「木原くン、俺を匿ってくれ」「えっ」 (509)



・ほのぼのとしたSSです
・時間軸としては絶対能力進化実験前です
・一方通行が自由です
・シリアスなんか(途中で)ぶち壊せ!




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1330788212(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)





雷雨の夜、ひたすら走っていた。

路地裏をひたすらに。

何処に向かうかも無く。

ただ、“追っ手”から逃げ続けていた。






「ハァ…ハァ…く、そがっ…狂ってやがる…」

そう呟いた瞬間銃声が鳴り響く。

息を切らしながらもそこらの使われていないビルに潜り込み階段を駆け上がる。

「(どこに逃げりゃいいンだ…)」

どうやら“追っ手”には居場所が分かっているらしく複数の足音が近付いてくる。
とりあえずこの場から離れた方が良いと判断し、屋上から更に違うビルに飛び移る。

「(レーダーでも付けてンのか?あいつら…)」

「(それより撒く方法を考えないといけねェな、電波をジャミング出来りゃいいンだが俺の能力じゃ難しい)」

一瞬自分より序列が下の御坂美琴を思い浮かべたが、そもそもこの実験に御坂美琴も関与している可能性も否めないと考え、その考えを取り払う。

脚力のベクトルを操作し、更に加速する。

「とりあえず安全な場所の確保をしねェと」




彼は基本的に無敵だ。
学園都市の学生230万分の7の頂点。

超能力者<<Level5>>学園都市第一位一方通行<<アクセラレータ>>。

能力の内容としてはベクトル操作。

触れた物質の方向を操る。
それが空気だろうが、血液だろうがなんでも。

例えそれは音速で飛ぶ鉛でも例外ではなく、彼はそれに加え無意識下で常時“反射”と呼ばれる能力を展開している。

その反射は自分に当たった物、厳密には身体の表面に張っている膜に触れた時、触れた物のベクトルを真っ直ぐ返す。

なので例え銃弾で狙われようと無傷。

それなら何故逃げているのか。

それは簡単だった。

“絶対能力進化実験”

内容は第一位一方通行が、第三位御坂美琴の体細胞クローン“妹達”を20000通りの戦場を用意し、20000回殺害する事で絶対能力<<Level6>>に進化させるという物だ。

そして例え体細胞クローンでも生きているという事を思うとあまり乗り気ではなかった。

つまりはそれを殺したくないのだ。

そして自分に銃弾が当たる事を指すのは撃ったクローンが死んでしまう。
そう考えて逃げ続けていた。




「(くそっ、研究者でも脅して…)」

「(…あァ?研究者?)」

何かを思い出した様に歩みを止める。

「(…いるじゃねェか、一人だけ)」

そして高く聳え立つビルから飛び降り脚力のベクトルを操作し高速で移動する。

完全下校時刻の為、既に学生の姿は無い。
能力を使って移動するには都合が良かった。
だがしばらく移動すると立ち止まり首を傾げる。

「(何処のマンションだったっけなァ…)」

記憶力の良い筈の彼も少し迷ってしまっていた。
それもそうだ、連絡先を教えて貰ったのも高校に上がる前。

引っ越している可能性だってある。

「(マンション自体は無くならねェだろォが、どうしたもンかねェ)」

こうしている今も奴らが近付いてくる。
そう考えた途端、目の前のマンションに顔面に刺繍を入れている男が入った。

すぐさまそれを見て叫ぶ。

「木ィィィィィ原くゥゥゥゥゥン!!」

「スクラップ(拾い)の時間だぜェェェェェェェェェ!!」

その叫びを聞いたのか聞こえなかったのか、周囲を見渡ているマンションの入り口にいる刺繍の男の前に凄まじいスピードで駆け込んだ。
しかし雨で滑り勢いを止めきれず転んでしまった。




刺繍の男は面倒そうにあ〜あ〜なんだなんだと言いながら転んだ一方通行を見る。

そしてみるみる表情が変わり笑い出した。

「ははははははは!なんだよ一方通行ァ!!育て親が恋しくなっちゃったのかぁ!?」

その言葉を聞き、不機嫌そうに埃を能力で落として立ち上がる。

「よォ木原くン、好き好んでお前の所に来るなンざマゾでもいねェよ」

木原数多、学園都市の研究者であり、猟犬部隊に所属。
良心の呵責という言葉とはおよそ無縁であり、研究のために平気で人を使い捨てるほど。
ごく一部の者以外はそもそも人として扱っておらず、たいていの邪魔者は敵ではなく単なる殺害対象となる泣く子も黙る鬼軍曹である。
ホトトギスで例えるなら鳴いたとしても殺す、そんな感じの人物である。

「で、そのドマゾの一方通行ちゃんは何の用なんですかぁ?」

「…口が減らねェヤツだな、頼みがあンだよ」

明らかに嫌そうな表情で刺繍の男、もとい木原くンを見つめる。








「木原くン、俺を匿ってくれ」

「えっ」








「えっ、いやちょっと…いや…えっ?」

「いや、なンでそンな驚いてンだァ?あ、後探知系のジャミングも頼むぜェ?」

「ちょっ、展開早すぎて全く訳が分からねえ」

困惑気味な木原くンを置いてとっとと話を進める一方通行。

「つゥか今木原くンの事だし電波用小型ジャミング装置持ってンだろ?早く使ってくれ」

「あ、あー…わかっ…た」

持っていたバックを開けて、怪しい装置を取り出してスイッチを入れる。

「じゃァ中に入ろォかァ」

「えっ、ちょっと、今部屋片付いてないから!お願いだからやめろ!」

「おっ、これが鍵か」

と、勝手にカバンの中を物色して鍵を取り出す。

「一方通行ァァァァ!?おまっ、話聞いてんのかクソガキィィィィィィ!?」

「あァはいはい聞いてますよォ、じゃ入るか」

「それ聞いてねぇよ!絶対聞いてねぇよ!おかしいだろ!片付けるから三分待て!お願いだから三分待て!」

悲痛な叫びを聞き流しエレベーターに乗る。

「おい閉めてんじゃn…」

と、木原くンの声が聞こえた気がしたが気にせず鍵に刻まれている階数のボタンを押す。




扉が開いた先には既に木原くンが息を切らして倒れていた。

「…何やってンですかァ?」

この鬼畜!と声が聞こえた気がする。
が、倒れている木原くンをスルーして歩いていく。

「おっ、ここだなァ」

と呟き、鍵を差し、回す。

「クソガキィ!20円上げるから落ち着け!ポケットに入ってる20円上げるから入るんじゃねぇぇぇぇ!!」

「必死過ぎて逆に開けたくなったわァ」

と、扉を開けると。

「あ、やべェ、これマジで片付けてねェわ、いかがわしい物隠すかと思ったら全然そンな事はなかったわ」

一面に広がるゴミの山が広がっていた。
玄関にも溢れ奥へ進もうとすれば膝元までゴミに沈む、極めつけは一部屋への入口が完全に塞がっていることだ。

「つゥかよくこれで三分に設定したな、爆破でも起こすつもりだったのかァ?」

「…だから言ったじゃねぇか、片付いてないって」

おっさんの涙目って誰得だよ、と吐きながらゴミの山に手を触れる。
次の瞬間パァン!という甲高い音とともにゴミの山が木っ端微塵になった。

「…いい仕事したなァ」

「どこがだよぉぉぉ!?ゴミ木っ端微塵にしただけじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!」

そりゃ怒るだろう。
そんな木原くンを見下しながら言う。

「まァまァ、ゴミとホコリを一気に消してやろォってンだからキレンなよ」




「とりあえず木原くン、ここの窓全部開けてきてくンねェ?」

「…何しようってんだよ」

「おォ?落ち着いたか、ゴミとホコリ消してやるって言ったばっかだろ、もしかして木原くン更年期障害ですかァ?」

「ぶっ殺されてぇのかお前はぁぁぁぁぁぁ!!」

そんな働く気が無い木原くンを無視して勝手に窓を開け始める一方通行。
それを見た木原くンはというと、

「あーあーあー、雨でもうめちゃくちゃだよ」

そりゃ自棄にもなってしまうだろう。
そんな木原くンに目も触れず窓から手を伸ばし能力を使用する。
疑問気味な表情を浮かべる木原くンを尻目に大気を操る。

「えっ」

そこには舞い散るゴミ(粉末状)が開けた窓全てから飛んでいくのが見えた。

「ふゥ…」

「ふぅじゃねぇよぉぉぉ!?近所迷惑だよあんなん飛ばしたらぁぁぁぁぁぁ!!」

「ちゃんと東京湾まで飛ばしたから許して木原くン」

「俺が許しても世間が許さねえよぉぉぉ!!」

激昂する木原くンに一方通行は極めて正論の様で全く正論じゃない一言を放った。

「いや木原くンがあンな汚すから悪いンだろォが、つゥかお前の声が一番近所迷惑だわ」




一回目の投下は終わりです

ほのぼのしたのを書きたくて建てました


面白い
やっぱ木原くんと一通はいいね

楽しみですわあ

木原と一方が仲良いのはなごむね

刺繍(ししゅう)の男ってなんぞww
刺青(いれずみ)だよな?


期待

刺繍が趣味の家庭的な木原くん

刺繍な木原クンかわいい

>>12

なんだかんだ言って木原くンの事が好きな一方さん可愛いです

>>13

ありがとうございますー。

>>14

一応すごく超展開になっていくつもりなのでもっとなごむ様に出来たらいいなと思っています。

>>15

なんか、すごくやっちまったです。
刺青に脳内変換してください。

>>16

ありがとうございますー。

>>17

やだ可愛い

>>18

新しい扉を開いてしまった…。



木原くンは倒れていた。
理由はうるさいという理由でベクトル式デンプシーロールでかれこれ数十発パンチを浴びたからだ。
そして元凶はというと、半歩下がってカウンター撃つ事も出来ないンですか木原くンはァ?54巻読み直してこい、と突っ込み所満載な台詞を吐いて冷蔵庫に向かっていく。
節子、ここ木原くンの家や。

そして冷蔵庫を慣れた手付きで開ける。

「うっわァ、予想してたけどこれは流石にねェわ木原くン」

中身は予想通りカビが生えまくっている食材が沢山あった。
本来なら匂いのみで卒倒しそうな物だが、反射してるので一方通行は大丈夫だった。
そして突如それを掴み、木原くンへ投げる。

「ぐっ…ああああああ!!ああ゛くう゛せられ゛ーだぁぁあ゛ああああ!!」

「沢〇ァ!憎悪で立ち上がれェ!!デンプシーを破ってみやがれよォ!!」

と、言いながら中の腐った野菜と肉を次々と投げ込む。
ド外道スイッチが入っている様だ。

「て、めえ…こんなネタ誰が分かると思ってんだよおおおおおおおおお!!」

「俺が分かってっからいいだろォがァァァァァ!!」

木原くンは至って正論である。
本気で分かる人いるのか、このネタ。
そして一通り投げ終えた時ド外道スイッチが入ってる一方通行は躊躇せずに言った。

「木原くゥン、とっととスーパー言って食材と鍋買ってきてくンねェかなァ?」

顔面にカビだらけの食材まみれになっている木原くンから返事はなかった。




「(くっそあのクソガキ…)」

木原くンは24時間営業しているスーパーを探していた。

「(思いっ切りほっぽりだしやがって…)」

そう、木原くンは一方通行に外へ追い出されたのだ。
服の襟を掴まれ、玄関先へ投げられてしまった。
そして吐き出された言葉は、“とりあえずカレーの材料買ってこいよ、じゃねェとドア開けねェからな”だった。

「(…ハヤシライス買いにいってやろうかマジで、いや別にあんま変わんねえけど)」

「おや?そこにいるのは木原数多ですか?」

突如後ろから声が聞こえた。

「…あぁ?」

思考を止めて、声がした方を振り返る。
そこにはゴーグルを付けた中学生程度の無表情の少女が立っていた。

「ミサカは絶対能力進化実験の実験体、妹達の一人個体識別番号06223です」

突然話し掛けられ、聞いてもない事をベラベラ喋られイライラしたのか不機嫌になる。

「でぇ?その大層な実験のモルモットが俺に何の用だ?」

「あなたのマンション近くで被験者一方通行の反応が消えたんですよ、とミサカは早速本題を言います」

その瞬間、木原くンの頭の中で思い当たる節がいくつかあった。

「(そうか、電波をジャミングしたのはモルモットのセンサーを妨害する為、そして匿えってのは実験自体をバックれる為…。)」

「(いーねぇ、あんな糞みてぇな時間かかる実験、一方通行ならバックれても仕方ねぇよなぁ?)」

そんな事を考えながらその質問を受け流す。

「あー?間違って歩いてる時ぶっ殺しちまったかぁ?」

「…本当に知らないんですか?とミサカは確認します」

「つーか、ネットワークに異常が起きて位置情報が曖昧なんじゃねえのか?」

木原くンの迫真の演技。
やれば出来るのである。

「時間を取らせて頂いて申し訳ありません、とミサカは頭を下げます。」

「では——。」

頭下げてねーよ、と脳内で突っ込みながら舌打ちをし、木原くンはまたスーパーを探しに歩いていく。




時計の短針が12を指した時、チャイムが鳴った。

「ちゃンと買ってきたンだろォなァ?」

「うるせぇ、ハヤシライスに買い直してやろうか」

「ていうかよォ、木原くンバカだろ?」

笑いを堪える声が聞こえる。

「ポケットに鍵入ってンのになンでわざわざチャイム押すンだよ」

その言葉にハッとしてポケットを確認する。
そしてしばらくして木原くンが叫ぶ。

「一方通行ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「来いよ木原ァァァァァ!!渾身の右クロスで意識を刈り取ってやらァァァァァ!!」

エレベーターに乗り込み、素早くボタンを押しドアを閉める。
そして次にエレベーターのドアが開き、外に出た瞬間。
木原くンの意識はそこで途絶えた。




「チッ、なンでカレー用(笑)の肉なンて買ってきてやがンだよ、普通にバラ肉でいいだろォが」

独り言をつぶやく。

「それにしてもあの右ストレート完璧だったなァ、流石鷹村さン直伝のストレートだわ」

左を内にしまい右をねじ込むストレート。
いやこのネタが伝わるのかは分からないが。

「…う、うう…一方通…行ぁ…てめぇ…」

「おォ、怖ェ怖ェ」

そんな事を言いながらじっくり煮込んでいく。
そして買ってきた物を確認する。

「マジでハヤシライス買ってきてやがった、いやどっちでも別に変わンねェけど」

「あ、コーヒーあった」

勿論木原くンの物だが、そんなのを気にせず開ける。
木原くンの呻き声が大きくなった気がするが恐らく気のせいだろう。

「あァうめェ、てか米がもうすぐ無くなっちまいそォだ、後で買わせるか」

コーヒーを遠慮無く飲みながら、チラッと木原くンを寝かせているソファーを見る。

これ本当に起きるのか、なんて事を考えながら少し後悔した、少しだけだが。




「今日はこれで決まり、だなァ」

という声と共に火を消し、食器棚から皿を取り出す
因みにオリーブは使わない。
炊飯器を開け、ご飯をよそう。

「(なンかじゃんじゃんいってるババァが炊飯器だけで料理作るのが思い浮かンだわ)」

私はまだババァじゃないじゃんよという声が聞こえた気もしなくはない。
よそったご飯にカレーをかけ、ふぅと息を吐く。
外道スイッチの反動からなのか木原くンの分までよそってあげていた。

「つゥか家庭的な一方通行って誰得だよ」

そんな事を言いながら木原くンを起こす。

「…うあ…あぁ?ここは何処だ、俺は誰だ」

「寒い、2点」

「採点厳し過ぎて糸も通らねえよ」

「ンなことどうでもいいから死ね」

理不尽な言葉と突っ込みにより心が折られかけながらも持ち直し、一方通行に質問する。

「俺は…俺はあの時何を喰らったんだ」

「何分前の話してンだよォォォ!!」

大体の時間なら35分前だった。




「カレー作るてめぇを想像してみると面白いよな」

「お前の顔の皮剥いでやろォか?まともな思考には戻ると思うぜェ」

そんな事を言いながらスプーンですくい口に運ぶ。

「ま、まぁまぁだな」

「(あらやだ結構美味かったわ、あのクソガキ一年やそこら会ってねぇだけなのにどうやってここまで成長を…、まさか女か!女が出来たのか!?」

「思考だだ漏れなンだよ木原ァァァァァ!!」

そんな会話をしながらとっとと食べ進む。
しばらくして木原くンが口を開く。

「…カレーに舞茸なんて入れるか?」

「美味いから別にいいじゃねェか、つゥか木原くンが小さい時カレーに入れてたンだろォが」

「あー?そうだっけかぁ?」

うろ覚えの記憶を漂いながら少しずつ思い出す。

「…あ、思い出したわ、お前が偏食過ぎたからカレーの中に入れたんだったわクソガキ」

「ガキの頃だったから今より更に酷い偏食だったンだろォなァ」

しみじみしながら一方通行も思い出す。

「てめぇに料理出したら全部アウトだったからな、殴り飛ばしてやろうかと思ったわ」

「ちっちゃい事で殴り飛ばしてたのにそンな事言えンのかよ」

幼少のトラウマを思い出しながら皿に残ったルーを全て掻きだした。






「ごちそーさん、寝るわ」

と、言いその場を立ち上がる。

「いや片付けろよ」

「面倒だから任すわ」

その言葉に溜め息をつきながら、一方通行もその場を立ち上がり自分と木原くンの皿を台所に持って行く。
そして綺麗になった寝室に向かう木原くンに聞こえない程度の声で呟いた。










「少しの間だけ、世話になる」








今日はおしまいです
投稿がおっそいおっそい

根元のオープン戦打率が6割越えてたのでモチベーションが上がって書きました



アックセロリ! アックセロリ!

あの…電波ってベクトルの塊だからジャミング余裕のはずなんですけど…
というか物理の世界においてベクトルが干渉できないものとか存在しないといっても過言でないレベル

>>30
こまけぇこたぁ(ry

>>30
それは俺も思ったが・・・
めんどくさかったんだと思おう

電波が不自然に途切れた場所として計測されてしまう危険を考慮したんだろう
学園都市製の機器によるジャミングであれば、少なくとも妹達は誤魔化せると考えたんだ
さすが第一位!なんという冷静で的確な判断力なんだ!

ΩΩΩ<な、なんだってー

ΩΩΩ<そうだったのかー!!!

一通さんなら音が後から聞こえる光速のカウンターパンチができるんだろうな
宮田くんも真っ青だわ

乙!木原くン保護者なほのぼのはいいものだ…

>>33
まさにそうなんだろうな
たまに万能みたいに言われているが、自分に触れた電波のベクトル操作しかできないし
自分から電波出せないし

>>29

ペロペロ!ペロペry

>>30

まず干渉の方法が曖昧で自分の力じゃ出来ないと定義しました。
簡単に出来るなら申し訳ないです。

>>31

やっぱり細かい事だしどうでもいいよね!

>>32

干渉出来るのか曖昧なんです…。
見えないし。

>>33

結局途切れた場所計測されてんじゃねーかぁぁぁぁぁ!!

>>34

サスガダイイチサンヤデェ

>>35

そーなのかなー?

>>36

宮田くン以上のステップもお手の物だろうなぁ

>>37

保護者の木原くン、マジひろし

>>38

というか電波まで簡単に干渉出来ちゃったら電気能力者本当に涙目になっちゃいますしね
あからさまなチートはだめです



「あァ…眠い…」

彼は今風呂場でくつろいでいた。

「今思うと木原くンって結構イイ所に住ンでるよなァ、ただのヤクザみたいなもンなのに、つゥかヤクザだろ」

「でも俺の能力開発してるぐらいだからそれなりには優秀なのかァ?頭はアレだが」

そんな事を言いながらシャワーで身体中の泡を洗い流す。
そして次の瞬間、閉められていた扉が開いた。

「…あ?」

「…なァ、木原くン」

「いやこっ、これは違う、ノーカウントだノーカウント」


シャワーで身体を流す一方通行を見て、慌てて弁解を始める木原くン。
すごく醜い。

「てめェにはシャワーの音が聞こえなかったのか木原ァァァァァ!!」

洗面器が木原くンの顔面に当たり、しばらくしてゴッ!!と鈍い音が響く。
ベクトル投法で投げられた洗面器は、音が後から聞こえる程のスピードで衝突した。

「(赤い…稲妻…)」

そんなネタ分からないって言ってんだろおっさん。

「全然空気読めねェよなァ木原くン、鈴科百合子っていう女がここにたってたらどォするつもりだったンだこのハゲ」

ハゲてねぇとか細い声が聞こえたが、それを無視して更に手頃な物を投げた、今度は高そうなシャンプーの空瓶だった。
パリィン!と凄まじい炸裂音が鳴ったがそれを気にせず動かなくなった木原くンを確認し、ドアを閉めた。




「あァ…いい湯だった」

能力を使い、身体中の水滴を全て弾く。
顔面血だらけで転がっている木原くンを二度三度踏みつけ、適当な服を拝借する。

「(つゥか俺の部屋爆撃でもされてンじゃね?)」

今は無き(仮定)マンションの一室を思い浮かべる。
妹達に見つかる事よりそっちの方が気になっていた。

「(…まァイイか、明日服とか色々買ってきてもらって、高飛びの準備でもしてもらうか)」

一方通行のプランでは自分が第一位という事で、ほぼ絶対に外出申請が降りない、その為第二十三学区の飛行機、もしくは科学者がちらほら話していた、超音速旅客機をジャックする計画を立てている。
無茶苦茶だ。

「とにかく今日は寝るか、木原くンは…放置でいいか」

顔面流血を起こしている木原くンをそのままにし、ソファに転がった。
そして数秒もしない内に視界が闇に包まれた。




木原くンは早朝の6時に目を覚ました。
因みにアレから目を覚ましていなかった。

「ん…あ、ぁ…?何やってんだ俺は…、何も覚えてねぇ…」

ラン〇ィーみたいな事を呟きながら起き上がり鏡を見る。
そして驚愕する。

「な…お、なんだよこれ…」

「俺の頭が血だらけじゃねーかぁぁぁぁぁ!!」

自分の顔にべっとり付いた血を見て叫ぶ。
そら起きて真っ先に見たのが、血だらけならビビるわ。

「…あ。」

全てを思い出したかの様に表情を変え、脱衣所のドアを蹴り飛ばしソファで呑気に眠っている一方通行を殴り飛ばそうとする。
が、こちらに寝返りを打った途端拳がピタッと止まった。

「(おい…おいおいおい!)」

「(なんだこの一方通行に似て似つかない天使はぁぁあ゛あああ゛!!)」

いつもの外道スイッチが入っている、一方通行からは想像出来ない程の穏やかな寝顔。
それを見て完全に拳が止まってしまった。
別人では無いかと確認するが特に違う場所は無く、気になる所は木原くンが洗っていた服を着ている事だった。

「くそっ…ぶん殴りてーのにぶん殴れねぇ…」

「心理定規最強なんじゃねーか意外とマジで」

現段階では出て来る見込みが全くないキャラの名前を出しながら、拳を突き出したままプルプルと震わせる。

そんな木原くンを知ってか知らずか、白い天使の様な悪魔が起き上がり欠伸をして、伸び上がる。
そして突き出した拳を見て状況を理解したのかしてないのかは分からないが、座ったまま思い切り右ストレートを振り抜いた。




「あ、やっべ、思い切りぶン殴っちまった」

思わず打った途端、声を上げる。
意味も無く殴った手を揺らす。

「宮田くンのカウンターはこンなもンの為に使う物じゃねェんだけどなァ、一歩にデンプシーされても文句言えねェなこれ」

何故一方通行はキン〇マンでもなく一歩を選ぶのか。
そして木原くンの顔をぺちぺちと叩いて、起こす。

「…思いっ切りぶん殴りやがって」

「そりゃ拳構えてたンだから反応しちまうだろ」

その理屈はおかしい、と言いながら洗面所に歩く木原くン。

ここ最近いい事が全くない。
某Kさんの不幸が降りかかっている様だ。

原因は主に一方通行だが。




「ごちそォさまァ」

「はえーよ」

今日の朝食は夕食のカレー。
結構余る物である。
しかし、一方通行は偏食だが別に大食という訳では無い。
昨夜残っていたカレーがまた余ってしまった。

「つーか全然残ってんじゃねぇか、もっと食え」

「保護者面[ピーーー]、キモイ、木原くン今すっげェキモイ」

「おいおいおい、なんだなんだよクソガキぶっ殺されてーのかぁぁぁぁぁ!?上等じゃねぇかその喧嘩乗ってやるよ一方通行ぁぁぁぁぁ!!」

「うるせェなァ、とっとと食えよ片付けンの面倒くせェンだからよォ」

「はい死んだ!お前の心今死んだ!」

こいつ朝からなんでこんなテンション高いんだよ、と考えながら木原くンを無視し始める。

「おらおらwwwwwwwwビビってる?wwwwwwねぇビビってんの?wwwwwwwwwwww」

勿論そんな事はなく空気の振動を反射して本格的に無視し始めただけだ。
端から見ればこの木原くンはただの基地外である。
いや普段でも十分基地外だが。

「おいなにてめぇ能力使ってんの?え、もしかしてガチで無視してんの?ねぇお願い無視しないで悲しいから」

ギャーギャー喚いてる様に見える木原くンを見ながら、酔ってんのかこいつ、などと思いながら皿を持って台所に向かった。




「うぇ、食いすぎた」

「やっぱバカだろ木原くン、俺は悲しいよ」

「食べ物粗末にしちゃ悪いだろーが」

「木原くンの口からその言葉出すとただのギャグにしか聞こえねェンだが、つゥか俺が昼飯に食おうと思ってたのに何の嫌がらせだよ」

スポンジで皿を磨きながらテーブルに突っ伏している木原くンと会話する。

「あー、そういやそーか、いや別にお前の事なんて知ったこっちゃねーけど」

「木原くンがツンデレに挑戦しても需要がねェよ、吐き気がするからやめてくれ」

「おいおい反抗期かてめー」

「むしろお前に反抗しないでいられる奴がいたら見てみたいわ、ガンジーでも助走してケツバットするレベルだろ」

マシンガンの様に繰り広げられる会話。
罵倒してるのは完全に一方通行だが。
そして突っ伏していた木原くンはしばらくして立ち上がり、荷物が入った鞄を手に取り皿を洗っている一方通行に言った。

「俺はもう行くわ」

「あァそォだ、帰りに米と適当な食材と服買ってきてくれ、ついでに二十三学区のセキュリティレベルと各旅客機のロック、それと警備員の巡回ルートな」

「おーおーなんだ?日本から脱出するつもりかぁ?」

そんな不穏な言葉を聞いて、木原くンが質問する。

「…いつまでもこ



「うぇ、食いすぎた」

「やっぱバカだろ木原くン、俺は悲しいよ」

「食べ物粗末にしちゃ悪いだろーが」

「木原くンの口からその言葉出すとただのギャグにしか聞こえねェンだが、つゥか俺が昼飯に食おうと思ってたのに何の嫌がらせだよ」

スポンジで皿を磨きながらテーブルに突っ伏している木原くンと会話する。

「あー、そういやそーか、いや別にお前の事なんて知ったこっちゃねーけど」

「木原くンがツンデレに挑戦しても需要がねェよ、吐き気がするからやめてくれ」

「おいおい反抗期かてめー」

「むしろお前に反抗しないでいられる奴がいたら見てみたいわ」

マシンガンの様に繰り広げられる会話。
罵倒してるのは完全に一方通行だが。
そして突っ伏していた木原くンはしばらくして立ち上がり、荷物が入った鞄を手に取り皿を洗っている一方通行に言った。

「俺はもう行くわ」

「あァそォだ、帰りに米と適当な食材と服買ってきてくれ、ついでに二十三学区のセキュリティレベルと各旅客機のロック、それと警備員の巡回ルートな」

「おーおーなんだ?日本から脱出するつもりかぁ?」

そんな不穏な言葉を聞いて、木原くンが質問する。

「…いつまでもここにいたって、状況が変わる事なンてねェだろ」

「で、旅と」

「豪華な旅だろォ?金なら腐る程あるしな」

「くく…一皮剥けやがって…惚れちゃいそーだぜ一方通行!」

「流石の俺もそれは引くわ、つかとっとと行けよ」

へーへーと適当な返事をしながら玄関で靴を履く。
そして数秒も経たない内にドアの開閉する音が響いた。


うわぁ…一つ途中投稿ですねぇ…



彼は一つ欠伸をした。
皿を一通り洗った後、ソファでくつろいでいた。

「(あ、そォだ、洗濯ぐらいはしといてやるか)」

とりあえず木原くンの寝室に行って乱雑に散らばる衣服を、洗濯かごに詰める。
そしてかごがそれなりに埋まった時立ち上がった。
それでもまだ四分の一も衣服は片付いていなかった。

「はァ…面倒くせェな…」

自分でやりだした筈なのに愚痴りながら、最新式の洗濯機に自分の衣服と一緒にかごの中身を放る。
学園都市の技術はやはりとんでもない、“外”では衣服全体の重さを計測し、洗剤を自動で調節する、なんて機能は存在していないのだから。

そんな他愛の無い事を考えながらチラッと外を見る。

「……?」

怪訝そうな表情を浮かべる先には、ベランダがあった。
そして何故か一つ、布みたいな物が引っかかっている。
布団だろうか、しかし昨日まで壊滅的なゴミの量だった為それはありえない。
じゃあなんだ。
神経を尖らせる。

細心の注意を払いベランダへ繋がる窓を開ける。
その音が聞こえたのか謎の物体が動く。
それに対し一層集中を高める。

「(妹達の罠だとしたら最悪だ、なンで何も警戒しないで開けたンだ俺は…)」

そんな自分に呆れながら腹をくくったのかパン!と音を鳴らす。
そして謎の物体はこちらに顔を向けた、どうやら人間の様だ。









「…おなかすいたんだよ」

「すいませンがダイナミックな押し売りはお断りしてるんでェ」









おしまいです
寄り道が始まっちゃいます

オープン戦根元打ちすぎで笑いが止まりません


ちょっwwwここでまさかのインなんとかさんwww

木原くンよく死なないな…

>>52
たとえ木原くンが死んでも第二、第三、そしてメカ木原がうんたらかんたら

インデックスちゃんの分のカレーはないんだよ;;


まさかのインナーさん

>>51

インコースへのスライダーさん出しちゃったー。
Kさん出しづらくなってきましたー。

>>52

ギャグSSだからね、仕方ないね。

>>53

おいおい、四天王か

>>54

木原くンェ…

>>55

インセンティブ契約さんだろ!いい加減にしろ!



しばしの沈黙。

どうやら白い修道服からしてシスターの様だ。

干された布団の様にベランダに引っ掛かったシスターを全体的に確認して、呆れた様に一方通行が口を開く。

「…あのよォ、ここ16階だぞ?どんな敏腕セールスマンでもベランダはねェよ」

「な、何を勘違いしてるのかな!?」

空腹をスルーされ、更に話が180°変わった事に憤慨する。

「勘違いも何もあれだろ?飛行石がどうのこうので俺が親方ァ!空から女の子が!って言わなきゃいけないパターンなンだろ?」

「さっきから何の話をしてるのかな!?」

パズー働け。
シータ(仮)は話題に全く付いて行けず。

更に腹を大きくぐー、と鳴らし、パズーを涙目で見つめる。

そんな無言のプレッシャーを与えてくるシータを眺めて一つ息を吐いて、パズーは口を開く。

「…そこで会話してると俺が不審者に思われるからとっとと入れ、餌はねェけど」

ただただパズーの本心だった。




「…でェ、なんであんな所に愉快な所に引っかかってやがったンですかァ?」

引っかかっていたシータを引きずりあげた後、パズーは質問した。

「おなか…」

「…あァ?」

深刻そうな表情を浮かべるシータの言葉に、先程より真剣に耳を傾ける。

「おなかすいて口が回らないんだよ…」

間抜けな答えに再び溜め息を吐き、立ち上がる。

「どこにいくの…?」

「…腹、減ってンだろ」

やや機嫌悪そうに返答しながら、入浴する際置いといた財布を手に取る。

「…もしかしてご馳走してくれるっていう事かな?」

「さァな、ただし食った後は洗いざらい喋ってもらうぞ」

はしゃぎ始めるシータを尻目にベランダの窓を、チラッと何かを確認する様に見る。

「(厄介な事になりそォだな、少なくとも狙われてンのは俺じゃねェ…が)」

「(二人、ねェ)」

「(オーケェオーケェ…、まずは準備運動だ。)」

「(人のプライベート監視中に悪ィが、運が悪かったな。)」

一人で自己完結させて、ちょうど良い所にあった帽子と眼鏡、携帯型ジャミング装置を手に取って、携帯をポケットに入れ、シスターを置いていかない程度のスピードで歩き始めた。




「ま、待ってほしいんだよ!」

彼らは今第七学区のやや大きな通りを通っていた。

「(あー…木原くンの服でけェ…)」

そんな事を考えながら後ろをトテトテと付いて来るシータに、少しスピードを合わせながらサイ〇リヤと書かれているファミレスの扉を押し入っていく。

「ここはイタリア料理のレストランなのかな?」

ひたすらはしゃぐシータを見ながら、面倒くせェと呟く。
入ってしばらくしない内に店員が張り付いた笑顔で応対しにきた。

「お客様何名でしょうか?」

「二人、禁煙で」

「かしこまりました」

張り付いた笑顔のままで案内を始める。

「窓際の席にどうぞ」

「どの位頼んでもいいかな?出来ればいっぱい食べたいかも!」

「好きに頼め」

「ありがとうなんだよ!」

店員に色々頼み始めるシータ、その量は尋常じゃなかった。
シータマジパネェ。
一方通行はそれに若干引きながら、ポケットに入っていた携帯を開きメールを打ち始めた。




【DATE】07/20 09:49
【FROM】一方通行
【sub】おい
------------------------
ここ数日、いや昨日外から入ってきたは奴はいるか?
一人〜三人だ。

【DATE】07/20 09:51
【FROM】木原数多
【sub】RE:おい
------------------------
確認した感じいねーけど
つーかなんで俺のメアド知ってんだよ

【DATE】07/20 09:52
【FROM】一方通行
【sub】RE2:おい
------------------------
面倒な事に巻き込まれてンだよ。

kiharaharaharaって打ったらまさか本当に届くなンて思ってなかったわー。




【DATE】07/20 09:53
【FROM】木原数多
【sub】RE3:
------------------------
俺に取ってはお前が今一番面倒な事なんだよ!!

お前エスパーなの?勘弁してくれよ…

【DATE】07/20 09:54
【FROM】一方通行
【sub】RE4:
------------------------
つゥか本当に記録がねェのか?
もしくは気付かれずにここに入れンのか?

お前のメアドにドン引きだわ、木原くンもしかしてバカなンですかァ?

【DATE】07/20 09:55
【FROM】木原数多
【sub】RE5:
------------------------
ねーよ
だけど昨日停電があったらしい、高位能力者の謎の落雷で周辺一帯な

お願いマジで心折れるからやめて




【DATE】07/20 09:58
【FROM】一方通行
【sub】RE6:
------------------------
高位能力者ってよりアレだな、第三位しかいねェな
ついでにこいつの顔から書庫で照合してくれ

(【添付一件】126KB)

【DATE】07/20 10:02
【FROM】木原数多
【sub】RE7:
------------------------
これどんな状況だよ、なんでパスタが宙に浮いてんだよ

結果は該当0件
一体どういう事だ

【DATE】07/20 10:04
【FROM】一方通行
【sub】RE8:
------------------------
知らねェよ、サイゼリヤの食材根こそぎ持ってく勢いだぜ、このシスター

そこまで分かれば十分だ。




携帯の電源を切り、ポケットに収めてバカみたいに食べるシスターに目を向ける。

「…食べる?」

「朝飯食ったからいらねェよ、そンな事より洗いざらい喋ってもらうって言ったばかりだろォが」

口元を雑に拭き、一呼吸置いて話し始める。

「私の名前はね、インデックスって言うんだよ?」

「見ての通り教会の者です、ここテスト出るよ。あ、バチカンの方じゃなくてイギリス清教の方だね」

一瞬、一方通行が止まる。
今この暴食シスターが何て言った?

「インデックス、っていうのは目次の意味合いか?それともその残念な頭で考えた別の意味合いを持つ名称ですかァ?」

「うーん、禁書目録の事なんだけど。あ、魔法名ならDedicatus545だね」

何を言ってるんだ、こいつ。
禁書目録?魔法?
ダメだ、頭がイっちゃってる奴だ。
それなら16階のベランダに引っ掛かっていてもおかしくはない。
いや、それでも大分おかしいが。
そして更にもう一つ。

「(こいつを狙っていた二人、だなァ)」

だがもし、魔法という存在を認めてしまえば既存の物理法則が全て覆される。

「(…どうやってやがンだ)」

彼は目の前で起こっている事で珍しく首を傾げた。




「一つ質問だ」

「ん?」

「どォしてお前はあンな所に干されてやがった、布団希望なのかァ?」

極めて淡白な声で質問する。
その質問に呆れた様に答える。

「干してあった訳じゃないんだよ?」

「そりゃそォだろうな、何か?風にでも流されて引っ掛かってたのかァ?」

「……似たようなモノかも」

極めて適当に思い浮かんだ言葉を放った一方通行は、少し怪訝そうな表情を浮かべる。

「落ちたんだよ。ホントは屋上から屋上へ飛び移るつもりだったんだけど」

訳が分からなくなった。
あのマンションの最上階は62階、周りには一応その高さのビルやマンションは隣接していたが、それでも16階まで落ちたりして引っ掛かったら骨が何本か折れててもおかしくない。
むしろ命を落とす事も十二分にある。

それなのに、痛みを見せる素振りすら見せないのはおかしい。

「おいおい、あンな所からダイブするなんてただの自殺志願だぜェ?」

「仕方なかったんだよ。あの時はああする他に逃げ道がなかったんだし」

「……」

不穏な言葉に一方通行は思わず眉をひそめる。

「追われてたからね」




「ホントはちゃんと飛び移れるはずだったんだけど、飛んでる最中に背中を撃たれてね」

「ゴメンね。落っこちて途中で引っかかっちゃったみたい」

「撃たれた、ねェ」

興味なさそうな声で言った。

「うん?ああ、傷なら心配ないよ。この服、一応“防御結界”の役割もあるからね」

…防御結界?何言ってるんださっきからこいつ。
でも撃たれた後は何処にもない。
この少女は本当に撃たれたのか、しかし確かにこの少女はベランダに引っ掛かっていた事だけは事実なのだ。

もし、仮に、この少女が言ってる事全てが事実だったら、
彼女は一体誰に撃たれたんだ。
一方通行は考える。

30階を超える屋上から、隣の高層建築物に飛び移る。
その行動にどこまでの覚悟が必要なのかを。
七階のベランダに運良く引っかかっていた、という事実を。

一方通行はインデックスの事情を知らないし、断片的な言葉の意味もよくわからない。
おそらくインデックスが一から十まで説明したって半分も理解出来ないだろうし、もう半分だって理解してやろうと思う事さえしないかもしれない。

しかし、一つだけ分かっている事は確かに16階のベランダに引っかかっていたという、一歩間違えれば愉快な肉塊に変わっていたという現実だけは、頭の中で理解出来た。
インデックスはまた新たに出されたドリアを頬張りながら笑みを見せていた。

「で、追われてるってのは」

彼にとってこれは単なる前哨戦、もしくは準備運動だった。
全面抗争を起こして死力を尽くすなんて事ではなく、力の一部で叩き潰す。
このシスターを助ける事で一つ、変えてこなかった自分を変える為の準備運動。

モグモグと変わらぬ勢いで喰らいながら、その質問に答える。

「なんだろうね?薔薇十字か黄金夜明か。その手の集団だとは思うんだけど、名前までは分からないかも。……連中、名前に意味を見出す様な人たちじゃないから」

「…連中、か」

うん、と追われるインデックスの方がかえって冷静な風に、


「魔術結社だよ」




はぁ?何を言ってるんだこいつは。
思わず声が漏れる。

「…マジュツ?」

「は、え、アレ?あ…あの、日本語がおかしかったの…?魔術<<マジック>>だよ、魔術結社<<マジックキャバル>>」

英語で言われても何も分からなかった。

「なンだなンだよなンですかァ?得体のしれないコスプレ野郎共が『主を信じないなら愉快なギネスブックに載っちまう死体になりやがれ』とか言って内臓をえぐりとったりする危ない集団ですかァ?色んな意味で危険過ぎて全くわかンねェよ」

「そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

「あァ」

「……、そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

「そりゃァな、あまりにも存在を示す物が少なすぎる、科学で生きてる人間からしたらそンなもンがあったら既存の物理法則を完全否定する様な物だからな」

「……魔術はあるもん」

「あっそォ、で、何でその三下共がお前を——」

「魔術はあるもん」

「……」

「魔術はあるもん!」

意地でも認めてほしい事が伝わってくる。

「…その類のもンを見せてもらわねェと信じる事が出来ねェ、とりあえず見せろ」

「魔翌力がないから、私には使えないの」

「えェ…」

少しの間場が静まる。
『世の中には不思議な事があるんだから、魔術だってあってもおかしくない』という理論では、一方通行は納得出来ない。

「魔術はあるもん」

一つ、溜め息を吐いた。

「魔術が存在するとして、勿論お前がそういう連中に狙われる価値って物は存在するンだろォなァ?」

「あるよ」

少女は即答する。

「……私は、禁書目録<<インデックス>>だから」

「…あァ?」

「私の持ってる、十万三千冊の魔導書。きっと、それが連中の狙いだと思う」




一層大きい溜め息をこぼす。

「…頭の中にある、とでも言うのか?」

「よく分かったね」

その言葉に更に呆れた様に息を吐く。

「訳分かンなくなってきたわァ、割とマジで頑張ったけどもうそろそろ情報量と質で頭がパンクしちまいそォだわ」

「な、なんでそうなるかな!?」

「とりあえず魔術に関係する物とかねェのかよ」

うんざりした顔で質問する。

「それなら私が今着ているのが、“歩く教会”って言ってトリノ聖骸布——神様殺し<<ロンギヌス>>の槍に貫かれた聖人を包み込——」

「御託はイイ」

トン、と手のひらでインデックスの肩を触れる。
インデックスはキョトンとした表情だ。

「(防御結界だっけな、あながちハッタリじゃねェかもしれねェ。ベクトル操作が謎の法則から弾かれた。)」

触れた手のひらを確認し、一度二度と開いて握る。
そして手をかざして再度確認する様に能力を使用する。

「(やはりこっちに問題は無さそォだ)」

「どうしたのかな?」

「いやなンでもねェ、つゥかもう満足ですかァ?お前が食ってるの見ると胸焼けしそォなンだが」

「うん、ありがとうなんだよ!」

置かれていたレシートを手にとりレジへ歩く。
何故か店員の顔が青ざめていた気がしたが恐らく気のせいだろう。




カードで払い、すぐに外へ出る。

「そォだ、用思い出したわ。先にマンションに行っててくれ」

「用って…何の?」

怪訝そうな表情を浮かべて質問する。

「…ショッピングだよショッピング、適当な餌買っていってやるから先行ってろ、一応鍵も渡しとく。」

「うん、わかった、先に行って待ってるんだよ!」

駆け足でそこからマンションへ向かうインデックスを見送った後、その場にいる誰かに呟く。
しかし、周りに人はいない。

   ・・・・・
そう、人がいない。

「イイ演出だねェ、小物にしてはなかなかやるじゃねェか」

帽子とメガネを横手で投げ捨てる。

「そうだね、小物はそんな台詞を吐いてしまう君だろうけどね」

そこに赤く染まった髪をした男が現れた。
服装は教会の神父が着ているような、漆黒の修道服。
ただしこの男を神父と呼ぶ人間は基本的にいないだろう。

左右十本の指には銀の指輪がメリケンのようにギラリと並び、耳には毒々しいピアス、ポケットから携帯電話のストラップが覗き、口の端では火のついた煙草が揺れて、極めつけには右目のまぶたの下にバーコードの形をした刺青が刻み込んである。

そんな異様な風貌をした男に、一方通行が怯む訳もなく前に出る。

「お遊びだが時間はかけてやらねェぞ、あの暴食シスターに餌を買って帰るって約束しちまったからな」




おしまいです
sagaまた忘れました

寄り道しすぎィ!
どうしてこうなった


まあマジレスその2をすると、触れたベクトルとはいうけど学園都市全体の風を操り集めるようなこともできるんだから、同じことが電気でできないわけないよね
実は有効範囲ものすごいですよっていう。
能力の膜に一部でも触れていればいいんだから、まあ操れない道理はないわな
ぶっちゃけ一方さんの能力って、電気能力者涙目どころか物理法則にのっとる能力者(原石とか以外)は完璧涙目になる超絶チートだよ
…原作者もベクトルを理解してないせいで万能のイメージないかもだけど

禁書の設定に突っ込んでも仕方ない

例えば前に理科の教師にベクトルの偽装って出来るのか聞いたらフリーズしてた

……アホな生徒で先生がかわいそう

こまけえこたぁry

シリアスになってきましたな
インコさんがどうなるか楽しみです!
乙!



サ○ゼか……
インプロードさんなら鬼畜間違い探しも余裕だろうな

乙乙
インポさんの今後が楽しみです!

皆わかってる事にドヤ顏長文マジレス恥ずかしいです

>>1は適当に頑張ってください

>>1
赤い髪の神父さんいつもご苦労様です

なんか一巻の再構成になってた

木原くンの絡む再構成とは珍しい

さぁスティル・マケイヌさんの出番だな

すているさん…

一方さん相手にどう闘うか…

一方さんVSステイルさんか
木原ハラハラ><ですわ

>>71

いやー、それは分かってるんですけどね。
まぁ、電波に干渉しなかった理由は自分で補完していただけると幸いです。

>>72

ベクトルの偽装(´・ω・`)?

>>73

そゆこと言うのはだめなのですー(´・ω・`)

>>74

どうしてシリアスになっちまったんでしょう。
うふ、うふふ。
インストラクターさんじゃ…

>>75

安くて好きです。
半熟卵のミラノ風ドリアと辛味チキンは正義です。

インテル長友さんですよ?


>>76

インスタントさんだろ!

>>77

ありがとうございます!
適当に頑張ります(`・ω・´)

>>78

ヤクザにしか見えないんですがねぇ…。

>>79

なんか…流れでなっちゃいました。

>>80

再構成にするつもりはなかったんですが、せっかくなのでという感じでなっちゃいました。
木原くンも多分頑張るよ!

>>81

噛ませ犬さんが最初は原作であんなに頑張るとは思いませんでした。

>>82

どう戦うんでしょう(意味深)

>>83

木原くンのアドレスに触れるのはやめてあげてください!



「先に行かせてもよかったのかな?君が確認したのは二人の筈なんだけど」

「すぐ追いつくから問題ねェよ、そ・れ・に」

「てめェの首振り回して叫ンでりゃ…もう一人が嫌でも出てくンだろォ!?」

その瞬間、雰囲気が変わった。
薄く浮かべていた笑みが裂けた。

「(コ、イツ…!?)」

赤髪の男はそんな一方通行を見て、怯みそうになる。
しかし、そのへんは流石『プロ』。
表情に見せず、すぐさま攻撃に転じる。

「灰は灰に——、」

「塵はち——」

筈だった。
ゴッ!!と鈍い音が響き、赤い髪を揺らしながら強烈に吹っ飛んでいく。
現象の正体は勿論一方通行。
脚力のベクトルを操作し、目にも止まらぬスピードで、赤髪の男の顔前へ飛び上がり蹴り飛ばしたのだ。
そして蹴った勢いで後方へ着地した。

「あ、悪ィな、でも御託を並べねェと戦えねェ訳じゃねェし自業自得だとでも思ってくれ。」

頭を面倒そうに掻きながら、投げ捨てた帽子とメガネを拾い上げる。

「あーあー、死ンでねェだろォな…まァ、ンな事どォでもイイか、もう片方が回収しにくンだろこの人間型粗大ゴミ」

「聞き捨てなりませんね」

突然女が現れた。
Tシャツに片足だけ切ったジーンズ、更に刀を腰にぶらさげているという異様な格好。
刀の長さも身長以上程あると目測でも確認出来る。

「訂正していただきましょう、粗大ゴミという発言を」




「…それと、彼女を速やかに保護したいんですが」

「おいおい最近のボランティアってのは、刀引っさげてそんな露出狂じみた格好なンですかァ?つゥかいきなり彼女とか言われても分かンねェンですけどォ?」

その言葉に気が触れたのか、ぶらさげていた刀を手に取った。
一方通行と女の距離は約10m、確実に当たる筈が無い。

「(…オレが理解出来ない何かがあるって事か。)」

次の瞬間、女の右手がゲームのバグの様にブレた。
そして、ドォ!!という轟音と共に、一方通行の周りのアスファルトに七つ傷跡が刻まれた。

「出来れば魔法名は名乗りたくないんですが」

「魔法名、なァ。出し惜しみしてンじゃねェよ三下。」

「……、」

また、女の右手がブレる。
そして見えない斬撃で一方通行の右頬に近い空気を切り裂いたのを感じとった。
ドォン!!という音と共に後方にあった軽自動車が爆発した。

「あーあー、派手にやっちゃってェ、持ち主の事考えてンのかァ?それにオマエは勘違いしてンだよ」

「……?」

その呆れた表情で放つ言葉に、怪訝そうな表情を浮かべる。

「てめェがどンな力を持っていたとして、イレギュラーな方程式を知ってるとして、その程度じゃ俺の持ってる本質に辿り着く事すら適わねェンだよ。」

女は話し合いは無駄だと判断したのか、息を吐きながらまた右手を動かす。
七つの刃が今度こそ一方通行の身体を襲う。
しかし、

「…あァ?何だ今のは、固定で20ダメージでも与える技ですかァ?」

「くっ…!?」

一方通行に触れた斬撃は全て弾かれた。
その現象に驚きを隠せなさそうにする、ジーンズの女。

「さっきのを見てなかったのかァ?俺があンなスピードで跳び蹴りをぶち込めた理由そのものをオマエは分かってねェ、それどころか理解する気がねェ」

「…まァ、御託はいらねェか。手短に終わらせるぞ、あいつが空腹で死ンじまうからなァ」

極めて軽視する様な感じで冷たく言葉を放った。
彼の心中では何ら変わらず、ただのウォーミングアップという扱いだった。




「どういう…!?」

女の口から思わず声が漏れ出した。
それはそうだろう。
斬撃が通用しない、それもどういう過程があって防がれたかという物が、全く分からなかった。

その“原因”を考えながら右手を動かす。
再び斬撃が一方通行を襲う。

「(妙な素振りがあるか確認しないと…っ!)」

一方通行の一挙手一投足を確認する。
しかし、一歩も動かず七の斬撃全てを弾いた。

「(どうやって七閃を弾いたか全く分からない…それに不審な動きもない、恐らく本命は学園都市の生徒という事は各々に存在する能力という事。)」

「(……やる事は変わりません)」

考えても、脳内に存在しない事は出て来ない。
絡み付いた思考を振り切る、その瞬間一つ、声が届いた。

「…ワイヤー、ねェ。」

「ンな小技じゃ、俺の皮膚一切れもとれねェよ。」

極めて興味が薄そうな声で言った。
そう、右手の動きはダミー。
本命は仕草を隠しながら動かしていた逆の手。
そもそも刀を抜いてすらいなかった。

呆気なく見破り、更にそれで終わりか、と言わんばかりの表情を見せる。

「っ!」

そんな余裕たっぷりの表情を見せている一方通行を見て、地面を蹴る。

「唯——」

恐るべきスピードで一方通行の鼻先に出現し、恐るべきスピードでそのバカみたいに大きい刀を抜こうとする。
が、

「(刀が…抜けない…!?)」

よく見れば、一方通行がポケットに手を入れながら右足で柄を抑えているのが見えた。

「あのよォ、戦争で勝利する方法の効果的な方法って知ってるかァ?」

「な、にを…!」

簡単な事だぞ、という様な調子で質問する。
そんな彼を女は鋭く睨み付ける。

「敵を知る事だ」


どうでもいいが新約4巻に登場した木原一族の登場予定は!?



「……?」

「オマエは優秀だ、スピード、小道具、それにパワーもあンだろ。」

「全てでオレを上回ってる、けどよォ」

「過小評価し過ぎてンだよ」

その言葉を放った瞬間、柄を足でトン、と小さい音で蹴った…というより触った。

「くっ!?」

女が構えていた刀が宙に舞う。
トリックがさっぱり分からない。
それに気を逸らした彼女は次の瞬間驚愕する。
目の前にいた一方通行が自分からは見えなくなっていた。

「消え——」

「てねェよ」

懐から声がした。
距離を取ろうとバックステップをしようとするもののもう遅い。

「(懐に飛び込ンで鋭く左足を踏み込み…身体を回転させる様に…ショートアッパー!)」

「っ、は…!」

拳が肝臓に突き刺さる、肋骨が数本やられてるんじゃないかと勘違いする程だった。
考えている内にガン!という音と共にすぐ隣に長い刀が落ちた。
思わずそれに手を伸ばす。

しかし、

「まだンなもンにこだわってンのか?」

勿論追撃が来る。
その判断ミスに歯噛みし、身構える。
次は右足での回し蹴りだった。

「うっ、あ…」

鳩尾に足が突き刺さる。
そして後方に吹き飛ばされ、一回二回と回転し、しばらくした所で受け身を取って立ち上がる。

「(何とか離れられた、ここから仕切り直、す…!?)」

一方通行の位置を確認しようとした時、既に彼は先程蹴りを入れた場所にいなかった。




「つゥかよォ」

後ろから声が聞こえた。
殺気が混じっている、動かないといけないのは分かっている。
だが動けない、身体が全く。
肉体的なダメージじゃなく、精神的に。

「オレが能力使ってればオマエなンて数十回死ンでンだよ、そこを勘違いすンな」

「それとつまンねェ不意打ちも通用しねェ、はじめの一歩読ンでるからな」

一方通行からは、後ろを向いてるから分からないが女の顔が何を言っているんだ、という表情に変わる。
そして、一言、本題を投げかける。

「とりあえず聞かせてもらうが、てめェらの名前と目的はなンだ」

「…イギリス教会、必要悪の教会<<ネセサリウス>>所属の神裂火織、と申します。先に倒しているのは同所属ステイル=マグヌス。私達の目的は先程から言っている通り、彼女を——」

「そこじゃねェ、保護の理由だ。」

少し、空白が流れた。

「……、あなたに話しても解決しません」

そんな神裂に溜め息混じりに言う。

「オマエは立場分かってンのかァ?別にオマエを今すぐぶっ殺す事なンざ簡単に出来るし、ぶっ殺した後脳から記憶を取り出す事だって出来るンだぜェ?」

神裂はゾッとした。
学園都市の技術はそこまでに至っているのか。
しかし、彼が言っている事は他でもないハッタリ。
…しかし、本当にそんな技術があるかもしれない。
そう考えながら口を開く。

「そォ考えると良心的だろォが、なるべく簡潔に話せ。」

「何度でも言うがとっとと餌を買ってやらねェといけねェからな」

また、興味が薄そうに言った。




話は全く簡潔じゃなかった。
むしろ収めてはいけなかった。

神裂はインデックスの親友だった、という事。

インデックスには完全記憶能力という物があるという事。

インデックスの脳内85%は禁書目録の十万三千冊によって埋め尽くされているという事。

一年周期で記憶を消さなければ、インデックスが死んでしまうという事。

だが、
一方通行はそんな説明をバカバカしく思ったのか踵を返し歩いていく。

「な…どこに行くつもりですかっ!」

神裂は激昂する。
そんな彼女に対し、舌打ちをしながら振り返り言い放った。

「そンなンで頑張った?何寝言言ってンだ三下、オマエらの努力ってのは明後日の方向に向かってンのかよ」

「——うるっせえんだよ、ド素人が!!」

再び激昂する。
なンも分かってねェンだな、と呟きながら説明する。

「おかしいとは思わなかったのかァ?85%なンて誰が決めたンだよ、15%で一年しか生きられねェなンて何の基準で出した数値なンだよ。」

神裂がキョトンとした表情で立ち尽くす。
そんなのを気にせずに続ける。

「15%で一年と仮定したら六、七年しか生きられねェってオマエは一瞬でも考えたのか?」

「感覚記憶、短期記憶、長期記憶、作動記憶、意味記憶…まァこっから面倒だから説明しないが、記憶ってのは種類ごとに入れる箱が違う。」

「……まさかここまで説明して、分からないなンてほざいたらてめェはただの脳筋だ。」

神裂は呆然と立ち尽くす。
今まで自分がしてきた事は何だったのか?何故自分達は記憶を消していたのか?
ハッとして、我に返る。

「じゃ、じゃあ何故一年が近づくにつれ、彼女は…インデックスは苦しんでいたんですか!?」

「そンな危険な兵器をなンで野放しにしておく必要があるンだ?自分の庭で放し飼いにするか、それか——」

一呼吸置き、口を開く。

「爆弾を付けておくか、首輪を付けておくか。普通ならそンな事を考える筈だがな」




「どういう…」

神裂は足から崩れ落ちる。

「例えば、すげェ価値がある物を持っているとする。」

「それは世界に一つしか無く、奪い取られたら取り返しのつかない事になる。」

「それなら大事に自分以外じゃ絶対に開けられない金庫にしまうか、奪われるぐらいなら敵の手に渡った瞬間爆発する様なギミックを組み込ンでも別段おかしくねェだろ」

話を極端にしたらこうなってしまう。
そして、最後の言葉を放った後地面を蹴り離れる一方通行を尻目に神裂はしばらく崩れ落ちたまま動けなかった。






「神裂、どうするんだい?…っぐ」

話し掛けたのは出会い頭に蹴られダイナミックに吹き飛ばされた、ステイル=マグヌスだった。

「……、とにかく最大主教とコンタクトを取りましょう。」

「(もう…あの子の記憶を奪わなくても、いいのかもしれない——。)」

そんな思いを胸に抱きながら希望を再び探し始める。
所変わって一方通行。

「(カラムーチョとすっぱムーチョどっちにすりゃイインだ?)」

彼はコンビニにいた。
先程の通りからなるべく人の目、いや妹達の目がある場所から離れる為に脚力のベクトルを操作し跳躍して、ビルの上へ着地し、そこから路地裏に降りて適当に近いコンビニに入ったのだ。
まぁ変装はしてる訳だが。

「(つゥかオレもしかすると脱出するより面倒な事に関わってンじゃねェか?)」

そんな事を考えながら、結局両方買い物カゴに入れた。
あ、携帯の電源入れんの忘れてたな、と思い出し電源を入れる。
そうしたら、

「えっ、なにこれは」

木原くンから23件ものメールが届いていた。
用件はオマエは外にいるのか、近くに妹達はいないか、変装はしてるのか、つかお前サ〇ゼリヤいんだろ待ってろ、などなど。

「(うわァ…無理無理無理。オマエは親か)」

そんな木原くンにドン引きしながら、とっとと買い物を終わらせ外に出て帰路についた。




今日はおしまいです
根元がまた打ったり、藤岡がヒット一本しか打たれなかったり、岡田が台湾戦に出て嬉しかったのでモチベーションが上がりました。


>>88

もう出てますっけ?
読んでから考えますー

おつまみ

>>1
展開早くて安心です。
ステイルさんじゅうよんさいの活躍の場はあるのか......

おつー

不憫な木原くんと聞いて飛んできました

>>27>>28>>29>>30>>31>>32 何故か読めない

何の情報もないと一方さんの能力てわけわからんよね、ねーちん南無
初見殺しかつ初見じゃなくても殺しなやらしい能力ぅ

おつおつ、木原くンマジ保護者
再構成モノでこの流れ(ステイル&ねーちん)はもはや様式美ですよねー

>>100
レス内容をドラッグすると幸せになれるよ

>>96

ありがとうございます、塩辛が好きです。

>>97

ところどころ変な所もありますがそう言われると嬉しいです。

セルゲームのベジータくらいの役割くらいはしてほしいです。

>>98

ありがとうございますー

>>99

仕方ないよ、木原くンだもの。

>>100

>>102

>>101

聖人だろうが力が使えなければ、ですね

>>102

補足ありがとうございますー。



14:36

あ、鍵は暴力シスターに渡してるから入れねェな。
とオートロックがかかっているドアに差し掛かった所で、思い出し、インターホンを押す。
インなんとかさん?知らん

しばらくして、受話器を取った音とともに声が聞こえた。

「25分もレディを待たせるなんて失礼かも!待ってて、今開けるから!」

いやまず誰か確認しろよ、という突っ込みをする前に受話器を置く音が聞こえた。
しばらくして鍵が開く音とともにオートロックのドアが開いた。
それを確認し、中に入っていく。
そして玄関を開けた時、開口一番に言った。

「オマエ家具食ったりしてねェだろォなァ?」

「いくら私がたくさん食べるからってそれは失礼かも!?」

そんな事を言いながらビニール袋をリビングの机に置く。

「適当に食え、ただしコーヒーは飲むなよ」

と、ソファに転がる。
その言葉を聞き、歓喜に満ちた声でスナック菓子を勢い良く開ける。
そんな様子をチラッと見る。

「(“爆弾”はどンな状況で発動するンだ、そォいや一枚だけだがステイル…だっけな、あの赤髪ヤクザが落とした変な模様が書かれている紙を拾った、が)」

「(だがアイツ自身が厨二病って可能性があるからな、参考程度にしかなンねェな)」

そんな彼を見て、何かに気づいたのかインデックスが口を開く。

「ねぇねぇ」

「…あァ?」

「…お菓子食べたいの?」

「いらねェってファミレスでも言わなかったかァ?」

見当はずれの発言だった。
そんなインデックスに一つ溜め息を吐き、思考をもう一度広げなおす。




14:49

「(魔術、ね)」

「(脳に干渉しやすい位置としては頭蓋骨、首筋…そこらへんが目に入りづらいな)」

「(……チッ、だとしても俺がどうやってその“爆弾”を取り除くンだ)」

ややイライラし始める。
勿論表情や行動には表さない。

「(……、まァ解析するしかねェよな)」

「(防御結界、だっけな。)」

「(アレは解析出来そォにねェな、割とマジで異能の力を無効にするとかいうとンでも能力がねェ限り、無理なンじゃねェか?まァそンなのがいたら文句なしで超能力者だろォがな)」

そんな考えを一度やめて、再度視線をスナック菓子を頬張るインデックスに向ける。
そこには買ってきた水を飲むのが見えた。
四分の一程が喉を通った時、フローリングにペットボトルが落ちた。
それと少し間を置いてインデックスも机に崩れ落ちる。

一方通行はけだるそうに立ち上がる。
時計の長針は十一を回っていた。

「三時間後、だなァ」

と、虚空を眺め呟いた。




18:02

眼鏡を掛け、帽子を被った少女を背負った白い影が空を舞う。
向かう先は、第十学区に存在する特力研。
一方通行にとっては最悪の場所、廃墟としては最高の場所だった。

「(セキュリティは…もう機能してねェな。)」

「(まァ、だからこそここを選ンだがな、本当なら視界にすら入れたくねェが…ここ以外に都合のいい所がなかったからな)」

特例能力者多重調整技術研究所。

通称『特力研』。

多重能力者の研究・実験施設で、その不可能性はここで示された。
つまりその結論に至るまで延々と「失敗」を繰り返してきたということであり、
多くの子供たちが犠牲となった場所である。

そして一方通行が九歳まで放りこまれていた学校でもある。

敷地内に死体処分場が有ると噂されていたが、実際はそれ以上であった。

が、この施設は既に警備員<<アンチスキル>>が制圧・解体してあり、警備員の監視下を外れている。

今も少し、何かが腐った様な匂いが漂っているが、能力で一方通行は感じていない。

ガラスで出来た扉を能力を使用し、粉砕する。
舌打ちしながら粉砕したガラスを踏み砕く。

そこらにあった机に寝かせて、模様を探し始める。

「(首筋にはねェし、頭蓋骨なンてありえねェし…どォしたもンかね)」

彼の戦いが再び始まる。




その頃、神裂達は——。

「ステイル!どうして最大主教とコンタクトが取れないんですか!?」

「逆にこっちが聞きたいくらいだ!」

苛立った二つの声が屋上で響く。

「とりあえず私は先に言ってあの少年を足止めします、あなたはひたすら最大主教に呼び掛けながらなるべく早く来てください!」

世界に20人といない聖人が夕焼けで赤く染まる空を舞う。
その行方を見ずに最大主教と呼ばれる人物へコールし続ける。
どうやら神裂が向かった位置は何らかによって理解している様だ。

 `\
 (/o^)
 ( / 最大主教ゥゥゥゥゥゥ!!
 /く 


赤髪の神父が叫んだ。
つーかオマエふざけてんだろ

一方、神裂はビルからビルへ高速で飛び移り、一方通行の現在地点特力研へ急ぐ。

「……、あの少年は何をしようとしているんでしょう」

高速で移動しながら思考を始める。

一体どうやって救うというのか。
どんな手を使って。
どんな抜け道を使って。

しかし、魔術を使わない解決法など思い浮かぶ筈も無く思考をやめた。

「……なんですか、あれは。」

思わず神裂は呆然としてしまった。
何かが爆発するのが見えた。





「(記憶に関係してンだから頭に近い場所、首、頭蓋骨以外だとすりゃァ…つむじ…?いや直線的には——!)」

突如、頭に模様の位置が浮かび上がる。
そのインスピレーションを元に、丁寧に人差し指と中指を使ってインデックスの口を開く。

「(…これ、か)」

滅多に人に見られず、それ以上に人に触れさせない部分。
その赤黒い喉の奥に、まるでテレビの星占いで見かけるような不気味な模様がただ一文字、真っ黒に刻まれていた。

一方通行は躊躇せず、更にその口に手を突っ込んだ。
舌が指に触れる。
嫌いな感触だ、気味が悪い感覚を我慢しながら一気に指を押し込む。
ぬるり、とした感触を右手中指に感じるのと同時に。

バギン!と。
一方通行が口に入れていた手が放り出される。

「……あァ?」

怪訝そうな表情を浮かべる。
放り出された手を一回二回と振り、一度能力を確認する。
…問題ない。
なら一体何が起こったというんだ。
手に目をやっていた顔を上げる、そこには眠っていた筈のインデックスが目を開き、目を赤く光らせていたのだ。
だが、眼球の色ではない。
眼球の中に浮かぶ、血のように真っ赤な魔法陣の輝きだ。

「……、そォだよなァ」

「コイツが魔術が使えねェなンて前提そのものがおかしかったンだよなァ、なンで気付かなかったンだオレは」

「“爆弾”じゃなくても、絶対に敵を食いちぎる番犬を用意してもイインだからな」

インデックスの両目が輝きを増し、そして何かが爆発した。
ガラスが散り、書類が舞う。
当然一方通行は無傷。
目線の先には真っ赤に輝く瞳をした、無感情な機械となったインデックス。
一方通行は、ウォーミングアップを終え、スタートラインに立った。




「——警告、第三章第二節。Index-Librorum-Prohibitorum——禁書目録の『首輪』、第一結界への侵入を確認。現状、十万三千冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

一方通行は視線を離さない。
幽霊のような不気味な動きでインデックスがゆっくりと立ち上がる。

「——『書庫』内の十万三千冊により、防壁に侵入した魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見出来ず。術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術を組み上げます」

インデックスは、糸で操られる人形のように首を小さく曲げて。

「——侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み込みに成功しました。これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動、侵入者を破壊します」

凄まじい音を立てて、二つの魔法陣が一気に拡大した。

インデックスの顔の前には直径二メートルを超える魔法陣が二つ重なるように配置される。

それは眼球を中心に固定されているようで、インデックスが軽く首を動かすと空中に浮かぶ魔法陣もそれを追った。

インデックスが頭では理解出来ない何かを歌う。
再び爆発が起こった。
もう一方通行の脳内では何が起こっているかさっぱり分からなかった。

「(……もうこれわかンねェな)」

いつの間にか空間に亀裂が出来ていた。
それを直接見たら、何かが壊れてしまうような気がした。




「さァて、始めよォか暴食シスター。」

「オマエがヒロイン兼ラスボスなンてとンでもストーリーはここでぶっ壊してやる。」

そう言った瞬間、突如亀裂から光の柱が放たれた。
一方通行はそれを予知していたかの様に脚力のベクトルを操作し、右へ高速に移動して避ける。
先程いた場所は思い切りえぐりとられており、反射にもし失敗したら…と考えるとゾッとした。

「…脱出するのが最終目標なのになァンでこんな事になっちまうンかね、面倒くせェ。」

そう呟きながらポケットに入っていた携帯を何故か取り出し、数秒もしない内に文字を打ち、携帯を光の柱の中に放り投げた。
一秒も掛からない内に粉々に砕け散っていく。

「どォすっかね、術式…だっけな、そンなンを解析しねェといけねェのか?どうやってだよ、あンなふざけた威力のか〇はめ波なンて撃たれたら近付ける訳ねェだろ、最っ高にぶっ飛ンでやがる」

愚痴りながら方法を模索する、そこに。

「どうなっているんですか…この状況は…」

神裂が現れた。
壊されたドアから入ってきて目の前の事全てを信じられない、という表情を浮かべている。
そんな声が聞こえた瞬間あからさまに舌打ちをする。

「オイオイオイ、いくら学園都市最強でも飛車角落ちみたいなハンデありであンなンと戦える訳ねェだろォが、羽生神じゃねェンだよ。神様ってやつはどンだけオレの事が嫌いなンですかァ?」

「一応あなたよりは魔術について精通してるつもりなんですがね。それより、あなたは何をしたんですか?何故あの子が魔術を…」

「爆弾だよ、自動防衛機能っつゥ名目のな」

極めてうんざりした口調で答えた。




一部暴力シスターなんて書いちゃいました、インセンティブ契約さんファンの皆様申し訳ございません。

何故か思い浮かんだもの。

赤星「特定魔術『聖ジョージの聖域(43)』を発動、侵入者(久保、俊介、城島、ブラゼル、マートン)を破壊します。」


鳥谷「特定魔術『聖ショートの聖域』を発動、侵入者(金本)を破壊します。」

>>112
ショフト仕事しろ

なんで一方さんが触っただけでペンデックスが動くのかわからんな

話が進まねえからに決まってんだろバカが

一方通行が紋様をベクトル操作で毀損するなり、解析するなりで干渉したのを検出したんでしょ

>>114


首輪に触れたからだろ。

お前だって大事なとこ触られたら反応するだろ?

第一結界への侵入だからな
上条さんは全結界壊してる

>>1

面白いぜ続き期待してる!

あと一方禁書のあれなぞる形になっちゃうからさっさと終わらしたいんだろうな
正しい

お前らよく見ろ
上条さんの時と違って首輪は壊れてないみたいだ
このペンデックス登場はただの防衛反応だな

コミュニケーションと称して女子に触ったら家裁まで行くようなもんか

>>1
申し訳ありませんとかいいながら頑なですねw

>>112

ブラゼルと城島もレフトに入る模様

>>113

来年はメジャーだね(ニッコリ

>>114

>>115
>>116
>>117

>>115 >>116 >>117

補足ありがとうございます。

>>118

簡単に触っただけで壊されちゃたまったもんじゃないですしね。

>>119

そう言われると嬉しいです、ありがとうございます。

>>120

どうやっても一方禁書の方に近付いてしまいますからね。
一週間に一度は見てます

>>121

まぁ触れただけで発動するかなぁ、と
絶対にそんな所触らないし。
食べ物は知らないです

>>122

お!猥褻ゥー!

>>123

今更書いちゃった物をどうこうなんて出来ませんからねー



「……、癪だが質問するぞ。」

「あの如何にもヤバそォなのはなンだ」

魔術の知識はゼロ。
そういう点では神裂が来たのはプラスかもしれない。
そう考えながら質問する。

「……、あれは『竜王の吐息』——伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義の魔術です。いかなる力があるとはいえ、人の身でまともに取り合おうと考えないでください!」

その言葉を聞き一度舌打ちをする。
予想通り当たってしまったら取り返しのつかない事になるという事を確認した。
非常に近付きづらい。

「……対抗策がねェってのもイラつくもンだ、なァ!」

脚力のベクトルを操作し角度をつけて、一気にインデックスに近付く。
インデックスの顔がこちらを向き、光の柱がこちらを凪払う。

「当たらなけりゃァ…どォって事ねェンだよ!」

脚力のベクトルを操作して、一度地面を軽く蹴る。
弾丸のように飛び上がり、インデックスの頭上を超える。
あっという間に背後を取り叫ぶ。

「脳筋ババァ!!」

その瞬間、神裂の中で何かがブチンと切れた。

「私は…まだ…」

「十代だこのド素人があぁぁぁぁぁあぁ!!」

怒号を響かせ、七閃を放つ。
七本のワイヤーによる斬撃が、インデックスが立っていた場所を襲う。
床が抉れてインデックスが倒れる、光の柱が上空に放たれ壁から天井を破壊しつくした。
まだ深い赤が残る空の雲すら消し飛ばす、もしかしたら遥か上空にある衛星すら破壊したかもしれない。

そして倒れたインデックスを見て弾丸のように近付く。




しかし、それよりも早くインデックスの首がこちらを向く。

「チッ…!?」

光の柱が襲い掛かってくる。
突然の攻撃に動けない。
足を地面に擦らせ、動きを止めようとする。
このままでは衝突する。

「——Salvare000!!」

叫びとともに光の柱の進行が止まる。

「早く離れてください!長くは保ちません!」

その声を聞き、横へ咄嗟に転がる。
次の瞬間、元いた位置の地面が抉れた。
二人はインデックスを挟み、向かい合う。

「ハッ、なかなかやるじゃねェか」

「一応私はイギリス内では10の指に入る魔術師なので当然です、…そういえばあなたの名前を聞いていませんでしたね」

「一方通行って書いてアクセラレータだ、二度も言わねェからこの一度で覚えておくンだな」

先程より圧力を強める。
インデックスがまず狙ったのは、

「——警告、第六章十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。現状、最も危険度の高い正体不明の人物の破壊を最優先します」

一方通行だ。

「いいぜいいぜェ、もォちょっとで何か掴めそォだから、そっちの方が都合がいいンでなァ!」

再び、インデックスに脚力のベクトルを操作して高速で近付く。
今度は突然の攻撃に対応出来るよう細かく足を地面に付けていた。
一方通行に気を取られているインデックスに神裂が奇襲を掛ける。

「ッ!!」

次の瞬間、一瞬でインデックスに近付き、死角から正確に『首輪』を狙った一撃を放つ。




しかし、死角から正確に放った筈の一撃を、まるで見越していたかのようにインデックスは神裂へ首を回した。

「く…っ!?」

衝突する。

「神裂ィ!!」

一方通行が叫ぶ。
今から助けに風を使おうが脚力を使おうが、間に合わない。
そう思った瞬間。

「魔女狩りの王<<イノケンティウス>>!!」

聞き覚えのある声とともに、神裂の前で炎が渦を巻いた。
人の形を取る巨大な火炎は、両手を広げて真正面から『光の柱』の盾となる。
まるで、罪から人を守る十字架の意味そのままに。

「ステイル!」

「イイ役割してンじゃねェか、魔術師さンよォ!!」

裂けた笑みを見せながら、瞬く間に右手でインデックスの『首輪』に触れる。

「(解析…開始!)」

そこで解析した物は、彼を価値観を根本的に変えた。

「オイオイ、なンだよこれはァ…」

「オレのルールを簡単にぶっ壊してきやがってよォ!オカルトナメてたぜェ!!」

しかし、そこへ声が響く。

「——上です!」




神裂の言う通り頭上を見上げる。
そこには、雪のように舞い散る光り輝く羽が降ってきていた。
避ける間もなく、彼の背中に落ちた。

「っぐ、ァ…?」

痛みを感じる。
いつぶりの感触だろうか、数年前に木原くンにぶんなぐられた時?
そんな事を考えながらゆっくりと、地に沈んだ。

「一方通行ッ!!」

再び叫びが聞こえるものの、身体が思うように動かない。
イノケンティウスも押されているように見える。

焦りや不安が混じった声が聞こえる。

助けようにも、身体が動かない。

「(どォ…なって、やがンだ…)」

意識が朦朧とする。
口から血が沸く。
眠ってしまおうか、そんな事を考えた。




「(眠る…訳ねェだろォが…)」

一つ拳を地面に叩き付ける。
だがそれだけ、身体が動かないのは変わらない。

「(クソが…ガキ一人救えねェ程、オレの力は…つまンねェ物だったのかよ…)」

どこからか流れてくる血が目に入り、視界を邪魔する。
神裂やステイルの動きがスローに見えていた。

「——警告、第二二章第一節。炎の魔術の術式を逆算に成功しました。曲解した十字教の教義をルーンにより記述したものと判明。対十字教用の術式を組み込み中……第一式、第二式、第三式。命名、『神よ、何故私を見捨てたのですか』完全発動まで十六秒」

『光の柱』の色が純白から血のように赤い深紅へと変化していく。
イノケンティウスが光の柱に押されていく。
あと一つ、パズルのピースが足りない。
最後のピースを見つける為に、全てを捨てる。
ほんのわずか今解析したルールから、今まで自分の中で邪魔していたルールを全て。

「(認め、ねェ。最強を…ナメンjwtq)」

思考がバグる。
ゆっくりと、ゆっくりと立ち上がる。

「ァァァあああああああああああああッ!!」

一方通行は叫ぶ。
背中の片側から黒い翼のような何かが噴射された。

「あれは…天使の力<<テレズマ>>…!?」

非常に驚いた声を上げる。
それはそうだろう、科学の街でそんな力を目にする事自体が異常だった。

「hzo除tyfq」

右手を開いたまま前へ突き出し、ゆっくりと閉じる。
轟音が響いた。

「———警、こく。最終……章。第、零——……。『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消」

ブツン、とインデックスの口から全ての声が消えた。
光の柱も消え、魔法陣もなくなり、建物内に走った亀裂が消しゴムで消すように消えていった。
それと同時に黒い翼が消え、前のめりに倒れた。









その時、一方通行の頭上に一枚の光の羽が舞い降りようとしていた。

それ以外にも十数枚の羽が一方通行を、襲おうとしていた。









そこに銃声が何発も響いた。




全ての羽根と銃弾が衝突した。



「あーあーあーあー、携帯簡単にぶっ壊しやがって、メール返せなかったじゃねえか」

柄が良いんだか悪いんだか分からない声が響く。
神裂は混乱した頭で声の主を見ると、刺青と白衣という全く合わない格好の男がいた。

「……キミは誰だい?」

「そこのもやしの保護者だ、つーかどうなってんだこれ、科学の街って一体なんだったっけなー、ったく。」

適当な調子でステイルの質問に答えながら、恐ろしい程の爪痕を残された特力研の壁や天井を見渡す。

「早く回収しろ、ヤツらにバレる」

変わらない調子で呟くと、どこからともなく数人が駆け足で外から担架を持ってきた。

「な、なにを…!?」

インデックスに近付く、その集団に対して怪訝そうな声を上げる。

「あー?てめーらはとっとと散った散った、治療が必要なのはコイツらだからな」

「でも、その子は…インデックスは…」

今にも泣き出しそうな表情の神裂を宥めるように、ステイルが言った。

「神裂、ここは引こう。ボク達は合法的に拘束される事はしてるんだ、それに無理矢理イギリスに連れ帰ってもあの子が駄々をこねるだけだ」

「——そう、ですね」

と、大人しく彼女らは特力研の壊れたドアから出て行った。
それを見送り、一度倒れている一方通行を見て、木原くンは呟く。

「……成長しやがって」

誰にも気付かれないように小さく、小さく。




木 原 く ン 大 勝 利

早くギャグパートに戻りたいです。
シリアスとかは書きやすいけど何か自分が変な感じになっちゃいます。


あまりの放置っぷりにそろそろ妹達と天井くん泣き出すんでね?w

実験が始まってない段階で天井クンは錯乱してるからきっと大丈夫

木原くン…

カッコいィィィィ!惚れちゃいそー だぜ!

まさかの展開に全俺が泣いた

木原くンおいしい所を持ってっちゃって、このー!最高ォー!

羽に銃弾って効くん?

>>139
とっても軽いから問題無いんだよ

>>139
いろいろなんやかんや加工された銃なんだろう多分

あーあれだ熱膨張だよ

ほら、木原神拳的なアレだよ

>>139
銃弾効かなかったら羽根が遥か地中を掘り進むだろうが
何か物体に当たった時点で効果発動&消滅するんだろ

弾丸が物凄くねっちょりしてたんだよ

おつおつ

あまたんカッコいい!惚れるぜ!

>>135

ここからは魔術さんサイドから科学さんサイドの解決の旅です、はい。

>>136

経費的なアレがアレなんですよね。

>>137

こういう所で木原くンを出してみたかったんです。

>>138

流石木原くン!

>>139

>>144

頭に当たってそのまま頭蓋貫通とはいかなかったのでこう考えました。

>>140

なら仕方ないね!

>>141

魔術にすら対応する木原くン!そこに痺れる、憧れるゥ!

>>142

熱膨張か、なら仕方ないな。

>>143

木原神拳の万能さに全木原が泣いた

>>144

補足ありがとうございます。

>>145

意外と危険に感じるでござる。

>>146

木原くンはみんなの嫁




朝になった。
時計の短針は九を指す。

窓から光が入る。

眩しい。





「——きろ」

……あァ?
うっせェな、人が寝てンだから黙っとけよ。

「起き——」

まだ寝させてくれよ…今日は柄にもなく疲れてンだよ。

「——きて、あくせら——」

うるせェな、日曜日…じゃねェけど寝かせてくれよ。
キャッチボールくらい後でやってやるから。
多分。

「——一方通行。」

「——あくせられーた!」

「起きろっつってんだろクソガキ!!」

「うるせェぞインテリヤクザァァァァァァ!!」




とりあえず起き上がって、力任せ(能力任せ)に声がした方向に腕を振り抜く。

「ぐっふぁ!?」

呻き声を上げて、声の主が倒れた気がした。

「な、なんてことするかな!?」

「あァ?どうしたクソシスター」

「イ!ン!デ!ッ!ク!ス!なんだよ!」

「つゥか何だ、その、まだお前帰ってなかったのか」

「帰ってほしかったのかな!?」

「すっげェ帰ってほしかったです、今からでも間に合うから帰れ」

「むきーーっ!!」

怒っているインデックスに目も向けず、殴り倒した人影をちらっと見る。

「……なァンで木原くンは地面に這いつくばってンだァ?」

「……あくせられーたが殴ったんだよ」

「つゥかここどこだよ」

周りを見渡す。
白い小綺麗な少し大きな部屋、ベッドが一つ。
一方通行が寝ているベッドから右を見るとドアがあり

「どう見てもここは病室だよ?」

「……、そォいう問題じゃねェよ。つゥか倒れた後の記憶ねェし。」

「私も水飲んだ後の記憶がないんだよ」

それは俺だ、と言おうとしたがやっぱりやめた。




「あー、いててて、せっかく助けてやったのにそれはねぇんじゃないの」

起き上がった木原くンを見て露骨に舌打ちをする。

「あ、やべェ、仕留め損ねたか」

「おい、助けたの俺だぞ、マジでそろそろ泣くぞ」

「木原くンの泣き顔なンて誰に需要があるンだよ、ぶン殴りたくなるだけだろォが」

「ぶっ殺されてぇのかさっきからてめぇはぁぁぁぁぁ!?」

「おー怖ェ怖ェ、血圧の上がりすぎに気をつけろよ」

と、言いながら立ち上がろうとすると足がフラついた。

「……おォ?なンでこンなに愉快な事になってンだ俺の身体は」

「逆に聞きてぇよ、絶対無敵の反射を持っててどーして背中に一発喰らってんのか」

昨日の事を思い出す。
確か、背中に一つ羽がぶつかった。

「……ハッ、第一位が科学を完全否定かよ」

「何言ってんだお前、ついに頭いじりすぎてイカれたか」

「ねェねェ木原くン、こンな状態でも思いっ切りぶン殴る事くらい出来るンだ」

急に機嫌を悪くして、もう一度ベッドに転がる。

「カーテン閉めとけ、寝る」

「……私はどうすればいいのかな?」

一方通行はその言葉に一瞬考えながら、口を開いた。

「……、どォせ行く所ねェだろ。動けるよォになったらあてがある、ついでに飯食いにいくぞ。」

その瞬間、目に取れる程表情が明るくなったのを見て、目を閉じた。




「……」

一方通行は目を覚ました。
時計の針は三を指しているのが見えた。
インデックスは涎を垂らしながらベッドに伏せていた。

「おい起きろインデックス」

「う〜ん…もう食べられないんだよ…」

と、むにゃむにゃと寝言を流す。
ブレねェなこいつ、と呟いてベッドの近くにあった杖を手に取り、インデックスを起こさないよう、ゆっくりとドアを開けて外に出た。

「(そォいやあの暴食シスターには名前名乗ってなかったンだが、どォせ木原くンのせいだけどよォ)」

「(あ、やべェ)」

何かを思い出したように立ち止まる。

「変装してねェとか死亡フラグ立ってンじゃねェか」

そう呟き、木原くンに連絡をしようとポケットに手を突っ込む。
そしてまた何かに気付く。

「(あ、携帯ぶっ壊してンじゃねェか。なンてこったい)」

次々と建築される死亡フラグ、明らかに嫌な予感しかしない。

「(まずは変装だよなァ、帽子とメガネ…いや鬘とカラコンでもイイか)」

とりあえず、病院の売店に入る。
一応財布はポケットに入っていた、久しぶりに木原くンに感謝した気がした。




「(何故か千〇ロッテの帽子があったから、これで代用するとして眼鏡がねェな、伊達メガネでいいのによォ。)」

品揃えに心の内で文句を言いながらレジに向かおうとする、何故か足が止まる。
彼の視線の先には。

「(しし、っし、妹達ゥゥゥゥ!?なンだってこンな場所にいやがるンだクソが!)」

常盤台と呼ばれる中学の制服を身に包んでいる少女、嫌という程見た後ろ姿、まぁ追われてる側だが。
なるべく視界に入らないように移動する。

「(見つかりたくねェ…逃げンのが面倒だし、しかも昼だから視界良すぎるからなァ…)」

「……、アンタ何隠れてんのよ」

「(見つかったァァァァァァ!!)」

その怪しい挙動が完全にアウトだった。
その少女はこちらを見てキョトンとしている。

「(……、あァ?どォいう事だ、妹達の事だからいきなりサブマシンガン取り出して射撃してくるかと思ったが)」

顎に手をあて考える。

「……聞いてんの?」

考えた末に最悪の結論に達する。

「(あ…)」

「オリジナルかよォォォォォォ!?」

御坂美琴、最悪の状態で最悪の人物に会ってしまった。
その叫び声にビクッとして、何の話だと言わんばかりでこちらを凝視してくる。




「何言ってんのアンタ」

「いやなンでもないンで」

「そんな筈無いでしょ!?」

「マジでなンもねェから黙ってて超電磁砲<<レールガン>>さン」

明らかに視線を明後日の方向へ外す。
そんな一方通行を見て静電気をパチパチと発生させる。

「……一応言っとくがここ病院だからな、電撃なンて撃ったら酷ェ事になるぞ」

ハッとして電撃を引っ込める、器用な物だと一方通行は思った。
そして御坂美琴がこちらの顔をジロジロ見てくる。
何かを思い出したかの様に声を上げる。

「……学園都市第一位一方通行!?」

「いや違うンですマジで反射とかそンな反則能力使えないンで、人違いっすよ勘弁してくださいマジで、つゥかお客さンがそこにいられると迷惑だっつゥオーラ放ってますからどいてください」

あ、と間抜けな声を上げ顔を真っ赤にして売店の外に出る。
結局なんだったんだろうか。

「(はァ…すっげェ面倒くせェ)」

ついでにお菓子を買った。
勿論自分が食べる訳じゃなくインデックスの為に買った物だ。

「(さて、どォすっ——)」

外に出た時、何かを感じた。
嫌な予感的なあれだ。

「……、どォ考えてもオマエは身体に問題なさそォに見えるンだけどなァ」

視線の先には先程の少女、御坂美琴が立っていた。




うわああああああ無計画で御坂さンと出会わせてしまったああああああああ


おいwwwwwwwwww

まさかのノープラン

ノープランワロタwwwwwwww

これから一緒に研究所潰しに行くんですねわかります

っく、こうなったらプランBだ、お前ら!

乙!

御坂さンは実験のことを知っているのか否か、そして実験は続行されているのか、それが問題だ

期待。
なんか可愛い文体だな。

>>160
ああ?ねェよンなもン

>>159
いたちごっこはせんでよろしい><

ノープランなら夢オチでもいいのよ

>>160
プランD 所謂ピンチですね

まさかのノープランww
腹痛いwwww

お も し ろ く な っ て き た w w w

インストアイベントさん可愛いよ!

ここの木原くンはイケメンだな。
良い人なだけじゃない木原くンなんて新鮮だぜ!

>>156

やっちまったです

>>157

どうしてこうなった

>>158

ま、まぁいつも基本ノープランだから別にいいよね!

>>159

ネタバレ:木原くンかっこいい

>>160

応!

>>161

ありがとうございますー

>>162

設定上では一方通行さンは誰もまだ殺ってません

>>163

ありがとうございますー
その文を支離滅裂とも言うんだ

>>164

用意しとけよぉぉぉぉ!!手詰まりじゃねーかぁぁぁぁぁ!!

>>165

それは本当になんも無くなったら、です
でも多分やりません

>>166

それを無策と呼ぶ

>>167

どうしてこうなった?
一番最初はイングランドさんも出てこないで、少しの間ほのぼのして旅立つつもりだったのにどうしてこうなった?

>>168

こっちは絶望的だよぉぉぉぉ!!

>>169

インストラクターさんだろ!いい加減にしろ!

>>170

こういう木原くンが書きたかったんです



その言葉を聞いて再び静電気を発生させる。

「御坂さァン!?まだ病院内なンですけどォ!?」

学園都市最強が吼える、至極まともな事で。
彼は結構普通の常識人なのだ、多分、……多分。

思わずあっ、と間の抜けた声を上げる美琴。

「……はァ、オマエがこの中にいると他人様の迷惑にしかならねェ、外に出るぞ。」

明らかにわざとらしい溜め息をつき、とりあえずここから離れる事を促し、出口へ向かっていく。

美琴はその姿を見て数秒間止まっていたが、すぐに駆け足で追い掛けていった。




彼らは外にあった適当なベンチに腰を掛けていた。
いや掛けているのは一方通行のみだが。

「でェ、病人に電撃放とうとしてる鬼畜な第三位さンは、こンな明らかに押しただけで倒れそォなもやしに何の用があるンですかァ?」

「それ自分で言ってて傷付かない?」

「すっげェ心折れそォになった」

開幕からガンガン自虐ネタを挟んでいく一方通行。
もう半ばやけくそである、>>1も含めて。
そこから美琴は一呼吸置いて本題を切り出した。

「……早速だけどさ、さっきのオリジナル、ってどういう意味よ」

「(うわァァァァァァ!!地雷じゃねェか!なンでそンなピンポイントに核心突いてンですかァ!?オマエはコ〇ンくンか!?)」

「人違いだっただけだ」キリッ

渾身のキメ顔、内心バックバクである。

「ふーん、ならいいけど」

「(……セーフ!助かったぜェ、木原くンありがとう、なンかよくわからんが木原くンありがとう)」

何とかごまかせたか……。
そう感じ息を吐く、が。

「私、変な噂聞いてるのよねぇ」

一方通行の返答を待たずにそのまま続ける。

「私のDNAマップを使った体細胞クローンを街中で見た、って」

「……それも一件なんかじゃない、それどころか複数体以上で見たっていうのも聞いたわ」

一方通行の首筋に嫌な汗が垂れる。

「そしてアンタは私の事をオリジナル、と呼んだ。」

汗が止まらない。
気温は反射してる筈なのにやや蒸し暑く感じる。

「アンタ、何らかで私のクローンと関わってるでしょ」




「(コナンくンやべェ、ピカチュウみたいなコナンくンやべェ。)」

「(つゥかなンでこンな最悪のタイミングなンだよ、あっちはケガしてねェのに病院に来る、こっちは基本無敵なのに負傷する、これが同時期に起こるなンて偶然が重なりまくるってレベルじゃねェぞ)」

「(別にここで叩き潰してもイインだが、いきなり名も知らないさすらいのウニ頭が俺の事ボッコボコにぶン殴ってきそォで嫌だわ)」

別次元の自分の電波が流れるものの、それを振り払う。
何とか言い逃れる方法を考える。

「(……事情まとめて話しちまうかァ?いやコイツ多分話の途中でとちくるって俺なンもしてねェのに許さないとか言ってきそォだからな、どォすりゃイインだよ)」

「……答えないなら肯定とみなすわよ」

前髪からバチッ、と何かが弾けるような音が聞こえる。

「(あァ…面倒くせェ…、なァンで格下に脅されてンだよオレ)」

色々考えた上で口を開く。

「つゥかよォ、関わってるからなンなンですかァ?」

美琴の表情が先程とは変わる、警戒している表情に。

「……まァ、イイか。答えてあげるのが世の情けだ。」

「率直に言えばオマエのクローンの数は20000だ。」

その言葉を聞いた途端、目から光が消えたような気がした。

「……返事無しでも続けるぞ、詳しく説明すると長くなるからサクッと割愛するけどなァ。」

「元々オレは250年通常のカリキュラムをこなす事で、絶対能力に進化する事が出来る、だが250年なンて悠長にやってらンねェって事で保留になった」

「次に研究者どもが考えたのは超電磁砲……つまりオマエを128回殺害させて絶対能力へ進化させる事だ」

「で、128人も用意出来る訳もねェから20000人のクローンを20000通りの戦場で殺害させる事で絶対能力へ進化させよう、ってなったって訳だ。」

一気に休まずに喋りきる。
おぞましい量の情報が頭に入り、放心状態になる。
そんな彼女に目もくれず続けようとする。

「まァこの実——」

「ふっざけんじゃないわよ!!」




叫びとともに電撃の槍が一方通行を襲う。
それを能力を使用して上空へと逸らす。

「(なにこの予想通りの展開、やだ面倒くせェ)」

バチバチバチ!!と先程より強い電撃が走る。

「(言わなきゃ良かったよなァ、これ完全に)」

溜め息をついて立ち上がり身構える。
説明に関しては勝手に先走って戦闘体勢に入っている為、もう面倒になりやめた。

「(そォいやここ病院近……あァ?)」

周りに配慮しようとした途端、視界に目の前の少女と瓜二つの影が映った。

「(本命きたァァァァァァ!!すっげェ今逃げてェ!つゥかここから早く逃げてメガネとか色々買いてェ!!)」

そう、見えた人影はクローン体。
当然焦る、目の前の電気能力者は別にいいが、妹達に見つかるとミサカネットワークと呼ばれる脳波で今一方通行を何処で目撃した、という事を妹達全員に知らせる事になる。
それだけは何としてでも避けねばならない。

「(やべェ、どォしよ)」

「(コイツがでけェ音たてたら確実に視線がこっちに向く、なら…)」

「(先手必勝で逃亡に決まってンだろ!)」

脚力のベクトルを操り、病院の出口に向かって高速で向かう。

美琴はその行動に一瞬唖然としたが、ハッとして叫ぶ。

「待ちなさい一方通行ぁぁぁぁぁ!!」

「(あのバカ野郎がァァァァァァ!!なンで叫ぶンだよ他人様の迷惑だろォがァァァァァァ!!つゥかあの鬼畜クローンはどォなった!?)」

心の内で延々愚痴る。
そして後方をチラッと見ると、クローン体がサブマシンガンを取り出すのが見えた。

「(アウトじゃねェかァァァァァァ!!超電磁砲に目を付けられて妹達に見つかって暴食シスター置いてくるなンざショートゴロ三重殺で一気にスリーアウトだろォがァァァァァァ!!)」




————————

1:【20000対1の】一方通行捜索隊【鬼ごっこ】64(627)
2:俺らの(無関心)ってデフォだよな(122)
3:みさかちゃんねる終わったな(63)
4:すごいツンツン頭見つけたんだが(218)









627 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka12056

久 し ぶ り に セ ロ リ 見 つ け た

628 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka18251

>>627

マジかよ
何処だし、俺のライフルが火を噴くぜ

629 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka11041

うpはよ

630 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka12056

第七学区の病院、あのカエル顔のいるあれな
ついでに何故かお姉様が一方通行ぁぁぁぁぁ!!ってすごい勢いで叫んでた
なにあれこわい

631 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka12056

>>629

うpは無い、すまぬ

632 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka12963

>>630

お姉様の撮っとけよおおおおおお
後で記憶共有な

633 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka05209

  奇跡のカーニバル

  開  幕  だ
 n  ___  n
 || /___\ ||
 || |(゚) (゚)| ||
「「「| \ ̄ ̄ ̄/ 「「「|
「 ̄|   ̄冂 ̄  「 ̄|
`ヽ |/ ̄| ̄| ̄\| ノ





32 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka12056

一瞬で一スレ消費とかワロスwwwwwwwww
とりあえず今は第七学区のよくスキルアウトがいる路地裏に逃げ込んだぞ

33 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka02114

あそこか、道が複雑だから出口ふさいどくか

34 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka10209

これは捕まえたろ
風呂入ってくる

35 :VIPにかわりましてミサカがお送りします:ID:misaka19611

>>34

嫌なフラグたてんなwwwww


————

————————

————————————




「(やっべェ…、一番入っちゃいけねェ所じゃねェかここ…)」

そう、ここは第七学区の裏路地。
入り組んだ道だが出口を塞がれたら逃げ場は無い、あるとすれば空。

更に面倒なのは今の状態。
杖がないと面倒な事に体幹のバランスが取れずにふらついてしまう事。
今飛んでしまうとどこにどう飛ぶか分からない。
背中の痛みで思わずその場に座り込んでしまう。

「(超電磁砲も追ってきてる可能性もある、どォする)」

「(せめて木原くンと連絡が取れれば…)」

「(……チッ、少しは強引に行かなきゃならねェのか?)」

そんな事を考えながら壁にもたれ、うなだれる。
諦めかけていた所に、

「おい、お前大丈夫か!?」

その時声が聞こえた。

「……あァ?」

立っていたのは金髪のチンピラにしか見えない男だ。

「ここらへんは無能力者狩りが酷いから気を付けておいた方がいいぞ」

「……オマエ、スキルアウトか」

「……?」

金髪チンピラが怪訝そうな表情を浮かべる。

「ここの路地裏から道路を使わずに出てェンだが、それか近くにあるオマエらのアジトでイイ」

「何言ってんだお前いきなり…」

「早くしろ、こっちには時間がねェ」

その言葉に一瞬間を置いたが、すぐに答える。

「ちょっとリーダーに電話していいか?」

「……チッ、確認ならなるべく早くしろ、下手するとオマエも殺されるぞ」




いよいよ回収出来ないフラグを建てにいきました
どうすんねん!早くギャグパートに戻れよ!戻ってくれよ!


乙!
なんかわくわくする

風呂上がると逆転されてるのってなんでなんだろうね
ちなこい
この時点じゃまだ2万体全部は作られてないんじゃ?

>>180
くそワロタwww
もういけるとこまでいっちゃいなよ

ここでまさかの浜面登場wwwwww

はーまずらぁ

いいぞもっとやれ



でもノープラン、ハイリスク、ノーリターンこそ人生の醍醐味だろうが!

俺はイヤだけどね

相変わらず御坂さンは人の話を最後までききませンねェ

乙ー

この勢いでていとくンやむぎのんにも会いそうだなww

なんという風呂敷の広げっぷり
>>1にはこれをすべて綺麗に畳む自信があるというのか……ゴクリ

他のLv5がどんな感じで出てくるのかも楽しみだ

>>180
おかしい、俺にはこの展開がギャグにしか見えないのだが……

ミサカと駒場さんじゃ相性最悪だな

おつおつ

先が読めなくて楽しいですw

>>1の荒ぶりっぷりがたまらんなww
次回も待ってる

>>181

ありがとうございますー。

>>182

広島は中継ぎがアレですからね。
かなC
そこらへんはさじ加減で…。
完全に忘れてただけです。

>>183

どこまでいっちゃうんでしょう。

>>184

どうしてこうなった。

>>185

もう半ばやけくそです。

>>186

そうか、そうだよね!

>>187

話を聞かない枠だから仕方ないです。

>>188

フラグ…?

>>189

ハードル高すぎてくぐれそうです…。
それ以上あれのあれをするのはやめてくれよ…。

>>190

しーっ

>>191

ですよねー。

>>192

自分もお先真っ暗です。
どうしてこうなった。

>>193

ありがとうございますー。
もうどうすりゃええねん…。



「な、何言ってるんだ?」

「イイから早くしろ」

急かされながら携帯を取り出し、リーダーと呼ばれる人物に電話をかける。
2コールした時に電話に出た。

「あ、駒場のリーダー……え?すぐに戻れ?」

「L-9地点で立つのもキツそうな奴がいるからそっちに連れて行っていいか?」

「……え?武装した女の子の集団?そんなのが近くにいるのか!?」

「ならすぐにこいつを連れてそっちに行く」

会話を切り、携帯をしまう。

「……どォなった」

「大丈夫だ、それより武装集団が周りを彷徨いてるらしい」

「だから抜け道があるか聞いたンだろォが」

あ、そうかと納得した表情になった。

「それより立てるか?」

「走れるかって言われたら微妙だが歩くぐらいは出来る」

と、足取りをふらつかせながら立ち上がる。

「で、どっから脱出するつもりなンだよ」




「結構考えたんだけど、ここしかないんだよなぁ」

チラッと見た先にはマンホールが見える。

「……下水道か、確かにそこしかねェな」

そう呟きながら安定しない足取りでマンホールへと近付く。

「よっと」という声とともに蓋を簡単に持ち上げた。

「……いいのか?」

「どの道ここで脱出しねェと死ぬぞ」

簡単に言い放ち、下水道に入っていく。
それに金髪の男もすぐに着いていった。

「そういえば名前聞いてなかったな、俺の名前は浜面仕上、お前は?」

「……一方通行だ、つゥかマンホールの蓋閉めてきたのか?」

その言葉を聞き、顔を青ざめさせた浜面。
そんな彼をみて舌打ちをした。

「……まァイイ、とっとと出るぞ、後二分歩けば出入り口から離れた場所に出れる」

「そ、そうか」

「あ、そォだ携帯貸してくれねェか」

「え?」

「知り合いと連絡取りてェンだよ」

「お前の携帯は?」

「昨日お亡くなりになったばかりだ」

「なら仕方ないか、ほれ携帯」

ポケットから雑に出し、適当に放り投げる。
それを右手でキャッチし、文字を打ちはじめる。
どうやらメールのようだ。




「返す」

と、単調の言葉とともに浜面の携帯だが放り投げる。

「なんて連絡したんだ?」

「ガキを家に連れ帰っておけってくらいで他にはねェよ」

本当はもう少し詳細なのだが、面倒なので結論だけ話す。

「……ここでイイ」

「こんな所でいいのか?」

「ここらへんは人通りも少ないからここでイインだ、それに俺達が入ってきた所から追い掛けられちまったらアウトだからなァ」

それもそうだな、と梯子を登っていく。




「ふぅ……ってくさっ!やっぱ下水道に入ったんだもんなな……」

自分の服の匂いを嗅ぎ、悶絶する。
相当強烈だったらしく激しく咽せている。

「じっとしてろ」

と、言いながら浜面に手を当てる。
次の瞬間、浜面から匂いは消えていた。

「おっ、匂いが消えた。お前能力者だったのか?」

「一応だ、そンなことより早く離れるぞ。」

「もう外に出たから問題ないんじゃ…」

「逃げた跡を見れば気付かれた、って思って何かしらの口封じにでも来るンじゃねェのか。」

「(というより俺を追ってくるだけだが)」

と、適当な理由でごまかす。
浜面もそれもそうか、と納得した形で先導する。

「お、ここだ。」

と言った目線の先には廃ビルの一棟があった。
その中に躊躇無く入る。

「そォいやここにメガネとかそォいった姿を隠せるものはねェか?」

「メガネだったらあったな、落ちてたから工具箱に入れておいたやつが」

しばらく進み、止まったエスカレーターを登り、二階に上がる。
すぐそこのフロアには大きな人影があった。
遠目から見ても自分より大きい事が分かる。

「駒場のリーダー!」

「……浜面か」




駒場と呼ばれる男は顔に似合わず陰鬱な、コピー用紙を吐き出すような口調だった。

「……そいつは、」

「あぁ、こいつはさっき電話で話したろ?一方通行、って言うらしい」

「……そうか、何も無いがゆっくりしていけ」

「あ、そうだ駒場のリーダー話があるんだが———。」

と、言いながら浜面達はフロアを移動していく。
大事な話なのだろう。

「(はァ…メガネ借りて夜になったらとっとと帰るか)」

と、フロアの端にあるベンチに腰を掛ける。
夜という理由はやはり視界が暗く、空に飛んでもあまり目立たないというのがあるだろう。

「(あ、やべェ、ビニール袋持ってきてねェ…つゥかシスターに餌やりしてねェ、絶対噛まれるだろ、噛まれた事ねェけど噛まれると思う)」

そんな事を考えていると、向こうからメガネ片手に浜面が走ってきた。

「メガネあったぞ、少し汚れてるけど勘弁な」

「汚れくらい落とせるから問題ねェ」

と、手に取り能力を公使し汚れを一瞬で落とした。

「その能力便利だな、レベルは?」

「身体に触れた有害物質を反射出来るってだけだ、レベルは3だな」

と、極めて適当な説明をする。
「ふーん、あ、ここは好きに使っていいしいつ帰ってもいいからな?」

と、言い浜面はその場から去っていった。




時刻は夜八時、いい感じに暗くなってきた所である。

「(やっぱ木村対間柴が一番熱いよなァ…)」

彼は漫画を読んでいた。
退屈になり、何か無いかと探していた所、倉庫のような所を発見したのである。

中には数え切れない程の漫画があり、その中から適当に掴み取り先程案内されたフロアに持ってきていた。

「(そろそろ帰るか)」

と、立ち上がった時。

「一方通行!まだいるか!?いたら助けてくれ!」

浜面の声が聞こえた。
“助けてくれ”?一体何があったんだ。
そう考えながらまだ多少傷む身体を気にせず、入り口へと歩いていく。
一方通行の顔が見えた途端、切羽詰まっている様子で声を上げる。

「駒場のリーダーが……!」

「落ち着け、詳しく状況を説明しろ」

と、その様子を見て少々表情が真剣になった。

「第二位と名乗ってる俺達を襲ってきたんだ!!何とか駒場のリーダーが俺達を逃がしてくれたんだが、駒場のリーダーだけそこに残って……」

「でェ?なンでレベル3の俺を呼ぶ事になったンだよ」

「それが一方通行を呼んでくれれば勝機はある、って…」

その言葉を聞き、思考を働かせる。

「(元々アイツはオレの事を誰だか分かっていた、って所か。それに第二位、何故超能力者がスキルアウトなンかを襲うンだァ?)」

「(……学園都市の闇ってやつか)」

と、自己完結して浜面に尋ねる。

「場所は何処だ?」

「俺がお前を見つけた所だ、あいつは正直…格が違った」

「十分だ」

そう言い放ち、浜面に目も触れずすれ違う。

「お前…」

「一つ言っておくが、オレは借りを返すだけだ。アイツが先に死ンでいても俺を恨むな」

浜面が何か言おうとしたのを紡ぎ、脚力のベクトルを操り白き最強が空を舞う。




「(第二位がいるって事は妹達はもォいねェって事か?まァ、そォ考えるのが普通だな)」

そう考えながら、廃ビルを一つ二つと飛び越えていく。

「(……ここか)」

ビルから飛び降りて着地する。
近くには翼が生えた男と地面に突っ伏している男が見えた、あれは駒場だろう。

「あ?」

翼が生えた男がこちらに顔を向ける。
駒場と思わしき人物もこちらへゆっくり顔を向ける。

「お取り込み中悪ィンだけどよォ、そっちのゴリラもどきを助けてくれって言われちまったンだわ。」

気だるそうな動作を見せながらゆっくりと近付く。

「どンな理由でそいつを殺すのかは知らねェ、だが」

「とっとと倒させてもらう」

「いきなり出て来てナメてやがるな。よほど愉快な死体になりてえとみえる。」

二人の超能力者が睨み合う。
両者がいつ飛び出すか分からない、まさに一触即発だった。




おしまいです

展開めちゃくちゃじゃねーか
終身名誉地雷中後とはなんだったのか



次回も期待


中後とオリックス中後は別人

>>204
あれだよ
浜面は気が動転してて
変なこと言ってしまったんだよ

第二位と名乗る浜面達を襲う駒場ワロタ

超展開ワロタwww

まずい…ついていけない…なんて超展開


全ては御坂さンから始まった

乙。
良いと思うよ!みことちゃんも気になるけど

上位個体と出会ってないのにセロリ呼ばわりされる一方さんかわいそうです;;

確か駒場さんも一方さんもロリコンだったような
どうりで仲がいいはずだよ

>>203

ありがとうございますー。

>>206

なんであんなに右に強いんでしょうかね。

>>207

なら仕方ないですね……


>>208

もうやめて!>>1のライフは0よ!

>>209

どうしてこうなった。

>>210

発端の御坂さンが空気っていう

>>211

ありがとうございますー。

>>212

将来有望ってことだ言わせんな恥ずかしい

>>213

そうか、長年の悩みが晴れた気がする。



「自己紹介でもしておこうか」

不敵に笑いながら一方通行を見つめる。

「俺は垣根帝督、第二位の未元物質<<ダークマター>>だ」

突然彼の背中から六枚の翼が現れた。
それを見た一方通行は眉をひそめる。

「似合わねェなメルヘン野郎」

「心配するな、自覚はある」

「自覚あってそれとか自殺モンだろ」

「ぶっ殺すぞ」

「殺し合おうって時にそのセリフ言うとか小学生ですかテメェは」

「殺——」

と、垣根が言いかけた時一方通行が弾丸のように懐へと潜り込む。

「なっ——」

「会話に集中してたってかァ?不意打ちはやってナンボなンだよ」

左拳を高速で突き出す。
ジャブなのだがキレとスピードが違う。

「チッ……」

それを上体を逸らし空振りさせる。
とりあえず動きを落ち着かせようと距離を取る為に後ろへステップして飛ぶ。

筈だった。

「遅ェな、何考えて後ろに下がろォとしてンだ」

そこには更にもう一歩踏み込んでくる一方通行が見えた。
既に左フックを撃つモーションに入っている。

「っ!」

垣根は咄嗟に右半身を翼で覆う。

「(くそが、格闘技使うなんて過去の実験データに無かったぞ……)」

ひとまずこれで安心、そう思った矢先にゴッ!!という鈍い音とともに痛みが飛び込んでくる。

「(何がどうなって……!)」

その場に踏ん張りながら一方通行を見ると、彼は“右手”を引き戻していた。

「フェイントか……ナメやがって」

そう呟いた後、今度こそ上空に飛び上がろうとする。




「飛べるなンて思ってたのかよ」

横手から何かを投げた。
一方通行の能力はベクトル操作、そこらへんに転がっている石を投げるだけで人を殺せる。
それを理解している垣根は飛ぶより守るを優先し、翼を繭のように身体に包ませる。

が、衝撃は来ない。

「(……これもフェイントか!?)」

そう気付いた時にはもう遅い、後ろから吹き飛ばされる。
恐らく蹴りだろう。
廃ビルに強くぶつかったものの、翼で包んでいた為致命的なダメージはない。

「(くそっ、完全にペースがあっちに行ってる。能力すら使わせて——!?)」

立ち上がろうとした時、真横の壁からゴォッ!!と凄まじい音が響く。

「あー、悪ィな、外しちまったわ。」

「そンなことより変な考え事やめてくンねェかなァ、早死にする事になるンだからよォ」

「まァ、どうにせよここでぶっ殺すだけだがなァ」

チラッと横を見たら細い足が見えた。
先程の轟音の正体は再び蹴りだったという事。

「(離れるなんて考えねぇ、これで——)」

「死ね!!」

背中の翼を振るう。

垣根が生み出す未元物質はこの世界には存在しない物質だ。
『まだ見つかっていない』だの『理論上は存在するはず』という物ではない。
本当に存在しない物だ。

一方通行の反射は有害を反射するもので、無害と判断した物質なら受け入れる。
つまり、未元物質で無害と判断する有害な物質を作れば攻撃は直撃する。
つまり翼が当たればあの華奢な身体は豪快に吹き飛び、血を撒き散らすということだ。

しかし——当たらない。




恐らく魔術という存在を肯定していなければ、難なく反射しようとして直撃した筈だ。

余談だが垣根は性格を分析し、反射のメカニズムも研究していた。
絶対に当たる、そう思い込んでいたが当たらない。

むしろ、かいくぐって懐に鋭く踏み込んでくる。
低い体勢から腰を回転させて思い切り肝臓を突き上げる。

「ぐっ、あ……!?」

直撃した場所を抑えて思わずうなだれる。
うなだれた、のに目と目が合った。
どういう事だ?何故彼と視線が合った。

答えは簡単だ。
一方通行が沈み込んだ。
身の危険を察知するも、身体が言うことを聞かない。
もう一度、今度は左アッパーが襲いかかる。

「……ぁ」

顎を跳ね上げられた。
口の中から嫌な味と匂いがする。
唾液じゃないものが支配している。
思わず手で口を抑える。
そして前方を見ると、一方通行の頭が∞の軌道を描いているのが見えた。
左右に反動を付ける。

「……れーたぁ」

「一方通行ぁぁぁぁああああああああああっ!!」

絶叫が響く、だが次の瞬間鈍い音とともに叫びが消える。

「(まっくのうーち!まっくのうーち!)」

一方、彼はセルフ歓声を浴びていた。
右フック、左フック、右フック、左フックと、規則的な振り子のタイミングで拳が襲いかかる。

最初のフックで、既に垣根の意識は無くなっていた。




「1RTKOだなァ、噛ませ犬過ぎて話になンねェわ」

「(つゥか間柴対木村読ンでたンだからドラゴンフィッシュブロー打てよ、もしくはフリッカー)」

と、公衆電話の受話器を取り緊急のボタンを押す。

「第七学区の裏路地で二人倒れてたンですゥ、はい、そォですそォです」

「はい、はい、ありがとうございましたァ」

適当な調子で会話を終わらせ、受話器を置く。

「(もォこンな時間か、木原くン怒ってるだろォなァ。木原くン高血圧だからなァ。)」

「(なンか買って帰るか)」

そんな事を考えながら帰路に着こうとする。
そこに後ろから声が聞こえた。

「一方通行!」

「……あァ?」

後ろを振り向くとそこには息を切らしていた浜面がいた。
浜面は深く深呼吸をして呼吸を整え言った。

「駒場のリーダーを…俺達を助けてくれてありがとな」

「……借りを返しただけだろォが、それにアイツが長く生きられるかは分かンねェぞ」

「それでも、俺達を助けてくれたのには変わりない。」

「それに駒場のリーダーと理不尽な別れで終わらないだけでも……十分だ」

彼の目は極めて真っ直ぐ一方通行を見ていた。
ふん、と踵を返し歩きながら言った。

「……借りはこれでチャラだ。」

その後ろ姿が消えるまで、浜面はそこを動かなかった。
しかしそれを見ていたのは浜面だけでは無かった。

「(セロリセロリ言うけど、一方通行さんかっこいいじゃないですか…とミサカは頭がはわわわわ)」

妹達の一人、これから頭が春に入る…らしい。
因みに検体番号は14510号である。
彼女は見回りという事でこの裏路地を歩いていたら見つけた、ただそれだけである。
つーかお前は仕事しろ。




ここは木原くンのマンションである。
片手には食材と調味料、お菓子にコーヒーが入ったビニール袋を持っていた。

「(結局あのピ〇チュウどうなったンだよ、追ってきてねェのかアイツ)」

こンな騒動を起こさせた、御坂美琴を思い出す。
しかし頭に浮かべたくもないので即考えるのをやめる。

そしてポケットに手を入れ鍵を取り出そうとした時、何かに気付いた。

「鍵ねェじゃン」

思わず呟いた。
木原くン役に立たねェ、と思いながらインターホンを押す。

しばらく経ってから、ブツンという音とともに声が聞こえる。
「一方通行助け…ぐあああああああああああ!!」

……断末魔だった。
一体何が起こったのか、オートロックが開く。

「(木原くン何してンだ)」

エレベーターが開いた。
迷わず入って、16のボタンを押す。

「(あー、ハートブレイクショットも良かったなァ)」

「(……つゥかあのメルヘン野郎の能力よく覚えてねェな。)」

「(まァイイか)」

そんな事を考えている内にドアが開いた。
エレベーターを出て、欠伸を放ちながらドアノブを回して開ける。
そこには——。

「ふがふが」

「痛い痛い痛い痛い本当にやめろつーかてめえの顎はどうなってんだ、っていてててて」

インデックスが木原くンの頭に噛み付いていた。
呆れながら当然の質問をする。

「……何やってンだァ?」




「——でェ、魔術はねェって腹抱えながら笑ってたら噛みつかれたと、とンだお笑いもンだな」

ジャー、と水道の音が鳴る。
彼は今洗い損ねていた皿を洗っていた。

「笑い事じゃねーんだよ、こっちは。頭蓋骨噛み砕かれるかと思ったわ」

「流石にそこまではしないかも!?」

「どの口が言ってんだよインチキ魔法少女の目次さん(笑)」

「……そこはかとなくバカにしてるね?」

「インデックスやめろ、死体とはいえ例え木原くンでも地面に埋めたりすンのは心が傷むンだ。つゥかまだまだ出来ねェから風呂入れ、そっちに風呂あるから」

「ぶっ殺されてぇのかクソガキぃぃぃぃ!!」

「木原くン口臭い喋ンないでついでに死ンで」

「上等だこの野郎ぉぉぉぉぉぉ!!」

はァ、と溜め息をつきながら皿を重ねる。
とてとてとインデックスは脱衣所に向かっていく。
木原くンが一方通行に殴りかかるものの、体重が乗った熱い右ストレートで粉砕された。

「つゥか木原くンバカだろ、なンで毎回毎回ワンパターンに殴りかかってくンだよ。そらカウンター合わせられるわ」

と、言いながらビニール袋からレバーを取り出して言った。

「今日はレバニラ炒めだなァ」




「三人分を作ろォと思ってる、まァ暴食シスターがアレだから絶対足りねェが。」

「材料は鶏レバー200g、ニラ1把、もやし1袋、ショウガ1かけ、酒適量、醤油適量、豆板醤適量、オイスターソース適量、片栗粉。」

「まずレバーは食べやすく切ってボウルに入れ、塩小さじ1をもみこみ水でやさしく洗う。かぶるぐらい水を入れ血抜きをする。」


「水をよく切り、酒と醤油、すりおろしたショウガに浸して15分おく。」

「この間に他の料理を作ったりした方が時間節約になる、まァそンな急いでる訳じゃねェしオレは休むけどなァ」

「……こっからレバニラ炒めに戻るぞ、ニラは5cm長さに切り、もやしは洗ってざるにあげる。」

「レバーの水気をペーパータオルで拭き、片栗粉をまぶす。フライパンに多めの油を熱してレバーを中火でこんがり揚げ焼きにして取り出す。」

「サラダ油で豆板醤を軽く炒めたら強火にしてもやしを炒め、さらにレバーとニラ、オイスターソース、塩胡椒を加えて炒めあわせる。」

「ポイントはレバーを一口大に切る前に格子状にたくさん切れ目を入れ、中に入ってる血の塊をできるだけ取り除く事だなァ。」

「今日はこれで決まりィ」

「味噌汁も付けるが割愛な」

「つゥか家庭的な一方通行って誰が得するンだよ」

「ねぇあくせられーた、誰と話してるの?」

「風呂上がってたのかよ、つゥか風呂ぶっ壊してねェだろォな」

「そんな事思われてたなんて心外かも!」




「起きろ木原くン」

と、肩を叩く。

「あー…?」

「もう飯出来たぞ」

「はえーよ」

「木原くンが寝てただけだからそれ」

ゆっくり立ち上がり、首を鳴らす。
一方、既に椅子に座っているインデックスはもう待ちきれないという表情でこちらを見つめる。

「……食っていいぞォ」

「本当!?ありがとうなんだよ!」

つーか放っていたら食うだろォが、と心の中で呟く。

「……全部食うなよクソガキ」

「きはら、そこまで私食いしん坊じゃないかも」

「どの口が言ってンだ、いただきまァす」

「あくせられーたがいただきますって言ってるのを見ると面白いかも!」

「うるせェ、そのネタは既出だ。つゥかお前も言えよ」

「いただきますなんだよ!」

——木原家の食卓は平和である。




おしまいです
一応一つフラグ建てたでござる
ミコチュウ?知らね

オープン戦で阪神の守備にワロタ


乙!
デンプシー使う一方さんマジかっけぇ

ていとくん良いとこ無いなぁおい

               ズ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!!
                    ゜ヾ´      ″
     マックノーウチ !   =—≡ ̄`:∵∧_∧´‘
          _  Λ_≡—=', (    )∴∵゛、゜¨

        , ≡ ) ( ゜Д゜r⌒)  _/ / ̄    _
      ´∴‘≡く / ∧   | y'⌒  ⌒ ヽ _Λ(  ≡—=‥、,、
     ″″    \/  Λ_|  ,第二位l | ゜Д゜ )`=—≡—
     “         ( ゜Дー' |   |ヾノ   //
             =—≡ ̄`:, | ,  | ( ̄=—≒‥,,
         ,゛“=—≡—=',/  ノ )∵`=≡—=

                ∴/´/ / |  | ,'ゞ       マックノーウチ !
              ゛〃/ / / \|  |   ヾ

                /(  |  (  |
               /  |  |  |\ \
              / / |  |   | ヽ/⌒〉
             (_  「 _) (_〈_/

春厨!春厨!

この一方さんだったら上条さん絶対勝てないだろwwww

>>228
勝てるよ
上条さんなら勝てる
愉快なオブジェになる速度なら勝てる!!

おつおつ

格闘できるかつ超スピード、しかも頭も良いとか鬼畜スペック
ていとくんはやれるだけやったんだよ......w

春厨かわいいよ春厨
阪神の三塁線は仕方ないね
辛いさんも元々守備ザルだし

1つフラグ・・・・あぁ浜面か

まさかのフラグwww

一方さんのレバニラマジ本格的!
家庭的一方通行のご飯食べたいおっおっ

ベクトルデンプシーロールとかwwwwww
恐ろしいでござる、恐ろしいでござる!

このssの一方さんはかっこいいぜ。

続き楽しみにしてる。

●妹達を殺したくなくて、武器を持って追いかけてくる妹達に反撃することもなく常に逃げに徹している。
●理不尽にミコチュウに切れられても、反撃して相手を傷つけることは一切考慮に入れていない。
●本来何の縁もゆかりも無い筈の目次さんなのに、何だかんだできちんとその面倒を見ている。
●殺すだ何だとは言いつつも、気絶したていとくんに止めを刺したりはせず、むしろ回収のための電話するといったアフターケアまでしている。
●結果論ではあるが浜面に頼まれて駒場を助けるなど、受けた義理は一応はきちんと返す。

などなど数点をあげただけでも、この一方通行って「モノ凄ェ自己中」ではあれど決して「悪党」では無いような・・・・・・
・・・・・・まぁ“お養父サン”だけは何故か思いっきり、主に実質的かつ身体的な被害を多々こうむってはいるけれどw

ちなみに「家庭的な一方通行」、思いっきり俺得ですww
アリガトゥゴザイマシタwwww



並行スレ晒すの忘れてたでござる

一方通行「キャッチャーやりてェなァ…」-SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)

後、今日はすごく遅くなります



そっちも巡回スレに入ってた

しかしこの一方さん、ちょっと喧嘩慣れしてる程度のどこぞのウニ頭じゃ勝ち目0だなw

>>240
勝ち目0とか云々以前に、この一方通行さんに殴り掛かろうなんてしたら
“どこぞのウニ頭”さんは キ○○イ の 不良野郎 確定でしょう?

だって、この一方通行さんって掛け値なくマジに

 何、に、も、し、て、い、な、い、し、? ?

みこっちゃんが勘違いしてるから勘違いが連鎖して殴り込んで来るんじゃね?
ほら、あのウニ頭馬鹿だし

>>224

流石一方通行さン、平然とベクトルリバーブロー→ベクトルガゼルパンチ→ベクトルデンプシーなンて恐ろしい事を……。

>>225

こういう役柄にしようと思ったから仕方ない(´・ω・`)

>>226

そのAAを舞っていた

>>227

こうして春厨が生まれるんですねぇ…たまげたなぁ

>>228

不意打ちなら……不意打ちなら何とかしてくれる

>>229

愉オブになっちゃったら戦えないじゃないですかー!

>>230

しかも一番酷いのはパンチ一発で意識を消せるのにタコ殴りにする事

>>231

それが辛いさンが得意な一塁だったンだぜ……

>>232

合ってると言えば合ってます。

>>233

まさかのフラグです。
自分でこれ考えた時「あ、やべェ浜面くンやべェ」ってなりました。

>>234

一方通行さンは料理の腕も第一位を目指します。

>>236

本気で恐ろしい……倒れる間もなく振り子とは言えないスピードでタコ殴りにするなンて……

>>237

ありがとうございますー。

>>238

なンだかンだで良い人の一方通行マジ天使
なお木原くン

>>240

一方通行は漫画読んでるからね!

>>241

フラグやん、それ

>>242

ウニ頭ェ……



第一位の朝は早い——。
ふとした時にソファから起き上がる。

「(……飯作らねェとな)」

現在六時半。
寝起きであり、髪はハネまくり……なのだが。

「(はァ……眠ィ、つゥか三人分+αを作らねェといけねェのか、暴食シスター面倒くせェ)」

他愛もない事を考えながら髪をくしゃくしゃ、と触ると寝癖が直っていた。
これが俗に言う、能力の無駄遣いである。

「(……朝は適当でイイか)」

「(今日研究所から一歩の53巻から55巻持ってきてもらわねェとなァ)」

と、考えながら冷蔵庫から卵のパックを取り出す。
今日のメインは卵のようだ。

「ん……もう起きてたのか一方通行」

と、何処からか木原くンが出現する。
インデックスがいる為床に雑魚寝である。

「気安く喋りかけないでくれますゥ?毒ガスがヤバいンですけどォ」

「オーケーオーケー、お望み通りぶっ殺してやるクソガキぃぃぃぃぃ!!」

「あー、毎回のパターンだろもォこれ」

呆れながら左手と左足を構える。

「死ねぇ!!」

と、言いながら一方通行から見て右にステップする。
言葉のフェイントである。

「(バカ正直に殴りかかってダメならフェイントするまでだ、はははははははは!これで終わりだクソガキ!)」

だがそこで意識は途切れた。




何事も無かったように朝食作りに戻る一方通行。

「つゥかバカだろ木原くン、宮田くン対ランディー戦で左回りして崩すのサウスポーだけって分かってるだろォが、スタンダード相手に左回りしたら右ストレート簡単に直撃するわ」

フライパンにサラダ油を敷き卵を割る。
目玉焼きだな、これ。

「んうぅ……あくせられーた達うるさいんだよ」

リビングのドアを開いて、目が半開きのインデックスが現れる。

「オレじゃなくて木原くンに言ってくれ、アイツだけだからヒートアップしてたの」

「……どうせ原因はあくせられーたでしょ?」

「毒ガスがヤバいしか言ってねェよ?」

「完全にそれなんだよ」

「木原くンの沸点低すぎるせいだから」

「……あくせられーた」

「飯抜きにされてェか?」

「きはらが悪いんだよ」

「……オマエやっぱシスターじゃねェわ」

「……失礼なんだよ?あくせられーた」

「あァ、うン、そォだな」

「……あくせられーた?」

「シスターだわァ、マジシスターさンだわァ」

適当に会話を切り、ガスコンロを切る。
そして出来上がった目玉焼きを皿の上に乗せた。

「テーブルの上に持ってけ」

「分かったんだよ!」

「落とすなよ、お願いだから」

適当な調子で言った後、今度はもう一つのガスコンロのスイッチを入れる。
そこには味噌汁が入った鍋がある。
どうやら昨日の残りらしい。




「出来たぞォ、木原くン起こしてくれ」

「分かったんだよ」

と、椅子に座っているインデックスに言う。

「起きるんだよきはら」

「……あぁ、またぶん殴られたのか」

「きはらってやっぱりやられ役なんだよ」

「なんでだろうな、本当にそうなってるから否定のしようがないわ」

「ンな事どォでもいいからとっとと食うぞ」

コトン、というテーブルに皿を置いた音とともに椅子に座った。
それに素直に応じ、二人共椅子に座る。

「いただきますなんだよ!」

と、白飯にがっつく。

「今日は目玉焼きと味噌汁とポテトサラダか健康的だな」

「楽だからなァ、インデックスポテトサラダはいくらでも食ってイイぞ」

「本当!?ありがとうなんだよ!」

ポテトサラダを重点的に食べ始める。

「それにしても胃袋の何処に行くんだろうな」

「胃袋の神秘だよなァ」

「ああ、これ研究者がいたら誘拐されるレベルだよな。一体どーなったらそんな食えんだよ」

「あくせられーた達が少食なだけかも」

「「それはねェよ」」

木原家の食卓は平和である。




「よォし思う存分働いてこい木原くン」

「きはら、お仕事頑張るんだよ」

玄関で靴を履いている木原くンに二人が言う。

「うるせー、行ってくるわ」

「あ、そォだ木原くン一歩の53巻〜55巻持ってきてくンねェ?」

「沢村戦か、まぁあったら持ってくるわ」

ドアを開けて出て行く。
木原くンを見送った後、一方通行が何かを探しに行く。
それにインデックスも付いていく。

「……何探してるの?」

「ろくよン」

「なにそれ?」

「結構昔のゲームだ」

と、段ボール箱をガチャガチャと漁る。
段ボールの中にはセガサターンやスーファミとレトロゲームが多数眠っていた。

そして少し経った時にガシャン!!と一番大きな音を響かせ右手を天に突き上げる。

「ごまだれェ〜」

「それがろくよん?」

「あァ、木原くンこォいうコレクションだけ几帳面だからコードとカセットもすぐ見つかるだろォな。」

「っとォ、早速発見」

と配線コードを掲げる。

「おっ、ちいせェ方のコントローラー二つ発見。これリビングに持ってけ」

「分かったんだよ!」

と、本体、配線コード、コントローラーを持たせてリビングに向かわせる。

「後はカセットだが……、なンだこりゃ」

そこにあったのは背より高く天井にピッタリな棚。
恐らくオーダーメイドだろう。
そこにはプレステのディスクやゲームキューブのディスク。
更にファミコンのカセットも入っている。
探すには一苦労だろう。
だが、そこから法則性を見つける。

「……発売された年数かァ?」

と、どんどんスーファミから見ていけば。

「お、あった」

やはり見つけた。
任天堂が出したゲーム機の時系列はスーファミとゲームキューブの間が64となっている。
これでまた一歩賢くなったね!




「よォしやるかァ」

「コンセント、配線コード、問題ないんだよ!」

彼らは今テレビの前に座っていた。
リモコンを操作し、入力切替のボタンを押す。

「ス〇ットイン!マリオカート!」

と、何処か懐かしく思えるセリフからカセットを入れ、スイッチを入れる。
低いエンジン音と回る任天堂のロゴから画面が切り替わる。



「わわ!いっぱい変な人が移ってるんだよ!」

「まずは操作方法教えとくかァ」

「AでアクセルBでブレーキRがジャンプZでアイテムを使うスティックがハンドルだ」

「覚えたんだよ!」

「流石完全記憶能力、じゃァグランプリやるかァ」

と、2playerからマリオGPにカーソルを合わせてもう一度Aボタンを押す。

「好きなの選べ、……まァオレはルイージ使うか」

「じゃあ私はこの緑色の生き物にするんだよ!」

「まずは……キノコカップでイイか」

「よーし、負けないんだよ!」

「最初はルイージサーキット、ここは特徴がねェただグルグル回るだけのコースだなァ」

「シンプルだからこそ、運要素が絡む場合もある。そンなコースだ」

「そォいや教えてなかったな、スタートする時アクセルをカウント2に入るぐらいで踏めばスタートダッシュが出来る。まァ、タイミングはシビアだけどなァ」

「失敗したらスリップするって事だよね?分かったんだよ!」




一定のリズムで音が三回鳴り、スタートする。
インデックス操るヨッシーはスタートダッシュに失敗した。

「うーん、これでダメならもうちょっと遅らせないとダメかも」

「まァそこらへんはゆっくり調整した方がイイ」

一方通行が操るルイージは順調にスタート、四位に着けていた。
勿論これには目的がある。

「お……いきなり悪くねェ時に引いたなァ」

ニヤリと笑顔を見せる。

そう四位に着けていた理由はアイテムの補正。
最下位に近い程良いアイテムが出現し、一位に近い程地味なアイテムが出現する。
一方通行の画面には星に顔が付いているアイテムが表示されていた。

「わわっ、あくせられーたのキャラが色んな色に光ってるんだよ!」

「これはスターだ、ぶつかればぶっ飛ばされるしこういう場所もショートカット出来る」

と、やっていたのは左の砂道に入って豪快なショートカットだった。
あっと言う間に一位を引き離しトンネルへ入る。

「ねぇねぇあくせられーた、このアイテムは何?」

「パワフルキノコだっけなァ、名称は忘れたが制限時間まで好きなだけブーストが使えるアイテムだ。ブーストはオレがさっきやってたショートカットが出来——」

と、言おうとした途端ドォン!ドォン!と爆音が複数鳴った。
正体は左の砂道からショートカットしているヨッシーの姿だった。

「わーい!これ楽しいんだよ!」

「そんな連打するより途切れないくらいで押した方が効率がいいぞォ」

一気にインデックスが7.6.5と順位を上げていく。
やった事が無いにしてはおかしい。
初心者ならどこかで突っかかってもおかしくはない。
ここである事に気づく。

「……あァ、ちょくちょく俺の画面見てるからそンなこのコースが分かってるような走りが出来るのか。」

「ふふふ、完全記憶能力を甘く見ないでほしいかも!」

そんな調子で二人が二周目に入る。




二周目中盤。
トンネルに入ろうとした時、赤甲羅がルイージを襲う。

「……チッ」

後ろのコンピューターに撃たれた物だった。
首位から三位へと後退。

「よし、結構近付いたんだよ」

インデックスの操るヨッシーも四位へと上がっていた。

「面倒くせェな」

出て来るアイテムも赤甲羅単騎等、彼が言うならシケた物。
そして最終コーナーのアイテムボックスに入る。
そこでルイージはアイテムを獲得出来ず、インデックスが声を上げる。

「……あ!赤甲羅が三つ出たんだよ!」

「やべェ」

勿論、躊躇無く守れる物が無い一方通行を狙う。

「……覚えてやがれよォ」

「ふっふーん、そんな脅しには屈しないかも!」

更に前方の一位二位にも赤甲羅を当て首位集団に一気に近付いた。
一方通行は後ろから来たスターを纏ったゴリラに体当たりされ七位に後退。

「(残りのアイテムボックスは三つ、これなら絶対負けないんだよ!)」

と心の中で勝利を確信し、三位をキープして最終ラップに入る。

「……ナメンじゃねェ、オレの本気見せてやるよ。ついでにあのクソゴリラぶっ殺す。」

と言い始めたのは、真っ直ぐなのにドリフト。
カートから出ている排気ガスが白、黄色、赤と変わりスピードアップ。
それを連打していく。

「そんなの反則かも!?」

彼も遅れて最終ラップに入る。




インデックスが始めに取ったアイテムは、再び赤甲羅三つ。

「ふふん、勝利の女神は私に味方してるんだよ」

と、一位二位にもう一度ぶち込み首位に立つ。
その後ろでは一方通行が猛チャージを始めていた。
一番最初にスターを引き、ゴリラを轢き殺しながらショートカット。

一気に順位を四位に上げ、トンネルに入っていく。
一方、インデックスはバナナ五つを獲得して盾にしていた。

「(チッ、遠いし堅ェな。ここでトゲゾー引けりゃァまだ勝てる兆しはあるンだが……)」

と二つ目のアイテムに全てを賭ける。

「——来たァ」

引いたのは、トゲゾー。
一位を高速で追い直撃するという恐ろしいアイテムだ、四位としては奇跡的。
勿論即使用する。

「青い甲羅は首位を追尾するのかな?まぁ、バナナがあるから無理なんだけどね」

と余裕の表情で首位を快走する。
位置としては最終コーナーの手前。

「まァ見てろ」

と、不敵に笑いながら後ろから追走する。
しばらくするとルイージの笑い声が二回響く。
もう既に後ろのようだ。
インデックスは既に最後のアイテムも取って、後は直線。

勝った。確信。絶対的勝利っ……!

が、バナナを粉砕しヨッシーに直撃する。

「あ……あああああああああっ!?」

「人間を弾き飛ばしてンのにバナナで防げるとでも思ったかァ?」

ヨッシーが宙に舞う。
アイテムも全て消えた。
凄まじい、凄まじいなトゲゾー。

「で、でも!そこから追い付く事なんて出来ないんだよ!」

「……追い付いたら、面白いよなァ?」

「絶対追い付けないんだよ!」

「でもでもォ、追い付いたら面白いよなァ?」

と、某遊戯王の台詞を言いながら規則的なドリフトからアイテムボックスを拾う。
既に目の前にはインデックスが加速し始めている。

アイテムの中身で勝敗が決する。
止められたアイテムは……、赤甲羅。
それをすぐさま撃つ。
ゴールまで後十数秒程度。

赤甲羅は——直撃した。




「勝利の女神とやらはオレに向いてたみたいだなァ」

「うー……次のコースでは負けないんだよ!」

「次は余裕で勝つけどなァ」

「今度は私が周回差着けて勝つんだよ!」

「威勢だけはイイなァ、暴食シスター。格の違いってヤツを見せ付けてやるよォォォォォォ!!」



——木原家は今日も平和である。




今日はおしまいです
このモチベーションをお願いだから勉強に持って行けください

今日は担々麺を食べに勝浦に行くので寝ます。



このインデックスさんえらくハイスペックだな
アクセルとかブレーキを理解できるって

インデックスさん妹可愛い

やべェ
白白コンビニ和むわァwww

乙!
木原くン打たれ強いな

ろくよン←かわいい

インちゃん可愛い……ふう

インさんは上条さん以外と絡むと輝くよね

インちゃんのポテンシャルはでら高いよね
一方禁書も浜面禁書も最高だった

ステイル  ガタッ

>>262
おめーの席、ねーから!



疲労が溜まっているのでおやすみします

昼くらいに投稿出来たらな、と思っています


全裸待機

明日でもいいのよ
無理はアカン

>>254

上条さんはバカですよね?対して幕ノ内一方は頭ですよね?
つまりはそういう事だ。

>>255

インドネシアさんは書きやすくて助かります

>>256

白と白を混ぜたら真っ白と証明されてしまった

>>257

不屈の闘志を感じる

>>258

それを言わせる為だけに64を引っ張り出してきました

>>259

やめたげてよぉ……ふぅ

>>260

上条さんと絡ませると裸エンドにしかならない……

>>261

ポテンシャルを発揮出来ないから(ry

>>262

座れ

>>263

だからあんな格好に……

>>265

パンツは履いとけ

>>266

ありがとうございますー



彼らは今、第七学区の地下街に向かっていた。
勿論一方通行は変装している。

「いやァ、まさか三時間ぶっ通しでマリオカートやってたとはなァ」

「ゲームは初めてやったけどあんなに楽しいとは思わなかったんだよ!」

「まァ、俺が十三勝九敗で圧勝したけどなァ」

と、言うとインデックスが頬を膨らませた。

「初心者にしては健闘した方かも」

「コース全部覚えてンのに初心者ってのは無いと思うわ」

「あくせられーたはヒュードロ池が苦手なの?」

「夜じゃねェと地面が見えづれェンだよ」

一方通行は目を擦りながら言った。
ゲームをぶっ通しでやったからだろう。

「家帰ったら他のやつも探すかァ」

「今日は何処へ行くの、あくせられーた?」

「地下街、携帯を再契約したり飯食ったりスーパー行ったりしないといけねェンだよ」

「ごはん!?」

「真っ先に反応した単語がそれかよ、悲しくなってこねェの?」

と、飯と聞いて一気に目を輝かせたインデックスに突っ込みを入れながら歩いていく。

「……ここ?」

「あァ、ゲーセンとかあるけどオマエがぶっ壊しそォだからやめとくわ」

「……あくせられーた?」

「牙光らせンな、意外と怖ェンだぞ」

と、適当な調子で地下街へと進んでいく。




「わー……」

「ごはんだよあくせられーた!」

「うるせェ、はしゃぐな」

嬉しそうに飛び跳ねるインデックスに呆れながら言う。

「だって……」

と、明らかにテンションが下がったインデックスを見て言った。

「……先に飯食うかァ?」

「本当!?」

再度、目を輝かせたインデックスに溜め息を吐きながら進んでいく。
そしてふと前方を見ると、

「待ちなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」

「ふふっ、ふっふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

……異常な光景が見えた。
電撃を飛ばすピカチュウ(♀)とウニ頭の男がいた。
片方は間違い無く御坂美琴だ。

「(……見なかった事にしよう、まァ、バレねェし大丈夫だろ)」

「(一応道変えるけど)」

「あっちの道入るぞインデックス」

「……?どうして?」

「前の連中に巻き込まれたくねェから」

と、言うと大人しく頷き一方通行の後ろを歩き始めた。




ここはバーミ〇ン。

奥側のテーブル席で一方通行が、向かい合っているインデックスの食事を肘を突きながら見ている。

「担々麺美味しいんだよ!」

と二杯の丼から勢いよく麺が飛び出し、次々にインデックスの口へと運ばれる。
俗に言う、箸二刀流である。

「良かったですねェ、つゥかオマエ器用だな」

「ねぇねぇ、あくせられーたは食べないの?」

「オマエの食いっぷり見てると腹がいっぱいになるンだよ、察しろ」

とは言うものの、食べる手は止まらない。

「……そのへんにしとけよォ」

「分かってるんだよ」

「そンなに食ってる時点で分かってるとは言えねェよ」

突っ込みを入れた後、コップに入ったコーヒーを飲み干す。

「あくせられーたはコーヒーが好きなのかな?いつも飲んでるけど」

「コーヒーはオレの血液だから仕方ねェだろォが」

「その考えはおかしいんだよ」

結局その後、更にチャーハンと海老チリを頼んだのは別の話。




「食いすぎだ、スープバー滅ぼす気か」

「お腹すいてたから仕方ないんだよ」

二人は現在バーミ〇ンを出て、携帯ショップに向かっていた。
しばらくバーミ〇ンにいたので、先ほどのピカチュウと愉快な仲間達はいない。

「あっ、あれ食べたいんだよあくせられーた!」

「はァ?……どンだけ食うンだよオマエは」

インデックスの視線の先には、鯛焼き屋が見えた。

「おやつは別腹なんだよ?」

「胃袋がブラックホールの間違いだろ」

「そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

そりゃバカにしてるしな、と心の中で呟く。

「すいませーン、鯛焼き一つゥ」

「あいよぉ!具は何にする?」

「餡がいいかも!」

と、インデックスが言うと店員だろうか、鉄板から鯛焼きを取り出す。

「はい、嬢ちゃん!」

「ありがとうなんだよ!」

爽やかな好青年がインデックスに鯛焼きを手渡す。
それを嬉しそうに受け取る。
鯛焼きを歩きながら頬張るインデックスを横目に考え事を始める。

「(ロックマンエグゼやりてェ、3でプリズムコンボやりたくなってきた)」

「(つゥかフォルダリターンって畜生過ぎるよなァ)」

そんな事を考えていると、後ろからトントンと肩を叩いたような感覚があった。
恐らくインデックスだろう。

「……あァ?」

振り返ると食べかけの鯛焼きを半分にしているインデックスが見えた。
半分の鯛焼きをこちらに突き出す。

「半分こ、なんだよ」

「……甘いの苦手なンだけどなァ」

と、突き出されていた鯛焼きを素直に受け取り口に放り込む。

「……甘ェ」

そう小さく呟いて再び歩き出した。




「むむむむ……」

「……はァ」

ここは携帯ショップ。
溜め息をついた理由、それは——。

「や、やっぱり恥ずかしいんだよ!」

「テメェが撮るっつったンだろクソシスタァァァァァァァァァァァァ!!」

顔を真っ赤にしているインデックスに思いっきり叫ぶ。
どうしてこんな状況になっているのかを話せば長くなるので簡潔に説明すると、せっかくなのでペア契約したい→ツーショット写真を撮る←今ここ、インデックス暴走寸前。
という訳である。
訳分からん。

「なンなの?オマエなンなの?オマエから言ってきたのにマジでなンなの?」

「だって……」

溜め息を大きく吐いて埒があかねェと呟く。
このままじゃ写真を撮るだけなのに何時間掛かるか分からない。
一つ覚悟を決める。

「あ、オマエの後ろでハンバーグが空飛ンでる」

「え!?本当!?」

と、後ろを素早く振り返る。
ある訳ねえだろ。
その瞬間ぐいっとインデックスの修道服を引っ張る。

「……ふぇ?」

一方通行にインデックスの身体が寄りかかる形になる。
みるみるインデックスの顔が赤くなる。

「なな、なっ何をしてるのかな……?」

「はァいチーズゥ」

前もって用意していた携帯のカメラ機能を使い、撮影する。
携帯の画面を見ると、見事に顔が赤く染まったインデックスと一方通行のツーショットが写っていた。

「……いい仕事したなァ」

「……あくせられーた?」

インデックスの表情は笑顔だ、勿論それは危険を知らせる。

「オマエに任せてたらいつまで掛かるか分からねェだろォが、つゥかマジで噛み付くのだけは勘弁してください、まだ死にたくないンで」

「なんで私が噛み付く前提なのかな!?」

「いや噛み付くじゃン」

そう一方通行が言った後、やはりインデックスは一方通行に噛み付いた。




とりあえず写真を店員に渡し、張り付いた笑顔で二時間程お待ちくださいと言われたので、彼らは他の用事を済ませる事にした。

「クソが、反射効かねェからすっげェ痛ェンだぞ」

「あくせられーたが悪いんだよ」

ぷくー、と頬を膨らませているインデックスを見て風船みてェだな、と心の中で呟きながら歩く。

「今度は何処に行くの?」

「夕食の食材買いに行くンだよ」

「ごはん!?」

「なンでオマエは飯になると謎の覚醒すンの?マジで胃袋の中身見てみたくなってきたわ」

未だに食べようとする姿勢を保つインデックスに半ば呆れながら言った。

「……おォ、ここだここだ」

と、しばらくして言った視線の先には魚、野菜、視界の端には高級そうな洋菓子店などが並んでいた。
外で言うデパ地下のようなものだ。

「わー……」

インデックスはそれを見て目を輝かせている。

「ホンットオマエって飯しか頭にねェのな、……試食コーナーのやつは食うなよ」

「えー……、まだまだ食べたいんだよ」

「お願い、あそこのショートケーキ買ってやるから止まってくれ」

そう言った途端、仕方ないなふふん、というような表情で一方通行の後ろに大人しく付いて行き始めた。




彼らは今、食品売り場を歩いていた。
白の修道服を着ている少女と隣の線が細い少年は、遠目でも目立つ。

「あ、あれ!あのお肉食べたいかも!」

「肉は今日使いたくねェから却下、あと騒ぐな」

「酷いんだよ!もっとあくせられーたは私に配慮するべきかも!」

「オマエに配慮してアホみたいに飯作ってるオレにオマエは配慮しろ、騒ぐなっつってンだろ」

ブーイングに対してそう吐き捨て、鮭やほうれん草等を買い物カゴに入れる。

「今日は何を作るの?」

「鮭のムニエルと鮭のクリームグラタンと適当なサラダ」

「鮭づくしなんだよ」

「食いたくなったから仕方ねェだろ、つゥか早めに服買いにいきてェからケーキは帰りな」

そう言うとインデックスの表情が真っ暗になる。
それを見て呆れたように口を開いた。

「よく考えろ、今は夏だから少し時間経てば腐るだろォが」

その言葉を聞いてなるほど、という感じでみるみる表情が明るくなっていった。

「(……扱いやすいなァ、コイツ)」

それは限りなく本心だった。




遅くなりました

ロックマンエグゼ5が楽しくてたまりません
後昨日テストだったので勉強してました


鮭だと…!?


プリズムコンボは2だった気がするぜい

最近ツインリーダーズ買ったオレと気が合いそうだ

>>277
鮭缶あげるから落ちつけよむぎのん

プリズムコンボ懐かしいな

おつ
エグゼ7を今でも待ってる

乙乙!!
おいロックマンゼロこそが

>>281
エグゼは6までだぞ

エグゼもゼロも流星もゼクスも大好き
ロックマンシリーズ全部大好きです
超俺得です

>>283
7発売してくれないかなー
みたいなことだったと思われ

ネタ的なアレだったらゴメン

今後の展開が楽しみだな



3レスしか書けてねえ
理由はオープン戦とか今日のメジャー戦とかのせいです、きっと

明日はきっと働く(決意)


平田が調子いいから優しい気持ちで待てるよ(微笑)

予定は未定です、まさに
猫に充電器を八つ裂きにされて書けない状態です(´・ω・`)

文字通り八つ裂きにされました。
流石猫さんやでぇ

猫なら仕方ないな

流石ねこ様 俺たちに出来ないことをry

>>277

書いてて自分も今気付きました。
むぎのん、恐ろしい子……。

>>278

あー、記憶が曖昧です……。
ツインリーダーズはこの一週間でネビュラホール4までやりました
SコンMコン?知らん

>>279

機嫌をとって差し上げろ

>>280

何故あんなコンボを作ってしまったのか……

>>281

エグゼ7はずっと待ってる。
流星も4出ないし……

>>282

ゼロもいいですねー

>>283

個人的に対人が燃えるのは流星3です

>>284

本当にカプコンはなんでエグゼ7を出さなかったんですかね……。

>>285

ありがとうございますー。

>>287

味噌ちゃんウキウキでワロタwwwwwwww
平田うらやまC

>>289-291

君達はどういう関係なんだっけ?

>>292

そこに痺れる憧れるゥ!



一回充電器買ったら、なんとまた食いちぎられました。
許さん、絶対に許さんぞぉ……。

久し振りの投稿になります。




「この荷物のまま服買いにいくのも面倒だし、コインロッカーに荷物入れとくかァ」

「こいんろっかー、ってなに?」

「一から用途を説明すると面倒だから簡単に説明するぞ、100円払う→荷物置く→しあわせ。オーケェ?」

「その説明じゃ全く訳が分からないんだよ」

そんな事を言い合いながら、目的のコインロッカーを探して歩いていく。

「つゥかさァ、案内板とかねェの?迷子の迷子の子猫ちゃン寸前なンですけどォ」

「あなた〜のお家はどこですか♪」

「子猫ちゃンからしたら犬なンかが来たら泣くしかねェよなァ」

「食べられてもおかしくないんだよ」

「オマエなら確かに食いそォな可能性があるンだがな」

「それは流石の私でもしないかも……あ、案内板ってこれかな?」

と、インデックスが指差したのは地下街の地図のような物。
それはまごうこと無き案内板だった、それ以上でもそれ以下でもない案内板だ。

「何の変哲もない案内板だなァ」

「……それじゃだめなの?」

「十分に決まってンだろ」

と、目線を上から下へスクロールする。
そして位置を確認する間もなく歩き出す。

「……あくせられーたも十分反則なんだよ」

先に歩き出す一方通行にインデックスは言った。

「第一位ってのはそれくらいじゃねェといけねェンだよ、あのメルヘン野郎が第二位の理由はそこまでのポテンシャルが無かったって事だ。」

「……メルヘン野郎って、誰?」

「……あー、常識が通用しそォにないやつだ」

「……何言ってるかよくわからないんだよ」

「オレもよく分かってねェから大丈夫だ」

と、二人はゆっくりコインロッカーに向かって歩いていく。




ふとした所でインデックスが質問する。

「そういえば預ける時に食材を保温しなくても大丈夫なの?腐ったりしない?」

「学園都市ナメンな、その点はもう解決してる。腐った焼きそばパン渡したらかじりつきそォなオマエが言うな」

その質問に余計な一言を交えながら答える。

「学園都市すごいんだよ……ってあくせられーたはそんなに私が何でも食べるように見えるのかな!?」

「すっげェ見える、映像まで鮮明に見えてくるくらいだわァ。あ、手ごと食ってやがる。」

「もう完全に怒ったんだよ!!」

「そォいう態度してオレの頭蓋骨粉砕しよォとするから、印象がそォなっちゃうような気がするンだがなァ?」

と、溜め息混じりに吐き捨てビニール袋の中から何かを投げた。

「トッポだ、最後までチョコたっぷりだぞ」

「……そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

「してねェしてねェ、だからとっとと食え」

「やっぱり馬鹿にしてるんだよ!」

「事実バカにしてるしなァ……って何牙光らせてンですかインデックスさン?ちょ、マジでやめ……がァァあァァァァァァァァ!!」

地下街に絶叫が響いた。




「もぐもぐ……これ美味しいんだよ!もっと無いのあくせられーた?」

と、トッポを一本、二本と次々に口へ放り込む。
一方通行は助かったのだ。
彼は舌打ちをしながら口を開いた。

「殺すぞ、つゥか今オレは死にかけたンだぞ」

「噛み付こうとしただけなのになんでそこまで言われなきゃダメなのかな!?」

「オマエ木原くンに噛み付いた時、頭蓋骨ミシミシ言ってただろォが普通に死ぬっての」

溜め息を吐きながら、憤慨するインデックスを宥める。

「……つゥかボロボロこぼしすぎ、口の周りにカス付けすぎ」

「えっ!?あ、本当なんだよ」

インデックスが後ろを振り返ると、確かに鳩が付いて来そうなくらいこぼしていた。
そしてそのこぼしてあるカスを、ドラム缶のような動く物体が吸い込んでいく。

それを見て、思わずインデックスは口を開く。

「……学園都市は使い魔まで科学で作れるの?」

「あン?ただの掃除ロボだろォが。……まァ外ではあンまり見ない光景だろォけどなァ」

と、呟いてふと前方を見ると目的のコインロッカーが目に入った。




「……まァこンな所か」

ふぅ、とモニターの指示に従って指紋認証をしてコインロッカーを閉じる。

「すごいんだよ、学園都市」

「科学で何でも解決しちまうからなァ、こんな便利だと堕落しちまいそォだがな」

「確かにそうかも」

と、相槌を打った所でインデックスがふと何かを思い浮かべる。

「……一つ疑問なんだけど、肉体を変化させられる能力を持っている人がいて、もしあくせられーたに変身して指紋認証したらどうなるの?」

「能力を使ってるか否かを判定する機能があるから大丈夫だ、まァ肉体変化の能力者なンて三人しかいねェがな」

質問に答えながら、インデックスが持っている箱からトッポを一本取り口へ運ぶ。

「で、次はどこに行くの?」

「セブンスミストっつゥ地下出て少し歩いた場所にある服屋だ、意外とでけェ」

そう言った後、すかさずインデックスが口を開いた。

「ねぇ、食べ物はある?」

「もうやめてくれ、見てるこっちが吐きそォになるわ」

さらに食べたいと見える発言をバッサリ切り捨て、溜め息を吐いた。




「なんでもう食べちゃだめなのかなあくせられーた?」

「前述した通りだ、二度も言わせンな」

「むぅ……他人が食べる姿を見てても吐き気は催さないと思うんだよ」

「それが催すんだよなァ」

むー、と声を上げるインデックスを適当にあしらいながら再び歩く。
気付けばもう外に出ていた。
圧倒的過ぎる猛暑に対し、インデックスが思わず口を開ける。

「……なんなのかな?この暑さは」

「歩く教会とやらは暑さはカット出来ねェンだな」

「魔術の類だったら防げるけど、やっぱり自然現象は無理なんだよ」

その言葉に少し考え、口を開く。

「……意外と太陽光と虫眼鏡が弱点だったりなァ」

「洒落にならないんだよ、でも白だからセーフかも!」

と、小学生並の会話をしながら足を動かす。
そしてふと気付いたら目的地に着いている物だ。




彼らは今セブンスミスト内のベンチに腰を掛けていた。
溜め息を吐き口を開く。

「にしても広いなァ、ここ。服買うだけなのに疲れるってどォいうこった。」

不意にひょこっ、とインデックスが籠の中を覗く。

「……あくせられーたのセンスは微妙なんだよ」

「……うっせェ、結構傷付くンだぞ。木原くンにも言われたがどこが悪ィのかさっぱり分かンねェ」

「突っ込み所が多すぎて把握しきれないんだよ」

どんよりした空気を放つ一方通行を見て呟く。

「……まァイイや着られれば、服ってのはそンなもンだ」

「それは明らかにおかしいんだよ」

「木原くンの服でかいンだもン」

「……論点が違うかも」

再び小学生並の会話を始めて、呆れたインデックスは大きく一つ息を吐く。
少し沈黙した後、一方通行が口を開いた。

「……センスもクソもねェけど、無地にジーンズでイイか」

「え、今更?」

「素になンな」

「なっ、なってないんだよ」

「……オマエやっぱシスターじゃねェわ、腹黒い」



本日のお買い上げ。

昼食3600円
食材類4800円
歩き食い600円
携帯契約6000円
衣類12400円
センスの無い服4000円




彼らはコインロッカーから保温していた食材を取り出し、家路に付いていた。

「夕食が楽しみなんだよ!」

「なンでオマエは食う事しか頭にねェンだろォな、びっくりだわ」

四六時中、食の事しか考えていないように感じるインデックスに心底呆れた視線を向ける。

「そこはかとなく馬鹿にしてるね?」

「そのネタ汎用性高いなァ、うらやましいわ」

「やっぱり馬鹿にしてるんだよ……」

「正直死刑執行5秒前の台詞みたいで怖ェンですけどォ」

どこかのウニ頭なら数十回食われてそうなものだが、被害を最小限で抑える所は流石第一位と言う所だろうか。
先発に向いてますわ。
……いやこれ褒めてないよね。

「つゥかまだ四時回ってねェし、まァだ食いたりねェとかほざきやがったらそろそろキレるぞ」

「三大欲求は伊達じゃない!」

「Vガンは伊達じゃないみたいに言うな、流石インデックスの姉さンだわ」

「ターンAのアレはNGなんだよ」

「オマエ本当はおっさンだろ……」

と、半ば呆れながら歩いていると何かに気付いた。

「やべェ」

「?」

「完っ全に携帯忘れてたわ」

思わずインデックスもあ、と口を開く。
もう地下街から大分離れている。
徒歩なら確実に25分は掛かる。

「……先に家行ってろ、鍵は渡しとく」

「分かったんだよ」

そして、今日どこかで聞いた言葉を呟いた。

「……不幸だァ」




あの頃の感覚が戻りません。

ロッテが単独首位だああああああああwwwwww
ヒェ〜ッwwww益田マインちゃん藤岡すげえええええwwwww
春井口打ちすぎィ!
まさカス逝ったああああああああああああああ

ロッテの三連戦はマジでこうでした。

そろそろ野球スレも再開しないとなぁ……。


おつ


伊達じゃないのはVじゃなくνでは?


ねこ様はあれだよ もっとかまってよってこった 言わせんな恥ずかしい

60年振りおめでとう!



引き裂かれた充電器はセロテープとガムテープによって修復し使用出来るから大丈夫

俺は使用してる

フォルテXXの絶望は忘れない

引き裂いた手段がインさんよろしく噛みつきなら
充電器だけでなく猫もヤバくない?大丈夫?
コンセント的な意味で

乙!
飯がうめえええええええぇぇぇぇ!!

まだー?

もう遅くなりすぎて何が何だか分からねーでござるですわ


>>304

ありがとうございますー

>>305

あ、すいません
完全に間違えてますね

>>306

猫様やんちゃ過ぎィ!

>>308

成瀬唐川藤岡グラシンとかいうローテーション

>>309

何回もやろうとしたんですが
全部失敗しました

>>310

ですねー
病院連れてこうかしら

>>311

ご飯美味しいです

>>312

やっと来ました



「(能力でも使いたかったが普通に見つかりそォだしなァ、不便だわァ)」

「(つゥか律儀に歩いてきちまったけど、バスとか何でもあったよなァ。)」

「(くそが、足痛ェ。つゥかこンな毎日外歩くなんていつ振りだよ)」

愚痴を心から吐きまくりながらビニール袋を片手に帰路につく。
主に自業自得なのだが。

そして何の違和感もなく裏路地に入っていく。
しばらく歩いたうちにピタッと止まり、何かを頭の中で考えこむ。

「(なンか嫌な予感がする、鮭マニアのヤンデレとか頭に脳ミソが足りてねェ根性バカとかウニ頭とか量産型ピカチュウに襲撃されそォな気がする)」

「よーう、第一位」

案の定そんなくだらない事を考えていると、突如上から声を掛けられた。
『上』から。

「(……まァた変なフラグだったのかよ)」

溜め息混じりに顔を上げる。




そこには、つい最近血を吐くまで殴り続けた筈だった男。
純白の翼を纏う第二位垣根帝督の姿を捉えた。

「……チッ、空飛ぶ愉快な仲間達かよ。ハズレじゃねェか。ディズニーに帰れよマスコットもどき」

「あぁ?流石第一位、大したムカつきぶりだ、こんな現象を見ても余裕を保ってられるなんてな。」

その言葉に耳を貸さず、顎に手を当ててからしばらくしてから、ようやく口を開いた。

「……まァ、売られた喧嘩はきっちり買い取ってやるけどよォ」

一方通行から強い威圧が放たれる。
垣根はすかさず身構える。

「どっかで会いましたっけェ?」




「えっ」

思わず垣根が言葉を漏らす。
その反応は至極当然である。

「ちょっと待て、すぐ思い出してやっから」

「いやおかしいだろ!何で一週間も経ってないどころか24時間すら経過してないうちにこんなキャラ濃い奴忘れてんだよぉぉぉ!!」

「自分でキャラ濃いとか言うヤツ初めて見たわ、どォでもいいけどカントリーマァム二つやるからとっとと帰ってくンねェ?こちとら歩きすぎて足痛ェンだよ」

と、息荒く叫ぶ垣根を尻目に面倒そうに頭を掻く。

「くそっ!足が痛い!?知るか!恨むなら自分の記憶力を恨みやがれ第一位ぃぃぃいいいい!!」

突然、空中で静止していた垣根が地上の一方通行に目にも止まらぬスピードで近付こうとする。
が、ここで死亡フラグが建っているのがこの垣根帝督の恐ろしい所。
一方通行は背を向けて真後ろにあった鉄パイプを手に取った。

「(おォれェ達のォ福浦ァ〜一打ァに全ェて込めてェ)」

何かの電波を受信したのか、おもむろに野球のバットを構えるような形で襲い掛かってくる垣根を見据える。
右足を内に大きくスライドさせ、垣根を待つ。

「(不屈ゥの闘志見せてくれェ)」

待つ。

「(千葉のォ誇り胸にィ〜)」

待つ。

ここで垣根は確信した。

「(殺った!くたばれ第一位ぃぃぃいいい!!)」

「(……ここだ、内角に呼び込ンで引っ張る)」

思い切り、身体目掛けて襲い来る垣根に踏み込んだ。
ベクトル操作を相俟って凄まじいスイングとなった鉄パイプが垣根を襲う。

タイミングは完璧。
どちらが弾け飛んでもおかしくない。

「あっ」




間の抜けた一方通行の声が路地裏に響く。
空振りした、それも大きく体勢を崩して後ろに倒れ込むような形で。
鉄パイプは重かったらしい。

「(やっべェ、死ンだかァ?)」

大きく炸裂音が響いた。


しかしそれは一方通行に当たったような音ではない。
体勢を崩したのが劫を奏したのか、垣根のタックルは一方通行に当たらず少し後方にあった壁に衝突したのだ。





「えっ」

一方通行の口からはまさにこの言葉しか出てこなかった。





「あ、そォだ」

「あいつ第二位じゃねェか」


それに気付いたのは病院に電話を掛けて少し後の事だったとさ。




久し振りすぎてもう何がしたいか分かりません
とりあえず垣根はズタボローで

途中から投げやりです、次から料理で本気出す


明日多分投下します、多分
多分

CoDとポケモンとプロスピが楽しいからね、仕方ないね

本当にいつの明日なんだよバカ野郎!

自分は全く進化を遂げない
それどころか退化していく

そう考えると糸井ってすごいな


と、まぁ現在はポケモンやってます
黒の摩天楼制覇したりイッシュ図鑑コンプ目指したりして忙しい()です
とりあえず一日一レス分、そう心掛けて毎週一回は投下したいと思います



一日一レス(二週間で六レス)

おかしなことやっとる




「たァだいまァ」

「おかえりなんだよ!ご飯はまだかな?」

時刻は午後六時に差し掛かる程度、間の抜けた声とともにドアが開いた。

「……開口一番それかよてめェは、シスターっての皆こうなンかねェ…」

「こっちはもうご飯待ちくたびれてるんだよ!?」

とりあえず携帯が入った箱をテーブルに乱雑に放り、ソファに寝転んで息を吐いた。

「トッポでも食ってろ、袋に入ってンだろ」

「全部食べちゃったんだよ」

「ふざけンなベランダから叩き落とすぞクソシスター」

トッポの箱をブンブンと振るインデックスに対し、心底呆れながら呟いた。

「はァ…後ちょっとしたらすぐに作ってやっから風呂でも溜めて入ってろ」

「本当に?」

「あァ」

「絶対?」

「しつけェぞ」

「……妥協してあげるんだよ」

「なンでオマエが妥協する立場なンだよ、間違いなく逆だろォが……ってもォいねェし」

と、誰もいないリビングに一人呟いた。




「やっぱりトッポってすげェよなァ、最後までチョコたっぷりだし。いやまァもォ入ってねェけど。」

そう言いながらトッポの箱をゴミ箱に放り投げ、ビニール袋から鮭を取り出した。

「今日はあれだ、鮭のムニエル作ろォと思う。いや毎度の事ながら誰に言ってンだ」

「……まァいいか、材料は二人分で鮭2切れ、塩こしょう適宜、小麦粉大さじ2杯、バター大さじ1杯、オリーブオイル大さじ2杯、レモン汁1/2個、白ワイン大さじ2杯ってとこだなァ」

「どうせクソシスターの分だけでも足りねェからかなり余分に作るけどな」

「まずは鮭に塩こしょうする、10〜15分くらいおいときゃいいくらいか」

「次に小麦粉を両面にまんべんなく振る」

「フライパンにバターとオリーブオイルを入れて熱し、余分な小麦粉をはたいた鮭を入れて片面に焼色をつける」

「更に裏返して蓋をし、弱めの中火で2.3分蒸し焼きにする」

「鮭を取り出して弱火にし、フライパンに残っている煮汁にレモンとワインを加えてひと煮たちさせ、ソースを作る」

「鮭を皿に盛り、ソースをかけて出来上がりだ」

「後は任せて安心インスタントスープとハムトマトキャベツ辺りで作った適当なサラダを作って出来上がりだ、後は……米炊けば終わりだな」




「つゥか木原くンって一応研究者なンだよなァ、ただのヤクザだろアイツ」

ソファに腰を掛け頭を掻きながら呟く。

(前猟犬部隊だっけなァ、そいつらに会った時も木原くンの名前出しただけで震えてたじゃねェか。)

(……あれ、これヤクザじゃねェか。恐怖政治って怖ェなァ。)

(つゥか研究者の癖になンで学園都市暗部組織なンて率いてンだよ、マジでヤクザじゃねェか。)

と、木原先輩ヤクザ説を提唱した所でソファに寝転がる。

(それより今日鮭最後の六切れくらい全部買ったら、化粧が厚い女から怨念みてェな視線感じたけど気のせいだよなァ。いや気のせいであってくれ。)

第三の刺客の気配を匂わせたところで、風呂場でガラッという音が響いた。
インデックスが上がったのだろう。




ドンッ!という激しい音とともに更衣室の扉がスライドされる。
そしてこの数日で見慣れた白銀の髪から水分を散らしながら走ってきた。

「ごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはんごはん!!」

「うるせェ近所迷惑だ」

「ねぇごはんは?」

「炊いてる途中」

一方通行が寝転がした身体をやや怠そうに起こす。

「ま、まだ食べられないの!?もういい加減限界かも!?」

「限界値低いなァオマエ、オレがシャワーから出たくらいで炊けるからそれくらい待ってろ。あァ、つまみ食いなんてやらかしたら飯抜きな。」

「つまみ食いで全部食べちゃった場合は?」

「明日の飯全部抜きだなァ」

「……そ、それはイヤなんだよ」

だろォな、と呟きシャワーを浴びにソファから立ち上がり更衣室へと向かい始めた。




シャワーを浴びながら考える。

(木原くンの為にもうちょっと作っとくべきだったかァ?どうせあのシスター()が全部食っちまうだろォし)

(……いや木原くンの為に作る必要はねェか、それじゃただのファザコンじゃねェか)

(いやまず父親じゃねェから根底から間違ってるけど)

と、木原くンに対して(心の中で)散々毒を吐き、本題へ移行する。

(旅客機を利用するっつったってどォするよ、セキュリティだって硬ェし)

(独自技術の漏洩を防ぐ為だろォがロックが辛すぎる)

(ピカチュウ(14)なら何とか出来るかもしれねェ、が)

(協力なンて出来る訳がねェ、詳しく事情を話すなんて以ての外だ)

珍しく苛立ち始める。
髪の毛を掻き毟る。

(陸路はありえねェ、海路もありえねェ、空路すら難しいと来たらお手上げだ)

(……だけど、)

(このままここにいる訳にはいかねェ)

(学園都市内にいると分かってて、真っ先に疑いの目を掛けられンのは木原くンだ)

(真っ先じゃなかったとしても、いずれ木原くンは疑われる。)

ここまで考えたところで舌打ちを鳴らし一度思考を中断する。
このまま入っているとインデックスがうるさい。




風呂から上がった後も、夕飯を口に運んでいる最中も、インデックスが寝た後も頭の中は学園都市から脱出する考えでいっぱいだった。
学園都市から出るのはいいが、インデックスをどうするか。

(イギリスに届けるかァ?いや喉の奥にあンなバカげた防衛機能張っとくよォな連中に預けられる訳がねェ)

(——十万三千冊の魔導書、か)

(つゥかこの頃ロクなことねェよなァ)

(絶対能力者になる為に二万のクローンを殺せだの、クソシスターを養うことになるだの、クソシスターのせいで死にかけるだの)

(それで問題山積みって詰ンでるだろ)

(オレハードモード選ンだ覚えなンざねェンだけどなァ、あれか、これ人生二週目か)

大袈裟に溜め息を吐きソファに腰を掛ける。

(……とりあえず今日は寝るか、明日何とかセキュリティの穴をどっかしら見つけねェと)

そしてそのまま、ゆっくりと闇に意識を落とした。




書く気ないだろこいつ、と思ったそこのあなた!
間違ってません!

ずっとポケモンやってました!
霰パで俺TUEEEEEEEEしたり鉄火バトンで俺TUEEEEEEEEしてました
ついでに今日のロッテを見て「あ、これBクラスだわ」と思いました(小並感)




更新待ってたがポケモンなら仕方ないね

ポケウッドで腹筋破壊しながら待つよ

乙!
ポケモンなら仕方ないよ
誰だってそう言うよ

ポケモンかー
ダイパの頃に初めて攻略サイト見て対戦考察とかなんかついていけなくなってやめちゃったな

追いついた!

やばいっす、超期待してるっす


面白いから頑張ってください!

気体気体!

一方とインさんの絡みでニハニハしますわ

全 然 書 い て ね え

CoDでフレンドとジャベリン撃ち込みまくったりしてたらこんな日にちだよ!
とりあえず一日一レスを心掛けます(震え声)
許してください!なんでもしますから!

ん?今ゲームは1日1時間って言ったよね?(オカン特有の難聴)

も〜お父さんに叱ってもらいますからね!!!

すげぇ、SS内の日付確認しようとして日付確認するのに10日掛けてやっとこのスレきて確認したわ
なにやってだこいつ

マリン行ったり忙しくて1レスと半分くらいしか書いてねえ
多分九月になるくらいまでずっとかなりゆったりかもしれないです、ごめんなさい

まあ、あんまり無理しないようにね
あんま無理しちゃうと書く事が義務に感じて、そのまま書き続けたらあっという間に気力消し飛ぶからな、俺みたいに

がんばー

気が向いたらでいいよ
また最初から読んで待ってるし

>>341

ポケウッドはカルトにするルート見つけるのが楽しかったです。

>>342

ですよね!わいは悪くなかったんや!

>>343

ダイパでついていけなくなったらBWはヤ・バ・い

>>344

ありがとうございます(´;ω;`)

>>345

ありがとうございます!

>>346

二人は白キュア!

>>348

ファッ!?

>>349

許してください!なんでもしますから!

>>351

1から見返したら文章ぐっちゃぐちゃで逆にやる気が出ました(`・ω・´)
やったぜ。

>>352

ありがとうございますー。

>>353

最初から読まれると色々恥ずかしいです、文章が下手すぎる所とか。


二日で書いてきた(絶望)ので投下しますー。



朝だ。

随分前から日の光が入っていたので分かっていたが、起き上がる事すら怠かったので二度寝した。

(……あァ?)

起き上がろうとして、ふと何かに気付く。
身体が妙に重いと思ったら、そこには毛布が被さっていた。
ついでに一枚紙切れも毛布の上に置いてあった。

(はァ…つゥか今夏じゃねェか、なンで毛布なンですかァ?反射使ってなかったら間違いなく暑くて死ねるだろォが)

と、毛布を適当にたたみながら紙切れに視線を落とす。


あくせられーたへ

いくらおこしてもおきなかったからここにかきとめておくね?
あさごはんはきはらにたべさせてもらったんだよ
きはらがめーるにめをとおせっていってたんだよ
わたしはちょっときになることがあるからでかけてくるかも
よるにはちゃんとかえってくるね

      index-Librorum-Prohibitorum

恵まれない平仮名から手慣れたサイン。

「……あァ、あいつイギリス人だったっけか。普通に喋るから麻痺してたわ。」

まずは純粋に驚いたというのが彼の感想だった。
そして第二に完全記憶能力で単語の意味は理解していても、漢字の使い方は曖昧なので平仮名を使った、と勝手に推測した。
だったら木原くンに書かせてもよかったンじゃないですかね、と思いながら自然に口が開く。

「まぁ仕方ねェンだけど読みづれェ」

これは三つ目の感想だった。




「携帯も持たせてねェし、探しにいかなきゃいけねェよなァこれ。つゥかメール見ねェと」

オレ携帯の箱すら開けてねェのにいつのまにメアド把握したンだよ、となりながら初めて携帯を開く。


【DATE】07/23 06:24
【FROM】木原
【sub】一応、
------------------------
セキュリティの抜け道はあったぞ。
7月の終わりに23時から30分、滅多に交代しない警備員が交代する。
ここを逃したら次は12月になる。
手薄でセキュリティレベルも低い旅客機はちょうどよく超音速旅客機だ。
更に技術漏洩を防ぐ機能で、墜落時に旅客機自体を溶かして落ちた場所を隠蔽する事も出来る。
ここまで調べれば十分だろ、存分に感謝しやがれ。
という訳でぶん殴らせろ、ついでに沢村戦台所に置いといたから一発ぶん殴らせろ。



「そォいうのって外部からも操作出来るもンなンじゃねェの?まァ脱出出来るンならなんでもいいや、面倒だし。メールのこともいいや、突っ込むの面倒だし。」

「というか沢村戦あるじゃン、ナイス木原くンよくやった後でデンプシーだ」

色々疑問を持ちながらも、迷わずはじめの一歩を読み始めた。
いやお前インデックスさんどうした。




「あー、よく読ンだわ……あァ?」

机にぽん、と55巻を置く。
そしてここで何かに気付く。

「やっべ、完全にクソシスターのこと忘れてた」

今更である。
本は全体的にパッパと見れるくせに、漫画はゆっくり読むのか起きた時から最低でも一時間は経過していた。

(今は……、11時か。まァ遅くまで帰ってこなかったら探しに行くくらいでイイか。)

(あいつをいつも心配してたら身が保たねえわ)

(……これ前会ったロリコンに見える赤毛のアンの前で言ったらキレるだろォな)

と、地味に何も悪くないステイルをディスりながら、徐に新品の箱から携帯を取り出し弄りだす。

(GPS機能って便利だよなァ、迷子が持ってりゃ殆ど迷子じゃねェみたいなもンだろ)

(持ってりゃの話だけど)

謎の理論を展開しながらカチカチとボタンを押し、しばらくした時携帯を閉じる。

設定を終えた様だ。




それからとりあえず残った食材で適当に作った昼御飯を胃袋に詰め込み、夕食の食材を買う為に外へ出る。

勿論変装は忘れない抜け目無さだ。
因みに時刻は12時半。

(出るついでに探すかァ?正直いつどこで人様に迷惑を掛けてもおかしくねェし、なンか変なウニ頭浮かンだけどまァいいや)

(つゥかアイツ昼飯食ってねェだろォし試食コーナーに王者の風格で居座っててもおかしくねェぞ、うわめンどくさい)

ここで一つの考えが頭に浮かんだ。

「夜まで放置だな」

先程の考えはどこに吹き飛んだのかと言わんばかりの一言とともに玄関を開けた。




彼は今いつも通り人目に付かない裏路地を通っていた。

(なァンでなンもしてないのに道の真ン中すら歩けねェンだろ、悲しくなってくるわ)

(つゥかなンでオレの返事聞かずに二万体なンて製造したンですかね……維持費が凄まじい、はっきりわかンだね)

自分で選んだ道とやらに心の中でグダグダ愚痴をこぼしている一方通行。

(いつの間にか問題山積みで夏休みの宿題が終わらないみてェな状態だし、解決するかすらわかンねェし)

そんな事を考えている間に業務用スーパーの近くに辿り着いた。
今日は何故ここに来たかというと。

(いちいち毎日食材買いにくンのは流石にめんどくせェからな、まァ夏でも最低限長持ちするやつ買っとくかァ……)

完全にインデックスがいるせいである。
だけど自分で選んだ道だからね、仕方ないね。




「高ェ買い物したわァ、引っ越し並の規模で運送するレベルだぞこれ」

視線の先にはお徳用素麺や山のようなジャガイモ等の食材に加え、更には冷蔵庫まであった。

「木原くンちの冷蔵庫でこの量じゃ冷凍保存なンて出来ないからね、仕方ないね」

都合良く手数料さえ払い住所を指定すれば一時間以内に届けてくれるらしい。
流石学園都市!トンデモ設定でもお手の物だぜ!

(つゥかこの設定無かったら持ち帰りようがねェしなァ)

ぶっちゃけこの件自体ただ裏でフラグを建てておくだけの時間潰しだなんて言えないもんね!

「あ、すいません。ご住所をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

と、そんなメタを言っている間に店員が笑顔を見せながら住所を検索する準備をしていた。

「第七学区12の———」

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—————————————————


「あァめンどかった」

小学生並の感想を呟きながら、新たに加わった仲間のドアを閉める。
帰ってくる間に路地裏でチャラい見たことあるようなメルヘンに因縁を付けられたが、特に問題なく殴り飛ばしたりしたがそれは敢えて省こう。

(なンだったンだあいつ、いきなり死ね一方通行とか言ってきたけど、つゥかオレ変装してたンですけどなんでバレてるンですかね)

ひたすら無駄な時間(40秒)を過ごしたと半ギレしながらソファに腰を掛ける、が
インデックスが帰ってきてから作るんじゃ効率が悪いと思い、とりあえず肉じゃがを作ることにした。

※一方通行先生の料理教室はやる気の都合でカットされます。


—————————————————


よし!すっごく後半省いたけど問題はなかったな!

次ウニ頭来そう
いや来る(確信)

乙です
おかえり!

本当にウニ来るの?(不信)

わーい おかえりなんだよ!
引っ越し並の買い物ワロタ

続ききてれう
一方さんの肉じゃがをレンチンして食べたいお

お、朝に上がってたのか(驚愕)
おつー

友人に色ミニリュウ乱数してもらってテンション上がってる粗大ゴミが投下しにきました

>>363

ただいまですー

>>364

来るんじゃない(適当)

>>365

主にインコースにズバッと決まるストレートさんが悪い

>>366

一方さんならなんだかんだ言いながら温めなおしてくれると信じている

>>367

ありがとうございますー



「後はパパッと寝かせて、終わりィ!」

慣れた手際でナベに蓋をする。
マジ家庭的イケメン。

(時間が余るってのも厄介なもンだなァ……)

と、何かを思い立ち木原くンの部屋を漁りだす。

「お、あったあった」

取り出した物はまごうことなきPlayStationシリーズ最新機の3だった。
そしてプレステのディスクがあった棚を徹底的に漁る。
木原くンの部屋なのでむしろ更に酷い荒らし方をしている感じがするのは気のせいではないだろう。

「今日はよく探しものが見つかるらしいなァ、クソシスターは知らねェけど」

丁寧に取り出したのはPS3のFirst person shooter、Call of Duty:Black Ops、略称CoD:BO。
CoDシリーズの中でかなりプレイヤーが集まっているゲームだ。

「暇だし帰ってくるまでとりあえずあいつが帰ってくるまでこれでもやってるか」




戦果は凄惨な物だった。
MW3の感覚でスナイパーを使ったらなかなか一発で落ちなかったり、火炎放射で焼いていたらフラグジャケットプロによって色々酷い事になったり、救援物資がハッカーによる被害を受けるなど。

「……ま、まァキルレ1.7だしィ」

と、やや声を震わせて絞り出す、ついでに携帯をちら見すると時刻は七時。
いよいよ自主的に捜索しなければならないような時間がやってきた。

(探しに行くかァ…めンどくせェ…)

漸くいよいよ探さないとヤバいと感じたのか、やや急いで机に置いてあった鬘と眼鏡を手に取った。

「あーァ、世話焼——」


ピーンポーン


ここで完璧なタイミングでチャイムが鳴り響いた。
あいつどっかから見てただろ、と呟きながら通話ボタンをカチッと優しく押す。

「はァい、どちらのシスターさンですかァ」

「ただいまなんだよ!」

「どちらのシスターさンですかァ」

「……イギリス清教なんだよ」

「そンな事どォでもいいや」

じゃあなんで聞いたの!?という正論を一切無視して、エレベーターに繋がる扉を遠隔操作で開ける。

「どォせお腹減ったンだよあくせらえもンとか言うつもりだったンだろォ?つゥか早く入れよ」

「なっ!それはちょっと失礼かも!?言われなくても入るかも!」

少々軽い口喧嘩を繰り広げる。
あくせらえもんってなんなんだろう、と考えながらインデックスは静かに開いたエレベーターに駆け込んだ。




「わぁ、新しい冷蔵庫が増えてるんだよ!」

「主にオマエの暴食が原因なンだけどなァ」

と、目を輝かせているインデックスにやや呆れながら口を開く。
本当にこいつ食べ物しか考えてないのな、と考えながら火を付ける。

「ということはこれからいっぱいご飯を作ってもらえるかも!?」

「マジでオマエをぶン殴りてェ」

いい加減にしろ、という表情と人を数人殺ってますと言わんばかりの視線を、完全に無視しながらインデックスは冷蔵庫を開きながらはしゃぐ。
どォしてこうなった?と呟きながら先に作った肉じゃがを再加熱しようと彼は決めた。

「今日は……肉じゃが!?実物を食べるのは初めてなんだよ!」

「やっぱ肉じゃがは外国じゃ見かけねェもンなんだなァ」

横から頭を出しながら鍋を覗き込むインデックスを左手で抑えながら、コトコト煮込む。
その姿は髪の毛も相俟って年の差離れた兄妹のようだ。

「つゥかすっごく邪魔なンですけどォ?」

「いい匂いがするから仕方ないんだよ!不可抗力なんだよ!待ちきれないんだよ!?」

早口で急かすインデックスを抑えながら、一つ息を吐いた。




「……イギリスの飯ってそンなにまずいのかァ?」

食器を洗いながら、満腹になり満足げなインデックスに質問する。
それに対しインデックスは突然真面目な表情をした。

「……正直、日本やイタリアとか、そういった料理に関してちゃんとしてる国に比べたら、食べれたものじゃないかも」

「いくら食っても足りねェよォなやつに言われるってことは相当なンだなァ……」

食器を丁寧に整理しながら呟く。
それに対し頬を膨らませるインデックス。

「……レディに対して失礼なんだよ」

「飯十杯要求する奴をレディとは呼ばねェ、オレは絶対に呼ばねェ」

「あ、く、せ、ら、れ、ー、た……」

素晴らしい威圧感。
怨念と共に牙がきらりと光る。
対峙してる彼には黒いオカルトじみた何かが見えただろう。
そのインデックスを見て危険を察知し、“学園都市最強”は即座にトッポを渡し事なきを得た。




「あァ、忘れてた」

「なにを?」

何かに気付いた一方通行は思わず口を開く。
もぐもぐと口を動かしているインデックスもそれに反応した。

「金もねェのにあンな朝からさっきまでどこほっつき歩いてたンだって話だ」

「えーと……何から話せばいいかな?変な人達に話し掛けられた話?ツンツン頭の人に助けられて逃げた話?ツンツン頭の人にご飯を作ってもらった話?ツンツン頭の人の寮でメイドさんに会った話?ツンツン頭の人にここまで送ってもらった話?」

「ごめンちょっと突っ込み所多くて何言ってるかわかンねェ」

寿限無のアレと言わんばかりにすごい勢いで訳の分からない事を口にしていく。
一方通行は完全に呆気に取られ、詳しい説明を求めた。


—————————————————




—————————————————


主な説明はこんなものだった。


裏路地を通っているとスキルアウトに絡まれる。

         ↓

上条当麻というツンツン頭が出てきて助けてもらい一緒にスキルアウトから逃げる。

         ↓

お 腹 が 空 い た ん だ よ 、 ご 飯 を く れ る と 嬉 し い な 。

         ↓

なんやかんやで土御門舞夏という少女と知り合う、メイド服だった(小学生並の感想)

         ↓

またスキルアウトに絡まれるのも大変な為、上条当麻に送ってもらう。

「やっぱり人様に迷惑掛けてンじゃねェか糞シスタァァあああァァァァァ!!」

当初予定していた試食場荒らしを超えて、ご馳走を作ってもらうにランクアップしたインデックスの出来事に思わず怒号が響く。

「なっ、どうしたのかな!?」

「どォしたのかな!?じゃねェンだよォ!完全に謝罪しなくちゃいけねェだろォが!何杯だ!何杯むしり取ったァ!」

早口で問い正しながら、咄嗟に財布を掴み取ってとりあえず一枚諭吉をテーブルに出す。
基本的に彼は面倒事が嫌いだ。
金で解決出来る問題なら誠心誠意謝罪とともに金を譲渡する程度に嫌いだ。

その姿を見ていたインデックスは何かを思い浮かべてから、笑顔で口を開いた。

「八杯だったんだよ!」




どォせそンな事だろォと思ったわ、と吐き捨て財布から樋口を一枚、野口を三枚抜き取りテーブルに置く。
どうやら一杯1000円、更に上乗せで10000円という考えのようだ。

「明日、ちゃンと渡しにいけよォ……」

「わかったんだよ!」

最初から探せばよかった、と彼は心から後悔した。
そうすればこんな面倒事は避けられたのに、と。
だがこれに関しては完全に自業自得と思っているのか、一方通行はまた一つ大きく息を吐いた。


投下終わりです

ほら、Kさん出たぞ
次はKさんの襲撃じゃないかな(適当)


フィッシュ&チップスは食える。
そんなふうに思ってた時期もありました。


こんなにお金をくれるなら上条さんは何でもしますの事よー!!

金を届けに行く→またご馳走になる→また金を届けに行く→またまたご馳走になる

大変だな

もう(一緒に住むしか)ないじゃん...

穀潰し どこに行っても 変わらずに 飯もお金も 全て吸い込む

相変わらずの遅筆
受験あるからね、仕方ないね

>>378

聞こえは旨そうなんだけど…ですね

>>379

金でなんでもしてくれそう(意味深)

>>380

そのループをぶち殺す

>>381

まだ、間に合います。

>>382

ポケモンかなにか?



——翌日の夜。
時刻は九時になる。


厄介な事が起こった。

朝は糞シスターに金を持たせ、携帯の使い方をある程度教え送り出した。
その後、一カ所の店からいっぺんにコーヒーを買い占めるのは場所をある程度特定されると踏んでコンビニやスーパーを転々としながら、コーヒーを集めていった。
途中でメルヘンチックな見覚えのあるやつを気に入らなかったからボコボコにした。
どうせ糞シスターがまたアホみたいな量食うんだろうと思い、疲れた身体に鞭打ってある程度先に作り、木原くンに帰宅は何時か、夕飯いるか確認は取った。

完璧だ。

だがおかしい。

何故だ?

何故あの糞シスターがついでに一人ウニ頭の見るだけでイライラするやつを連れて来やがってンですかァァァァァあああァァァァァァァァ!?




「正座しろ……あのよォ、まず詳しく事情説明してくれねェと流石に訳分からなすぎてここらへン一帯吹っ飛ンじまいそォだわ」

インデックスを正座させたつもりだったがそれに気圧されたのか、隣にいたツンツン頭の少年まで正座してしまった。
白い髪を掻きむしりイライラした仕草を見せ、インデックスを睨み付ける。
それに思わずびくっとし、インデックスが申し訳なさそうに口を開く。

「えっと……お金を落としたり、とうまの家を爆破しちゃったり、とうまの携帯を踏み潰しちゃったり、私が連れ去られた時に追ってきてくれたとうまがクレジットカードを紛失したりかくかくしかじかなんだよ……」

「最初っから最後まで訳わかンねェンだよォォォォォォォォォォォォォォォ!!オマエ本当はシスターじゃねェだろ!?これ、おま……全体的にオマエのせいじゃねェかァァァァあああァァァァァァァァ!!」

二夜連続の暴露。
しかもレベルが桁違いだ。
家を爆破?携帯粉砕?不幸のマシンガン打線か!と言わんばかりに頭を壁に打ちつける。
つーか連れ去られたとか人生に飽きそうにないな、と溜め息を吐きながら頭を打ちつける。
そんな一方通行を見てウニ頭が口を開いた。

「あ、あのー……」

「あァ?あー……すいませン、こいつが迷惑お掛けしましてェ……」

虫の居所が悪そうに声を絞り出す。
謝罪しても謝罪しきれないという様な感覚に一方通行は陥っていた。
誠心誠意頭を下げる一方通行の姿にいえいえと一言口にしてから、更に話を広げる。

「いやー上条さんが不幸なのはいつものことなので気にしてないんでせうが……」

「家が無いのに加え追い討ちにクレジットカードがないのは、流石に死活問題なので今日一日だけここに泊めてくれないでせうか?」

「……あァ、そりゃそォだな」

一方通行は不幸な少年のささやかな要求をほぼノータイムで受け入れた。
というか受け入れざるをえなかった、主にインデックスが悪いから!
そして正座してる少女とツンツン頭を見比べ、どっちが聖職者だよ、と心の中で呟いた。
あくまで心の中で。




一方通行はお人好しではない(自称)。
ベランダに引っかかってる暴飲暴食のアホを養ったり、現在進行形で家を無くした全く知らないツンツン頭と盛り付け等を二人でやっているがお人好しではない(自称)。

「あ、そういえばなんて呼べばいいんだ?」

「……あァ?」

突然放たれる質問。
それが自分の呼び名だと理解するのには、白米をよそう手を止めてから数秒掛かった。

「……一方通行<<アクセラレータ>>だ」

「やっぱりインデックスと兄弟だったりするのか?」

「少なくともオレのこの名前は能力名だ、本名のアイツとは違ェ」

加速装置?どんな能力だ?とツンツン頭が怪訝そうな表情を見せるが面倒なのでスルーしながら、冷蔵庫に手を掛けてから口を開いた。

「……つゥかオマエの名前を聞いてねェ訳なンだが」

不機嫌そうに漏らすと、ツンツン頭はああ、悪い悪いと軽い様子で答える。

「上条当麻だ、よろしくな」

「……おォ」

短く簡潔に返事をする。
いつ振りだろうか、特別な事情を持たない人間と対等に接する機会が出来たのは。
記憶にないな、と考えながら冷蔵庫から冷えたコーヒーを取り出す。

何故かはわからないが、今口に含んだコーヒーはいつもより少し甘かった気がした。
勿論そんな事は無い…筈。




「つゥか外見には突っ込まねェのかよ」

「へ?ああ、まぁ……細いなぁとは」

「誰がもやしだ殺すぞ」

「いや言ってない言ってない」
いやまず肌が異常に白いのと目が赤いのを気にしろと。
特別触れられたいという訳ではないが、触れられなかったら触れられなかったでそれなりに寂しい物だ。
一番の特徴だし。
つーか会話早々速攻でコンプレックスに触れてんじゃねえよ。

「そういえば何処の生まれなんだ?」

「あァ?糞シスターならイギリスらしいが」

「いやそうじゃなくてお前が何処の国出身なのかなーって」

おせーよ外見に触れンの、順序逆だろ完全に、つゥか初対面でお前はねェだろと内心溜め息を吐く。

「これはオレ自身の能力が有害な紫外線をカットして身体が色素を必要としなくなったから、っつゥ話だ、まァ詳しい事は知らねェけど」

「へー……じゃあ普通の日本人なんだな。あ、並べ終わったぞ。」

「……普通、じゃねェだろォけどな。ならマリカずっとやってる糞シスター引っ張りだしてこい」

上条は……?と疑問の表情を浮かべながら、ひたすら真剣にタイムアタックをしているインデックスに話し掛けに行った。

(インデックスは集中してる所を邪魔するとぶち切れて噛みついてくるからなァ、すまねェが身代わりになってくれ)

次の瞬間、嫌な音とともに不幸だああああああああ!と断末魔が響いた。
可哀想に。




「上条さんが悪いんでせうか……?」

上条は思わず溜め息を吐いていた。
察しの通り噛みつかれたのだ。
噛みつかれた部分の痛みを抑えるようにさする。

「なンつーか予想通りになって良かったっつゥか、行かなくて良かったっつゥか、つゥかオマエ相変わらず暴食だなっつゥか」

予想通り自分の代わりに不幸になってくれた上条、コイツ絶対呪われてンだろ……と呟きながら脇に目を移すといつもと同じように食材が浮いてる奇想天外な光景が見えた。
見たくもなかった。
気分悪くなったからとりあえずコーヒーを流し込んだ。

「おいしいんだよ!いつもありがとねあくせられーた!」

「感謝の気持ちがあるンだったら少しは家事をしてくれ、いややっぱ皿割りそうだからいいや」

「随分過小評価されてるかも!?」

その様子をじーっと見て、上条はいかにも面白いなこいつらという目つきをしていた。

「……なンだよ?」

「ははは、いやー家族みたいだなぁって、この場合は兄妹か?」

「こいつが妹だったら数ヶ月で破産して夜逃げする自信がある」

「あー……」

「そ、それってどういう意味かも!?」

その言葉に一方通行と上条は顔を見合わせる。

「いやァ…」

「……なぁ?」

「なんなのかなその間は!?」

「暴飲暴食でうるせェし家破壊するし……金はいくらあっても足りねェンじゃねェか?」


不吉な牙が光る。
一方通行はこれから起こる不幸を瞬時に察し、立ち上がった——

「ごちそォさまァ、……あァ、話を振ったのは上条だからな、オレ全然関係ねェからな」

——そして何の躊躇いもなく全てをなすりつけた。
上条はあまりにも堂々となすりつけられた罪に思わずきょとんとした。
そしてハッとなり叫んだ。

「ふっ、不幸だああああああああああああああああ!?」



がぶっ





「食器はオレが洗ってやる、それがせめてもの情けってやつだ」

「まず助けてくれよ……うがー……インデックスの顎はどうなってるんだ……」

現在、とてつもなくシュールな光景がこの場には広がっていた。
白の布にウサギの顔がプリントされてある可愛らしいエプロンを着ながら、学園都市最強が食器を洗っていたり。
すぐそばには頭に包帯を巻いたツンツン頭が転げ回っていたり。
ついでに頭をぶつけていたり。

「なンか悪ィな、こんなポジションで」

「流石にいつも不幸な上条さんもここまで不幸が重なると嫌になってくるのでせうよ……?あ、お風呂使わせてもらうぞ一方通行」

と、ずんずん風呂場へと進んでいく。
アイツ一応泊めてもらってる側じゃなかったっけ、などと思いながらスポンジで皿を磨く。

ここであることに気付く。

「……インデックスの姿が見えねェンだが」

とりあえず冥福をお祈りしとくか。
そう呟いた時風呂場から、と・う・まー……という背筋が凍るような声と、彼の口癖なのか不幸だああああああああああああああああ!!という断末魔が響いた。
……まぁ、これに関しては自業自得だと思うけど。




「そういえば」

風呂場の入口に頭を抱え込みながら痛みに震えているツンツン頭が口を開いた。

「あン?」

「迷える子羊を導くってシスターさんが言ってなかったっけ」

「今更何言ってンだよ、今のオマエは糞シスターのせいで路頭に迷ってンだろォが」

そうだ、それだよ!と言い立ち上がる。
オマエは大概不死身だな。

「もっとシスターさんは母性があって、清楚であるべきだ!あと巨乳であるべきだ!青ピの言う通りだった!」

「……あっそォ」

全く脈絡も無かった話を興味なさそうにスルーしながら、慣れた操作でパソコンを起動する。

「カード番号覚えてるかァ?検索掛けて場所特定すっから」

「え?そんなこと出来るのか?」

「風紀委員以外がやると結構グレーだけどな、その点は問題ねェ。」

「それ問題あるだろ……、まぁいいか。」

靴下から何やら紙を取り出した。
恐らく16桁の番号が書かれているであろう。

「うわァくっせェ……死ねよ」

「出したのに酷くないでせうか!?」

「だってくせェし」

バカにした調子でツールに数字を高速で入力する。
そして数秒と経たない内に座標が表示された。
その位置に眉をひそめる。

「……ちょォっとお出かけしてくるわ」

「場所が分かったのか?」

「あァ」

「なら俺も行くよ」

その言葉にいや、と置いといて更に口を開いた。

「こォいうのはお人好しの仕事じゃねェよ」




ここは見覚えのある廃虚。
浜面仕上に連れてこられたスキルアウトのアジトだ。
そこに臆せず、真正面から突入した。

「浜面くンいますかァ」

間の抜けた声で呼び掛ける。
その声に応じて出てきたのは、チンピラ崩れっぽい姿の浜面ではなく、いたって普通な外見の男だった。

「なんだ?浜面なら他の所にいるぞ」

「あァ?めンどくせェ……、いちいち一から十まで説明すンのもだりィから本題に入るぞ」

え?ああと言った感じの曖昧な返事をしたスキルアウトを無視してポケットから先程の紙を出す。

「この番号のクレジットカードがここにあるはずだ」

「いつのやつだ?いちいち番号は覚えてなくてな」

「今日だ」

「今日は確かに一枚届いてたな、持ってくる」

クレジットカードを探しに後ろに下がっていくスキルアウトを見ながら、溜め息を吐きボロボロのソファに腰を掛ける。

「これでいいかー?」

「いや見えねェからわかンねェよ」

それもそうかと呟いて奥の部屋から出てきた。
その男はフリスビーを投げるような感じで軽くクレジットカードを投げてきた。
ナイスコントロールと思わず呟いてしまうほど完璧に手元へと届いた。
確認した後、右ポケットに突っ込む。

「……あァ、確かにこれだ。無駄な手間掛けさせてすまねェな」

「いやこっちも位置情報が付いてる物を持っていたく無かったから助かったよ、今日はそういうのを外せるのがいなかったからな」

あっそォ、と適当にあしらい出口へと歩いていく。
少しした所で歩みを止める。

そして一拍置いて、口を開いた。

「……駒場はどォなった」

「駒場さんは……危篤らしい」

その質問に絞り出すように口を開く。
顔を見ていなくても恐らく、悲痛な表情をしている事が伺える。

「……そォか」

「いやお前は最高の事をしてくれた、お前がいなきゃ……最後の言葉すら、伝えられなかったかもしれない。ありがとう。」

「素性を明かした覚えはねェぞ」

「浜面に頼まれたんだ、礼を言っといてくれって」

「チッ、そォかよ」

その返答に舌打ちをしながら歩みを再び進め始める。
あ、そうだ。と先程のスキルアウトが声を上げる。

「寿司持っていってくれよ、俺板前修行中なんだ」

「……遠慮しとく」

「いいから受け取ってくれよ、俺からはこんな事くらいしか出来ないんだ」

「チッ……早くしろ」




一方通行は基本的にこういうのは苦手だった。

会話相手は研究者ばかり、こういう辛気くさい話は彼の経験上一度も無い。

つまりはこういう時の対応の仕方を知らないのだ。




「結局無駄なもン沢山持たされたな、つゥか案外スキルアウトもまともなやつはいるのな」

そういう彼の両手には大きいビニール袋の中には、寿司やら菓子やら沢山の食品が溢れそうな程入っていた。

帰路に就いていた彼は考えていた。

情けない。
自分の能力は無能力者の命を少し延ばす程度でしか無かったのか。

(あー……、なンかわかンねェけどイライラする)

柄にも無く、一度も口にした事の無い思いを呟いた。

救いたかった。

自分でもらしくないと思ったのか、舌打ちを漏らす。
そんな事を考えている内に玄関へと辿り着いた。

(寿司は木原くンにでも渡すか、糞シスターと上条には……菓子でもやるか)

右手のビニール袋を左手に移し、ポケットから鍵を出し、ドアを開く。

そこには。




インデックスが木原くンに噛み付いていたり、上条がパン一で泣き崩れていたりしていた。

くだらねェ、と一方通行は思考を放棄した。

「上条はソファで寝てくれ、オレはもォ寝るわ」

面倒だった。
経緯を聞くことすら、どうせくだらないから。

そう思い、彼はベッドで目を閉じた。


もうちょっと早く書けるように努力したい

したいだけ

いやしなくちゃ(使命感)

あ、あと駒場については未元物質が傷口に云々して冥土返しの治療を邪魔した、とでも解釈してください

乙!

乙!
おうちがにぎやかになってきたな
先が全然予想できない

そりゃそうだよ(便乗)
作者だって予想も予測もしてないと思う(小並感)

いちいち括弧つけやがってお前らは裸エプロン先輩か(すっとぼけ)

乙!!
内容忘れたっぽいからまた1から読むわ!!

乙です

木原くンに噛み付くインさん..(笑)

(お、Jか?)

>>397

ありがとうございます!

>>398

大人数を同時に喋らせるのは苦手なので頑張りたいと思います。

>>399

一応大雑把には考えてるから(震え声)

>>400

そうだよ(便乗)

>>401

ありがとうございます!

>>402

木原くンはやっぱりこういう役柄になってしまう、悲しいですね!

>>403

(いかんのか?)
よろしくニキーwwwwwww


レスが血となり肉となりモチベとなり意外と早く書けました




夢を見た。

随分昔だっけか。





ここは……研究所か。
目の前にいるのは……木原くン?

『ははっ、こんなガキが本当に超能力者になれんのかぁ?笑わせんじゃねえ』

ガキじゃねェ。
てかなンだよその刺青。
ちょっと背伸びした中学生かよオマエ、流石のオレも引くわ。

『ぶっ殺すぞクソガキ、あーあー今日からてめぇの子守しなきゃいけねえなんて最悪だわ』

うるせェ、こっちだって好きでオマエみたいなヤクザと話してねェよ。
つゥかその刺青だせェンだけど。

『そんな服着るようなセンス持ってる奴に言われるとすげー嬉しいわ』

クソ野郎が、死ねよ
つゥか殺す。

『上等だクソガキ今から死ね』

いってェ!なンで反射かいくぐってンだクソ野郎!

『てめぇの反射する演算パターンなんて徹夜して覚えてんだよクソガキ、当たる瞬間拳を引いてぶん殴ってんの、ここまでお分かり?』

訳分かンねェ、バカじゃねェの死ねよ。
つゥか殺す。

『てめぇマジで刺青剥がそうとしてんじゃねえぞクソガキがああああああああああ!!謝れ!ひれ伏せ!今すぐに!』

誰がひれ伏すかチンパンジーがァァァあああァァァァァァァァァ!!
刺青剥がれてもれなく死ね!つゥか殺す!

『てめ、マジで少し剥がれたじゃねェか謝れ!』

うわ、見た目更に気持ち悪くなった。
ごめンねヤクザ、気持ち悪いから今すぐ死ね、つゥか殺す。

『上等じゃねえかああああああああああああああああああああ!!悪い事したら謝罪っつー方程式を刻み込ませてやるよおおおおおおおおおおおお!!』

かかってこいよチンピラァァァァァァ!!
二、三十発ぶン殴ってこの世からサヨナラバイバイさせてやっからよォォォォォォォォォ!!




こうして、拳を交え常識を一方通行の頭にインプットしていった。
しかしその常識を適用するのは何故か木原くン以外。

ついでにこの頃から木原くンが持ってきたはじめの一歩を(勝手に)読むようになった。

心無しかマジなパンチを撃たれて死ぬんじゃないかと思った時期も木原くンにはあったらしい。
まぁこれは別の話なんだが。

(懐かしィなァ……、なンつゥか色々)

この愛(笑)が籠もった教育のお陰で性格はねじ曲がるものの、最低限の道徳は持っていた。

そしてはじめの一歩を読んで、読んで、読みまくってある事を考えた。

『もしかしてベクトル変換してこォいうおかしな事やれンじゃね?』

試した、勿論木原くンに。
木原くン思いっきり倒れた。
すっげェ笑った。
救急車呼ぶハメになったが。

これで(木原くンに)使えると確信した。
いつの間にか日常内でついつい木原くンにカウンターを撃ってしまうようになっていた。
この時期だかに超能力者認定された、こういうぶん殴るような事は全く木原くン以外に見せたことはないが。

ついでに料理をするようになった理由は、奨学金が殆ど木原くンに渡され、小遣い制度になったせいである。
毎朝昼晩料理を作り、金を手に入れ、ゲームをする。
そんな毎日だった、が。

あまりにも木原くンが毎日ぶン殴られて治療費が大変だからと、木原くンはオレの担当を外された。

代わりの担当はどいつもこいつも一週間すら保たずたらい回し。
挙げ句の果てには放置と来た。

で、思った訳だ。

木原くンって意外とすごかったのかも?と
ずっと木原くンが担当だったら普通に学校行ってたかもしれなかったかもしれない。
今は知る由もないが。

(木原くンってこの頃からバカだったなァ……朝飯作るか)

彼はベッドから立ち上がり、まだ眠そうに台所へと向かっていく。




「ポテトサラダ作りすぎた、なンてこったい、これ絶対木原くンのせいだから後で一発ぶン殴ろっと」

全く脈絡も無い殺害予告、そして確実に多すぎて山のようになっているポテトサラダ。
寝ている木原くンにはそれは勿論伝わらない。
アーメン。

「味噌汁うめェ、コーヒーぶち込みたくなるわ」

ある種のテロとも取れる発言を聞くものはいない。
誰かこいつを止めてくれ。
いつもと変わらない調子で椀に白米を盛る。

それに気付いたのか知らないが誰か起き上がったのだろう、リビングのドアが開く。

「いい匂いがするんだよ…」

そこには香りに釣られてきたのか、フラフラとインデックスが歩いてきた。

「顔洗え」

「あ、おはようなんだよあくせられーた!」

「朝からうるせェ顔洗え」

はーい、と洗面所へとてとて歩いていく。
現在の時刻は六時半を少し過ぎたところ。
なるべく生活リズムを整えるのも木原くンの教育の賜物である。
当の木原くンはすごく生活リズム悪いけど。

「そォだ糞シスター、目玉焼きか玉子焼きどっちがイイ?」

「ふわふわの玉子焼きがいいんだよ!」

「わかった、卵かけご飯なァ」

えっ!?意見完全無視!?という声を無視して、鮮やかな手捌きで卵を割る。
それも知る人ぞ知る妙技、片手割りだ。


「そォいや、昨日なンで木原くン噛み砕いてたンだよ」

「か、噛み砕いてなんかないかも!」

「あれが噛み砕いてねェならなンだ、アレか頭蓋を粉砕してたのか」

「まず砕くって言葉が用いられる事自体おかしいかも!?」

むきー!と顔を赤くし手を振り回すインデックス。
一方通行はそれを見て溜め息を吐きながら口を開く。

「じゃあ仮に噛みついてただけとしよォか」

「仮に!?」

話が進まないと判断したのかインデックスの声を無視し、更に続ける。

「だからなンで木原くンに噛みついてたンだっての」

「えっと……あれはあくせられーたが帰ってくる少し前だったんだよ」

—————————————————




—————————————————

『おらクソガキ帰ったぞー、とっとと飯出さねーとぶっ殺すぞー』

突如として開く玄関。
この陽気なのかのんびりしてるのか分からない声からして木原だろう。

『えーと、誰?』

『あくせられーたのお父さん……って言えばいいのかな?とりあえず迎えに行ってくるね』

そっか、と納得した表情でインデックスを見送る。
インデックスがたたた、と音を鳴らし玄関まで駆けていく。

『おかえりなんだよ!』

木原に視線を向けると、怪訝そうな表情を浮かべているのが窺えた。

『どうしたの?』

『いや、クソガキの靴が無くて違う奴の靴があるなぁと思ってな』

と、ちらっと足元を見る。

『あ、今日は友人が……?友人?と、友達?……えーと友達が来てるんだよ!』

『友、達……?コミュ障で無愛想なクソガキのあいつに友達……?』

何か概念が壊されたと言った感じで少し立ち尽くす。
くそったれ、と口だけを動かす。
そして、叫ぶ。

『てめえらは“どんな関係”だあああああああああ!!』

『ええっ!?』

突然リビングへと駆けていく木原くンを見てインデックスは驚愕する。
流石に情緒不安定過ぎじゃないか。

『えっ、なんのことでせう!?』

『問答無用おおおおおおおおおおおおおおお!!』

その勢いのままリビングにいた上条を押し倒す。
勿論、いきなりの出来事に状況が把握出来ていない上条。
木原はいきなりそんな上条のズボンに手を掛け

「やめろォ!やめてくれェ!オレに生き恥を晒させるのはやめてくれェ!」

「……ね?わかった?」

悟りを開いたかのような表情で、壁に頭をぶつける彼を見つめるインデックス。
一応シスターさんだから悟りは元から開いていたのか、それともこの一件で開いたのかは定かではない。

「上条に謝罪とかそんなレベルを遥かに越えてきたなァ……木原くンホモだったのかよ……」

もォ立ち直れねェわ、と呟き何だかんだで盛り付けを進める。
そんな彼の目を見ると明らかに光が無い、所謂目が死んでいる。
やはり育ての親とも言うべき人間に突然ホモという疑惑が浮上したら、見る目がすごく変わるというものだ。

某日本ハムの選手もドラフトに掛からず、渡米していましたからね。




ふぅ、と一息吐き一方通行が口を開く。

「朝飯出来たから上条起こしてやれ」

「わかったんだよ!」

予想以上に大きな声で返事をする。
許容範囲外の音を反射していなかったため、結構耳に響いた。
うるせェ、と呟きながら更に続ける。

「……あァ、そォだ木原くンは起こすなよ。昨日の今日だから。」

「……わかったんだよ」

久しぶりに献身的な子羊してるな、と不覚にも思った。
今日のインデックスはそれくらい落ち着きがある。
さっきのやりとりは知らないが。

「木原くンと今話したくねェ……」

心から吐き捨てる。
そしてやや早めに料理を並べる。
このマンションはリビングが異常に広い。
横にすごく長い。
上条はその端のソファで寝ている。

一方通行が横をちらっと見ると、何故かまた上条が不幸だという断末魔と共に噛みつかれていた。

アイツいつか頭蓋骨砕けるだろ。




また恒例になっている様子で悶える上条に声をかける。

「おはよォございまァす」

「ああ……一方通行か、おはよう」

「どォせまた訳分からねェ沸点に触れたんだろ」

「うーん、それが分からないんだよな」

こいつ思ったけどクソみてェに鈍感なンじゃねェか、と思ったが心の中に留める事にした。
別に言う必要も無いし。

「アイスティーでイイか?」

「ああ、なんか手伝う事あるか?」

「ねェから食ってろ」

「そうか?じゃあ待ってるぞ」

「食ってろっつってンだろ、全部無くなるぞ」

……?と上条がテーブルに目を向けると完全にフライングでポテトサラダを貪るインデックスが見えた。
何となく一方通行が言っている事が分かったのか、自分もテーブルに向かう。

このままじゃ、食われる。
主に俺達の分が。

一方通行は別に大して朝飯には執着してない訳だが。

「おら糞シスター、アイスティーだ」

乱暴な口調とは裏腹に優しくジョッキをテーブルに置く。
ジョッキを。

「ありがとうなんだよあくせもぐもぐられー…ごくん、た!」

感謝する気ねェだろ、と呆れながら呟き、自らも箸で玉子焼きをつつく。

「それにしても久しぶりにまともな飯食ってるかもな……」

「そンな大層なもンじゃねェだろ」

「いやいや、貧乏学生にこの不幸体質だとタイムセールが無いと金欠で死んでしまうんでせうよ?」

目に涙を浮かべながら訴えてくる上条を見て、無能力者も不便なんだなと感じた。
ここまでの不幸が重なるやつは能力者でも無能力者でも見たことはないが。

「あァ、そォだ。オマエの寮の修理費の手続きだとか、糞シスターが踏み潰した携帯だとかの用事を済ませてェンだがイイか?」

「し、修理費まで?悪くないか?」

上条は戸惑いを見せる。
当然だろう、知り合って二日もしない人間にお金を払ってもらうのには流石に抵抗があった。

「悪ィのは糞シスターだろ」

「どういうことかも!?」

「そのまンまの意味なンだが」

「うっ……」

痛い所を突かれたように、先ほどまで鬼のように動いていた少女の手が初めて止まった。




「っつゥ事だ、異論はねェな?」

「でも……いいのか?」

しつけェよ、とわざとらしく溜め息を吐き、続ける。

「オレはこれでもボンボンだからさァ、こいつの責任を金で解決出来るなら喜ンで解決するわ」

適当な嘘を吐く。
彼はボンボン、という訳ではない。
むしろ身を研究者に弄くらせて得た金だ。

だが最後の方は本心だ。
元々金は出すつもりだったが、先程の貧乏学生という事を聞いて出さないと、から出さずにはいられない、に言葉が変わっていた。

「じゃあ……お言葉に甘えさせていただくけど」

「それでいいンだよ、遠慮なンてしてンじゃねェ」

どこか満足げな表情で言う。
そんな平和な三人の中に、“アイツ”が現れる。

突如、ドアが開く。

「起こしてくれてもよかったんじゃねーのかクソガキぃぃぃいいいい!!」

勿論木原くンだ。
その声が聞こえた途端、上条の肩がビクッと震える。
インデックスはいざとなったら噛み付く体勢を作っている。

一方通行は。

「うるせェ永遠に寝てやがれくっそ野郎があああァァァァァァ!!」

「え、ちょ」

有無を言わさずドォン!!という轟音が鳴り響く。
上条の視点だと一方通行は凄まじいスピードで木原の鼻先に出現し、飛び蹴りでリビングから一本道になっている玄関まで吹き飛ばした。

これが俗に言うヤムチャ視点なのか。
全く目が追いつかなかった。

そして左肩から落ちた一方通行は一言。

「瞬殺完了だぜェ……」

え?死んだの?という声をさておいて、また箸を進めはじめる。
木原くンなんていなかった。
つまりはそういうことだ。

余談だがその後、木原くンはどうにかしてホモ疑惑を晴らせたとさ。
めでたしめでたし。




「いやー……暑いな」

「そォなのか、能力のお陰で暑くねェけど」

「そういえばお前ってどんな能力なんだ?」

「紫外線をカットするって昨日言わなかったかァ?それを無意識下に行えるレベル3だ」

「実用的だな」

「違いねェ」

二人は今まで修理の手続きをしていた。
インデックスは留守番というと素晴らしくゴネたが、菓子を買ってくるという約束でそれは解消された。

勿論、一方通行は変装済み。
上条にはそのままじゃ目立つから、と適当にあしらったが。

幸い、寮の問題は隣の部屋等に被害は無かったらしく、燃えた部屋などの壁を張り替えたり、日常的に使う服などを買えば済む問題だった。

次の問題、携帯の為に数日前にインデックスと共に足を運んだ携帯ショップに向かおうとしたその時。

「アンタ、何やってんの?」

そこには、

(不幸体質が移ったのかァ?全く勘弁してくれよ、ったくよォ)

最も会いたくない人間が。

一方通行の中で現在遭遇したくない人間ランキング一位が。

灰色のプリーツスカート、半袖のブラウスにサマーセーターという格好の見た目何の変哲もないクソガキ。

現れてしまった。

(どォする?どォやってこの“オリジナル”をやり過ごすよ学園都市最強ォ!)


このSSにシリアスなんて要素どこにも見当たらないから案外解決するんですけどね!

最後のやつだけすごい適当ですね!

俺がどォする!>>1は無事海外高跳びまで持っていけるのか!

といった所でおしまいです、相変わらず書くの遅くてごめんなさい。

乙だぜ
自分のペースで書いていただければ幸いだよ
それにしてもKHRくンがホモだったとは、たまげたなあ

乙ですたい

俺っちの出番まだかにゃー

つまらん 糞 書くの辞めれば?

木原さんがホモだったって本当ですか?
幻滅しました...必要悪の教会ファンになります

ホモォ……

一方通行が木原にデレればいいんじゃないか(マジキチスマイル)

>>417
お前ここは初めてか?
力抜けよ(迫真の演技)

木原くンがホモでもアホでも俺はそんな木原くンを応援している

いつの間にか一週間過ぎてたでござる

二時くらいまでには投下します、遅筆ですいませんry

2時…つまり14時までにはってことだな

>>415

ありがとうございます
やっぱりホモじゃないか(感涙)

>>416

待ってろ

>>417

そうだよ(便乗)

>>418

必要悪の協会は本当にノンケしかいないように見えるんだよなあ

>>419

申し訳ないが腐女子はNG

>>420

おっ、そうだな(確信)

>>421

そうだよ(便乗)

>>422

木原くンは木原くンだからね、当然だね

>>424

45分……よし!二時だな!



—————————————————

ここまでのあらすじ!

KHRはホモ!


おしまい!


やせいのピカチュウがあらわれた!

 にげる  ごまかす
 たたかう きはらしね

—————————————————




—————————————————


学園都市最強はピンチに陥っていた。
それは身体的問題ではなく、家庭の複雑な事情的なあれだ。

(ごまかすしかねェよな、どォにか上条が下手な事漏らさなきゃイインだが……まァいざとなればぶン殴って黙らせるかァ?)

そう方針を固め、声質を変えているそばで上条が口を開く。

「おーどうした、ビリビリ中学生」

「ビリビリって言うな!私には御坂美琴っていう名前があんのよ!」

突然、御坂が髪の先から電気をバチバチと鳴らす。
ここで一方通行はとりあえず一つ安心した。

こいつは自分とわかって声を掛けていたという訳じゃない。

……まぁ、オリジナルの性格上、自分が誰かわかっていたのなら有無を言わさず雷撃を叩きつけてるだろうが。

「……勝負なんてしてやんねーぞ?いちいちめんどくさいし、今日は用事あるし」

溜め息が聞こえそうなくらい嫌そうな声色で言った。
その瞬間プチッ、と輪ゴムが切れたような音がした……ような気がした。

「アンタの事情なんて聞いてないわぁぁぁぁぁ!!」

なっ……と、一方通行は思わず声を上げそうになる。

あの女は、何故無能力者の人間に容赦なく電撃を浴びせようとしている?

(超能力者はみンなどっか弾けちまってるから能力実演が出来ないだとか誰かがほざいてたがよっぽどオレより弾けてンじゃねェかァァァァァァァ!!)

声が漏れそうになるものの、なんとか抑える。
刹那、青白い火花が散ったかと思った瞬間。

ズドン!!という嫌な音が鳴り響いた。

(やりやがったァァァァァァァ!いや殺りやがったァァァァァァァ!!なにやってンのこのオリジナルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!)

雷撃が四散した。

反応出来なかった。
いや、光の速さに反応しろというのが酷というものだ。

仕方ない犠牲だった、と自己完結しようとした時。

(……オイオイ、珍獣カーニバルかよ)

右手を突き出している上条の姿を視界に捉えた。
理解不能、一方通行はそういった表情を浮かべていただろう。




「ば……馬鹿野郎!他人様が見てる前でなにやってんだよ!」

「アンタがムカつくのが悪いのよ!」

その瞬間、辺りの電子機器が軒並みエラーを吐き出す。

思わず上条がはぁ!?意味分かんねえキレ方してんじゃねえ!と大声を上げる。
自分も正直びっくりした、第三位はここまで弾けていたのか。

上条も上条で何故雷撃を防げた。

だが、好都合。
会話すらせずにこいつから逃げられる。

「(おい上条)」

すぐさま声を掛ける。

「(なんだよ一方通行、ていうかどうにかフォローしてくれよ!)」

二人は小声で会話を始める。
御坂がなにやってんのこいつら、という表情をしているがそんなことは気にしていない。

「(ンな事はどォでもイイ、オレが合図したらあそこの裏路地通って携帯ショップまで走るぞ)」

人差し指で小さく、路地裏を指す。

「(え?何言って……)」

「(まだ気付かねェのかよ)」

言われてから、上条がハッと何かに気付いた。
その視線の先には殺気立った視線を向ける人間、そして。

『——メッセージ、メッセージ。エラーNo.100231-YF。電波法に抵触する攻撃性電磁波を感知。システムの異常を確認。サイバーテロの可能性に備え、電子機器の使用を控えてください。』

……?と超電磁砲は恐る恐る振り返る。
ぷすぷす、と。

煙を噴いて歩道に転がるドラム缶が良く分からない独り言を呟いて、

次の瞬間、警備ロボットは甲高い警報を辺り一面に鳴り響かせた。

「行くぞ」

御坂が登場して、初めてまともに放った言葉は極めて簡潔な三文字だった。




「はぁ……はぁ……あっつ……」

「……久々にこンな走ったわ」

彼らは携帯ショップの目の前にいた。
ちゃんと撒いた。

因みに、一方通行の久々とは能力補助を極力使わないで、ということだろう。

ただし彼は能力の所為で酸素不足にはならず、息切れはしていなかった。

「撒いた……か?あいつ撒いたと思っても結局撒いてなかったり、みたいのが多いんだよな……」

うんざりした様子で上条が口を開く。

「……電気を使う事に関してのスペシャリストなンだから、生体電気を毎秒受信して追っかけてくるンじゃねェの、一応小型の簡易ジャミング装置は置いてきたけど」

彼もまたうんざりした様子でそれに答える。

毎日会う度に追い掛けられてるのかなこいつ、と思ったら上条が少しかわいそうになった。

「……なんでそんなもの持ってたんだ?」

「過保護な木原くンに聞いてくれよ、つゥかさっきから見られっぱなしだから早く中入るぞ」

彼はその質問に対して適当に答えて切り上げた。

(まァ、アレは妹達に見つかったら使おうかと思ってたンだけどな)

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—————————————————


「遅ェよ」

「悪い悪い」

時刻は既に十二時を超えていた。
上条は携帯の契約と機種を選ぶのにかなり時間が掛かっていた。

「待たされてる方なンもすることねェンだぞここ」

「悪かったってば」

誰もが通る道、携帯ショップで友人等を待っていると、必ず長い。
何か時間を潰せる物がないとかなり長く感じる。

「昼どうする?」

「いちいち戻ンのは怠いし、そこらで適当に飯済ませりゃイインじゃねェの?」

「インデックスは?」

「木原くンがいるから問題ねェ」

あ、そっかといった感じで上条は首を動かした。

「じゃあ丁度そこにあるサイ〇リヤでイイか」

「サイゼ〇ヤ安くていいよな」

「安さとか気にしないンでェ……」

「あれ……その言葉で目から水道水が」

「よかったな、今日から水道代が節約出来るぞ」

そんな事を言いながら、サ○ゼリヤへと入っていった。




高校生くらいだろうか、若いウェートレスが接客しにくる。

「いらっしゃいませこんにちは、お客様何名様でしょうか」

「二人で禁煙席でェ」

「窓側の席をご利用ください」

定型文で会話を終える。

窓側のソファに座った時、そうだ、と前に座った上条が声を上げる。

「あとは服と電子レンジだけだよな?なら買い終わった後ゲーセン行かないか?」

「うわァめンどくせェ……」

メニューを開きながら拒否の姿勢を見せる。

「そんなこと言わずに行こうぜ?」

「なンでそんなにゲーセンで押してくるンだよ、どンだけゲーセン行きたいンだオマエ」

「俺の金でいいからさ」

「オレの金前提だったのかよ、つゥかオマエ妥協する側じゃねェよ、どォ考えても妥協される側だろォが」

的確なツッコミを口にする。
言葉のキャッチボールすら木原くンとは出来ない為少し新鮮だった。

いや主に……というか、確実に一方通行が悪いのだが。

「別にイイけどよォ……ンなことより決めたのかよ」

「ん?ああ、決まった決まった。上条さんはミラノ風ドリアとドリンクバーで」

はぁ、と思わず溜め息が漏れてしまう。

「貧乏根性が染み付いてンな、どォせオレの金なンだからもっと頼めよ」

「じゃあコーンスープとチョリソーを……」

「……まァ、イインじゃねェの?」

片手で奥側にあるボタンを押し、チャイムを鳴らす。
それから間もない内に先ほどのウェートレスが注文を取りに来た。

—————————————————




—————————————————


「——で、あァ、あとドリンクバー二つ」

「かしこまりました、ご注文を繰り返します。リブステーキの三点セットがお一つ、辛味チキンがお一つ、ミラノ風ドリアがお一つ、コーンスープがお一つ、チョリソーがお一つ、ドリンクバーがお二つ、ご注文は以上でしょうか?」

「はァい」

「ではごゆっくり」

長ったらしい確認に少々イライラしながら口を開く。

「アイスコーヒー、ガムシロはいらねェ」

「ここはじゃんけんだろ」

「二人しかいねェのにじゃンけンかよ、心狭ェなオイ」

「ちぇ、わかったよ、行ってくりゃいいんだろ?」

「だからなンで妥協する立場なンだよオマエは、くそみたいな出費でもオレの金だという事を忘れンなよ」

パシらせた上条の背中を見送り、一つ息を吐く。
そして、腕を組み窓側を見つめながら先ほどの現象を思い出していた。

上条へと向けられた雷撃。

あれに当たったらひとたまりも無い。

(何故“消えた”?)

まさしく消えたとしか表現出来ない現象。
一瞬、つい最近触れたイレギュラーな法則を頭に浮かべたがそれはないと一蹴する。

ここは学園都市、魔術なんて物とは無縁。
100人に聞いたら100人が『マジュツ?なにそれ?』と答えるだろう。

……まぁ、例外も学園都市230万人の中にいないとは限らないが。

(……まさか)

(無能力者っつゥ前提が間違っているのか?)

“もし身体検査で測定出来ない原石が存在していたら”?

この無能力者という前提は覆る。
だがそんな『原石』がいると研究者が知っていたら、ゴミに群がるハエのごとくすり寄り身体を好き勝手に弄くるだろう。

上条にはそれが無い。

だとしたら、その上にいる立場の人間——。

「——どうした?」

「……あァ?」

思考を中断し、宙に浮いていた視線を向かいの席へと移す。
勿論そこにはパシりを終えた上条が座っていた。

「いや心此処に在らずみたいな感じだったからさ」

良い機会だ。
ここで聞いて答えを聞いた方が手っ取り早い。




「……なンで電撃を弾けたンだ?いや、消したっつゥのが正しい表現か?」

単刀直入。
なんてことはない単純な興味だった。

それを聞いた上条は右手をぷらぷらと振り、口を開いた。

「ああ、あれは俺の右手にある幻想殺しの力だ。」

そう告げて、当たり前のように説明を始める。

——幻想殺し。

一般的にはテレビの笑い物。
そして学園都市の中では数式の確立された超能力。
その『異能の力』を使うモノなら、それが例え神様の奇跡であっても問答無用で打ち消す生まれつきの『原石』。

ただし、それは『異能の力』にしか機能しない。
つまり超能力が生み出した火の玉は防いでも、火の玉が砕いたコンクリートの破片は防げない。
効果も『右手の手首から先』だけ、他の場所にヒットしたら即お陀仏。

ついでに身体検査の判定は万年無能力者。

そういった説明だった。

ここでわかった事がある。

(オリジナルバカじゃねェのォォォォォォ!?辛うじて右手が反応してくれてなかったらコイツ何百回死ンでンだよォォォォォォ!!)

今日何度目か心の中で叫ぶ。
その他に、『原石』という見込みは間違っていなかった。
そして先程の続き。

——総括理事長。

(アレイスター=クロウリー。『闇』に染まっていないオレでも真っ先に名前が浮かぶようなクソ野郎が関係している……?)

まァイイ、と心の中で区切り会話を再開しようとした。

その時。




「なーにやってんのかにゃー?カーミやーん」

陽気で馴れ馴れしい声が横から響く。
上条はそちらに首を向け口を開く。

そこには金髪グラサンアロハシャツという奇抜な格好で、ドリンクを二つ持っている男が見える。

「土御門か、昨日は悪かったな」

土御門と呼ばれた男性がそれに応じる。

「本当だぜカミやん、舞花が爆発した部屋見に行きたいっていうのを宥めるの大変だったにゃー」

「うるせえシスコン軍曹」

二人は仲が良いんだろう、そんな事を言い合う様子を横目にいつの間にか届いていたサラダを口に運ぶ。

それを見た土御門が上条を睨みつけ、更に口を開く。

「カーミーやーんー……まーた女の子捕まえたのかにゃー……?」

「なんやて!?カミやんがまた女の子にフラグを建てた!?」

どっから現れたこいつ。
第三者の青髪でピアスをしている男が土御門の横に出現した。

もう色々突っ込むのがめんどくさい。

(つゥか女ってなンだよ)

彼の服装は黒の鬘、ショートパンツ、そしてTシャツという極めて適当なものだ。

しかし見た目の細さ、そして白さが相俟って確かに女には見える。
少なくとも上条はそう思っていた。

「……ん?んんん?」

青髪の男がじろじろと一方通行の身体を舐めるように見る。
その視線に対して居心地悪そうに、トマトを口に運んで一言。

「……ンだよ」

威圧を含めた声とともに青髪ピアスをギロッと睨み付ける。
そんな視線も意に介さず、青髪ピアスが口を開く。

「いやー、なかなかかわええけど女の子ちゃうなあって思うてな」

「なん…」

「だと…」

二人が某少年漫画で衝撃の事実を突き付けられた時に起こす反応を、素晴らしいチームワークで披露する。

「そっちのグラサンはまだしも上条くンはそンなサプライズをオレに期待してたンですかァ……?」

その反応を見て、額に青筋を浮かべながら握り拳を作る。
そして、上条がいつもの言葉を放つ。

「ふ、不幸だああああああああああ!!」

一方通行はテーブル越しだった為パンチじゃなく、蹴りを選択した。




臑を蹴ってしまったのか、ソファの上で尋常じゃなく悶える上条。

まぁ自業自得だった為、気にとめずコーヒーを喉へと流し込む。

「うぅ……そういえば土御門と青ピは何やってるんだ?」

「あ、それ聞くん?それ聞いてまうん?」

「いや早く言えよ」

ニヤニヤしている青髪ピアスにすかさず突っ込む上条。
流石にそのまま言わないなんて事はないようですぐに続ける。

「今日補習無いし、つっちーとゲーセン行こうと思ってたんや」

「それで昼飯食おうってことになって○イゼにきたんだにゃー、あ、カミやん相席させてもらうぜい」

コトッ、という皿を置く音とともに上条の横に土御門が座る。
つっちーボクのも持ってきてーなーと、青髪ピアスが急いで一方通行の隣に料理を置いて座る。

一方通行は思わず舌打ちを漏らした。
それを聞いたのか申し訳無さそうな様子で口を開く。

「あーごめんなー?我慢してくれると嬉しいんやけど」

「……気にしてねェよ」

上条も受け入れてるようなので特に文句は言わなかった。
当の上条は、

「ゲーセン行くなら俺達もいくつもりだったし一緒に行くか?」

お前の服と電子レンジを買う用事はどこへ行った。
そんな事を考えていると、とんとん拍子で話が進んでいるらしい。

「じゃあ地下街のゲーセンでいいかにゃー?」

「一番近いのはそこだしいいんじゃないか?」

「決定やね、かわええ子いるとええなあ」

「……はァ」

わいわいやっている三人を見て思わず溜め息を吐いた。


青ピの口調よくわかりませんでした(´・ω・`)

本当は御坂と一言も交わさない、サイゼリヤに入って土御門達と遭遇するなんて考えてなかったのにどうしてこうなった

どうしてこうなった
次はなるべく早くします

やべえよ…やべえよ…

今何ヶ月ぐらいで落ちますか(小声)
BO2で浮かれてた、切り替えていく

とりあえず新約五巻読んだらすぐ書きます(決意)



「よし、じゃ行くかにゃー」

皿に残っていた最後のポップコーンシュリンプを口に運び、土御門が立ち上がった。

「いやー、みんなでゲーセンは久しぶりやねー」

「まぁカミやんは群を抜いて補習漬けだったからにゃー」

「バカなのか」

一方通行は思わず内角を抉るような直球発言をぶつける。

「それもあるけど『開発』が……」

あァ……、と思わず一方通行は納得する。
イレギュラーな右腕を所持しているとはいえ、結局は『原石』。

異能の力を自分の物でも打ち消すからスプーンを曲げることや、卵を逆さまに立てたままで維持する、などは基本的に無理ということ。
つまり『開発』に関しての単位はかなり厳しい。

(苦労してンなァこいつ)

と、心の中で呟いて二枚の伝票を手に取る。

「オレが払ってくるから外出ててイイぞ」

「おっ、それじゃお言葉に甘えさせてもらうぜい」

「誠意が見えねェからオマエだけ自腹な」

「横暴にゃー!」

「太っ腹やねー……ん?」

何か引っ掛かったかのように青ピの口が止まる。

「そういえば君の名前聞いてへんかったよねぇ」

あ、と思わず声を出しそうになる。
『一方通行』は良くも悪くも名が知れている単語だ。

怖いもの見たさの野次馬や、自分に恨みを持っている人間だっているだろう。

そして騒ぎになったら、クローン共にバレる危険性がヤバい。


どれくらいヤバいかって言ったら、ヤムチャが「やったか!?」と言ったり、九回同点の投手薮田で対する打者はバルディリスぐらいヤバい。



とりあえず適当に名乗るか——。

「ああ、こいつの名前はあくせ——らっ!?」

思い切り二人に見えない角度から、余計な事を言おうとする上条の腹を右腕で打ち抜く。

(あれ?鳩尾入ったか?まァいいや)

尋常じゃなく悶えているがここは勿論無視する。

頭を高速回転させてちょうどイイ名字を考え、殴った勢いのまま口を開く。
2秒すら経っていない。

「……鈴科だ」

「よろしゅうな鈴科くん、……で、カミやんはなんで倒れとるん?」

「あれじゃねェの、腹痛とか」

「なら仕方ないにゃー、やっぱりカミやんは不幸だぜい」

二人は特に気にかけずそのまま外へと出て行く。

あれでごまかせる程コイツは不幸なのか、と少し哀れむ。
……いや殴ったのは一方通行だけどね?




サイゼリヤから出て少しの位置。
一方通行と上条は土御門達の少し後ろにいた。

前にいる土御門達に聞こえないように一方通行が口を開く。

「(おい)」

「(なんでせうか、ていうかお前の名前一方通行だよな?)」

それを察した上条も小さい声で応じる。

「(……それなンだが、一方通行って答えると面倒な事になるから鈴科ってことで通してくれ)」

「(……分かったけど何でさっき鳩尾ぶん殴られたんでせうか)」

「(当たっちゃっためンごめンご)」

「(おい)」

「(うっせェ、話はそれだけだ)」

「(後でなんか奢れ奢りなさい奢ってください三段活用)」

「(これ以上タカるとかオマエマジで鬼畜だな)」

「(と言いつつ結局断らないツンデレ一方通行さんなのでした)」

「(おーけェサルミアッキたらふく食わせてやるヒモ条くン)」

※サルミアッキとはフィンランドにある不味すぎる飴!
 ゴムの味から更に苦味すら出る最狂の飴!
 興味があったら食べてみよう!
 吐いても保証は出来ないぞっ☆

そんな事を言い合っている内に、地下街へ続く階段が視界に入ってきた。

「ちょっと金降ろしてくるわァ」

一方通行が階段の先にあるコンビニに指を差し口を開いた。

「じゃあ俺達は先にゲーセン行ってるぜい」

「おォ」

適当に返事をした後、早く帰ってくるのよーと上条の気持ち悪い台詞が耳に入り、殺意その他諸々を催したものの何とか堪えてコンビニを足を進める。





コーヒーを数本、ついでにヤシの実サイダーなる炭酸飲料水を他の人数分買い、地下街の階段を降りる。

(数年前に木原くンと来た以来のゲーセンか……)

中学生の頃だったか、木原くンとここではないがゲーセンに訪れていた。

その時は主にガンシューティングで遊んだ記憶がある。

(木原くン一回もコンティニューしなかったのはすごかったわ、流石見た目ヤクザ。チャカの扱いはお手のモンってかァ?)

が、クリアまでに三回コンティニューして、ひたすら木原くンにバカにされた苦い思い出があり、あまりいい印象が無い。
それでも三回だけは上手いのだが。


ちなみに木原くンが上手いのは、仕事が終わった後ゲーセンに寄りストレス発散しているからだ。

やっぱり木原くン研究業より向いてるのがあるんじゃないんですかね。

(あの後結局たこ殴りにしたからいいけど結構本気で悔しかったなァ、アレ)

そうこう考えている内にゲーセン内部へ足を踏み入れる。

しばらく適当に周りを見渡しながら進んでいると、突如「にゃーッッ!!」という再び吐き気を催しそうな断末魔が耳に入ってきた。

アロハシャツの金髪グラサンだ、あんな痛い奴そうそう他にいない。

声の方向に足を進めると、やはりUFOキャッチャーなるものに金を吸われている土御門の姿が見えた。

どうやらぬいぐるみを取ろうとしているらしい。

「……なにやってンだ?」

思わず口を開いてしまう。

それに、「おっ、鈴科」と応じ話し始める。

「いやー、愛しの舞夏……と言っても分からないか、妹にこのどでかいぬいぐるみ取って帰ろうと思ったんだけど2000円掛けても取れなかったんだにゃー」

「ふーン……」

「結構難しいぜい?」

「一回だけだ」

と、興味なさげに200円を投入口に流し込み、ビニール袋を丁寧に置く。
右矢印のボタンと前矢印のボタンの二つがあることで大体はわかった。

あとはフックが動く速度。

やや奥のぬいぐるみに目を付け、位置座標を確認。
とりあえず右矢印のボタンに慎重に触れる。

(この速度で動くならここで止めてェ、)

次に前方へ動くボタンを躊躇わずに手を付ける。

(……ここだな)

彼の中のジャストタイミングでボタンから手を離す。
やや大きめの三本爪はどっかで見たようなネズミを掴み取り、取り出し口に放り込んだ。




(いらねェ……)

直球な感想だった。
凄まじくいらない、残念ながら(?)一方通行はぬいぐるみと夜を過ごすような趣味は無い。

これの処理どうするかな、と考えながらぬいぐるみを景品専用のビニール袋に入れている内に、一つあることを思い付く。

(……クソガキにやりゃァイイか)

土御門に渡す気は毛ほども無い。

その後、数分程度譲ってくれと拝み倒されたが金を吸われて苦しむ姿を見たい外道系もやし一方通行はひたすら拒否した。


因みに土御門は更に2000円吸われた。




そんな土御門を散々笑い飛ばした一方通行はとある質問をする。

「そォいや上条達はどこだ?姿が見えねェけど」

「格ゲーでも見に行ってるんじゃないかにゃー」

ふーン、と適当に返すがここでまたある疑問が生じる。

“かくげー”とは一体なんだ?

かくってあれか、核のあれか。
核ゲーってなんだよ、核落としたら終わりだろうが。

非核三原則完全放棄か。

流石学園都市なんでもありだな。

「じゃあオレはアイツら探しに行くわ、オマエはどォする?」

「そうだにゃー、まだここらへんを見てからいくことにするぜい」

「金もねェのにか?」

「表出ろ」

「ンな事してる暇あったら、せェぜェ物理学の勉強でもしてるこったなァ」

ケラケラ笑いながら、奥へと歩みを進める。

彼は内心格ゲーがどんな物か多少気になっていた。

勿論、思ってるような核ゲーではないのだが。






とりあえず哀れな土御門にヤシの実サイダーを渡し、更に奥へと進んできた。

(かくげーとやらはアーケード機っつってたけど一体どこなンだか、まァ時間はあるし気楽に探すか)

はァ、と溜め息を吐いてそれなりに広い空間を捜索しようとした。

その時、

「よう姉ちゃん一人かい?」

野太い声が彼の耳に届く。
その声の方向へ首を向けると、如何にもスキルアウトですと言わんばかりのピアスや刺青をした男達が不快な笑みを浮かべていた。

(……あァ?この格好そンな女っぽく見えンのかよ。すげェ腹立つ。)

「お茶でも行かない?お茶」
「優しくすっから俺達と遊ぼうぜ?」
「朝まで帰さねーけどな、ははは!」

(……うぜェ)

標的は七匹。

トイレにでも誘い込んで半殺しにして、衣類引き裂いて社会的にも殺すか。

とりあえずここはダメだ、目立ちすぎる。

まぁ、周りは見て見ぬフリをしてるから別にここで殺ってもいいのだが後始末が面倒だ。

よし、トイレにおびき寄せるか。
そう決意した時、









「一人の女の子を寄って集って囲むなんて根性が足りねえな!」








突如、目立つ学ランを羽織った如何にも暑苦しそうな男が間に割って入ってきた。

「はぁ?なんだてめえ」
「ぶっ殺されてーのか?あぁ?」

「根性無し共に名乗る名前など無い!」

えっ、なにこいついきなり。
心底、一方通行はそう思った。

(削板軍覇、だっけな。第七位の原石だった筈だ。)

一応、名前自体は知っているらしく溜め息を一つ吐く。

(筋金入りのバカっつゥのは木原くンから聞いてたがここまでとはなァ……)

正直な所、一方通行は怒りが萎えてしまっていた。
売られた喧嘩を他人に買い取られる、そういった所為とくだらない茶番。

そんな事を考えてる間にも、わーわーぎゃーぎゃーと雑音が耳に入る。

もうこの事柄自体に対して、早くぶん殴って終わりにしてくれねぇかな程度にしか思っていない。

「すごーい……パーーンチ!!」

(……とっとと上条達と合流するか)

溜め息をまた一つ吐いた。





「上条くゥゥン?結構探してたンですよォォお??」

「うわっ!びっくりさせんなよあk……鈴科」

アーケードゲームをプレイしていた上条に、突然後ろから非常に恐ろしいトーンで声を掛ける。

それでも指は止まらない所を見ると結構慣れているようだ。

「どこにいるかもわかンねェからすげェ歩いたンだぞ、何が早く帰ってくるのよーだよ。死ねよ。」

「あぁ、悪い悪い。でも携帯使って連絡すれば良かったんじゃないのか?」

ここで、思わず「あ」と声が出そうになる。
そうか、携帯電話か。

「……完全に失念してたわ」

「まぁそういう時もあるさ」

「うっせェ」

と、言いながら適当な椅子を他の台から引っ張ってきて座る。

「それにしても意外だな」

「……何がだよ」

「いやー、完璧なやつなのかなって思ってたけど抜けてる所があったからな」

「そりゃ人だからな、つゥか青髪ピアスのヤツはどォした?」
コーヒーの缶を開けながらもう一人の所在を尋ねる。

「さっき可愛い女の子やーとか言いながら音ゲーコーナーの方行ったぞ」

「あっそォ……、そォいや飲み物いるか?」

「上条さんは貰える物は貰っとく主義でせうよ?勿論貰う」

心底どうでもよさそうな反応をしながら、上条にヤシの実サイダーを渡す。
ついでに飲み干した缶をゴミ箱へと放る。

「そォいや“かくげー”ってなンだ?」

突拍子もない質問に少し戸惑うが特に問題なく、適当に答える。

「うーん、闘うゲームだな」

「それは大体のゲームも同じだろォが」

それもそうだな、と苦笑いし更に続ける。

「格闘だよ格闘」

「……あー、格闘か」

「むしろなんだと思ってたんだよ」

「核爆弾の核」

「チェルノブくらいしかないだろそんなの」

「それがパッと出てくる時点でオマエまともじゃねェわ」

「上条さんもそう思う」




「COM相手にやってみるか?」

「そォだな、まずはやってみねェとな」

100と書かれた投入口に硬貨を押し込む。
キャラはとりあえず適当な空手やってそうなのを選んでみた。

「操作方法はとりあえず書いてあるから頑張れよ」

「覚えた」

「早いなおい」

「なンだこいつ手からなンか出したぞ、どンな化けモンだよ」

ガチャガチャとレバーを動かす姿は、活き活きとしている。
育て親がゲーマーだから当然とも言えるのかもしれない。

「すごいな鈴科、殆ど攻撃受けてないし。初めてとは思えないな。」

「敵が人間じゃねェから予測しやすいだけだ、とっとと対人やろォぜ対人」

ニヤリと笑みを見せる一方通行。

「ほう、面白い事を言うね鈴科くん」

「たかが数分触った程度の男には上条さんは負けないでせうよ?」

ゴゴゴ、と効果音が付きそうなオーラを纏いながら上条は硬貨を投入する。

「どォだろォなァ?」

こちらも不敵な笑みを崩すことなく、硬貨を押し込む。

「どうしたんやー?カミやん、鈴科くん。」

「きっとあれだぜい、男と男の負けられない真剣勝負だぜい」

と、ここまでいなかった二人が加わり、一方通行は更に笑みを深める。

「ギャラリーも集まってきたしここで完膚無きまでに叩きのめしてやるよヒモ条くゥゥゥゥン!!」

「数年やってるプライドに掛けて絶対に負けてやれねーぞ鈴科ぁぁぁぁぁぁぁ!!」




次回予告!

ついに寄り道ゲーセン編もクライマックス!

上条は一方通行の超人的とも言える反応と行動予測で序盤から圧倒される!

お願い倒れないで上条!アンタがここで倒れたら、今まで戦ってきた格ゲープレイヤーとの約束はどうなっちゃうの!?

ライフはまだ残ってる!このコンボを耐えきったらまだチャンスは残ってるんだから!

次回、「上条当麻 敗北する」。
ゲームスタンバイ!


本当にここらへん特に意味ないです。

とりあえずここまできてただ遊ぶだけっていうのはアレなので削板さん出しました。

鶏肉食べたいです。

ちょーっと、今色々忙しいです。

二月までには一度投下したいです。
あくまでもこれは願望なのでちまちま生存報告して、ある程度落ち着くまでスレを落とさないようにしたいです。

かなり書けたので明日には

忙しいのう

やべえよ…やべえよ…(焦燥)

あ、書いたの消えた→まぁ後でやりゃいいかな→おっ、そうだな(事故解決)

と、思ってBO2やってたらこんなに時間経ってるんですかねえ…(呆れ)
すいませんレミントンかDSR金にしたら働くんで許してください!なんでもしますから!

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