辺境の城と貴族と平民の上官 (6)

「敬礼!…直れ!」バッ!

「新王暦59年9月20日付け、帝立魔法騎士教育隊より!」

「サンクダム城、第2○1守備大隊、魔法騎士隊、特務班に配属を命ぜられ、ユリ・ムラサメ中級三等魔法騎士以下1名…!只今!着隊しました!魔王軍撃滅の為!身を尽くす所存であります!よろしくお願いします!」

ユリ「敬礼!…直れ!」バッ!

「…僕はこれから…君達の上官となるリオン・リロード上級二等魔法騎士だ…」

リオン「それにしても丁寧な着隊挨拶だっだね…貴族にしては礼儀正しいね…」

ユリ「……」ピク…!

ユリ「…失礼!リロード上級騎士は貴族に偏見がお有りか?その発言は失礼である貴族が礼儀正しいのはいけない事か?」

リオン「…その通りだな…詫びよう、すまなかった公爵令嬢…」

ユリ「いえ…こちらも上官に対し失礼な言動を…」

リオン「いや…いいんだ」

リオン「…僕が悪い…ただ珍しかっただけさ…他意はないよ…この部隊はそういう所じゃないからね」

ユリ「…そういう所?」

リオン「そのうち分かるよ…ここがどういう所かは…ね」

ユリ「はあ…?」

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リオン「まぁ…今日は着隊初日だ…自分の部屋で荷物の整理を行ってくれ…明日は隊に挨拶があるから君達緊張しないようにね」

「「はっ!了解しました!」」スタスタ

リオン「 あ!それとユリ中級騎士…」

ユリ「…はい」ピタ

リオン「僕は…君みたいな人は嫌いじゃない…これからよろしくね」

ユリ「……」

手をヒラヒラ振りながらぎこちない歩き方でリオンは去った。

ユリ(足を引きずっていたな…)スタスタ 

「…なんですかあの人?お嬢様に敬語も使わないで…足を怪我してるのに部隊を率いて戦えるのかしら?」スタスタ

ユリ「やめろ…ネム・メロ、ここは貴族の社交場ではないし彼は我々の上官だ」スタスタ

ユリ「…そういった発言はよせ」スタスタ

ネム「…お嬢様がそう言うのであれば控えますわ」スタスタ

ユリ「…ここが私たちの部屋だな」ピタ

ネム「はい…お嬢様」

部屋は広かった、ここに来る途中でいくつかの部屋を覗いたがこの部屋が一番いい部屋の様だ

ユリ「……すごい部屋だな」

ネム「…そうですね…お嬢様が住むには狭すぎます!…リロード上級騎士に抗議しに行きますわ!」

ユリ「…違う!私達のような下っ端がこんなにいい部屋を使用する事に困惑しているのだ」

ネム「…では!それを抗議しに!」

ユリ「…いや私が行く」

ネム「…わかりました」

ユリ「…失礼します!」

リオン「さっき別れたばかりなのに…どうしたんだ?何か部屋に問題でも?」

ユリ「…ハイでも、その前にこの部屋はリオン上級騎士の部屋で間違いないでしょうか?」

リオン「…間違いないけど、それがどうかしたかい?」

ユリ「……私達の部屋より、だいぶ狭いですね」

リオン「もしかして部屋が気に入らなかったのかい?」

ユリ「そうです」

リオン「困ったなぁ…あの部屋はこの隊で一番いい部屋なんだけどなぁ…残念だけどあれ以上の部屋はないよ」

ユリ「違います!私は部屋が豪華すぎると言っているのです!」

リオン「いやでも君は公爵令嬢だろう?それに相応しい部屋でなければ」

ユリ「私はヒヨッコです…そういった特別扱いは辞めてもらいたい!」

リオン「そうは言っても僕が君のお父さんに怒られるのよ?」

ユリ「父は関係ありません!至急部屋替えを要求します!」

リオン「わかった…部屋で待っててくれ」

ユリ「…ありがとうございます!ユリ中級騎士帰ります!」

リオン「ふう…ヒヨッコがこんな要求を通せる事が特別扱いとは思わないのかね…公爵令嬢は」

リオン「気の強いところは嫌いじゃないけどね」

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