団羅座也『ご覧ください、昨晩突如春日部に現れた、この黄金の杯のような建造物を。現在警察が詳しい検証を行い……』
テレビニュースには、春日部に突如現れた聖杯の様子が映し出されている
ひろし「なんだかすげぇことになってるなぁ」
みさえ「いきなりこんなものが現れるなんて不思議ねぇ」
ひろし「ま、そのうち原因が分かるだろ、おっといけね、そろそろ会社に行かないとだ」
みさえ「あら、しんのすけも幼稚園の時間だったわ」
みさえ「しんのすけー! そろそろ起きなさい」
しんのすけ「うーんあと5時間」
みさえ「おバカこと言ってないでさっさと起きる!」
しんのすけ「ほーい」ノロノロ
みさえ「ほらぐずぐずしないで、朝ごはん食べちゃいなさい」
しんのすけ「そのまえにうんち」
ガチャ 脱ぎ脱ぎ
シュウワーン
セイバー「サーヴァントセイバー、召喚に応じ参上した」
セイバー「問おう、あなたが私のマスターか?」
しんのすけ「……」
セイバー「……」
しんのすけ「い、いやぁーん!! オラのおいなりさん見ないでぇー!」
セイバー「えっ、あっ、すみません!!」
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みさえ「ちょっとしんのすけいつまでうんちして……でええーっ!」
ひろし「どうしたみさえ! ってどわぁ!?」
~5分後~
セイバー「という訳で、私は聖杯戦争のサーヴァントとしてこのしんのすけに召喚されたというわけです」
しんのすけ「ほうほう、ssって便利だぞ」
みさえ「何の話よ」
ひろし「しかしいきなり戦争って言われてもだな……」
しんのすけ「とーちゃん、せーはいせんせいって誰?」
みさえ「それを言うなら聖杯戦争よ」
セイバー「簡単に言えば、万能の願望機である聖杯を巡り、選ばれた者が争うのです」
ひろし「おいおい何か物騒だなあ」
みさえ「私戦いとか乱暴なのは怖いわ、それにうちの子を巻き込むなんて……」
ひまわり「たいやい(そうだそうだ)」
しんのすけ「おらこわーい」
セイバー「ちなみに勝者は何でも願いを叶えられます」
ひろし「えっ、じゃあ俺が社長になるとか……?」
セイバー「はい」
みさえ「億万長者とかにも……?」
セイバー「もちろん、可能でしょう」
ひまわり「たやー(宝石……)」
3人「……」
ひろし「しんのすけ、辛い戦いにはなるがみんなで勝ち抜こうな!」
みさえ「あなたならできるわしんちゃん!」
ひまわり「たいやい!(お兄ちゃんがんばれ)」
しんのすけ「我ながらゲンキンな家族だゾ……」
セイバー「心中お察しします、しんのすけ」
ひろし「てことは、セイバーさんもその聖杯ってやつに選ばれた戦士ってことか?」
セイバー「もちろん、私も騎士としてこの戦いに臨むつもりです」
ひろし「こんなに可憐な子が戦うなんて想像できねぇなぁ」
みさえ「まだ子どもなのに、すごいのねぇ」
セイバー「フフ、こう見えても剣には少し自信がありますよ」
しんのすけ「せいばーお姉さんのお願いごとはなに?」
セイバー「私の願いはただ一つ、ブリテンを救うことです」
しんのすけ「ブリブリを救うこと?」
しんのすけ「おおっ、ぶりぶりざえもんをお助けするんだね!」
セイバー「いや、よく分かりませんが、あなたは何か勘違いをしているようだ、しんのすけ」
ひろし「そういや、しんのすけはセイバーさんのマスターなんだよな?」
セイバー「ええ」
みさえ「マスターって何かできるの?」
セイバー「そうですね、まずしんのすけの体には令呪というものが浮かび上がっているはずです」
しんのすけ「れいじゅ?」
セイバー「普通なら手の甲等の分かりやすい所に浮かび上がるのですが……」
ひろし「特に見当たらねえなあ」
セイバー「しんのすけ、ちょっと服を脱いでください」ポイポイ
しんのすけ「いやーん、セイバーちゃんのけだものおおお」
ひまわり「たやい(やれやれ)」
セイバー「ありました!」
ひろし「何でお尻なんかに……」
みさえ「しかもこれアンタがよく書くぶりぶり何とかじゃないの」
しんのすけ「えーっオラよく見えないゾ」
セイバー「この令呪があれば、サーヴァントの強化などが行えます」
ひろし「へえー便利だなあ」
セイバー「しかし、これは3回しか使えないのでここぞという時の切り札で使ってくださいね」
しんのすけ「セイバーお姉さん、これっていつでも使えるの?」
セイバー「ええ、命令したいことを念じると発動します、ただし……」
しんのすけ「じゃあ、オラの背中かいて!」カッ
セイバー「はい、どうぞ」カキカキ
ひろし「……」
みさえ「……」
セイバー「……」
「「「ああああーっつ!!」」」
しんのすけ「おおーこれは便利だゾ」ウットリ
セイバー「さ、3回しかない令呪が残り2回に……」
みさえ「このおバカ……」
セイバー「ま、まぁあと2回ありますからね、大切に使っていきましょう、ハハ……」
ひろし「でもセイバーさん、何でこんなものがあるんだ?」
セイバー「それはもちろん緊急時のものということもありますが、サーヴァントを律するためでもありますね」
みさえ「どういうこと?」
セイバー「万が一ですが、サーヴァントが主に歯向かう時にはこの令呪を用いて無理矢理命令することも可能なのです」
ひろし「え、えげつねえぜ」
しんのすけそんなことする必要ないゾ!」
セイバー「えっ?」
しんのすけ「何かしてほしい時は、お願いしますって頼めばいいんだゾ」
しんのすけ「それに、相手が嫌がることはしちゃダメだってよしなが先生が言ってたゾ」
セイバー「しんのすけ……ふふ、その通りですね」
しんのすけ「だから、セイバーお姉さんとオラが、ちゅ、チューとかしても……」ススス
げ ん こ つ
セイバー(す、すごい威力の格闘技だ……)
ひろし「しんのすけ、お姉さんっていうかセイバーさんはまだ高校生くらいの年齢に見えるぞ?」
みさえ「そうよ、あんた大人のお姉さんにしか興味ないんじゃなかったの?」
しんのすけ「ち、ち、ち、父ちゃんも母ちゃんも甘いぞ」
ひろし「へっ?」
しんのすけ「オラ、セイバーお姉さんからは大人のお姉さんのみりょくを感じるんだゾ」
セイバー「なっ」
セイバー(まさか、私の不老の秘密を知っているというのか? 正体は伏せたはずなのですが……このしんのすけという少年、侮れませんね……)
セイバー「それはさておき、ここから本題の聖杯戦争における……」
ひろし「あっ、いけね、そろそろ会社に行かなきゃだった!」
みさえ「あーっ、もうこんな時間! 幼稚園バスの時間過ぎちゃってるじゃないの!」
セイバー「えっ、ちょっと待ってください皆さん! これから大事なお話が」
しんのすけ「セイバーお姉さんもくる?」
セイバー「いえ、私は……それよりも! ここは家にいた方が……」
ひろし「悪いが、俺は係長なんでね、会社という戦場に行かなきゃならないんだ」
しんのすけ「係長じゃかっこよくないゾ、父ちゃん」
ひろし「うるせぇやい! という訳で行ってきまーす!」
みさえ「ほら、しんのすけ、早くバッグ持って!」
セイバー「ちょ、ちょっと待、サーヴァントがマスターから離れるのはですね」
みさえ「セイバーさん、悪いんだけどひまわり見ててくれない、オムツは棚の中にあるから!」
セイバー「えっ、あっ」
しんのすけ「母ちゃん早く出発するゾ!」
みさえ「分かってるわよ! 遅刻連続記録を更新してなるものですか、オラアアアア!」
セイバー「……」
セイバー「い、行ってしまった……まだ肝心な部分を話していないのに……」
ひまわり「たいや(ドンマイ)」ポンッ
みさえ「ただいま~セイバーさんごめんなさいね、ひまわりの面倒見てもらっちゃって」
セイバー「いえ、構いません。それでは私はしんのすけの元へ向かいます」
みさえ「あら、しんのすけは幼稚園にいるけど大丈夫?」
セイバー「任せてください、こう見えて変装の経験もありますので」
~アクション幼稚園~
よしなが先生「それじゃあ今からお昼休みにしまーす!」
「「「はーい!」」」
風間「しんのすけ、外からお前のことを見てる奴がいるぞ」
しんのすけ「えっ?」
(おもちゃの鼻メガネと風呂敷で変装したセイバー)
セイバー「……」
マサオ「怖いねえ、誰かなぁ」
ネネ「よしなが先生呼ぼうか?」
ボー「しんちゃんの、すとーかー、かも」
しんのすけ「そ、そんな、オラ照れるゾ」
風間「照れるな……」
セイバー「しんのすけ、大丈夫でしょうか……」
通行人「かわいそうにねえ」ヒソヒソ
よしなが先生「あら、みんなどうしたの?」
マサオ「先生、外に怪しい人がいるんです!」
ボー「すとーかー、かも」
風間「警察とか呼んだ方が、最近は物騒ですし……」
しんのすけ「オラの追っかけだゾ」
ネネ「嘘つけ!」
よしなが先生(う、うーん、確かに怪しいわね……)
~職員室~
よしなが先生「園長、外に不審者が!」
園長「な、何ですって!?」ドタドタ
セイバー「んっ?」
園長「こら、そこのアナター!」
セイバー脳内「ゴラア、そこのクソアマァ!」
セイバー「なっ、とうとう姿を現したなサーヴァント!」ジャキッ
しんのすけ「おおっ、セイバーお姉さん! かっこいい姿に変わったゾ!」
風間「何だ知り合いか?」
しんのすけ「オラの恋人だゾ」えっへん
ネネ「嘘つけ……」
園長「な、なんですかアナタは」
セイバー「ええい、とぼけるな! どのクラスか知らないがその面構え、よほどの悪行を重ねたのだろう!」
園長「ひ、ひどい……」泣
よしなが先生「園長、大丈夫ですか!?」
園長「よ、よしなが先生!」ダッ
よしなが先生「ひいい、売り飛ばさないでええ、勘弁してえ!」
園長「私です、園長ですっ!」
~数分後~
セイバー「ええっ、ではこの方は本当に幼稚園の園長……」
よしなが先生「そ、そうなんです、オホホ」
しんのすけ「大丈夫、組長?」
園長「園長です!」
セイバー「そうとは知らず、申し訳ありませんでした。てっきりバーサーカーかと……」
マサオ「何だか絵本の中の人みたいだねえ」
ネネ「きっとモデルさんなのよ」
ボー「きれいな、ひとみ」
風間「鎧もカッコいいなあ」
やいのやいの
セイバー「しかし、幼稚園というのはいいものですね」
よしなが先生「ええ、そうでしょう」
セイバー「この子たちが伸び伸びとしているのも、あなた達の普段の指導の賜物なのだろう」
よしなが先生「い、いえそれほどでも」
まつざか先生「あら、何かあったの?」
セイバー「おお、これはまた可憐なお方だ」
まつざか先生「アラ、可憐だなんてそんな//」
風間「可憐だって!?」
マサオ「きっと中身を知らないからだよ!」
ネネ「見た目だけで判断しちゃったんだわ」
ボー「きれいなばらには、とげがある」
まつざか先生「あんですってえ?」ギロリ
「「「ひいいいい」」」
まつざか先生「待たんかいこのクソガキ共ー!!」
「「「ひいいいいい! 」」」
よしなが先生「ア、アハハハ……」
しんのすけ「うーん、梅さん今日も絶好調ですなぁ」
まつざか先生「梅って呼ぶな!」
セイバー(この園の方は個性的な人ばかりですね……)
~その夜~
みさえ「いやあ、今日はセイバーさんにひまわりのお世話とお料理まで手伝ってもらっちゃって大助かり」
ひろし「すまねえなあ、しんのすけが迷惑かけて」
ひまわり「たいや(お疲れさま)」
セイバー「いえ、よいのです」モグモグ
セイバー「それにしても、みさえのご飯はおいしいですね」モグモグ
みさえ「やだもう上手ねぇ、おかわりもたくさんあるからね」
セイバー「はい、ではおかわりを」 モグモグ
ひろし「み、見た目の割に結構食うな……ハハ」
セイバー「まだまだ食べれますよ」ドヤ
しんのすけ「あーん、オラピーマン食べられな~い」
セイバー「こら、好き嫌いはいけませんしんのすけ。苦手なものを克服しなければ強い男にはなれませんよ」
しんのすけ「ほ、ほい……」
ひろし「いやあ、セイバーさんがいれば本当安心だなあ」
みさえ「このまましんのすけのお姉さん代わりになってもらおうかしら、オホホ」
しんのすけ「おおっ、それいいゾ!」
セイバー「いえ、あくまで私は」
ドカーーーーーーーン!!!!!
ランサー「見つけたぜぇ、セイバー!!」
ひろし「ああああ゛あ゛あ゛あ゛!! い、家の壁が!!! まだローンが32年残ってるのにいいい!!!!」 泣
みさえ「いったい何なのよお!」
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