P「間接キスってあるだろ」夏葉「あるわね」 (12)


夏葉「それで、その間接キスがどうかしたの?」

P「いや、ふと間接キスって単語を思い出してさ、それでいろいろ考えてて」

夏葉「……何か考え込んでると思ったら、そんなくだらないこと考えてたのね」

P「くだらないと判断するのは早いだろ。まだ何も言ってないし」

夏葉「こういうときのアナタは基本的にくだらないことを言い出すのよ」

P「詳しいな」

夏葉「私を誰だと思ってるのかしら」

P「プロデューサー博士?」

夏葉「そんなわけないでしょう」

P「そうか」


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夏葉「一応聞くけれど、間接キスが何なの?」

P「間接キスはさ、飲み物をひとくちもらうだとか、食べかけの何かをもらうだとか、そういうときに発生するだろ」

夏葉「まぁ、そうね」

P「夏葉はそういうの意識する方か?」

夏葉「……。時と場合による、としか言えないわね」

P「それもそうか」

夏葉「それで?」

P「ふと思っただけなんだけどな?」

夏葉「ええ」

P「グータッチ、ってあるだろ」

夏葉「あるわね」

P「俺が拳を作って前に……こう、突き出して」

夏葉「そこに私も同じように拳を合わせる……と。こういうことよね?」

P「ああ。これこれ」

夏葉「普通に普通のグータッチよね」

P「そう」


夏葉「……もう離してもいいかしら?」

P「もうちょっと。できればこのままの方が説明し易い」

夏葉「わかったわ。続けて頂戴」

P「いま、俺と夏葉はグータッチをしてる」

夏葉「そうね」

P「ここで間接キスの話題に戻る」

夏葉「これと間接キスにどんな関係があるって言うのよ」

P「間接キスの“間接”の意味はわかるよな」

夏葉「当然よ」

P「じゃあちょっとそれをわかり易く言語化してみてくれ」

夏葉「何かを仲介して行われることや生じることでしょう?」

P「ああ。俺もさっき調べたが、概ねそんな意味だ」

夏葉「それで?」

P「じゃあ、膝関節とかそういう“関節”の意味をわかり易く言語化するなら?」

夏葉「……そう、ね。何かと何かを結びつかせる連結部、とでも表すのが妥当かしら」

P「そうだな。俺もそう思う」

夏葉「あ」

P「気付いたか」


夏葉「………………言わなくていいわ」

P「そう。夏葉も既に気づいたように、特定状況下では“間接”は“関節”と言い換えることができる」

夏葉「………………はぁ」

P「なにそのため息は」

夏葉「やっぱり私の言ったとおりくだらないことだったじゃない」

P「こんなに体系立てて説明したのに」

夏葉「少し説得力があるのが厄介なのよ」

P「というわけで結論を述べると」

夏葉「述べなくていいわよ」

P「一つ。間接キスは特定状況下で関節キスと言い換えられる」

夏葉「…………」

P「二つ。グータッチは相手の関節と自身の関節とが合わさっている状態である」

夏葉「アナタ、やっぱり馬鹿よね」

P「ひどい」


夏葉「百人に聞いたら、百人中百人が馬鹿と答えると思うわ」

P「なんだその個人攻撃みたいなアンケート」

夏葉「『百人に聞きました! 有栖川夏葉の担当プロデューサーは馬鹿なのか否か』」

P「ど真ん中ストレートの名誉棄損」

夏葉「あら、法廷で戦ってあげてもいいわよ。有栖川の弁護士を抜きにしてもこの状況、明らかに私の方が強いもの」

P「ナチュラルに有栖川の弁護士とかいう単語が出てくる辺り戦い慣れてそうなのが怖い」

夏葉「ふふ、冗談よ」

P「ちなみに、弁護士抜きに夏葉のが強いとする理由は?」

夏葉「わからないかしら。私とプロデューサーはいま、グータッチをしてるわよね」

P「してるな」

夏葉「この状況をアナタ、さっき“キス”なんて言ってくれたわよね」

P「………………なるほど」

夏葉「理解が早いのは良いことよ。ふふっ」

P「まぁ、俺が馬鹿かどうかはさておき、だ」

夏葉「ええ」

P「俺の立てた説はあながち的外れってわけじゃなかっただろ?」

夏葉「まぁ、そうね」

P「そんなわけで、グータッチは関節キスです」

夏葉「…………そう」


P「…………」

夏葉「…………」

P「…………」

夏葉「自分で言っておいて気まずくなるなら言わないで欲しいのだけれど」

P「ごめん」


夏葉「さて、そろそろ良い時間だし私はもう帰るわね」

P「ああ」

夏葉「アナタも馬鹿なことばかり考えてないでたまには早く上がりなさい?」

P「俺が常に馬鹿なこと考えて残業してるみたいな言い方やめて」

夏葉「今日は事実でしょう」

P「今日ばかりは言い返せない……」

夏葉「それじゃあ」

P「うん。また」

夏葉「あ」

P「ん?」

夏葉「そういえば、給湯室の冷蔵庫に飲みかけのスポーツドリンクを入れたままにしておいてしまったのよね」

P「持って帰ったら?」

夏葉「でも、ちょっと億劫なのよ」

P「億劫て」

夏葉「だから、馬鹿なことに私を付き合わせたお詫びとして処分しておいてもらえるかしら」

P「ん。それくらいなら」

夏葉「でもまだ結構残っていたはずだから、捨ててしまうのも勿体ないのよね」

P「じゃあやっぱり持って帰ったら?」

夏葉「だから、億劫なのよ」

P「ええ……」

夏葉「申し訳ないけど、アナタが飲んでおいて頂戴」

P「まぁ、いいけど」

夏葉「よろしく頼むわよ。それじゃあお先に失礼するわね」

P「んー。お疲れさん」


P「………………」

P「…………………………」

P「………………………………ん?」

P「飲んでおいて???」

P「あれ?」

P「これって間接………………?」







夏葉「ふふ。そろそろ理解したかしら」






おわり

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