モバP「この度は誠に申し訳ありませんでした」ペコッ‼ カシャー、カシャー、カシャー (17)

モバP(以下P表記)「このように謝罪会見を開く事態にまでなり、皆様に大変な御迷惑、御心配をおかけした事をここに深く謝罪いたします」ペコッ‼


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー


レポーター「えー、たった今、346プロによる謝罪会見が始まりました。ご覧の通り、詰めかけている沢山の報道陣に対して346プロのプロデューサーが謝罪をしております」

レポーター「物凄い数のフラッシュがたかれ、眩しい程です。アイドルの姿は、ここには一人も見当たりません。プロデューサー、一人のみです。今回の一連の騒動、果たしてここで決着がつくのでしょうか」

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記者A「えー、すみません。質問よろしいでしょうか」


P「はい。記者Aさん、どうぞ」


記者A「まず、事実を確認しておきたいのですが、こうして謝罪会見を開かれたという事は……」

記者A「あのYouTubeに投稿された『例の動画』、それに映っている女性は346プロに所属しているアイドル本人で間違いない、という事で宜しいのでしょうか?」


P「えー、質問にお答えします」

P「はい。アイドル本人で間違いありません。本人にも確認をとりましたところ、『私です』という回答が返ってきました。事実です」


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー



レポーター「皆様、お聞き頂けたでしょうか。本人です! 本人で間違いないとの事です!」

記者B「すみません、私からも質問よろしいでしょうか?」


P「はい、どうぞ」


記者B「えー、先程プロデューサーさんは本人に間違いないと仰られた訳ですが……」


P「はい」


記者B「という事は、『18歳未満の学生』が『夜の12時』に──時計が映っていましたからね。まあ、時計だけでは絶対の証拠にはなりませんが──」

記者B「とにかく、映っていた時計の時刻が正しければ、夜の12時に……」

記者B「繁華街の『居酒屋』に『一人でいた』、という事になりますよね?」

記者B「これも間違いないでしょうか?」


P「はい。間違いございません」


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー



レポーター「これも事実でした。未成年のアイドルが深夜に一人、居酒屋で過ごしていたとの事です! これは深夜徘徊という事になり、青少年保護育成条例違反という事になります!」

記者C「すみません、私からもそれに関連して質問よろしいでしょうか?」


P「どうぞ。記者Cさん」


記者C「ありがとうございます。では、単刀直入に一つだけ質問をさせて頂きます」

記者C「『例の居酒屋動画』の中で、店員に『生ビール』を頼んで、それを『飲む』というシーンがありました」

記者C「これは『未成年者』、それも『現役の女子高生』が『飲酒』をしているという事になりますが……」

記者C「それも事実で間違いないでしょうか?」


P「記者Cさんの質問にお答えします」

P「誠に遺憾ながら、『事実』です」

P「ファンの皆様からの信頼を裏切ってしまい、大変申し訳ありませんでした」ペコッ‼


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー



レポーター「飲酒を認めました! 未成年者の飲酒を認めました! プロデューサーが今、深々と頭を下げています!」

記者D「では、私の方からも質問を」


P「はい。どうぞ」


記者D「今、プロデューサーさんは『未成年者の飲酒』を認められた訳ですが……」

記者D「それについて、346プロさんはどういった対応を考えているのでしょうか」


P「質問にお答えします」

P「まず、アイドル本人には当面の間、謹慎処分を言い渡しました」

P「彼女がこの場にいないのもその為です」


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー


P「また、皆様、周知の通り、未成年者の飲酒は法律で禁止されていますので……」

P「アイドル本人には最寄りの警察署に自首をさせに行かせました。その際、私も付き添いとして同行しております」


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー


P「ただ、その際……」


記者D「その際?」


P「担当された警察官の方が言うには、まず未成年者の飲酒は、本人に対して罰則がないという事でして……」

P「また、アイドル本人が身分証明書をその警察官に見せたところ、『日本の法律上、何の問題もない』と、そう言われまして……」


記者D「?」


P「警察官の方曰く、『彼女は日本で唯一飲酒が認められている17歳だ』と……」

P「まあ、彼女はウサミン星人ですので、日本の法律が適用されない部分がひょっとしたらあるのかもしれませんが……」


記者D「すみません、プロデューサーさん、すみません。警察官の方はなんと言われたんです? もう一度お願いします」


P「『彼女は日本で唯一飲酒が認められている17歳だ』と」


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー


レポーター「理解出来ません! 一体これはどういう事なのでしょうか!? 飲酒が認められている17歳とは、一体!?」

P「私にもその点はよくわかりません。しかし」

P「法律上、何の問題もないとは言え、彼女は名誉あるシンデレラガールですので」

P「法律違反の誤解を生むような行為や、未成年者の飲酒を助長するような行為は厳に慎むべきです」

P「なので、彼女への謹慎処分は変わりませんし」

P「それによって、大勢のファンの皆様にご心配やご迷惑をおかけしました事」

P「最後にもう一度、深く謝罪いたします。誠に申し訳ありませんでした」ペコッ‼


カシャー、カシャー、カシャー、カシャー


レポーター「プロデューサーがまた深く、深く頭を下げています! どうやらこれで謝罪会見は終わるようです! 謎がまだ残っておりますが、これで謝罪会見は終わりのようです!」

【会見終了後、事務所】


P「ふう……」

ちひろ「お疲れ様です、Pさん」

P「いや、本当に疲れましたよ。謝罪会見なんて初めての経験ですし」

ちひろ「そうですよね。本当にお疲れ様です」

P「そうそう、それで菜々さんは?」

ちひろ「朝イチで事務所に呼び出して、散々お説教をした後、Pさんの謝罪会見を一緒に見て、それから家に帰しました。あの菜々さんが相当へこんでましたね」

P「あー、まあ、そうですよね……。しばらくは活動休止ですし……」

P「ちなみに、菜々さんにはどんなお説教を?」

ちひろ「どんなって言われても……」



────────────


「あのですね、菜々さん。そりゃ、たまには飲みたくなる時もあるのはわかりますよ。でも!」

「菜々さんは一応17歳なんですからね! 何で宅飲みにしなかったんですか!」

「しかも居酒屋って何ですか! 一人でお洒落なバーとかならともかく、一人で居酒屋って!」

「それに菜々さんが行った店、完全に若者が行くようなお店じゃないですよね! 仕事帰りの中年サラリーマンが家に帰る前にちょっと寄っていくかみたいな、そんなお店じゃないですか!」

「そっちの方が落ち着く? 知りませんよ、そんな事!」

「とにかく! これからは、家以外でお酒を飲むのは禁止ですからね! 買うのも禁止です! 欲しくなったら私に言って下さい、代わりに買ってきますから!」


────────────



ちひろ「と、まあ、こんな感じです」

P「これ、説教なんですか?」

ちひろ「いえ、だって、私も菜々さんにはどうしても怒り辛いと言うか……遠慮する部分があるというか……」

P「一応、相手、現役女子高生なんですけどね」

P「まあ、でも、こんな言い方をするのもあれですけど、飲酒事件を起こしたのが菜々さんで良かったですよ。謹慎処分と言っても、常務もほぼ形だけのものだと言ってましたし、すぐに活動を再開できるでしょうから」

ちひろ「そうですね。これが別の未成年アイドルだったら、本当に大問題でしたからね」

P「はい。それにしても、今の時代怖いですね。何かあるとすぐに撮影されて動画サイトに投稿されるんですから」

ちひろ「学生アイドルとかは特にそうでしょうね。幸い、うちの子達からはそういった悩み事とかは、今のところないみたいですけど」

P「ありがたい事です。何にしろ、こういった事はもうやりたくないですよ。胃が痛くなりますし」ハハ

ちひろ「あ、残念ですけど、Pさんには近い内にもう一回会見を開いてもらう事になると思いますよ」

P「え!?」

ちひろ「これ、熊本の市長から正式に抗議文が届いてます。一部のアイドルが使う言葉遣いを『熊本弁』と呼称するのは、他県民の誤解を招く行為であり、撤回を求めるって」

P「はいいぃ!? そんな事でぇぇ!?」



終わり

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