P「....」ブルブル 凛「緊張してる?」 (35)

凛「(今までずっと頑張ってきて....)」

凛「(やっと漕ぎつけたこのオーディション....)」

凛「(私だけの力じゃない....)」

凛「(プロデューサーがいたから頑張ってこれた....)」

凛「(だから一緒に....)」

凛「(プロデューサーと一緒にトップアイドルになるんだ....!)」

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凛「ねぇプロデューサー」チラ

P「....」ブル

凛「(プロデューサー、震えてる....)」

凛「(....緊張してるのは私だけじゃなかったんだ)」クス

P「どうした?」ブル

凛「当事者でもないのにプロデューサーが震えてるのがなんだかおかしくて」クス

P「よかった、笑えるくらい余裕があるなら安心できるな」ニコ

凛「そ、そうかな」

P「あぁ、まあ余裕がなかったとしても凛なら大丈夫だろうけどさ」

凛「もう....///」

凛「プロデューサーこそそんなに震えてるじゃん」

凛「緊張してる?」

P「いや」ブル

凛「それじゃあ武者震い?」

P「全く」ブル

凛「じゃあ何?」

P「漏れた」ブル

凛「?」

P「おしっこ」ブル

凛「....」

P「おしっこ漏れた」ブル

凛「....」

凛「....」

凛「....もしかして」

凛「私をリラックスさせるために小粋なジョークを飛ばしてくれてる?」

凛「まったくプロデューサーは....」

凛「さっきは大丈夫だって言ったのに心配性なんだから」

P「....」ブル

P「マジ」ブル

凛「....」

凛「もういいって」

P「....」

P「足元を見ろ」ブル

凛「....」チラ

〈水たまり〉

凛「うわっ!?」ピョン

凛「え゛っ!?」

凛「プロデューサーの足元に直径1メートルくらいの水たまりがある!?」

P「凛、色をよく見るんだ」ブル

凛「透明....じゃない!?」

凛「真っ白な床の上に広がってるから薄い黄色っぽいことがわかりやすい!?」

P「そう、これは」ブル

P「おしっこだ」ブル

P「俺のな」ブル

凛「....」

凛「私、もうすぐオーディション始まるんだけど」

P「あぁ、分かってるさ」ブル

P「俺のことはいい」ブル

P「俺の屍を超えて行け!!!」バーン

凛「最初からそのつもりだよ」テクテク

P「....」

P「....行ったか」ブル

P「さて....」

P「通報される前に自分で通報するか!」ブル

P「オーディションどうだった?」

凛「普通、かな」

P「ってことは悪くはなかったみたいだな」ニコ

凛「そりゃ目の前で大の大人が真顔でおしっこ漏らし続ける様を見せられたら」

凛「気になって緊張どころじゃないよ」

P「つまり....」

P「パーフェクトコミュニケーションってことか?」

凛「人としてバッドだよ」

凛「っていうかさ」

凛「もういいの?」

P「何が?」

凛「いやさっきのあれって」

凛「自分の担当する現役女子高生アイドルに自分の失禁風景を見せつけて性的興奮を覚えてたんじゃないの?」

P「んなわけないだろ」

凛「えぇ....逆にそれ以外考えられないでしょ」

P「あのなぁ、俺がそんなとんでもないド変態に見えるか?」

凛「あれ見せつけた後でよくそんなこと言えるね」

P「いいか、あの失禁はどうしようもなかったんだよ」

凛「?」

P「さっきの俺との会話中に何か気になることはなかったか?」

凛「うーん....」

凛「プロデューサー目の前でおしっこを漏らし続けてたことかな」

P「それ以外で」

凛「それ以外なんて目に入らなかった....あ」

凛「何か言葉を発するたびにブルって震えて」

凛「そのたびに足元の水たまりが少しずつ拡大してた」

P「正解!」

凛「....」

凛「結局ただのド変態じゃん」

P「そう結論を急ぐんじゃない凛よ」

凛「はぁ....」

P「俺はさっき、状態異常『強制失禁』なっていたんだ」

凛「帰っていい?」

P「この状態異常は」

P「一定時間、なったものが言葉を発するたびに少しずつ失禁してしまうという恐ろしい効果がある」

凛「言い訳が長い」

P「俺はそれになっていることを知ってたし、いつ効果が表れるかもわからない状態だった」

P「でも、お前の大事なオーディションだけは」

P「どうしても一緒に戦いたかったんだ!」

凛「むしろ足を引っ張られかけたよ」

P「この状態異常の出どころはどこか」

P「いつから始まったのか」

P「詳しいことは未だ解明されていない」

凛「されなくていいから」

P「残っている確かな記録によると」

P「平安時代の頃からあるらしい」

凛「さすがに盛りすぎ」

P「自然現象なのか、それとも超常現象なのか」

P「誰にもわからないんだ」

凛「出来の悪い創作だね」

P「って話をちひろさんから聞いた」

凛「....」

凛「知らないよ、ちひろさんまで巻き込んでどうなっても」

ちひろ「いえ、それが本当の話なんですよ」

凛「!?」

凛「こんなくだらない話にちひろさんまで乗ることないでしょ!?」

凛「それともプロデューサーに何か弱みでも握られてるの!?」

凛「脱税?脱税の証拠抑えられてるの!?」

ちひろ「凛ちゃん」ニッコリ

凛「ぅ」ビク

P「あの話にはまだ続きがあってな」

P「俺の状態異常はちひろさんからうつされたものなんだ」

凛「....」

凛「えーっと....」

凛「つまりさっきプロデューサーがやってたことをちひろさんもやったってこと?」

ちひろ「恥ずかしながら....///」

凛「....」

凛「ってことは」

ちひろ「全部本当のことです」ニッコリ

凛「えぇ....」ゲンナリ

P「最初からそう言ってるだろ!」

凛「いやだってさ、あんな突拍子もない話信じろって言う方が無茶だよ?」

P「世界ってのは広いんだ」

凛「そんな綺麗な目で言われても....」

凛「ん?」

凛「『ちひろさんにうつされた』って言った?」

P「言った」

凛「え、あれってうつるの?」

ちひろ「だから平安時代からずっと続いているんですよ?」

凛「あそこも本当なんだ....」

P「信頼ないなあ俺....」

凛「普段は割と信頼してるけどあんな姿見せられた後じゃ....」

凛「どうやったらうつるの?」

P「さっき説明した通り」

P「言葉を発するたびに少しずつ失禁してしまうという効果なんだが」

P「その効果が出ているときに感染者と会話したらうつる」

凛「....」

凛「?」

ちひろ「平たく言うと凛ちゃんはプロデューサーにうつされてます」

P「めんご☆」

凛「」

凛「いやいやいやいや」

凛「100歩譲ってさっきの与太話は信じるとしても」

凛「うつるっていうから病気みたいなものなんじゃないの?」

凛「私プロデューサー本体にも出した液体にも一切接触してないよ?」

ちひろ「自然現象かも超常現象かも一切解明されていない謎の現象ですから....」

P「ちなみに人にうつした方は治る」

凛「」

P「だからお前に詳しく説明したんだよ」

P「アイドルが大衆の前で漏らした、なんてことになったら世間は大騒ぎだ」

凛「プロデューサーがうつしたんでしょ!!!!」

ちひろ「まあまあ凛ちゃん」

ちひろ「潜伏期間を考えるとそろそろ効果が表れてもおかしくないんです」

P「幸いこの後はオフだから、家に帰っていつでも漏らしていい状態にした方がいい」

凛「アイドルにいつでも漏らしていい状態なんて存在しないと思うんだけど!?」

凛「そもそもわかってたならプロデューサー私と会話しなきゃよかったんでしょ!」

P「でも、お前の大事なオーディションだけは」

P「どうしても一緒に戦いたかったんだ!」

凛「キレそう」

ちひろ「まあまあ凛ちゃん」

凛「(今日は妙にプロデューサーの肩を持つと思ったけど)」

凛「(自分も同じ目に遭ったからか....)」

P「じゃあ凛、車出すから送ってくぞ」

凛「本当に早くしてね」

P「あぁ、5分後くらいに出てきてくれ」

ガチャリ

凛「もう1回プロデューサーにうつし返せないんですか?」

ちひろ「一度かかった人はなぜかかからなくなるんです」

ちひろ「抗体みたいなものができるのかもしれません」

凛「もうわけがわからない」

ガチャリ

卯月「あ、凛ちゃん!」ヒョコヒョコ

凛「卯月」

卯月「今日あのオーディションでしたよね!どうでした?」

凛「ん、まあまあかな」ブル

凛「」

ちひろ「あっ....」

凛「....」チラ

凛「(このくらいの量ならまだ外に漏れだすことはないか....)」ホッ

卯月「よかったぁ~!いい結果になるといいですね!」

凛「....」

凛「(ハッ!?)」

凛「(これで卯月と喋ったら....)」

凛「(私の周りに水たまりが出来るだけじゃなく....)」

凛「(卯月にもこの辛い思いをさせることになるんだ....)」

卯月「凛ちゃん?」

凛「(こうなったら....)」

凛「(ちひろさん!)」チラッ

ちひろ「....」コクリ

ちひろ「卯月ちゃ~ん」

ちひろ「ちょっとこっちで確認して欲しいものがあるんですけど~」

卯月「は~い、すみません凛ちゃん、私ちょっと行ってきます」

凛「....」コクコク

凛「ふぅ....」ブル

凛「ぁっ....」ブル

凛「(ダメだ、会話じゃないからうつりはしないけど失禁は普通に起こる....)」

凛「(でも誰かにうつさないとずっとこのまま....)」

凛「(一体どうしたら....)」

凛「....」

凛「(その辺歩いてる人に適当に挨拶してうつそう)」

ガチャリ

奈緒「お疲れさまで~す」

奈緒「お、凛、今日はもう終わり?」

奈緒「あたし時間が空いちゃったから一旦帰ってきたんだけど、この後もまだあってさ~」

凛「....」

凛「(なんか奈緒ならいい気がしてきた)」

奈緒「でもまあ仕事がたくさんあるって大変だけど嬉しいことでもあるよな~」ニコニコ

凛「(なんだかんだ奈緒なら許してくれそう)」

奈緒「ちょっと前じゃ考えられないくらい忙しいし」

凛「(最初は『コラ凛!』くらい言うかもしれないけど最終的には『しょうがないな~』って感じになりそう)」

凛「....」

凛「(よし、うつそう)」

凛「(そして状態異常になった奈緒を支えてあげることで責任を取ろう)」

「凛ちゃん?」

凛「聞いてるってば」ブル

瑞樹「そう?ずっと黙ってるから体調でも悪いのかと思って」

奈緒「そうだぞ、せっかくゆっくり話す暇があるのに」

凛「....」

凛「か、川島さん............?」ブル

瑞樹「?」

瑞樹「そうだけど?」

凛「」

凛「(い、今もしかして私....)」

凛「(....いやそんなことはないはず)」

凛「(そんなことはありえ)」トントン

凛「?」クルリ

ちひろ「凛ちゃん、瑞樹さんです........」フルフル

凛「」

凛「あぁ........ぁ................」ブル

凛「私は....なんてことを........」ブル

奈緒「凛!?」

凛「奈緒ならまだしも........」ブル

凛「川島さんは................」ブル

瑞樹「凛ちゃん!?って何この水たまり!?雨漏り!?」

凛「川島さんは...............................」ブル

凛「洒落にならない................................」ブルブル

ちひろ「凛ちゃん!うつしてもすぐには治まらないんです!」

凛「いいんですちひろさん....」ブル

凛「私は取り返しのつかないことを........」ブル

凛「年齢的にもキャラクター的にもアウトなことを................」ブル

凛「大罪を犯してしまったんです................................」ブル

ちひろ「凛ちゃん..............」ウルウル

瑞樹「よく分からないけど私これバカにされてる?」

奈緒「さあ....」

凛「すみません....すみません川島さん........」ブルブル

瑞樹「凛ちゃんを中心に爽やかなレモン色の水面が広がっていくわ」

奈緒「そこで抜群のレポート能力を活かさないでください!」

ガチャリ

P「おーい凛まだか~」ザバー

P「なんで爽やかなレモン色の海が事務所内で揺らめいてるんだ!?」

ちひろ「....」

ちひろ「プロデューサーさん」

P「はい?」

ちひろ「これが凛ちゃんなりの」

ちひろ「ケジメなのかもしれません....」

P「....」

P「????」

P「どゆこと?」

奈緒「あたしにもさっぱり」

凛は泣いた
上からも下からも
たくさん
泣いた

己の過ちを悔い
その罪への償いを込めて
体中の水分がほとんど全て抜け落ちるまで
泣いた

上からも

下からも

そしてそんな凛を優しく包み込むように
空は
晴れ上がった

どこまでも広がる青空には
事務所に広がるレモン色の水たまりを
一層美しく引き立てた

その黄色いステージの中央に立ち
涙を流し続ける凛の姿は
まぎれもなくアイドルの頂点であった

【完】

最後までお付き合いいただきありがとうございました
ずっと書きたかったことを書き切ることが出来てよかったです

過去作ともども、これからもよろしくお願いします

このSSが読者の方の人生の糧に少しでもなれば幸いです

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