【俺ガイル】八幡「今日は高校の入学式か...」 (27)

八幡「(こんな俺でも、今日という日はとても待ち望んでいたのだ。)」


八幡「(新しく始まるであろう生活にワクワクが止まらない。)」


八幡「(小学校も中学校も友達いなかったけど、高校ではそんな事態にはさせん!本気出すからな!!)」

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この時期、俺は燃えていた。時刻は午前5時30分。中学卒業後の春休みからこの日のために、ずっと早寝早起きを実践してきた。


今日は一段と早く起床した。入学式は午前9時からだ。大方午前8時に高校へ到着していれば良いが記念すべき最初の登校日。


八幡「(1時間や2時間くらい早く着いてしまっても構わんだろう。)」


八幡「善は急げだ。早く出発すっか。」

俺は家を出た。自転車をこぐ。


この時間帯は人気が少なく、ひんやりとした冷たい風が自身の身に当たる。


それがまたとても気持ちの良いものだった。


俺は落ち着いた心持ちで自転車をこぎ続けた。そうしているうちに、犬を連れて散歩をしている若い女の子が見えた。

外見はとても若く見える。おそらく年齢は同じくらいだろう。こんな朝早くにペットの散歩をしているとは...いや~感心、感心。


そういう俺もこんな朝早くに高校へ向かおうとしているわけだが。

若い女の子「ああっ!」


女の子は犬のリードを離してしまった。犬は車道へと飛び出す。車が高速で犬に向かっていく。このとき、体が勝手に動いていた。


八幡「うぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

俺は叫び声をあげながら、犬を守ろうと車道へと飛び出した。


八幡「-っ...」

気が付くと俺は病室にいた。俺の高校生活の初日がこんな形になってしまうとは、思ってもみなかった。人生は何があるか分からないものだ。


ただ唖然とする他なかった。


トントン


ドアのノックの音が聞こえた。

医者「失礼するよ。」


八幡「はぁ...。。。」


医者「君は左足を骨折しているね。今日は高校の初日だったようだけど、とんだ災難だったねぇ。」


医者「簡潔に言うと全治1ヵ月ってところだね。」


ふむ、車に引かれて全治1ヵ月...。不幸中の幸いと言ったところか...

??「あっ、お兄ちゃん!気が付いたんだね!」


そこには俺の妹がいた。小町だ。

八幡「お前、学校は?」


小町「早退してきたよ。お兄ちゃんが大変なことになってるってのに落ち着いて学校になんていられないよ!」


どうやら俺が事故に遭ったことで小町にまで迷惑をかけてしまう羽目になったらしい。凄まじい罪悪感だ。

小町「それでお兄ちゃん、いつ退院できるの?」


八幡「まあゴールデンウィーク過ぎた頃くらいじゃね。医者が全治1ヵ月って言ってたからな」


小町「ありゃま...」


小町「でもお兄ちゃんが元気そうで良かった」


小町は安堵の表情を浮かべる。

小町「お兄ちゃん、お見舞い毎日いくから元気出しなよ!この病院ふつうに学校から近いし笑」


小町「じゃ、そろそろ行くね。じゃあね~」


小町は笑顔で俺に手を振り病院を後にする。俺の妹とは考えられないほどに明るくていい子だ。


こうして俺は入院生活を続けることになる。

それから1ヵ月近く経った。


医者「うん、もう問題はないみたいだし明日にでも退院できるね。」


八幡「そうですか」

左足を骨折しただけだったので、手は自由に動いた。


お見舞いに来た小町がマンガやゲームを持ってきてくれたおかげで、なかなか充実した病院ライフを送ることが出来た。


病室で読むマンガも、病室でプレイするゲームも楽しいものだった。


だがそんな生活も終わりだ。少し寂しさを覚える。


当初の高校生活に対する楽しみは消え失せていた。というかもうクラスでグループ出来てるだろ...


友達というものに若干期待をしていた俺としては絶望的であった。


こうして俺は冷めた心で周囲とは遅れて高校生活を始めることになる。

登校初日。5月8日(月)。


自転車をこぎ俺は高校へと向かった。あの時と同じ通学路だ。


今度は無事に高校へとたどり着けた。

まずは教室に...と言いたいところだが、教室に入る前に職員室に行かなければならない。担任に会わなきゃいけないからだ。面倒だ。


頭の中で文句を言いながら俺は職員室へと入る。


職員室に入ると、担任が話しかけてきた。

担任「ひきたに君、大丈夫だった?」


担任は30代くらいの女性といったところか。そんなことはどうでも良いが。


それより教師のくせに生徒の名前を間違えるとは何事だ。ひきがやだ。ひきがや!

八幡「うす、全然平気です。それと俺の名前はひきたにじゃなくて、ひきがやです。」


担任「あっ、ごめん。」


担任は軽く受け流す。

担任「周囲と遅れて高校生活始めるってことで不安も多いと思うし、何か悩みとかあったら遠慮せず言ってね。いつでも相談に乗るからね。」


とても頼りがいのある人だ。


八幡「ありがとうございます。」


お礼を言うと、俺は職員室を後にした。

平塚静「ふん、あれが入学初日から事故に遭ったという比企谷八幡か...」


女性教師、平塚静は比企谷八幡のことを少々気にかけている様子だった。


教師A「大変ですよね...彼。」


平塚静「確かにな...」

八幡「1-2...ここが教室か。」


俺はドアを開ける。見知らぬ俺の存在にクラスの人間は、珍しいものを見るかのような視線を浴びせてくる。


クラスメートA「ん、あんな奴いたっけ?」


クラスメートB「事故にあったとかいう、ヒキタニ君じゃね?」


クラスメートA「ああ、そっか」

俺はそんな会話を気にせず、自分の座席に座る。


さっき、担任から教えてもらったので、クラスメートに教えてもらう必要はない。ナイス俺。


クラスメート達は俺の存在など関係なく、ざわついていた。


それとは関係なく俺は1人で机に顔を伏せる。そして目を瞑りながら考え事を始めた。

もともと俺は孤独体質だ。このままずっとボッチとして高校生活を送っていくのだろう。


それに対して少々悲しい気持ちはあるが、どうでも良いと言えばどうでも良い。


小学や中学もボッチだったのだ。もう1人には慣れている。


このまま、何もない毎日を繰り返し送っていくのだろう。

比企谷八幡はわずか15歳にして、あり得ないほどに冷めていた。


このとき、彼は自分が奉仕部に入れられることになるとは思ってもみなかった。


END

これで完結です。ありがとうございました。

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