17日なのでシアター17歳組のss
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島原エレナ「うーん……ボール、どこに行っちゃったんだろう? やっぱりこの池に落ちちゃったのカナ……」
宮尾美也「あなたが落としたのはこの金のサッカーボールですか〜? それともこの銀のサッカーボールですか〜?」
エレナ「あ、ミヤ! どうして池の中から出てきたノ?」
美也「実は足を滑らせてこの池に落ちてしまいまして〜。ここで女神をすることになったんですよ〜」
エレナ「ミヤ、カミサマになったノ!? すごーい!」
美也「さて、エレナさんが落としたのは金と銀のどちらのサッカーボールですか〜?」
エレナ「ワオ、ゴージャスなボールだネ! でもワタシが落としたのは普通のボールだヨ」
美也「エレナさんは正直者ですね〜。ご褒美にこのボールを全部あげましょう〜」
エレナ「え? それはミヤのボールじゃないノ?」
美也「正直な人にはこれを渡すのが女神の仕事なんですよ〜。大事にしてくださいね〜」
エレナ「うん! あっ、ミヤが池に潜っちゃった……」
高山紗代子「エレナちゃん、見せたい物って?」
エレナ「ジャーン! ピカピカのサッカーボールだヨ!」
横山奈緒「うわ、すっごいなそれ。スプレーでもかけたん?」
エレナ「ううん、本物の金と銀のだヨ」
真壁瑞希「本物、ですか。少し失礼します。うっ……重いな」
白石紬「ということは、本当に本物……。島原さん、これを一体どこで……ま、まさか宝石店で強盗を……!?」
エレナ「さっきミヤからもらったんだヨ」
高山紗代子「美也さんから?」
エレナ「うん。ミヤは池のカミサマで、金と銀のボールを配る仕事をしてるんだって」
瑞希「……すみません島原さん。最初から詳しく説明してもらえないでしょうか」
エレナ「ハーイ! あのね──」
紗代子「なるほど。正直な人は金と銀の斧をもらえて、嘘つきは何ももらえなかったっていう童話に似てるね。そんな絵本を弟に読んであげたっけ……」
奈緒「よかったやんエレナ。嘘ついてたら元々のボールも返してもらえへんくなってたで。しかもそんなでっかい金塊、売ったらしばらく遊んで暮らせるんちゃう?」
エレナ「ダメ! これはワタシの家のカホーにするんだヨ!」
瑞希「私もそれがいいと思います。ただ、脱税を疑われないよう気をつけてください」
奈緒「いやー、私もなんか欲しくなってきたわ。あの話って、わざと物落としたら女神は出てこんのやったっけ?」
紗代子「そうだっけ? 嘘さえつかなければ大丈夫だったような……」
奈緒「よし、ものは試しや。このシュシュを落としてっと」
美也「あなたが落としたのはこの金のシュシュですか〜? それともこの銀のシュシュですか〜?」
奈緒「わっ、ホンマに出てきた! 普通普通! 私が落としたのはなんの変哲もないただのシュシュや!」
美也「正直者のあなたにはご褒美に全部のシュシュをあげましょう〜。大事にしてくださいね〜。それでは〜」
奈緒「わ、ホンマにもらってもうた……。こんな派手なシュシュ、どんなコーデに合わせたらええんや……」
紗代子「さっきのは間違いなく美也さんだったね。正直半信半疑だったけど、本当に女神になったんだ……」
瑞希「神々しい服を着ていましたし、明らかに輝いていました。聖母だけでなく女神まで所属しているとなれば、765プロが宗教を興すのも夢ではないかもしれません」
紬「……あの、次は私が試してもよろしいでしょうか」
エレナ「ツムギは何を落とすノ?」
紬「このハンカチを落とそうと。ですが金のハンカチが欲しいわけではなく、確かめたいことがあるのです」
美也「あなたが落としたのはこの金のハンカチですか〜? それともこの銀のハンカチですか〜?」
紬「質問に答える前にお聞きしたいことがあります。……宮尾さんは女神になったとのことですが、この池を離れることはできるのですか?」
美也「それが、できないんですね〜。いつ誰が物を落とすかわかりませんから、それまでずっと池の底で待機しているんですよ〜」
エレナ「エエーッ!?」
瑞希「なんと。では、レッスンは?」
美也「できませんね〜」
紗代子「ステージには?」
美也「立てませんね〜」
紬「……やはりそうでしたか」
奈緒「下手したら一生このままってことなん? み、美也、どないするん……?」
美也「残念ですが、なってしまったものは仕方ありませんからね〜。女神として有名になれば歴史の教科書に載れると思うので、こっちの方向で頑張りますよ〜」
奈緒「さすが、転んでもただでは起きひんな……」
エレナ「ヤダヤダヤダ! ミヤと離れ離れなんて絶対ヤダーーー!!」
紬「私も同じ気持ちです。宮尾さんをアイドルに戻す方法を探しましょう」
紗代子「うーん……あ! 水を全部抜いて池を池じゃなくしちゃうのはどうかな?」
美也「この池は不思議な力で水位が一定に保たれるので、水を抜くのは難しいですね〜」
瑞希「では、逆に埋め立てるのはどうでしょう」
美也「埋め立て用の土や砂がすべて『落としたもの』として扱われてしまうんです〜。正直に答えれば金と銀も合わせて返ってきますし、嘘をついたら落としたものはきれいに消えてしまうので埋められませんね〜」
奈緒「物を落としまくって正直に答えまくったら金と銀の在庫がなくなって、閉店ガラガラって感じで美也も解放されるんちゃう?」
美也「金と銀は宇宙の他の星から集めているので、いつなくなるのか想像もつきませんな〜」
瑞希「ここまで手強いとなると池をどうにかするのは諦めた方がいいかもしれません」
紗代子「美也さんを無理矢理引っ張り上げるとか?」
エレナ「わかった! ミヤ、今助けるヨ!」
奈緒「わー! ちょい待ち!エレナまで落ちてもうたら収拾つかんくなるって!」
エレナ「でも、このままだとミヤが……」
紬「……宮尾さんは池に落ちたために女神になったのですね?」
美也「そうですよ〜」
紬「なるほど……わかりました。島原さん、私に任せてください」
美也「さて、あなたが落としたのはこの金のハンカチですか〜? それともこの銀のハンカチですか〜?」
紬「いいえ、どちらでもありません。私が、私たちが落としたのは……大切な仲間であり、友人である、宮尾美也さんです」
美也「!」
美也「……」
美也「……」
美也「……正直者の、あなたには──」
美也「ありがとうございます〜。ご心配をおかけしました〜」
エレナ「ミヤーーーーー!!!!!」
奈緒「いやー、無事に帰ってこれてホンマよかったわ」
紗代子「うん、一時はどうなるかと思ったけど……」
瑞希「白石さん、お見事な機転でした。……感動したぞ」
紬「ええ、上手く行って何よりです。ただ……」
美也(金)「今後は足元に気を付けて歩きますよ〜」
美也(銀)「金と銀だなんて、将棋の駒になったようですな〜」
紬「この宮尾さんたちはどうすればよいのでしょうか……」
おしまい
全長156センチの純金像っていくらになるんだろう
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