チノ「ご注文は闇のボドゲでした」 (26)

※作中に出てくるゲームは『ご注文はボドゲですか?』という実在のものを元にしています。


・・・

ラビットハウスにて


チノ「私のカードはこれです」

ココア「私のカードはー、これ!」

青山「……?」ジーッ

青山「お二人は何をやっているのでしょう?」

リゼ「あー、あれか?ボードゲームだよ」

リゼ「ココアが文化祭の準備でウチの学校に来た時、ボードゲーム部にもらったっていう」

青山「ボードゲーム……」

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チノ「私のは《花柄のラテアート/レベル2》です」

ココア「私のは《兎柄のラテアート/レベル4》!私の勝ちだね!」

チノ「しょうがないですね」

ココア「じゃあ、この《カップカード》は私のものだね!」

青山「楽しそうですね、私にも見せて下さい」

ココア「あ、青山さん。一足遅かったね、もうゲームは終わっちゃったよ!」

青山「まあ」

チノ「はい。私の勝ちです」

ココア「……?何言ってるのチノちゃん?」

チノ「今のカップはココアさんが取りましたが、総合点は私の方が高いです」ドヤッ…

ココア「ちっちっち、それはどうかな?」ニヤッ

チノ「え?」

ココア「今取ったのは、《スプーン付きティーカップ》!これはねー……」

ココア「この上に《ラテアート》を描いたら、今出てるカップの点数をどれか1つだけ0にできちゃうんだよ!」

チノ「え!」

ココア「だから、チノちゃんの持ってる……」

ココア「《アンティークなカップ/絵画なラテアート》を0点にしちゃえば……」

チノ「!」

ココア「ほら、私の勝ち!」

チノ「そんな……!?」

青山「……何だかよく分かりませんが、ココアさんの勝ちのようですね」

ココア「やった~!」

チノ「この私が負ける、なんて……」

チノ「」ガクッ

ココア「!?ち、チノちゃん!?」

ココア「チノちゃん!しっかりして、チノちゃん!」ユサユサ

ココア「チノちゃ~~~ん!!」

チノ「」チーン

青山「ノリノリですね」

ココア「ヤダヤダ~、チノちゃん死なないでぇえええ……」ヴェェエン…

チノ「私はもう終わりです、ココアさん私の分までバリバリ働いて……」

ココア「!」

ココア「……」スンッ……

リゼ「急に素に戻るな」

青山「ラテアートを題材にしたボードゲームなんですね」

ココア「そうだよ~、《点数を持ったカップカード》を皆で取り合うの」

青山「それで、《レベル1~5のラテアート》を出し合うんですね」

ココア「そう!レベルの高い方がカップにラテアートを置けて、最後に点の高い方の勝ち!」

ココア「青山さんもどう?私と勝負してみる?」

青山「そうですね……」

青山「ボードゲーム、小説のネタにいいかもしれません……」ウズウズ

リゼ「作家としての血が騒いだか」


チノ「ココアさん、できましたよ」

ココア「!」

リゼ「来た来た」

青山「?」キョトン

青山「まあ、3Dラテアート……!」

ラテ「」ドド~ン!!

青山「いつにもまして豪華ですねぇ……。あら?」

青山「このラテアート、シートの上に乗っていますね」

リゼ「お、気づいたか」

青山「これは一体……?」

ココア「実はそれ、二重構造になってるんだよ!」

青山「二重……?」

リゼ「コーヒーの上に普通にラテアートを描いて、その上にシートと泡の3Dラテアート乗せるんだ」

青山「まあ、それはいいですね。1度で2度楽しめる、素敵です」

ココア「チノちゃんったらね、シートの下に何描いたか私に隠してるんだよ?」

チノ「別に、見せるようなものではありませんから」プイッ

ココア「だから、勝負に勝ったら何を描いたか見せてもらおうって」

青山「それで、ゲームで勝負していたんですねぇ」

青山「は!!」

ココア「!?」

リゼ「ど、どうした!?」

青山「……!」

みんな「……??」

青山「……。それは、闇のゲームにまつわる物語……」

ココア「あ、青山さん!?」

チノ「何か始まりました!」

リゼ「いきなり何だ!?」

青山「ボードゲームとラテアート……。そして仲の良い姉妹を襲った悲劇……」

ココア「語りだした……!」

チノ「話を閃いたんですね」

リゼ「ああ……、もう完全にそっちの世界に入っちゃってるな……」

チノ「というか姉妹じゃないです」

ココア「チノちゃん照れちゃって~。私達は一心同体!みーんな知ってるよ?」

チノ「何ですかそれ!?」

青山「そう……、それは妹を喜ばせたいと思った姉が、呪いに取り憑かれたボードゲームを手にしたことから始まりました……」


妹と化したチノ「ココアおねーちゃん……?」

闇ココア「ヒョヒョヒョ……、待っていたぞよ我が妹にして半身よ」


リゼ「のっけからツッコミどころしかない」

ココア「ああ、羨ましい!闇私羨ましい!!」

チノ「青山さん騙されないで下さい、ココアさんの語る私との姉妹話みたいなのは全て嘘ですから!」


闇ココア「今から私と、闇のボードゲームで勝負してもらうぞよ」

妹チノ「ぼーどげーむ……?」

闇ココア「名付けて、闇のラテアートコンテストじゃ!」


妹チノ「でもわたし、げーむなんてできないです……」ウルウル

闇ココア「オヒョヒョ……w、それなら私の勝ちだねぇ……」

闇闇闇ア「さ、私のところへおいで……闇が待ってるよ……」ゴゴゴ…


リゼ「怖っ、闇ココア怖っ!」

ココア「下げて、もうちょっと闇レベル下げて!」

チノ「そして私の精神年齢上げてください、さすがに聴いてられません!」

青山「……」

青山「うるさいですね……」

3人「逆ギレ!?」

青山「ココアさんが手に入れたボードゲームには、闇兎の呪いがかかっていたのです」

リゼ「何だ、闇兎の呪いって」

青山「妹を溺愛しすぎた姉の怨念です。取り憑かれると、体を乗っ取られお姉ちゃん病こじらせ状態になってしまうのです」

ココア「それはいいね!いい状態だね!」ムギュ

チノ「やめてください」ムギュギュ…

青山「チノさんはココアさんを救うため、妖精と協力してゲームに挑むことになりました……」

チノ「妖精??」


青山妖精「がんばりましょう、チノさん。私がついています」

チノ「あなたは……」

チノ「伝説の妖精、青山フェアリー・ゴッドマウンテンさん!」

青山妖精「はい」


リゼ「名前盛りすぎだろ」

チノ「どんな設定なんですか……」

青山「ちょくちょく現れてはヒントを出して物語を解決に導く美味しい役です」

リゼ「鬱陶しいやつだ……」

闇ココア「さあ、勝負だよ!」

闇ココア「このゲームは闇のボードゲームだからね!負けた時には罰ゲームが待っているよ……!」グフフフ…

チノ「受けてたちます!」


闇ココ・チノ「闇のラテアートコンテスト、バトル!」


チノ「まず、お互いに《レベル1~5のラテアート》のカードを持ち……」

チノ「!」

チノ「あれ、このカード……?」

青山妖精「絵柄がありませんね」

チノ「これは一体……」

闇ココア「ふふふ……、そのカードの絵柄はカップに置かれた時に浮かんで来るんだよ……!」

青山妖精「あらあら」

チノ「ぶ、不気味です……」

青山妖精「さすが、闇のゲームですね」


闇ココア「その後、共通の山札の上から《点数のあるカップカード》1枚を表にする」

《ふつうのカップ/1点》

闇ココア「そして……」

チノ「?」

カップカード「」ゴゴゴ……

チノ「!?」

青山妖精「これは……」

カップ「」ドン!

チノ「カップが実体化しました!」

青山妖精「これは興味深いですね」

闇ココア「闇のボードゲームだからね。出した《カップカード》は実物となって出てくるんだよ」

青山妖精「ふむふむ」ジーッ……

闇ココア「さ。カップが出たなら、後はお互いに《ラテアート》を出して勝負するだけだよ」

チノ「……!」

チノ「分かりました……、それならこれで勝負です」スッ

チノ「それっ!」

闇ココア「ふん!」


チノ:《???のラテアート/レベル2》
闇ココア:《???のラテアート/レベル3》


チノ「!」

青山妖精「おや?」

闇ココア「私の勝ちだね!」

青山妖精「これだと、相手に《カップ》を取られてしまいますね」

チノ「そうですね……」

闇ココア「まずは1点。私の先制だね、チノちゃん」ニコッ

チノ「こ、怖い……」

闇ココア「ふふふ……。いやいや、怖いのはここからだよ……」ゴゴゴ…

チノ「!」

闇ココア「ふふふ……」

チノ「……?」

青山妖精「闇ココアさん、どうしたんでしょう……?」

闇ココア「チノちゃん、今さら止めようって言ったって遅いからね……!」

チノ「?」

闇ココア「これを見なよ!」

チノ「??」

チノ「あっ……!?」

青山妖精「まあ!」

リゼ・千夜・シャロ「」

チノ「リゼさん、千夜さんシャロさん!」

青山妖精「皆さん、磔になっています!」

チノ「り、リゼさんしっかりしてください!」

チノ「……!」

青山妖精「意識を失っているようですね」

闇ココア「ふふふ……」ニヤニヤ

チノ「!」

チノ「闇ココアさん、一体何ですかこれは!」

青山妖精「リゼさん達に何を……?」

闇ココア「皆には人質になってもらったんだよ」

チノ「!?」

チノ「人質……?」

闇ココア「そう。でもただの人質じゃないよ」

闇ココア「ふふ……」スッ

チノ「?」

チノ「《ラテアート》のカード……」

青山妖精「まさか……」

闇ココア「《ラテアート》をカップに乗せる……」シュッ

闇ココア「すると……」

チノ「……!?《ラテアート》のカードがコーヒーに溶けてしまいました」

青山妖精「見てください、コーヒーの表面に《絵柄》が浮かんで来ますよ……!」

チノ「……」

青山妖精「こ……、これは……」


《封印されしリゼのラテアート》


チノ「り、リゼさん!?」

青山妖精「これはいけませんね」

闇ココア「アハハハハハ!」

チノ「!」

闇ココア「これぞ闇のボードゲーム!」


闇ココア「闇のラテアートコンテストは、カップを1つ取るごとに誰かの魂がラテアートとして浮かび上がっていくのさ!!」


チノ「なっ……!!」

青山妖精「なんということでしょう!」

闇ココア「さあチノちゃん!闇のゲームは始まったばかりだよ!」

闇ココア「このゲームは、どちらかが4枚の《ラテアート》を完成させた時点での」

闇ココア「《カップの点数》の合計で勝負が決まる……」

闇ココア「つまり後3枚!」

チノ「!」

青山妖精「!」

闇ココア「千夜ちゃん、シャロちゃん!」

闇ココア「そしてチノちゃん!」

チノ「……!」

闇ココア「3人もラテアートに封印して、みーんな永遠に私のもとに並べておいてあげる!ふふふ!」

闇ココア「アハハハハハハ!!」

チノ「……!!」

青山妖精「チノさん!このゲーム、負けるわけにはいきません!」

チノ「もちろんです!ココアさんも皆さんも、闇兎の呪いから解放しないとです」

青山妖精「ルールは全て把握しています。私と一緒に戦いましょう」

チノ「は……、はいっ!分かりました!」

青山妖精「いきましょう、バトル再開です!」

闇ココア「さあ、次のカップはこれだよ!」


《青色のカップ/3or1点》


チノ「あれは……」

青山妖精「《カラフルなカップ》の1種ですね」

青山妖精「《ラテアート5枚セット》にはプレイヤーごとに固有の色が振り分けられてあります」

チノ「私のセットは《青色》ですね……」

青山妖精「《青のラテアート》を《青のカップ》に乗せた時だけ、点数が3点になりますから」

青山妖精「ここは取りに行くしかありませんね」

チノ「……。では、これでいきましょう」スッ

チノ「私のカードはこれです!」バッ!

闇ココア「ふふっ!それ!」シャッ!

チノ:《???のラテアート/レベル5》
闇ココア:《???のラテアート/レベル1》


青山妖精「!」

チノ「やりました!」

闇ココア「ふふふ……、それはどうかな?」

チノ「!?」

青山妖精「いけません、チノさん」

チノ「どうしました?」

青山「《ラテアート》は通常、レベルの高い方が勝ちとなりますが」

闇ココア「レベル1と5を比べた時だけは、レベル1が勝つんだよ」ニコッ

チノ「なっ……」

闇ココア「つまり、今回も私の勝ち!《青のカップ/1点》は私のものだよ」

チノ「そんな……!」

闇ココア「そして《ラテアート》が浮かび上がる……」

チノ「……!」


《封印されしシャロのラテアート》


青山妖精「これは……」

チノ「シャロさん……!」

青山妖精「ラテアート姿もいいですねぇ……」ボソッ

チノ「……」


チノ「?」

青山妖精「あ、いえ。なんでもありません」

青山妖精「おのれ闇ココアさん、許しません!」

闇ココア「ふふふ、なら私を倒してごらん?次のカップを出してみなよ」

チノ「くっ……!」

青山妖精「チノさん、反撃しましょう!」

チノ「……、分かってます!」


《うさぎなカップ/3or1点》


チノ「!」

チノ「これは……」

青山妖精「《うさぎなカップ》ですね」

チノ「たしか、《兎柄のラテアート/レベル4》を乗せると3点になるんでしたよね?」

青山妖精「はい」

青山「ここはレベル4で取りましょう!相手はまだ2点です、ここで3点を取れば逆転できます」

チノ「だ……、大丈夫でしょうか……?相手に手を読まれませんか?」

チノ「ここで負けたら後がなくなりますよ……?」

闇ココア「……」

青山妖精「……」

青山妖精「……。やりましょうチノさん、迷っていても仕方ありません!レベル4を出しましょう」

チノ「……」

チノ「そ……、そうですね……」

チノ「分かりました、いきます!」

チノ「えい!」

闇ココア「……」

闇ココア「ふん!」

チノ:《???のラテアート/レベル4》
闇ココア:《???のラテアート/レベル5》


チノ「そんな!!」

青山妖精「……!」

闇ココア「あれあれ?また私の勝ちだね……?」ニヤニヤ

チノ「よ……、読まれている……」

青山妖精「……」

チノ「ダメです……、これでは……勝てません……」

青山妖精「チノさん……?」

闇ココア「うふふ、これで3人目……」

チノ「!」

青山妖精「!」


《封印されし千夜のラテアート》


チノ「あっ……、ああっ!!」

青山妖精「……」

闇ココア「後1枚、《ラテアート》を描いたら私の勝ち」

闇ココア「次はいよいよチノちゃんの番だよ……?」ニコォ…

チノ「!」

闇ココア「さ、《カップ》を出してごらん?」

チノ「……!」

チノ「むっ……ムリです……、もう……!」

青山妖精「チノさん、へこたれてはいけません!」

チノ「!!」

青山妖精「勝負はこれからですよ」

青山妖精「大丈夫です、勝利の方程式は揃っています」

チノ「ほっ……、本当ですか……?」

青山妖精「はい」

チノ「……」

チノ「わ……分かりました。そうですよね、諦めてはいけませんでした」

青山妖精「はい」

チノ「よ……、よし。では、《カップ》を引きます……!」

青山妖精「お願いします」


《アンティークなカップ/?点》


チノ「あ……!」

闇ココア「!」

青山妖精「……、これはいい引きですね」ニコッ

青山妖精「《アンティークなカップ》は乗せた《ラテアートのレベル》がそのまま得点になる特殊なカードです」

青山妖精「このカードを取りましょう。ここからが反撃です!」

チノ「……、はい!」

チノ「ではいきます!」

闇ココア「ふーん……、なるほどね……」

チノ:《???のラテアート/レベル5》
闇ココア:《???のラテアート/レベル4》


チノ「あ!」

闇ココア「むぅ……」

青山妖精「やりました、初ゲットです!」

チノ「《レベル5》で取ったので、《得点も5》になります!」

青山妖精「これで得点は5対3、こちらの逆転ですよ」

チノ「……、よかった……」ホッ…

青山妖精「……そうですね」ニコッ

チノ「……。どうです闇ココアさん、これで私達にも勝機が見えてきましたよ!」

闇ココア「ダメだよチノちゃん、お姉ちゃんに歯向かうなんて……!」

チノ「む」

青山妖精「それよりチノさん、《ラテアート》を完成させましょう」

チノ「あ……、そうでした」

チノ「ラテアート……。何を描いたらいいんでしょう?」

チノ「というより、私のにも誰かの魂が封印されてしまうのでしょうか?」

青山妖精「……」

青山妖精「チノさん……」

チノ「……?」

青山妖精「……」


青山妖精「私に策があります」

チノ「?」

闇ココア「できたみたいだね」

チノ「はい。これが私の《ラテアート》です……」

《3Dなラテアート》

闇ココア「3Dラテアート……。いいね、闇のゲームの特性を活かしてて。チノちゃん偉いねぇ」ゴゴゴ…

チノ「そうですねぇ……。それより、次の《カップ》も私が出して構いませんか?」

闇ココア「いいよ。お姉ちゃんだもん、許してあげる」

チノ「……。では」


《スプーン付きカップ/2点》


闇ココア「……、へえ……」

チノ「《スプーン付きカップ》……」

チノ「では、《ラテアート》を出しましょう」

闇ココア「そうだね……」ゴゴゴ

チノ「……」


チノ:《???のラテアート/1点》
闇ココア:《???のラテアート/4点》


チノ「……」

闇ココア「うふふ……。これで私の勝ちだねぇ……」

闇ココア「チノちゃん……」スッ

《???のラテアート》

チノ「……」

闇ココア「さぁ……、これで終わりだよ……」

闇ココア「《ラテアート》になるんだよ……かわいいかわいいチノちゃん……」ゴゴゴゴゴゴ

チノ「……」

闇ココア「……」

チノ「……」


闇ココア「……?」

闇ココア「あれ……?」

《???のラテアート》

闇ココア「どうして……?《ラテアート》に絵柄が浮かび上がらない……?」

チノ「どうしました……?」ニンマリ

闇ココア「チノちゃんの魂は……」


《3Dなラテアート》


闇ココア「!」

闇ココア「まさか、すでに封印されている……??」

闇ココア「お……お前は誰!?」

チノ「……」

チノ「さあ、誰でしょう……?」ニコォ

闇ココア「お前……、あの妖精だな!」

青山妖精「ふふふ、正解ですぅ」

闇ココア「そういえば姿が見えないと思っていたら……」

闇ココア「チノちゃんに乗り移ってたのか!」

青山妖精「またまた正解です」

青山妖精「お察しの通り、チノさんの魂は封印されていますよ。あの《3Dなラテアート》に」

青山妖精「そしてこの体に入っているのは私、青山フェアリー・ゴッドマウンテンです」

闇ココア「……」

青山妖精「お姉ちゃんを名乗っておきながら、中身の変化に気づかないとは。まだまだですね」

闇ココア「くっ……!」

青山妖精「さあ、闇ココアさん。3Dラテアートのシートを取って確認して見てください」

青山妖精「あなたにはまだ見ていただきたいものがあるんです」

闇ココア「シート……!?」

青山妖精「それはチノさんの作った《二重のラテアート》。シートの下にもうひとつラテアートが描かれています」

青山妖精「それを見てください」

闇ココア「……!」ゴクリ

闇ココア「シートの……下に……」ゴゴゴ…

闇ココア「……!!」


《仲良し姉妹のラテアート》


闇ココア「……!」

青山妖精「描かれているのは……チノさんとココアさんです」

闇ココア「うっ……」

青山妖精「闇ココアさん……。それが本当の姉妹の姿ですよ」

闇ココア「!」

青山「ココアさんは……、チノさんを一人にさせないよう一緒に封印されてあげたんです」

闇ココア「……!」


青山妖精「チノさんとココアさん…、姉妹の魂は常に一つです!」

闇ココア「……!」

青山妖精「あなたは闇兎の呪い……。ボードゲームに取り憑いた哀しき亡霊です」

闇ココア「……」

青山妖精「妹を想う姉の深すぎる愛が怨霊と化した存在……」

青山妖精「ですが、チノさんにとっての姉は一人しかいません」

闇ココア「……」

青山妖精「そしてそれは……、あなたではありません」

闇ココア「ぐぅっ……!」

青山妖精「もうやめましょう。チノさん達を解放してあげてください」

闇ココア「……」ゴゴゴ…


闇ココア「だから…何……?」

青山妖精「?」

闇ココア「だから何!?忘れたの、私が今勝ち取ったのは《スプーン付きカップ》!」

青山妖精「!」

闇ココア「《スプーン付きカップ》に《ラテアート》を乗せたら、カップの点数を1つだけ0にできるんだよ……」

闇ココア「スプーンで《ラテアート》を打ち消すことでね!」

青山妖精「!!」

闇ココア「つまり!私がこのスプーンで《チノちゃん》の魂をカップから解き放てば……」

闇ココア「この《???のラテアート》に封印し直せる!そうすれば私の点数は5、そっちは0!」

闇ココア「私の勝ち!妹は私のものだねぇ!」

闇ココア「うふ、アハハハハハ!」


青山妖精「……。それはどうでしょう?」

闇ココア「!?」

青山妖精「スプーンを使えるのは《ラテアート》を描いた後です」

闇ココア「……!」

闇ココア「は!!」

青山妖精「しかし今、あなたの《ラテアート》に絵柄はありません」

闇ココア「あ……」

青山妖精「順序が逆ですねぇ……。《ラテアート》に絵柄を描かない限りスプーンを使って《チノさんの魂》を解き放つことはできません」

青山妖精「ですが、既にあなたのカップは4つ。これ以上ゲームは続けられません」

青山妖精「スプーンを使うためにその《ラテアート》に誰かを封印したら、例えチノさんを解放しても封印し直すタイミングはありません!」

闇ココア「そんな!!」

青山妖精「得点はお互いに5……。あなたは自分のカードを打ち消したら敗北してしまいます」

青山妖精「あなたはもう……チノさんを解放するしかないんです」

闇ココア「…………!!」

青山妖精「さあ……どうします?」

青山妖精「それとも、私を封印してチノさん達を解放しますか?リゼさん達だけ道連れにして……」

闇ココア「……」

闇ココア「そんな……」

青山妖精「……」

闇ココア「そんな……」

青山妖精「闇ココアさん……」


闇ココア「そんなこと……する意味ないよ……」

青山妖精「……」

青山妖精「……、はい」


青山「ゲームは終わりました……」

青山「闇兎は自分を封印しましたが、妖精は残されたスプーンで彼女を解き放ってあげたのです」

青山「ですが、闇兎はゲームに負けたことで消えてしまいました…」

青山「封印されていた人達を解放して……」

青山妖精「やりましたね、チノさん」

チノ「妖精さんのおかげです」

青山妖精「いえいえ。自分を封印するという危険な作戦を信じてくださった、チノさんの勇気の勝利です」

チノ「……。それと……」

チノ「一緒にいてくれた……」

ココア「Zzz……」

チノ「……お姉ちゃんのおかげです」ニコッ


・・・


チノ「ココアさん」

チノ「ココアさん起きてください」

ココア「……?」

ココア「あれ?私寝ちゃってた……?」

チノ「もう……本当にしょうがないココアさんです」

ココア「チノちゃん……。あ、青山さんは?」

チノ「とっくに帰りましたよ」

ココア「え~!?お話の途中までしか聞けてないのに~!」

チノ「途中って、すぐ寝てたくせに……」

ココア「どうなったの!闇私は闇から解放された!?」

チノ「知りません」

ココア「え~!?」

ココア「あ!それよりラテアートだよ!」

チノ「ぎくっ」

ココア「ラテアート!何描いてたの?見せて見せてっ!?」

チノ「もう下げちゃいましたよ」

ココア「え~~、またぁ!?」

ココア「もー、チノちゃん意地悪!」プンスカ

チノ「うるさいですね……。寝てるのが悪いんですよ」

ココア「じゃあまた作って?」

チノ「ダメです。もう品切れです」プイッ

ココア「え~~、そんなぁ~!チノちゃぁ~~ん!」


おわり

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