パタリロ「サイタマラリヤだと?!」 (48)
◎若干ネタバレ要素あり注意!
●全43レス前後(予定)
●キャラ曲解・崩壊注意
●白石冬美さんのご冥福を祈って
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・・・ザ ザ ア ッ
ザ ・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・ ザ ッ
ザ ザ ・・・ ザッ ・・・
┌──────────
│ 常春の国 マリネラ
└──────────
パタリロ「うむ、やはりこれが一番だな」
タマネギ「そうですか?」
パタリロ「実家に帰ったような安心感がある」
タマネギ「殿下は生まれてからずっと王宮暮らしじゃないですか」
パタリロ「ものの例えのわからんやつだな。
・・・母上のもとに帰ったようだ、とでも言えばいいか」
タマネギ「まあそれなら」
パタリロ「変に奇をてらって裏返したりひっくり返したりするなど
ネタに詰まった漫画家の尺稼ぎのようなことをされてはたまらん」
・・・ ダ ダ ダ
パタリロ「王は王道をゆくものだ」
タマネギ「おや」
ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ
タマネギ「誰か来たみたいですね」
パタリロ「朝ぐらい静かにできんのか」
管理官「殿下ぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」 バ ン !
「国内に伝染病が発生しました!!!」
タマネギ「なんだって?!」
パタリロ「伝染病だと?」
管理官「は、はい! 正体不明の伝染病がマリネラ内に蔓延してしまっています!」
タマネギ「正体不明?!」
パタリロ「蔓延っておい! そんなになるまで何をやっとったんだお前らは!」
管理官「す、すみません! それが、同時多発的に発生してあっというまに・・・」
パタリロ「ええいもういい! ぼくが指揮を執る、現場へ案内しろ!」ダ ッ !
管理官「は、はい!」タッ!
ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ
タ タ タ タ タ タ タ タ タ
管理官「こちらです!」タタタタ
パタリロ「もっと速く走れ!!」ダダダダ
タマネギ「しかし、正体不明の伝染病とはいったい・・・」タタタタ
管理官「そ、それが」ゴソゴソ
パタリロ「ん?」
管理官「これをご覧になってください」 ス ッ
パタリロ「資料か?」ガサッ
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
管理官「・・・・・・・・」タタタタタ
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・・・」ダダダダ…
タマネギ「・・・・・・・・?」タタタタタ
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
タマネギ「・・・・・・・・殿下?」タタタタ…
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ゴ ク リ 。
「間違い、ないのか・・・・・・・・・・・・・・・・?!」
タマネギ「で、殿下?」… ゴ ク ッ 。
パタリロ「間違いないのか」
管理官「・・・はい」
パタリロ「こんなことが・・・」
タマネギ「殿下、いったい・・・」
パタリロ「話はあとだ! 飛ばすぞ」カサッ!
タマネギ「は、はい!」カササッ!
カ サ カ サ カ サ カ サ カ サ カ サ !!
管理官「で、殿下っ?! 待って・・・・・・・・」 タ タ タ タ タ …
ザワザワザワザワ
ザワザワザワザワ …
看護師「いま先生が来ます、頑張って!」
祖母「・・・・・・・・げ、げほ、げほっ」ハア ハア
父親「つ、妻と、子供は・・・・・・・・」フウ フウ
看護師「大丈夫です! しっかり!」
母親「はあ、はあ、はあ…」ゼエ ゼエ
子供「マ、ママ。 ママ…」ハア ハア
看護師「先生、こちらへ!」
医師「いったいなんなのだ、野戦病院かここは」
看護師「原因不明の・・・ 感染症だと、思われます」
医師「原因不明? だからなんなのだ」
看護師「・・・・・・・・わかりません」
医師「わからんとはどういうことだね」
看護師「症状は39度以上の発熱、激しい下痢と嘔吐、そして」
父親「う、うう」
看護婦「失礼します」 ス ッ
───── サ ッ 。
医師「 ! 」
看護師「・・・・・・・・」
医師「これは・・・・・・・・」
( さ ) < ポ ツ ッ 。
看護師「正体不明の、発疹」
医師「・・・ばかな」
看護師「・・・文字のようにも見えます。 日本語でしょうか」
医師「・・・・・・・・!」
( さ ) <ポツッ
( さ ) <ポツ
( さ ) <ポツッ!
看護師「発疹が!」
医師「いかん!」
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ ) < ポツポツポツポツ…
医師「点滴、それに抗生剤を!」
看護師「はい!」タッ!
医師「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ ) ブツ ブツ ブツ
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ ) ブツ ブツ ブツ
医師「・・・・・・・・信じられん」
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ ) ブツ ブツ ブツッ …!
医師「ありえない、だが間違いない、これは・・・・・・・・」
パタリロ「ここか───っ!」カサカサカサッ!
医師「殿下!」
パタリロ「患者の容体は!?」
医師「危険です、近づかないで・・・」
パタリロ「どけっ!」バッ!
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ )
( さ )( さ )( さ )( さ )( さ )
タマネギ「こ、これは・・・?!」
パタリロ「やはり・・・・・・・・」 ギュッ
「サイタマラリヤ・・・・・・・・!!」
【三日後】
カツ カツ カツ
カサ カサ カサ …
タマネギ「・・・・・・・・」カツ カツ
パタリロ「・・・・・・・・今回は、まことに感謝します」カサ カサ カサ
「当然のことです」カツ カツ カツ
パタリロ「ワクチンの提供、それに医療チームを派遣してくださって」カツ カツ カツ
「マリネラとわが国には長い友好の歴史があります。 それに」 カ ツ ッ 。
日本国総理大臣「わが国固有の疾病であるなら、流行はわれわれの責任です」
日本国官房長官「封じこめに不備があったこと、大変遺憾に存じます」
パタリロ「・・・お気になさらず」
タマネギ「・・・・・・・・」
パタリロ「今日はささやかながら会食の席を設けさせていただきました」
総理大臣「痛み入ります」
パタリロ「みなさまがたも、どうぞこちらへ」… カ ツ ッ
官房長官「・・・はい」カツッ
SP「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」カツ カツ
カツ カツ カツ
カツ カツ カツ …
総理大臣「・・・・・・・・」カツ カツ カツ
タマネギ「・・・・・・・・」カツ カツ カツ
官房長官「・・・ずいぶん歩くのですね」
パタリロ「もうしばらく」カサ カサ カサ
官房長官(どういう足音なんだ、いったい)
パタリロ「ときに、総理」
総理大臣「なんですかな」
パタリロ「サイタマラリヤとは、日本国埼玉地方の風土病だと聞いております」
総理大臣「いかにも」
パタリロ「日本、それも埼玉地方の固有種である小型春日部蚊により媒介される感染症」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「しかし、現時点では病原体の存在が確認されていない」
官房長官「 」ピクリ
パタリロ「細菌はもちろん、ウィルスの存在も」
官房長官「・・・・・・・・パタリロ殿下」
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・・・」 カ サ ッ
「あのワクチンはいかにして作られたものなのですかな」
官房長官「・・・今日の非公式会談は、それを訊くためのものですか」
パタリロ「含むところはございません」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「いち科学者としての純粋な好奇心です。 お気に障ったのなら失礼を」
官房長官(なにを抜け抜けと)ジロリ
パタリロ「それではこちらへ」
官房長官「エレベーター?」
パタリロ「ええ」 ピ ッ
ゴ ー …
総理大臣「・・・・・・・・」
官房長官「まだ着かないのですか? もう5分ぐらいは経って・・・」
パタリロ「あと30分ほどです」
官房長官「 は あ ? 」
総理大臣「・・・・・・・・ずいぶんゆっくりとしたエレベーターですな」
パタリロ「最大時速60000キロまで加速します」
官房長官「 へ え え ?!」
総理大臣「まさかこれは・・・」
パタリロ「ええ、軌道エレベーターですよ」カ チ リ
・・・・・・・・ ブ ゥ ン
官房長官「うわっ!?」
総理大臣「おお」
… ヒ ュ - ン
ヒ ュ - ン …
官房長官(あ、足元に地球が・・・)
総理大臣「・・・美しい星だ」
タマネギ「ただいま熱圏付近です。 今しばらくお待ちを」
官房長官「すごい・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゴ ー …
官房長官(マーブル模様の地球。 不思議な空の色)
総理大臣「・・・・・・・・・・・・・・・・」
官房長官(流星がきらめいている。 ・・・あ、また)
パタリロ「総理」
総理大臣「なにか」
パタリロ「申し上げづらいことですが、埼玉地方はかつて」
官房長官「・・・・・・・・殿下。 今その話は」
総理大臣「隠し立てするつもりはありません」
官房長官「・・・・・・・・」
総理大臣「かつてわが国は埼玉はじめとする地方都市に、前近代的・・・
差別的、非人道的な処遇を行っていました」
────── 埼 玉 狩 り だ !
────── 百たたきの上 埼玉に強制送還だ!!
SP「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」
総理大臣「民主主義国家を標榜していながら、恥ずべきことです」
パタリロ「どんな国にも後ろ暗い部分はあります」
タマネギ「・・・・・・・・」
パタリロ「我が国とて例外ではありません。 しかし・・・・・・・・」
官房長官「しかし、なんでしょうか」
レジスタンス
パタリロ「埼玉地方への差別を撤廃するため立ち上がった抵抗組織 ────」 カ サ ッ 。
「 埼 玉 解 放 戦 線 。 」
SP「 」ピクリ 「 」ピクッ
パタリロ「埼玉と一口に言っても、その内情は乱麻のごとき群雄割拠」
いま現在でも自治体の数は日本最多、ましてかつての埼玉地方は役人も近寄らない無政府状態」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「その埼玉の地には多数の豪族がひしめきあい、血で血を洗う抗争に明け暮れていた」
レッズ アルデイジャ
烈豆党と有 泥 蛇党は、最近でも衝突を起こしたそうで」
官房長官「・・・よくご存じですね」
パタリロ「そんな県内勢力をひとつに糾合し強力な戦闘集団となった組織、埼玉解放戦線。
・・・カリスマ性あふれるリーダーの存在があったと聞いております」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「強い指導力を持ったリーダーに率いられた埼玉解放戦線は、
首都と周辺都市の癒着、腐敗した政治構造を白日のもとにさらし
ついに東京都の一極支配体制を打倒した ──────」
官房長官「それが、何か」
パタリロ「・・・・・・・・ここまでは歴史の教科書にも載っている話」
官房長官「なんですって?」
パタリロ「埼玉解放戦線は暴戻な支配者を倒し革命を成し遂げ
日本国民に真の平等をもたらした団体として名を残しています」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「しかし実のところ、彼らは単なる反政府組織ではなかった」 カ チ リ
シ ュ パ ッ !
官房長官「・・・わっ!」
総理「全天スクリーンとは」
パタリロ「彼らの最終的な目的は、自分たちが新たな支配者になること」 サ ッ
タマネギ「はっ」ピッ
・・・・・・・・ パ ッ
SP「・・・・・・・・!」「!・・・・・・・・」
官房長官「これは・・・・・・・・」
【 日 本 埼 玉 化 計 画 】
総理大臣「・・・・・・・・ふむ」
パタリロ「彼らは日本全土の支配をもくろんでいた。
しかしそれは武力や権力によるものではない」
総理大臣「ほう」
パタリロ「彼らは『便利さ』による支配という手段を取った」
タマネギ「・・・・・・・・」ピッ
…カカカカッ カカカカッ
カカカカカカ
官房長官(し○むら、ファ○マ、がってん○司、ほっ○ほ○か亭・・・)
総理大臣「埼玉県にゆかりある企業のデータですな」
パタリロ「ええ。 いずれも埼玉発祥の企業」
タマネギ「共通点は、日本全国に展開し市民の『生活』に密着していること」
官房長官「・・・・・・・・」
パタリロ「よりよいものをより安価に、いついかなる時であろうと手に入れられる。
彼らはこの優れたビジネスモデルを日本全国へと波及させた」
タマネギ「結果、日本国民の生活はこれらの企業及びそのスタイルに
依存するようになってしまいました」
総理大臣「・・・・・・・・」
官房長官「社会が進歩した、というだけでは」
・ ・ ・
パタリロ「ええ、進歩したのでしょう。 社会は。」
官房長官「・・・・・・・・」 ム ッ
パタリロ「民衆は、一度便利になった生活をそうそう捨てられない。
先進国が新興国をODA漬けにするようなものですな」
官房長官「・・・それはわたしたちの国策を批判するものでしょうか」
パタリロ「一般論です。 次を」
タマネギ「はっ」カチリ
カ カ カ カ カ ッ 。
官房長官「・・・これは」
パタリロ「この店舗・・・ 看板に見覚えはありますでか」
総理大臣「山○うどんですな」
パタリロ「その通りです 」
タマネギ「これも埼玉発祥のファストフード店です」
官房長官「これが何か」
パタリロ「先ほどの企業と同じように、良質な食事を安価に提供しているようですな」
官房長官「山田う○んは埼玉を中心とした関東圏にしか出店していないはずでは」
パタリロ「よくご存じで」チラリ
タマネギ「・・・・・」カチリ
・・・ カ カ カ カ 。
官房長官「 ! 」
総理大臣「・・・これは」
パタリロ「山田うど○はこの近年、東海岸を中心とした
アメリカ国内に広く展開をはじめました」
官房長官「・・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「○田うどんの店舗設計は、アメリカの大衆食堂『ダイナー』をルーツとしている」
タマネギ「ダイナーは労働者らに昼夜問わず食事を提供する店舗として、
アメリカの経済活動を支えました」
パタリロ「しかし世界的に経済活動が停滞する中、ダイナーもその影響から逃れられなかった。
特に都市郊外、ロードサイドに設置された店舗は次々と閉鎖されていった」
タマネギ「その間隙を埋めたのが○田うどんでした」
ピッ ピッ ピッ …
パタリロ「この地図の赤い点が、山田○どんの店舗の位置です。
すでに200店舗を越えています」
官房長官「殿下。 いったい先ほどから何をおっしゃりたいのですか」
パタリロ「・・・・・・・・・ふと、つまらない考えが頭をよぎったのですよ」ピッ
「山○うどんは、単にダイナーをモデルにしたというわけではなく
最初からこうするつもりだったのではないかとね」
官房長官「・・・なんですって」
パタリロ「『便利さ』を前面に押し出し、民心をつかんで地域に進出。
彼らのライフラインを握ることで支配力を及ぼす──── 」カ チ リ
────── パ ッ 。
「彼らがそれを、世界に向けてやり始めたのだとしたら」
【 世 界 埼 玉 化 計 画 】
総理大臣「・・・・・・・・・・・・・・・・」
官房長官「・・・・・・・・・・・・・・・・」ギュッ
パタリロ「『SAITAMA』という言葉は今や、インターネットミームとして
全世界へと発信されている」ピッ
\ │ /
/ ̄\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
─( ゚ ∀ ゚ )< さいたまさいたま!
\_/ \_________
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∩ ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\∩ ∧ ∧ \( ゚∀゚)< さいたまさいたまさいたま!
さいたま~~~! >( ゚∀゚ )/ | / \__________
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 ̄ / /
パタリロ「世界は『SAITAMA』という言葉を知った。
次は『埼玉』を知るときなのでは」
官房長官「荒唐無稽な話だ」
パタリロ「まあそうでしょう」
総理大臣「──── 長官」
官房長官「・・・すみません。 口が過ぎました」
パタリロ「そう固くならずに。 くだらない話をしたのはこちらですから。
ただ、どうしても得心がいかないことがある」 ピ ッ
・・・・・・・・ プ ツ ン 。
総理大臣「得心というと」
パタリロ「サイタマラリヤは局地的な風土病。
しかもその発生地域はすべて国の管理下にあるはず」
総理大臣「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「貴国の厳重な管理を偶然にすりぬけるとはどうしても思えんのです」
総理大臣「誰か意図的に病原体をマリネラに持ちこんだ者がいると」
官房長官「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「ええ。 そしてそれができる者がいるとすれば」
総理大臣「埼玉県民である可能性が大きいでしょうな」
官房長官「総理!」
パタリロ「そうです。 それも」 カ サ ッ 。
「埼玉解放戦線のメンバーである可能性が極めて高い」
官房長官「・・・・・・・・・・・・・・・・それは」
総理大臣「道理ですな」
・ ・
パタリロ「国の厳重な管理をすり抜けてあの埼玉に侵入し、国外に病原体を持ちだす・・・
普通のテロリストに出来ることとは思えません」
官房長官「・・・埼玉解放戦線のメンバーは、現在でも国の監視下にあります」
パタリロ「そう願いたいと思っている。
けれども今なお潜伏している者がおらんと断言できますかな」
官房長官「断言いたしましょう」
パタリロ「おまえは逆の立場でそれを信用できるのか」ジ ロ リ
絶海に浮かぶ島国という環境のマリネラでこれ以上
サイタマラリヤを蔓延させておくわけにはいかない。
もし自然発生でないとしたなら、その実行者には苛烈な処置を施さねばならん。
草の根を分けても見つけ出す。
──────── 貴国の協力のもとに。
官房長官「なんですって・・・」
総理大臣「われわれに再び『埼玉狩り』をやれと」
パタリロ「そのような事態にならんことは願いたい。 だが彼らが世界埼玉化計画を実行に移し、
その手段としてサイタマラリヤを使ったのならわれわれは容赦しない」
総理大臣「・・・善処いたしましょう」
SP「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」
・・・ チ ー ン 。
官房長官「あっ」
パタリロ「長々とつまらない話をして申し訳ない。 ここが最上階です」
ゴ ー ー ー ー …
総理大臣「おお」
官房長官「これは・・・・・・・・」
・・・・・ キ ュ ー ー ー ー ー ン
キ ィ ン キ イ ン キ イ ン ・・・
総理大臣「素晴しい」
パタリロ「これがわが国独自開発による宇宙ステーション『への一号』」
官房長官「す、すごい」
パタリロ「まだこれも中継点に過ぎません」
タマネギ「将来的にはラグランジュポイントまで到達する計画です」
官房長官(信じられない・・・)
キ ュ ン キ ュ ン キ ュ ン
キ ュ ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ・・・・・・・・
官房長官(なんて大きさだ。 国際宇宙ステーション、いやそれ以上・・・・・・・・)
官房長官(これがマリネラの技術力、国力なのか)ゴ ク リ
タマネギ「食事の準備が整いました」ガチャリ
総理大臣「うむ」
SP「・・・・・・・・」サッ 「・・・・・・・・」スッ
コツ コツ コツ
カツ カツ カツ
タマネギ「どうぞこちらへ」 ピ ッ シ ュ ン ッ !
総理大臣「ほう」
ロ コ コ
官房長官(・・・フランス様式か)
パタリロ「ようこそ、さあどうぞそちらへ」
総理大臣「では遠慮なく」ガタッ
官房長官(華美に過ぎる。 悪趣味だな)ガタ
SP「・・・・・・・・」スッ「・・・・・・・・」ス…
パタリロ「それでは」ガバッ
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ガツガツハグハグガブガブ
モグモグボリボリゴキュゴキュ
パタリロ「んぐ、はぐ、むぐ」ガツガツガツガツ
総理大臣(いい食べっぷりだな)…カチャ
パタリロ「んぐんぐんぐんぐ」プハッ
官房長官(まるで豚だ)カタン
パタリロ「おふたりは、食が進みませんかな」ゲフッ
総理大臣「おかまいなく」カチャッ
官房長官(食欲が失せた)ゲンナリ
パタリロ「これからメインディッシュですぞ」
タマネギ「どうぞ」スッ
総理大臣「いただこう」コポ コポ
官房長官(赤ワインか)コポコポコポ…
・・・・・・・・ ポ ポ ポ
総理大臣「・・・・・・・・」ピクッ
官房長官「 ! 」
パタリロ「おお、鳴き声が聞こえたぞ」
総理大臣「・・・今のは」
パタリロ「今日のメインディッシュです」
官房長官(なんだと・・・!)
ポ ポ ポ ポ ポ ?
ポ ポ ポ ポ ポ ?
官房長官(・・・この鳴き声!)
パタリロ「今日はジビエを堪能していただこうと思いましてな」
総理大臣「・・・・・・・・・・・・・・・・ほう」
パタリロ「あなた方の国から取り寄せるのは苦労しましたぞ」パチッ!
ポ ポ ポ ポ ・・・・・・・・ ?
SP「!」 「・・・・!」
官房長官(やはり・・・)
パタリロ「天然もののシラコバトです」
総理大臣「・・・我が国の天然記念物だが」
パタリロ「ちゃんと正式に許可はいただいております」
・・・・ ポ ポ ポ ポ ??
総理大臣「・・・せっかくのご厚意だが、わたしは遠慮させてもらおう」
官房長官「わたしもだ。 シラコバトは年々減少しているはず」
パタリロ「そうですか。 ではわたしだけで」パキッ!
タマネギ「はっ」サッ!
ガ シ ッ !
ポ ?!
ポ ー ッ ! ポ ー ッ !!
総理大臣「!・・・・・・・・」
官房長官「な、何を!」
パタリロ「なにって、羽をむしってしめるだけですが」
SP「・・・・・・・・!」「・・・・・・っ!」
総理大臣「 ・ ・ ・ ・ ・ 」
ポ ー ッ ! ポ ! ポ ー ッ!!
官房長官(・・・そんな!)
パタリロ「では、やれ」
タマネギ「はっ」グッ!
ド ガ ッ !!
タマネギ「ぐわあ?!」ドタッ!
パタリロ「!!」
ポ ッ !!??
───── ヒ シ ッ 。
ポ ・・・・・・・・ ?
総理大臣「・・・もう、大丈夫だ」
ポ ポ ・・・・・・・・
官房長官「総理!」
SP「「・・・・・・・・!」」ザザッ!
パタリロ「貴様ら!」
ファンファンファンファンファン
ファンファンファンファンファン!
官房長官(・・・・・・・・この音!)
タマネギ「埼玉センサー、反応しました!」
パタリロ「やはり・・・・・・・・!」
ファンファンファンファンファン!
ファンファンファンファンファン!
タマネギ「この反応、レベル4クラスの埼玉県民です!」
パタリロ「そういうことか・・・ おかしいと思ったんだ」
総理大臣「・・・・・・・・」
パタリロ「日本の防疫体制に不備があるとは思えない。
ある程度の権限を持つ人間が協力していると思っていたが」
官房長官「・・・・・・・・」
パタリロ「まさか一国の指導者が洗脳されていたとは!」
総理大臣「洗脳? ・・・・・・・・ふっ」ニヤッ
官房長官「・・・・・・・・ふふふ」ニヤリ
パタリロ「なにがおかしい!」
総理大臣「われわれは洗脳された覚えなどない」… ス ッ
官房長官「・・・・・・・・く 、くっ、くっ」 ス …
ビ シ ッ !
タマネギ「その翼をかたどったポーズは!」
パタリロ「埼玉の象徴、しらこばとのポーズ・・・」
────── 埼 玉 ポ ー ズ !
パタリロ「まさか・・・ おまえら・・・!」
官房長官「洗脳だって? くくくくくっ・・・ 笑わせるな!」
総理大臣「そんな非人道的なことを行ったわけではない」ニヤリ
「わたしは偉大なふたりの父の背中を追っているだけ」
【第XX代日本国内閣総理大臣 麻美麗】
「ぼくはこの人にどこまでもついていくと誓っただけだ!」
【日本国内閣官房長官 壇ノ浦百美】
パタリロ「埼玉解放戦線の中心メンバーか!」
麗「さすがマリネラ国王、パタリロ・ド・マリネール8世」
百美「切れ者だという噂は本当だったみたいだね」
パタリロ「日本埼玉化計画は完成していたというのか・・・!」
麗「いかにも」
百美「おまえの思った通り、計画はすでに世界への段階に入っている!」
パタリロ「そんなことを許すと思うか!」 ピ ッ !
ダ ダ ダ ダ ダ ッ !
麗「・・・・・・・・・・・・・・・・むっ」
百美「来たか!」
黒タマネギ「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」ザザザザザッ
タマネギ(わが国きってのエリート集団、黒タマネギ部隊!)
パタリロ「ここは宇宙空間。 逃げ場もないし助けも来ないぞ」
麗「そうか」…フッ
パタリロ「洗脳されてないというなら、ぼくがおまえらを洗脳してやる!」
百美「つまらないギャグだ」サッ!
SP「「はっ!」」ザザッ!
黒タマネギ「「「「「・・・・・・・・!」」」」」ザザザッ!
百美「やってやれっ!」
埼玉解放戦線 東郷修「はいっ!」
麗「[ピーーー]なよ」
埼玉解放戦線 岩村智史「心得ました!」
パタリロ「まっとうな日本人にしてやる、かかれ!」
黒タマネギ「「「「「おおおおおっ!」」」」」ダダダダダッ
修「・・・かかってこい!」
智史「手加減しないぞ・・・!」
ド ガ ッ !!
バキッ ビシッ
修「せいっ はあっ!」
黒タマネギ「うわあ?!」
ドカッ ドゴッ
智史「せりゃあっ!」
黒タマネギ「うぐおっ!」
ビシッ ガス ベキッ
パタリロ「ええい、ふたり相手に何をやってる!」
麗「相手にならんな」
百美「数を頼むやつなんて、こんなもんさ」
パタリロ「ぬかせ! こうなったら人海戦術だ!」
タマネギ「了解!」ピッ!
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
タマネギ部隊「「「「「「「「「 う お ー っ ! 」」」」」」」」」」ドドドドドドド
修「な?!」
智史「うわあっ!」
パタリロ「押しつぶせ!」
タマネギ部隊「「「「「「「「「うおおおおおお!」」」」」」」」」」
ドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサ
修「ぐあっ」
智史「むぐう」
麗「修、智史!」
パタリロ「その二人も捕まえろ!」
タマネギ部隊「「「「「「「「「 了 解 ! 」」」」」」」」」」ドダダダダ
麗「くっ」
百美「わああ?!」
ドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサ
百美「むぎゅ」
麗「ぐうっ」
タマネギ「やった!」
パタリロ「手こずらせてくれたな」
百美「なりふり構わないやつめ!」
パタリロ「なんとでも言え」ピッ!
百美「な、なにを・・・」
・・・ギュイイイイイイイン!
百美「わっ!!」
ギュルン ギュルン ギュウウン
麗「なんだこれは・・・!」
百美(洗車ブラシ?!)
パタリロ「洗脳開始だ」ピッ!
ギュゴゴゴゴゴゴゴゴ…!
百美「何をする気だ!」
パタリロ「脳をきれいに洗ってやる」
麗「なんだと?」
パタリロ「耳の穴からこいつを突っこんでな」
百美「洗脳の意味が違う!!」
パタリロ「よく知っていたな」ニタリ
百美「このサディストめ!!!」
ド ゴ ォ ン
パタリロ「なっ?!」グラッ!
百美「うわあ!」ガクンッ!
タマネギ部隊「「「「「「「「うわあーーーーーーっ!」」」」」」」」ドタバタドタバタ
ビーーーッ ビーーーッ
ビーーーッ ビーーーッ
タマネギ「い、いったいなにが」
パタリロ「緊急警報?!」
[ 外壁に損傷 外壁に損傷 ]
[ 基部スラスター全損 姿勢制御不能 ]
タマネギ部隊「た、助け」「お・・・重い・・・」「つぶれる・・・」「あばばばば」
パタリロ「くそ、何事だ! 映像を出せ!」ピッ!
・・・・・・・・ ブ ゥ ー ン
パタリロ「な・・・なんだこりゃ!!??」
百美「来てくれたんだ」
麗「ああ。 ・・・間に合ったようだ」ニヤッ
ゴ オ オ オ オ オ オ オ
タマネギ「外部に、何かが取りついてる!?」
パタリロ「識別信号は・・・ なにっ!」
[ 観測衛星 だいち2号 ] ピ ッ!
パタリロ「観測衛星だと? そんなものがなんでここに・・・
っていうか、なんで衝突するまで近づかれたんだ!」
タマネギ「あ、あれを!」
ゴオオオオオオ・・・
パタリロ「表面のマーク? ・・・むっ」
タマネギ「鳩です! 鳩のマーク!」
パタリロ「まさかあれも!」
麗「その通りだ。 観測衛星は仮の姿」
百美「正体は宙域での電子戦に備えた軍事衛星さ」
麗「そして、この衛星に指令を出しているのは・・・・・・・・」
[ ・・・こちら『だいち2号』 こちら『だいち2号』 ]
タマネギ「通信です!」
パタリロ「どこのどいつだ?!」
【 鳩○町 JA○A地球観測センター 】
ピ ピ ピ ピ ピ ピ
「・・・こちらだいち2号。 マリネラ国王パタリロ陛下、応答されたし」
[ ・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ貴様!! ]
「感度良好だな。 ・・・貴艦は機位を失している」
「そちらの迎撃システムも無力化させてもらった」
[ なんだと・・・ ばかな! ] [ システム起動しません! ]
「これ以上の抵抗は無意味である、速やかにわが国の総理と長官を解放されたし」
「さすれば今回の件は不問に付す。 日本とマリネラは友邦である」
[ くそ・・・ くそ、覚えてろ!! ]
「今後もよきお付き合いを。 ・・・・・・・・・・・・・・・・さて」ピッ!
「総理、官房長官。 だいち2号へお移りください」
[ ありがとうございます。 ・・・父上 ] [ 感謝します、お父様 ]
埼玉デューク「・・・無事で何よりであった、息子たちよ」
【2週間後 マリネラ王宮】
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
タマネギ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「・・・ああ腹が立つ」
タマネギ「そうだったんですか?」
パタリロ「そうだったとはなんだ、埼玉県民ごときにしてやられたんだ。
腹が立たんわけないだろうが」
タマネギ「さっきから笑ってるじゃないですか」
パタリロ「・・・・・・・・・・・・・・」
「 そ ~ か ~ ? 」ニタニタ
タマネギ「日本からODAが届いたからですか」
パタリロ「わが国は途上国ではないというのに、全く迷惑なことだ」ニヘラニヘラ
タマネギ「すごい額でしたね」
パタリロ「手打ち金だからな」
タマネギ「手打ち、ですか」
パタリロ「これで手を打て、さもなくばという恫喝だ」
タマネギ「・・・やっぱり怒ってたんですか」
パタリロ「金さえもらえればどうでもいい」ニンマリ
タマネギ「その割り切りはご立派だと思います」
パタリロ「日本は大国だ。 本気で事を構えようとは思わん」
タマネギ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「返す返すも腹立たしいが、事実日本の援助もあり
サイタマラリヤの流行は終息した」
タマネギ「はい」
パタリロ「日本はマリネラのダイヤ産業、最大のお得意様でもある。
仲良くするに越したことはない」
タマネギ「・・・・・・・・・・・・・・」
パタリロ「・・・だが、何もせずに済ませる気もないぞ。
例のものは用意できたか」
タマネギ「今朝届きました、ご覧になってください」
パタリロ「うむ。 二度と埼玉県民にマリネラの地は踏まさんぞ」
[ 埼玉銘菓 草加せんべい ]
タマネギ「・・・これが本当に効くんでしょうか」
パタリロ「効く。 やつらはけしてこれを踏むことができん」
タマネギ「はあ」
パタリロ「これにしらこばとの絵を焼き入れてマリネラ中に敷き詰めろ。
空港、港湾地区はもちろんありとあらゆる施設、街路・・・
人が足を踏み入れる場所にはもれなくだ」
タマネギ「わかりました」
パタリロ「埼玉ホイホイも用意してあるな?」
タマネギ「200基を海岸線沿い、100基を都市部に」
パタリロ「うむ。 覚えていろ埼玉県民どもめ・・・!」
パタリロ「ひと段落したら腹が空いたな」グ~
タマネギ「そろそろおやつの時間ですね」
パタリロ「うむ。 例のものは用意できてるか」
タマネギ「コンテナいっぱい用意しています」
パタリロ「よし」
ゴ ー ー ー ー ー ー … ガ コ ン 。
食事係「殿下、おやつをお持ちいたしました」ガラガラガラ
パタリロ「ごくろう。 おまえらも食べていけ」
タマネギ「ご相伴にあずかります」
ガリ ガリ ガリ ガリ
ガリ ガリ ガリ ガリ
パタリロ「うむ、美味い」ガリガリガリ
タマネギ「くせになる味ですね」ガリガリガリ
食事係「あたたた・・・ あ、頭が」 キ ー ン !
タマネギ「アイスキャンデーですから」ガリガリガり
パタリロ「だらしないなまったく。 追加発注を忘れるなよ」ガリガリガリ
食事係「コーンポタージュ味2トンでよろしかったですか」
パタリロ「1トン追加だ。 あとゼリーフライ味も3トン」ガリガリガリ
ガリ ガリ ガリ ガリ ・・・・・
【日本国 内閣府】
麗「・・・・・・・・・・・・・・計画は順調か」パラッ
修「はい。 麗様の思惑通りになっています」
[ そうだ、草加せんべいを敷き詰めろ! ]
[ マリネラを草加せんべいで覆い尽くすのだ! ]
智史「草加せんべいが敷かれた区域はすでにマリネラの国土30%に及びます」
麗「もう効果は出ているようだな」パラリ
修「はい。 こちらをご覧ください」サッ
≪埼玉指数グラフ≫
百美「どれどれ。 ・・・うわあ」
修「マリネラの埼玉指数は前月度に比べ三倍以上に増加」
智史「池袋に迫る勢いです」
百美「・・・ほんとうに効果があるとは思わなかった」
麗「わたしも疑似科学のたぐいだと思っていたのだがな」パラ…
百美「その本のこと?」
麗「ああ」… ス ッ
【 意 味 論 概 説 】
百美「意味論、か。 言葉はただの記号や音声ではないとする言説。
言葉はそれ自体に事象の意味を規定できる力があると」
修「どういうことでしょうか」
百美「・・・『怒り』という文字を見続けていれば怒りっぽくなる、
『悲しみ』という文字を見続けていれ気がふさぐといったところかな」
麗「そういうことだが、それだけにはとどまらん。
意味論は人の精神のみならず、実際の事象にまで影響を及ぼすのだ」
智史「実際の事象、ですか・・・」
麗「達人の手にかかれば、花という文字を書くだけで現実に花を生じさせる」ピッ!
はな
[ 8! 7! 8 7 ! ] ポンッ!
智史「宙から花が?!」
麗「この記録映像を見なければ私にも信じられなかったろう。
この老人は意味論を用いて、マリネラ全土に終わらない正月をもたらしたのだという」
百美「・・・信じられない。 でも、それなら」
麗「そうだ。 この技法を用いればマリネラを埼玉にすることも可能だろう」
百美「彼らは自分自身の手で、みずからの国を変容させていくのか・・・」ゴクッ
[ 殿下、草加せんべいを壁にも張り付けてはいかがでしょう ]
[ それはいい考えだ! さっそく実行しろ! ]
[ 日本国でも品薄になってきました。 数がそろえられません ]
[ 国内に工場を建てろ! 大至急だ!! ]
修「マリネラが埼玉化すれば、われわれの計画は大きく前進するでしょう」
麗「・・・そうだな。 われわれは幸運だった」スッ
「サイタマラリヤ初の国外発生が、マリネラであったことは」コトン
≪サイタマラリヤワクチン≫
百美「・・・・・・・・・・・・・・」
麗「埼玉の風土病、サイタマラリヤ。 伝染病とされているが」
百美「その実態は『埼玉アレルギー』。 ぼくらが全世界にバラまいたインターネットミームに、
マリネラの国民たちが反応したんだ」
修「体内の埼玉指数が高まり免疫力と衝突する結果起こる過敏反応」
アナフィラキシーショック
百美「最悪、拒 絶 反 応 を引き起こし死に至る」
智史「治療法は、希釈した埼玉エキスを摂取すること ────」
・ ・
百美「・・・ぼくはこれで治ったんだよな」
麗「まさかおまえの言う通りだとは思わなかった」クスッ
百美「やめてくれ麗。 反省してるんだから」
[ そこらへんの草でも食わせておけ! 埼玉県民ならそれで治る!! ]
麗「サイタマラリヤワクチンの正体が、埼玉の『そこらへんの草』の汁だとは」
百美(思い出してみれば、あれが治ってから埼玉耐性がついたような気がする)
麗「・・・埼玉アレルギーを発症するということは、埼玉エキスへの感受性が高いということ」
百美「つまり、埼玉化しやすいということなのか」
麗「その通りだ」
麗「マリネラの技術力が手に入れば、われわれの計画は一気に進むだろう」
百美「世界埼玉化計画は達成したも同然だね」
麗「そうだ。 しかし ────」
百美「しかし?」
麗「欲が出てきた」
百美「欲?」
・ ・ ・ ・
麗「マリネラではさんざんな目に逢ったが、あの光景だけは素晴しいものだった」
百美「・・・うん」
───── マーブル模様の地球。 不思議な空の色。
───── 流星がきらめいている。 ・・・あ、また。
麗「わたしは、世界埼玉化こそがゴールだと思っていた。
だがどうやら、そうではなかったらしい」
百美「・・・そうだね」
麗「マリネラの埼玉化が順調に進み、世界埼玉化が現実のものとなろうとしている。
ならば、その次の段階も考える時期に来ているのだろう」
修「その次の段階・・・」
智史「それは、もしや」
麗「そうだ」バッ!
─────── 宇 宙 埼 玉 化 計 画 !
修「宇宙埼玉化計画・・・」ゴクリ
麗「そうだ。 手始めに月、そして火星のテラフォーミング化に着手する。
そこに埼玉プラントを設立するのだ」
百美「いわばサイタマフォーミング・・・ 宇宙が埼玉になる」
智史「・・・埼玉が、宇宙に?」ゴクッ
麗「そうだ。 ・・・修、鳩山町長に連絡を取れ。 JAXAを動かすぞ」
修「はっ!」
麗「智史は翔のところへ行け。 勝浦宇宙通信所と鳩山で連携する」
智史「はい!」
百美「ぼくは引き続きマリネラの埼玉化計画を推進します。
草加せんべいもすでに増産体制に入りました」
麗「それはお前に任せる、必要があれば連絡しろ」
百美「はい。 ・・・では、ぼくはこれで」
麗「頼むぞ」
百美「・・・・・・・・・・・・・・」カツッ
… カツ カツ カツ
百美「マリネラ埼玉化。 かならず実現してみせる。
・・・・・・・・・・・・・・ぼくの、夢だったんだから」ギュッ
ずっと、ずっと、かなわないと思ってた夢。
でもマリネラの技術力さえあれば。
きっと、きっと、ぼくと麗のあいだに。
ふたりの愛の結晶が・・・・・・・・・・・・・・・・
【1か月後】
・・・ザ ザ ア ッ
ザ ・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・ ザ ッ
ザ ザ ・・・ ザッ ・・・
┌──────────
│ 常春日部の国 マリネラ
└──────────
パタリロ「うむ、やはりこれが一番だな。 実家に帰ったような安心感がある」
タマネギ「そうですね」
┌──────────
│・・・マリネラの明日はどっちだ
└──────────
※おしまい※
麗「・・・・・・・・・・・・・・・・むっ」
百美「来たか!」
黒タマネギ「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」ザザザザザッ
タマネギ(わが国きってのエリート集団、黒タマネギ部隊!)
パタリロ「ここは宇宙空間。 逃げ場もないし助けも来ないぞ」
麗「そうか」…フッ
パタリロ「洗脳されてないというなら、ぼくがおまえらを洗脳してやる!」
百美「つまらないギャグだ」サッ!
SP「「はっ!」」ザザッ!
黒タマネギ「「「「「・・・・・・・・!」」」」」ザザザッ!
百美「やってやれっ!」
埼玉解放戦線 東郷修「はいっ!」
麗「殺すなよ」
埼玉解放戦線 岩村智史「心得ました!」
パタリロ「まっとうな日本人にしてやる、かかれ!」
黒タマネギ「「「「「おおおおおっ!」」」」」ダダダダダッ
修「・・・かかってこい!」
智史「手加減しないぞ・・・!」
ド ガ ッ !!
総理大臣「・・・・・・・・」
官房長官「社会が進歩した、というだけでは」
・ ・ ・
パタリロ「ええ、進歩したのでしょう。 社会は。」
官房長官「・・・・・・・・」 ム ッ
パタリロ「民衆は、一度便利になった生活をそうそう捨てられない。
先進国が新興国をODA漬けにするようなものですな」
官房長官「・・・それはわたしたちの国策を批判するものでしょうか」
パタリロ「一般論です。 次を」
タマネギ「はっ」カチリ
カ カ カ カ カ ッ 。
官房長官「・・・これは」
パタリロ「この店舗・・・ 看板に見覚えはありますか」
総理大臣「山○うどんですな」
パタリロ「その通りです 」
タマネギ「これも埼玉発祥のファストフード店です」
官房長官「これが何か」
パタリロ「先ほどの企業と同じように、良質な食事を安価に提供しているようですな」
官房長官「山田う○んは埼玉を中心とした関東圏にしか出店していないはずでは」
パタリロ「よくご存じで」チラリ
タマネギ「・・・・・」カチリ
・・・ カ カ カ カ 。
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