【咲】京太郎「ありふれた不思議」【宮守】 (495)

京太郎in宮守

それ故、宮守が共学となっております

恋愛要素、オリジナル設定あり

微安価

遅筆

麻雀の描写はほとんどありません


以上、注意。



のんびりと進みますが、お付き合いいただけるとうれしいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362052790

岩手県に存在する宮守高等学校

昨年までは女子高だったらしいが、この度、めでたいことに共学となった。

やはり、少子化の影響などもあるのだろう。

さて、俺こと須賀京太郎はそこに転校することになった。

……時期的な問題で転校というよりかは入学という形になったが。

親の都合、子供は無力だ。

どれだけ行きたくないと思ったところで、一人では生きていけない。

金さえもらえれば生きていけるのかもしれない。

ただ、炊事選択料理——いかなる家事スキルも持ち合わせていなければ、やはり無理だ。

少なくとも、俺にはできない。

コンビニ弁当にインスタントラーメン、それと外食だけで一年を過ごすなんてできるはずがない。

少なくとも、一般的には贅沢にそだった俺にはきっと無理だ。

だから、親に連れられ岩手へとやってきて。

だから、宮守高等学校へと入れられ。

だから、入学式にも出席する。

今年から共学へ変わったこともあってか、辺りを見回しても男子の比率は少ない。

そもそも2,3年は女子しかいないし。

入学生もやはり女子が多い。

数少ない男子なのだ、きっと結束は高まるはず。

とりあえず、独りぼっちになることはないだろう、ないことを祈る。

いや、マジでお願いします、高校をぼっちで過ごしたくないです、はい

そんな、考え事というよりは独り言を脳内に浮かべながら、ほうっとステージ上を見つめる。

校長先生がなにやら熱心に話しているが見える。

見えるけれど、聞き流す……聞き流してしまう。

興味ないんだもの。

きっと、いい言葉、いい話が送られているのだろうけど。

それ以上に脳が離したがっているのだもの。

ならばいったい何を考えているかといえば、こんな感じの未来図だったり。

もしも、あのまま転校せずに進学していたら——というifだったり。

いきたかった、あのまま、清澄へ。

仲のいい友人みんなと離れて……日曜に遊びに行く、なんてこともできないくらい離れて。

一人ぼっち。

周りの人間は誰か友達がいるのだろうか。

それとも、俺と似たような境遇もいるのだろうか。

不毛な考えは尽きない。

どう考えても先生の話のほうが大切だというのに。

俺の考えは尽きない。

二度と叶うことのない妄想だというのに。

『——以上で入学式を終わります』

ああ、無意味なことを考えているうちに終わってしまった。

始業式なんてそんなもんかもしれないけれど。

転校生や留学生なんかの挨拶もきっと始業式で終わらせてしまっただろうから、本当にやることがない。

結局妄想だけで入学式を終えてしまった。

なんともいえない虚無感を押さえ込んで、ため息をついた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


さて、指定されたクラスへと向かう。

やはりそこにも女子が多かった。

……もちろん、知り合いはおらず、少しだけ肩身の狭い思いをする。

それも束の間、いざ席に着くと隣の人が話しかけてきた。

それに交わるように前も、後ろも、斜め前も。

その子を中心に会話が始まる。

他愛もない、くだらない会話。

だからこそ、俺も参加できるのだけど。

自己紹介をしあって、自分の身の上を話して。

出身に関してなんか、大概が市、町で話すのに、俺だけ県単位で話すと笑われた。

……つーか、そんなことをしてしまったがために、長野はどんなところなんだ、と質問攻めされる破目に。

まあ、それによって、より溶け込めたからいいのだけど。

一日目にして好調なスタートだ。

神に感謝、神様本当ありがとう。

……なんていう考えが顔に浮かんでいたのだろうか。

何人かがこちらを向いてくすくすと笑っていた。

思わず恥ずかしくなって、ぽりぽりと頭をかく。

仕方ないじゃないか、嬉しいんだもの、ぼっち回避できて。

一日目って重要だし……なにせ、俺はある意味よそ者ですし。

嫌だけど、ある程度は覚悟していたんだもの。

それが、まあ杞憂に終って。

喜ばない理由がある打折るか、いや、無いといった感じだ。

それを口に出せばまた笑いが起こる。

どんどんと自分がその中へと溶け込んでいくように感じて、やはり笑みが抑えられなかった。

そのまま話していると、やがて担任と思わしき人が教室に入ってくる。

女教師、女性の比率がまた上がった。

美人さんだったからウェルカムだけど。

俺以外の男子もそんな顔をしている。

先生「はい、席に座って」

教卓に立ってそう言えば、騒がしかったこのクラスも一瞬で静かになった、軍隊か。

さすがは第一日目……一ヶ月もすればだれてくるのかもしれない。

それじゃあ、と一度頭を下げてから先生は話し始める。

校内の説明だったり、授業の説明だったり。

校則や守るべききまりについてつらつらと並べ立てる。

隣の奴とひそひそと会話しながら聞いていると、気になる単語が聞こえた。

先生「次に部活についてだけど……」

京太郎「……」ピク

友人「……興味あるの?」

京太郎「まぁ……高校=部活みたいなイメージもあるし」

友人「ドラマの見すぎじゃない?」

京太郎「いやいや、実際青春なんてその辺に全部集約されるでしょ」

友人「そとも限らないよ」

友人「ほら、文化祭とか……っと」

友人「そいえば、ここって文化祭6月頃にやるんだってー」

京太郎「へぇ……」

友人「しかも、クラス単位でいろいろと出し物するらしいから——」

京太郎「——いや、待て、部活の話をしてたよな、俺たち」

友人「そだっけ?」

京太郎「……まあ、なんでもいいけど」

友人「そそ」

友人「あんまり私の言葉に流されてるとお目当ての部活を逃しちゃうかもよ?」

京太郎「……別に、目当てがあるわけじゃないけどな」

友人「あ、そなんだ……てっきり、もうやりたいことが決まってるんだと思ってた」

京太郎「や、そういうわけじゃないけど……」

京太郎「ただ、やっぱり高校って言うんだから、何か部活に所属はしたいなーって」

京太郎「青春したいじゃん?」

友人「やっぱテレビの見すぎだー」

京太郎「そんなことねぇと思うけどな……」

友人「ふーん……ま、いいけど、他人事だし」

友人「……あ、私は入らないよ、面倒くさそだし」

京太郎「すごい直球ですね」

友人「素直で一途な女の子だからね」

京太郎「……」

……まあ、人によって感性は違う、ということで。

さて……と友人から視線を離し、プリントに目を向ける。

並べられた部活。

……気になったのは特になかったけれど。

やはりどれかには入ってみたい。

……まあ、適当に見学するしかないだろう。

幸い、入部はいつだってできるのだから。

友人「どれ入るか決めた?」

京太郎「実物を見ないことにはわかんないって」

友人「あはは、そりゃそだ」

友人「ついてってあげよか?」

京太郎「結構です」

友人「残念」

京太郎「ついてきたところでどうせ入る気はないんだろ?」

友人「そだけど」

友人「須賀君のあることないことでも言いふらしてやろっかなーって」

京太郎「……1日目にしてひどい扱いだ」

友人「あはは、冗談だってば」

京太郎「……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


放課後、一人きり。

始業式というだけあって放課後は早く訪れた。

先に昼食を食べてから、校内を歩きはじめる。

とりあえずは特別教室棟へ……文科系の部活がいっぱいあるところへ向かおうと思った。

そのついでに、運動部も窓から眺められるんじゃないかって。

参加するわけじゃないけど、見学なら変わらない。

窓の外を見ると、校庭で聞こえる楽しそうな高い声が聞こえる。

ほら、ちゃんと見えた。

やっぱり女子ばっかりである。

……所々見える男子、一年生。

鼻が伸びているように見えるのは気のせいじゃない。

いや、そりゃだって……なぁ。

バット打つときとか……もう……うわぁ……。

すっごい、ぷるんぷるんゆれてる。

やべぇ、つかみたい、わしづかみしたい、やべぇ。

いや、それ以外にも……走っている女子とか。

サッカーしてたりテニスしてたりする女子とか。

……。

……やべ、俺も鼻の下のびそう。

仕方ないよね、この学校の女子がみんなかわいいのがいけないよね!

なんだここは、天国か。

ちょっと転校してよかった、とか思ったじゃないか!

……。

……まあ、後悔しても仕方ないし、よかったって思うことはいいことだよな。

それにしても……うむ、すばらしい。

次は……陸上部か?

……ハンマー投げの時とか、なんかもう……やばそう。

やらないかな、ちょうど新入生を稼ぐ時期だしやらないかなー……。

………………。
…………。
……。


そんな感じで歩き続けて、特別教室棟へたどり着く。

防音がしっかりしているのか、数人の生徒が俺と同じようにこの中へ入る以外の音はしない。

部室に近づけば、聞こえるのだろうか。

それとも、今日はどこの部活もお休みだということだろうか。

——ありえる、なんせ今日は入学式だし。

なんとなくだけど文化部は毎日活動しないイメージが個人的にあるし……。

あれ、無駄足?

いやいや、こうして訪れる人がいるなら無駄足じゃないって。

少なからずどこかの部活はやっているってことなんだから。

——つーか、それくらい調べてこいよ、俺。

配られたプリントにも活動場所くらいしか書いていない。

たしか職員室の前に部活の有無が書かれていたはずだけど……まあ、見ていない。

……まあ、うん、大丈夫。

人がいるってことは、無駄足なんかじゃないんだから。

俺の部活見学初日がおっぱい観察で終わるなんてオカルトありえません!

……で、どこが活動しているんだろう?

それがわかんないんだってば。

……。

プリントを取り出すのも面倒だ。

どうせ、行きたい部活もなければ、どこが活動しているかもわからない。

あはは、これはしらみつぶしに探すしかないんじゃないかな、うん。

戻ったら楽だとは思うけど。

まあ、そういったギャンブル精神もいいよね、みたいなノリを持って行くことにした。

1階をざっと見て、人がいないことを確認する。

……誰もこっちに歩いていない時点でお察しだったのだが。

けれど、もしかしたら……こう隠れて活動しているようなサークルだってあるかもしれない。

なぜかっていわれたら……う、うーん……

……ロマン?

ともかく、うむ、1階には何もなかった。

2階に上がる。

中央階段を見て、右を向いて、左を向いて。

……右の方に数人が集まっていた。

いったい何の部活だろうか?

ここからじぃと見つめていてもわからない、そりゃそうだけど。

……ともかく、あそこには人がいるのだから、しばらくは部活を続けているだろう。

きっと、いつだって見学にいける。

……それなら逆方向に歩こう、と俺はそちらに背を向けた。

高校生特有の反抗精神である。

特別性を求めるような性格の所為である。

さっきも感じたロマンである。

人と違うことする俺格好いい……みたいな。

中学生かよ。

まあ、自分でツッコミはしたけれど、足は止めず、人気のある部室に背を向けて歩き出す。

こっちには何があるのだろうか。

……いい加減地図か何か見ろよ、という話なのだけど。

たしか、もらったプリントには活動場所も書いてあった。

……まあ、知らないまま行くというのも面白いだろう。

運命の巡り会わせとか、神の采配とか、そんな感じで。

向こうにとっちゃとても迷惑だろうけど。

京太郎「……?」

黙々と歩いていたが、ふと、前の方から小さな笑い声が聞こえてきて、足を止める。

……いや、怪奇現象とかそういう類のものじゃなくて。

複数人の楽しそうな会話。

内容は聞こえないけれど、明るい声は聞こえる。

こっち側に誰かいるのだろう。

おそらく複数人が部活をしているはずだ。

……まるで、声に誘われるように歩きだした。

夢の中のように、歩いた感覚が消える……ただ、話し声だけが耳の中で反響する。

一つ教室を通り越して、二つ教室を通り越して。

三つ目。

ここから聞こえる、笑い声が。

楽しそうな声だ。

京太郎「……」

ゆっくりとその部屋の扉に近づいてみる。

果たして、ここが見学可能なのか不可能なのか。

不可能な部活ってどんなのだよ。

もしかしたら、さっき考えた隠れた部活だろうか、それはそれで燃える。

京太郎「……し」

そう、きっと、見学するくらい大丈夫だろうから。

ここに何があったとしても。

見学する権利はある。

逆に言えば、見学しない権利もある。

変な部活だったら即座に逃げることも可能なわけだ。

……そんなわけで、もっと気楽になろうぜ、京太郎。

そんな、ロボットみたいなカッチカチにならないでさ。

京太郎「……っ」

よし、決めた、覚悟を決めた。

いいか、3,2,1、ドンだ。

1にあわせるんじゃなくて、一拍おいて、だ。

いくぜ、京太郎。

3

2

1

京太郎「失礼します!」

ドン。

ガラガラ、と音を立てて扉が開く。

……楽しそうな会話はその音によってかき消された。

代わりに、新しく現れた俺の姿を見る、5人の女の子がいた。

一人は、真っ白い、雪のような髪色の女の子。

まるで自分の家のようにだらけきった態度、表情。

力のない瞳でこちらをぼうっと見つめている。

一人は、俺よりも暖かそうな金髪の女の子。

少し警戒したのか、手に持つスケッチボードをぐ、と抱きしめていた。

さながら小動物のようだ。

一人は、茶髪の小さな、本当に小さな女の子。

その小ささは小学生かと疑うほどである。

金髪の子が小動物のようなら、こっちはれっきとした小動物である。

一人は、夕日のように真っ赤なお団子ヘアの女の子。

モノクルをかけていて、どこか知的に見える。

俺が声を上げて、真っ先に立ち上がった人だった。

一人は、闇のように真っ黒な長髪を持つ女の子。

凛々しいような、幼いような。

どこか不思議なオーラをまとっていた。

そして、そのうちの四人が囲むもの。

見たことがない……とはいわない、国民的なものなのだから。

ただ俺は触れたことはほとんどない。

麻雀卓。

四方の椅子に座り。

余った一人は傍の椅子に座って様子を見ている。

……いや、見ていたのだろう。

今は、皆こっちを向いてしまっている。

?「……えっと」

?「見学?」

声をかけられて、はっとわれに返る。

京太郎「あ、はい、そのつもり、でしたけど……」

京太郎「……お邪魔でしたか?」

?「まさか、大歓迎だよ」

くすり、とおとなしそうに笑った。

?「私は臼沢塞」

塞「この麻雀部の部長」

京太郎「麻雀部……」

塞「……えっ、そっち?」

京太郎「いや……あ、あはは」

ごまかすように笑った。

そうか、麻雀か、麻雀部か。

なるほど。

塞「それで、このダルダルしてるのが、小瀬川白望」

白望「……よろしく」

銀髪の少女が微動だにせず声を発した。

塞「外人さんがエイスリン=ウィッシュアート」

エイスリン「……」ペコリ

金髪の少女が頭を下げた。

塞「ちっちゃいのが鹿倉胡桃」

胡桃「よろしく!」

茶髪の少女が手を上げた。

塞「でっかいのが姉帯豊音」

豊音「よろしくだよー」

黒髪の少女がニコリと笑った。

塞「これが、私たち宮守女子麻雀部だよ」

最後に赤髪の少女がそうしめた。

エイスリン「……サエ」

塞「ん、なに?」

エイスリン「オトコノコ、ダヨ?」

豊音「男の子が来てるのに女子麻雀部はひどいよー」

塞「あ、そっか……」

塞「でも、ほら……前からそうだったし」

塞「ちょっとくらい間違えても仕方ないよね?」

胡桃「……まあ、そっちは仕方ないけど」

胡桃「ちっちゃいのって何、ちっちゃいのって!」

塞「だって、わかりやすいじゃん?」

胡桃「そうだけど!」

塞「それに、豊音とも対比できたし……だめ?」

胡桃「だめじゃないけど……」

豊音「私もでっかいけど……でっかいの扱いはちょっと……」

塞「それじゃー……黒いの?」

豊音「あんまり変わってないよ!?」

塞「いや、そうだけどさ……ほら、わかりやすいって重要じゃん?」

塞「なんせ初対面なんだから……あることないこと言われるよりはいいでしょ?」

豊音「そうだけどー……——」

塞「豊音のことをミーハーって言ったって、わからないだろうし」

豊音「ミーハーじゃないよ!?」

胡桃「……いや、豊音はミーハーだと思う」

俺を抜きで作戦会議が始まっていた、というか雑談が始まっていた。

麻雀部で何を見学しているのだろうか。

……いや、見ていて楽しいけれど。

なんていうか、みんな楽しそうでその楽しさが伝わってくるような——。

白望「みんな」

白望「……困ってる」

白い人が——小瀬川さんが俺を向いてそういった。

あ、と何人かがこちらを向く。

塞「えっと……あ、あはは」

塞「そっ、そんなわけで、宮守女子——じゃなくて、宮守麻雀部へようこそ!」

改めて、臼沢さんが……部長さんがそう紹介した。

エイスリン「What's your name?」

ソファに座らされ、お茶を出され。

まるで客人のような扱いをされている俺に、外人——エイスリンさんが話しかけてきた。

名前……ああ、そういえば、まだ名乗ってなかった。

京太郎「あ、えっと……須賀京太郎です」

日本語で返してしまった。

とっさに英語はやはり出てこない。

けれど、残る4人もそれぞれ傍で聞いているのだから、ある意味正解だろう。

あとは、おそらくこの外人さんの勉強にもなる、はず。

エイスリン「スガキョウ、タロウ?」

京太郎「須賀、京太郎です」

エイスリン「……キョウタロウ!」

胡桃「スガキョウ、なんて苗字はいないでしょ」

エイスリン「タロウ、イッパイイルヨ?」

胡桃「あ、や、そうだけど……」

エイスリン「?」

胡桃「えっと……」

豊音「それで、須賀君は麻雀したことあるのー?」

困っている鹿倉さんを放置して姉帯さんが話しかける。

京太郎「ああ、いえ……」

京太郎「微塵も触ったことないです」

麻雀部に見学に着たのに

塞「み、微塵もないんだ……」

胡桃「……それはそれで、ちょっと」

京太郎「いや、やったことないのは事実ですし……」

京太郎「でも、ほら、別に興味がないわけじゃ——」

そう、興味がないわけじゃない、一応麻雀をやってみたいとは思ったことがある。

思っただけだけど。

胡桃「ああいや、別に責めてるわけじゃないよ!」

白望「……みんな、最初は初心者だから」

豊音「うんうん……これからもっとうまくなればいいんだよー!」

塞「須賀君はまだ見学に来ただけだけどね」

豊音「そうだった!」

胡桃「あ、そっか……入部が決まったわけじゃないんだ」

エイスリン「……サイショノ、ワタシミタイ?」

白望「ん……ちょっと違うかも」

豊音「須賀君はまだここに入るかどうかわからないの」

塞「ここを見に来ただけだから、一週間後くらいには別の部活に入ってるかも」

エイスリン「……ソウ、ナンダ」

しゅん、とした声でエイスリンさんが呟く。

……なんだか悪いことをしたような気分。

いや、だって、まだ見学ですし、何も嘘をついていないのだけど。

少しだけ暗くなったこの部屋を見ると、余計に。

京太郎「と、ともかく!」

京太郎「初心者ですし……早速見学してみたいんですけど」

ある意味俺のせいなので、話題をそらす。

見てみたいのは事実だ。

……ここに何があるのか知らなかったのも事実だけど。

京太郎「さっきまでやってたの邪魔しちゃったみたいですし」

塞「あ、ううん、さっきまでは雑談してただけだから」

豊音「別に邪魔してたわけでもないよねー」

京太郎「あ、そうなんですか……」

通りで、とても楽しそうな声が聞こえたのか。

塞「ん……でも、見学者が来たことだし、そろそろやろっか」

豊音「そだねー」

エイスリン「……デモ、キョウタロウ」

エイスリン「ショシン、シャ……ダヨ?」

胡桃「……あ、そか」

胡桃「みてるだけじゃわからない……かな?」

白望「……わからないと思う」

白望「たぶんそろえることくらいしか知らない……でしょ?」

京太郎「ああ……確かにそのとおりです」

胡桃「それじゃ、あまった一人が教えればいいんじゃないかな?」

豊音「じゃあ、誰が抜けるのー?」

胡桃「……よし」

胡桃「じゃんけんしよ!」

塞「おっ……確かに公平だね、そしたら」

白望「……パスで」

胡桃「だめ!」

白望「……」

豊音「それじゃ、えっとじゃーんけーん——」

塞「や、エイちゃんいるし、英語で『ロックペーパー——』の方がよくない?」

豊音「あ、そか、それじゃ、えと——」

京太郎「……」

正直、なんでもいいから早くしてほしい、と思った。


>>+3
誰が余る?

塞「……あ、負けちゃった」

京太郎「残念でした」

塞「……ううん、こういうのはやっぱり部長の仕事だからね」

塞「……っし、俄然やる気出てきたよ!」

胡桃「じゃあ最初からやればよかったのに……」

塞「うるさい、そこ!」

胡桃「それ私の台詞!」

塞「ほら、早くやらないと、須賀君が困ってるよ?」

胡桃「む……」

しぶしぶ、と言った感じで鹿倉さんが席についた。

ほかの皆はすでに席についている。

塞「……っし、それじゃ、まず基本的なところから教えるね」

京太郎「あ、はい、よろしくお願いします」

塞「ん、よろしくお願いされますっ」

塞「でも、多分教え方雑になると思うけど、ごめんね」

塞「人に教えたことってあまりないからさー」

京太郎「そうなんですか?」

塞「こんなに面倒見のよさそうな顔してるのにねー」

京太郎「自分で言うんですか」

塞「冗談、冗談、あははっ」

京太郎「……」

塞「それじゃ、はじめよ、がんばろーっ!」

京太郎「お、おーっ……」

塞「声が小さいよ、須賀君、もっともっと!」

京太郎「え、あ、お、おーっ!」

胡桃「うるさい、そこ!」

塞「それで、えーっと……覚えた?」

京太郎「ん、まあ……なんとなく……?」

塞「そっかー……うーん……」

塞「……あー……教えるのって難しい」

京太郎「教わるのも難しいですけどね」

塞「私の教え方悪い……?」

京太郎「あ、いや、そういうことじゃなく……」

塞「そっか……ほっ」

京太郎「臼沢さんの教え方は上手いと思いますよ」

塞「ならいいけど……」

塞「……でも、満足はダメだよね」

塞「もっともっと頑張って須賀君に最高のおもてなしを!」

京太郎「VIPルームか何かですか」

塞「あはは、須賀君はもう超好待遇だよ?」

京太郎「いや、それはそれで恐れ多いんですけど……」

塞「なんてったって最初のお客様だからね」

塞「絶対に逃がさないようにしなきゃ……」

京太郎「……」

塞「……」

塞「……く、口に出てた?」

京太郎「そりゃ、もう、ばっちりと」

塞「……」

塞「ふ……ふふふ、そう、須賀君はもうここから逃げられないんだよ!」

京太郎「無理やり続けた!?」

胡桃「うるさいってば!」

塞「あ、や、ほら、説明してるだけだし」

胡桃「麻雀のまの字も見えなかったんだけど!?」

京太郎「えっと……ほら、落ち着いてください……」

胡桃「……むぅ」

豊音「ロンだよー」

胡桃「むきゃ〜〜〜〜っ!」

塞「今のは注意力散漫だったね、ほら、これとこれを見たら——」

胡桃「間違いなく塞の所為だよ!」

ごめんなさい、用事ができたので途中ですが一旦終わります


更新頻度はどんな感じになるの?向こうと交互?

>>29大体そんな感じになると思います。

昨日は途中で抜けて申し訳ございませんでした。
とりあえず投下してなかった分だけ投下しておきます

塞「……っと」

塞「どう……?」

京太郎「ん……面白そう、ですね」

塞「そりゃ、もう、毎日やるくらいには面白いよ」

塞「……京太郎君もやってみる?」

京太郎「えっ、いいんですか?」

塞「見学だけだと退屈でしょ?」

塞「それに、見るとやるじゃやっぱり違うからさ」

塞「やってみてほしいな……って」

京太郎「……でも、まだルールが」

塞「ふふっ、何のために私がいると思ってるの?」

塞「ちゃんと教えてあげるからね、ね、やってみよ?」

京太郎「ん……それじゃ——」

??「——おや?」

やってみます、と言おうとしたが、入り口付近から聞こえてきた声に遮られた。

女子高生というにはいくらか低い、落ち着いた声。

反射的に扉のほうを向くとどうあがいても女子高生には見えないような人がいた。

おそらくこの部活の顧問だろう。

塞「あ、トシさん!」

??「その子は誰だい?」

すたすたと歩き、俺達の方へやってきた。

塞「聞いてください、見てください、見学者です!」

塞「見学者、見学者ですよ!」

トシ「ああ、なるほど……」

トシ「だからそんなにはしゃいでるんだね」

塞「やだなぁ、はしゃいでなんかいませんよ、あははっ!」

……最初の見学者っていうのはそんなに嬉しいものなのだろうか?

トシ「……そうかい」

呆れたように溜息をついたトシさんと呼ばれたその人は視線をずらして、今度は俺の方を向いた。

そして、まるで俺を見極めるように、じろじろ、と見回す。

京太郎「……何かついてますか?」

??「……そうだねぇ」

京太郎「えっ?」

マジかよ……と顔をこする。

何かが落ちたような気も、何かがこびりついていたような気もしないけれど。

トシ「ああ、ゴメンゴメン、そういう意味じゃないよ」

京太郎「……へ?」

トシ「ちょっと考え事してただけさ、気にしないでいいよ」

京太郎「はぁ……」

トシ「おっと、自己紹介がまだだったね」

トシ「私は熊倉トシ、ここ、麻雀部の顧問さ」

トシ「よろしく、須賀君」

京太郎「……はぁ」

京太郎「よ、よろしくお願いします……」

なんだか妙な気分のまま、挨拶をし返した。

考えごと……。

……わざわざ俺の前で?

やはり、男という点だろうか。

トシ「……さて」

トシ「須賀君は麻雀の方は……」

京太郎「ああ、初心者も初心者ですよ」

塞「ってわけで、私が教えてるんです」

トシ「ん、そうかい……さすが、部長だね」

塞「いや……まあ、じゃんけんで負けただけなんですけどね」

自嘲するように笑って答えた。

熊倉さんもその様子にくすり、と笑みを浮かべる。

トシ「……それなら、私も手伝おうかね」

塞「あ、いやいや、私一人で大丈夫です」

トシ「まあ、そういわないで」

トシ「教えるのが顧問の役目さ——むしろ初心者のほうが教え甲斐があるってもんだよ」

京太郎「あ、ありがとうございます」

トシ「なに、礼を言われることじゃないよ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


トシ「ん……」

トシ「予鈴もなり始めたし、今日は今日はここまでかな」

胡桃「ん〜〜っ……疲れたぁ〜っ!」

豊音「須賀君、須賀君、どうだった?」

京太郎「面白かったですよ」

塞「すごいよね、見学なのに最後までいるっていうのも」

京太郎「あはは、それだけ面白かったんですって」

京太郎「見学も、体験も」

京太郎「……まあ、ぜんぜん勝てませんでしたけど」

塞「そりゃ……すぐ勝てるようになったらそれもそれで怖いけどね」

塞「私たちのがんばりはなんだったんだー、って感じで」

白望「……」ジー

エイスリン「……シロ、ドウシタノ?」

白望「……いや」

京太郎「麻雀って運だけじゃないんですね」

胡桃「それだったらこんなにメジャーにならないんじゃないかな」

京太郎「……それもそうですね」

トシ「ほら、あんたたち、しゃべるなら外でしゃべりなさい」

塞「あ、ごめんなさい……ほら、早く出よう?」

豊音「須賀君も一緒に帰るー?」

京太郎「えっと……ご一緒してもいいなら」

白望「……荷物持ち?」

京太郎「えっ」

白望「……冗談」

胡桃(じょ……冗談に見えなかったけど……)

エイスリン「イッショ?」

京太郎「途中まで、ですけど」

エイスリン「!」

エイスリン「イッパイ、ダト、タノシイ!」

塞「いっつも騒がしいのにもっと騒がしくなっちゃうね」

京太郎「そんなに騒がしいんですか?」

塞「そりゃもう!」

豊音「近所では評判になってるほどだよー!」

胡桃「自慢できないからね!?」

トシ「……ほら、早く」

胡桃「あ、そだった、みんな、早くいこっ!」

京太郎「……でも、本当楽しかったですよ」

帰り道、夕焼けに染まる道の上で麻雀部の皆さんに話しかける。

まるで、俺もこの部の一員になったようだ。

塞「ん……楽しかったならよかった」

豊音「私たちもいつもどおりやってただけだもんねー」

京太郎「おかげでぜんぜん勝てませんでしたね!」

胡桃「根に持ってる!?」

豊音「え、あ、ご、ごめん!」

京太郎「あ、いや、別に責めてるわけじゃなくて」

京太郎「むしろ、そうしてくれてよかったです」

エイスリン「マケルノ、スキ?」

京太郎「いや、そうじゃなくて……」

白望「……もし、入ったらこれからたくさん対戦するんだから」

白望「変なところでぬか喜びさせるくらいなら、最初から手加減しないでくれた方がいい」

白望「……違う?」

京太郎「ああ、そのとおりです」

まあ、俺だって手加減されてたことくらいはわかっていただろうけど。

……こうもコテンパンに潰されると、やる気が出てくる。

なくなる人もいるかもしれないが、少なくとも俺はそういう性分です。

いつか絶対勝ってやるぜっ、って気分。

白望「……たぶん、教える時なんかは手加減するけど」

白望「……塞が」

塞「私が!?」

白望「今日教えてたし……私ダルいし……パス」

塞「いや、まあ……うーん……?」

豊音「えーっと……そ、それじゃ、須賀君麻雀部に入ってくれるの!?」

胡桃「そこ、早とちりしない!」

胡桃「入部期間はまだまだあるわけだし……須賀君もいろいろなところまわってみたいでしょ」

京太郎「そう……ですね」

……正直ここに決めてもいいか、と思う自分もいたけれど。

京太郎「もう少し、考えて見ます」

塞「ん、そっか」

塞「うちはいつでも大歓迎だよ……ね?」

臼沢さんがみんなに問いかけると、それぞれ大きさは違えどうなずいた。

ちょっと、うれしい。

エイスリン「……デキタ!」

しばらくしゃべっていなかったエイスリンさんがいきなり声を上げる。

顔をそちらに向けてみると、胸にスケッチボードを掲げていた。

そこに描かれていたのはマスコットみたいな7人が手をつなぐ姿。

エイスリン「マージャンブ!」

ふふん、と得意げに胸を張る。

……それぞれのマスコットにそれぞれ特色がついていて、かわいらしい。

7人。

5人と、顧問のトシさんと……たぶん俺。

胡桃「エイちゃん、エイちゃん」

胡桃「須賀君、まだ入るかわからないよ?」

エイスリン「!?」

塞「あはは……書くのに夢中で話聞いてなかったのかな」

豊音「エイスリンさんも私と同じだねー」

胡桃「でも、さっき一応説明した……よね?」

塞「違和感なく一緒に帰ってるんだから仕方ないんじゃない?」

エイスリン「アゥ……」

恥ずかしそうにエイスリンさんはスケッチボードで顔を隠した。

……それでも、その絵を消さなかったけれど。

それじゃあ、と別れて一人きり。

6人から1人へ変わると、明るさも断然変わってくる。

そろそろ夜が訪れるのもあって、なんだかとても寂しかった。

……宮守麻雀部。

人数が少ないからか5人の仲はとても堅固なものに見えた。

そこに体験で入ったわけだけど。

とても楽しい空間だった。

とても居心地のいい空間だった。

……まるで、俺がそこにいるのが当然であるくらい。

とても。

あまり親交のない俺でさえこんな気分になれた。

もしも、あの仲に入ったら。

あの絆を俺にも向けてもらえたら、俺も向かせたら。

……果たして、ここ宮守にあれ以上に居心地のいい空間はあるのだろうか。

いや、あれくらいがここ宮守のデフォルトかもしれない。

何はともあれ、明日以降……他の部活の見学でその答えはわかる。

……。

……うん。

最初が、この部活でよかった。

皆さんが優しい人でよかった。

運命の巡り会わせとか、神様の采配とか。

今はただ、そういうのに感謝した。

……。

……ああ、どうしよう。

本当に、あの部に入りたい。

あの輪に入ってみたい。

もはや見学する意味があるのだろうか……というくらい。

そんな気持ちで満たされていた。

とりあえずおしまい

言う機会がわからなかったので言っておきますと。
8月一週目まで好感度を溜め、そこから個別ルートへと入れます。
個別ルート以降は安価無しになると思われますので、ご了承ください。


それでは、のんびりと始めます。

友人「おーっす」

京太郎「よ」

翌日、教室に入り席につくと、友人が声をかけてきた。

友人「……で」

京太郎「ん?」

友人「どだったの、部活?」

友人「つか、何見に行ったの?」

京太郎「ああ、麻雀部」

友人「ほう……麻雀」

友人「ふふふ、実は私も麻雀にはあまり精通してないんだよね」

京太郎「精通してないのかよ」

友人「そりゃも、微塵も触れたことありません!」

京太郎「……」

同じこといってるよ、この人。

友人「にしても、なんで麻雀?」

友人「やっぱ麻雀が好きだとか?」

京太郎「いや、まあ昨日初めて触ったんだけどな」

友人「私と同じじゃん!?」

友人「じゃ、なんで……?」

京太郎「何でつっても……たまたま?」

友人「……うわぁ」

京太郎「すっごい変な目された!?」

友人「や、だってさ、青春したいんでしょ?」

京太郎「ああ……まあそうだけど」

友人「麻雀部って皆3年生だよ?」

京太郎「……へ?」

友人「青春したいのに、一年たったら部員全員卒業って、どよ?」

京太郎「……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

京太郎「……って聞いたんですけど、マジですか?」

塞「……あー、そういえば言ってなかったね」

塞「そ……私たち全員3年生」

京太郎「そうなんですか……」

胡桃「……当然のようにここに来たね、須賀君」

京太郎「ええ」

豊音「ふふっ、今日も一緒にいれてうれしいよー!」

エイスリン「!」バンバン

白望「……うん、7人だね」

エイスリンさんが昨日書いていたスケッチボードを強く」叩いた。

昨日から消していなかったのだろうか……それとも、別にボードがあるのだろうか。

塞「と、と」

塞「話を戻すけど……えっと、私達は皆3年生です」

胡桃「さっきもいったよ!?」

塞「いや、そうだけどさ……」

塞「ど、どうしよう……なんていえば引きとどまってくれるかな……?」

白望「……無理に引き止めないほうが京太郎君のためでしょ」

塞「や、それはそうだけど……」

エイスリン「!」バンバン

豊音「うんうん、やっぱり人増えてほしいよー」

塞「でも、来年以降が——」

京太郎「……あの、別にやめるって決めたわけじゃないんですけど」

塞「でも、やめるかもしれないじゃん!」

塞「えと……うーん……」

塞「……来年になったらこの部室を一人で使いたい放題!」

京太郎「虚しさ満点ですね!?」

豊音「あ、唯一の先輩だから後輩に慕われるかもよー?」

胡桃「去年みたいに誰も入ってこなかったら……」

塞「言わないで!」

白望「……ボーっとしてても、誰も咎めない」

塞「それ部活じゃないし!」

エイスリン「ブンシンハ?」

京太郎「1人4役!?」

胡桃「というか!」

胡桃「……部員一人なら多分廃部だと思う」

……胡桃さんの声にみんな納得したように頷いたのだった。

京太郎「……まあ、あれですね」

京太郎「とりあえず入部してから考えますよ」

塞「あ、そっか……」

胡桃「他の部活はどうだったの?」

京太郎「ん……楽しそうでした」

エイスリン「ウワキ?」

豊音「まだここ本妻じゃないよー」

胡桃「それじゃ、入りたいなーって思ったところとかは?」

京太郎「うーん……」

塞「……ここって、兼部とかできないっけ?」

胡桃「うん、入りたいなら一つ、だって」

エイスリン「イップタサイ!」

豊音「……あの、そんな言葉どこで覚えたのー?」

白望「……うちのクラスの子が熱心に教えてた」

塞「止めなよ!?」

白望「……日本語の勉強になるかな、って」

塞「もっと言葉考えて!」

京太郎「……まあ、今のところはここが一番ですかね」

胡桃「入りたい部活?」

京太郎「入りたい部活」

胡桃「だってさ、塞」

塞「えっ、ほんと!」

塞「よかったぁ……」

白望「……まだ決まったわけじゃないけど」

塞「!」

胡桃「そこ、わざわざ落ち込ませない!」

塞「や、別に落ち込んでなんかないけどね、うん」

塞「二年連続入部者0で私って部長の威厳ないのかなー、とか思ってないからね、うん!」

京太郎「……誰もきてないんですか?」ボソボソ

胡桃「うん……今のところ京太郎君だけ……」ボソボソ

白望「……去年は誰も来なかった」

塞「あ、あはは、よし、転換、話題転換!」

塞「うーんと……それじゃ、そだ、須賀君!」

京太郎「え、なんでしょう?」

塞「もしも須賀君と同級生だったらどうなってたかな?」

京太郎「……は?」

塞「あ、や、別に、話題、単なる話題だから!」

胡桃「……慌てすぎ」

京太郎「同級生……」

>>+3
誰を想像した?

京太郎「……」

京太郎『よっす、塞』

塞『ん、おはよ』

塞『あははっ、今日も爆発してるね、髪形』

京太郎『や、そうでもないだろ』

塞『そうかな……こう……わしゃわしゃーってしたときみたい!』

京太郎『……そんな言うなら水でぬらしてきてやるよ』

京太郎『生まれ変わった俺の姿を楽しみにするといい……』

塞『あははっ、楽しみにしてる!』

京太郎「……」

京太郎「臼沢さん」

塞「ん、何?」

京太郎「臼沢さんが同級生だったら……ってちょっと考えてみたんですけど」

塞「うんうん」

京太郎「ネタとして全然面白くありませんでした!」

塞「わざわざそれ言う必要ある!?」

京太郎「や、話題提示されましたし」

塞「いや、まあそうだけど……」

京太郎「次……小瀬川さんでも考えてみようかな……」

塞「や、まって、私のターンこれで終り!?」

京太郎「いや、だって……ネタとして全然面白くなかったですし」

塞「まって、それじゃ私完全に地味子ちゃんみたいじゃない!」

塞「そんなことないよね、みん——」

塞「——おぉっと、皆目を合わせてくれない!」

塞「えっ、待って、私地味なの、地味だったの!?」

塞「この髪色でも!?」

京太郎「いや、それ性格関係ないですし」

塞「いやいや、これは私の中に燃える熱い心を表していてね——」

京太郎「小瀬川さんが同級生なら……」

塞「や、待って、スルーしないで、無視しないで!」

豊音「……塞って面白いよねー」

白望「……昔からあんな感じ」

塞「どうしよう……どういう属性を追加したら……地味から脱却できるかな——」

胡桃「……というか、あって二日でこういうこと聞くほうがおかしいと思うんだけど」

胡桃「まだ、須賀君も塞らしさ……っていうのを知らないだろうし」

豊音「シロやエイスリンさんみたいに特長的ならまだしもねー」

白望「……」

エイスリン「?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

トシ「はいはい、今日もおしまいだよー……っと」

豊音「ふぁ……ん、疲れたよー……っ」グイーッ

胡桃「豊音って、座るときつそうだよね」

豊音「んー……まあ、椅子がちっちゃかったりするとねー」

豊音「胡桃が羨ましいよー」

胡桃「ふふん、私なら大体脚つかないからね!」

胡桃「……」

胡桃「……はぁ」

豊音「どしたのー?」

胡桃「や、なんでもないよ、うん!」

塞「須賀君須賀君、こんなのはどうかな?」

塞「わが名はマージャンマスターサエ!」

塞「数多の牌を操る、かつて伝説と呼ばれた女!」

京太郎「ごめんなさい、よくわからないです」

塞「なんと!」

トシ「……というか、あんたはそれを塞ぐ側だろう?」

塞「や、だって、それだと地味じゃないですか!」

トシ「……この子どうしちゃったんだい?」

白望「……なんでもない」

トシ「……?」

エイスリン「コンナカンジハ?」

塞「おお、エイちゃん、それ格好いい!」

京太郎「そんな神みたいな服装だと臼沢さんの原型がなくなる気がするんですけど!」

塞「や、実は私は元々神でね——」

京太郎「そういうのはいいですから」

塞「スルーされた!」

京太郎「別に、地味だとは思わないですよ」

京太郎「面白いですし、話していて楽しいですし」

塞「でも、話すことはないんでしょ?」

京太郎「あれはネタが悪かっただけですから」

京太郎「そんな、無理に設定つけようとしないで下さい」

塞「……そう?」

京太郎「ええ、俺は臼沢さんのことを面白い、いい先輩だと思ってます」

塞「……そっか」

塞「ん、ありがと」

トシ「……ほら、悩みも消えたなら早く出な」

塞「はーい」



塞さんの好感度が上がりました。

豊音「かっえりっみちー、かっえりっみちー!」

塞「お、今日はなんかご機嫌だね?」

豊音「ふっふっふ……帰ったらお団子が待ってるからね!」

豊音「ああ、もう、早く食べたいよー!」

胡桃「じゃあ、早く帰る?」

豊音「……もう、意地悪!」

胡桃「えへへっ」

白望「……」

京太郎「……どうしました?」

白望「……や」

白望「結局今日も最後までいたな……って」

京太郎「ああ、なんか楽しくて」

京太郎「一度入っちゃうと離れたくなくなっちゃうんですよね」

豊音「あっ、それ分かるかも!」

エイスリン「ジシャク、ミタイ」

エイスリン「コンナカンジ」

Nと書かれた部屋とSと書かれたエイスリンさんと思われるもの。

豊音「うんうん!」

胡桃「そっか……二人とも後からだもんね」

京太郎「……あれ?」

胡桃「ん?」

京太郎「や、さっき塞さん入部者0って言ってませんでした?」

胡桃「ああ……」

胡桃「正確には部活見学者が0……なのかな?」

京太郎「?」

胡桃「いや、でもエイちゃんも最初は見学みたいな感じだったし……うーん……」

塞「ああ、もう、間違えたのっ!」

塞「だってさ、豊音はトシさんが、エイちゃんはシロがつれてきたんじゃん」

塞「私の部長としての魅力はそこに必要ないし」

塞「だから、まあ、誇張したというか」

塞「……と、ともかく、入ってくれるとうれしいな!」

白望「……悪徳業者の勧誘」

塞「う、うるさい!」

エイスリン「ケンガク、イツマデ?」

京太郎「えっと……まあ、来週まで、だと思います」

胡桃「ぶっちゃけいつでも見学なんてできるけどね」

京太郎「そりゃそうでしょうけど」

豊音「でも、そうやって設定してくれたほうが恥ずかしくないよー」

豊音「いっぱいいる部活に、特に言われてない日に見学なんて……わ、私には無理っ!」

京太郎「ああ……まあ、同感です」

現に、この部室に入る時だってあれだけ緊張したわけだし。

この期間中なら人がいっぱいの部活ならそれなりの人が一緒にいるだろうけど。

見学期間が過ぎたら……もう……ね。

エイスリン「フーン……」

エイスリン「……」

エイスリン「アシタ、クル?」

京太郎「ん……」

京太郎「……多分いくと思います」

白望「……見学は?」

京太郎「まあ、多少は見に行くと思いますけど」

白望「……ふーん」

白望「……」

白望「……部員みたい」

京太郎「俺もそう思います」

胡桃「一緒に歩いてるしねー」

豊音「ほら、影がならんでるよー!」

豊音「影ふみしよ、影ふみ!」

エイスリン「カゲフミ……?」

豊音「あ、そっか、えっとね——」

白望(……そういう意味じゃないんだけど)

京太郎「くくく……この影踏みの鬼と呼ばれた俺が——」

豊音「あ、じゃあ須賀君鬼ね!」

京太郎「しまった!」

豊音「エイスリンさん、須賀君に影踏まれちゃだめだからね!」

エイスリン「OK!」

京太郎「くっそ……待てぇっ!」

胡桃「……三人とも子供みたい」

塞「身長的ゲフンゲフン、なんでもない」

胡桃「塞」

塞「なんでもない」

胡桃「塞」

塞「なんでもない」

白望「……ま、いいか」

白望「……ま、いいか」

白望「……いいや、ダルいし」

に変換してください、お願いします。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そんなこんなで初めて迎えた高校生活の週末。

始まりが月曜だったから……まあ6日は立っただろうか。

友人「時に須賀君」

10分休み、唐突に友人から声がかかる。

京太郎「ん……どした?」

友人「結局あの部活にするの?」

京太郎「……ああ」

友人「一人になっても?」

京太郎「それでも」

京太郎「あの麻雀部は、それだけ楽しかったんだよ」

友人「そか」

友人「……なら、それでいいんじゃないかな?」

京太郎「もともと何を言われようが入るつもりだったけどな」

友人「青春のために?」

京太郎「青春のために」

友人「いちお、部活見学期間は来週まであるけど……愚問かな?」」

京太郎「愚問だな」

京太郎「むしろ、今日にでも入部届けだそうと思ってるほどだよ」

友人「そかそか」

友人「そんじゃ、残り1年の青春、頑張ってね」

京太郎「……来年からどうしようかな」

友人「鬼が笑うよ?」

京太郎「そうだけど」

友人「……まあ、帰宅部でいいじゃん」

友人「皆頑張ってる中口笛吹きながら帰宅するとちょっといい気分……なんてね、えへっ」

京太郎「趣味悪っ!?」

友人「あはは、じょーだんだって」

友人「でも、ほら、気楽だしさ」

友人「帰宅で送る青春……っていうのもいいんじゃないかな?」

京太郎「どんな青春だよ」

友人「さぁ……?」

京太郎「……」

友人「……あ、先生来た」

京太郎「……っし、んじゃ、頑張るか」

友人「おー!」

今日はこれでおしまい。


お付き合いありがとうございましたー

把握、前から書きたいと言ってたが書いてたのか

>>71そんな感じです

友人ルートは脳内保管でいいですよね、うん。


それじゃ、のほほんと始めます。

友人「いく?」

京太郎「いく」

友人「んー、いってらー」

京太郎「いってきます……いや、帰ってこねぇよ?」

友人「あはは、まさか」

友人「帰宅部は帰宅部らしくさっさと帰りますよー……っと」

友人「んじゃねー」

京太郎「ん、またな」

友人が先に教室を出て行った。

……念のため、鞄の中を確認して。

記入された入部届をもう一度確かめて、しまって。

……そのまま立ち上がる。

ああ、なんだろう、少しだけ不安になってきた。

いや、不安というよりは……そう。

始めて部室に入った時みたいな緊張感。

京太郎「……」

……まあ、じっとしててもあれなわけだし、いい加減動かないと。

ああ、なんか足が重い気がする。

気のせいなんていわれたらそれまでだけど。

京太郎「……よし」

一歩動き出す。

それからは、自然と足が動き始めた。

一週間、そろそろ通いなれた道を歩く。

運動場を横目に、とくんとくんと、心臓の鼓動にあわせて歩く。

こうしていると、落ち着く……ような気もする。

あれだ、暗示だ、そんな感じで。

脳内に意味のない数字の羅列を並べるような感じで。

のほほんと、のんびりと歩く。

緊張がなくならないなぁ、なんて考えながら。

一歩、二歩。

一応着実に進んでいるのだが、まるで進んでいる気はしなかった。

……さて、そんな風に歩いている途中。

具体的には特別教室棟へ渡る廊下で、不意に肩を叩かれた。

振り返ると……


>>+4
誰?

書かなかった俺が悪いですけど、なしです、ごめんなさい

豊音「やほー」

……服が見えた。

いや、正面に、マジで。

なんなんだこの人。

京太郎「……こんにちは」

豊音「うん、こんにちはー」

もうちょっと顔を上げて、漸く笑顔が見える。

真っ黒い髪の毛がヴェールのように見えた。

豊音「今日も来てくれるのー?」

京太郎「ええ、もうそりゃ遊びに行きますとも」

豊音「やった!」

京太郎「うわっ!?」

豊音さんはばんざい、と大きく腕を上げた。

俺の体に当たりそうになって、つい声を上げてしまう。

豊音「あははっ、ちょーうれしいよー!」

京太郎「……そんなにうれしいですか?」

豊音「勿論!」

豊音「ふっふっふ……実は私、今ある企画をやってるんだよねー」

京太郎「企画……ですか?」

豊音「うん、企画!」

豊音「聞きたい……?」

豊音「ね、ね、聞きたい!?」

聞いてほしいと顔に浮かべながら顔を寄せてきた。

いや、近い、近い、髪かかってます、長い!

京太郎「え……あ、うん……」

豊音「ふっふっふ……なら、須賀君にだけ教えてあげる!」

……きっと、もうすでにいろんな人に教えてるだろな。

なんとなくそう感じた。

豊音「実は、私ねー」

豊音「友達100人計画やってるの!」

京太郎「……友達100人計画?」

豊音「うん!」

豊音「この学校で、友達を100人作る計画!」

京太郎「……」

顔だけじゃなく、心まで小学生並み——げふんげふん。

いつまでも童心の心を忘れないことって素晴らしいことだと思った。

豊音「シロとー、塞とー、胡桃とー、エイスリンさんとー」

豊音「あと、クラスのみんなとー……いっぱい友達になったんだけどね」

豊音「まだまだ全然足りなかったから」

豊音「こーして、須賀君と一緒にいて、麻雀して」

豊音「友達になれる機会が増えるのはちょーうれしいよー!」

京太郎「……」

豊音「……須賀君?」

……友達になる機会っていうのは、どういうタイミングなんだろうか。

それを聞くのも野暮だと思うので、口には出さないけれど。

京太郎「……それなら」

鞄の中に手を突っ込んで、一番上にある紙を取り出す。

不思議そうに俺を見つめる豊音さんの前に出してやると、その表情が見る見るうちに変わっていく。

雨から晴れになる変わるような感じで。

ぱぁ、とここだけ二重に光が差したように。

豊音さんの顔が明るいものに。

豊音「ほ、本当……?」

京太郎「本当ですとも」

豊音「本当の本当の本当の本当に本当?」

京太郎「だから、本当ですってば!」

ちゃんと担任の印鑑だって押してもらったんだから。

豊音「……」

京太郎「……と、豊音さん?」

顔をこちらに向けたまま、ぷるぷる、と体が震える。

……何か嫌な予感がして、一歩二歩と後ろに下がるが、彼女はその大きな腕で俺を包み込んだ。

豊音「ちょーうれしいよーっ!」

京太郎「のわっ!?」

行く手を腕に阻まれ、そのまま彼女の体に引き寄せられ、締め付けられる。

……要するに抱きしめられた。

京太郎「いやっ、ちょ、な、何してるんですか!?」

豊音「だって、嬉しいんだよ、超嬉しいんだよ!?」

豊音「嬉しいんだもん、うれしすぎて、えっと、ちょーうれしいよーっ!」

さっきからうれしいとしか言ってない。

京太郎「落ち着いて、落ち着いてください!」

京太郎「ほら、俺男ですし、あの、まずい、まずいですって!」

体が大きいとはいえ、女の子である。

俺を引き寄せられるほどの力があるとはいえ、女の子である。

とても柔らかく、とても暖かく、とてもいいにおいがする。

なんていうか、もの一つ一つが俺を興奮させるような、そんな。

豊音「もううれしいよ、ちょーうれしいよーっ!」

京太郎「聞いちゃいねぇ!?」

豊音「……はっ、こうしちゃいられない!」

豊音「塞たちにも伝えないと、早く、いこ、ね、須賀君!」

京太郎「なら、その腕を離してくださいよ!」

豊音「よーし、全速力で——!」

京太郎「やっ、なんでこのまま走るんですか!?」

豊音「りゃあああああぁぁぁっ!」

京太郎「うわあああぁぁぁぁっ!?」

……ええと、さっき感じたものが全部吹き飛ぶくらい、それはもうすさまじいスピードでした。

いや、本当、ジェットコースターを後ろ向きに乗ったかのような。

景色がめまぐるしく変わる、気持ち悪い。

豊音「みんなーっ!」

そして、そのまま扉をいきおいよく開けた。

なんで片手で俺の体を支えられるんだよ。

塞「わっ!?」

白望「……うるさい」

豊音「それどころじゃ、それどころじゃないんだよ!」

胡桃「それどころじゃないって……わわ、須賀君、何してるの!?」

京太郎「何してるも何も……捕まってます」

胡桃「いや、そりゃわかるんだけど……」

エイスリン「ハグ?」

京太郎「いや、捕まってるだけです」

エイスリン「?」

豊音「えへへ、皆、聞いて、須賀君が、須賀君が、須賀君がね!」

豊音「えっと、その須賀君が、須賀君で、須賀君なんだよ!」

塞「何言ってるかわからないよ!?」

白望「……とりあえず、須賀君おろしたら?」

豊音「えへへー……もう須賀君最高だよーっ!」

京太郎「いたいっ、いたいいたい、離してください、マジで!」



豊音の好感度があがりました

豊音「うぅ……痛いよぅ……」

豊音「なんで叩かれるのー……?」

胡桃「当然でしょ!」

豊音「え……なんで……?」

塞「……あはは」

白望「……で、なんなの?」

京太郎「は?」

白望「須賀君が——って、豊音がいってた」

京太郎「……ああ、それなんですけど」

京太郎「ええと……ちょっとまってください」

豊音「そだ、皆、ね、聞いて、須賀君がね!」

胡桃「豊音はもう黙ってて!」

豊音「えー……」

京太郎「……で、えっと、これです」

白望「……」

白望「……これ、私にじゃないでしょ」

京太郎「わかってますよ」

京太郎「あの、臼沢さん」

塞「……私?」

京太郎「ほかに誰がいるんですか」

塞「や、そだけど……で、何?」

京太郎「ええと……これ」

塞「これ……」

塞「……え、う、嘘、本当に!?」

京太郎「ええ……だ、ダメですか?」

塞「まさか、大歓迎だって!」

塞「……ああ、どうしよう、どうしよう、すごくうれしい!」

塞「えっと須賀君……はダメだから、豊音!」ダキッ

豊音「ね、やっぱりうれしいよね!」ギュッ

塞「そりゃ、もうすっごく!」

塞「ちょーうれしいよ!」

豊音「あはは、私の真似だ!」

胡桃「……え、何、どしたの?」

エイスリン「キョウタロウ、ヘンナクスリ、ノマセタ?」

京太郎「そんなことしてないです!」

胡桃「じゃ、どしたのさ?」

京太郎「いや」

京太郎「この部活に入部することに決めただけです」

胡桃「……」

エイスリン「……」

胡桃「……お、おめでとう?」

京太郎「あ、ありがとうございます……」

胡桃「……や、なんか違うかなえっと……」

胡桃「と、ともかく!」

胡桃「これで、須賀君も正式的にこの部の一員なんだね!」

京太郎「ええ」

京太郎「宮守高校麻雀部在籍、須賀京太郎です」

胡桃「そっか……」

胡桃「……うん、あの二人じゃないけど、私もすっごくうれしい!」

エイスリン「!」バンバン

京太郎「……まだ取ってたんですか」

エイスリン「ジシンサク!」

エイスリン「ホントニコウナッテ、スゴクウレシイ、ヨ」

京太郎「ありがとうございます」

エイスリン「フフッ……」

白望「……」

京太郎「……」

白望「……言葉、ほしい?」

京太郎「いや、くれないなら別にいいですけど」

白望「そ……」

京太郎「……」

胡桃「須賀君須賀君」

京太郎「あ、はい、なんですか?」

胡桃「ああいう態度のときは、シロわりと喜んでるから大丈夫、そんな悲しそうな顔しないで」

京太郎「や、別に悲しそうになんか……」

胡桃「そう?」

京太郎「……」

京太郎(……確かに、ちょっと悲しかったけど)

白望「……あー」

白望「須賀君」

京太郎「なんですか?」

白望「……」

白望「……」

白望「……」

京太郎「なんなんですか!?」

トシ「みんな、遅くなっちゃってゴメン、またせた——」

白望「……」

京太郎「何か言ってくださいよ、ちょっと、怖いんですけど!」

塞「部員が増えるよ、やったね、豊音!」

豊音「もう最高だよーっ!」

エイスリン「……」カキカキ

胡桃「何してるの?」

エイスリン「スケッチ!」

トシ「——」

トシ「……ねぇ」

胡桃「ん……あ、トシさん」

トシ「これはいったいどういう状況だい?」

胡桃「……えっと」

胡桃「須賀君が部活に入ることを決めた図です」

トシ「……」

トシ「……もうちょっと部員集め頑張ればよかったかねぇ」

白望「……」

京太郎「……あ、口開いた、なんですか、何を言ってくれるんですか、ワクワク!」

豊音「……それにしても塞ってやわらかいよねー」

塞「ひゃっ!?」

塞「ど、どこ触ってるの……!?」

エイスリン「〜♪」

トシ「……」

トシ「……これもう部活崩壊してない?」

胡桃「あ、あはは……」

トシ「……」

胡桃「……」

胡桃「あ、私も混じってこよ!」

胡桃(なんか居心地悪いし!)

トシ「……はぁ」

トシ「……」

トシ「……一日くらいはいい、かねぇ……?」

トシ「皆、ちょっとこっちを向いてくれるかい?」

京太郎「あと息を吐くだけですから、ね、ね!」

胡桃「二人とも、私も——うわっ、何やってるの!?」

トシ「……」

トシ「美少女戦士キュアイーピンこと、熊倉——」

全員「!?」バッ

トシ「よし、全員向いてくれたね」

塞「や、ちょっと、あの、きゅ、キュアイーピンって……?」

トシ「気のせいじゃないか?」

トシ「私がそんなことを言う人に見える?」

胡桃「いや……」

胡桃(……だからこそ振り向いたんだけど)

トシ「私はただ呼びかけてただけさ」

トシ「……で、5人——いや、須賀君含めて6人」

トシ「麻雀部が、麻雀しないで何をしているんだい?」

白望「……」

豊音「あ……で、でも、だって、須賀君が——!」

トシ「うんうん、分かってる」

トシ「須賀君が入ったんだ、部員が増えたんだ」

トシ「そりゃもう喜ばしいことだろう」

エイスリン「!」コクコク

エイスリン「キノウヨリ、エガオイッパイ!」

トシ「そうだろうそうだろう」

トシ「……私も昔はそうだったさ」

塞「トシさんも麻雀部だったんですか?」

トシ「いや、そうじゃなくて」

トシ「ある部活を設立してたんだけど……まぁ、人が集まらなくてね」

トシ「もう当初のメンバーだけでいいか——なんて思ってたところで一人新しく部員が来たことがあったんだ」

トシ「そりゃもう大歓迎したさ、手放しで喜んださ」

トシ「まるで優勝したかのような騒ぎだったね」

トシ「……結局その子は私の当時の恋人をぶんどってったわけだけど」

京太郎「えっ」

トシ「っと、それは関係なかったね、あはは」

トシ「……ともかくそんなわけで」

トシ「今日は部活無し、に変更するよ」

トシ「ただ、部室は別に使ってもいいし、外に遊びに言ってもいい」

トシ「どうせ今日は練習うになんかならないんだから、歓迎会でもしてやり名」

京太郎「……いや、あのすごくうれしいですけど」

京太郎「……なんで途中で寝取りの話したんですか」

トシ「特に意味はないよ」

トシ「強いて言うならたまたま思い出したからかね」

京太郎「……」

トシ「そんなわけ、はい、解散!」

塞「……あれ、出て行かないんですか?」

トシ「私は参加したらいけないって言うのかい?」

塞「いや、そういうわけじゃないですけど!」

塞「……ね」

豊音「うん!」

豊音「トシさんを仲間はずれなんてそんなことしないよねー?」

エイスリン「ネー!」

胡桃「……でも、そしたら体を動かすものってできなくない?」

トシ「……ふふ、私を舐めてもらっちゃ困るね」

トシ「本気を出したら20歳くらい若返る事だって——」

胡桃「それもう魔女!?」

塞「……と、ともかく!」

塞「折角今日部活が無しになったんだし——」

京太郎「——わざわざすいません」

塞「そんな、わざわざだなんて!」

塞「むしろトシさんの言う通り、きっと部活にならなかったから別に大丈夫」

京太郎「……ありがとうございます」

塞「いえいえ」

塞「……それで、じゃあなくなったわけだけど」

塞「どうする……何かしたいこととかある?」

京太郎「……俺に聞いてますか?」

塞「そりゃ、もう、須賀君主役だし」

京太郎「あーっと……皆さんのしたいことは……?」

白望「……」

胡桃「シロに同じ」

豊音「胡桃に同じだよー」

エイスリン「ワタシハ——」

塞「だめ、エイちゃん、こういうときは豊音に同じ——って言わないと!」

京太郎「そういうのいいですから!」

エイスリン「エ、エッ……?」

トシ「……まったく決まらないねぇ」

トシ「ふむ……」


>>+5
何して遊ぶ?

カラオケ、ボーリング

>>105
了解です。

それでは、今日はここでおしまい。


お付き合いありがとうございました。

(寝れないし、今日誤字たくさんしてしまったので、見ている方がいらっしゃれば宮守限定で小ネタ一つ書きます>>+2)

〜塞さんといちゃいちゃ〜


京太郎「……あの、塞さん」

塞「はっ、な、なに!?」

京太郎「いや……手を握られてると麻雀やりにくいんですけど」

塞「はっ、そっか、そうだよね……!」

塞「……」

京太郎「……あの、塞さん、聞いてます?」

塞「き、聞いてるよ、うん!」

塞「……」

京太郎「……塞さん」

塞「だ、だって、仕方ないじゃん!」

塞「京太郎君が、京太郎君が朝、寒いからって手、繋いでくれて、うれしくて、嬉しくて!」

塞「離せるわけないじゃん!」

塞「嬉しくて、あったかくて、恥ずかしいけど、ああ、恋人なんだな……って」

塞「そうやって……ふふ、嬉しくて……だから、離さない、離さないよ」

塞「今日は、絶対、ぜぇったいに離さないから、一日中京太郎君の手を塞いであげるから!」

京太郎「……ご飯のときは」

塞「あーん、って」

京太郎「お風呂のときは」

塞「……一緒にはいろ?」

塞「あはは、今日もお泊りだね」

京太郎「……」

塞「ほら、京太郎君、片手は使えるんだから、ね、続けよ?」

塞「二人も困ってるんだから、ほーら!」

京太郎「……わかりましたよ」

塞「ふふ……」スリスリ

京太郎「……なんかむずむずします」

塞「私が愛をぎゅー、っていっぱい送ってるからねー」

塞「この手が離れる頃にはきっと愛で満ちてるよ!」

京太郎「……」

塞「……ぁ、の、さ……自分で言ってて恥ずかしくなっちゃったんだけど、どうすればいい……かな?」

京太郎「俺はそれ以上の恥ずかしさを受けてるので、自分で何とかしてください」

塞「……京太郎君のけちー」

京太郎「俺だって、今胸がむずむずしてどうしようもないんですよ!」

塞「私の愛が京太郎君にも伝わってるんだね、うれしいな……えへへ」

京太郎「顔真っ赤にして目を背けるくらいならやらないでください!」

塞「えっ……京太郎君、私のこと好きじゃないの……?」

京太郎「大好きですけど!」

塞「それじゃいいじゃん、ぎゅーっ!」

京太郎(……恥ずかしくて死にそう)

おしまい、おやすみなさい

おつーしかし対局している人たちの精神は大丈夫だろうか?

>>130
必死に空気になろうとしているんじゃないかな(棒)

それじゃ、はじめます

トシ「……ボウリングとか、カラオケとか」

トシ「普通にそういうのでいいじゃないか」

胡桃「……」

トシ「……ん、どうした?」

胡桃「普通だなぁ……って」

トシ「あんた達がさっさと決めないからじゃないか」

トシ「どっかに遊びに行くなら、さっさと決めたほうがいいし、遊ばないにしてもおやつとかくらい買いにいけるだろう?」

トシ「それで、どうするんだい?」

京太郎「……どうします?」

白望「パス」

エイスリン「キョウタロウノシタイコト!」

豊音「うんうん、京太郎君が主役なんだしねー」

塞「……だってさ」

京太郎「おぉぅ……」

胡桃「どうするの?」

京太郎「……」

京太郎「……んじゃ、それでいいですよ」

トシ「それって?」

京太郎「ボウリングとか、カラオケとか」

トシ「ん、わかった」

トシ「皆もそれでいいんだよね——っと」

塞「……ん?」

塞「ちょっとまって、この辺にそういう店あったっけ——」

トシ「——ああ、大丈夫大丈夫、心配しないで」

トシ「私が車で連れてってやるさ」

トシ「……ほら、ついたよ」

京太郎「……ありがとうございます」

豊音「おー……ボウリングって来るのはじめてかも!」

塞「ルールはわかる……よね?」

豊音「そりゃもう!」

豊音「いっぱい見たからねー……もう、ぐいんぐいんカーブかけちゃうよ!」

胡桃「……駄目そう」

豊音「んー?」

胡桃「いやっ、なんでもないよ!」

白望「……エイスリンはやったことある?」

エイスリン「イチオウ……」

白望「ふーん……」

エイスリン「……」

エイスリン「……ソレダケ!?」

白望「うん」

エイスリン「……ムー」

トシ「ほら、いつまでそこで話しているんだい」

トシ「時間もあまりあるわけじゃないんだから、早くきな」

京太郎「はーい」


………………。
…………。
……。


トシ「この後カラオケにも行くんだから、1ゲームにしておいたよ」

白望「……ん」

豊音「えっと、えっと、まずは球を……あれ、シューズが先の方がいいかな……?」

胡桃「や、別に自由でいいと思うけど」

京太郎「……とりあえず用意ですね」

トシ「一回しかできないんだから、一球一球大切にね」

トシ「全部ガーターなんてしゃれになんないんだし」

塞「……あれ、トシさんもやるんですか?」

トシ「そりゃ、やるに決まっているじゃないか」

トシ「引率だけだと悲しいからね」

塞「まあ、そうでしょうけど……」


誰とイベント?
>>+3

豊音「みててみてて!」

京太郎「はい、見てますよー」

豊音「ふっふっふ……姉帯選手の第一投目です!」

何か色々混じっている気がする。

姉帯さんは自身満々な表情で、それらしいポーズを取る。

そして。

豊音「せー……」

豊音「のっ!」

思い切り投げた。

まるでバウンドしそうないきおいで。

……いや、あれしてるんじゃないだろうか。

しかも、見よう見まね……全然カーブはかからない。

結局ガーターに自ら向かうような形でボールは転がっていった。

豊音「……あ、あれ?」

そりゃあ、今まで一回もやったことない人なんだから。

できなくて当たり前なのだろうけど、姉帯さんは納得いかなかったらしい。

帰ってきたボールを持って、もう一度同じように構える。

豊音「むぅ……」

豊音「に、二度も失敗したりはしないからね!」

豊音「もっとカーブをかけて……こんな感じで……ええいっ!」

今度は思い切り手首を曲げるように投げた、あぶねぇ。

やっぱり転がすというよりも投げるだった。

さっきはほとんど一直線に進んでいったが今度は多少カーブがかかる。

……が。

やはり回転が足りず、落ちてしまった。

豊音「……あう」

豊音「う、うまくいかないよー!」

塞「あはは、豊音は0点だね」

塞「次は私……っと」

豊音「んー……なんでだろ……?」

隣に座った豊音さんは小さく呟く。

京太郎「……あの」

豊音「ん?」

京太郎「なんで、カーブかけてまわそうとするんですか」

豊音「だって、皆やってたよー?」

京太郎「……」

……そりゃ、上手い人なんかはよくやっているだろう。

俺だってそういう人しか見ないし……そもそもボウリングの上手い人自体あまり見ないけど。

京太郎「……いいですか、姉帯さん、聞いてください」

豊音「……ん?」

京太郎「なんで、上手い人ってカーブかけると思いますか?」

豊音「え……わ、わかんないけどー……」

京太郎「俺もわかんないです」

豊音「ええっ!?」

京太郎「でも、それでピン全部倒すじゃないですか」

豊音「うんうん、ストライクだよねー」

豊音「パカーンって……ちょーかっこいいよー!」

京太郎「ええ」

京太郎「じゃ、真っ直ぐ投げてストライクになったらどう思います?」

豊音「かっこいいよー?」

京太郎「じゃ、カーブかけてガーターになったらどう思います?」

豊音「ん……ちょっと、かっこ悪い……かも」

京太郎「ですよね」

豊音「う、うん……それがどうしたのー?」

京太郎「……結局こういうことですよ」

京太郎「投げ方なんかよりも、ピンをいっぱい倒したほうが格好いい!」

豊音「……はっ!」

京太郎「確かに、カーブをかけていっぱい倒したらすごく格好いいでしょう」

京太郎「でも、真っ直ぐでいっぱい倒すのと、カーブでガーターになるなら……?」

豊音「真っ直ぐの方が……格好いい!}

京太郎「はい!」

京太郎「つまり、無理にカーブをかけるより、真っ直ぐ投げていっぱい倒したほうが、姉帯さんは格好いいってことです!」

豊音「そっか……」

豊音「……うん」

豊音「それなら、次は真っ直ぐで頑張ってみようかな!」

京太郎「はい、頑張ってください!」

豊音「よーっし、いくぞーっ!」

京太郎「まってください、姉帯さん!」

豊音「ん?」

京太郎「まだ、出番じゃないです!」

豊音「……」

豊音「……ふっふっふ、見ててよー?」

豊音「私の真の力を見せてあげるから!」

京太郎「はぁ……期待してます」

豊音「ふふっ!」



………………。
…………。
……。

豊音「ええいっ!」

二回目、豊音さんは思い切り……今度はカーブをかけず、真っ直ぐ投げる。

……はずなのに。

やはりそれはガーターに向かった。

豊音「む……も、もっかいだよーっ!」

二度目。

斜めに進んでいくそれは、かろうじて端の一本を倒す。

豊音「……」

豊音「……うぅ」

京太郎「や、あの、ほら、初めてですから、仕方ないですよ!」

豊音「でも、塞とかエイちゃんとか……シロだってパカーンっていっぱい倒してるのに……」

京太郎「ほら……ええと……あの、俺が教えてあげますから!」

豊音「うぅ……」

京太郎「あの、多分投げる時に斜めになっちゃってると思いますから、それを注意すれば——」



………………。
…………。
……。


豊音「やった、やった、スペアだせたよ!」

京太郎「おめでとうございます!」

運がよかったというのもあるだろうが、確かに豊音さんはスペアを出した。

少し教えるだけで……というか、そういう癖があると伝えただけで、割と真っ直ぐ進むようになった。

少しでも倒れるだけで、子供のように喜ぶ。

上達していくって言うのは確かに楽しいことだし。

豊音「えっと……ありがとうございました、須賀先生!」

豊音さんはビシ、と敬礼する。

京太郎「……ほとんど何もしてないんですけどね」

豊音「よーっし、次はもっともっと倒すぞーっ!」

……何はともあれ、楽しくなってくれたようでよかった。



豊音の好感度があがりました。

豊音「たのしかったーっ!」

塞「うんうん、楽しかった!」

ボウリング場を出て、そう姉帯さんが叫び、ついで臼沢が話す。

あまり人がいないとはいえ少し恥ずかしい」

胡桃「ええと……次はカラオケだっけ?」

京太郎「そうですね」

トシ「んとカラオケ……ああ、もう傍にあるじゃないか!」

胡桃「あ、本当だ」

トシ「んじゃ、早速入るとしますか」

エイスリン「〜♪」

塞「エイちゃん、エイちゃん、中はいったらもっといっぱい歌えるよ?」

エイスリン「ソウダッタ!」

塞「ふふっ……」

白望「……」

京太郎「……あの、鹿倉さん」

胡桃「ん?」

京太郎「小瀬川さんって歌うんですか?」

胡桃「……」

胡桃「……お察しの通りだよ!」

京太郎「やっぱり!?」

白望「……ダルいし」

胡桃「折角カラオケに行くんだから、何か歌おうよ!」

白望「……」

白望「……気が向いたら、で」

京太郎「……あはは」



>>+3
誰とイベント?

トシ「時間的に仕方ないけど、2時間ね」

トシ「後は好きに歌いな」

塞「トシさんは?」

トシ「勿論、私も歌うさ」

トシ「……おっと、演歌ばっかりだと思っては困るね」

白望(……何も言ってないけど)

トシ「私だって、最近の歌くらいなんでも知ってるさ……もう振り付けまで踊れちゃうよ?」

塞「えっ」

トシ「……冗談だよ」

豊音(あの顔冗談に見えないんだけど……?)

トシ「ほら、私は後でもいいから」

トシ「あんた達、先に入れちゃいな」

塞「ああ、わかりました……んじゃ、誰からいれる?」

胡桃「はい!」

塞「おぉ、胡桃、やる気あるね」

胡桃「私こういうの好きだからねー」

胡桃「んじゃ、貸して……んーっと、何いれよっかなー?」

京太郎「……」

胡桃「ん、どしたの、須賀君?」

京太郎「いえ、別に」

胡桃「?」


………………。
…………。
……。


胡桃「〜♪」

胡桃「〜〜っと」

胡桃「えへへ、点数は……っと」

胡桃「……あ、あれ?」

胡桃「む……意外と低かったなぁ……」

胡桃「はい、次……ええと豊音だっけ?」

豊音「受け取りました!」

豊音「いっくよーっ!」

豊音「〜〜——」

胡桃「……んー、何歌おっかなー」

胡桃「さっきの曲もう一回——は、つまんないだろうし……」

京太郎「あの、鹿倉さん」

胡桃「……ん?」

京太郎「いや……」

京太郎「……割と格好いい曲を歌うんだなぁって」

胡桃「ちょっとまって、それどういう意味?」

京太郎「あ、いや、なんでもないです、はい」

胡桃「須賀君、ねぇ須賀君?」

京太郎「いや、別に、あの、ちょっと口がすべったんで……」

胡桃「口がすべったって、何か思うことあったって事だよね!?」

京太郎「あはは、まさか、うん、そんなわけ、ないじゃないですか、うん」

胡桃「こっちむいてよ!」

京太郎「あははー」

胡桃「……」

胡桃「……どうせ、私がアニメの曲でも歌うと思ったんでしょ?」

京太郎「まさか」

胡桃「それも、ドラえもんとかアンパンマンとか」

京太郎「まさか」

胡桃「慎重的にそうだろうなーって、思ったでしょ」

京太郎「まさか」

胡桃「……」

京太郎「……」

胡桃「……じー」

京太郎「……はい、ごめんなさい」

胡桃「まったく!」

胡桃「私は高校生なんだよ!」

京太郎「しかも先輩ですよね」

胡桃「そうそう!」

胡桃「なのに、ちっちゃいだけでそういう扱いっておかしくないかな!」

京太郎「……いや、わかってるんですよ」

京太郎「でも……なんていうか、パッと見……ね?」

胡桃「ね、じゃなくて!」

胡桃「人を外見だけで決めるのはどうかと思います!」

京太郎「……まあ、内面をあまり知らないですし、外見で決め付けても申し訳ないですよね」

胡桃「その前に私自身のステータスを見てくれないかな!」

京太郎「身長を見た結果です!」

胡桃「開き直らないで!」

胡桃「……まったく、私の中身をしらなすぎ!」

京太郎「そりゃ、まだ一週間ですし」

胡桃「だからって、内面小学生——いや、園児なんて一回も見せた覚えないんだけど!」

胡桃「むしろ、もっとおねーさんおねーさんしてたとおもうな!」

京太郎「……おねーさんおねーさん?」

胡桃「あ、それはあまり気にしないで」

胡桃「……ともかく」

胡桃「いい加減そういう弄り倒しはもう聞き飽きたし」

胡桃「やめて?」

京太郎「……」

胡桃「……ん、どしたの?」

京太郎「いや、なんていうか頭を撫でてやりたい衝動に——」

胡桃「子ども扱いしないでってば!」

京太郎「いや、でも身長的に——」

胡桃「無限ループ!」

胡桃「……むー」

胡桃「しまいには怒るよ!」

京太郎「まだ怒ってないんですか」

胡桃「堪忍袋の緒が残り繊維一本で結ばれてる状態だよ!」

京太郎「あ、ごめんなさい」

胡桃「……謝っても許さない」

京太郎「えっ」

胡桃「これからはもっと私をおねーちゃん扱いすること!」

京太郎「……はい?」

胡桃「ふふん……こうしたら、須賀君も私をそんな目で見なくなると思うしね」

京太郎「ええと……そうなんですか、お姉ちゃん」

胡桃「……ぅ」

胡桃「…………ごめん、間違えた」

胡桃「えっと……ともかく、先輩扱いをしなさい!」

京太郎「はぁ……」

胡桃「そんなわけで、先輩のためにジュース持ってきなさい!」

京太郎「それなんてパシリ!?」

胡桃「おーおー……先輩の言うことが聞けないって言うのかー……?」フンゾリカエリッ

京太郎(……やっぱ子供みたい)


胡桃の好感度が上がりました。

白望「……」

塞「……結局、本当に歌わなかったね」

白望「……楽しかったよ?」

塞「や、えっと……うーん……?」

豊音「須賀君はー?」

京太郎「楽しかったですよ」

豊音「ん、そっかー」

胡桃「よかったよかった、ね?」

エイスリン「ウン!」

エイスリン「タノシカッタ、スゴク!」

京太郎「俺もすっごく楽しかったです!」

トシ「あはは、皆まだ全然疲れてないみたいだね」

トシ「どうする、この後どこかによる?」

白望「ダルい」

トシ「……そうかい」

トシ「それじゃ、真っ直ぐ帰るよ」

皆「はーい」

トシ「……」

塞「……あ、そだ、須賀君須賀君」

塞「折角だから、メアド交換しない?」

京太郎「メアド……ですか?」

塞「そそ」

塞「部活の報告なんかもできるし……ね?」

京太郎「勿論、断るわけないですよ」

塞「そか、よかった」

塞「それじゃ、京太郎君の携帯貸して」

京太郎「ああ、はい、どうぞ」

塞「ありがとー」

塞「えっと、ここをこうして……」

豊音「……塞ばっかりずるいよー」

エイスリン「ウン」コクコク

エイスリン「ワタシモ、コウカン!」

塞「んー……なら、折角だから皆交換しちゃう?」

胡桃「ん……そだねー」

胡桃「知り合いが増えるのは嫌ってわけでもないし」

塞「そうそう」

塞「んじゃ、皆交換しちゃおーっ!」

京太郎(……俺のいないところで勝手に進んでる)

トシ(……私は?)

白望「……ん」

白望「私も終わったよ」

塞「んー」

塞「……っと、これで全員分終わったね」

塞「はい、須賀君」

京太郎「あ、はい、ありがとうございます」

トシ「……これも」

京太郎「わかってますって」

トシ「……ほ」

胡桃「いつでもメールしてね」

胡桃「どんなことでも相談に乗ってあげるから」

胡桃「先輩としてね!」

豊音「私も私も!」

豊音「どんなことでも教えてもらってあげるから!」

胡桃「それ、何か違う!?」

白望「……まぁ」

白望「ダルくなかったら返信くらいする……かも」

エイスリン「エト……アマリ、ウマクナイ、ケド」

エイスリン「ガンバル!」

塞「……あ、あれ、これ私も……だよね?」

塞「うん、えっと……抱腹絶倒もののメールしてあげるから!」

塞「……あ、ごめん、嘘、そんなに面白くもないかもしれないけど……」

京太郎「あ、ありがとうございます……」

京太郎「……あはは、すごいうれしいです」

塞「ん、それならよかった」

京太郎「……本当、この部活に入ってよかったです」

京太郎「おかげで、楽しく過ごせそうですから」

豊音「……それは私たちもだよー」

塞「何度も言うようだけどね、ふふっ」

京太郎「……んじゃ、今日が最後ですね」

胡桃「そうそう、もう歓迎会も終ったんだから」

エイスリン「トモダチ……ト、コウハイ!」

京太郎「ええ」

京太郎「……じゃ、最後に一つ」

京太郎「今日はありがとうございました」

京太郎「それで、これからよろしくお願いします!」

京太郎「それじゃ、ありがとうございましたー」

トシ「ん、どういたしまして」

豊音「また明日ねー」

胡桃「た明日ねー」

塞「明日ねー」

白望「……日ね」

エイスリン「ネー!」

京太郎「なんですか、その無駄なエコー」

豊音「あははっ!」

トシ「……んじゃ、次行くから」

トシ「また明日」

京太郎「ええ」



………………。
…………。
……。



京太郎「……ふぅ」

京太郎「楽しかったなぁ……」

京太郎「……」

京太郎「……折角メアドもらったんだし、誰かにメールしてみようかな?」


>>+4

京太郎「……んと」

京太郎「一番最初にもらったんだし——臼沢さんにでもメールしてみるか」

京太郎「ええと……今日はありがとうございました……っと」

『いえいえ、どういたしましてー』

京太郎「もう家に着きました?……っと」

『あはは、もうあれから結構時間経ってるよ?』

『お風呂はいってー、寝る準備もしてー』

『いざお休み!——ってところでメール来たの』

京太郎「こんな時間に寝るんですか!?……っと」

『えへへっ、早寝早起きは美容の素……ってね!』

『……まあ、今日はなんだか疲れちゃったから早く寝たかっただけなんだけど』

『やることもないしー』

京太郎「……邪魔しちゃいました?……っと」

『まさか!』

『やることがなかったらもうちょっと起きてただろうし』

『お話くらいなら付き合ってあげるよ?』

『須賀君も暇なんでしょ?』

京太郎「ん……そうですね……っと」

『はい、決まり!』

『……それじゃ、何のお話しよっか?」

京太郎「んー……」


>>+3
何を話す?

京太郎「麻雀部って普段どんな練習してるんですか?……っと」

『やっぱり不安?』

京太郎「不安って言うか……気になるなぁって……っと」

『そっかー』

『んー……どんな練習っていってもなぁ……』

『トシさんに色々教わりながら何回も対局するくらいじゃないかな』

京太郎「……そうなんですか……っと」

『いや、でも、大変なんだよ?』

『言われたことをきちんとできるまで、何回も何回もやらされるからね!』

『須賀君も覚悟しておいたほうがいいかもよ……くふふ』

京太郎「……き、きっと初心者には優しくなってくれますよ……っと」

『そうだといいけどねー』

『ああ見えてスパルタだよ……須賀君なんかすぐやめちゃうかも!』

京太郎「えっ——」

『嘘、冗談、言いすぎた!』

『だから、やめないで、ね、ね、ね!』

返信をする前にもう一通メールがきた。

京太郎「……そんな必死にならなくても……っと」

『いや、だって、折角こんな歓迎パーティまで開いたのに、やめられたら……悲しいんだもん』

『それに、ちょっと私も脅かしすぎたかなーってところもあったし』

『だから、えっと、あの、違う、そんなスパルタじゃなくて、アットホームな部活だから、大丈夫!』

京太郎「わかってますよ」

京太郎「今日、その片鱗にたくさん触れていたんですから……っと」

『そ、そう……よかったぁ……』

『うんうん、楽しいよ、トシさんも無理を強いたりはしないしね』

京太郎「言ってることがさっきと真逆ですけどね……っと」

『き、気にしない!』

『……まあ、ともかく』

『しっかりと指導してくれるいい先生だから、きっと須賀君もすぐ上手くなるよ』

京太郎「そうですか……っと」

『そうとも!』

『明日から楽しみだね!』

京太郎「ええ……やっぱり不安半分ですけどね……っと」

『だーいじょーうぶっ』

『私がついててあげるから!』

『部長さんをたよんなさいっ!』

京太郎「……」

京太郎「……具体的にどう頼ればいいんですか?……っと」

『あっ、それは、えっと——」


塞の好感度が上がりました。

本編おしまい

何か小ネタ書きます>>+2

京太郎が豊音を豊姉ってよんで狂喜乱舞する豊音

あ、阿智賀の方と間違えた
すまんな

>>186


京太郎「くぅ……くぅ……」

豊音「京太郎くーんっ!」

豊音「……」

豊音「……あ、あれ、京太郎君寝ちゃってる?」

京太郎「すぅ……すぅ……」

豊音「おーい、京太郎くーん!」

豊音「京太郎君ってばーっ!」

豊音「こんなところで寝てると風邪引いちゃうよー!」

京太郎「ん……んむ……」

豊音「おきてってばーっ!」ユサユサ

京太郎「う……ぁぅ……」

京太郎「……んー?」ゴシゴシ

豊音「おはよ、京太郎君!」

京太郎「……ぁー」

京太郎「おはよ……豊姉」

豊音「……へ?」

京太郎「……ん?」

豊音「えっと……いま、なんていった、京太郎君?」

京太郎「ん……いや、だから豊姉って……」

京太郎「……別人?」

豊音「ううん、姉帯豊音だよ!」

京太郎「うん……豊姉だよな」

豊音「」

京太郎「……豊姉?」

豊音「きょ……きょうたろ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」ダキッ

京太郎「ぎにゃっ!?」

豊音「うんうん、おねーちゃんは京太郎に豊音って呼んでもらってちょーうれしいよーっ!」

京太郎「いたっ、いたた……あ、あれ、痛い!?」

京太郎「え、何、これ、まさか現実!?」

豊音「あははっ、おねーちゃん、おねーちゃんだぞーっ!」

京太郎「ちょっ、まっ、ギブ、ギブ!」

豊音「えへへ……豊姉……豊姉……」

京太郎「や、あの、聞いてくださいって、豊音さん」

京太郎「その……夢見てたんですよ、俺が弟で、豊音さんが姉の」

京太郎「で、そこでは、俺そんな風に呼んでいて」

京太郎「だから、えっと……」

豊音「豊姉……かぁ……えへへっ」

京太郎「そ、そう……えっと、なんていうか」

京太郎「先生のことをお母さんって呼んでいるようなもので」

京太郎「だから——」

豊音「——ううん、夢なんかじゃないよー?」

京太郎「……は?」

豊音「あのね、京太郎と私はね、本当の本当に姉弟なの」

豊音「だから、こんなになかよくて、一緒に遊んで……一緒の家に住んだりもして」

豊音「えへ……えへへ、えへへへへ」

京太郎「ストップ豊音さん、返ってきてください!」

豊音「豊姉」

豊音「……でしょ?」

京太郎「や、だからそれは夢の話で——」

豊音「呼んでくれないの?」

京太郎「う……」

豊音「うぅ……おねーちゃん悲しくて泣いちゃうかも……」

京太郎「わ、わかりましたよ!」

京太郎「……豊姉」

豊音「わぁ!」

豊音「ちょーうれしいよーっ!」

京太郎「いたい、だから、強く抱きすぎですってば!」

豊音「おねーちゃんが弟君を愛するなんて当然ですっ!」

豊音「……でも、痛そうだから、もうちょっと弱めるよー」

京太郎「あ」

豊音「どう、気持ちいい?」

京太郎「……」

京太郎「……包まれてる感じがして、気持ちいいです」

豊音「おねーちゃんだからねー」

豊音「ふふっ、いつでも豊姉に甘えていいんだよ!」

京太郎「……」

豊音「えへへ……豊姉……豊姉……」

京太郎(……うれしいけど、正直夢なら覚めてほしい)


おしまい

>>187
気にしなくても大丈夫ですよ


それでは、今日もお付き合いありがとうございましたー

はじめますー

ピピピ、という音で目を覚ます。

いつもより少し遅い……いつもの日曜よりは少し早い。

まだ寝ていたいと体は話すけど、無理やり動かして腕を天井に向けて伸ばすと、ぱきぱきと小気味よいおとがなった。

京太郎「ん……っ」

一度布団から出てしまえばあとは楽なもので、流れ作業的に着替えを終らせる。

学校へ行くのだから、私服は許されない。

たとえ、それが朝練のためだったとしても。

京太郎「……」

……なんなら、週明けの月曜に提出した方が楽だったかもしれない。

まあ、それはそれとして。

京太郎「……っと」

京太郎「おはよ、母さん」

母「ん、おはよ、京太郎」

母「朝食できてるよ」

京太郎「サンキュ」

母「朝練だってね……ふふっ」

京太郎「……何?」

母「ううん、別に」

母「なじめているようでよかったな……って」

京太郎「……本当だよ」

京太郎「一時期はすっげー不安だったんだけどな」

母「うんうん」

母「居場所があるって言うのはいいことよね」

母「どこにもなかったら私だったらもう学校辞めちゃうわ」

京太郎「仮にそうだったしたら、許した?」

母「さぁ?」

京太郎「……そんなもんだろうけど」

でも、ま、確かに。

クラスにも、放課後にも、居場所ができている。

どこかに溶け込める。

一人ぼっちじゃないって言うのは結構安心するよなぁ。

……。

……事実、一人ぼっちになったことなんてないから、何もいえないけれど。


>>+5
宮守5人から1人選択してください

京太郎「いってきます」

母「いってらっしゃい」

玄関を出て、まだなれない通学路を歩く。

……三分程度歩いて、さっきまでの考えがまた脳に浮かんできた。

一人ぼっち……ってどのくらい寂しいのだろう。

まさか食わず嫌いのようなものでもあるまいし。

それに、少なからず幼馴染みはいたから。

だからこそ、一人でいる恐怖はしらない。

どんなものなのだろう。

味わってみたくないけど。

ループ、無限ループ。

ある種負の循環のようなものなのかもしれない。

ああ、気持ちのいい朝のはずなのに、なんだかもやもやしたものが貯まっていく。

京太郎「……あ」

視線の先。

豊音さんが見えた。

おそらく、あの背の高さと髪の毛の色は彼女の物だ、間違えるはずもない。

……折角だ、この無意味な考えから抜け出すためにも話しかけてみよう。

京太郎「豊音さーんっ!」

豊音「ん……あっ!」

豊音「京太郎君だ、おはよーっ!」

京太郎「はい、おはようございまーすっ!」

少し駆け足で彼女の下へと向かった。

京太郎「おはようございます」

豊音「ふふっ、おはよー」

豊音「ちゃんと起きれたんだねー」

京太郎「あはは……今日がある意味初めての部活ですからね」

豊音「あ、そっか」

豊音「……もう一週間くらい一緒にやっている感じだよー」

京太郎「見学として一緒にやってるんですけどね」

豊音「ほんとだ」

ふわり、と柔らかい笑みを浮かべた。

とても安心したような表情……頬を伸ばしてやりたい衝動に駆られる。

豊音「一緒にいくー?」

京太郎「ここまで話しておいて一緒にいかないとでも?」

豊音「それもそうだね」

くすり、と笑って、同じ方向に二人、歩き出した。

豊音「〜♪」

京太郎「……ご機嫌ですね」

豊音「そりゃ、もう!」

豊音「二人で登校なんて初めてだよー!」

京太郎「あ、そうなんですか?」

豊音「うん!」

豊音「だから、京太郎君は私の初めての人だね!」

京太郎「うん、その言い方やめましょうか」

確実に誤解される。

豊音「〜♪」

京太郎「……そういえば、豊音さん」

豊音「ん〜?」

京太郎「この前、友達が増えるの楽しいっていってたじゃないですか」

豊音「うんうん!」

豊音「須賀君とだって、友達になりたいよー」

京太郎「それなんですけど」

京太郎「どうしたら友達になれるんですか?」

豊音「……」

京太郎「……豊音さん?」

豊音「うーん……一緒に遊んだだけ……だと、やっぱり軽いのかな……?」

豊音「それなら家で遊ぶとか……?」

豊音「……」

豊音「……そ、それだと私友達、全然——」

京太郎「——あのー」

豊音「は、はっ!」

豊音「えっと……その……」

豊音「わ、私が友達だと思ったら!」

京太郎「……」

その条件を聞いたつもりだったのだけど。

京太郎「……じゃ、俺ってどうなんですか?」

気になった点はそこだ。

あんなにもスキンシップ過剰に、明るい表情を見せてくれるのだから。

勘違い……とは違うと思うけれど、少し気になってしまった。

豊音「んー……」

豊音「須賀君はまだ後輩かな」

京太郎「そうですか」

豊音「後輩……な、なんか響きいいかも!」

豊音「ね、ね、先輩って呼んでみて!」

京太郎「……」

京太郎「姉帯先輩?」

豊音「……」

京太郎「……あのー」

豊音「……ちょっと、かんどー」

京太郎「えっ」

豊音「えへへっ、今日も頑張ろうね、後輩君!」

京太郎「は、はぁ……」

よくわからないまま豊音さんは前を向いてしまった。

ただ、その横顔はさっきよりもさらにほころんでいた。


豊音の好感度があがりました。

豊音「おっはよーっ!」

京太郎「おはようございます」

白望「……おはよ」

豊音「……あれ、シロ一人?」

白望「……ううん」

豊音「えっ……じゃ、じゃあどこに隠れてるのかなー……?」

白望「……そうじゃなくて」

塞「うぅ……寒い寒い……わっ、豊音に須賀君!」

京太郎「あ、おはようございます」

塞「え、あ、うん、おはよ」

豊音「どこいってたのー?」

塞「えっ、そ、それは……」

塞「……ど、どこだっていいじゃない!」

豊音「?」

エイスリン「オハヨウゴザイマス!」

白望「……あ、エイスリン」

エイスリン「オハヨウゴザイマス!」

白望「……格好?」

京太郎「おはようございます、エイスリンさん」

エイスリン「!」

エイスリン「キョウタロウ、イル!」

京太郎「ええ……ほら、一応昨日部に入ったわけですし」

エイスリン「ソッカ」

エイスリン「……」チラッ

京太郎「ん……ああ」

京太郎「あの絵、結局かざったんですね」

エイスリン「オキニイリ!」

エイスリン「ミンナ、イッショニ、ミル」

京太郎「……なるほど」

胡桃「ふぁ……おはよー」

塞「おっ、先輩さんも来たね」

豊音「委員長さんなのに寝坊するんだねー」

胡桃「別に委員長じゃないよ!」

胡桃「……あ、でも学級委員長はやってるし……ん……?」

白望「……全員」

エイスリン「トシ!」

白望「そうじゃなくて……や…………そっか」

トシ「おはよ……っと」

トシ「ん、皆揃ってるね」

胡桃「番号、1!」

白望「……」

胡桃「何かいってよ!?」

白望「……ダルいし」

トシ「そんなことしなくたって皆見えているよ」

トシ「……さ、それじゃ今日もはじめようか」

トシ「須賀君には話したいことがあるから抜けてもらうとして」

京太郎「えっ」

トシ「他4人、適当に入りな」

京太郎「話したいことってなんですか?」

トシ「ああ、何、そんな緊張することじゃない」

トシ「新入部員の君に他愛のない話をするだけさ」

京太郎「……?」

トシ「ねぇ、須賀君、君は信じるかい?」

トシ「オカルトを」

京太郎「……オカルト?」

トシ「超能力でも、心霊現象でも、神秘的現象でもなんだっていい」

トシ「霊、神、妖怪、どれだっていい」

トシ「一般的にはないとされるそれらの存在を、信じるかい?」

京太郎「……」

京太郎「……あの、いきなりなんなんですか?」

トシ「大事な話さ」

京太郎「……まあ、あったら面白いかもしれないですけど」

トシ「そうかい」

トシ「それなら、話は少しだけ早くなるね、君が納得さえしてくれれば」

京太郎「……は?」

トシ「簡単な話さ」

トシ「それらは確かに存在する」

トシ「それは、今ここにだって」

京太郎「……」

京太郎「……あの、よくわからないんですけど」

トシ「よくわからないものなのさ、オカルトなんて」

トシ「性質から目覚める人もいれば、生まれつき目覚める人だっている」

トシ「そういうもんさ」

京太郎「……」

トシ「……あはは、余計顔が難しくなってるよ」

京太郎「だって、難しいんですもん」

トシ「簡単な話だっていったじゃないか」

トシ「まだ本題にすら入ってないけれど」

京太郎「入ってくださいよ!}

トシ「……仕方ないねぇ」

トシ「やれやれ、まったく……最近の若者はせっかちでこまるよ……」

京太郎「……」

トシ「……それじゃ、本題、これが一番伝えたいことさ」

トシ「君を除く部員」

トシ「五人には確かにオカルト——能力が存在する」

京太郎「……」

京太郎「……あの、ごめんなさい、よくわかりません」

トシ「そうだろうねぇ」

京太郎「無理やり納得したほうがいいんでしょうか?」

トシ「ん……」

トシ「それもいいけど……現実に見ていたほうが面白いかもしれないね」

トシ「もしくは本人から聞くか」

トシ「……ほら、丁度一人余っているじゃないか」

京太郎「……」



>>+5
誰が余っている?

トシ「豊音、豊音」

豊音「んー?」

とてとて、と卓をじぃと見つめていた姉帯さんがこちらにやってきた。

豊音「どしたの、トシさん、それと後輩君」

トシ「……後輩君?」

京太郎「まだ続いていたんですか、それ」

豊音「響きが気持ちいいんだもん」

豊音「ちょー気にいったよー!」

京太郎「……ま、いいですけど」

豊音「それで、何の用ですか?」

トシ「ああ、えっと」

トシ「豊音の能力について、話してやりな」

豊音「……後輩君に?」

トシ「須賀君に」

豊音「了解です!」

京太郎「……ええと、よろしくお願いします」

豊音「先輩」

京樽緒「……よろしくお願いします、先輩」

豊音「えへへっ!」

喜んでくれるのは何よりだが、友達からはどんどん離れている気がする。

豊音「それで、えっと……私の話だよね」

京太郎「そう……ですね」

京太郎「他、出来れば皆のも知りたいんですけど」

豊音「ん〜……自分のことじゃないから、伝え聞いたくらいしか話せないけれど」

豊音「えっと……シロは迷ったら打点が上がってー、エイスリンさんは思い描いた理想の手をそろえることができてー」

豊音「胡桃がダマ和了りが得意でー、それで、塞が能力を塞ぐの!」

京太郎「」

豊音「すっ、須賀君、魂が抜けてるよ!」

京太郎「……ああ、すいません、現実逃避してました」

豊音「えぇっ!?」

京太郎「気にしないでください、大丈夫です、続けて続けて」

豊音「あ……うん……」

豊音「んーっと、私が四人について知っているのはそれくらい」

豊音「それで私の話だけどね」

豊音「なんでも……六曜の力を借りてるんだって」

京太郎「……六曜?」

豊音「六曜」

豊音「友引とかー、先負とかー、聞いたことはあるでしょ?」

京太郎「あ……はい」

よく意味はしらないけれど。

突然の京樽緒で草不可避

豊音「えっと……例えばさ、先に誰かがリーチしたりするでしょ?」

京太郎「はぁ……」

豊音「そんな時、追っかけ〜ってやると、私が先に和了れる——それが先負だったりー」

京太郎「」

豊音「すっ、須賀君!?」

京太郎「……」

京太郎「……世界って広いんですね」

豊音「悟ってるよ、須賀君!?」

トシ「そう、世界は広いのさ」

トシ「この無尽蔵に広い世界」

トシ「火のないところに煙が立たないように——確かにオカルトは存在するんだよ」

京太郎「へぇ……」

トシ「あはは、まだ難しかったかね」

京太郎「そりゃ、もう……あらかじめ注意書きを食らっておかなきゃ、黄色い救急車呼ぶところでしたよ」

豊音「ひっ、ひどいよ!?」

豊音「むぅ……本当に本当なんだから!」

豊音「見てて、次、やってあげるから!」

京太郎「はぁ……」

白望「……んじゃ、私と交換ということで」

豊音「もう終ったの!?」

エイスリン「カッタ!」

塞「今日のエイちゃんはなんかすごかったからねー」

エイスリン「エヘン!」

エイスリン「ツギモ、カツ、ヨ!」

胡桃「む……次は負けないよ!」

豊音「シロの仇は私がとってあげるよー!」

塞「んじゃ、用意して——」

トシ「——須賀君」

ナチュラルにスルーされているなぁ、と思ったところで、熊倉さんが声をかけてきた。

今度は小瀬川さんを呼ばないらしい、ソファで寝そべる彼女に見向きもしない。

トシ「話の続き」

ああ、そうか、終ってなかったのか。

トシ「君は、今の話を聞いてどう思った?」

京太郎「……正直、馬鹿らしいと思いましたよ」

京太郎「本当にそんなのあるのかって」

トシ「あはは……まあ、あの対局を見てればわかるんだけどね」

京太郎「こうして、見せてくれないので」

トシ「お、皮肉かい?」

京太郎「いえ、別に」

トシ「……まあ、なんだっていいさ」

トシ「ただ言うことは一つ」

トシ「あれは、必ずしも麻雀においてのみ通用するというわけじゃないということ」

京太郎「……」

トシ「日常生活でも立派に機能しているんだよ、彼女達のオカルトは」

トシ「それは時に自らを助けるけど、時に窮地を自らに課すものなんだ」

トシ「信じられないかい?」

京太郎「ええ」

トシ「即答かい」

京太郎「ダマ和了が得意な能力なんてどう日常生活に役立てるんですか」

トシ「あはは、あれは完璧な説明じゃないよ」

トシ「本当はもっと別の所にあるのさ、そうなる所以は」

トシ「胡桃だけじゃないよ、誰だってそうさ」

トシ「あの説明が全てじゃない」

京太郎「……」

トシ「世界っていうのはね、広いんだ」

トシ「君の知っている世界と君の知らない世界、比べ合わせたら君の知っている世界なんて粕みたいなもんだよ」

トシ「だから、当然、君の知らないことだってたくさんある、それはもう無尽蔵に、無制限に」

トシ「その一つさ、オカルトっていうのは」

京太郎「……実在するんですよね」

トシ「見ればわかるよ、ほら、そろそろはじまる」

トシ「だから、最後に一つだけ言わせて貰うよ」

トシ「覚えておきな、須賀君」

トシ「世界には君が思っているより不思議で溢れているのさ」



豊音の好感度があがりました。

>>230
すまぬ……

今日はこれでおしまい
若干のネタバレになるかもしれませんが、どのルートに進んでもオカルト要素が多少なりとも絡んでくるので、あらかじめご了承ください。

それでは、お付き合いありがとうございましたー

重くなるのかな……乙

>>238
少なくともEDまでずっと平らな道……ということは無いはずです。
無いはずです。


それでは、のんびりとはじめます。

……さて言われるがままに卓の様子を見ていた。

勿論、ルール把握という名目はある。

なので、5回の闘牌の間に、5人の後ろに立って、ルールを教わっていた。

……なるほど、確かに。

姉帯さんの言う通り、それぞれが運とは思えないようなことをやってのけていた。

それでも、ありえないことじゃない。

よほど運がよければできないことじゃない。

ただ、まあその運というのが、ほとんどありえない確率なのだけど。

豊音「……それ、ロンだよー」

例えば、今、彼女はロン和了りをした。

追っかけリーチ。

これで3度目の追っかけでの和了りである。

ありえないことじゃない。

ありえないことではないのだけど。

豊音「どう?」

振り返って姉帯さんは俺に尋ねた。

豊音「ほんとでしょー?」

京太郎「……ええ、本当ですね」

そんな確率を信じるくらいなら、能力を信じたほうが話は早い。

京太郎「……なんかすごいですね」

豊音「そ、そう?」

豊音「えへへ」

まるで自分が褒められたように——いや、褒めているのか。

ただ、俺の間隔で言えば豊音さんがすごいわけではなく。

その能力が存在することがすごいだけで。

……や、確かに姉帯さんもすごいと思うけれど。

トシ「……それじゃ、そろそろ須賀君入ってみる?」

京太郎「……まあ、ずっと見るだけっていうのもつまらないですし」

京太郎「ちょっとはやってみたいです」

トシ「だってさ」

京太郎「ええと……あの、いいですか?」

塞「部員いじめなんてしないよ、ね?」

豊音「うんうん!」

京太郎「よかった……それじゃ、ええと……」

胡桃「あ、私が変わるよ」

京太郎「いいんですか?」

胡桃「勿論!」

胡桃「先輩として、須賀君にいっぱい教えてあげる!」

京太郎「それはどうも、ありがとうございます」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


胡桃「どう、どうだった、私の教え方?」

京太郎「ああ、すごくわかりやすかったです」

京太郎「さすが先輩ですね」

胡桃「ふふん!」

塞「……威張ってる園児と先生の図?」

豊音「もうちょっと小さいんじゃないかな……小学校低学年と、体育教師みたいな!」

胡桃「そこ、二人ともうるさいよ!」

エイスリン「……!」

胡桃「エイちゃんは書こうとしない!」

エイスリン「バレタ……!?」

白望「……」

胡桃「シロも妄想しない!」

白望「……してない、けど」

胡桃「まったく……」

胡桃「ひどい話だよね、須賀君」

胡桃「私だって先輩なのに、ね!」

京太郎「そうですね」

胡桃「ほら!」

胡桃「後輩の須賀君がこんなに優しいのに——いや、これが普通なんだけど、先輩だし」

胡桃「ともかく、みんな汚れすぎだよ!」

エイスリン「……オフロ、ハイル?」

胡桃「そうじゃなくて!」

胡桃「まったくもう!」

エイスリン「?」

豊音「大丈夫だよー、エイスリンさんは綺麗だよー」

エイスリン「ン……アリガト」

エイスリン「トヨネモキレイ、ダヨ?」

豊音「えへへ……褒めてもらえるとうれしいなー」

白望「……はぁ」

塞(天然二人……?)

白望「それで」

白望「今度はどうするの?」

胡桃「あ、そっか……」

胡桃「ええと……んじゃ、次私打ちたいし……休んでたシロも打つとして……須賀君もはいるから……」

塞「……んじゃ、残った人枠はじゃんけんかな?」

豊音「勝った人が残るの?」

塞「そーそー」

塞「それじゃ——」

トシ「——そんなわけで、今日の練習終了だね」

京太郎「時間ってあっという間に過ぎるんですね」

京太郎「閃光のようにかけぬけていきましたよ」

トシ「そんなに楽しかったのかい?」

京太郎「……や、楽しかったですけど」

トシ「あはは、それはよかった」

トシ「それじゃ適当に帰り支度して帰りな」



………………。
…………。
……。



塞「須賀君、須賀君」

京太郎「あ、はい、なんでしょうか?」

塞「午後、暇?」

京太郎「……ええ、暇ですよ?」

塞「いや、皆で遊ぼうっていう話になっててね」

京太郎「あぁ……えっと、混ざっていいんですか?」

塞「だからいじめたりしないって!」

京太郎「ああ、すいません」

塞「皆来るっていってるんだけど、京太郎君はどうする?」

京太郎「……参加したい……ですけど」

塞「何か用事?」

京太郎「いえ」

京太郎「どこで遊ぶのかな、と」

塞「ああ、私の家」

京太郎「……へ?」

塞「今日お父さんもお母さんもいなくて、暇で暇で……」

塞「だから皆でどんちゃん騒ぎしようと思ってたんだけど、どうかな?」

京太郎「……ええと、家、どこにあるか知らないんですけど」

塞「あははっ、そんなのわかってるって」

京太郎「わかってるのにそこへ向かわせるんですか!?」

塞「……あのさ、私ってそんなに馬鹿に見える?」

京太郎「ノリのいい人だとはおもってます」

塞「馬鹿のふりをしろと!?」

塞「そうじゃなくて……うん」

塞「それじゃ、校門前で待ってて」

塞「つれてくから、ね?」

京太郎「……わかりました」

塞「よし、決まりっ!」

塞「じゃ、そういうことだから、午後もよろしくっ!」

>>+5
キャラ一人指定

別れて。

昼飯を食べて。

……後からメールで受け取った、時間にあわせて家を出る。

制服であるいた道を私服で歩くのは、なんだかちょっと不思議な感覚。

京太郎「……」

一人だからのんびりと……音楽でも聴きながら歩く。

いや、待ち合わせなんだからもっと早く行けよ……という話ではあるが。

だがまあいつものペースで歩いて15分前くらいにつくようには歩いているんだ。

……。

……デートかよ。

京太郎「……」

日曜の昼時ではあるが……だからこそ、人をあまり見ない。

いたところでどうするわけでもないけれど。

なんて、考えてはそれを否定するように頭が働く。

さっさと校門前に行こう、とひたすらのそのそと歩く。

……やがて、予定した時刻、丁度15分前に。

校門前をじぃと見つめてもあの赤い髪は見えない。

……遠くから見て、一目で分かりそうな真っ赤な色なんだから、まさか間違えるはずが無い。

遭難した時とかに便利そうだな。

京太郎「……ふぅ」

息を吐いて、校門に体を預けた。

ええと……あと15分程度はこのまま……まあ4曲だ。

きっとすぐだろう、歌っていればなおさら早いかもしれない。

京太郎「……んー」

小さく、鼻歌で歌いだす。

人はいない、大丈夫、大丈夫。

……。

……塞さんの家……かぁ。

よくおよばれされたな、俺。

嬉しいけれど、恥ずかしい。

……。

……なんだろう、早く来てほしい気持ちと、もうドタキャンしてほしい気持ちの2つがせめぎあってる。

京太郎「んー……」

気を紛らすように鼻歌をつよくする。

曲に耳を傾け、没頭する。

そして、目を閉じだ——。

塞「あ、須賀君!」

京太郎「」ビクッ

が、耳に入った声ですぐ目を開いた。

よかった、イヤホンを片耳からはずしておいて。

塞「はやかったねぇ……」

京太郎「いや……あはは」

京太郎「なんていうか、遅れたら申し訳ないなぁ、と思いまして」

塞「あはは、そんなに緊張しなくてもいいのに」

京太郎「いや、緊張しますって」

塞「ん、なんで?」

京太郎「……」

塞「じー……」

京太郎「……や、知り合ったばかりの女性の家ですし」

塞「……ふーん」

京太郎「なんですか」

塞「ううん、須賀君も男の子なんだなーって」

京太郎「こんな女の子がいたらどう思いますか」

塞「うわっ……がたいよすぎ……!」

京太郎「そうなるんですか!?」

塞「ま、冗談として」

塞「別に気にしなくていいよ」

京太郎「そういう言葉が気にさせる要因になってるんですか」

塞「あはは、そうならごめんごめん」

塞「でもさ、本当に気にしないってば……ほら、見て、私の顔」

京太郎「ん?」

塞「赤くないでしょ?」

京太郎「……んん?」

塞「ほら、視線を上に曲げないで、私の頬を見てみて」

京太郎「……」

塞「……あはは、須賀君の方が真っ赤だね」

京太郎「な……っ」

塞「だーいじょうぶ、とって食ったりなんてしないって」

塞「つーか、7人もいるのにとって食えやしないって」

塞「須賀君も、さ?」

京太郎「や、まあそうですけど……」

塞「だからだーいじょうぶ、大丈夫」

塞「間違いなんて起きっこないから、さ、ね?」

塞「そんな恥ずかしがらないで、いこっ!」

京太郎「は、はい……」

塞「んじゃ、私についてきてねー!」

京太郎「……」

……そういう問題じゃないんだけどなぁ。


塞の好感度が上がりました。

塞「ただいまー!」

京太郎「ええと、お邪魔します」

玄関に靴は4足。

もうみんな来ているようだ。

塞「よい……しょっと!」

塞「ささ、須賀君も入って入って」

京太郎「あ、ああ、はい……」

……やはり、なんだか緊張する。

塞「んじゃ、こっち」

京太郎「……」

塞「……あ、部屋にはいれないからね」

京太郎「わかってますよ」

塞「ならいいけど」

塞「ここ、リビング……もう皆揃ってるよ?」

京太郎「玄関みればなんとなくわかります」

塞「あはは、そりゃそうだ」

塞「んじゃ、どうぞー」

臼沢さんがそこのドアを開いた。

中にはお菓子を食べる二人と。

寝そべる一人と。

お絵かきする一人と。

完全に無法地帯だった。

豊音「あ、須賀君、こんにちはー!」

京太郎「ええ、こんにちは」

胡桃「食べる、美味しいよ?」

京太郎「……」

塞「なんで私の顔を見るのさ」

塞「あれ私が買ってきたものじゃないし、いいんじゃない?」

塞「……当然だけどちゃんと机で食べてよ?」

京太郎「や、それくらい当然ですよ」

塞「……だってさ、豊音」

豊音「う……な、直したんだからいいじゃん!」

塞「あははっ!」

京太郎「……エイスリンさんは何書いてるんですか?」

エイスリン「ンー……」

京太郎「……?」

エイスリン「エト……ナントナク……カイテルダケ、ダカラ」

京太郎「へぇ……見ていいですか?」

エイスリン「……ウ」

京太郎「や、いやならいいですけど」

エイスリン「……カンセイシタラ……デ」

京太郎「あ、見せてくれるんですか」

エイスリン「ミテモラウノ、ウレシイ……ソレニ」

エイスリン「ホメラレルト、モット、ウレシイ!」

京太郎「……なるほど」

エイスリン「ガンバル……!」

京太郎「ええ、頑張ってください」

胡桃「京太郎君、食べないのー?」

胡桃「もうなくなっちゃうよ?」

京太郎「ああ……それなら、どうぞ、もう食べちゃってください」

胡桃「やたっ!」

豊音「あ、ずるい、私も!」

京太郎「……」

京太郎「白望さんは、何してるんですか?」

白望「……」

京太郎「あ、あれ……寝てる……?」

白望「……起きてる」

白望「けど、ダルいから、喋らない」

京太郎「え、ええ……?」

塞「皆分のお茶用意したけど、飲むー?」

白望「飲む」

京太郎「反応はやっ!?」

塞「あはは、さすがシロだね」

塞「……で、皆そろったけど」

塞「何してあそぼっか?」



1、トランプ
2、TVゲーム
3、適当に話すだけ
4、無法地帯を続ける
5、その他(自由安価)
>>+5

胡桃「こんなにいっぱいいるんだし……トランプとかは?」

塞「トランプ……かぁ」

塞「ん、わかった、ちょっと持ってくる!」

胡桃「はやっ!?」

胡桃「えー……」

胡桃「そんなわけで、トランプに決まりました」

白望「……」

胡桃「そんな露骨に嫌そうな顔しないでよ」

白望「……別に、してない」

豊音「でも、何の遊びするのー?」

豊音「私あんまり知らないよー」

胡桃「ん……普通にババ抜きとかでいいんじゃない?」

胡桃「エイちゃんは知ってる?」

エイスリン「エト……ジョーカー、モッテタヒト……マケ……?」

胡桃「そうそう……やったことある?」

エイスリン「ウン」

エイスリン「ワタシ、ポーカーフェイスダカラ」

エイスリン「……ツヨイヨ」クスリ

胡桃「おお……すごい自身だね」

京太郎(……むしろ、表情が物凄く顔に表れそうな気がする)

豊音「むむ……これは私も負けてられないなぁ」

白望「……私は別にいいや」

胡桃「競争心ないの!?」

白望「……別に」

白望「楽しければ、それでいい」

胡桃「……」

胡桃「ま、まとも……」

白望「……」

塞「おまたせ!」

塞「で、何するの?」

京太郎「ババ抜きだそうです」

塞「そっかー」

胡桃「塞は参加できないね」

塞「誰がババよ!」

胡桃「いつもの仕返しだもん、べーっだ!」

塞「ぐ……」

白望「……で、塞はやるの?」

塞「や、まあやるけどさ……」

白望「ん……」

豊音「ねーねー、罰ゲームとかあるのー?」

京太郎「えっ……罰ゲームあるんですか?」

胡桃「そりゃ、勿論あるでしょ!」

胡桃「勝負事なんだから、罰ゲームはつき物だよ!」

白望「……委員長なら、賭け事、禁止すべき」

胡桃「や、別に賭けるわけじゃないしさ」

胡桃「ただ、ちょっとした……ほら、皆分のジュースを買ってきてもらうとか!」

京太郎「おぅ……パシリですか……」

胡桃「言い換えればそうだね」

塞「……私は別にいいけど」

塞「ほか、賛成者は?」

胡桃「はい!」

エイスリン「……マケナイ!」

豊音「言いだしっぺだしねー」

白望「……4:2……か」

白望「はぁ……」

京太郎「……お金はくださいよ?」

塞「あはは、当然だってば!」

胡桃「別にけちんぼじゃないもん」

塞「それじゃ、決まりだね」

京太郎「……あの、一つ疑問なんですけど」

京太郎「この辺、自販機とかあるんですか?」

塞「ほら、来る時に一つあったじゃん」

京太郎「……ああ」

塞「ん……須賀君うろ覚え?」

京太郎「……ですね」

京太郎「できれば、二人くらいほしいです、罰ゲームの人」

京太郎「6つのペットボトル持つのも割りと面倒ですし」

塞「んー……まあ、そう……かな」

塞「確かに胡桃一人だったらきついだろうし……」

胡桃「……どういう意味?」

塞「仕返しだもんべー」

胡桃「う……」

豊音「んー、まあいいんじゃないかなー?」

エイスリン「マケナイ、カラ、ダイジョウブ!」

白望「……私も、二人がいい」

塞「およ、珍しい」

白望「運んでもらえるし……」

塞「前言撤回、やっぱりシロはシロだね」

京太郎「……でも、二人どうやって決めますか?」

胡桃「いやいや、そんなの二回やって負けた二人でいいんじゃない?」

京太郎「被ったらどうするんですか?」

胡桃「……」

胡桃「一人で!」

塞「三回目やればいいでしょ」

胡桃「や……そうだけど……」

塞「……んじゃ、決まりかな」

塞「それじゃ、今から配るねー」

塞「ほらほら、皆、輪になって……シロはいい加減おきて!」

白望「……」


1回目
00〜16京太郎
17〜33白望
34〜50エイスリン
51〜66胡桃
67〜83塞
84〜99豊音
>>+4
(京太郎が選ばれた場合、相手の好感度が二倍上がります)

豊音「……」

白望「……」

白望「……こっち」

豊音「……」パァ

白望「……じゃなくてこっち」

豊音「あっ!」

白望「……うん」

白望「勝った」

豊音「あう……ぅわぁんっ!」

豊音「負けちゃったよー……」

塞「……そりゃ、あんなわかりやすい顔してたらね」

豊音「そ、そんなにわかりやすかった……?」

エイスリン「……」コクコク

エイスリン「テンゴク、ト、ジゴク?」

豊音「そんなに!?」

塞「……さ、一人は決まった」

塞「もう一人は誰かなー?」

胡桃「見て、須賀君、ああいうのをフラグがたったって言うんだよ」

京太郎「なるほど……確かに次負けそうですね」

塞「……」



2回目
00〜19京太郎
20〜39白望
40〜59エイスリン
60〜79胡桃
80〜99塞
>>+4
(京太郎が選ばれた場合、豊音の好感度が二倍上がります)

京太郎「……」

白望「……」

京太郎「こっち……いや、こっち……」

白望「……」

京太郎(顔が少しもうごかねぇ……)

京太郎「……」

京太郎「せいっ!」

白望「あ……」

京太郎「お……あたった」

京太郎「っし、なんとか免れた……!」

白望「……」

塞「シロと豊音が罰ゲームね……なんかちょっと珍しい組み合わせかも?」

胡桃「ん……そうかな?」

塞「なんとなく思っただけだけどね」

塞「……シロ、ちゃんと行くんだよ?」

白望「……お母さん?」

塞「そうじゃなくて」

塞「罰ゲームなんだから、ちゃんと遂行してね、ってこと」

白望「ん……わかってる」

白望「……」

白望「豊音、おんぶ」

塞「だめ!」

白望「……ちぇ」

豊音「よいしょ……っと!」

豊音「それじゃ、いってこよっか、シロ!」

白望「……うん」

塞「んじゃ、私りんごジュース」

胡桃「葡萄!」

京太郎「えっと……炭酸お願いします」

エイスリン「オチャ!」

白望「わかった……はい、豊音」

豊音「あ、私が持つんだ」

白望「……ん」

豊音「はーい、それじゃいってくるねー」

塞「ん、いってらっしゃーい」

胡桃「別にゆっくりでいいからねー」



>>+4
塞、胡桃、エイちゃんの3人から一人選択してください

中途半端ですが、今日はここで本編おしまいです

お付き合いありがとうございましたー

始めますー

京太郎「……っと」

京太郎「二人が帰ってくるまで何してます?」

塞「四人で何かやる……っていうのもあるけど」

エイスリン「ボッチ、ダメ、ゼッタイ!」

胡桃「二人余るしボッチじゃないんだけどね」

塞「でも、ま、そんな時間もかからないし、だらだらしてよっか」

胡桃「そだねー」

エイスリン「……オエカキ、ツヅキシヨ」

塞「はぁ……やっぱだらけるのって落ち着くわー……」

胡桃「なんかシロみたいなこといってるね」

塞「シロほどじゃないけどね、はぁ……」

京太郎「……」

胡桃「京太郎君もだらければ?」

京太郎「いや、だらけようにも、そういう道具があるわけでもないですし」

胡桃「あんな風になればいいんだよ」

塞「ふにゃぁ……」

京太郎「……猫みたいですね」

胡桃「ひなたぼっこだね!」

京太郎「……でも、他人の家ですし」

胡桃「んー……」

胡桃「じゃさ、お話しよ!」

京太郎「……お話ですか?」

胡桃「うん」

胡桃「どーでもいい話をしてだらけようの会、発足!」

胡桃「委員長は私ね」

京太郎「はぁ……」

胡桃「そんなわけで、話題どうぞ!」

京太郎「委員長からどうぞ」

胡桃「京太郎君、こういうのは会員がまず意見を出し、委員長がそれをまとめるものだよ」

京太郎「いや、知りませんよ」

胡桃「ともかく、ほら、早く!」

胡桃「……あ、身長年齢見た目の話禁止!」

京太郎「先手打たれた!?」

胡桃「するつもりだったの!?」

京太郎「いや、そんなことはありませんよ!」

胡桃「そっか……うん、そうだよね」

京太郎「ええ、そうですとも!」

胡桃「ダウト!」

京太郎「あってます、全部持ってってください」

胡桃「何を!?」

京太郎「俺の心……とかですかね」

胡桃「鳥肌立った、弁償」

京太郎「何を!?」

胡桃「……」

京太郎「……」

胡桃「……どーでもいい会話するのって難しいね」

京太郎「最初からどうでもいいってくくりができてますからね」

京太郎「何も考えなければわりと会話できそうですけど」

胡桃「あー……なんとなくわかるかも」

胡桃「ディベートとかでも、何も議題がないほうがいろんな話が飛び出るもんね」

京太郎「それただの無法地帯です」

胡桃「……」

京太郎「……」

胡桃「ねー、須賀君、暇」

京太郎「ついに愚痴りだした!?」

胡桃「や、ね、だらけるって暇だよね、って話」

京太郎「そりゃそうでしょうね」

京太郎「何か共通の話題でもあればいいんですけど」

胡桃「……共通の話題」

胡桃「勉強、どう?」

京太郎「まあ、普通ですかね」

胡桃「学校、どう?」

京太郎「楽しいですよ、勿論部活も」

胡桃「……須賀君のうそつき!」

京太郎「俺が悪いんですか!?」

胡桃「会の責任は全て会員に押し付けます!」

京太郎「最低じゃないですか!」

胡桃「私の地位は最高だよ!}

胡桃「どやっ!」

京太郎「……」

胡桃「……ん、あれ、ツッコミは?」

京太郎「鹿倉さんってドヤ顔って言葉が鹿倉さんのために生まれたくらいに似合ってますよね」

胡桃「えっ……」

胡桃「……褒めてる?」

京太郎「褒めてます」

胡桃「子ども扱いしてない?」

京太郎「してません」

胡桃「そっか……なら、ありがと、えへへ」

京太郎(……いいのかそれで?)


胡桃の好感度があがりました。

白望「……ただいま」

豊音「ただいまー!」

塞「ん、おかえり」

胡桃「案の定、シロはおぶられて帰ってきたね」

豊音「だって、シロが途中から動かなくなるんだもん!」

白望「……充電切れ」

胡桃「ふふん……なら私が充電してあげる!」

塞「胡桃の場合はいつも充電されてるんでしょ?」

塞「もう放電できないんだから、今日は我慢」

胡桃「えー……」

白望「……アイス」

エイスリン「ドウゾ!」

白望「……いや、絵じゃなくて」

エイスリン「コノマエ、ミタ!」

京太郎「何をですか?」

エイスリン「エ、カクト、ホンモノニナル!」

京太郎「何のゲームですか」

エイスリン「エト——」

京太郎「あ、いや、答えなくていいです」

エイスリン「ダカラ、ドウゾ!」

白望「……」

エイスリン「……シロ?」

白望「……まあ、もらっとくけど」

エイスリン「!」

白望「……」

胡桃「舐めても味は出ないよ!」

白望「……ちぇ」

塞(本当に舐める気だったんだ)

豊音「須賀君たちはなにしてたのー?」

京太郎「ただだらだらしてただけですよ」

豊音「ふーん……」

豊音「んじゃ、私もだらけよっかなー」

白望「その前に私を降ろして……」

豊音「あっ、そうだった……よいしょ……っと」

白望「……ん、ありがと」

豊音「いえいえ、どいたしまして」

白望「……んじゃ、寝る」

塞「そうはいかない第二回戦!」

白望「やだ」

塞「直球で断った!?」

白望「……だって、塞達だけだらだらしてて、ずるいし」

塞「いや、シロだって豊音の上でだらだらしてたんじゃないの?」

京太郎(というか、だらだらすることに嫉妬ってどういうことですか)

白望「……直射日光きつい」

白望「ダラダラできない、疲れる」

白望「……QED」

塞「何も証明してないよね!?」

豊音「えっとー……胡桃がぶどうジュースでー、須賀君が炭酸でー」

胡桃「ん、ありがと」

京太郎「ありがとございます」

豊音「えへへ、どいたしましてー」

豊音「えっと、エイスリンさんが——」

胡桃「ん……ぷは」

胡桃「おいし」

京太郎「こっちも美味しいですよ、飲んでみます?」

胡桃「あ、私炭酸苦手なの」

京太郎「……」

胡桃「……ねぇ、笑い堪えてない?」

京太郎「まさか」

白望「……ほら」

白望「ジュース飲むんだから、一時休戦」

塞「く……」

白望「汚れるのやでしょ?」

塞「……仕方ないなぁ」

白望「さすが塞」

白望「それじゃ、私は二階の塞の部屋で寝てくる」

塞「ちょっとまって」

白望「だるいからや」

塞「ちょっとまって」

白望「……離して」

塞「私の部屋はダメ」

白望「……なんで?」

塞「なんでって、えっと……それは……と、ともかく、ダメ!」

白望「……」

塞「わかったら、そこのソファで寝る!」

白望「……ちぇ」

胡桃「というか、ソファで寝るのはいいんだね」

塞「や、だって、今のところ誰も座ろうとしてないし」


………………。
…………。
……。

塞「……ん、もうこんな時間ね」

京太郎「こんな時間とは」

塞「5時」

塞「よい子は帰る時間」

胡桃「……なんで私を見るのかな?」

塞「胡桃っていい子だし」

胡桃「……あ、ありがと」

胡桃「……」

胡桃「あれ、ちょっとま——」

塞「うちもそろそろお母さん達帰って来るだろうしさ」

塞「そんなわけで、帰り支度してくれる?」

白望「……」

塞「動け」

白望「……塞がいじめる」

エイスリン「ヨシヨシ」

塞「あ、あれ……なんで私が悪者……?」

京太郎「このペットボトルは……姉帯さんですか?」

豊音「ん、そだよー、ありがとー」

京太郎「いえいえ」

豊音「ふぁ……」

京太郎「……疲れましたか?」

豊音「楽しかったけどねー」

京太郎「ええ、俺も楽しかったです」

豊音「ふふっ、それはよかったよー」

豊音「誘ったのは塞だけど」

京太郎「後で勿論お礼は言いますって」

塞「呼んだ?」

京太郎「今日は誘ってくれてありがとうございました」

豊音「ありがとうございました!」

塞「え……あ、ああ、うん」

白望「……なんでびっくりしてるの?」

塞「や、別に、びっくりなんかしてないよ、うん!」

白望「……じゃあ、嬉しがってる?」

塞「……や、な、なんでもいいじゃん!」

白望「……」

京豊「?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

塞さんの家を出て、そして何事もなくみんなと別れた。

楽しさが未だに心から消えない。

やっていたことなんて、話していたことなんて、今思えばどうでもいいことなんだけど。

だけど、楽しさが離れない。

家に帰っても、ご飯を食べても、お風呂に入った後も。

ああ、楽しかった、という感想が消えない。

……なんか気持ち悪いなぁ、と思うけれど。

それが率直な感想なんだから仕方ない、うむ、仕方ない。

……。

……あとは女子5人に囲まれていたというのに、何事もなく終って。

終って。

……。

……や、残念だ何て思ってませんし。

まあ、えっと、そんくらい楽しかったわけだ。

充実した日曜を過ごせたとは思う。

……。

……あ、そっか、明日月曜日か。

学校か。

……億劫だな、とは思わないけれど。

楽しみだな、とは思う。

うむ、楽しみだ。

勉強は置いておいて、人と話すのは楽しみである。

……と、まあ。

そんな二つの理由で——どんな理由だよ、とでもいわれそうだが。

なんだか寝付けないので、誰かにメールをしようと思いました。



>>+3
誰に何を話す?

京太郎「……」

京太郎「あまり話してないし、小瀬川さんにでもメールしようかな」

京太郎「……」

京太郎「今日はどうでしたか……っと」

一応、初めてメールを送る相手ではあるので、少し緊張気味ではある。

落ち着けるように、ベッドに飛び込んでから送信。

『楽しかった』

京太郎「……おぉ」

返事が返ってきた、感慨深い。

絵文字も顔文字も何も使われないところが小瀬川さんらしいけど。

京太郎「ああ、そうなんですか……俺も楽しかったですよ……っと」

……いきおいのまま送ったけど、これ悪口ととられないだろうか。

『楽しかった』

『ほんとに』

似たような文章が帰ってきた。

少しだけ申し訳なく感じる。

京太郎「そりゃ、よかったです……」

京太郎「また遊びましょうね……っと」

『ふたりで』

京太郎「……えっ?」

京太郎「……」

京太郎「……えっ?」

京太郎「えっ、と……あの、それ、マジ……ですか?……っと」

『?』

『忘れてた』

京太郎「……」

……なんだかちょっと期待した自分が馬鹿らしい。

京太郎「はは、ですよね……っと」

『期待させてごめん』

京太郎「や、別に期待してたわけじゃないですし……っと」

『私といや?』

京太郎「あ、いや、別にそういうことじゃなくて……っと」

『そ』

『よかった』

京太郎「……」

ううむ、メールでも会話が続かない。

なんだこれ、難しい。

……なんというか、ここでこのまま終るのも消化不良ではある。

何か、何か話題を——。

京太郎「……ところで、小瀬川さんは何がすきなんですか?……っと」

『だるくないこと』

愚問だった。

京太郎「例えば……っと」

『聞いてどうするの?』

京太郎「あ、いや、別に、気になるだけですし」

京太郎「嫌なら答えなくてもいいですけど……っと」

『ねる、ころがる、あと、あそぶ』

『だから、今日も楽しかった』

『嘘とか、社交辞令とかじゃな』

京太郎「……?」

あれ、ここで終わり?

何か文が続きそうだけど

京太郎「……えっと?……っと」

『ゆび、だるい』

『わかって』

『あいてのいとをさっするのだいじ』

……ついに漢字まで使わなくなってきた。

京太郎「ああ、ごめんなさい……っと」

……まあ、ともかく。

あんなにだるだるしてても楽しんでいてくれたようでよかった。

『もしよければ』

『またさそってくれるとうれしい』

京太郎「……俺が誘ったわけじゃないですけど……っと」

『それでも』

『あそぶの、すき』

『すきなひととあそぶの』

……とりあえず、友人として好きな人だろうな、きっと。

京太郎「……そりゃ光栄です……っと」

『まだ、かんがえちゅう』

『たぶん、すがくんとあそぶのもたのしい』

『だから』

『だるいからここでおしまい』

『おやすみ』

京太郎「あ、はい、おやすみなさい……っと」

……一方的に打ち切られた。

ちょっと消化不良は残っているけど、それよりうれしかったのでよし。


小瀬川さんの好感度があがりました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


京太郎「こんにちはー」

塞「ん、こんにちは」

塞「今日も来たんだね、えらいえらい」

京太郎「いや、部員ですし」

塞「あ、そっか」

塞「……」

塞「……や、やめないでよ?」

京太郎「そんな、悪戯じゃないんですし、すぐにはやめませんよ」

塞「そか、そうだよね……」

京太郎「……ええと、ほかの人は——」

塞「シロならそこで寝てるよ」

白望「……」

京太郎「……なんかもう、予想通りですね」

塞「シロだからね」

塞「何が何でも動きたくないんでしょ」

白望「……そんなことない」

塞「じゃ、動いてみて?」

白望「……」

白望「須賀君、このソファ、押して」

京太郎「えっ」

塞「こら」

白望「……冗談」

白望「よいしょ」

塞「わ……」

塞「や、あの、特に用事はないんだけど……」

白望「立てっていったの塞」

塞「そうだけどさぁ……」

白望「……はぁ」

白望「だるい、座る」

京太郎「あ、椅子です」

白望「……ありがと」

白望「執事?」

京太郎「どっちかというと紳士ですかね」

塞「変態なの!?」

京太郎「えっ」

白望「えっ」

塞「えっ」

>>+5
誰か一人選択

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

胡桃「須賀君、次私と交代だよ!」

京太郎「あ、はい、わかってます」

京太郎「どうぞ」

胡桃「どうも!」

京太郎「……さて」

京太郎「……あの塞さん」

塞「〜♪」

京太郎「いや、あの、露骨に口笛吹かれても反応に困るんですけど」

塞「や、あの、別に……さっきのことは、ね」

京太郎「さっきのことって?」

塞「」

京太郎「……あの、臼沢さん?」

塞「……な、何、かな、須賀君」

京太郎「物凄い目が泳いでるのは何でですか?」

塞「世の中には聞かなくていいことがあるんだよ?」

京太郎「はぁ」

塞「それで、どして話しかけてくれたの?」

京太郎「いえ、何かおはなしでもしようかと」

塞「お話?」

塞「……どんな童謡?」

京太郎「動揺してるのは臼沢さんです」

塞「べっ、別に動揺なんかしてないんだからねっ!」

京太郎「だって、そんなに髪の毛真っ赤にしてるじゃないですか!」

塞「地毛だよ!」

塞「そんなこといったら須賀君だって髪の毛黄色にしちゃって!」

塞「え、えと……」

京太郎「思いつかないなら無理に例えなくても……」

塞「や、ちょっとまって、今、今思いつくから」

塞「あのね、ここ、ここまで、ここまででてるの、もうちょっと、もうちょっとなの!」

京太郎「はぁ……」

塞「えっと……ううんっと……」

京太郎「……」

塞「……」

塞「あ、そういえばトシさんに呼ばれて——」

トシ「私はここにいるよ」

塞「」

トシ「ついでに、何も用はないから、話を続けな、須賀君」

京太郎「え……あ、はい」

塞「」

京太郎「で、ええと、俺の髪の色がなんなんですか?」

塞「え、えっと……」

豊音「ん、どしたのー?}

塞「とっ、豊音!?」

塞「や……あれ、麻雀中じゃ——」

胡桃「何か塞の様子がおかしかったから、ちょっと気になったんだけど」

エイスリン「カゼ?」

白望「……そういうおかしさじゃないと思う」

塞「」

豊音「で、どしたのー?」

トシ「ああ、なんでも塞が須賀君の髪の色にかけた面白いことを言ってくれるんだってさ」

塞「ちょ——」

胡桃「なにそれ、気になる!」

塞「いや、麻雀、麻雀しなよ!」

豊音「気になってできないかもー……ふふっ」

塞「絶対面白がるために見てるよね!?」

塞「ええいっ、解散、解散、かいさーんっ!」

白望「……ちぇ」

エイスリン「タノシミダッタ?」

白望「……わりと」

塞「はぁ、はぁ……聞かないでよね?」

京太郎「別に聞きませんよ」

塞「はぁ……まったく……」

塞「皆のりがよすぎ……というか、トシさん」

トシ「ごめんね」

塞「……もういいですよ、別に」

塞「で、なんだっけ、お話だっけ?」

京太郎「そのつもりでしたけど……疲れたならタオルくらい持ってきましょうか?」

塞「いらない」

京太郎「そうですか」

塞「………………あっ、思いついた!」

京太郎「えっ」

塞「あっ」

京太郎「……」

塞「……や、あの、黄色——金色だから、きっと将来何かで大成して1位をとるんだろうな……なんて」

京太郎「……あ、ああ、なるほど!」

塞「ありがと京太郎君、でもその優しさ辛い」

京太郎「ごめんなさい」

塞「……はぁ」


塞さんの好感度が上がりました

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

トシ「ほい、下校時刻だよー」

トシ「さ、帰った帰った」

豊音「はーい!」

白望「……豊音」

豊音「ん、いつでものっていいよー」

胡桃「まって」

豊音「ん?」

白望「……?」

胡桃「いや、なんでその……豊音におぶられるのが普通になってるのかなって」

白望「豊音の背中気持ちいい」

豊音「白望が困ってるんだもん!」

胡桃「……あ、はい、そうですか」

エイスリン「……ナンカ、ヘンナカオシテル?」

胡桃「ああ、うん、気のせいだよ、うん」

胡桃「まあ……合意の上ならいいんじゃないかな」

エイスリン「?」

塞「あ、そだ、須賀君」

塞「一緒に帰らない?」

京太郎「……そりゃ、帰り道は同じですし、一緒に帰りますけど」

塞「あ、そっか」

京太郎「……?」

塞「ううん、なんでもない、気にしないで」

京太郎「は、はぁ……」

トシ「だーかーらー、雑談してないで早く出てきなさいって」

豊音「はーい!」

白望「……豊音」

豊音「んー?」

白望「そろそろ降りる」

豊音「んー」

エイスリン「……」

豊音「エイスリンさんものってみるー?」

エイスリン「!」

エイスリン「ウン!」コクコク

豊音「どうぞー」

エイスリン「……」ソー

京太郎(……なんか、アトラクションみたいだ)

塞「……ね、須賀君」

京太郎「あっ、はい、どうしました?」

塞「えっと……」

塞「この後、時間ある?」

京太郎「はぁ……あると思いますけど」

塞「ん、そか」

塞「えっと……」

塞「あの」

京太郎「……?」

塞「や、えっと、やっぱりなんでもない」

京太郎「……えっ?」

塞「なんでもないったらなんでもないの、忘れて!」

京太郎「は……はぁ……」

塞「……」

京太郎「……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


よくわからないまま皆と別れて家に帰る。

なんとなくもやもやした気持ちがあるのだが、メールで聞いていいものかどうか。

……いいや、とりあえず散歩でもして時間を置いてから聞いてみよう。

重要な案件ならきっと、すぐに向こうから電話なりしてくれるはず。

京太郎「……っつーわけで、散歩いってくる」

母「ん、いってらっしゃい」

母「どういうわけかしらないけれど」

京太郎「いわねぇよ?」

母「言わせないわよ」

……なんて、適当にやり取りをして家を出た。

家を出て、のんびりと歩く。

……とりあえず、自分の知っている道だけを。

変な道を歩いたら、迷うし。

迷うし。

……この年で迷子なんていやです。

京太郎「……」

……何か考えようかな。

流石になのも考えないで散歩、というのは寂しすぎる。

ううむ……何を考えるか。

京太郎「……」

京太郎「……あ」

何を考えるか考えて、しばらく歩いた時。

目線の先に赤い髪の毛。

動揺の色……や、冗談だけど。

京太郎「……」

呼びかけようか、迷う。

塞「……あっ!」

うちに、彼女がこちらに気がついた。

おおい、と手を振られる。

……ええと、とりあえず拒絶されている様子はなかったので、素直によっていくことにした。

とりあえず今日はここまで。


過ぎましたけど、何かホワイトデーネタを明日までに書き上げますので
宮守5人のうちから一人選んでください>>+5

〜ホワイトデー:豊音さん〜


京太郎「豊音さんっ!」

豊音「んー?」

豊音「どしたのー?」

京太郎「いや……えっと」

京太郎「ほら、今日ホワイトデーじゃないですか」

豊音「うん」

京太郎「……」

京太郎(……あれ、反応薄い?)

豊音「それで?」

京太郎「ああ、いや」

京太郎「お返しを、と」

京太郎「どうぞ」

豊音「……何、これ?」

京太郎「えっと……クッキーです」

豊音「クッキー?」

京太郎「ええ」

豊音「ふーん……」

京太郎「……」

豊音「……」

京太郎「……」

豊音「……ねぇ」

京太郎「は、はいっ!」

京太郎(あ、あれ……何か怖い……?)

豊音「ホワイトデーってどういうものかしってるー?」

京太郎「え、ええ」

京太郎「バレンタインデーのお返し……みたいな感じですよね」

豊音「そうだけどー」

京太郎「……」

豊音「でもさー」

豊音「男の子は3倍返しじゃないといけないんだよねー」

京太郎「なんですか、その制約!?」

豊音「ね、ね、私、バレンタインデーのとき、何を送ったかしってる?」

京太郎「そりゃあ……」

京太郎「手作りのチョコでしたし、忘れられませんよ」

豊音「そうだよねー」

京太郎「ええ」

豊音「私が、丹精込めて、愛情込めて、精一杯、精一杯作った、プライスレスのチョコだよねー」

京太郎「は、はぁ……」

豊音「……なのに、3倍がこれってどうかと思う!」

京太郎「……はい?」

豊音「プライスレスのチョコの3倍が市販のクッキーってどうかとおもうのっ!」

京太郎「……いや、あの」

豊音「私、姉帯豊音は京太郎君に3倍のお返しを要求しまーすっ!」

京太郎「……」

豊音「というわけで、やり直しだよ京太郎君、ぷんぷん!」

京太郎「そもそも3倍という制約ないんですが」

豊音「そんな迷信は信じない!」

京太郎「迷信はそっちですよ!」

豊音「とーもーかーくー!」

豊音「やだ、これだけじゃ物足りないのー!」

京太郎「……」

豊音「……あ、あれ?」

京太郎「……」

豊音「え、えっと……ごめん、もしかして、怒らせちゃった……かな?」

豊音「でも、えっと、あの、京太郎君が好きだから——好きだからこそ!」

豊音「こんなクッキーでおしまいなんて、やなのーっ!」

豊音「私が手作りで作ったチョコのおかえしなんだから、京太郎君はその3倍すごいのを用意するべきだと思うの!」

京太郎「そうですか」

豊音「そうなのです!」

豊音「なので、返品……は、しないけど!」

京太郎「しないんですか」

豊音「京太郎君のプレゼントだもん!」

豊音「……でもでも、これだけは譲れないのー!」

京太郎「わかりました」

京太郎「では目を閉じていてください」

豊音「……こう?」

京太郎「ええ」

京太郎「そのままじっと目を閉じていてくださいね」

豊音「う、うん……」

京太郎「あ、クッキーは俺に渡して」

豊音「はーい…………」

京太郎「……」パクッ

京太郎「……」チュッ

豊音「!?」

豊音「んー! むむー!」

京太郎「ちゅ……れろ……ん」

京太郎「……ぷは」

豊音「……わ、わわ、わわわ!」

豊音「なっ、何したのー!?」

京太郎「キスですよ?」

豊音「それはわかるけどー!」

豊音「でも……何か、変なの入って——」

京太郎「——さっきのクッキーです」

豊音「!」

京太郎「今から、このクッキー全てを今みたいに口移ししたいと思いますが」

京太郎「それでも3倍には足りませんか?」

豊音「……た、足りないよー」

京太郎「えっ」

豊音「もっと、ちゃんと、ぎゅっと抱きしめて……それで、ちゅーしてくれなきゃ、や!」

京太郎「……」

豊音「や!」

京太郎「……甘えん坊さんですね」

豊音「京太郎君だけにだよーだ!」

豊音「今日はホワイトデー、3倍返しの日!」

豊音「……さ、京太郎君!」

京太郎「はいはい、わかりましたよ」

豊音「む!」

京太郎「……ぜひともやらせていただきます」

豊音「……ん、えへへ」

豊音「それでこそ、京太郎君!」

豊音「私の彼氏様っ!」

京太郎「……あの、彼氏様は何かこそばゆいので」

豊音「だんな様?」

京太郎「気が早いです!」

豊音「……でも、いつか来るんだよね?」

京太郎「……」

豊音「ん……えへへ、京太郎君も顔真っ赤だ」

京太郎「誰の所為ですか」

豊音「京太郎君の所為!」

京太郎「責任転嫁!?」

豊音「京太郎君が私の顔を赤くさせなければ起こらなかったんだもんねー」

京太郎「豊音さんが拗ねなければそんなこともなく終ったんですけどね」

豊音「……やだったんだもん」

京太郎「わかってますよ」

京太郎「だから、こうしてお礼をしてるんじゃないですか」

豊音「そだねー」

豊音「……あの、さ、京太郎君……二個目ちょーだい?」

京太郎「ええ、勿論」


おしまい


ちなみにお返しの種類には意味があって

キャンディー:私も好きです
マシュマロ:嫌い
クッキー:友達でいましょう

らしい
流石にマシュマロは意訳だと思うけど

>>334
つまり京ちゃんは豊音さんと付き合っているけれど本命は違うって事ですね!
なにこれ怖い

それでは、のんびりとはじめます

京太郎「えっと……こんにちは」

塞「ん、こんにちは」

塞「どったの?」

京太郎「ああ、いや、俺は散歩していただけです」

京太郎「そういう臼沢さんは?」

塞「ん……私も似たようなもの、かな」

塞「でも、丁度よかったかも」

京太郎「……へ?」

塞「須賀君と話したかったことがあったからね、えへ」

京太郎「……」

そんな顔で、照れられると、なんだか勘違いしてしまう。

思わずあがった腕は、引き寄せられるように頭に乗っかった。

……勿論、臼沢さんのじゃなくて、俺の。

まさかそんなことできるわけがない、うむ。

京太郎「それで、えと、話ってなんですか……?」

塞「……あ、別に、そんな難しい話じゃなくてね」

塞「んと……」

と、言いよどむ。

……言いよどむなら難しい話なんじゃないだろうか。

京太郎「……あの、とりあえずこんな道端で話すのもなんですし」

京太郎「せめて歩きませんか?」

塞「あ……う、うん、そだね」

京太郎「どっちに行くつもりでした?」

塞「え、あ、えーっと……」

塞「……」

塞「……い、行き当たりばったりで」

京太郎「あぁ……」

塞「いいじゃん、散歩ってそういうもんじゃん!」

塞「むむむ……じゃあいいよ、あっち、あっちにいくつもり!」

京太郎「んじゃ、そっちに行きましょうか」

塞「うん」

塞「散歩の続きだね」

と、言うわけで。

どうせ俺も臼沢さんのことを馬鹿になんてできなかったので、異議は唱えず、臼沢さんと並んで歩き始めた。

京太郎「……」

塞「……」

……ええと、とりあえず。

しばらく歩いた限りじゃその、臼沢さんの方の話題を出てくるわけでもなさそうだった。

京太郎「あの、臼沢さん」

塞「ん、何?」

なので、とりあえずこちらから適当な話を振る。

京太郎「ええと……」

塞「……ん?」

京太郎「……好きなジュースはなんですか?」

塞「いきなり何!?」

京太郎「いや、ほら、そこに自販機が見えましたので」

塞「……あー」

塞「何、もしかして買ってくれるの?」

京太郎「まさか」

塞「そこは即効否定なんだ!?」

京太郎「……いや、あの、おごれっていうのなら……はい」

京太郎「先輩ですし……はい……」

塞「やめて、私が悪い人みたいじゃん!」

京太郎「……ですね」

塞「肯定しないで!」

塞「……あ、そこの道、曲がってみよ?」

京太郎「ん、あ、はい、わかりました」

塞さんの言う通りに右に曲がる。

塞「!」

京太郎「……塞さん?」

塞「しっ!」

急に塞さんの表情が一変する。

どこか険しいような表情、え、何、何?

塞「……」

きょろきょろとあたりを見回す。

いや、なに、先に何かあるんですか……?

俺には……本当に奥の方にいる二人の人間しか見えないけど——

塞「……仕方ない」

塞「京太郎君、こっち!」

京太郎「え……ちょ、ま——!?」

言葉を発する前に、彼女は俺を無理やり引っ張って先ほど曲がったはずの曲がり角を戻った。

そして、壁際に詰め寄る。

京太郎「え、あの、な、なに、なにこれ……!?」

塞「静かに」

京太郎「いや、静かにって言われても——」

塞「いいから、口を塞いで!」

京太郎「——」

彼女のそのあまりの迫力に、意味も分からないまま口を塞ぐ。

いや、本当に、もう口が動こうとしないくらいの迫力だった。

まるで目が光ったように感じるくらいの。

塞「……」

京太郎「……」

塞さんと密着しながら口をつぐむ。

あの角の先の様子は塞さんが見ているのだけど……いったい何がなにやら。

塞「……」

京太郎「……」

目が見えないと耳がよくなる……なんて話はよく聞くけれど。

例えば口が動かないなら鼻がよくなったりするのだろうか。

……いや、多分それとはなしに、こんなに密着しているから。

服と服が触れ合うくらいには密着しているから。

……あの、その、匂い……とかがですね。

はい、えと……いや、あの胸……とかもですね。

塞「……よし、もう大丈夫」

京太郎「——」

塞「……ん、もう口あけてもいいよ?」

塞さんがそう言って離れる。

途端に、口が、まるで呼吸するように開いた。

同時に、匂いが消えた。

京太郎「……あの、なんだったんですか?」

塞「や……あのね、さっきこの先に、クラスメイトがいたの」

京太郎「はあ」

塞「それで、えっと……」

塞「……なんか、茶化されるのやだなー……って思って」

京太郎「……」

塞「えと……ご、ごめんね!」

京太郎「や、それはいいんですけど……」

京太郎「密着してた方が恥ずかしくないですか?」

塞「……」

京太郎「……」

塞「そ……それもそうだ……」

塞「あ、あああ、どうしよう、私何かすっごい大胆なことしちゃった!」

京太郎「大丈夫です、体はくっついてないので!」

塞「あ、そ、そなの……?」

京太郎「なんかもう、生殺し状態でしたし!」

塞「なら大丈夫か……うん……」

塞「……」

塞「……ん?」

京太郎「気にしないでください」

地味にやばいことを口走っちゃったので。

塞「ん、わかった……」

塞「……ま、えっと、とにかく」

塞「茶化されるのやだったから、ってそれだけです」

京太郎「それだけですか」

塞「……何か文句ある?」

京太郎「いえ、別に」

塞「……あ、そだ、この機会に言っておくと」

京太郎「言っておくと?」

塞「京太郎君……って呼んでもいいかな?」

京太郎「……」

塞「……」

京太郎「いや、あの、茶化されたくないんじゃないんですか?」

塞「そうだけど!」

塞「でも……あの、なんだかんだ一緒に話してる……じゃん?」

京太郎「疑問系で聞かれましても」

塞「それに、部長だし……ね?」

京太郎「尋ねられましても」

塞「……や?」

京太郎「いやじゃないですけど……」

京太郎「でも……その、茶化しとか、大丈夫なんですか?」

塞「部員相手だったら大丈夫!」

京太郎「それ暗に部活以外では会わないっていってますよね」

塞「……」

京太郎「……」

塞「だって、男の人とどうやって仲良くなったらいいかわかんないんだもん!」

京太郎「開き直った!」

塞「女の子だったら仲良くなったら名前呼びするでしょ?」

塞「でも、男の子だったら名前呼びしたらやれ恋だの愛だの……」

塞「……どうすればいいの!?」

京太郎「聞かれましても」

塞「……というわけで」

塞「京太郎君と……お、お呼びしてもよろしいかしら?」

京太郎「口調が怪しくなってます、臼沢さん」

間違いなく恋だの愛だの気にしているのはこの人だと思う。

塞「……うー」

塞「でも、仲良くなったんだから名前呼び……だよね?」

塞「でもでも、茶化されるのもなぁ……」

京太郎「……あの」

京太郎「もしかして、それでずっと悩んでたんですか……帰宅途中とか」

塞「……なんでわかったの!?」

なんでわからないと思ったんだ、この人。

塞「皆の前で言うのは……なんだか、恥ずかしかったから……その、二人きりになれたらいいな、と思ったんだけど」

塞「なんていうか……私が誘うのもなぁ……って」

塞「だから……えと、その、はい」

塞「そういうことでございます」

京太郎「だから口調が怪しくなってます、臼沢さん」

塞「……とっ、ともかく!」

塞「京太郎君……って呼んでいいかな?」

塞「仲良くなったんだから……苗字って言うのもあれだし……私、みんなの事名前で呼んでるし」

塞「仲間はずれはよくないと思った——あっ!」

塞「いける、この言い訳はいける!」

京太郎「……あの」

塞「はっ、ごめん!」

塞「ごめんね、京太郎君」

京太郎「いえ」

塞「えと……まあ、そういうわけで、よろしくっ!」

塞「……」

塞「……あ、あれ、意外とすんなりといえた?」

京太郎「一回口に出しちゃえばそういうのって簡単に言葉が出ますよね」

塞「ああ……何かそんな感じかも」

塞「……んじゃ、もう一つ、このいきおいで!」

塞「私のことは塞さんって呼んで?」

京太郎「塞さん……ですか」

塞「うん、私だけが名前……ってのも変でしょ?」

京太郎「まあ……そうですね」

塞「そんなわけで、よろしく!」

京太郎「……」

塞「……い、いえたよ、京太郎君、やった!」

京太郎「よかったですね、塞さん」

塞「……に、二重にやったぁ!」

塞「ばんざーいっ!」

塞「これで夜も眠れるっ!」

京太郎「そんなに悩んでたんですか!?」

塞「まだ夜は一回も迎えてないけどね!」

塞「あぁ……よかった、本当によかったぁ……」

京太郎「……そんなに安心することですか?」

塞「安心する事だって!」

塞「想像してみて、京太郎君」

塞「名前で呼んでってお願いした相手に『えっ……?』って複雑そうな表情をされるとき!」

京太郎「……あぁ」

確かにそれはなんとも言えない気分になる。

夢に見る……多分枕もぬらす。

塞「そんなわけで、私の心はもう開放感溢れてるよ!」

塞「岩手くらい!」

京太郎「たとえがよくわかんないです!」

塞「何はともあれ!」

塞「よろしく、京太郎君!」

京太郎「え……あ、はい、よろしくお願いします、塞さん」

塞「……」

京太郎「……塞さん?」

塞「な、なんか……じーんってきた」

塞「ね、もっかい、もっかい呼んでみて!」

京太郎「……塞部長?」

塞「!」

塞「い、いい、いいよ京太郎君、最高だよ!」

京太郎「そんなに絶賛されるとは思いませんでした」

塞「今ので開放感が北海道くらいに広がった!」

京太郎「やっぱりよくわからないです!」

喜んでくれている……ということなのだろうけど。

京太郎「……それで、塞さん」

塞「えへへっ、なーに、京太郎君?」

京太郎「そろそろ歩きませんか?」

塞「……あー、そだね」

塞「ごめんね、京太郎君」

京太郎「いや、別にいいんですけど」

京太郎「でも、これ学校ではどうするんですか?」

塞「……呼び方?」

京太郎「呼び方」

京太郎「茶化されるの……嫌なんですよね?」

京太郎「正直、そうやってからかわれるのなんて最初のうちだけだと思いますが」

塞「……そうなんだけどさ」

塞「でも……ま、頑張ってみます」

塞「学校でも、京太郎君、塞さん……で!」

京太郎「はい、わかりました」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

塞「ね、京太郎君?」

京太郎「はい、なんでしょう……」

塞「……ちょっと呼んでみただけ」

塞「人前でもなれないとなー……って」

京太郎「人っ子一人いませんけどね」

塞「う、うるさいなー……怒るよ?」

京太郎「もう真っ赤になってますけど」

塞「……京太郎君?」

京太郎「あっ、はい、調子に乗りすぎました、すいません!」

塞「まったく……」

塞「……ふふっ」

京太郎「どうしました?」

塞「んーん」

塞「名前で呼ぶようになって、もっと距離が近づいたような気がして」

塞「ちょっとうれしかったの」

京太郎「……なるほど」

塞「ふふ、ふふっ!」

塞「男の子の友達なんて久しぶり」

京太郎「……あ、いなかったわけじゃないんですね?」

塞「幼稚園、小学校、中学校……と、ずっと女子校に通ってたわけじゃないからね?」

塞「でも、ま、その頃の友達とは疎遠になってるし……今の一番の男友達は京太郎君だねっ!」

京太郎「あはは、ありがとうございます」

塞「……うん、やっぱり名前で呼ぶことにしてよかった」

塞「友達ってこういうものだよね」

京太郎「後輩ですけどね」

塞「年齢を超えた友人関係なんて珍しくもないでしょ?」

塞「後輩である前に、友人になりたいな……なんてね?」

塞「それこそ一緒に遊びに行くくらい……くすっ」

京太郎「……」

塞「……照れてる?」

京太郎「照れてないです」

塞「二人で遊びに行く時のこと考えちゃった?」

塞「……」

京太郎「……塞さんが照れてるじゃないですか」

塞「てっ、照れてないよ!」

京太郎「自爆ですか」

塞「だから照れてないってば!」

京太郎「でも、こんなに赤く……」

塞「地毛だよ!」

塞「……これ、前もやらなかったっけ?」

京太郎「天丼っていいですよね」

塞「私はうな丼の方がすきかな」

京太郎「えっ」

塞「えっ」

京太郎「……ええと」

塞「あー……うん、なんかゴメン」

京太郎「……」

塞「……」

京太郎「帰りますか」

塞「う、うん……」

塞「……どうしよう、なんかすっごい消化不良」

京太郎「そんなの俺もですよ」

京太郎「……塞さん、帰り道どっちですか?」

塞「ん……こっち」

京太郎「ああ、俺と同じですね」

京太郎「……なら、途中まで一緒に行きましょう」

塞「もっ、勿論!」

京太郎「……で、その間にこの消化不良感を何とかしましょう」

塞「……あー、うん、そうだね」

……と、まあ、そんなわけで。

夕焼けさえも消えた夜道をさっきまでと同じように並んで歩いた。

名残惜しいように、ゆっくりと歩いた。

……なお、この消化不良感はなんとかすることができました。


………………。
…………。
……。

京太郎「ふぁ……」

翌朝。

そのへんの高校生と同じように、のんびりと歩いていると。

昨日と同じように、目立つ赤色を見つける。

……う、と開きかける。

いやいや、昨日約束したじゃないか、と思い出す。

周りに高校生はいっぱいいるけど。

彼女と約束したじゃないか、と思い出す。

なので、おちょぼ口を大きく開く。

京太郎「塞さんっ!」

塞「!」

塞さんがその声に気がついて、こちらを向く。

……それと、何人かが俺と塞さんを見る。

予想はしていたことだ、怖がらずに小走りで塞さんの元へ向かった。

京太郎「おはようございます」

塞「え……あ、うん、おはよ」

塞「……京太郎君」

塞さんも昨日の約束を忘れず、しっかりと名前で呼んでくれた。

思えば名前で呼ばれるのも——あ、ちげぇ、エイスリンさんに呼ばれてるわ、いつも。

京太郎「……」

塞「……」

……で、話し掛けたとして。

特に話す内容もあるわけでもなく、お互い黙りこくってしまう。

勿論、その黙りこくるのにはある程度の照れがあるのはそりゃもう自明で。

モブ「……えっ、もしかして彼氏?」

塞「違うよっ!」

まさに、雰囲気としては付き合いたての恋人のようなものだったので、その反応もおかしくはないな、と思った。

塞「単なる後輩!」

塞「……ほら、京太郎君、いこっ!」

京太郎「あ、はいっ!」

塞さんの友人達から逃げるように……だろう、スタスタと立ち去る。

手こそ掴まないものの、しっかりと俺の名前を呼んで。

だから、俺は、ちょっと顔をにやけながら、塞さんの後を追った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


友人「ね、須賀君、須賀君」

京太郎「どうしたよ?」

友人「須賀君っていつも私とご飯食べるよね?」

京太郎「……ご丁寧に、いつも誘ってくださるからな」

友人「皮肉?」

京太郎「感謝」

友人「あはっ、それは嬉しいかも」

友人「ん、でもさ、須賀君の交友関係のために、そゆのはいけないと思うんだ」

京太郎「どうしてお前に心配されなきゃいけないんだよ」

友人「友人だから?」

京太郎「なるほど、おせっかいをどうも」

友人「感謝?」

京太郎「皮肉」

友人「ん、ちょっと残念」

友人「ま、素朴な疑問」

友人「麻雀部の先輩達と食べたりしないの?」

京太郎「……いや、まあ先輩だからなぁ」

友人「物怖じしちゃってるんだ」

京太郎「……あー、はいはい、そうですよ」

友人「おお、認めた」

京太郎「流したんだよ」

友人「ひどいなー、私がこうやって世間話をしてあげているというのに」

京太郎「思いっきり身内話になってるっての」

友人「あはは」

友人「……ま、それはともかくさ」

友人「折角部活に入って、折角仲良くなったなら、部活の人とご飯食べたりしてもいんじゃない?」

友人「いきなり行くのがやなら先に誘ってとかさ」

京太郎「誘って……か」

友人「やる気出た?」

京太郎「……別に」

友人「どいたしまして!」

京太郎「……」

京太郎「こんにちはー」

エイスリン「コンニチハ!」

京太郎「……あ、エイスリンさん」

豊音「私もいるよー」

京太郎「こんにちは、豊音さん」

豊音「うん、こんにちはー」

豊音「ふふっ、今日もきてくれてうれしいよー!」

京太郎「毎日言うつもりですか?」

豊音「それくらいうれしいの!」

京太郎「あはは、ありがとうございます」

エイスリン「……!」

エイスリン「オモイツイタ!」

豊音「どしたのー?」

エイスリン「マージャンブ、オソロイノフク」

エイスリン「ミンナ、イッショ」

豊音「……ユニフォームみたいなー?」

エイスリン「!」コクコク

豊音「……それいいかも!」

豊音「みんなでおそろいの服着てー……『我ら宮守麻雀部!』ってやるの!」

エイスリン「ワレラミヤモリマージャンブ!」

豊音「我ら宮守麻雀部!」

エイスリン「……ヤリタイ!」

豊音「私も私もー!」

京太郎(……俺の服……どうなるんだろう?)

京太郎(女子でも男子でも大丈夫そうな服……?)

トシ「……そんな金があったらもっと他のところに使ってるさ」

京太郎「あ、熊倉さん」

トシ「そんなわけで、ユニフォームは却下だね」

エイスリン「……」ショボーン

豊音「残念……」




>>+5
宮守5人から1人

『折角部活に入って、折角仲良くなったなら、部活の人とご飯食べたりしてもいんじゃない?』

『いきなり行くのがやなら先に誘ってとかさ』

京太郎「……」

豊音「……どしたの、須賀君?」

京太郎「ああ、いや、えっと……ちょっと考え事です」

豊音「どんな?」

京太郎「……う」

豊音「?」

京太郎「……」

京太郎「……あの、豊音さん」

豊音「んー?」

京太郎「もしよかったら……本当にもしよかったらなんですけど」

豊音「な、なになにー?」

京太郎「……」

豊音「えっ、あの……須賀君……?」

京太郎「……明日」

豊音「明日?」

京太郎「一緒に、お昼食べてみませんか?」

豊音「!」

京太郎「あ、いや、あの、嫌なら別に……」

豊音「う……うれしい、ちょーうれしいよーっ!」

京太郎「うおぉっ!?」

豊音「ありがと、ありがと須賀君!」ギュッ

京太郎「ちょ、ま、うでっ、ふりっ、振り回しすぎっ!」

豊音「えへ、えへへ、えへへへへ」

豊音「ふふ、誘ってもらえるのなんて始めてかも!」

京太郎「……いつもは?」

豊音「自分から誘ってるよー」

京太郎「ああ……なるほど……」

豊音「最初の方はみんな身長おっきいなーって怖がってたりもしたからねー」

豊音「いろんな人と話しているうちに……ね?」

京太郎「なるほど……」

豊音「……で、一緒にご飯、明日だよね?」

京太郎「ええ、よければ、ですけど」

豊音「うんうん、勿論だよー!」

豊音「ねー、みんなー!」

京太郎「!?」

白望「……何?」

豊音「須賀君が皆で一緒にご飯食べたいんだって!」

胡桃「ご飯って……夕飯?」

豊音「ううん、おべんとー」

豊音「ね、一緒に食べよ、ね、ね!」

エイスリン「サンセイ!」バッ

塞「え……じゃ、私も」

エイスリン「ネ、シロ、ネ、シロ!」バシバシ

白望「……痛い」

白望「わかった……食べる、から……痛い」

胡桃「んーっと……うん、多分大丈夫」

豊音「やった!」

豊音「ね、須賀君、皆許可してくれたよ!」

京太郎「え……ああ、そうですね」

豊音「えへへっ!」

豊音「皆でおべんとー、皆でおべんとー!」

胡桃「嬉しそうだね」

豊音「そりゃ、もう!」

豊音「皆でおべんとー、皆でおべんとー!」

白望「……どこで食べるの?」

塞「シロの教室じゃない?」

エイスリン「シロ、ウゴカナイカラ!」

白望「……別に、絶対動かないわけじゃないけど」

豊音「えへへっ、おべんと、おべんとー!」

豊音「ありがとっ、須賀君、えへへっ!」

京太郎「え、あ、はい……喜んでもらえてうれしい限りです……」

トシ(……麻雀に戻るのはいつかねぇ)

……正直、豊音さんと二人きり、という気持ちであったが。

こっちの方がよかったかもしれない。

ありがとう、豊音さん。

……二重の意味で。


豊音の好感度があがりました。

それでは、今日はここでおしまい。

お付き合いありがとうございました。

そんなに友人ルートが欲しいのなら小ネタか何かで……


それじゃ、始めます

豊音「今日もたのしかったー!」

胡桃「どだった?」

京太郎「楽しかったです」

胡桃「よかった」

白望「……何回続けるの、それ?」

胡桃「気が向くまで?」

白望「……」

エイスリン「〜♪」

豊音「歩きながら絵書くのあぶないよー?」

エイスリン「ダイジョウブ!」

エイスリン「メ!」バッ

塞「……いや、絵に描いた目だったら前見えないでしょ」

豊音「アイマスクみたいだよねー」

塞「……ともかく、危ないからだめ」

エイスリン「……」ムー

塞「ほら、目で抗議しないで」

エイスリン「……サエ、イジワル」

塞「や、イジワルとかじゃなくてさ……」

エイスリン「チャント……ミエル、カラ、ダメ?」

塞「そんな嘘つかない!」

エイスリン「……」ムー

白望「……はぁ」

京太郎「どうしました?」

白望「疲れた」

白望「……」チラッ

胡桃「ん、何?」

白望「……無理、か」

胡桃「なんか馬鹿にされたような気がするんだけど」

白望「気のせい……」

白望「……」

京太郎「……ん、なんですか?」

胡桃「ダメだよ!」

京太郎「へ?」

白望「……ちぇ」

京太郎「え、や、ちょ、なんのこと……!?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


家に帰って、外に出る。

なんとなく、散歩のつもりで。

あまりおなかも減ってなかったので、空かせようと思って。

……思えば、昨日も同じようなことをした。

昨日は散歩して。

塞さんと出会って。

……今日は誰と出会うのだろう。

いやいや、そもそも誰かと出会う前提っていうのもおかしな話だ。

京太郎「……」

……昨日と違う道を進んでみようか、と思って、なんとなく方向転換。

言ったことのない道。

……まあ、帰ってこれるだろう。

否、帰ってこれるはず、と高をくくって、適当に歩き出す。

散歩なんてそんなもんだ。

迷ったら迷ったで、おなかが減るし、一石二鳥である。

実際のところは一鳥も手に入らないのだろうけど。

まあいいじゃないか、とすたすた歩く。

何も考えずに、とことこ歩く。

とりあえず曲がってみようと、のんびり歩く。

ここはどこだろう、とのそのそ歩く。

止まる。

……ここはどこだろう。

時間的に、30分も——10分経ってるかどうかも怪しい。

すごい、あんな短期間で人間って迷えるんだ、へぇ。

京太郎「……」

いや、そうじゃねぇよ、迷ったなら来た道戻れよ。

ええと……よし、とりあえずくるっと回って——。

京太郎「……ん?」

……ふ、と目の前に。

いや、もうちょっと先に。

ある家が見える。

……いや、家なんてどこにでもあるけど。

そこで目に付いたのは、玄関先に立つ二人の年老いた人と。

扉の前あたりで話す、見たことのある姿。

扉よりも高いんじゃないか、と驚くくらいの身長の人。

……フラグか、フラグだったのか。

なんだこの犬も歩けば棒に当たる感。

や、まあ方向としては、おそらく逆方向だし、このままかかわらないこともできる。

……というか、なにか忙しそうだし、話しかけないほうがいいだろう。

ただ。

話しかけたら、きっとすぐ帰れる。

迷うことなく。

……迷わず帰れる自身があるのかと言えば、それなりにあるのだけど。

携帯使えば多分なんとかなるけど。

京太郎「……」

折角あったのだから、話したいなぁ……なんて気持ちもあるわけで。

忙しそうなのに、はた迷惑だ。

京太郎「……」

どうしようかなぁ……と、悩む、そっち方面を向いて。

……玄関先に立つ片方の人がこちらを向いた。

そりゃ、そんなに視線感じていたらこっち向きますよね。

京太郎「……」ペコリ

なんか怖くなったので、会釈して、後ろを向いた。

よし、去ろう、立ち去ろう。

あまり人の事情に介入するべきではないよな、うん。

さて、一歩踏み出せ、二歩踏み出せ、ええと、あそこの角は——

豊音「——あ、須賀君!」

え、何で呼ばれたの俺?

豊音「えと、ごめんなさい、あの子と約束してたから、また!」

振り返る。

そこには、二人の人を押しのけてこちらに走ってくる豊音さんがいた。

あの巨躯な体に退行できるはずもなく、やすやすとどこされる。

さすがである。

豊音「須賀君、ごめんね、待たせちゃって!」

京太郎「へ……?」

豊音「さ、いこー!」

京太郎「え……あ、ちょっ!」

スピードを落とさずにこちらまで走ってきて。

俺の手を掴んで、またスピードを落とさないまま走り出した。

そもそも後ろ向きだった俺は、走り出すどころかバランスを取ることすら危うくなる。

……が、なんとか持ち直して、豊音さんに導かれるまま走った。

——あ、ここの角は左に曲がるんだ。

俺の曲がってきた方向と全然違うぜ、やっほい!

豊音「はっ……はっ……!」

京太郎「はっ……はっ……!」

連れられるまま走って……どのくらいだろう?

完全に道がわからなくなったところで、豊音さんがようやく止まる。

豊音「……はぁ」

豊音「ごめんね、須賀君」

京太郎「や、あの……」

京太郎「……約束してましたっけ?」

豊音「明日のお昼?」

京太郎「や、そうじゃなくて」

京太郎「その……待たせちゃって……って」

豊音「……」

ポカン、と口を開いてこちらを見つめる。

あれ、何かへんなこと言ったか?

だって、豊音さんは待たせちゃって……と言っていたわけだし。

……まさか。

豊音「……あの、ごめんねー」

豊音「あの人達から逃げたくて……あははー」

まさかだった。

ええと、詮索するのは野暮だろう。

京太郎「そうなんですか……」

京太郎「……ま、いいですけど」

豊音「ごめんね、須賀君、巻き込んじゃってー……」

京太郎「ああ、いえ、全然」

……ああ、なんか目に見えてショボンとしてしまってる。

別に、そんな怒ってるわけでもないのに。

豊音「……」

京太郎「……」

豊音「……そだっ!」

京太郎「ん?」

豊音「えと……あの、お礼……じゃなくて、お詫びに」

豊音「何でも一つ、言うこと聞いてあげるよー」

京太郎「……へ?」

豊音「なんでも一つ、言うこと聞いてあげるよー!」

京太郎「……いや、聞こえなかったわけじゃなくて。

豊音「というわけで、なにか命令してくださいっ!」

京太郎「え、えぇ……?」

京太郎「えぇと……」

豊音「えと、こっちだよー」

京太郎「はい、ありがとうございます」

豊音「……えと」

豊音「道案内でよかったのー?」

京太郎「はい!」

何でもっていわれて、変なことできるわけないよね!

京太郎「なので、精一杯お詫びしてください!」

豊音「う、うん、わかったよー」

……そんなわけで、案内してもらってます。

いや、本当にね、無理なものは無理なのね。

そんな、そのでっかいおもちもませてくださいなんていえるわけないのね。

豊音「えっと……こっち、かな?」

京太郎「ありがとうございます」

豊音さんの指示にしたがって歩く。

見かけない町並みだ……やはり、知識を広めるためにも散歩は重要だな、うむ。

豊音「んー……次はこっちー!」

京太郎「はい」

豊音「で、次はこっちでー」

京太郎「はいはい」

豊音「こういってー……」

京太郎「はいはいはい」

豊音「迷っちゃった!」

京太郎「はいぃ!?」

豊音「だってだって、適当に走ってたんだもん!」

豊音「ここがどこかなんて知らないよー!」

京太郎「なんで道案内引き受けたんですか!?」

豊音「だってだって、お詫びとして、やらないと……って」

京太郎「いや、わからないならわからないでいいじゃないですか!」

豊音「なんでもっていったし……」

京太郎「自分の言葉に責任持ちすぎですよ!?」

京太郎「……」

京太郎「……ええと、とりあえず携帯使って……学校まで向かいましょう」

京太郎「そしたら、途中で見慣れた道に出てくるでしょうし」

豊音「……うん」

豊音「うぅ……おかしいなぁ……」

豊音「お詫びするはずだったのに……うぅ……」

京太郎「だからって、できないことをしようとしないでください」

豊音「だって何でもって……」

京太郎「だからその話はもういいですから!」

……どうしよう、何か別のお詫びを探したほうがいいのだろうか。

胸をもませてください、無理ですよね!

……でも、今の豊音さんなら……。

多分、泣きながら差し出して来るだろうなぁ……。

京太郎「……」

あ、無理、やっぱり無理。

豊音「うーん……」

京太郎「どうしたんですか?」

豊音「ううん……どうやってお詫びしようかな……って」

京太郎「や、だから別にいいですって」

豊音「私がよくないの」

豊音「だって……京太郎君使って逃げたんだし……」

京太郎「……」

暗い顔を落とす。

……ああ、どうしよう。

逃げるとか聞くと、やっぱり気になってくる。

……話さないなら聞かない方がいいんだよな。

京太郎「……」

豊音「……」

無言。

空気が痛い。

ええと、何か話題……そうだ、今日あった面白い話でも——

豊音「……ん?」

豊音「……」

豊音「あ……っ!」

話す準備を整えている間、豊音さんの方を向いていたのだが。

その表情が見る見るうちに明るくなっていった。

豊音「そうだ、思いついた、思いついたよ!」

京太郎「……ええと、お詫びですか?」

豊音「うん、お詫び!」

豊音「あのね」

豊音「京太郎君……って呼んでいい?」

京太郎「……へ?」

豊音「お詫び!」

京太郎「……お詫び?」

豊音「お詫び!」

京太郎「……あの、何がお詫びなんですか?」

豊音「名前呼ぶ事だって」

京太郎「どこがどう?」

豊音「?」

豊音「嬉しくない?」

豊音「男の人はコレで喜ぶ……ってきいたけど」

京太郎「……まあ、うれしいですけど」

豊音「えへへ……ならよかった!」

京太郎「……」

豊音「これがお詫び……じゃ、ダメ、かな、京太郎君?」

京太郎「や、別にいいですけど……」

……なんだかむずがゆい。

塞さんの時にも感じたけれど、名前呼びってこそばゆいよなぁ。

嬉しいけれど。

……まあ、何はともあれ。

これ以上そんなことで落ち込まれていたりしてもやなので了承する。

二人目。

早くなれよう。

豊音「ありがと、京太郎君」

京太郎「ああ、いえいえ」

豊音「ちょーうれしいよー、えへへ」

ニヘラ、と顔をほころばせる。

さっきの暗い顔が嘘みたいだ。

豊音「……うん、今の私は嬉しくて嬉しくて、サービス精神、いっぱい!」

京太郎「へ……?」

豊音「だから、特別に私を豊音さんって呼ぶ権利を上げる!」

京太郎「……や、ちょっとまってください」

豊音「ん?」

京太郎「なんでですか?」

豊音「お詫び、ツーだよ?」

京太郎「なんですか、それ?」

豊音「あれだけじゃ足りないかなーと思って」

豊音「男の人はこれで喜ぶって聞いたんだけど……」

京太郎「……」

それは違うと思う。

豊音「……えと、ダメ、だった?」

京太郎「ああ、いや、全然、全然大丈夫です!」

面倒くさいことになりたくないので、全肯定。

ほら、しょぼんとされるよりは喜んでくれたほうがいいし。

特に豊音さんの場合。

あそこまで表情が顔に出る人の場合。

豊音「ほ、よかったー……」

京太郎「俺もよかったです」

豊音「私を名前で呼べて?」

京太郎「え……え、ええ」

豊音「……えへへ」

京太郎「……」

嬉しそうだ。

名前で呼ばれるのは嬉しいけれど。

名前で呼ぶのって果たしてうれしいのだろうか。

……親交の深まった証と考えればうれしいのかもしれないけれど。

京太郎「……ええと」

京太郎「それじゃ、よろしくお願いします、豊音先輩」

豊音「うん、よろしく、京太郎君!」

豊音「……はっ!」

京太郎「どうしました?」

豊音「京太郎君は、私を豊音さんって呼ぶでしょ?」

京太郎「呼ぶことになりましたね」

豊音「私は京太郎君のことを京太郎君って呼ぶでしょ?」

京太郎「呼ばれることになりましたね」

豊音「……」

豊音「……と」

豊音「友達になった!」

京太郎「へ?」

豊音「京太郎君、京太郎君、私たち友達になれたよ!」

豊音「この学校の年下の友達第一号だよ!」

京太郎「え、や、ちょ……っ!」

豊音「わーいっ!」

豊音「ちょーうれしいよー!」

ぐいんぐいん、と俺の手が振られる。

引きちぎれそうだ。

……ええと、つまり、彼女にとっての友達の証は名前で呼び合うことだったらしい。

半ば強制的な形だったけれど……でも、ま、友達になれて。

親交の深まった証と考えられるので。

満面の笑みを見せる彼女の正面で、俺も笑った。

今日は本編おしまい。

色々作業しながらしていたので、投稿も遅くなってごめんなさい。

お詫びに小ネタ一本>>+5

〜宮守で白雪姫〜


むかしむかし、ある世界。

おっきなお城のある世界。

そのお城の王女様。

とってもとっても美しい彼女の名前はシロ雪姫。

華奢な体、白い肌。

とっても綺麗なお姫様。

民からも慕われ。

小鳥からも慕われ。

嫌う人なんて誰もいませんでした。

好きにならない人なんて誰もいませんでした。

このときまでは誰もいなかったのです。

塞「……くくく」

ある日。

カーテンも全部閉めて、真っ暗になった部屋で王妃が笑い出しました。

塞「さあ、今日、今日もやってきたわ、世界で最高の時間、私服の時間!」

大げさに笑います、独り言です、寂しい人です。

塞「出てらっしゃい、マイスウィートエンジェル、鏡!」

ば、とその辺にあったカーテンを開くと、大きな大きな鏡が出てきました。

塞「……ふふ、美しい」

塞「ねぇ、鏡よ鏡、教えておくれ」

塞「……私は美しい?」

完全に頭のいった人です。

鏡の自分に問いかけてます。

お前は誰だ……とでも問いかけたら面白いですのに。

塞「……」

返事が返ってきません、そりゃそうです。

完全に悲しい人です、動画とって拡散したいくらいに悲しい人です。

塞「……はやく出てきてよ!」

胡桃「あ、ごめんごめん、寝てた」

ばん、と鏡を叩くと、鏡から顔が生えました。

どうやら魔法の鏡だったようです。

なるほど、この魔法の鏡に問いかけていたのですね、それなら痛くないかもしれません。

塞「ひどいわ、こんなにも美しく、可憐で、華奢な美少女こと私がいるのに!」

性格が完全に痛かったです。

塞「まったく……まあ、いいわ」

塞「ねぇ、鏡さん?」

胡桃「ん?」

塞「私、きれい?」

胡桃「……マスクは?」

塞「口裂け女じゃないわよ!」

塞「ああ、もう、早く答えなってば!」

胡桃「あー、綺麗綺麗」

塞「洗剤かっ!?」

もはや王妃の威厳はありません。

完全に女子高生のノリです、女子高生ともちょっとはずれてるかもしれません。

塞「……まあ綺麗なのね、ふふ、そうよね、そりゃそうよね、当然よね、私だもん、私だからね」

胡桃「うわぁ……」

鏡さんが引いてます。

かわいそうです。

塞「それじゃ、第二の質問よ!」

胡桃「あ、うん、どぞー」

塞「世界で一番美しいのは誰?」

胡桃「あ、それはシロ雪姫だね」

塞「そうよね、私よね、もうこの絶対可憐プリンセスこと私しか——」

塞「——えっ?」

胡桃「あっ!」

塞「……」

胡桃「……」

胡桃「や、本当に仕方ないんだって、シロ雪姫、本当に綺麗なんだって!」

胡桃「あとね、膝枕、すっごい気持ちいい!」

胡桃「膝座布団も気持ちいいし……ふにゅーってしたくなるくらいだし……」

胡桃「ともかく、シロ雪姫は可愛いよ!」

塞「ちょ、ちょ、待ってよ!」

塞「なんで、全部の答えに私って言ってくれる約束じゃん!?」

塞「いったいいくら払ってると思うの!?」

胡桃「う……だ、だって、本当に綺麗なんだもん……」

塞「……シロ雪姫……ねぇ」

胡桃「……本当、本当に綺麗なんだから!」

塞「……そうねぇ」

塞「……あ、鏡さん、貴方減給ね」

胡桃「ひえっ!?」

塞「きーっ、許せない、許せない!」

塞「私よりも可愛いなんていわれる子がいることが絶対に許せない!」

塞「第一、この国の法律で決まってるし!」

塞「可愛い、綺麗、上品、美しい、可憐……なんて、言葉は全部私にしかいっちゃいけないって!」

虚しいとは思わないのでしょうか?

塞「ああ、もう、憎い、憎い、憎い!」

塞「……狩人さん、狩人さんはいないかしら!」パンパン

豊音「よんだー?」

手を叩くとどこからともなく狩人さんが現れました。

訓練されてます。

でも、敬語は使いません。

王妃様がちょっと不憫です。

塞「ええ、呼んだ、呼びました、呼びましたとも!」

塞「いいですか、狩人さん、狩りの命令です!」

豊音「ん、わかったー」

豊音「じゃ、いってくるねー」

塞「いいえ、待ちなさい!」

豊音「?」

塞「貴方が狩るのは猪じゃない……」

豊音「え、違うのー?」

豊音「んと……んじゃ、どうしよう、なに狩ったらいいんだろう……ううーん……」

塞「だから、それを私が今から言うの!」

豊音「あ、そなのー?」

塞「ええ!」

塞「……いいですか、狩人さん」

豊音「うん!」

豊音「王妃様の言うことは絶対です!」

塞「ええ、絶対よ」

塞「だから、狩人さん」

塞「……シロ雪姫を狩ってきなさい?」

豊音「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

なんということでしょう、王妃様はシロ雪姫を殺すつもりです。

アホです、アホの所業です。

そもそも、国民皆に言わせてるのだから、王妃様より可愛い人なんていっぱいいるとおもいます。

……でも、王妃様も可愛いんですよ?

豊音「あうぅ……どうしよ……どうしよ……」

豊音「約束しちゃったし……あう……」

豊音「……う、うん、約束しちゃった、約束しちゃったんだから!」

豊音「よし、やるぞ、やるぞーっ!」

大変です、なんと狩人さんがやる気を出してしまいました

狩人さんもアホです、アホばっかりです、アホアホの国です。

豊音「えっと……今日は確か森の方にお散歩に行ってるんだよね……」

豊音「い、いくぞーっ!」

狩人さんはそう叫ぶと、走り出しました。

まるで場所がわかっているかのように、一目散に。

そして、しばらく走り続けると、一人の少女に出会いました。

真っ白な体、無垢な瞳……そう、彼女こそシロ雪姫です。

豊音「見つけた!」

白望「……」

豊音「え、えと……えと……」

豊音「お、お命頂戴しまする!」

さて、狩人さん。

この方、なんと一度も人を殺したことがありません。

狩人なので当然です。

ですから、人を狙おうとすると、殺そうとすると、手が震えます、足が震えます、顔が震えます。

涙が流れそうな、悲痛な表情をします。

豊音「か、か、かかっ、かっ、く……」

白望「……」

一向に動き出しません。

動き出せません。

人なんて殺せないのです、狩りとは違うのです。

豊音「……く……っぅ」

白望「……あの」

豊音「!」

白望「震えてる……風邪?」

おっと、シロ雪姫も天然でした。

先ほどお命頂戴するといってましたのに、ウイルスのお命でも頂戴するつもりだったんでしょうか?

白望「……あったかくして寝たほうがいい」

豊音「!」

白望「おうち……あっち?」

豊音「う……」

白望「心配ならついてくけど……」

豊音「……うわああああああああああんっ!」

白望「!?」ビクッ

豊音「ごめん、ごめんだよー!」

豊音「殺せない、殺せないよーっ!」

大きな体でシロ雪姫の体を包み込みます。

彼女の方を涙で滲ませます。

シロ雪姫は、そんな、大人気ない豊音よしよし、と慰めました。

まだ7歳です。

幼女に慰められる狩人さんです、情けないです。

豊音「……うん、改心した、改心したよー!」

豊音「シロ雪姫さん、お城は危ないから森の方にお逃げなさい!」

白望「……え?」

豊音「絶対、絶対返ってきちゃだめ!」

白望「……インフル?」

時代背景が全然違います。

豊音「あ、え、えーっと……うん、そうだよ!」

違います。

豊音「だから、ね?」

白望「……ん」

白望「ありがと、狩人さん」

豊音「どいたしましてだよー!」

豊音「もう帰ってきちゃだめだからねー!」

まるで、拾った猫を野性に返すようなノリです。

さて、そんなこんなで狩人とシロ雪姫は別れました。

狩人はお城へ、王妃を騙しに。

シロ雪姫は言われたままに森に。

ずんずん突き進みます。

きっと、もう帰れないというくらい、奥深く。

ずんずん突き進みます。

……やがて。

もう日も暮れるのではないか、というころ。

彼女は一つの家を見つけました。

それは、こじんまりとした小屋です。

ただ、いつもは高いはずの扉が、自分の手が届くくらいの低さになっています。

……いえ。

全部が全部小さく作られているのです。

白望「……」

よくわからないまま彼女は扉に手をかけました。

早く休みたいのです、休み無しで歩いてきたのです。

座りたいのです、寝転がりたいのです。

白望「おじゃまします……」

エイスリン「」ビクッ

白望「……ん?」

エイスリン「……」オドオド

中には7人の金髪の妖精がいました。

シロ雪姫よりも数段小さいです。

蒼い瞳は、おどおどと揺れながらシロ雪姫を見つめています。

なんでしょう、この天使、一つ持って帰りたいです。

白望「……」

エイスリン「……」

白望「……あの」

エイスリン「」ビクッ

白望「休んでもいい?」

エイスリン「……」コクコク

白望「……ありがと」

さすが天使、やさしいです。

シロ雪姫は行為に甘え、傍にあった椅子に座り。

そして、目を閉じました。

白望「……すー」

可愛らしい寝息を立てています。

エイスリン「……」

それを見て、7人の妖精は彼女に群がります。

つんつん、つついたりしてます。

害がないかどうか確かめてます。

エイスリン「……ゴハン、イル?」

エイスリン「イル……ヨネ」

エイスリン「タベサセル?」

エイスリン「ツクル?」

エイスリン「ワタシ!」

エイスリン「ワタシ!」

エイスリン「ワタシ!」

エイスリン「ドウゾ!」

エイスリン「モウ!」

何か楽しそうです。

所変わって、お城にて。

狩人さんが王妃様の下へ報告しにやってまいりました。

豊音「たっだいまー、殺してきたよー!」

塞「そう、ご苦労様……」

塞「……ん、ちょっとまって」

塞「証拠は?」

豊音「……ふふん」

豊音「私だって、そんなに馬鹿じゃないよ!」

豊音「じゃん!」

えへん、と胸をはった狩人さんは袋から一つのものを取り出します。

塞「こっ、これは……」

豊音「みて、この赤色!」

塞「まあ、真っ赤で綺麗な色!」

塞「……って、これはりんごだよっ!」

この国は芸人軍団なんでしょうか?

豊音「ばれたっ!?」

塞「そりゃばれるよ!」

豊音「おっかしいな……完璧だと思ったのに……」

本気だとしたら、とても危ないです

塞「……はぁ、この王妃たる私を騙そうとしたのね?」

豊音「……」

塞「……貴方には処罰が必要ね」

塞「これから、貴方は私に毎朝世界で一番美しくて可愛くて(以下略)をいう係りよ!」

豊音「えーっ!?」

……なんだか楽しそうです。

塞「……」

塞「……りんご、ね?」

しかし、その楽しそうな雰囲気の中。

王妃はニヤリ……といやらしい笑みを浮かべました。

エイスリン「……ムー」

エイスリン「ワタシ、ヒトリ、リョウリ、ソノタ」

エイスリン「マチガッテルヨ!」

7人のうちの1人が森を歩きます。

どうやら食料探しをしているようです。

小さな体をぽてぽてと動かして、森を彷徨います。

頭を撫でたいくらい可愛いです。

エイスリン「……」

トシ「ひっひっひ……そこのお嬢さん……」

そんな妖精に、突然怪しいおば——げふんげふん、17歳の魔女が話しかけてきました。

エイスリン「!?」

エイスリン「! ! !」

怯えてます、そりゃ怯えます。

トシ「……や、ごめん、何言ってるかわからないわ」

トシ「だけど、見るからに困っていたようだからねぇ……食料を探すのが面倒くさかったんじゃないのかい?」

エイスリン「!」

トシ「なんでわかるかって……私は魔女だからさ!」

トシ「……で、そんな困った貴方を助けてあげようと思ったんだよ」

エイスリン「……ヤサシイ」

警戒が完全に消えました。

詐欺に簡単に引っかかりそうです。

エイスリン「ナニクレルノ?」

トシ「ふっふっふ……」

トシ「なんと一口食べただけでおなかがいっぱいになる超絶素晴らしいこのりんごさ!」

怪しさ満点でした。

エイスリン「モラッタ!」

トシ「あげた!」

簡単に取引してました。

いいのでしょうか、それで。

エイスリン「タダイマ!」

エイスリン「オカエリ!」

エイスリン「……ハヤイ?」

エイスリン「ヒト、クレタ」

エイスリン「ナニソレ?」

エイスリン「リンゴ!」

エイスリン「エト……マホウ!」

エイスリン「マホウ?」

エイスリン「マホウ!」

エイスリン「マホウ!」

エイスリン「マホウ!」

白望「……ん?」

マホウ色に洗脳されていた小屋で、シロ雪姫は目を覚ましました。

白望「……なに、それ?」

まっさきにりんごに目をつけます。

なるほど、確かに超絶素晴らしいのですから、目に付くのも当然です。

エイスリン「リンゴ!」

エイスリン「マホウ!」

エイスリン「タベル?」

白望「……食べる」

エイスリン「ドウゾ!」

妖精の一人がシロ雪姫にリンゴを渡します。

シロ雪姫はそのリンゴを口にいれます。

白望「……」カリッ

白望「……!」

白望「……」バタッ

エイスリン「!?」

エイスリン「ナニ、ナニ!?」

エイスリン「タオレタ!」

エイスリン「ネタ?」

エイスリン「……ウウン」

エイスリン「イキ、ナイ」

エイスリン「シンダ?」

エイスリン「シンダ!?」

エイスリン「ドウシヨ!?」

なんと言うことでしょう、一口(以下略)りんごを食べたシロ雪姫は死んでしまいました。

妖精たちは戸惑います。

ああ、自分達が殺してしまったと、自分達の所為だと。

……どうしよう、とまよった末。

お墓を作ろう、と決めました。

エイスリン「ウゥ……」

涙を流しながら7人の妖精は棺を運びます。

ガラスでできた棺の上には、死してなお綺麗なシロ雪姫。

彼女はもう動くことはありません。

京太郎「ふぁ…………ん?」

そこへ、一人の男が通りがかりました。

彼は隣国の王子。

容姿端麗の同じく人気のある王子です。

京太郎「あのー、どうしました?」

エイスリン「!」ビクッ

京太郎「……人攫い、ですか?」

エイスリン「チガウ!」

エイスリン「コレ、シタイ!」

京太郎「……死体?」

エイスリン「シタイ!」

エイスリン「ワタシ、コロシタ!」

エイスリン「ワタシタチ、コロシチャッタ!」

エイスリン「リンゴ!」

エイスリン「マホウ!」

エイスリン「ワルイ、ソレ!」

エイスリン「デモ、シンジャッタ!」

エイスリン「ダカラウメル」

エイスリン「キレイナトコ、ウメル!」

京太郎「……なるほど」

京太郎「つまり、誰かがくれたリンゴが毒リンゴで、それを食べたこの美しい方は死んでしまったのですね?」

すごい読解力です。

エイスリン「ソウ!」

京太郎「……なら、安心してください」

京太郎「実は、俺の唇は……魔法を使えるんです」

美形の王子もアホでした。

なんなんでしょう、この世界。

エイスリン「」ビクッ

京太郎「落ち着いてください、殺しはしません」

京太郎「俺の魔法はそういうのじゃない」

京太郎「俺の魔法は……そう」

京太郎「……死者を生き返らせる魔法です」

エイスリン「!?」

京太郎「俺がキスをすれば、キスをされた人は生き返ります」

京太郎「だから、妖精さん……その子を僕にキスさせてはくれないでしょうか?」

一歩間違えれば変態です、いえすでに変態でした。

エイスリン「……ホント?」

京太郎「ええ」

エイスリン「……ワカッタ」

妖精たちは棺を地面に下ろします。

やはり、詐欺られ安そうな人達です。

京太郎「……おお、美しい」

京太郎「こんな美しい方とキスできるなんて……光栄ですね」

エイスリン「早く!」

京太郎「ああ、すいません!」

京太郎「それじゃ」

京太郎「……」

京太郎「……ちゅ」

ついに死体にキスをしました。

コレで何も起きなかったらタコ殴りどころの騒ぎじゃないです。

白望「……」

京太郎「……あ、あれ?」

白望「……もっとくれないと……生き返れない」

今死体が喋ったような気がします。

気のせいでしょうか。

京太郎「……ちゅ」

白望「ちゅ」

京太郎「!?」

死体が動き出しました。

腕を大きく動かして、片手は彼の腰に、もう片手は彼の後頭部に。

そして、全力で押さえつけました。

白望「……ぷは」

京太郎「……ぷはっ!」

京太郎「は、は……」

京太郎「……ほら、生き返った」

エイスリン「スゴイ!」

確かにすごいです。

白望「……ありがとうございました」

白望「私の名前はシロ雪姫」

白望「ありがとう、私の命を助けてくれて」

白望「……お礼といってはなんですが」

白望「私は、貴方に一目惚れしました」

白望「どうか、私を貴方の妻にしてください」

7歳の幼女の発言です。

……よく考えたら7歳の幼女の死体にキスをしました、この王子は。

死んだほうがいいんじゃないでしょうか。

京太郎「……喜んで」

王子はその提案を笑顔で受け入れました。

かくして、7歳の王妃の出来上がりです。

京太郎「それでは、私のお城へ向かいましょう」

王子はシロ雪姫の手を取ります。

妖精たちのお礼と手向けの言葉を肩に——

白望「待って」

京太郎「……へ?」

——え、ちょ、ま、あ、あれ、これ台本に——。

白望「……お嫁さんにしてください」

京太郎「え……あ、はい、だからしますってば」

白望「そうじゃなくて」

白望「今のはシロ雪姫じゃなくて」

白望「……小瀬川白望」

京太郎「……へ?」

白望「須賀京太郎君、貴方のことが大好きです」

白望「私を、お嫁さんにしてください」

お、おお、おおおーーーっと!

こんなところで意外な告白、出演者も知らない、完全なるアドリブです!

エイスリン「シロ!?」

白望「……ごめん……でも、キスして……我慢できなくなったの」

白望「ねぇ、京太郎君、答えは?」

京太郎「え……あ、えぇ……?」

さあ、須賀京太郎君、ここで甲斐性のある言葉は出せるのでしょうか!

役どおり、イケメンな返答ができるのでしょうか!

京太郎「うるせぇ!」

京太郎「え、あ、ええっと……」

京太郎「……お、俺でよけれ……ば?」

つまんない返答でした、あははっ!

京太郎「笑うな、おいっ!」

いやいや、観客受けもいいよー、ほら、みんな祝福してくれてる

白望「……うれし」ギュッ

京太郎「シロ……さん……っ!」

白望「……すき……すき、すき、だいすき」

京太郎「……」ギュッ

おおっと、舞台で抱き合いました、なんだこいつら!

さて、この劇、終るには少し早いかもしれませんが、こんなにも幸せなカップルができたのですから終わりましょう!

……え、これが本当にアドリブか……って、劇の一部じゃないのかって?

答えは皆様の心の中にあるはずですよ、なんちゃって、くす。

それでは、以上、麻雀部でした!

おしまい、想像以上に長引きました、ごめんなさい。


それでは皆様、お付き合いありがとうございました。

長らくお待たせして申し訳ございません、始めます

京太郎「……学校ですね」

豊音「ついたね」

京太郎「……あまり長くありませんでしたね」

豊音「もしかしたらそっちにむかってたのかもね、ふふっ!」

京太郎「ええ……」

豊音「……はっ!」

豊音「ということは私の案内もあまりまちがってなかった……?」

京太郎「思い切り間違ってます」

豊音「……うー」

京太郎「唸られても」

京太郎「……まあ、ともかく、戻れただけでよかったですよ」

京太郎「このまま迷い続ける……なんてことなくて」

豊音「ねー」

豊音「地元で迷って餓死なんてしゃれにならないよー!」

京太郎「そんなことは多分起きないので、大丈夫です」

豊音「そう?」

京太郎「地元なら友人呼べばいいじゃないですか」

豊音「はっ!」

豊音「そだね、うん!」

豊音「私友人いっぱいいるし!」

京太郎「……」

何も間違っていないのだろうけど、言い方的に何か間違っているような気がする。

ほら、なんていうか……つよがってるみたいな……」

豊音「……今変なことかんがえたでしょー?」

京太郎「いえ、別に」

豊音「嘘だー!」

豊音「変な顔してたもん!」

京太郎「どんな顔ですか」

豊音「いーって顔!」

京太郎「いー」

豊音「違う、いーっ!」

京太郎「いーっ!」

豊音「いーっ!」

京太郎「……さて」

豊音「ん?」

京太郎「そろそろ夕飯ですし」

豊音「んー……」

豊音「そーだけどー」

京太郎「……だけど?」

豊音「……もうちょっとお話しない?」

京太郎「へ?」

豊音「お話!」

京太郎「……いや、あの、いいですけど」

豊音「えっ、本当!?」

京太郎「……なんで豊音さんが驚くんですか」

京太郎「……あ、ちょっと待ってください、親に相談しますね」

豊音「う、うん!」

とりあえずメールを送る。

すぐに返信が帰ってきたので一安心、ご飯まではもう少しかかるらしい。

そのもう少しくらいの間なら離せる。

京太郎「……ええと、大丈夫ですよ?」

豊音「ほんと!?」

京太郎「なんでここで嘘つくんですか」

豊音「あははっ、それもそうだねー!」

豊音「ふふっ、ちょーうれしいよー!」

京太郎「……あ、ありがとうございます」

豊音「えへへっ!」

京太郎「……」

豊音「京太郎君と話すのはちょーたのしいからね!」

豊音「いっぱい話せてすっごくうれしいよっ!」

京太郎「……ぅ」

豊音「ん?」

京太郎「いや……」

さすがに、恥ずかしいな、って。

豊音「ね、ね、何話す?」

京太郎「や、話題はなんもないんですか?」

豊音「ないよ!」

京太郎「自信満々に言われても!」




豊音の好感度が上がりました

間違えた、あがんないです

京太郎「ただいまー」

母「ん、お帰り」

母「ご飯できてるわよ?」

京太郎「そりゃ、それにあわせて帰ってきたんだし」

母「ちゃんと手を洗ってから食べてよ?」

京太郎「わかってるよ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



京太郎「さて、ごはんも食べ終わったわけだが」

京太郎「……ご飯食ってすぐ勉強って言うのも辛いよなー」

京太郎「なんかゲーム……」

京太郎「……いや」

京太郎「折角だし、誰かとメールしようかな……?」



>>+5
誰と?

豊音ちゃん

あがらないのはさびしいよー

>>430
ごめんなさい、間違えたんです、本当にごめんなさい


京太郎「……ん」

京太郎「折角だし豊音さんにでもメールしよ」

京太郎「んー……」

京太郎「今暇ですか……っと」

『暇だよ、超暇だよー!』

『ね、何のおお話する、するー?』

京太郎「……はやっ」

京太郎「んー……」

京太郎「……といっても、結構話しましたからね、さっき」

京太郎「ポンポン話題もでて来ないです……っと」

『んー……それをいったらおしまいだけどー』

『でもでも、何かお話したくてメールしたんでしょー?』

京太郎「さっきの豊音さんみたいなもんです……っと」

『どういうことー?』

京太郎「話したいけど内容は特にない、って奴です……っと」

『ふふっ、一緒だいっしょー!』

『えへへっ、京太郎君も人のこといえないねー!』

京太郎「……ですねー……っと」

『で、何のお話しする、する?』

『んー……あ、今日のご飯美味しかったよ!』

京太郎「そうですか……っと」

『京太郎君は?』

京太郎「美味しかったですよ……っと」

『……』

『……ど、どうしよう、続けられないよー!』

京太郎「続けられませんねー……っと」

『なんとかしてよー!』

京太郎「俺が何とかするんですか!?……っと」

『わ、私だってがんばってるよ、えと、えーっと……』

『あ、そだ!』

『今日のご飯どうだった?』

京太郎「会話がループしてます!……っと』

『あれ!?』

『うー……』

京太郎「えっと、それじゃあ——」




豊音の好感度があがりました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


京太郎「……お昼、か」

友人「ん、どったの?」

友人「食べない?」

京太郎「……あー」

友人「……ははーん」

友人「麻雀部の人達と一緒に食べる……とか?」

京太郎「!」

友人「おぉ、的中」

友人「まあ、あんな伏線はってたんだから、むしろしない方がおかしいけどねー」

友人「あははっ、ちゃんとやったんだねー、えらいえらい」

京太郎「母親かよ」

友人「友人だよ?」

京太郎「……」

友人「まー、何はともあれ」

友人「そゆことなら別に引き止めないって」

友人「いってらっしゃーい!」

京太郎「……あ、ああ」

友人「ん?」

友人「まさかひきとめて欲しかった?」

京太郎「いや、別に」

友人「まーた即答かー」

友人「泣いちゃうよ?」

京太郎「引きとどまって欲しかったのか?」

友人「べっつにー」

友人「ほら、早く行かなきゃ、先輩達が待ってるよ?」

京太郎「いや、そうなんだけどさ」

友人「どったの?」

京太郎「どこで食べるか聞いてないんだよね」

友人「……」

京太郎「……」

友人「……騙された?」

京太郎「演技でもないこと言わないで!」

友人「まあ……うん、今日も一緒に食べよっか」

京太郎「やめろ、おい、その哀れみの視線やめろ、やめてくださ——」



>>+4
宮守5人から一人

豊音「——京太郎君っ!」バンッ

京太郎「」ビクッ

友人「わ」

扉の方から大きな音と声が両方聞こえた。

見えたのは大きな人だった。

豊音「迎えに来たよー!」

さすが、目立つ。

クラス中の視線がそっちに、そして俺に集まった。

なんか怖い。

友人「よかったじゃん、呼ばれてるよ?」

京太郎「呼ばれてるな」

友人「いかないの?」

京太郎「行くけど」

友人「いてらー」

京太郎「……言ってきます」

ふりふりと手を振る友人に手を振り替えして、扉の前で待つ豊音さんの下へ向かう。

……その間にも、何か視線を感じる。

ああ、なんか背中が痛い。

京太郎「……えっと」

豊音「いこっ?」

京太郎「え……あ、はい」

結局視線の矢が止むことはなかった。

ぐさりぐさりと刺さりながら、歩き出す豊音さんの後をついていく。

……当然だけど、教室を出たら矢も止んだ。

落ち着いた気分で、少しにぎやかな廊下を豊音さんと並んで歩く。

京太郎「……えっと、どこで食べるんですか?」

豊音「麻雀部だよー」

京太郎「いいんですか!?」

豊音「塞が鍵持って来てくれたからねー」

豊音「多分トシさんにも許可とってると思うよ」

京太郎「そういう問題なんですか」

豊音「そういうもんだーい」

豊音「〜♪」

京太郎「……楽しそうですね」

豊音「楽しいよー♪」

豊音「ちょーたのしみだよー!」

京太郎「……皆でご飯食べたこととかなかったんですか?」

豊音「あはは、そういうわけじゃないけどー」

豊音「京太郎君は、一回やったらもう楽しくなくなっちゃう?」

京太郎「……そういうわけじゃないですけど」

豊音「あははっ、そういうことー!」

豊音「皆でご飯食べるのは何回経験したってちょーたのしいよー!」

豊音「……ううん、ご飯食べるだけじゃなくて」

豊音「どんなことだって、皆でやれば、ちょーたのしいの!」

京太郎「まあ……そうですけど」

豊音「でしょ?」

豊音「だからね、私は今、もうちょー楽しみでしかたないんだよ!」

京太郎「なるほど……」

豊音「〜♪」

豊音「あ、それと!」

京太郎「……なんでしょう?」

豊音「京太郎君とご飯食べるの初めてでしょー?」

京太郎「……えぇ」

豊音「それじゃ、これは初めての経験でしょ?」

豊音「どっちにしたって楽しみにしないはずがないんだよ、えへっ!」

京太郎「そうですか」

豊音「そうだよー!」

京太郎「俺も楽しみです」

豊音「ね!」

豊音「〜♪」



豊音の好感度があがりました。

若干中途半端ですが今日はここでおしまいで


何か小ネタ書きます>>+3

〜猫になった塞さん〜

塞「……スー」

塞「ン……」

塞「……にゃ?」(ん?)

塞「……」

塞「……」

塞「にゃ!?」(え、何これ!?)

塞「にゃ、にゃにゃ、なー!」(え、ちょっと、視線ひくっ!?)

塞「にゃ……」(手……)

塞「……」

塞「にゃー!?」(猫の手!?)

塞「にゃ、にゃな、にゃー!?」(ど、どういうこと、なにこれ!?)

京太郎「塞さんお待たせしましたー」

京太郎「……あれ?」

京太郎「いない……?」

塞「にゃ! にゃ! にゃ!」(ここ! ここ! ここ!)

京太郎「……ん?」

塞「にゃー! な、ぁ!」(私、塞、塞だよ!)

京太郎「……猫?」

塞「にゃ!」(違うって!)

京太郎「おっかしいな……窓もしまってるし……どこから入ってきたんだ?」

塞「なー! にゃにゃっにゃにゃー!」(塞だって! 最初からいたって!)

京太郎「んー」

京太郎「……おいで?」

塞「!?」

京太郎「……おーいで?」

塞(……まって、塞、落ち着いて)

塞(今の私は何故か猫……本当に何故か猫)

塞(多分、声も出せないし……わかるわけないんだよね、京太郎君に)

京太郎「……あー」

塞(……ええと、変なところに捨てられたら困るし……うん)

塞(猫になりきって……うん」

京太郎「……やっぱよってこないかー」

塞「……にゃ」(ううん)

京太郎「ん?」

塞「……にゃぁ」(えへっ)

京太郎「……にゃぁ」

塞(何これ、京太郎君すごく可愛い)

京太郎「しかし赤色の猫か……見たこと無いな」

塞(私の髪の毛……かな?)

京太郎「……ふむ」ガシッ

塞「にゃ?」(なに?)

京太郎「よいしょっ!」

塞「にゃああああああ!?」(わああああああ!?)

塞「にゃ、な、にゃ、な、にゃー!?」(え、なに、これ、空に、浮いて!?)

塞「……にゃ! にゃにゃにゃ、にゃー!」(あっ、京太郎君が持ち上げてるのか!)

塞「にゃー! にゃにゃにゃー!」(わー、なんか変な気分、下ろしてぇっ!)

京太郎「あ、ごめんごめん、いじめるわけじゃなくて!」

塞「にゃーにゃーにゃーにゃー!」(おーろーしーてー!)

京太郎「……しょっと」

塞「にゃぁっ!?」(わぁっ!?)

京太郎「……ふぅ、ごめんごめん」

京太郎「ちょっと抱きしめたかっただけ」ギュッ

塞「にゃ!?」(はぇ!?)

京太郎「……おっかしいなー」

京太郎「俺猫ってソコまで好きじゃないのに……」

塞(わ、わわわ、京太郎君に包まれてる……!?)

塞(いつもと違って、私ちっちゃ意から……全身が京太郎君にくるまれて……!)

塞(すっ、すごい、なにこれ!?)

京太郎「あはは、よしよし」

塞「ふみゅ……」

塞(……わぁ、撫でられてる)

塞(いつものも好きだけど……京太郎君の手、おっきくて……)

塞「ふみゅぅ……」(きもちいぃ……)

京太郎「にしても真っ赤な毛だなー」

京太郎「塞さんみたい」

京太郎「……そうだよ、塞さんだよ!」

塞「みゅっ!?」(わっ!?)

京太郎「あ、ごめん、驚かせて……」

塞「……」

塞「にゃ、にゃぁぁぁぁ!」(そうだよ、私だよ!)

塞「にゃ、にゃにゃ!」(私ここだよ、京太郎君!)

京太郎「わ……悪い、悪かったって!」

塞「にゃー!」(そうじゃなくて!)

塞(ああ、もう、どうしよう、どうしたら伝わるんだろう!)

塞「にゃ、にゃにゃ!」(私、私が塞!)

京太郎「どこにいるんだろうなぁ……隠れてるとか?」

塞「にゃ!?」(無視!?)

塞(……あ、でも、猫だし、気づかない……うぅ……)

塞「にゃにゃ!」(ここだってば!)

京太郎「……まさかな」

塞(……むー)

塞「にゃーっ!」(私だってば!)ペロッ

京太郎「わっ!?」

塞「にゃ、にゃ、にゃ、なーっ!」(私、塞、私が、塞!)ペロペロ

京太郎「わっ、ちょっ……やめ……っ!」

塞「にゃにゃ、にゃーっ!」(隠れてないよ、正面にいるよ!)ペロペロ

京太郎「は、あははっ!」

塞「にゃーっ!」(ほら、気づいてってば!)ペロペロ

京太郎「やめっ、くすぐった……!」

塞「にゃ、にゃにゃにゃっ!」ペロペロ

塞「にゃ、ここにゃっ!」ペロペロ

塞「私が塞にゃってば!」ペロペロ

京太郎「えっ」

塞「……にゃ?」

京太郎「……あ、あれ?」

京太郎「俺……さっきまで、猫を抱きしめてて……」

塞「えっ……あ!」

京太郎「え、あの、塞さん……?」

京太郎「なんで……俺の顔、舐めて……」

塞「」

京太郎「え、あ、あれ、だって、さっきまで舐めてたの……」

塞「急用ができたので帰ります!」

京太郎「え……わ、ま、まって、待ってください!」

塞「待たない、帰るのっ!」

京太郎「いや、あの、だって、説明、せめて説明!?」

塞「私だってわかんにゃいよぉっ!」

京太郎「にゃ?」

塞「」

京太郎「え、えと……じゃ、やっぱりあの猫は——」

塞「ふしゃぁぁぁぁぁぁっ!」

京太郎「わっ、怒った!?」

塞「いいから、はにゃして!」

塞「帰らせて、帰らせてってば、死ぬ、恥ずかしさで死んじゃうぅっ!」

京太郎「俺だって恥ずかしくて死にそうですよ!}

塞「やられるほうよりやるほうが恥ずかしいもんっ!」

塞「やーだー、帰るーっ、かーえーるーのーっ!」


つづく?

お付き合いありがとうございました

京太郎「えぇと、こんにちは」

部室の扉を開くと、4人勢ぞろいで机に座っていた。

豊音「つれてきたよー!」

塞「ん、おつかれー」

京太郎「ええと、遅れてごめんなさい」

エイスリン「……!」

エイスリン「ワタシモキタトコロダカラ」

白望「……や、私と一緒に、最初に来たじゃん」

エイスリン「コウジャナイノ?」

白望「……」

胡桃「というか、須賀君が集まるって言ったんだから、須賀君が場所決めればよかったのに」

京太郎「や、ほら、俺って新入生ですし」

胡桃「ま、そうだけど」

京太郎「そんな食べられる場所知りませんし」

胡桃「知ってる場所だったけどね」

京太郎「でしたね」

豊音「ね、私たちどこに座ればいい?」

塞「んー……まあ、適当なとこに座っちゃいなよ」

白望「空いてる椅子二つだけど」

胡桃「しかも、私たちよって座ってるから実質的に座る場所決まってるよね」

豊音「どっちがどっちに座る?」

京太郎「別にどっちでもいいですよ」

豊音「そっかー……じゃあ私胡桃のとなりー!」

胡桃「えっ」

豊音「え……な、何かダメだったー……?」

胡桃「あ、や、そういうわけじゃなくて……」

胡桃(豊音背が高いから……なんていうか……)

京太郎「んじゃ、その隣が俺ですね」

白望「……よろしく」

京太郎「え、あ、はい、よろしくです」

エイスリン「ジャア……スル?」

塞「うん、するよ」

塞「それじゃ、いただきますっ!」

白望「……」

京太郎「……食べないんですか?」

白望「んー……」

白望「かばん取るの面倒くさいからいいや」

エイスリン「ダメ!」

京太郎「わっ!?」

エイスリン「タベナキャ、メッ!」

白望「……ダルい」

エイスリン「……マッタク」

エイスリン「プンプン!」

塞「や、それは声に出さなくてもいいんじゃないかな」

京太郎「……いつもそんな感じで死なないんですか?」

白望「……死にそうになったら食べるから」

白望「大丈夫」

京太郎「そういう問題じゃないと思います」

エイスリン「マッタクモッテ!」

塞「それちょっと使い方違うよね」

エイスリン「モウ!」

エイスリン「カバン!」

白望「……ダルいからとって」

エイスリン「……」ジトー

白望「……はいはい」

胡桃「いや、そこまで取ったなら自分でとろうよ」

白望「腕曲げたくない」

胡桃「……」

エイスリン「エト……アッタ」

エイスリン「パン!」

エイスリン「シロ!」

白望「……はいはい」

白望「……」パクパク

豊音「なんていうかさ」

豊音「エイスリンってシロのお姉ちゃんみたいだよねー?」

塞「お姉ちゃんというか……家政婦さんというか……」

京太郎「メイドさん?」

胡桃「エイちゃんのメイド服かぁ……」

エイスリン「コンナカンジ?」

京太郎「書くの早っ!?」

エイスリン「……エヘ」

エイスリン「ジツハ……マエ、カイタ」

塞「へっ?」

豊音「着てみたかったりするのー?」

エイスリン「……」

エイスリン「……ン」コク

胡桃「そうなんだー」

エイスリン「……ァゥ」

胡桃「あ、や、別に馬鹿にしてるわけじゃなくて!」

京太郎「エイスリンさんならきっと似合いますし、大丈夫ですよ」

エイスリン「……ソウ?」

塞「うんうん!」

塞「ちょっと想像したけど、すっごい似合ってるよ!}

エイスリン「……フフッ」

エイスリン「コンド、カウ!」

胡桃「……近くに売ってるかな?」

豊音「んー……通販?」

白望「……けぷ」

白望「……ねぇ、皆」

胡桃「どったの?」

白望「食べないの?」

京太郎「……」

塞「……話に夢中になってたね」

白望「……ごちそうさま」

塞「皆でごちそうさまはいっしょにやるからね!」

豊音「うんうん、絶対やるよー!」

白望「……じゃ、ボーっとしてるから」

京太郎「折角隣の席なんですし、何か話しません?」

白望「……否定?」

京太郎「か抜き言葉です」

白望「……んー」

白望「弁当の邪魔になるから、やめとく」

エイスリン「……ムー」

白望「……何」

エイスリン「オハナシシタイ!」

白望「……」

塞「ほら、こんなにモテモテなんだからさー」

白望「……」

白望「……トイレ」

塞「逃げた!」

豊音「あはは、シロも恥ずかしいんだよー!」

京太郎(……トイレがダルい、なんてことは)

胡桃「……須賀君?」

京太郎「はいっ!」

胡桃「……今一瞬スケベな目してたけど」

京太郎「気のせいです」

胡桃「もしかして、私の体で——」

塞「それはないね」

胡桃「ちょっとまって」

豊音「でも、京太郎君がそういう人だったら……」

エイスリン「……ロリコン?」

京太郎「んなわけないじゃないですか!」

胡桃「……」

京太郎「鹿倉先輩で変なことなんか妄想して——あれ、鹿倉先輩?」

胡桃「……なんでもない」

京太郎「?」

胡桃(……はぁ)



>>+5
誰か一人

豊音「……」チョンチョン

京太郎「あ、はい、どうしました?」

豊音「いや、あの、えっとー」

豊根「んー」

豊音「……んんん」

京太郎「なんでそんなに迷ってるんですか?」

豊音「いやー、えっとー」

豊音「うーん……」

豊音「えっとねー」

豊音「えっとぉ……」

京太郎「……」

なんだか、どんどんと豊音さんの体が小さくなっているような気がする。

いや、実際はこんなにも大きいのだけど。

……どうしよう、なんだか悪いことをしている気分だ。

京太郎「……や、あの」

京太郎「無理に話さなくてもいいです、けど」

豊音「あ、ううん、そんな難しいことじゃなくて、ね?」

豊音「その……」

京太郎「……」

豊音「……さっきから、シロ達の方ばっかり向いてて」

豊音「何か寂しいな……って」

京太郎「……」

京太郎「……えっ?」

豊音「……あ、ごめん」

豊音「それだけ……なんだけどー」

京太郎「いや……あの、はい」

京太郎「……」

豊音「……」

……気まずい。

いや、ほら、あの、あれだ、ほら、俺と話したかったんだろうし……。

京太郎「……ええと」

豊音「う、うん……何、かな、京太郎君?」

京太郎「……」

豊音「……」

京太郎「……」

豊音「……」

胡桃「わ、なんかいい雰囲気ができてる!」

豊音「ひゃっ!?」

京太郎「え……いやいや、そんなのできてませんよ!」

胡桃「や……でも、なんか見詰め合ってたし……」

塞「やや、今のは見詰め合ってたわけじゃなくて……豊音が顔下向けてたから……」

白望「……告白?」

豊音「されてないよー!?」

塞「そんな風に見えたー……ってだけ」

豊音「わ、わ、わ!」

エイスリン「……」

エイスリン「!」

京太郎「今、絵に描くネタ思いついたとか思いましたよね?」

エイスリン「!?」

エイスリン「エスパー!」

京太郎「いや、みりゃ分かります」

エイスリン「……」

エイスリン「エスパー……キョウタロウ?」

胡桃「かばんの中にはいっちゃいそうだよね!」

塞「……」

胡桃「……ねぇ、なんで私を見るの?」

京太郎「いや、あの、ともかく俺を題材にするのはやめて欲しいんですけど」

エイスリン「アレ!」

京太郎「や、あの7人のイラストにも確かに俺は入ってますけど」

白望「エイスリンは……変なことに使ったりしないから」

京太郎「いや、そういう問題じゃなくて」

京太郎「仮にシロさんをモデルにエガシロ2:50みたいな絵を描かれたらどう思いますか?」

白望「……」

エイスリン「……イイ!」

白望「ダメ」

エイスリン「……ムー」

京太郎(やっぱり嫌なんですね)

豊音「……むー!」

豊音「京太郎君っ!」ベチッ

京太郎「痛っ!?」

京太郎「な、なななんですか!?」

豊音「特に用はないけどー!」

豊音「でも話してほしいの!」

京太郎「また無茶な!?」

豊音「だって、そっちばっかりずるいーっ!」



豊音の好感度が上がりました。

豊音「京太郎君っ!」

京太郎「なんですか?」

豊音「京太郎君の影なっがいね!」

京太郎「豊音さんの方が長いですけどね」

塞「……なんか、すっごいなつかれたねー」

京太郎「なつかれるというか……仲良しになったというか……」

胡桃「でも、私たちのときもこれくらいで抱きついてくるくらい仲良くなったよねー」

塞「ん……まあ、それもそっか」

白望「おんぶしてくれる」

エイスリン「トドカナイモノ、トッテクレル!」

豊音「えへんっ!」

京太郎「……便利屋さんみたいですね」

塞「どっちかと言えば人懐っこい犬だね」

豊音「ワン!」

胡桃「トゥー!」

エイスリン「スリー!」

京太郎「え……あ、フォー!」

塞「ふぁ、ファイブ?」

白望「……シックス」

……。

……。

……。

京太郎「……いや、何もないんですか?」

塞「や、だって、何やるかなんて知らないし……」

白望「……豊音がやったから」

豊音「私は犬の鳴きまねしただけだよー!」

エイスリン「……」ジー

胡桃「え……わ、私……!?」

京太郎「……や、まあ胡桃さんでしょう」

胡桃「……んー、まあなんとなくやっただけだけどさぁ」

豊音「でも、楽しかったからいいよー!」

豊音「あはははっ!」



>>+4
誰か一人

『今暇?』

豊音さんからメールが来た。

丁度休憩しようと思っていたのでベッドに転がってのんびりと返信する。

京太郎「ええ、暇ですよ……っと」

『よかったー!』

『えとね、日曜、暇?』

京太郎「はい、暇ですけど……っと」

『もっとよかったーっ!』

『ね、ね、麻雀部の皆でショッピングする予定なんだけどね!』

『京太郎君も来ない?』

京太郎「……ショッピングですか?……っと」

『そそ』

『別に買うものがあるわけじゃないんだけどー』

『ええと……ウインドウショッピングとか、そんな感じだっけ?』

京太郎「ああ、はい……」

京太郎「……ええと、どこまで行くんですか?」

『んー?』

『電車でちょっといったところのつもりだけどー』

『どう?』

京太郎「そうですね……ええと、多分暇なので、行ってもいいですか?」

『勿論、勿論っ!』

『わーいっ、ちょーうれしいよー!』

『ふふっ、日曜も皆で一緒だね!』

京太郎「ええと、その日は部活ないんでしたっけ?……っと」

『うん、急速も必要だーってトシさんがいってたから』

『一日中遊べるよ!』

京太郎「……なるほど……っと」

『ふふっ、今から楽しみだねー』

『どんな服着てこっかなー』

『何買おうかなー』

『ふふっ、ふふふっ!』

京太郎「まだ時間はありますけどね……っと」

『ううん、こんなに楽しみ何だからきっとすぐだよ!』

『ああ、楽しみだよ、ちょーたのしみだよーっ!』

京太郎「……あはは……っと」

毎度の事ながら、こういった遊びが本当に好きなのだろう。

携帯の画面の向こうで、笑顔を見せている豊音さんが用意に想像できた

>>480帰宅後の話

今日はこれでおしまいお付き合いありがとうございました

〜日曜〜


京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎(……やべぇ、一人だ)

京太郎(早く来すぎたか……?)

京太郎(いや、でも、10分前出しそんなことは……)

豊音「わっ!」

京太郎「うわっ!?」

京太郎「び……びっくりしたぁ」

豊音「えへへっ、ごめんごめん」

豊音「京太郎君が何か下向いてたからついおどかしたくなっちゃって!」

京太郎「なんですか、それ」

豊音「えへへっ!」

豊音「んー……それにしても、ずいぶん早いんだねー」

京太郎「あはは、さすがに先輩たちを待たせるわけにもいかないですし」

豊音「えらいねー……なでなでする?」

京太郎「……身長差的に本当にできるんですよねー」

豊音「してほしい?」

京太郎「結構です」

豊音「えー……」

塞「っと、二人とも早いね」

豊音「あ、塞!」

京太郎「おはようございます」

塞「うん、おはよ、豊音、京太郎君」

塞「あはは、二人とももしかして楽しみすぎて早く来ちゃった感じ?」

豊音「ぎくっ!」

京太郎「あ、いや、俺は別に」

豊音「……えっ、楽しみじゃなかったの?」

京太郎「そうじゃなくて!」

塞「あははっ、冗談冗談」

塞「意地悪いってごめんね」

京太郎「……別にいいですけど」

豊音「えっ?」

塞「えっ?」

胡桃「……なんで3人ともそんなにはやいのさ」

京太郎「あ、鹿倉さん」

塞「おはよー」

胡桃「むー」

胡桃「せっかく一番乗りしようと思ったのに……」

豊音「胡桃も楽しみだったのー?」

胡桃「ん、それもあるけど」

胡桃「一番乗りって好きだし」

塞(子供みたい)

胡桃「何かいった?」

塞「何も」

胡桃「私別に塞のこといったわけじゃないんだけど」

塞「……」

胡桃「……」

豊音「あとはシロとエイスリンさんだねー」

京太郎「……なんか二人とも遅そうですね?」

豊音「んー……なんとなくわかるけどー」

豊音「でも、二人ともちゃんと時間は守るよ」

京太郎「そうなんですか?」

豊音「うん……ほら!」

白望「……」

京太郎「あ、本当だ」

京太郎「おはようございます、小瀬川先輩」

白望「……ん」

豊音「来てくれてよかったよー!」

白望「……別に、だるくもないし」

白望「歩くのはだるいけど」

豊音「……おんぶする?」

白望「……ん」

豊音「んー!」

胡桃「……シロ」

白望「誘ったのは豊音」

胡桃「……」




エイスリン「トウチャク!」

塞「ん、おはよエイちゃん」

エイスリン「オハヨ!」

エイスリン「チョウドダヨ!」ドヤァ

京太郎「あ、本当だ」

エイスリン「エヘンッ!」

白望「……別に、丁度がえらいわけでもないけど」

エイスリン「……?」

胡桃「や、でも悪いわけでもないし……」

塞「日本人はね、5分前にはもう目的地に到着してるんだよ」

エイスリン「!」

エイスリン「ツギハガンバル!」

京太郎「あはは、がんばってください」

豊音「っと、これでみんなそろったねー」

塞「点呼取る?」

胡桃「いや、別にいいでしょ」

塞「あはは、なんとなく」

白望「……とりあえず、早く行かない?」

胡桃「あ、そだね」

京太郎「早く行けばいっぱい遊べますしね」

エイスリン「!」

エイスリン「イク、ハヤクイク!」

塞「だね」

塞「んじゃ、いきましょっか!」



下4、誰か一人

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