緒方智絵里「ほたるちゃんを」藤居朋「徹底的に甘やかすわよ!」 (43)



コメディです。


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~女子寮:白菊ほたるの部屋~


ピピピピピピ


白菊ほたる「う……」ガサゴソ

ピピピピピピ

ほたる「ん……」ピッ

ほたる「……」ムクリ

ほたる「ふぁあ……」

ほたる(今日は……オフだったよね……)

ほたる(目覚まし……いつもの時間にかけちゃってた……)

ほたる(にどね……)

ほたる「……」

ほたる「……起きよう」スック

ほたる「リビング、誰かいるかな……」トコトコ

ほたる「……あ、いい匂い……響子さんかな……?」トコトコ


~リビング~


ほたる「……おはようございます……ふぁ」トコトコ

藤居朋「あ! ほたるちゃん、おはよ! なんと今日の朝ごはんはあたしの手作り! 目が覚めたら食堂へレッツゴー!」

ほたる「あ……ともさん……おふぁようございます……」

緒方智絵里「あ、ほたるちゃん、ねぐせが……! 整えてあげるから、そこに座って?」

ほたる「はい……」スッ

智絵里「~♪」スッ スッ

朋「智絵里ちゃん、上手ね~」

智絵里「えへへ」

ほたる「……」

ほたる「……」

ほたる「……」

ほたる「……なんで朋さっ!? えっ!? 智絵里さ……いや智絵里さんは寮でえっ朋さんはなん……えっ!?」アワアワアワ

朋「状況把握、けっこうかかったわね」



~~~~~~~~~~

前作
藤居朋「ほたるちゃんの先輩は」緒方智絵里「カフェにいる」



朋「それにしてもほたるちゃん、オフなのに早起きさんなのはえらいけど、そんな寝ぼけながら来なくても……」

ほたる「ちっ、ちがうんです……!」

智絵里「確かに珍しいような……」

ほたる「今日に限って……アラームの設定を間違えてしまって……! お仕事の日ならもう少し部屋で整えてから来ますし、お休みの日はもっと遅くまで寝ているんですが……! き、今日に……限って……うう」

朋「まあまあ、かわいいほたるちゃんが見れてあたしは満足よ?」

ほたる「恥ずかしいです……」

智絵里「わたしはほたるちゃんの部屋でお泊りすればいつでも見れますけれどね……!」ドヤッ

朋「マウント取る必要ある?」


ほたる「そっ、そんなことより、どうして朋さんがここに……!?」

朋「どうしてって……ほたるちゃん、今日は何月何日?」

ほたる「えっと……4月の19日ですが……」

智絵里「つまり?」

ほたる「4月の……第3金曜日……?」

朋「逆に聞くけどそれ理由にしてドッキリじみた登場すると思う?」


朋「もう! 話が進まないから言っちゃうけど、今日は誕生日でしょ!」

ほたる「ああ、中日ドラゴンズ、根尾昴選手の……」

朋「ほたるちゃんの!!!!!」

ほたる「そ、そうでしたね……」

智絵里「ちなみに”すばる”じゃなくて”あきら”って読むんですよっ」

朋「智絵里ちゃんは誰に言ってるの?」

ほたる「ええと……私の誕生日を祝うために……?」

朋「もちろん!」

ほたる「す、すみません……! 私なんかのために……朋さんと智絵里さんが……」

朋「こらっ! ”私なんか”じゃないでしょ?」

ほたる「す、すみません……! 私ごときのために……朋さんと智絵里さんが……」

朋「悪化した!」

智絵里「”私ごとき”じゃないでしょ?」

ほたる「す、すみません……! 私のために……朋さんと智絵里さんごときが……」

智絵里「そ、そこじゃなくって……!!!」

朋(まだちょっと寝ぼけてるのかしら……)


朋「はいはい、とりあえず、顔洗ってきなさい? 智絵里ちゃん、髪はもう整った?」

智絵里「盛りますかっ」

朋「大丈夫みたいね。ほらほら」

智絵里(無視……)シュン

ほたる「智絵里さん、すみません、髪、整えさせてしま」

智絵里「むっ!」ペチン!!

ほたる「!?」

智絵里「……」ジーッ

ほたる「えっと……すみま」

智絵里「むむっ!」ペチン!!

ほたる「あの……なぜビンタを……」

智絵里「……」ジーッ

ほたる「???」

朋「ほたるちゃん。智絵里ちゃんが言ってほしいのは、謝る言葉じゃなくって……」

ほたる「あ……」

智絵里「……」ジーッ

ほたる「智絵里さん……、ありがとう……ございます……」

智絵里「……」

ほたる「……」

智絵里「……うんっ!」ペチン!!!

朋「結局!?」


朋「それはおかしくない!?」

智絵里「ご、ごめんねほたるちゃん……! そういう流れかなって……」

朋「智絵里ちゃん、単にビンタしたいだけの人だったけど!?」

ほたる「と、とりあえず顔を洗ってきます……」トコトコ

朋「い、いってらっしゃい……」

智絵里「ほたるちゃんのタンスから開けますか? 机の引き出し? クローゼット?」ワクワク

朋「やめなさい」

智絵里「はい……」シュン


〜食堂〜


朋「おっはよー!」トコトコ

智絵里「おはようございますっ」トコトコ

五十嵐響子「あっ、おはようございます!」

朋「響子ちゃん、あたしたちがやっちゃうわね! ほたるちゃんは座ってて!」

ほたる「えっ、でも……」

響子「普段はセルフサービスですけど……今日くらいは待ってて大丈夫だよ。お誕生日、おめでとうございますっ♪」

ほたる「あっ、ありがとうございます……」

朋「ごはんと~お味噌汁と~こっちのお皿は~」テキパキ

智絵里「こっち、運んじゃいますねっ」ササッ

響子「……」

ほたる「あの……響子さんは、台所に行かないんですか?」

響子「はいっ。だって今日は、朋さんと智絵里さんが……」

朋「おっと響子ちゃん。そこからはあたしたちが説明するわ!」

ほたる「……?」

響子「ふふっ。じゃあ私は黙ってますね」

朋「はい、ほたるちゃんの朝ごはんよ!」

ほたる「は、はいっ……あの……もしかしてこの料理……」

朋「ふっふーん! よくぞ聞いてくれました! この料理、あたしと智絵里ちゃんの手作りよ!」

ほたる「そうなんですね……! 嬉しいです……!」

智絵里「まあほとんど響子ちゃんに教わったままだけど……」

朋「い、いいのよ! こういうのは気持ち! でしょ?」

響子(そうですよ!)

ほたる(どうして脳内に直接……!?)


智絵里「食材も、3人で買いに行ったんだよっ」

ほたる「そうだったんですか……」

朋「朝4時にね!」

ほたる「!?」

智絵里「響子ちゃんには朝早くから付き合ってもらっちゃったけど……」

響子「……………………ぜんぜん大丈夫ですよっ」

ほたる(間がありましたね……)


ほたる「で、でもどうして」

朋「なんか朝早い市場の野菜とかお魚って美味しそうじゃない?」

ほたる「えっと……答えになっていないような……」

智絵里「朋さんっ、趣旨をそろそろ説明してあげましょう?」

朋「あ、それもそうね!」

ほたる「?」

朋「えー、コホン」

智絵里「今日はっ」

朋「なんと!」

ほたる「なんと……?」

朋&智絵里「『超☆ほたるちゃん甘やかしデー』なのよ!(なんだよっ!)」

ほたる「ち、超☆ほたるちゃん甘やかしデー……!?」


朋「そ! だから朝早くからお世話をするためにリビングでスタンバイしてたし、その前に食材を買ったり朝食の準備を整えたりしてたの!」

ほたる「な、なるほど……?」

智絵里「もっと嬉しそうにしていいんだよ……?」

ほたる「い、いえ、少しびっくりしてしまって……」

朋「ほたるちゃんの誕生日を迎えるにあたってね? 智絵里ちゃんと話してたの」

智絵里「ほたるちゃん、大きなパーティーとかは気を遣っちゃいそうだし……」

朋「3人で遊びに行ってもいいけど、それじゃいつも通りでしょ?」

ほたる「私は……それでも十分……」

朋「ほら! それよ!」ビシィ

ほたる「!?」

朋「ほたるちゃんはすぐ遠慮するんだから! なんでもひとりでやろうとするし! そりゃえらいけど、ほたるちゃんはまだまだ中学生でしょ!? もっと甘えなさい!」

智絵里「……ってことになって、だったら誕生日は徹底的に甘やかそうってなったの」

ほたる「そ、そうだったんですね……ありがとうございます……」ホロリ

朋「わー! 流石に泣くには早いわよ!」

ほたる「す、すみません……」

朋「今日はなんでもしてあげるからね! 植木鉢の身代わり以外だったら!」

智絵里「お姉さんにたくさん甘えてっ! 植木鉢の身代わり以外で!」

ほたる「警戒してますね……」


朋「っと……! ご飯、冷めちゃうわね!」

ほたる「あっ、そうですね、では、いただきま……あれ、箸がないですね。取りに……」

朋「ほたるちゃん?」

ほたる「へ?」

智絵里「違うよね?」

ほたる「あ……では……智絵里さん、箸を取ってきてもらっても……」

朋「ほたるちゃん?」

ほたる「へ?」

智絵里「違うよね?」

ほたる「え? ええと……?」

朋「あたしは持ってるわよ、箸」

智絵里「わたしもですっ」

ほたる「え、あ、いつの間に……でも、おふたりの前には料理がありませんが……」

智絵里「わたしたちは先に食べちゃったから」

ほたる「ではどうして……」

朋「ほたるちゃん、どれから食べる?」

ほたる「……はい?」

智絵里「お味噌汁? 焼き魚? お新香? 卵焼き?」

ほたる「も、もしかして……」

朋「じゃ、卵焼きからいっちゃいましょうか?」

ほたる「えっえっ」

朋「はい、あーん」ヒョイッ

ほたる「えええええっ!?」


朋「ほらほら、早くしないと、腕が疲れちゃうわよ」

ほたる「えええ」

智絵里「ほらほら♪」

ほたる「い、いいいいいただきましゅっ!」パクッ

朋「味はどう? 濃すぎたりしない?」

ほたる「わからない……です……」プシュー

智絵里「はいっ、次は焼き魚だよっ。あーん♪」

ほたる「も、もしかしてこれ朝食の間ずっと」

智絵里「あーんっ」

ほたる「うう……あーん……」パクッ

智絵里「どうかな?」

ほたる「わ、わからないって言ってるじゃないですか……!!!」プシュー

響子(存在感ないけど、ずっといます。五十嵐響子です。なんだかすっごく見せつけられてる気がします。五十嵐響子です)


朋「あら、響子ちゃんもあーんしてあげよっか?」

響子「い、いえいえ! 大丈夫ですっ!」

智絵里「鳥取県民甘やかしデーにしてもいいけど……」

朋「ちょっとあたしたちの手には余るわね……」

響子(ちょっと……?)

智絵里「ちょっと都道府県は……」

響子(ちょっと……???)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ほたる「ご、ごちそうさまでした……」

朋「どうだったかしら?」

ほたる「味が……全然わからなかったです……」

智絵里「今日1日で慣れていこうねっ」

ほたる「お、お昼も夜もですか……!?」

朋「じゃ、一旦ほたるちゃんの部屋に戻りましょうか?」

智絵里「響子ちゃん、ありがとうございましたっ」

響子「いえいえ♪ ほたるちゃん、えっと……楽しんで!」グッ

ほたる(半ば励ますニュアンスが入っているような……)

朋「ほたるちゃん、おんぶがいい? 抱っこがいい?」

ほたる「じ、自分で歩けますっ……!!!」


〜廊下〜


朋「残念ね……」トコトコ

ほたる「何がですか……?」トコトコ

朋「ほたるちゃんを運ぶために、智絵里ちゃんで練習したのに……」トコトコ

ほたる「……へ?」

朋「おんぶとか、お姫様抱っことか……」

ほたる「!?」

智絵里「ふふっ」ドヤッ

ほたる「!?」

朋「ま、でも確かにちょっと恥ずかしいわよね。流石に……」

ほたる「ああっ、なんだかあしがきゅうにいたくなってしまいましたー……」ヨロリ

智絵里「!?」

朋「ほたるちゃん!?」

智絵里(し、白々しいっ……! でも……)

ほたる「えっと……その……あるけないなー……なんて……」

朋「! ……ふふっ、今日はそういう時に、素直になっていい日なのに」

ほたる「……はい」

朋「じゃ、ちょっと横向いて、膝を曲げてー」

ほたる「え? あ、いえ、おんぶで大丈夫なので」

朋「大丈夫大丈夫! 鍛えてるんだから!」

智絵里「そうだよっ。朋さんは『どすこーい!』って鍛えてるんだからっ」

朋「そ、その掛け声は言わなくってもいいから!」


朋「いくわよー!」

ほたる「は、はいっ……!」

朋「……っしゃッ! どすこーい!!!」ヒョイッ

智絵里(結局言うんかーいっ)ビシッ

ほたる「はわわわわわ」

朋「どうかしら!」

ほたる「かっ、顔……近……」プシュー

智絵里「むー……」

朋「じゃ、部屋までごあんなーい!」トコトコ

ほたる「はわわわわ」

智絵里(今日だけだからねっ)

朋「?」


~ほたるの部屋~


朋「じゃあほたるちゃん! 何でも言って!」

智絵里「どうぞっ!」

ほたる「ええと……そんな……いきなり……うーん……」

朋「……」

ほたる「ううん……ええっと……むー……」

朋「……」

ほたる「何でも……んん……うう……」

朋「じゃ、思いつくまで撫でてあげる!」

ほたる「へっ」

朋「ほたるちゃーん! よーしよしよし! わしゃわしゃわしゃわしゃ!」ワシャワシャ

ほたる「ひゃっ!? と、朋さっ!?」

智絵里「髪、直してあげるねっ」サッ サッ サッ

ほたる「あ、ありがとうございま」

朋「わしゃわしゃわしゃわしゃ!!!」ワシャワシャ

ほたる「ひゃっ!?」

智絵里「直してあげるねっ」サッ サッ サッ

ほたる「あ、ありがとうござ」

朋「わしゃわしゃわしゃわしゃ!!!!」ワシャワシャ

ほたる「これなんなんですか!?」


ほたる「ど、どうして撫で方がムツ○ロウさんスタイルなんですか……!?」

朋「ごめん……」

ほたる「まさか智絵里さんの方がまともに見える日がくるとは思わなかったです……」

智絵里(でぃすられてるっ!?)

朋「えっと、正直、正直ね?」

ほたる「はい……?」

朋「甘やかし方がわかんない……」

ほたる「ええ……」

朋「だ、だってあたし、そういうタイプのキャラじゃないし! だからお願い! あたしのお姉ちゃん力を鍛えると思って!」

ほたる「立場がよくわからなくなってきましたね……」


智絵里「でも、甘やかすのも難しいですけど、甘えるのも難しいよね……?」

ほたる「はい……どうしても、なんだか申し訳なくて……」

朋「遠慮しなくていいのにー」

智絵里「うんっ。わたしたちをお姉ちゃんだと思っていいんだよ?」

ほたる「お姉ちゃん……? えっと……朋お姉ちゃん、智絵里お姉ちゃん……?」

朋「……!!!」キュン

智絵里「……!!!」キュン

ほたる「?」

朋「わしゃわしゃわしゃわしゃ!!!!」ワシャワシャ

ほたる「そ、それはもういいですからっ……!」


朋「いつぞやの開運ツアーでも思ったけど、ほたるちゃんからのお姉ちゃん呼びは危険ね……!」

智絵里「はい……! 敵ながらあっぱれです……」

朋「敵ではないわ」

ほたる「えっと……よくわからないですが、お姉ちゃん呼びはやめた方が……」

朋「続けて」
智絵里「続けて」

ほたる「ええ……」


朋「って、あ!!!」

ほたる「ど、どうしたんですか……?」

朋「思いついたわ! お姉ちゃんっぽいこと!」

智絵里「?」

朋「ほたるちゃん! 来て!」ポンポン

ほたる(朋さんが……ふとももの辺りをポンポンしてる……ということは)

朋「そう! ひざまくら!」

ほたる「ええと……でもまだお昼前ですし……」

朋「いいからいいから! やってみたかったのよ!」

ほたる「ですが……」

朋「……イヤ?」シュン

ほたる「うっ……そ、その聞き方はズルいです……」

智絵里「代わりにわたしが朋さんのひざまくらを借りても」

ほたる「では失礼します……」ズイッ

智絵里(食い気味に……)


ほたる「……」

朋「ど……どう?」

ほたる「とても……安心します……」

朋「……よかった」ナデナデ

ほたる「ふふっ……くすぐったいです……」

朋「寝ちゃってもいいのよ?」

智絵里「じゃあ、子守歌、歌ってあげるね?」

朋「お、いいじゃない!」

ほたる「そ、そんな……悪いです……」

朋「こらっ。遠慮しちゃダメよ。今日は、ね」

ほたる「……そう、ですね」

智絵里「では……、すぅ……」

智絵里「くれないだー!!!!!」ドコドコドコドコ

朋「寝かせる気ある!?!?!?」


朋「しかもよりによってカバー曲じゃないの!」

智絵里「て、テンションが上がってしまって……」

朋「ほら! もっとゆっくりな曲あるでしょ!」

智絵里「は、はいっ」

智絵里「すぅ……」

智絵里「シ・ン・ジ・ツ・コ・ダ・ワ・リ・ユ・イ・イ・ツ・ミ・ツ・ケ……」

朋「死んじゃいそうな選曲もやめなさい!」

智絵里「そ、そのツッコミもどうかと」

朋「ほら、智絵里ちゃんの曲とか子守歌にちょうど向いてそうじゃない!」

智絵里「た、確かにですっ……!」

智絵里「すぅ……」

智絵里「お前も蝋人形にしてやろうか!!!」

朋「智絵里ちゃんいつ聖飢魔Ⅱカバーしたの!?」


朋「ぜんぜんダメよ! 子守歌になってない!!!」

智絵里「うう……ごめんなさい……」

朋「ほら、ほたるちゃんもこんなんじゃ寝れないわよね?」

ほたる「ZZZ……」スピー

朋「うっそぉ!?」

智絵里「震えて眠れ 明日はもうないさ~♪」

朋「聖飢魔Ⅱを再開しないで!!!」


智絵里「ほたるちゃんにとっては、わたしたちの掛け合いが何よりも安心する子守歌なんだね……」ナデナデ

朋「なんでちょっといい感じにまとめてるの……」

ほたる「……むにゃむにゃ」

智絵里「あっ、何か言ってますっ」

朋「あら、寝言かしら?」

ほたる「……すみません……すみません」ムニャムニャ

朋「もー、夢の中でまで謝ってる……」

智絵里「ほたるちゃんらしいですね……」

ほたる「すみません……本日の営業は……これをもちまして……終了と……」ムニャムニャ

朋「……いや、何の夢……?」

智絵里「ふふっ。初めての収録がソロ曲でもユニット曲でもなくて”実用音楽その1 閉店の音楽”のナレーションになってしまったCDが17日の水曜日に発売され、全国の書店、CDショップで好評発売中になっている夢でも見てるのかな……?」

朋「推測が具体的すぎない?」


~~~~~~~~~~


ほたる「ふぁあ……はっ! わ、私……す、すみません!」

朋「あ、起きた?」

智絵里「気にしないで大丈夫だよっ」

ほたる「ど、どれくらい寝てましたか……?」

朋「そんなでもないわよ? 今、お昼過ぎくらいだから」

ほたる「そうですか……」

朋「ねね! そんなことより、どうだった?」

ほたる「どう……とは」

朋「あたしのひざまくらよ! 昔から言うでしょ? ”健全なお姉さんには健全なひざまくらが宿る”って!」

ほたる「初耳です……」


朋「どうだった? どうだった?」

ほたる「その……とっても、安心しました」

朋「……(照)」

ほたる「朋さんの優しさに……包まれているような……」

朋「……(照)」

ほたる「すごく気持ちよくて……暖かくて……」

朋「……(照)」

ほたる「”幸せだな”って……」

朋「……(照)」

智絵里(照れるなら聞かなければいいんじゃないでしょうか……)


朋「はい! そ、そこまで! またのご利用をお待ちしてるわ!!!」

ほたる「は、はい……ぜひ……!」

智絵里「そろそろ、お昼に行きませんか?」

朋「お、いいわね! おなか空いちゃった!」

ほたる「そうしましょう……」

朋「じゃ、どこにする? ほたるちゃん」

ほたる「え、わ、私ですか?」

智絵里「きまってるでしょ?」

朋「うんうん!」

ほたる「私は……みんなで食べるならどこでも……」

朋「……」ジーッ

智絵里「……」ジーッ

ほたる「……というのはダメなんですよね」

朋「わかってきたみたいね!」

ほたる「とは言いましても……あっ」

朋「お、何か思いついた? 高いところでもいいわよ! ちゃんとお金おろしてきたから!」

智絵里「ミシュランでもアシュラマンでもかかってきてっ!」

ほたる「アシュラマンさんはグルメガイドを刊行していないと思いますが……」


~ファミレス~


朋「ごちそうさまー!」

ほたる「ごちそうさまでした……」

智絵里「美味しかったですねっ。でもほたるちゃん、本当にここでよかったの?」

朋「ねー? こんなとこ……とか言っちゃいけないけど、いつでも来れるのに……」

ほたる「い、いえ……ええと……」モジモジ

朋「?」

ほたる「あの……うう……す、すみませーん……!」

店員「はい。ご注文ですか?」

ほたる「えっと……こ、この、超ジャンボチョコレートパフェを……!」

智絵里「!?」

朋「!?」

店員「本当に大丈夫ですか?」

朋(確認されてる!?)

ほたる「誕生日なので……!」グッ

店員「……! かしこまりました」

朋(説明になってた?)


朋「ほ、ほたるちゃん?」

ほたる「あの……ずっと、食べてみたくて……でも一人じゃ食べきれないし……他の人に押し付けるのも……って、思ってて……」

朋「ち、智絵里ちゃん!」

智絵里「と、朋さんっ!」

ほたる「?」

朋「ほたるちゃんがようやくわがままを言ってくれた……!」ウワーン

智絵里「よかったです……!」ウワーン

ほたる「な、泣くほど……!?」


朋「こういうのを待ってたのよ! こういう、”他の人には頼みにくいけど仲良しの人になら”系を!」

ほたる「は、はあ……」

智絵里「しかもパフェですっ」

朋「最高ね! パフェでもなんでもかかってきなさい! ほたるちゃんが食べきれなかった分は、あたしたちが責任を持って」

店員「お待たせいたしました。超ジャンボチョコレートパフェになります」

巨大なパフェのような何か「……」ドドドドドドドドーン!!!!!!!!

朋「」


朋「……なにこれ」

智絵里「パフェ……です」

朋「向こう側のほたるちゃんの顔が隠れてるのに?」

智絵里「えっと……、はい」

ほたる「が、がんばりましょう!」ヒョコッ

朋「パフェを横に避けながら話しかけられたの初めてよ」


朋「はい! あーん!」ヒョイ

ほたる「おいひいれす……」モグモグ

智絵里「あーん!」ヒョイ

ほたる「あまいです……」モグモグ

朋「あーん!」ヒョイ

ほたる「ここはビターですね……」モグモグ

智絵里「あーん!」ヒョイ

ほたる「ウエハースも美味しいですが……あの……」モグモグ

朋「あーん!」ヒョイ

ほたる「ティラミスのような層も……美味しいですが……」

智絵里「あーん!」ヒョイ

ほたる「クリームも滑らかで美味しふたりは食べないんですか……!?」


ほたる「みんなで食べましょう……?」

朋「そ、そうね……!」

智絵里「は、はいっ!」

朋「……」パクッ

朋「ん! 美味しい!」

智絵里「……」パクッ

智絵里「本当ですね……!」

朋「でも……」

智絵里「……はい」

朋&智絵里「「減らない……」」ズーン


智絵里「か、かな子ちゃんに連絡しておこうかな……」

朋「誰かよく食べる知り合い、いたかしら……?」

ほたる「い、いえ!」

朋「え?」

ほたる「わ、私が食べますっ……! 頼んだのは私なので……!」モグモグ

智絵里「ほたるちゃん……」

朋「……わかったわ。その代わり、智絵里ちゃん、アレ、やりましょ!」

智絵里「アレ、ですねっ」

ほたる「アレ……?」

朋「ほたるちゃん、すごい! カワイイ! 頼もしい!」

智絵里「ほたるちゃん! 強い! かっこいい! カワイイ!」

ほたる「!?」


朋「カワイイ! かしこい! 美しい!」

智絵里「硬い! 歌が上手い カワイイ!」

ほたる「あ、あのあの! な、なんですか……!?」

朋「さっき、ほたるちゃんが寝てる間に、智絵里ちゃんと話し合ったの!」

智絵里「どんな甘やかし方があるかな? って調べたら、一番先に出てきたのが……」

朋「ほめちぎる!」

ほたる「!?」

朋「だから、応援の気持ちを込めて褒めるわ! カワイイ! 天使!」

ほたる「た、食べにくい……です……!」カァァァァァァ

智絵里「頑丈! しぶとい! パーティの壁役に向いてるっ!」

ほたる「ほ、褒めてますか……!?」


~30分後~


ほたる「ごちそうさま……でした……」

朋「流石ほたるちゃん! カワイイ! 最高よ!」

ほたる「いえ、おふたりこそ、協力してくださってありがとうございます……」

朋「まあ、流石に褒めるだけじゃアレかなって……」

智絵里「でも、ほたるちゃんが一番食べてたよっ」

ほたる「美味しかったです……えへへ……」

朋「じゃ、この後はどうす……」

ピピピピピピ

朋「あら、ごめん、あたしみたい……もしもし?」

朋「あ、プロデューサー。どうしたの?」

朋「うん、オフだけど……え!? ユッコちゃんの代役で?」

朋「うーん……でも、お仕事だもんね? わかったわ。……え? 智絵里ちゃん? いるけど……」

智絵里「?」

智絵里「はい、お電話かわりました、智絵里です」

智絵里「い、今からお仕事ですか……? 代役……? 茜ちゃんの……!?」

朋「それはキャラが遠すぎない!?」


朋「と、いうわけで……」

智絵里「いうわけで……」

ほたる「えっと……」

朋「ごめんほたるちゃん!!!」

智絵里「ごめんねほたるちゃんっ……!」

ほたる「い、いえいえ! 十分楽しませていただきましたし、お仕事ならしかたないです……!」

朋「来年までにはもっと甘やかし上手になってるから!」

ほたる「来年もやるんですか……!?」


朋「じゃ、出ましょっか! すいませーん、お会計を」

店員「失礼します。本日お誕生日のお客様は……」

ほたる「へ? 私ですが……」

店員「おめでとうございます。只今キャンペーンを実施しておりまして、お誕生日のお客様に……」

朋「あら! 何かもらえるのかしら!」

店員「こちらの超ジャンボサーロインステーキをサービスしております!」

肉塊「……」ジュゥゥゥゥゥゥゥゥ

朋「」

智絵里「」

ほたる「」

店員「ごゆっくりどうぞ!」

朋「あっちょっ!!!」

智絵里「……」

ほたる「……」

朋「……」

智絵里「……」

ほたる「……いただきます!!!!!」

朋「(たとえ満腹でも好意でもらったものは決して無下にはしない優しい)ほたるちゃん!!!!!」




※通りすがりのニュージェネが助けてくれました。




おわり





ありがとうございました。
ほたるちゃん、お誕生日おめでとう!


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