千歌「寝そべり・ストーリー」 (92)

梨子ちゃんルーム

ダイヤ(梨子)「動いてはなりませんわよ! おとなしくお金を出しなさい」

ジャラジャラ

ダイヤ(梨子)「おほ~っ、お金ですわ~♡」

曜(梨子)「悪いことは止めてよ、ダイヤさん!」

ダイヤ(梨子)「おだまらっしゃい! 可愛がって差し上げますわよ!」

曜(梨子)「止めてっ! 私に乱暴するつもりでしょ、エロ同人みたいにっ!」

ダイヤ(梨子)「ふふっ、当然ですわ。据え膳食わぬは女の恥ですもの♡」

曜(梨子)「ダレカタスケテー!」

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千歌、登場

千歌(梨子)「いい加減に、しろーっ! この極道生徒会長めーっ!」

ダイヤ(梨子)「なんてことですの……沿岸警備隊の千歌さんですわ」

千歌(梨子)「ダメでしょ! 強盗なんて悪いことしたら!」ポカポカ

ダイヤ(梨子)「やめてくださいましーっ!」

千歌(梨子)「覚悟ーっ!」

ダイヤ(梨子)「ですが、わたくしを捕らえようなど無理なこと……果南さん、花丸さん!」つ果南&花丸寝そべり

千歌(梨子)「なんのっ! こっちにはタマザラシがいる! AZALEAの3人が揃ってもペシャンコだよ!」つタマザラシクッション

ゴロゴロ

AZALEA(梨子)「ぐわぁっ!!」

https://i.imgur.com/mHMzFA5.jpg

千歌(梨子)「3人とも牢屋行きだよ!」ポイッ

ダイヤ&果南&花丸寝そべり、おもちゃ箱へ

梨子(人間)「悪党をやっつけたね、千歌ちゃん♡」ニコッ

千歌(梨子)「梨子ちゃんはわたしのベストパートナーだよ♡」

推奨BGM:君はともだち
https://youtu.be/x7kZsZIHotQ

ガラッ

梨子ママ「お友達が来たわよー」

梨子「私この格好のままでいい?」

梨子ママ「いいわよ」

梨子「パーティーだね、千歌ちゃん♡」ニコッ

梨子「いぃっーーーーーやっほぅー!」

梨子「後でね、千歌ちゃん♡」オキッ

バタバタ

千歌(寝そべり)「困ったね……誕生パーティーを今日やるって!?」ハァ

千歌「オッケーみんな、出てきてもいいよ!」

ダイヤ(寝そべり)「どうしてわたくしが毎回悪役なんですの! 鞠莉さんも納得いきませんよね?」プンスコ

鞠莉(寝そべり)「そうかしら? 硬度10にはベストポジションだと思うけど?」クスクス

ダイヤ「なんですってぇ!」ムスッ

千歌「ねえ、果南ちゃんを見なかった?」

人形兵「見ておりません、千歌隊長!」

千歌「あっそ、ありがとね」

千歌「おーい、果南ちゃーん」

果南(寝そべり)「ここだよ千歌。今日は私が黒ね」つオセロ

千歌「いや、オセロがやりたいんじゃなくて……悪いニュースがあるんだよ」ヒソヒソ

果南「悪いニュースっ!?」

千歌「静かに。みんなを集めて、楽しそうに」ヒソヒソ

果南「わかったよ。みんなー、集まれー!」ニッコリ

千歌「ミーティングだよー! みんな集合してー!」

千歌「メモ帳は……あった。誰だよ、こんなとこへ動かしたの──」

花丸(寝そべり)「ずらぁーーっ!!」クワッ

千歌「……」

花丸「千歌ちゃん、強そうになった?」

千歌「ううん、全然」

花丸「そっか、少しでもみんなと肩を並べられるよう頑張っているのに……」シュン

千歌「やっほー、曜ちゃん」

曜(寝そべり)「さっきは助けてくれてありがとね、千歌ちゃん♡」ニコッ

千歌「あんなの別に朝飯前だよ」キリッ

曜「千歌ちゃんっ!」

千歌「どしたの、曜ちゃん?」

曜「スキーをやらない? 冬になったら」

千歌「ああ、いいねぇ~。楽しみにしてるよ~」ノシ

曜「うん、じゃあね」ノシ

果南「何やってるんだよ千歌」

千歌「挨拶回りだよ、じゃあ始めよっか」

千歌「今日最初の議題は……みんな、もう引っ越しのペアは組んだ?」

https://i.imgur.com/kFCRHjB.jpg

鞠莉「ペア? そんなのいらないわよ」

花丸「聞いてなかったずら……」

千歌「もっと真剣に考えてよ! 大事なことなんだから!」プンスコ

千歌「あと1週間でこの家とはサヨナラなんだよ、誰も置いてきぼりにしたくないんだよ」

一同「はーい」

千歌「えーっと、次のお題は……先週目の中に髪が入った時のミーティングを行ったよね? あれは大成功だった」

果南「確かにね、ほっとくとイライラするもんね」

千歌「それと、大したことじゃないんだけど──」

曜「じゃないんだけど?」

千歌「──梨子ちゃんの誕生パーティーが突然今日になった」

一同「ええーっ!?」

花丸「それってどういうことなの? 誕生日は来週でしょ?」

鞠莉「どうしてかしら? ママが勘違いしてるんじゃないわよね?」

千歌「たぶん……引っ越しをする前にパーティーを済ませちゃうつもりなんだよ。でも大丈夫、心配ないって」キリッ

ダイヤ「千歌さんは心配ないでしょうね。なんといったって、梨子さんのお気に入りなのですから」

果南「まあまあ、落ち着きなよダイヤ。千歌が『大丈夫』って言うんだから、私はそれを信じるよ」

曜「私も果南ちゃんに同意だね。千歌ちゃんが嘘なんてついたことある?」

千歌「クリスマスも誕生日も毎年切り抜けてきたでしょ!」

花丸「けど梨子さんが『別の』花丸ちゃんを貰ったら? マルより綺麗な衣装のやつ。それで『こっちの花丸ちゃんは要らない』って言われたら……」ハァ

千歌「大丈夫だって、誰も捨てられたりなんてしないよ! わたし達の持ち主は梨子ちゃんなんだよ! お気に入りとかそんなの全然関係ないから!」

花丸「でも……だけど……」

千歌「梨子ちゃんがわたし達を必要とする時に役に立てばいい、そう考えてるよ。わたし達はそのために作られたんだから」キリッ

鞠莉「……」

果南「どうしたの鞠莉?」

鞠莉「……ちょっと演説の邪魔したくないんだけど──」

果南「けど?」

鞠莉「窓の外、ルッキング!」ユビサシ

一同「はわわぁっ!?」バタバタ

千歌「はぁ、ミーティングはおしまい」

鞠莉「あのビッグサイズなプレゼント、見える?」

ダイヤ「皆さんが邪魔で見えませんわ」

鞠莉「おっと、ソーリー」サッ

花丸「マル達……ら○んばんに売られちゃうのかなぁ……」ハァ

果南「どれも綺麗に包装されてるね」

ダイヤ「まあ、あの大きな箱なら安心でしょうね」

鞠莉「詰め合わせセットかもしれないわよ?」

曜「もしかしたらメガジャンボって可能性も」

ダイヤ「確かに、あり得ないとは言い切れませんわね」ハァ

花丸「マル、怖くてもう耐えられないずらぁ」

千歌「わかった、わかったよ。偵察隊を下へ送ろう」

果南「偵察部隊ね……冴えてるよ、千歌」グッ

千歌「隊長、パーティー会場へ偵察部隊を送って。コードレッドだよ」

隊長「了解!」キリッ

隊長「聞いたな、コードレッドだ! 全員出撃!」バタバタ

1F、食卓

梨子ママ「みんないらっしゃい! そろそろプレゼントを開けましょう!」

ガヤガヤ

2F、梨子ちゃんルーム

千歌「無線のスイッチ、オンっ!」

曜「これでプレゼントの中身を聞くんだね」

1F、食卓

梨子ママ「みんな、お腹空いたでしょ?」

梨子「みかんケーキね、楽しみ~♡」ニッコリ

梨子ママ「ささっ、みんな入って……って人形出しっぱなし?」ポイッ

梨子ママ「……後で片付けるよう言っとかなくちゃ」

2F、梨子ちゃんルーム

花丸「そろそろ着いてもいい頃だよね?」

千歌「アイツらはプロなんだよ、信じなくちゃダメだよ」

1F、ドア前

隊長「どうした!? どこか曲がったのか?」

人形兵「隊長……自分は構わず先に──」

隊長「馬鹿を言うなっ! 部下を置いて行けるものかっ!」ダキッ

ガヤガヤ

梨子ママ「さあ、どのプレゼントから開けていく?」

https://i.imgur.com/Clzwx1E.jpg

梨子「じゃあこれからっ!」

2F、梨子ちゃんルーム

隊長(無線)『応答せよ、こちら「ゆず」』

千歌「きたよ、みんな静かにして!」

一同「はーい」

千歌「こちら『みかん』、聞こえるよ」

隊長『了解。梨子さんが最初のプレゼントを開けています』

ダイヤ「ルビィ、ルビィ、ルビィをください」

鞠莉「どんだけルビィが欲しいのよ、ダイヤは」

ダイヤ「妹が欲しいのは前々からの夢ですのよ!」クワッ

隊長『包み紙を破いています。えーと中身は──ランチボックス、ランチボックスです!』

果南「弁当箱?」

ダイヤ「そんなぁ」ショボーン

鞠莉「ふふっ、残念だったわね」

隊長『2つ目は……ベッドカバーです!』

ダイヤ「ベッドカバー、関係ありませんわね」

そして……

隊長『プレゼントは残り1つです』

千歌「最後だって!」

隊長『かなり大きな箱です。中身は……ボードゲームです!』

一同「いやっほーう!!」

花丸「じゃあ誰も捨てられないんだね」フゥ

曜「そういうこと。良かったね、花丸ちゃん」

隊長『それでは「ゆず」、撤収します』

千歌「『みかん』より了解。だから言ったでしょ、大丈夫だって」

果南「私はわかってたよ、誰も疑ってはいない。そうでしょ、みんな?」

梨子ママ(無線越し)『あら~、これは何かしら~?』

隊長『んなっ!? 機材を元に戻せっ!』

隊長『こちら「ゆず」! クローゼットからもう1つプレゼントが出てきました!』

一同「なん……だと……」

梨子(無線越し)『ねぇ、これなぁに?』

隊長『もの凄く興奮しております。中身は──』

千歌「中身は?」

隊長『子どもが間に立って見えません!』

花丸「中身はなんなの!?」

隊長『中身は……ジジ、ザザザ』

千歌「電池切れっ!? こんな時にっ!」イラッ

果南「誰か、替えの電池をっ!」

ドタバタ

梨子「じゃあ私の部屋に持ってこっ!」

千歌「電池良しっ、と」

隊長『メーデー、メーデー! 梨子さんが部屋に向かっております!』

千歌「ほへっ?」キョトン

隊長『繰り返します、梨子さんが部屋に向かっております。各人、対処してください!』

千歌「全員、元の場所へ戻って!」

バタバタ

花丸「マルはどこにいたっけ? マルの場所は……」

ダイヤ「そちらですわ!」ユビサシ

花丸「ああ、そうだったずら」

ガラッ

友達「すごーい! 押すとボイスが出るんだねー」

友達「こんなのもセットで入ってたんだねー」

梨子ママ(1Fから)『下りてらっしゃーい! みんなでボードゲームをやりましょ!』

梨子「はーい!」

ドタバタ

ダイヤ「最後のプレゼント……何者でしょうか?」

花丸「千歌ちゃーん、上にはどんな娘がいるのー?」

千歌「ケホッ、ケホッ」

果南「千歌……どうしてベッドの下に?」

千歌「別になんにも? 梨子ちゃんはちょっと興奮してるだけだよ。みかんケーキを食べ過ぎただけ」

ダイヤ「その『ちょっと』が千歌さんの命取りにならなければいいのですけどね」

花丸「もしかして千歌ちゃん……捨てられちゃったの?」

千歌「さっきも言ったでしょ、誰も捨てられはしないから!」クワッ

千歌「新入りがどんな娘だとしてもビビっちゃダメだよ! 梨子ちゃんの部屋を案内しよう!」

千歌「どれどれ……」

ベッドの上

善子(寝そべり)「堕天使ヨハネから黄昏の理解者へ応答せよ」

https://i.imgur.com/VAwH5Sk.jpg

善子「黄昏の理解者よ、ヨハネの声が聞こえますか?」

善子「……ってヨハネの方舟がっ!? 困ったわね、修理に手間取りそうだわ」ハァ

善子「ヨハネの黙示録、第445節目。ヨハネは天界の追っ手から逃れる途中で、奇妙な土地へと漂着しました。そして着岸の衝撃により、仮眠状態から覚醒したのです」

善子「この土地の地盤は柔らかくて不安定。天界の刺客が待ち伏せしている様子は見られません。他の生き物の姿は全く見えません」

千歌「ハロー♪」ニコッ

善子「んなっ!? 天界の刺客っ!?」ジタバタ

千歌「ちょっ!? 落ち着いてっての!」アタフタ

善子「え、ええ」

千歌「ごめんね、驚かせちゃって。わたしの名前は千歌。そしてここは梨子ちゃんの部屋」

善子「千歌、ね」

千歌「うん。それと1つだけ、君に注意しときたいんだけど、このベッドは『わたしの場所』なんだよ!」

善子「セーラー服……貴女、この土地の自警団なのね。私は堕天使ヨハネ。天界の追っ手から逃れる途中で、この土地へ漂着してしまったの」

千歌「そっかそっかぁ。とりあえず、この場所は『わたしの場所』だからね」

善子「とにかくまずは方舟を修理しないと……どこかに道具はないの?」

千歌「破れたならセロテープを使ってるけど──」

善子「しまった!? 伏せてっ!」サッ

花丸「違うよ! マル達はお友達だよ!」

善子「知り合いなの?」

千歌「うんっ! みんな梨子ちゃんのぬいぐるみなんだよ!」

善子「こっちへ来なさい。私は堕天使ヨハネ。敵ではありません」キリッ

花丸「ずらぁ~♡ 君が新しいマルじゃなくて本当に良かったずら!」

千歌「大丈夫って言ったでしょ」

善子「ありがとね、貴女達の歓迎に感謝するわ!」

鞠莉「さっき梨子のお友達が『ボイスが出る』ってトークしてたけど?」

善子「これのこと?」ポチッ

善子(録音ボイス)『堕天使ヨハネ、ここに降臨!』

一同「おおーっ!」

花丸「未来ずら~! おしゃべり機能なんて未来ずらぁ!」

ダイヤ「本当ですわね。わたくし達の中で、誰もそんな機能持っておりませんもの」

果南「これは凄い機能だね。相当お値段張ったんだろうね」

鞠莉「いつ作られたのかしら? 先月CMをルッキングしたような──」

善子「先週? そんな最近じゃないわよ! 本来ならヨハネの出生については秘密なのだけど……特別に話してあげるわ!」

善子「この堕天使ヨハネは元々『愛』を司る天使だったけれど、人間界への干渉の度合いについて他の天使達と意見の相違があって堕天することを決めたの!」キリッ

善子「天界は『人々の争いへ過度な干渉はすべきでない』って考えてるみたいだけど、ヨハネは反対ね。堅物どもに何を言っても無駄だから、私1人でも人々の救済をするって決めたのよ!」

善子「進め、堕天使ヨハネ!」キリッ

一同「は、はい?」キョトン

千歌(梱包してあった箱に書いてあるまんまじゃん)ジー

千歌「ふんっ、どうせ新しいぬいぐるみだから珍しいんだよ」ムスッ

曜「でもあんな機能にいいデザイン、誰だって興奮しちゃうよ//」

千歌「曜ちゃんも?」

曜「う、うん//」

花丸「タグを見せて……『津島善子』って書いてあるね」

善子「善子じゃなくてヨハネっ!」クワッ

鞠莉「千歌っちってば調子狂ってるわね」

ダイヤ「ヤキモチ妬いているのでしょう?」クスッ

千歌「はいはい、もうおしまい。梨子ちゃんの新しいぬいぐるみには十分楽しませてもらったから」

善子「ぬいぐるみ?」

千歌「ぬいぐるみ、わたし達も貴女もぬいぐるみなの!」

善子「失礼、私のことならこう呼んで。堕天使ヨハネってね!」キリッ

ダイヤ「千歌さんはちょっとピリピリし過ぎですわ」

花丸「ねぇ善子ちゃん」

善子「ヨハネよっ! どうしたのよ?」

花丸「よくわからないんだけど、堕天使っていったいどんなことをするのかなぁ?」

千歌「この娘は堕天使なんかじゃないよ! 天界の刺客と戦ったりなんてしないよ! 空を飛んだりも──」

善子「ちょっと待ちなさい!」

一同「?」

オリオリ

千歌「紙飛行機?」キョトン

鞠莉「プレゼント箱の中に入ってたのね」

千歌「いやいや、そんなので飛べる訳ないじゃないの。ただの折り紙なんだよ」ハァ

善子「いいえ、飛べるわ。ヨハネの魔翌力を込めればね!」キリッ

千歌「ううん、飛べないよ!」

善子「飛べるわ」

千歌「飛べない、飛べない、飛べないっての!」

善子「この部屋の中を目を瞑ったまま飛んでみせましょう!」

千歌「あっそ、そこまで言うんならやってみせてよ!」

善子「わかったわ、見せてあげましょう!」

善子「堕天使ヨハネ、飛翔!!」

たまたまプラ○ールに乗っかり、たまたま天井にぶら下がっていた飛行機のおもちゃに引っ掛かり3回転した後、綺麗にベッドの上へ着地!!

善子「どうよっ!」

https://i.imgur.com/jgOz4Ts.jpg

一同「おおーっ!!」パチパチ

花丸「すっごく格好良かったずらぁ~♡」ウットリ

曜「引っ越しのバディを希望するであります♡」

善子「ありがとね、みんな」

千歌「ちょっ!? あんなの飛んだのと違うでしょ! 落ちただけだよ、カッコつけて」

ダイヤ「これは女の子にモテモテになりそうですわね~♡」

果南「あははっ、これは凄い新入りが入ってきたね♡」

千歌「ふんっだ。2、3日もすれば、全て元通りになるはずだよ」ムスッ

千歌「……梨子ちゃんは今でも、わたしのことが好きなんだから」

推奨BGM:すべてがストレンジ
https://youtu.be/c3r3XxTZoVg

千歌(ずっとわたしの天下だった。何もかもがうまくいっていた)

千歌(でもあの善子ちゃんがやって来てから、全てが狂い始めたんだよ)

善子(梨子)「この悪党めっ! この堕天使ヨハネが浄化してくれるっ!」持ったまま千歌へ体当たり

https://i.imgur.com/MvyATWc.jpg

千歌(梨子)「ぐわぁーっ!? やられたぁーっ!」ポイッ

千歌(以前はわたしが悪者をやっつけるヒーロー役だったのに、今やわたしが善子ちゃんに成敗される悪党扱い)

梨子(堕天使コスプレ)「リトルデーモン・リリー参上! 造作もないことです!」ギランッ☆

梨子「びゅ~ん♡」つ善子

千歌(ああ……最悪だよ。間違ってるよ、こんなの)

梨子「お休み、善子ちゃん♡」ダキッ

千歌(梨子ちゃんは抱いて一緒に寝るのも善子ちゃんになったし、ベッドカバーもわたしの絵柄のものから善子ちゃんのに取り替えちゃった)

https://i.imgur.com/s4ZS6Fg.jpg

千歌(部屋に貼ってあったポスターだってそう。わたしは他の娘達とまとめておもちゃ箱の中へポイッ、だよ)

千歌(冗談じゃないよ。寂しいよ……梨子ちゃん)グスンッ

花丸「がおーっ! どう、強く見えるかなぁ?」

善子「いいんじゃないの? 頑張ってるわね、ずら丸」グッ

花丸「ずら丸?」キョトン

善子「アンタがずらずら言ってるからよ」

果南「じゃあ次は私と曜と3人でランニングしよっか♡」

善子「そうね。堕天使たるものいつでも天界からの刺客とやり合えるよう、日々の鍛練は必要かもね」

千歌(みんな1人残らずわたしより善子ちゃんと仲良くするようになって……気付けばわたしは孤立していた)

千歌(間違ってるよ、見捨てないでよ梨子ちゃん……わたし、寂しいよぅ)グスンッ

千歌「はぁ、どうしたら梨子ちゃんはまたわたしを好きになってくれるのかな?」シュン

鞠莉「はろ~♡ ワターシは千歌デース。このおもちゃ箱はワターシのものデース!」

千歌「はいはい、面白いねー」ハァ

鞠莉「あれっ? 似てなかった?」クスッ

善子「ありがとね、みんな。ヨハネもここの文化に受け入れられて嬉しいわ」ニコッ

善子「しかもこの土地の領主であるリリーが、ここに契約の印を刻んでくれたの」

花丸「タグに『りこ』って書いてあるね。しかも消えないマジックで」

善子「それじゃ、ヨハネは方舟の修理に戻るわね」

曜「イライラしちゃ駄目だよ、千歌ちゃん」

千歌「うんっ? 何が?」

曜「梨子ちゃんは善子ちゃんのこと気に入ってるみたいだけど、千歌ちゃんは別だよ。いつだって特別扱いしてくれてたじゃない」

ダイヤ「屋根裏部屋とかですわね」クスッ

千歌「わかった、もうたくさんだよっ!」ムスッ

善子「簡易バリアーを取って」

花丸「はいっ」つ切ったセロテープ

千歌「ちょっと善子ちゃんっ!」

https://i.imgur.com/46Q6Esg.jpg

善子「ヨハネよっ! どうしたのよ、千歌?」

千歌「これ以上梨子ちゃんへ近付かないでよ! 梨子ちゃんは、わたしのものなんだからっ!」クワッ

善子「いったい何の話?」キョトン

鞠莉「やれやれ、まーた千歌っちの嫉妬ファイヤーが始まったのね」ハァ

善子「簡易バリアーをちょうだい」

千歌「って無視!? というかもう1つ言っとくよ。いい加減堕天使の真似事は止めたら。見ててイライラするんだよっ!」ムスッ

善子「真似事じゃないわよ、私は本物の堕天使なのよっ!」

千歌「わかったよ、どこまでもわたしへケンカ売ってるんだね!」ムスッ

善子「いい加減にしなさいよ、単なる人間風情がっ!」ムスッ

ポカポカ(殴り合う)

果南「正直な話、どっちも手の中には綿が詰まってるから痛くならないよね」

善子「人間でありながら堕天使に手を挙げるなんてどういうつもりよっ!」ポカポカ

千歌「本気で信じてるのかよっ! 自分が天界へ反逆した堕天使だなんてっ!」ポカポカ

善子「私を馬鹿にするのもいい加減にしてっ!」ポカポカ

千歌「とんでもない」トメッ

善子「?」トメッ

千歌「善子ちゃん! 天界の刺客がっ!」ユビサシ

善子「なんですって!?」キョロキョロ

千歌「ぷぷっ……あーはっはっはぁーwwwこれは傑作だぁwww」

バウバウ

??『ふふっ、やりましたね』

千歌「……大変だよ」

果南「聖良だね」

花丸「ライブツアーへ行っていたはずじゃあ?」

鞠莉「おおかた厄介行為でつまみ出されたんでしょ?」

曜「聖良が帰って来ていたということは……」

ダイヤ「今度は誰が?」

机の上

聖良『それっ、えいっ!』ボールポイッ

しいたけ『バウッ、バウッ』

千歌「ここからじゃ見えないよ。双眼鏡はある?」

曜「ココダヨー」つ双眼鏡

千歌「ありがとね」

花丸「他人のおもちゃだからって、見てはいられないずらぁ」

千歌「大変だ……ルビィちゃんだよ!」

https://i.imgur.com/odNOcDK.jpg

ダイヤ「ルビィですって!? ああ……どうして!」グスンッ

善子「何があったっていうのよ!?」

千歌「堕天使には全く関係ない話だよ。おもちゃの話なんだから」

善子「私にも見させなさい!」

千歌「ほらっ」つ双眼鏡

https://i.imgur.com/BkBEGAx.jpg

善子「どうしてあの娘に爆発物が括り付けられてるのよっ!?」

千歌「聖良がやったんだよ」

しいたけ『バウッ、バウッ、グルルルル』

善子「あのバウバウうるさい奴?」

千歌「違うよ、あっちは犬のしいたけだよ。聖良はこっち」クイッ

聖良『ふふっ、なかなかしぶといですね』クスッ

善子「あのぱいぱいでかめろん?」

千歌「なんで真っ先にそこへ目が行くのさっ!?」

ダイヤ「胸の大きさと性格は関係ありませんわ」

花丸「聖良はおもちゃを虐めるんだよ。面白がってね」

善子「酷いわね……なんとかあの娘を救わないと!」

曜「駄目だよ! 行ってどうするつもりさっ!」

善子「あの少女へ説教かましてくるの!」

千歌「じゃあ行ってきたら。この先端で目潰しでもかましてやれば」つ紙飛行機

善子「勝手に堕天使の翼に触らないでっ!」

聖良『ですが、これでおしまいですよ』つマッチ

鞠莉「ヤバいわ、火を付けたわよっ!」

果南「みんな伏せてっ!」

ドカーン!!

千歌(良い子は寝そべりちゃんや他のおもちゃを爆破したりしちゃダメだよ!)

聖良『あーはっはっはー! やりましたね、しいたけ!』

しいたけ『わふっ』

善子「私が止めていれば、こんなことにはならなかったのに……」シュン

千歌「そう言うなら、ぜひやってもらいたいもんだよ。代わりに善子ちゃんが消し炭になってたから」

善子「ヨハネだっての!」クワッ

曜「……引っ越しまでの辛抱だよ」ハァ

別の日、夕方

梨子(善子)「堕天使ヨハネ、参上!」

梨子ママ「荷造りも終わったし、今日はお外へ食べに行きましょ!」

梨子「どこ行くの、ママ?」

梨子ママ「マク○ナルドはどう?」

梨子「マック? わーい!」ニコッ

梨子ママ「早く支度してね」

梨子「寝そべりちゃん持ってってもいい?」

梨子ママ「1つだけね」

バタバタ

千歌「1つだけ? それはわたし?」

千歌「……な訳ないよね」ハァ

千歌(わたしの心はもうベッドの隅っこみたく奈落の底だよ)

千歌(奈落の底? 待てよ?)ニヤリ

善子「フンフフーン~♪」ニコニコ

千歌「善子ちゃーん! 大変なんだよー、タスケテー」グスンッ

善子「どうしたのよ!? 何があったっての?」

千歌「あの下におもちゃが落っこちて身動きが取れなくなってるんだよ!」ユビサシ

善子「なんですって!? 急いで助けないと!」

千歌(計画通り)ニヤリ

善子「何も見えないわよ」

千歌「ほら、そこだって!」つラジコン

ビュンッ

善子「ちょっ!?」サッ

ラジコンカー、タマザラシクッションにぶつかる
タマザラシクッション、善子の方へ転がる

善子「ちょっ!?」シュタッ

回避するもタマザラシクッションが電気スタンドに衝突!
回転して善子を窓の外へ落っことす

一同「んなっ!?」

千歌「善子ちゃんっ!?」シュタッ

果南「車庫の前にはいないね……聖良の庭まで飛んだんじゃ」つ双眼鏡

鞠莉「そのまま花壇に落下したのかも」

ラジコンカー「ギギ、ジジジ」

花丸「ねぇみんな、ラジコンカーが『話がある』って」

ラジコンカー「ギギ、ジジジ」

ダイヤ「ふむふむ、『これは事故なんかじゃない』ですって!?」

曜「つまり?」

ダイヤ「善子さんを落とした人がいる、ということですわ!」

曜「それは誰?」

ダイヤ「千歌さんですわ!」ユビサシ

一同「なん……だと……」ジー

千歌「ちょっと待ってよ!? わたしが落としただなんて、本気で信じてるんじゃないよね? ダイヤちゃん?」アセアセ

ダイヤ「どうしてこういう時だけ『ちゃん』付けですの!? 普段からそう呼んでくださいまし! この暗殺者!」ムスッ

千歌「違うっての! あれは事故だったんだよ!」アセアセ

一同「……」

千歌「みんな、わたしを信じてよ!」

果南「見損なったよ、千歌のこと。マルもそう思うよね?」

花丸「マルは……喧嘩は嫌いだから」

人形兵「恥を知れ! 貴様はおもちゃの面汚しだ!」

ダイヤ「梨子さんとの仲を邪魔されて我慢ならなかったのですわね」

鞠莉「ヨハネが梨子の新しいお気に入りになった。この事実を受け入れられなくて犯行に及んだ。違う?」

千歌「そ、それは……」

ダイヤ「でしたら、もしわたくしが梨子さんのお気に入りになったなら、どうするのです? やっぱり窓から放り出すとでも?」クワッ

鞠莉「言い訳はいらないわよ、千歌っち」クワッ

人形兵「全員突撃!」

バタバタ

https://i.imgur.com/VhOZZz0.jpg

千歌「ちょっと!? ちゃんと話を聞いてよっ!」

ダイヤ「見苦しいですわよ!」クワッ

梨子ママ「梨子、ちゃんと窓は閉めたの?」

一同「しまった!?」

元の位置へ戻る

梨子「ママー? 善子ちゃんがないよー」ウルッ

梨子ママ「ママは見てないわよー」

梨子「困ったなぁ」ハァ

梨子ママ「梨子ー、置いてくわよー」

梨子「でも見つからないのー」

梨子ママ「なら別のおもちゃにしなさい」

梨子「……わかった」つ千歌



梨子「どこ行っちゃったの? あそこに置いたはずなのに」ハァ

善子「ケホッ、ケホッ……どこよ、ここは?」

ブロロロロー

善子(あれは……リリー?)シュタッ

車の後ろに飛び乗る

梨子ちゃんルーム、机の上

花丸「駄目ずらぁ……コンセントの長さが足りないずらぁー」グスンッ

果南「困ったね、どうしたものか」

花丸「別の方法を考えるから、善子ちゃんはそこで待っててねー」ハァ

ガソリンスタンド

梨子「私が運転してみたい!」

梨子ママ「いいわよ、大人になったらね」

梨子「そうよねー」ハァ

梨子ママ「まだ長いからジュース買ってあげる」

梨子「わーい!」

バタンッ

千歌「……はぁ、『事故だった』ってどうすればみんなにわかってもらえるかなぁ?」ハァ

善子(この巨大な方舟には、どうやったら入れるかしら?)

千歌「善子ちゃんっ!?」シュタッ

車外

善子「千歌っ!?」

千歌「良かったぁー、生きてたんだね! これで助かったよぅ~♪」ニコッ

善子「……」

千歌「梨子ちゃんは今ジュースを買いに外へ出てるの。ここで待ってれば見つけて連れて帰ってくれるよ!」

善子「……」

千歌「んで帰ったら善子ちゃんから『あれは事故だった』ってみんなへ説明して──」

善子「貴女が本気で私を消そうとしたんだとしても、天界条例によって復讐は禁じられているの」

千歌「……ああ、それは良かった」フゥ

善子「……でもここは穢れた地上。でしょう?」ニヤリ

ポカポカ

千歌「ちょっ!? 今はケンカしてる場合じゃないっての!」ポカポカ

善子「問答無用! 先に手を挙げたのはそっちなんだからっ!」ポカポカ

千歌「本気なんだね……来いよっ!」クイックイッ

善子「言われるまでもないわっ!」シュタッ

千歌「体当たりっ!?」ピュンッ

善子「どうよっ!」シュタッ

ポカポカ

梨子「マックへしゅっぱーつ!」バタンッ

梨子ママ「もう、はしゃぎ過ぎよ!」バタンッ

ブロロロロー

千歌「あっ」トメッ

善子「?」トメッ

千歌「梨子ちゃん……わたしがいないのに気付かなかったの?」グスンッ

千歌「置いてかれた……完全に迷子になっちゃったよぅ」グスンッ

善子「堕天使ヨハネの黙示録、第745節。現在、巨大な神殿にいる」

千歌「善子ちゃんのせいでっ!」

ブロロロロー

千歌「トラック!?」サッ

プシュー

千歌(ふぅ、間一髪)ハァ

善子「ヨハネの経験から察するに──」

千歌「ちょっと黙ってて!」

善子「こういう時こそ落ち着きが──」

千歌「落ち着いてられないよ! 梨子ちゃんはわたし達を置いて行っちゃったんだよ! 善子ちゃんのせいでっ!」クワッ

善子「なんですって!? 千歌がヨハネを落としたのが原因でしょ! それと私はヨハネっ!」クワッ

千歌「善子ちゃんが100均のプレゼント箱で飛んで来て、何もかもをぶち壊しにしてなければっ!」クワッ

善子「ヨハネよっ! 下らないことでうるさいわよっ!」クワッ

千歌「下らなくなんかないよっ! わたしにはっ、梨子ちゃんがわたしの全てだったんだから!」クワッ

善子「それがなんなの? アンタのせいで、人間界全体が破滅するかもしれないのにっ!」クワッ

千歌「……はい?」キョトン

善子「ヨハネが天界から逃れたのはね『ラグナロク』、つまり最後の審判が間もなく始まるのを下界の人間達へ知らせるためなのよ!」

千歌「は、はぁ」

善子「今すぐ愚かな争いを止め、お互いの思想や価値観を認め合う。それができなければ神は人間達を『失敗作』と判断し、地上をリセットしに掛かるのよ!」

千歌「わたしから梨子ちゃんを奪っておいてよく言うよ」ムスッ

善子「だけど貴女のせいで、人間界の主要な都市へ到着するのが遅れてしまったじゃないの!」

千歌「いいっ! 善子ちゃんはぬいぐるみなのっ! 天界を追放された堕天使なんかじゃないのっ!」クワッ

善子「ヨハネっ!」クワッ

千歌「はっきり言えば、子どもや大きなお友達の相手をする『道具』なのっ!」

善子「……なんとも哀れな女ね。可哀想に。失礼」

千歌「ああ、いい厄介払いができたよ」シッシッ

千歌(なに堕天使ヨハネだよっ!)プンスコ

ブロロロロー

運転手「この辺りにマックはないかい?」

千歌(あの車はマクド○ルドへ行くって?)

千歌(でも待てよ、善子ちゃんと一緒じゃないと部屋には帰れない)

千歌「善子ちゃん! こっちこっち!」テマネキ

善子「ヨハネよっ! もう千歌のことなんて──」

千歌「方舟を見つけたんだよ! 下界へ向かう!」

善子「なんですって!?」シュタッ

善子「あれがそうなのね?」ユビサシ

千歌「うんっ。あれに乗れば下界まで一直線だよ!」

善子「わかったわ。乗り込むわよ!」シュタッ

千歌「待ってって! 前じゃ人間に見つかるっての!」シュタッ

善子「後方には掴まる場所がないのよ」

千歌「いや、だけど──」

千歌(って聞いちゃいないし)ハァ

運転手「わかった。ありがとよ」

ブロロロロー

千歌「仕方ない、か」ハァ

千歌「前の方が安全? 見つかったらどうするんだよ!」

登り坂にて工具箱、千歌へ迫る

千歌「そんなぁー!」

グチャッ☆

ショッピングモールの駐車場

善子「マクドナ○ド……リリーが言ってたところね。千歌、いる?」キョロキョロ

千歌「ココダヨー」ナミダメ

善子「無事だったようね」

千歌「このまま梨子ちゃんを見つけられればいいけど、人間だらけだしどうしたものか」ハァ

善子「それを使おう」ユビサシ


ショッピングモール入り口

プシュー(自動ドアが開く音)

善子(ハンバーガーの箱被り)「今よ!」シュタッ

千歌(紙コップ被り)「オッケー!」シュタッ

ポカッ

千歌「気を付けてよっ!」ムスッ

善子「悪かったわ」ペコッ

千歌(しかし○クドナルドはどこだろう?)

ゲームセンター

キャッキャッ

善子「おおー! なんて大きな都市なの//」ウットリ

千歌「でもここはマク○ナルドじゃ──」

梨子「ねぇママ、UFOキャッチャーで遊びたいんだけど」

梨子ママ「また寝そべりちゃん増やすつもり? もう十分でしょ!」

梨子「でもまだルビィちゃんが」

梨子ママ「わかったわ。500円までよ」

梨子「わーい!」

千歌「梨子ちゃんだ! もう食事は済ませたのかな?」

善子「あそこから何か出てきたわね。怪しいわ」

千歌「ちょっと待ってよ! そっちじゃないってば!」

善子「何か珍しいものでも?」

千歌「特別な方舟があるんだよ!」

善子「時空間転位機能でも?」

千歌「どころか平行世界でも反転世界でも行けるよ!」

善子「どこにも見当たらないけど?」

千歌「用意はいい、善子ちゃん? 1、2の3であの買い物かごに──」チラッ

千歌「──ってまたいないしー!」

クレーンゲームへ走る善子

千歌「あの脳みそ綿詰まり女めっ!」シュタッ

クレーンゲーム内

https://i.imgur.com/tRFWGcF.jpg

ゴマゾウ「よそ者だ」

ゴマゾウ「外から来た」

ゴマゾウ達「パオーン」

善子「はじめまして、私は堕天使ヨハネ。敵じゃないわ」

ゴマゾウ達「おおーっ!」パオパオ

善子「緊急事態が起こったの。この方舟で下界まで向かいたいの。代表は誰?」

ゴマゾウ達「あーれーさー」クレーンをハナサシ

ゴマゾウ「あれがそうだよ」

ゴマゾウ「選ばれた者だけが外へ行けるの」

千歌「ダメだこりゃ」ハァ

聖良「何が『不正があったので0点です』か、ふざけないで」ゲシッ

千歌「大変だ、聖良だよ!」ガバッ

善子「何するのよっ!?」

千歌「善子ちゃんがこんな所に飛び込む……ムグッ!?」

善子「ヨハネ……ムグッ!?」

ゴマゾウ「動く」

ウイーン、ガシッ

ゴマゾウ「選ばれた~♪ さよ~なら~♪ もっといい世界へ行く~♪」

千歌(そんな訳ないでしょ!)

ポトッ

聖良「やりましたね」ニヤリ

聖良「って善子さんではありませんか!」

ウイーン、ガシッ

千歌(まずいっ!)ヒキッ

聖良「動きませんね、不正をしているのはゲーセン側ではないですかっ!」ゲシッ

千歌「邪魔しないでよっ!」

ゴマゾウ「彼女は選ばれたの」

ゴマゾウ「彼女は外へ行くの」

千歌「そんなぁー」

ゴマゾウ「神を怒らせてはダメー!」

ポトッ

聖良「ふふっ、まさか2体も同時に手に入るなんて」ニヤリ

聖良「ウチへ持って帰って、たっぷり遊んであげますからね♡」ニッコリ

聖良「ふふふふ~ん♪」

善子「千歌、家が見えるわよ」

千歌「わかってるけど」

ゴマゾウ「楽園への入り口が僕達を待ってるパオ」

千歌「静かにしてよ。聖良の家に入ったら最期、生きては戻れないんだよ」

バタンッ

鹿角家、玄関

しいたけ「バウバウバウ、グルルルル」

聖良「おすわり、よし! いい子ね」ゴマゾウ置く

聖良「おあずけ……よしっ!」

しいたけ「バウバウッ!」

グチャッ☆

善子「……酷い」

聖良「理亞、ちょっと来なさい」

理亞「何ですか、姉様?」つ人形

聖良「大変ですよ理亞。見てください、千歌さんが!」ガシッ

理亞「姉様っ!? 千歌ちゃんを取らないでっ!」

聖良「病気です。手術をしなければ治りません」バタバタ

千歌「聖良の部屋……もうおしまいだぁ!」ガクブル

理亞「姉様、千歌ちゃんを返してっ!」

バタンッ

聖良の部屋

聖良「大変ですね、直ちに手術を始めなければ」

聖良「これまで頭の取り替え手術に成功した者は誰1人いませんが」ニヤリ

善子「彼女は医者なの? とてもそうは見えないけど」

聖良「りーあー、千歌さんは良くなりましたよ♪」つ胴体が怪獣の人形

https://i.imgur.com/HseGg7a.jpg

理亞「あ"あ"ーっ!? ママーっ!」バタバタ

聖良「違いますよお母様、私は何もやっていませんからね」


千歌「このままじゃやられちゃう、外へ逃げないとっ!」シュタッ

千歌「でも鍵が掛かってる……他に逃げ道があるはず」

ガタッ

千歌「……善子ちゃん? 君なの?」つ懐中電灯

カタカタ

千歌「こんにちは。ちょっと道案内してもらえる?」

顔が女の子、胴体がロボットの人形「……」

千歌「ひいぃぃっ!?」ガクブル

次々と異形が出てくる

https://i.imgur.com/tcHC0XY.jpg

千歌「よ、よ、よよよのよー! よよよーよ、よーしこー」ガクブル

異形達、人形と怪獣をどこかへ引っ張る

善子「……共食いしてる」

善子「黄昏の理解者、聞こえますか? 凶暴な魔物と遭遇しました。対処する術を教えてください」

千歌「そんなんで弱点がわかったら苦労しないよ!」


桜内家、窓際

ガサゴソ

花丸「善子ちゃん、君なの?」

にゃーん

花丸「猫さん、善子ちゃんを探す邪魔をしないでよっ!」

ブロロロロー

果南「帰って来たね」

梨子「ママ、千歌ちゃん見なかった?」

梨子ママ「さっきどこに置いたの?」

梨子「車の中だよ」

梨子ママ「だったらそこにあるはずよ。よく探しなさい」

梨子「見つからないの……千歌ちゃんが消えちゃった」ウルッ

曜「千歌ちゃんが消えた?」

ダイヤ「おおかた逃げ出したのでしょう?」

鞠莉「千歌っちがバッドなことするなんて、思ってもいなかったわ」

曜「心配だよ……千歌ちゃん、無事だといいけど」

翌朝、聖良ルーム

聖良「まだ生き残りがいましたか……反乱軍の基地はどこですか?」つ千歌

聖良「相当強情ですね……ですが貴女の口を割らせる方法はあります」つ虫眼鏡

太陽光を一点集中、焦げ始める

聖良「早く言いなさい! 裏切り者がどこに隠れているかを!」クワッ

鹿角ママ『朝ごはんよー』

聖良「すぐ行きますね~♪」

バタンッ

千歌「あ"あ"ーっ!?」ゴロゴロ

善子「大丈夫? 大したものね、あの拷問を耐えるなんて」

千歌「火傷の跡が残らないといいけど」ハァ

善子「黄昏の理解者から何の啓示も来ない」

千歌「ドアが開いてる……逃げられるよっ!」シュタッ

善子「罠かもしれないわよ!」

千歌「大丈夫だって──ちょっ!?」

異形「……」

千歌「わたしを食べても美味しくないよっ!」ジタバタ

善子「離れなさい!」ビシッ

異形「……」サッ

善子「……堕天龍斬岩刀を受けてもビクともしないなんて」

千歌「まだ言ってる……いい、善子ちゃんはぬいぐるみなのっ!」クワッ

善子「ヨハネっ!」

千歌「とりあえずアイツらが怯んだうちにっ!」シュタッ

廊下

千歌「おうちが一番、おうちが一番~」階段トコトコ

しいたけ「Zzz、Zzz」

千歌「ひいっ!?」

善子「また馬鹿な真似をして、危ないでしょ」ヒソヒソ

千歌「わたしに説教しないでよっ!」

善子「声が大きいわよ」ヒソヒソ

しいたけ「ッ!? グルルルル」

善子「言わんこっちゃない! 分かれるわよっ!」シュタッ

鹿角パパの部屋

善子(ここまで来れば追って来ないわね)フゥ

TV『堕天使ヨハネ、堕天使ヨハネ、目覚めなさい』

善子「私を呼んでいるの?」キョトン

TV『君の助けが必要だ!』

TV『フォーリンエンジェル、ヨ・ハ・ネ!!』

TV『aqours1のモテモテガールがキュートな寝そべりぬいぐるみとなったぞ!』

TV『シリーズ初! お腹を押すとおしゃべりする素敵機能!!』

善子(TV)『魔界の中心で愛を叫ぶわよ!』

善子(寝そべり)『魔界の中心で愛を叫ぶわよ!』

TV『そしてもちろん堕天使の翼も折り紙で再現!』

善子(TV)『堕天使ヨハネ、ここに降臨!』

TV(テロップ)『このぬいぐるみは飛びません』

こ の ぬ い ぐ る み は 飛 び ま せ ん

TV『君も堕天使ヨハネを手に入れて、リトルデーモンとして魅了されちゃおう!』

TV『フォーリンエンジェル、ヨ・ハ・ネ!!』

TV『お近くのアニメグッズ専門店かオンラインショップでお求めください』

善子(そんな……このヨハネが量産品のぬいぐるみだなんて)

推奨BGM:I will go sailing no more
https://youtu.be/QGNdyv2mUq8

千歌(回想)『善子ちゃんはぬいぐるみなのっ! 飛べやしないのっ!』

善子(そんな訳ないんだからっ! ヨハネは堕天使なのっ! 本物の堕天使なのっ!!)ヨジヨジ

善子「堕天使ヨハネ、ここに降臨!」つチラシで折った紙飛行機

ピョンッ

善子(私は飛べ──)

ヒューッ

善子(──てないっ!?)

ポトッ

https://i.imgur.com/gn1l0Ii.jpg

善子(ヨハネは……堕天使なんかじゃなかったのね)グスンッ

理亞「……これは?」

千歌「なんとか撒いたか……善子ちゃんは?」

理亞の部屋

理亞「ふふっ、それは面白そう」

理亞「お茶はどう? お隣の奥様?」

理亞「……嬉しい、わざわざ来てくれて」つ善子

千歌(なんてこったい)

千歌(鹿角ママの声真似)「理亞ー、ちょっと来てー」

理亞「ちょっと失礼、すぐに戻る」スタッ

https://i.imgur.com/rco6TWV.jpg

千歌「大丈夫、善子ちゃん?」スタッ

善子「いーやー、もうおしまいよ! 全部おしまい、バイバイ、ブーン♪」

千歌「どしたの?」キョトン

善子「天界の四大天使を退けた最強の堕天使が、今やお茶会でお上品にホットココアなんてお飲みになっているんだから~♪」

千歌「あはは、ココアの飲み過ぎで酔っ払っちゃった? もう行くよ、善子ちゃん!」

善子「私は善子じゃないの! 私はお隣の奥様なのっ! うふふふふ~♪」ニヘラー

千歌「正気に戻ってよ!」

パシーン!

善子「あ、す、すまなかったわね。ちょっと自棄を起こしてただけよ」

善子「あ"あ"もう情けないっ! 私は堕天使なんかじゃなかったのよ! 窓から飛ぶことだって出来やしないっ!」グスンッ

千歌(そっか、とうとう気付いちゃったんだね)

善子「でも奥様は窓から飛ぶ必要なんてないでしょ?」

千歌「窓から飛ぶ? その手があったか!」ピンポーン

梨子ちゃんルーム、窓際

鞠莉「はい、6が出たから上がりね~♪」ルンルン

ダイヤ「んまぁ、またわたくしがドベですのーっ!?」プンスコ

千歌「おーいみんなー、ココダヨー」フリフリ

鞠莉「この声、千歌っち!?」

ダイヤ「どうして聖良の部屋におりますの?」

鞠莉「みんなーっ、千歌っちが無事だったみたいよー!」

一同「千歌ちゃんっ!?」

千歌「ふぅ、やっとこの地獄から出られるよー。善子ちゃん?」

善子「ぶ~ん♪ ぶるんぶる~ん♪」

千歌(まだ頭イカれたままだし)ハァ

花丸「本当ずらぁ~♡」

千歌「良かったー! みんな元気だったー?」

鞠莉「生きてるって信じてたわよ!」

曜「どうしてそこに?」

千歌「後で説明するよ。これを受け取ってー!」つ配線コード

果南「いいよー千歌ー♪」ガシッ

千歌「そいつをどこかへしっかりと結んで──」

ダイヤ「お待ちなさい! いいのですか、暗殺者の言葉に従うなんて」

曜「ダイヤさんっ!」

ダイヤ「皆さん忘れた訳ではないでしょう? 千歌さんは善子さんを暗殺したのですわよ! そんな方を助けるなど──」

千歌「違うってのダイヤさんっ! 善子ちゃんは無事だよ!」

ダイヤ「つまらない嘘はおよしなさいっ!」クワッ

千歌「嘘なんかついてないっての!」クワッ

千歌「善子ちゃんっ! 君が生きてるってみんなに教えてあげてよ!」

善子「……」

千歌「こっちへ来て手を貸してよっ!」

善子「……」つ千切れたぬいぐるみの手

千歌「……あはは、面白い冗談だね……ふざけてる場合っ!?」

千歌(ええいっ、こうなったら!)


花丸「どうしたの?」

ダイヤ「善子さんが無事なのは嘘でしたの?」

千歌「ココダヨー。ほーら善子ちゃん、こっちへおいでよ~♪」

千歌(善子の声真似)「ええ。堕天使ヨハネ、ここに降臨!」手だけ見えるように

花丸「無事みたいずらぁ~♡」ニコッ

ダイヤ「なんか怪しいですわね」ジー


千歌「わたし達すっかり仲直りしたんだよ!」

千歌(善子の声真似)「ええ、そうですとも! 私達は親友よ!」

千歌「見てよ、もうすっかり相棒と呼べる仲になったんだから!」

果南「見なよ、善子は無事なんだからさっさと千歌を──」

ダイヤ「そう焦ってはなりませんわ」

鞠莉「何か隠し事でも?」

千歌「何も?」つ千切れたぬいぐるみの手

一同「ああーっ!?」

千歌「あ」

鞠莉「ブラックジョークにも限度があるわよ!」

ダイヤ「この嘘つき! 暗殺者! 聖良にひねり潰されてしまいなさい!」

千歌「頼むから助けてよぅー」ウルッ

ダイヤ「あんな人は放っておきましょう」

鞠莉「さあみんな、戻るわよ」

花丸「千歌ちゃん、もうマル達を失望させないで」ハァ

千歌「曜ちゃん、果南ちゃん、話を聞いてよっ!」グスッ

かなよう「「……」」ブラインド下ろす

千歌「うわぁぁぁーっ!!」グスンッ


異形「……」フキフキ

千歌「ってお前らー! 善子ちゃんに何やってるのー!」シュタッ

異形「……」フキフキ

千歌「もしかして、綺麗にしてあげてたの?」

異形「……」コクッ

千歌「でも昨日は女の子の人形をバラバラにして──」

人形・怪獣「「……」」

千歌(直してたの? そっか、見掛けによらず優しい子達だったんだね)

千歌「いや、ごめんね。ちょっとした勘違いだったんだよ。善子ちゃんを食べるつもりかと」

異形達「……」ビクッ

千歌「どうしてっ!?」ガーン

鹿角ママ『聖良! まだ食事中でしょ!』

聖良『でも荷物が届いたのですよ!』バタバタ

千歌「まずい、聖良が来る! 善子ちゃんも隠れてっ!」

善子「……」

千歌「聖良にやられてもわたしを責めないでよっ!」シュタッ

バタンッ

聖良「やっと来ましたね、超特大ロケット」ニヤリ

聖良「この製品は大変危険ですので、お子様の手の届かないところに置いてください……素晴らしい! 何をふっ飛ばしましょうか?」キョロキョロ

聖良「みかん頭のボロ人形が見当たりませんね……代わりにこの善子さんを打ち上げますか」ニヤリ

ザーッ(雨の音)

聖良「仕方ありませんね、打ち上げは明日へ延期ですか」ハァ

晩、梨子の部屋

梨子ママ「家じゅう探したけど見つからなかったわ」

梨子「でも置いてきぼりにはできないわ」

梨子ママ「心配しないで。千歌ちゃんも善子ちゃんも、出発までにきっと見つかるわ」

曜「千歌ちゃん……梨子ちゃんがどんなに寂しがってるか見せてあげたいよ……」

曜(梨子ちゃんは、決して千歌ちゃんのことがどうでもよくなった、なんてことはないんだからね)

翌朝、聖良の部屋

聖良「むにゃむにゃ、もう食べられませんよ~」Zzz

千歌「善子ちゃん、善子ちゃんっ」

善子「……」

千歌「箱の上の道具箱をどかしてくれない? お願いだよー、善子ちゃんがいないと出られないんだよ」

善子「私じゃ誰も助けられないわ」シュン

千歌「そんなことないって。そのロケットを外して、一緒に梨子ちゃんの部屋へ帰ろうよ」

善子「リリーの部屋と聖良の部屋、どこが違うの?」

千歌「善子ちゃん、高いところから落ちて頭がおかしくなっちゃったの?」

善子「いいえ、頭は冴えてるわ。やっとわかったんだもの……千歌が言ってたことが正しかったって」

千歌「つまり?」

善子「私は堕天使なんかじゃなかった。取るに足らない、つまらないぬいぐるみでしかなかったのよ」ハァ

千歌「落ち込むことなんてないよ。ぬいぐるみってのはね、堕天使なんかよりずっといいんだから」

善子「そうなの?」

千歌「そうだよ。梨子ちゃんは善子ちゃんを最高に愛してる。でもそれは堕天使だからじゃなくて、ぬいぐるみだからなんだよ!」

善子「どうしてリリーは私を欲しがったの?」

千歌「一目見たらわかるよ、津島善子ちゃんだからだよ! みんな善子ちゃんみたくなりたいんだよ! 紺色の髪にお団子ヘアー、吊り上げってキリッとした目付き」

善子「……」

千歌「最高にクールな寝そべりちゃんだよ! 人気者過ぎて羨ましいよ……わたしみたいな普通なデザイン、善子ちゃんには太刀打ちできないよ。おしゃべり機能だってないんだし」ハァ

善子「……」

千歌「梨子ちゃんはわたしなんて必要ないんだよ……善子ちゃんさえいればね」グスッ

善子「……」

千歌「わたしがロケットで飛ばされるべきだったんだよ」グスンッ

善子「……」

千歌「善子ちゃん、行きなよ。わたしのことは構わないで」

善子「んんっ、んんーっ!」

千歌「善子ちゃんっ!? どうしてっ!?」

善子「一緒に行くわよ! リリーは千歌を必要としているんだからっ!」

千歌「……」

善子「逃げるわよ!」握手

千歌「……うんっ!」握手

プシュー

善子「引っ越しのトラックが来たみたいね」

千歌「んじゃあ急がないと!」

ジジジジジ

聖良「うるさいっ!」バンッ

ちかよし「「しまった!?」」

聖良「そうでしたね、打ち上げの時間ですね!」つ善子

バタンッ

バウッバウッ

千歌「部屋の外には犬……どうしたものか」

異形達「……」

千歌「みんな、話を聞いてよ! 聖良に連れてかれたおもちゃは、すっごくいい娘なんだよ!」

異形達「……」

千歌「だけどもうすぐふっ飛ばされちゃうんだ、わたしのせいで」

異形達「……」

千歌「善子ちゃんを助けたいんだよ。手伝ってほしい」ペコッ

異形達「……」

千歌「お願い、友達なんだよ。わたしの大切な」

異形「……」トコトコ

異形「……」握手

千歌「ありがとう」握手

千歌「いい作戦があるんだ。『おもちゃのルール』は破るけど、君達のためにもなるはずだよ」

千歌「ブリーフィング終わり、作戦開始!」

ピンポーン

理亞「お客様?」

千歌「今だ、全速前進!」

ビューン!

しいたけ「バウバウッ!」シュタッ

千歌「じゃあね~♪」

理亞「どちら様?」

理亞の股下をくぐり抜けた千歌一行

しいたけ「バウバウッ!」

理亞「きゃっ!?」バタッ

理亞「悪い子ね」

バタンッ

しいたけ「バウバウッ!?」

鹿角家、裏庭

聖良「発射準備は完了しました。これより秒読みを開始します、以上」

千歌「なんとか間に合ったね」フゥ

善子「千歌っ!? 早くこれを外してちょうだい!」

千歌「いいや、ちょっとその前に……」

聖良「さてと……ってどうしてこんなところにみかん頭が!?」

聖良「まあいいです。後でゆっくり料理してあげますから」つマッチ

聖良「発射10秒前。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1──」

千歌「武器を捨てて、手を上げて! ここ内浦は何もない場所だけど、美味しいみかんが採れるんだよ!」

聖良「おかしいですね。おしゃべり機能なんて搭載していないはず」

千歌「奇跡だよ! わたし達、輝きたい! 千歌っちって呼んでね♡ 普通怪獣ちかちーだぞー、がおー!」

聖良「実は魔改造でもされていたのでは? しかもナンセンスな」

千歌「なんだとー! 誰がセンスないってー!」

聖良「えっ!? まさか私に?」

千歌「そうだよ、鹿角聖良さん!」

聖良「えっ!? へっ!?」キョロキョロ

千歌「わたし達は吹き飛ばされるのは好きじゃないの。バラバラに切り刻まれるのもね」

聖良「わたし達?」

千歌「そうだよ。わたし達、おもちゃだよ」

異形達、○イオハザードよろしく一斉に登場

https://i.imgur.com/jggVzm9.jpg

聖良「あ、ああ……」ガクブル

異形「……」ニヤリ

聖良「あ"あ"ーっ!?」


千歌「これからはおもちゃを大切に扱うことだね。もし虐めたりしても、すぐわかるんだからね」

千歌「わたし達おもちゃは、どんなことでもお見通しなんだよ」クルクル

千歌「だから仲良く遊ぶんだよ☆」ニヤッ

聖良「あ"あ"ーっ!!」バタバタ

千歌「やったー! 聖良を懲らしめたぞー!」

聖良「おもちゃが……おもちゃが生きてるなんて」

理亞「どうしたの? お人形が嫌いになったの?」つ人形

聖良「あ"あ"ーっ!!」バタッ

千歌「やったねみんな! これでもう乱暴な扱いはされないはずだよ!」

善子「千歌……ありがとう」ニコッ

プップー

善子「急ぐわよ!」シュタッ

千歌「みんなありがとう!」フリフリ

ブロロロロー

善子「んなっ!?」

千歌「ロケットが引っ掛かったの!?」

善子「先に行きなさい!」

千歌「置いて行ける訳ないよ!」テダスケ

車道

善子「えいやっ!」ピョン

千歌「それっ!」ピョン

善子「なんとかトラックの荷台に──」

しいたけ「グルルルル、バウッバウッ!」シュタッ

ちかよし「「んなっ!?」」

しいたけ「バウッ!」ガブッ

千歌「くそっ、離してっ!」ゲシッ

ビリッ

千歌「善子ちゃーん、梨子ちゃんのことは任せたよー」グスンッ

善子「千歌を置いていったら一生の恥よっ!」ピョン

しいたけ「わふっ!?」

善子「このバカイヌッ!」メツブシ

しいたけ「キャウッ!?」

千歌「善子ちゃんっ!?」

千歌(早く助けないと!)

ガラガラッ

千歌「ここかっ!」ガサゴソ

ダイヤ「あら~?」キョトン

花丸「もう着いたの?」キョトン

果南「千歌っ!?」

曜「どうやってここに?」

鞠莉「何を探してるのよ?」

千歌「……あった! えいっ!」ラジコンカーボトッ

ダイヤ「なんてことですの!?」

花丸「また罪を重ねるなんて!?」

ラジコンカーを善子の下へ

プップー♪

善子「『乗れ』ってことね」ノリッ

ダイヤ「放り出すのですわ!」クワッ

鞠莉「千歌っちへジャッジメントを下すのよ!」クワッ

一同「うおーっ!!」バタバタ

千歌「ちょっと待って! 話を聞いて──」

果南「問答無用!」ダキッ

グルグル

千歌「わわわわーっ!?」クルクル

善子「わわわわーっ!?」クルクル

https://i.imgur.com/JNeR9jc.jpg

鞠莉「タマちゃんアターック!!」タマザラシゴロゴロ

千歌「ぎょえーっ!?」

善子「跳ねたっ!?」ピョン

しいたけ「キャウッ!?」

善子「……犬は撒けたわね」フゥ

ピピーッ!

ガシャーン!

パリーン☆

「ちゃんと前見て運転しろよ!」

「まだ買ったばかりなのよ!」

「仕事に遅れちまうだろ!」

千歌「誤解しないでよ! 善子ちゃんを助けるために──」

ダイヤ「言い訳はもううんざりですわ!」

ポイッ

ビューン

善子「ちちち千歌ぁーっ!?」

千歌「善子ちゃ──ぐはっ!」

善子「このまま追うわよ!」

千歌「うんっ! トラン○ム!」リモコンカチッ

https://i.imgur.com/t6FtN4o.jpg

ダイヤ「悪は滅びる運命なのですわ!」

曜「待って! 接近する物体があります!」

鞠莉「あれは、ラジコンカー!?」

果南「千歌と善子が乗ってる。しかも通常の3倍のスピードで!」

曜「本当だよ。千歌ちゃんはほんとのこと言ってたんだよ」

ダイヤ「……なんて、ことですの」シュン

花丸「マル達が悪かったずら」シュン

千歌「あと少しだよ!」

果南「これに掴まって!」つスプリング

千歌「いよしっ!」

果南「んんんーっ!!」

鞠莉「ファイトよ、果南!」

果南「もっとスピードは出せないの!」

千歌「これ以上は──」

善子「しまった!? パワーダウンしている!」

バチンッ☆

千歌「くっそぉーっ!」

ラジコンカー「ZzzZzz」

https://i.imgur.com/88bpyjH.jpg

善子「まだだ、まだ終わらないわよ! ロケットがあるもの!」

千歌「マッチもね! これなら──」

ビュンッ(車の風圧)

ちかよし「「んなっ!?」」

千歌「火がっ!? もうおしまいだぁーっ」グスンッ

善子「待って! アレを見て!」

ジリジリ

千歌「……なるほど、車の窓ガラスを利用すれば!」

バチバチ

善子「やったわね! 目指すは、リリー!」

千歌「でもロケットに火を着けたら……爆発するんじゃ──」

ボウッ☆

ちかよし「「あ"あ"ーっ!!」」

花丸「善子ちゃん達がふっ飛んできたぁ!?」

果南「ラジコンカーが着地するっ!?」

バコーン☆

一同「ぐはぁっ!?」バタッ

善子「留め具が外れた! 後はこの紙飛行機で!」

https://i.imgur.com/cvGPLPG.jpg

千歌「やったぁ! 善子ちゃん、飛んでるよっ!」

善子「飛んでなんかないわ、落ちてるだけ。カッコつけてね!」

ちかよし「「いやっふぅーっ!!」」

千歌「このままトラックまで……って追い越してどうするのさっ!?」

善子「目標は……リリー!」

ヒュー、ストンッ☆

桜内家マイカー内

梨子「ママ、見て見て!」

梨子ママ「どうしたの?」

梨子「千歌ちゃんと善子ちゃん!」つちかよし

https://i.imgur.com/lQxkK98.jpg

梨子ママ「良かったわね。どこにあったの?」

梨子「荷物の中にあったの」

梨子ママ「ママの言ったとおりでしょ!」ニコッ

千歌(やったね♪)ニコッ

善子(ええ♪)ニコッ

引っ越し先の梨子ちゃんルーム、クリスマスイヴの晩

梨子(無線越し)『もう開けてもいい?』

梨子ママ『ええ、いいわよ』

鞠莉「みんな、始まったわよ!」

花丸「もし新しいマルが来たら『マルは初回生産分ずらぁ!』って自慢するんだぁ!」

隊長『最初の中身は……ルビィです! 寝そべりぬいぐるみの黒澤ルビィです!』

果南「やったじゃない、ダイヤ♪」ニコッ

ダイヤ「もう少し、物言いを優しくしなければなりませんわね」ニコッ

隊長『報告を続けます。次の中身は──』

千歌「ヨハネちゃんはもちろん心配なんてしてないよね?」

善子「まさか?」ニヤリ

千歌「わかってるじゃん。梨子ちゃんがどんなプレゼントを貰っても、ヨハネちゃんには敵わない」ニヤリ

??『キャンキャン』

梨子「あれ……これって子犬!?」

ちかよし「「犬かよっ!?」」苦笑

Fin

現実、部室

ルビィ「──っていう感じのPVを、卒業式翌日のお別れ会までに作ろうと思うんだぁ」ニコッ

一同「はい?」

ルビィ「いや、だってもうすぐ劇場版も公開されるし」

曜「いやいや、そういう問題じゃないから」

果南「つまるところ、千歌と善子が梨子を巡って喧嘩になった果てに──」

ダイヤ「──なぜか最終的にお二人がお付き合いするようになった、というお話ですわよね?」

善子「ヨハネよっ!」クワッ

鞠莉「にしても、顔を合わせるたびに『梨子の一番は私!』って言い争ってた千歌っちとヨハネが恋仲になるなんて……誰も予想がつかなかったわね」ニコッ

善子「心外ね、このヨハネとちかちーは元から運命の赤い糸で結ばれてたのよっ! ね~ちかちー♡」ニコッ

千歌「だよね~よっちゃーん♡」ニコッ

梨子「うんうん、私としても嬉しいわ~♡ 千歌ちゃんとよっちゃんがすっかり仲良くなって♡」ニコッ

花丸「そうずらねぇ~♡ ついでにマルも梨子ちゃんと懇ろになれたし♡」ニコッ

梨子「ね~マルちゃん♡ 午後からどこ行こっか♡」ニヘラー

花丸「マルはね~、梨子ちゃんと一緒ならどこでもいいなぁ~♡」ニヘラー

曜「あはは、人生には時々ビックリなサプライズがあるものだね」

ダイヤ「それで、ルビィの案はどうしますの? 必要なら聖良さん達にも出演依頼を出しますが?」

果南「ってわざわざ函館から来てもらうつもり!?」

ダイヤ「お正月にわたくし達を鍛えるために来たこともあるのです。何を今さら心配することなど」

果南「……これだから金持ちは」ハァ

結局このPV製作はお蔵入りとなり、代わりにaqoursが辿った軌跡を振り返りつつ、応援してくれた人達へ感謝の気持ちを贈る曲『Wonderful Stories』のPVが作られたのであった

⌒°( ^ω^)°⌒ 今度こそ本当に終わルビィ!

https://i.imgur.com/5ym2okD.jpg

今回はこれだけ小道具を使いました

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