ルパン「超能力者は泥棒の夢を見るか?」 (43)
9月某日、ロシア東部某所・旧『ショッピングセンター』内の学園都市系列銀行にて――
(閑散とした都市に突如警報が鳴り響き静寂を破る。足音や銃声や怒号が聞こえだした矢先、札束を山積したフィアット500が銀行の入っている建物の壁をぶち破り外に走り去る)
「追え!」「逃がすな!」「車もろとも焼き殺せ!」
(続いて武装した男たちが次々と屋外に飛び出し、間もなくやってきた武装ヘリや装甲車に乗り込み後を追い始めるが、フィアットから撒き散らされた爆弾や障害物のために瞬く間に大破したりフィアット車内からの発砲に撃墜される)
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旧『保安員』詰所内にて――
警備隊長「何をやっとるんだ貴様らぁぁぁぁぁ!!(報告に来た部下の一人を壁まで殴り飛ばす)これだけの人員と装備をそろえながら何たる大失態だ! これで機密が外部に漏れ出したら我々の首を差し出すだけではすまん事態になるのだぞ!分かっとるのか!? 今すぐに外部に通ずる全ての道路を封鎖せよ!総出で追跡にあたれ!奴らを生きてこの街から出すな!」
(携帯電話が突然鳴る。鳴り出した電話を懐から取り出し応対する隊長)
警備隊長「なんだ!?こっちは今取り込み中……はっ、これは統括理事閣下、失礼致しました(直立不動で敬礼)……えっ、追跡を中止せよと……いや、しかし……了解いたしました」(通話を切る)
警備隊長「総員聞け……直ちに厳戒態勢を解き、奴らを逃がせとのお達しだ。適度に泳がせてやれとのこと」
ルパン「んふふふ、大漁大漁♪」
次元「しかしまさかこうもあっさり行けるなんてな。いくらなんでも手応えがなさすぎる。
現に誰も追ってきやしねェ」
ルパン「もう主なテナントや施設は粗方撤収が決まってるらしいし、近々全部引き払うっ
てんでセキュリティが甘くなってんだよ。何ならもう投げやりになってんのかもね」
(麻袋の中からあふれ出たルーブル札の一枚が宙を舞い、運転しているルパンの眼前に落ちる)
ルパン「ん?待てよ、このルーブル……」
次元「持ってけ泥棒ってか……ならありがたく頂戴しておくに限るな。ってことで札びらのシャワーd「触るな!!」……悪かったよ。だが何も怒鳴るこたぁねェじゃねェか」
ルパン「悪い悪い。どんな罠が仕組まれてるか分かったもんじゃないからさ。何せこれただのルーブルじゃねェからな。俺たちゃまたしてもとんでもないブツに手ェ出しちまったようだぜ次元ちゃん」
次元「どうしたんだ勿体ぶって。まさかこの期に及んで偽札って言うんじゃねェだろうな」
ルパン「偽札の方がまだマシだったかもよ。これ全部学園都市の新札。よ~く見てみな、どれもICチップ付いてんだろ」
次元「なんだこりゃ、まるでクレジットカードみてェな……しっかしなんだってこんな物を?」
ルパン「流通を管理するためってのが表向きの理由だが……どうもそれだけじゃないらしい。なんでもこのICチップは脳に作用する超音波を出すことができて、消費意欲を操作して経済活動を自由自在に操れるんだと。ハイパーインフレだろうが大恐慌だろうが思うがまま。その筋からは『ゴート札の再来』とも呼ばれて恐れられてるぜ」
次元「マジならゴート札どころの話じゃねえぞそれ。ジョージ=オーウェルもビックリのディストピア到来じゃねェか」
ルパン「そして恐らく実態はそんなもんじゃねェ。もっとやばい仕掛けが仕込まれてると俺は踏んでるぜ」
次元「でも学園都市って日本にあるんじゃなかったか?日本円ならともかくなんでルーブルなんか」
ルパン「恐らく世界戦略の一端てやつさ。ほら、最近色々ときな臭くなってるだろ? 主に十字教圏が」
次元「そうは言ってもたかが街ひとつだろ?何ができるってんだ」
ルパン「次元、あの街を舐めちゃいけねェ。なにせただでさえ文明水準の差が外とは20年から30年は開いてるんだ。連中からしたら外の奴らは皆んな未開の土人……
俺の予想だと近いうちにでかい戦争が起こるね。そんでその中心にいて、最終的に勝利するのも学園都市さ。あの街はかつての大日本帝国なんか目じゃねェ支配圏を確立するだろうよ」
次元「で、後はコイツを敗戦国に押しつけて二度と逆らえないよう経済的に従属させると……えげつねえな」
ルパン「ま、泥棒としてはそれもまた一興ってとこかね。権力はデカければデカいほど欺きがいがあるってもんよ」
次元「で、どうする、この札ビラ」
ルパン「どうするも何も、円に両替するのさ」
次元「円に両替するったって、どこで……お前まさか」
ルパン「ぬふふふ、そのまさかだよ。行き掛けの駄賃、ついでに不二子ちゃんに頼まれてたお使いもすませちゃおっと。ぬふふふふ」
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学園都市・統括理事会にて
「「「ルパン三世からの犯行予告!?」」」
親船「まあ、あの怪盗が……1981年の軍用ロボット事件以来日本では目撃されていないと伺っておりましたが」
貝積「年甲斐もなく浪漫に心躍らせてる場合ではございませんぞ……しかし、どうしたものか。彼は必要とあらば殺人をも辞さない男らしいが……」
薬味「とはいえ、面白くなっては参りましたわね」
潮岸「奴がショッピングセンターのプライベートバンクを襲撃した時に何も手を打たず腕をこまねいていただけだったばかりにこの有様だ!今回の失態はひとえに君の責任なのだぞ根丘くん!君は防災事業担当だろう!そしてロシアからの協力機関撤収事業の責任者でもあったはずだ!」
根丘「あの時何一つ手段を講ずることをせず、追跡と捜索を打ち切ったのも私の指令によるものです。それにより不覚をとったことについてはお詫び申し上げます。ですが、私の仮説はこれで立証されたものと存じますが?」
潮岸「仮説だと?何呆けたことを悠長に抜かしておるんだ?」
「ソイツの話は理に適ってるよ。犯人は現場に戻ってくるもの。ここのお歴々はもう十二分にご存じだと思うけど?」
(部屋の隅に崩れた姿勢でもたれかかる白カチューシャの少女)
貝積「今は学校にいるんじゃなかったのかね?」
雲川「欠伸が出そうなくらい退屈で程度の低い授業なので受けても仕方がなかったのだけど」
潮岸「雲川芹亜。貝積くんのブレーンだな」
名無しの理事「なんの権限があってここにいる!?図に乗るなよ我々の与えた恩恵に浴するだけの被造物の分際で!補佐官として我らの末席に加えられただけでもあり難く思うがいい!」
(野次を無視して歩み出る雲川。そのまま空いた席にどっかと腰掛ける)
雲川「いいかな、考えてもみたまえ。奴らがくすねたのは我が街の新札なのだけれど。当然市場にもまだ出回っておらず、その性質や使われた技術も未解明……もっとも噂程度に出回ってるそうだが。当然奴らは奪った紙幣を外で使うことも製法を調べることも出来ないため否が応でもこの街に来ざるを得ないのだけど。新札の秘密を探るためにな。それが分からないほど錆び付いて耄碌した訳ではあるまい?」
(尊大な口調ながら妙な説得力があり、少女の説明に聞き入る一同)
雲川「そして当然我々の方でも既に手は打っていて、ルパン逮捕のエキスパートを招いているのだけど。奴らがその名を聞いただけでも震え上がる『天敵』をな……」
タイトルに『三世』とつけるのを失念いたしましたがご容赦ください
ご覧の通りとあるシリーズとルパン三世のクロスSSとなっております
とっつぁんが来てくれたらもう安心だな!
ふむ?アンタ、カウボーイビバップやブラックラグーンや他にも色んなとこに現れたルパンの人かね?
少しだけ書けたので投稿いたします。
九月二十九日 警備員中央詰め所(ルパン対策本部が設置されている)──
警備員(アンチスキル)本部長「諸君、注目! こちらにおられるのが対ルパン警備強化の外部顧問としてICPOから特別にお越しいただいた銭形幸一警部である!総員、敬礼!」
(一同敬礼する)
銭形「お招き感謝いたします。数日だけですがよろしくお願いします」
七三支部(風紀委員一七七支部も臨時にここに移されている)──
黄泉川「しっかしまさか外部の警察の協力を仰ぐことになるなんてねぇ」
鉄装「学問の自由が脅かされる由々しき事態だと反発の声も多いようですね」
黄泉川「でもまあ、今回はイレギュラー中のイレギュラーだからしょうがないじゃん。なにせ、相手が神出鬼没の大泥棒なんだから」
鉄装「教職の片手間のボランティアでは限界がありますからね。こういうのは本職にお任せした方がいい……あ、お見えになりましたよ」
銭形「いやはや、あなた方が黄泉川先生、と……「鉄装と申します」鉄装先生でしたか!教師としての仕事をこなしつつ治安維持の任務に当たられているとか!全く頭が下がりますなぁ!」
黄泉川「大変恐縮です警部殿。ご高名はかねがねお伺いしております。本来なら警視正ほどには昇進してなければおかしいほどの活躍を世界中でされているとか……」
銭形「はは、別に気にはしとりませんよ。私が現場から離れたらルパンめを逮捕できる者がいなくなりますからなぁ。最初の自己紹介の通り数日間だけですがよろしくお願いしますよヨ……」ペコリ
「「よろしくお願いいたします」」
銭形「さて、中学一年生にして治安維持活動に携わり高い検挙率を出しているという噂のスーパーキッズにもご挨拶したいものですな……」
鉄装「それが、二人とも現在外で休憩を取っておりまして……」
待つ
お待たせしてすみません。なにぶん大変な遅筆でございますのでどうかご容赦ください。コメントいただきありがとうございます
>>10 ルパン三世シリーズの真のラスボスはとっつぁん(銭さん)ですしね。問題はルパン一味を収監できる施設がどこにも存在しないことですが……
>>12 すみません、全くの別人です……ですが、投稿にあたって大いに参考にさせていただきました(もっともクオリティは足元にも及ばないと思われますが……)
現在必死で書き溜めております。明日には投稿できると思われますのでお待たせして大変恐縮ですが何ぞとよろしくお願いいたします
なお、「とある」の方の時系列は旧約(〇九三〇事件前後)を想定しておりますが新約以降の登場人物も普通に登場させる予定で一部に創約のネタバレも含む可能性がございます。ご了承ください。
>>15 本当にありがとうございます
操作ミスでうっかり前の書き込みを連投してしまいました。失礼いたしました。
第七学区のとあるテラスカフェにて──
次元「学園都市──総面積は東京の三分の一にも及び、人口230万のうち8割を学生が占めるという『完全独立教育研究機関』……
戦災復興の名目でGHQによる後援の元で設立されてから半世紀以上、今となっては米ソに先駆けて成功した超能力開発を始め世界の20年から30年先を行くテクノロジーを日々生み出し運用している科学の街……
日本国の一都市でありながらその国際的影響力は絶大で、日本語の国際語化にも一役買った上今じゃ国連にもオブザーバーとして代表を送り込むほど。もはやこの街を中心に『科学サイド』という名の帝国が形成されていると言っても過言ではない……か」
次元「学校しか無さそうな街に金目の物があるとは思えねェしそんな所を次の仕事場にしたオメェさんも変わってるとは思ったが、街全体が最先端技術の塊となれば話は別だわな」
ルパン「んふふふふ、でしょ?街の清掃ロボット一つかっぱらうだけでも相当な金になるぜこりゃ。でも俺が狙ってるのは正真正銘のお宝さぁ。見てみな次元ちゃん、あの街の博物館や美術館の収蔵物網羅した検索サイト」(いじっていたノートパソコンの画面を見せる)
次元「天使の涙……『正しく利用すれば天使と会話が出来る。ただし、失敗した場合は確実に死が訪れる』という伝承を持つ宝石で組成はコランダム系統。色は全体的に透明で、中心部のみが黄金に輝いている……なんでまたそんなものを。さてはまた不二子の奴にそそのかされたな」
ルパン「ぬふふふふ。御明察~」
次元「お前の女への甘さには呆れるね。何度も煮湯飲まされてるのによくもまあ懲りないもんだ」
次元「で、当然調べはついてるんだろうな?」
ルパン「ところがそいつがサッパリなのヨ。俺の息のかかったスパイ何人かに潜り込んでもらったけど何の音沙汰もなし。都市の中にいた協力者もいつの間にかいなくなってたし、ネットワークをクラッキングしようにもセキュリティが硬いの何のって」
次元「それじゃあ行き当たりばったりの出たとこ勝負ってことかよ。お前にはつくづく呆れさせられるぜ」
ルパン「そう言うなって、一応場所は把握してるんだし」(ノートパソコンに地図を表示する)
次元「博覧百科……読み方は『はくらんひゃっか』で良いのか?」
ルパン「驚くなかれ、なんとこれで『ラーニングコア』って読むんだってよ」
次元「トンチキな当て字しやがって……理解できねェな、インテリのセンスは」
あの街の× この街の○
テンパりすぎて誤字脱字が多くなっております。大変恐縮ですがご注意ください
おお……復活してくれるのか?!
お気に入り残していたかいがあったぜ
帰還に感謝!
>>23 ありがとうございます。そのようなお声をいただけてSS書き手冥利に尽きるというものでございます。どうか完走まで見守っていただけますようよろしくお願い申し上げます。
近頃暗いニュースや悲しいニュースばかり聞かれますが皆様いかがお過ごしだったでしょうか。
先日には次元大介を長年演じられた小林清志氏がこの世を去られました。
投稿再開に当たり改めてご冥福をお祈り申し上げます
次レスよりぼちぼち始めます
(二人の直ぐ近くの席、カフェオレやパフェを片手に駄弁る女子中学生二人――一人はツインテール、もう一人は頭の花飾りが印象的。花飾りの少女の前にはノートパソコンが置かれている)
黒子「全く散々ですの、大覇星祭以来お姉様は心ここに在らずといったご様子ですし、急な出動でお姉様とご一緒にいられる時間も削られるしで……外泊届と公欠届を慌てて提出して参りましたわ」
初春「私も、今朝公欠届を出してきたところです。ところで本当に現れるんでしょうかね、ルパン三世とやら。最先端の技術目当ての産業スパイならいざ知らず、財宝目当ての愉快犯なんてわざわざこんなとこに来ますか?」
黒子「油断してはいけませんの。相手は天下に名の知れた大泥棒、世界中で指名手配されているとのこと。実際協力機関が襲撃されたわけですし」
初春「私ならこんなセキュリティ対策が万全なところ絶対狙いませんけどね。命知らずもいいとこじゃないですか」
黒子「犯罪者の思考回路なんて理解しようとしても仕方ありませんの。私たちにできることはただ一つ、犯人の目的がなんであれ阻止するということだけですの」
初春「はは、白井さんは相変わらず生真面目なんだから。もう少し肩の力を抜いたらどうです?」
黒子「余計なお世話ですの。あなたこそもっとシャキッとしてくださいまし。ほら、口にクリームついておりますわよ」(紙ナプキンで初春の口をぬぐう黒子)
初春「えへへ、すみません」
(そこへトレンチコートを羽織りソフト帽を被った大柄な男が現れる)
???「君達、白井黒子ちゃんに初春飾利ちゃんだね? 私は外部顧問としてICPOから招聘された銭形幸一だよ。以後よろしく」(懐から警察手帳を出しながら会釈)
黒子「ご高名はかねがね伺っておりますわ。私は常盤台中学1年、風紀委員第一七七支部の白井黒子と申しますの。そしてこちらが――」
初春「はい、同じく風紀委員第一七七支部所属の柵川中学1年の初春飾利です」
「「どうぞよろしくお願いいたします」」(二人で頭を下げる)
銭形「いやいやこちらからもよろしく頼むよ。いやあ、最近の子は礼儀正しくて感心ですなあ」
銭形「ところで君はテレポートができるそうだが、私にはいまいち想像がつかんのでね。少し実演してもらえんかな」
黒子「承知いたしましたの。ではこのクレープで」(初春の食べているパフェのそばに置いてあったクレープを取り上げる)
初春「あ! ちょっと返してくださいよ! 楽しみにしてたのに!」
黒子「食べ過ぎですの! それにあなた近頃訓練もサボり気味でしょう! この機会にダイエットでもしたらよろしくて?」
初春「頭脳労働には糖分補給は必須なんですよーもーう!」
黒子「でもこの店サッカリン(カロリーゼロの人工甘味料)しか使ってないそうですわよ」
初春「」
銭形「わっはっはっ、育ち盛りだとやっぱり食い気が勝ってしまうな。分かるよワシもそうだった」
黒子「コホン。ではお見せいたしますわ。まず私の能力である『空間移動(テレポート)』ですが、文字通り手に触れたものを3次元空間を無視して転移させるものですの。例えばこんな風に」(手に持ったクレープが消失する)
銭形「! 消えた? 一体どこに……」
黒子「あそこを御覧くださいまし」(笑顔で近くのテーブルを指さす)
次元(変装中)「なぁ、こんなの注文したか?」
ルパン(変装中)「いーや俺ァ知らないよ?」
(テーブル中央の空の皿の上にクレープが置かれている)
銭形「お、おお!?」
白井「限界値は飛距離が81.5m、質量が130.7㎏。その中であれば複数の物体を飛ばすことが可能ですの」
銭形「なるほど、コイツはお見事!」パチパチ(感心した表情で拍手する)
ルパン「(小声で)げっ、とっつぁん……」(三人のほうを振り向きぎょっとするルパン)
次元「(小声)ここでバレたらただでさえガタガタな計画がいよいよ取り返しのつかねェことになりそうだ……あ、ガキが一人こっちに来やがった」
黒子「能力で勝手に物を転移させて申し訳ございませんでした。無礼をお詫び申し上げますの」
次元「ハッ? い、いえいえお気になさらず」
(一礼してそのままクレープを持ち帰る黒子)
次元「あれが学園都市の超能力ね。間近でみるのは初めてだ。まぁ超能力者なんざこれまで何人も相手にしてきたし、神を自称する化け物とすら相対して来た俺たちにとっちゃ今更驚きや新鮮味はねェがな」
お待たせして申し訳ございません。>>27に訂正箇所がございます
黒子「コホン。ではお見せいたしますわ。まず私の能力である『空間移動(テレポート)』ですが、文字通り手に触れたものを3次元空間を無視して転移させるものですの。例えばこんな風に」(手に持ったクレープが消失する)
銭形「! 消えた? 一体どこに……」
黒子「あそこを御覧くださいまし」(笑顔で近くのテーブルを指さす)
次元(変装中)「なぁ、こんなの注文したか?」
ルパン(変装中)「いーや俺ァ知らないよ?」
(テーブル中央の空の皿の上にクレープが置かれている)
銭形「お、おお!?」
白井「3次元座標を11次元に特殊変換しなければならず演算が複雑なため限度がありますの。限界値は飛距離が81.5m、質量が130.7㎏。その中であれば複数の物体を飛ばすことが可能ですの」
銭形「なるほど、ようわからんがコイツはお見事!」(感心した表情)
ルパン「(小声で)げっ、とっつぁん……もう来てやがったのか」(三人のほうを振り向きぎょっとするルパン)
次元「(小声)ここでバレたらただでさえガタガタな計画がいよいよ取り返しのつかねェことになりそうだ……あ、ガキが一人こっちに来やがった」
黒子「能力で勝手に物を転移させて申し訳ございませんでした。無礼をお詫び申し上げますの」
次元「ハッ? い、いえいえお気になさらず」
(一礼してそのままクレープを持ち帰る黒子)
次元「何だったんだ一体」
ルパン「なァ次元、あの腕章見たか? あの嬢ちゃんきっとただ者じゃあないぜ」
次元「腕章? ああ、そう言えば緑色の付けてたな。それがどうした」
ルパン「それがな次元、学園都市には教職員のボランティアからなる警備員(アンチスキル)って自警団があってそれが警察代わりらしいんだが、それとは別に学生だけの風紀委員(ジャッジメント)っていうボーイスカウトもどきもいるんだと」
次元「で、あのガキもその一員ってことか。何やら銭形と仲が良いみてェだが……ッ!」
ルパン「ん、どったの次元」
次元「今銭形とはっきり目が合っちまった。どうやら勘付かれてるらしい」
長らくお待たせして大変申し訳ございませんでした。修士論文の提出も終わり、身辺が落ち着いてまいりましたので再開させていただきたく存じます。本当に申し訳ございませんでした。
初春「さっきのお二人、白井さんが戻ってから慌てて席を立ちましたね。飲み物も料理もほったらかしで」クレープパクー
銭形「なあ、君たち二人のうちどちらかあの二人組の素性について調べられるかね?」
黒子「ああ、それでしたら初春にお任せくださいまし。風紀委員の中でも初春ほどサイバー技術に精通している者はおりませんの」
初春「はい、お任せください! 衛星写真や防犯カメラからの画像で検索をかけて……できました!」カタカタ
銭形「お? おお????(一瞬で!?)」目パチクリ
初春「書庫(バンク)の記述を見るにどうやら二人とも第五学区の東西京北大学の新任研究員のようですね。数日前に赴任したとか」
銭形「なるほど、そう来おったか……ふん、都市のデータベースは欺けても俺の目は誤魔化せんぞ」
黒子「誤魔化せない? 一体何をおっしゃっておいでですの?」
銭形「いいか……あの二人はルパン三世と次元大介だ。変装だよ」
黒春「えぇーーーーっ!?」
黒子「そ、そんなはずはございませんわ! 第一手配書にあった猿面冠者とひげ面とは似ても似つきませんの!」(手配書の顔写真を思い出す黒子)
銭形「騙されちゃあいかん。あれも所詮は彼奴の数多ある変装レパートリーの一つにすぎん。手配書の顔写真すらも変装だよ。素顔は彼奴の仲間にすら明かしていなかったはずだ。あの声からして本物でないし、男か女かすらも定かじゃない」
黒子「ど、何処までも謎に包まれておりますのね……」
初春「だ、だけど今第二級警報(コードオレンジ)が発令されてて都市中で厳戒態勢が敷かれているはずですよ! 第一一学区のゲートも完全に封鎖されて誰も通れなくなっているはずです!」
銭形「恐らくそれ以前に潜入しとったのだろう。赴任した日付を見てごらん、警報発令の一日前のはずだ」
黒春「あ!!」
(そうこうしているうちに二人組は近くの路肩に停めてあったフィアット500に乗り込む)
銭形「決定打だな。奴の愛車はベンツSSKかフィアット500と相場が決まっとる」
黒子「フィアット500ならともかく……」
初春「ベンツSSKって、世界に数十台しかない幻の車じゃないですか!」
銭形「いずれにせよ後を追わねば。誰か大人に車を出してくれるよう伝えてきてくれ」
黒子「それには及びませんの」(太もものホルダーから鉄矢を取り出す)
待ってないけどR板でFGOの二次創作やってる人?
>>31 コメントありがとうございます。その方とは別人です。
(車内で変装を解く二人)
次元「ったく、なーにが研究員だ。早速銭形と出くわしたが本当に大丈夫なんだろうな?」
ルパン「まぁ今はまだ様子見ってとこよ。なんせ底が見えねェ街だからな」
次元「そんなヤベェとこなら尚更首突っ込むべきじゃねェだろ……これだからてめーの女への甘さは」
プシュッ!
次元「おぉい!?四輪同時にパンクしたぞ!?」
ルパン「だが撃たれたような形跡はない……ん?何だこれ、ピンか?」(窓の外に手を伸ばしてタイヤに刺さった鉄矢を抜く)
(車の前に瞬間移動した黒子が現れる)
黒子「はァい、そこまでですわ! ジャッジメントですの!」
ルパン「あらま、さっきのテレポートガール」
銭形「ルゥパァーン!! 今日という今日こそ神妙にお縄につけぇぇぇ~!」
初春「やっぱり銭形警部のおっしゃった通りですね! あの指名手配写真の顔だ!」
次元「見ろ! 言ってるそばからこれだ!」
ルパン「まァ落ち着けって。全くの無策ってわけじゃねェんだからさ」
(言った瞬間にフィアットの屋根が抜けて巨大な気球が現れる)
銭形「聞けば貴様わしら二人の母校の研究員を名乗っとるそうじゃあないか。どういう腹積もりか知らんが……あ、あれ?」
ルパン「とっさに仕込んでおいて良かったぜ」
(唖然として見上げる黒子と初春)
ルパン「(窓から顔を出して)とっつぁーん! 懐かしいのはわかるけど積もる話はまた今度ってことで~……」
(言いながら車がある高度から少しも浮き上がらないことに気づく)
次元「おい、飛べねェぞ!?」
ルパン「ああ、あの様子だとどうやら地磁気を何やらいじくってるようだぜ」
(すぐ近くで地面に手を置いた女子中学生の姿に気づくルパン)
???「全く、凶悪犯の侵入まで許すなんて……街のセキュリティが心配になってくるわね。一端覧祭が思いやられるわ」
銭形「き、君は!」
黒子「お姉様!」
初春「御坂さん!」
美琴「あら、そちらがICPOの銭形さん? 初めまして。常盤台中学2年の御坂美琴です」ペコリ
銭形「いやぁー助かった! 常盤台のエースまでお出ましになったなら百人力だ! 君のおかげでルパン確保が……」
ルパン「すまねぇ嬢ちゃん! 今日ン所はこれで手を打って頂戴!」(カエルのぬいぐるみを放り投げる)
美琴「あ、ゲコ太!」ピタ(手を放し能力の行使をやめる)
銭形「うおおおぃ!?」
黒子「お姉様のゲコ太狂いは相変わらず常軌を逸しておりますの……」
次元「なぁ、ありゃなんだ?」
ルパン「なぁーに、今回の仕事で障害になりそうな人間の個人情報は大体リサーチ済みってことヨ。ぬいぐるみの嗜好までな」
次元「とはいえ名前だけは何度か聞いたことのあるかの名門・常盤台のエースにあんな趣味があったとはな。能力者ってみんなああなのか?」
ルパン「さぁね」
美琴「ゲコ太! ゲコ太!」hshs(ゲコ太を抱きかかえて顔をうずめる美琴)
黒子「現を抜かしている場合ではありませんの! このままでは賊が逃げますわ!」
美琴「あ、いけない! そうだったわ!」(慌ててポケットからコインを取り出し放り投げる)
美琴「私の超電磁砲(レールガン)から逃げ切れると思わないことね!」
BANG!(コインが打ち出されるとほぼ同時に銃弾とかち合い弾き飛ばされる)
次元「嬢ちゃん……いい腕してるが早撃ち(クイックドロウ)じゃまだまだ俺の方が上だな」
美琴(嘘でしょ……あの速度に反応したっていうの?!)
ルパン「ぬふふふふ、お達者で~」(そのまま高度を上げてゆくフィアット)
銭形「いかん、このままじゃ逃げられるぞ!」
黒子「お姉様……」
美琴「……なら」(全身から電流がほとばしる)
美琴「コイツはどうだぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!」
(地面から吸い上げられる大量の砂鉄)
ルパン「なるほど、あれが学園都市の秘蔵っ子達ね。コイツぁ中々手ごたえがありそうな相手だぜ。まぁ超能力者なんざこれまで何人も相手にしてきたし、神を自称する化け物とすら相対して来た俺たちにとっちゃ今更驚きや新鮮味はねェがな」
次元「バッキャロー前見ろ!」
ルパン「あら?」
(前から二人に襲い掛かる砂鉄の嵐。見る見るうちにズタズタに切り裂かれる気球)
銭形「な、何が起こっとるんだ……」
黒子「お姉様が電磁気を操っておられますの……お姉様はこの街最強の能力者の一人、電気に関するあらゆる力を自由自在に扱えますの」
初春「あ、落ちてきましたよ」
ヒュー……ドグシャア!(そのまま墜落し大破するフィアット)
初春「あの……大丈夫なんでしょうか?」
銭形「心配はいらん。彼奴らはこれしきのことでくたばりはせん」
(すかさず車に駆け寄る一同)
銭形「わははははは! 天下に名を轟かせる大泥棒も学生に敗れたとあっては面目丸潰れだな! 観念しろル……」
(車はすでに無人であった)
琴黒春「い、いない!?」
銭形「おのれ~さては近くのビルに飛び移りおったな!」
近くのビル屋上――
次元「ペッ、ペッ!(口から砂鉄を吐き出す)間一髪だったぜ……にしてもあんなバケモンがいるなんて聞いてねえぞ。こんな気がしたから俺は乗り気じゃなかったんだ」
ルパン「レベル5さ」
次元「何だって?」
ルパン「能力の強さは五段階評価、うち最高位で都市に七人しかいねェといわれてる怪物中の怪物だよ。その気になりゃ一国の軍隊とも互角に戦えるんだと」
次元「道理で軍を相手にした時みてェに疲れるわけだ。ただのケツが青いガキだと侮ってたぜ。あんなのがあと六人もいるってのかよ……先が思いやられるぜ」
ルパン「まずはここを離れねえとな。じきにとっつぁんが来るぜ」
一方その頃、とある高校学生寮のある一室にて
テレビ「速報です! 先ほどルパン三世一味と思しき男二人組が第七学区内で目撃されたとの情報が入りました! 男たちは乗用車を残して逃走、現在警備員が行方を調査しているとのことです!」
禁書目録「とうまー」
上条当麻「はいはい、もう出来上がりますからねー」
(野菜や卵と炒めたそうめんを二人分の皿に盛りつけてシスター姿の少女の座るテーブルに運ぶ学生服姿の少年)
禁書「今日もジャパニーズヌードル……」
上条「食べれるだけありがたいんだから文句言わない」
禁書「むぅー」(不服そうな表情でフォークをとる禁書目録)
上条「実家からも大量に送られてきたばっかだしもう少しだけ辛抱してくれな……それにしてもルパン三世ねぇ。天下の大怪盗がこんな街に何の用だ? 国際的に指名手配されてるって聞いたけど」
禁書「かの伝説的怪盗、アルセーヌ=ルパンの孫で神出鬼没の大泥棒。魔術サイドでも悪名は轟いてるんだよ。いくつもの由緒ある霊装が被害にあっていてあちこちの魔術結社が懸賞金をかけてるんだよ」
上条「魔術サイドでもそんな扱いなの!? 相当やばい奴じゃねえか!」
上条(ひょっとしてインデックスのことを狙って……いや、そんなことさせるものか)
禁書「とうま?」
上条「いや、何でもないって。さて、急がねェと学校に遅刻しちまう」(急いでそうめんを掻き込む)
上条「それじゃインデックス、スフィンクスと留守番よろしくなー」(鞄を持ってあわただしく玄関から外へ飛び出す上条)
禁書「はいなんだよー」
スフィンクス「ニャー」
学校にて――
上条(土御門が欠席……やっぱりルパン対策に駆り出されてるのか)
上条(ルパン三世……もしインデックスに何かしようってんならテメェのそのふざけた幻想をぶち殺してやる)
青髪ピアス「カーミやん! どないしたんやいつになく怖い顔して」
上条「あ、青ピ。いや別に。今朝のニュースのこと考えてただけだよ」
青ピ「似合わへんなぁ。ボクらおバカなんやし時事なんてそんな難しいこと考えんと気楽にいこうや」
上条「そうじゃなくて、ほら、ルパン三世が侵入したって言ってたろ。あれどうなるのかなって」
青ピ「警備員が警察と一緒に対処する言うてたしまあ心配いらへんやろ。ま、ルパンの正体が幼女やってんならボクの出番やな」
バシッ! バシッ!(唐突に二人の頬へビンタが飛ぶ)
吹寄制理「貴様らたるんでるわよっ! もう先生がいらしてるのに!」
月詠小萌「まあまあ吹寄ちゃん、別に少しくらい遅れても気にしないのですよー」
吹寄「いけませんよ先生! それに今日は教育実習生の方までお越しになるって……」
小萌「そうなのですー! 今日からしばらく教育実習生の子に授業やHRを手伝ってもらうことになったのですよー」
「教育実習生だって?」「こんな時期に?」ザワザワ
月詠小萌「皆さんお静かに! はいはーい、それでは入ってくださいねー!」
(促されて教室に入ってきた若い女性の美貌に一同騒然。豊満なボディ、艶やかな髪、化粧を全く必要としない程に整った顔。美女は教壇に立って一礼する)
小萌「それでは自己紹介お願いするのですよー」
「はい、教育実習生として今回このクラスを受け持つことになりました、藤波吟子と申します。皆さんどうぞよろしく……」
吹寄(私よりも胸がある……)
姫神秋沙(またしても。私の影が薄くなる)
青ピ(か、かわいい……)
上条(で、出会いだ……待ちに待ち望んだ出会いだ)
小萌「吟子ちゃんにはせんせーの化学の授業を手伝ってもらうのですよー。よろしくなのですー」
吟子「いえいえ、こちらこそ至らない点が多々あると思いますが何卒宜しくお願い致します」
上条(幸せだーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!)
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