敵「お前を倒す」俺「かかってこい、【理論武装】!」 (16)

これは【理論で戦う】俺のもとに、突如現れた敵との戦いを劇的に描いた物語である!!



敵「お前か。聞いてるぜ、どんな相手にも絶対に負けないと息巻いてたってな…」

俺「まあね。俺の理論は完璧だから」

敵「あー、ずっと考え事してる変なやつだって評判らしいじゃないか」ハハッ

俺「…まっ、それなりに良い勝負が出来そうだ」


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敵「良い勝負だと?それはちがうな」フォン

敵「変形、ハンドガン」チャキ

俺「なっ…!?」

敵「はい。しれっとバレット」


パァンパァンパァン…


敵「俺の能力は【手先が武器用-ウェポンハンド-】。手首から先を武器にすることが出来る。」


敵「悪かったな急に。勝負になると手を抜けないたちでな……なに!!?」

敵「ぜ、全部……」

俺「……ふーーっ…」シュウゥー

敵「防ぎやがった…!!」

俺「ははっ、やっぱり正しかった。確率は収束するんだ」

敵「なに?」

俺「なぁあんた。100万分の1の確率のくじを当たるまで引くとして、何回目くらいで当たりを引くと思う?」

敵「…あぁっ?何の話だよ!?」

俺「50万回も引けば当たる気がしないか?」

敵「…まぁそんだけ引きゃあ…」

俺「だろ?つまり100万分の1は50万分の1と同じってことになる」

敵「……はぁ?」

俺「なら50万分の1は何度目で当たる?これもきっと20万回も引けば当たるだろうな」

敵「いやいやいやちょっと待て。前提がもう」

俺「確率は収束する」

俺「20万は10万、10万は5万……確率は収束し、やがて100万分の1は1分の1と同義になる」

俺「俺はあんたの攻撃する場所を確率的に当て続け、全て防いでそれを証明したんだ」

【理論武装 確率論】

敵「そんなのありかよ?!めちゃくちゃじゃねえか!」

俺「理論に基づく限り、めちゃくちゃだと攻め立てるのはお門違いだよ」フッ

敵 (だからそもそも基づいてねーっての!)

敵「…あー、分かったよ!じゃあお前の土俵で戦ってやるよ!!」

俺「へぇ?」

敵「変形、マシンガン」ガチャン

俺「今度はそれがあんたの武器か。無駄だって」

敵「へっ、減らず口を!いいか、あんたはさっきこう言ったよな。確率は収束する、100万分の1も1分の1と同義になるってな。」

俺「ああ、確かにそう言ったさ」

敵「なら収束する先が『死』ならどうする!!魔神丸-マジンガン-!!」ドパラタタタタ

俺「なにっ!?」

敵「さあ、無数の弾丸を処理する手だてはあるか?ないよなぁ!!ハハッ!!お前に与えられるのは100万分の1でも50万分の1でもない…1分の1のデッドエンドだ!!!」

ビュンビュン(弾丸が向かってくる音)

俺「確かにこれを確率論で対処するのは難しそうだ…」

敵「おいおい!勝負を捨てたのかぁ!?」

俺「誰がそんなこと言ったよ。んで、俺の能力は確率論じゃなくて【理論武装】だ。そこんとこ間違えるなよ!!」

俺「いくぜ!!!」カッ




俺「……」ドンッ

敵「……な」

敵「なんで、なんでまだ立っているんだ!?弾はお前に命中したはず…」

俺「なぁ、この世界って何で出来てると思う?」

敵「…はあ?」

俺「例えば家なら木。服なら綿。で、今の弾丸なら鉛だな。」

敵「だから何だよ」

俺「でももっと細かく見ることも出来るんだぜ。授業の物理でやったろ?原子や分子ってやつ。つまり粒子だな。この世の中は粒子から成り立っている、と考えられている」

敵「……まさか」

俺「おいおい待てって。でも最近じゃこんな考え方だって台頭している。……全ての物質は『ひも』で出来ているってな!」

敵「!!!」

俺「このひもの大げさは粒子の大きさ何て比べ物にならないほど小さい。なぁ、例えばそんなものが自分にぶつかってきたとして怪我を負うと思うか?」

敵「じゃあお前は弾丸を…!!」

俺「そう、俺に向かってくる弾丸を全てひもとして認識した。これによって俺へのダメージは全て0となる!!」

【理論武装 超ひも理論】

ババーン

敵「くそっ!変形、日本刀!」バッ

俺「やめとけって!あんたの腕がひもになるだけだ」

敵「……ちっ」ザッ

俺「じゃあそろそろ俺も攻めるとするかな」

敵「…!!」

敵 (ま、まずい!ここでトンデモ翌理論を語られたらまず間違いなく負ける!!…というよりも、もし俺自身をひもとして見立てられたら俺の命さえも… )サーッ

敵 (考えろ、考えるんだ。やつの理論武装を負かす術を…)

俺「おーい!何か黙ってるけどいいかー?いくぞー?」

敵 (…そうか、これだ!これならいけるぞ!)

敵「待たせたな。でもって今度こそお前の終わりだ!!変形、ウォーターカッター!!」

俺「ウォーターカッターだと?」

敵「超高圧水水カット!!」ズシャーー

俺「じゃあこの水をひもとして見立てて……な!?攻撃対象が俺じゃなくて…!」

敵「そう!地面だ!お前の周囲の地面を全て切り取った!!これならお前を攻撃しないから確率論も超ひも理論も使えない!!そしてお前は地の底まで落ちていくのさぁ!!!」

ゴゴゴゴ

俺「考えたな…。やべぇ、調子乗りすぎたか…」ゴゴゴ

敵「はは!結果だけ見ればお前は俺に傷ひとつつけられずに負けたのさ。残念だったな、あの世で後悔でもしておけ」

俺「…なんてな」ニヤッ

敵「!?」

俺「こいつはとっておきだ!」バサッ

敵「な…!羽が生えただと!!?」

バサッバサッ

スタッ

俺「なぁ、生物にとって必要なことって何だとおもう?」

敵 (くそっ…!またそのパターンか…)

俺「種の保存。つまりは生きて子孫を残すことだな。でも生きるってことはそんなに容易なことじゃない。人だったら他人との共存、つまり社会性なんかも必要となってくるわけだが…」

俺「全ての生物にとって共通の超必須事項。それは、環境への適応だ」

俺「環境への適応を出来なかったものは無惨にも滅びていく。太古、猛威を振るった恐竜でさえ大自然には敵わなかった。だから生物は涙ぐましい努力をした!環境に適応するために!生き残るために!!」

俺「水中から陸上に上がるにあたり、植物は光合成を行うにふさわしい葉っぱに進化を遂げた!キリンの首が伸びたのだって高いところにある木の実を食べるためだ!!」

俺「そうした生存本能を刺激する危機に見舞われた時、生物は進化を遂げる!つまり、地面に穴が開き落ちそうになるという危機を迎えた今!俺は高速で進化を遂げ羽を生やすことができたのさ!!」

【理論武装 進化論】

バババーン

敵 (な……)


敵 (ながっ!!!)

敵 (いやいやマジで聞いてらんないって。何か俺がアクションを起こす度にこれかよ。やってらんねぇよ。)

俺「さぁ、お遊びはここまでだ。俺の理論武装の極意を見せてやるぜ…」ゴホン

敵 (どうするどうする。負けるのも嫌だし長い屁理屈を聞くのも嫌だ…)

敵 (そうか!!)

敵「変形、チェーンソー!」ボンッ

俺「無駄だ!理論武装、t」ギュイイィン

敵「……(その場に留まっている)」

ギュイイィンギュギュィィン
ギャギャギャィンウィーーーン
ギュインヴィギュイイィン

俺「あの、ちょ」イィィーーンギュインチッ

俺「いや、だから」インインヂューンギユイィンw

敵 (ーそう、理論武装は)

敵 (何かそれっぽい事を言って無理やり勢いで押し通す荒業…つまりその言葉を封じれば…要するに相手がそれを聞かなきゃ意味がないんだ…)


こうして俺は帰っていった。
その背中は哀愁に満ちていた。
場にはチェーンソーの音だけが悲しくこだましていたのだった…。


おわれ。

元ネタは言わずもがなあのマンガです
理屈っぽい男は嫌われるぞ☆

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