美嘉「自撮りの練習に付き合ってあげることになった」 (21)

周子「んー……んー?」カシャッカシャッ

美嘉「あれ、周子どうしたの?」

周子「あ、おっすー美嘉ちゃん。ちょっとねー」

美嘉「自撮りなんて珍しー! インスタにもごはんか靴の写真しか上げないクセにー★」

周子「そーそー。だから全然慣れてなくてさー。練習中ってワケよ」

周子「これとかどう? とりあえずこの間買ったブーツ履いて撮ってみたんだけど」

美嘉「あーもう全然ダメ。この角度じゃ何がメインか分かんないしさー」

美嘉「とりあえず座って。で、スマホのここを持つでしょ? そしたらー……」


アーダコーダ


周子「ほへー……」ボー

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美嘉「ちょっと聞いてるー?」

周子「んー? 聞いてる聞いてる。大丈夫ー」

美嘉「ならいいケド」

周子「ちゃんとモノにしないと意味ないしねー」

美嘉「……ふーん? もしかしてプロデューサーに何か言われた?」

周子「や、そういう訳じゃないんだけどね。話せば長くなるんだけどさ」ホワンホワンホワン…


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泰葉「うーん……」カシャカシャ

周子「おー泰葉だー」ナデナデナデナデ

泰葉「わっ……っと、周子さん。びっくりしちゃいました」

周子「どしたん? 携帯なんか構えちゃって。インスタ用? ブログ?」

泰葉「まあそんなところです。最近自撮りの練習中でして……」

周子「ふうん、マジメだねー」

泰葉「あ、そうだ。周子さんなら自撮りのコツとか分かりますよね?」

周子「うぇっ?」ギク

泰葉「よかった、こういう時に頼れる人がいて」

周子「あ、あー……」

泰葉「ね、教えてください!」キラキラ

周子「そ、そうね。周子おねーさんに任せなさい……」

泰葉「はいっ」パアアア

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周子「そんなに長くなかったーん」

美嘉「なんでそこでOKしちゃうのさ……」

周子「や、だってさー。泰葉に頼られることなんて滅多にないし……たまにはお姉ちゃんっぽいとこ見せたいし……」

美嘉「周子にも見栄とかあったんだねー。ほうほう」ニヤニヤ

周子「ひどない?」

美嘉「それでカワイイ妹分のために自撮りの勉強してたってワケね。なるほどなるほど」

周子「……あ、そうだ」

美嘉「ん、なに?」

周子「連絡先教えるからさ、美嘉ちゃんがレクチャーしてやってよ」

美嘉「あ、なーる! その方が手っ取り早いね★…………ってうぇええ!?!?!?」

周子「ノリツッコミ」

美嘉「や、ムリムリムリ! アタシカリスマモデル! そんで泰葉ちゃんもモデル! オーケィ!?」

周子「お、おう……。むしろちょうどいいんでない?」

美嘉「そっちの業界じゃ泰葉ちゃん先輩! 撮影レクチャーとかマジおこがましくてムリだって!」

周子「そういうの今更気にする?」

美嘉「気にするでしょ同業者なら! ギャル業界は割と体育会系なの!」

周子「泰葉は気にしないと思うけどなー。アイドルとしてなら美嘉ちゃんが先輩だし」

美嘉「いやいや、泰葉ちゃんなんかうちで一番マジメな人じゃん! 絶対その辺厳しいって」

周子「まーまー。あたしが言うんだから信用してよ。じゃ、早速LINEID教えとくからねー」

美嘉「えぇ……?」


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ポンッ

岡崎泰葉『事務所では美嘉さんが先輩なのですからどうぞ気にしないでください。ぜひご指導ご鞭撻のほどお願いします。』


美嘉「ホントだ……」

周子「ね、言ったでしょ? 泰葉のことならあたしに任せといてよ」

周子「そんじゃ、後はよろしくねー♪」

美嘉「うーん……ま、そういうことならいっか★」




みか★『そういうことなら任せて! 厳しくいっくよー★』

岡崎泰葉『はい!』

○それから……


ポンッ

岡崎泰葉『(ブレブレの写真)』

岡崎泰葉『(ピンボケの写真)』


美嘉「うーん、これは……」

泰葉「自撮りって難しいですね。いつも撮ってもらうばかりで、自分はまだまだカメラマンさんへの理解が足りてなかったのだろうなと痛感させられます……」

美嘉「いや、そんな大きい話でもないと思うけどね? 流石というか、顔の角度やポーズは完璧なんだけどなあ……」

泰葉「スマホって結構重いです……。どうしても手が震えてしまって……」

美嘉「普段ってどういう感じで撮ってる?」

泰葉「えっと、こう持って……」プルプル…

美嘉「あー、それじゃキツいよ。泰葉ちゃん手ちっちゃいし」

美嘉「いい? まずこことここの指二本使って挟むように持って……」


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泰葉「このじどりぼー?というのを買えばいいんですよね」

美嘉「あー、いらないいらない。こういうので大事なのは工夫ね。たとえばタイマーセットして……」


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美嘉「思い切ってスマホ地面に置いちゃうとかどう? 泰葉ちゃんの雑誌って××だったよね? あそこのカメラマンなら……」

泰葉「あ、なるほど。タイマーがあるから持たなくても大丈夫ですね……」

美嘉「よし、オッケ★ こんだけ覚えが早いと教えてて楽しいなー♪」

泰葉「ふふっ、そう思っていただけるなら光栄です」

美嘉「あとは実際にアップしてみるだけだね! えっと、泰葉ちゃんのアカウントって……」

泰葉「あ、いえ。SNSへのアップはもうしばらく後にしておこうと思います」

美嘉「? なんで?」

泰葉「一度プロデューサーにチェックしてもらおうと思いまして。写ったらマズいものもあるでしょうし」

美嘉「げ。そういうのやんないとダメなの? アタシテキトーにアップしてたような……」

泰葉「うーん……怒られてないなら大丈夫だと思います。私はなにぶん不慣れですから……」

泰葉「そ、それに……」

美嘉「?」

泰葉「一枚目は……その、一番にPさんに見て貰いたいので……」テレテレ

美嘉「」キューン


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周子「で、調子はどう?」

美嘉「もうバッチリ★ 流石にプロだもん!」

周子「そっか。あたしも今度泰葉の練習の成果見てみようかな。インスタに上げるって?」

美嘉「一度プロデューサーにチェックしてもらうんだってさ。だからアタシたちが自撮り見られるのは明日以降になるんじゃないかな」

周子「りょーかーい」

美嘉「いいなー、泰葉ちゃん。しっかり者だしさ。ついでにちょっと夏休みの宿題見てもらっちゃった」

周子「あれ、美嘉ちゃん上級生じゃなかった?」

美嘉「うん、だから奈緒ちゃん紹介してもらった。奈緒ちゃんと千鶴ちゃんともう終わらせた組で連携してみんなの宿題見てあげてるんだって★」

周子「はー、学生は大変だ」

美嘉「周子は気楽でいいよねえ。にしても泰葉ちゃん……一個下かあ」

美嘉「その割には見た目がなかなか……ふひっ★」

周子「……面倒くさくなる前に退散しよーっと」

○夜

泰葉「えっと、文面これじゃ固すぎるかな……。じゃ、こうしてこうして……」

泰葉「よし、送信っと……えへへ」

泰葉「あ、そうだ。Pさんここのところ残業続きでとても疲れてたみたいだし……」

泰葉「ふふっ、ありがとうございます美嘉さん」

泰葉「ここにカメラ構えて……角度よし、ピントよし」

泰葉「それに、この間周子さんが言ってたアレ……」

泰葉「あの時はついびっくりして色々言っちゃったけど、なんだかんだ聞いておいてよかった……」

泰葉「よし、ポーズはこうして……」

○美嘉の部屋


ポンッ


美嘉「ん、誰かな?」

美嘉「……あれ、泰葉ちゃん? 珍しいな、こんな時間に……」

美嘉「あ、もしかして成果報告? ふふ、可愛いところあるんだからもー……」



ポンッ

岡崎泰葉『(目元隠してたくし上げシャツを口元に咥えたドスケベ自撮り)』


美嘉「」


ポンッ

岡崎泰葉『(目元隠してたくし上げシャツを口元に咥えたドスケベ自撮り)』

岡崎泰葉『えへへ、元気出ました?』



ポンッ


みか★『まつがってるゆ』


バターン!!!!!!!!

莉嘉「お姉ちゃんが死んだー!!!!!!!!!!!!!」


バターン!!!!!!!!

泰葉母「何の音!?」



おしまい

デレステのウワサに「自撮りの練習をしているらしい」ってあるでしょ?
この一文にエロスの波動を感じない奴にアイドルをプロデュースする資格なんざ無いと思うんだよね

莉嘉「お姉ちゃんが死んだ!」
かぶと虫「この人でなし!」

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