夏休みが明ける9月1日。
その日、男とセレナは久しぶりのデートをする為に待ち合わせ場所を公園に決めていた。
今回は恋に鈍感な男からセレナをデートに誘ったのだ。
やっとその気になったのねとセレナは歓喜し、頬には熱い熱が走っている。
サトシ「セレナ」
セレナ「ごめーん!待ったサトシ?」
つけている腕時計の針を示しながら、男は微笑んだ。
サトシ「3分ぐらい大丈夫さ!それに今日は僕から誘ったんだから、少しの遅れを受け入れる器量は持ってるよ」
セレナ「嬉しい///」
サトシ「それじゃあ、行こうか!今日は新しく見つけた美味しいレストランがあってね」
まるで映画から飛び出してきたかのようなカップルを微笑ましく見守る人達とは違い林から恨めしげに男だけを見据える者がまるでプレデターを彷彿とさせる殺気を放っていた。
???「真実を知るのは僕だけか...」
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レストランは西洋な内装をしており、容姿端麗な美男美女な2人が中央のテーブルに存在する事によって、その場所だけは映画の世界だった。
金の匂いを漂わせている高級スーツで身を固めた客達ですら二人のカップルの前では名も無きエキストラだ。
セレナ「料理...遅いね」
サトシ「遅い方が俺は嬉しい」
セレナ「...お腹減ってないの?」
サトシ「違う。...こうして君を見る事ができるからさ」
セレナ「...ならわたしも同じ意見で!」
レストランは西洋な内装をしており、容姿端麗な美男美女な2人が中央のテーブルに存在する事によって、その場所だけは映画の世界だった。
金の匂いを漂わせている高級スーツで身を固めた客達ですら二人のカップルの前では名も無きエキストラだ。
セレナ「料理...遅いね」
サトシ「遅い方が俺は嬉しい」
セレナ「...お腹減ってないの?」
サトシ「違う。...こうして君を見る事ができるからさ」
セレナ「...ならわたしも同じ意見で!」
タケシ「おまたせしました」
セレナ「...!?」
脳裏に根付くデジャブ...何故か糸目の青年から魑魅魍魎の暴力が飛んでくると思い一瞬だけ身を構える。
青年はステーキを2人の前に置くと礼をして去っていった。
サトシ「糸目の彼をみて君は震えてたね」
セレナ「ち、ちょっとね...」
サトシ「君が怖がるなら彼の様な男とは友人にはならないでおくよ。...神に誓って」
セレナ「神に誓ってくれるのね!...嬉しい」
上品に左右に持ったナイフとフォークを操り2人はステーキを口に運ぶ。
上品な肉汁が口の中を包んでゆき、柔らかな美味の塊である肉が舌を楽しませた後に胃を長く愉しませる。
サトシ「ほんとの愛って...モノに例えたら何になるか分かるかいセレナ?」
セレナ「えっ...うーん」
思考を巡らせて答えを出そうとしているセレナを瞳に入れ、男はポケットから赤い箱を取り出した。
サトシ「悩んでる君は可愛い。...でもこの愛を身につけた君は美しい」
男が箱を開けるとそこには高価な指輪が収まっていた。
指輪は主人を待ち続けている様だった。
セレナ「これって...」
サトシ「僕の愛を形にしたモノだ。...受け取ってくれ」
セレナ「喜んで...!」
愛の結晶に手を伸ばすセレナにはこの先、様々な苦難と誘惑に満ちた道が広がっている。1人では進めない道でも愛する者と一緒なら乗り越えられるだろう。
END
次の瞬間、哀しみと怒りが銃から放たれた。
哀しみが指輪を破壊し、怒りが男の頬に傷を付けた。
客達の悲鳴という狂気のクラシックが演奏される混沌と化したレストランには巨体の男が佇んでいた。
巨体の男は黒い帽子を被っており、何処と無くノスタルジーを感じさせる。
セレナ「い、今のは銃声は!?」
サトシ「...君が撃ったのか黒帽子くん」
巨体な男は帽子を宙に投げ捨てると素顔を表した。
セレナ「て、ティエルノ...どうして!?」
ティエルノ「決まっている。...この物語の結末をハッピーエンドに変えに来たのさ」
宣言と同時にティエルノの持つ太古の銃が正義の火を噴き、真実の弾丸が『答え』を明らかにする為に男に向かっていく。
セレナ「サトシっ!!!」
サトシ「(よ、避けられん...っ!)」
真実の弾丸が男の眉間に命中し、偽りの仮面を壊し、『真実』を照らす。
男の皮膚がパズルがバラバラに溢れ落ちるように床に落ちていく。
セレナの隣に居たのは『サトシ』ではなかった。
サトシ?「何故...わたしの正体がわかった!?」
ティエルノ「単純明解だ。顔だけ似せても本人にはなれない...それだけだ」
セレナ「ほ、ホンモノサトシはどこにいるの!?どこなの!?」
ティエルノ「彼は島で平和な隠遁生活を送っている。ここにいる偽者は本物に成りすましてセレナ...君を手に入れようとしたんだ」
サトシ?「く、くっそっ!ぜんぶ!もうちょっとでうまくいくはずだったのに!!!なぜだ!なぜなんだ!!?」
ティエルノ「他人の顔を借りて威張り散らす者は愛を享受する事は出来ない」
いつのまにか手にしていた帽子を被り、この事件には終わりを迎えた。
今日は本当の愛に目覚めたセレナとティエルノの初デートだ。...だが
セレナ「もう~!ティエルノまだなの?」
ティエルノ「太陽が僕たちを祝福している」
セレナ「ただの日向ぼっこじゃん」
ティエルノ「ふぅわ~...」
セレナ「...///」
セレナは愛する人に寄り掛かった。
暖かい目で愛する人を見てティエルノはまた大きな欠伸をした。
ハッピーエンド
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