西住まほ「おいら、ボコだぜ!」 (60)
まほ「おいらボコだぜ!」
まほ「どうだ? ボコに似てるか?」チラッ
エリカ「え、えぇ……少しは」
小梅「全然似てないです。少しもボコを感じられませんでした」ビシッ
エリカ「小梅! ちょっとは隊長に配慮しなさいよ!」
まほ「そうか、似てないか……いや、いいんだエリカ。此方もはっきり言って貰った方が助かる」ズーン
まほ「……ん、ゴホン!」
まほ「オイラ、ボコだぜ!」
まほ「今のは我ながら上手くできたな! そうだろ、二人とも?」チラッ
エリカ「……目を瞑って聞いていたので、完全にボコが目の前に現れたかと思いました! 流石隊長です!」グッ
小梅「エリカさん、耳の穴完全に塞がってるんじゃないですか? 全然似てませんでしたよ?」
エリカ「んもう! そんな事言ってたらいつまでも帰れないでしょうが! 只でさえ呼び出される時間も遅かったのに、こんな事で時間使ってられないのよ! このバカ!」
小梅「ちょっとエリカさん! いくらなんでもそれは言い過ぎですよ!」
エリカ「はっ! …………隊長?」チラッ
まほ「…………ぐすっ」グスン
エリカ「ひぇっ! すすすみません、決してそんなつもりじゃ……」アタフタ
まほ「……いや、いいんだ。二人とも、態々こんな時間に呼び出してすまなかったな」シュン
まほ「……だから、次で決める!」キリッ
エリカ(続けるんかいっ!)イラッ
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まほ「おいら、ボコだぜ!」(迫真)
エリカ「…………」チラッ
小梅「うん、似てないです」グッ
まほ「…………駄目かぁ」ガクリ
小梅「結局隊長はどうなされたんです? こんな時間にいきなり呼び出されて、ボコの物真似を披露されても私には何が何だか……」
エリカ「もう夜中の2時ですからね、てっきり藁人形で気に入らない奴を呪いに行くのかと思いましたよ」
まほ「…………いや、それなんだが……戦車道を通じて、みほと色々あったろう?」チラッ
まほ「一時期はそれでみほとギクシャクしてしまったが、今ではすっかり元通り、いや元以上に仲良くなれたと思うんだ」
小梅「大学選抜戦とかもありましたしね。私もみほさんとまた仲良くなれて嬉しいです」ウンウン
まほ「それで、だ。私はみほにもっと遊びに来て欲しい。折角お互いの蟠りも消えたんだ、気軽にこの黒森峰に訪れて来て欲しい」
エリカ「……それと夜中の2時に後輩呼び立てて似てない物真似披露するのになんの関係があるんです? もう2時30分過ぎたんですけど」
まほ「……こうは考えられないだろうか? もし私がボコの物真似が凄く上手だったら……それが色々な人伝にみほの耳に入って……」
まほ「『お姉ちゃん、ボコの物真似凄く上手なんだ……うっひょーこりゃ黒森峰に遊びに行くしかないね!』とならないだろうか?」
小梅「無いですね」スッパリ
まほ「完全にボコの物真似を習得してもかっ!?」ビックリ
小梅「無いです」キッパリ
エリカ「というか、なんでそんなに遠回りで噂を流そうとするんですか? みほなら素直に遊びに来いって言えば来るでしょ」
まほ「私がっ! 私がお前達なら迷いはしなかった! 友達の様に誘えれば苦労しないんだっ! 私はこれでもお姉ちゃんなんだぞ。姉が遊びに来いって言ったら嫌でも来るしかないだろう? そんなパワハラめいた事はしたくないんだっ!」
エリカ「だったら夜中に後輩を呼び出すのはパワハラじゃないんですか!? 明日……いや今日も朝練があるのに何で呼び出すんですか! どうせ朝に会うじゃないですか!」
まほ「いや、ちょっと眠れなくてな……それで、昔の事を思い出してたらボコが浮かんできて……これはイケる、と思って二人を呼び出したんだ」
エリカ「それじゃ完全に私達はとばっちりじゃないですか! みほに会いたいなら会いに行くなり何なりしてくださいよ! もう私は帰りますからね!」クルッ
まほ「……ぐずっすま、すまない……わたっ私はあまり友達が居ないから……ぐすっ……みほとも……みほとも面識が深いお前達なら相談できるかなと思ってぇ……!」グスッ グスッ
エリカ「……あーもう、わかりましたよ! 何か考えればいいんでしょ、何か考えれば!」クルッ
小梅(エリカさんチョロいなぁ……隊長、真顔で泣き真似してたのに)
エリカ「それで? 結局隊長はどうしたいんですか?」
まほ「みほに遊びに来て欲しい! 自らの意思で!」バンッ
小梅「でも、そもそも学園艦の行き来ってそんなに気軽には出来ませんからねぇ。うちみたいに自由になるヘリでもあれば別ですけどね」
エリカ「何処か大型の町に偶然一緒に寄港したりした時ぐらいしか気軽な距離にはならないわね。隊長にヘリを出せって言われればそりゃ出しますけど」
まほ「そうだな、ヘリを大洗に寄贈するか。パイロット付きで」チラッ
エリカ「そのパイロットって私の事ですよね!? 絶対に嫌ですよ!」フンッ
小梅「そもそもヘリがあっても黒森峰に来たいとは思わないんじゃ……」
まほ「お姉ちゃんが待ってても駄目か? みほに私がティーガーに乗って待ってるぞと伝えればうきうきで来るんじゃないのか?」
エリカ「それじゃ挑戦状になっちゃうでしょ!」
小梅「そうですねぇ、隊長のボコの物真似は本当にお粗末で記憶から消したいぐらいの出来でしたけど、ボコという着眼点はとても良いと思うんです」
まほ「お、そうだろそうだろ! みほはボコが大好きだからなぁ!」ニコニコ
小梅「ですから、とりあえずボコで釣ってみては如何でしょう?」
エリカ「ボコで釣るって……?」
小梅「みほさんも、いきなり気軽な気持ちで黒森峰に来るのは難しいと思うんです。今では蟠りも解けましたが、それでも黒森峰には中々足が向かないと思います。そこで先ずは一度自らの意思で来て頂く為に、ボコ関連のイベントでみほさんの興味を引くんです!」
エリカ「良い考えだとは思うけど、ボコ関連のイベントって……そんな簡単に出来るわけないじゃない。いくらかかるか分かったもんじゃないわ!」
まほ「……どうやらやっと隊長らしいところを見せれそうだな、私に任せろ!」
エリカ「どうするんです?」
まほ「お母様にボコイベント誘致してくれなきゃあの動画を拡散すると伝える」
小梅「……あの動画とはどういう?」
まほ「みほが大洗に転校した時、お母様に私がガチ泣きで抗議した事があってな……裸で」
エリカ「裸で!? あなたは家で何やってるんですか! というかその動画でダメージ受けるの隊長だけでしょ!」
まほ「あの時、私はお母様からみほに一言でいいから何か優しく言葉を掛けてやってくださいと、西住流の家元ではなく母親としての言葉を一言でも掛けてやってくださいと申し出たんだ」
まほ「そうしたら何か服を着ろだのせめて何か羽織れだのとゴチャゴチャ言ってきたのでな、最後にガチ泣きして地団駄を踏みながらこのくちょばばあって言った瞬間にお母様に腹パンされて私は失神したんだ! 動画のタイトルはこれで行こう『西住流家元、虐待の瞬間!』」
小梅「その動画は隊長も映ってるんですよね?」
まほ「当たり前だ、一糸纏わぬわがままボディだぞ」ドヤァ
エリカ「その動画を公開するって死なばもろとも精神じゃないですか。ですけどこれでボコ関連はなんとかなりそうですね! よし、解散!」バンッ
まほ「エリカ……何か無理矢理締めようとしてないか? まぁ方向性は決まったし、後はボコのイベントを考えながら進めていくか……」
エリカ(やっと帰れる……少しでも寝よう……)
まほ「よし! では朝練まで私は走り込みでもしてくる! 解散!」ダダダ
エリカ「…………私達はさっさと帰って寝ましょう?」トテトテ
小梅「そうですね。でも家元にそこまで食い下がるなんて……隊長は妹のみほさんをそれほど大切に思ってるんですね……」トテトテ
エリカ「……裸でね」プフッ
小梅「ふふふ……ちょっと、止めてくださいよぉ!」フフ
エリカ「泣きながら、地団駄踏んでね……」プフッ
小梅「うふ、ふふふ……も、もうエリカさんてばぁ!」フフフ
まほ「エリカ、小梅アウトォ!!」ガサッ
エリカ「げっ! 隊長、走りに行ったんじゃなかったんですか!?」
まほ「……一人でこんな真夜中に走り込んでたら只の変な人だろ。だが皆で走ればもしかして戦車道の基礎練かな? で済むと思うんだ」ウンウン
小梅(三人で真夜中に走り込んでたら変な人達になるだけだと思いますけど)
まほ「それに……暗くてちょっと怖いじゃないか……」
エリカ「だったら部屋に帰って寝ればいいじゃないですか……私達もう眠いんですけど……」
まほ「しかしなぁ……こんな時間から寝たら朝練に寝坊しそうだしな……」ウーン
エリカ「私が起こしますから……寝ましょ? ね? ね?」
まほ「そこまで言うならしょうがないな、一緒に寝ようか」
エリカ「えぇ……またですかぁ? まぁいいですけど……」
小梅「それでは、私はこれで失礼します」ペコリ
まほ「駄目だ、布団を持ってエリカの部屋に来い。隊長命令だ」
小梅「は、はい……」ガクリ
ーーー後日 大洗学園艦ーーー
麻子「……眠い。沙織、おぶってくれ」
沙織「いーや。麻子ったらいつも眠いって言うけど、逆に眠くない時あるの?」
麻子「無い。起きている時は眠い、だからおぶってくれ」ダラー
沙織「もう、嫌だったら! もたれ掛からないでよ!」グイッ
麻子「うわぁぁー」ドテーン
華「あらあら、麻子さん大丈夫ですか?」
麻子「けつ……けつ圧にやられた……沙織のけつは……凶器……」バタッ
沙織「こらぁ! 人がちょっと気にしてる事を言うなぁ!」ギュー
麻子「いひゃい、いひゃい。しゃおり、やめへくれ」ジタバタ
優花里「皆さん、戦車道の練習が終わったばかりだというのにまだまだ元気ですね!」
みほ「あ、あはは……」
優花里「そうだ、皆さんで何か食べに行きませんか?」
沙織「あ、賛成! それならあそこのケーキ屋さんにしようよ。あのお店のケーキ、美味しいんだぁ!」ニコッ
華「良いですね、是非行きましょう!」
麻子「これ以上沙織の尻が大きくなると、私は吹っ飛ぶどころか跡形も無く消えるんじゃ……」ガクガク
沙織「そんな訳無いでしょーが! んもー、麻子ったら早く起きなさいよ」グイッ
麻子「ぐあぁぁーー」ノビー
優花里「あはは、冷泉殿はまるで猫みたいですね」
沙織「確かに麻子は猫っぽいけど……そう言うゆかりんは犬っぽいよねー」
優花里「そうでありますか? あまり自分では分かりませんけど……」
華「優花里さんはいつも元気ですからね。それでは、私はどうでしょう?」
沙織「華は……名前ネタじゃないけど、動物より一輪の花って感じかな!」
華「まぁ、うふふ。それは動物より嬉しいかもしれません……」ニコニコ
沙織「それで私は……」
麻子「ぶ」
沙織「ーーえいっ!」グイッ
麻子「うわぁぁーー!」ドテッ
麻子「ぶ……ぶたのけつ……」ピクピク
沙織「まだそんなこと言う! もう、麻子はそのまま暫く反省しなさい! それで私は……うさぎかな? そしてそしてみぽりんはーー」チラッ
みほ「え、えっと……がおぉーー!」サッ
優花里「西住殿、急に両手を上げてどうしたんです?」
みほ「が、がおぉぉ……」///
沙織「どうしたのみぽりん? まさかもうこれからのケーキに備えてダイエットを……?」
華「いえ、これは……生け花でいう、冥地絞りを表しているのでは? みほさんがここまで華道に精通していらしたなんて……私、感服致しました!」
みほ「違います……あの、く……くまです……くまなんです……」///
沙織「あ、あぁ……そう言うことね。でもみぽりんは熊っぽい……とは言えないよぉ……だって……」スッ
沙織「こんなに愛くるしい熊なんていないからだー! それそれそれー!」ワシャワシャ
みほ「わー! も、もう沙織さーん!」ワシャワシャ
華「あらあら、二人とも仲良しですね」ニコニコ
優花里「あ、ケーキ屋さんに着きましたよ! さぁさぁ、寄って行きましょうよ!」
麻子「やっと休める……早く入ろう……」トテトテ
カランカラーン イラッシャイマセー
沙織「そう言えばさ、次の寄港先聞いた?」モグモグ
優花里「…………っ!」ムグッ ゴホッゴホッ
華「だ、大丈夫ですか優花里さん……!」アタフタ
優花里「す、すみませんお見苦しい所を……そ、それで次の寄港先がどうかしましたか?」
沙織「それが寄港先はいつもと一緒なんだけどさ、黒森峰の学園艦がずっと停泊してるんだってさ。何かあったのかな?」
みほ「黒森峰が……? うーん、私は何も聞いてないけど……」
華「艦全体のトラブルでしょうか……? しかしニュース等は流れていませんよね?」
麻子「…………ぐぅぐぅ」スピー
沙織「麻子はほっといて……トラブルとかでは無いみたいなんだけど、何なんだろうね。わざわざこっちまで来て停泊するなんて……」
沙織「でも、これって良い機会じゃない? 私、黒森峰学園艦って行った事無いんだぁ。だからもし寄港先にまだ黒森峰学園艦が停泊してたらさ、皆で行ってみない?」チラッ
華「うふふ、楽しそうですね! 私は勿論賛成です!」
優花里「良いですねぇ! 是非、是非是非行きましょうよぉ!」フンフン
みほ「…………っ」ウツムキ
沙織「みぽりん……どうしよ、やっぱり止めとーー」
優花里「っ!! そういえばぁ! 黒森峰で行われるボコイベントがあるみたいですよ!」バンッ
みほ「行くぅっ!」カッ
みほ「あっごめん、大声出しちゃって……」テレテレ
沙織「う、ううん。大丈夫だよ! じゃあこれで決まりね! 次の寄港日は黒森峰に皆で行こーっ!」
優花里(危ない危ない……でもこれで西住殿を黒森峰に呼び込むというミッションは無事成功であります!)
麻子「……………………ぐぅ」スースー
ーーーイベント当日 黒森峰学園艦ーーー
みほ「わぁ……久し振りにここを歩くなぁ……」
沙織「大洗学園艦より大きいねー!」
優花里「収容人数10万人を超える超巨大学園艦ですからね! 大洗の3倍以上の人が住んでるんですよ!」
華「やはり母港が熊本にありますから、咲いている花も大洗とは少し違いますね」ニコニコ
麻子「はぁ……折角の寄港日に何で他の学園艦なんかに……というか何故黒森峰の学園艦がこんな所に……?」フム
沙織「それにしてもみぽりん、なんか荷物多くない? 少し持とうか?」
みほ「ううん大丈夫、沙織さんありがとう。今日は着替えを持ってきたんだ!」
小梅「あっ! 皆さーん、お待ちしておりました!」トテテテ
小梅「黒森峰学園艦にようこそ! 本日は私、赤星小梅が皆さんの案内人を勤めさせて頂きます! よろしくお願いします!」ペコリ
みほ「小梅さん! こちらこそ今日はよろしくお願いします!」ペコリ
沙織(小梅さん……何て呼べばいいんだろ。こうめん? こーうん? いやいや、これは言っちゃ駄目なやつ)フルフル
沙織「……今日はよろしくお願いしまーす! それにしても黒森峰の学園艦って広すぎて迷子になりそうだよー!」
小梅「演習場の森林は広すぎて迷ったら本当に危ないですから、気をつけてくださいね」
小梅「さぁ先ずはこのドラッヘでイベント会場まで行きましょう!」バラララララ
優花里「うわぁ! ドラッヘですよドラッヘ! これに乗れるとはたまらんでありますなぁ……!」
麻子「ドラッヘが来たということは……パイロットは……」チラッ
エリカ「ふん……来たのね」ツーン
みほ「エリ……」
沙織「ーーみぽりん待って、ここは任せて。先ずは私から……エーリリンッ!」バンッ
華「では……ごほん! エリリンッ!」キリッ
麻子「……エリリン」ボソッ
優花里「エソソソ殿ぉ!」バンッ
みほ「えっ!? えぇと……エ、エリリンッ!」///
エリカ「わ、ちょ、ちょっと! なにこの流れ……み……みぴょっ!」ガチッ
エリカ「……み、みぽりんっ!」///
小梅(エリカさんたら、肝心な所でなんで噛むかな……)フフッ
エリカ「だーもう! いいからとっとと乗りなさいよ!」フンッ
小梅「はーい、此方でーす!」
沙織「よーし、乗ろ乗ろ!」
みほ「うん! ボコに早く会いたいなぁ!」
優花里「いやー楽しみでありますなぁ!」ニコニコ
エリカ「…………」スッ
エリカ「秋山ぁ! だーれがエソソソじゃい!」ギュウウウ
優花里「いったぁーい! たはは、バレてましたか……」ペロッ
ーーー黒森峰 ボコイベント特設会場ーーー
小梅「到着でーす! 足元にお気をつけくださーい!」
沙織「わっ! 結構広いね!」
華「自然の躍動を直に感じられる良い場所じゃありませんか!」ウンウン
麻子「二人とも……現実を見ろ現実を。だだっ広い原っぱに段幕付きステージがあるだけだぞ」ハァ
みほ「あ! 看板にボコステージって書いてあるよ! でもステージ前の椅子は4つしかないけど……?」チラッ
優花里「えへへ……実は私もこのボコイベントの裏方で呼ばれているんですよぉ! 西住殿のお姉さんに是非手伝ってくれと言われまして!」
みほ「え、そうなの? 何だか悪いなぁ……」
優花里「まぁまぁお気になさらず。ささ、皆さん此方に座って座って!」ニコニコ
沙織「ゆかりんが良いって言うなら……とりあえず座ろっか」スッ
華「このような催し物には余り縁がありませんでしたから……とても楽しみです」ニコリ
麻子(安っぽい看板に段幕だけのステージ……秋山さんに助けを借りるほど人手もなさそうだし……)
麻子「嫌な予感しかしない……」ハァ
みほ「ボコに会えるのかな? すっごく楽しみ!」ニコニコ
小梅「では皆さん、暫くそのままでお待ちください! 秋山さん、エリカさん、行きましょうか!」
優花里「うへへ! さぁ張り切っていきますよぉ!」トテテテ
エリカ「……はいはい、慌てないの」トテテテ
ーーーボコステージ 舞台裏ーーー
まほ「ん? 来たか」チラッ
エリカ「隊長、お待たせしてすみません」ペコリ
優花里「西住殿のお姉さん! ご無沙汰しております……今日は呼んで頂き有り難く存じます!」ペコリ
まほ「いやいや、秋山さんもそんなに固くならなくて大丈夫だ。此方もみほへの根回しや今日の手伝いまでさせてしまって申し訳ない」ペコリ
まほ「あ、それと西住殿のお姉さんという呼び方は少し長いだろう。しかし西住殿ではみほが振り返りそうだし……」
小梅「……それなら隊長と言う呼び方で宜しいのではないでしょうか?」
まほ「……む、そうだな。それがいい、何せ今日の私達は……チームなのだからな!」ニヤリ
優花里「た、隊長と呼んでもいいのでありますか……!!」タイチョウ……サスガダァ……
小梅「隊長、ではそろそろ……」
まほ「よし、では先ず着替えるか……」
優花里「うわぁ! これがボコの着ぐるみですかぁ! こういう物は初めて着ますよぉ!」
優花里「でも私がこのボコの着ぐるみを着ていいんですか? ここはやはり隊長が着た方が……」チラッ
まほ「ふふふ……私とエリカにはこれがあるからな! 遠慮せず着てくれて構わない!」ニヤリ
優花里「そ、それは…………まさか……!?」
エリカ「うわ……本当に私の分まである……」アチャー
小梅「……皆さん、ではこの着ぐるみについて説明しますね。先ず、これは一人では脱げません。私のスマフォを介してロックを掛けますから、着たら終わるまでどんなに激しく動いても脱げませんから覚悟してください」
優花里「…………」ゴクリ
小梅「そして、その頑丈なロックのお陰で完全防水と完全防音を両立しています。着ぐるみの中でどれだけ騒いでも外に音は漏れません。温度と湿度の調整は中に仕込まれている機械がしてくれます、排熱処理等も自動ですから安心してください」
エリカ「その気密性で排熱処理とかどうやってやってんのよ、なんかおかしくない!?」
まほ「エリカ! ……特殊カーボンだから、細かいことは気にするな!」カッ
エリカ「あ、はい……」シュン
小梅「続けますね。完全防音ですが、外界の音は機械で拾って中で流れるようにしてあります。視界も同様です。着てみると分かりますが、ほぼ生身の感覚に近くなると思ってください」
まほ「ふむ、お母様も余程あの動画を拡散されたくないと見える……素晴らしいものを送ってくれたな」
小梅「そして、この着ぐるみは外からの刺激や声でその都度AIが情報を取捨選択し、ボコの声色で喋ってくれます。このように……」ボコッ
ボコ「おいら、ボコだぜ!」
優花里「これは……凄いでありますなぁ! えい! えい!」ボコッ ボコッ
ボコ「結構効くぜ! おまえ、見所あるぜ!」
エリカ「これ本当に凄くない!? こんな着ぐるみ見たことないわ!」ビックリ
小梅「凄いですよね! えーと、そして最後に、この四人はインカムで常時会話出来るようにしてありますから、トラブル等がありましたら直ぐにお知らせください。これで以上です、では隊長……!!」
まほ「……残念ながら、私の説得ではボココラボを誘致するに至らなかった……が、しかしこうしてボコの着ぐるみを3つ用意することができた! 開発の間に合わなかった物もあるが、皆……このボコフェスを成功させるために……力を貸してくれ!」
優花里「隊長! やってやりましょうよぉ!」フンスフンス
エリカ「まぁ、私は与えられた任務はきっちりやりますよ」フンッ
まほ「よし、総員着ぐるみを纏え! 『ボコになってみほをもみくちゃにしてみ隊』……出撃する!」
ーーーボコステージーーー
みほ「………………!!」ワクワク ワクワク
沙織「もうみぽりんったら、落ち着きなよー」
みほ「無理だよぉ! 楽しみ過ぎて昨日からずっとこの時を待ってたんだもん!」
麻子「一体何が始まるんだか……ふぁぁ」
華「あら、小梅さんが出てきましたよ?」
小梅「…………良い子のみんなー! こーんにちわー!」スッ
みほ「こんにちわー!」
小梅「あれあれ? 声がここまで届いてないぞ! もう一度……こーんにちわー!」
みほ「皆もほら! こんにちわぁぁぁーーーーッッ!!」
沙織「うぅ……こんにちわー!」テレテレ
華「こんにちわぁぁーー!」
麻子「本気か? ……もう帰りたい気しかしないんだが。あーもう、こんにちわー」
小梅「うん! 今日の良い子達も元気一杯だね! では先ずは、はじめまして! 今日の司会と進行を纏める小梅お姉さんだよ! よろしくね!」ニコッ
みほ「小梅お姉さぁーーん! よーろーしーくぅー!」フリフリ
小梅「さぁ今日は誰と会える日なのかな? 分かる子は手を上げてー?」チラッ
みほ「はいっ! はぁーいっ! はいっはいっはいっ!」シュバババ
小梅「はい、そこの元気な女の子! 誰と会えるか、大きな声で言ってみよう!」
みほ「ボォォォコオォォォォーーーーーーッッッ!!!」
麻子「うわぁ! びっくりしたな……西住さんってこんな大声出せたのか……」ドキドキ
沙織「みぽりん……なんかすっごいね」
華「まぁまぁ良いじゃありませんか。私達の他には誰も居ないのですから、皆さんも楽しみましょう!」ウキウキ
小梅「元気一杯に答えてくれてありがとー! それでは皆、大きな拍手で迎えてあげてね! ボコられグマの……ボコくーん!?」
『優花里「では隊長、逸見殿! 先に行ってくるでありまーす!」』
『エリカ「ヘマこくんじゃないわよ!」』
『まほ「健闘を祈る!」』
みほ「あ! 段幕の奥から……」
ボコ「おいら、ボコだぜ!」バンッ
みほ「ボコだぁーーーー!!」ズダダダダダ
沙織「ちょ! みぽりんがステージに!」
みほ「ボーーコーーーーッッ!」ドーン
『優花里「うわぁっ! おっちょ、あ、駄目でありますぅ!」』ドテーン
ボコ「お前、中々やるぜ!」
みほ「ボコボコボコー!」ギューー
『まほ「秋山さん、何があった? 大丈夫か?」』
『優花里「い、いきなり西住殿に押し倒されてしまったでありますぅ! 今はのし掛かられて抱き締められてる最中です!」』
『エリカ「ちょ、ちょっとそれ代わりなさいよ! 小梅! 早く私をステージに上げなさい!」』
『小梅「これは予想以上にみほさんがアグレッシブですね……。エリカさんにも飛びかかるかもしれませんけど、覚悟しておいてくださいね」』
『エリカ「秋山と違って逆にみほをしっかり受け止めて、そのまま抱き締め返してあげるっての! さぁこっちはいつでも準備オーケーよ!」』
小梅「はーい、ボコを熱烈に歓迎してくれてありがとー! それじゃ、ちょっと席に戻ってねー!」ニコニコ
みほ「あ、うん! 盛り上がっちゃってごめんなさい! 席に戻るね!」トテテテ
ボコ「少し痛かったけど、嬉しかったんだぜ! ありがとな!」
麻子「あの着ぐるみ、もしかして自動で喋ってるのか? 凄いな……」
沙織「中で喋ってるんじゃないの?」
麻子「着ぐるみ越しのくぐもった声じゃないし、どこからかアテレコでも無さそうだ。周りに設備も無いしな……」
華「あ、みほさんが戻ってきましたよ」
みほ「皆ごめんね! ボコを見たらつい体が動いちゃった!」ニコニコ
沙織「あはは、ボコも喜んでたみたいだし、いいんじゃない?」ニコッ
華「えぇ、ボコさんもみほさんにあれだけ思われて嬉しくないわけがありませんもの。どんどんいきましょう!」
みほ「う……うん! 私、頑張るね!」
小梅「ボコくーん! 今日はボコくんの友達も来てくれてるんだよね? 紹介してくれるかな!?」
ボコ「おねーさん、わかったぜ! おいらの友達を良い子の皆に紹介するぜ!」スッ
みほ「友達……? とりきち? それともライバルのニャンメル?」ワクワク
ボコ「エリボコォォォーーー!」バッ
エリボコ「わたし、ボコなのよ!」バンッ
みほ「あ……あ……あぁぁーーーー!? エリボコォォーーーー!」ズダダダダダ
沙織「あ、また走ってった!」
『エリカ「っしゃぁ! どんと来い!」』
みほ「エリボコ、エリボコ、エリボコォーー!」ドーン
『エリカ「ちょちょっと、結構おも、あ! やっぱ駄目ぇ!」』ドテーン
エリボコ「はーん! 全然効かないけどぉ!」
みほ「このちょっと強気な所も可愛いよぉ! エリボコぉ……!!」ギュウウ
『エリカ「みほ……今着ぐるみ越しにみほが……んふ」』
『まほ「おいエリカ、変われ! 次は私の番だろ、早くそこ変われ!」』
『エリカ「えぇ、もうしょうがないなぁ……。とりあえずみほをどかして、と」』
エリボコ「あんた、中々やるわね! 気に入ったわ!」
みほ「ほわぁぁ……エリボコ……抱き心地も最高だったよぉ……!」トテテテ
沙織「みぽりん……ボコが出てくる度に突進する気なの?」
みほ「うん! 流石黒森峰だよ! エリカさんをモデルにしたボコが出てくるなんて完全に予想外だったもん! グッズとか出るのかなぁ……欲しいなぁ……!」
麻子「欲しい……か?」
華「私は記念に一つ欲しいですけど」
小梅「さぁ今日はなんと! なんとなんと! エリボコの隊長さんまで来てくれたようです! みなさーん、大声で呼んでみましょう! さんはい!」
みほ「隊長? あ、お姉ちゃんがモデルのボコかな? 隊長ーー!」
麻子「たいちょー」ボソッ
まほボコ「私、ボコだぞ!」バーン
『まほ「みほ! お前の全てを受け止めてやる! さぁ来い!」』グッ
みほ「わぁ! 似てる似てる! 凄い雰囲気出てるね!」キャッキャッ
『まほ「重心は低く、正面からの衝突に備えて片足を下げる……さぁ来い!」』グッ
みほ「まほボコも可愛いね! グッズ……欲しいよぉ!」
『まほ「まだか? まだなのか? いつでもいいぞ……! さぁ来い!」』グッ
沙織「なんか、あのボコがみぽりんの突撃を待ってるみたいなんだけど……行かないの?」チラッ
みほ「流石に身内をモデルにした着ぐるみには抱き付きに行けないよ……出来が良くてお姉ちゃんに雰囲気近い分余計に行けないんだけど……」
華「はぁ……そういうものでしょうか……」
まほボコ「私、ボコだぞ! ボコなんだぞ!」クイックイッ
麻子「あのボコの来てくれアピール凄いな。とりあえず誰か行ってやった方がいいんじゃないか?」
沙織「えぇ……じゃあ皆で行こうよ! 一人だとちょっと恥ずかしいし!」
華「いいですわね! 早速行きましょう!」
麻子「面倒だな、こっちに呼べばいいんじゃないか?」
沙織「ほら麻子!」グイッ
麻子「あーもう、わかったわかった」
みほ「私はここで待ってるね! 行ってらっしゃーい!」
ボコ「おいらボコだぜ!」グッ
エリボコ「わたし、ボコなのよ!」グッ
まほボコ「私、ボコだぞ!」グッ
沙織「丁度三人だし、皆で別々のボコに抱き付こうよ!」チラッ
麻子「それなら私は一番近いこのボコにするか」ダキッ
ボコ「お前、中々見所があるぜ!」ギュッ
『優花里「冷泉殿までこんなに素直に抱き付いてくれるとは……着ぐるみ効果は凄いでありますなぁ!」』
麻子「おい、もう離せ。義理は尽くしたぞ」ジタバタ
『優花里「うへへ、そう簡単には離さないでありますよぉ! それにしても冷泉殿はお人形さんみたいで可愛いでありますぅ!」』
ボコ「おいら、もっとお前といたいぜ!」
麻子「離せ、離せぇ…………無理か。もう勝手にしろ」グテー
ボコ「おいら、勝手にするんだぜ!」ギュウウ
華「私はこのエリボコさんにしますね! えい!」ダキッ
エリボコ「あんた、良いセンスしてるわ!」ギュッ
『エリカ「スラッとしてて背も高い……スタイルが良いわね……羨ましいわ」』
華「あらあら、そっちはお尻ですわ! えっちなエリボコさんですわね」
エリボコ「魅力的な花は愛でるべきなのよ!」サワサワ
『小梅「エリカさん! お尻触りすぎですよ! なにやってるんですか!」』
『エリカ「はっ! ついつい誘われるように触ってたわ……小梅、止めてくれてありがとう」』
沙織「それなら私はこのまほボコだね! よろしく、まほボコー!」ダキッ
『まほ「みほではなく、沙織さんが来たか……まぁいいか。沙織さん、君にはいつもみほが世話になっている。余り面と向かっては言えないが、とても感謝している、ありがとう……」』ギュウウ
沙織「こ、この包容力……結構良いかも!」キャッ
まほボコ「なんかチャーシュー食べたくなるぞ! そんな不思議な感触だ!」グゥゥ
沙織「セクハラァッ!」バシィッ
『まほ「ぎゃんっ! わ、私はそんなこと言ってないぞ! このAIはなんかおかしくないか!?」』
『小梅「用意したのは私じゃないですし……仕様ですとしか……すみません隊長。とりあえず進行を続けますね!」』
小梅「はい、良い子のみんなー! ボコ達を歓迎してくれてありがとー!」パチパチ
小梅「それでは一度、皆は席に戻ってね!」
沙織「はーもどろもどろ。麻子、いつまでボコに抱き付いてるの?」
麻子「こいつ離れないんだ。剥がしてくれ」グイッ グイッ
ボコ「今日はずっと一緒だぜ!」ギュウ
『優花里「冷泉殿の抱き心地は最高でありますなぁ! 赤星殿、私のボコはとりあえず自由にしてていいのですよね?」』
『小梅「そうですね……次はエリカさんと隊長のステージですから、自由にしても大丈夫です!」』
『優花里「それならこのまま冷泉殿を抱っこして席に行きます! さぁさぁ冷泉殿ぉ、抱っこしちゃいますよぉ!」』
ボコ「さぁ席に戻るぜ! ひょいっと!」ヒョイ
沙織「あー! お姫様抱っこ……でも……ボコかぁ……ギ、ギリギリ羨ましい!」
華「では、このようなのはどうでしょう?」ヒョイ
沙織「あん! もう、華ったら積極的ぃ!」キャッ
麻子「もうどうにでもしてくれ。おいボコ! 西住さんが待ってるから早く席に戻ってくれ!」
『優花里「了解でありますぅー! ひゅー!」』
ボコ「少し揺れるから気を付けるんだぜ!」トタテテ
みほ「あ、おかえりなさい! えへへ、皆仲良しだね!」
麻子「こいつ全然離れてくれないんだ。助けてくれないか?」チラッ
ボコ「もう離したくないぜ!」ギュッ
みほ「羨ましいよぉ! ボコーー! 私も私もーっ!」ギュウウ
『優花里「勿論西住殿も離さんでありますよぉ! 西住殿、ゲットでありますぅ!」』
ボコ「おいら、両手に花だぜ!」ギュッ
みほ「はーん! ボコったら積極的だよぉ! 大好きぃ!」ギュウウ
『優花里「うっはぁぁーーー! 右手に西住殿、左手に冷泉殿……隊長と逸見殿には申し訳ないですが、今日はこのボコの天下でありますよぉー!! ひゃっほぉぉぉーーー! 最っ高っだぜぇぇーーっっ!」』
『エリカ「ハァ!? ちょ、隊長ぉ! あいつ調子ぶっこいてますよっ!」』
『まほ「ふふ、ふふふ……!! ま、まぁみほはボコが大好きだからなぁ! 今はみほの心を掴んでいるようだが、だがしかし……今から始まる我々のステージの後でもみほの心は君の方を向いているかな?」』
ボコ「さぁお前らここに座るんだぜ!」スッ
麻子「はいはい、座り心地は良さそうな足だな」スッ
みほ「ボコに座っていいの? えへへ、重かったら言ってね!」ニコニコ
華「あらあらまぁまぁ、これは……対抗して真似しますか?」チラッ
沙織「えっと、華の足に座るって事? そこまではいいよぉ。でも、逆に膝枕ぐらいならしてあげてもいいよ? さっきのお姫様抱っこのお礼としてね」ニコッ
華「では持ってきたこのシートを広げて……お願いしますわ!」バッ
沙織「はいはい、って顔の向き逆だよ!」グッ
華「はふー、はふー」
沙織「キャハハ、ちょ、華ぁ! お腹お腹……こしょぐったいよぉ!」ケラケラ
『小梅「ではエリカさん、そろそろ準備はよろしいですか?」』
『エリカ「勿論よ。あそこで余裕ぶっこいてる秋山に目に物を見せてやるわ!」』
小梅「はーい良い子のみんなー! 今日はなんと! ステージに残ったエリボコが特技を披露してくれるよー!」
エリボコ「わたし、やるわ!」グッ
『エリカ「今日のためにずっとボコダンスの練習を積んできたのよ! 絶対にあそこに居るみほを振り向かせて見せる!」』
沙織「あ、エリボコがなんか見せてくれるみたいだよ! なんだろうねー」
麻子「一人で出来ることなんてたかが知れてる。大方ダンスとかじゃないか?」
みほ「……まさか……いや…………そんな…………」ブツブツ
華「はふー、はふー」
沙織「んふふ! こら華ぁ! いい加減向こうむいてよぉ!」
小梅「エリボコの特技、良い子のみんなはわかるかなー!? ヒントを出していくから、分かった人は手を上げてね!」
小梅「最初のヒントは……身体を動かす特技だよ!」
エリボコ「こうきたらこう! こうきたらこう!」クイックイッ
沙織「あーこれは本当にダンスかな。どうする? 手を上げる?」チラッ
麻子「いや、ここは西住さんに任せよう。西住さん、お願いしてもいいか?」
みほ「え!? う、うん任せて! 絶対に当ててみせるよ!」グッ
沙織「みぽりん、そんな気負わなくても大丈夫だよ……もう手を上げる?」
みほ「ううん、まだ確証が持てないから次のヒントを待つよ! エリボコの為にも絶対に当てたいの!」
小梅「まだ手は上がらないかなー? それでは次のヒントを教えちゃうよー! エリボコはこの特技で……跳んだり跳ねたりするよ!」チラッ
エリボコ「カモンミュージック! ノーミュージックノーライフ!」フリッフリッ
『エリカ「さぁ早く答えなさい! このダンスでみほの心を絶対に捉えてみせるわ!」』
『優花里「んふふ、この手の温もりはそうそう簡単に手放さないでありますよぉ! さわさわ、さわさわ……」』
麻子「あんっ……このボコ、ちょっとえっちだな……」ピクッ
みほ「あっ、やん、もう! ボコのえっちぃ!」プンプン
『優花里「うへへへ、二人とも身体は正直でありますなぁ……」』
『まほ「ずっこい、それはずっこいぞ! 着ぐるみで姿を隠してそんな事をするなんて……いつか天罰が下るからな!」』
ボコ「二人とも……暖かいぜ!」サワサワ
みほ「んっ……んーーーっ! 分かった! 小梅お姉さーーーん、はい! はーーいっ! はいっはいっはーーーいっ!」シュバババ
『エリカ「小梅、みほがダンスと答えたらミュージックスタートよ! 準備はいいわね!?」』
『小梅「はい! 任せてください! 最大音量でお届けします!」』
小梅「元気よく手が上がったね! それじゃあ、そのまま大きな声で答えてね……さぁどうぞ!」サッ
みほ「…………フランケンシュタイナァァーーーッッッ!!」カッ
小梅「…………えっ?」ピクッ
『エリカ「…………えっ?」』
麻子「…………は?」チラッ
華「ぶふーーっ!」
沙織「ちょ、華! 私のお腹で吹き出さないでよ!」
エリボコ「……大正解よ! あんたは中々見所あるわ!」
『エリカ「えぇーーーーーっ! ちょ、ちょっと勝手に何か言ってるんだけど!」』
みほ「やっぱり正解だったよぉ! ダンスとフランケンシュタイナーで迷ったんだけど、フランケンシュタイナーを選んで大正解だよぉ! そろそろ空中殺法が得意な亜種ボコが現れるんじゃないかってボコ掲示板で噂になってたんだよね! はーん、エリボコは私のハートをがっちりキャッチしてくるよ!」キャッキャッ
麻子「どんな掲示板だそれは……」サッ
『エリカ「なんか不正解って言えない雰囲気……小梅ぇ、何とかしてぇ……」』
『小梅「エリボコが大正解って言っちゃってるじゃないですか! 今更残念、不正解ですとは言えないですよ。なんとかなりませんか?」』
ボコ「エリボコのフランケンシュタイナーは芸術に近いぜ! 是非見てくれよな!」
みほ「うん! 絶対見逃さないよぉ!」
『エリカ「秋山ぁ、一々煽るんじゃ無いわよ! や、やってやろうじゃないの!」』
『優花里「煽ってるのは私じゃありませんよ……ボコ達はもう完全にコントロール不能ですね……。エリカさん、フランケンシュタイナーなんて出来るんですか?」』
『エリカ「技自体は知っているけど。正直なとこ、挑戦したことすらないわよ。隊長……何か良い案はありませんか? 助けてくださぁい……」』
『まほ「……うーむ、ではこうしよう。私のまほボコが片膝を着いて座るから、エリカは私の膝を踏み台にしてまほボコの首に両足をかけるんだ。その後、私が前宙返りの要領で飛ぶからエリカはそれに合わせてバク転すればいい。これでフランケンシュタイナーに近い動きは再現出来るだろう」』
『エリカ「うぅ、隊長ぅ! ありがとうございます! この恩は決して忘れません!」』
『まほ「まぁみほの期待を裏切るのもな、さぁみほが期待を込めた目で此方を見ている。一発ぶちかましてやるぞ!」』
『小梅「お二人とも、怪我だけはしないでくださいね……では行きます!」』
小梅「エリボコの準備が整ったところで……良い子の皆! 大きな声で応援して上げてね!」
沙織「エ、エリボコー! 頑張れー!」
みほ「エリボコォォーー! フランケンシュタイナー見せてぇーーーっっ!」
麻子「着ぐるみで出来るのか? 怪我しないといいが……」
華「よっ! エリボコ冷蔵庫! 三角チョコパイ見えてるよっ!」
沙織「その掛け声は絶対違うと思うよ……」
エリボコ「行くわよ! はぁぁーーーっっ!」ダダダダダ
まほボコ「私、負けないぞ!」グッ
エリボコ「しゃおらぁっ!」ガスッ
まほボコ「へぶぅ!!」ドターン
『まほ「へぶぅ!!」』
『エリカ「げっ、顔に膝蹴りかましちゃった! 隊長、すみません大丈夫ですか!?」』
エリボコ「うぃーーーーっ! うぃーーーーーーっっ!」バッ
みほ「シャ、シャイニングウィザードだよ! フランケンシュタイナーと見せ掛けて先ずシャイニングウィザードで確実にダメージを与えるなんてエリボコは稀代の、ううん、正に閃光の魔術師だよぉ! エリボコォォーー! 愛してるよぉーーーー!」フンスフンス
『小梅「隊長、大丈夫ですか!?」』
『まほ「か、顔に衝撃が……エリカ、気を付けてくれ。着ぐるみ越しとはいえ結構効いたぞ」』
『エリカ「本当に申し訳ないです、着ぐるみのせいで足幅の目測を誤りました。つ、次は成功させます!」』
まほボコ「く、くらくらするぞ……」
エリボコ「貴様の断末魔をもって黒森峰に対する下克上への狼煙とする! さぁ立て!」
『まほ「エリカ、お前全然反省してないだろ! 先輩に膝蹴りかましておいてその態度はなんだ! それとも私に喧嘩を売っているのか!?」』
『エリカ「これ私の意思じゃどうにもならないんですって! 本当に反省してますから勘弁してくださいよぉ……」』
エリボコ「次は二度と立てないようにぶん投げてやる! 覚悟するがいい……ペッ!」
『まほ「………………ほ、ほう……いいだろう、とりあえず事は技を受けてからだな。さぁ来るがいい」』
まほボコ「私、まだまだやれるぞ!」グッ
沙織「だ、大丈夫なのかなぁ……」
みほ「まほボコもエリボコもやる気満々だね! 次はフランケンシュタイナー見れるかなぁ?」
麻子「……暴力的なのはあまり好きじゃない。なぁ、ボコはどうなんだ? ボコもあーいう、プロレスみたいなのが好きなのか?」チラッ
ボコ「おいらも暴力はあまり好きじゃないんだぜ! 森のライバル達には挑んだりするけど、それはあいつらがルールを守らないからなんだぜ! でもいつも負けて悔しいけどおいら負けないぜ!」
麻子「ボコ……私達気が合うな……」ソッ
ボコ「ふふ……離さないぜ……」ギュッ
沙織「何なの、この茶番。……ちょっと羨ましいけど、ほんとちょっとだけね」
華「うふふ、私も沙織さんを離しませんよ」ギュッ
沙織「……はいはい、ありがとありがと」ポンポン
みほ「……皆、エリボコが走るよ!」グッ
エリボコ「隊長……いや、まほボコォ! ここが貴様の墓場だぁーー!」ダダダダダ
まほボコ「まだくらくらするぞ……うぅ……」
『エリカ「片膝に足をかけて跳んで両足でまほボコの頭を……挟む! よし、出来た! 隊長ぉ! 後はよろしくお願いします!」』
『まほ「あぁ、任せろ!」』
エリボコ「吹き飛べぇぇーーーーっ!」グググッ
まほボコ「ふん、愚かな……西住流にそのような些末な技が通用すると思うてか!」ガシッ
みほ「あ、あぁーーーっっ! まほボコがエリボコの両足を掴んでるよぉ! あれは……まさか……」ガクガク
『エリカ「えっちょ! 隊長!? 何してるんでーー」』
『まほ「相手を見て喧嘩を売るんだったな! さらばだエリカ!」』
みほ「カウンターパワーボムだぁぁーーーーーーっっっ!!」カッ
まほボコ「[ピーーー]ぃっ!」バスンッ
エリボコ「ごっふぅ!」ドッターーン
『エリカ「ごっふぅ!」』
まほボコ「アスタラビスタ、ベイビー!」ビシッ
『エリカ「わた……わたし……喧嘩な、んて売ってないで……す……」』ピクピク
『小梅「ちょ、ちょっと隊長! 何してるんですか!」』
『まほ「ふん! 自業自得だ!」』プンプン
エリボコ「吹き飛べぇぇーーーーっ!」グググッ
まほボコ「ふん、愚かな……西住流にそのような些末な技が通用すると思うてか!」ガシッ
みほ「あ、あぁーーーっっ! まほボコがエリボコの両足を掴んでるよぉ! あれは……まさか……」ガクガク
『エリカ「えっちょ! 隊長!? 何してるんでーー」』
『まほ「相手を見て喧嘩を売るんだったな! さらばだエリカ!」』
みほ「カウンターパワーボムだぁぁーーーーーーっっっ!!」カッ
まほボコ「あの世へ行けぃっ!」バスンッ
エリボコ「ごっふぅ!」ドッターーン
『エリカ「ごっふぅ!」』
まほボコ「アスタラビスタ、ベイビー!」ビシッ
『エリカ「わた……わたし……喧嘩な、んて売ってないで……す……」』ピクピク
『小梅「ちょ、ちょっと隊長! 何してるんですか!」』
『まほ「ふん! 自業自得だ!」』プンプン
みほ「エ、エリボコォォーーーーーッッッ!!」ダダダダダ
みほ「……エリボコ、大丈夫? 怪我してない?」スッ
エリボコ「ひ、膝枕してくれると助かるわ……」ピクピク
みほ「えぇ、もう! しょうがないなぁ、はいどうぞ」サッ
エリボコ「良い心地だわ……ありがとう……」
みほ「うんうん、フランケンシュタイナーは惜しかったね! でもエリボコは頑張ったよ! えらいえらい!」ナデナデ
『エリカ「んふ、んふふ……これ、良い……みほ……しゅきぃ…………」』ギュッ
まほボコ「エリボコが悪いんだぞ! 黒森峰への下克上と聞いては私も手を抜くわけにはいかないんだ! 黒森峰の隊長として、私にはここを守る義務がある!」プンプン
『まほ「エリカ! 代われ! そこを代わってくれ! 西住流パワーボムの事は謝るから、私も膝枕されたいんだ、頼む! というか、そこをどけ!」』
みほ「もう、まほボコはそんな事言って! 一度は技を受けてあげなきゃ駄目でしょ! メッ……だからね! 分かった!?」ピシッ
まほボコ「反省するぞ……」ショボン
『まほ「……おいおいおい、みほにこんな可愛く怒られてしまったぞ! いいなぁ、これ。年下である妹に姉を垣間見た気分だ。みほにはこんなに素晴らしい姉属性が潜んでいたのか……!!」』
みほ「うん! 反省できてまほボコはとっても良い子だね! いいこ、
いいこ!」ナデナデ
『まほ「あ、あぁぁーーーッッッ! みほお姉ちゃん、しゅきぃ…………!!」』ギュゥゥ
みほ「あん! まほボコもエリボコも甘えん坊さんなんだからぁ!」ナデナデ ヨシヨシ
『エリカ「うひひ、うひうひ……みほぉ……みほぉ……」』ギュゥゥ
『まほ「みほお姉ちゃん……しゅきしゅきぃ……」』ギュゥゥ
沙織「みぽりんがボコ達に襲われてるようにしか見えないんだけど……っていうか、あれ着ぐるみの中の人がおじさんとかだったら完全に事案なんだけど!」
麻子「中の人なんていない! 中の人なんていないんだ、なぁボコ? ボコはボコだもんな?」ギュッ
ボコ「おいら、ボコだぜ! 天上天下唯我独尊ボコだぜ!」ナデナデ
『優花里「冷泉殿が甘えてくれるのは嬉しいのですが、少々懐き過ぎでは? もしかして着ぐるみの何かが冷泉殿の琴線に触れてしまったのでしょうか……?」』
沙織「麻子ってそんなにボコが好きだったっけ?」
麻子「ボコが好きなわけじゃない、でもこのボコは好き。私自身でも不思議な気分だが、何故かこのボコには惹かれるんだ」ギュッ
ボコ「きっと、今のこの気持ちが……答えだぜ……?」ギュッ
麻子「ボコぉ……」ギュゥゥ
『優花里「このボコはとても調子の良い奴でありますなぁ……中身が私だと知られたらどうなってしまうやら……」』
『小梅「えーと、皆さんが盛り上がっているところで大変申し訳ないのですけど、一旦休憩という形で区切らせて貰ってもよろしいですか? ここからのプログラムの擦り合わせもあるので」』
『まほ「やだ。私はみほお姉ちゃんから離れないぞ!」』
『エリカ「まだ……このままで、いいんじゃない? うへへ……」』
『小梅「まぁまぁ、そういうことは休憩の後にまたすればいいじゃないですか。とりあえず休憩にしますね!」』
小梅「はい、それじゃこれでボコ達のお披露目は終わりにしまーす! 一旦休憩にするから、皆元の場所まで戻ってねー!」
みほ「あ、はーい! それじゃ私は席に戻るね! ばいばい、まほボコ、エリボコ!」フリフリ
エリボコ「ふ、ふん! まぁ許してあげるわ! でもまた直ぐに来なさいよね!」ツーン
ボコ「それじゃおいらも戻るぜ! 麻子、またな!」フリフリ
麻子「あ……ボコ……名前、呼んでくれた…………。うん、私待ってる」フリフリ
小梅「それでは、これから少しの間休憩にするよ! ボコ達の準備ができたら再開するから、楽しみに待っててね!」バイバーイ
沙織「……皆行っちゃったね。休憩時間ってどれくらいなんだろ?」
華「そうですね……どちらにせよ遠くへは行けませんから、大人しく待っていた方が良いのではないでしょうか」チラッ
麻子「ボコが行ってしまった……何故だろう、寂しいな……」
沙織「麻子、大丈夫? ボコに惹かれすぎじゃない?」
麻子「私も自分でおかしいとは思ってるんだが、自分では止められないんだ。フィーリングが合うというか、あのボコに強烈に惹かれてる気がする。側に居て安心するというか……」
沙織「うーん……まぁいいんじゃない? 私達しか居ないんだし、今日はあのボコにいっぱい甘えちゃいなよ!」
華「ええ、私もそう思います。今日くらいは良いじゃありませんか、私も今日は今以上に沙織さんにいっぱい甘えさせて頂きますから」ニコニコ
沙織「これ以上は友達じゃ済まない領域でしょ! これ以上どうする気なの!?」
華「直接的な表現は避けますが、花でいうと、受粉……的な?」ニヤリ
沙織「女同士で出来るわけないでしょ! っていうかその言い方は逆に卑猥!」
麻子「受粉は無理だと思うが、そうか……そうだよな……それなら今日はボコにいっぱい甘えてみようかな」
みほ「えへへ、麻子さんもボコが大好きになってくれて嬉しいよ! 休憩が終わったらいっぱいボコと遊ぼうね!」ニコニコ
麻子「西住さん……うん、ボコといっぱい遊ぼう!」ニコッ
みほ「あ、私……着替えてくるね! 次にボコ達に会ったらいっぱい遊べるように、着替えを持ってきてたんだ!」タタタ
沙織「そういえばみぽりんは着替えを持ってきてたね。ジャージとかかな?」
華「どうでしょうね、みほさんの事ですから……動きやすいジャージ等よりボコの着ぐるみ的な物では? 以前見せて頂いたボコパジャマのような……」
麻子「西住さんなら充分に有り得るな、私もボコとお揃いで買おうかな……」
沙織(こりゃ重症だわ……)
ーーー舞台裏ーーー
ボコ「……おいら、ボコだぜ!」ビシッ
エリボコ「わたし、ボコなのよ!」ビシッ
まほボコ「私、ボコだぞ!」ビシッ
小梅「それはもう知ってますから! とりあえず一度、着ぐるみのロックを解除しますね!」ピッピッピッ
優花里「ぶふー、やっぱり少しは蒸れますねー! 空気が美味しいです!」バッ
まほ「……ふぅ。だから戻るのは嫌だって言ったのに、まだまだみほお姉ちゃんに甘え足りないぞ!」バッ
エリカ「はぁ……膝枕……良かったわぁ……もう一回、もう一回どうにかしてもらえないかしら?」バッ
まほ「そう言えば私はまだ膝枕してもらってないな。次はみほお姉ちゃんに膝枕してもらうか」
エリカ「いやいやみほの膝枕は私の物ですから! というか、あのパワーボムは何なんですか、死ぬかと思いましたよ!」グッ
まほ「あれはエリカが悪いんだ、私に膝蹴りしたうえに挑発するからあんな事になる!」プイッ
エリカ「挑発したのは私じゃなくてエリボコでしょ! まぁ膝蹴りかましたのは申し訳なかったですけど……」
優花里「まぁまぁお二人共その辺でおさえてください。それにしてもボコ達は本当に好き勝手に喋りますねぇ、これは止められないんですか?」チラッ
小梅「どうも止められないようです。マニュアルにも書いてないですし、ボコ達も学習して喋っているようですしね……」
優花里「私のボコは冷泉殿を名前で呼び初めましたからね、末恐ろしい奴です」
エリカ「そうねぇ、あんたのボコと冷泉さん……なんか凄く仲良さそうだったもんね。ところでこれって最後に正体を明かすの? まぁあっちの皆も感付いているのかもしれないけど」
まほ「そうだな、その辺りも決めておくか。後はイベントの終わり方も考えておかなければな。それと……」
まほ「どうしたらみほの妹になれるのかも考えねばな!」グッ
エリカ「それは無理でしょ!」
優花里「無理ですよぉ……」
まほ「いや、お母様を使えば……弟を産んで貰って、いやそれよりお母様に入り直せば……」ブツブツ
小梅「何をそんな猟奇的な事を考えてるんですか! 余り変なことをしようとしたら今度は腹パンじゃ済みませんよ?」
まほ「流石にこれは冗談だが、しかしなぁ……」チラッ
優花里「でも私達がボコに扮している間は甘えたい放題ですから、先ずはその辺りで納得してみてはいかがですか?」
エリカ「正体を隠したままなら、また次回に同じこと出来るわね……」ムゥ
まほ「……そうだな。しかしそうなると暫く正体は明かさない方が良いか。後はキリのいい時間に小梅が切り上げてくれれば大丈夫だろう。皆もそれで良いか?」スッ
小梅「了解しました。ではそろそろ皆さんはボコの着ぐるみを着てください。結構時間経っちゃいましたし」
優花里「ふぃー、ボコ……余り冷泉殿に甘いこと言っちゃ駄目ですからね! 後が怖いですから、お願いしますよ!」ガバッ
ボコ「おいら、ボコだぜ! 麻子にはちょっと弱いぜ!」ビシッ
『優花里「そこをなんとか頑張ってくださいよぉ!」』
エリカ「エリボコ……膝枕よ、膝枕を要求するのよ! 分かったわね!?」ガバッ
エリボコ「わたし、ボコなのよ! 膝枕をしてほしいわ!」ビシッ
『エリカ「そう、そうなの! エリボコちゃんはやれば出来る子だわ!」』
まほ「まほボコ……みほにお姉ちゃんになってくれるようにお願いしてくれ!」ガバッ
まほボコ「私、ボコだぞ! 先ずはしぽりんの所へ行くぞ!」ビシッ
『まほ「それは本気で止めろ! よし、皆……行くぞぉ!」』
『エリカ、優花里、小梅「おーーっ!」』
ーーーボコステージーーー
沙織「あっ、小梅さんが出てきたよ!」
華「みほさんはまだお戻りになっていませんけど、呼んで来ましょうか?」チラッ
麻子「いや、着替えるだけと言っていたし、直に来るんじゃないか?」
沙織「そうだよね、着替えに行ってから結構経ってるしね。それにしてもこのあとは何をやるんだろ……」
小梅「はーい、それでは先ずは早速ボコ達に登場してもらいましょう! ボーコー!」
ボコ「おいら、ボコだぜ! 座右の銘は雲外蒼天!」ビシッ
麻子「ん、良い言葉だな。青空に通ずる所が良い、流石ボコだ」ウンウン
エリボコ「わたし、ボコなのよ! 好きな警句は学びて思わざれば則ち罔し!」ビシッ
華「これもとても良い言葉ですね、形式だけでは届かぬ華道にも通じる言葉です」ウン
まほボコ「私、ボコだぞ! 辞世の句は……極楽も、地獄も先は有明の……月の心に懸かる雲なし!」ビシッ
沙織「死ぬの!? しかもそれ上杉謙信のパクりだし!」
『まほ「ボコ達は本当に出鱈目だな。特に私のまほボコだけおかしい気がするぞ」』
『エリカ「とはいえボコ達もある程度の融通はしてくれそうだし。エリボコちゃん、先ずは膝枕からよ……ってみほが見当たりませんよ」』
『小梅「あれ? 確かに三人しか居ませんね、みほさんはお手洗いですかね?」』
みほ「……皆、お待たせぇー!」トタテテ
沙織「みぽりん、もうボコ達が出てきちゃったよ……って何その格好?」クルッ
みほ「押っ忍!」ビシッ
華「あら……これは……予想外ですね……」ビックリ
麻子「西住さん、何で道着なんだ?」チラッ
みほ「押忍! 昨日お母さんから電話が掛かってきて、今日はボコに会えるって言うから、引き出しの奥から引っ張り出してきたんだ! これを着るとね、ぐぐぐーーって、気合いが入るの!」ビシッ
沙織「そ、そう……みぽりん、そんなの持ってたんだね。イメージからかけ離れすぎて吃驚したよ!」
みほ「んふふ、そうかな?」
華「……でも、そういうみほさんも素敵ですわ! とてもお似合いですよ!」
みほ「えへへ、ありがとう!」ニコッ
『エリカ「へー、みほって空手か何かしてたんですかね? 胸元に西住流って書いてありますけど?」』チラッ
『まほ「いや、私はみほが空手をやっていたとかは聞いていないが。西住流って何だろう、私達とは別の西住流ではないのか? 私が知っている西住流は戦車道しかないしな……」』
『優花里「そのまま戦車道の西住流を表しているのでは? それにしても……道着姿の西住殿もベリーキュートでありますなぁ! ここは私から行かせて貰いますよ、それぇっ!」』
ボコ「ひゃっはー! おいら我慢できないぜぇ!」テテテテ
『エリカ「あ、秋山ぁ! あんたはまたそうやって抜け駆けする、待てぇ!」』バッ
『優花里「うへへ、西住殿ぉーー! この秋山優花里が一番にぎゅーするでありますよぉ、それ……ぎゅーーっ!」』バッ
みほ「えいっ!」バシィッ
『優花里「あっ、手を弾かれたであります! だけど抵抗してもぎゅーからは逃げられませんよ! えーいっ!」』バッ
みほ「…………先ずは、ボコからだね? どっせい!」ボスゥ
『優花里「えっ、おごぉ……っ!」』ボスン
ボコ「おごぉ……っ!」
『まほ「…………は?」』
『エリカ「…………えぇ?」』
みほ「はぁぁぁ……っっ! 裏拳、裏打ち、鉄槌、肘打ち、手刀、鉤突き、肘打ち、両手突き、手刀、貫手、下段回し蹴り、中段回し蹴り、下段足刀、踏み砕き、上段足刀……っ!」ガスガスガスガス
『優花里「おごごごごごっちょ、ちょちょおごぉ! ちょま、待ってくださおごぉ!」』ボスボスボスボス
みほ「左下段前蹴り、右背足蹴り上げ、左中段前蹴り、左中段膝蹴り、右上段膝蹴り、振り上げ、手刀、鉄槌、中段膝蹴り、背足蹴り上げ、左上段順突き、右中段掌底、右上段孤拳、右下段回し蹴り、左中段膝蹴り……」ガスガスガスガス
『優花里「おげげおごぉ! だだだめですぅ! ちょ助けふげぇっ!」』ボスボスボスボス
『まほ「あ、秋山さん! とにかく一度倒れるんだ! 立ったままでは打たれ続けるぞ!」』
『優花里「たたた倒れようとおごぉ! してるんですけど身体が倒れてくれませぇん! 助けてぇ!」』
ボコ「おっ! やっべ! これやっべ! ちょ、マジおいらやっべ!」ボスボスボスボス
みほ「右中段回し蹴り、左上段後ろ回し蹴り、左中段猿臂、右下段熊手、上段……」ガスガスガスガス
『エリカ「ちょっとこれ本当に危ないんじゃない!? と、止めなきゃ……!」』
麻子「や、やめろぉーーーっ! ボコを叩くなぁーーっ!」トテテテ
華「麻子さん、迂闊に近付いてはいけませんっ!」バッ
みほ「むっ!? ふん、せっかっこう!」バッシィ
『優花里「へぶぅ!」』
みほ「なぎっ! ふっせい、なぎっ! よっはっはぁーん! なぎっ! はぁーん! 天翔百裂拳! なぎっ! 覚悟ぉ! 激流では勝てぬ……なぎっ! なぎっ!激流に……激流に身を任せ同化する、なぎっ! 覚悟ぉ! はぁーん! 天翔百裂拳! なぎっ! はぁぁぁ……西住無情断迅拳っ!」ガスガスガスガス
『優花里「ふげっ! ふげっ! ちょこれ浮いて、私浮いてませんかぁ!?」』ボスボスボスボス
『エリカ「浮いてるっていうか、浮かされてるの方が近いわ。あと凄い勢いで遠ざかってるんだけど……」』
『優花里「冷静に見てないで助けてくださいよぉ!」』
『エリカ「追いかけてるのに追い付けないの! どうなってんのよそっちは!」』
みほ「ふっはっ! はいはいはい、せいっ! はぁぁぁぁ…………」ペシペシペシペシ
沙織「動きが止まった!? 終わったのかな?」
華「いえ、あの動きはおそらく……ここからが本番ですよ!」
麻子「待ってぇーー! ボコ、ボコぉーーーっ!」トタテテ
みほ「はぁぁぁぁ……」ペシペシペシペシ ベシンベシンベシン
『優花里「へぶっ、へぶっ! えっわ、私今どうなってますか!?」』ベチンベチン
『まほ「……なんというか、バスケットボールでいう……ドリブルが近いかな。みほがボコでドリブルしている、どうやったらそうなるんだ?」』
『小梅「言ってる場合ですか! 早く助けないと!」』
沙織「ボコが凄い勢いでバウンドしてるんだけど……どうなってるのあれ!」
華「みほさんの連打でダウン値が裏返ったのです、ああなってはもう止められません。みほさんの独壇場ですわ!」グッ
麻子「はぁはぁ……お、追い付いたぁ! この、ボコを虐めるなぁ!」バッ
みほ「むむっ!? ずぅぅりゃぁぁーーーっっ! だーく……ふぉーーーすっ!」バシィッ バシィッ
麻子「あぁ! また……待ってよ、ボコぉーーーっ!」トタテテ
沙織「ま、またみぽりんが移動してく! でも今度はボコが地面に落ちたよ! 今度こそ終わりじゃない!?」
みほ「ぬん! 咎首晒しっ! 咎首晒しぃっ!」ザシュザシュザシュ ザシュザシュザシュ
『まほ「みほがボコの延髄に手刀を打ち込んでるぞ! 秋山さん、大丈夫か!? もうすぐ辿り着くから頑張って耐えてくれ!」』
ボコ「お、おいら……ボコ、ボコ……だぜ……?」ピクッピクッ
みほ「ふぅ……ふぅ……ふぅぅーー……押忍っ! よし、次ぃっ!」クルッ
『エリカ「うわっみほがこっち見てますよ! 逃げなきゃ、逃げ……駄目、ひ、膝が笑って動いてくれない……!」』ガクガク
『まほ「ふふふ、エリカ……恐怖で膝が笑うとはまだ若いな。先ず落ち、落ち着いてし、深呼吸だ!」』ガクンガクンブルンブルン
『エリカ「た、隊長の膝なんて大爆笑じゃないですか!? 漫才みたいなことやってないで早く逃げましょう、隊長!」』グッ
『まほ「あ、あぁ! 小梅、秋山さんの事をよろしく頼むぞ!」』ダッ
『小梅「あっちょ! 二人とも着ぐるみ脱げばいいじゃないですか! あ……行っちゃった」』
麻子「うぅ……ボコぉ、ボコぉ……大丈夫か、返事をしてくれボコぉ……」ユサユサ
『優花里「ゆら、揺らさないで……何かが出ちゃいそうですから……」』
小梅「麻子さん、今からボコの着ぐるみから優花里さんを救出しますから、少し離れてください!」
沙織「ほら、麻子。邪魔しちゃ駄目だよ! それにしてもボコの中身はゆかりんだったんだね、ゆかりん大丈夫なの?」チラッ
小梅「返事はありますからおそらく無事かと……では解除します!」ピッ
華「ぷっふふ……これでトマトジュースが溢れてきたら少し反応に困りますね!」ニコッ
沙織「そのジョークへの反応に今困ってるよ! ほら、華も手伝って!」クイッ
優花里「うぅ……わた、私の身体は大丈夫ですか……? キングジョーみたいにバラバラになっていませんか……?」ボロボロ
沙織「ゆかりん! 生きてて良かったぁ! 大丈夫、身体も全部付いてるよ!」
麻子「ボコ……ボコぉーーー! 生きてて良かったぁ!」ギュー
優花里「ぐ、ぐえぇ……秋山です、秋山優花里ですぅ……!」
麻子「うぅ、そうだな……ごめん。秋山さん、大丈夫か……?」ギュー
優花里「たはは……な、なんとか無事であります……あの、ボコに入っていたのが私で、冷泉殿には申し訳ないであります」
麻子「ううん、いいんだ。いい、秋山さんとボコが無事ならそれで良い」ギュー
小梅「とにかく今は余り動かないでください、直ぐにレスキューを呼びますから!」バッ
優花里「な、何もそこまでしていただかなくても……」
沙織「駄目だよゆかりん……ゆかりんの身体、バスケットボールみたいになってたから……病院は行った方がいいよ!」
華「延髄に手刀を何度も叩き込まれていましたし、検査だけでもした方がよろしいですわ。それにしてもみほさん……鬼神のようでしたね」
優花里「軍神と呼ばれた上に鬼神の如しですか、西住殿は我々には計り知れないものがありますね……ふぅ、一先ず少し休ませてくださぁい……」
麻子「うん。さぁボコ、私の膝を使ってくれ。勿論遠慮しなくていい」スッ
優花里「……あの、私は秋山優花里ですよ?」チラッ
麻子「わかっている、さぁ、ほら。よっと……レスキューが来るまで大人しくしててくれ」ナデナデ
優花里(……これ、冷泉殿は本当に分かっているのでありますか? 何かこれからが心配でありますなぁ。あぁそれにしても、隊長達……無事で居てくれると良いんですけど……)
ーーー黒森峰 演習場 森林ーーー
まほボコ「私、走るぞ! 全力疾走だぞ!」ダダダ
エリボコ「わたし、逃げるわ! 全力で逃げてるわ!」ダダダ
『まほ「くっ、中々みほから逃げ切れないな! エリカぁ! まだ走れるか!?」』
『エリカ「着ぐるみがちょっと走り辛いですけど、まだ大丈夫です! でもこれからどうします? 地の利があるとはいえ、引き離すどころか段々詰められてますけど!」』
みほ「えへへ、待てぇーー! まほボコ、エリボコ待てぇーー!」ダダダダダダダ
みほ「どちらにしようかな、神様の言う通り……うーん、やっぱり寄せて両成敗!」ダダダダダダダ
『エリカ「成敗されるような事なんてしてないわよ! あんたはちょっと勝手過ぎるわ!」』
『まほ「おい、余計な事に口を挟むな! よし、ここのブロックを右に避けて、そして直ぐに左だ! エリカ、着いてこい!」』ダダダ
『エリカ「は、はい! よっとぉ……よし、全力疾走!」』ダダダ
みほ「大きなブロックだね……よっと!」ピョン
みほ「これでまた距離が詰まったよ! 最初に捕まるのはエリボコかな、まほボコかなー?」ダダダダダダダ
『まほ「あのブロックを飛び越せるのか!? 一体どうなっているんだみほの身体能力は!」』ダダダ
『エリカ「どどどどうしましょう隊長! このままじゃ追い付かれて二人ともバスケットボールみたいにバウンドさせられて、これが本当のダブルドリブルとかドヤ顔で言われちゃいますよぉ!」』
『まほ「落ち着けエリカ! まだ追い付かれたわけじゃない! いいか、私達に残された道は二つ……みほから逃げ切るか、みほを倒すかだ!」』
『エリカ「倒すなんて無理でしょ! さっきのみほをちゃんと見てたんですか!? あの子、なんならちょっと浮いてましたよ!?」』
みほ「えへへ、みんなで追いかけっこって楽しいね! えい、闘勁呼法!」ズバババ
『まほ「えっお、おい! みほの放った衝撃波が地を這ってくるぞ! エリカ、気を付けろ!」』
まほボコ「こんなものは私には通用しないぞ!」ピョン
『エリカ「しょ、衝撃波ってどういう……うわ、本当にきた!」』
エリボコ「こんなもの当たらないわよ! ほらほら、もっと景気良くじゃんじゃん飛ばしてきなさーいっ!」ピョン
みほ「避けられちゃった、まほボコもエリボコも凄いよぉ! それじゃエリボコの期待に応えて……闘勁呼法! 闘勁呼法! 闘勁呼法!」ズバババ ズバババ
『まほ「なっ、ちょ……おいエリカぁ! 何でお前はそうやって挑発するんだ! というかこれに当たったらどうなるんだ! 吹っ飛んだりするのか!?」』
『エリカ「私じゃなくてエリボコなんですよぉ! 当たったらなんて知るわけないじゃないですかぁ! だ、駄目……このままじゃ本当に追い付かれる……」』
『まほ「こうなったら……二手に別れよう! みほがどっちを追いかけて来ても恨みっこ無しだ!」』
『エリカ「わ、分かりました……恨みっこ無しです! それではあそこに見える木から二手に別れましょう! 私は……右に行きます!」』
『まほ「よし、分かった。私は左だな……!」』
みほ「どっちにしようかな……はーん! どっちも可愛くて決められないよぉ!」ダダダダダダダ
『エリカ「木が近付いて来ました……では、隊長……御武運を!」』ダダダ
『まほ「あぁ、エリカも気を付けてな。さっきも言ったが、みほがどちらを狙おうが恨みっこ……無しだ!」』ドンッ
『エリカ「え……? きゃっ!」』ドテン
『まほ「ははは、エリカも中々可愛い声を出すじゃないか。でも恨みっこは無しだからな、みほによろしく言っておいてくれ! では、さらばだ!」』ダダダ
まほボコ「ふはは! 貴様はそこで朽ちていくがいい! 次にここへ訪れた時には花でも添えてやろう!」ダダダ
『エリカ「は? はぁぁぁぁーーーーっ!? こんなの恨むに決まってるでしょうが! ちょっと隊長、待ってくださいよ!!」』
エリボコ「ま、まほボコぉぉーーっっ! ぜってぇ許さねぇぇーーっ! いつか必ず貴様の腸を引き摺り出して縄跳びしてやるからなぁぁーー!」
『まほ「その発想はちょっと怖いぞ! だが、さっさと起き上がって逃げた方がいいんじゃないのか?」』
『エリカ「え、あ、あぁぁ…………しまった……」』ガクガク
みほ「はうぅ! まほボコはスニークアタックが得意なボコだったんだね! エリボコがまほボコに裏切られちゃって可哀想だよぉ!」ニコッ
『エリカ「はわ、はわわ……や、殺られる……!」』ガクガク
みほ「……うん、決めた! 先にまほボコの所へ行こっと! だからエリボコはここで良い子にして待っててね! もし、逃げたりしたら……」ニッコォ
エリボコ「私、良い子にして待ってるわ!」
みほ「良い返事だね! じゃあ行ってきまーす!」ダダダダダダダ
『エリカ「はぁぁ……た、助かったぁ……あ、隊長、聞こえますか?」』
『まほ「……ん、何だ? みほはどうしたんだ、逃げきれたのか?」』
『エリカ「いえ、みほはそちらに行きました。どうやら……隊長が私を裏切った報いを受ける時がきたようですよ!」』
『まほ「え、嘘だろ? あ! みほが凄い勢いでこっちに! うわ早い、もう追い付かれる!!」』
『エリカ「まぁ、みほによろしく言っといてくださいよ! それでは私はこれで……さいならー!」』ダダダ
『まほ「エリカ? エリカぁ!? さっきは悪かった、謝るから助けて……へぶぅ!」』ゴンッ
みほ「まほボコ……つっかまえたぁ!」ニコニコ
『まほ「みほぉ! 頭部への打撃は捕縛行為には繋がらないぞ! 痛いじゃないか!」』
まほボコ「はぁーっ! エリボコつっかえ! ほんまつっかえ!」プンプン
みほ「さぁ、まほボコちゃん! 今度はまほボコちゃんの番だよ! 覚悟は出来た?」スッ
『まほ「出来てるわけがないだろ! どどどうする……逃げる→捕まる→バスケットボール! 闘う→負ける→バスケットボール! 駄目だぁ、バスケットボールにされてドリブルされる未来しかないのかぁ……!」』
みほ「はぁぁぁぁーーーー…………っっ!!」シュゴォォ
『まほ「エリカぁ! 聞こえるかエリカぁ! 助けてくれぇ!」』
『エリカ「あーあー聞ーこーえーなーいっ! 助けに行くにも間に合いませんし、諦めて天罰を受けてくださーい!」』
『まほ「エリカぁぁっ! ももももう駄目なのか……」』
まほボコ「………………そもさんっ!」カッ
みほ「……むっ! せっぱぁ!」カッ
『まほ「みほが止まった……? まほボコ、いいぞ! そのまま難解問題で足止めしてくれ!」』
まほボコ「……Hになればなるほど硬くなる棒、なーんだ?」バンッ
みほ「鉛筆ぅーっ!!」バッシィ
『まほ「ぐげぇぇーーっ! そ、即答……まほボコの……バ、カ……」』ガクリ
………………
…………
……
エリボコ「やーってやーるやーってやーるやーってやーるわー!」ダダダ
『エリカ「エリボコ! ちょっと静かにして! はぁ……はぁ……とりあえずあの場から逃げてきたけど、隊長はどうなったかしら?」』
『エリカ「みほはあそこから動かないでって言っていたけれど、あそこにいたらいずれやられるわ! とにかくどこかで一度身を隠しましょう」』バラバラバラバラ
『エリカ「ん? なんの音かしら……? あ、黒森峰のレスキューヘリ! そうか……小梅が呼んだのね……というか、あの時逃げる前に小梅に着ぐるみのロックを解除して貰えば……!」』
『エリカ「……ええい、過ぎた事を悔やむな! エリカ、しっかりするのよ! 隊長が卒業したら私が黒森峰を引っ張っていくんだから、こんなことで一々動じてちゃ話になんないわ! さぁ、作戦をたてるのよ! ここから生きて帰るために!」』
『エリカ「驚異的な身体能力のみほから逃げ切るには、着ぐるみのままでは無理だわ。やっぱり一度小梅に接触しなきゃ……せめてこの着ぐるみのインカムが繋がる範囲まで接近出来ればいいんだけれど」』
『エリカ「そうね……ここは一度、大きく迂回して隊長の後を追うのはどうかしら? みほも一度倒した相手には興味無さそうだったし、隊長に小梅と接触して貰えればこの着ぐるみを脱げる確率もぐっと上がるわ! よし、そうと決まれば……」』ソソクサ
エリボコ「それから暫くたって……」トタテテ
『エリカ「確か隊長はここら辺に走っていった筈だけど……あ、いた! あそこに倒れているのは間違いなくまほボコだわ! 隊長、隊長ぉ! 生きていますか!?」』
『エリカ「インカム越しに返事が無いわね。もう少し近寄って……その前に周りを見渡さないと……みほは……居ない……わよね……?」』グルー
『エリカ「隊長……? あの、生きてますか?」』ユサユサ
『まほ「う、うぅ……エ、エリカか……?」』
エリボコ「いい様だな、まほボコ! 地を這いつくばる貴様の姿を見ると清々するわ!」
『まほ「い、言い過ぎだろ……。それにしても酷い目にあった……ハンバーグを作るかのようにこねくりまわされたぞ」』
『エリカ「うちのエリボコがすみません! それでみほは何処へ向かいましたか!?」』
『まほ「わからん……私の身体を散々弄んだ後、何処かへ行ったようだ。お陰で私の身体は成型前のハンバーグみたいにボロボロだ」』
『エリカ「そうですか……ではみほに見付かる前に、小梅の所へ行きましょう? そこでこの着ぐるみとはおさらばですよ!」』
『まほ「そうだな……それがいい……な……」』
まほボコ「……だが、お前の後ろにみほが立っているぞ!」
みほ「………………とーる」スッ
『エリカ「えっ!? きっきき緊急回避ぃっ!」』ゴロン
みほ「はんまぁーーっっ!」ブオン ゴスゥ
『まほ「うっごぉーー! エ、エリカぁ! 避けるなぁ!」』
『エリカ「避けるに決まってんでしょ! みほが来ているならさっさと教えてくださいよぉ! まほボコが教えてくれなかったら私はペシャンコでしたよ!」』
『まほ「音もなく近付いてきたんだ! わからなかったんだから仕方無いだろう! 私はもろに直撃を受けたんだぞ! こんなに叩かれていい加減ハンバーグになってしまいそうだ!」』
『エリカ「さっきから私の記憶に隊長とハンバーグを関連付けないでくださいよ! 食べれなくなっちゃうでしょ! というか隊長、滅茶滅茶元気じゃないですか!」』
『まほ「あんなん食らったら誰でも跳ね起きるわ!」』
みほ「エリボコはまほボコが心配で戻って来たんだね! 偉いよぉ!」
エリボコ「わたし……これでも仲間は見捨てない主義なの!」
『まほ「さっき私を見捨てただろう! 出鱈目抜かすな!」』
『エリカ「あれは隊長が先に裏切ったんでしょ!」』
みほ「エリボコ……仲間思いだよぉ! でも、あの場所で待っててって言ったのに……私との約束……破ったよね?」ニコッ
『エリカ「ひぇ! ややや破ってないです! だからバスケットボールだけは……何卒ご勘弁を……」』
エリボコ「隊長が……隊長がみほさんとの約束を破ってでも助けに来いって言ったわ! わたしはあの場所で待っていたかったけど……隊長の言うことは絶対なの!」グッ
『まほ「こっちに罪を擦り付けるな! お前達は本当に酷い奴等だな!」』
みほ「ううん、私……余り怒ってないよ。だってエリボコがまほボコを助けに来てくれて嬉しかったもん! エリボコは優しいね……」ギュッ
『エリカ「あっはぁー! ぎゅってされちゃったぁ……! みほも怒ってないみたいだし、これって私は安全圏って事じゃないですか?」』ギュッ
『まほ「みほも余り……って言ってるだろ。エリカ、みほのそれはハグじゃなくてグラップじゃないのか? それだけみほに身体をがっしり捕まれて、お前はそこから逃げられるのか? 私には逃げ道が塞がれただけに見えるがな」』
『エリカ「あっはは……そんなまさか。まさか……まさかぁ! ちょ、う、動けない……!? みほ? みほぉ!? はな、離してぇ!」』ジタバタ
みほ「エリボコぉ……昔ね、私も仲間を助けに行った事があったんだぁ。今でもね、思い出すの。仲間がね、敵車輌の砲撃で車輌ごと川に落ちちゃって……」ギュウウ
『エリカ「みほ……それは……」』
みほ「試合の途中だったけど、仲間を助けたくて……それでね、結局その助けようとした私の所為で試合は負けちゃって……色んな人に怒られたなぁ。大会十連覇の掛かった大切な試合でって……助けた人達にも言われたりしたの。私達の所為で負けるなら、助けて欲しくなかったって……」ギュウウ
みほ「悲しかったなぁ、悔しかったなぁ。あの時私が助けた人達も戦車道を辞めたりしちゃって……それから少しして、結局私も戦車道を辞めちゃったんだけどね……」ギュウウ
みほ「あの時、あの場所にいたのが私じゃなかったら、皆はどうしたのかな? 落ちていった仲間を助けた? それとも試合の為に皆を見捨てたのかな? ずーっと、ずーっと考えているの」ギュウウ
みほ「もしエリカさんが私の立場にいたのなら助けに行ったのかな? お姉ちゃんならもっと上手くやれたのかなぁ? あの時助けた人達が逆の立場なら……! 私は仲間を助けた事は後悔してない、でも……どうしてあの時、あの場所、あの立場にいたのが私だったのかなぁ?」ギュウウ
みほ「神様がいるのなら……意地悪だよ……」ギュウウ
『エリカ「……みほ……聞いて?」』ギュッ
みほ「……?」キョトン
『エリカ「最初は、あの事を私も怒ったわね。あなたにも辛く当たったわ、ごめんなさい。でも、あなたが黒森峰を去ってから、私もずっと考えていたわ。もしあの時、私があの場所にいたらって……」』ギュウウ
『エリカ「考えても、考えても答えは出せなかった。大会十連覇を掛けた試合で、仲間が目の前を落ちていった時、私ならどうしただろうって。でもあなたは実際にその立場で仲間を助けに行ったわ、それがどういう結果を招くかも知っていたのに」』ギュウウ
『エリカ「みほ……私はあなたを尊敬する。あの時、あなたはきっと選んだのね、それが多くに相反する道でも、あなたは自分で決めたんだわ。そして、それを私達に証明してみせた」』ギュウウ
『エリカ「だから、あの時のあなたを……躊躇無く仲間を助ける選択をした西住みほを誇って欲しい。今なら分かるわ、あなたの……戦車道、あなた自身の道が……」』ギュウウ
みほ「…………?」キョトン
『まほ「完全防音だからみほには聞こえてないぞ」』
『エリカ「え!? あ、あぁぁーーっっ! そうだったぁ!」』
エリボコ「……最後はド派手に頼むわ!」グッ
みほ「……うん! はぁぁぁーーーーっっっ! いくよ……でっどりぃぃーー……れいぶっ!」スパン
『エリカ「エリボコのバカぁ! ってあれ? 何とも無いわね……」』ビリビリ
『まほ「ちょっと待て、なんか身体が動かなくないか?」』ビリビリ
『エリカ「えっ? な、なんか……しび……痺れてます!」』ビリビリ
『まほ「お、おい! これまさか私も巻き込まれてないか!? な、ふざけ」』ビリビリ
エリボコ「まほボコぉ……貴様の魂も一緒に連れて行く……っ!」キリッ
まほボコ「色即是空、空即是色……うつし世もまた泡沫の夢よ……」キリッ
みほ「爆ぅぅ……散ッッ!!」ピカッ
『エリカ「なんか熱……きゃあぁぁぁぁーーーーッッ!」』チュドーン
『まほ「に、二回目ぇぇぇぇーーーーっっ!?」』チュドーン
………………………………
……………………
…………
ーーー黒森峰 病室 大部屋ーーー
まほ「……ふぅ。どうだ? 皆無事か?」チラッ
エリカ「無事だったらここに居ないと思うんですけど、隊長も私達も」フン
優花里「いやーそれにしても皆さん派手にやられましたねぇ! でも三人とも検査入院で済んで良かったですよぉ!」ニコニコ
まほ「特殊カーボン様々だな。はぁ……酷い目にあったもんだ……」ハァ
エリカ「私自身が花火になる体験したのなんて初めてでしたよ。これ、一体全体誰の所為でしょうね?」チラッ
優花里「上空のレスキューヘリから見えてましたけど、お二人とも打ち上げ花火みたいでしたもんね! 凄く綺麗でしたよ!」
エリカ「その綺麗でしたって言葉にここまで残念な気持ちなのは初めてだわ。全くもう……隊長があんな事言うから……!」
まほ「いやいや私なんて二回もみほにやられたんだぞ! ドリブルもされたし、花火もされた! それで全責任を被せるのはちょっと酷くないか?」ハァ
エリカ「でも事の起こりも企画も隊長が始めたんじゃないですかぁ……本当に死ぬかと思ったんですから……」
まほ「それはそうだが……途中までは良かったじゃないか、秋山さんはそうは思わないか?」チラッ
優花里「まぁまぁ皆さん落ち着いてくださいよぉ。西住殿にも言い分はありましたし、今回の図式は西住流の家元が隊長にお灸を据えようとした結果みたいなもののようですから……幸い大きな怪我等もありませんでしたし、良い思い出にしておきましょうよ!」ニコニコ
エリカ「まぁ……膝枕辺りまでは……最高だったわね! みほもあんなに謝っていたし……」
ーーー回想ーーー
みほ「ごめんなさい、ごめんなさい! まさかあれが着ぐるみだったなんて!」ペコペコ
麻子「ボコ、身体は痛くないか? 何処か擦ろうか?」
優花里「冷泉殿……秋山です、私は秋山ですよ。西住殿もそんなに謝らなくても大丈夫でありますよ! こうして皆無事でしたし! ね、皆さん!」チラッ
まほ「あぁ、まぁ花火みたいに爆発したときは吃驚したが、着ぐるみのお陰で怪我も無かったしな。みほも余り気にするな」ウンウン
みほ「……前日にお母さんと電話で話したときに、ボコのロボットを黒森峰に送ったって聞いて……お母さんにボコのロボットは固く作ってあるから、たまには道着でも着て身体を動かしなさいって言われて……」ペコペコ
まほ「ということはお母様はみほがどれぐらい強いか知っていたいう事か?」
みほ「え? う、うん。私の西住流はお母さんに習ったから。お姉ちゃんは習わなかったの?」
まほ「私は全然知らなかったな、あんな西住流は初めて聞いたよ……全く、全部お母様の所為だな……」
麻子「秋ボコさん……身体を拭いてあげようか? それとも何か飲むか?」
優花里「山です、秋山。冷泉殿、ボコが混ざってますよ。そんなに心配せずとも大丈夫です! 丈夫な身体だけが私の取り柄みたいなものですから!」ニコッ
麻子「そうだな、何度やられても立ち上がるのが秋山ボコさんの売りだからな」
優花里「それはボコの売りでしょ。冷泉殿、大丈夫ですか? 逆にそちらが心配です……」
沙織「うん、麻子……大丈夫……?」
麻子「失礼な。私は大丈夫だ、むしろこれからが楽しみで生き生きしてるぐらいだ」フン
華「まぁまぁ、その辺にしておきましょう。それで、皆さんは直ぐに退院出来るのですか?」
まほ「あぁ、簡単な検査だけして異常が無ければ直ぐ帰るよ。秋山さんは私達が責任を持って家に送っていくからそちらの心配もいらない。皆には心配かけたな……すまなかった」ペコリ
みほ「そんな! お姉ちゃんは悪くないよ! 私が勘違いして盛り上がっちゃったのが悪かったんだよ……!」ペコペコ
エリカ「みほ……ちょっとこっちに来て……?」
みほ「え!? う、うん……」オドオド
エリカ「ふん!」デコピーン
みほ「あんっ!」ビクン
エリカ「そうやっていつまでもうじうじすんじゃないわよ! 今回の事も、過去の事もとうに過ぎた事だわ! もっと前を向いてしゃきっとしなさい! 次の大会で腑抜けたあんたらを見たらただじゃおかないんだから!」フンッ
みほ「あ、エリカさん……そっか、エリボコの中に居たんだもんね……うん! 次の試合でも、私達は負けないよ!」ニコッ
沙織「わーエリデレー」
華「なるほど、これがエリデレ……興味深いものです……」
まほ「ははは、可愛いものだろう? まぁこれはエリデレベル3と言ったところか、まだまだ上がるぞ!」
エリカ「あーうっさいうっさい! もうすぐ検査が始まるからあんたらは帰りなさい!」プンプン
沙織「はーい、じゃあ皆……行こっか?」
華「えぇ、皆さんお大事になさってくださいね」
みほ「うん……また、また黒森峰に遊びに来るね!」ニコッ
エリカ「ま、暇だったら付き合ってあげるわよ」フン
沙織「あの、これは何レベルですか?」チラッ
まほ「2レベルだな、エリデレベル2」
エリカ「もう、隊長っ!」ガオッ
麻子「秋山ボコ優花里さん、また後で連絡するから……」チラッ
優花里「ははは……検査が終わったら皆さんにお知らせするので……」
まほ「うむ、では皆も気を付けて帰ってくれ。見送りに行けなくてすまないな」
みほ「ううん、大丈夫だよ! それじゃ、私達は行くね!」
…………回想終わり…………
エリカ「いや、思い出してみると……秋山、あんた冷泉さんに狙われてない?」
優花里「うぅ……言わないでください……これからの事を考えるとちょっと憂鬱なんですから……」
まほ「秋山さんを執拗なまでにボコ呼びしてたな。まぁいいんじゃないか? どちらにせよボコの着ぐるみは黒森峰か西住の本家で保管するだろうし、ボコになれる機会もそうそう無いだろう。ボコ呼びもそのうち収まるさ」
優花里「そうだと良いんですけど……でも、誰かと仲良くなるのはやっぱり嬉しいですね! こうして皆さんとお喋り出来るのも嬉しく思います!」ニコニコ
まほ「そうだな、一度仲間として手を組んだのなら、その手を離そうとしない限りずっと仲間だ! 何かあったらこの黒森峰の隊長に何時でも相談するがいい!」
優花里「た、隊長ぅ……か、感涙でありますぅ!」ジーン
エリカ「ま、助けて欲しければ呼べばいいわ。どうしても暇なら行ってあげるから、暇だったらね」ツーン
優花里「逸見殿……そのお気持ちもありがたく受け取っておきます!」ジーン トントン
小梅「……失礼します。皆さん御体の方は大丈夫ですか? 検査結果は良好とされましたので、帰宅許可も取り付けましたが」
まほ「そうか、小梅に手続きなどを全部投げてしまって悪かったな。助かったよ、ありがとう」ペコリ
小梅「いえ、我々はチームですから……当然です!」サッ
まほ「優秀な後輩を持つと、何事でも頼ってしまってどうもいかんな……」
小梅「いえいえそんな、私など……あ、そうそう……ボコの着ぐるみは西住流の方が回収して行ったそうです。隊長は何かご存じですか?」
まほ「ん? お母様には今日使うとしか連絡していないが……使い終わったのを見計らって回収をかけたのかもしれないな。何しろあれだけ高性能な着ぐるみだし、回収もやむ無しだろう。知らせてくれてありがとう」トントン
しほ「失礼するわ」タンッ
まほ「お、お母様……! 何故ここに……?」ビクッ
エリカ「い、家元……お疲れさまです!」ビシッ
小梅「お、お疲れさまです!」ビシッ
優花里「はわ、はわわ……お、おおおつかれしゃまです!」ビクン
しほ「えぇ、お疲れさま。皆も楽にしてくれて結構です、特にみほに打たれた三人は疲労も溜まっているだろうし……」ニヤッ
まほ「くっ、みほを迎えたこのボコフェスで何が起こるかまできっちりお見通しだったようですね。高性能で頑丈な着ぐるみのお陰で我々も無事ですみましたが……」
しほ「それは重畳、皆に怪我が無くて何よりです。ですが、まほには少し刺激が足りなかったようですね……? その反抗的な目が、そう物語っています」チラッ
まほ「ふっふふ……お母様にはそう見えますか? それなら私の溜飲も少しは下がるというもの……」
しほ「まほ……私は、この母は未だに怒っております……」
しほ「私を、この母をくちょばばあと呼んだことを! 未だに腸が煮え繰り返る思いで怒っております!」グワッ
まほ「まだそんな事を怒っているのですか……もうとうに過ぎた事ではないですか……!」
しほ「薹? 今あなたは薹が立ったと言いましたか? はぁぁーーこれほんと暖まるわぁ!」グイッ
まほ「言ってません、落ち着いてください!」
しほ「いいえ、落ち着きません! まほ、よくお聞きなさい。私は、この母は年頃の娘を二人持つ身でありながらご近所さんではまだまだ若奥様で通ると評判なのです! それをあなたはく、くちょばばあと言い放ったのですよ!」ギリギリ
しほ「言っておきますが、私はグラビア等という軟派な事は致しません! ですがそれに応じていつでも出れるプロポーションを保っているのです! 大体私はある界隈では未だに不動の人気を誇っているのです! 聞いているのですか!?」ギリギリ
まほ「聞いています、聞いていますから落ち着いてください!」
しほ「まだまだまだまだ落ち着けません! まほ、私にくちょばばあと言い放った時のあなたの格好を覚えていますね? 若さを惜しげもなく拡げて……確かにあなたにははち切れんばかりの若さが伺えました! ですがとある筋での人気は私の方が圧倒的に上です! あなた方姉妹二人を合わせた人気より上です! 熟れていようが人気のある方が圧倒的に勝者なのです! ですから」ギリギリ
まほ「もうこれ更年期しょ」
しほ「ふんぬぅぅぅーーーーッッッ!!!」ボッスゥ
まほ「えっぐぅぅぅっっ!」メリメリ
優花里「ひ、ひぇぇぇーーーー……」ガクガク
エリカ「あわわわわ……」ガクガク
小梅「は、はぇぇぇ……」ブルブル
しほ「…………貴方達は何も見ていない、いいわね?」クルッ
優花里、小梅、エリカ「はいぃ!」
まほ「わ、分かりましたから……も、もう帰ってください……」プルプル
しほ「ふん! とりあえずくちょばばあの件は置いておきます!」
まほ(このネタを一生引っ張るつもりじゃないだろうな……)ハァ
しほ「それで、本日はボコの着ぐるみを見に来たのですが着ぐるみは何処にあるのですか? 大層良い作りになっているそうで私も少し楽しみにしておりました。まほが早急に欲しいと言うので、出来上がり次第此方に送らせた都合で、私はまだ完成品を見ていないのです」チラッ
まほ「えっ? 今なんと……?」ビクッ
しほ「む? ですからボコの着ぐるみは何処です? みほが喜ぶように色々趣向を凝らした着ぐるみになっているのでしょう?」
小梅「……着ぐるみなら、少し前に西住流の方達が回収に来たそうですが……?」
しほ「私はそのような指示を出した覚えはありません。回収に来た方達は本当に西住流の関係者でしたか?」チラッ
まほ「おいおいおい、これってまさか……!」
エリカ「悪夢、だわ……」ブルッ
優花里「どどど、どういう事ですかぁ!」ビクッ
まほ「これは……最悪の展開だ……このタイミングで着ぐるみを回収に来る人達なんて……おそらく……」ボーゼン
しほ「むぅ?」キョトン
ーーー某所ーーー
麻子「やったな、西住さん!」テクテク
みほ「うん! 麻子さんの言う通りだったよぉ!」テクテク
麻子「ふふっ西住さんの協力が有ってこそだ。だけどこれで全部回収出来たぞ!」テクテク
みほ「はうぅぅ、全部可愛いよぉ! 私は特にこのエリボコがお気に入りなんだぁ!」ニコニコ
エリボコ「うふふ、まぁ当然よね!」ニコッ
麻子「私は当然このボコだ! なぁボコ? ボコも受け入れてくれるよな?」ニコニコ
ボコ「当然だぜ! おいら、ボコだぜ?」ドヤァ
麻子「うん、うん! ボコぉ……また会えてよかった……」グスッ
まほボコ「私もいるぞ! 私、ボコだぞ!」ビシッ
みほ「うんうん! 喧嘩しちゃダメだよ? 皆仲良く、ボコなんだからね?」ニコッ
みほ「でも、このままじゃ足りないよね……? だってこれは着ぐるみだもん、中の人がーー」
麻子「西住さんっ!」カッ
みほ「……ごめんね、間違えちゃったね」テヘヘ
みほ「ボコに中の人なんて居ないもんね! でもーー」
みほ「このボコ達には中身が居る、よね?」ニコリ
麻子「このボコ達には中身が要る、よな?」ニコリ
みほ「うふ、うふふふふふ…………」ケラケラケラケラ
麻子「あは、あははははは…………」ケラケラケラケラ
秋山優花里「ボコ人間?」
へ続きます
これでガルパン物のSSは4作目になります。
みほに咎首晒しをさせたいだけでこうなりました、ありがとうございました。
HTML依頼を出してきます。
『優花里「たたた倒れようとおごぉ! してるんですけど身体が倒れてくれませぇん! 助けてぇ!」』
ボコ「おっ! やっべ! これやっべ! ちょ、マジおいらやっべ!」ボスボスボスボス
みほ「右中段回し蹴り、左上段後ろ回し蹴り、左中段猿臂、右下段熊手、上段……」ガスガスガスガス
『エリカ「ちょっとこれ本当に危ないんじゃない!? と、止めなきゃ……!」』
麻子「や、やめろぉーーーっ! ボコを叩くなぁーーっ!」トテテテ
華「麻子さん、迂闊に近付いてはいけませんっ!」バッ
>>38と>>39の間にこれが入ります、書き込みミスです。
すみませんでした。
書き込みミスしてなかった……ごめんなさい。
上のレスは忘れてください。
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