【艦これ】大淀「提督、大変です!」無良崇人「今度は何ですか」 (19)

※このSSは2019/8/3,4,10,11,12に開催されたイベント「深海大サーカス『不思議の国の1YB3H』」を元にしたフィクションであり、
実在のゲームと関連イベント、団体・企業、及びプロフィギュアスケーター・俳優・歌手・シンガーソングライター等とは一切関係ありません。
ただし性質上、同イベントのネタバレとなる描写を含みますのでご注意ください。

無良崇人氏(※架空の人物)のこれまでの軌跡はこちら
【艦これ】大淀「本日はよろしくお願いします」無良崇人「お願いします」
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【艦これ】大淀「提督、お久しぶりです」無良崇人「お久しぶりです」
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大淀「深海棲艦が密かにスリガオ海峡深部に集結し、大規模攻撃の準備を進めているようです!」

無良提督「……という体のイベントが開催されるんですね?」

大淀「ご理解が早く助かります」

無良提督「だいぶ慣れた……というより毒されてきましたから」


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大淀「毒されたなんて、まるで私達が変なことばかりやってるみたいじゃないですか」

無良提督「十分変ですよ、フィギュアスケーターがカーレースなんて突飛な挑戦にも支援いただいてますし……ありがとうございます」

大淀「子供の頃からの夢だったんですよね? 本当に好きなことなら、始めるのに遅すぎるなんてことはありませんからね」

無良提督「……それで、次はどういうイベントなんですか? またコンサートでのダンス出演とか?」

大淀「今回は是非、提督の本分の滑りで出演していただきたいと考えていまして」

無良提督「ということは、第二回アイスショーですか」

大淀「いえ、深海大サーカスです」

無良提督「……どういうことですか?」

大淀「深海大サーカスで滑っていただきたいんです」

無良提督「言葉の前後に繋がりがなさすぎるんですが」

大淀「すみません、一から説明しますね」

無良提督「多分理解できないと思いますけど、お願いします」

大淀「まず、深海と不思議の国のアリスをモチーフにしたサーカスを企画しました。場所は舞浜アンフィシアターです」

無良提督「……初手から振り落とされかかってますけど、続けてください」

大淀「アクロバットやエアリアルのパフォーマンスを行っていただくチームの他に、インラインスケートのスペシャリストにも出演依頼を行っていまして」

無良提督「すごく嫌な予感がします」

大淀「そこで提督には、インラインスケートで友軍艦隊を率いて支援に駆けつけていただこうかと」

無良提督「ちょっと待ってください」

無良提督「滑るって、インラインスケートでってことですか」

大淀「はい」

無良提督「はいじゃなくて、フィギュアスケーターが……提督がインラインスケートをやる意味って何なんですか」

大淀「かっこいいじゃないですか」

無良提督「そんな無軌道な……だいたい、サーカスできちんとしたパフォーマーの方を呼ぶんだったら、次に力を入れるのはピエロとかそういう方じゃ――」

大淀「あ、そっちは大丈夫ですよ。ピエロ……というかクラウンには京本政樹さんをお呼びしてるので」

無良提督「……はい?」

大淀「深海棲艦の世界に迷い込んだ艦隊を導いたり導かなかったりするトリックスターとか語り部的な何か、『深海磨鎖鬼』としてご出演いただく予定です」

無良提督「もうちょっと設定とか詰めときません?」

京本政樹「……いや、敢えて多くを語らないことでお客さんに想像の余地を持たせる、ということですね?」

無良提督「!?」

大淀「そう、そういうことです」

無良提督「……本当に最初から考えてたんですか?」

大淀「もちろんですよ!……それにしても今の近付き方、まるで暗殺者みたいでしたね」

無良提督「代表作じゃないですか」

京本政樹「失礼、少し早めに着いてしまったのですが、興味深い話だったものでつい」

大淀「でしたらこの機会に顔合わせもかねて、少しショーの流れをご説明させていただきます」

大淀「京本さんのなんか意味深な語りと共に幕が上がり、深海棲艦のサーカスが始まります」

京本政樹「なるほど、非日常への没入感を高める演出ということですか」

無良提督「よく今の説明でそこまで好意的な解釈ができますね」

大淀「ウサギ役の艦娘を追いかけて山城・時雨・満潮が深海に迷い込み、深海棲艦に囲まれてピンチに陥ります」

無良提督「じゃあ、そこで支援艦隊と一緒に舞台に出るのが」

大淀「そう、オペラ歌手です」

無良提督「オペラ歌手なんですか」

大淀「大丈夫です、各日ともソプラノからバリトンまで、二期会メンバーなど一流の方々をお呼びしていますから。岡本知高さんもいらっしゃいますよ?」

無良提督「いや、確かに岡本さんとは何度もアイスショーやセレモニーでご一緒させてもらってますけど、なんでそんな人選実現できたんですか」

大淀「ダメ元でオファーしたら承諾いただけたので」

無良提督「……裏で人質とか取ってないですか?」

大淀「取ってませんよ、失礼な」

京本政樹「とすると、若干ミュージカルに近い形になるんでしょうか」

大淀「イメージとしては盛り上がりのピークにかかるボーカル曲のような感じですかね……そういう特撮とかご覧になったことあります?」

無良提督「さっきからわざとやってません?」

大淀「そうして一度は深海棲艦を押し返した艦隊ですが、京本さんのすごくそれっぽい台詞に誘われるように海峡の奥へ深入りしていき、ついに今回のボスである海峡夜棲姫との決戦となります」

京本政樹「過去の鎖を司る者に引き合わされて自身の過去に立ち向かう……熱い演出ですね」

無良提督「もう大事なところは京本さんに説明してもらった方がいい気がするんですが」

大淀「支援艦隊も再び到着し、敵味方入り乱れての激戦が繰り広げられるタイミングで提督の登場です」

無良提督「インラインスケートで?」

大淀「インラインスケートで、ですね」

無良提督「その道のプロと一緒に?」

大淀「JIAのチームと一緒に、ですね」

無良提督「無茶苦茶言ってる自覚はあります?」

大淀「大丈夫です、提督ですから」

無良提督「あのですね――」

京本政樹「……少し、いいでしょうか」

京本政樹「昔の話をさせてください。僕はデビュー当初からずっと時代劇俳優として活動していたものですから、トーク番組に出演するようになった時にとても悩みました。クールな役柄ばかり演じてきた役者がどんな話をすればいいのか、と」

無良提督「……」

京本政樹「そこで自分のイメージを広げるために話すようになったのが特撮のことでした。昔から細々とした道具作りは好きでしたし、共演者に特撮の経験者もたくさんいましたから。そこから人形をプロデュースしたり、自分も出演させてもらうようになったり……経験を積んで、昔仕事した人たちとまた共演できる喜びは、新しい分野に踏み出して冒険してこそ得られるものだと思います」

大淀「京本さん……」

京本政樹「どうでしょう無良さん、次の巡り合わせのために冒険してみるというのは」

無良提督「……縁と挑戦、ですか。僕がレースに挑戦できたのも、確かにあのアイスショーでの縁がきっかけの一つと言えるかもしれません」

大淀「提督、それって」

無良提督「出演依頼、お受けします。どこまでできるか分かりませんが……挑戦に遅すぎることはないはずですから」

大淀「ありがとうございます……! 今回のステージも、必ず最高のものに仕上げます!」

無良提督「……とはいえ、このスケジュールだと後半は北海道のサンクスツアーと被ってしまうので、全日出演は難しいんですが」

大淀「大丈夫です、その間は私達が何とかします。お忙しい中、前半に出演していただけるだけで十分心強いです」

京本政樹「ステージ上では、一応敵同士ということになるんでしょうが……僕にとっても新しい縁を作る挑戦です、一緒に頑張りましょう」

無良提督「ええ、よろしくお願いします!」

~8月12日、イベント千秋楽・舞台裏~

山城「大変だわ大淀!」

大淀「どうしたんですか、そろそろ次の場面の配置についてないと」

時雨「その次の場面なんだけど、どうも前段作戦の方の準備になってるみたいなんだ」

満潮「バミも大道具の配置もリハーサルと違うし、大混乱よ」

山城「最後の最後でこんなことになるなんて……」

大淀「おち、落ち着いてください、演者の皆さんには1週間前と同じ段取りで動いてもらえば大丈夫なはずです……1週間前って何週間前でしたっけ?」

満潮「それより、立ち位置は? それだと司令官の登場シーンがぽっかり空くことになるわよ? 今から演出を変更するなんてまず無理だし……」

大淀「代役を立てましょう! ボクカワウソかキリン改二か烈風か……とにかく冷静に」

時雨「一番冷静さを欠いてるんじゃないかな」

山城「仕方ないわ、提督の登場場面は全員でなんとかごまかして――」


「待ってください!」

無良提督「1週間前と同じ演出なら、僕がそのまま出演できるはずです……あ、差し入れのじゃがポックルです、皆さんでどうぞ」

大淀「これはどうもご丁寧に……提督!? 北海道でツアー中のはずじゃ……」

無良提督「今朝8時新千歳空港発の飛行機に乗れば浜松町から山手線と武蔵野線経由で10時54分には舞浜に着きます。帰りは東京まで行かずに新木場で降りて、19時32分発のりんかい線に乗り換えて品川シーサイド駅から19時57分発の高速リムジンバスで羽田に向かえば新千歳への最終便にギリギリ間に合うんです」

時雨「西村京太郎かな?」

大淀「提督……そこまでしてどうして」

無良提督「一度始めたら、やり切ってこそ初めて挑戦したと言えますし……せっかくの縁は大切にしたいかな、と」

大淀「感謝いたします……! では提督、最後の出撃、指揮をお願いします!」

無良提督「ええ、行きましょう!」

無良提督「……ところで、僕がいない間はどうしてたんですか?」

大淀「ギリギリのタイミングだったんですが、中西圭三さんをお呼びしまして」

無良提督「……はい?」

大淀「『Woman』や『Timing』を歌っていただきました。ちょうど今日は『Choo Choo TRAIN』の日でしたね」

無良提督「もう普通に大御所のコンサートでも企画した方がいいんじゃないですか?」

大淀「そうですね、次の佐世保ではバンド演奏をメインにしましょうか。ボーカルは広瀬香美さんで」

無良提督「ええ……」

以上です。
重ねて言いますがこのSSはフィクションのため、実際の同名イベントでトラブルがあったという事実は全くありません。最終日の開演時間等から推測するに完全に予定通りだったと思われます。
発表されたゲームの夏イベントも楽しみですね。ルイージ・ディ・サヴォイア・ドゥーカ・デッリ・アブなんとかさんに早く会いたいです。

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