マツコ・デラックス「マツコの知らない世界シンデレラガールズSP」 (36)

カンペ『今日は今をときめくアイドル、シンデレラガールズの特集です』

マツコ「はいはい。ま、事務所の力関係よね。こういうの。SPはスペシャルか。それじゃあ最初のアイドルから」

椎名法子「こんにちは」

マツコ「はい、こんにちは。あなた、あれよね? 確かドーナツの……」

法子「はーい。ドーナツ大好き椎名法子です。今日は、よろしくお願いします!」

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マツコの知らない世界 マツコの知らないドーナツの世界


法子「まずですね。ドーナツの歴史から」

マツコ「はいはい」

法子「昔、ヨーロッパで清教徒革命というのがあったんですけど」

マツコ「待って! ドーナツそこまで歴史遡るの!?」

法子「そうなんです」

マツコ「世界史でやったわー清教徒革命。確か清教徒って書いて、ピューリタンって読むのよね」

法子「いちおう、世界史的には清教徒・ピューリタンどちらでも正解らしいんですけど」

マツコ「そうなんだ」

法子「まあ、清教徒革命がどういう革命家はおいといて、ですね」

マツコ「ちょ。おいとくの!?」

法子「今日はドーナツの話題がメインですから」

マツコ「あー……まあ、そうよね。主題はドーナツだ」

法子「この革命で弾圧された清教徒が、新天地アメリカへメイフラワー号で旅立つわけです」

マツコ「あー覚えてる。メイフラワー号」

法子「このメイフラワー号に乗って旅立つ前に、弾圧されてた清教徒の人達はオランダに亡命してたんですね」

マツコ「はあー、なんかすごい重ーい歴史の話よね」

法子「そこで清教徒たちが出会ったのが、オランダのお菓子ドウナッツ」

マツコ「え? ドーナツじゃなくて?」

法子「ドウナッツです」

マツコ「どうなっつ……あ、これ?」

法子「はい、これがドウナッツです。これは小麦粉を練った生地にクルミを乗せて焼いたお菓子なんです」

マツコ「これ穴はあいてないんだ?」

法子「あいてないんです。マツコさん、ちょっと食べてみたください」

マツコ「へえー。あ、美味しい。美味しいけど……これ、ドーナツっていうより、クッキー感覚よね」

法子「そうですね。今のドーナツとは全然違いますよね」

マツコ「あ!」

マツコ「……もしかしてドウナッツのナッツって」

法子「はい」コクコク

マツコ「クルミだからナッツ」

法子「はい!」

マツコ「待って、じゃあドウは……」

法子「……」ウンウン

マツコ「ピザの生地をドウって言わない?」

法子「そうなんです!」

マツコ「わかった! じゃあドウナッツって、小麦粉の生地にクルミが乗ってるって意味なんだ?」

法子「大正解! 原初のドーナツは、クルミが乗ったり練り込んである焼き菓子だったんです。これをオランダで船に積んで、アメリカまで航海したんです」

マツコ「なーるほどー。これメイフラワー号でみんな食べたんだ」

法子「はい。そうしてアメリカに着いた人達によって広まっていって、ドーナツはアメリカの国民食になったんです」

マツコ「でもドーナツのあの穴は? あれはいつ頃から空くようになったの?」

法子「これが諸説ありまして」

マツコ「ほう」

法子「当時のアメリカではクルミが手に入らなかったから、クルミの部分を空にしてそれが後に穴になった説」

マツコ「うん?」

法子「本来クルミが入るべき部分を、クルミがないから穴に……」

マツコ「え、ちょっと待って。おかしくない? それ」

法子「……他にもですね」

マツコ「いや、待って」

法子「ドーナツを作ってる途中でネイティブ・アメリカンの襲撃を受けて、その矢が当たって穴が空いた生地が油鍋に落ちたから説」

マツコ「待てー! なんだその説!!」

法子「船乗りが、船を操縦しながらドーナツを食べるために操舵輪にパンを引っ掛ける穴を開けたという説」

マツコ「仕事しろーー!! 操舵手、仕事中は食べるなドーナツをーーー!!!」

法子「あはは」

マツコ「操舵輪ってあれ丸いでしょ? あそこに引っかけてたら、回してる時にドーナツかけてる部分が下になって落ちちゃうでしょ!?」

法子「まあそういう、説ですから」

マツコ「説なら何言ってもいいってもんじゃないわよ!?」

法子「で、さっきのネイティブ・アメリカン説なんですけど、マツコさんお気づきになりました?」

マツコ「絶対、その説は正しくないってことは気づいた」

法子「じゃなくてですね、焼き菓子だったドウナッツが油で揚げる調理法に変化しているんですよ」

マツコ「あ、そうね。言われてみれば」

法子「アメリカで広まる過程で、ドーナツはラードで揚げる調理に変わったんですよね」

マツコ「それはなんで?」

法子「詳しくは謎なんですけど、単に合理的だからというのが一般的ですね」

マツコ「油でガーッと揚げちゃう方が楽ってこと?」

法子「実際、アメリカに渡った清教徒の人達が、故郷のイギリスに書いたお手紙が残ってるんですけど、そこにはドーナツとは何かっていう説明が書いてあって」

マツコ「へえ。なんて書いてあるの?」

法子「オイル・ケーキって書かれてるんです」

マツコ「あー、なるほどね。あ、きたきたドーナツ。これは確かにオイル・ケーキだわ」

法子「一度にたくさん作れますし、これを山盛り作って食べるのがアメリカ人は大好きなんですよね」

マツコ「わかるわー。あ、それでアメリカ人ドーナツ大好きなんだ」

法子「そうなんですよ」

マツコ「映画とか見ててもアメリカ人ドーナツばっか食べてるもん」

法子「今やアメリカ人の国民食のことつです」

マツコ「なんであなたが誇らしげなのかは、謎だけどね。いやでも、美味しいわドーナツ」

法子「ちなみに、アメリカの女の子が家庭で初めて、お母さんやお婆ちゃんと作る料理、No.1は……マツコさん、なんだかわかりますか!?」

マツコ「……!」

法子「!」ウンウン

マツコ「……ドーナツ!」

法子「クッキーです」

マツコ「ちょっとお! 話の流れ、おかしいでしょ!!!」


マツコ「はードーナツ美味しかった。で、次のアイドルなんだけど、さっきのドーナツとはまた違った油の臭いがスタジオに充満してるんだけど……」

北条加蓮「よろしくお願いしまーす」

マツコ「わかった。もうわかった。言われなくてもわかった。フライドポテトだこれ」



マツコの知らない世界 マツコの知らないフライドポテトの世界


北条加蓮「まずフライドポテトの原料になるジャガイモは、大まかに分けて2種類あるんだけど」

マツコ「ほう!」

加蓮「揚げて美味しいポテトと、美味しくないポテトの2種類です」

マツコ「そっちかー。植物学的とかそういう分け方じゃないかー」

加蓮「ちなみにアタシが、様々なポテトを揚げて食べてみた結果」

マツコ「平然と続けるわね」

加蓮「揚げて美味しくないポテトは存在しませんでしたー」

マツコ「おい待て、さっきの2種類あるって話どこいった!?」

加蓮「地球はひとつ、ポテトも1種類!」

マツコ「2種類って、あんたが言ったのよ!?」

加蓮「まずはこちらのよく見る、拍子木切りタイプの揚げポテト」

マツコ「ああ、マックとかもこれよね」

加蓮「一般にはフライドポテトって呼ばれますけど、イギリスだとチップスなんだよね」

マツコ「あ、フィッシュ&チップスのチップスよね。揚げた魚と揚げたポテトの組み合わせ」

加蓮「そう。で、いわゆるポテトチップスはイギリスだとポテトクリスプスなの」

マツコ「なるほど、クリスピーなポテトって意味ね」

加蓮「うん。イギリスで料理を注文すると、何を頼んでも必ず『チップス?』ってこう、語尾が跳ね上がる感じで聞かれるんだけどね」

マツコ「チィップス? みたいな」

加蓮「そうそう。チィッ↑プスって」

マツコ「揚げ芋? って聞いてくるってこと?」

加蓮「これ日本語に訳すと、マックでおなじみの……」

マツコ「あ、ご一緒にポテトはいかがですか? か!」

加蓮「そうそう! で、イエスって答えるとホントもうお皿に山盛りで持って来てくれて。これがイエス・ア・ロットって答えたら洗面器みたいなのに持って来てくれるの」

マツコ「へえ。けっこう行ってるんだ、イギリス」

加蓮「ううん。行ったことない」

マツコ「おおい!」

加蓮「イギリス出身のケイトさんや、旅好きの並木芽衣子さんや元CAの相馬夏美さんから聞いた話」

マツコ「あんたトコの事務所、色んな人間いるからそういう所ズルいわよね」

加蓮「アタシ……身体が弱くて……入院ばっかしてたから……外国とか縁がなくて……でも憧れて……」ウルウル

マツコ「やめなさいよ! そういうの!! そういうとこで演技力見せなくていいから。あんたはいいだろうけど、後で私に苦情がくるんだからね! 加蓮ちゃんを泣かせるなとか」

加蓮「はーい。で、イギリスではチップスだけど、アメリカではフレンチフライって言うんだ」

マツコ「あ、日本でも呼んでるとこあるある。フレンチフライ」

加蓮「これは、ジェファソンっていうアメリカ大統領がヨーロッパ旅行からアメリカに帰ってから、ホワイトハウスで作らせたのが発祥で」

マツコ「へえ。じやあそもそもこれってフランス料理なんだ」

加蓮「ううん。ベルギー料理」

マツコ「なんでよ!!!」

マツコ「そこで腹抱えて笑ってる2人! 神谷と渋谷、ちょっとこっち来なさいよ!」

奈緒「いやーウチの北条がスミマセン」

凛「ポテト語らせると長いから」

マツコ「長さじゃなくて、内容がおかしいでしょ!!!」

加蓮「フランスではこれを、アメリカンフライと呼びます」

マツコ「え? なんで?」

加蓮「アメリカ人はフライドポテトにケチャップをつけて食べるんだけど」

マツコ「あー、やるやる」

加蓮「マックでも頼むと、ケチャップつけてくれるし」

マツコ「え!? ホント!?」

凛「私も最初、加蓮がオーダーの時にクルーに『ケチャップください』って行った時はびっくりしたんだけど」

奈緒「普通にくれたんだよな。小さなパック入りのケチャップ」

マツコ「知らなかった……今度やってみよう」

加蓮「でもフランス人からすると、ケチャップなんてそんな野蛮な味つけの食べ方にフレンチって名前を付けて欲しくなくて、それでこれはフレンチフライじゃなくてアメリカンフライだ、って」

マツコ「じゃあ、フランス人は何をつけて食べるの?」

加蓮「マヨネーズですね」

マツコ「あんまり変わんないわよ。ケチャップもマヨネーズも」

奈緒「ちなみにですね」

マツコ「え?」

凛「加蓮は何を付けて食べるのが好きかと言うと」

マツコ「なになに?」

加蓮「マックシェイクです」

マツコ「……は?」

奈緒「シロップ抜きマックシェイクを加蓮はポテトに浸して食べます」w

マツコ「え? やだ」

凛「シロップ抜きシェイクが加蓮のマストです」w

マツコ「シロップ抜き?」

加蓮「お店によっては頼めるんだよシロップ抜きシェイク」

凛「※要確認だよ」

奈緒「こちらに用意しました」

マツコ「え? ええ……あ!」

加蓮「美味しいでしょ?」

マツコ「悪くない……かも?」

加蓮「シロップ抜きだから、ミルクの風味とポテトが合わさって最高の味わいなの」

マツコ「うん……これはハマるかも」

奈緒「マツコさんも、加蓮の仲間になっちゃったかー」w

加蓮「そして、ご家庭でフライドポテトを作る際のポイントなんだけど」

マツコ「アンタ、作れんの? 料理とか」

加蓮「ううん。できない」

マツコ「まあ、だと思った。うん、さっきのでわかった」

加蓮「これは、奈緒が揚げてくれたポテトですが」

マツコ「あら! 神谷、アンタ……なかなかやるわね」

凛「奈緒はメイドとかブライダルとか、そういう仕事をこなしてきてるから」

奈緒「な、なんだよ! メイドもブライダルも凛だってやっただろ!!」

凛「そう。なのにどうして差がついたのか……」

加蓮「慢心?」

マツコ「環境の違いじゃない?」

奈緒「そういうのいいから! ほらマツコさん、食べて!!」

マツコ「ふーん。あ! え!? これすごい!!」

加蓮「ね」

マツコ「ええ? これサツマイモ?」

奈緒「ポテトだよ。これにはコツがあるんだ」

マツコ「え、知りたい知りたい」

奈緒「加蓮に教わったんだけど、ポテトは凍る直前まで冷やすこと」

マツコ「アンタが教えたの!? 作ったのは?」

凛「奈緒」w

マツコ「作れよ自分で! でも冷やすだけでこんな美味しくなるんだ」

凛「冷やすことで、ポテトの澱粉が糖に変わるんだって」

マツコ「それでこの甘さか」

加蓮「でも凍らせてしまうと逆に、ポテトが傷んじゃうの」

マツコ「凍る直前って、そういうことね。具体的には何度ぐらいがいいの?」

加蓮「5度以下って言われてるけど、経験上ベストは3度です」

マツコ「それ、アンタの経験じゃないわよね?」

奈緒「はいはい、あたしだよ。でもこの3度って冷蔵庫だとメチャクチャ難しくてさ」

加蓮「本当は、雪の中とかに埋めておくのが1番なんだけどね」

マツコ「雪の中に入れて、凍らないの?」

加蓮「雪の中って意外に暖かいから。3度をキープできるの」

マツコ「でも都内で雪なんて、降ったって積もらないでしょ?」

マツコ「でも都内で雪なんて、降ったって積もらないでしょ?」

凛「マツコさん。これ見て欲しいんだけど」

マツコ「なに? ポスター? へえ、スキー用品のCMポスター。アンタ加蓮、ポテト食ってる時とは別人みたいないい顔してるじゃない。やっぱアイドルよね」

凛「ただこの、窓を開けて雪景色を見てキラキラしてるいい顔、これ本人の頭の中は……」

マツコ「え?」

加蓮「ポテトをこの中に埋めたーーーいいい!!!って考えてました」

マツコ「仕事に集中しなさいよ!!!」


お わ り

以上で終わりです。おつき合いいただきまして、ありがとうございました。

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