【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その8【安価】 (994)

【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その7【安価】
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代理です

代理ありがとうございます

ーー執務室


隼鷹「なんだか随分と寂しい執務室じゃんか」


提督「本当なら龍驤や漣が居るんだが、それぞれ理由があってここに居ない」


隼鷹「龍驤さんは確かまた入院したんだよなぁ」


提督「予定ではもう少し先だったんだが、体調不良もあって早めに入院したんだ」


隼鷹「もともと一時退院だったから仕方ないけど、やっぱり寂しいな」


提督「ここで無理をするとまた長期入院もあり得る。ゆっくりと体調と心を整えて欲しい」


隼鷹「無理は禁物なのは当たり前だしな」

提督「漣は白露と電の仲裁に向かった。あまりいい話ではないが電が白露を叩いたらしい」


隼鷹「電…最近まで調子良かったのにな」


提督「いや、精神面に異常は無さそうだ。これは白露が悪いんだ」


隼鷹「なにがあったんだよぉ?」


提督「白露は以前に電と関係があったんだが、白露がそれを忘れて抱こうとしたらしい」


隼鷹「…うわ」


提督「口説き文句や体の重ね方、電は最初は我慢していたそうだが途中で我慢できず…」


隼鷹「それは白露が悪いな……」


提督「そういうわけで今執務室には俺一人なんだ」


隼鷹「そっか…うん、なら丁度いいというかなんというか……話、聞いてくれよぉ」


提督「もちろんだ」

隼鷹「あたしが艦娘辞めたいって言ったら…どうする?」


提督「止めることは無いが理由を聞きたい」


隼鷹「そうだよな…提督は止めることなんかしないもんなぁ」


提督「止めて欲しかったのか?」


隼鷹「止めてくれたら諦めがつくというか…うーん……」


提督「察しは付くが辞めるから不知火と共にだろう。何かあったのか?」


隼鷹「あたしさ…夢があるんだよ。世界中を旅したいとかそんなありふれた夢……」


隼鷹「響を見てたらさ…なんか……艦娘って辞めれるんだよな…とか…色々考えちゃって……」


提督「俺でよければいくらでも話は聞く。だが不知火ともよく話しておくべきだぞ」


隼鷹「分かってる…うん、分かってるんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

隼鷹「実はさ…不知火にはもう話したんだよ」


提督「そうだったのか」


隼鷹「不知火はあたしと世界を回るのは悪くないって言ってた…けど艦娘を辞めるのは別の話だって」


提督「…不知火らしいな」


隼鷹「アイツは艦娘として戦うのが自分のやるべきことだって…そもそも傀儡の艦娘って解体できるのかも分かんないし…」


提督「それは整備士に確認するしか無いな」


隼鷹「提督……あたしどうしたらいい…?」


提督「…あくまで俺個人の意見として聞いてくれ」

提督「不知火は仲間を傷付けて、自分のせいでかつての仲間が全員殺されたと思っている」


提督「そんな不知火に一緒に解体しようと言っても、一筋縄ではいかないだろう」


隼鷹「やっぱり…」


提督「だが隼鷹が言えば別だ。本気で二人の時間を過ごしたいのならそう言えばいい」


隼鷹「……」


提督「解体が可能か不可能かは関係なく、不知火は隼鷹の隣に居ることを望んでいる」


提督「解体することを迷っているのなら考えない方がいい。響の場合はもう戦うことができないという事情が理解できた」


提督「ふわふわした考えではなく、本気で考えてその結果を不知火に伝えればいいと思う」


隼鷹「…ありがと、やっぱり提督に相談して良かった」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


隼鷹「不知火とは足りないもの鎮守府からの付き合いで…気が付いたらこんな関係になって…」


隼鷹「はじめは不知火は恋愛感情は無かったって言ってたのに……」


隼鷹「どうすりゃいいんだよ…考えれば考えるほど不知火のことが……」


隼鷹「こんなに誰かを好きになったことなんか無いんだよ……」


隼鷹「不知火を自分の物にしたい…ずっと一緒に居たい……」


隼鷹「自分でもなに考えてるか分かんなくなってきた…あーー…もう…」

隼鷹「世界を回るのはあたしの夢で……でもそれは艦娘を辞めることとは関係無くて…」


隼鷹「関係無い……?ある…?」


隼鷹「……」


隼鷹「こんなに悩んだことなんか無かった…酒で悩んでた時より考えてる…」


隼鷹「酒……」


隼鷹「酒飲めば……解決する…うん、そうだ……」


隼鷹「酒……あたしに酒を…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー食堂


那智「……気配がする」


那智「こんな時間に食堂…銀蠅か?どちらにせよ褒められたことではないぞ」


那智「…誰だ」


隼鷹「う……」


那智「なにをしている」


隼鷹「酒……無い…」


那智「禁断症状でも出たのか。霞に言って薬を用意させるから待っていろ」


隼鷹「違う…飲めば解決するから……酒があればあたしは…」


那智「様子がおかしいな、とりあえず私の部屋に来い」

ーー那智の部屋


那智「酒に頼るのは悪とは言わないが、お前は依存症になるほど溺れたんだろう」


隼鷹「昔は…酒のことしか考えられなかった」


那智「困ったからと言って酒を頼るのは間違いだ」


隼鷹「じゃああたしはどうしたらいいんだよ…」


那智「相談には乗ってやるが答えを出すのはお前自身だ。暫くの間忘れるのも手段の一つではある」


隼鷹「忘れる…」


那智「常に考える必要は無い。時間を決めてそのことに集中して考えるのは悪くはないだろう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

那智「では…一時的に考えないでいいように今度は私の話も聞いてもらおうか」


隼鷹「那智の話って…」


那智「想像通りだ、私と愛宕の事は知っているだろう」


那智「私は愛宕を憎からず思っているし好意もある。だが好意があれば必ず恋人関係にならなければいけないのか?」


隼鷹「同性だから…難しいよな」


那智「私が聞きたいのはそこじゃない。性別は関係なく聞いているんだ」


隼鷹「同性でも異性でも、好意があるなら恋人にならないといけない……」


那智「それは違うだろうと私は考えている」


隼鷹「…結果を求めるか過程を大事にするかの違いじゃないのか?」


那智「結果も過程も必要の無い関係があっても……」

ーー


隼鷹「…そうだよな、誰でも悩みはあるんだもんな」


那智「そんなのは龍驤を見れば明らかだろう。奴はいつでも頭を抱えて悩んでいる」


隼鷹「ちょっと…重く考え過ぎてた。そんで答えを急がないとって思い込んでたみたいだなぁ」


那智「お前と不知火の仲は良好だ、焦る必要はなにもない」


隼鷹「その通りかな…久しぶりにテンパってちょっとおかしくなってたのかなぁ」


那智「不安なら霞に強めの薬を出してもらえ。仲間は頼る為にあるんだろう?」


隼鷹「そうだな、ありがとな那智!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


整備士『傀儡の艦娘は解体しない方がいいよ』


提督「どうしてだ?」


整備士『何が起こるか保証できないんだ。僕が作った傀儡なら大丈夫だけど、旧大本営が作ってた傀儡はね…』


整備士『爆弾が仕掛けられてるのは知ってるでしょ?最悪はそれが爆発して死んじゃうね』


提督「爆弾を取り除く手術を受けさえすれば問題は無いんだな?」


整備士『その通りだけど、傀儡の艦娘がどれだけの数が居るのか把握できてる?』


提督「……」


整備士『現実的なのは解体せずに現状維持になると思うよ』

整備士『解体じゃなくて除籍はどうなの?それなら解体しなくて済むよね?』


提督「除籍だと人間としての扱いがされない。艦娘という物扱いだ」


整備士『それは法を定めた人がおかしい。艦娘も傀儡も生きているんだ』


提督「それは俺がどうこうできる問題じゃないんだ」


整備士『本当に人間は自分勝手だなぁ…やっぱり僕は人間は嫌いだね』


提督「ひとまずは礼を言う。お前の傀儡なら解体しても安心だということが分かっただけでも進歩だ」


整備士『力になれたんなら良かったよ。また何かあったら連絡してね』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「ところで……伊400と夕雲の事についてすまなかった」


整備士『ああ別に構わないよ、君も人間だったというだけの事だからね』


提督「そうだな…俺も大多数の人間と変わりない」


整備士『それは違うよ、提督さんは貴重な人間だ。ちゃんと反省できるし、僕が嫌悪する人間とは種類が違うよ』


提督「いや、俺も所詮は人間なんだ」


整備士『まあ伊400は中々ヤンチャしてたみたいで彼女も反省が必要だし、夕雲君は軽く調べた後、元に戻しておいたから』


提督「…二人のことは頼む」


整備士『ちゃんと手伝ってもらってるから安心してよ。彼女達が提督さんを恨んでいるかまでは分からないけどね』

提督「……龍驤のことになると我を失ってしまうようではまだまだだな」


提督「冷静に対処しなければいけないのは分かっているが、やはり…」


提督「マシにはなってきているはずなんだが…うぅむ」


提督「龍驤がまた入院…いや、良くなってはきているんだ。俺が不安になっていてどうする」


提督「俺はもう父親なんだから冷静に…熱くならずに落ち着けばいい」


提督「……」


提督「…仕事に戻ろう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営、研究室


タシュケント「本来の夕雲は臆病だけどまじめな子みたいだね」


整備士「真面目だからこそああなってしまったのかもしれないね」


タシュケント「でもあたしが言うのも何だけど、伊400は少し過激なところが目立つよ」


整備士「そうだね……彼女は要注意かもしれないね。どうやら社会では艦娘の受け入れが進んでいるみたいだ」


整備士「その中で力を好き勝手に振るうとそれが壊れてしまう。 提督さんが話していた艦娘を人間として扱うということも、その先にあるはずだからね」


タシュケント「じゃあやっぱり彼女はバラバラにする?」


整備士「その必要は無いよ、ゆっくり正していけばきっと分かってくれるからね」


タシュケント(同志はとても正す側の人間とは思えないけど)

整備士「どうしたの?なにか言いたそうだけど」


タシュケント「…彼女を正す前にまずは同志からじゃないかな」


整備士「僕?」


タシュケント「いつまで吹雪のことを引きずってるんだい?」


整備士「彼女は…危険な存在だ」


タシュケント「それは君の意見だ、吹雪を狂わせたのは同志なんだ」


整備士「僕も…自分の誤ちに向き合えって言うんだね」


タシュケント「それしか無いよ。あたしだって偉そうに言えないけど、理由を付けて逃げるのは違う」


タシュケント「あたしは殺した数より一人でも多く救うって決めた。その中に同志も入っているからね」


整備士「そうか…うん。分かった、逃げるのはもう…やめておくよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


白露「……」土下座


電「……」


漣「いやぁこれぞ正に修羅場ですな」


電「ちょっと黙ってて欲しいのです」


漣「…うぃっす」


漣(電は怒ると怖いと聞いてましたが本当みたいですねぇ。この睨みは素人じゃできませんよ)


漣(まあ今回のは白露さんが悪いんで擁護はしませんが、暴力を働いたら止める程度にしておきましょう)


漣(面白がっちゃいけないのは分かってますけど、こんなの興味津々に決まってるじゃないですかヤダー)

漣(響はもうすぐ居なくなって暁は大抵レ級と一緒。雷はラジオやテレビの仕事で忙しいんで電は拠り所が欲しかったんですな)


漣(その相手に白露がいいかもと思っていた矢先にこれ…一度抱かれたことを忘れただけでも重罪なのに、これはいけませんよぉ)


漣(電の心の内は大体分かりましたけど、白露さんはどうなんでしょうね……気になるんで動きますか)


漣「…ここは漣が仲裁させてもらいますよ。おおよその事情は聞いているので白露さん、何か言いたいことはありますか?」


白露「…一度抱いたことを忘れるなんて、一番最低なことをしました」


電「……」


漣「普段から遊びまくってる白露さんからすれば、電さんを抱いたのは一度くらいの遊びだと思ったんですね?」


白露「その時は…」


電「その時もクソも無いのです」


白露「違うの…話を聞いて」

白露「夕立が幸せそうにしてるのを知って…時雨も最上といい感じだし……こういうのも悪くないのかなって…」


漣「こういうのとは?」


白露「真面目な付き合いっていうのかな…真剣な交際というか」


電「……」


白露「ねぇ電…チャンスをくれない……?もう悲しい思いはさせないから…」


漣「…と仰ってますが?」


電「安価」


下2 電の台詞やその他起こったことなど

電「……」スッ


漣(お、動く…殴るなら止めないとですけど…)


電「電は……初めてだったのに…忘れられたなんて凄く悲しかったのです…」ギュッ


白露「……」


電「白露ちゃん達はえっちなことが大好きなのは知ってたのです。でも…忘れられるのは凄く辛かったのですよ」


白露「……」


電「…聞いてるのですか?」


白露「ごめん…こんな風に甘えられたの……初めてで…」


漣「そりゃそうでしょうよ、おたくら白露型のは性行為というより搾取のされ合いですからな」


白露「これ…凄くいい……今までで一番かも…」


電「大袈裟なのです」


白露「違う本当に…こんな優しく……甘い感じで…抱きつかれたことなんか無い…」


電「……」ギュッ


白露「あ、あぁ……これ…なに……?こんなの…知らない…」


漣「……あとはごゆっくり…ですかね」

ーー


漣「仲裁どころかむしろ仲が進みそうな結果で大満足ですな。これはご主人様も喜んでくれるでしょう」


潜水新棲姫「漣」


漣「んぁーー可愛い私の嫁が歩いてるぅ!」


潜水新棲姫「んん…惚気てる場合じゃないぞ。早く執務室に帰った方がいいんじゃないか」


漣「そうですよね今ご主人様一人だけですから」


潜水新棲姫「それもあるがさっきS朝潮が執務室に向かって行く所を見たんだ」


漣「…あのトラブルメーカーがご主人様の所に」


潜水新棲姫「何かあっては遅い、だから早く帰って方がいいと言ったんだ」


漣「まーた最近変なこと言い出しましたからね。忠告どうもと、早く執務室に帰ります!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「ご主人様……」ガチャッ


「……」


漣「おおっと不審者ですか、随分と大胆ですね」ジャキッ


「…あの子は結局あれを向こうに連れて行かなかったわ」


漣「動くと撃ちますよ」


「何をするつもりかまだ判らないけれど、備えていて損は無いわ」


漣「真っ白な着物でも着て何様のつもりですか」


「忠告は…したわよ」


漣「貴女…どこかで見たような顔ですね。それって…」


「……」パチンッ

ーー執務室


漣「ご主人様……」ガチャッ


S朝潮「失礼します」タタタッ


漣「…問題児に変なことでもされましたか?」


提督「いや…それが俺にも良く分からないんだ」


漣「言っておきますがね、あの朝潮はご主人様の子どもをどうにかしてもおかしく無いんですよ。極力、二人だけになるのは控えて下さい」


提督「そんなことは…」


漣「無いとは言い切れないでしょうよ。いつだったかご主人様に作った料理をご主人様が食べないなら捨てるとまで言うんですから」


漣「龍驤さんが入退院を繰り返している今がチャンスだと、思われてもおかしくない状況だと理解して下さい」


提督「……そうか」


ーー

新スレでも宜しくお願いします

ーー足りないもの鎮守府


多摩「……定時にゃ。多摩はこれで失礼するにゃ」


菊月提督「少し待て」


多摩「断るにゃ。先生の家に一秒でも早く帰りたいにゃ」


菊月提督「これからについて大事な話がある」


多摩「…仕方ないにゃ、さっさと済ませるにゃよ」


菊月提督「そのつもりだ。お前にはあることを提案するだけだからな」

菊月提督「俺と菊月達は本来この鎮守府ではない別の所に居た。その場所は無かったことになったから俺達はここに居る」


菊月提督「幹部や提督が言うからこの鎮守府の提督をしているだけであって、俺には別にやるべきことがある」


菊月提督「だがこの鎮守府を放置するわけにはいかない。後任を呼ぶと言ってもこの鎮守府の事情を知らない物には難しい」


菊月提督「後任を任せるのなら俺や提督が知る人物が最適だな?」


多摩「そうにゃね」


菊月提督「…知っているか?元艦娘が所属している鎮守府の提督を任されることがあるらしい」


多摩「……にゃ?」


菊月提督「俺は多摩にこの鎮守府の提督をやってもらおうかと考えている」


多摩「ちょ……待って…」


菊月提督「もちろん今すぐという話じゃない。将来的な話として考えてもらいたい」


多摩「冗談じゃないにゃ……」


菊月提督「俺は冗談は言わない。話は以上だ、引き留めて悪かったな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「ちょっと待つにゃそんな言いっぱなしで終われるわけないにゃ!」


菊月提督「急いでいるんだろう」


多摩「それとこれとは話が別にゃ!いきなり急過ぎるし多摩にも家庭生活とかあるにゃ!」


菊月提督「それは分かっている」


多摩「他に…候補は無いのかにゃ?」


菊月提督「ガングートも悪くないがロシアとの関係が複雑になる可能性がある。北上は素行に問題が見受けられる」


菊月提督「秘書艦としての能力も高いのは知っているし消去法でいってもお前になる」


多摩「そんなつもりで秘書艦はしてなかったにゃ…」


菊月提督「こちらも適当に選んだわけじゃないということを知って欲しかっただけだ」


多摩「にゃぁぁ……」

多摩「多摩が提督……?」


菊月提督「そこまで動揺するとは思わなかったな」


多摩「動揺しない方がおかしいにゃ…」


菊月提督「引き受けろと念を押すわけじゃないが、何も知らない後任にこの鎮守府を任せられると思うか?」


多摩「……無理にゃ」


菊月提督「お前でなくともここと関係のある艦娘が最適なのには変わりないぞ」


多摩「他の誰かなら…多摩が…にゃ……」


菊月提督「お前にとっても悪い話ではないからな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「そもそも菊月提督は何をするつもりにゃ?富士の成長のことも考えたら安定してたほうがいいはずだにゃ」


菊月提督「かつて俺たちが居た場所…それを調べるんだ」


多摩「あの繭があった所かにゃ」


菊月提督「俺たちの痕跡は全て無かったことになっている。それを調べるのは今しか無い」


菊月提督「菊月達だけでも十分だったかもしれないが、富士も自分の力をコントロールできるようになってきた」


多摩「……あんな子どもを使うのか」


菊月提督「使いたくなかったがそれしかない。そもそも富士をあの姿にしたのは龍驤だ」


多摩「それは…」


菊月提督「なぜ富士がああなったのか。それも含めて全てを明らかにしたい」

多摩「提督を続けながらは不可能なのかにゃ」


菊月提督「いつ帰ってこれるか分からない上に命の保証もない」


多摩「死にに行くなら全力で止める」


菊月提督「お前に菊月が止められるのか?」


多摩「……富士が悲しむぞ」


菊月提督「海月姫は置いていく。彼女は俺たちの過去とは関係が無い」


多摩「納得するはずが無いだろう…」


菊月提督「それは俺たちの問題だ。多摩は干渉する所じゃない」


多摩「はぁ…これだからもう……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「自分達だけでやろうとするな、そうやって突っ走った結果、どうなるか分からないお前じゃないだろう」


菊月提督「関係の無い奴を巻き込む必要は無い」


多摩「なぜ決めつける。どうせなら皆、それこそ大本営も巻き込んで万全の体勢でやればいい」


菊月提督「大本営……」


多摩「今の大本営はお前達の敵じゃない。横須賀も頼れるはずだろう」


菊月提督「……」


多摩「よく考えるのはお前もだ」

ーー多摩の家


多摩「にゃあぁぁ…」


先生「凄い話になってるみたいですね」


多摩「多摩が提督なんて無理にゃし…菊月提督もなにを考えてるんだにゃ…」


先生「多摩さんが提督……少し見てみたい気もしますね」


多摩「にゃ…?」


先生「戦う姿も素敵ですけど、凛々しい姿も…」


多摩「にゃ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「多摩のこと……好きなのにゃ…」


先生「どんなことをしてても多摩さんは素敵ですよ」


多摩「先生……」


先生「……」スッ


多摩「……いやいや、そんな場合じゃないにゃ!」


先生「そ、そうですね…」


多摩「もし多摩がその話を受けなかったらどうなると思うにゃ?」


先生「受けないと…難しいですね。他に適任が居ないのかもしれませんね……」

先生「それともし提督になったとして……」


多摩「先生と過ごせる時間は少なくなるにゃね」


先生「そうですね…」


多摩「それは嫌だにゃ…先生と過ごせる時間はなによりも大切なんだにゃ…」


先生「でも……我儘は言えませんよね」


多摩「…にゃ」


先生「過ごせる時間が少なくなっても、多摩さんを思う気持ちは変わりません」


多摩「…嬉しいにゃ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「新しい仲間ができていた…その事が意識できてなかったのか」


深海海月姫「あなたが何を考えてるかくらいわかるわよぉ…だって『夫婦』じゃない」


菊月「……」


菊月提督「菊月…」


菊月「…元がどうあれもう切っても切れない関係なんだ。なら協力して最善を尽くすしかないだろう」


菊月提督「…そう言ってくれるか」


菊月「あんな深海棲艦だけに任せるわけにはいかない」


深海海月姫「あらぁ…言ってくれるわねぇ」


菊月「言う権利は私にはある」


深海海月姫「うふふふ…」

菊月「…司令官、本当にやるのか」


菊月提督「やらなければいけないことだ」


菊月「最悪どうなるか分かっているか?」


菊月提督「死ぬ程度では済まないだろうな」


菊月「この世界から消えるだけじゃない、存在自体も無かったことになる」


菊月「私も司令官も深海海月姫も…富士を除く全ての存在が消える」


菊月「そのリスクがあるなら、無理にやるべきことではないんじゃないか」


菊月提督「俺は無理をしてでもやるべきことだと思う。この世界に俺達が存在している限りはやるべきなんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ガチャッ


曙「今俺達って言ったわね?なら私達にも手伝わせなさいよ!」


菊月提督「……曙達はともかくお前達は関係ないだろう」


北上「そんな大変なことなら黙ってられないんだよね~」


深海夕張「この鎮守府の伝統みたいなものですね」


ガングート「私達の提督なら分かっているだろう?」


リュウジョウ「司令官、断るわけにはいかんと違うかな」


千代田「提督の為なら例え地獄でも着いていくわ!」

朝雲「できることがあるならなんでも手伝うわ!」


山雲「サポートは任せておいて~」


ヴェールヌイ「少しでも恩を返したいんだ」


グラーフ「こ…怖いけど……本当はやりたくないけど…」


菊月提督「…グラーフまで来てくれたのか」


曙「グラーフどころか全員よ!何回言っても一人で全部なんとかしようとするでしょ!いい加減にしなさいよクソ提督!!」


菊月「…どうやら協力してもらうしか無いようだな」


菊月提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

雲林院「なんだ全員ここに居たのか」


菊月「……雲林院」


雲林院「ここに入るのに憲兵に許可はもらったからな」


曙「アンタはなにしに来たのよ」


雲林院「これをお前たちに渡しに来た」スッ


リュウジョウ「箱……?」


菊月「それはお前にとって大切なもののはずだぞ」


雲林院「……夢を見たんだ」

雲林院「知らない『雲林院』が箱を使え、そして友人を助けろと言ってきたんだ」


菊月「このタイミングでか」


雲林院「そっちの事情は知らない。だが助けにはなるはずだろう」


菊月「その通りだ…これは私が使う」


雲林院「好きにしてくれ」


北上「さて、お膳立てはこれくらいでいいかな?」


深海夕張「指揮は貴方がお願いします!」


ガングート「私達の提督なんだからな」


菊月提督「俺の…俺達の為に…」


深海海月姫「いい仲間に…巡り会えたわねぇ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月提督(このまま向かっていいのか?まだ何か「足りないもの」は無いか?)


菊月提督(確かに戦力は充分だろう、このメンツに勝てる奴はそうは居ないはず)


菊月提督(だがなんだこの胸騒ぎは……)


菊月「どうしたんだ司令官」


リュウジョウ「今更怖気ついとったらあかんで!」


千代田「全部ぶっ飛ばしてやるわよ!」


菊月提督「……」


下3 コンマ判定

偶数 ○
奇数 ×
ゾロ目 ?

菊月提督「…少し時間をくれないか」


曙「ここまで来て止めるって!?」


菊月提督「違う、かつて繭のあったあの場所への出撃は行う。だがもう一つ準備がしたい」


望月「これだけ揃ってるのにまだ必要なの~?」


菊月提督「必要なんだ」


菊月「司令官がそう言うのなら今は止めておこう」


菊月提督「ありがとう…準備ができればすぐに知らせる」

ーー足りないもの鎮守府、地下室


菊月提督「おかしい…ずっと何かが足りないと思っていた。この違和感は今に始まったことじゃない」


菊月提督「しかしその違和感は泡のように消え、いつしか考えることすら無くなってしまった」


菊月提督「それは俺が忘れたからじゃない…考えることができなかったからだ」


菊月提督「かつての世界から切り離され…もう干渉できないものだと思っていた」


菊月提督「そう、思っていただけだ。本当は始まってすらいなかったんだ」


菊月提督「足りないもの鎮守府には縁もゆかりも無いが、あるとすればここだ」


菊月提督「提督から聞いた。この隠された地下室にはドラッグが山のようにあって、艦娘に投与される実験が行われていた」


菊月提督「そんな曰く付きの場所だからこそ……」


「……」


菊月提督「そうだよな…やっぱりお前はここに居るな」


「久しぶり…ね……もう忘れられたかと……思ったわ…」


菊月提督「ついさっきまで忘れていたさ。思い出したのは運があったのかもしれない」


「運に…感謝しなくちゃね……」


菊月提督「これだ……紛い物じゃなく、これこそが本物の忌玉…」


如月「さぁ……終極へ行きましょうか……」


ーー

今日はここまでです

人が居るなら少し更新しようかと思うんですがどうでしょうか

ーー霞の部屋


榛名「体調は悪くありませんか?」


霞「思ったより平気ね。日頃から徹夜してる甲斐があったって所かしら」


榛名「笑えない冗談ですね…」


霞「母乳をあげるのに二時間おきに起きたりするけど、私からすれば二時間も寝られるって感覚ね」


榛名「霞ちゃんは頑張り過ぎです、提督もそんなことは望んでいないじゃないですか」


霞「それは分かってるけど私がそうしたいのよ。皆んなが私を頼ってくれるのが嬉しいっていうのもあるけど」


霞「もちろん皆んなの中にはお姉さまも入ってるわよ。お姉さまが居なかったら今の私は無いわ」


榛名「それは榛名も同じです、霞ちゃんが居たからここまで来れたんです」

かすみ「ふぇぇ…」


霞「あら起きちゃったわね。ちょっと待ってて…」


榛名「手伝いますよ霞ちゃん」


霞「ありがとうお姉さま…よいしょ……」


榛名「こうして見ると…本当に母親になったんですね…」


霞「今更なに?」


榛名「ごめんなさいちょっと……」グスッ


霞「情緒不安定なのお姉さま…なんて、冗談よ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

霞「ほらかすみ、榛名おばちゃんよ」


かすみ「だぁ…」


榛名「私が榛名おばさんですよー」


かすみ「ふぁぁ…」


霞「あら笑顔になったわ。お姉さまのことが分かってるのかもしれないわね」


榛名「そうだとしたら嬉しいですね」


霞「榛名おばさん……そんな歳じゃないのに、呼び方としてはそうなっちゃうわね」


榛名「榛名はそれで構いません、霞ちゃんとは間違いなく姉妹なんですから」


霞「おばさんって呼ばれるのが私達の絆の証ってことね」

コンコン


霞「入ってきていいわよ」


提督「榛名も一緒だったか」ガチャッ


榛名「提督はお昼休みですか?」


提督「そうだ、休憩がてら霞達の様子を見に来たんだ」


霞「この子はあなたに似ていい子よ、子どもってこんなに愛しいのね」


提督「あぁ……俺と霞の子ども…」


霞「ほらあなたが抱きなさいよ。この子の父親ならそれらしく振る舞わないと」


提督「よし……」スッ


かすみ「んぇ…」


榛名「幸せそうな顔……」


霞「かすみも司令官のことが好きみたいね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

榛名「目は霞ちゃんに似てよかったです。提督のような怖い目より可愛らしい霞ちゃんの目が素敵です」


霞「でも口元は司令官に似てるわよね」


榛名「耳の形も提督に似てます。でも鼻の感じは霞ちゃんで可愛らしいです」


提督「…榛名は本当によく見ているな。親の俺と同じかそれ以上だ」


榛名「当たり前です、霞ちゃんは大事な妹であって何度も体を重ねたんです。目をつぶっても霞ちゃんの顔は分かります」


提督「目をつぶったら分からないだろう」


榛名「例えで言ってるんですよ!それくらいわかって下さい!」


提督「あ、あぁ…」

霞「…お姉さま、抱かれた数で言えば司令官の方が多いわね」


榛名「そんな!?」


霞「お姉さまの方が期間は長いけど司令官とは濃度が濃いって感じかしら」


榛名「そんな……私の方が霞ちゃんを大切に思ってるのに…」


提督「回数の問題じゃないだろう」


霞「そうよ、お姉さまも司令官も大切な家族。それでいいじゃない」


榛名「霞ちゃんがそう言うなら…」


霞「私はこれで幸せなの。本当に家族ができて良かったわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

かすみ「んぁ~~」ギュッ


霞「あら…」


榛名「霞ちゃんと榛名の指を掴んでます…」


提督「これで本当に繋がった…ということになるな」


霞「うふふ、そうね」


榛名「はぁぁ…とっても可愛いです……」


提督「可愛いな…」


霞「可愛いわよね……」

コンコン


S朝潮『司令官、そろそろ仕事に戻って下さい』


提督「おっと…もうそんな時間か」


榛名「いつの間にこんなに時間が経ったんでしょうか」


霞「かすみは私に任せて二人は自分の持ち場に戻りなさい」


榛名「そうですね…それでは榛名は出撃の準備をします」


提督「俺は鎮守府に戻ろう。すぐに行くから朝潮は先に行っててくれ」


S朝潮『わかりました』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「かすみは本当に可愛いな…親バカの気持ちが理解できる」


S朝潮「……」


提督「霞との間に子どもを作ると決めた時は色々と葛藤があったが…この選択をして正解だった」


S朝潮「……」


提督「どうしたんだ朝潮?」


S朝潮「なぜ八島さんは私を置いて消えたんですか…私の体が元に戻ったということは因果も元に戻っているはず……」


S朝潮「八島さんは…私に苦しめと言いたいんですね……結婚するとまで言ってくれたのに……」


提督「本当にどうしたんだ朝潮……」


S朝潮「…すいません司令官、お昼休みはまだ終わっていないんです」


提督「なに?」


S朝潮「ちょっと私の部屋まで来てもらいます」グイッ


提督「お、おい…なんなんだ一体…」

ーーS朝潮の部屋


提督「一体なんだって言うんだ?」


S朝潮「司令官はこれから私と繋がるんです」


提督「お……おい…」


S朝潮「大丈夫ですよ、司令官に記憶は残りません。安心して眠って下さい」


提督「な…ん……」パタッ


S朝潮「もう敷島になれなくてもこれくらいのことはできます」シュルッ


提督「……」


S朝潮「八島さんが最も傷付くのは私がこういうことをすること。それくらい分かってるんですよ」


提督「……」


S朝潮「八島さんに見せつけてあげましょうね司令官」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「……やられたからやり返す、それでは同じことの繰り返しじゃないですか」


S朝潮「八島さんが訳もなくこんなこと…でも八島さんなら……」


S朝潮「……とりあえずは謝っておきます。八島さん、ごめんなさい」


S朝潮「……」カタカタ


S朝潮「やっぱり…震えちゃいますね……自分からなんてとても無理です…」


S朝潮「次があるなら…司令官からやってもらわないと……」


提督「ん……」


S朝潮「大丈夫ですよ司令官…ここではなにもありませんでしたから……」


ーー

ーー


八島「ふーーー…ふーーーーっ……!!」


八島「よくやった…よく朝ちゃんを汚さないでくれたよ……!」


八島「朝ちゃんもあたしのことをよく知ってるから…ほんとに……敵に回すと厄介…」


八島「敵……朝ちゃんとは敵になる……」


八島「そうだね…朝ちゃんを守ってくれたから一つだけ……教えてあげる……」


八島「あたしが世界を滅ぼすのは確定事項。これはどうやっても覆らない」


八島「でも…考え方、解釈を変えることはできる」


八島「今日はこれまでにしとこうよ…本当……朝ちゃんが無事で良かった……」


八島「カミサマをこんなにするなんて…覚えてろよ朝ちゃん……」


ーー

今日はここまでです

また土曜日が微妙なので今日は更新しておきます

ーー足りないもの鎮守府


曙「つまりあんたが裏切ったんじゃなくて、途中から『アイツ』に乗っ取られたっていうのね」


如月「ええ…私が裏切ったと思われても…仕方ないわ…」


菊月「どこからお前じゃなかったんだ」


如月「扉の話を…貴方達に持ちかけた辺り…」


千代田「結構前からじゃないのよ!」


グラーフ「全く違和感は無かった…」


如月「ずっと…裏で見ていたんでしょうね…」


望月「あたしの予知でも見えなかったしそりゃ無理だ」

菊月提督「如月も加わったことで準備も整った。これであの島に行ける」


菊月「あの繭があった場所には廃墟となった鎮守府がある。今も残っているかはわからないが…」


曙「あの繭が島ごと吸収したから残ってないんじゃない?」


望月「その辺は行けば分かるって~」


菊月提督「多摩達も協力してくれる。何か手がかりの一つでも見つけよう」


如月「私も…サポートするわよ…」


菊月「…行くぞ、私達の未来のために」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー%E7%85%89%E7%8D%84


多摩「島がある……繭に飲み込まれて消えたはずなのに…」


深海夕張「深海棲艦の姿も見当たりません」


北上「どうやら存在するのは島だけじゃないみたいだね~」


菊月「鎮守府だ…」


望月「廃墟になってるけど間違いなく鎮守府だね」


曙「見覚えもあるんじゃないかしら」


グラーフ「ううう…怖い……」


菊月「とりあえず上陸する。そして各自にこの島を調べてみるぞ」

ーー


曙「もう殆ど忘れかけてるけど…記憶が確かならここに井戸がある」


曙「…あった。水は枯れてるみたいだし、中に入って調べてみましょう」


……


曙「よっ……と。これくらいの深さならちゃんと降りれるわね。さて、どうしたものかしら」


曙「なんとなく井戸を選んでみたけどどうやら大当たりみたいね。こんな洞窟みたいに横穴なんて普通無いもの」


曙「この奥に…なにかがあるのね」


曙「暗いけど…あたしの能力を使えば問題無いわね」ボボボッ

ーー


曙「奥まで来たけど酸素が届いてる。やっぱりなにかがあるのね」


曙「着いた、ここが最奥ね」


曙「……なるほど」


曙「こんなものが隠されてたって訳ね。だからこの島も再び姿を表した」


曙「鏡……真っ黒で何も写さない。これは今を写すものじゃない」


曙「これは回収していきましょう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「ここに来てから箱が震えている…気のせいじゃない」


菊月「何かに反応しているのか?だとすれば…」


菊月「……死体」


菊月「私達があの時見つけたのは艦娘や深海棲艦の死体。殆どが外側からの傷が原因で死んでいた」


菊月「だが例外も居た、あの時の私と同じように鯖があり内側から食い破られた死体があった」


菊月「……その死体があった部屋に行ってみるか」

ーー


菊月「……死体だ」


菊月「どうしてあの時のままの姿で残っている?」


菊月「これは…どういうことなんだ」


菊月「……」グチャッ


菊月「ミイラ化もしていない、ついさっき死んだような形を保っている」


菊月「内側から食い破られた跡……位置から考えれば子宮だ」


菊月「リュウジョウの時と同じようなことが起こったのは間違い無さそうだ」


菊月「……その中身はどこに消えた?」


菊月「繭の中身であるはずの幼体は…どこに……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「待て、ついさっきだと……あの時あの後何が起きた?」


菊月「……」


菊月「嫌な予感がする。全員に集合をかけるか」


菊月『聞こえるか、一度全員で集まるぞ。足りないもの鎮守府の奴らも連れて来い』


望月『場所はどうするの~?』


菊月『入り口のすぐ横にある会議室にする』


望月『了解~』


菊月「嫌な予感が当たらなければいいが…」

ーー会議室


ゴォォォォォ


菊月「クソ…やっぱりか」


千代田「なによこの大嵐!これじゃあの時とまるで同じじゃない!」


多摩「前にも同じことがあったのか」


菊月「そうだ、その結果私達はここに…」


ハグロ「ねぇ曙はどうしたの?」


菊月「……望月」


望月「う…わ…………」


千代田「まさか…」


望月「井戸の奥で……土左衛門…」


菊月「予知ができなかったのか」


望月「急な嵐だったから…いやでもそれはおかしいって……」


菊月「お前の予知で見えなかったのならまだ希望はある。急ぐそ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「曙ーーー!」


千代田「…手遅れだったみたいね」


グラーフ「そんな……」


ブクブクブク…


曙「……ぶはっ!!」


菊月「曙!」


曙「なんなのよ急に…ってこの大嵐じゃ納得ね」


菊月「ギリギリセーフか。望月、やはり間に合ったということは…」


望月「……」


菊月「…どうした」


望月「知らない知らない知らない知らない…」ガタガタ


菊月「……」

望月「曙が死んでるし生きてるし死んでるし……」


曙「こんな望月見たことないわよ」


菊月「とにかく外は危険だ、一旦中に帰るぞ」


望月「ダメ!!中に戻ると死ぬ!」


グラーフ「じゃあこのまま外に!」


望月「あああぁぁっ!!このまま外に居ても死ぬ!!」


曙「なにが起こってるのよ…」


菊月「落ち着け望月、予知能力はお前にしか無いんだ。お前が冷静でなければ私達は道を間違える」


望月「ううううぁぁーーーー!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

如月「望月…気を確かに……ここはそういう場所なのよ…」


菊月「どういうことだ?」


如月「ここには…あらゆる死が渦巻いてるの…それに飲まれてしまけば…現実になってしまう…」


千代田「ここはA島じゃないの!?」


如月「ここは限りなく彼岸に近い場所…天国と地獄の間の…煉獄…」


菊月「半分あの世。だからあの死体もあったということか」


如月「そういうことね…」

グラーフ「つまり私達は死んだ!?」


如月「いいえ…まだ帰ることはできる…」


曙「早く帰らないとおしまいってことね。なら帰るしかないわ」


千代田「この嵐を足りないもの連中を連れて帰るの!?」


如月「飲み込まれてしまえば終わり…神隠しのように…二度と帰ってはこれない…」


曙「帰るしかないわよね菊月」


菊月「…まだだ。まだ調べ足りない」


曙「正気!?」


菊月「どちらにせよこの嵐では帰れない。嵐の様子を監視する組と探索組で別れて行動だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー鎮守府内


菊月提督「驚いたな、設備はまだ生きているようだ」


多摩「あの外観からは考えられない…」


北上「時間の流れがおかしいとか…なんてね」


深海夕張「いえ、あながち間違ってないかもしれません。保管庫には資源や食料も備蓄されていました」


北上「……笑えないんだけど」


菊月提督「この嵐では帰ろうにも帰れない。しばらくは持つだろうが…」


神威「ふー…ふーっ…」


多摩「息が荒いようだがどうした」


神威「思い…出してきた……ここで…何があったか…」


菊月提督「聞かせてくれ神威…いや、北方水姫」

神威「私は…私達は……この鎮守府で…艦娘と共に……過ごして…」


神威「提督は……私達にも好意的に…ここは…楽しい場所……」


神威「提督は……艦娘だけじゃなく…私達も…愛してくれた……」


神威「やがて……子どもができて…皆んなで喜んで……」


神威「う、うぅぅぅ……」


北上「ちょ、ちょっとさぁ…」


深海夕張「様子がおかしい……」


多摩「…全員コイツから離れろ」


神威「艦娘も増えて……幸せだった……それなのに…」


神威「……アイツが!!全てを終わらせたんだ!!」

神威「腹の中から…母体を食い破って……私達は全滅した…」


神威「たった一人……私を除いて…」ぐにゃっ


菊月提督「な……」


神威「お、ぉぉ…」


北上「一体なにが起こってんのさぁ!」


深海夕張「この鎮守府の時間が戻っているとすれば…そこに居た人の時間も戻ってしまう……」


菊月提督「そうか!神威を鎮守府の外に運び出せば…」


「もう遅い」


多摩「ひ……っ!」


北方水姫「……」


北方水姫「テキは…ゼンイン…シズめる…!」ジャキッ


下2 この後の展開やその他起こったことなど

深海海月姫「落ち着きなさい…」ブスッ


北方水姫「……」パタッ


菊月提督「触手で刺したのか…助かった」


深海海月姫「あなたの為だもの。さて…そろそろいいかしら」


北上「なにが…?」


深海海月姫「ここに着く前から胞子をばら撒き続けてたけど、その結果が分かったのよ」


深海夕張「…ちょっと待って下さい、胞子がばら撒けるってことは、なにも異常は無いんじゃないですか?」


深海海月姫「その通りよぉ、嵐なんて起きてないし、そもそもここには鎮守府なんて存在しないわ」


菊月提督「幻……ということなのか」


菊月「どうしたんだ!」ダダダッ


深海海月姫「ちょうどいいわ…全員一箇所に集まりましょう」

ーー


深海海月姫「見えるものが真実じゃないの…それを胞子が物語ってる」


深海海月姫「全員目を閉じて……ここはなにも無い海上…鎮守府なんかあるわけ無いの…」


北上「いきなりそんなこと言われてもね…」


深海海月姫「……」ブスッ


北上「あひぃん…」ガクッ


深海海月姫「無理だと思うなら私の触手に頼りなさい」


多摩「お願いするにゃ…」


深海海月姫「うふふ…」ブスッ


多摩「……」ガクッ


深海海月姫「さぁ…現実に戻るわよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー海上


深海海月姫「あなた」


菊月提督「……海月姫が抱えてくれていたのか」


曙「本当に幻だったなんて…」


菊月「一体何の為にあの時のままの物が見せられたんだ」


深海夕張「同じことを繰り返そうとしている人が居る…とか」


菊月「誰がなんの為に?」


如月「一人しか…居ないんじゃないかしら…」


菊月「…『アイツ』か」

如月「それだけじゃない…大いなる兵器を作って…罪を繰り返そうとしている…」


深海夕張「八島…」


如月「人の罪は…人が清めなければならないの…そうしなければ…」


菊月「……誰だ!?」


「……」


千代田「浮いてる!?」


グラーフ「ど、どうせ手品か何か…」


如月「いいえ…彼は本物よ…」


グラーフ「ひぃぃっ!」


菊月「貴様があの幻を作り出していたのか」


「違う……我は……呼ばれたのだ……」

「あの艦娘のように……自らを犠牲にしなければ……」


菊月「答えろ、呼ばれたとはどういうことだ」


「其方達ではない……」


菊月「…」ジャキッ


「それは……お前が持っていてはならない……」スッ


曙「あ…!井戸で見つけた鏡!返しなさいよ!」


「これは鏡ではない……道標なのだ……」


菊月「お前は敵だ、ここで倒す」


「……さらばだ」


カッ

ーー足りないもの鎮守府


深海海月姫「ここは…」


深海夕張「戻ってきてる……どうして…」


菊月「…収穫はあったと思うしかないな」


曙「やっぱりあそこには何かがあるのね」


菊月提督「それが分かったのが一番だ。俺達があそこに行くことでああいうことになるという可能性もある」


千代田「一体なんだっていうのよ…一つも理解できないわ」


グラーフ「戻ってこれて良かったぁ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


S朝潮「また力を貸して欲しいんです。意味は分かりますよね?」


潜水新棲姫「あそこでの話は無かったことにしたんじゃないのか」


S朝潮「…お願いします」


早霜「分かったわ…島風にも連絡しておくわ」


S朝潮「はい」


潜水新棲姫「……」


S朝潮「おそらくは八島…いえY子さんは兵器『八島』をあえて現界させてそれを壊そうとしているんです」


S朝潮「先に『八島』を破壊する事で逆因果を刻むつもりなんです。結果を壊せば原因は存在しなくなる」


S朝潮「旧大本営が作った紛い物じゃない…彼岸で見たあの空中要塞が未来の『八島』…真の姿なんです」

早霜「そんなことをして八島に利点はあるの?」


S朝潮「自分自身を壊すことで扉の解釈を変え…世界が滅ぶという運命を終わらせようとしている……」


早霜「あの八島がそこまでするとは思えないわ」


S朝潮「…私は八島さんを信じます」


早霜「信じる…ね。あのカミサマモドキの八島を」


S朝潮「……」


早霜「因果なんか自分の思い通りになんてならないのよ」


ーー

ーー


八島「あの空中要塞は未来のあたし。終極を迎えた世界でただ唯一の存在となった」


八島「この結果はどうやっても覆らない。八島という名は受け継がれ世界を滅せるだけ滅ぼす」


八島「終極の姿を壊しただけで…因果が消える?」


八島「ふぅーん…へぇぇ……そうなんだね…」


八島「果たしてそれは合ってるのかな?それとも間違っているのかな?」


八島「合ってようが間違っていようがあたしが教えるわけないけどね~」


八島「……ま、この鏡は誰にも渡せないのは本当だけどね」


八島「きひひひひ~~」


ーー

今日はここまでです

少し更新できそうです

ちょっとあとからいきます

ーー執務室


漣「体調の方はどうですか?」


提督「悪くない…と言っても自分で思っているだけだがな」


漣「セ…の依存症もマシになってきているんですよね?」


提督「けん玉はきっかけに過ぎなかったが、うまく気分転換もできている」


漣「かすみの世話をしてるのも関係してるでしょうね」


提督「それはある。必然的にやることが起こるし、一日中手伝っても足りないくらいだ」


漣「いいタイミングだったと思えば素敵ですなぁ~」

漣「響さんは解体という道を選び、隼鷹さん等自分のやりたいことを見つけている人も多いみたいです」


提督「良いことだと思う。艦娘という生き方に縛られるのは違うからな」


漣(それはそうですけど、もし響さんのように解体される艦娘が増えてしまえばご主人様の今後に影響します)


漣(横須賀鎮守府の提督として相応しくないと…大本営にそう判断されるんですよ)


漣(でも…このご主人様ならそれくらい知ってるんでしょうねぇ。そして漣達には黙っていると)


漣(この人の自己犠牲的な考え方は一回矯正すべきですよねぇ…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣(とはいえ、持って生まれた気質をすぐに変えるのは難しいのは確かです。問題を抱え込まないようにするには……)


漣(問題を起こさないようにする…ですかね。蒼龍さんと青葉さんを天城さんの所に左遷できるのは大きいです)


漣(あとは天龍さんと龍田さんをどうにかできれば…この二人は強制解体も視野に入れるべきです)


漣(要は艦娘側の努力も必要なんですよ。ご主人様に悟られる前に事を進めておきましょう)


漣(漣の願いはご主人様が幸せになることと、嫁との幸せな生活。それを邪魔する障害はどんな手を使ってでも取り除いてやりますよ)


提督「……」

提督(夕雲と伊400…あの二人を解放したからといって、水に流して終わりとはならない)


提督(俺が謝って済むのならそれに越したことはない。だがそう簡単に終わるのか…?)


提督(俺の首でどうにかなるのなら安いものだ。もう俺が絶対に必要でないということも無いだろう)


提督(クビか…せめて隼鷹のように解体を望んでいる艦娘を、全員解体させてからだ)


提督(所属艦娘の解体は褒められたものでは無い、戦えなくなっただの特別な理由がない限りは提督にとってマイナス評価になる)


提督(解体を望んでいる艦娘を解体し、夕雲達の件を含めて責任を取る…)


提督(俺が描いた通りにうまくいけばいいんだがな)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「と、言う事を考えているんだが」
霞ママ「

ーー


天龍「漣が俺達に話?」


漣「ええまぁ少し気になることがありまして…そういえば龍田さんは相変わらずですか?」


龍田「……」


漣「ご主人様に依存すると言ってらしたようですが、そのご主人様はかすみのことで精一杯なんですよ」


龍田「知ってるわよ…」


漣「そりゃあ調子も悪いですよね。霞の薬はちゃんと飲んでますか?」


龍田「飲まないと…今にも狂いそうよ……」


漣「……なるほど」

天龍「それがなんだって言うんだよ」


漣「お二人とも辛いのはよく分かります。なので漣は楽になれる方法を提案しようかと思っているんです」


漣「その方法はですね、ズバリ強制解体です」


天龍「テメェ…!ふざけんじゃねぇぞ!!俺と龍田に死ねっていうのか!」


漣「はい」


天龍「な…!!」


漣「漣なりに考えた結果です。未来に希望が持てず毎日苦しんでいるだけなら楽になるのが一番なんです」


漣「人間は安楽死が認められていませんが、艦娘には強制解体という素晴らしい制度があるんです」


漣「龍田さん、この苦しみから永遠に解放されるんですよ」


龍田「永遠に……」


天龍「お、おい…嘘だろ……?」


漣「漣はお二人に幸せになって欲しいんです。生きることが辛いのなら無理に生きる必要はありません」


漣「自殺なんかじゃなく強制解体ならば、艦娘として立派な最期を迎えられるんですよ」


龍田「……」

漣「ここだけの話ですが…ご主人様は提督を辞めるようです…」ボソボソ


龍田「……」


漣「次の提督が着任しても…今と同じ扱いをされるかわかりません…」ボソボソ


漣「ご主人様のように理解のある提督…もう二度と会えません…」ボソボソ


漣「新しい提督に捨てられるなら…今しかありませんよ…」ボソボソ


漣「これが…最後のチャンスですよ……」ボソボソ


龍田「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣(これからもご主人様に依存し続けるのか、自分の足で立てるようになるのか…ここが分岐点です)


漣(ここで立てないというのなら本当に強制解体しかありません。ご主人様の負担を減らすことが第一なんです)


漣(言った瞬間殴りかかってくるくらいを期待したのに……なに真剣に考えてるんですか!)


龍田「……」


漣(え、マジのやつですか?本当に強制解体?そんなことになったらご主人様の精神病み病みですけど?)


漣(あの…お二人とも……返事をくれませんか…?胃が……ストレスマッハなんすけど…)


下3 コンマ判定


偶数 ○
奇数 ×
ゾロ目 ×××××

たのむたのむたのむ

ふぃー
しんぞうにわるい……

龍田「提督に……甘え過ぎていたのかもしれないわね…」


漣「……」


龍田「そうよね……提督だっていつここを去ってもおかしくないんだもの…そんな人に依存してたなんて…」


漣「それを許していたご主人様も悪いんです」


龍田「いいえ…私が悪いのよ……」


天龍「なぁ龍田…」


龍田「平気よ……だからといって解体しようだなんて思わないから…」


漣「……分かりました」

漣「ご主人様と朝霜さんが通っている病院を紹介します。病状は違いますが名医になのには違いないでしょう」


天龍「俺もか…」


漣「龍田さんを一人にするんですか?」


龍田「天龍ちゃん…」


天龍「…そんなわけねぇだろ」


漣「お二人の依存は昔のご主人様と龍驤さんに似ているのかもしれません。前向きに治療を受ければきっと良くなりますよ」


龍田「ええ…ありがとう……もう少し頑張ってみるわね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー病院


「よく来てくれたましたね。漣さんと提督さんからお話しは聞きました」


龍田「……」


「龍田さん、貴女はよく頑張りました」


龍田「え……」


「自分達だけで頑張っていたのは凄いことなんです。沢山辛いこともあったでしょう」


「でもこれからは二人だけで頑張る必要はありません。私も協力させてもらえますか?」


龍田「……えぇ」


「一緒に頑張っていきましょう」

ーー


天龍「…」ガチャッ


龍田「天龍ちゃん…」


天龍「……お前はどうだった?」


龍田「今までと違う…言葉では上手く表せないけど…」


天龍「俺もそうだ。なんか……さ。認められたっていうのか…」


龍田「本当に頑張ってみようって…思えたわよね」


天龍「今までもちゃんとやってた。でも…」


龍田「…頑張りましょうね天龍ちゃん」


天龍「当たり前だろ、いつまでも提督に迷惑なんかかけらんねぇからな!」


龍田「うふふふ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

美人局かな?

提督「二人ともどうだった?」


龍田「提督…」


天龍「悪くなかった、むしろ良い感じだ。このままじゃダメだって気付かせてくれた漣に感謝するしかねぇな」


龍田「提督がわざわざ来てくれたの…?」


提督「そうだ…と言いたいところだが本音を言うなら龍驤のついでだな」


天龍「そっか、この病院に入院してんだもんな」


提督「龍田、辛いならいつでも俺を頼ってくれていいからな」


龍田「…それじゃダメなの。私は提督に依存しないで居られるようにならなきゃいけないの」


提督「そうだその調子で頑張っていこう」


天龍「じゃあ俺達は先に帰ってるからな~」

ーー龍驤の病室


提督「……」


青年「おっ…!?」


龍驤「忙しいのによう来てくれたなぁ」


青年「あ、あの…」


龍驤「キミにはまだ紹介してなかったね。これがウチの組長やで~」


青年「うわ!!」


提督「…龍驤が世話になってるようだな」


青年(もしかして龍驤さんは美人局を…!いやでも僕は何も無かったし、冗談…?)


提督「……」


青年(いやでもこの顔は間違いなく道を極めている人だ!龍驤さんは艦娘でもありヤクザ…!?)


龍驤「…司令官、やっぱりキミの顔怖いんやね。なにも疑ってないで」


提督「……」

ーー


青年「ドッキリで良かった…生きた心地がしませんでしたよ」


龍驤「ごめんごめん、出来心っちゅうやつや」


提督「…世話になっているのは本当みたいだな」


青年「いえいえそんな!僕も龍驤さんには……ってあの、その…えっと…」


龍驤「大丈夫やで、司令官は全部知ってるから」


青年「え…」


提督「龍驤の過去については全て知っている、安心してくれ」


青年「え、あの……全部知ってて……知った上で…ですか…?あの龍驤さんの…過去を……」


提督「安価」


下2 提督の台詞など

提督「龍驤のことは全部知った上で愛している。いや、知っても変わらず愛している」


青年「凄い…」


提督「確かに間違いはあったかもしれない。それでも二人で乗り越えてきたんだ」


龍驤「司令官にはほんまに迷惑かけたわ…でもこの通り熱々なんやで!」


青年「愛という言葉では足りないような関係なんですね…」


提督「それはあるかもしれないな」


龍驤「既存の言葉ではウチらの関係は表せられへんで~」


青年「凄いです…見習わなければいけませんね」

提督「こんな良い友人も出来たんだから、龍驤のやっていたことは一理あったのかもしれないな」


青年「い、いえ僕なんてそんな…!」


龍驤「そうやキミの話聞かせてや。ウチのお陰で自信ついて…その後どうなったんよ?」


青年「え、ええ?」


提督「興味があるな、是非聞かせてくれないか?」


青年「は…はい……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

青年「僕は深海棲艦との戦争で身体が不自由になってしまった人達の助けになりたい…です」


龍驤「ほぉ~」


青年「そして人間だけじゃなく、人間を守る為に傷付いていっている艦娘さんの助けにもなりたいです」


提督「立派な夢じゃないか」


青年「実は…支援施設への就職が決まったんです」


龍驤「そうやったん?おめでとう!よぉ頑張ったんやね!」


青年「ええ、大学の時から彼女に支えてもらったんです」


提督「彼女がいるのか…いや、居て当然か。彼女も君の優しさに惹かれたんだろう」


青年「彼女というかその…結婚も決まってるんです」


龍驤「えええ!凄いやんか!」


青年「はい、僕が就職できたら結婚しようって約束してて…無事に結婚することになりました」


提督「おめでとう、俺からも祝福しよう」

龍驤「お相手さんはどんな人なん?」


青年「実はですね、元々は艦娘をしてたんですよ」


提督「結婚を機に解体して引退か。しかしよく許可が降りたものだな」


青年「結婚が理由じゃありません。彼女は怪我が原因で…」


龍驤「あ…そうやったんやね」


青年「鎮守府の外で負った火傷が原因で解体することになったんです。最初は騙し騙しでもなんとかなっていたらしいんですが、やはり無理だったみたいで…」


提督「なるほどな、怪我が原因ならば解体の許可もスムーズに出るだろう」


青年「彼女のことも含めて沢山の人をサポートしていくつもりです」


龍驤「素敵やね…うん。困ったことがあったらウチらを頼りや!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「元艦娘かぁ…ちなみになんて名前なん?」


青年「『曙』です。綾波型でいえば八番艦の艦娘ですよ」


提督「……」


青年「え?あの……?」


龍驤「ごめんな……ウチのせいで性癖歪んでしまったんやね…」


青年「あ……」


龍驤「自慢できることやないけどあの時のウチ、ブイブイ言わせてた頃で……堪らんかったやろ?」


青年「いえ……あの…」


龍驤「ゴム越しでも感触は忘れられへんはずやったはずや。そうか…それで合法的にロリっ子をな……」


青年「あの……」


龍驤「安心してな、司令官も筋金入りのロリコンやから」


青年「え…………」


提督「……」

龍驤「ロリコンは悪いことや無いよ。他人に言われへん趣味や趣向は誰にだってある」


龍驤「司令官なんかヒトケタの女の子の使用済みの下着貰って、一人で楽しんでるんやもん」


青年「それは犯罪では…?」


提督「……」


龍驤「どうやらキミらとは仲良くできそうやね。良かったら今度は夫婦で鎮守府にも遊びに来てな」


青年「はい……また…是非…」


提督「なぜ…幼女提督のを…知られていたんだ……」


ーー

今日はここまでです

ーー足りないもの鎮守府


多摩「結局おみゃーらの目的とやらは果たせなかったにゃ」


菊月提督「収穫はあったが…結果としては失敗だ」


多摩「もう一度同じことをやろうとしても難しいのはわかってるにゃ?」


菊月提督「ここが手薄になってしまえばこの町が危険に晒される。そんなことをしていたら意味がない」


多摩「あんな無謀なことはもう金輪際止めてもらうにゃよ」


菊月提督「当然だな…」


多摩「ま……それはおみゃーが提督である間の話だにゃ」


菊月提督「…なに?」

多摩「菊月提督が提督でなくなった後のことは知らないにゃ。なんでも好きにすればいいにゃ」


菊月提督「俺の後任を引き受けるというのか?」


多摩「考えてやらんことも無いにゃ」


菊月提督「…助かる。前向きに考えてくれるだけでも話が違ってくるからな」


多摩(…多摩は今までビビったことも恐怖を覚えたことも無いにゃ。どれだけ強い敵が来ても弱腰になんてなったことが無いにゃ)


多摩(ある日突然提督の心が壊れて…仲間達が狂っても……多摩は最後まで正気でやり通したにゃ)


多摩(あの海域…あそこで見た幻……神威が深海棲艦に姿を変えた時、多摩は初めて恐怖を覚えたにゃ)


多摩(こんなことは今まで無かったにゃ。幻を見ていたからなのかはわからにゃいけど、敵にビビってるようじゃ艦娘失格にゃ)


多摩(いつか大怪我…沈んでしまう前に提督という道があるのなら……選択肢の一つだにゃ)


多摩(多摩が提督になって喜ぶ人が多くなるのが一番…にゃ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


幹部『結局君が睨んでいたその場所には、具体的なものは何もなかったということだね』


菊月提督「物はなかったがナニかがあることは確認できた」


幹部『集団で同じ幻を見ていたとは考えにくい。君の言う通りそこにはまだ人智を超えたものが残っているということだろう』


菊月提督「この情報は幹部や提督にも知らせておくべきものだろう」


幹部『そうだね…人智を超えたような存在は見ているし、なんなら提督君の所に存在もしている。どんなことが関係するかは分からないからね』


菊月提督「そういうことだ、どんな些細な情報が役に立つかは分からないからな」

幹部『一応釘を刺しておくよ、こんな無謀な調査はもうやめておいた方がいい』


菊月提督「同じことを秘書艦にも言われたな」


幹部『多摩君ならそう言うだろうね』


菊月提督「俺が提督でいる間はもうやらないと約束もした」


幹部『…提督を辞めるというのかい?』


菊月提督「前に話しただろう。多摩が後任を考えると言ってきた」


幹部『話は聞いていたが…多摩君が引き受けるとは思わなかったよ』


菊月提督「決定ではないが進歩があったということだ。またなにかあれば伝える」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー執務室


多摩「話ってなんだにゃ」


菊月提督「例のことについて教えておこうかと思ったんだ」


多摩「まだ確定じゃないにゃ」


菊月提督「それは分かっている。だがこの情報は知っておいた損はない。艦娘から提督になる為には試験を受けなければならないんだ」


多摩「え?」


菊月提督「簡単なペーパーテストらしいが知っておいて損はなかっただろう?」


多摩「…そうにゃね」


菊月提督「いざ受けるとなった時、準備不足で無理になると俺も困るからな。調べておくだけでもやった方がいいだろう」

ーー書庫


多摩「うにゃあぁぁぁ…」


北上「あ~あ、まさか試験内容が多摩姉が苦手なペーパーテストとはねぇ」


多摩「なんで面接とかじゃないのにゃ!」


北上「あたしに言われても困るよ~」


多摩「なんで…なんでなのにゃ……」


北上「多摩姉ってペーパーテストの出来が最悪で足りないもの鎮守府に来た感じだし、ある意味納得?」


多摩「ぐおぉぉぉぉぉ…!」


北上「まあ提督を引き受けるかどうかは未定なんだし、そこまで悩む必要もないっしょ?」


多摩「それは…でも……ぐぎぎぎ………!」


北上「まぁまぁ気楽に行くしかないってぇ~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

北上「旦那さんなら勉強の仕方知ってるんじゃない?医学部は勉強量すごいって言うし」


多摩「うにゃ…」


北上「旦那さんに勉強教えてもらいなよ~」


多摩「勉強…多摩が……この期に及んで…?」


北上「勉強はしといて損は無いんだしさ、悪くはないじゃん」


多摩「……」


北上「あ、ちなみにだけどあたしはこう見えても勉強してるからね?工廠組は日々勉強だしね」


多摩「分かった…にゃ」

ーー先生の家


先生「なるほど、事情はわかりました」


多摩「先生ぇ…勉強教えてにゃ……」


先生「それはいいんですが、多摩さんは菊月提督の後任を引き受けるん…ですか?」


多摩「それはまだ迷ってて…でも……必要になった時に遅かったらダメだから…にゃ」


先生「わかりましたけど、勉強のやり方を教えることしかできませんよ?」


多摩「それでいいにゃ…多摩だけじゃどうしようもないんだにゃ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「勉強…勉強……勉強………」


先生「多摩さん…」


多摩「艦娘が戦う事しか知らない…!?そんなこと…多摩のプライドにかけて、言わせない……!」


先生「多摩さんを見てると、受験生だった頃を思い出しますね………」


多摩「ぬぐぐぐぐぅ…!」


先生「問題に対してそんなに敵意を向けないでくださいね…」

ーー


先生「とりあえずここで一区切りにしましょう」


多摩「……」


先生「も、燃え尽きてますね…」


多摩「言えば分かるのに…なんでわざわざ文字で書く必要が……」


先生「残念ながらそれがペーパーテストなんです…」


多摩「なんだか…家庭教師と教え子みたいな感じがするにゃ」


先生「そうかもしれませんね、夜までずっと二人で勉強してましたし」


多摩「……にゃ」モゾモゾ


先生「多摩さん?」


多摩「多摩頑張ったにゃ…だからご褒美欲しいにゃ、先生」


先生「…今日は寝かせてられないかもしれませんよ」


多摩「にゃぁぁ~ん……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「ぅ…にゃ……あ…っ…」


先生(なんだか…いつもより……)


多摩(……あ!しまった、今日はまだお風呂に入ってなかったにゃ……!)


先生(背徳的というのか…なんというか……)


多摩(あ、やめ……!舐めないで…にゃ…!!)


先生(これはクセになると性癖に影響しますね…今日は早めに終わらせておきましょう…)


多摩「うにゃぁぁぁぁ~~~~……あっ……」

ーーお風呂


多摩「……」


先生「慣れない勉強はどうでしたか?」


多摩「もっとストレスを感じるかと思ったけど…大丈夫だにゃ」


先生「それは良かったです」


多摩「先生のお陰にゃ」


先生「そんな、本物の教師には負けますよ」


多摩「違うにゃ…勉強のあと……あんな激しくなんて…」


先生「…そっちでしたか」


多摩「先生となら勉強も頑張れるにゃ…先生ぇ…」


先生(こんなに甘えられてしまったら断る理由はありませんね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

先生「そういえば…多摩さんが提督になったら子どもはいつ頃にしますか?」


多摩「子ども……」


先生「時期を狙ってできるものでもありませんが、避妊をしなくなるタイミングは知っておきたいですよね」


多摩「わかったにゃ、提督と艦娘を両立する事になった時のために聞いておくにゃ」


先生「両立……できるんですか?」


多摩「にゃ?」


先生「てっきり提督専業になると思ってましたけど…」


多摩「多摩は両立できるものだと思ってたにゃ…その件も含めて菊月提督に聞いておくにゃ」


先生「お願いしますね多摩さん」

ーー翌日、足りないもの鎮守府


菊月提督「提督と艦娘は兼業できるがやっている奴は聞いたことがない」


多摩「にゃ…」


菊月提督「考えてみろ、指揮官が大破してドッグを埋めるような鎮守府はどう思う?」


多摩「大破したければいい…っていう場合じゃないんだにゃ…」


菊月提督「それにもしもの時を考えろ。俺には多摩という優秀な秘書艦が居るが、お前が沈んだあとポンコツ秘書艦が跡を引き継ぐのか?」


多摩「にゃぁぁ…」


菊月提督「定期的な出撃は現実的じゃない。緊急時に輸送や遠征というのなら分かるがな」


多摩「冷静になって考えることができなかったにゃ…」


菊月提督「お前らしくも無い。まあこんな話を多摩にした俺にも責任があるな」

菊月提督「それとあと子どもだが、いつでもいいんじゃないか。提督の知り合いで女提督が居ただろう」


多摩「女提督……にゃ?」


菊月提督「皐月が元々居た鎮守府で……胸がとんでもなく大きい女だ」


多摩「ああ…!」


菊月提督「あいつは確か提督になってからすぐに妊娠が分かったがギリギリまで提督業を続けていたらしい」


多摩「そうだったのかにゃ…教えてくれてありがとうにゃ」


菊月提督「聞かれたから答えたまでだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月提督「それと…だ。確か多摩の旦那は医者だったよな」


多摩「 そうだにゃ」


菊月提督「千歳と医者は居るが将来的にここを去ると言っている。そうなると医療の手が足りなくなるのは分かっているな?」


菊月提督「向こうは向こうの仕事があるだろうが、こっちに迎え入れることは不可能なのか」


多摩「先生に頼めばいいって言ってくれると思うにゃ。でもそれは言いたくないにゃ」


菊月提督「なぜだ」


多摩「先生の治療を受けにわざわざあの病院まで来てる患者さんも居るにゃ。先生は凄く優しいリハビリの先生で有名なのにゃ」


多摩「そんな先生に病院を辞めてだなんて…言えるはずないにゃ」


菊月提督「それはお前が勝手に決めたことじゃないか」

菊月提督「ここに来れないかと言ったがそれ以外の仕事をするなとは言っていない」


菊月提督「お前の旦那を求めているのならば、ここに個人院を開いても患者は来るんじゃないのか」


多摩「ここに…?鎮守府に個人院を?」


菊月提督「敷地内が難しいなら併設させてもいい。こっちが疎かになるのは困るが診察時間を調整すれば問題ないだろう」


多摩「先生がここに来て多摩が提督?そんな……」


菊月提督「よく話し合ってみろ、急ぐ必要はないからな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーーー


北上『多摩姉~』


多摩提督『仕事中は提督と呼べ』


北上『はいはい。多摩提督殿、先生がお呼びになってましたよ~っと』


多摩提督『用事はなんだ』


北上『ん~っとね…そうだ、オムツが切れたからそっちに予備がないって』


多摩提督『仕事中に私用の連絡とは褒められたものじゃないな』


北上『……あ、昼休みだ』


多摩提督『先生ぇ~今持っていくにゃ~~!』


北上『はぁ…やれやれ』

先生『多摩さんわざわざすいません』


多摩提督『仕事なのに赤ちゃんの世話までしてもらって申し訳ないにゃ…』


先生『いえいえ、患者さん達も暖かく受け入れてくれますよ』


多摩提督『鎮守府の隣に先生の病院があるこの環境は最高だにゃ』


先生『こうやって休み時間になればすぐに会えますし』


多摩提督『午後からは多摩が赤ちゃんの世話をするにゃ。だから先生はゆっくりしててにゃ』


先生『仕事は大丈夫ですか?』


多摩提督『秘書艦に押し付けるにゃ』


先生『あははは…』


多摩提督『先生が側に居て…こんなに幸せなことはないにゃぁぁぁぁ……』

多摩「……」


菊月「多摩はどうしたんだ」


菊月提督「珍しく妄想の世界に旅立ってるようだ」


菊月「ふん、コイツも結局俗物と同じか」


菊月提督「オンとオフの使い分けは出来ている、その辺は他の奴らとは違う」


多摩「へへ…えへぇ……」


菊月「多摩もこんな顔を晒すのか」


菊月提督「よほどのことを妄想しているんだろう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

多摩「…!!」バァンッ


菊月「どうした」


多摩「提督になる事を前向きに検討するにゃ」


菊月提督「お、おう…」


多摩「提督になる為のペーパーテストもなんとかするにゃ」


菊月提督「提督を引き受けてくれるのなら助かる。できる限りこちらも協力しよう」


多摩「やってやるにゃ……にゃあぁぁぁ!」


菊月(なにを考えてようが知らないが、司令官の問題が解決するなら協力してやるしかないな)


ーー

今日はここまでです

ーー横須賀鎮守府


朝霜「もう一度言ってみろ」


幹部「凄まれても言うことは変わらない。朝霜君から特務艦の権限を没収させてもらう」


朝霜「……」


幹部「春雨君のように特務艦で無くなることはある。特務艦に任命した時も説明はしたはずだ」


朝霜「あたいが…春雨より酷いっていうのかよ」


幹部「例えが悪かったね。春雨君は素行不良で没収したが、それ以外にも没収することはある」


幹部「君も分かっているだろう?その脚の怪我が原因で以前のような強さは発揮できない」


朝霜「なに決めつけてやがる…」


幹部「残念ながら事実なんだ。私も申し訳ないとは思っているよ」


朝霜「……」

幹部「これでも引き伸ばした方なんだよ。本来なら怪我をした時点で特務艦の権限は無くなってもおかしくなかった」


幹部「君は提督君にとって大切な存在であると知っていたから、今まで特務艦の地位を預けていたんだ」


朝霜「なんだよそれ…」


幹部「それにこれは君にとってもプラスに働くはずだ。提督君と龍驤君の養子になるには解体は免れられない。艦娘のままでは物扱いだからね」


幹部「特務艦で無くなれば解体という選択肢も身近になる。朝霜君の為でもあることを理解してもらいたい」


朝霜「ごちゃごちゃうるせぇ……あたいから特務艦を取り上げたいだけなんだろ…」


幹部「形としてはそうなるのが申し訳ない。だが分かってもらうしか無いんだよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


朝霜(昔のあたいなら掴みかかってでも反論したけどよ、それができなかった)


朝霜(やっぱ自分でも薄々分かってたんだな…怪我だけじゃなくてアタマが半分イカれてんのもある)


朝霜(これで特務艦って言う方が無理なんだよ、あたいが逆の立場ならすぐに没収だ)


朝霜(幹部も言ってたけど養子の件もある。特務艦じゃなくなるのはプラスになるはずなんだけどよ)


朝霜(そんなにすぐに割り切れるわけがねぇ。特務艦でいることがあたいの存在意義みたいなもんなんだ)


朝霜(特務艦で無くなった時点であたいの価値は無いに等しい。司令ならそんなこと無いって言ってくれるだろうけど、あたいが納得できないんだ)


朝霜(相談できる奴って言ったら、やっぱりアイツになるよな)

ーー早霜の部屋


早霜「私の所に来てくれて嬉しいわ姉さん」


朝霜「お前しか居ないからだよ…」


早霜「…そうよね。特務艦になるきっかけは私。そして姉さんの心を壊したのも私」


朝霜「今でも時々夢に見る。お前に陵辱されて頭の中を掻き回されて……」カタカタ


早霜「……何度謝っても済む問題じゃない。妹だと認めて欲しかった私の狂愛が姉さんをそうしてしまった」


朝霜「……」


早霜「私は姉さんの幸せの為に残りの人生を全て使うわ。特務艦で無くなっても私が守る」


早霜「例え司令官の養子にならなくても私が絶対に姉さんを守る…守らせて欲しいの」


早霜「司令官なんかより私の方が姉さんを愛しているのよ」


朝霜「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

朝霜「その気持ちは嬉しいけどよ…司令官『なんか』なんて言うな」


早霜「だって…」


朝霜「司令はあたいとお前の恩人でもあるんだぞ。恩人に対してそれはおかしいだろうがよ」


早霜「そう言われても認めたくないのよ」


朝霜「そんなこと言うな。龍驤さんも司令官もみんなあたいの支えなんだ」


早霜「嫌よ、あの男は言葉でなく体で姉さんを矯正したのよ」


朝霜「お前の方が外道だろうが!!よくも…よくもあたいを好き勝手にしやがって!!」


早霜「私は壊すことしか知らなかったのよ!あれが私の愛なの!!」

朝霜「お前は一体なにがしたいんだよ!」


早霜「姉さんには幸せに…あの男と関わらずに幸せになって欲しいの!」


朝霜「あたいにとって司令は家族なんだ!あたいから家族を奪おうとするな!」


早霜「……そう」


早霜「私は家族じゃないって言うのね」


朝霜「あ…?」


早霜「たった一人の姉妹なのに。姉さんは赤の他人を優先するのね」


朝霜「お前……も…」


早霜「少し……教育しておく必要があるみたいね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ガチャッ


速吸「…お取込み中でしたか?これからの手続きのお話があるんですが」


早霜「……いいえ、なんでも無いわ」


朝霜「お前…」


速吸「本当になにも無かったんですね?」


早霜「少し乱暴な言葉は使ったけど手を出したなんかはしないわ」


朝霜「……」


早霜「姉さんは視野が狭くなりすぎているのよ。だからすぐに熱くなってしまってるの」


早霜「これは私のせいじゃない…いえ、心を壊した責任はあるけど、これは姉さんの問題」


早霜「私は本物の地獄を見た。それに比べると姉さんは甘えていると言われても仕方ない状況なのよ」

早霜「もし司令官が死んでしまったらどうするの?」


朝霜「今すぐに首吊って死んでやる!!」


早霜「いつかのあの売女みたいな台詞を吐かないで」


朝霜「テメェ…!ママのことまで侮辱する気か!」


早霜「そこよ。周りが見えていないからすぐに熱くなってしまう」


速吸「朝霜さんは心の病気で苦しんでいるんじゃないんですか?そんな状態の彼女にそんなことは酷ですよ」


早霜「それとこれとは関係が無いの。姉さんを壊した私だから分かるのよ」


朝霜「どいつもコイツも…なんなんだよぉ……!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

速吸「朝霜さんは病院に連れて行った方が良いんじゃないですか?」


早霜「その必要は無いわ。姉さんの心の病は目に見えて良くなってきてるのよ」


速吸「あれだけ動揺しているのにですか?」


早霜「さっきも言ったけどあれは甘え。病気からくるものじゃなくて焦ってるだけなのよ」


速吸「そうなんですね…」


早霜「貴女はここの事情をよく知らないでしょうけど、何人かは提督離れが出来ているの。これは以前ではあり得ないのよ」


早霜「この鎮守府の現状は異常とも言える。それに焦りを感じてしまっているのよ」


速吸「そんなの…」


早霜「提督から自立して自分の意思を持つのは当たり前。けどそれはここでは無縁だったの」


早霜「それなのに急に周りが変わり出した。焦るのは当然だし甘えたくなるのも分かるわよ」

早霜「姉さんが特務艦じゃなくなったのは貴女は聞いてるの?」


速吸「知りませんでしたが当然だと思います。あの怪我で特務艦は無理でしょう」


早霜「姉さん、冷静になれたかしら?」


朝霜「黙れ…黙れよお前ら……」


早霜「司令官の養子になるっていうのも、もう一度考え直した方がいいんじゃないの?」


朝霜「司令…パパはあたいの……」


早霜「司令官なら親子にならなくても姉さんの支えになってくれるわよ」


朝霜「ママとパパが…あたいの……あたいは…」


早霜「よく考えて姉さん」


朝霜「……」


下3 コンマ判定 


偶数 ルートF
奇数 ルートS
ゾロ目 D

朝霜「なんだよお前ら…あたいのなにが分かるって言うんだよ!」


早霜「姉さん…?」


朝霜「なにが甘えなんだよ!あたいはやっと司令っていう家族を見つけたんだ!それに依存してなにが悪いんだよ!」


早霜「…落ち着きましょう姉さん」


朝霜「幹部もお前らも、好き勝手にあたいのことを決めるな!!」バターーンッ!


速吸「…追いかけなくていいんですか?」


早霜「あの脚じゃ遠くには行けないわ…きっと司令官の所に向かったでしょうし、今は一人にさせてあげるべきよ」


速吸「……貴女は朝霜さんを救いたいんですよね」


早霜「誰よりも大切な存在なの。姉さんには絶対に幸せになってもらうのよ」

ーー


朝霜「う、うう……なんなんだよぉ…あたいは本気で悩んでんのに…」


「そうだよねぇ、元はと言えば早霜が悪いもんねぇ」


朝霜「なんでアイツが偉そうに…あたいを壊した奴が…」


「うーんでもさ、被害者ぶって心から変わろうとしなかったのは本当じゃない?」


朝霜「黙れ…そもそもどっから声がしてんだ……」


「横を見てみなよ。一階部分に降りていく階段があるね~」


朝霜「…それがどうした」


「ここから落ちたら怪我もしちゃうだろうね。あー痛そ」


朝霜「それがどうしたんだよ」


「えい」ドンッ


朝霜「は…………?」


「ごめんね~恨むなら確率を恨んどいて」


朝霜「う…うぉぉぉ……!!」ゴロゴロッ

「可哀想なのは同情するよ。これから幸せになれるって所だったのに」


朝霜「う、あ……!」


「転がって落ちてるんじゃ艤装も展開できない。でもまぁ階段から落ちるだけなら大した怪我じゃないから」


朝霜「う!…っ!」


「……怪我『も』しちゃう。落ちる『だけ』なら大した怪我じゃない」


朝霜「し…れ……!」


「この後なにが起こるんだろうね」


「ま…一発退場はフェアじゃないからラストチャンスね」


下3 コンマ判定


偶数 ○
奇数 ×

ーー


漣「ご主人様、幹部さんは朝霜さんに何の話だったんでしょうか」


提督「恐らく特務艦の権限を…という話だろう」


漣「ああ…ついにといった感じですかね」


提督「俺と龍驤の養子になるにはどの道解体しなければならなかった。幹部さんには今まで気を遣ってもらっていてくれて感謝しかない」


漣「脚がちょん切れた瞬間に特務艦じゃなくなってもおかしくないっすからねぇ」


提督「朝霜が特務艦でなくなると俺が守るしかないということだ」


漣「かすみに続き一気に二児の父親っすか。いやぁ流石ですなぁ」


提督「朝霜を養子にする記念日も考えておきたいな。誕生日と一緒にするのはどうだ?」


漣「それだと記念日が減ってしまいますぜ。なんでもない日を記念日にするのがオツってもんですよ」

漣「まあ朝霜さんのことは一旦置いておきましょう。問題は幹部さんですよ」


提督「なにか問題でもあったか?」


漣「大アリです。ご主人様もこの前っていうかこの横須賀に来てからずっと言ってたじゃないですか」


提督「ん……?」


漣「正面玄関の階段の近くにある意味不明の置物ですよ。なんですか槍持った鎧だなんて」


提督「あれか…そうだな確かに邪魔だ」


漣「槍も尖ってますし万が一何かあったら危ないんで、早めに処分してくれって幹部さんに言って下さいよ」


提督「もちろん幹部さんにも言ったが…どうやら向こうも邪魔らしい」


漣「でしょうな!あんなのあったって何の役にも立ちませんからね!」

提督「だか置いていても問題無いんじゃないか?危ないことなんて早々無いだろう」


漣「確かにそうかもしれませんけど!あり得るとしたら階段を転げ落ちた挙句バウンドして、そのまま槍に突き刺さるくらいしか無いですよ!」


漣「そんなのは天文学的数字なのはわかりますよ!でもねぇ、実際ここにあって邪魔な思いをしてるのは漣達なんですよ!」


提督「……」


漣「ちょうどその鎧のとこまで来ましたね…ほら見て下さい!この邪魔な…」


ポタ…ポタ……


漣「こ……のぉ…………?」


提督「あ…朝霜………?」


漣「あの…なんすか……タチの悪い冗談とか…ドッキリ……?」


提督「嘘…だよな………?」


漣「槍に朝霜さんが突き刺さってるとか……冗談ですよね…?」


提督「朝霜……なぁ…朝霜…………」

ーー


速吸「朝霜さんの様子を見に行くんですね」


早霜「ええ…いつものパターンなら司令官が姉さんを宥めて二人で話している頃よ」


速吸「本当になんでも知ってるんですね…」


早霜「私は姉さんの全てを知っているの。だからこそ愛しくて…壊したいとも思ってしまった」


速吸「でもそれは間違いだと気付けたんですね」


早霜「ええ…そんなことをしても無駄だって。遅くなったけどちゃんと気付くことができたのよ」


速吸「朝霜さんを幸せにすることが早霜さんの罪滅ぼしとも聞きました」


早霜「それは最低限の話。私がここに居るのは他の目的もあるのよ」


速吸「悪事を働こうとはしないで下さいよ」


早霜「うふふふ…当たり前じゃない」

速吸「こっちの廊下から執務室に向かうんですか?」


早霜「こっちの方が階段は急だけど執務室に近いのよ。きっと姉さんもここを通ったはずよ」


速吸「成る程…」


早霜「……」ピクッ


速吸「どうしましたか?」


早霜「嗅ぎ慣れた匂い……私が好む…あの匂い……」


速吸「……この匂いって…」


早霜「嫌な予感がするわ、早く司令官の所に…」ダダダッ


速吸「あっ……!!」


朝霜


早霜「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「そんな……こんなことで…」


漣「これ…血じゃなくてケチャップですって……」


早霜「姉さん!!嫌よ!なんでこんな……いやぁぁぁ!!」


速吸「三人とも落ち着いて下さい!提督は朝霜さんに触れないで!!」


提督「でも…降ろしてやらないと……朝霜が…」


速吸「これだけ深く刺さっていると抜いた瞬間に血が吹き出して本当に死んでしまいますよ!」


重巡棲姫(漣、救急を呼ぶんだ)


漣「あ……あ…!了解です!すぐに救急に電話します!」


速吸「頼みました!私はその間応急処置を続けます!」

速吸「……」


提督「ど、どうなんだ!?」


速吸「急所からは外れているみたいですけど…失血量が気になります」


提督「朝霜……!」


速吸「意識もありません。刺さったまま暫くこのままだったんでしょう。艤装が展開できていないのを考えると階段から落ちた……?」


早霜「そんなことはどうでもいいのよぉ!早く姉さんを助けなさいよ!!」


速吸「…私にできることはやりました。後はプロの方に任せます」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「連絡したついでに瑞鳳さんを呼んできました!救護経験があるそうです!」


速吸「免許はあるの!?」


瑞鳳「ありません…!けど私がやらないと朝霜ちゃんは死んじゃいます!」


速吸「…見逃します。だから朝霜さんをどうか助けて下さい」


瑞鳳「はい!早霜さんこっちに来て腕を出して下さい!」


早霜「なにをするのよ…」


瑞鳳「朝霜さんに輸血です!この失血量だと病院まで持ちません!」


早霜「絶対に姉さんを助けなさいよ……」


提督「俺の血は使えないのか!?」


瑞鳳「艦娘同士じゃないと感染症が…」


提督「クソ……!」

ピーポーピーポー…


提督「サイレンが聞こえてきた…!」


漣「救急から連絡!槍を切断してそのまま救急車に乗せるそうです!」


瑞鳳「大丈夫……このままならギリギリ…なんとか…」


朝霜


早霜「あ…姉さん……?」


朝霜


早霜「やめて……逝かないで…」


朝霜


早霜「あ…あぁぁ……いやぁぁ…!!」


「」


早霜「姉さん……!!」


瑞鳳「大丈夫ですまだ脈はありますよ!だから早霜さんももう少しだけ血を…!」


早霜「もう…遅い……遅いのよ………姉さんは…もう……」


漣「救急隊が到着しやがりましたよぉーーーー!」


提督「よし…!助かったぞ朝霜!!」


早霜「……」

ーー病院


早霜「姉さんは奇跡的に無事…輸血が無かったら死んでたそうよ」


早霜「確かに姉さんは助かった……けど…それは体だけ」


「」


早霜「姉さんの魂はもう……ここには居ないのよ」


早霜「私だから見えた……姉さんの体から…魂が消え去ってしまうのを…」


早霜「……」


早霜「こんな結末、認めない」


早霜「姉さんは幸せになるのよ」


早霜「今、姉さんの体には私の血が大量に入っている」


早霜「これなら…あの呪術が使える」


早霜「姉さんは絶対に……死なせない…」

ーー後日


提督「一時はどうなるかと思ったが目を覚ましたと聞いて安心した」


龍驤「ほんまやで、ウチらがどれだけ心配したか……」


「…」


提督「あの鎧は処分した。あんな縁起の悪いものは置いておく意味がない」


龍驤「そうやそうや、置いとく意味なんか無いしな」


「」


提督「その様子じゃなにが起こったかまだ分からないか。今はそれでいい、また今度ゆっくり話そう」


龍驤「そうやな、ウチもまた会いに来るからな」


「いイえ…だイじョうブ…ヨ…」


提督「ん……?」

「わワたタし、ハ…」


龍驤「な、なんなんよ…これ…」


提督「怪我の後遺症……なのか…?」


「ひ、ヒヒ、ひ…ねエさンは…しアわセ」ギチギチ


龍驤「まさか…早霜か!?」


「はヒ、ひヒ、ねエさン」


提督「そうか…朝霜は……もう……」ガクッ


「ししシしあワせ、こレでででで」


「ねねネえさささンンンンンンンンンンン」


ギチッ


ーー

family
sister
dedication

ーー


由良「朝霜の体を動かしているのは早霜」


由良「相手を操る術は存在する」


由良「でもあれは『操る』を超えている」


由良「早霜の体が無いのは呪術を使ったから」


由良「あれは朝霜でも早霜でもなく呪いそのもの」


由良「あんな悍ましいもの見たことがない」


由良「近寄っただけで吐き気がする」

由良「あの呪いが成功している時点で朝霜の魂はここに無い」


由良「朝霜のことは残念」


由良「せめて出撃なら諦めがつくのも分かる」


由良「…あれは事故」


由良「脚を滑らせて階段から落ちて」


由良「運悪くオブジェに突き刺さった」


由良「誰も責められない」


由良「誰も悪くない」


由良「そこだけは理解して」


由良「下手に傷付ける人を増やすのは得策じゃない」


提督「……その、通り…だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「一つ教えてくれ。早霜も死んだ…のか?」


由良「死んではいない」


由良「呪いそのものに変化した」


提督「そうか……せめて朝霜を安らかに弔ってやりたかったが…」


由良「それは無理」


由良「アレには触れずに今のままがいい」


提督「……」

由良「こうなってまだ良かった方」


由良「早霜が逆恨みで鎮守府を攻撃していた」


提督「朝霜が……俺たち守ってくれたのか…」


由良「それは…」


提督「ぐ…うぅぅ……!」ポロポロ


由良「…そうかもしれない」


由良「奇跡のようなことが起こっている」


由良「今の貴方にできることはいつも通りに過ごすこと」


由良「下手に動くとマイナスしかない」


由良「理解しておいて」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


S朝潮「朝霜さんと早霜さんが…まさか……」


S朝潮「朝霜さんが階段から落ちた時…あの瞬間何かの力が働いたのを感じました」


S朝潮「八島…Y子さんじゃない…彼女は今自分の事で精一杯なはずです」


S朝潮「それなのにあの力が使われたとしたら…」


S朝潮「いえ、決めつけるのはよくありません。本当に事故の可能性もあります、一度現場を確認しておきましょう」

潜水新棲姫「……」


S朝潮「新棲姫さん、なにを考え込んでいるんですか?」


潜水新棲姫「朝霜のが本当に事故だったか調べているんだ」


S朝潮「…なにか分かりましたか?」


潜水新棲姫「階段を降りようとして足を滑らせたのなら、普通は後転した後階段を滑り落ちるように落ちるはずだ」


潜水新棲姫「像があった所まで行くには、前に飛び込むように転がらないと無理だ」


S朝潮「つまり?」


潜水新棲姫「朝霜は誰かに押されたという結論になる」


S朝潮「……監視カメラの映像にはなにも映ってなかったそうですよ」


潜水新棲姫「それは聞いたし実際に見た。だがそれでも納得できないんだ」

潜水新棲姫「カメラに誰も映ってない以上犯人を見つけることはできない。だが矛盾点を調べることはできる」


S朝潮「それでどうするんですか?」


潜水新棲姫「ワタシ達の知り合いには変わった奴も多い。超能力が使える奴に、よく分からない存在も居る」


S朝潮「…八島さんですか」


潜水新棲姫「アイツらが何かやったと分かればそれで…」


S朝潮「それで?」


潜水新棲姫「どうにかなるのか分からない。だがこのまま黙っていることはできないんだ」


S朝潮「…頑張って下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮(私に出来る事は何だろう…)


S朝潮(潜水新棲姫さんは考えるという初歩的で一番大事なことをやってる。力は無いけどできることはある)


S朝潮(私の中にはまだ力は残ってる。それを使わない手は無い)


S朝潮(今回だけじゃない、いざという時にそれを使いこなせるようにならないと)


S朝潮(相談出来る本来の力持ち主は今は居ない。それななら…ふ…じゃなかった、芙蓉さんに相談しよう)


S朝潮(彼女ならきっと特訓もしてくれますよね)

ーー


S朝潮「居ない……芙蓉さんがどこにも居ない」


S朝潮「この部屋どころか気配すら…一体どこに消えたんですか」


ヒラヒラ


S朝潮「紙……いかにも見ろって…ワザとらしく……」


S朝潮「……」ピラッ


『始まりの艦娘こと芙蓉はここには居ません。力を利用する為に棺の中にぶち込みました』


S朝潮「八島さん……」


『邪魔はしないでね。貴女の婚約者より』


S朝潮「……」


S朝潮「貴女は…なにを考えているんですか……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮(協力を仰げないなら一人で考えるしかありません…)


S朝潮(そもそもアレは倒したはずなんです。そしてY子さんが八島を新たに名乗った)


S朝潮(力は間違いなくあの力……ということは誰かが復活させた?)


S朝潮(……復活…アレが…)


S朝潮(もしそうだとしたら勝てるはずが無い。どんな手を使っても勝てる未来が見えない)


S朝潮(こちらの駒が減ってしまっているのも不利です。早霜さんが戦力外になってしまったのが痛い…)


S朝潮(復活ではないと…祈るしかありません)

S朝潮(他に考えられるのは…もう一つ)


S朝潮(現在と過去でないなら未来。どんな結末を迎えても『八島』が世界を滅ぼしてしまう)


S朝潮(どんな…未来……)


S朝潮(分かったかも…いやでも確信が無い。決めつけちゃいけません)


S朝潮(もしそうだとしたら、どうして八島さんは私も一緒に連れて行ってくれなかったんですか…)


S朝潮(貴女の考えてることは分かりますよ。でもそれに納得すると思ったんですか?)


S朝潮(八島さんにはちょっと苦しんでもらいますからね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮(私は八島さんの婚約者なんかじゃありません。いざという時に頼られないならもういいです)


S朝潮(八島さん、別れましょう)


「ひぎぃっ!?」


S朝潮(私は以前と同じように司令官にアプローチをしていきます。今なら朝霜さんが死んで好都合ですね)


S朝潮(私は一人になるのが嫌なんです。貴女と別れたことでこれから毎日悪夢に魘されるでしょう)


S朝潮(私の精神がもつのかどうか見ものですね。また自殺しちゃうかもしれませんよ)


S朝潮(でもそれは貴女に関係ない話です。一人で好きにすればいいんじゃないですか?)


S朝潮(…あの人のことを考えるのはこれくらいにしておきましょう。時間の無駄ですからね)

ーー海上


S朝潮「力を使いこなせるように…その為には自分を理解することが必要です」


S朝潮「あの時のイメージ……空中要塞や超兵器が跋扈していた世界……」


S朝潮「……よし」


S朝潮「陽炎さんのように、傀儡の艦娘なら艤装をどうにかできる…それを応用して私も……」


S朝潮「……ん…っ」


S朝潮「んんん……!」


S朝潮「…………んっ!!」


ジャキンッ


S朝潮「…よし、なんとかできたみたいですね」

S朝潮「これは武装というより補助装置…?」


S朝潮「プロペラントタンク…いや違う……」


S朝潮「…なるほど」


S朝潮「これはVOBというものなんですね、ありがとうございます」


S朝潮「これだけ機動力があれば海上だけで無く陸でも使えそうです。恐らく直進にしか使えないでしょうが…」


S朝潮「でもこれで一つ力を使えました。使いこなせるようになるまで努力しましょう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


潜水新棲姫「これがワタシの調査結果だ。結論から言えば朝霜の死は事故ではない可能性がある」スッ


漣「なに言ってんですか…カメラの映像も見たでしょうよ…」


潜水新棲姫「瞬間移動したり炎を操る奴らが居ることを忘れるな」


提督「……」


潜水新棲姫「朝霜の死は不自然なんだ。少し調べただけでこれだけの情報が手に入った」


潜水新棲姫「朝霜を弔えない今、真実を明らかにするのが朝霜の為になるんじゃないのか」


提督「……もういい。いいんだ」


提督「真実が明らかになったとしても…朝霜は帰ってこない……」


提督「俺の…家族になるはずだった……朝霜は…」


潜水新棲姫「……」


漣「この資料は一応受け取っておきますよ…せっかく調べてくれたんですからね…」


潜水新棲姫「朝潮が死んだ時より深刻な事態になりそうだな…」


ーー

今日はここまでです

また土曜日が怪しいので少し更新します



ーー


潜水新棲姫「う、うう。なんなんだよぉ。あたいは本気で悩んでんのに。」


「…」


潜水新棲姫「なんでアイツが偉そうに。あたいを壊した奴が。」


「…」


潜水新棲姫「黙れ。そもそもどっから声がしてんだ。」


「…」


潜水新棲姫「間違いない。監視カメラの映像から朝霜の唇の動きを読んでいたが、朝霜は誰かと会話していたんだ」


潜水新棲姫「 妄想を見ていたとも解釈できるが、直前の様子を考えてもそこまで精神状態は悪いとは言えない」


潜水新棲姫「これはやはり事故ではない…」

潜水新棲姫「問題はこの後だ。朝霜が階段から落ちて槍に突き刺さった後…」


グチャッ


潜水新棲姫「……」


潜水新棲姫「なんでだよ。なんであたいが。」


潜水新棲姫「あたいがなにをしたっていうんだよ。」


潜水新棲姫「いや、だ。たすけ、て。しれい。」


潜水新棲姫「たすけ、て。」


潜水新棲姫「ちく、しょう。」


潜水新棲姫「なんでだよ。やしま。」


潜水新棲姫「これを最後に朝霜は一言も発していない」


潜水新棲姫「やしま……あの人外の名前のはず。アイツが朝霜の死に関係していた?」


潜水新棲姫「もしそうだとしたら法では裁くことはできない。朝霜は殺されたにも関わらずだ」


潜水新棲姫「こんな結果を認めろというのか。これじゃあアイツの好き勝手にできてしまうじゃないか」


潜水新棲姫「提督は立ち直ることができるのか…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー漣の部屋


漣「漣もカメラを見ましたが…よく読唇術なんて使えますね」


潜水新棲姫「コツを掴めばなんとでもなる」


漣「ほんと…そういうとこは尊敬しますよ」


潜水新棲姫「それでワタシの仮説はどう思う?」


漣「奴が自由に殺せるというのは間違いだと思いますね」


潜水新棲姫「どうしてだ?」


漣「鎮守府中の人物を事故に見せかけていつでも殺せるのなら、もうすでに何度もやっているはずです。今回までそれが起きなかったということは、何らかのトリガーがあるのだと考えられませんか?」


潜水新棲姫「……そう考えられるな」


漣「朝霜さんは運悪くそのトリガーを発動させてしまったと思えば説明がつきますよね」

潜水新棲姫「ならそのトリガーはなんだ?対策はできないのか?」


漣「トリガーの内容はまるで分かりません。対策……人外には人外をぶつけるという考えなら菊月さん達になりますね」


潜水新棲姫「アイツらがすんなり協力するとは思えないな」


漣「トリガーという単語で思い出しましたが、夕張さんはトリガーを作って…なにか変な体験をしたとか言ってませんでしたか?」


潜水新棲姫「その話は知らないな」


漣「奴と仲が良かったのは朝潮さんですけど最近また動きが怪しくなってきたので、警戒してんですよ」


潜水新棲姫「提督にすり寄っているそうだな」


漣「朝霜さんの喪失を私で埋めてくれとでも思ってるのかもしれませんね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー執務室


S朝潮「朝霜さんのことは残念でしたね」


提督「……」


S朝潮「せめて事故であったことが救いです。もし私みたいに自殺だったりしたら…」


提督「やめてくれ…」


S朝潮「失礼しました」


提督「後悔しても遅いとは知っているが……朝霜は幸せだったのだろうか」


S朝潮「ハッキリ言って司令官と体の関係があった時の方が幸せそうでしたよ」


提督「……」


S朝潮「性行為の依存症が治れば、その後の方が幸せになれたとは思います。しかし朝霜さんは治療の途中で亡くなってしまいました」


S朝潮「治療中に朝霜さんは司令官のことを恨んだりしていたでしょう。どうしてこんな辛い目に合わせるのだと」


提督「朝霜…」

S朝潮「どうして彼女の気持ちが分かるか教えてあげましょうか?私と同じだからですよ」


S朝潮「私が自殺という手段を選んだのは司令官が私を拒絶したからです」


提督「……」


S朝潮「結果としてそれは正解でした。司令官はなによりも龍驤さんを優先させなければいけませんでしたからね」


S朝潮「私は死んで当たり前だったんですよ」


提督「……」


S朝潮「司令官……私は朝霜さんの代わりになれますよ…」


S朝潮「朝霜さんと同じように…家族としての愛情を…教えて下さい…」


提督「……」


S朝潮「今なら龍驤さんのことも気にしなくて構いません…司令官……抱いて下さい…」


提督「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「……朝霜の代わりなんていないんた」


提督「朝潮、自分を粗末に扱うんじゃない。その気持ちは嬉しいが…」


S朝潮「嬉しいんですね?」


提督「それは何にもならない。そこに残るのは虚しさだけだ」


S朝潮「やってみないと分かりません」


提督「……」


S朝潮「やはり…汚れた私の体では嫌なんですね」


提督「違う…それはないも何度も言っているだろう!」


S朝潮「だったら私のことを抱いて下さいよ!!私は貴方に救ってもらえなかったから死んだんです!!」

S朝潮「貴方は結局そうなんですよ!好みじゃない女のことはどうなってもいいと思ってる!」


提督「そんなことはない!」


S朝潮「あるでしょうが!!潜水新棲姫は平気で抱いておいて、あんなに苦しんでいた神通さんや雲龍さんにはなにもしなかった!」


S朝潮「朝霜が苦しんだのは貴方のせいなんですよ!!」


提督「違う…それは……」


S朝潮「なにも違わない!私もそうやって苦しんだ!布団の中で泣き続けるしかなかった私の気持ちなんて分かるはずがない!」


S朝潮「悔しかったら抱いてみろ!私を幸せにしてみせろ!」


S朝潮「貴方も結局有象無象の人間と変わらない!提督失格ですよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

S朝潮「どうして…どうしてなんですか!!」


S朝潮「私はあなたとなら地獄に行ってもいいと言ったのに!なんで私を置いていったんですか……!」


提督「ど、どうした…?」


S朝潮「貴女も私を傷付けたいだけなんですね……信頼させておいて裏切る…一番…嫌な……」


提督「朝潮…?」


「わかったよ」


S朝潮「…今更遅いですよ」


「遅いのは十分わかってる。でもそこまで言われたら流石に放っておけない、朝ちゃんの部屋に行こう」


S朝潮「……少し用事ができましたので失礼します」


提督「あ…あぁ……そう…か」

ーーS朝潮の部屋


八島「朝ちゃん」


S朝潮「気軽に呼ばないで下さい。もう私たちは別れたんですよ」


八島「……朝潮を巻き込みたくなかったのは分かるでしょ」


S朝潮「わかりません」


八島「失敗したらどうなるか」


S朝潮「地獄の底でも一緒に行きます」


八島「……」


S朝潮「カミサマを自称するくせに。とんだ詐欺師ですね」


八島「朝潮…あたしが何も考えないわけないじゃん……」

八島「朝潮…朝ちゃんはね……足手まといなんだよ…とても庇いながらできることじゃない…」


八島「失敗したらどうとかじゃないよ…存在そのものが無くなるから地獄どころじゃない……」


八島「ねぇ…わかるでしょ……?」


S朝潮「わかりません」


八島「朝ちゃん…」


S朝潮「なにがカミサマですか、なにが八島ですか。ふざけるのもいい加減にして下さい」


S朝潮「私は……また裏切られた。たったそれだけなんですよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「違うんだって…」


S朝潮「わかってますよ、貴女がやろうとしている事は成功しても失敗しても…おそらく八島さんは居なくなるんでしょう」


八島「それで済まないかもしれないんだよ…今まで積み重ねてきた世界は…」


S朝潮「世界なんてどうでもいいんです!大切な人と一緒に居られなくてどうやって幸せになれるんですか!」


八島「ううぅ…!」


S朝潮「足手まといだというのなら私は貴女よりも強くなります!私にも力はありますから!」


八島「朝ちゃん…」


S朝潮「私が生半可な覚悟で、貴女の側に居たわけがないでしょう!」

S朝潮「貴女よりも…強くなって……」ズズズッ


八島「ダメ!!その力だけは使わないで!」


S朝潮「貴女が悪いんですよ。私を足手まといだと言うから」


八島「あたしは朝ちゃんだけは守りたかっただけなのに…!!」


S朝潮「一度浄化されたといっても根源は残ったまま。生みの親である私と相性が悪いわけがありません」


S朝潮「さぁ、私の所に帰ってきて下さい。他人を呪い他人を不幸にすることだけを考えていた私」


S朝潮「言い方を変えれば怨念という言葉になる。呪いの力は膨大です」


S朝潮「私は朝潮」


八島「やめて!そんなことをしたら朝ちゃんはまた毎日苦しむことになる!」


S朝潮「私が幸せになれないのは…お前のせいだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーーー


「こんな所に呼び出されるなんて…久しぶりですね」


S朝潮「その後はどうですか?」


「私が居たのは地獄の底です。永遠に近い苦しみを毎日味わっています」


S朝潮「本来なら私もそうなるべきでした。ありがとうございます…とお礼を言えばいいのでしょうか」


「お礼ならありがたく受け取っておきますよ」


S朝潮「貴女を呼び出したのは他でもありません。私の所に戻ってきて欲しいんです」


「どうして?」


S朝潮「貴女の力が欲しいんです。元は一つの存在ですから簡単に戻ってこれますよね」


「それがどういう意味か分かっているんですか?」


S朝潮「私も地獄に落ちる覚悟です」

「私と違って幸せになれるんです、そんなことをする意味がありません」


S朝潮「私は幸せになれませんでした」


「他人を不幸にするより自分が幸せになった方が楽ですよ」


S朝潮「また私は裏切られました」


「私に止める権利はありません。貴女がどうしてもというならやって下さい」


S朝潮「はい」


「デメリットの方が大きいことも理解しているんですね?


S朝潮「覚悟は…あります」


「…そうですか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

「なら私はまた地獄に戻ります」


S朝潮「なぜですか」


「貴女を止める権利はありませんが、従う義務もありません」


S朝潮「私は貴女です」


「それはこちらの台詞です」


S朝潮「貴女はまた地獄に戻るというんですか」


「ええ、そうするのが一番私にとっていいですから」


S朝潮「……」


「貴女は私です。されて嫌なことは一番わかってるつもりですよ」


S朝潮「……」


「自分にまで裏切られてザマアミロ」

S朝潮「うぐ…ううううっ…!」


「その顔、最高ですよ。絶望こそが私の源です」


「こうやって貴女を裏切ったことで、地獄でもまたやっていけそうです」


S朝潮「貴女は……!!」


「地獄は誰でも落ちることができる。自ら地獄に落ちることは逃げ」


「貴女の根っこはやっぱり私のままです。どうせまた救いの手を弾き飛ばして私を呼び出した」


S朝潮「うるさい…!」


「甘えられるのも今の内。現実を見て思い出せばいいんですよ」


S朝潮「ま…待って……!」


「貴女の味方はもう誰も居ない」


S朝潮「う…うわぁぁぁ……!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーS朝潮の部屋


S朝潮「は……っ…!」


S朝潮「……」


S朝潮「私は……」


S朝潮「また裏切られて……でもそれは私のせいで…」


S朝潮「……」


S朝潮「私は何がしたいんですか……」


S朝潮「なにが正解で…なにも分からなくて……」


S朝潮「もう……そんな…」

「朝ちゃん」


S朝潮「……」


「追い返してくれるなんて地獄の朝ちゃんも優しくなったね。これでわかったでしょ、周りには朝ちゃんの味方だらけなんだよ」


「でもね、それは朝ちゃん自身の捉え方次第。全員敵だと考えることもできる」


「ねぇ朝ちゃん。お願いだからもうこれ以上傷付こうとしないで」


「そんなことをしなくても朝ちゃんを見てる人は居るんだよ」


S朝潮「安価」


下2 S朝潮の台詞やその他起こったことなど

S朝潮「貴女はどうなんですか?貴女の味方は居ないんですか?」


「朝ちゃん」


S朝潮「私はやっぱり邪魔者なんですか?貴女の役には立てないんですか?」


「あたし達って似たもの同士なのかもね」


S朝潮「……」


「わかった、もうあんなことしない。朝ちゃんを放っておいたりなんかしない」


S朝潮「そう言ってまた裏切る」


「裏切らない。朝ちゃんも一緒に来て」


S朝潮「…もう一度だけ信じます」


「ありがとう。やっぱり朝ちゃんは私の…」


S朝潮(また裏切られたら…諦めればいいんです。たった、それだけなんですから)


(やめてよ朝ちゃん……)


ーー

今日はここまでです

少し更新します。途中で終わる可能性があります




ーー深夜、横須賀鎮守府


明石「こんな夜中に部屋に来てって、どんな用事なんだろう」


コンコン


明石「秋津洲ちゃん…入るよ?」ガチャッ


秋津洲「久しぶりだね」


明石「あ…貴女は……本当の秋津洲ちゃん…」


秋津洲「入院してた時以来かな?とりあえず部屋に入ってきてよ」


明石「お邪魔します…」

秋津洲「確かお酒強かったよね?一緒に飲もうよ」


明石「いただきます…」


秋津洲「…さて、貴女を呼んだ理由だけど何のことだと思う?」


明石「えっと…分かりません」


秋津洲「そっか。実はね、これからのことを相談しようかなって思ってたの」


秋津洲「明石は将来的には例の男の人と結婚するよね?」


明石「そこまではまだ…」


秋津洲「たとえその人とじゃなくても結婚はする。そうしたら秋津洲とは離れ離れになるよね」


明石「明石ちゃんとはずっと一緒に居たい!」


秋津洲「『居たい』じゃダメなことくらいわかるでしょ?そののとにこの子も気付き始めてる」


秋津洲「朝霜が死んだのが悪影響だったのかも。この子の頭の中はネガティブなことしか考えてない」


秋津洲「この子のことを相談するなら貴女しか居ないのは納得してくれたよね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

明石「秋津洲ちゃんとはズッ友だよ!」


秋津洲「だから…」


明石「居たいだけじゃなくて色々考えてる!鎮守府を離れてもお隣さんになるとか!」


秋津洲「…」


明石「なんで勝手に決めつけるの!」


秋津洲「仕方ないじゃない、元々は私はそういう性格なの。だからあの『秋津洲』の人格を作り出して私は引きこもった」


明石「どうして良くなろうと努力しないの!?」


秋津洲「したいと思わないから。なにが私に起こったのか知らないわけないよね?」


明石「それは…」

秋津洲「島風提督のことは忘れられない。血の混じったご飯を食べ続けた私の気持ちは分かる?」


明石「う…」


秋津洲「ねえ、私と組まない?」


明石「それは…どういう……」


秋津洲「貴女は加害者で私は被害者。両者の気持ちが分かるのは大きな強み」


明石「まさか…」


秋津洲「復讐だよ」


秋津洲「私たちが救いの手になるの。世の中にはどれだけ泣き寝入りをしてる被害者が居ると思う?」


秋津洲「私のことを考えてくれてるなら、協力してくれるのは当然だよね?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

明石「秋津洲ちゃんも貴女の事も考えてる。だからそんな事はさせない」


秋津洲「加害者がよく言えたものだね」


明石「そんなことをしても傷付くのは貴女だよ」


秋津洲「多くの人たちを助けられるのに」


明石「そんなの復讐の連鎖が起こるだけ。大切な友達にそんなことさせたくないよ」


秋津洲「大切な友達…ね」


明石「このことは聞いてないことにするから。貴女も忘れて」

秋津洲「忘れたところで無理だと思うな。この子が絶望してしまうのは変わりない」


秋津洲「そうなったらこの子は死んじゃうんだよ?大切なお友達がさ」


明石「そんなことさせない!」


秋津洲「友情と希望的観測…ほんとにくだらないね」


明石「どうしてそんなこと言うの?」


秋津洲「私が抱えているものは簡単には治らない。治るわけがないんだよ」


秋津洲「貴女が協力してくれないならそれでいい。誰にも気付かれないように死んでおくから」


明石「絶対させない!!」


秋津洲「貴女は所詮他人。私に勝てるはずないのに…おめでたい頭だね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


秋津洲「う、うぅん…あたし……?」


明石「……」ゴクゴク


秋津洲「あ、明石!?なんであたしの部屋でお酒を飲んでるかも!?しかも勢いよく!」


明石「秋津洲ちゃん…」


秋津洲「どうした…かも?」


明石「最近変なこととか考えてなかった?」


秋津洲「変なこと?」


明石「私は酔ってて話を聞いても明日には忘れるちゃう。だから全部吐き出して」


秋津洲「かも…」


明石「私が全部受け止めるから」

秋津洲「考えてないことは無かったかも」


明石「やっぱり……」


秋津洲「…あたしもお酒飲むかも!」グイッ


明石「あ、そんな一気に…」


秋津洲「……ふぅ~…」


秋津洲「……」


秋津洲「……」


秋津洲「死んじゃおうかなって思ってたかも」


明石「どうして……秋津洲ちゃん…」


秋津洲「朝霜が死んだのを見て色んなことを考えたかも。横須賀鎮守府には永遠にいるわけじゃないって改めて思ったかも」

秋津洲「死んだあとのことって知ってるかも?」


明石「そんなの…」


秋津洲「誰も知らなくて当たり前かも。だから死んでみないと分からないかも」


明石「嫌だ死なないで!絶対に死なせない!」


秋津洲「明石ならそう言ってくれると思ったかも」


明石「秋津洲ちゃん…」


秋津洲「明石が結婚したらここから離れて…そしたらあたしは…」


明石「私たちはずっと一緒だよ!秋津洲ちゃんの隣に住むもん!」


秋津洲「……」


明石「秋津洲ちゃん…未来は絶望だけが待ってるんじゃないよ……明るい未来もあるんだよ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

秋津洲「独りで考えて、どんどん悪い方に考えが進んでたかも…」


明石「私がいるよ!」


秋津洲「明石ぃ…あたしに明るい未来を信じさせてほしいかも…!」


明石「秋津洲ちゃん!」ダキッ


秋津洲「ぐすっ、ううう~!」


明石「気付けてあげられなくてごめん…ごめんね……」


秋津洲「あがじぃ~~!」


明石「私がずっと側に居るから…秋津洲ちゃんは一人になんかさせないよ……」

ーー


秋津洲「明石のお陰でちょっとスッキリしたかも」


明石「良かった…」


秋津洲「もしここを離れてもずっと一緒…凄く感動したかも」


明石「本当のことだから」


秋津洲「嬉しいかも、こんなあたしにそう言ってくれるなんて」


明石「秋津洲ちゃんは初めてできた友達なんだもん。特別なのは当たり前」


秋津洲「…んふふ~明石~」


明石「秋津洲ちゃ~ん」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

秋津洲「でも明石には良い人が居るし、ずっとこのままともいかないかも」


明石「え?」


秋津洲「恋愛ってどうなのかなぁ…あたしにも運命の人がいるのかも?


明石「秋津洲ちゃんに相応しいかどうかは私が見極めるかも!」


秋津洲「かも!?」


明石「…なんてね。私の運命の友達だから、運命の恋人探しも手伝うよ!」


秋津洲「明石ーー!やっぱり明石のことは大好きかも!」


明石(みんなで幸せになる方法もあるんだ、諦めなければ絶望なんか乗り換えられる!)


ーー

今日はここまでです

ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「奴の様子がおかしいとは思っていたが、艦娘が死んでいたのか」


多摩「よりにもよって朝霜が…」


菊月「たかが艦娘が死んだだけで職務を放棄されないだけマシだな」


多摩「おい」


菊月「なんだ。こっちはお前たちの仲間にタイホウを殺されたんだぞ」


多摩「……」


菊月提督「早霜か…アイツも厄介なのには最後まで変わらないようだ」


菊月「最後?」


菊月提督「これは俺もついさっき知った話なんだが……」

多摩「朝霜の中に早霜が……信じられないけど、やりかねないにゃ」


菊月提督「俺も同じ考えだ」


菊月「やはり奴は殺しておくべきだったな。なにが改心しただ」


多摩「早霜の態度は本物だったのに…」


菊月「その甘さが朝霜を殺した」


菊月提督「朝霜がああなったのは事故だ」


菊月「トドメを刺したのは早霜なのに変わりない。精神が死んだなど早霜の妄想だ」


多摩「……」


菊月「今のうちに横須賀に居る危険な奴らは処分しておけ。次は何人死ぬか分からないぞ」


多摩「お前……」


菊月「私は嘘は言っていないからな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「で、その早霜の様子はどうなんだ?」


菊月提督「今のところは動きは無いらしい」


菊月「朝霜か早霜なのかどちらでもいいが、また何かしでかす前に拘束するか、もしくは…」


多摩「……」


菊月「ふん、流石にお前も事の重大さは分かっているようだな」


多摩「今のところ動きはなくとも、次に動くとするなら横須賀への攻撃が考えられる」


菊月提督「よくも朝霜を死なせたと逆上してもおかしくはない」


菊月「頭のオカシイ奴の思考は壊れている。全てが周りのせいだと当たり散らすんだ」

菊月提督「提督に動けと言っても無理だろう。養子にする予定だった艦娘を拘束しろと言ってするわけがない」


多摩「こっちでやるしかない…」


菊月「病院の住所を教えろ。それさえ分かればこっちで回収しておく」


菊月提督「入院患者が消えることになるが、手続きは向こうにやらせよう。それくらいはしてもらわないと困る」


多摩「……」


菊月提督「安心してくれ、いきなり始末することはない。地下に閉じ込めて暫く様子を見る」


菊月「私は反対だ。連れ帰ってすぐに殺す」


菊月提督「様子を見てからにしよう。無駄に殺す必要なんてないんだ」


菊月「…わかった」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー深夜、病室


S朝潮「……」


八島「諦めなよ、もう早霜は使い物にならない」


S朝潮「そんな事はありません。ですよね早霜さん」


「…」


八島「朝ちゃん…」


S朝潮「貴女も覚えていますよね?彼岸の世界で見せた彼女の魂の強さは、あの八島に一撃に報いる程だったじゃないですか」


八島「あれは彼岸の話。本編とは違う」


S朝潮「同じです」


八島「世界観が同じでも書き手が違う。それは全く同じとは言えないんだよ」


八島「その世界であたしはサイコロを転がしていない。こう言えばわかるよね」


S朝潮「……」

八島「もうすぐ菊月達がやってきて早霜を連れて行く。それで早霜は終わりでいいじゃん」


S朝潮「よくありませんよ!なんでそんな非情なことが言えるんです!」


八島「サイコロの出目が悪かったから」


S朝潮「貴女は…!」


八島「わがまま言ってないで帰るよ。もう早霜にできることはなにもないし、ここに居る意味がないから」


S朝潮「早霜さん…貴女なら変われると思っていたのに……!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

八島「変わる…か、助けるにしても今は思い付かないかな。早霜の強い縁は朝霜くらいで実際難しいし」


S朝潮「難しいけど無理じゃないはずです!」


八島「こうなったのは朝霜優先で他に繋がりを作ってこなかった早霜の責任でもあるよ。提督と裏でコソコソしてたのを龍驤(あのクソ女)と話し合ったり、チャンスはあったからね」


S朝潮「でも…!」


八島「はい時間切れ。あとはお任せ~っと」パチン


S朝潮「あ……!!」


八島「やれやれ、朝ちゃんも一筋縄ではいかないよね」スッ

バシュッ


菊月「着いたな」


曙「早霜の意識は…あるの?」


「…」


荒潮「ありそうにも見えるわね~」


菊月「抵抗しないならなんでもいい」


千代田「よいしょ…」ガシッ


曙「どうなのよ」


千代田「……重いわね。とても朝霜一人の体重とは思えない」


菊月「体重に変わりはない。重く感じるのは呪術が成功しているからだ」


千代田「形は違うけどタイホウの仇は取れそうね。多摩は止めたけど私は殺すのに賛成よ!」


菊月「司令官も止めていた。今はコイツを連れ帰るんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー深夜、足りないもの鎮守府


菊月「やはり意識はないようだな。なにも反応がない」


「…」


千代田「今のうちにやっちゃえばいいのに…」


荒潮「そうはいかないって言ってるでしょ~」


曙「万が一を考えて荒潮まで呼んでおいたけど杞憂だったわね」


菊月「コイツは予定通り地下室に閉じ込めておく」


曙「元々ドラッグが隠されたって部屋ね」


千代田「私たちなら瞬間移動ですぐに様子は知れるから問題ないわね」


菊月「どうせ意識はないだろうが、大人しくしておけとは言っておいてやろう」


「……」

ギィィィィ…バタン


「…」


(意識はずっとある、けどまともに話すことはできない)


(私がやったことの報いを姉さんが受けてしまった……死ぬのは私で良かったのに…)


(でも…私が死ねばそれで終わり。私を苦しめるのなら朝霜姉さんが死んでしまうのは納得できる…)


(姉さん……私は朝霜姉さんが死んでしまうなんて認めたくなかったのよ…)


(今はもう喋ることも体を動かすこともできない…これが報いに抗った代償なのね……)


(せめて…頭の中では姉さんと幸せに過ごさせて……)


ーー

安価の出し忘れです


下2 この後の展開やその他起こったことなど

『なんだよ…なんでこんな…』


『嫌だ…もう……』


『うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


(……私…姉さんを泣かせてばかり…笑顔にさせてあげられたことなんか…)


(姉さんが私を姉妹と認めてくれなかったから…姉さんが悪いとずっと思っていたから、私の行動を変えようとはしなかった……)


(もっと早く変えていれば……こうはならなかったのに…)


(失ってから後悔するとは言うけれど、本当なのね…)


(こんなことなら姉さんと司令官の仲を邪魔なんかしなければ…姉さんだけじゃなく周りも見えていたら……)


(もう失ったものは帰ってこないし言っても仕方ない……それはわかっているけど思わずにはいられない…)


(あぁ……こんなに悲しいのに涙も流せないなんて…)


(地獄より辛いものが存在したのね……)


ーー

今日はここまでです

ーー


霞「病院には戻らなくていいの?司令官のために無理言って退院してきたんでしょ?」


龍驤「ウチはまだ戻られへん。どうしてもやりたいことがあるんや」


霞「それって?」


龍驤「霞、子どもができやすくなる薬とか無い?」


霞「……龍驤さんがなにを考えてるのかわかったわ」


龍驤「これしか無いんや。家族を失った司令官には子どもができたって報告するのが一番やねん」


霞「司令官はそうは考えてないわよ」


龍驤「遅かれ早かれ司令官とは子どもを作る。それがちょっち早くなるだけやから問題ないよ」


霞「問題有りよ。せめて心の病が完治してからにして」


龍驤「そんな時間は無い。司令官を立ち直らせるのもウチの仕事なんや」

霞「それ以外にも方法はあるわよ。それにそんな都合の良い薬なんか無いわ」


龍驤「無かったら作って」


霞「無茶言わないで。作れるといったらいつものキメセク用の薬だけ」


龍驤「……」


霞「いっておくけどその薬は作らないわよ。司令官は依存症の治療中だから刺激が強いのはご法度」


霞「普通にヤる分には問題ないからそれで我慢して」


龍驤「納得できへん」


霞「できなくてもこれが現実なの。体以外でも司令官の心を癒せるのは龍驤さんだけなのよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

霞「龍驤さん、一緒に出来る事を考えるわよ。私もあんな司令官を見るのは辛いの」


かすみ「…」


霞「この子にも辛い思いはして欲しくない。皆んなが幸せになれる手段は必ずある」


龍驤「そんな簡単には無理や…」


霞「やる前から否定しないで。そういう台詞は万策尽きたあとに言うものなのよ」


龍驤「……」


霞「司令官もかすみも龍驤さんも、絶対に不幸になんかさせないわ」

霞「… ところで、大本営から事故調査の担当官が派遣されてくるっていうのは本当なの?」


龍驤「そうみたいやね…」


霞「陸の警察とはどう違うのかしら」


龍驤「詳しくは知らん…まるゆみたいな奴かもしれんし、全く違う可能性もあるんと違うか」


霞「こっちとしてはあれこれ蒸し返して欲しくはないわね」


龍驤「幹部さんのところから来るんやから事情はわかってると思うけど…わからんな」


霞「とりあえず龍驤さんはその対応をお願い。万が一にも司令官が傷付かないようにフォローして」


龍驤「やって…みるわ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー執務室


潜水新棲姫「これで資料は全てか。後は整理しておけば問題ないだろう」


龍驤「事故調査なんか大袈裟やと思うけど…」


提督「救急を呼んで病院でも大騒ぎになったのが問題らしい」


潜水新棲姫「内々で済む問題では無くなったんだな」


提督「ただ向こうも映像は確認して事故であることは認めている」


龍驤「じゃあわざわざええのに…」


潜水新棲姫「横須賀鎮守府で殺人があったと噂されるだけでも問題なんだろう」


提督「幹部さんはそう考えているんだろう、実際その通りだ」

潜水新棲姫「その担当官が来ている間はワタシは書庫でやり過ごしておこう」


提督「心配ない、艦娘も深海勢も特に気にせず接するタイプと聞いている」


潜水新棲姫「幹部のことをよく知ってるいる奴か。それなら大丈夫だな」


龍驤「担当官が来る前に整理は終わらせとこか」


提督「これならすぐに終わるだろう。潜水新棲姫が必要な資料だけを揃えておいてくれたからな」


潜水新棲姫「これくらい当然だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


潜水新棲姫「資料と映像を見ればわかると思うが、これは事故ではない」


沖波「映像は私も見ました。確かに不自然な落ち方をしていましたね」


沖波「しかし映像に加工された痕跡はありません。これは超常現象と言っても過言ではないでしょう」


潜水新棲姫「ならどうなる?」


沖波「非常に面倒なことになると思います」

沖波「超常現象なんか立証は不可能です。そうなると凶器となった物の出所や、設置した人物が疑われるでしょう」


潜水新棲姫「ならどうすればいい」


沖波「他殺の疑いのある事故として処理が妥当かと思います」


潜水新棲姫「…そうなるか」


沖波「この映像を見て完全な事故とは処理できません。こんな…不自然な動画は初めてです」


潜水新棲姫「協力できることがあるなら言ってくれ」


沖波「ええ…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

沖波「まあ朝霜さんは生きていますから、殺人未遂とはなるでしょう」


潜水新棲姫「……」


沖波「意識が戻って朝霜さんの証言が得られればまた話は変わるかもしれませんが、彼女は話が出来る状態ではないんですよね?」


潜水新棲姫「それは…」


沖波「なにか?」


潜水新棲姫「……分かった、お前には事情を話しておこう。朝霜はもう二度と目覚めることはない」


沖波「なぜそう言い切れるんですか?」


潜水新棲姫「早霜の呪いだ。呪術のせいで朝霜の中には早霜が居る状態なんだ」

沖波「不思議な現象の次は呪術…ハッキリ言って何一つ信用できません」


沖波「しかし幹部さんからお話しは聞いています。まんざら嘘ということではないのでしょう」


潜水新棲姫「朝霜は話をできない状態だと理解してくれたらいい」


沖波「……少し考えさせて下さい。どうするのが一番なのか…」


潜水新棲姫「担当官というだけあって結果に拘る艦娘なのか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

沖波「仕事ですから結果を出さなければいけないのは当然です。もちろん過程も重要ではありますけど」


潜水新棲姫「過程か」


沖波「でも超常現象や呪いなんかを報告書にそのまま書くわけにはいきません。一体どうすれば…」


潜水新棲姫「やはり事故とするのが妥当だとして、どう辻褄を合わせる」


沖波「……」


潜水新棲姫「ワタシも考えているがなにも思い浮かばない」


沖波「このままじゃ私が来た意味も無くなってしまう…」

コンコン


漣「すいません少しいいでしょうか」ガチャッ


沖波「どうしましたか?」


漣「どうやら朝霜が連れ去られたようです」


潜水新棲姫「誰が何の為に?」


沖波「早霜さんが意識を持って朝霜さんを動かしているのではないんですね?」


漣「やったのは足りないもの鎮守府の菊月さん達です。こんな危険なものはこちらで監視すると」


潜水新棲姫「危険…確かにそうだな」


漣「被害者が拉致と解釈されれば物凄く危ない事態なんです。どうか貴女の知恵をお貸し下さい」


沖波「…わかりました」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

沖波「私の一存だけでは決めかねるので、上に連絡し大本営で管理するのはどうでしょうか」


漣「分かりました、そのように伝えます」


潜水新棲姫「幹部にも話をしておいた方がいいだろう」


沖波「もちろんです、私が連絡しておきます」


潜水新棲姫「向こうはなにを考えているのか分からないな」


漣「リスク管理という意味では正しい行動だと思いますよ」


沖波「幹部さんの話を聞いていなければ、私は間違った判断をしていたかもしれませんね…」


ーー

今日はここまでです

ーー某鎮守府


沖波「もう一度ちゃんと説明して下さい。演習を予定していた相手の艦娘が突然何の前触れもなく海上で爆発したというんですね」


K提督「あの子達の話によるとそうですし…僕もその瞬間は見えました」


足柄「こちらから攻撃したとしてもあぁはならないわよ…」


沖波「それはそうだと思います」


K提督「こっちの艦娘は巻き込まれることはありませんでしたが…こちらの旗艦の択捉が爆発した瞬間を……」


足柄「相当取り乱していた…あれは取り乱すとかいう話じゃなかったわね」


沖波「その時の択捉さんの状況は?」


足柄「…爆発した子の肉片や内臓まみれ。説明しなくてもわかるでしょ」


沖波「一応確認のためですから」

K提督「大本営から事件の担当官が来たということは…択捉を疑っているんですか?」


沖波「これが私の仕事なので」


足柄「少なくとも艦娘がどうこうできる話じゃないわ。艤装を展開していて死ぬなんて、大破してない限りありえない」


K提督「そもそも演習弾で致命傷が負わせられるはずないです。ましてやこちらは海防艦なんですよ?」


足柄「中口径の主砲を積んですらない状況でも…択捉達を疑うのね」


沖波「……」


K提督「択捉は大丈夫かな……彼女は心が強い子だけど…」


足柄「あの子はトラウマを一つ乗り越えたじゃない、きっと今回も……大丈夫だと信じてあげるのも貴方の仕事でしょ」


K提督「そうだね…」


沖波(状況から考えて爆発の原因は傀儡艦娘に仕掛けられた爆弾。でもそれがなぜ急に爆発したの?)


沖波(詳しく調べて原因を突き止めないと…全国に被害が出てしまう)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


沖波「心中お察しします。ですがお話しだけでも聞かせてもらえませんか?」


「話すことなんかなにも…」


沖波「相手の誤射もなかったんですね?」


「誤射どころか向こうは武器すら構えてなかった…ううう……なんで死んじゃったのよぉ…」


沖波(傀儡艦娘の大半は自分に爆弾が仕掛けられている事を知りません。どんな外部干渉があったのか徹底的に調べる必要があります)


沖波(横須賀鎮守府のように事情を知っているのはごく僅か。もし知ってしまえばまともではいられないでしょう)


沖波(まともで無くなる……)


沖波(そのことを知ってヤケになって自爆…その線も考える必要がありますね)

沖波(同僚や爆発時の艦隊メンバーに話を聞きましたが、全員K提督の方から攻撃は否定しました)


沖波(武器を構えてすらいなかった。もし演習が始まる前にも関わらず照準を合わせていたりしたら…など考えましたがそれは違ったようです)


沖波(話をまとめると攻撃による外部干渉は無かった。もし外部干渉があるとするなら攻撃ではない手段)


沖波(こうなると自爆の可能性が高くなりますが…どうしてあの場面だったのか。別に演習先である必要は無いはず)


沖波(……爆発の規模がどうなるか分からなかったから、自分の鎮守府から遠く離れた場所で起爆させた?)


沖波(まだ確定できる情報はなにもない…更に調査を進めましょう)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

沖波(……爆発の規模が小さい気がする)


沖波(旧大本営は自爆テロに使うつもりだったと聞いています。それにしては威力が小さい)


沖波(味方の艦隊にも目立った被害は出ていない、これはおかしい……)


沖波(爆弾の威力が調節されていた?そして爆発した子はそれを知っていた……)


沖波(亡くなってしまった艦娘のことを調べつつ、傀儡艦娘に使われていた爆弾を調べましょう)


沖波(よし、やることが決まったなら早速行動です!)

ピピピピピ…


幹部『沖波君、爆発したという艦娘の具合はどうかな?』


沖波「どうやら傀儡艦娘に仕掛けられていた爆弾が爆発したものかと…」


幹部『なんだって!?』


沖波「幹部さんに聞きたいんですが、傀儡艦娘に仕掛けられていた爆弾は…」


幹部『艤装の不具合での爆発ではないんだね!?』


沖波「え、ええ…そうですけど……」


幹部『側に居た艦娘全員の精密検査を行ってくれ!大至急だ!
!』


沖波「ど、どうして…」


幹部『傀儡艦娘に仕掛けられていたのは爆弾だけじゃない!核物質も仕掛けられている!!』


沖波「そんな!」


幹部『爆発することによって核汚染を広げることが目的なんだ!爆弾の威力は目立ったものじゃない!!』


沖波「だ……大至急検査を行います!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー病院


沖波「調査の結果、爆発は旧大本営が意図したように起こらなかったそうです。なので汚染は軽微ですが、択捉さんは精密検査を…」


択捉「……何が起こったんですか。あの時…あの子が爆発して…目の前が真っ赤になって…」


沖波「…艦娘が爆発してしまったんです」


択捉「あ、あぁぁ……」


沖波「安心して下さい、貴女がある日突然爆発なんかしたりしませんよ」


択捉「じゃ…じゃあなんで……」


沖波「艦娘には大きく分けて二種類あるんです。建造された艦娘と旧大本営が作った艦娘」


沖波「旧大本営が作った艦娘に爆弾とごく少量の核物質が仕込まれていたんです」


択捉「そんな……」

沖波「建造と旧大本営の艦娘の区別は精密検査をしない限りわかりません。見た目に特徴が無いんです」


択捉「わ、わた、私も…」


沖波「建造されて訓練学校で訓練をしましたよね?なら大丈夫ですよ」


択捉「良かった…」


沖波(傀儡艦娘には偽の記憶がありますが…言っても彼女を混乱させるだけですね)


沖波「択捉さん、貴女が爆発を目の前で見ているんです。何か変わった所はありませんでしたか?」


択捉「変わったこと…」


沖波「どんな些細なことでも構いません。どうか教えて下さい」


択捉「安価」


下2 択捉の台詞やその他起こったことなど

択捉「そういえば…通信機器に不具合がありました」


沖波「どんな不具合ですか?」


択捉「ノイズが混じったんです。すぐに収まったので特に気にはしなかったんですが…」


沖波「それが関係している可能性がありますね。他の方からはその情報は聞いていません」


択捉「電波が原因で爆発…」


沖波「爆発した艦娘がテレビやラジオ、インターネットに触れていないとは思えません。電波といっても特殊なものに限られます」


択捉「電波の種類はともかくなぜ私だけノイズが混じったんでしょうか」


沖波「…この段階では結論を出せません。調査を続けていきます、択捉さんありがとうございました」

ーー


沖波「通信障害や大規模な電波が原因なら全員にノイズが出ているはず。それが無かったということは……誰かが電波を照射した」


沖波「音を特定の人物にのみに聞かせる技術を応用して、特殊な周波数の電波を浴びせ続けると爆発…」


沖波「もしかして爆発させるだけで起動とは別?だから汚染も規模も小さかった?」


沖波「そもそも事故の可能性もある。まだなにも確定情報が無い…」


沖波「現時点で出来ることは傀儡艦娘を見つけて手術を受けてもらうこと。これ以外に策はない」


沖波「旧大本営の呪縛はいつになったら終わるんでしょうか…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


幹部「通信に影響が出るような電波か…ある程度は絞り込めても特定は難しいね」


沖波「対処法としてはジャミング装置を作るくらいしか無さそうですね…」


幹部「大急ぎで手術の体制を整えているが、傀儡艦娘を見つけることは簡単ではない」


沖波「そもそも相手はどうやって傀儡艦娘を見つけたのでしょうか」


幹部「分からない……それが分かるのは旧大本営の関係者だけだろう」


沖波「……」


幹部「今回は海上だからまだ良かった、これがもし街中だったら…考えるのも恐ろしいよ」


ーー

ーー


「ああそうだ実験は成功した。しかしまだ完全とは言えなさそうだ」


「改良を進める必要がある、目指すのは完成だ」ピッ


「…傀儡艦娘に仕込まれた爆弾は今は爆発はしない。旧大本営が無くなったいま爆発させる方法が定かではないからだ」


「しかし爆弾の仕組みがわかれば起爆させることは容易い。起動のプロセスを無視して直接起爆させてやればいい」


「傀儡の艦娘……これが全て無くなれば…」


「…しゅうまつの時は近い」


ーー

今日はここまでです

土曜日の代わりに更新します



ーー


幹部(傀儡艦娘が起爆してから類似の事件が三件あった。これは全て同一犯と考えても良いだろう)


幹部(幸いなのはいずれも爆発の規模が小さいことだ。これは正規の手順で起爆していないからだと思われる)


幹部(核汚染も確認されていない。外部干渉による起爆は元々考えられていなかったんだろう)


幹部(整備士君に聞いても正規の起爆方法は分からなかった。傀儡が彼の手を離れてから、爆弾を組み込むという細工が行われていたのは間違いない)


幹部(傀儡艦娘を見つけさえすれば手術はできる。しかしそれは容易にはいかない)


幹部(傀儡艦娘には元になった艦娘の記憶や有りもしない訓練所での記憶がある。自分が傀儡だと気付く方法が無い)


幹部(このまま犯人達を放っておけば更なる被害が出るのは間違いない…)

幹部(犯人達について情報は無いが一つ分かったことはある)


幹部(爆発してしまった艦娘は傀儡艦娘の可能性があると資料で分かっていたんだ)


幹部(それなのに守れなかったのはこちらのミスだ。彼女らを優先して調べるべきだったんだ…)


幹部(…その資料は私だけじゃない。ある人物の手に渡っていたことがある)


幹部(それは提督君だ)


幹部(間違っても彼がこの事件に関わっているはずがない。彼を疑うのは時間の無駄だ)


幹部(だが提督君の仲間はどうだろう。これは彼の悪いところだが一度信頼した相手を疑うということをしない)


幹部(それを利用して誰かがその資料を盗み見て、傀儡艦娘の情報を手にしていたとしたら……)


幹部(内々に調査を進めてみる価値はありそうだね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


幹部『提督君が傀儡艦娘を爆発させる意味がない。だが周りの艦娘はそうだとは言い切れない』


幹部『資料をどうにかした艦娘が居る、その手がかりを見つけるために君には情報収集を頼みたい』


幹部『速吸君なら一度横須賀に滞在していて警戒もされないだろう。宜しく頼む』


幹部『これは君の働きが良いから頼んでいるんだ、意味はわかるね?』


幹部『優秀な者は生き残る。無茶だけは絶対にだめだ、あくまで情報を集めることが優先だからね』


速吸(……分かっていますよ幹部さん)


速吸(今回横須賀には環境調査ということになっています。調査だけなのに目立ってしまえば意味がありませんからね)

速吸(しかし犯人の目的はなんなんでしょうか?爆発の規模や汚染が狙いではないのなら…傀儡艦娘を駆逐すること?)


速吸(そんな動機のある艦娘に覚えはありません。蒼龍さん達はここを嫌っていますが、それは傀儡艦娘とは関係ないはず)


速吸(それに資料が提督さんの所にあった時期を考えても横須賀から合流した秋雲さん達の可能性は低い…)


速吸(精神的に不安定で大本営にあった核を起爆させようとした龍驤さんが怪しいですが、これは違うでしょう)


速吸(この鎮守府を知らない人間からすれば龍驤さんを疑う。このミスリードも仕掛けられていた可能性すらある…)


速吸(もしそうだとしたら犯人は相当なやり手ですね……)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


速吸(資料が提督さんの下にあったのは足りないもの鎮守府からこちらに移ってきた時。横須賀鎮守府に着任するにあたっての資料の中にありました)


速吸(旧大本営に関連する資料もあって、提督さんの所には多くの資料がありました)


速吸(その間の人の出入りなどを調べてみましょう。とりあえずは鎮守府の艦娘…つまりは裏切りの可能性は保留です)


速吸(幹部さんの所にいる整備士という男性が怪しいですが幹部さんは違うと言っていた。幹部さんの調べなので間違いないでしょう)


速吸(それ以外の人間がここに来ていたとしたら…何人いるかは分かりませんが、全員調べましょう)

ーー執務室


提督「ここに来た時の客人?」


速吸「大本営の関係者でも構いません。横須賀に着任してから一か月の間、どんな人と会いましたか?」


提督「一か月…うーん……」


龍驤「応接室に記録残ってないん?誰か来た時はそこに誰とどんな話をしたか簡単にやけど書いてるはずやで」


速吸「もちろんそれは見ました。でも記録に残すほどじゃなく少しだけ会ったりとか、応接室以外の場所で会ったかもしれませんよね?」


提督「外ではなくこの鎮守府で会ったことのある客人…」


速吸「お客さんでなくとも構いません。なにか覚えていることがあれば教えて欲しいんです」


提督「安価」


下2 提督の台詞やその他起こったことなど

提督「近隣住民の自治会長や艦娘の権利向上団体の代表、大本営の退役軍人や役所の役人…」


速吸「随分多いですね…」


提督「拒める状況ではなかったからな」


龍驤「でも全員記録は残ってるんと違うん?」


提督「記録が残っていない時もあった。それこそ一言二言だけ交わしたこともある」


速吸「その為にわざわざ横須賀まで来た人が居る」


提督「だが不思議なことではないんだ、俺のコネが欲しいがために挨拶だけでも、ということだ」


龍驤「横須賀鎮守府の提督と知り合いってだけで名前が大きいからなぁ困ったもんやわ」


速吸「…ありがとうございました」

ーー


速吸「提督さんが応接室で会っている間に執務室に忍び込んで資料を盗み見た」


速吸「…現実的じゃありませんね。何回も会いに来ていたのは執務室の場所を覚えるためだったとしても、実行役が必要になります」


速吸「その実行役は監視カメラに映ることなく執務室に忍び込んで、素早く傀儡艦娘の資料だけの情報を入手」


速吸「…やっぱり無理ですね。忍びを使ったとしても目的の資料がどこにあるかを知っていないと無理です」


速吸「もし資料の場所が分かっていたのなら忍びがやった可能性はある……」


速吸「資料の場所を知るには内側の存在が必要。やはり裏切り者が存在していた?」


速吸「その線でも調査をしなければなりませんね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


幹部『速吸君の言う通りもし裏切り者が居たとしても、今から証拠を集めるのは困難だ』


速吸「だから罠を仕掛けるんです。新たな傀儡艦娘の資料のダミーを作って、同じ状況を作り出します」


幹部『危険だと思うから私は反対だ。それに裏切り者が忍びを使っていた場合、確実に君は始末されてしまう』


速吸「危険なのは承知です。でもこうしている間にも傀儡艦娘はもっと危険な状況になっているんです」


幹部『……分かった。君が直接見張ったりしないという条件なら許可しよう』


速吸「ありがとうございます、早速やってみますね」


幹部『繰り返し言うことになるが、絶対に無茶だけはしないように。私との約束だ』


速吸「はい、わかりました」

ーー執務室


提督「傀儡艦娘に関する資料…」


速吸「最近傀儡艦娘に仕掛けられた爆弾が起動してしまう事件が起こっていますよね。その対策の資料です」


龍驤「このリストにある子ともし繋がりがあるなら至急連絡せよ…か」


速吸「どうですか、心当たりはありませんか?」


提督「いや……無いな」


龍驤「周りの知り合いはどうなんやろ。一回聞いてみよか」


速吸「それは大丈夫です、同じ資料が送付されています。この資料は暫く預けておきますので、何か気が付いたことがあれば教えて下さい」


提督「わかった、すぐに速吸に知らせよう」


速吸(ダミーの資料は提督さんに預けました。これで裏切り者がいるならどう動くか…ですね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「また応接室の記録を見たいって…何があるんですか?」


速吸「名前は見ましたが住所は控えていませんか?」


漣「今は個人情報とか色々うるさいんで控えてませんよ」


速吸「そうですか…」


漣「団体の人ならそこに聞けば問題無しなんで」


速吸「でも退役軍人なら個人で家も分かりませんよね?」


漣「確かにそうですけど……顔は覚えてますからそれでいいじゃないですか」


速吸「……」

速吸(住所があれば調査は楽だったのに…無いものは仕方ありません)


速吸(現時点で外部の人間か内部なのかは分かりません。なにか動きを待つしかないですね)


速吸(外部の人なら絶対に会いに来る。内部なら必ず動きがある)


速吸(気を付けて監視するしかない。怪しまれずに少しずつ、前に進む)


速吸(幹部さんの言う通り無茶はしない。後先考えずに行動しても意味がありません)


速吸(餌は撒くました。さぁ…どう動きますか)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


幹部『退役軍人達のリストは受け取ったよ。こちらでも調べておこう』


速吸「ありがとうございます。ちなみに幹部さんが見覚えのある名前はありませんでしたか?」


幹部『見覚えはあるが旧大本営と関わりはないね。そもそも旧大本営が関わってるかがハッキリしないから…うぅむ』


速吸「訪問記録の方はどうですか?」


幹部『こっちはデータベースと照らし合わせてみよう。何か不審な点があればすぐに知らせよう』


速吸「お願いします」


幹部『内部の可能性はどうかな?』


速吸「まだ何も動きがありません、今は待つ時です」


幹部『私は提督君の艦娘が簡単に裏切るとは思えない。何か…見落としていることがあるんじゃないだろうか……』


ーー

今日はここまでです

ーー


速吸(こちらが罠を仕掛けて数日経ちました。偽の情報は提督さんと龍驤さんにしか知らせていない状況では動きが無いと判断しました)


速吸(この二人が情報を流したり、裏切り者ではないということが分かっただけでも良かったです)


速吸(現在、この偽の情報は漣さんや他の横須賀鎮守府の艦娘にも知られている状況です)


速吸(情報ルートはこちらが把握しています。誰が誰に教えたのかまで全員把握済みです)


速吸(これで裏切り者がいるなら特定ができます。単独犯の可能性が高いので油断はできませんが、こちらが優位な状況です)


速吸(犯人は鎮守府の中だけではなく外の可能性もあります。その対策も既に終わっています)

速吸(住所が分かっている人は身辺調査を、名前のみ分かっている人は住所を特定)


速吸(退役軍人も民間人も全て個人の住所はわかりました。見張りも行っています)


速吸(この情報が偽物だと知っているのは私と幹部さんのみ。どこかであの資料を見たという言い訳は通用しません)


速吸(ここまでは全てうまくいっています。後は向こうがどう出てくるか…)


速吸(犯人は傀儡艦娘のみを狙っています。この情報には必ず食いつきます)


速吸(どんな動きをしてくるのか…要注意ですね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー深夜、横須賀鎮守府


名取「変な気配がする……」


名取「由良が居ない日に限ってこういうことが起こるなんて…でも仕方ないよね」


名取「セキュリティ万全のここに忍び込むなんて自殺行為だと思うけど……」


名取「一応調べおかないと。由良が居ないんだから、私が見回りをしなきゃ」


名取「……」


名取「風上から匂いはしない。やっぱり気のせいかもしくは…相当の相手か」


名取「偶然もあるかもしれないけど、よく注意して調べよう」

ーー


名取「……」


名取「執務室の方かな………」


名取「先に提督の無事を確認するべきか…暗殺とか考えられるもんね」


名取「でも執務室の機密情報狙いなら阻止しないと…」


名取「いや…そもそも侵入者なのかハッキリしておかないといけないか。動物の可能性もあるし…」


名取「よし……本気出しちゃおう。いつまでも由良に負けてられないし」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


名取「居ない……痕跡すら見つけられない」


名取「やっぱり気のせい?でもあの気配は気のせいなんかじゃない」


名取「……」


名取「また気配 …」


名取「これは執務室じゃなくて保管庫の方?」


名取「凄く嫌な気配…早く行って確かめないと」

ーー保管庫


名取「誰も居ないけど間違いなくナニかがある…」


名取「……」


名取「誰!?」


……


名取「人じゃない…!?影が蠢いてる!?」


名取「術の類いじゃない!これは……!」


……


名取「う…!!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ズズズズズ…


名取「な、なにが……実態が無いからどうしようも…」


ズズズッ


名取「う…うぅぅっ……!」


名取「一体…なに……が…」ドサッ


「私の気配を察知できるなんてね……」


「まあ今はあんたに用は無い少し寝てもらうとして…やれやれ、忍びはこれだから嫌いなのよ」


「さて……邪魔者は居なくなったし、私も動こうかしら」

ーー執務室


「足りないもの鎮守府に居た時は楽しかったわね。艦娘達を発狂させて毎日飽きなかったわ」


「でも今は心が強くなったみたいね、私の干渉でも容易く発狂はしないようだけど…」


「やり方は色々あるわよ、ふふふ…」


「……これが傀儡艦娘の資料」ペラッ


「…ありがとう、全て覚えたわ。後はこの情報を……ふふ…」


「あの子がまさか…このことを知ったら提督はどうなるのかしらね……」


下3 コンマ


偶数  ルートN
奇数  ルートA
ゾロ目 ルートK

ーー


「そうだ次の傀儡の情報が手に入った」


「情報源は横須賀だ。奴らが偽の情報を手にするとは思えない」


「私は奴をよく知っているならな……なに?」


「奴とは横須賀提督だ。私は…」


……


「傀儡の処理が終われば知らせろ。この世から傀儡艦娘は全て消えるべきなんだ」


「…ああ、装置は改良せずそのままでいい。私はテロがしたいわけじゃない、傀儡艦娘を処理できればそれでいいんだ」


「旧大本営のように核をばら撒く気もなければ、無闇に爆発させて被害を大きくするつもりもない」


「目的を忘れて下衆な存在になるんじゃないぞ」


「……」


「私の情報…役に立って嬉しいわ」


「協力感謝する。実態の無いお前ならやりたい放題だからな」


「ふふふ…本当にそうよね」

「貴女が面白そうなことを考えていたから協力してあげたのよ」


「面白いことではない、傀儡艦娘の存在は悪だ」


「いいわよ…貴女のそういう所が素敵なの」


「お前は私達の側に居て随分と楽しんでいたそうじゃないか」


「ふふふ…艦娘が狂っていく姿は最高だったわ」


「趣味の悪い奴だ」


「その趣味の悪い存在の力を借りているのは誰?」


「……」


「ふふふふふふふ…」


「貴女は足りないもの鎮守府から横須賀に移るゴタゴタに紛れて自分の存在を消した」


「本当に消したのかどうかまでは知らないけど……みーんな貴女のことを忘れているわ」


「ねぇ、貴女は私と組んでまで何をしたいの?」


「私は……」


長門「紛い物が存在しない、清浄な世界を望むだけだ」


「貴女の夢は…きっと叶うわよ」


ーー

今日はここまでです

ーー医務室


名取「……」ムクッ


漣「おはようございます名取さん」


名取「あれ……どうして…」


漣「廊下で寝てたのを医務室に運んできたんですよ」


名取「なんで…うぅん……」


漣「外傷も無かったんで寝ぼけたとかじゃないですか?」


名取「そんなこと…」


漣「まあ忍びが寝ぼけるなんてあり得ないと思いますけど、何か覚えてません?」


名取「……」


漣「覚えていないと。じゃあ問題無しでいいんじゃないですか?」


名取「そうなのかな…」

漣「侵入者にやられたとして、無傷で倒れてるのはおかしいですよね?」


名取「うん…忍びにやられたとしたら生きてるはずがない。忍び以外がここに忍び込む方法も無い」


漣「全員の点呼も終わってます。誰かを拐いに来たということもありませんでした」


名取「霞も赤ちゃんも無事…」


漣「名取さんが由良さんの代わりに見回りをしてくれるのは有難いです。でも無理をしてまではいいんですよ」


名取「うーん……何も覚えてないけど…何も無かったのかなぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


名取「お久しぶりです、忍者提督に聞きたいことがあるんですけどいいですか?」


忍者提督『名取から連絡とは珍しい。由良ならまだ帰れないが…』


名取「そうじゃありません、術について聞きたいんです。相手を昏倒させたり記憶を飛ばす術はありますか?」


忍者提督『もちろんあるぞ』


名取「じゃあそれを受けた後の後遺症か何かはありますか?」


忍者提督『昏倒させた場合は体に攻撃の痕が残る。記憶を飛ばした場合は頭が酒に酔ったような状態が続いたあと、記憶が飛ぶ』


名取「……」


忍者提督『その術をくらったのか?』


名取「外傷は無かったので昏倒ではなく記憶を飛ばされた可能性があります」


忍者提督『状況を詳しく教えてくれ』

忍者提督『……確かに不自然だ。名取が寝ぼけて廊下で寝るなんて考えられない』


名取「でも鎮守府に被害は無いんです。誰も怪我をしてないし何も盗まれていません」


忍者提督『そう決めつけるのは早い。盗むといっても物だけじゃないだろう』


名取「……情報」


忍者提督『書類が手元に残っていても情報を覚えてしまえばいい。そうなると実質盗まれたと同じだ』


名取「ありがとうございます、提督さんに確認してみます」


忍者提督『本当に記憶を飛ばされていたらどうしようも無い。よく考えて行動をするんだぞ』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


幹部「これは……」


深海綾波「なにしてんだよオッサン」


幹部「旧大本営についての新たな資料を手に入れたんだが…こんなことになっていたとはね」


深海綾波「アイツらなら何をしてもおかしくないだろ」


幹部「だとしても深海棲艦を実験台にするとは…どこまでも愚かな連中だ」


深海綾波「どれどれ……はっ、艦娘を深海棲艦にする研究ぅ?頭おかしいな」


幹部「旧大本営の中でも少数派だったようだね。だから今になって資料が出てきたんだ」


深海綾波「旧大本営は核戦争がやりたかったんだろ?こんな派閥は内部で潰されてただろ」

幹部「私が気になったのはこの派閥が居た場所だ。この鎮守府では艦娘に対してドラッグを投与する実験も行われていた」


深海綾波「曰く付きの場所だな。そんな鎮守府に居たら頭がおかしくなるだろうな」


幹部「……」


深海綾波「急に黙ってどうしたんだよ」


幹部「君の言うことは間違っていなかったのかもしれないね。この実験が行われていたのは足りないもの鎮守府、かつて提督君が率いていた鎮守府だ」


深海綾波「うーーわ…それ絶対……」


幹部「詳細は残っていないが相当数の艦娘が解体させられていただろう。当時の提督に逆らうことは死を意味する」


深海綾波「曰く付きの場所でキチってる奴らを集めた…そりゃ狂って当然だな」


幹部「これを知っていれば私は…提督君をあそこには着任させなかった……」


深海綾波「終わったことだし仕方ねぇだろ。死んだのは当時の朝潮だけっていうのは救いだな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

深海綾波「おい、資料に書いてあるこの羽ってなんなんだ?」


幹部「私が知っている『羽』は使うと艦娘の姿を変異させて、化け物のようにしてしまうんだよ」


深海綾波「もうなんでもありだな…」


幹部「……羽を艦娘ではなく深海棲艦に使えば、深海棲艦は完全体となる。完全体となった深海棲艦の細胞を艦娘や他の生物に移植すれば…」


深海綾波「したらどうなるって言うんだよ」


幹部「人類は深海棲艦には勝てない。艦娘でできることは時間稼ぎだけ。我々は深海棲艦に滅ぼされるか受け入れるしかない」


幹部「この完全体を細胞を使えば人類は進化する。この実験は世界を救うための実験……そう書いているみたいだね」


深海綾波「なんで頭が良い奴に限ってキチるんだろうな。そんなこと考える暇があれば普通に過ごせただろうに」

幹部「それだけじゃない……成虫にも触れている。これを書いた人物は以前から成虫の存在を察知していたというのか?」


深海綾波「……それは変だな」


幹部「それに『この完全体の細胞』とある。彼らの定義する深海棲艦の完全体は出来上がっていたのか?」


深海綾波「そんな敵は居なかったぞ」


幹部「実験の結果には触れられていない。やはり実験は失敗したのか…」


深海綾波「なにかが残っていたとしても気にする必要は無いだろ。力があるならあの成虫騒ぎに加わってたはずだ」


幹部「それはそうかもしれないが……」


深海綾波「実験が成功してたならこの今は存在しない。心配するだけ損って奴だな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


深海綾波「羽は深海棲艦を進化させ完全体にする。だったら羽の元になったのは何なのか…綾波はどう思う」


(まだ私達の知らない何かでしょう)


深海綾波「だよな…あの巨大な繭を成虫だって気付けた奴は居なかった。でも気付いてた奴が居た」


(気付いていたのではなく知っていたのかもしれませんよ)


深海綾波「そんな奴らがわざわざ羽って名前を付けた何かがあった……」


(大量には生産できないみたいですね)


深海綾波「それは分からない。大量に作ったが相手にされずに別の派閥の奴らに潰された可能性がある」


(その時に羽を使えばよかったんじゃないですか?)


深海綾波「使った結果負けたとも考えられるだろ。完全体は複数個できていないのは確実、そんな中でヤク漬け艦娘と深海棲艦しか居ないんだぞ?」


(羽を使った所で、ということですか)


深海綾波「流石に当時の痕跡は残ってないだろうが一応確認しに行くか」

ーー足りないもの鎮守府


菊月「あの部屋は立ち入り禁止だ」


深海綾波「駄々をこねるな、こっちは調査で来てるんだよ」


菊月「帰れ」


深海綾波「はいはいそうですかって帰るわけないだろ。ドラッグが隠されてた隠し部屋はどこだ」


菊月「教えると思っているのか」


深海綾波「面倒臭せぇ…もういい、帰る」


菊月「二度と来るな」


深海綾波(…ま、隠し部屋の場所と入り方は知ってるんだけどな。こうやっておけば菊月は誤魔化せる)


深海綾波(バレないように軽く壁でも掘ってみるか…何か面白いものでも出てくるかもしれないしな)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


深海綾波「なんで追いかけてきてんだよ!」ダダダッ


菊月「お前が帰らないからだ」ダダダッ


深海綾波「帰るって言ってんだろうが!」ダダダッ


菊月「なら早く出ていけ」ダダダッ


深海綾波「コイツ…!」


菊月(あの部屋には誰も入れられないからな)


深海綾波「だぁぁ…もう!こっちは敵じゃないのはわかるだろ!大人しく協力しろ!」


菊月「何の話だ」


深海綾波「『羽』だ!お前らも知ってて何か情報を握ってるから、ここまでしつこいんだろ!」


菊月「……」


深海綾波「あ…あぁん?」


山雲「ねぇ…羽って言った?あの羽の話をしてるの?」


深海綾波「どこから声が…?」


菊月「お前は知ってるのか」


山雲「ええ…羽は忘れたくても忘れられないわ」


ーー

今日はここまでです

ーー


山雲「羽は旧大本営派の艦娘…その中でも下っ端の使い捨てのような艦娘に与えられたもの」


山雲「追い詰められたらこれを使え。どうなるかは説明されなかったけど、自決用のナニかであることは理解していたわ」


菊月「下っ端に渡されたということは数はそれなりにあったということだな」


山雲「そのはずよ…」


菊月「だがそんなものは聞いたことも無いし見たこともない」


山雲「そのはずよ…配られた羽は全て使われてしまったの……使用者も生き残ることはできないから情報が残らないのよ」


深海綾波「お前が生き残っているのは奇跡って話か?」


山雲「そうでしょうね…羽を使用して生きているのは私以外に存在しないはずだから」

菊月「羽とはなんなんだ。夕張のトリガーのような負荷装置なのか?」


山雲「私もそう考えていた…けどどうやっても再現できなかったの」


深海綾波「そんなオーバーテクノロジーを旧大本営がねぇ…」


山雲「残っているたった一つの羽も解析できなかった。どこをどうやっても合成された成分を何も分からなかったのよ」


菊月「結局正体は分からないということか」


山雲「いいえ…合成されていないというのなら一つの仮説が立つの。これが本当に羽であるとするなら話の辻褄は合うわ」


深海綾波「そんな危ないもんが付いてる生物が居るっていうのかよ、冗談も大概にしろってヤツだ」


山雲「それしか無いのよ…これは人工的に作られたものじゃない……」


菊月「私の知らない事がまだあったことは確かだ。こっちも動く必要があるかもしれないな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「最初に羽根が配られてから時間もかなり経っている」


曙「そいつらがまだ生きてるなら羽は使い捨てにはなってないわね」


菊月「少し調べておく必要がありそうだな」


曙「何から調べるの?」


菊月「羽を配っていた奴らだ。塀の中に居る連中に話を聞く」


曙「ならあたしは別方向を調べるわ。この足りないもの鎮守府は色々と曰く付きだって分かったし」

ーー地下室


深海綾波「なるほどな、菊月がここに来させたくなかった理由はこれか」


「ギ…ギギ……」


深海綾波「朝霜の中に早霜が入ってるって所か、ん?」


「…」ギギッ


深海綾波「哀れなもんだな、これがお前らの結末とはな」


「……」


深海綾波「見なかったことにしてやるからお前はそこから出るな。出ようと思っても出られないだろうけどな」


深海綾波「さて…また面倒なことになりそうだな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「羽…羽か。あれの詳細は知らない」


菊月「嘘を言うな」


「嘘じゃない。上から渡されたものをそのまま艦娘達に渡していただけだ」


菊月「チッ、外れか」


「トップシークレットというより、何処からかぶんどって来たものが使えそうだから渡されたという様子だった。詳細を知ってる奴は少ないだろう」


菊月「羽は旧大本営の別の派閥で作られていたものだ」


「全く知らないな……」


菊月「もういい。これ以上話しても時間の無駄だ」

ーー


「羽……」


菊月「お前も知らないのか」


「そのものは知らないが話は聞いたことがある」


菊月「話せ」


「羽は実験の副作用的に手に入ったもので本来の目的とは違う…」


菊月「本来の目的とはなんだ」


「艦娘の深海棲艦…化?詳しくは知らない」


菊月「なら成虫についてはどうだ」


「…あの成虫以外に成虫が居たのか?」


菊月「…ダメか。やはり当時のあの鎮守府の人間を探すしかないが、提督は死んだと聞いている。旧大本営派の人間も死んでいるだろう」


菊月「なんでもいい何か情報が欲しい。ここで追跡できなくなったらそれで終わりだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


菊月「この資料にも書いてある……やはり当時の提督は死んだのか。しかし死体を確認していない以上は確定ではない」


菊月「それにこの秘書艦と記録のある艦娘…龍飛とはなんだ?」


菊月「解体した後の個人名にしては不自然だ、飛龍の間違いの方が信憑性はある」


菊月「この際名前はどうでもいい、この秘書艦はどこに行ったんだ?」


菊月「どの資料を辿ってもコイツは見つけられなかった。そうなるとやはり解体されたのか、もしくはドラッグ漬けで再起不能か」


菊月「…再起不能は無いか。病院に入れられたのならその記録がある。コイツはどこに行ったのかまるで分からないんだ」


菊月「クソ…確実に迫っているのにあと一歩が届かない。これだから旧大本営絡みの話はややこしいんだ」

龍驤「お目当ての資料は見つかったん?」


菊月「あることはあったがハズレだ」


龍驤「そうなんやね…こっちは書庫でも保管庫でも好きなだけ調べてもらってもええからね」


菊月「…次は書庫だ。旧大本営に関する資料もあると言っていたな」


龍驤「全部まとめて書庫にあるよ。今案内するからちょっち待っててな」


提督「菊月、探し物は見つかったのか?」


菊月「求めているものでは無かった。暫く書庫に籠らせてもらうぞ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー執務室


提督「わざわざ執務室にまで来たということは何かあったのか」


菊月「龍飛という名前を知っているか」


提督「…知らないな」


菊月「そうか。この龍飛というのは艦娘でお前達の居た鎮守府で秘書艦をしていた」


龍驤「そんな艦娘聞いたことないで?」


菊月「私も最初は飛龍の間違いだと思った。だがそうでは無いようだ」


菊月「龍飛というのはある艦娘に使われるはずの名前だった。しかしあることが原因でその名前は使われなくなった」


提督「そのあることは?」


菊月「龍飛は旧大本営の実験台にされ結果は失敗。その上甚大な被害も出たようだ」


龍驤「その実験って羽を使った実験?」


菊月「どんな内容かは分からないが羽を使ったことに間違いない。龍飛はその実験で死んだ」


提督「……」


菊月「話はまだ終わりじゃない。龍飛は死んで終わりではなかったんだ」

菊月「龍飛が死んだ所では黒いシミが残っていた。影のように人型がこびり付いて取れなかった」


菊月「だが…数日後に突然と消えた。そしてあることが起こった」


提督「あること?」


菊月「龍飛が死んだ部屋である艦娘が見つかったんだ」


龍驤「それはドロップ……じゃないでな」


菊月「理屈は知らないが記録には見つかったとだけ書いてある」


提督「その艦娘はどうしたんだ?」


菊月「実験台にされる寸前で逃げ出したようだ」


龍驤「良かった…その子に被害はなかったんやね」


菊月「これを見つけて驚いた。ある意味運命なのかもしれないとでも思った」


提督「なにがだ?」


菊月「龍飛が使われなくなり別の名前が使われるようになった艦娘…その名前だ」


菊月「その艦娘の名前は……鳳翔」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「……」


菊月「鳳翔のことを知っているようだな」


龍驤「そんな嘘や…鳳翔さんが……孤児院で世話になって…」


提督「鳳翔さんは伊168達が世話になったが…そうか、足りないもの鎮守府から近くの店をやっていたのは……そういう…」


菊月「お前達が着任してから店を開いたんだろう。自分の追っ手が来ないのを確認するには十分だからな」


提督「鳳翔さんとは思想の違いもあった……それは旧大本営によるものだった?」


菊月「詳しい話は会ってから話す。店の住所を教えろ」


龍驤「鳳翔さんにそんな過去があったやなんて…」

ーー孤児院


鳳翔「ごめんなさい、お店は閉じたの」


菊月「そのようだな。お陰でここに来るのに苦労した」


鳳翔「龍驤さんに聞いたんじゃないんですか?」


菊月「……お前があの鎮守府に居たのは事実だな」


鳳翔「そうですね」


菊月「あの時なにがあった?」


鳳翔「龍飛…当時の鳳翔に羽を使った実験をしたんです」


菊月「その内容は?」


鳳翔「……昔の話です。ゆっくり話しましょう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

鳳翔「深海棲艦という未知の新しい生物に人類の先を見た学者が居ました」


鳳翔「その友人の提督もそれに協力し、提督の為にと実験に志願したのが当時の龍飛です」


鳳翔「羽がなんなのか提督は知らなかったようですが、彼らの役に立てるならどうでもよかったんです」


鳳翔「しかし……実験は失敗してしまいました」


菊月「そしてお前が生まれた」


鳳翔「生まれた…というのは間違いでもあり合ってもいます私は鳳翔であり龍飛でもあるんです」


菊月「記憶が残っているというのか」


鳳翔「はい…ですからこの話を菊月さんにすることができるんです」


菊月「そうか、お前があの店をあそこの場所に構えた理由は提督か」


鳳翔「どの記録を辿っても提督は死んだとなっていました。でも私は納得できません、きっと戻ってくると信じてあの場所でお店を開いたんです」


菊月「危険なのは承知でか」


鳳翔「ええ…提督に会えるなら多少のリスクは気にしません」

鳳翔「菊月さんどうかお気をつけて下さい。龍飛はまだ存在しています」


菊月「実験に失敗して死んだんじゃないのか」


鳳翔「影です」


菊月「影…」


鳳翔「体という器が無くなって魂だけで存在している。部屋にこびり付いていた影がそれを物語っているんです」


菊月「影が動いているというのか」


鳳翔「もしかすると影というのは目視できる形で、魂だけの存在になっているのか…とにかく死んでなんか居ないんです」


鳳翔「どうか彼女を、私を助けてあげて下さい」


菊月「影か…いや、何度殺しても復活する奴よりかはマシだと思っておくか」


ーー

今日はここまでです

ーー大本営


幹部「名取君から返事は来ない…罠を仕掛けたのはいいがそれに食いつかなかったのか」


幹部「それとも敵はこちらが思いもしない方法で既に情報を手にしてしまったか…」


幹部「どちらにせよ向こうが動けばわかるようになっているからね。名取君が渡した偽情報はここの特務艦達が傀儡だと書いてある」


幹部「傀儡でない彼女達になにをしても爆発することはない。むしろ向こうを捕まえることもできる」


幹部「特務艦になれる艦娘の実力は伊達ではないからね。偽情報には特務艦であることすら書いていないが、これは大本営に所属している時点で勘づかれている可能性はある」


幹部「情報が行き渡っているとするなら…そろそろ動いてくるだろう」

幹部「綾波君は帰ってこないが彼女も動いてくれているようだね」


幹部「さて…待ち構えているだけではなく、こちらから動くとしよう」


幹部「傀儡艦娘を敵より先に保護。これが最優先で次いで敵の排除だ」


幹部「申し訳ないが提督君達にも協力を仰ごう。人手は多ければ多いほどいい」


幹部「我々は旧大本営とは違う、艦娘の為にも戦うということを思い知らせてやろうじゃないか」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


長門「旧大本営よりはマシだが今の大本営は温過ぎる」


長門「自爆や暴走の恐れがある傀儡共を放置するなどあり得ない。私達艦娘の為にも排除するのが当然だ」


長門「必要なら頭のすげ替えも考えないとならないな。爆弾は首の辺りに着いていて外しようもない」


長門「…とりあえず今は処分を優先だ。龍飛の手に入れた情報を確認してみるか」


長門「……大本営の艦娘が傀儡だと?」


長門「特務艦は旧大本営時代からの者も多いが、爆弾が仕掛けられている傀儡をそのまま使うのか?」


長門「いや…手術を行った可能性もあるのか。確か提督の所に居る陽炎はその手術を受けていたな」


長門「手術を受けると副作用で体の一部に変化が現れる。資料にあるコイツらがそうなのか確認する必要がある」


長門「それともう一つ…だな」

ーー深夜、横須賀鎮守府


陽炎「んー…なんだか寝付きが悪いわね……どうしたのかしら」


陽炎「せっかく新しい枕を金メッキにしたのに…私なら絶対すぐに寝れるわよ」


陽炎「…少しお水でも飲もうかしら」スッ


陽炎「……あれ?何か違和感が………」


陽炎「私の影……こんな…変な……蠢いて…」


龍飛「ばぁぁぁ~」


陽炎「……」ガクッ


龍飛「体を乗っ取ることはできないけど自由を奪うことくらいはできちゃうのよね」


龍飛「さぁて、じっくり調べさせてもらうわよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍飛「やっぱり爆弾は取り除かれてはいるわね。そして髪色が金色なのが副作用ってところね」


龍飛「髪色が変わるのがこの子だけの特徴なのかどうかまでは分からないけど、一つの基準にはなるわ」


龍飛「まだ爆弾が残ったままの傀儡は沢山居るのにしゅ…手術が進んでいないのは何故なのかしら」


陽炎「……」


龍飛「この子を使って調べられないかしら…」

ーー


陽炎「あ、あれ……私…」


ビチャッ


陽炎「い…嫌……まさか…漏らしたの…?」


陽炎「ううう最悪…ズボンと下着がびしょ濡れ…」


陽炎「とりあえず着替えて…いやでも先にお風呂に……」


陽炎「こんな時間だし誰も居ないわよね…脱いでからお風呂に行けば……」シュルッ


龍飛(そうよね、この時間なら服は脱ぐわよね)


陽炎「あ……」ガクッ


龍飛「ふふふ、調べるにはとりあえず裸にしないといけないわよね。精神に干渉できても行動を操ることはできないから回りくどい方法になってしまうけど…」


龍飛「さぁ貴女の全てを見せて。そして全てを私に教えて」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

不知火「物音がしましたがどうしたんですか」ガチャッ


龍飛(おっと…)ズズズッ


不知火「……なにをやっているんですか貴女は」


陽炎「ん…んん……?」


不知火「鏡の前で一人ストリップとは性癖が歪んでいますね」


陽炎「え……?」


不知火「……お休みなさい」キュッ


陽炎「あふん…」カクッ


不知火「……ストレスが溜まっていたんですね。司令にそれとなく知らせておきましょう」

ーー隼鷹の部屋


隼鷹「陽炎の様子はどうだった?」


不知火「…少しストレスが溜まっていたようです」


隼鷹「そっか…最近色々あったもんな」


不知火「不知火に隼鷹さんが居なかったらどうなっていたか分かりません」


隼鷹「よしよし…今日も一緒に寝ような」


不知火「はい……」


龍飛(そう言えばこの子も傀儡だったわね。手術はしてないようだけど…暫くはこの子に付いて様子見ね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー翌日、執務室


提督「三人とも謎の現象にあったというんだな」


名取「はい…」


陽炎「言い訳じゃなくて本当におかしくて…」


不知火「わかっています、不知火も不思議な体験をしましたから」


提督「三人に共通していることはあるか?」


名取「思い付きません…」


陽炎「私と不知火だけなら傀儡って言えるけど違うわね」


不知火「外傷が無いのは共通でしたね」


提督「陽炎達を狙った結果名取が巻き込まれたとも考えられる。暫くの間は警戒を高めておこう」


不知火「宜しくお願いします」


龍飛(…この子とはここまでね)ズズズッ

龍飛(不知火は鋭いわね。私の存在が認知されかけているわ)


龍飛(もう少し慎重になって…そうねまた暫くここを離れましょう)


龍飛(長門はあの情報を元に動いているはずだし、もう結果も出てるかもしれない)


龍飛(この子達ではまだまだ遊べるし、焦らずゆっくりじわじわとイジメてあげるわ)


龍飛(影になって寝ることも食べることも出来なくなった。唯一の娯楽がこれなのよ)


龍飛(みーんな、死んじゃえばいいのに)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


曙「ここに居たとしてどうするのよ」


菊月「どうにかする」


曙「アンタねぇ…そもそも影に炎が効くかも分からないのよ?」


菊月「それでも探すしかない。鳳翔の話からするとまだこの鎮守府に居る可能性がある」


曙「探すって言ったってねぇ、なにかあるなら多摩達が既に見つけてるでしょ?」


菊月「それでも探すんだ」


曙「はいはい…」


菊月(私達でどうにかできる可能性は低い。だがどこに潜んでいるのかという場所は特定すべきだ)


菊月(万が一、先手を取られても逃げることは容易い。そもそも影が攻撃できるのかどうかも怪しいがな…)


ーー

今日はここまでです

何人くらい居ますでしょうか
誰も居ないのでしたら色々考えます

ーー横須賀鎮守府


提督「あの傀儡艦娘の資料は罠だったのか…」


速吸「連絡が遅れてすいませんでした」


龍驤「ウチらの中に裏切り者がおるとしたら、その作戦は正解やから気にしてないよ」


速吸「ありがとうございます」


提督「それで…資料は流失したのか?」


速吸「そう考えられます。大本営に所属している特務艦の周りに不審人物を確認しました」


提督「……そうか」


龍驤「っていうことはこの鎮守府に……そういうことになるんやな…」


速吸「それがそうとも限らない可能性が出て来たんです」

速吸「……この資料にある通り、足りないもの鎮守府ではこんなことが行われていたんです」


龍驤「酷いな…」


速吸「そして事故で亡くなった龍飛、彼女が関わっているとも考えられます」


提督「影……」


速吸「実体のない存在なら盗み見ることは容易です」


龍驤「この資料はまた改めて確認しとく。ウチらはなにをやればええん?」


速吸「色々と手伝ってもらうことになります。傀儡艦娘を救うという点ではお互いにやることは共通ですから」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

漣「お取り込み中失礼しま~す、お客さんが来ましたよ~」


提督「悪いが今日は…」


漣「菊月さんと鳳翔さんが来たんですけど追い返しますか?」


提督「鳳翔さんが来てくれたのか」


龍驤「龍飛の件もあるから直接話聞くのは悪くないで」


速吸「私もそう思います」


提督「そうだな、なら二人をここまで呼んできてくれ」

ーー


菊月「龍飛が何かしら干渉しているという所までは共通の認識だな」


提督「どうやらそのようだな」


鳳翔「……」


龍驤「鳳翔さんの表情が変なのはウチらに協力したくないから?」


鳳翔「考え方の違いはどうやっても埋まりません。しかし協力しなければならないことがあるのも事実です」


提督「龍飛を放っておけばそちらにも被害が出ます、どうか今だけは協力してください」


鳳翔「…はい」

菊月「相手が影だとするならどう対策する?私達の能力でも太刀打ちできないぞ」


提督「できることとできないことがあるはずだ。なんでもできるのなら既に行動を起こしている」


龍驤「情報は見れても実物には触れやんとか?」


菊月「情報を手に入れたとしても龍飛だけでは何もできないのか」


速吸「もしそうだとしたら、他に協力者がいる…」


提督「その線で調べるのはいいかもしれないな」


菊月「私は龍飛が何もできないとは思っていない。きっと対策さえすれば干渉も受けない」


龍驤「まずはどこにおるんか見当をつけなあかんな…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「影ということは異なる次元に潜んでいるということだ。まずはその次元に干渉できるタイミングを見つけ出す必要がある」


龍驤「タイミング次第で干渉はできるんやね?」


菊月「できなければこちらの敗北だ」


龍驤「…わかったわ」


菊月「その為には朝霜が死んだ日の天候、気温、風向き、月の満ち欠け、深海棲艦の動向などの全てを洗い出す」


提督「……」


速吸「朝霜さんがああなってしまった日を思い起こすので辛いかもしれませんが…」


提督「いや、いいんだ。これは朝霜の為でもあるんだからな」


龍驤「そうやね、これが終わったら朝霜の所に会いに行ったろな。例え意識が戻らんでもきっと喜んでくれるはずやから」


菊月「…………」

ーー書庫


潜水新棲姫「天候や海の様子はそっちの方にまとめてある」


龍驤「ありがとうな」


潜水新棲姫「深海棲艦の動向は分からない。この辺りを見張ってくれているレ級に聞くのが早いだろう」


提督「そうか、なら直接聞いてくる」


漣「……」


潜水新棲姫(どうしたんだ)


漣(朝霜さんが死んだのは八島とかいう奴のせいですよね)


潜水新棲姫(得体の知れないものより、敵のせいにしたいと思う提督の気持ちは分かる)


漣(ですけど…)


潜水新棲姫(龍飛という変な存在があるのは確かなんだ、調査には協力するぞ)


漣(はいはい…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「……あかん、規則性も何もない」


提督「レ級にも話を聞いてきたが…」


潜水新棲姫「難航しているのなら龍飛本人を探すより、協力者を見付ける方がいいんじゃないか?」


漣「龍飛が本当にチート的存在だとしても、協力者は普通に生きてるなら、痕跡の一つや二つはありますよ」


提督「協力者か…だが何も目星も無い状況なんだ」


潜水新棲姫「例えば実験に関わっていた大本営の軍人は居ないのか?」


提督「関係者は行方不明か死亡している。生きていたとしても見つけるのは困難だ」

ーー


菊月「お前達も何も情報は得ていないのか」


幹部『あれば提督君に教えている。こちらも見当もついていない状況だ』


菊月「旧大本営派の仕業かどうかすら分からないのか」


幹部『分からないね』


菊月「役立たずが…もういい」ガチャッ


鳳翔「相手は傀儡艦娘の存在を知っている時点で、旧大本営のことも知っていますよね」


菊月「確定できる情報はそれだけのようだな」


鳳翔「せめて目的が分かればいいんですけど…」


菊月「偽の情報で動きを止めている今がチャンスだ。向こうがそれに気付き次のターゲットを決められるとマズイからな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー??


長門「……そうか」


長門「こちらの存在に感づかれたか。提督のことを舐め過ぎていたようだな」


長門「大本営の傀儡艦娘も爆発しなかった、全て罠だったというわけか」


長門「こうなった以上は撤退だ。この場所を放棄して次の拠点に向かう」


長門「次…そうだ、我々には強力な後ろ盾が居るわけではないが、いくらでも協力者は募ることができる」


長門「次の目星はもう付いている。そこに向かうとしよう」

ーー数日後


幹部「提督君、例の件だが情報を入手したよ」


提督「本当ですか?」


幹部「鎮守府跡で火事があってそこを調べたんだが、燃え残った残骸に傀儡艦娘の情報があったんだ」


提督「その傀儡艦娘は爆破された艦娘だったんですか?」


幹部「そうなんだ、だから向こうはあそこを拠点にして動いていたんだ」


提督「敵は、確かに存在するんですね」


幹部「龍飛だとか影は置いておいても、結局動くのは誰かなんだ。不思議な力なんかそうそうあるもんじゃない」


提督「これで光が見えた…奴らをきっと止められる」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「痕跡からの追跡に忍びの手も借りたい、なんとかならないか?」


名取「正式な依頼なら受け付けますけど…」


提督「なら頼む。金はなんとか用意する」


名取「お小遣いでどうにかできる値段じゃありませんよ?」


提督「相手の始末を頼むわけじゃない、あくまで場所を知りたいだけなんだ」


名取「確かにそれならそこまでのお金は必要ありませんけど…」


提督「借金には慣れている、どうにかして金は作るから頼む」


名取「…分かりました。忍者提督を通して依頼とお金をお願いします」


提督「あぁ、すぐにでも済ませよう」

名取(由良が居れば提督さんの頼みなら無償でやってたのかな)


名取(…居ない人のことを考えても仕方ない。私は自分のやり方でやる)


名取(忍びの技術は安売りするものじゃない。例え大切な人のお願いでも依頼じゃないなら断る)


名取(忍びは表に出ちゃいけない、裏で暗躍するのが仕事)


名取(忍者提督の言ってることの殆どは分かるけど、艦娘が忍びをやることは理解できない)


名取(忍びが鎮守府なんかに居ちゃいけないのに。どうしてこんなことをしてるんだろう)


名取(……今は仕事に集中しよう)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


名取(相手の規模はそれほど大きくはないんだ。多くても十数人かな)


名取(よく調べたら資材の残骸もあった。相手は艦娘で間違いない)


名取(旧大本営派かどうかは確定できなかったけど多分違う。旧大本営ならこんな回りくどいことはしない)


名取(傀儡艦娘に拘る艦娘の集団…聞いたことがないってことは昔からあるものじゃない)


名取(なにかがきっかけで集まって傀儡艦娘を駆逐しようとしている。そのきっかけが分かれば…)


名取(よし、このまま調査を続けよう)


名取(……でも一旦鎮守府に帰ろうかな。情報を整理したいし少し休憩も兼ねて戻ろう)

ーー横須賀鎮守府


名取「……」シュバッ


秋雲「お疲れ様~ってとこ?」


名取「うん、そんなところ」


秋雲「なんかまたややこしい連中が居るらしいじゃん。ほんとに暇人も多いよね」


名取「…提督さんはどうしたの?」


秋雲「霞と龍驤と漣にアホみたいに怒られてるとこ」


名取「…また浮気したんだ」


秋雲「違う違う、忍びへの依頼金を一人で払おうとしたのがバレたらしいよ」


秋雲「結局費用は大本営が出したらしいんだけどさ、ほんとあの人は物好きだよね~」


名取「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


霞「あのね……これからかすみを育てていかなくちゃいけないし…家族に内緒で出費する癖は……不安だし悲しいの…」


提督「……」


霞「誰にも迷惑をかけたくないって…あなたの考え方は素敵だけど……家族が大変なことになるかもしれないのよ…?」


提督「…………」


霞「私……あなたを信用したい…でも……こんなことが続いたら…もう…一緒にはいられないじゃない…」


提督「………………」


霞「ねぇ……分かってるわよね…?」

名取「あ、の…?」


龍驤「なんや、邪魔すんな」


漣「ここまでくると提督には呆れますよ」


名取「そこまで怒らなくても…」


龍驤「アホ、あの借金提督は過去に数千万の借金作りよったんや」


漣「それも自分の為じゃなく艦娘の為ですからね」


龍驤「借金してお土産買ってたとか…ほんまに別れたろうか思ったわ」


漣「三人で行った旅行にケチがつきましたからね」


名取「……」


龍驤「他人を思いやるのと金は結びつかん。司令官は勘違いし過ぎなんや」


漣「霞のあの責めで少しは改心してもらわないと困りますよ」


龍驤「将来的に司令官には提督以外の仕事をさせる必要があるな……」


漣「言い方は悪いですけどご主人様に親が居なかったのも影響してます。空気を読んでばっかりだったご主人様にはその辺が欠けてるんですよ」


龍驤「今回のは簡単には許されへんな……司令官…覚えときや……」



ーー

今日はここまでです

おつおつ
保証人関係は親が教育するの所はなるほどなと腑に落ちる

ーー


名取「傀儡艦娘に被害を与えている敵は旧大本営とは関係無さそうです」


提督「じゃあ一体誰なんだ?」


名取「傀儡艦娘という存在を忌み嫌っている集団です」


提督「傀儡だろうが艦娘には変わりないだろう…」


名取「向こうはそうは思っていないみたいです」


提督「戦力はどうなんだ?」


名取「特務艦で囲んでしまえば勝つことはできるはずです」


提督「特別な戦力は無いということか」

名取「戦力に問題はありませんが、龍飛の存在が気になります」


提督「やはりそこを解決してからでないと難しいか」


名取「干渉はできないと決めつけてしまうのも危険です」


提督「…実体の無いものをどうする?」


名取「龍飛が協力しているのは明らかなので、向こうと合流するのを待つのはどうでしょうか」


提督「また罠を張っても同じ手には引っかからないだろうな」


名取「そうですね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

鳳翔さんにもうちょっとなにか聞けないか…!

ーー


菊月「龍飛について情報は無いのか」


鳳翔「あることはありますが一つ条件があります」


菊月「なんだ」


鳳翔「彼女をどうするつもりなんですか。もしも殺すつもりならこれ以上は協力はしません」


菊月「私達に交渉できると思っているのか?」


鳳翔「彼女は私です。自分のことは自分が一番分かっています」


菊月「傀儡艦娘が全員殺されてもその態度でいられるか?」


鳳翔「はい」


菊月「……」

鳳翔「爆発させるのはやり過ぎですが、深海棲艦も傀儡艦娘も滅びるべきだと思います」


菊月「滅ぼすなら爆破だろうが変わりない」


鳳翔「……」


菊月「これ以上は協力しないと言うんだな」


鳳翔「彼女を殺さないのなら協力します」


菊月「……勝手にしろ」スタスタ


鳳翔「彼女…昔の自分を殺すなんてできません。私はそこまで強い艦娘じゃないんです」


鳳翔「彼女が歪んでしまっていても……殺されるのは認められません」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月「ああそうだ…施設の子供達なんだが、あの地域は退役した艦娘が多いらしいな。爆発でも起きないといいんだが」

>>698
望月「脅すなよー逆効果じゃん?……とはいえ退役艦も珍しくなくなって来てるし孤児院近くで爆発がある可能性はあるんだよねぇ。不殺で無力化出来るならこっちもそうしたいから何か手があれば教えてくれない?」

菊月「ああそうだ、施設に居る子ども達だがあの地域は退役した艦娘が多いらしいな。爆発でも起きないといいんだがな」


鳳翔「貴女は子ども達を人質にするんですか!?」


菊月「私には関係ないことだ」


鳳翔「この外道……!」


望月「菊月~そういうのは逆効果だって」


菊月「……」


望月「菊月のはやり過ぎだけど、退役艦も珍しくなくなって来てるし孤児院近くで爆発がある可能性はあるよ~」


鳳翔「だからって…」


望月「不殺で無力化出来るならこっちもそうしたいしさ、何か手があれば教えてくれない?」


鳳翔「……」


望月「信用できない?」


鳳翔「できると思いますか?」


望月「菊月~~」


菊月「うるさい」

鳳翔「貴女達とはここまでです。それでは失礼しますね」


望月「…あーあ、やっちゃった」


菊月「どうせアイツは何も知らなかった」


望月「そう言うしかないよねぇ」


菊月「……」


望月「で、どうするの?」


菊月「どうにかする」


望月「具体的には?」


菊月「……」


望月「はいアウト~」


菊月「うるさい……」

ーー


鳳翔「龍飛は影となってしまいました。けどまだ生きているんです」


鳳翔「悪いことをしているのも少し拗ねているだけなんですね。話せばきっと分かってくれます」


鳳翔「……新月」


鳳翔「全てが影で覆われるこの時期が一番力が強くなるんですよね」


鳳翔「これ以上悪事を重ねる前に気付いて下さい。そんなことをしても意味は無いんです」


鳳翔「貴女は何を望むんですか……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー??


長門「お前か」


龍飛「向こうがここに気付くのも時間の問題よ」


長門「また拠点を移すことになるのか」


龍飛「こっちは戦力が整っているわけじゃないから、まともにやり合っても不利じゃない」


長門「分かってる」


龍飛「大本営と横須賀から遠ければ遠いほど安全なのは仕方ないこと」


長門「奴らめ…どうしてそこまでして傀儡を庇う。あんなものは存在していいものじゃない」


龍飛「じゃあ後は頑張って。私もサポートは続けてあげるから」

龍飛(…長門を騙すようで申し訳ないけど全ては実験を成功させる為なのよ)


龍飛(私のせいで失敗して大切な人達も居なくなった。あの実験に成功すれば全てが元通りになる)


龍飛(こんな形になってしまった自分一人では何も出来ない。足りないものの子達を地獄に落とそうとしたけど無理だった)


龍飛(今は長門達が居るけどまだまだ足りない。ここに居る全員を生贄しても無理)


龍飛(……羽)


龍飛(艦娘に使えば化け物になったり、人間に使うば急激に老化する不思議な羽)


龍飛(『羽』を作ったんじゃない、あるものの翼から落ちた『羽』)


龍飛(……深海棲艦に成虫体があるのは私達は気付いていた)

龍飛(幼虫、蛹〈繭〉、成虫。この順番の変態が正しいとされている。けど深海棲艦はそうじゃない)


龍飛(外部からの力を加えれば『進化』をする。成虫からいきなり成虫になった)


龍飛(あの日……私達は翼を見た。人形の深海棲艦に真っ黒な翼が生えて……)


龍飛(…そこから先のことは覚えていない。けど一つだけ覚えていることがある)


龍飛(門が……開いた)


龍飛(それが何を意味していたのか分からない。けど何が起こるのかは理解できた)


龍飛(あれは地獄の門。その門の向こうには……全てを無に返す何かがある)


龍飛(深海棲艦の進化によって開いたのだとしたら、艦娘でもできるはず。その為には地獄に落とした艦娘が必要…)


龍飛(全てをリセットする……あんなことが起こらないように…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

菊月がやらかしちゃってね?ごめんね?これこれこういう感じだからそっちの方で鳳翔さんと交渉できない?
と望月から提案(?)される提督ら

ーー


望月『……ってわけでさぁ、菊月がやらかしちゃってね~』


望月『こっちはもう無理っぽいからそっちの方で鳳翔さんと交渉できない?』


提督「…やってみるが、本当に鳳翔さんが他に情報を持っているのか?」


望月『あの言い方なら間違いなくあると思うよ』


提督「鳳翔さんが…龍飛を庇うのか」


望月『だって元は同一人物だし。助けられるなら助けたいのは当たり前じゃない?』


提督「……」


望月『まあそっちは朝霜とか色々干渉されてる可能性はあるからなんとも言えないか』


提督「…鳳翔さんの件はこちらでなんとかしてみる。他に何かあればいつでも知らせてくれ」


望月『はいよ~っと』

龍驤「菊月の気持ちも分かるけど言い方が悪いわなぁ」


提督「……」


龍驤「朝霜が龍飛のせいと決まったわけやない。決めつけるのはあかんのやろ?」


提督「…あぁ」


龍驤「傀儡艦娘を狙う連中も追い詰めてる。もう少しでなんとかなるから頑張ろな」


提督「……そうだな」


龍驤「……」


龍驤(朝霜をやったのは誰かは分からん。けど利用されるのは間違いない)


龍驤(ウチが大本営にあった核地雷を使って地獄(ゲヘナ)の門を開けようとした。ほんで全てを無かったことにしようとしたんや)


龍驤(これはウチが思い付いたことやないけどハッキリと記憶に残ってる。頭の中で囁いた悪魔が言うてたことも覚えてる)


龍驤(地獄の門を開けるには地獄に堕ちた魂か…他の贄があればええ。そうすれば開くんや)


龍驤(ウチは核地雷を起動させて大虐殺をやろうとした。とんでもない数の魂を使おうとしたんや)


龍驤(龍飛が門を開こうとしとるなら…絶対に止めなあかん)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

シュバッ


名取「提督さん、報告があります」


提督「何か分かったのか?」


名取「龍飛の動向はまだ掴めませんが、協力者の一部を探り当てました。これがその写真です」スッ


提督「これは…この長門は!?」


名取「そうです、あの長門です」


提督「まさか、そんな……」


名取「それだけじゃありません、彼女は喋れるようにもなっています」


龍驤「急に治ったってわけやないやろうな」


名取「恐らく龍飛が関係していると思います」


提督「長門……生きていたのは嬉しいが、こんな形で…」


龍驤「どんな考えがあるか知らんけど、やってることは悪や。ウチらが止めたるのが一番やで」


提督「……そうだと、思うしかないな」


ーー

今日はここまでです

ーー


長門「奴らがここを探し当てるのも時間の問題だ。だが黙ってやられるわけにはいかない」


長門「一度奴らには私達が死んだと思わせる。その間に体制を整える」


「ん、んんん!」モゾモゾ


長門「コイツは捕まえておいた傀儡艦娘だ。これを爆破させて私達が自爆したと思わせる」


「んーーーーー!!」


龍飛「ねぇ長門、どうせ爆破させるならいい考えがあるんだけど」


長門「なんだ」


龍飛「ここに誘い込んだ上で爆発させるのはどう?そうすれば何人かを巻き込むことができるわよ」


長門「それはやらない。私達は傀儡艦娘を認めないんだ、無意味に艦娘を殺す必要は無い」


龍飛「…そう」

龍飛(長門とはここまでかしら。この艦娘を使えば何人かを殺せて……門を開けるかもしれない)


龍飛(必要なパーツはまだ揃っていないけど、このチャンスを逃すわけにはいかないわ)


龍飛(深海棲艦が必要…急いで用意して傀儡艦娘と共に爆破させて深海棲艦を進化させる……)


龍飛(地獄に堕ちた魂と進化した深海棲艦。これで扉が開く…はず)


龍飛(このままだと爆発の威力が低いわね、それもなんとかしないと)


龍飛(こんなチャンスは逃すことはできないわよね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍飛「長門…一人じゃ足りないわよ」


長門「どうしてだ?」


龍飛「たった一人が爆発した所で、貴女達全員が死んだことにするには無理があるわよ」


長門「…やはりそうか」


龍飛「最低でもあと一人は欲しいわね。できたら二人ってところかしら」


長門「情報はあるのか」


龍飛「もちろんよ。うまく使ってちょうだい」

ーー横須賀鎮守府


龍飛(進化させる深海棲艦は人型であれば望ましいわ。横須賀には何人か居たわよね)


龍飛(潜水新棲姫か中枢棲姫…港湾棲姫も居た。誰にしようかしら)


龍飛(長門達の細かい情報を大本営に伝える。そうなるとかなりの戦力を使うでしょうね)


龍飛(中枢棲姫は小さい子が居ないと動かないだろうし…潜水新棲姫になるかしら)


龍飛(彼女をうまく前線に運ぶように誘導して、長門達の所に向かわせましょう)


龍飛(問題は傀儡艦娘の爆発は進化を促す程強い力になるのかって所よね)


龍飛(爆薬は多めに用意して損はなさそうね。失敗しても次があるんだから)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


鳳翔『彼女は私でもあるんです。殺すのではなく話し合えばきっと分かってもらえるます』


鳳翔『彼女の心は悪に染まっては……』



龍飛「あいつは本当に……でも放置するしかないわね」


龍飛「邪魔をしないならそれでいいのよ。勝手に妄想を吐き捨てればいいわ」


龍飛「さて……ここまで来たしアレを確かめてみようかしら」


龍飛「潜水新棲姫だけじゃなく中枢棲姫も呼んでこれれば文句は無いわよね」


龍飛「艦娘には取り憑いたり干渉したりできたけど深海棲艦はどうかしらね…っと」


中枢棲姫「……」スタスタ

龍飛「……」ズズズッ


中枢棲姫「ん?」バッ


龍飛「……」


中枢棲姫「気のせいか。何か気配を感じたように思ったが」


龍飛(警戒心が強くて干渉も難しい…成る程ね)


龍飛(長門達のところには自力で来てもらうしか無さそうね。そうなると……)


龍飛(中枢棲姫を使うなら小さい子、潜水新棲姫を使うなら漣をどうにかすればいいわね)


龍飛(順調に進んでるわ。もう少し、もう少しよ…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


漣「さてと、仕事も終わったので書庫に居る嫁を迎えに行きますかと…」


龍飛「……」ズズズッ


漣「ん……ぅ…」


龍飛「やっぱり艦娘は簡単ね、楽に干渉できるわ」


龍飛「そうね、長門の所に行くのに不安だから潜水新棲姫について来て欲しいって提案してみましょう。あの子なら断ることはしないわよね」


龍飛「あとは念の為にサブプランを用意しておいて…」


漣『ん、んん…どうしたんだ漣?』


龍飛「……」

重巡棲姫『気絶するにしてもおかしい。まるで誰かに操られているようだったぞ』


龍飛「……」


重巡棲姫『おい起きろ、しっかりするんだ漣』


漣(ん、んんん、ん……?)


重巡棲姫『大丈夫か』


漣(んと…どうしたんすかねぇ?)


重巡棲姫『立ったまま自我を失っているようだったぞ』


漣(あれ……そんなに疲れてましたか…?)


重巡棲姫『精神的な疲れがあったんじゃないか』


漣(それを言われると…うぅん…)


重巡棲姫『あとは私に任せておけばいい』


漣(そうですね…仕事も終わったんで……あ…あの子だけ迎えに行ってあげて下さい…)


重巡棲姫『分かっている任せておけ』

龍飛(…やっぱり深海棲艦とは相性が悪いわね。表に出てきた途端に弾かれたわ)


漣『……これは龍飛の仕業か?だとしたら何故漣を狙った?』


龍飛「……」


漣『そもそも龍飛の目的が分からない。無差別で狙っているとしたら理由は無いのか』


漣『手当たり次第にということなら警戒すべきだと提督に知らせておくか』


龍飛(中に深海棲艦が居る艦娘が無理なら、向こうに連れて行ける深海棲艦は限られてくるわね)


龍飛(これは最終手段だけど拐ってしまうという手もある)


龍飛(より確実な方法を選択しないといけないわね…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍飛「上手く誘導するにしても発言に影響力のある艦娘を選ばないといけないわね」


龍飛「漣が無理となるとやっぱり龍驤かしら。こっちがリークした情報を提督達がどう判断するかまだ判らないし、慎重に選ばないといけないわね」


鳳翔「……」


龍飛「コイツまた…」


鳳翔「私には姿は見えません、けどこの近くに居ますよね。私も貴女なので分かるんです」


鳳翔「私に全てを話して下さい同じ自分だから分かり合えるんですよ」


鳳翔「一方的な思想は……」


龍飛「もう、イライラさせるわね。とても同じ存在だとは思えないわ」


龍飛「コイツの近くじゃ冷静に考えられないわね…偵察も兼ねて龍驤の部屋に行きましょう」

ーー龍驤の部屋


龍驤「……」


龍飛「龍驤の中には誰も居ないし普通の艦娘と変わらない。こっちの干渉も受け付けるでしょうね」


龍飛「精神を病んでて完治してないのも好都合よ。他の艦娘よりやり易いわ」


龍飛「念の為に試してみましょう……」ズズズッ


龍驤「……」ガクッ


龍飛「やっぱり問題無いわね。干渉するのは龍驤だとしてどうやって深海棲艦を連れて行くのか」


龍飛「連れて行かざるを得ない状況を作るのでもいいわね。龍驤の言葉はある程度は優先されるはず…」


龍飛「龍驤を旗艦にできれば望ましい…その方が手っ取り早くていいわよね」

龍飛「…そろそろ長門達が傀儡艦娘を捕まえてる頃かしら。一度確認の為に戻りましょう」


龍驤「……」


龍飛「せっかく貴女に干渉したんだし、一つお土産でも残していってあげるわ」


龍飛「最近提督と少しいざこざがあったみたいじゃない。お金の話は仕方ないのかもしれないけど…」


龍飛「貴女はそれを絶対に許せない。暴力を振るってでも提督を拒否するの」


龍驤「……」


龍飛「これで次に戻って来た時は、色々とやりやすくなってるでしょうね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍飛「…懲りないわね」


鳳翔「こちらからは貴女に手を出せません。生きている私が錨のような存在となって貴女が現世に留まれているんです」


龍飛「貴女の声は私には届かない」


鳳翔「もし私が死ぬような事があれば貴女も同じことになるでしょうね」


龍飛「勝手に言ってなさい」


鳳翔「私に出来るのは憎まれ口を叩く事くらい…でも貴女は違いますよね」


龍驤「せやね、鳳翔さん」


龍飛「貴女……」


龍驤「ついにウチのとこに来たか。思い通りにはさせへんからな」

龍驤「さっきのであんたのやり口は分かった。これから好き勝手にできると思っとったらあかんで」


龍飛「防げるものなら防いでみなさい」


鳳翔「龍驤さんは姿が見えるんですか?」


龍驤「残念ながら見えへんよ。でもここにおってウチらの声が届いてるのがハッキリと分かる」


龍飛「そんな訳ないでしょう」


龍驤「ウチやから分かるんや。何度も道を踏み外したウチやから言える」


龍飛「…勝手に言ってなさい」

龍驤「……消えたな」


鳳翔「諦めた、ということでは無さそうですね」


龍驤「ここから移動してどっかに行ったってとこやろな」


鳳翔「せめて話すことができればいいんですが」


龍驤「それはウチもそう思う。けど現状はどうやっても無理や」


鳳翔「そうみたいですね…」


龍驤「アイツの好きにはさせへんで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

鳳翔さん「今更ですが…大丈夫ですか?」
龍驤「ちょっちキツいわ…もうムカムカして…けどこれは龍飛のせいよりもこのやり口で狂わされたであろう他のだれかのためや…絶対に何とかするで、あんたのためにもな!」

鳳翔「龍驤さん、今更ですが…大丈夫ですか?」


龍驤「ん……ちょっちキツいわ。もうムカムカして堪らんけど、これはアイツのせいっていうか……このやり口で狂わされたであろう誰かの分もある」


龍驤「アイツは絶対に何とかするで、鳳翔さんの為にもな!」


鳳翔「…はい」


龍驤(ウチらの鎮守府でずっと悪さをしとたっていうんやったらアンタの罪は重い。なにをしたいんか知らんけど、よくも司令官を苦しませたな)


龍驤(アイツを消す為に鳳翔さんを手にかけなあかんとしたら…ごめん、躊躇いなくやってしまうと思う)


龍驤(もしそうなったら孤児院の子らは全員面倒見る。艦娘も辞めて全ての責任は取るで)


龍驤(それくらいの覚悟はあるけど…そんなことにはならんといてな)


龍驤(お願いやで鳳翔さん……)


ーー

今日はここまでです

おつー
菊月みたいなこと考えんなよ龍驤オラァん?!
龍飛は深海と相性悪いのはキーになるな…

ーー


幹部「ついに敵の拠点を突き止めた。あとはこちらが動くだけという状況だ」


提督「長門達を全員捕まえるんですね」


幹部「敵の戦力の全容は分かっていない。特務艦で囲んで勝てる保証も無いんだ」


幹部「そこで提督君の力を借りたい。危険な任務ではあるが長門君のことを知っている君だからこそ協力をして欲しいんだ」


提督「……」


幹部「それに向こうには強力な深海棲艦がいる可能性がある。君の所に居る深海棲艦の力も借りたいと思っている」


提督「幹部さんの頼みなら断ることはしません。ですが一つだけ条件を言ってもいいでしょうか?」


幹部「もちろんだ構わないよ」

提督「長門は捕まえるのではなく、本当は沈めるつもりですよね?」


幹部「…分かってしまうかい」


提督「長門を絶対に沈めないことが私が協力する条件です」


幹部「……提督君がそう言ってくれるのを待っていたのかもしれないね。私だって長門君を沈めるようなことはしたくなかった」


提督「立場の問題ですか?」


幹部「艦娘が艦娘に危害を加えている構図は表に出せない。傀儡艦娘と言っても一般人からすれば艦娘に違いないからね」


提督「長門達を葬れば事件は表に出ません。しかしそれでは殺された傀儡艦娘が浮かばれませんよ」


幹部「…提督君の言う通りだ。君の条件を飲む」


提督「それではこちらからは戦力と深海棲艦…恐らく中枢棲姫を派遣します」


幹部「ああ…頼むよ提督君」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


中枢棲姫「なぜお前たちのことで私が動く必要があるんだ」


提督「…そうだな」


中枢棲姫「話を聞けば長門はロリではないな?それでいて私になんのメリットがある?」


提督「……メリットは無いな」


中枢棲姫「なら私が協力するはずが無いだろう」


提督「無条件で協力してくれるならそれに越したことは無いと思ったが…流石に無理だったか」


中枢棲姫「私は他の奴らと違う。ここで無くとも生きていけるのを忘れるなよ」

提督「ならばここからは交渉だ。これを見てくれ」スッ


中枢棲姫「これは!」


提督「ヒトケタ少女の下着だ」


中枢棲姫「…これは盗んだものじゃないな。どうやって手に入れた?」


提督「情報と引き換えに貰ったものだ。この少女を好きにする代わりに協力をと言ったらどうだ?」


中枢棲姫「それは提督が勝手に言っているんじゃないのか?向こうの許可は得ているのか?」


提督「……高くつくが同意は得ている」


中枢棲姫「ほう……」


提督「これなら悪くないだろう?」


中枢棲姫「ククク…そうなるな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「中枢棲姫が協力してくれて良かったなぁ」


提督「あぁ」


龍驤「一筋縄ではいかんと思ってたけど、流石は司令官やね」


提督「海防艦の傀儡艦娘がターゲットになっていたことを話せば分かってくれたんだ」


龍驤「ほぉん…ロリコンも使い方やってことやね」


提督(幼女提督のことは龍驤には言えないか…傀儡艦娘の話は中枢棲姫にも言ってあるから嘘ではない)


龍驤(この顔、また何か隠し事しとるな。でも長門のことが解決するまでは放っておくしか無さそうやな)


龍驤「…長門らを捕まえられたらええな」


提督「あぁ……」

ーー某所


「まさかアンタと組む事になるなんて」


中枢棲姫「それほど相手が強力ということなんだろう」


「こっちの指揮には従いなさいよ」


中枢棲姫「断る。私は自由にやらせてもらうぞ」


「コイツ…!」


中枢棲姫(ヒトケタ少女の為とロリ艦娘を助ける為に戦う…悪くはないぞ)


「これで実力は本物だから文句は言えないのよね」


「もう…さっさと長門を捕まえて帰るわよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

「もう、アイツは勝手に先行させときましょうよ」


「そうね、今のうちに作戦を確認しておきましょう」


「あそこに長門達が居るから突入して捕まえればいいんでしょ」


「正面からやり合うからそれなりの戦闘にはなる…か」


「長門…どれくらいの強さなのかしら」


「これだけ特務艦が必要なくらいには強い可能性はあるのよ」


中枢棲姫「ククク……」ズンズン


「深海棲艦が居てもアイツに任せればいいでしょ」


「楽観視するわけじゃないけどそこまで気負う必要も無さそうね」


「いくわよ、突撃よ!」

ーー


長門「ようやく来たか」


龍飛「思ってるより遅かったわね」


長門「捕まえた特務艦の準備も済んだ」


龍飛(こっちの予定通りに深海棲艦も来た…思惑通りね)


長門「もう爆破させてもいいだろう」


龍飛「いいえまだよ、全員が中に入ったのを確認してから」


長門「随分と用意周到だな」


龍飛「万が一にでも生き残りを存在させたくないのよ」


長門「成る程な」


龍飛(進化させる為の深海棲艦と地獄の門を開く為の犠牲…全てが揃った)


龍飛(これで全てが元通りになる…!)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

中枢棲姫「……待て」


「なによ」


中枢棲姫「様子がおかしい」


「誘い込まれてるんでしょ、それくらい分かるわよ」


「戦力では負けてないんだから望む所よ!」


中枢棲姫「違う。ここには誰かが居るのは確かだが猛者の気配が無い」


「なによそれぇ!」


「ねえ待って、ここに居るのか長門達じゃないなら…」


中枢棲姫「奴らは捕まえた艦娘をここに置いているんじゃないのか」


「待って、そうだとしたら……」


「ジャミング装置なら持ってきています!」


中枢棲姫「死にたくないのならそれを起動させておけ」

ーー


長門「傀儡が爆発しない。作戦は失敗だ撤退するぞ」


龍飛「……」


長門「こちらは数も戦力も劣る、正面からやり合う場面は作らない」


長門「我々の目的は傀儡艦娘の処理。戦うだけ無駄なのは分かっているだろう」


龍飛「……」


長門「どこに行く」


龍飛「…諜報活動よ」


長門「そうか。我々は次の場所に向かっているぞ」


龍飛「……」

龍飛(どうして…!あと少しで全てが終わったのに!)


龍飛(これ以上のシチュエーションはもう無い……これの為にどれだけ準備をしたと思ってるの…)


龍飛(門も開けないなら私はずっとこのまま…!?)


龍飛(こんな死に損ないみたいな存在で永遠に彷徨うだなんて…!)


龍飛(私が…なにをしたのよ……)


龍飛(……)


龍飛(少し艦娘を殺して何人かを地獄に堕とそうとしただけじゃない)


龍飛(私は悪くないのよ)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー足りないもの鎮守府


龍飛「そんな所に居たのね」


鳳翔「貴女が来るのがなんとなくわかりましたから」


龍飛「ここでなら迷惑がかからないって言うの?」


鳳翔「貴女がしそうなことくらいわかりますよ」


龍飛「ふ…ふふふ……じゃあ遠慮なくやらせてもらうわよ」


鳳翔「自分で自分を傷付けているだけなら誰にも迷惑がかかりませんからね」


龍飛「その余裕も今のうちよ…私のサンドバッグになってもらうから」

ーー横須賀鎮守府


幹部「敵を捕まえることはできなかったが、捕まっていた傀儡艦娘を保護することはできた」


提督「五人も捕まえていたんですね」


幹部「特務艦と捕まっていた傀儡艦娘に話しを聞いたんだが、彼女達を爆発させてこちらに被害を出そうとしていたらしい」


提督「長門がそんなことを…」


幹部「中枢棲姫君が気付いていなければ大惨事だった。彼女のお陰で助かったよ」


提督「…捕まっていた彼女達は?」


幹部「心労もあるからこちらで様子を見るよ。中には精神を病んでしまっている子も居るようでね…」


提督「…分かりました」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


鳳翔「こうやって言葉を交わせるのになぜ意思は交わせないんですか」


龍飛「意味が無いからよ」


鳳翔「貴女も他の艦娘も傀儡だって今ここに存在しています。それなのになぜ奪おうとしているんですか」


龍飛「貴女と同じだからよ」


鳳翔「違います、私は貴女のような考えは持っていません」


龍飛「貴女が未練がましくここに残っているのと同じだって言ってるのよ」


龍飛「鎮守府の近くに店を開いたり孤児院に行ったりしてるのも全てがその為」


龍飛「死んだ人間は戻らない」


鳳翔「彼はまだ生きています」


龍飛「死んだわよ。あの門が開く時の生贄になった」


鳳翔「なっていません」


龍飛「本当に諦めが悪いわね」

龍飛「もう一度門を開けば提督は帰ってくるのよ」


鳳翔「その為に何人殺そうとしているんですか」


龍飛「提督の為なら些細な犠牲」


鳳翔「犠牲にされる方の事も考えて下さい」


龍飛「提督だけじゃない。あんな狂った日々が無かったことになるのよ」


鳳翔「……」


龍飛「貴女は私。近いうちに私の味方をするのは分かってるの」


鳳翔「絶対にあり得ません」


龍飛「その時が来るのを楽しみに待っているわね」


鳳翔「……絶対にありません」


ーー

今日はここまでです

ーー横須賀鎮守府


龍驤「長門らを追い詰めたと思ったけどそういう作戦やったとはな…」


提督「大本営の特務艦隊も頑張っているらしいが行方は全く追えていないらしい」


龍驤「楽にはいけへんってことやな…」


提督「保護した傀儡艦娘達の手術は終わったらしい。ほぼ全員は大本営で様子を見ると言っていた」


龍驤「ほぼ全員……な」


提督「傀儡艦娘の一人がこちらで様子を見ることになった」


龍驤「話は聞いてるよ。心の健康をちょっと崩してる子やんな」


提督「軟禁されていた上に目の前で爆破させるとも言われたそうだ。そんな状況で…よく耐えたと思う」

提督「蒼龍と青葉、そして響が抜けたこともある。人員を増やすという意味は通っている」


龍驤「蒼龍らは天城の所に異動で響は解体…もっと盛大に送り出してもよかったけど…な」


提督「お別れ会は既に行ったし朝霜のこともある。喪に服すじゃないがこれでいいと言ってくれた」


龍驤「響には新しい人生を送って欲しいね…」


提督「…さて、例の艦娘がそろそろ来る頃だろう」


龍驤「まずはゆっくりと落ち着いてくれたらええんやけどね」


下2 艦娘名を

ーー


雪風「……」


龍驤「わざわざ来てくれてありがとうな」


雪風「……」


提督「…手術の経過はどうだ?」


雪風「……」


龍驤「ここにはあんたの敵はおらへん。落ち着くまでゆっくりしたらええんやで」


雪風「……」


提督「この鎮守府に対して何か質問はないか?それとも他に…」


雪風「……」カタカタ


龍驤「ごめんな司令官のこと怖いわな。あんな顔で質問されたら恐怖を感じても不思議やないよ」


提督「……」

龍驤「司令官はな顔は怖いけどええ人やから。ほんでウチの夫なんやで」


雪風「え……」


提督「龍驤とはそういう関係だ」


雪風「……」


龍驤「意外やろ?こんなウチやけど愛してくれてるんやで」


提督「腕や脚が足りないくらい何とも思わない。誰にだって足りないものはある」


龍驤「せやから誰もあんたのことを責めたりせぇへん。今は落ち着くのが仕事やと思っとき」


雪風「……」


龍驤「ほな部屋に案内するわな。司令官、行ってくるで~」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


陽炎「ここからは私達が案内するわよ!」


雪風「…っ」


不知火「陽炎は日陰に移動して下さい」


陽炎「日陰でも眩しさは変わらないわよ」


雪風「……」


不知火「この髪色で分かる通り陽炎は傀儡艦娘です」


陽炎「私は割と初期の手術だから副作用でこうなってるのよ。貴女は副作用が無かったみたいね」


雪風「……」


不知火「もちろん不知火も傀儡艦娘ですよ」

陽炎「傀儡艦娘ってだけでもあれだけど、全員陽炎型っていうのも何かの縁よね!」


不知火「そうかもしれませんね」


雪風「……」


陽炎「ここは横須賀だけど色々緩いし、休むには丁度いいと思うわよ」


不知火「傀儡艦娘の同士として相談にも乗りますよ」


雪風「……」


陽炎「あ、もし暇だったら工廠に来て手伝って!いい気分転換にもなると思うわよ!」


不知火「不知火はスパッツの素晴らしさを教えてあげますよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー不知火の部屋


不知火「スパッツに興味を持って貰って嬉しいです」


雪風「……」


不知火「これが初心者にはオススメですよ」スッ


雪風「……」


不知火「適度な締め付けが運動能力を向上させ気分も高揚します。王道の中の王道ですよ」


雪風「……」


不知火「ではゆっくりと試着して下さい」ガチャッ


雪風「……」

ガチャッ


不知火「よく似合っていますよ。良い陽炎型の着こなしです」


雪風「……」


不知火「良ければスパッツの話を聞いていきませんか?」


雪風「……」フルフル


不知火「ではまたの機会に。部屋に戻りますか?」


雪風「……」コクリ


不知火「分かりました。あと予備のスパッツも持っていって下さい」スッ


雪風「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー雪風の部屋


雪風(あの人達、傀儡なのに凄いな……)


雪風(自分に自信があって堂々としてて…それに比べて雪風なんて……)


雪風(訓練所では成績上位、所属していた鎮守府では第一艦隊の旗艦で皆んなから頼られる駆逐艦…)


雪風(今までそう思っていたのに……この記憶は全て…作られたものだったなんて…)


雪風(雪風が旗艦なんかできるはず無いのに…なんでそれに気付けなかったんだろう……)


雪風(それに気付けていれば…特殊任務の為に引き抜かれたんじゃないって……思えたのに…)


雪風(雪風は紛い物……艦娘でもなんでも無い…)

コンコン


潮「ごめんね…入ってもいい?」ガチャッ


雪風「……」


潮「幹部さんからお話聞いちゃったんだけど…雪風ちゃんも私と同じなんだよ」


雪風「……」


潮「私も偽物の記憶があるの。訓練所とか存在しない鎮守府での記憶」


雪風「あ……」


潮「私は傀儡の中でもチューナーっていう変な存在なんだけど、傀儡艦娘には変わりないよ」


雪風「……」


潮「ゆっくり…お話しよ?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


雪風「やっぱり私は……皆さんと違います」


潮「そんなことないよ」


雪風「一人じゃ何もできない…文字通り傀儡なんです」


潮「雪風ちゃんそんなこと言わないで」ギュッ


雪風「やめて下さい…」


潮「私も最初はいっぱい迷ったよ。生きてていいのかなってずっと思ってた」


潮「でもね、ここの皆んなが教えてくれたの。ここに居る私は本物なんだって」


潮「だから雪風ちゃんも本物だよ。記憶が偽れてもここにいる雪風ちゃんは偽物なんかじゃない」


雪風「……」

雪風「潮ちゃんは出撃…してるんですよね」


潮「うん、空母になったり戦艦になったりしながら出撃してるよ」


雪風「雪風はもう…無理なんです。演習すらできないんです」


潮「どうし……あ…爆弾…」


雪風「……主砲も構えられないんです。爆発音とか大きい音が鳴るだけで過呼吸になって…」


潮「大丈夫。ここなら出撃しなくてもいいから」


雪風「……」


潮「提督と話してもいいし何もしなくてもいいよ」


雪風「どうして…」


潮「雪風ちゃんに笑って欲しいから…って提督ならそう言うと思うよ」


雪風「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー提督の部屋


提督「俺と話してくれるだけで嬉しいんだ。なんでも聞いてくれ」


雪風「潮ちゃんから聞いたんですけど……雪風はここで何もしなくていいって…」


提督「君が砲撃の音に拒否反応があるのは知っている。それを知っていて出撃させようとはしない」


雪風「……」


提督「潮が言っていたのはそれだけじゃないだろう?」


雪風「なんで…知って…」


提督「潮も同じ悩みを持っていた。君と全く同じというわけでは無いだろうが、ある程度は想像できる」


提督「潮と同じ励まし方になるがそれでも言わせてくれ。偽物の記憶があったとしても雪風は本物なんだ」


雪風「どうしてそこまで言えるんですか…今日初めて会ったばっかりなのに……」


提督「俺はそういう人間なんだ。そうだな…龍驤の話をしよう。本人の居ない所で話すことでは無いかもしれないが、それも含めて贖罪としよう」

ーー


提督「……ざっとこんな所だな」


雪風「全部本当にあったこと…?」


提督「疑うのなら本人に聞けばいい。こんな龍驤でも俺は受け入れたんだからな」


雪風「……」


提督「傀儡だろうが艦娘には変わりない。陽炎は傀儡ということ意外にも大きな悩みがあったがそれも乗り越えた」


提督「俺から何かをしろと強制することは絶対にしない。だから雪風も一つだけ約束してくれ」


雪風「約束…」


提督「悩む前に誰かに相談するんだ。絶対に自分で命を絶とうなどと思わないでくれ」


雪風「……」


提督「それが約束できないのならここから去ってもらうが…勿論できるよな?」


雪風「……」コクリ


提督「よし、なら俺から話すことはもう無い。あとは雪風に任せる」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

傀儡四人で一緒寝ましょ
陽炎「一応陽炎型長女として妹が心配でゴニョゴニョ」
不知火「はっきり一緒に寝たいと言ったらどうですか」
潮「ふふ…おいで?」

ーー潮の部屋


不知火「潮の部屋はぬいぐるみだらけで狭いですね」


陽炎「私の部屋は論外なのは分かるけど不知火の部屋はダメだったの?」


不知火「ちょうどスパッツを干していたので。それより陽炎まで来る必要は無かったんですよ」


陽炎「それは…一応、陽炎型の長女として妹が心配っていうか…」


不知火「はっきり一緒に寝たいと言ったら良いんですよ」


陽炎「…そうね」


潮「雪風ちゃんおいで…?」


雪風「……」ダキッ


陽炎「傀儡艦娘なんか作ってた旧大本営には色々と言いたいことがあるけど、私達が集まれたのは良かったわね」


不知火「唯一の褒められる点ですね」


陽炎「傀儡は敵の前に自分と戦わなくちゃいけない。雪風は乗り越えてくれるかしら」


不知火「それでもやるしか無いんです」


潮「私達が居るからね…大丈夫だから…」


雪風「……はい」


ーー

今日はここまでです

乙乙
つくづく業が深い旧本営周り…

ーー


長門「……」


長門「……」


長門「……」


龍飛「お待たせ」


長門「どこに行っていたんだ」


龍飛「貴女達が新しい拠点に移るのと同じ。私にも色々あるのよ」


長門「暫く離れるのならそう言っておいてくれ」


龍飛「そうよねぇ、貴女は私の力を借りているお陰で喋れるんだから居ないと困るわよね」


長門「……」


龍飛「離れているときでも力を貸していたけど…ちょっとそっちに貸す力が弱まってたみたいね」


長門「…そのようだ」

龍飛「深海に片足を突っ込んだ貴女だから力を貸せているの。そこを忘れてはいけないわよ」


長門「…お前は深海棲艦なのか」


龍飛「違うわ。れっきとした艦娘よ」


長門「その姿でか」


龍飛「うふふふふふ」


長門「…今の装置は無効化されたも当然だ。新しい対傀儡装置を開発する」


龍飛「頑張ってちょうだい、影ながら応援してるわよ…うふふ、影なだけに」
 

下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー大本営


幹部「……どこから現れたと聞きたいが、それどころじゃ無さそうだ」


長門「安心しろ、こちらは丸腰だ」


幹部「艦娘にそう言われてもね…」


長門「お前と話がしたい」


幹部「……」


長門「昔のお前なら容赦なく拘束しようとしたが、今は出来ないだろう。こっちはそこまで分かっている」


幹部「……話の内容を聞かせてもらおうか」

長門「大本営の代表から退いてくれ」


幹部「どうしてだ?」


長門「それがお互いの為になる」


幹部「私はなるとは思えない」


長門「傀儡艦娘の存在が世に出ることになるぞ」


幹部「……」


長門「一般人に傀儡の区別はつかない。ただでさえ艦娘の人権が危うい時にこの事実は世に出るべきじゃない」


幹部「だから殺すというのか」


長門「あれはゴミ処理と変わらない。負の遺産は残すべきじゃないのが分からないのか」


幹部「傀儡だろうが彼女達は生きている」


長門「それは深海棲艦も同じだ。我々のさじ加減一つで命は善にも悪にもなる」


長門「傀儡艦娘は悪だ。この事実だけはどうやっても変わる事がない」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

長門
私はお前達の為にも言っている
傀儡が謎の死を遂げいなくなってしまえば生き残った者はみな幸せになるだろう。それが達成された暁には……私の命はくれてやる、この国の為の礎となろう
私はここまでの覚悟がある

長門「私はお前達の為にも言っているんだ」


幹部「なにをバカなことを」


長門「傀儡がこのまま謎の死を遂げいなくなってしまえば生き残った者はみな幸せになる。それが達成された暁には私の命はくれてやる」


幹部「……」


長門「私はこの国の為の礎となろう。ここまでの覚悟がある者をお前は無下にはできない」


幹部「…ダメだ。どんな理由があっても傀儡艦娘を殺していい理由にならない」


長門「そうか、あの形が邪魔だと言うんだな」


幹部「なに…?」


長門「お前の言い分はよく分かった。また近いうちに会うことになるだろう」ズズズッ


幹部「……その潔さをもっと別の方向に使って欲しかったと、心からそう思う…」

ーー某所


長門「そうだ、傀儡艦娘を深海棲艦に寄せる。本当に深海棲艦にする必要は無い」


長門「元が傀儡だからやり易いだろう。皮膚を溶かしたり腕を潰せば異形に見える」


長門「前の装置は…いわば電子レンジのようなものだった。今回のはそれに比べれば簡単だ」


長門「奴らもこれで納得する。なまじ見た目が艦娘と同じだから混乱するんだ」


長門「戦争が終わったなら兵器は必要ない。旧大本営が無くなったのなら傀儡艦娘も必要ない」


長門「世界の平和のためには傀儡艦娘は不要だということを、改めて教えてやるんだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

それにしてもあの幹部も甘くなったものだなと長門
殺しては駄目だなどと…必要とあらば艦娘だろうと深海だろうと手段は選ばなかった
あの提督と…駆逐棲姫の影響か

>>824

長門「…それにしてもあの幹部も甘くなったものだ」


長門「殺しては駄目だなどと…必要とあらば艦娘だろうと深海だろうと手段は選ばなかった奴が言う台詞じゃない」


長門「これもあの提督と…駆逐棲姫の影響か」


長門「提督はどうしようも無いがあの深海棲艦だけなら対処は容易いか」


長門「龍飛を使えば居場所の特定もできる。後は奴をどうするかだが…」


長門「いきなり殺しては意味が無い。きちんと理解させてやる必要があるな」

ーー


駆逐棲姫「今日は野菜が安かった。久しぶりに幹部に手料理を作ってやろう」


長門「動くな」


駆逐棲姫「……」


長門「深海棲艦が人の真似事か」


駆逐棲姫「……」


長門「私には関係ない話か。殺されたくなければ言うことを聞け」


駆逐棲姫「…なにをすればいい」


長門「幹部を大本営の代表から降ろせ」


駆逐棲姫「私にそんな権限は無い」


長門「…」ミシッ


駆逐棲姫「ぐぁぁ…っ!!」


長門「お前の言うことなら奴も聞く。奴を降ろすかお前が死ぬかの2択だけだと思え」


駆逐棲姫「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

何度も危険な目に合わせた経験は無駄じゃない
護身用電撃迎撃装置、発動!

駆逐棲姫「殺すなら今ここで殺せ」


長門「…ほう」


駆逐棲姫「私を殺すことが目的じゃないんだろう。むしろ殺さられれば困る」


長門「幹部の入れ知恵か」


駆逐棲姫「違う。姉から学んだことだ」


長門「レ級か……アイツも厄介な奴だ」


駆逐棲姫「長門が生きていたことにも驚いたがどうしてこんなことをしているんだ」


長門「…いい機会だ、お前と話そうじゃないか」

ーー幹部の家


長門「傀儡艦娘の危険性、そして秘密にしている事への不誠実さが致命的だ」


長門「旧大本営と同じように傀儡艦娘の去就も民衆に委ねるべきだった」


駆逐棲姫「そうなれば艦娘への差別が強まる」


長門「傀儡と艦娘は別物だ」


駆逐棲姫「人間にとっては同じなんだ。人間社会に適応してまだ時間が浅いが人間の愚かさは身に染みている」


長門「人間はそこまで愚かだというのか」


駆逐棲姫「長門は人間を信じ過ぎている。旧大本営がどんなことをしていた思い出せ」


長門「あれは狂った人間だ」


駆逐棲姫「狂ってなんかいない、むしろあれこそが人間本来の形なんだ」


駆逐棲姫「他者より強く、他者より上へ。その結果核に手を出したに過ぎない」


長門「……」

駆逐棲姫「自我の無い同胞達が人間を襲う理由はそれかもしれない。人間は邪魔な生き物なんだ」


長門「人間の世話になっているお前が言う台詞か」


駆逐棲姫「言える。人間は醜い」


長門「……」


駆逐棲姫「幹部が大本営から居なくなれば艦娘の地位や人権も危ない。ただの兵器として扱われる」


駆逐棲姫「それは長門も望んでいないはずだ。傀儡艦娘を許せないのは分かったが他の方法に頼るしかないぞ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

やはりわかり合えないようだな…まだ
今日は引こう…………乱暴だった事、すまない

駆逐棲姫「どんな種にも醜い点がある醜いから消す、そうすれば次に醜いモノが目立つので消す」


駆逐棲姫「その先に待つ清浄な世界はとても澄んでいるが、何ない世界だ」


長門「そうだ」


駆逐棲姫「そう…だ?」


長門「この世界は汚れ過ぎている」


駆逐棲姫「長門は…世界を滅ぼすのか……?」


長門「私にそのつもりは無い。傀儡艦娘を駆逐できれば私の命を差し出す」


駆逐棲姫「一体なにがしたいんだ?」


長門「あるべき場所にあるべき存在する。それこそが自然の摂理だ」

駆逐棲姫「傀儡艦娘は自然じゃないから受け入れられないのか」


長門「あんな紛い物は生物じゃない」


駆逐棲姫「分からない……何が自然でそうじゃないのか…お前のさじ加減じゃないのか…」


長門「それこそお前のさじ加減だ。傀儡艦娘が艦娘だというのもお前たちの決めつけ」


駆逐棲姫「長門……もう戻ってこないのか…?」


長門「……」スッ


駆逐棲姫「私にはお前が何を考えているのか分からない…でもこれだけは言え……」


長門「…」ガシッ


駆逐棲姫「…………」ガクッ


長門「…その先は言わせない。さらばだ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

帰ってきた幹部さん、椅子で気絶している駆逐棲姫を心配する
彼を押し留め質問する駆逐棲姫「自然とはなんだろうか…」
(長門は椅子に運んでくれました)

ーー


幹部「クキ君!一体なにがあったんだい!?」


駆逐棲姫「……私は平気だ。それより質問に答えて欲しい」


幹部「か、構わないが…」


駆逐棲姫「世界で一番強い生物はなんだ」


幹部「……深海棲艦ということになるのかもしれないね」


駆逐棲姫「陸ではどうだ」


幹部「陸……象は意外と強いと聞いたことがあるが一番と言われると…」


駆逐棲姫「人間ではないな」


幹部「…間違いなくそうだね」


駆逐棲姫「弱肉強食でいえば人間がヒエラルキーの頂点にいるのはおかしい」


幹部「そうだね、むしろ人間は下の方に居る存在だ」


駆逐棲姫「それなのになぜ人間が世界を支配している」


幹部「人間には知恵があったからじゃないかと私は思うよ」


駆逐棲姫「知恵があれば世界を支配していいのか」


幹部「…いいとは言えないね」

駆逐棲姫「なぜ人間は生きる」


幹部「…分からない」


駆逐棲姫「奴らが平気で食べている肉は殺す必要の無いものだ」


幹部「野生生物のように自分で獲物を狩ることはしないね」


駆逐棲姫「その上で食べ残しを山のように捨てる」


幹部「…捨てている」


駆逐棲姫「人間は自然に反しているんじゃないのか?」


幹部「反して…いる」


駆逐棲姫「弱きは死に、強き者が生き残るのが自然じゃないのか?」


幹部「……」


駆逐棲姫「この世界は…なんなんだ……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

幹部「クキ君は誤解しているよ。悪人多数で提督君のような善人少数なのではない」


駆逐棲姫「違うのか……?」


幹部「全員がグレーだ、場合によってはどちらにも転ぶのが人間なんだよ。私も提督君も一歩違えば悪だ」


幹部「だが勘違いしないで欲しい、それでも私は人間が好きなんだよ」


駆逐棲姫「悪にも善にもなる人間が好き…」


幹部「悪は悪、善は善だと割り切れる君達は素敵だと思う。しかしそれは人間社会では通用しないんだよ」


駆逐棲姫「私は…何も分かっていなかった」


幹部「説明しようとしなかった私が悪い。クキ君が気にすることではないよ」


駆逐棲姫「長門の言う澄んだ世界こそが……正しい…のか……」


ーー

今日はここまでです

ーー大本営


幹部「久しぶりに姿を見たような気がするよ」


夕立「言葉に気をつけろっぽい。夕立の立場は分かってるはずぽい」


幹部「…失礼したようだね」


夕立「この資料を見ろ」バサッ


幹部「これは…」


夕立「各地の鎮守府に居る傀儡艦娘の情報ぽい」


幹部「こんな資料が…これがあれば全員無事に手術を受けられる。感謝するよ夕立君」


夕立「この資料にある艦娘は全員こちらが引き取る」


幹部「なんだって?」


夕立「所属もこちらの国になる。そっちには拒否権はないぽい」


幹部「随分と急な話だね…」

幹部「こちらに拒否権は無いかもしれないが、抵抗することくらいはできる」


夕立「そんなことをすればどうなるかは分かってるぼい」


幹部「……彼女達をどうするんだ」


夕立「利用するぽい」


幹部「……」


夕立「そっちが乗り気じゃないならこっちが勝手にやるだけ。傀儡を傷付けられたくなかったら、大人しく引き渡した方がいいっぽい」


幹部「分かった……各地の鎮守府には通達しておこう…」


夕立「それでいいっぽい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

幹部「…しかし傀儡艦娘も今や我々の貴重な戦力である事には変わりない。そうなるとこの国の防衛にも関わってくる」


幹部「いくら大本営の代表とはいえ、私の一存で決める訳にはいかない」


夕立「減ったら補充すればいいだけぽい。さっさと新しい艦娘を建造しろっぽい」


幹部「我々は旧大本営とは違う、そんな簡単に建造をすることは無くなった」


夕立「それしか選択肢が無いっぽい。国はこっちの話を理解してくれたっぽい」


幹部「まさか…」


夕立「北の領土をチラつかせたら簡単に言うことを聞くぽい」


幹部「……」


夕立「伝えるべきことは伝えた、もう帰るっぽい」

ーー


『交渉はどうだったんだ?』


夕立『問題無かった』


『それは良かった。やはり艦娘のことは艦娘が交渉するべきたったようだ』


夕立『傀儡のことが表に出れば艦娘の人権が危うい。大事になる前にこちらで使ってやるのがいい』


『大本営から回収した核地雷。その核の平和利用としてあるものを作ることになった』


夕立『それがあの原子力列車か』


『極寒の地でも止まることがなく非常時には移動式発電所にもなる。技術に問題は無かったが操縦者やクルーの問題があった』


夕立『それを傀儡艦娘にやらせれば問題は解決ぽい』


『これが成功すれば夕立は大統領からの勲章モノだ。いずれは私を追い抜いていくのは間違いないだろう』


夕立『…そんなものに興味はない』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー横須賀鎮守府


提督「……それでどうしたんですか?」


幹部「全ての傀儡艦娘を一度にというのは現実的じゃない。空いた穴を埋める為に建造するといっても時間が掛かる」


幹部「だからまずは数人の傀儡艦娘を送る…という話になった」


提督「送るというのは確定したんですね…」


幹部「国はロシアの肩を持つようだ。大人しく従う意外に選択肢はないだろう」


提督「…はい」

幹部「送る艦娘を数人ずつにするのが限界だった。急速な変化は誤解を受けるとなんとか説得したんだ」


提督「夕立は…ロシアはなにを考えているのでしょうか」


幹部「傀儡艦娘を実験台にするようなことはしないと思うが…」


提督「…龍驤に調査をさせましょうか?」


幹部「龍驤君は確か勲章を貰っていたね。なら調べることは可能かもしれないが、危険が伴う可能性もある」


提督「それはそうですが、大勢の傀儡艦娘の命を守れるのなら…」


幹部「その気持ちは受け取っておこう。ありがとう提督君」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

提督「今現在、傀儡艦娘は狙われています。向こうに送り続けた場合、何が起こるか……」


幹部「護衛の名目で第一団には誰か付けようとは思っていたんだ。こちらとしては特務艦を考えていたが、龍驤君にやってもらうのは悪くない…」


提督「自分もそう思います」


幹部「下手をすると向こうは傀儡艦娘が狙われているということを知らない可能性もある」


提督「幹部さんはその話はしなかったんですか?」


幹部「知っているものと思い込んでしまったんだ。確認しなかったのは私のミスだね」


提督「その話は龍驤に聞いてきてもらいます。第一団の準備が終えるまでに、こちらも準備を終えます」


幹部「頼み事ばかりで申し訳ない、協力に感謝するよ」

ーー


漣「龍驤ネキ~シベリア送りってマ?」


龍驤「どうやらそうらしいわ」


漣「普通なら特務艦の仕事なんでしょうけど、下手に勲章貰ったんで行かないと仕方ないですよね」


龍驤「向こうにその気があるかは知らんけど、特務艦よりウチが話聞いてきた方がええやろうしね」


漣「流石は龍驤ネキ」


龍驤「なぁ漣、司令官のこと頼んだで」


漣「ういっす」


龍驤「ウチに何かあっても霞はおるけど…やっぱり漣も必要やから」


漣「は?」


龍驤「ほな行ってくるわな、ありがとうな漣」


漣「……フラグ建てて行くとか最悪なんですけどマジで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤(皆んなに挨拶は済ませたけど…あの様子やと自分が傀儡やって知らされた後みたいやね)


龍驤(その上でロシアに送られるんやから……よくない想像しかしてないやろうなぁ)


龍驤(酷い目には遭わされへんはずやけど確証が無いし下手なことは言われへん……)


龍驤(この空気のまま出発するのはちょっち気が重いわ…)


隊長「おいお前はあの時の」


龍驤「……隊長さん?どうしてここにおるんよ」


隊長「俺達は艦娘の護衛として呼ばれたんだ」


龍驤「あ…あの時ウチを病院に捕まえに来た皆んなもおるんやね」


隊長「我々はチームで動く。この前のように単独行動の方が珍しい」


龍驤「そうやったんやね…隊長さんらがおったら百人力やわ」


隊長「全員揃っているなら出発する。我々に着いてこい」


龍驤「皆んな、そういうわけやからこの人らに着いていこな」

龍驤(……なぁ隊長さん)


隊長(無駄話をするな)


龍驤(ちょっとだけ聞きたいことがあるんよ)


隊長(なんだ)


龍驤(あんたらが来た理由って護衛と違うやろ。もしウチらが逃げたり暴れたりしたら仕留める為やね?)


隊長(……)


龍驤(情報がいってるかどうか知らんから説明しとくわな。傀儡艦娘には爆弾が埋め込まれてるから下手に撃ったらあかんで)


隊長(嘘を言え、出撃はどうなっている)


龍驤(艤装の展開中は問題無いんよ。それに深海棲艦の弾が貫通することなんて滅多にない)


龍驤(でもあんたらの持ってる銃やったらウチらの体は簡単に貫通する。もちろん陸で艤装してないっていうのも大きいけどな)


隊長(…いいから黙ってついてこい)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


「今までの記憶が全部偽物だったなんて…」


龍驤「記憶はそうかもしれんけど、あんたがここに居るのは本当なんやで」


「ううぅ……嫌だよぉ…」


龍驤「大丈夫やから安心しとき。ウチがおる以上変なことはさせへんから」


「本当…?」


龍驤「任せとき!せやから落ち着いて向こうに着くの待っとこな」


「はい……」


龍驤(まさかウチがカウンセラーの真似事をしてるやなんて…自分が散々受けたから聞き方もなんとなく分かるんよね。伊達に何回も病院送りになってないってことや)

ーー


隊長「艦娘の様子はどうだ」


龍驤「何人かの子は不安になってるみたいやけど、話したら落ち着いてくれたよ」


隊長「お前が話か」


龍驤「うん?」


隊長「以前の時とはまるで違うな。自分を好きにしろとまで言ったお前の台詞とは思えない」


龍驤「ウチかって成長するんよ、いつまでも甘えてばっかりなんかおられへん」


龍驤「脚も腕も片方無いけどたったそれだけや。甘えていい免罪符にはなれへんのよ」


隊長「別人とはまでは言わないが、余程のことがあったんだろう」


龍驤「隊長さんは相変わらずみたいやね」


隊長「俺はこれが仕事だ。変わることは任務の妨げになる」


龍驤「…はいはい、ちゃんと頑張りよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「傀儡艦娘を集めてどうしたいんや…向こうの目的が分からんねん」


隊長「俺と話してもしょうがない。何が起こっても任務は遂行する」


龍驤「それはそうかもしれんけど…」


隊長(荒事の想定もされて俺達が動いている訳だが、確かにロシアの目的が分からない)


龍驤「色々と想像はできるけど傀儡艦娘じゃないとあかんって理由が思い付けへんねん」


隊長「…お前も自分の任務に集中していろ」


龍驤「そんなん言われてもなぁ…」


「あの……」


龍驤「ん、ウチと話そうか。ほな隊長さんまた後でな」


隊長「……」

ーー


『やぁ、任務中に君からの連絡だなんて珍しいじゃないか』


隊長「調べて欲しいことがある」


『君が向かっている国に関してかな?』


隊長「調べてあるなら教えてくれ。なにがあった?」


『うーん核の何かを作ったみたいだけど、悪いことを企んではないみたい』


隊長「新しい発電所か?」


『動いた鉄や鉛の量が異常だね……ふむ、これは噂で聞いてたアレが完成したのかも』


隊長「新兵器か」


『そうなる可能性はあるモノだよ。原子力列車…機関車ってところかな?』


隊長「炉を積んだ列車だと?」


『それが関係してるのか分からないけど、知っておいて損はなかったでしょ?』


隊長「そうだな、隙があれば現地で調べてみる」


『無茶はダメだよ、あくまで任務が優先なんだから』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「三つ子ちゃんの世話して以来やね。あの子らは元気なん?」


夕立「……うちの娘達も会いたがってたぽい」


龍驤「ウチのこと覚えてくれてるん?」


夕立「現代艦娘の能力は恐ろしっぽい」


龍驤「成長も早いし大変なのには変わりないんやね。ところで…子守りさせる気であの子らを呼んだんや無いわな?」


夕立「そうっぽい。お前はあくまでゲストとしてもてなすっぽい」


龍驤「ウチはええねん、あの子らがどうなるか聞いてるんやで」


夕立「こっちの考えがあるからそれに従ってもらうっぽい」


龍驤「わかった、ほなその考えをウチに話してもらおか」


夕立「あの傀儡は別の場所に向かわせる。隊長はそれの護衛をすればいいっぽい」


龍驤「その間にウチと二人で話そうってことか…ええで、じっくり話そか」


ーー

今日はここまでです

ーー


龍驤「傀儡艦娘を原子力列車に使うっていうんやな」


夕立「これが一番いい方法っぽい」


龍驤「あのなぁ…あの子らのことも考えたってや」


夕立「傀儡のせいで艦娘が不幸になるっぽい」


龍驤「あの子らも間違いなく艦娘や」


夕立「爆弾を抱えてる奴らが社会に出られるわけがないっぽい」


龍驤「それは解決してんねん、手術で安全に対処できるんや」


夕立「時間がかかり過ぎて現実的じゃないぽい」

龍驤「あんたの意見はともかく、ロシアはそう思ってるんやな」


夕立「夕立が進言したっぽい」


龍驤「……」


夕立「艦娘が人間と同じ扱いを受けるにはこれしかないぽい」


龍驤「夕立がそんなことを言うなんて考えられへん。娘の為やな」


夕立「だとしたらどうする」


龍驤「ちゃんとお母さんしてるなって言うたるわ」


夕立「……」


龍驤「原子力列車の危険性は大丈夫なんやろうけど、艦娘がやるべきことではないと思うよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕立「いいや夕立達がやるべき事っぽい」


龍驤「その理由はなんなんよ?」


夕立「与えられた役割に艦娘も人間も無い。艦娘だからって分けて考えている内は差別も無くならないっぽい」


龍驤「差別を無くす為にあえてやるって言うんか」


夕立「夕立は自分のやるべき事をやるだけっぽい」


龍驤「あんたの言い分は分かった。とりあえずは様子見させえもらうで」


夕立「好きにしてろっぽい。お前は客人扱いぽい」

ーー


夕立「お前たちに逃げ場は無い。殺されたくなければ大人しく従え」


「ひ……」


夕立「ここに居れば傀儡だと差別されることも無い。周りに迷惑をかける心配もない」


「それは確かに…」


夕立「危険を撒き散らす存在ではないということをその命を持って示せ…ぽい」


「核の管理なんて危険だけど…ちゃんとできるって所を見せられたら……」


「鎮守府の皆んなに迷惑をかけれないし…やるしか無いのかな」


夕立「精々頑張れっぽい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

おかえりー

以前とは違って不定期な更新になるかもしれません


ちゃんと終わらせるまでやりますが、所々設定が矛盾するかもしれません。その場合は指摘してもらえたら助かります



とりあえず現在の状況は、夕立が原子力列車の運営の為に傀儡艦娘をロシアに連行してそれに龍驤も同行


で合ってるはずです

ーー


「だいぶ作業にも慣れてきたわね」

「原子炉って言っても小型だからまだなんとかなる」

「緊急停止のボタンさえ押せば被害が出ることはない…」

夕立「お前らサボるなっぽい」

「夕立さん…」

「今は休憩中です」

夕立「そんなの関係ないぽい」

「そうですよね、私たちの代わりに原子炉の見回をしてたんですよね」

夕立「……」

龍驤「アンタの魂胆は知られとるな」


夕立「黙れ」


龍驤「面倒見がええのは良いことやで」


夕立「お前は黙って子守をしてろっぽい」


龍驤「もちろんそのつもりやで。でもそろそろウチをここに呼んできた理由を教えてくれへん?」


夕立「…明日は列車の試運転がある。夕立と一緒に乗れっぽい」


龍驤「はいはい、了解やで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

三つ子それぞれ個性が出てきてて面白い
龍驤「よっしゃ!あんたらのママが昔やんちゃだった時の話したるで!」

ーー


「「「きゃっきゃっ」」」


龍驤「あんたらはほんま元気やなぁ。ほなママがやんちゃしてた頃の話したろか」


「ママの?」


「聞きたいー」


「教えて龍驤!」


龍驤「これはウチが日本でおった頃の話や。ウチらの鎮守府でな……」

夕立「つまらない話をするな」


「ママー」


「今日はお仕事は終わり?」


夕立「これからが本番っぽい」


「なんだぁ」


龍驤「ウチも列車に乗るんやったわな。準備するからちょっち待っててな」


夕立「やっぱりいい」


龍驤「ん?」


夕立「お前はそこで子守をしてろぽい」


「ママはどうしたんだろ」


龍驤「わからん…ええって言うんやったらみんなの面倒見とくで」


「じゃあ話の続き聞かせて!」


「聞きたい~」


龍驤「ええけど…夕立はどないしたんやろな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

念には念を入れて整備点検
テロ予告のようなものがあったようで…

>>909
怪しいものは見つからなかった
襲撃に気を張る夕立

ーー


「こっちには異常ありません」


「こちらもです」


夕立「設備に悪戯されたわけじゃないっぽい」


「この列車を爆破する…テロ予告ですか」


夕立「愉快犯かこの列車だと知ってなのか判断できないっぽい」


「原子力列車だと知っていれば大変なことになります」


夕立「でも列車には仕掛けはなかった。この列車のことを知ってる可能性は低いぽい」


「それなら良かったです」


夕立「あとはテスト中に何かないか見張るだけぽい」

ーー運行テスト中


「出力安定してます」


「速度制限下での運行は順調です」


夕立「…」


「テロが本当ならこの列車に乗り込んで来ますよね」


夕立「テスト走行だからスピードが出せないぽい。車より遅いから簡単に追いつかれるぽい」


「どう思うますか?」


夕立「可能性は低いぽい。列車を奪っても線路の上しか移動できないぽい」


「そうですよね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕立「……原子炉が狙いか……?」
テストをこの辺て切り上げて護衛してもらおう

夕立「……狙いは原子炉か?」


「中間車両を重点的に見張りますか?」


夕立「いやテストは切り上げて護衛を要請する」


「無理ですここで止めてしまったらいい的なってしまいます」


夕立「それでいい」ガチャッ


「夕立さん!?」


夕立「お前たちは関係者に連絡しろっぽい。夕立が待ち構えてやってやるぽい」


「列車は止めますから飛び降りようとしないで下さい!」


夕立「…」バッ


「夕立さーーん!」

夕立(近くに街も村もない。仕掛けるとしたらここ)


夕立(あえて的になって相手の出方を見るっぽい)


夕立(テロ予告が悪戯ならそれでいい。もし違ったら大変なことになる)


夕立(さぁどっちぽい)


夕立「……」


夕立(こっちは覚悟できてるっぽい)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

夕立(向こうから銃声…!)


夕立「あの銃はアイツらが使ってる……」ダダダッ


夕立「どうなっ…」


隊長「大声を出すな!」


夕立「…」


夕立(特殊部隊なのは伊達じゃないっぽい。動きに全く無駄がないぽい)


隊長「クソ、奴らどうなってやがる」


夕立「まともな相手じゃないっぽい」

隊長「こちらの銃撃は当たっているはずだ」


夕立「向こうは傀儡を使ってるぽい」


隊長「今は弾幕で抑えているが突破されるのも時間の問題だ」


夕立「もう少し待たせろぽい」


隊長「なにか考えがあるのか」


夕立「原子炉を爆破する」


隊長「なんだと!?」


夕立「傀儡艦娘は全員逃がす」


隊長「死ぬつもりか!?」


夕立「それは最終手段だ。傀儡とやり合って負ければそうする」


隊長「クソ…武器が通じないとは」


夕立「傀儡艦娘を逃がす時間を稼いだら逃げろ。あとはこっちの仕事だ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

(軍人さん嫉妬の予感んんん)

隊長「簡単に原子炉を爆破させると言ってるが放射性物質がばら撒かれるだろ」


隊長「そうなれば被害が出る、だからここで踏ん張るしかない」


夕立「周りに街も村も無いのは確認済みだ」


隊長「甘い予想を立てるな、ここで踏ん張るぞ!」


夕立「いくら撃っても無駄なんだ」


「…」


隊長「一人抜けて来たか!」


夕立「銃ごときじゃ無駄だということを教えてやる」

夕立「フンッ!!」グチャッ


隊長「なんだと!?」


夕立「コイツらは核を壊さない限り動き続ける」


隊長「素手で…だと…」


夕立「傀儡との戦い方を知らない奴は足手まといだ、お前らは傀儡艦娘を逃がせ」


隊長「これは俺の仕事だ」


夕立「役立たずは頭を使え。得体の知れない奴らに原子炉を奪われるのが最悪のパターンだ」


夕立「それを回避するのを優先しろ。銃が効かない相手をしている時間はない」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

隊長「核の位置は共通なのか?」


夕立「一部例外はいるが大体はそうだ」


隊長「それが分かれば十分だ。おい」


「…」ジャキッ


夕立「なんだ、弾を替えたところでどうにか…」


「…」ズガンッ


夕立「……」


隊長「俺達も素人じゃない、解決策さえ分かれば対応できる」

隊長「いっておくがお前が居なくともなんとかする方法はあった」


夕立「言ってみろ」


隊長「グレネードランチャーが直撃して生きている生物は居ないだろう?」ジャキッ


夕立「…」


隊長「相手が不死の生物でない限り俺達は戦える」


夕立「…そうか」


「隊長、ショットガンでも対処できそうです」


隊長「ダメだ、接近されると味方への誤射の可能性がある」


夕立(コイツらは個人で動いているというより、部隊で一つの生物…)


隊長「いいか核の部分だけを狙え、人質を取っている犯人の頭を狙うよりは的はデカいぞ」


「ラジャー!」


夕立「…ここはコイツらに任せておくっぽい」


ーー

今日はここまでです

ーー


『我々の作った傀儡はどうだったかな?』


夕立『どういうことだ』


『勘違いしないで欲しいが、我々は君たちに喧嘩を売るつもりはない。特に君は総司令官と繋がりがあるんだ』


夕立『奇襲をかけておいてか』


『それは申し訳ない。君が過ごしている家に連絡をしたんだが、まさか二時間も前に現場に向かっているとは思わなかった』


夕立『当日に連絡しようとするな』


『彼らに華を持たせたかったというのもあった。特殊部隊が戦闘無しとは退屈だからね』


夕立『最悪の場合…』


『それは起こり得ない。その理由は君も分かっただろう?』


夕立『…アイツらは武器を持っていなかった』


『そういうことだ』

『ソビエト派から押収した傀儡の技術はかなり再現できている』


夕立『そうだな』


『将来的にあの傀儡達が原子力列車の運用を行う。日本から来た艦娘はそれまでの間、繋ぎとして働いてもらうことに変わりはない』


夕立『そうか』


『彼女達が残りたいというのなら仕事も与えるがどうなんだ?』


夕立『…まだ未定だ』


『そうかなら早めに彼女達に知らせておいてくれたまえ』


夕立「…傀儡の完成度はかなり高いっぽい。想像してたより早く完成する…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

『それとだ、以前傀儡の機材が破壊されたゴタゴタで技術流出の疑いがある』


『この技術はどんな国も喉から手が出るほど欲しがっている、調べてみてくれないか』


夕立『タダでやれというなら断る』


『そこをなんとかして欲しいんだがね』


夕立『連絡が遅れておいて図々しいぞ』


『…分かった、君が望むものを用意しておこう』


夕立『それでいい』

ーー


龍驤「夕立、大丈夫やったんか!?」


夕立「問題ないっぽい」


龍驤「緊急の電話やって言うのは分かったけど言葉はサッパリ分からんし…」


夕立「それは解決したっぽい」


龍驤「そうみたいやね、こうやって無事に戻ってきてるし」


夕立「それよりやってもらうことができたっぽい」


龍驤「ええけどあの子らはどうすんの?」


夕立「ジジイに送りつけておくっぽい」


龍驤「総司令官にようそんなこと言えるわ…」


夕立「とにかく一緒に来いっぽい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーーとある拠点


龍驤「日本食を作ったってか…確かにそろそろ故郷が恋しくなってくる頃かもしれんからな」


龍驤「夕立は一人でどっか行ってしもたけど、料理はウチ一人でできる!」


龍驤「司令官の為に鍛えた腕を存分に振るったるからな!」


龍驤「…と。材料はちゃんとあるんか?」ゴソゴソ


龍驤「うん、ちゃんと用意してくれてあるみたいやね。これやったらあの子らを満足させてあげられるわ」


龍驤「やっと役に立てるんや、張り切って作るで!」

ーー


「凄い…」


「これを本当に龍驤さんが?」


龍驤「そんな大袈裟やで普通の日本食やんか」


「そう、これはただの日本食…これを龍驤さんが作ったから凄いんです」


「片腕と片足が無いのに…」


「……龍驤さん、あの話って…」


「やめておきなさいよ」


龍驤「多分夕立が話してるやろ?全部ほんまやで」


「全部って…」


龍驤「怪我する前は体売って浮気しまくってたし、怪我した後は鬱で迷惑かけた」


龍驤「今は多少マシになったかもしれんけど、それでも迷惑はかけとる。でもこうやって生きてるんやで」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

龍驤「それもこれもウチを見捨てずに、支えてきてくれた人達がおったからや」


龍驤「あんたらもそういう人は大切にしとかなあかんし、ええ人おったら捕まえて絶対逃したらあかんで~」


「支えてくれたらって…」


「あの、体売るとかって犯罪ですよね?」


龍驤「そうやね、それにウチの夫の司令官に貢がせてたしアウトやったね」


「それを許すって……」


「その罰で腕と脚が無くなったと思えば…」


「そんな簡単な話じゃないわよ」

「いい人が居たらって言いましたけど、私たちは帰れるんですか?」


「こっちで見つけろって意味じゃないの?」


龍驤「夕立から詳しくは聞いてないけど、皆んなは帰れるよ」


「なにを根拠に?」


龍驤「帰られへんのやったら戸籍いじったりする。夕立やったらそこまでするで」


「それが無いから帰れる…」


龍驤「数年以内とかやなくて遅くても年内には帰れるわ」


「帰れるのは嬉しいけど…私達の問題が無くなったわけじゃないのよね」


「そうよね…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


総司令官『破壊された施設の技術者の数人の行方が判らん。おそらくもう国外だ』


総司令官『現在傀儡はこの国と日本が所有している。しかしこうなるともう何処から現れるか予想がつかん』


夕立『いや、一つだけ心当たりがある。かつての組織の出資者達だ』


総司令官『ほう』


夕立『アイツらなら何処の国に渡ったか把握している可能性がある』


総司令官『確かにそれはあり得るな…』

夕立『国の名前が替わる前から、そういうのが得意な奴らを抱えていただろう』


夕立『調べてやるからそいつらをこっちに貸せ』


総司令官『いや、やめておこう』


夕立『どうしてだ』


総司令官『エースパイロットの妻を危険な目に合わせるわけにはいかない』


夕立『そんなの関係ない』


総司令官『残念ながらあるんだ。お前は子育てに集中しててくればいい』


夕立『……』


総司令官『いやあ孫は可愛いぞ!』


夕立『このクソジジイが…』


ーー

今日はここまでです

ーー横須賀鎮守府、執務室


潜水新棲姫「提督…」ガチャッ


漣「残念ながらお休み中で~す」


潜水新棲姫「そうか、急ぎの用じゃないからいい」


漣「急ぎの用でもご主人様は休ませてあげてくださいね~」


潜水新棲姫「…なにかあったのか」


漣「なにも無いからですよ。ご主人様は霞と子どもの三人で幸せな時間を過ごしてます」


潜水新棲姫「そういうことか」


漣「これまでは休めって言っても休みませんでしたけど、かすみが産まれてから休むようになりましたね」


潜水新棲姫「適度な休息は必要なんだ。理由を付けて休むくらいが丁度いい」

漣「龍驤さんも帰ってきませんし、霞との時間を大切にして欲しいですね」


潜水新棲姫「なあ漣」


漣「答えたくありません」


潜水新棲姫「まだ何も言ってない」


漣「貴女の言いそうなことくらい、わかるんですよ」


潜水新棲姫「そうか」


漣「……」


漣「龍驤さんがこのまま戻ってこない方がいいとか、間違っても聞くんじゃねぇですよ」


潜水新棲姫「わかった」


漣「漣だって複雑なんですよ、今の龍驤さんは昔と違うわけであって、でも…」


漣「イラつかせた罰です、漣の膝の上に座っていって下さい」


潜水新棲姫「喜んでその罰を受けよう」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

潜水新棲姫「なぁ漣」


漣「なんでしょう」


潜水新棲姫「ワタシ達の子どもはいつになる?」


漣「なんなら今ここで仕込んでやりましょうか」


潜水新棲姫「遠慮しておこう」


漣「なぜですか?」


潜水新棲姫「ストレス解消に使われるのとは違う」


漣「……」


潜水新棲姫「そんな時にできた子どもは、ロクな奴に育たない」

潜水新棲姫「提督の幸せそうな様子を見るのが辛いのか」


漣「辛くはありません」


潜水新棲姫「嫉妬か」


漣「ええ」


潜水新棲姫「漣こそ休むべきだ」


漣「嫉妬に狂ってるわけじゃないんですよ。イラっとするとかそのレベルです」


潜水新棲姫「そうか…」


漣「ムカツいてるのは龍驤さんですね。忙しいのかもしれませんけど、連絡の一つも無いのは違うでしょう」


潜水新棲姫「提督と霞との時間を邪魔したくないんだろう」


漣「そうじゃねぇだろぉ~~!って怒鳴りたいです」


潜水新棲姫「それは漣が正しいな」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


龍驤「ウチに電話?誰からやろ…もしもし?」


漣『こんにちはアバズレさん』


龍驤「……」


漣『黙るってことは全部わかってんすね?』


龍驤「いや…ちょっち言い訳させて」


漣『どうぞ』


龍驤「数年は帰られへんと思ってたんよ。せやから司令官には電話もせぇへんかった」


龍驤「でもな、そんなことないって確信できたから、近々連絡するつもりやったんよ」


漣『なるほどなるほど』


龍驤「ちょっとは分かってくれた?」


漣『そんなわけないでしょバーーーーカ』


龍驤「……」

漣『帰れないと思ったから連絡しなかった時点でクズです』


龍驤「……」


漣『あの…いい加減にして下さいよ?こんなやり取り何回やればいいんですか?』


漣『霞との時間を邪魔したくないってあんた本物のアホでしょ』


龍驤「……」


漣『そんな知恵遅れの龍驤さんに朗報です。漣はもう注意しません』


漣『どういう意味か分かりますね?チャンスを逃す漣じゃないんですよ』


龍驤「あんたの嫁…」


漣『こっちの事情に突っ込む暇があったら真面目に考えろクズが!!』


龍驤「……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「…もしもし」


龍驤『あ…』


提督「…随分と久しぶりな気がするな」


龍驤『……ごめんな』


提督「なにを考えているのかは分かる」


龍驤『また…キミの優しさに甘えてしまったわ…』


提督「そうだな」


龍驤『ほんまにウチ…あかんな……』


提督「今に始まった話じゃない、慣れている」


龍驤『…うん』

提督「ちょうど距離を置く、いいタイミングだったのかもしれないな」


龍驤『嫌や…嫌や!!ウチには司令官しか…』


提督「じゃあどうして連絡しなかった…となるな」


龍驤『ごめん…ほんまごめんな……』


提督「寂しい思いをしたんだ、これくらいは許されるだろう?」


龍驤『うん……』


提督「龍驤も居て俺の家族が成り立つんだ。龍驤のことを忘れて霞だけとなんて言った覚えはない」


龍驤『うん…』


提督「…続きは帰ってからにしよう」


龍驤『また電話するから…絶対するから…ちゃんと出てな……』


提督「もちろんだ」


龍驤『ほんまに…ごめんなさい……』


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


潜水新棲姫「なんとかなったようだな」


漣「本っ当に世話かけ過ぎですよあの女」


潜水新棲姫「戻ってこれない可能性はあったが、連絡しないのは意味が分からない」


漣「アバズレに意味のある行動を求めても無駄です」


潜水新棲姫「そうか」


漣「さて、もう用事は済んだので最後の仕事をしましょう」


潜水新棲姫「もう今日やるべき仕事はなかっただろう」


漣「いえいえ、まだ残ってるんですよ」

漣「よいしょ……」グイッ


潜水新棲姫「え…?」


漣「さぁて、一発仕込んでやりますか」


潜水新棲姫「ま…待て!ここは廊下で…」


漣「もちろん分かってますよ。この近くにトイレがありますよね?」


潜水新棲姫「ほ、本気で……」


漣「すぐに出来るか分かりませんけど、とりあえず今日から避妊は無しです」


潜水新棲姫「あ……」


漣「今日はまともに寝かせませんからね。覚悟しておいて下さい」


潜水新棲姫「…ん」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


中枢棲姫(ククク…ついに産まれたな)


中枢棲姫(だがまだ早い。もう少し育てば食べ頃だ)


中枢棲姫(艦娘の子は育つのが早い。気を抜いていたらすぐに成長してしまう)


中枢棲姫(…まてよ)


中枢棲姫(いまのうちに味見をしておくのはどうだ?)


中枢棲姫(肉の熟成具合を確かめるのに、試食するのと同じだ)


中枢棲姫(どれ、様子を伺ってみるか)

霞「すぅ…」


かすみ「……」


中枢棲姫(提督は不在でコイツがいるだけ、しかも二人とも寝ている)


中枢棲姫(これはチャンスだろう、起きないように慎重に……)スッ


かすみ「……」


中枢棲姫(オオオオオ…!いや、まだ早い。楽しむのは今じゃない)


中枢棲姫(熟成具合を確認しようじゃないか、こんな布は邪魔だ)シュルッ


かすみ「……」


中枢棲姫(ほおぉぉぉぉぉ……これはいいぞぉ…)


下2 この後の展開やその他起こったことなど

中枢棲姫(小指ならもう入るか?試す価値はある…)スッ


ピピピピピッ


中枢棲姫「!」


霞「うーん……電話…龍驤さんから…?」


中枢棲姫「しまった子どもは裸のまま…」


霞「あ………」


中枢棲姫「……」


霞「な、なにしてんのよーーー!!」

私は悪いロリコンです


中枢棲姫「……」


北方棲姫「最低」ゲシゲシ


北方棲妹「サイテー!」ゲシゲシ


提督「まさかかすみを狙うとは…」


霞「龍驤さんからの電話がなかったらヤバかったわよ。指を入れようとしてたのよ?」


霞「悪い意味のスケベな気配を感じたからって…本当にギリギリだったわね」


提督「弁解する気はあるか?」


中枢棲姫「あれは味見だ」


提督「……」


霞「下手に出て行けとは言えないのがタチが悪いのよね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど

ーー


提督「俺があの姉妹に手を出そうとしたら、お前はどう思う?」


中枢棲姫「ほう、それはそれで楽しそうだな。その時は私も仲間に入れてもらおうか」


提督「おいおい……」


中枢棲姫「妹の方はまだ膜有りだ。提督にならやってもいいぞ?」


提督「……」


中枢棲姫「なんだ冗談か、つまらないな」


提督「本気にするとは思ってなかったんだよ…」

中枢棲姫「私は提督が羨ましい。女を楽しませるものを持っているからだ」


中枢棲姫「そんな提督が私の下僕とやりたいというのなら、喜んで差し出すぞ」


提督「…分かった、この話を出した俺が悪かった」


中枢棲姫「どういうことだ」


提督「うちの娘には手を出すな」


中枢棲姫「そうか」


提督「…随分と物分かりがいいな?」


中枢棲姫「提督が止めろというのなら止める。それ以外で楽しむ方法はいくらでもある」


提督「……皐月か」


中枢棲姫「そうだ一つ条件を加えてやろう。その命令を聞く代わりに皐月と私の間に入れ」


提督「……」


中枢棲姫「私は冗談は言わない、覚悟しておくといい」


提督「…こうなるとは思わなかった」


ーー

今日はここまでです

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 03:13:52   ID: S:0wDd6G

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