みほ「ぐるぐる大作戦です!」 (10)


優花里「いやあ~、ヒマですねえ」

華「ええ。ほんとうに何もない日というのは珍しいです」

沙織「好きに過ごしていいってなると、逆に迷っちゃう」

みほ「う~ん、みんなで出かけようとおもったけど、ボコミュージアムは定休日だったし」

麻子「島田愛里寿さんと一緒に行ってきたばっかりじゃなかったか?」

みほ「改装中で入れないエリアがあったから、気になっちゃってつい」

沙織「いやいや通いすぎだよう! みぽりんおこづかい大丈夫!?」

みほ「ブラックカードでいつもお買い物してるから、ちょっとわからないけど……」

優花里「どういうことですか!?」

華「勘当されかけたと思いきや、まさかお母様は溺愛しているということでしょうか?」

麻子「カードを我が子にって普通なのか? いや、それにしたって高校生に持たせるものなのかソレ」

みほ「レジのお姉さんも最初はすっごく驚いてたけど、いまはもう慣れちゃったみたい」

沙織「『いつも来る子だ』って店員さんに顔を覚えられてるよねきっと」

華「ところで、どうしてみほさんはボコがお好きになられたんです?」

優花里「スピンオフ漫画『リボンの武者』で、理由らしいことが描かれていましたけど……」

麻子「どうだろう? アレは憶測だったし、何より西住さん本人の口から語られていない」

沙織「いずれにしても漫画版はどれもパラレルワールドの設定だし、公式なものにはならないかも?」

みほ「もしそうだとしても、ボコについての解釈を示してくれたことはとってもうれしいよ!」

華「『よく来たなお前ら!』って、鶴姫しずかさんたちをボコのマネでお迎えするみほさん、かわいらしかったですね」


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優花里「根っからのボコマニアぶりを発揮していて、西住殿の意外な一面が見られた良いシーンでしたね!」

沙織「ねえ。ボコのファンって、けっこう漫画版のキャラでそういう人が多い気がするんだけど?」

麻子「どの漫画のことだ?」

沙織「だから、『リボンの武者』の鶴姫しずかちゃんとか、『リトルアーミーⅡ』にいた子たちとか」

華「彼女たちの知名度は、果たしてどれくらい浸透しているものなのでしょう?」

麻子「う~む……微妙なところだ」

優花里「誰もがみんな漫画までバッチリ集めてるわけではないですからねえ」

みほ「エクレールさんみたいにアニメ出演できれば、また違ってくるかもしれないよ?」

華「良いファンサービスでしたね、あれは」

麻子「初登場してすぐに退場するも、立派に存在感を示してたな」

沙織「何者だ? ってざわついてた人と、昔を知るファンの感激とが入り混じってたよね」

優花里「ネタとしては、結構マニアックなところを突いてる感じがしますが」

麻子「ガルパンという作品自体、そういうところがあるからな。ファンも慣れたもんだ」

華「誰が最終章で出てきてもおかしくないという期待感と可能性を持たせたのは、とても上手いとおもいます」

沙織「スピンオフ作品も結構な数だし、次は誰が出るのかな?」

みほ「中須賀エミちゃんが出てくれたら、個人的にはとっても嬉しいんだけど……」

優花里「ドイツからベルウォール学園にやってきた帰国子女! リトルアーミーⅡでは主人公を務めるあの子ですか!」


華「彼女なら戦車のこともよくご存知ですし、みほさんの旧友としても出演できますから、可能性はじゅうぶんに期待できそうですね」

沙織「ねえ。せっかくおしゃべりするなら、どこかのお店に寄らない?」

優花里「いいですねえ。戦車喫茶の新作、気になっていたんです!」

みほ「スイーツのほうじゃなくて、戦車の新作だよね? 優花里さんのことだから」

優花里「ランチメニューの限定グッズにマニア垂涎のレア戦車があったんです! これはぜひとも入手しなければ!」

華「バッチリと事前にリサーチしているあたり、さすがは優花里さんです」

麻子「好きなことに対して素直な心は、正直うらやましい」

沙織「行っちゃう? いまからみんなで」

みほ「でも、優花里さんはランチメニュー目当てなんでしょ? まだちょっと早いような……」

優花里「何時間でも粘ってみせます! 目的のためならば!」

華「バイタリティがすさまじいですね」

麻子「眠くなりそうだ。私だと」

みほ「ところで今日って、戦車喫茶やってる曜日だっけ?」

優花里「検索してみましょうか……ありゃ? どうやら定休日みたいです」

華「素敵な案だとおもったのですが……」

麻子「がーんだな。出鼻をくじかれた」

沙織「食べ物屋さんならまだまだたくさんあるし、ほかをあたってみよっか?」

華「開店時間が早いお店がいいですね。いまから行ってもすぐに入れるところが」


優花里「外食店といえば、我々にもなじみ深いあそこなんてどうでしょう」

麻子「旨い店なのか? 何がおすすめ?」

優花里「目玉商品というか、一番人気は包み焼きハンバーグでしょうか。ファミリーレストランのココスです!」

沙織「スポンサーになってくれたあのお店のこと?」

華「というか、正確にはタイアップキャンペーンでコラボ企画を開催してくださったところですね。ガルパン以外もいろいろとコラボしているようですが」

みほ「ガルパンは2020年の3月から4月。8月から9月は劇場版Free。11月から12月はバンドリとコラボメニューだって」

優花里「手広くやってますねえ」

沙織「えっ!? その前の年のコラボはラブライブと、アイドルマスターと、Fateで……!?」

麻子「伝統行事みたいになってるな」

華「何度もコラボ企画をさせていただき、たいへんお世話になっているお店です」

優花里「数量限定のグッズを集めるために、何度も通いつめました!」

みほ「た、大変だったね……あはは」

沙織「話を戻すけど、いまからココス行く?」

華「黒毛和牛の包み焼きハンバーグがオススメみたいですね。わたくしは賛成です」

麻子「スイーツも充実してるみたいだし、悪くない」

優花里「いまから行っても、すぐに入れそうですよ西住殿!」

みほ「残りはわたし? あ、うん。いいとおもう」


沙織「うんうん! みんなの意見も一致したことだし、さっそく出発!」

優花里「連れ立ってみなさんとお出かけなんて、久しぶりです!」

華「すごく楽しみです。なんというか、とても『女子高生』って感じがしませんか?」

みほ「かもねかもね! わかるよその気持ち!」

麻子「ちょっと私にはよくわからんのだが……。わかるか沙織?」

沙織「理由はたぶん、みぽりんも華も由緒あるお堅い家に生まれたからじゃない?」

優花里「家元の娘ゆえに、私たちにはわからない何かへの憧れがあるんでしょうか?」

麻子「かもしれんが……おっと、そうこうしているうちにもう着いたのか。ココスに」

優花里「西住殿は、何を注文しますか?」

みほ「カルボナーラかなあ」

沙織「あれ? それって前に来たときにも言ってなかった?」

華「確かにそうでした。お好きなんですか? カルボナーラ」

みほ「ラーメン屋さんならしょうゆ味とか、ファミレスではパスタとか、こういうときわたしって同じようなメニューばっかり頼みがちで……」

優花里「でもせっかくなんですから、もう少し冒険してみてはどうでしょう?」

麻子「宇治抹茶の和風パフェにする。ちょっとお高いが季節の限定品みたいだし、何より名前がうまそうだ。私はこういうときに妥協はしない」

沙織「いいこと言うね麻子~! ホラみぽりんも、新しい一歩を踏み出してみたら?」

優花里「ランチセットもお得ですし、どれもおいしそうなものばかりです!」

華「スープバーと、ライス大盛り無料がついてくるんですねっ! わたくしはこれにしましょう」


みほ「う、うう~ん……じゃあわたしは……ええっと……」

沙織「トリプルショコラクレープが可愛くておいしそうだから、あたしはこれにしようかな」

みほ「な、なかなか決まらなくてごめんねみんな……」

優花里「何を言うんです! 西住殿が人生を決める大きな決断を下そうとしている瞬間を、誰も責めたりはしませんよ!」

沙織「要はいつもと違うメニューを選ぶだけなんだし、ココスにハズレのメニューはないだろうから、いっそのこと運を天に任せてみる?」

麻子「ルーレットのように品書きをパラパラとめくって、目をつむって適当に指をさす。それを注文するというのはどうだ?」

華「大胆な作戦ですね」

沙織「ねえ、やってみない?」

みほ「いいとおもう。このままだとわたしひとりじゃぜったい決められないよ」

沙織「よ~しそれじゃあパラパラ~っと……はいっ! このページ!」

みほ「じゃあ、いくよ。えーーいっ! ここ!」

優花里「これは……まさかそう来ましたか」

麻子「神のいたずらだな」

みほ「な、なにっ!? なにに当たったの!?」

華「残りわずかな期間の、コラボメニューですね」

みほ「ね、値段がかなり高いやつとか……?」

沙織「かなり驚くとおもうよ。さ、もう目をあけて」

みほ「手の先にあるメニューだよね……いったい何とのコラボ?」




< ボコられグマのボコ >



みほ「こんなところにボコが!??」

優花里「ガルパンとは独立してコラボとは、出世しましたね……」

麻子「根回しを相当やったんだろうな。島田流の家元さんが娘を喜ばせたいばっかりに」

沙織「2か月くらいやってたみたいだよこのコラボ」

みほ「ボコ~♪ ボコ~♪」

華「このみほさんの喜びようといったら」

優花里「ラッキーでしたね、西住殿!」

麻子「望みをかなえたか」

みほ「感激だよう! だって、思いがけないところにボコだもん!」
















麻子「……ん?」

みほ「ん? えっ あっ!」

沙織「あ~あ、みぽりん、アウト!」

優花里「途切れることなく順調に進んでいましたが、まさか西住殿が失格してしまうだなんて」

麻子「ていうかむしろ、よくここまでもった。最初に脱落するのは沙織だろうとおもったんだがな」

沙織「なによう! それってどーいう意味!?」

華「みんなでちょっとしたお遊びのつもりでしたが、思った以上に白熱しましたね」

優花里「ね、ね……猫のように気まぐれにすぐ終わるかとおもいました」

沙織「た、た……たまにはいいんじゃない? こういうのも」

麻子「も、も……もうやめてもいいか? このしりとり」

華「り、り……了解です。ですが最後にひとつ、みほさんにお願いが」

優花里「が、が……ガルパンらしく、あの掛け声で締めをお願いしまっ……お願いしまっせ!」

みほ「せ、せ……戦車前進! パンツァー・フォー!!」


『おーーーーッ!!!』



おしまい
(最初のセリフに戻る)


以上です
使い古された手法ですが、自分でも一度やってみたかったんです

過去作↓

みほ「プロ戦車道1日訓練?」

みほ「未公開シーン?」

みほ「笑ってはいけない西住流?」

みほ「笑ってはいけない西住流の未公開シーン?」

みほ「○んしゃ道?」

みほ「ガンシャ・ウォー!」

みほ「逆ドッキリ?」

みほ「愛里寿ちゃんスイッチ?」

みほ「抜き打ちテスト?」

まほ「抜き打ちテストだと?」

みほ「ガールズ&ラーメン?」

みほ「笑ってはいけないあんこう祭り?」

みほ「コンプライアンス・ウォー!」

みほ「ガールズ&ライスカレー?」

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