【はいふり】亡国のブルーマーメイド (65)

始める前にアンケート

1明乃たちの磯風がホ・ヨンファたちに乗っ取られる(主人公は明乃と。明乃以外のキャラはほぼでなくなる)

2ましろたちが磯風の乗員であり、明乃の仇を取るためにホ・ヨンファを受け入れる。(明乃は名前のみ。他のキャラも出てくる)

※どっちを選んでもましろたちは海洋学校を卒業して、一般のブルマーの仕事についている設定。
※このSSでは対艦噴進弾、対空防御噴進弾が開発されている設定。

下5までで多かった方を採用

分からないことがあったら聞いて

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1614587696

どうせエタる

>>2エタらせないのでご安心を。

安価は最初だけなんだけどね…書き方が悪かったな…
すまん

申し訳ないけど7時30までこんかったら勝手に自分で決めるので

締め切りました

2で行きます。

これ以降安価はありません。

『「イージス」ギリシャ神話の無敵の盾の名を持つイージス艦こそ専守防衛を掲げるブルーマーメイドの最も具体的な形でさえある。しかし、あえて言おう。国家としての在りようを失い、語るべき未来も見えないこの国を守る盾に、何の意味があるのだろうか。
現状のままでは守るに値する国家を失った「亡国の盾」でしかない。この国の未来を背負う無垢なる命たちに、今、我々は何を手渡し、何を託すことができるのだろうか。この日本という国を彼らの受け継ぐに値する国にするために、我々は何をなすべきであろうか』






一台のスキッパーが高速で航行中に転覆する。操縦者は強く海面に叩かれると意識を失い、海の底に沈んでいく。後ろを追っていたものは慌てて飛び込むみ沈んだものを助けるも、海面に強く体を打ち付けたことにより、死亡していた。




海上安全整備局庁舎の一室

モニター「グソーは我々の制御下にある。そちらが奪還の挙に出た場合、我々は直ちにそれを開放する」

真霜「音声上げて」

モニター「我々の行動は祖国の意思とは全くもって無関係であることを宣言しておく。なお、我々の覚悟を知らしめるため、彼はこの場でグソーにて自決する」

モニターの中の男が煙草を吸うと、倒れて動かなくなった。

真霜「……」

真冬「レコーダーの声は『ホ・ヨンファ』だ」

真霜「辺野古基地は何をやっていたんだ!」

真霜は机を叩いた。

ブルーマーメイド横須賀基地係留中のいそかぜ船内

天草「おお、津田か。まだ起きていたのか」

天草「いや、用ってわけじゃないんだがどうしているかなと思ってな……」

天草「最近調子はどうだ?」

天草「……いや、すまん。それは機密にかかわるから言えないんだ」

艦内の電話が鳴る

天草「すまん。またかける」

天草は電話を切ると艦内の電話を取る

天草「はい。こちらCPO……」

天草「え……」

天草は電話を置くと自室に戻り、私服に着替える。

同室で親友の七条が声をかける

七条「シノちゃんどうしたの?」

天草「萩村だよ萩村!」

七条「萩村?」

天草「暴力事件だってさ」

天草は部屋をでて、警察に言われたところに向かった。

警官A「はい、とりあえず気をつけ!」

若者たちはしぶしぶ立ち上がる。

一人が「先任伍長」とつぶやくと、一気に姿勢が良くなる。

天草は自転車を降りると並んでいる若者に近づく

天草「お前たち!なにをしているんだ!」

警官A[あんさん誰よ?」

間に入る警察官に頭を下げると名刺を渡す。

天草「大変申し訳ございません。駆逐艦『いそかぜ』の天草です」

警官A「ちょうどいまr……」

天草は言葉を遮り言う。

天草「どうしてこんなことになった!」

萩村「如月の歓迎会をしていたら……その…絡まれました。申し訳ございません。以後気を付けます」

若者たちは一斉に頭を下げる

天草は聞きなれない名前に首をかしげる

警官A「あのそっそい姉ちゃん」

警官が指をさす

警官A「一人で全部あれ、やってもうたらしいわ」

警官が指をさす。底には顔から血を流しながらノビテいる6人の男性がいた。

警官B「で、このナイフ誰のや」

警官B「これはあかんわお前ら」

もう一人の警官がノビテいる男たちに尋ねる。

警官A「訓練の賜物ちゅうやつか」

警官はあきれ気味に言う

警官A「さぁ、警察行こか」

天草はそれを止めようとする

天草「久しぶりの陸で浮かれたようです。ここは何とか穏便にできないでしょうか……」

警官A「いや、ケガもさせてるしな」

天草「それは、我々でキチンと致します」

警官A「いや、一晩か二晩で帰れるよ」

警官は振り向き、萩村の腕をつかむ

天草は警官の前に立ちふさがると土下座をする

天草「申し訳ございませんでした!」

警官A「そういわれてものぉ……」

警官は沈黙する。

いそかぜCPO

萩村「失礼します!」

先ほどの6人が駆け足で入ってくる。

天草の前に整列すると、そこに七条がコーヒーを片手にやってくる。

七条「上陸差し止め1か月ってとこですかね、先任伍長殿」

萩村「1か月……」

七条は天草にコーヒーを手渡すと隣に座る。

天草「萩村……」

萩村「はい」

天草「昇任試験は見送りだな……」

萩村「以後、気を付けます!ですからそれだけは……!」

天草「魚見!お前、この中で一番最年長だろ。どうして止めなかった……」

魚見「相手が、私の胸を触ってきたものですから……」

天草「主犯はお前か……」

魚見「申し訳ございませんでした!」

天草「……訓練終了まで交代で甲板掃除!いいな」

6人「はい!」

6人は頭を下げる

天草「もう言っていいぞ」

5人「失礼します」

如月以外の5人は退室する

天草「なんだ?」

如月「いつも…土下座しているんでしょうか」

天草は答えを濁す

七条「聞いていいことと悪いことがあるよ!」

七条は如月の胸倉を掴む

天草「消灯だ。寝ろ……」

七条はゆっくりと手を放す

如月は静かに頭を下げ、退室する

七条は机に置いてあった天草の携帯電話を取る

七条「また掛けたの?ラブラブだね」

天草「おい、」///

七条「津田君元気だった?」

天草「アリアには教えない!」プン

翌日

いそかぜに海上安全整備局海洋安全委員会からの調査隊(FTG)の隊員が乗り込む


天草「このいそかぜに男性が乗り込むのはあまりしっくりこないな」

七条「そうだねー」

二人は見張り台で話す


艦橋

もえか「航海長操艦。両舷前進減速、赤黒なし。進路、210度」

リン「航海長いただきます。両舷前進減速、赤黒なし。進路、210度本艦との対水上戦闘教育訓練に向け、『晴風』はすでに待機中」


もえかとましろは艦橋の外に出る

もえか「やっぱり艦橋はいい。CICは画期的なシステムだとは思うが息が詰まる」

ましろ「同感です」

もえか「それにしても、今回の人事、よく通ったね」

ましろ「いや、宗谷の名を出してブルマーで動かない者はいませんよ」

もえか「でもそれはあなたの家を汚すことにならない?」

ましろ「そうしてでも守りたいものですから…」

もえか「そうだね……」

もえか「まだ引き返せるよ……」

ましろ「ここまで来たんです。後悔はありません。……私だって悔しかったんですから……」

もえか「ありがとう……」

いそかぜCIC

幸子と志摩、芽依が訓練の打ち合わせをしている

幸子「16:30、合戦訓練準備、16:35、教育対戦戦闘への移行……」

水雷士「船務長」

水雷士が報告を上げに来る

水雷士「昨日、うちの連中が騒ぎを起こしたそうです」

幸子「それで?」

水雷士「専任伍長が納めて、報告も上がってきません」

幸子「曹士官のことは先任伍長に一任してありますからだいじょうぶです」

水雷士「はっ。失礼します」

幸子たちは打ち合わせに戻る


艦長室

ノックがある

ましろ「副長入ります」

もえか「どうぞ」

ましろは扉を開け、一礼し、脇に帽子を挟む

ましろに続き、FTGの2人が入ってくる

ましろ「準備は整いました。いつでも実行できます」

もえか「実行時期はあなたに一任します」

ましろ「はっ」

FTGの男「貴官らの決意に感謝する」

海上安全整備局庁舎の一室

職員A「内閣情報官が」

真霜「ありがとう」

真冬「こんなところまで、どうされたんです?」

瀬戸「あれから1週間だ。ダイスは何を企んでいる……」

真霜「話せるときが来たら話します」

瀬戸「一々あげてもらわないとな」

真霜たちは一瞥すると席に戻る

瀬戸「聞くところによると、いそかぜの副長は君たちの妹だそうじゃないか」

真冬「あいつはもう妹でもありません……」

真霜「もう宗谷家の人間ですらないのですから……」

二人はどこか悲しそうな顔を浮かべる。

Side いそかぜ

放送「本艦は0530まで当海域にて漂白する」

天草「おお、三葉。トメばあさん元気か?」

三葉「クメです」

天草「すまんすまん」

天草「ちゃんと電話しとけよ。たまには。一人なんだろ?」

三葉「ありがとうございます」

天草は三葉に別れを告げると、前部甲板に出る

天草はVLSに腰かけるとパレットを開き、絵具を出す

そして、スケッチブックに今見えている海を描く

天草「うーん。どうも色合いが違う」

うしろでコトンと音がする

天草が振り返ると、そこには如月が甲板掃除するためのバケツを運んでいた。

如月「……」

天草「似合わないか……」

如月「いえ……」

天草「でもな、何も考えずにいられるんだよ」

天草は絵具をいじる

天草「毎日見ているのにな……納得する色が出せないんだ……」

如月「朱色……」

天草「え?」

如月「赤が足りないのではないでしょうか」

天草「君、絵をやるの?」

如月「いえ……」

如月は甲板掃除に戻る

天草は赤色を足してみる

天草「そうだよ、この色だよ」

天草「ねぇ、ちょっと描いてみてよ」

如月「……」

天草「命令だ!……ケンカの後始末は誰がしたんんだっけか?」

如月は天草から筆を受け取るとじっと海を見つめる

如月「……」

如月はスケッチブックに描く

如月「…筆……」

天草「え?」

如月「筆が悪いのではないでしょうか?」

天草「駆逐艦に乗っている場合じゃないぞこれ……」

天草は如月の絵の上手さに驚く

如月「他に行く所ありませんから」

天草「私もだ。私もここしかない」

二人はそれぞれ自分のやることに戻った。

翌 

艦内の一室

放送「総員起こし!」

一斉にベットのカーテンが開き、隊員たちが起きる

萩村「あ、選任伍長!」

萩村が魚見のベットの前でささやくと魚見が飛び起きる

萩村「また作業着のまま寝ていたんですか?」

魚見「ばか、朝の1分は貴重なの」

隊員たちは次々に作業着に着替え、持ち場に着く

隊員A「先輩、おはようございます」

如月「おはよう」



CPO

七条「おはよう」

天草「ああ、おはよう」

森「おいおい、どうなってんだよFTGのヤツら」

天草「森、FTGがどうかしたのか?」

森「倉庫に見張りが立っているんですよ」

天草「見張り?」

森「大体何で訓練に14人も乗り込むんだ?」

五十嵐「それだけ今回の訓練は厳しく審査するってことじゃないんですか?」

森「そうですかね……」

森は納得いかない様子で席に着く

天草は自席に置いてあった封筒を取り上げると蛍光灯で中を透かす

畑「ああ、それ、さっき如月が置いていきましたよー」

天草「如月?」

中身は筆であった。

そのころ、艦長室では

???「やはり……間違いない」

???は艦長室を出ると周りを見渡す

???「誰にも見られていない」

???が歩く後ろを三葉は見つける

三葉(如月……)


そのころ、甲板では、何者かによって浮き輪が投げられ、一人の女性工作員が乗艦した。

そして、いそかぜの後をつけるかのように潜航する伊201

数時間後

魚雷訓練後、模擬魚雷回収前

三葉「あの!」

天草「どうした三葉?」

三葉「ちょっと如月のことで……」

FTGの男「おい、何をしている!さっさと持ち場に着かんか!」

三葉「は、はい」

天草「また後で聞く」



まゆみ「模擬魚雷、揚収始め!」

笛の音に合わせて、如月、三葉が魚雷を手繰り寄せる

いくら上からワイヤーでつるしているとはいえ、女性にはキツイ仕事である。

まゆみ「慎重に……」

天草はいつもは聞きなれない音に違和感を覚え、つるし上げているワイヤーを見上げる。

ワイヤーは切れる寸前であった

天草「逃げろ!」

切れたワイヤーは魚雷を真下に落とす

回収するために集まった乗組員たちはとっさに壁際に逃げる

しかし、回収していた三葉は落ちてきた魚雷の下敷きになる。

三葉からは血が流れ、誰もが危険な状態とわかる状態であった。

天草「三葉聞こえるか!?」

天草「三葉!!三葉!!」

乗員たちに嫌な空気が流れる

海上安全整備局庁舎の一室

平賀「いそかぜの現在地、33度44分ノース、137度07分イースト」

真霜「……」

真冬「……」


いそかぜ

遺体安置室

天草は遺体を保管する袋に入った三葉を見て、涙する

天草「おい……クメばあさんに何て言えばいいんだよ……」

放送「達する。これより本艦は第3哨戒配備を維持しつつ、訓練予定海域の東京湾沖に向かう。『晴風』との対水上戦闘訓練は予定どおり明日
日没をもって開始される。引き続き、見張りを厳となせ」

艦内に不満の空気が流れる

魚見「三葉が死んだってのになんで……」

萩村「訓練なんかしている場合じゃないでしょう……」


幹部区域

天草(納得がいかない!)

天草は艦長室を開けようとする

果代子「どうしたの?」

姫路が止める

天草「どうして訓練の続行にこだわるんですか!?入港するのが先でしょう!」

理都子「重要な訓練なんだ。変更することはできない……」

天草「人が死んでいるんですよ!?」

天草は取り乱す

天草「三葉の遺体を肉や魚と同じ冷凍庫に入れろと言うんですか!?」

天草「艦長とお話しします!」

天草が扉に手をかけようとする

すると艦長室の扉が開く

ましろ「姫路さん、もういいよ」

2人は下がる。

ましろは天草に詰め寄る

ましろ「事実を知ることは、その重さを我々と共有することだが……覚悟はあるか?」

天草「私には先任伍長として、この艦の出来事を全て知る義務があります」

ましろ「入れ……」

通された幹部会議室にはもえかとFTGの2人がいた

ましろ「山崎大尉が説明する」

山崎「天草曹長。我々はFTGなどではありません。溝口少佐以全員、ダイスという部署の者です」

天草「ダイス?」

溝口「先任伍長」

溝口が座るように促す

天草「いえ、話を」

溝口「続けて」

山崎「艦内に潜入した特殊工作員を監視し、その計画を未然に防ぐ。そのために我々は乗り込んだのです」

天草「特殊工作員!?この艦の乗員の中にですか!?」

もえか、溝口、山崎、ましろ「………」

天草「誰だかわかっているんですか!?」

山崎「出港間際に急遽発令を受け、乗艦したものがいるはずです」

天草「まさか……」

山崎「如月薫は、ある物を艦内に持ち込んでいます」

天草「何を……?」

山崎「ブルーマーメイドが秘密裏に開発した化学兵器、『グソー』です」

天草「グソー?」

山崎「僅か1リットルで東京は壊滅します」

山崎「昨年の嘉手納基地から辺野古基地への輸送中に奪われました」

天草「あいつに……如月にそんなことができるはずがない!」

山崎「当然、首謀者がいます……」

天草「誰なんです」

山崎「対日工作の指導官だったホ・ヨンファと呼ばれるものです。彼女は少女時代、拘束され、工作員教育を受けました」

山崎「現在ヨンファらは潜水艇で接近し、如月の行動開始と共にこの艦を占拠する計画です。『グソー』の奪還とヨンファの高速を果たすには寄港はできない。……お分かりですか?」

天草「……わかりません。あなた方の…任務がどうあれ、三葉をこのままにはできません」

もえか「先任伍長、三葉の死は事故ではないのだ……」

ましろ「三葉2士だけではない。既に一人のブルーマーメイド隊員が殺されている。その隊員が自身のSNSに乗せた論文だ」

ましろは印刷された論文を手渡す

溝口「ヨンファはこれに目を付けたのです」

天草は受け取ると中を見る

溝口「すべてはそこから始まっている……」


『私は現在、ブルーマーメイドの艦艇を指揮するための訓練を受けている。来年には1艦隊の司令官の職を拝命するが、これまでブルーマーメイドとして働いてなお、国を守ることの本質がわからぬ愚か者である。この国の、国防システムの矛盾をないがしろにし、口を閉ざしてきたことに失望を隠せずにいる。「真の国力」とは国家資産や経済力、軍事力ではなく、その国が培った普遍的な価値観、歴史、文化である。にもかかわらず、我々日本人は日本とは何か、日本人としてなにを誇るのかという問いすら忘れ、「恥」という唯一のイデオロギーも捨て去り、世界に主張できる価値観を失くしてしまった。この国は、国家としての在りようを完全に失っている。日本はもはや、「亡国」と化したのだろうか』

溝口「『国は違っても祖国を憂う気持ちは同じだ』そう言ってヨンファは彼女に近づいたのだろう。一人の日本人として、世界に恥じることなく生きたい。そんな日本人の志に応えたのは皮肉なことに同じ日本人では無かった」

溝口「我々は隊員の監視に入った。だがヨンファに気づかれ、事故に見せかけ、彼女は殺害された。そして、当のヨンファも姿を消した……」

その時、ズドンという爆発音と共に艦が大きく揺れる

天草は艦長室を飛び出した

放送「機関室付近に浸水!」

天草は艦内を走り、浸水部と思われる所に行く

天草は機関室の前で叫ぶ

天草「機関室に浸水させるな!」

天草はは大量の海水が流れ込んできていた第2室に駆け込む

放送「第2室付近浸水!浸水警報」

天草「お前ら!早く来い!」

天草は全員退避したことを確認すると、水密扉を閉める

振り返ると、機関室から乗員が飛び出してくる

天草「どうした?」

乗員B「如月です!銃で、銃で狙われました!」

天草「銃?」

天草が扉を開けようとすると、抑えられる

乗員C「だめです!扉に爆薬が!」

天草「爆薬!?」

乗員C「はい!」

そこに機関長の柳原と黒木がやってくる

マロン「なんでぇなんでぇ!?」

黒木「なにがあったの!?」

黒木と柳原が扉に耳を当てる

そこにもえからがやってくる

もえか「なにがあった?」

マロン「10分以内に機関を停止させ、総員離艦させろ」

黒木「さもなくば艦を沈めるそうです」

天草は体が勝手に動いた

天草「失礼します!」

芽依「どこに行く」

天草「点検用にハッチを増設した所があります。如月は知らないはずです」

山崎「どこですか!?」

天草「あなた方の顔を見た途端、彼女は起爆させるかもしれない。私ならそんなことはない」

天草はもえかの方を見る

天草「如月はまだ私の部下です」



本日はこれにて終了。おやすみなさい

再開

もえか「溝口少佐」

溝口「……」

溝口「ハイ……」

天草は駆け出そうとする。

山崎「銃を」

山崎が銃を差し出す

天草は銃を受け取らず、ハッチへ向かう

天草がいなくなると溝口がFTGを招集する。



機関室

天草は慎重にタラップを降りていく

天草(これは……)

天草は至る所に張り巡らされた爆弾を見て絶句する

如月が天の存在に気づき、威嚇射撃をする

如月「戻れ!」

天草「如月!私だ!天草だ!」

如月は天草に銃を構える

如月「戻れ!爆破するぞ」

天草はタラップを飛び降りる

天草「待て!」

如月「もう要求は伝えたはずだ!」

天草「なんなんだこれは!」

如月「あんたには関係無い!」

天草「関係あるんだ!」

天草は立ち上がる

天草「そんなもん降ろして、全部はずせ!」

如月「……」

天草「そうか。わかった。なら私がやる

天草は爆弾に向かう

如月「やめろ!」

天草を投げ飛ばす

天草「お前は自分が何をやっているのか分かっているのか!?」

如月「うるさい。任務だ!」

天草「そうか!」

天草は近くにあったバックを持ち上げる

天草「これが任務か!?」

如月「触るな!」

天草は中にあった機械を取り出すと壁にたたきつける

如月「やめろ!」

機械は木端微塵になる

如月は木端微塵になった機械を拾い上げる

如月「なんてことをしてくれたんだ!」

如月は天草にとびかかる。

天草「クソッ!」

天草は如月の手を掴むと必死に銃口をそらす。そして、銃を奪い取る

天草は如月に銃を向ける

天草「なんで私がお前に銃を向けなければいけないんだ!」

天草「なんでこんなことをしたんだ!」

天草「ヨンファとの関係は何なんだ!」

如月「私はヨンファとは関係ない!」

天草「関係ない……」

天草「なら三葉はどうなんだ!?」

如月「三葉は私の身代わりだ」

天草「もうやめろ……」

天草「もうあきらめて投降しろ!」

天草「FTGの連中はお前を追うダイスの人間だ!」

如月「あいつらはダイスの人間じゃない!」

天草「如月!」

如月「まだ分からないのか!?」

如月「溝口がホ・ヨンファなんだ!」

如月「知名艦長も!宗谷副長も!幹部連中もみんな仲間だ!」

如月「不自然だとは思わないのか!?今回の幹部総入れ替えは!?」

天草は驚愕し、銃を徐々に降ろしていく

天草「そんな……そんなことが……信じられるか!」

天草は扉に向かう

如月「今その扉を開けたらグソーが東京に放たれるぞ!」

天草は振り向く

如月「私はダイスの二等保安海曹だ」

如月「知名たちの動向を監視し、兆候があれば未然に防ぐ。その為に潜入した」

天草「…………」

天草「なら聞くが……お前はそのためなら仲間を犠牲にしてでもこの艦を沈めることができるのか!?」

如月「それが私の任務だ……だからここに居る……」

天草「…そうか……」

天草「私はこの艦と乗員たちを守る。それが私の任務だ……だからここに居る」

天草は如月に銃を向けたまま、扉に設置された爆弾の導火線を外す

機関室の外

拳銃を所持したFTGの隊員が突撃準備をする

溝口「酒井少尉、そのハッチを……」

酒井「はい……」


天草が導火線を外し終える

天草「ならあれは?あの筆は……何だったんだ」

如月「必要なくなった」

天草「そうか……」

天草はロックは解除する

一気にFTGの隊員が流れ込んでくる。

天草は倒れる

如月「逃げろ!」

如月は機関室の奥に走ろうとするが、取り押さえられる

天草も同様に取り押さえられる

天草は野間に引きずり出される

マチコ「出ろ!」

天草「如月!」

天草は如月が自分に何かを求めているような気がして手を伸ばすが、ハッチが閉められる

天草「待ってくれ!」

野間を振りほどく

もえか「先任伍長、指揮官として、最後の命令を伝える」

もえか「わが『いそかぜ』は某国工作員の手により艦底部破損。沈没の危険がある。先任伍長以下すべての乗組員はただちに離艦。洋上にて救難を待て!」

天草「何言っているんですか!?艦長!」

天草はもえかに詰め寄ろうとするも、不審な女性に首を掴まれ、倒れこむ

天草「ゴホッゴホッ!」

天草(如月の言っていたことは本当だった!?)

溝口が天草に近寄る

溝口「死にたくなかったら離艦しろ」

天草「………!!」

士官寝室

放送「総員離艦用意!実際!総員離艦用意!実際!」

萩村「マジ……」

魚見「……」

乗員は着替え、甲板に出る


甲板

三葉の遺体が運ばれ、救命ボートに乗せられる。乗員は次々に海に飛び込み、救難艇に乗る。中には泣いている乗員もいる

天草はふと上を見上げる。

小銃を構えた工作員たちが自分を狙っている。

天草はしぶしぶ飛び込み、救難艇に乗る

ヨンファ「さすがは日本人。素直な民族だ……」

山下「もういいだでしょう……」

甲板にいた幹部乗組員たちは艦内に入っていく

天草「……」

森「なんで幹部たちは乗らないんだ!?」

畑「おかしいだろ!?」

七条「シノちゃん……」

萩村たちが声をかき消すように騒ぐ

萩村「おい!如月!」

魚見「如月はどこ!?」

如月と同室であった轟が海に飛び込み、探そうとするのを飯田が止める

天草「……」

天草は筆を取り、見つめる

萩村「如月!」

天草「……」

天草は救命胴衣を脱ぎ、三葉に合掌をすると七条に

「みんなを頼む」

といい、携帯用の酸素ボンベを取り出す

七条「シノちゃん?」

乗員D「先任伍長!?」

七条「シノちゃん何するの!?」

天草「忘れ物だ……」

天草は海に飛び込む

七条「シノちゃん!?シノちゃん!?」

乗員D「先任伍長!?」


天草はボンベで酸素を吸いながら、破壊された艦底部に侵入し、ハッチを上げ、艦内に侵入する



海上安全整備局庁舎の一室

平賀「いそかぜ、進行を再開、まっすぐ東京湾に向かってきます」

真霜「ヨンファはいそかぜにいる」

真冬「グソーもね……」

平賀「如月からは?」

福内「通信機、応答なし……」

いそかぜCIC

芽依「晴風、リンク17復旧。現在晴風を敵艦として認識できない」

志摩「うい……」

通信が入る

慧「晴風からです」

宇田はもえかに電話を渡す

ましろ「全艦放送に切り替えろ」

もえかは受け取る

慧「どうぞ……」

横島『こちら晴風艦長の横島です。貴艦への停船命令が入っています……』

もえか「残念ながら本艦は現在、ブルーマーメイド艦隊とは別の意思従って行動している」

横島『知名艦長、どういう事でしょうか?』

もえか「言葉の通りだ……」

横島『何を言っているんですか知名艦長!命令に従えないのなら、我々はブルーマーメイドにあなた方を引き渡さなければいけません!』

もえか「学生艦はこちらが攻撃を加えない限り、機銃弾一発すら撃つことができない!」

横島『……』

もえか「撤退か先制攻撃、選択はそのどちらかしかない!」

横島『撤退するつもりも、先制攻撃を仕掛けるつもりm……』

もえかは電話を切る

もえか「本当に良かったんだね……?」

ましろ「晴風を沈めるのは悲しいですが……それが我々の意思です……」

もえかとましろは鍵を差し込む

もえか、ましろ「リンク17解除!」

もえか「対水上戦闘用意!」


Side 晴風

横島「知名艦長は本気だ……」

時「艦長、どうしますか!?」

副長の時が尋ねる

横島「ブルマー本体に連絡を!」

横島「それから対空防御噴進弾の準備!」

艦橋メンバー「ハイ!」

晴風の艦内があわただしくなる

中里「対空戦闘用意!これは演習ではない!繰り返す!これは演習ではない!」

砲雷長の中里が全艦に達する

Side いそかぜ

ましろ「水上戦闘用意!」

ましろが全艦に達する

ましろ「水上戦闘、対艦噴進弾攻撃始め。目標晴風、発射弾数2発!」

志摩と芽依が復唱する

芽依、志摩「目標晴風、発射弾数2発!」

美千留「目標位置、33度13分ノース、138度41分イースト」

武田が目標位置を入力する

光「対艦噴進弾、発射用意よし!」

小笠原が報告する

ましろ「対艦噴進弾発射始め!」

志摩「1番発射用意……てぇ!」

日置が発射ボタンを押すのと同時に、対艦噴進弾が発射される



艦内に侵入した天草は発射の音を聞く

天草「対艦噴進弾か!?」

天草「まずいな……」


対艦噴進弾は低空飛行を始める


Side 晴風

電探室の柳本が伝声管に向かて叫ぶ

柳本「いそかぜから小型目標分離!高速で本艦に近づく!対艦噴進弾が発射された模様!」

中里「いそかぜから本艦に向けて対艦噴進弾が発射された!見張り員は対空警戒を厳となせ!」

中里が叫ぶ

柳本「目標、ロストコンタクト!」

報告が上がる

横島(私たちは何に巻き込まれているんだ!?)


いそかぜから2発目が発射される


出島「ESM探知!目標は対艦噴進弾で間違いなし!」

柳本「目標最短値!まっすぐ突っ込んできます!」

電探室から更に報告が上がる

古谷「艦長、いつでも撃てます!」

砲術長の古谷が対空防御噴進弾が撃てることを伝える

横島「撃っていいのか……」

時「撃たなければ我々がやられます!」

横島「……」

横島「対空防御噴進弾発射!」

中里「対空防御噴進弾発射用意!」

中里がランチャー管理員に伝える

大門「対空防御噴進弾発射用意よし!

中里「対空防御噴進弾発射!始め!」

中里が指示をするとランチャーが旋回し、対空防御噴進弾が2発発射される

発射された2発の対空防御噴進弾は対艦噴進弾に向け、飛んで行く

柳本「命中まであと5秒!3、2、1……今!」

対空防御噴進弾は対艦噴進弾に体当たりしようと高度をさらに下げるが、不運なことに対艦噴進弾はそこでホップアップする

出島「目標外れました!」

中里「近接防御火器!」

中里は近接防御火器の自動迎撃スイッチを押す

近接防御火器は稼働を始め、1発の対艦噴進弾を撃墜する

対艦噴進弾の中から銀紙が舞い散る

時「チャフか!?」

柳本「電探使用不能!!」

小山「近接防御火器停止!!」

伝声管から悲鳴にも近い報告が送られてくる

道下「もう1発目がきます!」

見張り員から報告が入る

横島は伝声管に向かって叫ぶ

横島「衝撃に備えろ!」

横島は対ショック姿勢を取る

対艦噴進弾は艦橋に直撃すると、大爆発を起こす。

晴風は炎に包まれながら船体が二つに断裂し、沈んでいく



ヨンファ「よく見ろ日本人……これが戦争だ……」

志摩「……」

芽依「……」

光「……」

万里小路「……」

順子「……」

武田「……」

松永「……」

姫路「……」

ましろ(……)

もえか「八木さん、隊司令に……」



横須賀 海上安全整備局庁舎前

1台の車から一人の男が下りてくる

真雪「海上安全整備局までわざわざ申し訳ございません」

瀬戸「関係者だけ集めました」

男「時間かかりそうか?今日中に選挙区に帰りたいんだが……」

男は真雪らに連れられ、中に入る


いそかぜ

鶫「つながりました」

八木はもえかに電話を渡す

もえか「発、いそかぜ艦長。宛、ブルーマーメイド艦隊司令官。本艦はすでにブルーマーメイド艦隊指揮下から離脱。0230までに政府との直通回路を準備せよ。現在、本艦の全噴進弾の照準は東京首都圏内に設定されている。弾頭は通常にあらず。繰り返す。弾頭は通常にあらず……」


Side 天草

放送を聞いた天草

天草「まさか……」

天草は最悪の事態を予測した。

天草「ヤバい……」

天草は早く浸水部から脱出しようとハッチの取っ手を動かすが、びくともしない

天草「開け!」



本日はこれでおしまい。寝ます。お休みなさい

海上安全整備局庁舎の一室

海上安全整備局局長「総理がお見えです」

その場にいた者が一斉に立ち上がり、礼をする

総理「なんで俺の時に……」

総理は席に着くと、説明を求める

真霜「会長、お願いします」

真雪「はい……」

真雪は立ち上がる

真雪「占拠されたこの駆逐艦は最新鋭の防御システムを搭載するイージス艦で、常時360度探査可能なレーダーとそれに連動する攻撃システムは数十の目標を探知し、同時攻撃が可能です。つまり、飛行船による空からの接近はほぼ不可能でしょう。ただ、潜水艦に対する防御力はその他の駆逐艦と同等です。ただし、浦賀水道の航路はただでさえ水深が浅いうえに、沈没した土地の一部が潮の満ち引きによってあらわになったりすると、潜水艦の航行は大きく制限されます」

総理「連中はそれも計算済みか……」

大臣A「要するに、手も足も出ないんだな」

総理「次は?」

局長「現在の気象データによると万が一グソーが千代田区に打ち込まれた場合、発生したガスによる被害は半径30キロに及びます」

モニターにシュミレーションの映像が映る

伊201からいそかぜの映像が入る

平賀「現在のいそかぜです」

モニターに映し出される

真雪「まるで見えない……」

総理「超高高度偵察飛行船は?」

局幹部「日の出を待てば可能ですが、受像圏内に入るにはあと数時間かかります」

総理「そんなことより、こんなことをした連中はどんな奴らか、ちゃんと説明しなさいよ!」

真冬「艦内には艦長知名もえか一等保安監督官以下幹部乗員29名がいます」

真霜「さらに訓練指導隊を称する14名が乗艦したことが判明しています。ブルーマーメイド及びホワイトドルフィン内に該当する者はいませんでいた」

大臣B「いったい何者なんですか?」

総理「それがホ・ヨンファだよ」

総理は真霜たちを見る

総理「これは君たちの予測通りか?」

真霜、真冬「……」

古庄「回線繋がりました!」

回線「こちらいそかぜ。我々の要求を伝える」

総理「内閣総理大臣の梶本です。知名艦長、あなたはブルマー隊員じゃないですか!速やかに武装を解除して、隊の指揮下に戻って欲しい」

回線「要求。ひとつ。ブルーマーメイド及びホワイトドルフィンが極秘開発したグソーの存在を明らかにし、それが沖縄で解放され、辺野古ディストラクションに繋がったことを全世界に公表すること」

回線「ひとつ。昨年12月29日夕刻、浦賀水上高速道厚木インター付近において、ブルーマーメイド隊員1名が海上安全整備局、通称『ダイス』なる秘密組織により、死に追いやられたことを公表すること」

回線「ひとつ。その隊員の論文『亡国のイージス』を主要5大新聞に全文掲載すること。最終期限は10時間後。それを以て要求が果たされなければ、特殊弾頭の噴進弾を東京に撃ち込む!」

梶本「知名艦長!あんた何を言っているか分かっているんですか!?」

回線「以上。この後は随時連絡する」

真冬「待て知名!宗谷だ!ましろを出せ!」

回線(ましろ)「なんだ……」

真冬「ましろ!なぜ無抵抗の晴風を沈めた!」

回線(ましろ)「撃たれる前に撃つ。それが常識だろう。宗谷真冬二等保安監督官。それができないブルーマーメイドに国を守る資格は無く、それを認められない日本に、国家を守る資格は無い!」

真冬「……」

真霜「晴風は!……ましろの思い出の艦でしょ……なんで……」

ましろからの返答は無かった。

>>31

訂正

誤 回線(ましろ)「撃たれる前に撃つ。それが常識だろう。宗谷真冬二等保安監督官。それができないブルーマーメイドに国を守る資格は無く、それを認められない日本に、国家を守る資格は無い!」

正  回線(ましろ)「撃たれる前に撃つ。それが常識だろう。宗谷真冬二等保安監督官。それができないブルーマーメイドに国を守る資格は無く、それを認められない日本に、国家を名のる資格は無い!」

Side 天草

天草「ちっ、歪んでしまっている……」

天草は周りを見渡す

天草「あれは……」

天草は主砲の弾を見つける

天草「これなら……」

天草は救命袋からドライバーを取り出し、主砲弾を解体する

そして懐中電灯の電球をコードにつなげる

天草をそれをハッチに固定する

天草はコードが濡れないように手を上にやり、大きく息を吸うと、浸水部に潜る。

コードとコードをつなげる



それと同時刻、海上安全整備局庁舎の一室

真霜「幹部乗員は艦長を除く全員、横須賀女子海洋学校直接教育艦『晴風』に乗艦していた者です」

副総理「なぜそんな人事が可能なんだ?」

真冬「……」

真霜「……」

防衛大臣「『いそかぜ』の副長……つまり君たちの妹が『宗谷』の人間だからじゃないのかね?」

真霜、真冬「……」

防衛大臣「知っていたんだろ!ダイスは兆候を察知していたわけだ!しかも身内の!」

防衛大臣「そういう隠蔽体質、身内をかばう体質が今回の事件を引き起こしたんじゃないのか!?」

真霜「警察と我々の仕事は違います。それに……」

真冬「……」

真霜「それに、ましろとは1年以上前に親族の縁を切っています……!」

防衛大臣「そうだとしても!ダイスではなく、本来の情報課がやるべき仕事だろう!」

真冬「……」

真霜「『いそかぜ』にはダイスの人間を潜入させています。伊201から制圧部隊を向かわせています」

真雪「いったい誰の指示で!なにも聞いていませんよ!」

梶本「もういい……。あっちからは何か?」

外務大臣「???」

梶本「ワシントンだよ」

外務大臣「………」

会議は数分の休憩に入った

瀬戸「読み違えたか、自分の妹を」

瀬戸「ヨンファの考えは?」

真冬「イージス艦の前では対艦噴進弾も飛行船も無力だ。グソーを持って祖国に帰り、人民と共に現政権を倒す。それが奴の目的だ。だから発射しない……」

瀬戸「言い切れるか?俺は言い切れないと思うよ……」

瀬戸は自販機でコーヒーを買うと、真冬に手渡し、去っていく

Side いそかぜ

艦橋

聡子「次回の変針予定は0720、SOA12ノットぞな」

リン「了解」

ヨンファが入ってくる

リン「あなたの国でもあの月は見えているんですか?」

ヨンファ「今日、何人の子供が死ぬと思う?」


CIC

工作員によって如月が連れてこられる。

CICの海図台にたたきつけられる

如月「うっ」

工作員「どうぞ」

もえかは電話を取る

もえか「こちら『いそかぜ』。要求の可否について、ご返答いただきたい」

梶浦『まだ結論には至っていません』

梶浦『だが知名艦長、日本政府がブルーマーメイド隊員を殺害した事実は断じてない』

梶浦『それと、ダイスなどという秘密組織も存在しない!』

ましろが電話を取る

ましろ「ならば、宗谷真霜一等保安監督官、宗谷真冬一等保安監督官はどう説明するのだ?」

梶浦『……』

もえかが再び電話を取る。

もえか「では、百歩譲ってダイスなどという組織が存在しないのであれば、我々の行動を妨害しようとした『如月薫』なる人物をどう処分しようと構わないな」

梶浦『その通りです。ご自由にどうぞ』

もえかは如月の方を向く

もえか「裏切られたようだな……」

如月「裏切り者はアンタだ……」

工作員が如月に銃を向ける

ましろ「CICが汚れる。外でやってくれ」

工作員が外に連れて行こうとしたとき、天草がコードとコードをつなげる

激しい揺れと共に通信が途絶える。

如月(今だ!)

如月は工作員がよろけた隙にCICから抜け出す

天草も爆破の衝撃により開いたハッチから飛び出して、CICに向かう

CICに連絡が入る

幸子「第4甲板第3水密度が破壊!」

ましろ「破壊とはどういう事だ!?」

芽依「全員離艦したはずでしょ!?」

ヨンファ「立石一佐。東京湾のどこかに噴進弾を撃て。我々の意思を示す」

志摩「うい……」

万里小路「あなた様にそのような権限はございませんわ!」

困惑する志摩に万里小路が助太刀に入る

ましろ「皆、あわてるな」

艦内に放送が入る

Side 天草

天草「艦長、それから幹部たち、聞こえているな。先任伍長だ。命令に背いて申し訳ないが……この艦を守るのが私の任務だ……だから戻ってきた。これ以上勝手な真似はさせない!」

天草はCO2消火設備のスイッチに手を掛ける

天草「……」

スイッチを押す

ポーンポーンと警告音が響く

CIC

放送「二酸化炭素消火設備起動。区画内にいる……」

ましろ「呼吸器装着!」

CICにいた幹部たちが呼吸器を取りだす

幸子「機関長より!操作は第4応急指揮所!」

二酸化炭素が充満する


Side 天草

マロン「ここか!」

呼吸器をつけた柳原と黒木が入ってくる

天草「機関長!」

黒木「先任伍長!」

天草「機関助手長も……なぜだ!」

そこに工作員が入ってきて銃を天草に向け、発砲する

3人はとっさに伏せる

基盤に当たった弾で火花が散る

マロン「やめい!」

マロンは二酸化炭素消火装置のスイッチを消して天草がいた方を向くと、そこには天草はいなかった

>>35

パソコンがバグったでもう一度書き直す




ましろ「皆、あわてるな」

艦内に放送が入る

Side 天草

天草「艦長、それから幹部たち、聞こえているな。先任伍長だ。命令に背いて申し訳ないが……この艦を守るのが私の任務だ……だから戻ってきた。これ以上勝手な真似はさせない!」

天草はCO2消火設備のスイッチに手を掛ける

天草「……」

スイッチを押す

ポーンポーンと警告音が響く

CIC

放送「二酸化炭素消火設備起動。区画内にいる……」

ましろ「呼吸器装着!」

CICにいた幹部たちが呼吸器を取りだす

幸子「機関長より!操作は第4応急指揮所!」

二酸化炭素が充満する


Side 天草

マロン「ここか!」

呼吸器をつけた柳原と黒木が入ってくる

天草「機関長!」

黒木「先任伍長!」

天草「機関助手長も……なぜだ!」

そこに工作員が入ってきて銃を天草に向け、発砲する

3人はとっさに伏せる

基盤に当たった弾で火花が散る

マロン「やめい!」

マロンは二酸化炭素消火装置のスイッチを消して天草がいた方を向くと、そこには天草はいなかった

Side 如月

如月はCICから抜け出すと持っていたナイフで手縄を切ろうとする

如月「クソ!」

階段下の工作員と目が合う

工作員は階段を駆け上がる

如月は駆けあがてくる工作員を階段下に突き落とす。

工作員は痛みに耐えながら銃を向けるも気絶させられる

如月は角を曲がり、再び縄を切ろうとする

先ほど突き落とした工作員の所に別の工作員がやってくる

工作員は気絶している工作員を動かすと手りゅう弾の安全ピンが抜ける

手りゅう弾は大爆発を起こす

工作員たちは吹っ飛び、死亡する

如月は工作員たちが死んでいるのを確認すると、使える武器を回収し、その場を立ち去った。

Side 天草

天草は第4応急指揮所を抜け出し、艦内を警戒しながら進んでいると、一人の女性工作員と遭遇する

天草は前回受けた喉をの攻撃を警戒し、姿勢を低くすると、工作員と取っ組み合いになる

天草「くっ!」

お互いを壁にぶつけたり、首を絞めたりと激しい戦闘が続く

天草が女性工作員に投げ飛ばされ、少し距離ができた時、拳銃の発砲音が響く。

如月「伏せろ!」

如月は天草を援護しつつ後退する水密扉を乗り越えた二人は水密扉を固く締め、内からつっかえ棒を挟む

如月「なんで戻ってきた!」

天草「……行くぞ!」

いそかぜ医務室

死亡した4人の工作員の遺体に伊良子、等松、杵崎姉妹が弔っている

美海「はい……そっち」

美甘「なんでこんなことに……」

他の工作員がやってくる

工作員は被せる途中の布を引っぺがすと合唱もせず遺体から武器を取り去っていく

ほまれ「……」

あかね「……」

美海「……」

美甘「……」

工作員「なんかあるか?」

美海「……」

等松はかぶせてあった布を引っぺがし、武器をはいでいく

美甘「主計長……」

美海「私は人であることをやめたんだ……」


CIC

剥ぎ取った武器を持った工作員と等松が入ってくる

光「……!!」

美千留「……!!」

美海「艦長、キルス以下4名が死亡しました……」

芽依「2人はまだ第3甲板にいるはずです。その区画を閉鎖すればいい。戦闘は避けるべきです!」

ヨンファ「殺されたのは私の部下だ……あなたたちは艦を動かせばいい」

ヨンファ「先任伍長はこの艦を熟知している。そうでしたね副長……」

ましろ「…ああ」

もえか「……部署に戻ってください……」

美海「……」

Side 天草

天草達は水密扉を閉鎖しながら進んでいく

天草「おい!ちょっと待て!」

天草は物陰に如月を押し込む

天草「お前、これでどう戦うつもりだったんだ!」

如月「あんたには関係ない!」

天草「ここは私の艦だ!関係あるんだよ!」

如月「『伊201』の制圧部隊を私が開けた艦底部の穴から侵入させる」

天草「いつ!?」

如月「あの通信機があればとっくに来ている!

天草「終わったことをごちゃごちゃ言うなよ……」

如月は天草にもう一丁の拳銃を渡す

天草「なんだ?」

如月「私はあんたの護衛じゃない。私の足を引っ張るな」

天草「……」

如月「奴らはすぐに隔壁を爆破してくる!行くぞ!」

天草「そうあわてるな!」

天草は如月を抑える

天草「ここは浸水区画の真上だ」

天草「下手に爆破すりゃ艦がどうなるか奴らも分かってる」

天草は点滅する蛍光灯をみて閃く

天草「外に連絡が取れればいいんだよな!」

如月「?」

海上安全整備局庁舎の一室

モニターに何かが爆発する映像が流し出される

真雪「これはおととし7月12日の辺野古弾薬基地の爆破映像です。我々の方で記録しました。いわゆる『辺野古ディストラクション』です」

大臣E「爆破?」

大臣E「事故ではなかったのですか?」

真雪「報道されているものとは違います」

真雪「弾薬庫から漏れた僅か100CCのグソーを消去するため、ホワイトドルフィン自ら艦砲射撃による爆撃をしたのです」

大臣D「これは事実なのか!?」

ホワイトドルフィン幹部「事実です……」

大臣D「なんと……」

梶本「知名はこれを公表しろという……できるわけないだろ!」

梶本「続けて!」

真雪「ヨンファたちはこの10倍の1リットルを移送中に強奪したんです」

スクリーンにグソーの入れ物が映る

真雪「これがそのグソーです」

真雪「真冬……」

真冬と真雪が入れ替わる

真冬「この爆破の折に使用されたのが、『特殊焼夷弾テルミットプラス』です。直径三キロの空間を一瞬にして、6000度の放射熱で焼き尽くす能力があります」

梶本「それがグソーの唯一の解毒剤なんだな?」

防衛大臣「それをどうやって『いそかぜ』に撃ち込むんだ!?」

真雪「学生艦『武蔵』の艦砲射撃で実施します」

大臣E「学生艦を!?」

真雪「『武蔵』であれば、この世に現存するどの艦よりも装甲が厚く、射程も長い。対艦噴進弾にも耐えることができます」

梶本「……」

梶本「それは最終手段だな……」

Side 伊201

索敵員「『いそかぜ』から発行信号!」

特殊部隊長「1番上げ!」

1番潜望鏡が上がる


Side 真霜、真冬

真霜「発行信号だと?」

真霜が会議を離れ、奥のダイス専用の部屋に向かう

真霜「内容は?」

福内「『発、「いそかぜ」先任伍長。如月2曹と第2電気室に籠城中』」

真霜「先任伍長?」

福内「『艦底部に爆破による亀裂あり』と」

真霜「……どう思う?」

福内「………生きていた……それだけです……」



Side 天草、如月

天草は配電盤のコードを引きちぎり、つなげては離し、を繰り返し、発行信号をメモ帳を見ながらうつ

如月「ここからもう一度だ!」

天草「お前、その言葉遣い何とかしろよ」

天草「私はまだお前の上官だ。それに!年上でもあるんだぞ」

如月「……」

天草「なんだ?」

如月「高高度偵察飛行船がもうすぐ並走を始める」

天草「飛行船?」



CIC

万里小路町が艦をうつしたディスプレイを注視する

万里小路町「あれは……」

ヨンファ「……」

平賀が天草のプロフィールを開く

平賀「恐らく、艦内の先任伍長はこれです」

真霜「……」

真霜「残ったのか……戻ったのか……」

真霜「『伊201』の現在地は?」

福内「後方約3.5マイルで潜航中」

真霜「時間がない。準備!」

瀬戸「また独断専行かい?」

瀬戸は歩み寄る

瀬戸「なぜ会議にかけない?」

真霜「却下されるに決まってますから……」

真霜「黙っててもらえます?」

瀬戸「……」

瀬戸「ブルマー隊員の死からどうした?」

福内「あれは事故です……追い詰めたんじゃ……」

真霜「典子……」

瀬戸「総理にだけは伝えるぞ」

瀬戸は去っていく

真霜「テルミットは使わせない!」



梶本「人魚の娘が人魚を殺す……か……誰も演習だとは思うまいな……」

瀬戸「総理」

瀬戸は総理にメモを置く

梶本「……」

Side 天草、如月

部屋の電気が落ち、再びつく

天草「まさか……」

天草「クソッ!予備電源に切り替わっている!」

天草「!!」

天草は電流計の針が動いていることを確認する

天草「モールスだ!誰かが打っている!」



CIC

等松がブレーカーのスイッチを上げ下げする

幸子「美海ちゃん!」

等松「……」

志摩「もうすぐ浦賀に入る……」

芽依「15ノットまで上げれば回避できるはずでしょ!」

芽依「なぜ……」



Side 真霜

福内「来ました!第2報です!」

福内「読み上げます『爆破の影響により後部方向ソナー探査不能。0800、突入せよ』」

真霜「実行!」



Side 天草、如月

天草「0800……おびき寄せるつもりか?」

伊201が艦尾方向から迫ってくる

天草たちは部屋を抜けると第2機械室に向かう

天草「あった……」

天草はスイッチを押す


CIC

万里小路「!!」

万里小路「艦長!甲板に靄がかかっておりますわ!」

もえか「なに……!」

ましろ「何が作動しているんだ!」

幸子がタブレットを操作する

幸子「放射能塵洗浄装置です!5分間は停止しません!」



Side 天草、如月

天草たちは甲板を走り、魚雷発射管に向かう

天草「『伊201』の方位は!?」

如月「130度!」

天草は発射管のフタを投げ捨てると、向きを130度に合わせ、距離を設定する

天草「気づけ!」

魚雷を撃つ

魚雷は『伊201』に向かう

CIC

果代子「魚雷発射されました!」


海上安全整備局の一室
平賀「『いそかぜ』から魚雷発射!」

真霜「魚雷!?」

真雪が会議室に伝える

モニターに「伊201」の手前で自爆する魚雷の映像が映し出される

平賀「潜水艦の前で……」

真霜「作戦中止!撤退!」



CIC

ヨンファ「松永3尉、怯えずに撃て」

理都子「艦長、副長の指示以外では動きません!」

ヨンファ「君たちには恥も誇りもないのか?」

芽依「うるさい!」

光「CICから出て行って頂戴!」

詰め寄る小笠原に工作員たちは銃を向ける

もえか「少佐……」

ヨンファは銃を降ろすように言う

ヨンファたちはCICから出ていく

芽依「艦長……」

芽依「我々にも武器の許可を……」

Side 真霜

瀬戸「職場放棄か?呼んでるぞ」

真霜「……」

真霜「この子……ましろと同期でましろが学生の時の艦長なんだ……。ましろは……私たちを憎んでいるんだろうな……だから……」


Side 天草

天草たちは持ち出した缶詰のご飯を隠れながら食べる

天草「温めないと食えたもんじゃないな……」

天草は如月の缶詰と自分の缶詰を交換する

天草「五目も食え……」


Side もえか

艦長室

もえか「ミケちゃん……もうすぐだよ……」

ノックがある

もえか「どうぞ」

ヨンファが入ってくる

もえか「なんだ?」

ヨンファは扉を閉めるともえかに銃を向ける

もえか「どういうこと?」

ヨンファ「……」

もえかが咄嗟に抵抗しようとすると、ヨンファはもえかの心臓を撃ち抜く

もえか「ああ……」

もえかはその場に倒れる


Sideましろ

武器保管庫

ましろたちは拳銃を受け取ると弾薬を込める


Side 真霜

防衛大臣「説明してもらおうか。何をこそこそ影でやっているか!」

真霜「総理……」

梶本「君達の仕事はここまでだ……」

梶本「局長、『武蔵』スタンバイ!」

真雪「……ハイ」

平賀「宗谷2官です」

ましろ『こちら「いそかぜ」。応答願いたい」

梶本「はい」

ましろ「改めて要求の可否を伺いたい」

梶本『要求は……全面的に受け入れる」

ましろ「賢明な決断に感謝する」

ましろは電話を切ろうとする

真霜『岬明乃!』

ましろ「……」

真霜『私は岬明乃の最期に立ち会った……』

ましろ「だからなんだ!」

真霜『ましろは異国の工作員を信じ切れるのか!?』

真霜『ヨンファはましろに近づくためにあの子に接触して、その死さえをも利用したとは考えられないの!?』

ヨンファ「言いたいことはそれだけか……」

CICに戻ってきたヨンファが電話に向かって言う

ヨンファ「首都が壊滅し、1千万余の人命が失われるというのに、まだそんな愚かな説得が通じると思っている。状況認識の甘さがいかにも日本人だな」

真霜『その日本人を利用しなければ達成できないお前らの革命こそ欺瞞よ!』

ヨンファ「自力で平和を勝ち得ない貴様らに何がわかる」

ヨンファ「いつになったら貴様らは……」

ヨンファ「これが戦争だと理解するんだ」



Side 梶本

梶本「……」

梶本「長官、テルミットを武蔵に積み込め……」



Side 天草、如月

全艦放送で聞いていた天草達

天草「なにが戦争だ……」

如月「これで間違いなくテルミットが来る」

天草「何?それは?」

如月「特殊焼夷弾。この艦ごとグソーを一瞬で焼き尽くす」

天草「そんなもん使われてたまるか!」

如月「アンタあ艦を離れろ」

天草「自分だけかっこつけるな」

天草「噴進弾を撃たせなきゃいいんだろ?」

天草「晴風に使わなかったってことはVLS式のどっかにある。第1か第2か……」

天草「第2から行く!私は機械室経由。如月は後部甲板から第3甲板だ。先に突破したほうがコンソールごとぶっ壊す。いいな?」

如月「わかった」

立ち上がろうとする如月を天草は抑える

天草「わかりました!……」

天草「いいか?死ぬな!」

描写が説明文ばかりでくどいことくどいこと
ぼくの考えた設定と展開の押し売りばかりで胸焼けするわ

>>48 最初に設定は注意書きで書いといたが見えなかった?

つーか胸焼けするくらいなら見なければいい

Side 真霜

真霜「如月を保護してから私は言い続けた……『国のために生きろ』と」

真冬「それが今では『国のために死ね』だ」

瀬戸「仕方ないさ。国がなくなるかもしれないんだ……」

真霜「仕方ない?」

真霜「……国って何なのよ……」

真冬「人間はすぐに忘れる。戦争はいつも対岸の火事に過ぎなかったんだから……」

真霜「日露戦争後日本は……太平洋と東シナ海との間にただ浮かんでいただけだ……」

真霜「ただ平和であったというだけで国と呼べるのか?」

瀬戸「俺はさ、平和っていうのは戦争との隙間に生まれるもんだと思う。この国は100年もその隙間にいるんだ……俺はそれでいいと思うよ」

瀬戸「もう行くぞ」

真冬「撃つかもな……そっちの言う通り」

真霜「東京がやられたら国際機関の方が動く。そして奴らの国を叩くだろうな」

真冬「ヨンファはそこまで考えてるってことか……」


Side ましも

幸子がましもにささやく

ましろ「……それは本当なのか?」

幸子「ええ……」

ヨンファ「艦を出していただきたい。奴らにはもう最後の手段しか残っていない……」

ましろ「……」

ましろ「……艦を出せ……」

幸子「宗谷さん!」


Side 梶本

真雪がモニターに移された映像を説明する

真雪「この円がテルミットを使用した場合の被害範囲です。そしてこの線が沿岸への影響を考えた場合の阻止限界線です」

真雪「『いそかぜ』の到達まで現速力でおよそ45分」

防衛大臣「11時半か……」

真雪「テルミットを積み終えた武蔵はすでに射程ギリギリの範囲で『いそかぜ』を追っています。射撃へのデーターリンクは『伊201』のデータを使用します」

平賀「『いそかぜ』進行を停止!」

防衛大臣「止まったのか!?」

Side 天草

天草は工作員の追跡を振り切り、第2VLSの制御室に着く

天草「ここだな……」

天草(如月はまだか……)

エンジン音が止まる

天草「止まった……?」

天草「好都合だ……」

天草は警戒しながら扉を開ける

芽依「!!」

西崎が天草に気づき、咄嗟に銃を向ける

天草も腰の銃に手を伸ばす

天草「!!」

天草「なんだ水雷長か……」

天草は中に入る

芽依「この国は……私たちもろとも一度滅ぶべきだ……」

天草「あの論文にはそう書いてあったんですか?」

天草「こんなことをするために貴方は……ブルマー隊員として生きてきたんですか?」

天草「水雷長!」

天草「グソーはどっちなんだ……」

芽依「先任伍長……私は……私は……艦長の……仇を……取りたかった……」

天草「どういうこと……?」

芽依「私たちの……」

西崎は銃を下げながら語ろうとする

芽依「艦長は……ろんb……!?」

扉が勢いよく開き、如月が入ってくる

西崎は反射的に如月に銃を向けると、鮮血を放ちながら倒れる

天草「!?」

天草「水雷長!」

西崎に駆け寄る

天草「即死だ……」

天草は如月に振り返る

天草「なぜ撃った!?」

如月「撃たれる前に撃つ……鉄則だ」

天草「水雷長は撃つつもりなんてなかった!」

如月「アンタは実戦を理解していない!」

天草「……お前は…人間を理解していない!」

天草「……撃つ前に迷ったりするのが人間だろ!

天草「一瞬でもなにか考えるのが人間だろ!」

如月「……」

天草「なぜ機関室で私を撃たなかった?任務の為なら鉄則どおり私を撃ち殺せたはずだ!」

如月「……」

天草「お前は撃たなかった……」

エンジンの始動音が響く

如月は何か言いたそうな顔で部屋を出る

天草「……」

天草は電話を取ると全艦放送に切り替える


CIC

ましろ「……」

放送『こちら先任伍長……1102、西崎水雷長が今死んだ……』

志摩「うい!?」

放送『これで何人が死んだ?……終わりにしよう……理屈はもういい!間違ってる!………目を覚ましてください……』

ましろ「……」

ましろ(私たちは……何を間違えたん納沙だ……)


Side 天草

天草はコンソールのスイッチを全てオフにすると工具箱から取り出した電動ドリルでコンソールを物理破壊する


CIC

工作員にヨンファからグソー解放の指令が入る

工作員たちは無言でCICを出ていく

ましろ「……」

万里小路「……」

志摩「……」

ましろは腰のホルスターから拳銃を取り出すと、マガジンを確認する

光「宗谷さん!」

ましろは何も言わずCICを出ようとする

万里小路「私たちは……!」

CICにいる立石、万里小路、小笠原、姫路、日置、松永、等松、納沙が立ち上がる

万里小路「私たちなりの考えがあってついて参りました……」

ましろ「……」

ましろ「君たちには……感謝している……」

ましろはCICを出る

海上安全整備局

平賀「『いそかぜ』再始動、限界線まで40分です」

防衛大臣「もう少しと待っていてほしかったのだが……」

真雪「『武蔵』砲撃準備完了です……」

梶本「わかった……」

平賀「何かが!……何かが起こっているのでは?」

平賀「止まるのはおかしいかと……」

防衛大臣「何を言っとるんだ!手遅れになったらどうするんだ!」


Side ましろ

ましろは第1VLS制御室に向かった

見張り員の山下に声をかける

ましろ「ヨンファは?」

秀子「この中に……」

ましろ「ありがとう…」

ましろはホルスターのボタンを開け、すぐに取り出せるようにする

扉を開け、中に入る。同時に山下も銃を構える

ましろはヨンファの通路の前に立ちふさがる。

ヨンファはグソーをいじる

ましろ「少佐……教えてもらいたいことがある。岬艦長の葬儀の夜、訪ねてきたあなたは私と艦長にこう言ったな。『自分はあの論文に共鳴して岬さんと出会った。そして私たちは、かけがえのない同志にだった。』」

ヨンファ「……」

ましろ「『2人の思いは同じだ。祖国に責任ある自由と誇りを取り戻したい』と……」

ヨンファ「!!」

ましろ「あれは本心だったのか?」

ヨンファ「……」

ヨンファはグソーを持ってましろに近づく

ましろ「グソーを渡してもらおう!」

ましろが銃を抜くとヨンファも銃を抜く

しかし、ヨンファが1枚上手だった。

ヨンファの放った銃弾はましろの肩を貫通する

ましろは壁にもたれかかる

ヨンファ「あなたに言ったことは全て本心です…。だが彼女は……『日本人』に過ぎなかった」

ヨンファはましろを蹴とばす

ましろは床に倒れる。

ましろ「待て……なぜ……艦長を……殺し…たんだ……」

ヨンファ「彼女も日本人に過ぎなかった。それだけだ」

ヨンファは部屋を出る

丁度如月が到着する。

如月は山下の後ろから出てきたヨンファを撃とうとする

そこで如月は天草が言っていたことを思い出す

如月(このままではあいつに!!)

ヨンファの銃が火を噴くと、如月は倒れる

ヨンファは去っていく。山下はその場にショックのあまり座り込む。

Side 天草

天草も第1VLS制御室に到達する

天草「!!」

天草「如月!」

山下「!!」

山下は銃を取る

天草は如月を介抱する

天草「しっかりしろ!」

天草「なんで……」

如月「考えた……」

天草「え……?」

如月「撃つ前に考えた……」

天草「バカ……考える前に考えるんだよ」

天草は如月の応急処置を終える

天草「待っていろ」

天草は部屋に向かう

山下「私じゃない!」

銃を山下は天草に向ける

山下「来ないで!」

天草は構わず進む

山下「来ないでって言ってるでしょ!」

山下「これは艦長の……岬さんの為なの……」

天草は山下をどかす

天草「どけ……」

山下はよろけながら天草に向けて撃つ

山下「やめて!」

弾は跳ね返り、天草の左腕を掠める

山下「入らないで!」

天草「バカ野郎!」

天草は山下を殴ると部屋に入る

Side 納沙

幸子「副長はどこですか!?」

納沙はヨンファを止め、銃を向けながら距離を詰める

幸子「私たちは……罪を償わなければいけない……」

ヨンファ「……」

ヨンファは納沙の横を素通りする

納沙は振り返り銃口を向けようとするもヨンファがすでに構えていた

幸子「!?」

納沙は何もわからないまま倒れる

ヨンファは倒れた納沙の拳銃を奪うと1発を装填し、マガジンを抜き去り、納沙の手に戻す

ヨンファ「自分で死ね……」

ヨンファは立ち去る

納沙は最後の力を振り絞って銃を撃つも、ヨンファには当たらなかった

幸子「岬さん……」

納沙は目を閉じた

Side 天草

天草が部屋に入ると肩から血を流し、倒れているましろを発見する

天草「……」

ましろ「……」

天草は救命バックを引き出しから取り出し、包帯と止血をましろに施そうとする

ましろ「…私に…その資格は無い……」

天草「許したわけじゃありません」

天草はましろの肩に止血剤を投与する

ましろ「……先任伍長……1つだけ…頼みがある!」

天草は処置を続ける

ましろは天草の手を取り懇願する

ましろ「全艦放送につないでもらいたい……」

天草「……」

ましろ「頼む…」

天草は処置をやめ、電話を取り、ましろに手渡す

天草「どうぞ」

ましろ「副長より達する……現在をもって…この『いそかぜ』を……先任伍長の指揮下に預ける……。これより各員は…先任伍長の指示に従い……生きるために……最善を尽くせ………以上だ………」

ましろ「天草先任伍長……操艦!」

天草「……」

ましろ「…操艦…」

天草「先任伍長…いただきました…」

天草はゆっくりましろに敬礼する

天草は部屋を出て、山下に応急処置を預ける

天草「泣いている暇があったら!副長と如月の手当をしろ!」

山下「うう……」

天草「しっかりしろ!」

天草「幹部だろ!人の上に立つんだろ!」

救急バックを山下に渡す

天草は如月に向う

天草「!!」

天草は筆の存在を思い出す。

如月に筆を握らせる

如月「…母さんが……ほめてくれました……ただの落書き……私が描いた……」

如月「……これで……絵を描いてください……」

天草「私じゃない……お前が描くんだ!」

天草は如月の手を強く握りしめる

天草「いいか!死ぬな!…これは命令だ…」

Side 武蔵

白石「艦長、『伊201』からの観測データ届きました」

利根「そうか……」

白石「砲撃予定時刻まで、残り10分です」

利根「了解……」

利根(晴風の仇は必ず取る!……)


Side 梶本

真雪「武蔵、砲撃準備に入りました」

防衛大臣「あとは総理の攻撃許可のみです」

真霜「待ってください。限界線まで9分あります」

防衛大臣「状況を分かっているのか!?あと9分しかないんだぞ!」

真霜「なぜ待てないんですか!?艦内にはまだ戦っている人間がいるかもしれないんです!」

梶本「……」

梶本「そういえば高高度偵察飛行船の映像は?」

平賀「固定まで残り8分弱……」

梶本「……」

Side 知床鈴

勝田「向きを変えるぞな……」

内田「もういいんですよ……航海長……」

リン「……」

リン「進路転進180度、さいd……」

野間「誰か来ます!」

艦橋に緊張が走る

野間は拳銃を構える

野間「誰だ!?」

野間の合図で勝田が扉を開けると手りゅう弾が投げ込まれる

勝田「!?」

野間「!?」

内田「!?」

リン「!?」

野間たちは手りゅう弾から離れようと動き出すと手りゅう弾が爆発する。

手りゅう弾の影響で舵と機関に繋がるケーブルが破壊され、火災が発生する

知床は偶然にも機械類が盾になり、大きな被害は喰らわなかった。

リン「…みんな…大丈夫……!?」

返答は無かった。

リン「なっ……」



Side 天草

天草「艦橋か!?」

爆発音を聞き、天草はデッキから艦橋に上がる

天草「大丈夫か!?」

黒煙が立ち込める中艦橋に飛び込むと血だらけになりながら死亡した仲間を助けようとする知床がいた

リン「野間さん!!」

天草は知床を環境の外に連れ出す

天草「このままでは2酸化炭素中毒になって死にますよ!」

リン「うう……」

天草「航海長!」

リン「…先任伍長…舵は破壊された……、機関も止まらない……」

リン「私のことはいいから……ヨンファを止めて……マストに向かったから……」

知床はそのまま気絶する

天草「航海長!航海長!……」

天草は知床のインカムを取り、全艦放送に切り替える

天草「達する!こちら先任伍長!

天草「達する!こちら先任伍長!艦は舵を失い暴走している!直ちに全員脱出しろ!……ヨンファの部下たちもだ!……どんなにみっともなくてもいい…必ず生きろ!」

Side ましろ

山下がましろの応急処置をしている

放送『必ず生きろ!』

ましろ「…」

ましろ「山下さん……残りの乗員を集めて離艦して……」

山下「しかし……」

ましろ「よく…ついて来てくれた……」

ましろ「……行け……」

山下は泣きながら部屋を出る


Side 天草

天草はマストのタラップを上る

天草「いた……!」

ヨンファ「ちっ!」

天草はヨンファを追いかけるように上る

ヨンファはグソーを片手に上るので早くない。

天草はヨンファに追いつくと足を掴む

天草「逃さない!」

ヨンファは振り払おうと足を動かす

天草は必至にしがみつく

ヨンファ「この!」

ヨンファはグソーで天草を叩く

顔面を強打しつつも天草はグソーをキャッチする

全体重をグソーにかけるとヨンファがたまらずグソーを放す

天草は踊り場にたたきつけられる

その下の踊り場に柳原と黒木がやってくる

マロン「黒ちゃん!」

黒木「ええ!」

柳原と黒木が援護に入ろうとタラップに手をかけたとき、ヨンファが天草の抱えていたグソーを蹴とばす

天草の手から離れ、マストから甲板に落下していく

天草「しまった!」

黒木「うわぁぁ!!」

その時、黒木がマストを飛び出し、グソーをキャッチする

マロン「黒ちゃん!」

天草「黒木2官!」

黒木は空中で一回転すると、背中から落ちていく。

黒木「あ……」

背中から着地した黒木はそのまま高等部を強打する

鈍い音と共に甲板に血の池ができる

天草「ああ…!!」

マロン「っ!!!」

>>59 訂正

誤 背中から着地した黒木はそのまま高等部を強打する

正 背中から着地した黒木はそのまま後頭部を強打する

ヨンファはこの隙を見逃さなかった。

ヨンファは天草に2発の銃弾を浴びせると、マストを降りていく

柳原がヨンファを向かい打つ

マロン「黒ちゃんの仇!」

柳原が拳銃を撃つも、ヨンファには当たらない。

ヨンファは無言で柳原を撃つ

マロン「かはっ!」

柳原はそのばで動かなくなる

天草「機関長!」

マロン「……」

天草「クソッ!」

天草はマストから、ヨンファを狙う

ヨンファは黒木から乱雑にグソーを奪うと天草に背中を向ける形でグソーを開こうとする

天草「ハァハァハァ」

天草は意識が朦朧とする中、照準を絞る

天草「当たれぇ!」

引き金を引く。

天草「当たった……」

ヨンファはこちらを振り向き、天草を狙うが、天草が先に撃つ

ヨンファはよろけ、壁にもたれかかったまま、動かなくなる

天草「やった……のか……」

天草はマストを降りる。

天草「これか……」

天草がグソーに手をかけるとヨンファがナイフを持ち、天草の腹に突き刺す

天草「うッ……」

ヨンファは繰り返し何度もさす

天草「クソッ!……」

天草とヨンファは倒れる

天草「ハァ……ハァ」

天草は腹を抑え、うずくまる。

ヨンファは体を引きずりながらヨンファに手をかける。

天草「させ……ない……」

天草は銃を何とか拾い上げる。

ヨンファ「コレで……」

天草は引き金を引く

天草「ハァハァ……」

ヨンファは絶命する

天草「終わった」

天草も体を引きずりながらグソーに手をかけると、容器のふたを閉める

Side ましろ

ましろは如月を甲板まで運ぶ

ましろ「ハァハァ、……」

ましろ「こんな時まで……ツイテないな……」

ましろは如月に救命胴衣を着せる

如月「触るな……」

ましろ「……」

如月「お前のせいで母さんは………父さん……」

如月はもうろうとする意識の中、幻覚に向かいつぶやく 

ましろ「すまなかったな……全部父さんが悪かったな……」

ましろは如月を海に突き落とす。如月は救命胴衣の浮力で浮かぶ

ましろはその場で倒れた

ましろ「艦長……もうすぐそちらに行けそうです……」

Side 梶本

平賀「『いそかぜ』阻止限界線まであと90秒!」

真霜「映像は!?」

福内「まだです……」

梶本「もういい……攻撃を許可する…」


Side 武蔵

武蔵の無電に連絡が入る

白石「艦長、攻撃命令です」

利根「了解……」

利根「『伊201』とのデータをもとに、主砲旋回!」

主砲が旋回する

「主砲旋回完了!」

利根「仰角30度!」



Side 梶本

福内「映像固定終了しました!」

モニターに映し出される

瀬戸「なんか動いてる」

真冬「拡大!」

映像には後部甲板で手旗信号を送る天草の姿が映る

梶本がモニターに近づく

梶本「何をやっとるんだ!?」

真霜は解析に入る

真霜「ク・……」


Side 武蔵

「主砲、発射用意よし!」

白石「あとは艦長の命令だけです……」

利根「1番主砲……」


Side 梶本

真霜「ク・ソ・オ……」

梶本「なんだ!」

真霜「…!!」

真霜「『グソー確保!』」

真霜「グソー確保!グソー確保!」

梶本「中止!攻撃中止!」


Side 武蔵

利根「うちー……」

白石「艦長!攻撃中止命令です!」

利根「!!」

利根「攻撃中止!撃ち方やめ!」

利根(なんで……晴風の仇は取れないの……)

Side 天草

天草は力尽きて、旗を放す

数分後、ブルーマーメイド救難艇がいそかぜに接舷し、天草と如月を救助する。

そして、停止していないことから、艦内の捜索は行わず、撤退する


Side 万里小路

万里小路は拳銃を片手に機関室に向かう

その途中、工作員たちに出会うが、万里小路に危害は加えず、その場で全員が頭を打ち抜き、自決する。

万里小路は機関室に入る

等松「これで最後の一人か……」

万里小路「皆さま……」

青木「みんな考えることは同じだったッスね……」

そこには生き残っていた晴風乗員が集まっていた

志摩「うい……」

皆は一つの機関の前に集まる。

志摩が銃を機関に向ける

志摩「許して……ください……」

志摩は引き金を引く


Side 梶本

平賀「まずいです!『いそかぜ』はまだ停止していません!」

瀬戸「このままだと火力発電所だな」

梶本「誰か止めるものはおらんのか!

突然、いそかぜが爆発する

真霜「なにが起こったんだ……?」

いそかぜは炎に包まれながら、船体を二つに折り、沈んでいく

梶本「……」

真冬「……」

瀬戸「……」

真雪「……」

その後

いそかぜ乗員は駆逐艦『もがみ』に転属となった


七条「あ、いたいた。来てるよー、シノちゃん」

天草「なんだ?」

七条「シノちゃんに郵便なんて津田君ぐらいでしょ」

天草「う、うるさい!」

七条は天草に手渡す

七条は通常業務に戻る

天草「……」

天草は封筒を開けると、中身を取り出す。

天草「これは……」

中身は絵を描く自分の姿を描いた絵であった

天草「ふっ」


【はいふり】亡国のブルーマーメイド Fin

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