【ミリマスR-18要注意】中谷家次期当主の育様が二人の従者から女を教えてもらう話 (23)

こんばんは。「我ら、主様のおそばに…!」ガシャに出てくる三人にハマってしまいました。
これはまずい、と思った数分後には沼にハマってしまったのです……という経緯で書きました。

【概要・注意事項】
・中谷育(♂)
・おねショタ筆おろし
・前立腺刺激シーン有り
・上記三つを今まで書いたことが無いので、性癖のツボを抑えていない可能性がある
・資料が少なすぎて捏造した内容がとても多い


以上のことを許容頂ければ、是非ともよろしくお願いします。
19レス分続きます。

 そよ風の吹く中庭で麗らかな日差しを浴びながら、育は紅茶を飲んで無邪気に笑っている。あの誘拐事件から一年と少々。一族を束ねる当主の御曹司にあたる中谷育は、無事に屋敷へと帰還を果たした。育本人の表情からは凄惨な恐怖体験もすっかり剥がれ落ちたように見える。

 上級使用人として育の身近に仕える歩と真は、責任を問われて屋敷を追われることもなく、悪戯好きな主に振り回される日常へと戻ってくることができた。もっとも、五体無事に育を取り戻した功績との相殺に過ぎず、苛烈な叱責は免れなかった。上級使用人からの降格も言い渡されたが、育本人の強い抗議と、父親たる現当主が子息に甘かったことで、それも無しになった。

「ねぇねぇ、真」

 育の呼びかけに「どうされましたか?」と振り向いた真の頬に、人差し指が突き付けられた。

「呼んでみただけ!」
「またお戯れを……」

 頬に窪みを作りながら、真が苦笑した。

「育様も、いつまでもイタズラっ子ではいられませんよ? いずれ家督を継ぐ身なのですから」
「それは……分かってるよ」

 木漏れ日の中でキラキラしていた顔に翳りが生じた。憂いを帯びた瞳が、視力に偏りのある片目を眼帯で隠す歩へ突き刺さる。歩がどこか寂しげな育の視線を浴びるのは、これが初めてではなかった。誘拐事件の日を境にして、主の物憂げな表情を目にする機会が増えた。だが何があったかを尋ねても、要領のある回答を得ることができなかったのだ。

「……育様?」
「ねぇ、僕はいつまで、お前達と一緒にいられるんだろう」

 誰に聞かせるでもなく、独り言のように育は呟いた。

「心配は御無用です。育様がボク達を庇って下さったおかげで、この屋敷でお仕えし続けることができるんですから」
「違うんだよ真。そうじゃないんだ」

 テーブルの上で、小さな拳が固く握られた。

「僕はもうしばらくしたら屋敷を出て、寄宿舎のある学校へ行くようになる。そこで屋敷の外の世界を見て、色んなことを身に着けて……ずっと未来の話だけど、許嫁とセイリャク結婚して、一族の勢力を拡大する役目がある」
「……育様は聡いですね」

 歩の率直な感想だった。神妙な顔をして真も頷いている。

「実はね……二人には話していないことがあったんだ」

 それから育は、周りに漏れ聞こえることを嫌うように二人をテーブルにつかせ、静かに語り始めた。


* * * * * * 

 誘拐された先で育は、別の有力者の屋敷から連れてこられた見知らぬ少女と強引に契りを結ばされそうになっていた。育から聞いた話を基に推測する限り、敵対関係にある一家の御曹司へ無理矢理に女を教え込み、既成事実を少女の腹に仕込ませて脅迫しようという誘拐犯――いやその雇い主――の魂胆だった。未知の話ばかりを浴びせられて困惑していた育だったが、自分の一族を陥れようとする意図はおぼろげながらも理解していたようだ。

* * * * * * 


 幸いにも、話を聞かされた段階ですぐさま二人の使用人に突入され、その目論見は霧散した。歩は胸を撫で下ろした。

「……惨いことを」

 真の眉間にきつい皺が寄った。

「やはり鏖(みなごろし)にするべきだったか」
「……よせ、真。もう過ぎたことだ。私達が命を奪うことなく目的を達成できたおかげで、旦那様が事後の交渉を有利に進められたのだ」

 表情から険が取れはしたものの、「失礼しました」と主へ頭を下げる真は、まだ歯を食いしばっていた。

「僕が自分の『これから』を考えるようになったのは、それからだよ。父上のように、いずれこの家を継ぐ役目がある。異性と結婚してチギリを交わし……今の僕のような男の子を、将来の妻に産んでもらって」

 まだ無邪気さの抜けない育の表情は真剣だった。しかし、霞のような不安に包まれてもいる。突如として吹いたつむじ風が、前髪を強く揺らした。

「でも、チギリをかわす……って、具体的には何をすることなんだろう。ねえ、僕はいつ『女を知る』ことになるんだろう。僕には、何も分からないよ」
「育様……そういったことは、いつか分かることにございます」
「『いつか』って、いつだよ!」

 歩の発言を、育がぴしゃりと遮った。

「僕はこのモヤモヤを抱えて大人になって、女も知らないまま、良く知りもしない許嫁と、何をするかも分からないチギリを交わすことになるのか」

 育の瞳は揺らいでいた。自らに課せられた運命に対する反抗か、それとも、いつか訪れることが分かっているのに未知のままである男女の関係への恐れか。そのどちらかだと歩は考えたが、どちらであるかを判断することはできなかった。

「ご安心下さい、育様。本当は大きな声では申し上げられないのですが、学校へ通われた折、先輩達から、そういった女遊びも教わり――」
「遊び……遊びなのか?」

 育が真を睨んだ。

「……失礼。適切な知識や経験、といいましょうか。無垢のままでいることが良しとされる貴族階級の令嬢へ夜伽の手ほどきをできるよう、レールを密かに外れて学ぶ……そういった裏の伝統があるのでございます」
「……かつて屋敷には旦那様の『指南役』がいたそうです。育様がそういった者から手ほどきを受ける道もございましょう」
「……」

 もう湯気の立たなくなった紅茶を、育が口に含んだ。皿に乗った好物のチョコレートケーキは、まだ綺麗なままの姿を保っている。救いを求める視線が歩を見つめた。

「……お前達から教わるんじゃ、ダメなのか?」
「い、育様!」
「滅相も無い! 私達も確かに女ではありますが、私達のような使用人が指南役を務めては、育様の名誉に関わります!」
「よく知らない者を相手に女を教わるなんて、僕は嫌だ。かといって、女を知らないままで何年も過ごすのだって嫌だ」

 憤った頬が紅潮している。育が我儘を言うのは今に始まったことではなかったが、歩は言葉に詰まった。真へ目配せしたら、真の方が歩へ目で何かを訴えていた。

「しかし育様、私達はあくまでも育様にお仕えする身なのです。明確な身分の差が――」
「生意気だぞ歩! 使用人の分際で僕に逆らうのか!」

 ばん。両の掌がテーブルを叩いた。波打った紅茶がソーサーに零れ落ちる。だが、その直後、自らの激昂を恥じるように、小さな声で「ごめん」と育が眉根を寄せた。

「寄宿舎に入ったら毎日会えなくなっちゃうって思ったら、すごく寂しくなってきたんだ……。なんでだよ。僕が小さい時から、傍にいたじゃないか……。なんでずっと一緒にいられないんだ……!」
「……育様」

 テーブルクロスにぱたぱたと水滴が落ちる。絞り出すような声を聴いた真が、目元を擦りだした。

「僕の言うこと、何でも聞いてくれるだろ? 僕のことをよく知ってる、お前達じゃなきゃ嫌なんだ……教えてくれよぉ……」

 泣きじゃくって不器用に甘える育に、歩は何も言えなかった。育の下した命令へ忠実に従うことが禁忌であることが、分かっていながら――。

 育の個室周辺からは人払いがされた。「何人たりとも立ち入りを禁ず」のボードがドアの外に張り出してある。歩と真がついているからと、その指示を疑うものはいなかった。

「あれっ、真は?」
「倉庫へ行っております。少々、準備するものがございますので」

 育は、中庭から持ち帰ってきたチョコレートケーキを大きくカットして頬張っていた。気分が落ち着いた故か、あっという間にそれを平らげて、歩に紅茶のお代わりを求めた。

 紅茶を注ぎながら、歩はまだ躊躇の中にあった。貴族階級の性体験については書物や人伝の話を通して知るのみで、自信を持てるほど明るくないのだ。身分違いの自分の綺麗でない体験を基に、誤った知識を教えてしまったら。不適切な教え方で育を傷つけはしまいか。単なる執事が、主の夜伽の手解きをするなんて。

「歩、どうしたの、ボーッとして」

 頬を摘ままれる感覚に、歩は我に返った。

「少々、考え事を」
「それだけ? 何だか不安がっているように見えたよ」
「不安が無いといえば、嘘になってしまいます」
「やめてよ」

 育が歩に近寄る。幼い頃からそうしていたのと同じように、執事服のベルトを小さな手が掴んだ。

「お前がそんな顔をしていたら、僕も不安になっちゃうだろ」
「……申し訳ありません、育様」
「ねぇ歩、眼帯外してよ」
「ええ、構いませんが……お気に障りましたか?」
「違うんだ。えっと……その……」

 歩を見上げる視線が、脇へ逸れた。言われた通り眼帯を外して、執事服のポケットへしまい込む。合わせた視線の奥、育の大きな瞳の中で、瞳孔が拡大した。

「歩は、両目出してた方が、キレイだから……」
「……えっ? そ、そんな、滅相もない……」

 主から初めて耳にする言葉に、歩は戸惑いを隠せなかった。いつものように、からわかれているのだろうか。着せ替え人形にされて遊ばれたことはあっても、容貌を褒めてきたことなんて、今まで一度も無かったのだから。

「ほ……ホントだよ。よその家のお嬢様よりも、母上のご友人よりも、歩と真の方がずっとキレイで……ドキドキする」

 そこまで言うと、従者より背の低い育は耳まで赤くなって、俯いてしまった。ベルトにかかっていた両手が、腰へ上ってくる。「ドキドキする」という育の言葉が、そのまま歩の鼓動も速めていく。

 ――私と真を、異性として意識なさっている……?

 沸かした紅茶を注いだティーポットのように、顔が熱を持ち始める。胸の内に生じたむず痒さがたまらなくなって、叫びだしたくなるほどだった。

 半ば無意識に育の両肩へ手を乗せた瞬間、扉が開いた。

「……あっ! 歩、ずるいぞ! ボクがいない間に、二人でいい雰囲気になって!」

 背後を振り返っていた育だったが、ふくれっ面になる真から、慌てて目を背けた。気恥ずかしさに縮こまっているように見えた。

「育様。さっきの言葉、真にもお伝えになってください。きっと喜びますよ」
「あ……う、うん……」

 肩を押して真の方へ促してやると、育はちまちまと真と距離を詰めた。育が真へ何と言ったのか、歩には聞こえなかった。だが、部屋に反響する悲鳴を聞けば、飾らない口説き文句がストレートに真へ突き刺さったのは明らかだった。

「ねぇ歩、聞いた? 今……!」
「もう少し抑えてやれ。育様が余計に恥じ入ってしまわれるだろう」
「ああ、嬉しいなぁ! 育様からこんなお言葉を頂ける日が来るなんて……!」

 エプロンドレスを振り乱して、真がはしゃいでいる。手首に提げた袋の中身が飛び出てしまいそうだ。舞い上がった真は育の手を取り、天蓋のあるベッドへと引っ張っていく。少し気が急いているように感じられたが、育を挟み込む形で、歩もベッドサイドに腰を下ろした。

 育はまだ、両親と同じベッドで眠ることの方が多い。あつらえられたベッドも、子どもが一人で寝るには広すぎる。三人で寝てもまだ余裕がありそうだった。

「あ、あの……僕、どうすれば……?」

 育の両手が、胸元で宙に浮いている。

「ご心配なさらず。私達にお任せ下さい」
「そうですよ育様。ボク達が、きっと素敵な時間にしてさしあげますから」

 顔を覗き込む真と目を合わせ、育が照れ笑いを浮かべた。

「事前にお断りを入れておくべきことがございます。失礼を承知で、育様のお体へ触れます。また、お洋服の下も拝見することになりますが、よろしいですね?」
「あっ……う、うん。分かった。恥ずかしいけど……」
「大丈夫ですよ、ボク達も裸になりますから」
「ええっ? そ、そ、そうなんだ……」
「そうですよ、本来は男性がリードして、女性の衣服を脱がせるのです。育様にも、後でボク達の衣服を脱がせてもらおうかな……?」
「ぼ……僕がお前達の服を……! うぅ……」

 庭で捕まえた虫を見せびらかすやんちゃな少年はすっかりなりを潜め、顔をトマトみたいに赤くしている。互いに触れあえる距離で恥ずかしがる育がたまらなく愛おしくて、一回り小さな体を思い切り腕に抱きたい衝動が起こる。歩は抵抗した。敬愛する主に仕える身として、品の無い様は見せられなかった。しかし、くるくると自分と真とを往復する眼差しが歩の顔で足を止めた瞬間、歩の手は育の顎を掴んでいた。

「……よろしいですか、育様?」
「え? え、っと……」

 目を閉じて下さい、と囁きかけて、歩が唇を重ねた。瑞々しさに溢れた育の唇には、チョコレートの甘さがまだ残っている。

「あっ……いいなぁ……」

 真の羨む声が、育の頭越しに聞こえてくる。ちゅっ、ちゅっと何度か啄むようなキスをして、歩は愛しい主の黒髪を撫でた。腹の底に、甘やかな温かさがじんわりと広がっていく。

「し、心臓の音が凄いよ……! 母上と交わした口づけと、全然違う……!」
「育様……ぜひ、真ともなさいませ」
「……うん……」

 名残惜しそうな流し目を感じながら、育をくるりと振り向かせる。真の肩を掴んで、育は自ら顔を近づけていく。掌を重ねた二人が接吻を交わす様が、肩越しに目に入る。真が育へ向ける視線には、慈愛が満ちていた。しかしそれでいて、ひどく煽情的な光景だった。

「育様、ボクの方に舌を差し出してください」

 くちゅ、くちゅ……。水っぽい音が聞こえる。後頭部の向こうで、育は素直に舌を差し出し、誘われるままディープキスに応じているようだ。両者のくぐもった声が耳に入り、体温が上がる。

 ――大人気ない……真に妬みを感じてしまうとは……。

 早く振り向いてほしい。胸の内がチクチクする。育と真のキスが終わるまではほんの数秒間だったはずだが、歩には数分間に感じられた。

「……えへへっ、今ので覚えたよ。歩にもしてあげるね。ん~っ……」
「……っ!」

 腕が首に巻き付いてきたのに気を取られた。迎え入れる準備ができないままに、唇が押し付けられた。歩が歯列を開けるのとほぼ同時に、チョコレート味の舌が飛び込んで甘えてきた。ところがじゃれついてきたのは始めの数秒だけで、たちまちに歩の舌が逆転し、主導権を握ってしまった。

「んふ……んっ……頭、ボーっとしちゃうよ……」

 庇護するべき育と唾液を交換し、性交の前菜の味を教え込んでいる。身分の差に、年齢差……。雇用主の御子息とディープキスをしている歩は、どれだけの禁断を飛び越えているのか分からなかった。尽くしてきた忠義の分、主への愛情は荒波となって歩の内心へ打ち付けてくる。気が付けば、両腕は育の華奢な体をぎゅっと抱き締めていた。

「はぁ……はぁ……あ、歩ぅ……」
「お上手ですよ、育様。もう一度、よろしいですか?」
「ん、んん……!」

 息苦しさを感じながら、舌を絡め合う。こぼれた唾液を舌で掬い取り、飲み下す。育の体の一部ともいえるものを自らの体内へ取り入れ、得も言われぬ満足感が込み上げる。

 育の手を取って、歩が胸元へ導いた。タイトに全身を引き締める執事服のシルエットを、歩のバストは大きく盛り上げている。育の小さな掌には収まりきるはずもなかった。

「好きになさってよいのですよ」
「で、でも……ここ触ると、真も歩も、怒るだろ……。ホントにいいの?」
「時と場所と状況次第です。さあ、どうぞ……」

 やや戸惑いを見せつつも、育の掌が蠢きだした。ジャケットの隙間へ入り込み、シャツを押し上げる豊かな乳房を撫でては、おっかなびっくり圧力をかけてくる。

「……いい匂いする……。歩のおっぱい、おっきい……」

 そう呟いて、歩の胸に育は頬擦りしてきた。

「小さい頃は、こんな風に甘えてきたこともありましたね」
「うん……いつからか、怒られるようになっちゃったけど」
「……く、くそぅ」

 ――真、そんな目で私を見るな……。

 膨らみに顔を埋めてうっとりしている育の頭頂越しに、真の恨みがましい視線が刺さる。かと思えば、自分のエプロンドレスに視線を落として、しょんぼりと眉をハの字にしている。心が痛むが、残念ながら歩は何もしてやれないのだ。

「育様、顔を埋めているだけでよいのですか?」
「よ……よくない。えっと……あの……歩のおっぱい、見たい。いい?」
「もちろんです。では、育様が脱がせてみてください」

 ごくり、と生唾を飲み込んで、育がネクタイに手をかけた。首元の拘束がしゅるりと緩む。シャツのボタンを外す指先はカチカチだった。脱がされる自分以上に育は緊張しているのだ。薔薇の刺繍をあしらったブラがシャツの襟から露出すると、育はそこに手を出す前に腹部のコルセットを緩めにかかった。

「こんなに締め付けて、苦しくないの?」
「これがあるからこそ、心を引き締めていられるのです」
「……歩はね、最近スコーン食べ過ぎちゃったんですよ。引き締めてなきゃまずいのはお腹の方で」
「真! よ、余計なことを言うな!」

 真の言葉を確かめるかのように、育の手が腹を撫でた。一本一本拘束を緩めながら、「全然気にならないよ」と無垢な言葉が主の口から紡がれる。慰みであると感じた瞬間、歩は、育を前に女としての体面を気にしていることに気付かされた。胸の内に恥じらいが込み上げてくる。

「あの……これ、どうやって外すの?」

 ブラジャーの前で育が立ち止まっている。男の子らしい欲求を秘めた育の視線は、歩の胸に釘付けだった。

「背面に手を回してホックを外すんですよ。ほら歩、ちゃんと導いて差し上げないと」
「あ、あぁ」

 ジャケットを脱ぎ、ボタンの外されたシャツを開き、肩と背中を露出させる。隣に座る育に背を向けてうながすと、十数秒のこそばゆさの後に、胸元が緩くなった。トップレスになった上半身を隠したい心理はあったが、そんな抵抗は使命感に比べれば些細なものに過ぎなかった。

「わぁ……」

 思春期に入って間も無い育は嘆息を漏らした。「触ってもいい?」と目で訴えてくる。いつだって無断で二人を振り回すのに、体に触れるために逐一赦しを求めていた。ぴたりとそろった細い脚が、じれったそうにもぞもぞしている。

「強く触られるよりも、優しくされた方が気持ちよくなれます。慈しみの心をお忘れなく」
「……分かったけど、頭がカッカして、それどころじゃないよ」

 高い体温が乳房に触れた。幼い頃より可愛がってきた育が、息を荒くして、自分の肉体に夢中になっている。甘い疼きと幸福感が胸中を満たしていく。淫らな性感というよりはもっと優しい心地よさに、歩も鼻にかかった声を漏らした。

「あっ、んんっ……育様……! 赤ん坊ではないのですから……!」

 何も教えていないのに、育が乳首に吸い付いてきた。ちゅうちゅうと音を立てているのにも育は無頓着で、固唾を飲んで見守る真の方が顔を赤らめている。

 ――育様。なんて愛しい……。母性を抱くとは、こんな心持ちなのだろうか。

 思っていたよりもずっと力強く性感帯を刺激されて、歩は身悶えしそうだった。しかしながら、無邪気にじゃれついてくる育を慈しむ思いが勝った。興奮の度合いを示すように強い力で乳房を揉まれて指の跡が赤く残っていたが、そんなことは毛ほども気にならなかった。

「……育様」

 育を抱き寄せて、歩が耳打ちする。

(中々お上手ですよ。心地よい思いをできています。ですがそろそろ、真にも同じようにしてやって下さいませ)
(でも)
(二人を相手にしているのです。私ばかりに熱中していてはいけません)

 分かった、と小さく囁き、胸元から育は顔を離した。真に向かって手を伸ばす少年には、まだ照れ臭い躊躇が残っている。

「あっ……ボクのことも、脱がして下さるんですね、育様」

 真の目がキラキラと期待に輝き始めた。リボンを解き、ボタンを外す育の頭を撫でて、徐々に肌を晒していく。メイド用のエプロンドレスが剥がれ落ち、スリムながらに曲線美を備えた体が露わになる。シンプルな黒の下着が、真のきめ細かい肌の白さを際立たせている。グレーのストッキングが、するすると細い脚から抜ける。同僚の艶かしさを目の当たりにして、「いけない」とは思いつつも、歩は息を呑んだ。

「えっと……背中に……あっ、これだ」

 真が背を向ける前に育が腕を回した。ぷちん、と音を立ててブラが外れる。

「い……育様。ガッカリしないで下さいね」
「ガッカリ? なんで?」
「ボク、歩みたいに胸が大きくないから……」
「おっぱいが大きくなかったら、ガッカリしちゃうの?」
「そ、それは……」
「僕は、その……さっきと同じぐらい、ドキドキしてるんだけど……」
「……」

 真はおずおずと小さな手を取り、恥ずかしがりながらも「どうぞ」と育を導いた。

「真のおっぱいも、ふにふにしてて柔らかいね」
「優しくなさいませ。触られた感覚がより強く伝わります。私のように赤い跡を残しては、痛がられてしまいますよ」
「わ……分かった。優しく、だね」

 歩に触れた経験が早速生きているのだろうか。いたわるように育は手を這わせ、控えめな乳房へ指を沈めている。庭に咲くバーベナの花みたいなピンク色を掌がかすめる度に、真はぴくりぴくりと肩を震わせた。

「あ……ふぁ……育様……」
「どうしたの真? 痛かった?」
「いえ! あの……お、思ってたより、ずっと気持ちよくて……」
「そ……そっか。じゃあ……」

 歩にそうしていたように育が乳首にしゃぶりつくと、甲高い声があがった。舌で転がして唾液の弾ける音が、ぴちゃっと聞こえてくる。つい数分前に自分がされていた行為を生々しく思い出し、歩の下腹部はじわっと熱を持ち始めた。

 ――育様はどうなっているだろうか。

 真へ意識が向いている隙を伺い、サスペンダーを通り過ぎて下腹部へ視線を滑らせる。鼠径部の狭間が不自然に突っ張っている。可愛い顔の育が男性であると同時に、もう性欲を催す年齢である証拠だった。いつからだろうか。何がきっかけだろうか。歩の好奇心がむくむくと膨れ上がる。

「ひゃっ!? あ、歩! そんな所、触っちゃダメだよ!」
「育様、ご立派ですね」
「あっ、あの……ごめんね、二人を見てたら、えっちな気分になっちゃって……」
「育様、謝ることではありませんよ。ボク達でそういう気分になったのなら、女としてむしろ誇らしいことです」
「こういう場においては、正しい反応ですよ。育様が健康な男の子である証拠なのです」
「そ……そうなの……? あっ、ちょっと歩、服ぐらい一人で脱げるよ!」

 サスペンダーの留め具に手をかけようとした腕を、背後から歩が掴んだ。浮いた手に、真が正面から指を絡めた。

「育様が脱がせてくださったのですから、ボク達にも同じことをさせて下さい」
「でも……は、恥ずかしい……」
「乱暴には決して致しませんから」
「……うん、分かった」

 育は一応の納得を示し、ボタンが外されるのに身を任せる。サスペンダーの外された短いズボンもするりと体から離れた。幼子から目に見えて身体が大きくなったとはいえ、育の体つきには男性特有の逞しさがまだ見られなかった。四肢や体幹は細枝のようで、女性の力でさえ、強く抱き締めたら折れてしまいそうだ。真の手が股間に触れ、「あうっ」と小さな悲鳴をあげて育は身じろぎした。

「こちらも、見させてもらいますね」

 男性の秘部を覆い隠す最後の一枚が取り払われた。後ろから育を抱きとめていた歩が、思わず肩越しに身を乗り出す。

「ふふっ、育様と同様に、こちらも元気いっぱいですね」

 真の言葉に育は顔を覆ったが、肝心な所は丸出しのままだ。皮の布団に包まれた男性器は張り詰め、天に向けて弓を引こうとしている。少しだけ痛むかもしれませんよ、と一声かけて、真がそっと包皮を引き下ろした。存外するりと皮が剥け、肉の色をした粘膜が露出する。男性器の本当の姿にギョッとしたのは、指の隙間から覗き込んだ育一人だった。

「育様、ここに、用を足す以外の用途があるのはご存知ですか?」

 さらさらした黒髪が横に揺れた。

「では、まずそれから知る必要がございます。少々失礼」

 汚れのこびりついた陰茎へ、濡らした布巾が近寄っていく。しかし、ちょんと亀頭へ触れただけで、育は痛みを訴えてしまう。「やっぱり」と口にして、真はすぐに布巾を置いた。

「え……えっ、真、何をするの?」
「ボクが口で、キレイにして差し上げます」
「えっ、えっ……ええっ!! そんな、真のお口が汚くなっちゃうよ……」
「育様のお体です。気にもなりませんよ」
「……あうっ!」

 育がそれ以上の口答えをする前に、真は股間へ顔を埋めてしまった。空気すらしみるほどに敏感な所が粘膜に包まれたのが、ぶるっと震える細い腰から見て取れた。

「あっ、あ……あったかい……」

 初めて訪れた快感に、育がうっとりと息を吐く。

「具合はいかがですか?」
「あうぅ……変だよぉ、おちんちんが溶けちゃいそう……!」

 皮膚に阻まれて見えないが、頭を前後させる真の口内で何が起こっているかを想像することはできた。時折頬が窄み、ちゅう、と何かを吸い上げる音が聞こえてくる。

「……ぷは……『フェラチオ』っていうんですよ、こういうの」
「ふぇら……ちお……? お、女の人って、こんな汚いこと、しちゃうの……?」

 そうです、と口で答える代わりに、真は再び育の性器を咥えた。

「女がこんなことをできるのも、深い愛情あってのことです」
「愛情……ひ、うっ、こ……腰、勝手に動いちゃう……!」

 真の頭を追いかけるように、育がかくっかくっと腰を揺らしている。歩には己のこととして理解することのできない感覚だったが、育の声が徐々に切羽詰まり始めているのを聞いて、空いた手をそっと握った。

「ま、真! 離して! おしっこ、おしっこが出ちゃいそうなんだ……!」

 育が悲痛な声をあげたが、真は意に介さず口での奉仕を続ける。

「大丈夫ですよ育様。安心して、その昂ぶりを真に預けて下さい」
「でも……真のお口、汚しちゃう……そんなの、やだ――んっっ!」

 歩は育の唇を奪った。汚してしまうから、という真への気遣いが胸を締め付けてきて、それ以上を聴くのが苦しくなってしまったのだ。健気にも歩を口内に迎え入れた育だったが、喉の奥で小さく「あ」と言ったきり、体をびくびく震わせて、舌を硬直させてしまった。

「で……出ひゃった……あ……ぁ……!」

 育は真の口淫で絶頂を迎えていた。真の口内に射精している。目をつぶって押し寄せる快感に流され、歩の手が強く握られる。

「は……あ……っ」

 腰の痙攣が少しずつ収まっていく。やがて真の口から陰茎が抜かれると、残滓と唇とがまだ白い糸で繋がっている。うっとりとしていた育が我に返った。

「えっ……おしっこじゃない……何、その白いの……?」
「目にするのは初めてですか? 赤ちゃんの元になるものですよ。男性にしか出せないものでございます」

 口の中に出すまで、育は精通を経験していなかった。自分の性器から見慣れないものが出てきて、カタカタと動揺している。

「僕の体から、こんなものが……」
「育様のお体は、大人の男性としての機能をもう身につけているのです。……本来ならそれは、口の中に吐き出すものではないのですが」
「それなら、どこに?」
「それをお教えする前に、育様には元気を取り戻していただく必要がございます」

 育が視線を下ろした先では、一仕事終えた肉茎が腰を下ろして縮こまっている。熱に浮かされたような目つきも、落ち着きを取り戻しつつあった。

 皮膚に阻まれて見えないが、頭を前後させる真の口内で何が起こっているかを想像することはできた。時折頬が窄み、ちゅう、と何かを吸い上げる音が聞こえてくる。

「……ぷは……『フェラチオ』っていうんですよ、こういうの」
「ふぇら……ちお……? お、女の人って、こんな汚いこと、しちゃうの……?」

 そうです、と口で答える代わりに、真は再び育の性器を咥えた。

「女がこんなことをできるのも、深い愛情あってのことです」
「愛情……ひ、うっ、こ……腰、勝手に動いちゃう……!」

 真の頭を追いかけるように、育がかくっかくっと腰を揺らしている。歩には己のこととして理解することのできない感覚だったが、育の声が徐々に切羽詰まり始めているのを聞いて、空いた手をそっと握った。

「ま、真! 離して! おしっこ、おしっこが出ちゃいそうなんだ……!」

 育が悲痛な声をあげたが、真は意に介さず口での奉仕を続ける。

「大丈夫ですよ育様。安心して、その昂ぶりを真に預けて下さい」
「でも……真のお口、汚しちゃう……そんなの、やだ――んっっ!」

 歩は育の唇を奪った。汚してしまうから、という真への気遣いが胸を締め付けてきて、それ以上を聴くのが苦しくなってしまったのだ。健気にも歩を口内に迎え入れた育だったが、喉の奥で小さく「あ」と言ったきり、体をびくびく震わせて、舌を硬直させてしまった。

「で……出ひゃった……あ……ぁ……!」

 育は真の口淫で絶頂を迎えていた。真の口内に射精している。目をつぶって押し寄せる快感に流され、歩の手が強く握られる。

「は……あ……っ」

 腰の痙攣が少しずつ収まっていく。やがて真の口から陰茎が抜かれると、残滓と唇とがまだ白い糸で繋がっている。うっとりとしていた育が我に返った。

「えっ……おしっこじゃない……何、その白いの……?」
「目にするのは初めてですか? 赤ちゃんの元になるものですよ。男性にしか出せないものでございます」

 口の中に出すまで、育は精通を経験していなかった。自分の性器から見慣れないものが出てきて、カタカタと動揺している。

「僕の体から、こんなものが……」
「育様のお体は、大人の男性としての機能をもう身につけているのです。……本来ならそれは、口の中に吐き出すものではないのですが」
「それなら、どこに?」
「それをお教えする前に、育様には元気を取り戻していただく必要がございます」

 育が視線を下ろした先では、一仕事終えた肉茎が腰を下ろして縮こまっている。熱に浮かされたような目つきも、落ち着きを取り戻しつつあった。

 背後から育を愛でていた真が、ショーツを下ろしていく。下着の裏地と秘部とが糸を引いていたのが、歩の視界に入った。広いベッドの隅には、脱ぎ捨てられた衣服が小さな三つの山に分かれている。

「これ、大人用のだからどうかな、と思ったんですけど、育様にも合っているようですね」

 革袋から取り出した薄い膜が、屹立した男性器をするする包み込んでいく。

「歩……育様の初めて、ボクがもらっちゃっても……?」
「……私は、異性との初めての口づけを頂いたからな」
「じゃあ、育様……」

 小柄な体躯がころんと寝かされて、歩の膝に頭が乗った。真の裂け目からはぬかるんだ蜜が滲み出ている。陰唇を指で広げて、襞状の組織が垣間見える膣口が露出した。

「見えますか? ここに、育様のおちんちんが入るんですよ」

 育の視線は一点に注がれていた。興奮すると女はこうなるんですよ、と解説しながら、体重をかけないように真が跨った。自分達が使うものと違い、三人が寄り集まっていても、広いベッドは柔らかく沈み込み、軋む音一つあげない。

 薄い薄い膜に包まれた男性器が飲み込まれていく瞬間、時がゆっくりになったように見えた。二人分の湿った溜息が聞こえる。口元に妖しい笑みをたたえながら真は腰を沈めていき、肉茎が根元まで埋没した。

「えへへ……育様、いかがですか?」
「うぁ……あつい……ぬるぬるしてる……!」

 初めて知った女の味の感想を求めるのもそこそこに、二人の接合部が動き始める。真が腰をくねくねと揺する。高い声で育が喘ぎつつも、オスとしての本能なのか、ペニスを押し込もうと下半身がカクカク揺れる。

「んっ……はっ……おちんちん、中で大きくなってます……っ」

 男を受け入れて広がった膣口から見え隠れする陰茎の根元は、手で握っていた時よりも太さを増しているように見える。小さな全身のあちこちから血液を集めて、ますます大きく膨らんでいる。跨って育に女を教え込もうとしている表情から余裕が徐々に消え、真が色香を放つ女の[[rb:貌 > かお]]になっていく。

 これを入れられたら、どうなってしまうのだろうか。歩の下腹部が疼き、じわ……と蜜が滲んだ。あろうことか、「自分も欲しい」などと、執事の内側に潜むメスが囁いている。

「あっ、ふぁ……真ぉ……! 気持ちよくて、頭おかしくなっちゃう……!」
「んんっ、ん! 育様、ちょっと、元気すぎます……! あ、ダメ、ぼ……ボク、育様をリードしなきゃいけないのに……」

 歩の眼前で、同僚と主のセックスはヒートアップしていく。微笑すら浮かべていた真が淫らに喘ぎ、あどけない育に鳴かされている。その育も、くちゅっくちゅっと粘液の立てる音にシンクロして、かわいらしい声をあげて乱れている。卑猥な空気に当てられた歩も、いよいよ慎み深さを忘れてしまいそうだ。

「うぅ……で、でちゃう……!」
「いいですよ育様、そのまま……」
「あ……あ……!!」

 上り詰めた育が、動きを止めた。それでも、ぴくりぴくりと下半身が震えている。射精が始まったのを察知した真も腰を振るのを止め、初めて知った女の中で果てる育を恍惚と見下ろしている。言葉にならない声を喉の奥で詰まらせながら、男というにはまだ若すぎる育は吐精を続けた。

「ふぅ……もう少しで、ボクもイッちゃいそうだった……。育様、これで大人の仲間入りですよ」
「女を知るにはまだ若すぎると思いましたが、男の階段を一気に駆け上がってしまいましたね」
「あ……うん……」

 初体験を済ませた育は、まだぼんやりと夢心地だった。結合部から抜け出て、硬さを吐き出したペニスからのっそりと薄膜の避妊具を外して摘まみ、先端に溜まった精液を眺めている。零れないように口を縛りましょう、と言われると、育はそれを真に委ねた。

「実際に子をもうける時には、その膜は使わずに交わります」
「天からの祝福があれば、いずれ女の体内に生命が宿ります。一人の赤子が生まれるまでには何か月もかかりますし、母親には大きな負担もかかります。そうやって、育様もこの世に生を受けてきたのですよ」
「……そうなんだ。そんなの、全然知らなかった……」

 二人の従者は、呆けている育の髪や頬に触れては穏やかに語り掛ける。男の役目を完遂したことを歩は褒めてやりたかったし、自分の腰ほどの身長しかなかった育が大人の階段を上ったことへの感慨もあった。

「ねぇ、どうして、この膜を使うの? 女の人が大変な思いをしちゃうから?」
「そうですね……。育様、真と肌を重ね合っておられる時、どのような心持ちでしたか?」
「えっと……うまく言えないけど……ぽかぽかして、いい気持ちだった。楽しい、とはちょっと違うかな……」
「こういう時にしか感じられない幸福感があるのですよ。情愛の交換のためにも、男女は交わるのです。避妊具を使うのは、病気を防ぐためでもあります」

 育の疑問に答えつつ歩が知識を授けている間、真はベッドの端に散らかった衣服を畳んでいた。くずかごに被せた革袋の上へ、用を済ませた避妊具がぽとりと落ちていく。

「ねぇ、歩」
「なんでしょう」

 膝に頭を乗せたまま、育の大きな目が歩を見上げた。

「……歩ともする」
「育様、ご無理をなさらず」
「一人だけに夢中になっちゃいけないって言ったのは、歩じゃないか。真としたんだから、歩ともしないと、って思って」
「二度も精を吐き出しているのです。お疲れでしょう」
「そうだけど……僕、歩ともしたいよ。……うまく言えないけど、歩のことも好きで……えっと……愛情の交換、したい……」
「……育様」

 ああしろ、こうしろ。あれは嫌だ、これは嫌だ。そんなことばかり言っていた育が、懇願している。自分を求めている。責任感で言っているのならば無理はさせるまいと考えていた。だが、自分の発した言葉をやり返された上に、分類が未熟で曖昧ながらも、好意まで口にされては、白旗を上げる他なかった。

 たどたどしく何かを言い続けようとする育の口を、歩は身を屈めて唇で塞いだ。それ以上の言葉を紡がせるのは無粋だった。

 まだ元気を取り戻していない育の股間に歩は顔を近づける。咥えることに躊躇は無かった。くたっとしていたペニスには湿気がまとわりついている。ぱくりと咥えこみ、粘膜を隅から隅まで丁寧に舌で愛撫している内に、ぴくっと育が反応する。

「あ、あ……! 歩のふぇらちお……気持ちいい……」

 芯が入り始めた。吸い上げる動きに導かれて、幹の直径が増していく。先端から塩気のある先走りが、じわ……としみ出してきた。力を取り戻しつつある性器の根元、無防備な睾丸も手で揉み解す。少し指を伸ばして会陰をすりすりと撫でて、指で圧迫する。外からでも前立腺に刺激が響いているようで、口の中でどんどん男の子が硬く反り返っていく。

「あ……も、もう立っちゃった……歩のお口、ねっとりしてる……」

 カチカチになったのを舌で確かめて、口を離す。唾液と先走りの混ざった液体が橋になって、唇と亀頭を繋いでいた。空気と粘膜に慣れたピンク色の先端は、まだ膨らもうと首を振っている。

「や、あ……だっ、ダメ……! そんなにおちんちんイジメないで……!」

 指で作ったリングに幹を扱かれて、育が悶える。「イジメないで」なんて可愛らしく喘ぐ育の姿を見て、歩の欲求が燃え上がる。このまま射精まで導いてしまいたかったが、もう準備の出来ている育にこれ以上の責めは苦痛かもしれなかった。それに、真との性交を傍観していた歩も、男が欲しくなってしまっていた。

「育様。そろそろ……頂いてもよろしいですか?」
「う……うん。あのさ、僕が動いてみてもいい?」
「いいのですよ、私が動きますから」
「こういう時って、男がリードしなきゃいけないんだろ」

 体を起こして、育は歩を見下ろそうと懸命に背筋を伸ばしている。たった一度の性体験で、まだ幼さの残る少年は、男としての役目を果たさんとしていた。

「……承知しました。では……」
「おっと、育様。お忘れ物ですよ」

 仰向けに寝転ぶ歩へ覆いかぶさろうとする育の背後から、真の手が伸びてきた。

「楽しむためのセックスに、紳士のエチケットは欠かしてはいけません」
「あっ……! ご、ごめん」

 被せられる薄膜へ手を伸ばした育だったが、自分で着けようとした時にはもう、装着が完了してしまっていた。

「ほら、歩。枕使って。ボクは脇から見物させてもらうよ。はぁ~、歩がちょっと羨ましいな」
「……真は育様の童貞をもらっただろう。何が羨ましいというのだ」
(ボクは「好きだ」って言ってもらってないから)
(「も」とおっしゃっていたのだから、真も含まれているだろう)
「どうしたの、二人とも?」
「失礼、育様の実践練習にあたって少しばかり話をしておりました。さあ、歩の方は準備ができていますから」

 真が枕の背後に回った。性行為の最中の顔を観察されるアングルでなくなったのでは幸いだったが、抱かれている所を見られることには変わりない。自分のことを棚に上げつつ落ち着かない気分でいると、開いた両膝を育の小さな手が掴んだ。

「え、えっと……ここ、かな?」
「もう少し……下でございます」

 秘裂をかすめただけで、腰が跳ねそうになってしまう。ぬるん、つるんと滑っては、硬いものが歩の粘膜に擦りつけられる。じれったさを覚え始めた頃、望んだ位置に照準が定まった。あとはそのまま、ゆっくり入ってきてくれれば――そう考えた瞬間、育は一気呵成に腰を突き入れてきた。

「ひっ……あぁんっ!」

 突如として下腹部を押し広げられる感覚に襲われ、思わず悲鳴があがった。じいんとした、痺れにも似た快感が、男性器と接した部分から広がっていく。

「……歩って、こんな声出しちゃうんだ……」

 育は目を丸くしていた。歩の姿を覆い隠せるほど広くない体に、天蓋から後光が差している。

「えっと、じゃあ、う、動いてみるね」

 ぴったりくっついていた下腹部が離れていく。腰を引きながら育は呻き声をあげている。膣から出て行こうとする中でペニスが跳ねていた。再びぎこちなく腰を押し付けてくると、そこでぶるぶる震えて動きが止まってしまう。

「い……いいですよ、育様。その調子です……」
「体が勝手に動こうとするんだけど、歩のお腹の中、すごくて……!」
「ん……締め付けすぎて痛みますか? ……申し訳ありません」
「ううん、痛いんじゃなくて……き、気持ちよくて……。ごめんね歩、すぐ出ちゃわないよう、僕、我慢するから……」

 息に混じって声をあげながら、育の体が往復運動を始めた。ゆっくりとゆっくりと、歩の体内の具合を確かめるように。自分勝手に果てないよう我慢する、という育の健気な言葉に歩は胸をうたれ、涙が出そうになっていた。ついさっき、早期過ぎる初体験を済ませたばかりだというのに、もう相手の女性を気遣おうとしている。悪戯っ子の中ではいつの間にか紳士が芽吹いていたらしい。将来、育のパートナーとなる女性は間違いなく幸せになれるだろうと確信した。同時に、自分がそうなってはならない立場であることに、心のどこかで[[rb:口惜 > くや]]しさを覚えていた。

「……はぁ、はぁ……歩……歩っ……!」

 グラインドの幅が大きくなり、育は大胆に腰を使ってセックスに励んでいる。ソプラノボイスはじっとりと湿り、吐く息の湿気は目に見えそうな程に濃厚だった。達しそうになるのを言葉通りにこらえているのか、時折目いっぱいに腰を押し込んだ所で、腰を止めて休憩している。じっとしているだけでも歩は心地良さに酔い痴れていられたが、次第に皮膚のぶつかる音が立つようになると、真が見ているのも忘れて、はしたない声をあげてしまった。

「あっ……はぁ……育様、短時間で、ぐんぐん上達なさって……んんっ……! とても、気持ちいいですよ……」
「そ……そっか……よかった。僕もすごく気持ちよくて……。いっぱい動いたら出ちゃいそうなのに、腰が止まらないよ……」

 ぱん、ぱん、ぱん。天蓋の内側に卑猥な音が響く。膣を擦られる歩が絶え間なく蜜を吐き、淫らな水音が歩にもたらされる快感を増大させていく。敬愛する主の男性自身は体格の通り発展途上だったが、突きこまれる度に歩の感じやすいポイントを的確にえぐってくる。緩く薄かった快感は次第に色濃くなっていく。力を抜いて育が動きやすいようにしてやる余裕も無くなってきて、本能的に膣が異物をぎゅうぎゅうと締め上げてしまう。

「育様……」

 女を悦ばせようと懸命になる育の頬へ手を伸ばす。腰を振りながら、困ったような顔で目を潤ませている。彼の身を襲う性感の強さは、膣内でびくんびくんと暴れ回るペニスが物語っていた。そのペニスが跳ねる度に、天井をぐいぐいと押されて蕩けるような快楽が背筋を駆け抜け、歩の喉からも甘く艶やかな喘ぎ声が漏れた。

「歩……僕、もう……」
「ええ……無理に我慢せず、解き放ってください」

 挿入された瞬間よりも、一回り大きく陰茎が膨らんでいた。ぎちぎちっと硬直して、今にも熱いものが噴き出しそうになっている。その太さと硬さに責められ続けて、蓄積した快感が歩からもあふれ出しそうになっていた。

「うん……じゃ、じゃあ……出しちゃう、ね……」

 追い込みをかけるように育がペースを上げる。ぷく……と亀頭が膨らみだした。

「んぁ……で、出ちゃ……んんんっ……!」

 育が腰を振れなくなった。それにも関わらずぶるぶると尻を痙攣させて、オーガズムを迎えた男性器が精液を排出する。避妊具を隔てていても、熱さが伝わってくる。

「あうっ……い、育様、私も……イく……っ!」

 どぷっと精液を噴き上げると同時に何度もペニスが持ち上がり、弱点になっているスポットを強く圧迫する。歩の悦楽も遂に閾値を超えた。体の浮き上がるような感覚と共に意識が大波に揺られ、視界が白んでいく。知覚が薄れていく中で、小さな紳士の性器はまだ射精を続けていた。

 二人との性交を完遂した育だったが、体力の消耗が激しく、二人が服を着直した後も緩慢としたままだった。浴室までは歩が背負っていく必要があった。真が持ってきたパジャマに着替えるのも自力ではままならず、今よりもっと幼かった頃のように手伝ってもらう始末だった。

「……お前達、今日のことは、三人の内だけの秘密だからな。僕も、誰にも言わないから」
「承知しております」

 先程まで三人で淫らな行為に及んでいた現場で、育は掛け布団をかぶろうとしている所だった。育が普段眠りにつくよりも早い時間だったが、寝不足の朝のようにまぶたがトロンとしている。主が眠るのを見届けたら、数時間放り出したままになっていた雑務を済ませなければならない。真も歩も、眠りにつけるのは深夜になりそうだった。

「一つ、今日を境に決めたことがあるんだ」
「どんなことですか?」
「僕が……」

 睡魔に抗う育が、目元にキッと気合を込めた。

「僕が当主になったら、お前達二人とケッコンする」
「……え? ええっ! ボ、ボク達二人とですか!?」
「それはなりません、育様! この領地の属する国において一夫多妻は固く禁じられております。それに貴方様には許嫁が……!」

 そんなことは分かっている、と言わんばかりに、育は二人の使用人に向けて溜息をついた。

「そこは守るよ。でも、どうにかしたいんだ。ちゃんとケッコンすることはできないかもしれないけど、お前達とは、特別な関係でいたいんだ……ずっと」

 育が視線を落とした。部屋全体の照明は消されており、ベッドランプの穏やかな灯が、白い肌を照らしている。

「……今は、それだけ。……お願いだからさ、勝手にいなくなったりするなよ。僕が言えたことじゃないけど」

 そこまで言うと、育は返事を待つこともなく――あるいはネガティブな返事を耳にしたくなかったのか――厚い布団の中に顔ごと沈んでしまった。求婚ともいえる主の言葉をどう受け止めていいか分からず顔を見合わせる二人が何を言うべきか迷っている内に、育は規則正しい寝息を立て始めてしまった。

「『二人と』なんて、育様も欲張りだね」

 部屋を後にする前に、真がそういって苦笑した。

 現当主がある一家から譲り受けた不思議な樹木が、今年も薄ピンクの花を咲かせた。満開になってから散ってしまうまでは一週間ほどしかない。散った花弁がそこかしこに散らかるため、庭掃除が大変になってしまう時期でもあるが、庭園で最も目立つ春がそこにあった。

 その日の歩は朝からそわそわしていた。定期的に届く手紙によれば、今日、学校の寄宿舎から長期休暇で育が屋敷に戻るとされている。幼き日々から見守り続けてきた主がどのように成長しているのか、一刻でも早く目にしたかった。自覚せざるをえないほどに大きくなった、恋慕とも親愛ともつかぬ情熱が身を焦がしそうにもなっていた。今日は朝から眼帯も着けていなかった。

 訪問客の見送りを終えて屋敷へ戻る途中、テンポの速い足音が近寄ってくるのが聞こえた。振り向くと、記憶にあるよりも高い位置に、見慣れた顔つきがある。よく知った黒い髪が風になびいていた。

「後ろから脅かしてやろうと思ったのに、気づかれちゃったね」
「育様……! お帰りなさいませ」

 恭しく礼をしながら、歩の鼓動は急激に高鳴っていた。

「背が高くなられましたね。見違えるようです」
「うーん……僕の方が高くなったかと思ったけど……まだ少し、歩の方が大きいね」

 自分を見上げるばかりだった双眸は、今や水平に自分を見据えている。線の細さは相変わらずだったが、骨格が女性のそれとは違っているのが一目で分かった。

 それから育は近くにあったテーブルに腰を下ろし、茶を出そうとする歩も、ただその場に腰かけるよう促された。仕事の手を休めることになってしまったが、大事な主の話し相手になるのならば、話は別だった。そうしてしばらく話した後、育は屋敷に戻る前に歩を手招きした。

「いかがされましたか」
「歩……今晩、僕の部屋に来てくれないか」

 育は声を潜めていた。平静を装っているように見えるが、頬が赤くなっている。

「! ……ええ、何なりと。真にも声をかけておきます」
「……今日は、歩と二人っきりがいいんだ。真とは……二日後に約束してるから」
「かっ……畏まりました」
「じゃあ……」

 互いの匂いが感じ取れる距離を、育が更に詰めようとした。顔を近づけて唇を重ねようとしてきたが、歩はその唇に指を当てて制止した。

「なりません。ここでは人目がありますゆえ」
「ダメなの? 真はさせてくれたのに……」
「……今は、これでご辛抱下さい」

 そよ風に吹かれた黒髪が、歩の頬をくすぐった。

 顔が離れたとき、ほんの一瞬の間にされたことを悟った育が、自分の頬に手を当てた。

「今晩、お部屋で続きをいたしましょう」
「……わ、分かった。じゃあ……後でね!」

 照れ笑いを隠すこともできないまま、育は背を向けて屋敷の玄関口へと駆けていった。その後ろ姿を見送りながら、歩はハンカチを取り出し、こめかみから頬に垂れてきた汗を拭った。

 樹木の花弁が風に吹かれて、拭いたばかりの頬にぴたっと張り付いた。



 終わり

おねショタは良いですなぁ
乙です

真役 菊地真(17) Da/Pr
http://i.imgur.com/bfjwEZG.png
http://i.imgur.com/KUDJifv.png

歩役 舞浜歩(19) Da/Fa
http://i.imgur.com/NTzByiq.png
http://i.imgur.com/PjJi0hT.png

育役 中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/cQxHyPQ.jpg
http://i.imgur.com/rLYSrUr.png

以上になります。これアイマスなのか……?と自分でも疑問を感じていますが、ここまでお読み頂きまして誠にありがとうございます。

イラストの雰囲気から、近世イギリスの上流階級の方々の暮らしと絡めた世界観がマッチするかな……?と想像しつつも、人物名がガッツリ日本名だったので開き直って架空も架空にしました。ガシャ期間終わるまでに間に合ってよかった。
書けるわけないだろ!と思っていた育さんエロも(変化球とはいえ)書けてしまったので、できないとか無理とか言ってられないな、と感じています。

ご指摘ご感想など頂けると幸いです。4月上旬は何もできなさそうなので、次に何かを書くにはしばらく後になりそうです。

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 04:11:55   ID: S:1t4Gg2

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