だがな、自分は……しかし、まあ。キミがそういうなら、何も言わないよ』

――好きなように走って、逃げ切っておいで。あとのことはレースが終わってから考えよう。

パピヨン「……ぷぷ、分かってるじゃん。お兄さん」

ステラライムとの模擬レース――結果は:コンマ直下
1 限界ギリギリだけど逃げ切り!
2〜3 限界まで粘ったけど……
4〜9 負け!
0 おおっと

それでは、今日はこれで終わりにします。おやすみなさい。

負けてしまったが、これからスタミナをつけてG1を狙っていくか、G1を諦めるか、それとも……。

――ゲートに入り互いに出走準備を整える。そして、ゲートが開いた瞬間一気に前に飛び出す。

パピヨン「――!」

気持ちのいいスタートダッシュ、グングンと前を行き、自分の走りを始めていく。

ステラライムはシルヴァーパピヨンを後ろから見ながら進む……これもまた自分の走りだった。

第二コーナー周り向こう正面、そして第三コーナーに向かい。

パピヨン「……っく!」

……シルヴァーパピヨンに明らかな疲れが見える。気持ちよくハナを行く走りが、ゆっくりとスピードを落としていく。

ライム「…………!」

そこを見逃すステラライムではない、普段のペースではないがスパートを切り、一気に抜かしに行く。

パピヨン「はぁ、はぁ……!ぅ、こ、んのぉ……っ!」

今までのトレーニングで付けたスタミナを全て使って、気合でハナを維持する……が、第四コーナーを回り最終直線に向かったところで――隣にステラライムが並んだ。

ライム「やぁああああああ!!!」

パピヨン「っ!ああぁああああああ……!」

必死にシルヴァーパピヨンは走るが、もう並ばない。シルヴァーパピヨンの視界には自分だけのコースではなく、ステラライムの走る背中が。

一バ身、二バ身と、どんどん差が広がっていき……ステラライムが今、ゴールを一番に通過した。

ライム「はっ、はぁ……よし!」

パピヨン「――はぁ、はぁ……ぅ、くぁ、はっ……」

5バ身。それがステラライムとの差だった。ヘトヘトになりながら今ゴールしたシルヴァーパピヨンは、ゆっくりと止まり体全てを使って息を整えている。

『パピヨン!』

【貴方】は急いで彼女の元に駆け寄る。

パピヨン「はっ、はーっ……ぅ、おにいさん、必死な顔……情けな」

『無理して喋るな、いいから』

ライトレ「……走っただけでその体力の消耗、やはりシルヴァーパピヨンは――」

『それでも、走り切りましたよ』

ライトレ「はい?」

『彼女はしっかり1600mを走り切りました、確かに何もかも使い切った走りでしたが……彼女は走れるんです、1600を』

ライトレ「っ。貴方はシルヴァーパピヨンに怪我をさせるつもりですか!貴方のワガママで選手生命を……!」

『アドバイスありがとうございます。今回の件は……こちらとしても色々と考えさせてもらいます』

今回は並走トレーニングありがとうございました、こちらにとっていい経験になりました。

そう言って【貴方】はシルヴァーパピヨンを抱えて保健室に向かった。

ライム「ふぅー……もしかしてトレーナーさん、パピヨンさんのことを心配しているんですか?」

ライトレ「……ああ、ライム。彼女の適性を無視した走りは、脚にダメージが多すぎる。いくらケアをしても、もし何かあれば……」

ライム「確かに、パピヨンさんの走りは全力!という感じですが……けど、多分ですけどトレーナーさん」

パピヨンさんは来ると思います。ステラライムは汗を拭いながら言う。

ライトレ「……それはいったいどうしてだい?」

ライム「だってパピヨンさんって――すごい楽しそうに走るんです。横に並んだ時、凄いへとへとで今にも倒れそうな表情なんですけど、嬉しそうというか、笑顔……ではないんですけど」

――そんな彼女が、G1という大舞台を逃すとは思えないんですよね。

ライトレ「…………そういった思いを折り合いを付けるのが、トレーナーという仕事なのだけどね」

ライム「……あ、そうでした!トレーナーさん、さっきの私の走りどうでしたか!」

ライトレ「え?」

ライム「どうでしたか!」

ライトレ「……はは。ああ、とてもいい走りだったぞライム――この調子で頑張って行こう」

優しく微笑んで、軽くクシャクシャとステラライムの頭を撫でる。

ライム「ん!ありがとうございます!私、もっともっと頑張ります!」

念入りなマッサージにテーピング、なんとかマイルの距離を走り切ったパピヨンの足をケアをする。

これにももう慣れたもので、まだ契約もしていないときのあの時よりもうんと手際よくなった。

パピヨン「あー、負けちゃった……ライムめちゃ凄かった、これはアタシ――」

『それ以上はダメだよ、パピヨン』

パピヨン「……まだ何も言ってないんですけど〜」

あーあ、とパピヨンの口から不満そうな声が。それをしっかり聞きながら、ケアを続ける。

……現時点で同世代のステラライムに完膚なきまで敗北したのだ、パピヨンにも思うところがあるのだろう。

パピヨン「ねー、お兄さん。もしかして……さ、その……呆れた?」

『……呆れた?』

パピヨン「あんなに色々トレーニングしてあげたのに、マイルに向けて頑張ったのに負けるのか!……みたいな」

一瞬、何を言っているのか分からなかった。しかし、貴方は思考を切り替え、パピヨンに向かい合う。

パピヨン「だから、さ……あの。嫌いになった?だったら、お兄さんももっと強いウマ娘を担当して、さ――」

『パピヨン』

――今まで見たことのない、パピヨンの表情。ぐしゃぐしゃで、今にも崩れてしまいそうな、そんな表情。


なんか言ってあげよう。:安価下2
1 自分はそんなことしないよ。自分はシルヴァーパピヨンの担当だからね。
2 ……随分と、パピヨンらしくないね。
3 自由安価



ご飯食べるので離席。安価下2です。

『……自分はそんな、嫌ったり呆れたりしないよ』

だって自分はキミの……シルヴァーパピヨンの担当だからね。と、【貴方】は彼女を見つめながら言った。

パピヨン「……お兄さん」

『……だからそんな表情しないでくれ。自分は、キミの走りに魅了されたんだ」

確かに、今日は負けた。だから……勝とう。次またステラライムと走るとき、君のあの逃げ切りで。

パピヨン「…………ぷぷ」

――今、パピヨンの表情が変わった。いつもと同じ表情に。

パピヨン「お兄さん、今すっごい恥ずかしい感じだったよ〜?あー、ほんと、ほんと、ちょっとさ、お兄さんのくせに……」

『……』

パピヨン「…………アタシは勿論走るよ、全日本ジュニア優駿。それで、今日のリベンジしちゃお?お兄さん?」

『ああ、勿論だ。リベンジしよう、ステラライムに!』

パピヨン「…………おー!」

そして、パピヨンは。屈託のない笑顔を浮かべ、右手を真上に上げた。

パピヨン「――お兄さんってほんと、アタシのこと好きだよね〜」

『え』

保健室からトレーナールームに戻り、【貴方】はパピヨンにいきなりそんな事を言われる。

パピヨン「アタシ、ちょっとワガママだから他の人にちょっと嫌われがちなのに、お兄さんずっと付き合ってくれるし……もしかして、ロリコン?」

『やめてくれ、やめてくれ本当に』

パピヨン「……あ、それとも。このおっぱ――」

『次のレースの話をしよう!キミみたいな女の子が、そんなこと口にするのは止めた方が良いぞキミ!』

パピヨン「ぷぷ……は〜い。それで、次のレースって……」

『……一旦、ダートの別のレースに参加して、マイルで体力をしっかり残して走り切れるのかを確認したいんだ』

川崎で走れるレースがあればよかったんだが、マイルだとなくて他のレース場になってしまうが。と、【貴方】は手元の資料を見ながら言う。

ダート1600m左回り――プラタナス賞。十月に東京競バ場で開催されるレース。

『で、もし良かったらパピヨンにはこれに参加してほしいんだが……どうだ?』

パピヨン「ふーん……おっけ〜!アタシ的には、走るレースが増えるのは大歓迎だし〜?」

『分かった、じゃあレースの出走登録はしておくよ、じゃあ……プラタナス賞に向けてまずはスタミナだな』

パピヨン「またプールでしょ?ずーっとそれは嫌だけど……ま、その辺はお兄さんに任せるね〜?」

『ああ、任せてくれ』

――プラタナス賞。その結果で、今後を考えよう。

さてこの後は……:安価直下
1 もう少しイベント
2 レースまでスキップ!

ではもう少しイベントやります。今まで通りお願いします。

見たいイベント:自由安価下3まで。

すみません全然書けてませんでした、一回寝ます。ありがとうございました。

もう少しテンポよくしたほうがよろしいでしょうか。オリウマとトレーナーがイチャつくのを書きたいんですけど、レースとかどんどんやって成長とかシナリオ進めたほうがよろしいでしょうか。すみません、色々聞かせて欲しいです。

今のペースで良き
書きたいものが見たいのだ

>>190
すみませんありがとうございます。今のペースでやっていきます。
あともう少しパピヨンとトレーナーのイチャつき増やしますね……ちょっと今日距離近くなったので。

シリウス「そういやナカヤマ、お前最近随分と可愛がってる後輩がいるらしいな?」

ナカヤマ「はぁ?」

いや、パピーと呼んだ方が良いか?あんな風に必死に吠えるんだからなぁ、と。シリウスが言うと、ナカヤマは理解したように笑った。

ナカヤマ「ハハっ、もしかしてお前もあいつを気に入ったか?周りを煽ることで自分を守る、可愛らしい奴だろう?」

シリウス「ふん……随分とパフォーマンスが好きみたいだな。前のメイクデビューでもそうだったが、まるでピエロだ」

ナカヤマ「ベットする価値もない道化を演じてはいるが……周囲はダマされ続ける程バカじゃない。アイツが走り続ければ……ま、そういう健気な所に私は惹かれたんだけどな」

だからあの時賭けた、アイツを裏切るみたいにな。

シリウス「……本当に気に入ってるんだな、あの子犬を。私にとってはただのキャンキャン吠える後輩だったんだが――」

ナカヤマ「おもしれー奴だよ、シルヴァーパピヨンは。きっとお前も気に入るさ」

シリウス「ふん……それじゃあ、次のあいつのレースは期待させてもらおうか?」

パピヨン「ん〜、フラワーの尻尾はいつもつやつやで良いね〜。触り心地も最高だし、ずっとナデナデしちゃうかも」

フラワー「ふふ、ちょっとくすぐったいよパピヨンちゃん。前に教えてくれた手入れをやってるだけだよ、だからほんと、パピヨンちゃんには感謝してるんだ」

パピヨン「え〜、まあアタシの尻尾手入れは職人技だけど〜?えへ、フラワーも手先器用だし、アタシのおかげだけじゃないって、才能があるんだよ才能〜」

思わず笑ってしまう、やっぱり人の尻尾を手入れするのは楽しい。丁寧に丁寧に尻尾に櫛を入れるたびに、みるみる尻尾が綺麗になる……それに、人にありがとう。と言われるのは、嬉しい。

その人の想いに答えるのは……ああ、これ以上はないない。嘘、全然そんな事無いや、うん。

パピヨン「はい、おーわり!もうだいぶ手入れされてたからすぐ終わっちゃった」

フラワー「ん、ありがとうパピヨンちゃん!それじゃ、今度はこっちがやるね」

今度はアタシが背中をフラワーに向け、フラワーがアタシの尻尾を手入れする。お互いに尻尾の手入れをしあうのは、昔からよくやっていることだった。

……思えば、初めて尻尾の手入れをしたげたのもフラワーだったなぁ。うんうん、なつかしー。

パピヨン「んっ……やっぱフラワーの手入れは気持ちー。ほんと、お兄さんとは大違い」

フラワー「ふふ、これもパピヨンちゃんが教えてくれたことを――え、お兄さん?」

パピヨン「そうそう、お兄さんってばすっごい雑で!尻尾の触り方とか、櫛の入れ方とかも最悪!ま、アタシがやり方教えてあげて、少しはましになったけど」

フラワー「あ、へ?へ、へ〜……そ、そう、なんだ?」

……あれ?なんだかフラワーの様子がおかしい?

フラワー(し、尻尾がふりふり揺れてるんだけど……パ、パピヨンちゃん……!)

パピヨン「あーでも、男の人の手?って言うのかな、ちょっとゴツってした感じの手で触られるのは、ちょっと新鮮で――」

フラワー「パ、パピヨンちゃん!ちょっと、今から集中するから!静かにして貰っても、いいかな!?」

パピヨン「え?」

――ど、どうしたんだろういきなり。ま、でもそれだけ真剣にやってくれるって言うのは、嬉しいなぁ。

フラワー(……そ、そんなに進んでるんだ。凄い嬉しそうに話すし……あ、ぅ。顔が熱いよぉ……!)

ライム「――すみませんパピヨンさん!お隣宜しいですか!」

パピヨン「んぐっ! ちょ、ビックリした〜……ライムじゃん」

食堂でご飯を食べていると、後ろから大きな声で呼ばれる。だれだれ!?と思ったけど、ライムならまあ……いっか!

パピヨン「ぷぷ、勝手にすれば〜?アタシは別にいいけど」

ライム「ありがとうございます、それじゃあ失礼しますね!」

……ほんと、こんな真っすぐ来られるとちょっとアタシも苦手なんだよね。ああでも、あんまりにも捻くれてるのも苦手だけど、あの先輩みたいな。

パピヨン「……ライムもさ、変わってるよね〜。アタシ、ちょっと嫌われてるのに、そんな奴と絡んでると、変な噂とか流れるかもよ?」

ライム「……嫌われてるんですか?」

そう、嫌われてるの。前のメイクデビューのあれとか、あの雑誌のインタビューとか……やれ態度がどうの、レースに対しての想いがどうのみたいな?

ま、それが狙い通りではあるんだけどね。だからちょっと色んな子に目の敵にされてるんだよね〜。うんうん。

ライム「ああ、そういうことですか。ですが、私は嫌っていませんよパピヨンさんのこと!」

パピヨン「え」

ライム「確かに嫌われてる……のかもしれませんが。私は貴方をとても好いています!あの日走ったとき、とても純粋というか、走りに対して真摯と言いますか……とにかく!」

私は、貴方のことを嫌ってないです!と、言って。どでかいトンカツをむしゃりと食べた。

……はー、やっぱり苦手だ。こんな嫌いじゃない、好いていますとか、なんてことない感じで言われると、ほんと……。

パピヨン「…………っ」

……あー、ヤバイ。堪えろ、嬉しくない、全然嬉しくない、あー、だからアタシは……あー!


なんかライムに一言:安価下2
1 ……ぷぷ、別にアタシはライムのこと好きじゃないけどね。
2 ま、そんなこと言ってもレースじゃ敵だけどね〜。
3 自由安価

パピヨン「ま、そんなこと言ってもレースじゃ敵だけどね〜」

ライム「敵……?」

パピヨン「え」

流石に驚いた。いやいや敵でしょ。次のG1一緒に走るんだから、アタシとライムは敵、戦う相手でしょ?

ライム「敵、というのは少々違うと思います。私はパピヨンさんの事を……ライバルだと思っています!」

パピヨン「ライバル」

――ライバル。好敵手。そんな、真っすぐな目で、見ないでほしい。

ライム「確かに前の模擬レースでは私が勝ちましたけど……パピヨンさんはそれで諦めたりする人じゃないですよね?」

パピヨン「……」

ライム「全力で練習して、必死に頑張って……私はまた、貴方に勝ちます。パピヨンさん」

パピヨン「…………っ」

止めて、止めて、止めて。そんな目で、そんなライバルとか、期待した目で――アタシを見ないで!

ライム「……あ、え?パピヨンさん……?」

パピヨン「……ん〜なに、どうしたの?アタシの顔に、何か付いてる?」

ライム「いや、その……凄い顔をしていたので……大丈夫、ですか?」

パピヨン「大丈夫、って……ぷぷ。大丈夫大丈夫、アタシは全然……大丈夫だから」

だから、全然遠慮とかしないでね〜?アタシは、ライムの……敵なんだから。

パピヨン「じゃ、そういうことで〜。言っとくけど、全日本ジュニアではアタシが勝つから、そこんとこ宜しく〜」

ライム「あ、はい!それじゃあパピヨンさん!」

……少し駆け足でその場を離れる。

ああ、だから嫌。嬉しかった、嬉しかったけど……嬉しいほど、辛くなるから。

は〜……口の中が酸っぱい。もっと練習頑張らないと……なぁ。

プラタナス賞当日、控室。【貴方】の担当ウマ娘、シルヴァーパピヨンは……。

パピヨン「……ふ〜」

――メイクデビューの時とは打って変わって、静かだった。深く深呼吸をして、自分の心を落ち着かせていた。

『パピヨン、集中してるな』

パピヨン「えっ!?あ、いや、ちょっとお兄さん!いるならいるって言ってよ!影薄いんだから!」

『いや、ずっとここに居たんだが……』

パピヨン「はー、ほんと信じられない!お兄さん、そのうち逮捕とかされるよ!不法侵入で!」

『……』

……そこまでか。

パピヨン「あーあ、らしくないとこ見られちゃった……ま、ここでしーっかり逃げ切って勝って、お兄さんを安心させてあげるから」

お兄さんは、指を加えて見てて?と、パピヨンはにやりと笑って言う。

『ああ。勝ってこいパピヨン、今まで必死にトレーニングしてきたんだ。だからきっと――逃げ切れる』

パピヨン「ぷぷ。それじゃ、言ってくるね〜」

プラタナス賞、結果は:コンマ直下
1 余裕の逃げ切り!
2〜7 ギリギリの勝利
8 2着
9 3着
0 おおっと

パピヨン「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――!」

最後の直線、必死にハナを切るがそれにも限界が来る。

後ろから来るウマ娘が、今にも落ちそうな逃げウマを抜かそうと走る――しかし、抜かさせない。並ばせない。

必死に足を動かし、必死に腕を振ってスピードを維持する。今にも倒れそうになるが、気合で堪える。

パピヨン「はっ、はぁ、はぁ……!はっ、ぁ、ぁああああああぁああ!」

4バ身、3バ身、2バ――どんどん後ろとの距離が詰まる。だが――!

一番最初にゴール版を通過したのは、シルヴァーパピヨンだった!

――2着との差はクビ差。残り数メートルでもあれば、シルヴァーパピヨンは抜かされていたギリギリの勝利。

パピヨン「はっ――ぁ、うっ。はぁ、はぁ……!」

汗がダラダラと零れる。あまりにも限界のため、前のメイクデビューの時のような煽りはパピヨンの口から出てこない。

【貴方】は急いで地下バ道に向かい、フラフラと倒れそうな彼女を迎えに行く。

『パピヨン……!』

パピヨン「ぁ……?は、お兄さん……なに、その顔。キモ……」

――どさっ。と、パピヨンが【貴方】に抱き着く。いや、倒れ掛かる。

パピヨン「あっ……ごめっ、ちがっ…………あー、いいや。全部使ったから、もう動けないやアタシ」

悪いけど、もう少しこうさせて……匂いとか嗅がないでよ。と、パピヨンが言う。

……【貴方】は、パピヨンを抱きしめる。

パピヨン「はっ?いや、ちょっとセクハラ……!はぁ、もう。最悪……最悪最悪、ぅ〜……はぁ」

『……良い走りだった。だから、今はしっかり休んで欲しい。お疲れさま、パピヨン』

彼女は、何も言わない。

ダートの砂まみれの尻尾が、ゆらりゆらりと小さく揺れた。

それでは寝ます、ありがとうございました。

G1挑戦もあるので、そろそろ勝負服安価とかもしたいですね。ステラライムの方も一緒に。

あとそろそろ【貴方】トレーナーの脚に尻尾を絡ませて独占欲発揮するやつもやりたいですね

なんか痛い感じの方向に進んでますね。耳かきは好きなのでやりたいです。



パピヨン「それでお兄さーん、アタシの言ってたクッション買ってくれた?最近流行ってるウマ娘もダメになっちゃうクッション〜」

トレーナー室。つい先日マイル距離でも勝つことのできたシルヴァーパピヨンは――今見事にだらけていた。

パピヨン専用となったソファに寝そべり、スマホをポチポチいじり、当然のようにスナック菓子をムシャムシャ食べている。

『……この前注文したばかりだから、あと一週間後くらいだな届くまで』

パピヨン「え〜!?ちょっとお兄さんダメじゃん!アタシはもう今!クッションにダイブしたかったの!」

『しょうがないだろう、人気なんだから……というか、だ。キミ……だらけすぎじゃないか?』

パピヨン「ん、なにが〜?トレーナー室はお兄さんの部屋、お兄さんの部屋ならアタシの部屋でしょ?」

これまた見事なジャイアニズムだ。自分の担当ウマ娘ながら、ここまで堂々としているとなんだか怒る気にもなれない。

『はあ……それじゃあ耳だけこっちに向けてくれ』

先日、確かにプラタナス賞に勝利することは出来た――が、だからと言って安心という訳では決してない。

ギリギリの勝利、ギリギリの体力。そして――ステラライムの存在。

『今後もスタミナトレーニングを継続して行っていくとして、後は瞬発力』

――最後の限界までそのスピードを維持するために、最後のスタミナでどれだけのスピードを出せるかどうか。

勿論スタミナが尽きないことが一番だが……。

今後のトレーニングは:安価直下
1 沢山スタミナ付けていこう
2 早さも体力も同じくらいに
3 ……あとはパピヨンの強みを伸ばしたほうが

『どちらもバランスよく行っていこうか』

瞬発力を重視するか、スタミナを重視するか。確かにそれを決めるのは大事かもしれないが、今この時点ではどちらもやったほうが良いだろう。

そしてなにより、パピヨンの飽きが来ない。【貴方】はそう考えた。大事なことである。

『という訳なんだが――聞いていたか?パピヨン』

パピヨン「え〜?ちゃんと聞いてたって、お兄さん。そんな疑うような目されると、アタシ泣いちゃうかも?」

パピヨン「勝ちたい気持ちは、ちゃーんとあるからね〜。アタシ、敵だからねライムの」

『……キミはどちらかというとライバル、じゃないか?』

パピヨン「……お兄さん、そういうとこアタシちょっと嫌いかも」

『え』

――何はともあれ、練習を重ねていこう。大丈夫、パピヨンは勝てる……!

すみません寝てました、今日はこれだけです。おやすみなさい

こんな時間ですがイベント募集です。トレーニングでもパピヨンと他ウマ娘の交流でもトレーナーとのイチャでも、なんでも。



見たいイベント:自由安価下3まで。

パピヨンと大先輩の交流がみたい。60年代にヤシマっていうのがいるからそれとの会話とか

すみません、まだウマ娘となっていない実在する競走馬の登場はちょっと難しいです……そのため>>220は不採用とさせて貰います。

なのでカネヒキリとかクロフネとかそういう馬も出せません。事前に言っておらず申し訳ありませんでした。

オリウマ娘3人組の私服募集します。23時まで。
1人だけでも3人全員でも。いきなりですが、よろしくお願いします。

パピヨン「へ〜、ライムの私服って結構清楚な感じなんだ〜?」

ライム「清楚……そうですかね?」

シルフィー「なんだか、麦わら帽子とか似合いそう……ですよね」

――今日は休日。ショッピングモールに集まったアタシたち三人。

そう言えば全然遊んだりしてないなと思って誘ったけど、結構ノリいいじゃん?断ったらムリやり連れていく予定だったけど……。

ライム「好きなんですよね、ワンピース。その……可愛いので」

シルフィー「わっ……分かります分かります!良いですよね……!お嬢様、みたいな感じで……!」

パピヨン「えっ、何々?もしかしてそこ結構趣味合う感じ?」

お互いなんだか恥ずかしそうにしながらキラキラさせちゃって。え、なんかアタシだけハブられてるみたいでなんか嫌なんだけど〜?

パピヨン「ライムってもしかして結構乙女?ふーんへー?シルフィーはなんとなーくそんなかなって思ってたけど、意外〜」

ライム「なっ…い、いいじゃありませんか!パピヨンさんだって、そんなゴスロリチックな……」

パピヨン「アタシに一番似合うのがこういう服なんだ〜。実際凄い似合ってるでしょ?」

フリルいっぱいの派手なゴスロリじゃなくて、落ち着いた感じのゴスロリ。ぷぷ、お兄さんが見たらどんな反応するかな〜。

シルフィー「ゴスロリ、良いですよね……!私には、ちょっとハードル高いですけど……憧れます!」

パピヨン「シルフィーはだいぶ守備範囲広いよね〜」

何でも受け入れるじゃん。強いオタクじゃん。

寝ます。おやすみなさい。



トレセン学園から一番近い所にあるショッピングモール。色んなウマ娘専用の服とか靴がたっくさん売ってる、トレセン生ご用達の場所。

……ま、全然通販とかで事足りると思うけどね〜。まあ、実際に見てみたいって気持ちは分かるけど。アタシもよくブラシとかは自分で買いに行くし。

シルフィー「こ、ここの映画館ってマイナーな映画とかも放映してくれたりしておすすめですよ……!」

ライム「映画ですか!むむ、最近見ていませんね……今放映してる中でおすすめとかありますか?」

シルフィー「……! っ!!」

パピヨン「うわ、シルフィーのオタク魂が喜んじゃってる。キモ〜」

お耳がパタパタ動いちゃって。ほんと自分の好きなもの語ってる時嬉しそ〜。ふんすふんすって。

パピヨン「あれ、もしかして映画見る流れ?アタシ、今日は新しい手入れ用品見たいんだけど」

ライム「でしたら私は今日新しい調理器具が欲しくて!まあ、ですが他の二人に合わせます!」

パピヨン「別に一つの場所にしか寄れないわけじゃないけどね。ぷぷぷ、ライムって料理とかできるんだ」

ライム「はい!よく幼馴染の子に作ってあげたりしてました!」

シルフィー「へー、凄い……お、幼馴染……!?」

へー、なんかすご。ライムってヒロイン?

……ま、アタシもヒロイン寄りだけど?いや、どっちかというとプリンセス?姫?

どうしよ?:安価直下
1 シルフィーおすすめ映画を見る会
2 アタシによるアタシのためのお手入れグッズ探し
3 ライムのドキドキクッキング編
4 まずご飯食べない?

こんばんは、これだけです。



シルフィー「こういうショッピングモールのフードコートって……ちょっとワクワク、しますよね」

パピヨン「あ、分かる!何食べよっかな〜って、見て回ってる時間とかもアタシ好き〜」

ライム「確かにショッピングとかと同じで考えてる時も楽しいですよね!こういったフードコートは!」

珍しく全員の意見が一致した瞬間!ん〜、ハンバーガーうま!

パピヨン「はむはむ……」

ライム「ふふ、パピヨンさんのほっぺにケチャップ付いてますよ!私が拭いてあげましょうか?」

パピヨン「はむっ……!むぐっ、は〜!?なに、その優しい微笑み!別にアタシ一人で拭けるんだけど!」

というか拭いて欲しいとか言ってないんだけど!あ―なんかムカつく!

シルフィー「あ、でもパピヨンさんって……その、結構妹っぽい、ですよね。トレーナーさんも、お兄さんって呼んでますし……」

パピヨン「別にアタシは妹とかじゃないんですけど〜?お兄さんはお兄さんだから、お兄さんって呼んでるんですけど!」

あー!なんかニヤつかれてる!ムカつくムカつく!ちょっと子供っぽいって言いたいわけ!?ムーカーつーくー!

パピヨン「ふーんだ、ライムもシルフィーにもポテトシェアしてあげないから」

ライム「え!そ、そんな……!ポテトのシェアをしてくれないなんて!それが青春の象徴だというのに……!」

シルフィー「ライムさんって、結構ノリが良いタイプですよね?」

あーもううるさいうるさい!

何かお喋り:安価下2
1 レースの話
2 ライムの幼馴染の話
3 パピヨン「フードコート全制覇得点……?」
4 自由安価

テーオーロイヤル強すぎ。

こんな時間から、やります。



シルフィー「そ、そういえばライムさん。その、お、幼馴染って……」

お、シルフィー突っ込むじゃーん。と心の中で思いながら、アタシも後に続くように突っ込む。

顔を真っ赤にしながら聞いちゃう耳年増ちゃんめ〜。このこの。

パピヨン「あ、それアタシも気になる〜。もしかして……男の子?」

ライム「はい!私と同い年の男の子です!家が隣で、親同士の交流もあったので小さい頃から遊んでいて」

シルフィー「い、家が隣の幼馴染……ですか」

パピヨン「すご。ベタじゃん」

ライム「幼馴染ってこういうものなんじゃないですか?」

おお、なんだか強い。しかし、ほー……同い年で男の子で、ふーん。ご飯とかも作っちゃう……。

パピヨン「好きなの?その幼馴染」

シルフィー「ぱ、パピヨンさん!?」

ぷぷぷ、この手の話題に乗らないのは中学生ウマ娘の名折れ!別にそうじゃなくても普通に面白そ〜!

で、どうなの?:安価下2
1 あー、好きとかそういう関係じゃないんですよね
2 なっ、はっ!?いや、私は全然そんなんじゃ……
3 ……(顔真っ赤)
4 自由安価

ライム「…………」

うわ、あのライムが顔真っ赤にして黙っちゃった……うわ、うわ〜〜〜!

シルフィー「わっ、わぁっ……!」

パピヨン「ライム顔真っ赤じゃーん!ほらほら、その幼馴染くんのどういうところが好きなの〜?アタシ内緒にするからさ〜、ちょっとだけ教えて〜」

ライム「うっ、ぁ……ちょ、ほんと……や、止めてください!お、怒りますよ!?」

パピヨン「ぷぷぷ、ライムが怒っても全然迫力ないって〜!」

シルフィー「お、幼馴染さんとは付き合ったり……!?」

ライム「シルフィーさんも!そんな、私はまだ付き合ったりとか……」

パピヨン「まだ!?」

ライム「えっ、あ……!も、もう!本当に勘弁してください!」

うわ〜おもしろ!シルフィーは興味津々だし、ライムは顔真っ赤だし……。

……最高!

パピヨン「ほらほら〜今ここで喋っておかないと今後また聞きに来ちゃうよ〜?早く喋って楽になっちゃいなよ〜」

ライム「ぅ〜…………そ、その。凄い、優しい人で……私の作ったご飯、美味しいって食べてくれて……だから、その沢山料理の練習もして……」

パピヨン「!」

シルフィー「!!!」

――この後もっと詳しい話を訊こうと攻めたら拗ねて何も話してくれなくなっちゃった!

うーん、もっと面白そうこと訊けそうだったのに……。

シルフィー「ご、ごめんなさいライムさん……その、ちょっと調子に乗り過ぎました……」

パピヨン「そうそう、ごめんってライム〜。アタシたちもうしないから〜」

ライム「…………」

うーん、滅茶苦茶怒ってる!ま、確かにちょっとやりすぎたかな?

パピヨン「だからもう許してよ〜、ジュース奢ってあげるから。ね?」

ライム「……ふーん」

シルフィー「ど、どうしましょうパピヨンさん……!」

パピヨン「まあずっとプンプン怒ってるなんてことないと思うけど、ちょっとからかいすぎちゃったね」

ま、次行こ次〜。

どうしよ?:安価直下
1 映画見たくなってきちゃったかも
2 ちょっとアタシ料理に興味出てきたかも〜
3 今からライム用の尻尾オイルを買いに行きます
4 自由安価

パピヨン「ほらほら!ポップコーン買おうポップコーン!塩とキャラメルミックスの奴!」

ライム「ちょ、ちょっとパピヨンさん……!……わ、ポップコーンなんて数年ぶりに食べますよ私」

シルフィー「ふふ、確かにポップコーンとかはあまり食べないですよね。袋売りの物とかは、私たまに食べるんですけど……」

取り合えず映画を見よう!と、ショッピングモールの映画館に来たけど……むむむ、ポップコーン結構色々種類あるんだ。

ライム「はは……えっと、それでシルフィーさんおすすめの映画て、今やってる中だと……」

シルフィー「あ、はい!そうですね、今やってる中だと――」

どれ見ようかな:安価直下
1 スポ根もの
2 動物感動もの
3 甘々恋愛もの
4 怪奇サメ映画

――――シルフィーのおすすめで見た映画はスポ根ものだった。

ダービー優勝を夢にトレセン学園に入学したウマ娘が、トレーナーと共にトレーニングに励み、ライバルたちと戦い最後には優勝を手にする。そんな感じのお話。

内容はベタベタのベタだったけど〜……うん、面白かった!登場人物の心理描写とか、レースの表現とかすごいしっかりしてて、思わず手に汗握っちゃった!

ライム「シルフィーさん!凄い面白かったです映画!ダービー優勝に向けひた向きに頑張る主人公と、それを支えるトレーナー……!レース中の迫力とか、音楽のダイナミックさ!」

シルフィー「はい、はい!大きな画面で、左右から大きなサウンドのBGMが流れて臨場感たっぷりなのを楽しめるのも、映画館で映画を見るメリット……ですよね」

ライム「いやぁー……良かったです本当に。パピヨンさんはどうでしたか!」

パピヨン「うん、アタシも面白かった〜。久しぶりに映画見たけど、やっぱ良いね〜」

ライム「ですよね!いやぁ、私手に汗握っちゃって……なんなら今ちょっと走りたくなってきました!」

シルフィー「えっ!?そ、そんなに熱中してくれたんですか……!」

パピヨン「えー……そこ目を輝かせて喜ぶポイント?」

なんか二人ともズレてるんだよねー。まあ、アタシが言えたことじゃないかもしれないけど、そんな走りたくなったとか……ねぇ?

走るのは好きだけど、それはそれじゃない?

ライム「――パピヨンさん!」

パピヨン「へっ!?あ、アタシ!?」

ライム「次のレースでは、私たちも……これくらい白熱のレースをしましょうね!」

あー……はいはい。そういうやつね。いやぁ、ビックリしちゃったじゃん。

パピヨン「……ん。アタシの気持ちのいい逃げで全員ビックリさせちゃうね〜?」

ライム「その逃げを私が後ろから抜かします!気持ちよく!」

シルフィー「ふふ、こういう流れもスポ根みたいですよね……」

――その後。色々と買い物やなんなりをして、トレセン学園に戻った。

ライムがウキウキで夜のコースに向かって行ったけど……全く、ほんと……こういうとこなんだろうね。

…………アタシも、ライムとは別の場所で少しだけ走った。ほんの気まぐれに、ほんの少しだけ。

『キミって憧れのウマ娘とかいるのか?』

パピヨン「え、なにお兄さんそんな事訊いて……プライバシーの侵害だよ?」

『これだけでか……』

キモ〜、みたいな顔で見られている。

『キミは走るのが好きだろう?なら、こういう走りをしてみたい!って憧れるウマ娘がいても良いと思うんだが……』

パピヨン「もしかしてアタシとコミュニケーション取ろうとしてる?んも〜、お兄さん女性慣れしてなさ過ぎ〜!そんな話題じゃ、女の子は喜ばないよ〜?」

ドン引きな顔から、小ばかにしたような顔に。表情がコロコロ変わるのは彼女らしいが……隙を見せただけでこうなるか。

パピヨン「はぁ、憧れのウマ娘、憧れねぇ……うーん、そうだなぁ」

憧れのウマ娘とは――:安価直下
1 ……まあ、いないわけじゃないけど。
2 いない!憧れの走りはアタシの走り!

パピヨン「……まあ、いないわけじゃないけど」

いないわけじゃない、自分から訊いておいてあれだが少し意外だった。

パピヨンにも憧れのウマ娘がいたのか……これは、今後の為にも訊いておかないといけない。

『誰なんだ、それは』

シルヴァーパピヨンのあこがれのウマ娘:安価下3まで
ウマ娘とその理由もお願いします

それじゃあ寝ます、残った安価は下でお願いします。

お疲れさまでした。

ステラライムのトレーナーが結婚してなかったら幼馴染くんの脳みそぶっ壊れてそうだなぁって思いました。

パピヨン「……ゴールドシップ先輩」

『え』

ゴールドシップ――その名前を知らない者はこのトレセン学園には存在しないだろう。

破天荒、奇人変人、トリックスター。そんな言葉が似合う奇行を繰り返し、暴れまわる――そんな彼女を憧れて……?

パピヨン「ちょっと!お兄さん絶対勘違いしてる!奇行とかに憧れてるわけじゃないって!」

アタシはあんな変人になりたいわけじゃないの!あくまで走り!走りだけ!

『あ、ああ……』

ま、まあそうだろう。【貴方】はホっと胸をなでおろす。

パピヨン「あの後ろから一気に抜いて行くのとか、見てて気持ちいいでしょ?アタシにはそういうの出来ないけど、ああいう見てて気持ちのいい走り」

……やりたいなぁ。と、こぼすパピヨン。

パピヨン「ま、アタシはそういうガラじゃないけど――」

『やりたいと思うなら、やろうパピヨン』

パピヨン「へ?」

『走りたいように走るんだろうキミは。なら……走ろう!見てて気持ちのいい逃げを!』

キミの背中を走るウマ娘全員に見せつけて、最初から最後まで先頭を往く――そんな走りを!

パピヨン「……ぷっ、あははは!なにそれ、アタシにそんなこと出来ると――」

『キミにそれが出来ると思うから言ってるんだ!パピヨン!』

パピヨン「っ」

パピヨン「…………あ、あ〜!アタシ、ちょっと用事あったから、また明日ね!明日〜!」

『えっ?あ、ああ……また明日、お疲れさま!』

――急にトレーニングルームを飛び出していったパピヨン。

……【貴方】はまたトレーニングを考えないとな、と言い。沢山の書類や本が詰まれた机に向かった。


パピヨン「……ほんと、ほんとお兄さん……さぁ……!」

パピヨン「なんで、あんな、期待して……ああ、そっか」

トレーナーだから。担当だから……アタシの走りに魅了されたから。

お兄さんは、アタシに期待してるんだ……。

パピヨン「なら、お兄さんだけには……応えないと」

パピヨン「お兄さん、お兄さん……アタシ、頑張るから……」

『ついに届いたな――勝負服』

パピヨン「そりゃぁ、アタシはそろそろG1レースで走るウマ娘になるんだし当然だよね〜」

勝負服。それはウマ娘が特別なレースに出走する際に着用する衣装。身に着けると何やら不思議なパワーが与えられるというらしいが……それはウマ娘にだけ分かるとか。

今まではゼッケンに体操服を来て出走していたが、今後G1のようなレースを走るならこの勝負服を身にまとうことになる。

『それじゃあ、早速試着してみてくれ。サイズに間違えとかあるなら直さないといけないからな』

パピヨン「は〜い。それじゃ、お兄さん?変態のロリコンじゃないなら、ちょ〜っと部屋から出て行ってもらえるかな?」

『あっ、わ、悪い!それじゃあ着替えたら言ってくれ!』

パピヨン「ぷぷぷ、ほんとお兄さんってばキモ〜い!」

――

シルヴァーパピヨンの勝負服は:23時まで募集。

シルヴァーパピヨンのの勝負服の見た目を募集します。今日はあまり出来なさそうなので23時までに来た中から選ぼうと思います。

トレセン学園の制服(ただしミニミニスカートに色調反転している)でシマシマニーソ


耳飾りデザインもしたいと思う

すみません、やっぱり更新難しそうなので今日はこれだけで終わりです。おやすみなさい。

パピヨン勝負服と一緒にステラライム勝負服の募集もしたいと思います。何かあったら送ってくれると嬉しいです。

>>261
沢山デザインしてください。耳飾り何も考えてなかったですし、右か左かも分からないので。

決めてない部分は積極的に採用していきたいです。

こんばんは、21時で締め切ろうと思います。

何かあればよろしくお願いします。

パピヨン「じゃーん。どうどう?似合ってるでしょ」

その場でクルリとターン。一回転した後、彼女は【貴方】を見てニヤリと笑う。

ダボっとしたカジュアルな感じの一枚パーカー。赤い炎の模様と、背中にはその熱で溶けかけの銀色の蝶。

ビリビリと破けたダメージソックスを履き、走りにくそうなピンヒールのブーツ。これで走れるのかと疑ってしまうが、きっと問題ないのだろう。

そして……いや、その。

『……キミ、パーカーの下は』

パピヨン「……あ〜〜〜!!!ぷっ、ぷくくくく!お兄さんへんた〜い!勝負服似合ってるぞ〜とか、そういう言葉より前に、アタシのパーカーの下が気になるんだ!」

『なっ……!』

パピヨン「いいよいいよ?お兄さんなら特別に〜……ちらり?」

『ちょ、おい、やめっ……やめなさい!ああ、悪かった!」

パーカーをたくし上げようとするパピヨンを止め、大きな声で謝る。その謝罪を聞いてなお、彼女はぷぷぷと笑っている。

パピヨン「ま、ちゃんと履いてるから大丈夫だって〜。あー、おもしろ〜。お兄さんも、そういう反応するんだ〜」

『……前々から言っているが、そういう言動は良くないと』

パピヨン「はいはい反省してま〜す。は〜……あ、サイズとかは全然大丈夫だよ?ちょっと前にぴょこぴょこジャンプとかしたけど、平気だったし」

『ん、ならいいな。それと……ああ、似合ってるぞ。その勝負服、キミらしいな』

パピヨン「……ぷぷ。ありがと、お兄さん?」

今日はこれだけです。すみません。お休みなさい。

イベント:安価直下
1 G1に向けたトレーニング
2 ニシノダスカともう一人と雑談

パピヨン「っ!やっ、ぁあああああああああ!!!」

『……』

カチリとストップウォッチのボタンを押しタイムを確認する。上がり三ハロンのタイムは前に比べると格段に速くなり、前の限界ギリギリの走りに比べるとだいぶ余裕が出てきた。

繰り返し行われたプールトレーニングと坂路トレーニング。そして瞬発力を強化するための筋トレとラダートレーニング。スタミナを切らさず最高速で駆け抜ける――それが出来れば苦労しないが、それを実現させるためにまずは基礎。

特別なトレーニングも、作戦もいらない。【貴方】はシルヴァーパピヨンの思い描く走りを見るために、ただひたすらに基礎トレをおこなった。

……そろそろ飽きて来ただろうな。

パピヨン「あー!飽きた!お兄さんちょっと――」

『ああ、一度休憩しようかパピヨン。アイシングをするからこっちにおいで』

パピヨン「……はーい」

ぶーぶーと何やら文句が聞こえてきそうだが聞こえないふり。彼女の足を軽くマッサージして、そのままアイシングを開始する。

パピヨン「は〜……ん、ねーお兄さん。アタシ、どうだった?」

『いい走りだったよ。さっきのタイムもだいぶ早くなっていたし。あの逃げならきっと――うわっ!?』

パピヨン「そうじゃないそうじゃない!違うってば!」

いきなり頭をグリグリと揉みくちゃにされ声を出す。彼女の顔を見ると分かってないな〜、と言わんばかりの表情。

パピヨン「……惚れた?さっきの走りで」

『……ああ。キミの走りから目が離せなかった。もう一度惚れ直したよ』

パピヨン「ん〜……お兄さんほんとキモ〜い。ほんと、めちゃキモい。終わってる〜!」

『んなっ……!キミが訊いてきたんだろ!?』

パピヨン「ぷぷぷ!はっずかし〜!」

……こんなやり取りも数回目。いつか分からせてやりたいと考えたこともあったが……今は彼女の走りだけを考えよう。

二戦二勝。ダートを駆ける我が担当ウマ娘が、一番にゴールを通過する走り。彼女が気持ちよく、楽しく走るために――【貴方】は力を尽くす。

『……ほら、そろそろ練習に戻ろう。パピヨン』

「あーお腹いた〜い……ぷぷ。オッケーお兄さん。頑張ってくるね〜」

――寒い冬の夜空。決戦の日は、もうすぐそこだ。



お久しぶりでこれで終わりです。次ステラライムとの勝負、G1全日本ジュニア優駿です。

勝つも負けるもコンマ次第。怪我無く走り切って欲しいです。

パピヨン「あー絶対外寒い!やだやだ勝負服で外出たくない!」

『えぇ……』

G1、全日本ジュニア優駿当日。各出走ウマ娘が控室で様々な準備をしている中。【貴方】の担当ウマ娘シルヴァーパピヨンは……騒いでいた。

パピヨン「だって今日すっごい寒いよ!?しかも夜だし!あー勝負服もっと暖かいのにすればよかったぁ!」

『そんなこと言われてもキミなぁ……出走前になれば集中で寒さとか気にならないんじゃないか?』

パピヨン「寒いものはさーむーいー!やだー!風邪とか引く!」

わーわーきゃーきゃー。と騒ぐその姿はあまりにもこれからG1の大舞台で走るウマ娘とは思えなかったが……今更だ。【貴方】は知っている、彼女は走るときは真面目だし、ふざけない。

……しかし、まあ。彼女の勝負服はチラチラ肌色が見えているし、寒いのは本当なんだろう。なら、【貴方】が出来ることは……。

『ほら、パピヨン。手を出して』

パピヨン「え〜……なに、ポッケから手出したくないんだけど〜……は〜。んも、しょうがないな――ひゃっ」

パーカーのポケットから嫌そうに手を出すパピヨン。白く綺麗でとても小さなその手を、【貴方】は自分の出てぎゅうと握りしめる。

『さっきまで暖かいペットボトルとか持っていたから、ちょっとはカイロ代わり……なんて、ならないか』

パピヨン「…………セクハラだよ普通にお兄さん?え、分かってる?」

『え』

パピヨン「やぁん!トレーナーのお兄さんに無理やり身体触られました〜!たづなさんとかクラスの先生にチクって上に報告してもらお〜!」

『わ、悪かった!悪かったから!はぁ……無理するもんじゃないな』

パピヨン「ぷぷ、でも女性経験ゼロのお兄さんにしては〜……頑張った方なんじゃない?」

パピヨン「あ、そろそろ時間。それじゃ――」

『ああ、ちょっと待ってパピヨン』

――楽しく走っておいで。キミが思うとおりに、走りたいように走れば、きっと大丈夫だから。

パピヨン「……うわ、なにそれ。アタシが楽しく走ってないって言うの?お兄さん」

『いや、そういうつもりじゃないが……その、ちょっと緊張してるんじゃないかって思ったから』

走りたいから走る。パピヨンが走りたいように走る。だから【貴方】はそれに魅了されたし、担当のトレーナーになった。

彼女の走りへの想い、その根っこ。それを忘れて走るというのは……良くないことだと思う。

『忘れないでほしいんだ、そういう気持ち。確かに緊張もするだろうけど、走るときは……キミには楽しんで欲しい』

パピヨン「はいはい、緊張とか意味わかんないけど、お兄さん」

アタシはアタシらしく、いつも通り走るだけ。沢山練習もしたし、努力もしたけど……最後はやっぱりそこだよね。

パピヨン「そして、ステラライムにリベンジ……しちゃうから。それじゃ〜ね、お兄さん?」

『ああ、行ってこい!』

――そして、彼女は行ってしまった。

どの様な結果になるかは分からない、が――きっと彼女なら。シルヴァーパピヨンなら。

……観客席に向かおう。そして見届けよう。

パピヨン「……あ」

ライム「あ!パピヨンさん!」

しまった。誰にも会うつもりなかったのに……あー、やらかした。

地下バ道でステラライムがこっちに向かってくる。

パピヨン「やっほーライム。偶然だねー……うわ、なんかすご」

勝負服を身にまとったライム。緑や黄色、城を中心としたなんだか春っぽい爽やか〜な感じの勝負服だけど……背中すご!だいぶ空いてる!

パピヨン「寒くないの?背中、すっごい空いてるけど……大胆だね?」

ライム「はい!最初はちょっと寒く感じましたけど、今はもう全然!レース前ですし、なんなら暑いくらいで!」

パピヨン「やば〜……」

うーんその感覚、ちょっと分かんないかも。アタシまだ寒いし。

ライム「……パピヨンさん。今日もアタシが勝ちますよ。G1の大舞台でも、私は貴女を差し切って……一番にゴールを通過します」

パピヨン「ふぅん……ま、出来るものならやってみれば?ま、今日のライムはずーっとアタシの後ろ姿だけを見ることになると思うけど」

ライム「ふふっ、そうこなくっちゃ――それじゃああとはレース中に走りで答え合わせを!今日は良いレースにしましょう!」

元気よくハキハキと。そして、ライムは駆け足にコースに向かって行った。

――んじゃ、アタシも行こう。

ワァアアアアアアア……!と、観客席から歓声が上がる。そうだ、そう言えばアタシG1どころか重賞も初めてだった。この歓声を訊いて思い出すなんて、なんだかなとアタシでも思う。

あーでも、お兄さんからも何回も言われてたかも。まあ、結構聞き流してたし。

――さあ、ダートに続々とウマ娘が姿を現しました。

ライム「……よし」

――5枠8番。今回のレース一番人気、ステラライム。前走では見事な末脚を発揮しましたが、G1という大舞台でもそれを発揮できるか。

パピヨン「……」

――3枠4番。二番人気シルヴァーパピヨン。逃げウマ娘としては同世代に比べ一級品。鮮やかなスタートダッシュを決め、今宵も逃げ切ることが出来るか。

あー、なんかそれっぽいこと言ってる。はー……てか二番人気なんだ、もっと低いのかなとか思った。一番人気はライム何だろうな、って確信だけはあったし。

パピヨン「あー……」

……なんだか頭がすっきりする。さっきまでだいぶ緊張してたのに、不安とかもいっぱいあったけど。こうなるとアタシもウマ娘なんだな、って感じがする。

走ることしか考えられない。走ることに集中したい。

はー、と白い息。寒い夜の風がびゅーと吹くけど、全然寒くない。むしろ火照った身体に心地いい。

ゲートに、入る。

――すっかり陽が落ちました、川崎レース場。ダート1600全日本ジュニア優駿に14人のウマ娘たちが挑みます。

――今日の主役は一番人気ステラライム。この評価を覆すことが出来るか、二番人気シルヴァーパピヨン。

――各ウマ娘、ゲートイン完了。出走準備整いました。

ふー……っ、と息を吐く。そして、構える。

アタシの今まで、全部見せて、リベンジして――そして勝つ!

――さあ、今ゲートが開きスタートいたしました!

結果は――:コンマ直下

1 逃げ切り逃げ切り!
2〜4 ギリギリの勝利!
5〜8 ギリギリの負け……
9 掲示板
0 おおっと

ちょっと時間かかりそうなのでもう一つコンマ

パピヨンのレース後様子:コンマ直下
1〜3 くやしいくやしい!
4〜6 ちょっと泣きそう
7〜0 お兄さん嫌わないで……

――シルヴァーパピヨン好スタートを切り前に進み、先頭に立ちます。

スタートダッシュに成功し、ハナを握る。アタシがこのレースのペースを作り上げる。

風を切る音と後ろから追ってくるウマ娘の足音。それしか聞こえない。うん、良い感じ。

――二番手には一バ身ほど離れて9番。次に1番、11番、そして他ウマ娘が集団に固まり、一番人気ステラライムこの位置です。

パピヨン「ふっ……ふっ……!」

最初のコーナーを外に大きく膨らまないよう気を付けながら曲がる。後ろから聞こえてくる足音は……変わらない、アタシの速さも変わっていない。

――陽の落ちた川崎レース場で、ウマ娘たちの走りが輝かしく映ります。

――向こう正面でも変わらず戦闘はシルヴァーパピヨン、その後方に二バ身ほど離れ、集団が少しずつ伸びこの位置に1番、その後ろに9番、ステラライムは足を溜めている。次に――。

逃げる、逃げる、逃げる。まだ脚は止まらない。今までだったらここで少し苦しくなっていたけど、まだ脚は動く!

お兄さんとのトレーニングのおかげ、なのかな!ああ、楽しい――!先頭を自由に走るのは、風をこの身に受けるのは気持ちが良い――!

パピヨン「はぁああああああああ!!」

そのまま第三コーナーに差し掛かる。

――さあ、第三コーナーを曲がり最終コーナー!戦闘は相も変わらずシルヴァーパピヨン、だが後方のウマ娘が次第に迫る!

パピヨン「っ!」

少し外に膨れた……!けど、これくらい……なら!

パピヨン「はっ、はぁ、はっ――!?」

この、感じ……!

ライム「――やぁああああああ!!!」

――最終直線、ここで外からステラライム!ステラライムがシルヴァーパピヨンに迫る!

――それに続くように最後方から13番!9番と続く!シルヴァーパピヨン逃げ切れるか!

パピヨン「はっ、はぁ、はぁ、はぁ……!はぁあああああ!!!」

後ろから来る足音がドンドン大きくなる。逃げる、大きく腕を振って、逃げる。最終直線で、もう体力は殆ど使い切ったけど――まだ、走れる!

逃げる、逃げろ!先頭はアタシのモノ、アタシのモノ……なの!!!

ライム「――っ!!!」

――残り200メートル!シルヴァーパピヨンとステラライムの一騎打ち!その差は半バ身!

――逃げるシルヴァーパピヨン!追うステラライム!このデッドヒート、並ぶか……並んだ!並んだ並んだ!

視界の一番端に、ライムの顔が見えた。嫌だ、いやだいやだいやだ!負けたくない、負けたくない――!

ライム「やぁああああああああ!!!!!」

パピヨン「ぁああああああああ…………っ!!!!」


……あと少し、あと少しでゴール版。なの、に――!この、脚が、もう…………っ!

――残り100――ステラライム!ステラライムかわした!先頭はステラライムだ!

アタシの視界に、ライムの背中が映る。

――――そしてステラライムが今!ゴールインッ!!!二番手にはシルヴァーパピヨン!三番手には13番――。

ライム「はぁ、はぁ、はぁ――はぁ…………!!!」

パピヨン「はぁーっ、はぁーっ…………っ!はっ、はぁ、うっ…………ぉぇ…………」

頭に酸素が巡らない、血が流れない。今にも吐いちゃいそうなくらい、気持ち悪いのに……何故だか思考は鮮明だ。

負けた、負けた。最後に後ろから差されて、負けた――あんなに頑張ったのに、あんなにやったのに……!

ワァアアアアアアア……!!!と、大きな歓声が上がる。

ライム「…………っありがとう、ありがとうございました!本当にありがとうございました!!!」

大きな声で感謝の言葉、そして観客席に向かって大きく手を振るステラライム。それでまた歓声が大きくなる。

凄いなぁ、本当に。凄いなぁ……アタシは、もうそんなことできないよ。

ライム「……パピヨンさん!」

パピヨン「はぁ……ぁ、ライム?」

ライム「へへ、今日も私の勝ち、ですね!でもパピヨンさんの走りも凄かった……!最後の最後まで、本当に勝負が分かりませんでした
……!」

パピヨン「ぷ、はは……そんな風に言わないでよ、勝者が言っても嫌味に聞こえるよ?」

ライム「そ、そんなつもりじゃないですよ!本当に、本当にいい勝負だったから――はい。やっぱり、私はパピヨンさんをライバルだと思ってます!」

アタシの手を握りしめる。

ライム「貴女がどう思っているのかは分かりませんが――だから、また走りましょう!もっともっとも―っと走って、貴女の口から、ライバルだと言わせて見せます!」

パピヨン「……!」

ライム「それでは、また!次のウイニングライブで!」

――ライバル。ライバルかぁ、前にお兄さんにも言われた、その言葉。

…………。

『――お疲れさま』

パピヨン「ねえお兄さんちょっとあれさせて」

『え?あ、あれって――うわっ!?』

控室に戻ってきたパピヨン。初めて負けたレース、何があっても良いように身構えていたが、何をされるかと思えば……いきなり、抱きしめられた。

ぎゅうと、お腹に顔を埋めて。あの時の、前のプラタナス賞の時みたいに。

パピヨン「ごめん、負けちゃった。でも、でも……お兄さんはそういうの、失望とか、しないでしょ?」

『……それは、勿論』

パピヨン「でも、そういう怖さとか全部置いといて……アタシ、悔しい。悔しい、悔しい悔しい悔しい!あんなに頑張ったのに!あんなに走ったのに!最後の最後までアタシが先頭だったのに!なのに、負けた……!」

『……』

パピヨン「またライムに負けた!負けて、なのにライバルだって言って、あんなキラキラした眼で……!アタシ、アタシ……悔しい!勝ちたい、勝ちたいよ……!」

『……』

何か一言:安価下2
1 ……その悔しさを糧にして、また頑張ろう
2 自由安価

『……その悔しさを糧にして、また頑張ろう』

頭を撫でる、【貴方】のお腹に顔を埋め悔しさを口にするパピヨンの頭を、くしゃりと撫でる。

『そうやって悔しがれるなら、まだ大丈夫。キミはまだまだ強くなれる、まだ沢山……走れるよ』

パピヨン「……アタシ。決めたお兄さん」

――ステラライム。アタシ、ステラライムのライバルになる。

『……』

パピヨン「あっちはずっとライバルだって言ってるけど。アタシがそう思えるように。ライムにふさわしいライバルになって……期待に、応えたい」

『……そっか』

『キミに、新しい理由が出来たな。あのキミが誰かのライバルになりたいだなんて……な』

パピヨン「な、なに。おかしい?」

『そんなことはないさ、立派な理由だと思う。だったら、もっと頑張らないとな』

パピヨン「…………あー!なんかムカつく!なんか理解あるトレーナーみたいなこと言って!キモ!キモ!最低!」

ガシガシと足を蹴られる。しかし、やはり手加減をされているのかあまり痛く……いた、痛い!

パピヨン「それじゃ、アタシライブあるから!それじゃあね!」

――出て行ってしまった。

自分の走りが出来ればいい。それで他はあまり考えなかった彼女が、ステラライムという相手を気にしている――。

……来年からのクラシック級。どうなるか楽しみだ。

今日はこれで終わりです。お疲れさまでした、おやすみなさい。

次はクリスマスとかお正月とか。

ステラライムがライバルしてくれてとても嬉しいです。正統派に良い子で正統派に強いので。

メイケイエールとナムラクレアに頑張ってほしいです。

サンタパピヨンはプレゼントを上げるんじゃなくてプレゼントを搾り取る方ですね。

――全日本ジュニア優駿から数週間。【貴方】は今後のレースの事を考える。

『……ステラライムのライバルになる、か』

ステラライムはマイルダートを主軸に走るウマ娘。それは今までのレースや全日本ジュニア優駿からも明らかだった。

……となると四月に行われるG3マリーンカップや、六月のユニコーンステーク辺りに出走する可能性はありそうだ。

『しかし、なぁ』

パピヨンが走りたいのならそれを止める理由はない。しかし、やはり【貴方】の頭には……短距離を走る彼女の姿が思い浮かぶ。

今でこそスタミナをつけマイルを走れるように頑張っているが、根っこの部分はスプリンター。そこで華麗に逃げ切る彼女を見たくないわけがない。

『……昇竜ステークス、天保山ステークス……まあ、ここを走るとなると』

時期の関係で彼女はステラライムと走れなくなってしまう。まあ、これは【貴方】のエゴだ。最後に決めるのはやはり彼女、シルヴァーパピヨン。

ステラライムは今後もっと強くなっていくだろう。ならこちらももっともっと強くならないといけない――トレーニングメニューの見直しや、フォームの確認なども必要だろう。

『それにしても……今日はクリスマスか』

……パピヨンはいない。きっとクリスマスだし他の子と遊んでいるんだろう。

クリスマスイベント:安価直下
1 『一応プレゼントとか用意したんだけどな……』
2 パピヨンサンタさん襲来
3 パピヨンにパーティー誘われる
4 自由安価

パピヨン「――ぷぷ、お兄さんもしかして〜……クリスマスなのに一人ぼっち〜?」

トレーナー室の扉が開かれて、そこからパピヨンが顔だけ覗かせてこっちを見ている。

『ぱ、パピヨン?』

パピヨン「寂しそ〜なお兄さんの為に〜……じゃーん!パピヨンサンタさんで〜す!」

ニヤニヤと笑うパピヨンは、そう言いながらぴょん。とトレーナー室に入ると……なんと。

『どうしたんだ、その服』

――サンタさんだった。可愛らしい赤と白を基調とした、ウマ娘サンタさんの衣装。

パピヨン「ぷぷ、お兄さんにはちょ〜っと刺激が強かったかな〜?でも、ほらほら?嬉しいでしょ〜?」

この前ショッピングモールに遊びに行ったら売ってたんだ〜。アタシに似合いそうだったから思わず買っちゃったの。と、彼女は当然のように言って。

……そしてパピヨンは【貴方】の隣にピッタリとくっ付いた。

『……キミ、こういうのは良くないよ。もっと自分を――』

パピヨン「はいはい真面目なお兄さんは偉いでちゅね〜!ぷぷぷ!ほらほら、パピヨンサンタさんに、何か欲しいものとかないんでちゅか〜?」

なんだか今日のパピヨンはいつにもまして勢いがあるな。とかなんとか思う。

【貴方】は考える。ここで欲しいものを素直に言っても良いものか。しかし、何を頑張っても揶揄われる未来は変わらないような――。

『……欲しいもの、か』

パピヨンサンタさんに――:安価直下
1 欲しいものが、ある。
2 実はこっちからもプレゼントがあるんだ。
3 ……最近ちょっと舐められすぎてないか?

パピヨン「あ、もしかして〜……いやぁん。お兄さん、アタシにちょっと欲望丸出しの――」

『……そうだ、実はキミにプレゼントがあるんだ』

パピヨン「……へ?」

机の引き出しに入れていたそれを取り出す。一応クリスマスということで、トレーナーとして大人として用意をしておいたものを。

パピヨン「いやいや!お兄さん、今回はアタシがサンタさんなんだけど〜!ぎゃくぎゃく!」

『でも……じゃあ、要らないか?』

パピヨン「要る!」

――こういうところは本当に素直だと感心する。まあ、彼女が気に入るかどうかは分からないが――。

パピヨンへのプレゼント:安価1〜3
何かプレゼントできそうなものを。

ウマ尻尾用オイル

ウマ耳ケア用品

ごめんなさい、これで終わりです。おやすみなさい。



尻尾か耳か:安価直下
1 >>300
2 >>302

パピヨン「……あ!これアタシが欲しかったやつ……!」

『え、本当か?』

クリスマス用の包装を取り、中にはウマ娘の尻尾に使うオイル。色々とパピヨンに合いそうなものを探してプレゼントしたんだが……どうやらお気に召したようだ。

『良かった、丁度キミが欲しかったもののようで。頑張って選んだかいがあったよ』

パピヨン「え、うそ!結構これ高かったと思うんだけど……え、やば!お兄さんありがとう!うわ〜……」

年早々に目を輝かせて、耳をぴょこぴょこさせ、尻尾をふりふりと我慢できなさそうに横に揺らして。

……あのパピヨンがこんなに喜んでいるのを見るのは初めてかもしれない。

パピヨン「え、じゃあお兄さんお兄さん!早速やってよ!」

『え?』

パピヨン「尻尾の手入れ!ほら!早く早く!前教えてあげた通りにやれば大丈夫だから!」

はーやーくー!ほらはーやーくー!と急かされて、【貴方】は急いで準備をする。

……自分から言い出しておいてあれだが、このサンタのコスプレをしているウマ娘はプレゼントをどうしたのだろうか?まあ、気にはならないが。

これだけです、おやすみなさい。



パピヨン「…………〜♪」

櫛を適切な角度で入れて、優しく梳く。撫でるように尻尾の先に向かって三回。

尻尾の毛の流れが綺麗になったのを確認して、【貴方】がプレゼントしたオイルを手の平に馴染ませる。そして、尻尾全体に広げていく。

……スッキリとした匂いが、ふわりと部屋に広がる。

パピヨン「あ、この匂い好き……ん〜。やっぱりお高いだけあるな〜、アタシじゃ中々手を出せないくらいのお金のはずなんだけど〜……」

『……お金は沢山貰える仕事なものでな』

トレーナーは結構高給だ。ただそれで貰ったものを使うことが出来るかどうかは別の話だが。

……使う機会のないお金を、こうして使えるのなら本望だ。

パピヨン「ふん、ふふん、ふ〜……ふ〜ん。んっ……お兄さん、そこ。そこもう少し撫でて……」

『はいはい』

尻尾の付け根の手前くらいを、指先ですりすりと撫でる。

パピヨン「ん〜……ん、まあ。お兄さんにしては、上手いかもね〜……♪」

『もっと上手になれるように精進するよ、プロ』

パピヨン「ふふん、上級者を敬う姿勢忘れないでよ〜?ぷぷぷ……」

――クリスマス。トレーナー室にトレーナーとサンタ姿のウマ娘が一人ずつ。

尻尾を梳く音とオイルの音、そして可愛らしい彼女の鼻歌だけが聞こえている……。

たずなさん見逃して



――お正月。トレーナー室にいると。

パピヨン「あ〜お兄さん、こんな時もお仕事してる〜」

『ん、ああ。パピヨン、どうしたんだいきなり』

パピヨン「――いやぁ、暇そうなお兄さんがいるんじゃないかな〜って思って?ちょっと顔見せに来ただけだよ〜」

あ、お菓子貰っていくね〜と、いつも通り変わらずお菓子を棚から取り出してソファに横になって――。

フラワー「パ、パピヨンちゃん……!」

……突然、扉からひょこりとフラワーが飛び出してきた。

『え、フラワー……?』

フラワー「あ、パピヨンちゃんのトレーナーさん!明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」

『あ、ああ……あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします……』

とても丁寧に挨拶をされたので、こちらも丁寧に返してしまう。というか、何故フラワーがここに……。

パピヨン「げ、フラワー。ちょっと待ってよ、アタシにはアタシのペースってのがあるんだって」

フラワー「それはそうかもしれないけど、早々にくつろぎ過ぎだよ……!ほら、新年の挨拶しないと……」

パピヨン「…………あけおめことよろ〜。お兄さ〜ん」

サクサク、とスナック菓子を食べながら。

フラワー「パピヨンちゃん……!」

『は、はは……』

「今後もパピヨンちゃんをよろしくお願いします!」と言い残して、フラワーはトレーナー室を去っていった。

パピヨン「フラワーってば、いつもお世話になってるトレーナーさんにはちゃんと挨拶をした方が良いよ〜って、アタシをグイグイここまで引っ張って……」

『礼儀正しい子なんだな』

パピヨン「そうそう、フラワーは礼儀正しくて真面目で良い子なんだ〜」

そういうパピヨンの表情はなんだか嬉しそうだった。フラワーと幼馴染という彼女としては、ちょっと誇らしいのかもしれない。

パピヨン「まあ、それにしてはちょ〜っと強引な気もするけどね。別にお兄さんに挨拶とかよくない?」

『それはそれで少し悲しいけどな……』

パピヨン「そう?お兄さん、そういうの気にするんだ〜?へ〜……」

あ、というか。と、パピヨンが話を変える。

パピヨン「新年の抱負、とかあるのお兄さん。アタシ別にそういうの――あ、いや、一応あるけど」

『パピヨンの新年の抱負?』

パピヨン「ステラライムに勝つ。アタシの走りで、逃げ切って――っていうのは、お兄さんならもう知ってて当然?結構話してるしね」

『……なるほどな』

なら、自分の新年の抱負は――と、【貴方】は。


【貴方】の新年の抱負:安価直下
1 自分もキミをライバルに勝てるウマ娘にするよ
2 スタミナをつけて余裕を持てる走り
3 ……必殺技だな!

『キミをライバルに勝てるウマ娘にするよ』

パピヨン「ぷぷ、何当然のこと言ってるのお兄さん。一応トレーナー、って形なんだからそれくらいの仕事して貰わないと」

一応トレーナー、ではなくちゃんとトレーナーなんだが……と言いたくなったが、グッとこらえる。

『じゃあ、そのためにも早速トレーニングをしないとな』

パピヨン「……は!?お兄さんもしかして外出ろって言ってる!?やだやだ元旦からトレーニングとか!外出たくない寒い!ストーブとかエアコンのあるここから出たくない!」

『いやいやキミなぁ……』

パピヨン「やーだー!やーだー!」

――いやいやキミもライバルに勝ちたいと言っただろう。

結局。トレーニング後に好きなお菓子とジュース、尻尾手入れを念入りにすることを条件に、トレーニングを承諾して貰った。

ライム「――はい、ありがとうございます。今後もトレーナーさんと共に研鑽を積み、頑張っていきます!」

小さなテレビで【貴方】とパピヨンは、ステラライムのインタビューを見ていた。

『……凄いな、彼女』

パピヨン「ねー、もう今の時期のダートの新星?期待の新顔?みたいな」

その番組はダートで活躍中の彼女にフォーカスしたものだった。トレーニング風景や、レースにかける思い。質疑応答などなど……。

パピヨン「てか、ライムがこれならアタシにもちょっとは取材が来てもいいんじゃないの?」

『キミが来る取材全部いつもの調子で煽ったりバカにしたりで追い返すからだろう……』

メイクデビューの時のような走り終わった後に観客をバカにする、みたいなことはあまりなくなったが。それでも彼女は変わっていない。グイグイ来るインタビュー取材には、色々と好き勝手言って門前払い。

……そのせいで最近は雑誌に記事が書かれても、なんだか問題児とか気性難とか、態度や性格云々みたいなそんな悪い記事が書かれがちだ。

『キミがそういうの気にしないというから放置はしているが、本当にいいのか?』

パピヨン「良いの良いの〜、アタシはそういうもんだから〜」

何て、言いながら欠伸。

……まあ、本当にまずそうな一定のラインを超えた記事だけはこちら側で処理はしているが。まあ……。

記者「――それで、次走についてですが」

ライム「次走については――」

次走:コンマ直下
1〜5 マリーン
6〜9 ユニコーン
0 ――短距離!?

ライム「六月に開催されるユニコーンステークスにしようと考えています」

ユニコーンステークス。パピヨンの次走にも考えていたレース、それにライムが出走する。

パピヨン「……ふーん」

『……どうする?パピヨン』

パピヨン「当然。ライムにリベンジのチャンス〜……アタシが逃すわけないでしょ?」

ライム「あ、そうだ。すみません!少しマイク、お借りしてもよろしいですか?」

突然、ライムはそう言うと記者の一人からマイクを受け取ると。

ライム「――パピヨンさん。見ていますか?」

パピヨン「んぇ?」

パピヨンの口から、情けない声が漏れる。

ライム「もし良かったら――来てください!また貴女とレースをしたいです!いつでも、受けて立ちますから!」

パピヨン「――」

思わず、口が開いてしまう。【貴方】も、パピヨンも。

テレビでの名指しをしての宣戦布告。あのライムからの……驚いた。まさかこんなことをする子だったとは。

ライム「……あ!これ、生放送じゃないんでしたね……!す、すみません!少しなんだか気持ちが昂ってしまって――」

パピヨン「…………」

『パピヨン、パピヨン?』

パピヨン「え、あ、うん!?ど、どうしたのお兄さん!?」

――まだぽかーんとしていたパピヨンを引き戻す。

『……こりゃ、ますます負けられなくなったな』

パピヨン「…………うん、負けられない。負けられないよ、本当に」

――――こちらの次走も決まった。G3ユニコーンステークス。

次は、勝つ。レースでリベンジを果たそう――。

やりますイベント。前にも書きましたが、ウマ娘化されていない競走馬の登場などはNGです。

あと時間がとても空いてしまい申し訳ないです。



見たいイベント:自由安価下3まで。

ちょっとイベント前後させます。

今日はこれだけです。おやすみなさい。



ライム「――――♪」

パピヨン「んっ?」

あんまり人のいない校舎の裏。なんとなく探索がてらそこに向かうと――なんだか聞いたことのある声。

パピヨン(……ライム?)

ライムの声じゃん。しかもなんだか嬉しそう?

……電話をしてるみたいだけど、誰だろ。そう思った瞬間、アタシはまず――盗み聞きをすることにした。

ライム「――うん、うん。次の休みは家に帰る予定だから、その時一緒に――え?なになに、ご飯?」

あー、分かった。これあれだ、幼馴染だ。物陰からチラリとライムの様子を伺うと……?うわ、凄い乙女の顔!

ライム「えー、んもー。○○くんってば、ほんと私のご飯好きだよね……うん。分かった分かった美味しいの作るよ。じゃあ今度一緒に買い物行こうね」

……というか、雰囲気全然違う。なんだか、凄い年相応って感じ。これをネタに色々からかったり――いややめておこう、また拗ねちゃう。

ライム「あ!というかちゃんと勉強してる?○○くん、あんまり自分で勉強したがらないからな〜……ふふ、うん。知ってる知ってる、私がいなくても、ちゃんと一人で勉強してるんだよね?じゃあ今度テストの結果見せてもらおうかな〜」

パピヨン(……)

え、付き合ってるでしょこれ。付き合ってないの?フードコートであんな顔真っ赤にしてたのに、やっぱちゃんと付き合ってるでしょ?

ライム「……えっ?いや、そんな良いって……ふふっ。ちょっと恥ずかしいよ……んもう、じゃあ約束ね。うん、約束約束」

約束!?何を約束した!?彼氏……じゃない幼馴染は何を言ってライムを照れさせた!?

――ああ駄目だ、なんかこっぱずかしい。戻ろ……。

ライム「ってことがあったんだけどねスカーレット!まじ、あんなの付き合ってるよほんと〜!」

ダスカ「アンタねぇ……いや、まあ。話を聞く限り、分かるけど」

食堂で二人、昼食を食べながらそんな話をする。スカーレットも分かってくれたようで嬉しい!

ライム「早く付き合っちゃえばいいのに〜って思うけど、あれかな。お互い今の関係を崩したくないから告白できない〜みたいな奴かな」

ダスカ「ちょっと止めなさいよ、そういうのあんまり――というか、アンタが言えた話?」

ライム「は?」

――アタシの話?

ダスカ「この際ハッキリ言うけど、アンタもライムさんと同じ感じよ?えっ、これで付き合ってないの?みたいな」

ライム「いや、なにそれ意味わかんないんだけど?なに、アタシと誰が付き合ってないって?」

ダスカ「トレーナーに決まってるでしょ?ねえパピヨン、あんた学園内の同年代の間だと……結構噂されてるのよ?」

――年上のトレーナー相手にもグイグイ行って、トレーナー室を私物化。入り浸り。

ダスカ「距離近いし、尻尾の手入れとかもさせてるって――それ、だいぶ凄いわよ?アタシから見ても」

ライム「…………」

結果:安価直下
1 え〜?意味わかんないんだけど〜?
2 ……?(無自覚)
3 ……!??!?!?

いつかデジたんと邂逅する日があるだろうか

パピヨン「……!??!?!?」

顔が、ぼん、と熱くなる。耳の先までぽっぽと火照って、熱くて熱くて堪らない。

え、いや。いやいやいや!?アタシと、お兄さんがそんな……いや、そんな、えっ……!?

ダスカ「うわ、顔真っ赤。もしかして……」

パピヨン「う、うっさい!うっさいバカ!いや、意味わかんないんですけど!は〜!?」

ライムと幼馴染のアレ、と同じって……そんなわけ、ないでしょ!?

まあ、確かにトレーナー室で最近よくゴロゴロするし、尻尾の手入れも……まあそこそこやって貰ってるけど!距離感とか、別に普通……そう普通なんだけど!

まったく恋愛脳!なんでもかんでもキャーキャー騒いで、ほんっと頭悪い!

パピヨン「ふーんだ!勝手にそう言ってろ!あーもうそれじゃあアタシは用事あるからこれで!」

ダスカ「……はいはーい。それじゃ気を付けて〜」

あースカーレットのバカ!バカ!バーカ!

『それで、どうしたんだよ。いきなり』

パピヨン「うっさい、黙って仕事してろ」

『……はいはい』

カタカタとタイピング音。あー本当に仕事再開しちゃった、お兄さん。

……いや、別に。普通でしょ。普通、だよね?トレーナー室で横になるくらい、別に他の子もしてるし……うん、そう。普通普通、アタシが変に意識する必要なんてない、なーい。

スカーレットがちょっと頭の中お花畑で、恋に恋しちゃってる感じのそんなあれになっちゃってるだけで……。

…………。

パピヨン「ねえ、お兄さん」

『ん?』

パピヨン「その、えっと……こうやって担当ウマ娘が、トレーナー室でダラダラしたりするのって……変、というか普通じゃなかったりする、のかな?」

『?……いや、別に変ではないと思うぞ?』

パピヨン「!!!」

――だ、だよね〜!お兄さんがそう言うなら、全然普通だよね〜!

だからアタシの距離が近いとか、付き合ってないのが信じられないとか……変じゃありませ〜ん!普通で〜す!

はー焦った!ビックリした!全然お兄さんとか好きじゃないし!あー、意味わかんないわーほんとー!

パピヨン「ぷ、ぷぷ!だよね〜?一人ぼっちでお仕事してるお兄さんにとって、アタシみたいな花は目の保養になるもんね〜?」

ずっとずっとトレーナー室でアタシを見れるなんて……お兄さんもしかして超ラッキー!?

『な、なんだなんだ?いきなり……あ、そうだ。この前コンビニでおしるこ買っておいたから、レンジで温めて食べていいぞ』

パピヨン「え、ほんと!?わ〜い!お兄さん気が利くじゃーん!」

――これがアタシとお兄さんの普通。うんうん、普通普通。

>>330
イベントとかで名前が出たらガッツリ邂逅しそうです。
デジたんならそのうちひょっこり出て来そうな気がしないでもないですけど。

これだけですけどちょっと時間空きます。日付変わるくらいになりそうです今日の更新。

パピヨン「え、他の子も一緒……?」

『ああ、知り合いのトレーナーが担当している子なんだが、今日一日だけ面倒を見て欲しいそうなんだ』

自主トレーニング用のメニューは渡したが、一応。と、お兄さんがアタシに言うけど……ふーん。

パピヨン「ま、おっけおっけ〜。ぷぷ、お兄さんってキモいからその子に嫌われなように頑張りなよ〜?」

『はは……というかキミもだよ。いつもの感じでその子に話しかけるなよ?一応同い年なんだから、仲良くしような』

パピヨン「え、なにそれ?いつもの感じって、ん?」

『……』

さーて、その子はどんな子かな〜?面白い子だと良いけど〜……。

モブ「えっと、こんな感じですか?」

『そうそう、そんな感じだ。ただもう少し手のふりを意識して、足首を――』

パピヨン「…………」

つまんない、つまんないつまんないつまんないつまんない!つまんない!!!

はー、なに!?アタシをほっといてあっちの子ばっかり構って……そっちはメニューあるんでしょ!?

……う"〜。

『……ん。どうしたんだパピヨン』

パピヨン「言われたトレーニングやったから来ちゃった〜。んで、どうどう?その子」

モブ「あ、パピヨンさん……お疲れさまです!」

『ああ、基礎もしっかりしているしフォームも綺麗だ。トレーナーの指導が丁寧なおかげだろうな……これでまだデビューしていないって言うんだから驚きだよ』

モブ「えへへ……そんなことありません!私なんてまだまだ……」

…………随分褒めるじゃん。随分嬉しそうじゃん。アタシの方が早いし走りも綺麗なんだけど。

モブ「……えっ?」

『それに見てくれ、このトモ!走り終わった後にも様子を見たが、あらためて見ても綺麗だ!』

このトモなら引き締まっていてあんな走りが出来るのも納得だ――いやぁ、芝適正だからパピヨンとは走ることはないかもしれないが。ダート適性があったらきっとライバルだったな。

……は?いや、そうじゃなくて――なに。なんでそんなトモとか見て、キモ。ほんと、キモ……!

パピヨン「え〜なにお兄さん、ほんとキモいよ?普通にセクハラだよ、ね〜?」

モブ「え、いやそんなことは……いや、あの、尻尾……」

『……う、そうかもしれないな。すまん……気を付けるよ』

どうも、私○○です。デビュー前のウマ娘、やってます。

今。トレーナーさんの知り合いのトレーナーさん……に面倒を見てもらっているんですが――。

『というか、パピヨン。キミ早くトレーニングに』

パピヨン「え、何?聞こえな〜い」

――シルヴァーパピヨンさん。同い年でもう先にデビューをしている、私からすれば先輩みたいな凄いウマ娘、なんだけど……。

…………ずっとトレーナーさんに尻尾絡ませてる!右足に、尻尾がぐりんと!

しかも全然気にしてないし……え、無意識?トレーナーさんは何も言わないの?日常茶飯事?

パピヨン「ぷぷ、○○も言った方が良いよ〜?セクハラされてる〜って、キモいもんね。脚をペタペタ、キモい目でニヤニヤ見られてさ」

モブ「あ、はは……」

パピヨンさんあなたは今尻尾でトレーナーさんの右足をすりすりしてますよ!気づいて!いや、もしかして私が悪いの!?

――嫉妬ってこと!?うわ、やっぱりパピヨンさんとトレーナーさんって実は付き合ったりして……!?きゃーすご!

『よし、それじゃあ○○ちゃんも、もう一度走ってみようか。さっきのアドバイス通りに手のふりを意識して――』

モブ「あ、はい!分かりました!」

と、いう訳でコースを何回か走ってタイムを計測して貰ったのですが――いや、その時チラチラと私はトレーナーさんの方を見たんですが……。

……パピヨンさん距離近い!すごいもう密着ですよ!うわ〜……凄いなぁ、凄いなぁ……。

――結局、今日一日は私、付きっ切りで指導して貰って。パピヨンさん、時折凄い目で私のこと見てて……凄い経験でした。はい。

パピヨン「ねえ、なんでアタシここにいるのかな?帰っていい?」

ナカヤマ「ククッ、まあいいじゃねぇか。付き合えよパピヨン……丁度人手も足りねぇんだ」

シリウス「まさかここまで来て逃げるなんて、白けた選択するんじゃねぇよな?」

いや、こっちは白けてるんだけど。なんかいきなり連れてこられて……なに?

ゴルシ「ふっ……いいぜ、出しなお前の超能力!ゴルシちゃんのゴルシプラチナでカード全部奪い去ってやるぜ!」

パピヨン「いや意味わかんないんですけど?ゴルシ先輩」

――しかもなんかゴルシ先輩いるし。ちょっと緊張するんだけど。

ナカヤマ「ルールは簡単なポーカー……しかしそれじゃつまらねぇ。賭けるのは明日の食券――」

ゴルシ「なっ……ナカヤマテメェ!奪い合おうってのか、アタシたちの胃袋を!」

ナカヤマ「当然だろう?負けたら明日の昼飯は無し。その分勝者が胃袋を満たす、当然の摂理だ――」

シリウス「ハハッ!良いぜ、かかってきな!あいにく腹は減っていないが、アンタらが空腹で顔を歪ませる様は拝んでおきたいな!」

パピヨン「なに?なんなのそのノリ。アタシ付いていけないんだけど」

――難しい。なんだか難しいよコレ。なんかゴルシ先輩の後ろがザワザワしてるし。

……え、というかアタシも賭けるの!?え〜……ええいままよ!アタシは強いから負けない!。

結果は:コンマ直下
1〜25 ゴルシさまの勝利
26〜50 ナカヤマの勝利
51〜75 シリウスの勝利
76〜00 パピヨンの勝利

すみません今日はこれで終わりです。おやすみなさい。

コンマはこの下でお願いします。

ダートでオリウマもう一人増やそうか悩みましたが、ライムとのライバルバチバチなってるときにもう一人追加はどうでしょうか。

募集するだけして採用出来ないのは、良くないですよね。

全然レースには出せてあげそうな気がしてきたのでもう一人ダートでキャラ募集したいですね。取り合えずパピヨンやってるときはこれが最後の募集のつもりで。

パピヨンと同じ適性の、短距離マイル走れそうな子を。今日の夜募集したいと思うので、よろしくお願いします。

こんばんは、この時間ですが新キャラ募集したいと思います。とりあえずこれで暫くは募集はありません。

前回と同じように送ってくださると嬉しいです。

同期ダートウマ:安価下1〜3

よろしくお願いします。

ゴルシ「どうらっしゃーい!これがゴルシ様の実力じゃーい!」

シリウス「ちっ……」

ナカヤマ「くっ……ほら持っていきな。勝者の特権だ」

パピヨン「えっえっえっ」

――な、なんだか分からないうちに負けてる!?え、アタシ明日のご飯ヌキ!?

パピヨン「――もっかい!」

ゴルシ「おいおいパピヨン……往生際が悪いな!もう一度勝負がしたいってんなら賭けてもらうぜ!お前の魂……そのデッキを!」

パピヨン「え、これトランプ各自で持ち合うの!?」

ナカヤマ「ほら、さっさと渡しなパピヨン。お前の食券――もしくはおやつを!」

シリウス「というかパピー……お前表情に出やすすぎだろ」

パピヨン「え」

嘘だぁ!アタシ多分ポーカーフェイスだし!

ナカヤマ「はっ、まだお前には勝負は早かったかもな」

ゴルシ「んま、アタシとしては中々楽しめる勝負だったけどな〜?パピヨーン、お前――化けるぜ」

ま、生地で終わるか麺に進化するかはお前次第だがな――。

パピヨン「……意味わかんないんですけど!」

――とりあえず食券買ってなかったから、お兄さんの買い溜めしてくれたお菓子からいくつかを持って行ってそれでオッケーになった!ごめんねお兄さん?テヘペロ。

パピヨン「あ"〜疲れた!お兄さん休憩!」

『はいはい、それじゃ一回脚を確認するよ』

冬のダートコース場。先日の雪の影響で稍重の状態になったコースは、練習にうってつけだった。

……パピヨンが頬を膨らましながら、脚を【貴方】に見せる。スプリンターらしい引き締まった太腿に、がっちりとした筋肉。同世代と比べても、この下半身の完成っぷりは飛びぬけているだろう。

『……うん、問題はなさそうだな。何か違和感とかはなかったか?キミはあまり馬場状態が悪い時走らないからなぁ』

パピヨン「ん、別に違和感とかはないけど……ちょっと走りにくいかも。アタシこれやなんだけど」

『はは、まあ馬場状態が良いことに越したことはないが、こういう馬場も練習しておかないと』

パピヨン「は〜、雨とか降る日はレース中止にすればいいのに。足元ぐちゃぐちゃでドロドロ、尻尾も泥んこで本当に嫌なんだけど!お兄さんどうにかしてよ!」

『……てるてる坊主とか作るよ』

とかそんなことを喋っていると――。

「――――はっ、はぁああああ……!」

――ダートを走る一人のウマ娘の声が聞こえる。

パピヨン「むっ……」

『あの子は……』

長く伸びたサイドの黒い髪がなびく。赤い耳のカバーが、まるで怪しい獣の瞳のように揺れ動き――そして一気にコースを駆けていく。

――見事な瞬発力。この馬場状態でもこの速さを引き出せるとは、凄いパワーの持ち主だと。【貴方】はその走りを見て思う。

パピヨン「――お兄さん、おーにーいーさーん-!」

『へっ?あ、ああ。どうした、パピヨン』

パピヨン「……なに、そんなにあの子の走りが良いの?ふーん……」

『……ああ、良いトモをしてる。もしかしたら、パピヨンのトレーニングに活かせるかもしれない』

その時、ふと閃いた!なんて言うつもりじゃないが、不良馬場でも走るその姿、もしパピヨンもあのように走れたら――。

『ん、あれ。パピヨン?』

パピヨン「ねーちょっとそこの!うん、そこの走ってる黒い子!ちょっといいー?あ、勝手にそっち行くから!」

「うぇっ!?ふぇ、あ、その――!?」

マンティ「は、はじ、初めまして!ぶ、ブラックマンティスって、言います……よ、よろしくお願いしますぅ……」

連れて来てしまった。パピヨンのこういう時の行動力は、見習わないといけないなぁ。

……それにしても、ブラックマンティス、か。

『申し訳ないが、その……随分とレースの時とは雰囲気が違うんだな?』

【貴方】が記憶している限り、ブラックマンティスのこんな風におどおどした雰囲気ではなく、どちらかというとオラオラ!とした感じの雰囲気だったはずだ。しかし……。

マンティ「あ、あぅうぅ……そのぉ、わ、私。緊張するとちょっと、吹っ切れちゃうと言いますか……ひぅ」

パピヨン「二重人格的な?へー、おもしろ!ねえねえ今やってみてよ!オラオラー?って言うの!」

マンティ「ふぇ、ふぇええ……」

『こら、止めないかパピヨン。その、マンティスも済まない、いきなりこんな風に呼び出してしまって……』

マンティ「い、いえ。わ、私は、全然構わないんですけど……」

パピヨン「呼び出したのアタシだしね〜。よし、じゃあちょっと走ろうマンティス!アタシと併走併走!模擬レース!」

マンティ「ふぇ、ふぇえぇえ!?」

――――パピヨンのその一声で、ブラックマンティスとのレースが始まった。

ダート1200、馬場状態稍重――パピヨンにとっては、久しぶりの得意距離。

『……』

ブラックマンティスの事は以前から知っていた。デビューから3戦2勝、デビュー戦を一度負けてしまうが、そこからは連勝中――勢いに乗っている、ともいえるかもしれない。

マンティ「う、うぅ、うぅううう……」

パピヨン「ふふん、ふん、ふーん。気持ちよく逃げ切っちゃうぞ〜!ぷぷぷ」

――今後、他のレースで戦うことになるかもしれない。今回のレースは突発の出来事だが、想像以上の収穫があるかもしれない。

マンティ「――くくっ。おい、お前。俺様から逃げ切る、だと?随分と生意気な口利くじゃねぇか!」

パピヨン「……は!?え、なに!?こわ!?」

模擬レース:結果は――:コンマ直下
1 楽勝勝ち〜!
2〜5 勝ち〜
6〜9 負け……
0 格の違い――。

ナミュールもダノンベルーガも惜しかった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ブラックマンティスの脚質決めます。お好きなものをどうぞ。

脚質:安価直下

1 逃げ
2 先行
3 差し
4 追込み

それじゃあ今日はこれで終わりです、おやすみなさい。

短距離マイルで最後方から一気で駆け抜けるブラックマンティス。凄いカッコいいし魅了されそうで良いなって思いました。

普段とのギャップもまる。


パピヨンは道悪もいける感じね

マンティちゃんは(マンティちゃんも)個別シナリオで色々曇りありそうな適正……良い!

雑に曇らせたいからエイプリルフールで担当契約解除ドッキリして欲しい
メスガキをギャン泣きさせたい

>>359
ライム以外曇りやす過ぎる……マンティもじっとりしますね。
>>360
やるとしたらもう少しメスガキと仲良くなってからですね。

やります。ちょっとだけ。



パピヨン「――――!」

マンティ「はっ、はっ――」

最終コーナー。パピヨンがいつもの逃げをかましているのに対して、マンティスはまだ後ろにいた。

これが現実のレースだったら最後方、しんがりの位置。中距離や長距離のレースならまだしも、短距離のレースでこの差をひっくり返すのは難しいだろう。

――最終コーナーを曲がり、最終直線。このまま悠々とパピヨンが逃げ切れる――なんて、そんな考えは一瞬で吹き飛ぶ。

マンティ「は――」

ビデオで見ただけでは分からない。空気が一瞬にして変わるのを【貴方】は感じた。

パピヨン「――っ!?」

そしてそれ以上にパピヨンは空気が変わったことに反応し。肌がぞわりと震える。まるで――ハンターに狙われる獲物になったような、そんな気分。

マンティ「は、は――はははははは!おら、おらおらおらぁ!!!俺様から、逃げられると思ってんじゃねぇええええ!!!」

――――ドン。と、大地が震える。爆発をしたかのような圧倒的な末脚。

パピヨン「っ!ぁああああああああああ!!!」

マンティ「らぁあああああああああああ!!!」

逃げるパピヨン。詰めるマンティス。グングンと差を縮め、最初にゴールしたのは――。

パピヨン「はーっ……!はっ、はぁ、はぁ……!」

――パピヨンだった。差は2バ身。

マンティ「ふーっ……ふーっ……!っだぁ、こんのぉ……!」

真冬、二人のウマ娘から湯気が上がる。今回勝ったのはパピヨンだったが――あの気迫、もし何か一つでもズレていたら、勝ったのはマンティスだっただろう。

パピヨン「あぁああー……ちょっと、マンティ!何あの走り!なんか、ぞわぞわした!」

マンティ「は、はは!これが俺様の走りだ!調子に乗ってる奴ら、全員ぶっ差して――全員ぶった斬ってやる!これが俺様のレース!は、ははは!」

――睨み合う。今後お互いにレースを続けていたら、確実に戦うことになる。それをはっきりと意識させる模擬レース。

マンティ「今回はお前の勝ちにしておいてやるよパピヨン!けど、もし調子に乗って逃げてたら――次は狩る!そして斬る!」

パピヨン「ぷ、ぷぷぷ!あー、ねえそれ狙ってやってんの?キャラ作りすぎて笑っちゃうんだけど〜……ま、でも。うん、斬れるもんなら斬って見なよ」

どんな刃もアタシには届かないから――と、パピヨンは泥だらけになりながら、にやりと笑って言った。

マンティ「――言ってろ!」

そして、マンティスは走り去っていった。

パピヨン「…………あぁあああ〜!!!お兄さん、なにあれ!めっちゃ疲れたんですけど!」

『はは、お疲れさま』

パピヨン「これも全部お兄さんがキモいからなんだけど!脚フェチの変態ロリコン!鼻の下伸ばして生徒の脚ジロジロ見る変態!」

『あのなぁ……』

汗だくのパピヨンにタオルを渡し、熱を帯びた脚に冷却スプレーをかける。

――ブラックマンティス。次出遭う時、パピヨンは逃げ切れるか、それとも――。

マンティ「あ、あのあのすみませぇん!先日は、その、お騒がせしました……!」

パピヨン「んま!お兄さんお菓子んま!ありがとーマンティ!んま〜!」

――次マンティスとパピヨンが出会ったのは。マンティがだいぶお高そうな菓子折りを持ってトレーナー室にやってきたときだった。

感覚短いですけどもう一度イベント募集です。

今回は2つです。

それじゃあおやすみなさい。お疲れさまでした。



見たいイベント:自由安価2まで。

シルフィー「……え、えっとこの番号で合って、ますよね?」

――申し訳ないんだけどこの書類を届けて来てくれないかな?そんなお願いを引き受けたのが今日、休日のお昼。私は今トレーナーさんの寮室の前に居ます。

……あ。は、初めまして!グリーンシルフィーと言います。最近はメイクデビューに向けてのトレーニングをトレーナーさんと行っている、そんな普通のウマ娘、です。

そしてここはトレセン内に存在するトレーナーさんの為の遼。普通は生徒のウマ娘は立ち入り禁止らしい……のですけど、それが真っ当に守られているところを見たことがありません。

……ピーンポン。と、インターホンを鳴らします。すると中からどたどたと音が。

「はいはーい!今出ます今出まーす!」

シルフィー「あ、トレーナーさん!こんにち――」

シルトレ「んぁれ。通販じゃない……ぁれれ?」

――その衝撃に、私は一瞬脳がクラリとしました。

いつものスーツからは考えられない、だぼだぼの緑色のジャージ、胸元にはどこかの学校の校章が。

いつものぴっちりとした上方からは考えられない、雑に髪の毛を後ろに纏めたポニーテール。

――顔が真っ赤、お酒臭い。

シルトレ「……シルフィーじゃーん。どしたの?」

シルフィー「え、あ、え?いや、えっと、その……?」

言葉が上手く出ません。あのトレーナーさんが、あのトレーナーさんがこんな……こんな姿を。

シルトレ「ぁ、もしかしてその書類?んー……ひっく!あー、忘れてたやつかぁ、別に期限はまだ先なんだから、後で出も良かったのに……んー、でもありがとシルフィー!」

シルフィー「へっ!?あ、わ、私はお願いされただけでひゃぅ!?」

――と、突然ハグされましたぁ!?と、トレーナーさん、顔、ちかっ……!?

シルトレ「ぎゅーしたげる。ん〜……よーし、じゃあトレーナーが何かご馳走してあげる!さぁさぁ入って入って!」

シルフィー「い、いや私は――あ、トレーナーさん引っ張らないでくださいぃ……!」

これだけです。おやすみなさい。




シルフィー「うっ……」

それはそれは、とてもすごい部屋でした。

飲み干してある一升瓶、一升瓶、缶ビールの空き缶、空き缶、しぼんだパック酒……あと適度に散らばった着替えやらなんやら。

――以前、パピヨンさんと話したことが、まさか本当になるなんて……!

シルトレ「あー、散らかしててごめんねー。うー……もっと片しておけばよかった」

シルフィー「トレーナーさん……」

だらしのないトレーナー、飲兵衛なトレーナー。普段との天変地異みたいなギャップに、私は――。


どうなっちゃう:安価直下
1 シルフィー「こ、こんなにお酒飲んだら駄目ですよ!」
2 シルフィー「流石にだらしなすぎます!片づけます!」
3 シルフィー「トレーナーさん……」ゾクゾク

しっとりじっとりした湿度高めのシルフィーちゃんもあります。



シルフィー「こ、こんなにお酒飲んだら駄目ですよ!」

ばっ!と、私はトレーナーさんが今にも飲もうとしているお酒を取り上げます!お酒は飲んだことありませんが、体に悪いことは知っています!それに、こんな量……!

わ、私が……私がトレーナーさんの体を守ります……!

シルトレ「えーっ!?シルフィーそんな意地悪しないでよ〜!うー、酷いなぁ……」

シルフィー「そ、そんな顔しても駄目――あっ!?どこからお酒を……!」

どこからか取り出したパック酒をもう一度取り上げます!……ど、どれだけのお酒を抱えているんですか!?

シルトレ「あ"〜……私のお酒ぇ……」

顔を真っ赤にして悲しそうにわーんと、私に縋りつくトレーナーさん……ちょ、ちょっと。なんだか、ビックリしちゃいます……。

シルフィー「い、いいですかトレーナーさん!お酒を飲む量は適量!適量です!こんな沢山飲んだら死んじゃいますよ!」

シルトレ「私のお金で買ったお酒なんだし、別にいいじゃーん。シルフィーは分かってないなぁ」

シルフィー「わ、分かりたくないですよぉ!」

――結局。今日はうやむやにされて終わってしまいました……トレーナーさん、何処からあんなにお酒を……。

次の日。

シルトレ「それじゃあトレーニングを始めましょう、シルフィー」

シルフィー「…………」

シルトレ「……シルフィー?」

シルフィー「ぇ!?あ、は、ひゃぁい!?」

――まるで別人。昨日のトレーナーさんと、今日のトレーナーさんは、本当に別人みたいで……。

……もしかして、二重人格?なんですか?

シルフィー「……あ、あの。トレーナーさん……」

シルトレ「?どうかした?」

シルフィー「あの、お酒はもう飲まないで下さい……ね?というか、飲まないですよね?」

一応の確認。もしかしたら、昨日のトレーナーさんは夢で。本当のトレーナーさんは、お酒とかそう言うのは一切口にしない――。

シルトレ「ふふっ、安心してシルフィー……今日は飲まないから」

シルフィー「そ、そうですよね!ですよね!わ、私、なんか変な事訊いちゃって――あれ?」

……今日は?

休日。【貴方】はパピヨンと一緒に出かけることになった。

最近のパピヨンはトレーニング続きで、しっかりとした休養を取れていなかった……今日はじっくりと体を休めて欲しかったが――。

『自分と一緒でいいのか?』

パピヨン「え、なにが?」

キョトン、とした顔のパピヨン。いわゆるゴスロリ?のファッションを身にまとって、なんだかお人形さんみたいだなぁ……と、今日初めて見たとき思ったが、口には出さなかった。

『いやほら、自分みたいなのが一緒だと、休まらないんじゃないか?もっと伸び伸びしたいだろ』

パピヨン「あー、なるほどね〜。お兄さんとアタシが休日に私服でこんな出かけてたら〜……ぷぷ、お兄さん変態だし捕まっちゃうかもね〜」

そりゃ心配もするか〜。と、いつもの調子で笑われる。

『あのなぁ……いや、まあ。可能性はあるからな……それ』

パピヨン「え〜!?ウケる〜!ぷぷぷ!職質されたらこっそり写真で撮ってあげるねお兄さん?ウマッターで拡散しちゃうから」

『勘弁してくれ……』

……いや、流石にそこまではパピヨンでもしない。これでも担当とそのトレーナーとして付き合ってた仲だ……。

……いや、いや助けに入ってくれるよな……?。

最近は一日一安価で申し訳ないです。今日はこれで。

おやすみなさい。



『ゲームセンターか……』

そこはゲームセンターだった。しかし意外だ、パピヨンもこういう場所で遊ぶのか……いや、そりゃ普通の女の子だし、同級生と遊んだりもするか。

パピヨン「そうそう。行ってみたかったんだーゲーセン。最近あんま行ってなかったんだけどね」

『自分も最後に来たのは学生時代以来だな』

昔はそこそこ遊んでいたつもりだが、トレーナー資格取得の勉強を始めてからは行かなくなったからなぁ……。

【貴方】は思い出す、学生時代にゲーセンに友達と入り浸った光景を……。

パピヨン「うわ、なんか感傷に浸ってる。キモ……」

『……ほら、何をするんだゲーセンで。今日はキミの休日だ、お金くらい出すよ』

パピヨン「え、ほんと!?うわ〜、お兄さんなんかお金で気を引こうとするおじさんみた〜い!ぷぷ、まあでもお金は貰っちゃお〜」

……そういえば、パピヨンはこのゲームセンターで何をする予定なのだろうか。

結構大きめのゲームセンター。人もウマ娘も楽しそうに遊んでいるが、パピヨンは……。

パピヨンと――:安価直下
1 クレーンゲーム
2 格闘ゲーム
3 プリクラ
4 その他(自由安価)

『クレーンゲーム?』

パピヨン「そうそう。たまにやると結構楽しいんだよね〜」

実はアタシ、クレーンゲーム結構得意なんだよ?と、自慢げな顔で言うパピヨン。

『自分はあんまりクレーンゲームやった事無いんだよな。へぇ、ぬいぐるみとかは分かるけど、お菓子とかもあるもんなんだな』

パピヨン「10円お菓子の詰め合わせみたいなのとか、夢あるよね〜。もし取れたらお兄さんの所に補充しておかないと」

……普通にクラスメイトとシェアとかすればいいんじゃないかと思ったが。本人は何だか楽しそうなので、まあそれで良いか。

【貴方】もお菓子は好きだ。パピヨン用にお菓子をたくさん買い込んでいるから、少しずつ間食するのも増えていっている。

『……お』

色々なクレーンゲームを見ていると、それが目に付いた。

――ぱかプチ。ウマ娘グッズの中でも特に人気の高い、二頭身サイズのぬいぐるみ。基本的にG1を勝利したウマ娘や、それ以外に輝かしい成績や成果を残したウマ娘が販売されることが多いが……。

(……まあ、いないよな)

当然だ。ぱかプチ化の話なんて一切来ていないし、もし仮に販売されていたらそれはそれで問題だ。

パピヨン「あ、お兄さんもしかして……ぬいぐるみ欲しいの?」

『え』

パピヨン「ぱかプチじゃんしかも〜。え、なに、他のウマ娘のぬいぐるみを取って……なにするつもり〜?キモーい!」

『いや、別にそんなつもりはないけど……よし』

パピヨン「ま、確かにお兄さんじゃ一つも取れなさそうだよね〜。何百円でも無駄にして、結局成果ゼロ。似合う似合う〜!」

『……む』

そう言われると……なんだか。やってやりたくなるな。

……財布から百円玉を取り出す。

パピヨン「おっ!」

『見てろよパピヨン。キミの部屋に沢山お友達を増やしてやるからな……!』

――いざ尋常に勝負!

一日一安価コンマ。もうしわけないです。

おやすみなさい。




結果は:コンマ直下
1〜5 ダメでした……
6〜8 一個とれた!
9 二個も!
0 五個も!?

ぱかプチ発売はきっとG1ウマ娘である必要はないけどクラシック級以上でオープンウマ娘以上かつ人気ウマ娘じゃないといけない

だからキンイロリョテイさんはアカン子の頃からぱかプチ出てるけどオグリやルドルフと同期の1度だけ何とかG3G2勝てたくらいの娘のぱかプチは無い

あとウララのぱかプチは公式からは出てないのに公式グッズ同然の扱いで出回ってる

パピヨンちゃんのパンツの色教えてください

ワンコイン、チャレンジできる回数は三回。そしてその結果――。

『おおお取れた!』

一つ、取れた。少し緩いアームだったが、ビギナーズラックというのだろうか。

……思わず声が出てしまった。はっ、となってパピヨンの方を振り向く。

パピヨン「…………ぷっ。よかったね、おにーさん?」

『くっ……い、いいだろう別に。ほら、キミにあげるよパピヨン』

なんだか、顔がちょっと熱くなる。ニヤニヤ笑う彼女にゲームで取ったぱかプチを手渡す。

パピヨン「顔真っ赤じゃーんお兄さん。あ〜、ほんとおもしろ〜……でも、うーん」

受け取ったぱかプチの顔を、何回かふにふに。そして、パピヨンはほんの少しだけ考えて――受け取ったそれを【貴方】に戻した。

『え』

パピヨン「このぬいぐるみは、お兄さんの部屋に置くことにしまーす!ほらほら、お兄さんが持って持って〜」

お兄さんの部屋にあったら、お兄さんも触れるし、アタシも触れるでしょ?なんて提案、パピヨンにしては珍しいと感じる。

パピヨン「お兄さんさっきからぬいぐるみのパンツ気になってそうだし〜……アタシがいないときに、こーっそり確認してね?」

『キミなぁ。いや、本当にキミなぁ……」

パピヨン「あ、もしかして……ぬいぐるみじゃなくて、アタシのおパンツの方が気になっちゃったりして――ひゃぁん!?」

流石に止めておいた方が良いと思ったので、少し手加減をして額にデコピン。

『ほら、他のも見に行こう。まだまだありそうだぞ』

パピヨン「うわーん虐待虐待!担当トレーナーに暴力されました〜!」

『あ!こら大きな声で言わない!ああ、もう分かったから!あとで何か奢ってあげるから、な!?』

パピヨン「それそれ〜!お兄さんはそれでいいの〜!ほんとお兄さんって弱すぎ〜!」

――ゲーセンのゲーム代。お昼代、その後のショッピング代。

…………暫くは、節約しないといけないな、と【貴方】は空っぽになった財布を見て思う。

すみませんこれだけです。次、G3ユニコーンステークスでリベンジステラライムやります。

おやすみなさい。

>>385-386
人気がしこたまあれば重賞勝っていなくてもぱかプチ発売されたりしそうですよね。分かります。

>>387
キミが思う色がきっとそうだよ!

流れるように殴られてるファル子かわいそ……

パピヨンは攻め攻めだけど攻められるとくっそ弱いと思ってます。弱い。

すみません、ユニコーンステークス延期します。やりたいことあったので。



パピヨン「バレンタイン?」

――二月。なんだかクラスが浮足立っているのが気になったからスカーレットに訊く。

ダスカ「そ、アンタもトレーナーにあげたりしないの?明後日にはバレンタインだけど」

パピヨン「え〜?誰が誰にチョコあげるって〜?まあ、お兄さん女の子からチョコとかもらった事無さそうだし〜?」

バレンタインとかにはあんま興味ないけど、お兄さんをからかう材料に出来るのは面白いかも?

ダスカ「……そうかしら?アタシ、アンタの「お兄さん」は結構貰ったりしてそうだと思うけど?」

パピヨン「は?」

――目の前のおせっかい同級生は何を言って?ははーん、お兄さん知ったかぶりだな?

ダスカ「アタシが言うのもあれだけど――トレーナーってモテるのよ?結婚したい職業ランキングとかでも結構上位だし……」

結構モテそうな顔してると思うわよ?アンタのお兄さん。ちょっと老け顔な気がしなくもないけど。

パピヨン「…………」

ウオッカ「よう!何の話してんだよ、パピヨンにスカーレット!」

パピヨン「……別に何の話もしてないけど〜?」

空いていた隣の席に勢いよく座るのはウオッカ。スカーレットの同室で、分かりやすいくらいのライバル。

……あんまり話したことはないけど、結構良い子。うん、雰囲気というかなんというか。

ダスカ「バレンタインの話よ、バレンタイン。ウオッカもトレーナーとか出来たらバレンタインチョコ渡すでしょ?」

ウオッカ「なっ……!?な、ななな!?おま、スカーレット!俺はそんな……!」

ダスカ「……まあ、トレーナーがまだいないアタシらが考えても仕方ないけど」

パピヨン「…………」

チョコ。チョコ?え、お兄さんモテるの?いや、いやいやそんなそんなバカでしょ?だってお兄さんとかキモいし変態だし――顔とか、いや。顔は……いやいやいや。

ウオッカ「うぅ……ま、まあ感謝の気持ちで、とかで渡すことはあるかもな!パピヨンも渡したいなら渡せばいいんじゃねーか?」

パピヨン「感謝……」

…………感謝の気持ち。

ま、それなら、別に変じゃないかも?仮にもトレーナー、なんだし。そう、そうだよね。チョコとか、別に普通……。

パピヨン「ま、まあ〜?それなら、全然、チョコとか……いや!お兄さんってばきっと寂しい思いしてるから、しょうがなく!」

――そうと決まれば材料を買ってこなくちゃ!ぷぷ、お兄さんってば、美味しいチョコ食べて気持ち悪い笑顔浮かべちゃったりして〜?

ダスカ「……別に手作りじゃなくてもいいと思うけど」

ウオッカ「そうか?感謝の気持ちって言うなら、やっぱ手作りだろ!」

ダスカ「アンタ、そういうところ律儀よね〜……あいつもだけど」

パピヨン、お菓子作り腕前:コンマ直下
01に近いほどダークマター、00に近いほどめちゃうま

材料とレシピ本を買って、早速キッチンへ。アタシ以外にも何人かウマ娘がいて……チョコの甘い匂いが広がっている。

ああ、皆チョコとか手作りするんだ。なんて思った。まあ、アタシもそうだけど。

パピヨン「さーてと」

――ま、アタシにかかればチョコくらい余裕だし?料理とかあんましたことないけど、まあやればそこそこできちゃうタイプだし?

パピヨン「…………」

出来たのはなんだかぐちゃぐちゃとした泥っぽいチョコ。なんか焦げ臭いし、なんか……ダメなやつ。

パピヨン「チョコ難しくない!?」

本だとさも簡単にやってるけど全然出来ないんだけど!?無理して結構色んな材料買ってきたんですけどこっちは!?

パピヨン「う"〜……」

まずい、まずいまずい!このままだと――お兄さんにチョコ渡せない!

確かにちょっと上級者向けっぽいレシピを買ってきちゃったけど……だって出来ると思ったんだもん!出来る気がしたし!


どうするパピヨン:安価直下

1 助けを呼ぼう
2 アタシに出来ないことはな!自力で!
3 自由安価

パピヨン「…………」

スカーレットとかウオッカ、あとライムとかシルフィーとか……うん。アタシの周り結構料理上手そうな子多い。

誰かに頼めば、きっと上手くいくんだろうけど……。

パピヨン「……なんかやだ」

そう、なんかやだ。からかわれそうだし、なんか笑われそうだし。

アタシに出来ないことはない!今は始めたばかりだから、ちょっと上手くいってないだけ!

パピヨン「よ〜し……」

ほっぺたをパシっと叩いて気合いを入れる。どれもこれも全部お兄さんのせいだ、だから後で色々して貰わなくちゃ。

――レシピと向き合う。ネットの力も使って、どうにか形にして――いや、完璧なものを!

結果は?:コンマ直下

コンマが高いほど上手に出来ました!低いと当日に完成させられて無さそう。

そう言えば、作ろうとしてた上級者向けレシピのチョコって……:安価下1〜2



チョコの形とか、どういうチョコかとか。

チョコケーキとか、クッキーとか生チョコとか。分かれば大丈夫です。

バレンタイン当日。パピヨンのトレーニングはお休みということで、【貴方】は溜まりに溜まっていた仕事を黙々と片していた。

『…………』

いつもは騒がしいトレーナー室も静かで、この日は絶好の仕事日和だった。が、しかし……。

『……そういえばバレンタインか。今日は』

ふと思い出す、昨日先輩トレーナーがそんなことを言っていたのを。

何でもバレンタインの日は担当ウマ娘からチョコが貰えるのだとか。義理なのは分かるが、それでもやっぱり嬉しいと。ウキウキな様子だったのを。

……バレンタイン。学生時代から縁のないイベントだった、貰えるのは大抵親からだけで……いや、しかし。今ウマ娘のトレーナーとなった今、【貴方】はパピヨンからのチョコを――。

『いや、貰えてないな』

時刻はもう夜遅い、もうパピヨンは部屋でごろごろしている頃だろう。チョコを渡すならもうとっくに渡しているだろうし、そもそも……義理だとしてもチョコを渡してくれるか?

『貰えたとしても、なんか凄い奴だろうな。凄い辛いとか、酸っぱいとか……』

まあ、貰えないものを考えても仕方がない。そろそろ終わりそうな仕事を茶っちゃかと片付けて、着替えて眠ろう――と、その時。

こんこんこん、と。なんだか小さなノック。

『……?はーい』

こんな時間に一体誰が、と思いながら【貴方】は扉を開けると――。

パピヨン「ふぁぁあ……」

『パ、パピヨン……?』

パピヨン「んぅ……おにーさん、ふぁぁ。入れてー……」

眠そうな目を擦っている担当ウマ娘がそこにいた。門限の時間はもう過ぎているだろうに――。

『い、いや。パピヨン、もう門限の時間過ぎてるだろう?早く戻らないと』

パピヨン「なんでぇ……?んむ……ほら、おにーさん、ちょこ……ちょこ作ったから」

……パピヨンの手には、小さな包み袋。ちょこ、チョコを、作ってくれたのか?

…………いや、いやいや。それは嬉しいが、それでも今は。

『チョコ作ってくれたのか?こんな時間まで……その気持ちは嬉しいけど、パピヨン。今日はもう帰って――パピヨン!?』

チョコの入った袋を【貴方】に手渡すと。彼女はふらふら〜っと、トレーナー室に入り。よたよたと、【貴方】がよく仮眠に使うソファに向かって行き……。

パピヨン「ぐぅ………」

そのまま、横になって。一瞬で眠ってしまった。

『ぱ、パピヨン!?パピヨン!?!?』

急いで駆け寄って名前を呼ぶ。しかし、彼女は一向に起きる気配はない、あまりにもぐっすりと眠ってしまっている………。

………そして、気づいた。アルコールの匂い。

『……ウイスキーボンボンか?』

おやすみなさい。



まさか、味見をし過ぎてこんなになってしまったのか?ウイスキーボンボン自体、子供でも食べれるものではあるが、どれだけの量を摂取して――。

………いや、それだけ【貴方】に美味しいチョコを渡したかった。そう考えるととても嬉しいのだが、それがウイスキーボンボンでなければの話。

パピヨン「むにゃむにゃ………んむぅ、んぇ………」

『……はあ』

……まあ、今回だけ許してあげよう。気まぐれでワガママな彼女の、好意を。素直に受け取ろう。

しかし。そんな彼女をどうしたものか。

パピヨン「えへ………おにー………しゃん………むにゃ」

どうしようか。:安価直下
1 ………寮長には後で自分から言っておいて、ここで寝かせてあげよう
2 いや流石に駄目か、寮まで運ぼう
3 自由安価

この部屋で気持ちよく寝かせてあげよう――と、そう思ったが流石に不味いと思い寮まで運ぶことにする。

だが起こすのも申し訳ない、こんなになってしまうまで頑張っていたんだ。しっかり休ませてあげるのが、【貴方】の役目だろう。

『さて』

………どうやって運んだものか。

パピヨン「すぴー………んえぇ」

こうやって寝ている姿は年相応なんだがなぁ、ああ涎なんて垂らして。

口周りの涎をティッシュで拭う。さて、どうしたものか………。

ヒシアマ「おいおいそこのアンタ!トレーナーはこの先立ち入り禁止――っとぉ?」

『すみません、この子をお願いしたいんですけど……』

美浦寮。そこは学園の向かいに存在する二つある寮のうちの一つ。そこの寮長であるヒシアマゾンに引き留められ、【貴方】は止まる。

まあ、もとより寮長を頼る予定だったので都合が良かった。と、【貴方】は暢気に考える。

『確かこの寮ですよね、シルヴァーパピヨンは』

ヒシアマ「……ははーん、なるほどね。事情は大体理解したよ」

彼女は【貴方】とパピヨンを見て、にやりと笑い。小さな声でそう言った。

ヒシアマ「それにしてもまあ、とんだお姫様だねぇパピヨンは。随分と幸せそうじゃないかい」

『……そうですかね』

トレーナー室から、その小さな身体をひょいっと持ち上げ、出来るだけ起こさないように運ぼうとした結果――【貴方】はお姫様抱っこでパピヨンを持ったまま、寮まで向かった。

持ち上げたときにあまりにも軽すぎて「軽っ!?」と声が出てしまうくらい、パピヨンは軽かった。まだまだ中学生の彼女なのだから、それも当然と言えば当然だが……なんだか心配になってしまう軽さだった。

この身体でよくあの速さを出せるものだ……もう少し食事に気を使った方が良いのかもしれない。

ヒシアマ「おおっと、ほらほら部屋に戻りな!それじゃ、パピヨンのトレーナーもお疲れさま、このお姫様は貰い受けるよ」

ざわざわと様子を見に来た寮のウマ娘たちが、ヒシアマゾンの一声で散っていく。【貴方】はお姫様抱っこですやすや眠っているパピヨンを、彼女に渡す。

『すみません、それじゃあよろしくお願いします』

――そして、【貴方】はトレーナー室に戻る。

机に置いていた、その包み袋を開ける。中には不揃いの形をしたウイスキーボンボン、触れてみるとなんだか妙にざらざらしていたり、ちょっと溶けかかっていたり……。

『……強いなぁ、アルコール』

そのウイスキーボンボンは、とても強い大人の味わいだった。

いつも通りの平日。【貴方】の担当ウマ娘シルヴァーパピヨンはトレーニングを終え、トレーナー室のソファでぐでーんとだらけている。

パピヨン「ぷはは!なにこれおもしろ〜!んむっ……もぐもぐ……ぷ、ぷぷっ!」

『……』

スマホを片手にショート動画。もう片方ではスナック菓子をむしゃむしゃと。まるで自宅かのようにだらけ、緩み切った担当ウマ娘。

いや、別に怒るつもりはない。これだけだらけた姿を見せてくれるというのは、信頼されている……信頼されているのか?トレーナーという立場でありながら、ちょっと舐められているのではないか?

『…………』

パピヨン「……ちょっとおにーさーん。何アタシのこと見てるの〜?ぷぷ、アタシはさっきのトレーニングで疲れてるんだから、足のマッサージくらいしてもいいんじゃないの〜?」

脚をバタバタさせながら、彼女は自分にそんな要求。マッサージならさっきうんとやってあげたんだが……というか、さっきからその姿を見ていると……思う。

『キミ、ちょっと……ふっくらしてないか?』

パピヨン「…………は?」

パピヨン「うわ、うわうわうわうわ!うーわー!それセクハラ!?お兄さんそういうことする人!?」

『いや、前々から思ってたが……全体的に肉付きが』

パピヨン「きも!お兄さんきも〜い!そんなんだから彼女も出来ないんだよ〜!?」

――なんで自分はここまで言われなくちゃいけないんだ。

『なあパピヨン、前のバレンタインの時に味見で沢山チョコを食べたりしてたよな?それ以外にも今みたいに寝っ転がりながらお菓子を食べたり……』

ちょくちょくお菓子を補充はしているが、最近はその消費量もどんどん増えていっているように思える。

パピヨン「むぐっ……べ、別にーじゃん。ちゃんと走ってるし、体重とかも――」

『増えてないのか?』

パピヨン「…………変わってないですけど〜?」

……ちょっとかまをかけてみるか。

『――トレーニング中に見えるお腹と結構ぷにっとしてるよな。キミ』

パピヨン「――はぁ!?!?!??!?」

さっきまで寝そべっていたパピヨンが、大きな声と共に起き上がる。

パピヨン「は、いや!お腹って――なんでバレ……!?この、変態!担当のお腹見るとかキモ!キモキモキモ!変態変態変態!」

『………ダイエットするか』


パピヨン「やだやだやだ!ダイエットとかやりたくない!別に脚が遅くなったりしてないでしょ!?それにアタシちょっと痩せ気味だったし!」

『確かにキミは軽い方だが――太り気味はトレーニングにもレースにも支障が出るからなぁ』

パピヨン「う"〜……じゃあちょっとお菓子食べるの我慢するから!もうそれで良いでしょ!?」

『……それだけで痩せれるとは思わないがなぁ』

――次のレースまでもうそろそろ。これは早急に対応をしなくては。

お久しぶりです、そしてこれだけです。おやすみなさい。

色仕掛けはちょっと腕に胸を押し当てたりとかそれくらいです。あとハグとか。まあ程々くらいの気持ちで。

まあ多分童貞だろうなとは思います。



どうしよう:安価直下
1 とりあえず練習量増やそうか
2 友情トレーニングで脂肪を燃焼
3 ……痩せたらご褒美あげるよ
4 自由安価

パピヨン「――――うっ」

ダイエットの話をしたその翌日。【貴方】はパピヨンをダートコースに連れていくと、パピヨンはあからさまに――嫌そうな顔をした。

ライム「あ、パピヨンさーん!こっちですこっち!」

マンティ「きょ、今日は、よろしく、お願いします……!」

――まさか連絡を入れた次の日には付き合ってくれるとは思わなかった。二人のトレーナーの懐の広さには感謝しかない。

(……まあ。敵情視察とか、そういうのだろうな)

同じダートを走る同期のウマ娘。マンティスは勿論、次のレースで戦うことになるライムも合同練習に付き合ってくれたというのは……きっとそういうことだろう。

これを機会に改めてパピヨンには根性を、そして肉体を手に入れて欲しいという意図が殆どだったが。こちらもライバルの走りを今一度確認しておくべきだろう。

パピヨン「帰る」

マンティ「え……えぇ〜!?」

ライム「あー!パピヨンさんが帰っちゃう!ちょっとパピ……パピヨンさーん!」

『こらこら』

パピヨン「うぁ〜!併走トレーニングとか聞いてないんですけど!しかもこの二人!はず〜!」

首根っこを掴んで、むりむりパピヨンを二人の元に連れて行く。

――思いっきり脚を蹴られた!痛い!

――――という訳で。マンティスとライムに手伝ってもらい一緒にトレーニングをすることになった。

パピヨン「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ〜……!」

ライム「ほらほらパピヨンさん!まだまだ走りますよ!」

マンティ「ほっ、ほっ……だ、ダイエットだもんね。沢山走って、燃焼、しよ〜……」

パピヨン「マンティが美味しいお菓子持って来たのも原因だと思うけど〜!?」

マンティ「え、えぇえぇ!?ご、ごめっ……ごめんなさいぃ……!」

ライム「あー!人のせいにして!パピヨンさんそういうところよくありませんよ!」

……結構な時間走り込んでいるというのにまだまだ息を切らしていないライム。マンティスも少し息を切らしているが、ここから一気に最高速で突っ込んでくるだろう。

パピヨンも普段ならそろそろ休憩を始めそうだが、まだ走り続けている。……うん、普段からそうしてほしいがこれを言うと逆効果だろう。

ライム「それにしても、この時期に私と練習だなんて……パピヨンさんのトレーナーさん、度胸ありますよね」

私としてはとても嬉しいんですけど、トレーナーさんは渋い顔していましたよ!

ライム「……シルヴァーパピヨンの走りを今一度確認してきて欲しい。なんて言われましたけど――どんな走りをしようが、私が勝ちますから」

パピヨン「――は?」

ライム「おっと、ちょっと本音が」

パピヨン「――――へー、上手いじゃん、敵を煽るのが。そんなやっすい挑発、アタシは買わないけど?」

マンティ「あ、あの……!もしかしてそれ、私も……ですか?」

ライム「ふふっ、どうかなー?言っておきますけど、私は誰にも負けませんよ?」

強いライバル、強い相手、全身全霊で戦って――最後は私が勝つ。

……そうだ。ライムって温厚な性格だけど……実は結構、こういうところがある。

思えば初めて会った時もライムから併走トレーニングを申し込んできたし。ライバル宣言だって、あれはアタシを認めて、戦いたかったから――。

パピヨン「はっ……!」

ついでみたいにマンティも殴ったし。あーあー、この同世代ダートナンバーワン候補め。敬語で調子に乗ってる。

マンティ「――――私も、貴女と戦います、から……刈り取って見せます。ライム、さん……」

ライム「へぇ、マンティさんも結構言うんですね!ふふ、貴女のレース映像は沢山見ていますから、早く実際に体験させてくださいね!」

パピヨン「――とりあえず、その伸びに伸びまくった天狗の鼻、アタシがぶち折ってやるから。覚悟しておきなよ」

ライム「そのお腹でですか?」

パピヨン「うぐぅ!?」

――あ、あー!ライムが言った!言った言った!

マンティ「な、なんて、酷い事を……!」

ライム「今の私はこれくらい言っちゃいますよ〜?さあさあ!どんどんペース上げていきましょう!」

パピヨン「や、痩せたらライムも追いつけないくらい早くなって――!次のレース覚悟してよほんと!」

ライム「あはは!じゃあ早く痩せないとですね!」

――――こうやって、アタシたちは陽が暮れるまで走った。お兄さんが止めなかったら、多分ずっと走ってたかも。

ライム「じゃーん!見てみてこの引き締まったお腹〜!見惚れちゃう美しさ!」

『ぶっ!?』

暫くしたある日、ライムは体操服を捲り、そのお腹を露出した。

『……パピヨン!いきなりそんなはしたない――!』

ライム「ぷぷっ!でもぉ?おにーさんがアタシのお腹ぷにぷにとか言ったんだよ?じゃあ確認するべきじゃな〜い?」

『だとしてもだなぁ……!』

ライム「は〜これだからお兄さんは……キモ変態なんだよね。んま、それがお兄さんなんだけど」

――ダイエットには成功した!さらに前の練習のおかげか、最近の練習にもやる気を見せている。

さあ、本番まであと少し。ユニコーンステークスが――始まる!

こんな時間にお久しぶりです。そしてお休みなさい。

ブラックマンティスのトレーナー安価をします。そろそろ登場しそうな気がするので。

ライムやシルフィーの時のように送って貰えると嬉しいです。


ブラックマンティスのトレーナー:安価下1~3

ユニコーンステークス。G1ジャパンダートダービーの前哨戦の位置づけとなるレースであり、同世代の有力なダートウマ娘が出走するレース。

『……と、いう訳で。キミのリベンジ相手であるステラライム以外にも沢山の強敵が集まることになる。今から同じレース相手の走りを見て貰うが――』

パピヨン「それ、意味ある?結局のところ、アタシが常に前を走って勝ち!これだけじゃない?」

――と、ソファにもたれ掛かりながらぶーぶー文句を言う、【貴方】の担当ウマ娘。

まあ、言いたいことは理解できる。常に全力で走り、それで勝てるのなら他のウマ娘の走りや作戦なんて考える必要がない。

『けど、それでキミは前負けただろう?』

パピヨン「むっ」

あのG1の舞台で、キミは最後ステラライムに差されて負けた。負けて、キミは悔しいと言って、次は負けないと心に決めた。

『軽く頭に入れておくだけでもいいよ。このウマ娘はこのタイミングでそろそろ仕掛けてきそうだ、とか。そういうのを覚えておくだけでも、キミは十分走れるだろう?』

――パピヨンは基本、序盤の段階からトップスピードを維持してスタミナが切れてもなお粘り続ける。そんな逃げの走りをするウマ娘だ。

途中で息を入れたりはあまりしない――だからこそ、そろそろ相手が来そうな時に、根性を入れる必要がある。

パピヨン「……ま、アタシそこそこ出来るし?ちょっと見てすぐ覚えて、早くトレーニングに行っちゃうもんね」

『その意気だパピヨン!それじゃあ、まずはこの――』

競争相手一人一人の走りと説明をし、一緒にレースの解説も入れながら。事前の情報共有を終えておく。【貴方】の話を聞くパピヨンの姿勢は、存外真面目だった。

――――レース当日。東京レース場。梅雨の時期だというのに雨は降っておらず、快晴の青空だった。

『……どうだ?調子の方は』

パピヨン「ん、別にいつも通り……いや、ごめん嘘ついた。ちょっと緊張してる」

控室。体操服に着替えたパピヨンは、【貴方】の問いに対して少し間が空いた後そう答える。

パピヨン「リベンジのつもりで今日負けたら、なんだか格付け完了されちゃうみたいでなんか嫌でしょ?ライム相手にそれはなんか悔しいし、ムカつく」

『はは……じゃあ絶対に勝たないとな。大丈夫、キミが頑張ったことは自分が良く知っているよ』

いやサボったりもしてたし、ダイエットとかもあったけど――それで、あの敗北の日から彼女のトレーニングに対する向き合い方はうんと変わっている。やるときはしっかりとやる、そんな子だ。

『……じゃあ、行ってこい。キミが――ステラライムの「ライバル」になってこい』

パピヨン「――うん。行ってくるよ、お兄さん」

ゲート前。軽く準備運動をするアタシに、一番人気が話しかける。

ライム「――前のダイエット以来ですね!パピヨンさん!」

パピヨン「ダイエット言うな!併走トレーニングって言え、併走トレーニングって!」

ライム「ふふっ、ごめんなさい。どうです?あれからきちんとトレーニングはしましたか?」

なんて余裕の表情。これが一番人気の余裕って奴?

……いや、ライムはそういう油断とか慢心はしない。この表情だって、アタシにはそう見えるだけで……。

パピヨン「……ふん。今から戦う相手の心配?言っとくけど――今日は勝つよ」

ライム「いいえ、今日も私が勝ちますよ!では、後の話はレース後に!」

そう言い残して、ライムはゲートに向かって行く。その後ろ姿には、なんだかオーラのようなものが見える。

……いいや、負けない。きっと、勝つ。

――ライムの期待に、お兄さんの期待に。あんなに嫌いだった期待に――応える番だ。

こんな時間にしか更新出来てなくて申し訳ないです。おやすみなさい。


ユニコーンステークス、結果は――:コンマ直下

1 これが「ライバル」だ――!
2〜5 ギリギリの勝利!
6 ギリギリの負け……
7 2着
8 3着
9 掲示板
0 おおっと

――梅雨の時期に燦燦と輝く太陽の下、東京レース場。砂塵が舞う中で15人のウマ娘がゲートに入ります。

――一番人気は勿論このウマ娘、ステラライム。全日本ジュニア優駿優勝ウマ娘としての実力を見せつけることはできるか。

――二番人気、シルヴァーパピヨン。前走ではステラライムに敗れ、このレースでリベンジなるか。

大丈夫、大丈夫。アタシなら――勝てる、今のアタシなら、強くなったアタシなら――。

――各ウマ娘、ゲートイン完了。出走準備が整いました。

――さあ、今まさにゲートが開く!G3ユニコーンステークス、スタートいたしました!

パピヨン「――っ!」

――ほぼ揃った出だし、その中からスーッと前に出て行くのは7番シルヴァーパピヨン。やはりのこのウマ娘が先頭を走ります。

スタートダッシュは完璧。後ろからは、事前に知っていた3番と11番、そして12番のステラライム。

うん、分かる。大丈夫、アタシはちゃんと走れてる、なんなら今までで一番――調子が良い!

――7番シルヴァーパピヨン、どんどん前へ行く。その後を追うように、3番と11番、そして一番人気12番ステラライム。

――しかしどうでしょうか、少しかかり気味かもしれません。

パピヨン「はぁ、はぁ、はぁ……!」

コーナーを曲がり、向こう正面。まだ全然余裕!もっと、もっと走って!どんどんどんどん前に進んで――!

このまま逃げ切る!そして、今度こそ、アタシは、アタシは――!

パピヨン「はっ、ははっ、ははははっ――!」

――シルヴァーパピヨン独走!これはこのまま逃げ切るか!?四バ身、五バ身離れて、11番、8番、3番……中断には……。



『…………パピヨン?』

真っ先にパピヨンの走りの違和感に気づいたのは【貴方】だった。

いつもと変わらないパピヨンの逃げ。掛かり気味、とは思わない。今のパピヨンだったらあれくらい前に出たとしても十分走り切れるスタミナがある、そう確信がある。

――しかし、どこか妙な走りだった。まるで、何かに追われているような、後方のウマ娘からとか、ステラライムから追われているとか、そういう話ではなく――もっと、精神的な。

『…………』

何か焦っている、何か縛られているような――今までの自由に楽しく走るパピヨンの逃げとは正反対の、そんな逃げ。

――しかし、もうレースは後半戦。【貴方】はもう見届けることしか出来ない。



パピヨン「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!もっと、もっと先――!」

――第3コーナーを曲がり、最終コーナー。他のウマ娘がそろそろ仕掛けてくる。勿論、あのステラライムも。

気合いを入れろアタシ!スタミナの最後の最後まで使い切って、後は気合いと根性で!

スタミナはまだある!だから、この瞬間!もっと腕を振れ!脚を動かせ!それで、それで――!アタシは勝てる!

心臓がバクンバクンうるさい!今にも肺がはち切れそう!だけど、それでも!

今まで裏切ってた期待に、ようやく初めて応えられて――!


パピヨン「――――ぁ、れ?」


――――最終コーナーから最終直線。脚に力を入れ、踏み出した瞬間。

――――ガクン、と。全身から力が抜ける。


――さあ、最終コーナー!先頭のシルヴァーパピヨン、このまま逃げ切れるか!後ろのウマ娘との差は縮まってきている!


腕が動かない、脚が動かない。心臓だけがうるさくて、周りの音が、何も聞こえない。

パピヨン(なんで――なんでなんでなんで!?動くでしょ、いつもなら動くじゃん!?意味分かんない、分かんない分かんない分かんない!)

ライム「っ!やぁあああああああ!!!!!」

――さあ後方から一気に12番ステラライム!そしてそれに並ぶように11番と8番のウマ娘が迫る!

パピヨン(ライムが、来る。早く走らないと、逃げないといけないのに――なんで、どうして――)

力が入らない。まるでもうスタミナを全部使いきっちゃったみたいな、そんなはずないのに、だって。今日、アタシはライバルになるんだって、ライムがあんなにアタシに――!

パピヨン「ぁ……」

ライム「――――!」

――アタシの視界に、ライムの背中が、映った。

それに続くように一人、また一人とアタシを追い抜いて行って……。

それで、アタシは――。

――ステラライムゴールイン!無敗の連勝記録は未だに継続!2着は11番、そして3着は8番の――。

とりあえずこれだけです。おやすみなさい。

「――君の走りは凄いなシルヴァーパピヨン!今の年でその速さなら、きっとダート重賞……いやG1勝利だって夢じゃないな!」

――小学生の頃の記憶。誰かが言ったこんな言葉を、アタシはずっと覚えていた。

走ることがずっと好きだった。思うがままに走って、大地を蹴って、風を感じて……それが何だか楽しくて、気持ちよくて。だからずっと走っていた。

フラワー「パピヨンちゃん凄いね!私はあんな力強くダートは走れないから……でも、私ももっともっと早くなって――」

幼馴染のフラワーからも凄いと言われた。アタシからしてみればフラワーの方が断然凄いと思うけど。それでもやっぱり。褒められることは嬉しかった。

――だから、沢山走った。早く走るための練習も沢山やって、小学生ウマ娘が出るレースにも出て、それで一着になって。周りから褒められて。

アタシが走ると笑顔になって、喜んでくれて――だから沢山走って、走って、走って、走って――。


――――あるレースで、私はびりっけつになった。

短距離レースもあるけれど、やはりダートはマイルや中距離のレースが主戦場だと誰かに言われ、そのまま一気に中距離のレースに挑んで、そのまま撃沈。

その時は周りの人は励ましてくれた、距離が長すぎたからマイルに行こうと。そして、次にマイルのダートレースに挑んで……下から二番目。

――いくら走っても一着になれない。二着にも三着にも、掲示板にも入れない。

走り方を無理やり変えてみても、結果は変わらない。残るのは気持ちの良くない走りをしたモヤモヤと、周りからの哀れむみたいな視線。


誰かが言った。「――ちょっとがっかりかも」


誰かが言った。「あんなに期待したけどこれじゃあ……」


アタシに失望する言葉、アタシに落胆する言葉。あんなに褒めてくれた、笑ってくれたみんなが、がっかりした表情でアタシを見る。

……練習した、沢山練習をした。フラワーにも手伝って貰って、色んなレースの本も読んで、体力づくりのトレーニングをして――勝てなかった。掲示板に、入れなかった。

心が痛い、心臓がはち切れそうになって、何度も泣いちゃって。勝てなくて、裏切ってしまって、期待に応えられなくて――。

パピヨン「――――ぐすっ、ひぐっ。ごめっ、ごめんなさっ……!うぁ、あぁあぁあ……!」

――だから、アタシは…………。

――――ワァアアアア……!

歓声。一着になったステラライムに歓声が沸き上がる。今世代屈指のダートウマ娘、その無敗記録がまた継続したんだから。まあこの歓声も当然だよね。

ライム「ありがとうございます……!ありがとう、ございます!!!」

歓声に対して、大きな声で感謝の気持ちを。そして大きく手を振って応えるステラライム。

パピヨン「はぁ、はぁ……はぁ……っぷ。おぇ……はぁ……」

それに対してアタシは必死に呼吸を整えて、今にも倒れそうになりながらその姿を見ているだけ。

――情けない。バカみたい。ああ、アタシはやっぱり……こうなんだ。

パピヨン「…………っ」

アタシはライムに捕まる前に、逃げるように地下バ道に歩いて行った。

『…………お疲れさま』

控室に砂まみれで戻ってきたパピヨンに、【貴方】はお疲れさまと声を掛ける。

しかし、パピヨンから返事はない。

『取り合えず脚を休ませようか。脚を痛めてしまったりしては元も子もない、アイシングとテーピングを――』

パピヨン「……ねえ、お兄さん」

『……』

パピヨン「アタシ、頑張ったよね。アタシ、あんなに頑張って、お兄さんのトレーニングも、しっかりやって……体力も付けて」

パピヨンの口から、言葉が溢れてくる。

パピヨン「アタシ、アタシ……お兄さんの期待とかも全部、ダメにしちゃって……!ライムの、あんなアタシに宣言とか、ライバルって言ってくれて……!なのに、アタシ、ほんとダメで……!」

『パピヨン』

パピヨン「うぐっ……ぐすっ……アタシ、全然、ダメで……走れなくなっちゃってぇ……!ぅぁ、あぁ、うぁあぁあああ……!」

ボロボロと涙がこぼれる。今まで溜まっていたモノを全部吐き出すみたいに、沢山溢れている。

『……』

パピヨンに何か行動:安価下1〜3までで



これだけやります。こんな時間にすみません、おやすみなさい。

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