夢結「楓さんへの誕生日プレゼント?」
梨璃「はい! いつもお世話になってる楓さんに、なにかお礼をしてあげたいんです!」
ミリアム「そういえば、そろそろあやつの誕生日じゃったな。まあ梨璃からの贈り物ならチリ紙でも喜びそうなものじゃが……」
神琳「仮にもグランギニョル社の御令嬢ですから、やはりちゃんとしたものをお選びになられたほうがよろしいのでは?」
雨嘉「梨璃はそのことをわたし達に相談しにきたの?」
梨璃「えへへ。楓さんってわたしの好きなものはよく聞いてくるけど、楓さんの好きなものってあんまりよく知らなくって……」
神琳「オーガニック食品がお好きと耳にしたことはありますが、そういう話ではありませんよね?」
梨璃「うん。できれば思い出になるような、形が残るものがいいなあって!」
夢結「ぐっ……そ、そうよね。せっかくの誕生日プレゼントだもの」 プルプル
雨嘉(夢結様、まだあの日のこと気にしてるんだ……)
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ミリアム「あやつのことじゃし、なにかキラキラ光っとるものでも適当に選んでおればええじゃろ?」
夢結「ならネックレスなんてどうかしら? これなら邪魔にならないし、普段から身に着けやすいでしょう。楓さんの趣味にも合うと思うわ」
梨璃「わあぁ……! 素敵ですねお姉様、きっと楓さんも喜ぶと思います!」
夢結「ふふっ。普段から周りに気をかけていれば、このくらい造作もないことよ」 ドヤァ
ミリアム「う、うーむ……ネックレスか。なるほどのう……」
神琳「お言葉ですが夢結様。少し提言をさせていただいてもよろしいですか?」
夢結「あら、構わないわよ神琳さん。なんでも言ってごらんなさい」 フフン
神琳「贈り物にネックレスというのは相当敷居が高いものです。服に合うものでなければいけませんし、毎日身に着けるのならなおさらです」
夢結「だ……だけど、楓さんの性格なら喜んで見せびらかしそうではないかしら?」
神琳「先ほど申し上げたように楓さんは社長令嬢。わたくし達はともかく、リリィを引退した後も社交界での付き合いは続きます」
神琳「楓さんの私服一枚とっても相当な価値ですが、それに見合うものを梨璃さんに用意しろと?」
夢結「ぐぅぅ……!」 ギリィ
雨嘉「待って神琳! 夢結様がすごい顔になってるよ!」
梨璃「……わかりましたお姉様。やっぱり楓さんへのプレゼントは、ネックレスにします!」
夢結「梨璃、あなたさっきの話を聞いていなかったの? ネックレスだけはやめておきなさい」
ミリアム「夢結様、さっきと言っておることが真逆じゃぞ……」
梨璃「わたし気づいたんです。贈り物の価値は、その人のことを想う気持ちなんだってこと──」
梨璃「お姉様! わたし、実家に帰らせて頂きます!」
夢結「」
ミリアム「ああっ、夢結様の脈が途絶えたぞい!? 救護班、担架ーっ!」
神琳「あら梨璃さん、そう来ましたか。うふふ……やっぱり面白い人ね」
雨嘉「え? どういうことなの神琳?」
楓「…………」 コソ
楓(梨璃さん。お気持ちはとても嬉しいのですが、神琳さんの言うこともまた事実ですわ)
楓(ですがこの楓・J・ヌーベル、梨璃さんの笑顔を曇らせるワケにはいきません。どんな物でも、あなたのためならば喜んでみせましょう)
楓(目が肥えてしまうというのも、良いことばかりではありませんわね──) スッ
─────────
梨璃「楓さん! お誕生日おめでとうございます!」
楓「りっ、梨璃さん! まさかわたくしの誕生日を覚えていらっしゃるなんて……! あぁ~っ、なんて愛しいお方なんですのっ!」
ミリアム「いや、お主の誕生日は世界一覚えやすいからのう。忘れろと言うほうが難しいじゃろ」
鶴紗「楓、くっつきすぎ。せっかく梨璃に着つけた振袖が崩れるから離れて」
梨璃「あのね楓さんっ。実はお誕生日のプレゼントを準備してきたんだけど、受け取ってもらえるかな?」
楓「まあ……! 梨璃さんがわたくしのためにお選びになられたものなら、どんなものでも家宝にいたしますわ!」
夢結「あなたならそういうと思っていたわ。だけど、実物を見ればきっと驚くでしょうね」
神琳「さあ梨璃さん、こちらに準備しております。どうぞ贈り物を楓さんに」
梨璃「それじゃあ楓さん、受け取ってください! えへへ、喜んでもらえると嬉しいな……」
楓「これは……! 四葉のクローバーをあしらったネックレス、ですの?」
梨璃「はい、緑水晶のネックレスです! わたしの髪飾りを作ってくれたときから、ずっとお返しがしたかったので!」
二水「わぁぁ、うっすらと淡くて優しい若草色がとても綺麗ですね~!」
楓「うふふっ、梨璃さん。水晶は不純物を取り込むことで色鮮やかになりますが、緑の水晶というのはほとんど模造品で……あら?」
楓(複屈折で二重に……ガラスではない? プラシオライトとも違う……まさか、クローライトの貫入クォーツ──天然の、緑水晶?)
夢結「あなたの眼ならば気づくハズよ。その贈り物の正体に」
楓(これほど大粒のものをよく揃えたものですわね。多少ファセットカットは甘いですが、探し出すのは至難だったことでしょうに)
梨璃「どうかな楓さん。気に入ってもらえた?」
楓「もちろんですわ。ですがこれほどの逸品、決して安くはなかったでしょう? わたくしに言ってくださればすぐに取り寄せさせて──」
雨嘉「はぁ……楓……」
鶴紗「楓、それは無理だ……お前、今日に限ってなんで鈍いんだ?」
楓「な、なんですの? あなた方に責められる言われなんてありませんわよ!?」
梨璃「えっとね、それは──わわっ!?」 ツルッ
楓「大丈夫ですの梨璃さんっ、ネックレスはこの通り無事ですわ!」 パシッ
梨璃「ご、ごめんね楓さん。指紋が消えちゃって、まだ上手く掴めないのっ」
楓「指紋? ま……まさか──」 ハッ
雨嘉「梨璃のお母さん、水晶の加工工場で働いてるから。梨璃、わざわざ甲州まで帰ってたんだって」
梨璃「お母さんに教えてもらいながら、初めてだけど頑張って削ってみたんだ。楓さんもこの髪飾り、手作りだったんだよね?」
神琳「そのネックレスはこの世でたった一つ、梨璃さんがあなたのためだけに作ったものです。値札なんてついているハズがありません」
ミリアム「お主からすれば大した価値ではないじゃろうが、これ以上に梨璃の想いが込められた品はなかろうて」
鶴紗「いらないんだったらわたしが貰う。だけど梨璃の気持ちを汲んでやるのなら、お前が受け取るべきだ」
梨璃「あの、楓さん……? もしかしてわたし、迷惑だったかな……」
楓「──、──……」 ポロポロ
雨嘉「か、楓……!? 急にどうしたの?」
梨璃「楓さん、大丈──ふえっ!?」 ダキ
楓「……梨璃さん。わたくし、今日ほど自分が恥ずかしいリリィだと思ったことはありませんわ」 ギュゥ
ミリアム「今更か!? 楓よ、お主本当にどうしたというんじゃ……!?」
楓(梨璃さんが悲しまないように喜んでさしあげる? この贈り物の真意にすら気づけないクセに、なにを傲慢なことを言ってますの?)
楓(この方はただ、わたくしのことを考えていたくださっただけなのに。それなのにわたくしは──)
梨璃「ほら楓さん。顔を上げないと、せっかくのお化粧が落ちちゃうよ?」
楓「──愛してますわ、梨璃さん」
梨璃「もう、知ってるよ楓さん。いつも言ってくれてるもんね?」 ニコ
二水「ごごご、号外ーっ! これは号外です! すぐに記事を書かないとっ!」
夢結「楓さん、先ほどから少しくっつきすぎではないかしら? 誕生日だからといって大目に見るとは言っていないわよ」 ガシ
鶴紗「梨璃の晴れ着を涙と鼻水で汚すな、少し離れろ……!」 ググ
楓「断りますわぁぁ~っ! 梨璃さんは誕生日特権で本日貸し切りですのよぉぉ~っ!!」 ギュゥゥ
梨璃「お姉様、楓さん! 苦しいよぉぉ……誰か助けてくださいぃぃ~っ!」
梅「おっ、梅がいない間に面白いことになってるなー。梅も混ぜろーっ!」 バッ
ミリアム「ぬわーっ! 荷物を壁にぶちまけるのはよさぬか梅様ーっ!」
神琳「あらあら、いつもの騒がしさが戻って参りましたね?」
雨嘉「よかった梨璃、プレゼントは大成功だね……!」
─────────
ミリアム「なんじゃお主、梨璃から貰ったネックレスは結局着けぬのか?」
楓「これはわたくしの家宝ですので、一番高価なジュエリーケースに飾って毎日眺めることにしましたわ!」
鶴紗「いや、着けろよ」
梨璃「あはは。恥ずかしいというか、もどかしいというか……」
神琳「ある意味楓さんらしいですね?」
夢結「わたしの苦労は一体……」
おわり
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
二週目誕生日メモリアにストーリーがついてないってどういうことですかポケラボさん!(憤怒)
過去作(Discordリンク):https://discord.gg/q6BRrp67TT
おまけ(元ネタ)
1月1日 楓・J・ヌーベル誕生日メモリア《大切な貴女への贈り物》
https://i.imgur.com/CUpR2Av.jpg
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