【艦これ】提督「名は?」 (165)


初投稿です。


遅筆気味なので気長に見て貰えたら良いかな、と思います。


とりあえず書き溜め分だけ投下します。

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「──お──か」

ユサユサ

提督「んん……?」


「こ──おきぬか」


ユッサユッサ


提督「(……なんだ…?)」


スッ


「なっ…!?」


ムニュッムニュッ


提督「あ…?」


「何をするか馬鹿者ーーッ!!」


バシーーンッ!!


提督「いっで!?」


「ようやく起きたか馬鹿者が!」


提督「えぇ…誰……いきなり………あ…?利根かよ…何…?今何時…?」


利根「誰とはご挨拶じゃな不埒者が!そして今は夜中の3時じゃ!」


提督「……は…?何でこんな時間に…?あとめっちゃ痛いんだが…」


利根「ふん!文句はお主の助兵衛な手に言うんじゃの!」



提督「手ぇ?……あぁ?」


利根「吾輩の胸を揉んだじゃろうが!」


提督「あ~?あぁ~…そうなの…?」


利根「流石に阿呆のお主でも理解したか。では、何か言うことがあるじゃろ?」


提督「おはよう、利根」


利根「違うわ寝坊助が!まだ呆けとるのかお主は!」


提督「騒ぐなって。つーかそんな大層なモンでも無いだろ」


利根「なーっ!?乙女の恥部を触った挙句…言うに事欠いて吾輩を蔑むとは!とんだ畜生じゃな!?」


提督「え?誰が乙女だって?」


利根「キーッ!全くお主という奴は!お主という奴はー!筑摩ーッ!」


提督「居ないだろ」


利根「おぉ!そうじゃった!」


提督「……で?何で起こしたんだよ」


利根「うむ!話せば長くなるのじゃが…」


提督「ふーん、おやすみ…」


利根「馬鹿者!おい!起きんか!浜辺に誰かが倒れておるぞ!」


提督「ほう?」


利根「恐らく艦娘じゃ。新しい仲間かもしれぬ」


提督「確認したのか?」


利根「しておらぬ。とりあえずお主に報告しようと思い此処に来た訳じゃ…それに…」


提督「ん?何だ?」


利根「う~む……何となく変な感じがしたのじゃ」


提督「…ふーん……ん?というより何でこんな夜中に浜辺なんかに居たんだよ?」



利根「くく…なんじゃー?気になるかー?だけど、教えない!ふふふ、おなごの秘密を詮索する男はモテないぞ?」


提督「あ?蟻んこ程の興味もねぇよ」


利根「辛辣じゃな!?もう少し吾輩に優しく接してくれても良いのじゃぞ!」


提督「はいはい、そうですね」


利根「すーーぐこれじゃ!少しは素直になったらどうなんじゃ!?」


提督「ここに配属された事を恨むんだな」


利根「そんなもの通り越して無じゃ!無!」


提督「あっそ、とりあえず話はわかった。お前はもう寝ろよ。明日に…今日に響くだろ、俺は浜辺を確認してくる」


利根「あっそって……はぁ……わかった。お主1人で大丈夫か?」


提督「ばーか、餓鬼じゃねぇんだから平気だ。ほれほれ、さっさと行けよ。夜更かしは肌に悪いぞ乙女」


利根「ムキーッ!馬鹿と言う奴が馬鹿なんじゃー!」


提督「そうとも言うな」


利根「キーッ!ホントにお主と話すと疲れてしまうわ!人の気遣いをいとも簡単に無下にする減らず口には流石の吾輩も脱帽じゃ!」


提督「何?褒めてんの?」


利根「褒めとらんわ馬鹿者!ふーーんだっ!それでは、宜しく頼むぞ!」


ガチャ バタン!!


提督「おー」


提督「(さて……近付き難い…ねぇ…)」


提督「(とりあえず行ってみるか…)」




・・・



『浜辺』


提督「(夏の夜中とはいえ…風が吹いてて涼しいな)」


提督「(あ~懐中電灯忘れちまった……おっ、ペンライト発見)」


提督「(つーか目当ての奴は何処に居るんだよ…暗くて良く見えないし……遠い所にでも打ち上げられてんのか?)」


提督「(………ん?あれか?)」


ザッ ザッ ザッ


提督「(さて…拝ませて貰おうか)」


ゴソ カチッ


提督「……ほーう」




______________________________。



翌朝。


『近海 哨戒中』



利根「えー…ゥオッホン!皆の者!」


摩耶「あん?」


川内「ん~?」


利根「実はのぅ~新しいニュースがあるんじゃが、聞きたいか~?」


叢雲「なーに勿体ぶってんのよ」


球磨「焦らしてないでさっさと言うクマ」


五月雨「どんなニュースですか?聞かせて下さい利根さん!」


利根「ふっふっふ…よくぞ聞いてくれた五月雨!なんと!新しい仲間が来るかもしれぬ!誰かは知らんがな!」


摩耶「何だよ、ほぼ知らねーのと一緒じゃねーか」


叢雲「流石利根ね」


球磨「最後の一言が無ければ良かったクマ」


利根「貴様等ー!どういう意味じゃー!」


五月雨「新しい仲間…!誰ですかね!楽しみです!」


川内「夜戦好きかな~」


叢雲「アンタみたいなのは1人で充分よ」



川内「えへへーありがと」


叢雲「褒めてないわよ」


五月雨「あ!そういえば利根さんはどうして知っているんですかぁ?」


利根「それはのぅ……吾輩が見つけたからじゃ!」


摩耶「へぇ、いつだよ?」


利根「昨日の深夜!」


川内「えー!夜に何かしてるなら私も呼んでよー!」


叢雲「アンタは少し黙ってなさい」


川内「ぶー」


球磨「そんな時間に何をしてたクマ?」


利根「ふっ。悩み多き吾輩は、たまには1人で黄昏たい時もあるのじゃ…」


摩耶「あっはっは!馬鹿みてー!」


球磨「帰ったら入渠を勧めるクマ」


五月雨「い、言い過ぎですよぉ~!利根さんだってそういう時もあります!」


利根「はぁ~~!五月雨は優しいのぅ!その優しさに傷ついた心が癒されるという物じゃ!」


五月雨「えっ!?と、利根さんも褒め過ぎですよぉ~えへへ…」


利根「それに比べてのー!お主らの口の悪さも提督に似てきたのぅー!少しは五月雨を見習えー!特に摩耶!球磨!叢雲ーッ!」



叢雲「ちょっと、私をその2人と混ぜないでもらえる?」


摩耶「待ちな、そりゃぁどういう意味だ叢雲?」


球磨「(あ、面倒くさくなるクマ)」


叢雲「そのままの意味だけど?その無駄にぶら下げた贅肉に栄養送るなら、すぐに噛み付いてくるその性格…脳にでも栄養分けたら?」


摩耶「あーやだやだ、お子様装甲の僻みは聞くに耐えねぇなぁ~?」


叢雲「……」


摩耶「……」


「「……ッ!」」


ガッ!!


球磨「やっぱりこうなると思ったクマ!2人共落ち着けクマ!」


グググ…


川内「喧嘩するほど何とやらだね」


「「違うッ!!」」


川内「あはは、息ピッタリ」


五月雨「……」


(胸部)ペタペタ…


五月雨「うぅ…」


利根「はぁ~!悲しいのう!仲間同士でいがみ合うなど──」


「お前のせいだろ!!
あんたのせいでしょ!!」


利根「うぉぉ!?こら!陣形が乱れとるぞ!こらお前達!こっちに来るでないー!」


ギャァーーーッ!!



川内「あーあー……夜戦したいな~」




______________________________。



『甘味処間宮』



提督「(やっぱ飯の後はここの甘味だな、美味い)」


間宮「ふふ…提督は美味しそうに食べてくれるので、作りがいがありますよ」


提督「なっ……そんな風に見えたか?」


間宮「あら、そんな風に見えましたけど。違うのですか?」


提督「……いやまぁ、美味いけど」


間宮「うふふ、嬉しいです。口説いてしまおうかしら?」


提督「馬鹿言うな」


間宮「あらまぁ、残念」


提督「そんな風には見えないがな…」


間宮「ふふふ」



チリンチリーン


漣「たのもー!」


吹雪「間宮さんこんにちはー!」


電「こんにちは、なのです!」


天龍「邪魔するぜ~」


間宮「あらあら、可愛いお客さん方がいらっしゃいましたね」


提督「おー、遠征から帰ってきてたか」


天龍「おっ!何だよ提督も居るじゃねーか!何だー?またそれ食ってんのかよ?」


提督「何だ、やらねぇぞ」


天龍「くれなんて言ってねぇだろ…」


吹雪「司令官なに食べてるんですか?」


提督「ん、いつものだが」


吹雪「はっ!もしやこれが噂の…ごくり」


漣「ご主人様専用の…じゅるり」


電「美味しそうなのです~」


提督「噂?」


吹雪「あ、えっと…」


チラッ(間宮を見る)


間宮「ふふふ」


シー


吹雪「…秘密です!」


提督「なんだよ…」


間宮「それで?今日はお揃いでどうしたのかしら?」



吹雪「あ!えっとですね!天龍さんが間宮さんの所でご馳走してくれると言うので来ちゃいましたっ!」


電「珍しく天龍さんが優しいのです!」


天龍「おい!珍しいは余計だろ!」


電「はわわ!お口が滑ったのです!」


提督「へぇ、優しい~」


天龍「なんか鼻につく反応だな……まぁほら、あれだ。こいつ等も頑張ってるし、たまには労ってやんねーとな」


間宮「あら、それじゃあ私も頑張らなきゃ」


吹雪「やったー!楽しみですー!」


提督「ま、何でも良いけど。遠征の報告書忘れんなよ」


天龍「おう!…じゃ、オレ達は向こうに行くぜ。ここじゃあ提督の嫌味が飛んできちまうからな」


提督「言ってろ」


天龍「ははっ!おら、行くぞオメーら」


吹雪「はーい!」


電「間宮さんのマルモアグーゲルフプフが食べたいのです~」


吹雪「何それ?新しい呪文?」



・・・


提督「やっぱガキ共は騒がし……ん?」


漣「……」


ジーー


提督「……」


漣「……」


提督「おい…」


漣「はい、何でしょう」


提督「俺のに視線を向けたまま返答してんじゃねぇ、やらんぞ」


漣「はて、何のことやら」


提督「見てるだろ、思いっきり」


漣「何をですかね?」


提督「……」


漣「……」


提督「……はぁ」


ヒョイ


提督「今回だけだぞ」


漣「!?」


提督「…なんて顔してやがる…」


漣「夏ですけど、明日は雪ですかね?」


提督「てんめ…いらないなら──」


パクッ


漣「……ウマーッ!」


提督「……」



漣「ふっふっふ、いらないとは言ってませんからね!」


<サザナミー! ハヤクコーイ!


漣「ではでは!ごちそーさまでした!ご主人様!」


タッタッタッ…


提督「ったく…これだから…」


提督「(…そうだ……食い終わったら“あいつ”の様子でも見てくるか…)」


提督「間宮、ちょっといいか?」



・・・



『応接室』


ガチャ


「……!」


提督「おう、起きてたか。あぁ、そのまま座ってていいぞ」


「あ、はい……あの…貴方が私を…?」



提督「ああ。んで、俺はここの……まぁ提督ってやつだな」


「あ、ありがとうございます……提督…?」


提督「これも仕事だ、気にするな」


「あ、はい…」


提督「んじゃ、とりあえず始めるか。お前の名と型式は?」


「……」


提督「……?どうした?」


「私……私は…?」


提督「(……?)」


「…………」


「ごめんなさい…私は…誰なんでしょうか…?」


提督「(何だと?まさか記憶喪失ってやつか?艦娘にそんな事起きるのか…?)」


「あの…」


提督「待て、整理中だ」


「は、はい…」


提督「(こんな事例は初めてだな……とりあえずは様子を見るべきか…)」


提督「よし」


「…?」


提督「とりあえずお前の件は一旦保留だ。それともう1つ」


「…なんでしょうか?」

書き溜めはここまで
長くなってしまいそう




提督「この先、お前は深海棲艦という奴らと戦う事になるんだが……わかるか?」


「……私が、戦う…?深海棲艦…?」


提督「あ~…じゃあその辺はおいおい説明する(わからないか…)」


「はい、わかりました……でも、私には無理ですよ……戦うなんて…」


提督「今のお前じゃあ…そうだろうな」


「……」


提督「まぁ今は良いだろ。それより起きてから何も食ってないだろ?腹減ってるよな?」


「い、いえ別に──」


グゥゥ~


「~~ッ!」


提督「正直で宜しい」


「こ、これはその…あの…」


ポイッ


「わわっ………これは?」


提督「間宮のとこで作ってる和菓子だ。美味いぞ」


「はあ…和菓子…」


提督「そんなんで悪いな、ちゃんとした食事は後で食堂で食ってくれ」


「あ、はい…」


提督「何か飲みもんでも淹れてくる、ちょっと待ってろ」



・・・


モグモグ


「…!美味しい」


提督「だろ。間宮の作るもんは大体美味いからな」


「……あの…」


提督「なんだ?」


「…提督は私の事を…知っているのですか?」


提督「さぁ…知らないな」


提督「(浜辺に一緒に置いてあった艤装から察しはつくがな)」


「そうですか…(何か知ってる…?)」


「では、もうひとつ…」


提督「おう」


「私はこれからどうなるのですか?」


提督「不安なのは解るが……安心しろ。さっきも言ったが、この件は後に対応するからゆっくりしてろ」


「あ…はい、ごめんなさい…」


提督「謝る事じゃない、気にするな」


提督「あとさっきの続きで、食堂に伊良湖って奴が居るんだが、そいつにも話は通しておく。腹減ったら飯は食堂で済ませて良いぞ、風呂も浴場を好きに使っていい」


「あ、ありがとうございます…」


提督「じゃあうちの鎮守府や所属してる艦娘とか……まぁそこら辺の事でも説明していくか」


「はい、お願いします」


提督「……関係ないけど、お前よく食べるな」


「えっ」

______________________________



『??』



『(…暗い…)』


『(…水の中…?海…?)』


『(…ここは、何処…?)』


『(…波の音が、聞こえる…)』


『(…懐かしい……懐かしい?)』


『(…奥に…光が見える…)』


『(…段々と大きく…)』


『(…眩しい…)』


ブワァァ…


ドォーーンッ!!!

『(…!)』


『(砲撃音…!それにここは…船の上…?)』


『(…これは…軍艦……?いえ…空母?)』


『(…甲板の先端に誰か立って……とりあえず話を…)』


スタ スタ スタ


『あの…』


??『え?』


クルッ


『えっ!?』

書き溜めがまだあったので追加です



??『あら…貴女……これは…驚きましたね…』


『嘘……』


??『…えっと……自己紹介…した方が宜しいでしょうか?』


「え、あ、はい…お願いします…』


??『ふふ、何だか変な感じですが。えー…私は第一航空艦隊、航空母艦、赤城です』


『あ、赤城さん……ですか』


赤城『はい。私はこの空母の魂とでも言いましょうか…この空母全て、私なんですよ♪』


ドォーーンッ!!!


赤城『あら…ごめんなさい。今立て込んでいて……話は後にしましょうか』


『あ、はい…(赤城さんが…戦ってるの…?)』


『(あれ…視界がぼやけて…)』



・・・


『客間』


「──!」


ガバッ


「……今のは…一体…?」


キョロキョロ


「夢……でしょうか……?でも…あまりにも……あれは…」




______________________________




翌朝



『執務室』



利根「のう…」


提督「んー?」


利根「あの娘…いや、あの新人は、まさかとは思うのじゃが…」


提督「あ~…合ってると思うぞ」


利根「やはりか。大本営にはこの件を伝えて……?」


提督「…無いんだよなぁ」


利根「じゃが…今そこで円滑と筆を動かし、書いておる物こそ…?」


提督「ご名答」


利根「じゃろうなぁ。それにしても今時に郵送なんてのぅ…写真に収めて確認すれば良かろうに」


提督「こういう習わしだからな。時間は掛かるのは痛いが……よし、出来た」


コンコン


提督「(ん?こんな朝から誰だ?)…入れ」


ガチャ


「失礼します。おはようございます、提督、利根さん」


利根「おぉ!おはよう!お主は……えーと…?」


チラ


提督「……」


フルフル


「二人称で大丈夫ですよ」



利根「おぉ…すまんの」


提督「おはよう。こんな早くからどうした?」


「少し、聞いてもらいたい話があるんですが…」


提督「…(険しい顔だな…昨日今日で何かあったのか?)…」


提督「…巡察しながらでもいいか?」


「はい、構いません」


提督「じゃ、利根これ宜しく」


ポイ


利根「おっとと……え、吾輩は?」


提督「それ、ポストに頼む。終わったら哨戒まで自由時間だ、巡察はこいつと回る」


利根「む、そうか。承った」


提督「じゃ、行くか」


「はい」



・・・



「あ……あの2人が、摩耶さんと天龍さんですか?」


提督「ああ。昨日の話だけでよく分かったな?」



「ふふ……提督の説明が的確なので、何となく分かってしまいました」


提督「ふーん……で?話ってのは?」


「夢の話……多分、夢の話の事何ですけど……って何ですかその顔!変な事言ってるのはわかってますから!」


提督「悪い悪い…いきなり何を言い出すかと思ってな」


「もうぅ……」


提督「悪かったって。じゃあ、続きを頼む」


「コホン……その夢の中で、私はある人に出会いました」


「赤城さんです、わかりますか?」


提督「(は…?赤城に…だと…?)」


提督「(これは……記憶に繋がる何かが起きたのは間違いなさそうだな)」


提督「赤城ってあの…航空母艦のか?」


「はい、そうです」


提督「でも…誰かと会ったんじゃないのか?」


「あ、えっと…正確には、戦闘中に空母の甲板にて赤城さんと出会いました」



提督「(戦時中の記憶か?甲板で赤城と…?やはり、こいつの中には……)」


「赤城さんは自分の事を魂と言ってました。確か、艦娘も過去の軍艦の魂を宿していると…」


提督「(赤城の魂…か。こればっかりは本人次第になりそうだな)」


提督「ああ。艦娘は皆、自分の事を知っているが、あまり表には出さないな」


「……私も艦娘…なのでしょう?」


提督「だな。自分の事を忘れた問題児だが」


「…好きでこうなった訳ではないのに…意地が悪いですね」


提督「慣れてくれ」


「慣れって…」


提督「それで、どう思ったんだ?」


「はい、えっと……もしかしたら、赤城さんは……という気持ちはありましたが……」


「でも…やっぱり、私は違います…」


提督「(こりゃぁ……まだまだかかりそうだな。良い刺激にはなっているみたいだが…もっとその夢に行ってもらうしかない)」


提督「そうか」


提督「俺から言えるのは、だな…」



「はい…?」


提督「お前の名や目的…知りたい事は俺は教えられるが」


「ほんとで──」


提督「だがな」


「…!」


提督「話を聞いて、そういった物は俺から与えるような事でもないし、本来はお前自身が知っている事だ」


「……」


提督「つまり」


「…はい」


提督「その夢の出来事が、今のお前にとって何よりも大事な事柄だ。間違いなくな」


「…つまり、赤城さんに会うことが重要という事ですか…」


提督「そうなるな」


「…はい、わかりました」


提督「ま、そんなに深く考えるなよ。大丈夫だろ」


「…ふふ、気休めにしては適当ですね、提督」


提督「…バレたか」


「…ふふ。では、話を聞いてくれてありがとうございます。私はこれで」


提督「おう」



______________________________



数日後。



『執務室』


コンコン


提督「入れ」


五月雨「失礼しまぁーす。午前分の哨戒の報告書お持ち…うぁ、うぁぁぁぁ~、あ~~!」


ドテーンッ


提督「……またかよ。お前は転ぶのが好きなのか?」


五月雨「うわあぁん!そんな訳無いですよー!」


提督「まぁ報告書をばら撒かない所は成長したな」


五月雨「ふぇ…ぇへへ」


提督「あほ面でニヤけるな。さっさと寄こせ」


五月雨「あ、はい!どうぞ!……え、あほ面?」


バサッ


提督「はい、お疲れ。午後の哨戒までに飯とか済ませとけよ」

ひとまずここまで
情景や雰囲気など読者に任せきりで、解りにくくてごめんなさい
途中のやつも書いたら投下します



五月雨「あ、はい!……あ、あのあの!提督!」


提督「あん?」


五月雨「えっとぉ…“あの人”の様子は…どうなんでしょう…?」


提督「ああ…」


提督「良い方向に進みそうだ、安心しろ」


五月雨「おぉ~っ!そうなんですかぁ!」


提督「まだ時間はかかりそうだがな」


五月雨「じゃあ私は気長に待つだけですね!あ、というか…提督はあの人が誰か知っているんですか?」


提督「まぁ……な?」


五月雨「疑問符が見えます…」



提督「確信はある。というか今日で確信した」


五月雨「なら、教えてあげれば良いじゃないですか?」


提督「これはなぁ…俺から教えたら意味無いんだよ」


五月雨「え~?どういう事ですかぁ?」


提督「お前は気にしなくていい。あいつとはもう話したか?」


五月雨「いえ、まだ挨拶くらいしかしてないですね」


提督「仲良く……ってのもあれだが、そのうち仲間になるんだ。良くしてやってくれ」


五月雨「はい!任せて下さいー!」


提督「お前はほんと素直だよな。ほら、わかったらさっさと食堂行ってこい、飯食う時間が無かったとか言わせねぇぞ」


五月雨「はっ!そうでした!行ってきまぁーす!」


ガチャ バタン


提督「……ふぅ」


(時計を見る)


提督「(……俺も書類まとめたら飯にするかぁ…)」


提督「(…ついでにあの馬鹿も探して一言言ってやる…)」


______________________________



『鎮守府内 訓練場』



天龍「おい摩耶…見てみろよこれ」


摩耶「あー?」


天龍「横須賀鎮守府、ケッコンカッコカリを試験的に導入開始…だとよ」


摩耶「ふーん…つかケッコンカッコカリってなんだよ?」


天龍「名前的に世でいう人間の男女の結婚だろ」


摩耶「じゃあなにか、アタシ達艦娘と提督が仮の結婚をするって事か?それ…意味あんの?」


天龍「知らねーよ。あ、艦娘の限界を超えて能力が著しく上昇する見込み…って書いてあるぜ」


摩耶「はぁ~?嘘くせー!」


天龍「ははっ!だよな~」


摩耶「てことはよぉ…もしソレがここにも導入されたら……あの提督と仮の結婚するって事になんのかな」


天龍「そりゃまぁ……」


摩耶「……」


「ぶはははは!したくねー!
ぎゃははは!ありえねー!」


提督「ばーか、こっちから願い下げだ」

ここまで
次も頑張って考えてきます



「「!?」」


天龍「げぇっ!?提督!?」


提督「げぇっとは失礼だなこの野郎」


摩耶「いつから居たんだよ!?」


提督「横須賀鎮守府が~って所から」


天龍「ほぼ最初からじゃねーか!」


摩耶「盗み聞きとか趣味わりーぞ!」


提督「うるせ。ちょっとそれ貸せ」


ヒョイ


天龍「あ、おい~」


提督「ふーん……ケッコンカッコカリねぇ…」


ポイッ


天龍「おっとと…何だよ、興味あんのか?」


提督「あったらどうする?」



摩耶「あっはっはっは!似合わねー!気色わりー!」


ゴンッ


提督「殴るぞ」


摩耶「殴ってから言うなよ!痛てぇし!」


天龍「もしもコレが導入されたら、提督はどーすんだ?」


提督「知るか。導入されてから考えるだろ」


天龍「ははっ!提督らしいな」


提督「ところで、利根が何処に居るか知ってるか?あいつ午前の哨戒行ってから戻ってこねぇんだが」


摩耶「ああ、利根なら球磨と一緒にホールに居るの見たぜ?」


提督「ホールだと?…何してんだあいつ…」



天龍「さぁ?」


提督「まぁ、わかった。じゃあな馬鹿共」


天龍「うっせー!」


摩耶「ばーかばーか」



______________________________。



『廊下⇒食堂』



提督「(さて…真っ直ぐ行くより食堂から抜けた方がホールは近かったな)」


ガチャ


提督「(お、美味そうな匂い。伊良湖の奴、今日はカレーか)」


・・・


漣「んっ!んんんっ!んんんっんん!」


叢雲「漣、食べてから喋りなさいよ」


吹雪「どうしたの?あっちに何……あ、司令官だ」



電「巡察でしょうか?」


叢雲「お昼じゃないの?」


吹雪「伊良湖さんに挨拶して通り過ぎてるから、ご飯じゃなそう」


漣「巡察だったら利根さんが見当たりませんね?」


電「確かにそうなのです」


叢雲「大方逃げられたんでしょ?秘書艦の利根には同情するわ」


吹雪「あ、あはは…司令官もそんなに悪い人じゃないのに…」


漣「叢雲はご主人様の事嫌いなの?」


叢雲「なによ、いきなり」


漣「嫌いなのかなーって、もしかしてツンデレだったり」


叢雲「ツンデレって何よ…別に何とも思ってないわよ。上司と部下、それだけじゃない」


漣「ふむふむ…」


漣「そういえば漣!ご主人様と関節キッスしちゃいましたよー!」


叢雲「ふーん…そうなの」


電「はわわ…叢雲さんのスプーンが…」


吹雪「(ま、曲がってる…!)」


叢雲「あら、何か知らないけどこのスプーン駄目になってるわ。何かは知らないけど」

ここまで
終盤までの構想に繋げる間が大変だ…



吹雪「ほ、ほんとだね。代えてもらおっか…」


漣「ぷくくく…」


叢雲「な、何笑ってんのよ!」


漣「い、いえいえ…くく……何でも…くくく…」


叢雲「何よ!言いたいことあるなら言いなさいよ!」


漣「何でもないですよ…スプーンが面白かっただけです」


叢雲「…………ちっ!何か腑に落ちないわね!」


吹雪「まぁまぁそれくらいで…ね?叢雲ちゃん」


叢雲「……そうね。ごめんなさい、少し熱くなっちゃったわ」


電「ほっ……良かったのです…」


叢雲「で……?どういう経緯でそうなったか、聞かせなさいよ」


漣「おやぁ?気になりますかぁ?」


叢雲「ちょっと待ちなさい!その顔やめなさいよ!別に他意は無いわよ!ただ1つの話題として聞こうとしてるだけよ!」


漣「え~??ほんとですかぁ~??」


叢雲「ほんとよ!怒るわよ!」


漣「既に激おこなんですがそれは」


ギャーギャー!! ワーワー!!





五月雨「は、入りづらい…」






______________________________




『廊下⇒中庭』


提督「(…ん?)」


提督「(ありゃぁ…川内だな。遠目から見てもわかるなあいつは。膝枕してもらってんのか)」


提督「(ったく…)」


・・・


提督「よう」


「あら、提督。こんにちは」


川内「むにゃ……zzZ」


提督「悪いな、川内が迷惑かけて。邪魔だったら叩き起してやるが」



「いえ、迷惑だなんて……来たばかりの私にここまで心を許してくれて、嬉しいです。……それに、可愛い寝顔が見れて役得です♪」


ナデナデ


川内「んふふふ…」


提督「何笑ってんだこいつ」


「きっと楽しい夢でも見てるんでしょうね」


提督「楽しいねぇ…」


提督「(大方…夜戦してる夢だろうがな)」


「提督は何をされて?巡察ですか?」


提督「いや、飯を食べる前に秘書艦に文句言ってやろうと思ってな」


「ふふ…利根さんですか」


提督「ああ。じゃ、そろそろ文句言ってくる。1400までにはそいつ起こしといてくれよ」


「はい、任せて下さい」



______________________________



『ホール』



球磨「……」


利根「……ふむ、見えたぞ」


球磨「……!?」


利根「ここじゃ!」


ガシッ


利根「……球磨よ、なんじゃこの手は?」


球磨「ちょ、ちょっと待つクマ」


グググ…


利根「くっくっく…悪足掻きはよさんか、甘んじて敗北を受け入れよ」


球磨「何言ってるクマ…!まだまだこれからクマ…!」


グググ…


利根「無駄じゃ!憤っ!」


パチーンッ


球磨「クマあああぁぁぁ!!」


提督「何してんだ馬鹿野郎」


ポンッ ワシャワシャ


球磨「うぁぁ~!頭わしゃわしゃしないでほしいクマー!」


利根「む、お主か」


提督「お主か…じゃねぇだろ。哨戒終わったら戻って来いよ馬鹿。本部から返事がきてんだ、やっぱりあいつは『赤城』で間違いない」


利根「お!やはりそうじゃったか!」


球磨「ついに空母が来たクマー!」


提督「だけど、まだ名前で呼ぶなよ。これは後で全員に伝えるが」


利根「はて…なにゆえ呼んではいかんのじゃ?」

ここまで
話の進まない日常多めですがお許しを




提督「だが、まだ名前で呼ぶなよ。これは後で全員に伝えるが」


利根「はて…なにゆえ呼んではいかんのじゃ?」


提督「まだ、あいつは赤城ではないって事だ」


球磨「…ん?ますますわからなくなったクマ…」


利根「お主…また呆けとるのか?」


提督「正常だ馬鹿。とりあえず二人称とか新人って呼べ、わかったな?」


利根「まぁ…お主がそこまで言うなら…」


球磨「よくわからないけど、りょーかいしたクマ」


提督「それで良い………ん?…ほう」


利根「ん?何じゃ?」



提督「不利な状況に見えるが……喜べ球磨、勝機はあるぞ」


パチン


利根「ん…?ん~……はっ!?なんと!?」


球磨「おぉ…?おおお?おぉ!凄いクマ!流石頭だけは良いクマ!」


提督「おい、だけとは何だ、だけとは」


利根「余計な事しよって全く~!」


提督「お前も俺に勝てないからって弱い者いじめすんなよ」


球磨「ちょー!弱いは余計クマー!これでも利根とは12戦6勝6敗クマ!」


提督「へぇ…互角なのか」


利根「貴様ー!可哀想な目で吾輩を見るでない!覚えておれよ!いつかその鼻を明かしてやるからの!」


提督「はいはい。てかお前ら将棋やってたなら飯まだだろ?」


利根「む、もうそんな時間か」


球磨「たしかに、お腹空いたクマ~」


提督「そんじゃさっさと終わらせて行くぞ。利根、お前の番」


利根「む、そうじゃったな。球磨よ!命拾いしたとはいえまだ吾輩が優勢!ここじゃ!」


パチン


提督「はい残念」


パチン




利根「ぬわーーーっ!!!」





______________________________




翌日



『執務室』



提督「んじゃ、今日は大本営に行かなきゃならんから後は任せたぞ」


利根「うむ!吾輩達に任せよ!」


提督「まぁ期待してないけどな」


利根「何じゃとコラーー!」


叢雲「はぁ…準備は大丈夫なの?忘れ物はない?」


提督「ああ、大丈夫だ」


叢雲「へぇ……じゃ、これはなに?」


ピラ


提督「あ……忘れてたわ」




叢雲「ほんとにもう、しょうがないわね…はい」


提督「悪いな、助かった」


叢雲「いいわよ別に……あと、これ」


ポン


提督「あ…?何だこれは」


叢雲「お弁当よ。あんた街に行くと偏った食事ばっかするんだから。これ食べなさい」


提督「…お前が作ったのか?」


叢雲「何言ってんの、ちゃんと伊良湖に作らせたわよ」


提督「ああ、そうだったか。何かお前…母親みたいだな」


叢雲「馬鹿言ってんじゃないわよ。いい加減私に言われないように、しっかりしてよね」


提督「はいはい。じゃ、そろそろ行くわ」


叢雲「ええ、行ってらっしゃい」


利根「土産も待っとるぞ~」


・・・


利根「ふむ。あやつが行った所で……叢雲よ」


叢雲「ん、何よ?」


利根「あの弁当、お主が作ったのじゃろ?」




叢雲「…違うけど…」


利根「くくく…隠さなくても良いぞ。吾輩にはわかってしまうんじゃなぁ~乙女心というやつがのぅ!」


叢雲「何よそれ…」


利根「大方……伊良湖に教えて貰いながら作ったという所じゃな?」


ピクッ


叢雲「……」


利根「おやおや、手が止まっておるではないか。どうしたんじゃ~?」


叢雲「…………い」


利根「え?なんじゃって?」


叢雲「だったら悪い!?って言ったのよ!もう!」


利根「ふははは!」


叢雲「わ、笑わないでよ!」


利根「はぁ~…乙女じゃな~叢雲は」


叢雲「う、うるさいうるさい!無駄口叩いてないで、さっさと仕事するわよ!」


利根「くくく…では、さっさとやってしまうか」


・・・


『大本営 会議室』



提督「(やっと前半は終了か……ったく…相変わらず長ぇ…)」



提督「(だが…ついに新海域の制圧が発令されたか…)」


女提督「お疲れ様です。良かったら、飲み物でもどうぞ」


コトン


提督「あ…ありがとうございます」


女提督「いえいえ。皆さん昼食に行かれましたけど…貴方は行かないんですか?」


提督「いえ、自分はここで。弁当あるんで」


女提督「あら、奇遇ですね。私もお弁当なんですよ、良かったらご一緒しませんか?」


提督「え…構いませんが」


女提督「ふふふ、良かった♪」


提督「(…や…やりにくい…)」


パカッ


女提督「わぁ、今日も美味しそう」


提督「今日も?」


女提督「はい。秘書艦の娘がいつも作ってくれるんですよ」


提督「へぇ…良い娘ですね」


女提督「はい♪……貴方のも、見た所手作りのようですが?」


提督「ええ、そうなんですよ。普段は外食なんですけど、今日は持たされました」


パカッ(ハート模様のご飯)


女提督「あら、可愛いお弁当ですね」


提督「」


ここまで
読んでくれてる人が居ると、頑張ろうってなりますね



______________________________




『廊下⇒執務室』



「(やっと戻れた……利根の奴、ちゃんとやってあるだろうな……叢雲が居るから心配ないが…)」


提督「(あ…この時間、利根達は哨戒中か。…どこまでやってあるかな…)」


ガチャ


提督「……お?」


「あ……おかえりなさい」


提督「…何してんだ?ここで」


「えっと……ですね。この本棚の資料を読んでまして……本も色々読むんですね、提督は。特に軍艦の」


提督「まぁな。一応知識は入れておかないと」


「真面目なんですね。私も今後の為に…知識として軍艦や深海棲艦の資料等を」


提督「ふーん……いつもこっそり読みに来てるのか?」


「…はい、まぁ」


提督「だったら気にせずに、読みに来て良いぞ」


「…本当ですか?ありがとうございます」


提督「気にするな。……今は何を読んでるんだ?」


「あ、えっと…これですね」


提督「どれ……ああ、ミッドウェー海戦…」


「…この戦闘で……赤城さんは…」


提督「ああ、雷撃処分されたな」


「…ですよね…」


提督「(まぁ、赤城関連の資料は当然読むよな)」



提督「それ、部屋に持ってくか?」


「え…良いんですか?」


提督「良いぞ。他にもあるなら持ってけよ」


「…ありがとうございます」


提督「(これで何か変わればな)」


提督「さて…ちゃっちゃと残った仕事しちまうか」


「お仕事は…普段はどんな事を?」


提督「ん~……艦娘達の事や報告、申告、申請書の処理。資源、備蓄、食料管理……他にもあるが、挙げたらキリがないな」


提督「見た感じ残りは申告、申請書の処理か。。これは諸々の仕入れだが、艦娘……あいつらのわがままとかが多いな」


提督「それに、こんなご時世でも鎮守府の見学やら街からの依頼もあってな。仕事してますよー艦娘はこんなのですよーってな感じで、街に伝えたりもする」


「なるほど……沢山の事をされているんですね」



提督「おう。だから秘書艦には、補助として色々やってもらう訳だ」


「利根さんですね」


提督「そう、あいつには世話になってる。たまにサボるけどな」


「ふふ、そうなんですね。……良かったら手伝いましょうか?」


提督「ん?出来るのか?」


「教えてもらえれば…多分」


提督「ふーん……じゃあ早速手伝ってもらうか」


・・・


提督「……」


「終わりましたね」


提督「中々やるな、思ったより早く終わったぞ」


「いえそんな、大した事は…」


提督「いや、正直驚いた…………お前、秘書艦やってみないか?」


「えっ……え?」

ここまで!



______________________________



『工廠』



カンカンカン ガガガ ガシャン ガシャコーン


提督「明石ー」


明石「あら、提督じゃないですか。お疲れ様です。こんな時間に何用で?」


提督「ちょっとな。にしても、今日はいつになく騒がしいな」


明石「そうですねぇ。多分ですけど、前に提出した開発の申請書があったじゃないですか」


提督「ああ、いつもよりボーキサイトの量が多かったやつか」


明石「そうですそうです。空母が着任したみたいなので、装備を整えてあげようかな、と」


提督「お前にしては気が利くな」


明石「もっとちゃんと褒めてくれれば良いのにぃ。ま、私も伊達に工廠に居ませんからね」


提督「ああ、頼りにしてるよ」


明石「あら、指摘したの気にしたんですか?珍しい~」


提督「うるせ、ニヤニヤしてんじゃねぇよ。それより、頼みがあるんだが」


明石「はい、なんですか?」


提督「今日本部の会議に行ったんだが、新海域を攻略する事になった。それに合わせて1人改造したい奴が居るんだが、出来るか?」


明石「改造自体は大丈夫ですけど、大本営からの認可は下りてます?」


提督「数日待ってくれ、多分大丈夫だ」


明石「なるほど。では、具体的な改装資料は大本営を待つとして……どの娘を?」


提督「ああ、こいつだ」


ピラ


明石「……へぇ、これは楽しみになってきましたよ」




______________________________



翌日



『会議室』




ガチャ


提督「おう、揃ってるか?」


「失礼します」


利根「くくく……同伴でご登場とは怪しいのう」


提督「うっせ、報告」


利根「うむ、吹雪と電は今日は街に出ておる。あと、川内はそこですやすやじゃ」


叢雲「こーら!起きなさい!」


川内「…zzZ…」


叢雲「叩くわよ!」


提督「叢雲、そのままにしとけ…ったく夜戦馬鹿が……後で誰か教えておけよ、吹雪達にも」


五月雨「はいっ!任せて下さい!」


叢雲「はぁ……わかったわ」



提督「頼んだ。それで、今日は2つ話があってな」


天龍「戦いか!?」


提督「聞け。まぁ、あながち間違いじゃないがな」


天龍「おぉ!マジか!」

余り書けなかったけど、ここまで

本日の投下は深夜になりそうです



五月雨「いよいよ…ですね!」


利根「というと?」


提督「近々新海域の攻略を行う予定だ。作戦の立案には利根と叢雲と…お前な」


「わ、私ですか?」


叢雲「大丈夫なの?」


提督「大丈夫だ。頭良さそうだし」


叢雲「何それ…」


球磨「安直過ぎないかクマ?」


摩耶「そんなんならアタシを抜擢しろよ」


提督「いや、お前はいいよ、ばk……大丈夫」


摩耶「おい!今何言いかけやがった!」


提督「さぁ…」



天龍「まぁまぁ落ち着けよ……な?」


摩耶「ちっ……ったくよぉ…」


提督「摩耶には大事な役割を任せてやるから、気合い入れろよな。期待してるぞ」


摩耶「…!……おう…………ふんっ」


天龍「(ちょろい…)」


球磨「(ちょろいクマ…)」


提督「んじゃあ、次な。明日から現秘書艦の利根をそこの新人と交代する事になった」


利根「ふむふむ……ん?……は!?なんと!?」


「あ……はは……」


提督「そういう事だ、宜しく頼む」


「…はい!」


利根「待てーーい!宜しくも何も、聞いとらんぞ!何故じゃ!?吾輩では駄目なのか!?」


提督「別にそういう訳じゃないが、面倒くさい事しなくなるし良いだろ?」


利根「た、確かに業務をしなくなるのは嬉しいが……それに、出来るのか?」


提督「大丈夫だ、お前より仕事出来るぞ」


利根「なー!?」


ギロッ


「えーっと…」


ペコ


提督「睨むなよ。昨日決まってな、事前に話しを通してないのは悪かった」



利根「…そうなのか……はぁ……全く……」


「あ、あの……ごめんなさい…」


利根「いや……お主は何も悪くないぞ。急な話に少し取り乱してしまっただけじゃ、みっともない所を見せてしまってすまぬ」


「いえ、そんな事!……私、利根さんの分まで頑張りますね!」


利根「くく…うむ!任せたぞ!提督のイジメに耐えられなかったら吾輩の所に来ても良いぞ!」


「はい、わかりました!」


提督「別にイジメてねぇだろ、お前も良い返事しやがって…」


「ふふふ」


叢雲「それで?話が終わったなら戻るわよ」


提督「ああ悪い、んじゃ解散な。もう一度言うが、居ない奴寝てる奴に連絡頼んだぞ」


五月雨「はっーーい!」


利根「よし!球磨よ!一勝負といこうではないか!」


球磨「え~…先にご飯食べたいクマ」


利根「すぐ終わる!良いではないか!の!のぅ!」


球磨「……へるぷみークマ」


チラッ


提督「夜の哨戒までには終わらせろよ」


球磨「なー!見捨てられたクマー!」


天龍「じゃ、叢雲頼んだわ!」


叢雲「え」


摩耶「悪ぃな、あたしらちょっと工廠に用あんだ!」


叢雲「ちょっと、私は川内の世話係じゃ!……って早っ!もう居ないじゃないの!」


五月雨「あはは……代わりますか?」



叢雲「……ううん、大丈夫。ありがと、この馬鹿は私に任せて」


五月雨「いえいえ!では、お願いします!」


・・・


提督「さて、俺達も行くか」


「個性的な方々ですね、皆さん」


提督「個性的すぎて面倒くさいけどな」


「ふふ…でも嫌じゃなさそう」


提督「……まぁな」


「ふふふ…では、私もこれで」


提督「おう……あ、そういや」


「はい?」


提督「伊良湖からの申告書に、お前の食べる量がらやばいって」


「えっ」

ここまで




______________________________



翌日 夜



『演習場』



摩耶「はぁ…哨戒後に訓練すんの、どうにかしてほしいよなぁ…」


天龍「わかる」


川内「やーーっせんだーーっ!」


五月雨「あははは。川内さんの元気な姿って、この時間しか見れないですよね」


叢雲「全くよ。普段からシャキッとしてほしいわ。あと、夜戦じゃないわよ。訓練よ、訓練」


川内「わかってるって!もう、叢雲は細かいなぁ!」


叢雲「…ほんっっとに、あんたこの時間だけは元気よね…」


五月雨「あ、あはは…」


吹雪「ふぁ~ぁ…」


電「はわわ、吹雪さんがお眠なのです」


漣「漣も眠いですよぉ~…」



電「はわわ…漣さんまで…」


バチンッ


吹雪「ぶっ!」


バチンッ


漣「ブベラッ!」


電「め、目は覚めたでしょうか…?」


吹雪「う、うん…ありがと、電ちゃん…」


漣「…………」


吹雪「し、死んでる…」


・・・


提督「何やってんだあいつら…」


「ふふふ…何だか楽しそう」


提督「ったく……お前も、見学なんて珍しいな」


「はい。やはり艦娘も、資料だけではわからない事もありますから」


提督「そりゃあ間違いないな」


「そういえば…利根さんと球磨さんは?」


提督「ローテーションで休みを回してんだ、今日はその2人」


「なるほど」


「今日執務をしている時にスケジュール表も見ましたけど、皆さん働き詰めですよね。昼食と夕食と寝る時くらいしか自由な時間は…」


提督「まぁ、仕事だしな。結果が出せなきゃ後ろ指さされんのは俺達だ」


提督「……でも、あいつらは良くやってくれてるよ」


「ふふふ…皆さんが頑張れるのは、提督の人徳ですかね?」



提督「いや、それは違うな」


提督「あいつらは守るべき物を守る為に戦い、己を鍛えている。あんなんでも、あいつらの根っこには確固たる意志がある。そこに俺が付け入る事は無いだろう」



「…失言でしたね、ごめんなさい」


提督「気にすんな、軽口も叩けない職場なんて俺は嫌だぞ」


「ふふ……はい」


提督「んじゃ、始めるか…」


パンパンッ


提督「おーい!そろそろやんぞー!」


川内「はーーい!こっちはいつでもおっけー!!」


提督「漣が死んでんぞー!」


川内「えーーっ!?敵ーっ!?」


電「はわわ…」


・・・


「凄い……皆さん始まる前とは別人みたい…」


提督「うちは他所より艦娘が少ない分、練度は高いからな」


「(…これが…艦娘の…)」


提督「…良い機会だ、お前もやってみろよ」


「えっ……」


「…いえ、私は…」


提督「いつかはお前も戦うんだ、早いか遅いかだろ」



「もちろん、力にはなりたいです。でも…私では力不足…足でまといにしかなりません」


提督「何事もやってからだろ?」



「ですから──」


提督「命令」


「なっ…」


提督「流石にあいつらと同じ事をしろとは言わない。演習場のどっかに的を浮かせてある、探して攻撃してみろ」


「…あれですか…?」


提督「(見えるのか?)……そうだ」


「…わかりました……やってみます」


提督「よし。工廠にお前の艤装がある、明石に言えば出してくれるから取ってこい」


「…はい、行ってきます」



・・・



「……」


提督「じっと眺めてても始まんねぇぞ」


「あ、あの…本当にこれで浮けるのですか…?」



提督「浮けるぞ」


「……」


提督「…ったく…」


ドンッ


「えっ!?ちょちょちょ!うわわわわっ!」


バシャッ


「……!」


提督「ほら、浮けただろ」


「はい…そうみたいですけど、もうちょっとやり方をですね…」


提督「終わりよければ何とやらだ」


「…もう…」


提督「ほら、早く行け」


「はい、わかりました」


ザー…


・・・


川内「イェーイ!今日も私は満点の動きだね!」


五月雨「川内さんすごーい!」


川内「えっへへ~!」


叢雲「五月雨。あんまり褒めちゃ駄目よ、調子乗るから」


五月雨「えっ…え~…でもぉ…」


川内「叢雲はいちいちうるさいってばー!」



吹雪「あははは……ん?」


電「どうかしましたか?吹雪さん」


吹雪「あれ……あの人だよね?」


電「え?……あ、本当なのです」


漣「あんな暗い所で何をしてるんでしょうね?」


天龍「なんだぁ?射撃か?」


摩耶「多分な。おい、誰か探照灯向けてやれよ」


・・・


「(何ででしょうか…弓なんて触った事のないはずなのに…懐かしい…使い方もわかる…)」



「(…私にも…出来るかもしれない…)」


「(姿勢を正して…)」


「(構えて…)」


チャキ


「(狙いを定め……)」


「(……離すっ!)」


パシュッ


スカッ


「あ、あれ…」


カチッ カチッ カチッ


「…!まぶし…」


電「明るくなったのですー!」


漣「これでよく見えますよぉー!」


吹雪「頑張って下さーーい!」


「…皆さん…」

ここまで!
沢山書けました



「ありがとうございます…」


ペコ


「(皆さんが見てる…ちゃんとやらなくちゃ…!)」


「…もう一度…」


チャキ


「ふー……」


グググ…


「(今度こそっ!)」


パシュッ


スカッ


「っ……!」


「(……やっばり……)」


「(…私には、出来ないの…?)」


提督「おーい!ちょっと戻ってこい!」


・・・


「……申し訳ありません…提督…」



提督「おう…おつかれ」


「…やっぱり私には…無理です」


提督「…悪い、お前に無理言っちまったみたいだな。えー…下がっていいぞ」


「…………」


「……失礼します…」


・・・



訓練終了後



天龍「おい、何か変な雰囲気だったけど大丈夫か?」


提督「…完全に失敗した」


天龍「失敗だぁ?」


摩耶「あん?何かやらかしたのか?」


提督「やらせたのは軽率だった。多分、あいつの心を折っちまったかも」



吹雪「えっ…え~~っ!?」


漣「あの方…漣達の見てる前で、在らぬ方向に矢を飛ばしてましたしね…」


電「…発艦もしてなかったのです」


川内「ん~…してないんじゃなくて、出来なかったんじゃない?」


五月雨「出来ない、ですか…」


叢雲「あんたもまともな事言うのね。確かにそれは有り得るかもしれないわ」


川内「これ、褒めてる?」


五月雨「ん!……ええ!」


提督「…どうすっかな」


叢雲「どうするもなにも、何もしなくていいわよ」


提督「何だと?」


叢雲「あんたが試行錯誤した所で焼け石に水よ。本人が立ち直るまで見守ってなさい」



提督「…あいつ秘書艦なんだけど…」


叢雲「あんたがやらせたんでしょ、自業自得よ。でも、秘書艦放り出すような人には見えなかったし大丈夫じゃないかしら?」


提督「…そういうもんか」


叢雲「そういうものよ」


川内「たまには良い事言うじゃん!叢雲!」


摩耶「よっ!流石叢雲大先生!」


天龍「古参は伊達じゃねぇってな!」


叢雲「うっさいわよ!あんた達!」


吹雪「あははは。司令官、私も叢雲ちゃんの意見に賛成です。あの人は強い、きっとすぐに立ち直りますよ!……確証はありませんけどね。私の勘です!勘!」


電「吹雪さんの勘は当たるのですよ~」



吹雪「えへへへ…ありがと~電ちゃん」


漣「ご主人様が少しですけど、動揺してるの初めて見ましたねぇ」


五月雨「確かに…」


提督「流石に失敗したからな……ありがとな、お前達。言う通りにやってみる」


摩耶「うわっ!お礼とか似合わねー!」


天龍「ぎゃははは!確かに!」


叢雲「全く、普段からそのくらい素直だったら良いのよ」


提督「割と素直だが」



漣「えぇ…ご主人様は本心を隠してるというか…」


吹雪「本音を言わないというか…」


電「きっと照れ隠しなのです」


提督「おい、それは違う」


電「はわわ、お口が滑ったのです」


川内「ま、頑張ってよ提督。提督なら上手くやってくれるって信じてるよ」


提督「お、おう…。何かお前からそんな事言われると…ムズムズするな」


川内「えーっ!?それってどういう意味なのさー!」


提督「…何でもない」


川内「ほら!すぐ濁す!提督なんて、べーっだ!」


提督「悪かったって。んじゃ、お前らも風呂入って寝ろな。今日は終わりだ」



・・・



『客間』



「……」


グスッ


「…私は…何で…」



「…私なんて…」



「…赤城さん…」

ここまで



______________________________



翌朝



『執務室』



コンコン


提督「入れ」


「失礼します。おはようございます、提督」


提督「おう。おはよう」


「はい。では、始めますね」


提督「…ああ。頼む」


・・・


提督「(特に滞りも無く、問題もない……が、俺の気にし過ぎか…気まずい…)」


「提督」


提督「…!…なんだ?」


「…?どうかしました?」


提督「……いや…?何でもないが…」


「何だか…今日は妙にそわそわしてるというか…雰囲気が違いますね」


提督「…普段通りだと思うが…」


「…?ちょっと失礼…」


提督「え…ちょ──」


ピトッ


提督「…!!」


「…熱は、無さそうですね」


提督「……お前…そういうの気にしないのな」



「え?何がです?」


提督「…まぁいい……で?どうしたんだ」


「あ、そうでした。こちらは終わったので備品のチェック、私がしてきますね」


提督「ああ…おう」


「はい。では」


・・・


『廊下』



バタン


「……はぁ」


「(やっぱり、昨日の事…ですよね)」


「(あまり態度には出さないようにはしてたんですが…)」


「(提督のあの雰囲気……やはり、出てたのでしょうか…)」


トントン


「え…?」


利根「どうしたお主、湿気た面しよって」


「利根さん……いえ、別に」


利根「ふむ、やはり昨日の事かのう。吾輩も聞いたぞ」


「……」


利根「どうやら、大恥かいたみたいじゃな?」



「ええ……皆さんに、お恥ずかしい所を見せてしまいました…」


利根「うむ、確かに恥ずかしかったであろうな。己の無力さに絶望もしたであろう」


「…はい」


利根「じゃが…お主は全力を尽くした、違うか?」


「私は…全力で取り組みました」


利根「じゃろ。本気だったお主を、吾輩達は否定したりはせん」


「……」


利根「恥じるのも良い。悔やむのも良い。ただ」


利根「お主自身が、お主自身を否定する…そんな悲しい事は無い。お主自身を…否定してやるな」


「…!」


利根「…お主がどんなで在ろうと、吾輩達の仲間である事は変わらぬ」


利根「だから…」


利根「吾輩達は海で、待っておるぞ」


ポン


利根「…なんての。気休めのつもりだったのじゃが…失敗してしまったかの」


「…ふふふ。いいえ、ありがとうございます。利根さん」


利根「ふふ……ふはは!やはりお主は笑った方が良いな!折角の美人が暗いと台無しじゃ!」


「優しいですね、利根さんは。…では、私は業務の続きをしてきますね」


利根「うむ!引き止めてすまんかったの!」



・・・







『執務室』



提督「……」


「……」


提督「……よし、終わりだ」


「こちらも、もうすぐ終わります」



提督「ん。了解」


「はい」


提督「……」


提督「…なぁ」


「はい、何ですか?」


提督「あー…貸した資料、読んだか?」


「はい。もう覚えてしまうくらいには」


提督「そうか……その様子だと変化は無さそうだな」


「ですね…赤城さんに会いたいのですが…中々」


提督「まぁ、夢の中だしな…会いに行けないのも仕方ないか」


「そう…ですね。………はい、終わりました」


提督「おう、書類はそのままで良い。おつかれ」


「わかりました。お疲れ様です、提督。おやすみなさい」


提督「おやすみ」

ここまで
全体の半分くらいは過ぎたかな…?



・・・


『客間⇒廊下』


「……」


ムクリ


「(…私自身を否定するな…)」


「(…そうですよね…私自身を否定する事は、つまり…あの人を…)」


「(……駄目ですね。一度、海風にでも当たってこようかしら…)」


ガチャ


「(あら、廊下ってこんなに暗いんですね…)」


「(まぁ、外に出るだけなら…)」


・・・


『吹雪、電、五月雨の部屋』



電「──雪───い」


吹雪「ん……んん…」


電「吹雪さん、起きてくださいなのです」


ユサユサ


吹雪「ん、んん…?どしたの…?」



電「あ、あの…えっと…」


吹雪「…?」


電「その…」


モジモジ


吹雪「……あ、わかった。トイレだね?」


電「は、はい…そうなのです…」


吹雪「でも、私も廊下出るの…怖いなぁ…」


電「1人はもっと怖いのです…」


吹雪「だよね。これは五月雨ちゃんも道ずれに…なーんて」


五月雨「んにゃ…むにゃ…zzZ」


電「了解なのです」


吹雪「え」



電「起きて下さいなのです、五月雨さん」


ユサユサユサユサユサユサ ユサユサユサユサユサユサ


五月雨「んぅわわわわわななななな何事ですかかかかか」


吹雪「電ちゃんストップ、五月雨ちゃんの頭がもげちゃう」


電「はわわ…」


五月雨「うぇぇ……?一体……何が…あったんですかぁ…?」


電「ごめんなさい、五月雨さん。あの…おトイレに…一緒に来て欲しいのです……」


五月雨「あぁ…なるほどぉ……良いですよぉ…」


吹雪「よしっ、皆で行けば怖くないね♪」


・・・


『廊下 トイレ前』


電「すみません、お待たせしたのです」


吹雪「ううん、いいよ~」


五月雨「困った時は助け合い、ですからね」



電「ありがとうございます~」


吹雪「じゃあ後は帰ってオフトゥーンに潜るだけだね」


ペタ…ペタ… ペタ…ペタ…


3人「!?」


吹雪「な、何…?今の音…?」


電「あ、足音…なのです…?」


五月雨「こ、こんな時間に…!?」


吹雪「やだ、怖い…!」


電「はわわ…このままでは食べられてしまうのです…!」


五月雨「え…!?食べられるんですか…!?」


ペタ…ペタ… ペタ…ペタ…


吹雪「こっちに来る…!!」


五月雨「う、後ろっ──!!」


「あら、貴女たt──」


3人「イヤァーーーーッ!!!!」


「!?」


ヘナヘナ ペタン バターン!


電「こ、腰が…」



吹雪「あ、貴女…でしたか…!」


「あ、あの…大丈夫ですか…?ごめんなさい、急に声を掛けてしまって…」


五月雨「……」


吹雪「し、しんでる…」


・・・


『吹雪、電、五月雨 寝室』



ガチャ


「着きましたよ。お二人共、もう服を離しても大丈夫ですよ」


電「あ、ありがとうございます…」


吹雪「ごめんなさい、部屋まで来てもらっちゃって…」


「いえいえ、私のせいですし。これくらいは」


吹雪「ありがとうございます。あ、そろそろ五月雨ちゃんを降ろしても大丈夫ですよ」


「あ、はい。では──」



五月雨「んん…」


グイー


「えっ」


バターン!


「いたた……」


電「ふふふふ…」


吹雪「あははは……とりゃっ」


ダキッ


「えっ?」


電「電も失礼するのです」


ギュッ


「あ、あなた達…?」


吹雪「今日は一緒に寝ましょう!ね!」


「えっ」


電「一緒に寝て欲しいのです~」


「あ…」


五月雨「むにゃむにゃ……zzZ」


「……ふふ、わかりました。一緒に寝ましょうか」


吹雪「やったー♪」


電「嬉しいのです♪」


・・・


吹雪「…zzZ」


電「吹雪さん…zzZ」


「(……この娘達は…ひとたび海の上に立てば、逞しく、勇ましい。なのに、こんなにも可愛らしい一面もある……凄い娘達ですね…)」


「(…私にも、力があれば…)」


「(…良かったのに…)」


「…zzZ」




______________________________




『??』




『(……あ…ここは…また…)』


『(…暗い海の中…)』


『(…これは何なのでしょう…)』


『(……!あの光は…)』


ブワァァ…


『…また…という事は…』


『(やっぱり、あの人…赤城さんが居る…)』


スタ スタ スタ


『赤城さん』


赤城『あら?……ふふ、また来たんですね』


『また来てしまいました……あっ』



『あ、あの、赤城さん……?傷だらけ…』


赤城『ええ。でも、問題ありません。私に痛みは無いですから。この艦が弱ると、私に変化が表れるみたいですね』


『そう…何ですか…?無理はしないで下さい…』


赤城『ふふ……何だか貴女に気遣われるのは……不思議な気分ですね』


『あ……ごめんなさい…』


赤城『謝る事ではないですよ、貴女は何も悪くありませんからね』


赤城『あら、次が発艦するみたいです。良かったら貴女も見ていてね』


『え…?あ、はい…』


・・・


赤城『勝利しました』


『凄い…ですね、お疲れ様です』


『ありがとうございます。貴女も今日は長く居てくれるみたいですね』



『そう…ですね。私もよくわからなくて…急に居なくなったら、ごめんなさい』


赤城『はい、大丈夫ですよ。では、良い機会なので少しお話でもしませんか?…帰港までは退屈なんですよ』


『退屈って……ふふふ…はい、是非お願いします』


赤城『ありがとうございます♪では、何から話しましょうか…──』


・・・


赤城『……なるほど。要するに、貴女は先の未来から…来たみたいですね』


『はい。……あの』


赤城『はい、何ですか?』


『気にならないのですか…?その…』


赤城『戦争の結末……或いは、私の最後…ですか?』


『はい、その通りです』


赤城『気にならない、と言えば嘘になります。でも…わかった事もあるので、聞かなくても大丈夫ですよ』


『わかった事…?』


赤城『ふふ…内緒です♪……それにしても、不思議な事が起こるものですね。貴女は何故ここに居るのか、わかりますか?』


『えっと…多分私が忘れた、大事な物がここにあると……提督が仰ってました』

ここまで!



赤城『こんな所に忘れ物ですか……具体的には?』


『記憶…?ですね』


赤城『あら…それはまた、大層な物をお忘れになったんですね』


『赤城さんと話せば思い出すみたいなんですが……』


赤城『そうなんですか。じゃあ、もっとお話しないといけませんね』


『はい、お願いします』


赤城『と言っても質問ばかりですけどね。……そういえば、貴女が戦っている相手は…えーと…?』


『深海棲艦ですか?』


赤城『あ、それです。その深海棲艦と戦った事は?』


『…いいえ、深海棲艦とはまだ…』


赤城『あら、そうなんですね?』


『…でも、今の私には戦えないです』


赤城『…?力不足という事ですか?』


『はい、その通りです』



赤城『あら…そうなんですか』


『はい…』


赤城『…うーん…』


赤城『……ちょっと良いかしら』


(立ち上がる)


『はい…?』


赤城『貴女の世界では、軍艦ではなく貴女自身が戦うんでしたよね』


『はい、そうですが…』


赤城『それに零式、九九、九七も、あるのですよね』


『え?……はい、資料にはありましたが』


赤城『なら、私が貴女に戦い方を教えてあげましょう』


『えっ?戦い方…ですか?……わかるんですか?』



赤城『ええ、私に任せて下さい。先程、貴女は力不足と申し上げましたが、そんな事ないです。貴女は、充分に強いですよ』


『な、何を…』


赤城『貴女には守れるだけの力がある。足りないのは根底となる信念、気概、決意、覚悟。皆の為に戦いたい、それも良いでしょう。ただ、それだけでは届きません』


『……』


赤城『貴女にもありますよ、間違いなく。……その弓が飾りではないのなら、手に取って下さい』


『…!(いつの間にそばに…)』


『…………』


『…私にも、戦えるんでしょうか』


赤城『大丈夫。貴女だからこそ、戦えるのです』


『……』


カチャ


『…お願いします。赤城さん』



赤城『ふふ、良い顔になりましたね』


『何だか赤城さんに言われると…本当に出来る気がしてきますね』


赤城『そんなの、当然ですよ』


『…そうなんですか?』


赤城『ええ。だって、貴女は私じゃないですか』


『あ…』


赤城『私に出来る事が貴女に出来ないなんて…それこそ、道理に反します』


『赤城さん……』


『……私、頑張ります』


赤城『はい、期待していますよ』




赤城『(…私の前に…貴女が現れたのは、きっと偶然なんかじゃない…)』


赤城『(そう、これは然るべき必然であり、私に与えられた使命は…彼女に…』


赤城『(……まだ早い。時が来たら…きっと私は、貴女に託すでしょう…)』




赤城『(何だか楽しくなってきました。ふふふ、本当に……不思議な事が起こるものですね)』







・・・



『吹雪、電、五月雨の部屋』



「……!」


「朝…ですか」


「(ん…動けな……あ)」


「(そうでした……一緒に寝てたんでしたね)」


「……っと…解いて…」


ゴソゴソ ムクリ


「…………ふぅ」


「(…大丈夫、ちゃんと覚えてる)」


「……変われる」


グッ(拳を握る)


「……私にも、戦える」


ここまで
他所様の所で盛大に誤爆したのが物凄く恥ずかしい




______________________________



『執務室』



ドンドン!


提督「……入れ」


ガチャ


利根「失礼する。……って何じゃ~、その顔は」


球磨「お邪魔するクマ~」


提督「お前くらいだよ、ノックじゃなくて叩く奴。摩耶でさえノックすんぞ」


球磨「ほら、怒られたクマ」


利根「コンコンは誰かで、ドンドンは吾輩。すぐに吾輩と理解出来て、良いではないか」


提督「いらねぇよ、そんな情報」


コンコン


提督「おう、入れ」


「ただいま戻りました。…あら、利根さん、球磨さん。こんにちは」


利根「おー!お主か!」


球磨「こんにちはクマー」


利根「調子はどうじゃ?」


「…利根さんのおかげです」


提督「ん?お前なんかしたのか?」


利根「くっくっく…秘密じゃ」


「はい、秘密です♪」


提督「何だよ…」


球磨「って、雑談しに来た訳じゃないクマ。出す物出してご飯行くクマ」


利根「む!そうじゃったな!」


ドンッ


提督「ん……へぇ、大湊からか」



利根「うむ」


提督「了解。返事は明日出しとく」


利根「うむ。では球磨よ!行こうではないか!」


球磨「ばいばいクマ~」


「あ、あの…!お話があります!」


提督「ん?」


球磨「クマ?」


利根「お、なんじゃ?」


「お話というか…お願いがあります」


球磨「ん、んん~…球磨は聞いても良いのかクマ?」


「勿論、大丈夫です」


提督「…で?」


「はい。……私を、秘書艦から外して下さい」


提督「…何だと…?」


利根「…ほう」


「……」



「……」


提督「(…訓練の件が大分効いてるのか…?まさか秘書艦まで辞めるとは)」


利根「……」


利根「…了承した。後は吾輩に任せておくがよい」


球磨「クマ!?」


提督「おい、何を勝手に──!」


利根「良いのじゃ」


ジッ


提督「…!」


利根「良いな」


提督「(……何か気付いたのか…?)」


「……」


提督「……ったく…仕方ねぇな」



「ありがとうございます…」


ペコ


提督「いいって。急な変更だ、他の奴らには…球磨、頼んだぞ」


球磨「え~!球磨は雑用係じゃないクマ!」


提督「2連休とらせてやる」


球磨「任せておけクマ」


利根「ふはは!欲に忠実じゃな球磨は」


「ふふふ…では、私はこれで。失礼します」


提督「おう」


ガチャ パタン


球磨「……良かったのかクマ?」


提督「さあな…そこの馬鹿に聞いてくれ」


利根「馬鹿とはなんじゃ馬鹿とは」


提督「愛故の表現だな」


球磨「ブッ!」


利根「オゲェー!お主に似合わない言葉じゃのぅー!」


提督「うるせ。……で、話せよ。何で了承した」


利根「はぁ~…察しが悪いのぅ」


提督「何?」



利根「前にも言ったであろう、乙女の詮索をする男はモテないと」


提督「……」


利根「ぅぉほほ!すまんかった!そんな睨むでない!」


球磨「ちゃんと話した方が身の為クマ」


利根「うむ、そうみたいじゃな…」


利根「コホン……あやつは吾輩達の為に戦いといっおったな?」


提督「ああ」


利根「じゃが、それも叶わず自信を無くしてしまったの。そんなあやつに残った、己が役に立つ事といえば?」


球磨「……ん~?」



提督「…秘書艦か」


利根「その通り。今自分に出来る事を理解した上で、秘書艦をやめたいと言い出した。ショックから投げ出した、と思うのも仕方ないがの」


利根「じゃがの~あやつはそんな無責任な事をする様な奴ではない。何か思惑があるのが道理」


利根「だからの…吾輩は手を貸すだけじゃ。それが良い女の務めというものじゃ」


提督「……お前、結構考えてるんだな」


利根「乙女心は吾輩に任せておけ。なーんての」


提督「ああ、信じるよ。お前も、あいつも」


利根「うむ、それが良い」


球磨「利根ってたまに真面目クマ」


提督「だよな~」


ポン ワシャワシャ


球磨「うぁぁ~!頭わしゃわしゃしないでほしいクマー!」



利根「……今更なんじゃが…」


提督「ん?」


利根「お主、球磨には妙にベタベタするのう」


提督「……は?そんな事はないが…」


球磨「嘘つくなクマー!頭わしゃわしゃするし、たまに抱っこするし、たまに膝の上に座らせたりしてるクマー!!」


利根「お主…」


提督「おい待て、利根。事実だが落ち着け、引いてんじゃねぇ」


利根「いくら艦娘とはいえ…セクハラじゃぞ」


提督「ぐっ…!」


球磨「そうだクマ!」


利根「全くお主という奴は……」


利根「そのくらいなら……わ、吾輩にする分には…構わんのにのぅ~……?」




提督「いや、それは無理」




利根「なっ!?き、貴様コラー!!それはどういう意味じゃァァァ!!」




・・・



『弓道場』



「(見つけた…広い敷地の端にある、使われていない弓道場…)」


ガラララ…


「(まぁ…誰も居るはずもなく…)」


「(…使われた様子も無いからか、中も綺麗ですね)」


「(ここでなら、存分に鍛錬が出来ますね)」



「(…頑張らなきゃ…)」

ここまで
遅くなりました
大まかな流れが出来ていても、繋げられない事件




______________________________



数日後



『工廠』



ガシャコーン ガシャンガシャン


提督「明石ー、居るかー?」


明石「はーい、居ますよー」


吹雪「こんばんはー司令官」


電「こんばんはなのです」


漣「ども!ご主人様!」


天龍「よう」


摩耶「何だよ、こんな時間に?」


提督「お前ら…揃いも揃って何してんだよ」


天龍「遠征から帰ってきたついでに、明石に艤装見てもらってんだよ」


提督「なるほどな。じゃあ、摩耶は何で居んだ?」


摩耶「アタシはただの付き添い」


提督「暇か」


摩耶「暇じゃね……天龍に捕まったんだよ」


提督「お前らって、いつもつるんでるのな」




天龍「まぁな。なんつーか摩耶とは気が合うし」


摩耶「だよなー!」


提督「(類は友を呼ぶ…)」


明石「それで、提督は何用で?」


提督「ああ。あの件の事だが、本部から認可が下りた。改装案と認可書、渡しておくぞ」


明石「あら、下りたんですね。良かった良かった」


吹雪「改装案?誰か改造するんですか?」


提督「おう」


天龍「オレか!?」


提督「残念」


天龍「んだよー!」


電「どなたなんでしょうか…」


提督「摩耶だ」


天龍「何だと!?」


摩耶「へぇ……えっ」


吹雪「摩耶さんが改造ですか!」



漣「マジですか!漣にも改装案見せて下さ~い!」


明石「多分…漣ちゃんが見てもわからないと思うけど」


漣「そんな!?」


摩耶「ま、マジか…アタシか」


提督「言ったろ。お前には重要な役割を任せるって」


摩耶「そ、そっか。へへ…改造か」


天龍「良いなぁ。オレも強くなりてぇ」


提督「そのうちな」


天龍「マジか!やったぜ!」


電「このタイミングで改造するのは…やっぱり次の未開拓海域の為なのですか?」


提督「その通り。摩耶の力が必要になる」


摩耶「アタシが必要…」


吹雪「ま、摩耶さん…?」


摩耶「はは…ははは…あははは!改造だか何だか知らねーが、アタシに任せておきな!この摩耶様が艦隊を引っ張ってやる!」



吹雪「おめでとうございます、摩耶さん」


電「おめでとうなのです」


パチパチ


提督「期待してるぞ」


摩耶「おう!」


明石「とりあえず改造の件は了解しました。作戦はいつですか?」


提督「まだ未定だな。近いうち作戦会議は行う予定で、決まったら連絡する」


明石「わかりました」


漣「あのあの、1つ聞いても良いですか?ご主人様」


提督「ん?」


漣「改造って…どういった感じなんですか?」


提督「あー…」


吹雪「確かにここでは初めてだもんね、気になる…」


電「妖精さん…でしょうか」


提督「半分正解だな」


天龍「残りの半分は?」



明石「えっへん」


摩耶「あん?明石?」


明石「何の為に私が居ると思ってるんですか。この改装案とは、改造後の貴女達に合わせる艤装の事です」


明石「ここで作れるのは私だけですからね。身体の変化は妖精さんにお任せです」


摩耶「へぇ、なるほどな」


天龍「明石もちゃんと仕事するんだな」


明石「ちょ、失礼な!提督も何か言ってくださいよ!」


提督「そうだぞ、こう見えてガラクタを作る天才なんだ」


明石「それ擁護になってないんですけど!?」


吹雪「あははは。そういえば建造はしないんですか?艦娘が増えればもっと色々出来ると思うんですけど」


提督「そうしたいのは山々なんだが、中々上手く行かなくてな。これでも明石には建造の許可は出してあるんだ」


電「そうなのですか?」


明石「ええ。でも、許可される資源にも限度がありますし、毎日とはいかないんですけどね。一度に使う量も結構な量ですし」


漣「同じ艦娘が生まれたりはするんですか?」


提督「今のところ前例はない。恐らく軍艦一隻に対し1人だな」


摩耶「ん?……じゃあ、本当は建造出来てるのに、どっか他所で建造されてると、うちでは建造出来ないって事か?」


提督「まぁ、そうなるな」


天龍「あいつの場合は、どうなるんだ?」


提督「あいつ?」



天龍「ほら、新人だよ。あいつは流れ着いただろ?」


提督「…確かにな。だが、存在する以上あいつも建造は出来なさそうだが」


天龍「やっぱそうか」


明石「ですが、艦娘はまだ未知なる事が多いです。これから先、同一人物なんてのも生まれる可能性は十分にありますよ」


提督「おめーらみたいなのが何人も居たら大変だな」


摩耶「何でこっち見てんだよ!」


天龍「オレが増えたら百人力だぜ!?」


提督「うるさいって意味で大変なんだよ」


天龍「だとコラー!」


明石「あはは。では、摩耶さんの改造は後にするとして、私は先に艤装に取り掛かっちゃいますね」


提督「ああ、頼む」


摩耶「頼むぜ!なんてったってアタシの何だからな!」


明石「はいはい、明石にお任せですよ~♪」

ここまで



______________________________






『会議室』



ガチャ


提督「よう、揃ってるか?」


利根「居るぞ」


「どうも」


叢雲「時間ギリギリね」


提督「悪い。じゃあ早速だが始めるぞ」


利根「久しぶりじゃのう、新海域なんぞ」


提督「だな。これを見てくれ」


ピッ


「地図…ですか」


提督「俺達の呉鎮守府は、四国を抜けて南太平洋、トンガに棲みついている深海棲艦の駆逐が今回の任務だ」


ピッ


叢雲「…島が沢山あるわね」



提督「目星は本部の斥候からの情報で大体付いている。トンガで深海棲艦率いてるのはヲ級だそうだ」


「ヲ級……正規空母ですね」


利根「何じゃ。姫級でもなしにヲ級?……相手にならんじゃろ」


提督「正確には確認出来ていないらしい。深海棲艦を率いてる事から、恐らくflagship級だろう」


「…!」


叢雲「厄介ね……以前に戦った事があるけど、あの時は運が良かっただけ…辛勝だったわ」


「資料でしかみてませんが…強力な相手みたいですね」


利根「摩耶の奴が無駄に器用じゃからの。対空への迎撃は問題ないが、制空権が取れん」


提督「ああ。だから制空権が取れない以上、敵本陣に向かうのは俺達ではない」



叢雲「…どういう事?」


利根「うむ?」


提督「すぐに説明する。それで、斥候が敵本陣までに確認、交戦した深海棲艦の数は約30」


利根「ほぉ…結構居るの~」


叢雲「島が多い分、未確認のも含めると…」


「…包囲される可能性がありますね」


提督「そうだ。あいつらは知能は無いが、大将を守る習性がある。直接本陣に攻め入るなら包囲は必至」


利根「そうなると…吾輩達では手に負えんのではないか?」


提督「その通り。さっきの問いの答えは、今回の作戦では横須賀との協同任務だ」


叢雲「へぇ、横須賀と」


提督「敵本陣に乗り込むのは、横須賀の第一主力艦隊だ」


利根「ついにお目にかかれるのう…横須賀の秘蔵っ子」


「秘蔵っ子?」


叢雲「横須賀鎮守府、第一主力艦隊旗艦、大和」


「あっ、戦艦の大和さん…」


利根「これがまた馬鹿みたいに強いんじゃ。うちにも来んかの~」


提督「馬鹿言え。あんなの横須賀くらいしか運用出来ねぇよ」


ここまで
亀進行になってきたので、1レス分が出来次第ポイポイ投下します



「そうなんですか?」


提督「ああ。お前らの弾薬、身体の補修には資源を使うんだ。大和が大破なんてしたらお前…とんでもないぞ」


「そ、そうなんですか…」


提督「うちも今は期間が空いた事もあって資源はあるが、大型を運用するにはまだ艦娘が足りねぇな」


叢雲「ほら、余談はそこまでにしなさい。それで、作戦はどうなってるの?」


提督「ああ、本陣へは横須賀の第一主力艦隊。俺達は本島を回って本陣へと接近する深海棲艦の撃墜が主な仕事だ」


「ですが、それだと反対側は…」


提督「大丈夫だ。反対側は横須賀の第二艦隊が担当する」


叢雲「あら、随分と大盤振る舞いね」


利根「吾輩達の任務というか、ただのお手伝いじゃな」


提督「任務には変わりない。本島の裏で第二艦隊を確認次第、旋回して本陣へと向かった第一艦隊を援護。目は任せたぞ、利根」


利根「うむ、吾輩の零水偵に任せておけ」



提督「次に編成だ。当作戦は──」


ピッ


──第一艦隊──

『旗艦』
利根


『随伴艦』
摩耶
球磨
川内


──第二水雷戦隊──

『旗艦』
天龍

『随伴艦』
叢雲
五月雨
吹雪



提督「以上だ」


利根「うむ、了解した」


叢雲「あら、全員出撃なんて久しぶりね」


「……」


提督「(…本当はこいつを入れたい所だが、今回は仕方ないな)」


提督「わかってると思うが、戦場では何が起こるかわからん。無理はするなよ」


利根「言われんでも承知しておる。吾輩達が消えたらお主が泣いてしまうからのう」


提督「……」


利根「はっ!冗談じゃ!」



叢雲「大丈夫よ、無理はしない」


提督「ああ。あと戦場での戦術は基本任せるが。んー…仮想敵で何通りか立ててみるか」


利根「じゃな。覚えて損は無いからの」


叢雲「天龍が覚えてくれれば私も楽なのに…全く」


提督「そう言うな。それと…」


提督「…お前も」


「えっ」


提督「お前も、意見出してみろ。お前の考え、思った事、お前にしか見えない線もあるからな。何でも良いから聞かせてくれ」


「…はい、わかりました」


提督「おう。じゃあまずは───」


・・・


利根「……」


叢雲「ちょっと…多くない?」


「あ、あはは…」


提督「(意見を出してみろとは言ったが…見落としそうな部分までちゃんと見ている…)」


提督「…やるな。やっぱお前を選んで正解だったよ」


「あ、いえ…ははは…」


提督「んじゃあ会議は終わりだ。利根は執務室、叢雲は他の奴らと合流しろ」


利根「うむ、了解じゃ」


叢雲「わかったわ」

今日はここまで
折り返したと思ってたら折り返してないかもしれない



______________________________




『敷地内巡察』



五月雨「ふんふふん♪」


ピョンピョン


提督「転ぶなよ」


スタスタ


五月雨「だ、大丈夫ですよ!それにしても、ホントに広いですねぇ~!」


提督「だろ。ここで生活してても、この広さには慣れない」


五月雨「いつもお疲れ様です。そういえば利根さん達…頑張ってるかなぁ~」


提督「第一艦隊のミーティングとか言いつつ、遊んでるだろうがな。まぁたまには良いだろう」


五月雨「あはは。あ、そういえば次の作戦地域は…トンガでしたっけ?」



提督「そうだ。まぁ手伝いみたいなもんだが、戦闘する事には変わりない。お前らの雷撃にも期待してるぞ」


五月雨「えへへ…はいっ!お任せ下さいっ!」


スタスタ


提督「よし、ここで左右に別れる。西側をさっき教えた通りに見てくれれば良い。反対側まで行ったら玄関から執務室に戻ってくれ」


「はーーい!」


・・・


スタスタ


提督「(…この後は…明石の様子を見に行くか)」


スコンッ


提督「(ん?なんの音だ?)」


提督「(今の音はどこから…)」


スコンッ


提督「(…使われてない弓道場から聞こえるな。誰か居るのか?)」


スタスタ


提督「(不審者だったら取り押さえてやるが…)」



提督「(そーっと…)」


ガラ…


提督「(…お)」


「……」


提督「(あいつ…こんな所に居たのか)」


「……ふー…」


パシュッ


スコンッ


「……よし」


提督「(あん時とは顔つきが違うな…まるで別人)」


提督「(利根の言う通り……あいつはあいつなりに、何かやろうとしている)」


提督「(俺は…その時が来るのを黙って待つのみ、か)」


提督「(…頑張れよ)」


パタン


「……?」


「(誰か…居た?)」


フルフル


「(気のせい、ですね)」


「(…ひと休みしたら再開しなきゃ)」

ここまで



______________________________



翌日



『演習場』



提督「(…悪くない)」


提督「(気だるそうな川内も良い動きだ。こいつに関しては、夜が異常過ぎるだけか…)」


提督「(最終調整は、大湊から来た演習の申し出だな)」


「提督」


提督「ん?…おう、お前か」


「こんにちは。ひとつ、お願いがあるのですが」


提督「(…来たな)」


提督「艤装は?」


「えっ?」


提督「言わなくてもお前の…その顔見りゃわかる」


「提督…」


提督「見せてみろよ、鍛錬の成果」




「…!知っていたのですか…?」


提督「まぁ…たまたまな」


「ふふ…ありがとうございます」



・・・



利根「む?…お主ら、あそこを見てみよ」


摩耶「あん?……おっ」


川内「おー、あの人だねぇ」


球磨「何だか雰囲気が違うクマ」


川内「私、今日も膝枕して貰ったよ」


叢雲「あんたいつの間にそんな…」


川内「気持ちよくてさ~つい、ね」


叢雲「聞いてないわよ!」


摩耶「へっ…今度こそ、お手並み拝見だな」


利根「(くくく…随分と研鑽を積んで来たようじゃな。これは楽しみじゃ)」


・・・


ザー…


「……」


「(…集中…)」



「(…赤城さんに教わった事…)」


「(…鍛錬を、無駄にしない為に…)」


「…行きます!」


チャキッ


「…ふー……」


グググ…


パシュッ


「(…よし!)」




提督「(ここまでは前と同じだ。さぁ、変わったお前を見せてみろ)」




「(皆さん…見ていて下さい。私にも戦える事を、証明します!)」


「第一次攻撃隊!発艦して下さい!」


ブシャァ!(矢が炸裂)


ブロロロロロロ…
ブロロロロロロ…




提督「(…!)」


利根「やりおった!」


川内「おー!発艦してるよあの人!」



叢雲「出来るのが当然なんだけど……良かったわね」




ドゥルルルルルル!


ガガガガガ!




摩耶「あれ…全弾命中じゃね?」


球磨「すご……恐ろしい精度クマ」




「…………ふぅ」


グッ


「(…やった…)」


・・・


ザー… ザッ


「ありがとうございました、提督」


提督「おう。やってくれたな」


「あ、あの…それで、その…私も」


提督「……明日からお前も艦隊に入れる。宜しく頼むぞ」


「…!はいっ!お願いしますっ!」



摩耶「やるじゃねーかおい!」


バシンッ!(背中)


「痛たーっ!」


利根「見事じゃったぞお主ー!」


ペシーンッ(お尻)


「ひゃんっ!」


球磨「お疲れクマ」


ポンポン(背中)


「く、球磨さん…」


叢雲「凄かった、期待してるわよ」


ポンポン(肩)


「叢雲さん…」


川内「ねぇねぇ、また後で膝枕して~」


「川内さん…ふふふ、喜んで」


提督「おうおう、人気者じゃねぇか」


「あ、あはは…」


提督「という訳で、明日からお前もスケジュールに組み込む。近海の哨戒中には度々、少数ではあるが深海棲艦が入り込む。哨戒に参加し、お前は戦わずに索敵に専念しろ」


「索敵…ですか。はい、やってみます」


提督「ああ。じゃ、今日から空の目は……お前だ」


「空の…!……はいっ!」

ここまで
少しずつ進めます

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