【アサルトリリィ】姫歌「ひめひめのアイドルクッキング!」 (16)


灯莉「定盛~お腹空いたよ~」 グゥゥ

姫歌「あんたねぇ……まだ三時だってのに、お昼ご飯をしっかり食べないからそうなるのよ!」

灯莉「えぇ~、ちゃんとマカロン食べたのに~……」

姫歌「マカロンでお腹が膨れるワケないでしょーが! いい加減その偏食やめなさい!」

灯莉「でも、今日は寮の冷蔵庫に何にもなかったんだよ~、定盛がなにか作って☆」


姫歌「うわ、冷凍のご飯と野菜の切れ端しかないわね……まったく、これでなに作れっていうのよ?」

灯莉「やーだー! 定盛がご飯作ってくれないとぼく動かないからねー!」 ギュゥゥ

姫歌「ちょ、抱きつくなぁ! ああもう、わかったから離れなさいってば!」

灯莉「やった~☆ ぼくお昼はコロッケがいい!」

姫歌「いやひき肉なんかないって言ってんでしょーが! まあ、似たようなのなら作れなくもないけど……?」


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姫歌「それじゃあバターを引いて手早く野菜を炒めていくわよ! 今日は玉ねぎとエリンギが残ってたからまとめて火を通すわ!」 ジュゥゥ

灯莉「わぁ~いい匂い! ねえ定盛、このまま食べていい?」

姫歌「つまみ食いすんな! これは解凍したご飯に、ケチャップと塩コショウ・粉チーズと一緒に混ぜてコロッケの種にすんのよ!」 ギュッ

灯莉「あ、うずらの茹で卵みっけ☆ 食べてびっくり隠し味だ~」


姫歌「よし、こんなもんね。それじゃあ小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせたあと、パン粉で包んで油で揚げていくわ!」 ジュワ

姫歌「球体にすれば転がすだけで表面が揚がるし、小判型に成形すれば油の量を節約できるわ。中まで火が通ってなくても問題ないわよ!」

灯莉「綺麗なキツネ色だね~! 上からバジルとケチャップをかけて完成だ~☆」

姫歌「できたわ灯莉! これがひめひめのライスボールよ!」 キラキラ


灯莉「うわ~すっごく美味しそう! いっただっきま~す!」

姫歌「とはいえ、ちょっと作りすぎちゃったわね……あたしも手伝うけど、食べきれるかしら?」

紅巴「とっても良い匂いがします……あ、姫歌ちゃんに灯莉ちゃん。いまから遅めのお昼ですか?」

灯莉「とっきー! これ、定盛が作ってくれたんだよ~☆ 一緒に食べよ?」


姫歌「紅巴、あんた辛いの好きだったわよね? タバスコ入りのケチャップソースも作ってあるから、手伝ってくれるかしら?」

紅巴「本当ですか? それでは失礼して……はむっ」

紅巴「お、美味しいです……! 外はサクサク、中はお野菜とチーズのエキスがしっかりと染み込んだお米がぎゅっと詰まっていて……!」


姫歌「ほんと? ふふっ、可愛いだけじゃなくて料理も完璧だなんて我ながら恐ろしい才能だわ……!」 ドヤァ

灯莉「あ、定盛口元にケチャップついてるよ?」

姫歌「え? どこかしら?」 コシ

灯莉「ほら、ここだよこーこ! ぼくが取ってあげるね☆」チル

姫歌「ひゃうっ!? い、犬かあんたは! もっとフツーに取りなさいよ、フツーに……もう」 カァァ

紅巴「お約束だと思いましたか? まったくその通りですごふっ」 バタン



紅巴(先輩のお二人方は会議中、灯莉ちゃんと姫歌ちゃんは留守にしてます。つまり今日のお昼は土岐ひとり……)

紅巴「ついにあのレシピを試す日が来ました。特に叶星様は辛いのがお嫌いですからね……!」

姫歌「紅巴、なにを作るつもりかしら?」

紅巴「ひょわぁっ!? ひ、姫歌ちゃん……いつ戻ってきたんですか?」

姫歌「ちょうどさっきアイドルリリィの活動が終わったところよ! ところで紅巴、ライバルのあたしに隠し事なんていい度胸じゃない?」

紅巴「か、隠してたわけじゃないんです。実は……」


姫歌「ええ!? あの郭神琳直伝のレシピですってぇ!?」

紅巴「は、はい。テスタメントについて教わっているうちに、他にも色々なお話を聞かせて頂いて……」

姫歌「ズルいじゃない紅巴! あたしもライバルとして、神琳がどんなのを食べてるのか知っておきたいわ!」

紅巴「でも、姫歌ちゃんの舌にはちょっとつらいかもしれませんし……」

姫歌「ふっ、料理ごときで舐められたものね。受けて立とうじゃないの!」


紅巴「わかりました。それでは土岐紅巴、不肖ながら火鍋を作らせていただきます……!」

姫歌「ふぉぐぉ? 名前からは想像が付かないわね……それってどんな料理なの?」

紅巴「とっても辛くて美味しいしゃぶしゃぶみたいな料理なんです! まずはお鍋で粒花椒と鷹の爪をゴマ油で炒めます……!」 ジュワ

姫歌「ケホッ、すでに匂いが辛そうね……ここにある豆板醤に、ショウガとおろしニンニクも入れるわけ?」

紅巴「はい。焦がさないように中火で火を通したら、牛脂を入れて熱で溶かしていきます……!」 ジュゥゥ


紅巴「脂が十分にまわったら、鳥ガラスープの素を溶いたお湯で薄めるんです。だんだんお鍋みたいになってきましたね?」

姫歌「なんかすでにスープが血反吐の色なんですけど……!? え、これ本当に食べられるの?」

紅巴「もう少しで完成ですよ、姫歌ちゃん。ここに塩とお醤油、コショウに一味を加えて味を整えていきます!」

姫歌「さりげなく一味を足した!?」

紅巴「最後にラー油と花椒を入れてスープの完成です! 黒酢とごま油、オイスターソースでつけダレを作ると辛味が抑えられますよ……!」


姫歌「とりあえず具材は切っておいたけど、やっぱりこれ食べるのやめない? きっとあたし達、神琳に騙されてるのよ……!」 ガタガタ

紅巴「そんなことありませんよ。ほら姫歌ちゃん、とっても辛くて美味しそうじゃないですか……!」 ガシ

叶星「お待たせ紅巴ちゃん、少し早めに終わったから一緒にお昼でも……えっ!?」

高嶺「あら、とっても食欲をそそる香りがするわね……ふふ」

紅巴「か、叶星様……!? 高嶺様も……!」


叶星「そういえば高嶺ちゃん。学園の近くに美味しいイタリアンが」 クル

高嶺「ちょうどお腹が空いていたのよね。さあ叶星、一緒に頂きましょう?」 ガシ

叶星(ひぃっ! む、無理よ高嶺ちゃん! こんなの口に入れたらわたし死んじゃうわ!?) ガタガタ

姫歌「叶星様……安心してください。あたしが叶星様でも耐えられるって証明してみせますから!」

叶星(ひ、姫歌ちゃん……! あんなに膝が震えてるのに、わたしのためを想って……!)


叶星「わかったわ姫歌ちゃん。あなたの決意、グラン・エプレの隊長として見届けてあげる!」

紅巴「あのう、煮詰まると辛くなるので早めに召し上がった方が……」

姫歌「それを早く言いなさいよ紅巴! ええい郭神琳、あんたなんかに絶対に負けないわーっ!」 パク


姫歌「……あっ、意外と辛くない? というか旨味が強くて結構おいし辛辛辛辛゙辛゙辛゙ゔぁ゙あ゙あ゙あ゙!゙?゙ ひぎゃぁ゙あ゙あ゙あ゙!゙!゙」 ゴロゴロ

叶星「」

高嶺「うふふ、思わず転げまわるほど美味しいだなんて。これはとっても期待できそうね?」 ニコリ

紅巴「叶星様、やはりお止めになられた方が……」

叶星「わっ、わたしはグラン・エプレの隊長だものっ……! 仲間を見捨てて逃げ出したりなんか、絶対にしないわっ……!」ジワァ


灯莉「あっ、定盛とかなほせんぱいが一緒にお昼寝してる~☆ 珍しいからスケッチしちゃお!」

叶星「ぅ……あ……?」 ビクッビクッ

姫歌「」 チーン



灯莉「ふんふふ~ん♪」

紅巴「あ、灯莉ちゃん。今日はいいことでもあったんですか?」

灯莉「今日はね、たかにゃんせんぱいがぼくに窯焼きシュークリームを買ってきてくれたんだ~♪ かなほせんぱいをスケッチしたご褒美なんだよ☆」

紅巴「わぁ……! それって、学園から少し離れたところのお店ですよね? 生地がしっかりしていて美味しいって評判の……」


灯莉「うん! とっきーにも半分わけてあげるね☆ 冷蔵庫~冷蔵庫~っと……あれ!?」

灯莉「な、ない……! お昼に冷やしてたぼくのシュークリーム、誰かに食べられちゃってる!?」

紅巴「ええっ!? そんな、いったい誰が……!?」

灯莉「これはもう、ぼく達でシュークリームを作るしかないね☆」

紅巴「シュークリームって作れるんですか!?」


灯莉「まずはお鍋に30グラムのバターと倍の量の牛乳、それにお塩ひとつまみを入れてぐつぐつ溶かしていくよ!」

灯莉「そしたらバターと同じ量の小麦粉をドサーっ! パン生地みたいになるまで木べらでコネコネしちゃお~☆」

紅巴「お鍋の底が白くなってきました……そろそろボウルに移しますね。溶き卵はおひとつで良かったでしょうか?」

灯莉「うん☆ そしたらこのモチモチにちょっとずつ加えて混ぜていくよ~☆ 入れてすぐはヌルヌルになるけど、しっかり混ぜればだいじょーぶ!」


紅巴「木べらですくって3秒か5秒くらいで落ちてくる柔らかさです……! 絞り袋にいれていきますね」

灯莉「プレートにバターを塗って、オーブンは余熱200℃! 生地はぐるぐるーって出しながら好きな大きさに調節してね☆」

灯莉「仕上げにさっきの溶き卵の残りをハケでぺたぺたーって塗っていって、霧吹きをプシューって1回! これで準備万端だね☆」

紅巴「ええと、最初の10分は200℃で、それから180℃に下げて20分ですね。灯莉ちゃん、途中でオーブンは開けちゃダメですよ……!」


灯莉「いまのうちにカスタードも作っていくよ~☆ さっきのお鍋に牛乳200グラムをいれて温めて、ボウルには黄身3つとお砂糖45グラム!」

紅巴「しっかり混ざりました! バニラエッセンスとお砂糖の3分の1の小麦粉を入れて、ゆるく溶かしていきますねっ」

灯莉「それじゃホットミルクをちょっとずつ入れて伸ばしていこ~! 全部いれたら漉し機を通しながらお鍋に戻してね☆」

紅巴「あ、灯莉ちゃん! 中火で温めてたら底の方から塊が出てきて……これっ大丈夫なんですか!?」

灯莉「うん♪ そのうちみーんなそうなっちゃうから、とっきーは塊を潰すように混ぜてってね☆ ぼくはその間にボウルをキレイに洗っておくよ~」


紅巴「あ、だんだんツヤが出てきてトロトロに……すごいですっ」

灯莉「それじゃこの氷水に当てたボウルに移していってね☆ 粗熱がとれたらカスタードのできあがりっ!」 チーン

灯莉「あ、生地が焼きあがったね。切り込みをいれて中のモチモチをくり取ったら、クリームを詰めて完成だ~☆」

紅巴(この生地くず、揚げてお砂糖をかけたら美味しそうですね……捨てずに取っておきましょう) コソ


灯莉「みてみてとっきー! サックサクの焼きたてシュークリーム、こんなに大きいのがちょうど五つもできた~☆」

紅巴「はうっ……! すごいです灯莉ちゃん、これは皆さんもお呼びしなければ!」

姫歌「あら、香ばしくって良い匂いね。これ二人が焼いたの?」

灯莉「おっ、噂をすれば定盛! じゃじゃーん、これぼく達が焼いたんだ~☆ 定盛も食べる?」

姫歌「すごいじゃない灯莉! シュークリームならさっきも食べちゃったけど、これならもう一ついけそうだわ!」

紅巴「さっきも? あっ……」

灯莉「……定盛?」 ジト

姫歌「? どうしたのよ二人とも。心配しなくたって、この程度のことでひめかのウエストは変わんないわよ?」


灯莉「定盛のバカーっ! 絶対にぼくのシュークリームはあげないからねーっ!」 ダッ

姫歌「あっ!? どこいくのよ灯莉、待ちなさーい!」 ダッ

紅巴(はうっ……! 姫歌ちゃん×灯莉ちゃんを眺めながら食べるシュークリーム、最高です~っ) サクサク



叶星「ただいま戻ったわ。あれ、今日は高嶺ちゃんだけなの?」

高嶺「そうね……一年生の子達はこれから夜間訓練だから、お夕飯がまだなの……」 グキュルルゥゥ

叶星「た、高嶺ちゃん!? どうしてこうなるまで……! しっかりして、何か食べたいものとかある?」

高嶺「……叶星が食べたいわ……」 ボソ

叶星「よかった、そんな冗談が言えるぐらいならまだ大丈夫ね。まったくもう……自炊ぐらいできないとダメよ?」


高嶺「だって、あの子たちの作るお料理美味しいのだもの……叶星だってそうでしょう?」

叶星「確かにそうだけれど……よし、久々にわたしの手料理の味を思い出させてあげるわね!」

高嶺「お願いね叶星……わたし、あなたの作るものなら何だって好きよ……」 グゥゥゥ

叶星「もう、高嶺ちゃんったら。今日は腕によりをかけて作ってあげるから、しっかり味わって食べてね?」 ニコ


叶星「ひき肉に塩コショウを振ってフライパンで両面焼く! ハンバーグの完成!!」 ジュゥゥ

叶星「マグカップに鳥ガラスープの素とマイタケを入れてレンジでチン! 中華スープの完成!!」 チーン

叶星「ナスにオリーブオイルとブイヨンをかけてアルミに包んでオーブンで焼く! イタリアンサラダの完成!!」 ホクホク

叶星「食パンに粉チーズとケチャップを垂らしてトースターで焼く! ピザトーストの完成!!」 チーン


高嶺「とっても美味しいわ叶星」 モグモグ

叶星「えへへ。高嶺ちゃんったら、いつもそうなんだから」 テレテレ

叶星「だけどわたし達のこんな姿、みんなにはとてもじゃないけれど見せられないわね?」

高嶺「ふふっ、そうね。こんな料理を叶星が作ってると知ったら、どんな反応を見せてくれるのか楽しみだわ……ねえ紅巴さん?」 チラ


紅巴「ひぃっ……!? う、ウソです! あの叶星様がこんな、まるで自暴自棄みたいなヤケクソお料理をお作りになられるなんて……!」 カタカタ

叶星「……紅巴ちゃん、ちょっとわたし達とお喋りしよっか? 大丈夫、ほんの少し時短の素晴らしさを教えてあげるだけだから」 ニコ

高嶺「あら、どこへ行こうと言うのかしら? 紅巴さんは叶星のこと、もっと知りたいって言っていたじゃない?」 ガシ

紅巴「あ、あぁぁぁ~っ!? 誰か助けて下さい! 姫歌ちゃん、灯莉ちゃぁぁん!」 ズルズル


おわり

以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
かたなほの得意料理はきっとチキンラーメン

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このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 18:52:26   ID: S:Sbim7V

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